IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲーの特許一覧

特許7141488マイコプラズマ・ジェニタリウムを検出するための組成物と方法
<>
  • 特許-マイコプラズマ・ジェニタリウムを検出するための組成物と方法 図1
  • 特許-マイコプラズマ・ジェニタリウムを検出するための組成物と方法 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-13
(45)【発行日】2022-09-22
(54)【発明の名称】マイコプラズマ・ジェニタリウムを検出するための組成物と方法
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/689 20180101AFI20220914BHJP
   C12Q 1/6818 20180101ALI20220914BHJP
   C12N 15/11 20060101ALN20220914BHJP
【FI】
C12Q1/689 Z ZNA
C12Q1/6818 Z
C12N15/11 Z
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021071697
(22)【出願日】2021-04-21
(62)【分割の表示】P 2018555191の分割
【原出願日】2017-05-24
(65)【公開番号】P2021118716
(43)【公開日】2021-08-12
【審査請求日】2021-05-13
(31)【優先権主張番号】62/342,519
(32)【優先日】2016-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ.ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100134784
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和美
(72)【発明者】
【氏名】ジョディ ハリス
(72)【発明者】
【氏名】カルヤニ マンギプディ
【審査官】松田 芳子
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-538605(JP,A)
【文献】特表2015-532114(JP,A)
【文献】国際公開第2011/161199(WO,A1)
【文献】Methods in Molecular Biology,Vol.903, Chapter8,2012年,p.129-139
【文献】Journal of medical microbiology,2008年,Vol.57,p.304-309
【文献】Journal of clinical microbiology,2009年,Vol.47, No.5,p.1469-1475
【文献】Sexually transmitted diseases,2003年,Vol.30, No.10,p.756-763
【文献】PLos ONE,2010年,Vol.5, Issue12,p.1-9
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12Q 1/68
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプル中のマイコプラズマ・ジェニタリウム(MG)を検出する方法であって、
- そのサンプル中に標的MG遺伝子の核酸が存在する場合に増幅産物を生成させるため、そのサンプルを標的MG遺伝子プライマーのセットと接触させることを含む増幅工程を実施し;
- その増幅産物を1つ以上の検出可能な標的MG遺伝子プローブと接触させることを含むハイブリダイジング工程を実施し;
- その増幅産物の存在または不在を検出すること、ここで、その増幅産物の存在が、そのサンプル中にMGが存在することを示すとともに、その増幅産物の不在が、そのサンプル中にMGが不在であることを示す、
を含み、
前記標的MG遺伝子プライマーのセットおよび1つ以上の検出可能な標的MG遺伝子プローブは、mgpB部分反復(MgPar)の可変EF領域を増幅及び検出し、
前記標的MG遺伝子プライマーのセットは、配列番号48~49および54~56からなるグループから選択した第1のオリゴヌクレオチド配列を含む第1のMgParプライマーと、配列番号62~66からなるグループから選択した第2のオリゴヌクレオチド配列を含む第2のMgParプライマーとを含み、
検出可能な標的MgPar遺伝子プローブは、配列番号71~89からなるグループから選択した第3のオリゴヌクレオチド配列、またはその相補配列を含む、方法。
【請求項2】
- 前記ハイブリダイジング工程が、前記増幅産物を、ドナー蛍光部分とそれに対応するアクセプタ部分で標識した前記検出可能な標的MG遺伝子プローブと接触させることを含み;
- 前記検出工程が、前記プローブの前記ドナー蛍光部分と前記アクセプタ部分の間の蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)の存在または不在を検出することを含み、蛍光の存在または不在が、前記サンプル中のMGの存在または不在を示す、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記増幅工程において5'→3'ヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼ酵素を使用する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記ドナー蛍光部分とそれに対応する前記アクセプタ部分が、前記プローブ上で互いに8~20個以下のヌクレオチドの範囲にある、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記アクセプタ部分がクエンチャーである、請求項2~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
MgPa接着オペロン内のmgpB遺伝子の保存領域Aを増幅および検出するための、標的MG mgpB遺伝子プライマーと、1つ以上の検出可能な標的MG mgpB遺伝子プローブとの1つのセットを更に含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記標的MG mgpB遺伝子プライマーのセットは、
配列番号29~35からなるグループから選択した第1のオリゴヌクレオチド配列を含む第1のプライマーと、配列番号36~41からなるグループから選択した第2のオリゴヌクレオチド配列を含む第2のプライマーとを含み、
前記1つ以上の検出可能な標的MG mgpB遺伝子プローブは、配列番号42~46からなるグループから選択した第3のオリゴヌクレオチド配列、またはその相補配列を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
マイコプラズマ・ジェニタリウム(MG)の核酸を検出するためのキットであって、
(a)- 配列番号48~49および54からなるグループから選択した第1のオリゴヌクレオチド配を含む第1のMgParプライマーと;
- 配列番号62~66からなるグループから選択した第2のオリゴヌクレオチド配列を含む第2のMgParプライマーと;
- 配列番号71~89からなるグループから選択した第3のオリゴヌクレオチド配列、またはその相補配列を含む、蛍光検出可能な標識をしたMgParプローブを含み、
前記蛍光検出可能な標識をしたプローブが、前記第1のプライマーと前記第2のプライマーによって生成するアンプリコンとハイブリダイズする構成にされている、キット。
【請求項9】
蛍光検出可能な標識をした前記第3のオリゴヌクレオチド配列が、ドナー蛍光部分とそれに対応するアクセプタ部分を含む、請求項8に記載のキット。
【請求項10】
前記アクセプタ部分がクエンチャーである、請求項9に記載のキット。
【請求項11】
ヌクレオシド三リン酸、核酸ポリメラーゼ、その核酸ポリメラーゼが機能するのに必要な緩衝液のうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項8~10のいずれか1項に記載のキット。
【請求項12】
MgPa接着オペロン内のmgpB遺伝子の保存領域Aを増幅および検出するための、標的MG mgpB遺伝子プライマーと、1つ以上の検出可能な標的MG mgpB遺伝子プライマーとの1つのセットを更に含む、請求項8~11のいずれか1項に記載のキット。
【請求項13】
前記標的MG mgpB遺伝子プライマーのセットは、配列番号29~35からなるグループから選択した第1のオリゴヌクレオチド配列を含む第1のプライマーと、配列番号36~41からなるグループから選択した第2のオリゴヌクレオチド配列を含む第2のプライマーとを含み、
前記1つ以上の検出可能な標的MG mgpB遺伝子プローブは、配列番号42~46からなるグループから選択した第3のオリゴヌクレオチド配列、またはその相補配列を含む、請求項12に記載のキット。
【請求項14】
前記第1のオリゴヌクレオチド、前記第2のオリゴヌクレオチド、前記第3のオリゴヌクレオチドのうちの少なくとも1つが、少なくとも1つの修飾されたヌクレオチドを含む、請求項8~13のいずれか1項に記載のキット。
【請求項15】
前記第1のオリゴヌクレオチド、前記第2のオリゴヌクレオチド、前記第3のオリゴヌクレオチドが、40個以下のヌクレオチドを有する、請求項8~14のいずれか1項に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本開示は分子診断学の分野に関するものであり、より具体的には、マイコプラズマ・ジェニタリウム(Mycoplasma genitalium)の検出に関する。
【発明の背景】
【0002】
マイコプラズマ・ジェニタリウム(MG)は、細胞壁を欠いていて、男女の尿管と生殖管の表面上と上皮細胞の中に存在するグラム陰性菌である。MGは、男性では非淋菌性尿道炎(NGU)の一般的な一因である一方で、女性では子宮頸管炎と骨盤内炎症性疾患(PID)の一因と認識されることが増えている。最近のメタ分析から、MGに感染すると女性では子宮頸管炎、骨盤内炎症性疾患、早産、自然流産、不妊のリスクがほぼ2倍になることがわかった。男性と女性の両方で、リスクがより小さい集団におけるMGの罹患率は約1~3%であると報告されている。リスクがより大きい集団では、罹患率は、男性で10%~41%、女性で7.3%~14%であると報告されている。リスクがより大きい集団でのMGの罹患率は淋菌(Neisseria gonorrhoeae)の罹患率よりも大きいことがしばしばあり、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)の罹患率と同程度である。MG感染は認識されないままになることが大半であり、感染した個人は無症状であるか、尿生殖路の他の細菌感染に付随するのと同様の症状を有する。
【0003】
MG感染を診断するのに従来は尿生殖路試料を培養していたが、培養は感度が低くて時間がかかり、その菌を回収するのに6ヶ月かかる可能性がある。アメリカ合衆国と欧州の核酸増幅試験(NAAT)ではMG感染を診断するためのNAATが実験室開発手続き(LDP)として利用できるようになっていて、培養よりも感度が優れていることがわかっている。
【0004】
疾病管理センター(CDC)は、持続性尿道炎または再発性尿道炎ではMGを疑うべきことと、持続性または再発性の子宮頸管炎と骨盤内炎症性疾患(PID)ではMGを考慮するとよいことを推奨している。MGはゆっくりと増殖する生物であり、培養は容易に利用できず、遅く、感度が低いという事実から、NAATが、MGを検出するための好ましい方法である。研究環境では、MGは、典型的には研究での利用のみを想定した研究室内のPCRまたはアッセイを利用し、尿、尿道スワブ、膣スワブ、子宮頸管スワブのNAATによって診断されるともに、子宮内膜生検を通じて診断される。
【発明の概要】
【0005】
本開示のいくつかの実施態様は、生物サンプルまたは非生物サンプルの中のMGの存在または不在を迅速に検出するための方法、例えば単一の試験管内でリアルタイムポリメラーゼ連鎖反応によりMGを多重検出するための方法に関する。実施態様には、少なくとも1回のサイクリング工程(その中には増幅工程とハイブリダイジング工程が含めることができる)を含むMG検出法が含まれる。さらに、実施態様には、単一の試験管の中でMGを検出する設計のプライマー、プローブ、キットが含まれる。これら検出法は、MGゲノム中の特定の遺伝子を標的とするように設計されていて、最も近縁のマイコプラズマ・ニューモニア(Mycoplasma pneumonia)から識別するとともに、ヒトの口または尿生殖管に見いだされる他の病原体や共生生物からも識別する能力を有する。
【0006】
サンプル中のMGを検出する方法として、そのサンプル中にMGが存在する場合に増幅産物を生成させるため、特定のMG遺伝子を標的とする設計のプライマーセットにそのサンプルを接触させることを含む増幅工程を実施し;その増幅産物を、MG遺伝子を標的とする1つ以上の検出可能なプローブと接触させることを含むハイブリダイジング工程を実施し;その増幅された産物の存在または不在を検出することを含んでいて、その増幅された産物の存在が、そのサンプル中にMGが存在することを示すとともに、その増幅された産物の不在が、そのサンプル中にMGが不在であることを示す方法が提供される。ただし標的MG遺伝子の選択は、23sリボソームRNA(23s)遺伝子、MgPa接着オペロン内のmgpB遺伝子(mgpB)の保存された領域A、mgpB部分反復(MgPar)の可変EF領域からなるグループからなされる。図1は、環状MGゲノムと、mgpB遺伝子の位置と、9個のMgPar部分反復の図を示している。
【0007】
1つの側面では、サンプル中のマイコプラズマ・ジェニタリウム(MG)を検出する方法として、標的MG遺伝子の核酸がそのサンプル中に存在する場合に増幅産物を生成させるため、標的MG遺伝子プライマーのセットにそのサンプルを接触させることを含む増幅工程を実施し;その増幅産物を1つ以上の検出可能な標的MG遺伝子プローブと接触させることを含むハイブリダイジング工程を実施し;その増幅産物の存在または不在を検出することを含んでいて、その増幅産物の存在が、そのサンプル中にMGが存在することを示すとともに、その増幅産物の不在が、そのサンプル中にMGが不在であることを示す方法が提供される。ただし、標的MG遺伝子プライマーのセットは、配列番号1~7、29~35、47~56からなるグループから選択した第1のオリゴヌクレオチド配列、またはその相補配列を含む第1のプライマーと、配列番号8~17、36~41、57~66からなるグループから選択した第2のオリゴヌクレオチド配列、またはその相補配列を含む第2のプライマーを含み;1つ以上の検出可能な標的MG遺伝子プローブは、配列番号18~28、42~46、67~89からなるグループから選択した第3のオリゴヌクレオチド配列、またはその相補配列を含んでいる。
【0008】
一実施態様では、23s遺伝子標的を増幅するためのプライマーセットは、配列番号1、2、3、4、5、6、7からなるグループから選択した第1のオリゴヌクレオチド配列、またはその相補配列を含む第1のプライマーと、配列番号8、9、10、11、12、13、14、15、16、17からなるグループから選択した第2のオリゴヌクレオチド配列、またはその相補配列を含む第2のプライマーを含んでいて、23s遺伝子増幅産物を検出するための検出可能なプローブは、配列番号18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28の核酸配列、またはその相補配列を含むか、その配列からなる。いくつかの実施態様では、23s遺伝子標的を増幅するためのプライマーセットは、配列番号3、4からなるグループから選択した第1のオリゴヌクレオチド配列、またはその相補配列を含むか、その配列からなる第1のプライマーと、配列番号8、9からなるグループから選択した第2のオリゴヌクレオチド配列、またはその相補配列を含むか、その配列からなる第2のプライマーを含んでいて、23s遺伝子増幅産物を検出するための検出可能なプローブは、配列番号24の核酸配列、またはその相補配列を含むか、その配列からなる。
【0009】
別の一実施態様では、mgpB遺伝子標的を増幅するためのプライマーセットは、配列番号29、30、31、32、33、34、35からなるグループから選択した第1のオリゴヌクレオチド配列、またはその相補配列を含む第1のプライマーと、配列番号36、37、38、39、40、41からなるグループから選択した第2のオリゴヌクレオチド配列、またはその相補配列を含む第2のプライマーを含んでいて、mgpB遺伝子増幅産物を検出するための検出可能なプローブは、配列番号42、43、44、45、46の核酸配列、またはその相補配列を含むか、その配列からなる。いくつかの実施態様では、mgpB遺伝子標的を増幅するためのプライマーセットは、配列番号34、35からなるグループから選択した第1のオリゴヌクレオチド配列、またはその相補配列を含むか、その配列からなる第1のプライマーと、配列番号40、41からなるグループから選択した第2のオリゴヌクレオチド配列、またはその相補配列を含むか、その配列からなる第2のプライマーを含んでいて、mgpB遺伝子増幅産物を検出するための検出可能なプローブは、配列番号45、46の核酸配列、またはその相補配列を含むか、その配列からなる。
【0010】
別の一実施態様では、MgPar遺伝子標的を増幅するためのプライマーセットは、配列番号47、48、49、50、51、52、53、54、55、56からなるグループから選択した第1のオリゴヌクレオチド配列、またはその相補配列を含む第1のプライマーと、配列番号57、58、59、60、61、62、63、64、65、66からなるグループから選択した第2のオリゴヌクレオチド配列、またはその相補配列を含む第2のプライマーを含んでいて、MgPar遺伝子増幅産物を検出するための検出可能なプローブは、配列番号67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89の核酸配列、またはその相補配列を含むか、その配列からなる。いくつかの実施態様では、MgPar遺伝子標的を増幅するためのプライマーセットは、配列番号48、56からなるグループから選択した第1のオリゴヌクレオチド配列、またはその相補配列を含むか、その配列からなる第1のプライマーと、配列番号65、66からなるグループから選択した第2のオリゴヌクレオチド配列、またはその相補配列を含むか、その配列からなる第2のプライマーを含んでいて、MgPar遺伝子増幅産物を検出するための検出可能なプローブは、配列番号80、89の核酸配列、またはその相補配列を含むか、その配列からなる。
【0011】
いくつかの実施態様では、ハイブリダイジング工程は、増幅産物を、ドナー蛍光部分とそれに対応するアクセプタ部分で標識した検出可能な標的MG遺伝子プローブと接触させることを含み;検出工程は、そのプローブのドナー蛍光部分とアクセプタ部分の間の蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)の存在または不在を検出することを含み、蛍光の存在または不在が、サンプル中のMGの存在または不在を示している。いくつかの実施態様では、増幅工程とハイブリダイジング工程を反復する。本明細書では、反復の数は、例えばサンプルの性質に依存する。サンプルが核酸の複合混合物である場合には、標的配列を増幅して検出に十分であるようにするため増幅工程とハイブリダイジング工程の回数をより多くする必要があろう。いくつかの実施態様では、増幅工程とハイブリダイジング工程を少なくとも約20回反復するが、少なくとも25回、30回、40回、50回、60回、それどころか100回繰り返すこともできる。さらに、増幅産物の存在または不在の検出は、それぞれの増幅工程とハイブリダイジング工程の間または後に実施すること、または1回おきの増幅工程とハイブリダイジング工程の間または後に実施すること、または増幅産物が存在する場合に検出に十分な量が予想されるのであれば、特定の増幅工程とハイブリダイジング工程の間または後に実施することができる。いくつかの実施態様では、増幅工程において、5'→3'ヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼ酵素を使用する。いくつかの実施態様では、ドナー蛍光部分とそれに対応するアクセプタ部分は、プローブ上で互いに8~20個以下のヌクレオチドの範囲にある。いくつかの実施態様では、アクセプタ部分はクエンチャーである。
【0012】
いくつかの実施態様では、オリゴヌクレオチドは、配列番号1~89から選択したヌクレオチド配列、またはその相補配列を含むか、その配列からなり、100個以下のヌクレオチド、または50個以下のヌクレオチド、または40個以下のヌクレオチド、または30個以下のヌクレオチドを有する。いくつかの実施態様では、第1と第2の標的MG遺伝子プライマーと、検出可能な標的MG遺伝子プローブは、40個以下のヌクレオチド(例えば35個以下のヌクレオチド、または30個以下のヌクレオチドなど)を有する。別の一実施態様では、本開示により、配列番号1~89のオリゴヌクレオチド、またはその相補配列と少なくとも70%(例えば少なくとも75%、80%、85%、90%、95%など)配列が一致した核酸を含むオリゴヌクレオチドが提供され、そのオリゴヌクレオチドは、100個以下のヌクレオチドを有する。一般に、これらオリゴヌクレオチドは、これら実施態様において、プライマーの核酸、プローブの核酸などになることができる。いくつかの実施態様では、オリゴヌクレオチドは少なくとも1つの修飾されたヌクレオチドを含んでいて、例えば核酸のハイブリダイゼーションの安定性が修飾されていないヌクレオチドと比べて変化している。場合によっては、オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つの標識および/または少なくとも1つのクエンチャー部分を含んでいる。いくつかの実施態様では、オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つの保存的に修飾されたバリエーションを含んでいる。特定の核酸配列の「保存的に修飾されたバリエーション」またはより簡略化した「保存的バリエーション」は、同一の、または実質的に同一のアミノ酸配列をコードする核酸を意味し、その核酸がアミノ酸配列をコードしていない場合には、実質的に同一の配列を意味する。当業者であれば、コード配列中の単一のアミノ酸、またはわずかな割合のアミノ酸(典型的には5%未満、より典型的には4%未満、または2%未満、または1%未満)を変化させる、または付加する、または欠失させる個々の置換、または欠失、または付加は「保存的に修飾されたバリエーション」であり、変化した結果として、アミノ酸の欠失、またはアミノ酸の付加、または化学的に似たアミノ酸での置換が起こっていることがわかるであろう。いくつかの実施態様では、第1と第2の標的MG遺伝子プライマーと、検出可能な標的MG遺伝子プローブのうちの少なくとも1つは、少なくとも1つの修飾されたヌクレオチドを含んでいる。
【0013】
いくつかの実施態様では、増幅(増幅工程)で5'→3'ヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼ酵素を用いることができる。例えばドナー蛍光部分とアクセプタ部分(例えばクエンチャー)は、プローブの長さに沿って互いに5~20個(例えば8個または10個)以下のヌクレオチドの範囲に位置させることができる。別の1つの側面では、検出可能なプローブは、二次構造の形成を可能にする核酸配列を含んでいる。そのような二次構造の形成により、一般に、第1の蛍光部分と第2の蛍光部分が空間的に近づく。この方法に従い、プローブ上の第2の蛍光部分をクエンチャーにすることができる。
【0014】
本開示により、個体からの生物サンプル中のMGの存在または不在を検出する方法が提供される。そのような方法は、一般に、少なくとも1回のサイクリング工程(その中には増幅工程と染料結合工程が含まれる)を実施することを含んでいる。典型的には、増幅工程は、標的MG遺伝子の核酸分子がサンプル中に存在している場合に1つ以上の標的MG遺伝子増幅産物を生成させるため、特定のMG遺伝子を標的とする設計の複数のプライマーペアをサンプルに接触させることを含んでいて、染料結合工程は、標的MG遺伝子増幅産物を二本鎖DNA結合染料と接触させることを含んでいる。このような方法は、増幅産物への二本鎖DNA結合染料の結合の存在または不在を検出することも含んでいて、結合の存在が、サンプル中にMGが存在することを示すとともに、結合の不在が、サンプル中にMGが存在しないことを示している。代表的な二本鎖DNA結合染料は、臭化エチジウムである。それに加え、このような方法は、標的MG遺伝子増幅産物と二本鎖DNA結合染料の間の融解温度を求めることも含むことができ、その融解温度によってMGの存在または不在が確認される。標的MG遺伝子に含めることのできる非限定的な例は、23s遺伝子、mgpB遺伝子、MgPar部分反復である。
【0015】
別の1つの側面では、MGの1つ以上の核酸を検出するためのキットが提供される。このキットは、標的MG遺伝子の増幅に特化した1つ以上のプライマーセットと、標的MG遺伝子増幅産物の検出に特化した1つ以上の検出可能なプローブを含むことができる。標的MG遺伝子に含めることのできる非限定的な例は、23s遺伝子、mgpB遺伝子、MgPar部分反復である。特に、本発明の方法に関連して上に開示したオリゴヌクレオチドプライマーとオリゴヌクレオチドプローブが、本発明のキットに含めるのに適している。本明細書では、サンプル中のマイコプラズマ・ジェニタリウム(MG)の核酸を検出するためのキットとして、配列番号1~7、29~35、47~56からなるグループから選択した第1のオリゴヌクレオチド配列、またはその相補配列を含むか、その配列からなる第1のプライマーと;配列番号8~17、36~41、57~66からなるグループから選択した第2のオリゴヌクレオチド配列、またはその相補配列を含むか、その配列からなる第2のプライマーと;配列番号18~28、42~46、67~89からなるグループから選択した第3のオリゴヌクレオチド配列、またはその相補配列を含むか、その配列からなる、蛍光検出可能な標識をしたプローブを含んでいて、蛍光検出可能な標識をしたそのプローブが、第1のプライマーと第2のプライマーによって生成するアンプリコンとハイブリダイズする構成のキットが提供される。1つの側面では、このキットは、ドナーとそれに対応するアクセプタ(例えば別の蛍光部分またはダーククエンチャー)ですでに標識されたプローブを含むこと、またはプローブを標識するための蛍光体部分を含むことができる。このキットは、ヌクレオチド三リン酸、核酸ポリメラーゼ、その核酸ポリメラーゼが機能するのに必要な緩衝液のうちの少なくとも1つも含むことができる。このキットは、サンプル中のMGの存在または不在を検出するためのプライマー、プローブ、蛍光体部分を使用するためのパッケージ挿入物と指示も含むことができる。いくつかの実施態様では、検出可能な標識をした第3のオリゴヌクレオチド配列は、ドナー蛍光部分とそれに対応するアクセプタ部分を含んでいる。いくつかの実施態様では、アクセプタ部分はクエンチャーである。いくつかの実施態様では、第1、第2、第3のオリゴヌクレオチドのうちの少なくとも1つは、少なくとも1つの修飾されたヌクレオチドを含んでいる。いくつかの実施態様では、第1、第2、第3のオリゴヌクレオチドは、40個以下のヌクレオチドを有する。
【0016】
別の1つの側面では、上に開示した標的MG遺伝子を増幅するためのオリゴヌクレオチドプライマーのセットを含む組成物が提供される。いくつかの実施態様では、標的MG遺伝子プライマーのセットは、配列番号1~7、29~35、47~56からなるグループから選択した第1のオリゴヌクレオチド配列、またはその相補配列を含む第1のプライマーと、配列番号8~17、36~41、57~66からなるグループから選択した第2のオリゴヌクレオチド配列、またはその相補配列を含む第2のプライマーを含んでいる。いくつかの実施態様では、組成物はさらに、配列番号18~28、42~46、67~89からなるグループから選択した第3のオリゴヌクレオチド配列、またはその相補配列を含むか、その配列からなる、1つ以上の検出可能な標的MG遺伝子プローブを含んでいる。
【0017】
特に断わらない限り、本明細書で用いるあらゆる科学技術用語は、本発明が属する分野の当業者が一般に理解しているのと同じ意味を持つ。本明細書に記載したのと類似または同等の方法と材料を本発明の主題の実施または試験に使用できるが、適切な方法と材料を以下に記載する。それに加え、材料、方法、実施例は単なる例示であり、それらに限定されることは想定していない。本発明の1つ以上の実施態様の詳細を添付の図面と以下の説明に提示する。本発明の他の特徴、目的、利点は、図面と、詳細な説明と、請求項から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、マイコプラズマ・ジェニタリウムの株G37のゲノムの図解であり、mgpB遺伝子の位置と、MgPar部分反復が示されている。
【0019】
図2図2は、さまざまな濃度のマイコプラズマ・ジェニタリウムDNA鋳型の存在下でのリアルタイムPCR実験のPCR増殖曲線を示している(1回のPCRにつき1000[黒色]、100[薄い灰色]、10[灰色]ゲノム当量濃度が存在)。
【発明の詳細な説明】
【0020】
核酸増幅によるMG感染の診断は、この細菌の感染を迅速かつ正確に検出する方法を提供する。サンプル中のMGを検出するためのリアルタイムアッセイを本明細書に記載する。MGを検出するためのプライマーとプローブを提供するとともに、そのようなプライマーとプローブを含有する製品またはキットも提供する。MGを検出するためのリアルタイムPCRの感度が他の方法と比べて向上するとともに、リアルタイムPCRの特徴(サンプル汚染、増幅された産物のリアルタイム検出が含まれる)が改善されているため、検査室におけるMG感染の定型的診断のために本技術を実施することが可能になる。
【0021】
本開示は、TaqMan(登録商標)増幅・検出技術を利用してMGを特異的に同定するため、MGゲノムの特定の遺伝子座とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプライマーと蛍光標識した加水分解プローブを含んでいる。MGの標的の選択には、公開配列データベースの包括的な検索と文献の検索を実施して、最も近縁のマイコプラズマ・ニューモニアから識別することのできるMG標的を探す必要があった。標的は、包括性と感度を目的として選択した。分析の結果として、可能な標的MG遺伝子に含まれるのは、23sリボソームRNA遺伝子(GenBank登録番号NR077054)、MgPa接着オペロン内のmgpB遺伝子(mgpB、GenBank登録番号FJ872586)の保存された領域A、mgpB部分反復(MgPar、GenBank登録番号FJ872587)の可変EF領域である。いくつかの側面では、よく保存されたmgpB遺伝子標的を用いて二重標的アプローチを実施することができる。本明細書では、包括性を目的としてmgpB遺伝子のよく保存された領域Aを選択することができ、感度を目的としてmgpB部分反復の可変EF領域を選択することができる。
【0022】
開示した方法は、1つ以上のプライマーペアを用いてサンプルからの核酸分子遺伝子標的の1つ以上の部分を増幅することを含むサイクリング工程を少なくとも1回実施することを含むことができる。本明細書では、「プライマー」は、MGの中の標的遺伝子と特異的にアニールし、それぞれの増幅産物を生成させるのに適切な条件下でそこからDNA合成を開始させるオリゴヌクレオチドプライマーを意味する。そのプライマーのそれぞれは、各標的核酸分子内の標的、または各標的核酸分子に隣接した標的にアニールするため、各増幅産物の少なくとも一部が、その標的に対応する核酸配列を含有する。サンプル中に標的MG遺伝子の核酸が1つ以上存在する場合には1つ以上の増幅産物が生成するため、その1つ以上の標的MG遺伝子増幅産物の存在が、サンプル中にMGが存在することを示す。増幅産物は、標的MG遺伝子のための1つ以上の検出可能なプローブと相補的な核酸配列を含有しているはずである。本明細書では、「プローブ」は、標的MG遺伝子をコードする核酸配列と特異的にアニールするオリゴヌクレオチドプローブを意味する。各サイクリング工程は、増幅工程と、ハイブリダイゼーション工程と、検出工程を含んでいて、そのサイクリング工程において1つ以上の検出可能なプローブにサンプルを接触させ、サンプル中のMGの存在または不在を検出する。
【0023】
本明細書では、「増幅する」という用語は、鋳型核酸分子の一方または両方の鎖と相補的な核酸分子を合成するプロセスを意味する。核酸分子の増幅は、典型的には、鋳型核酸を変性させ、プライマーの融解温度よりも低い温度でプライマーを鋳型核酸にアニールし、酵素でプライマーから伸長させて増幅産物を生成させることを含んでいる。増幅は、典型的には、デオキシリボヌクレオシド三リン酸と、DNAポリメラーゼ酵素(例えばPlatinum(登録商標)Taq)と、そのポリメラーゼ酵素を最適な活性にするための適切な緩衝液および/または補因子(例えばMgCl2および/またはKCl)を必要とする。
【0024】
本明細書で用いる「プライマー」という用語は当業者に知られており、鋳型依存性DNAポリメラーゼによってDNAの合成を「開始させる」ことのできるオリゴマー化合物(主にオリゴヌクレオチドだが、修飾されたオリゴヌクレオチドも含まれる)を意味する。すなわち、例えばオリゴヌクレオチドの3'末端が、自由な3'-OH基を提供し、その3'-OH基に、鋳型依存性DNAポリメラーゼによってさらなる「ヌクレオチド」が付着して3'→5'ホスホジエステル結合を確立することができ、そのことによってデオキシヌクレオシド三リン酸が利用され、ピロリン酸が放出される。したがって「プライマー」、「オリゴヌクレオチド」、「プローブ」の間には、想定される機能をおそらく除くと、基本的な違いはない。
【0025】
「ハイブリダイジング」という用語は、1つ以上のプローブを増幅産物にアニールすることを意味する。ハイブリダイゼーション条件は、典型的には、プローブの融解温度未満だが、プローブの非特異的ハイブリダイゼーションを回避する温度を含んでいる。
【0026】
「5'→3'ヌクレアーゼ活性」という用語は、核酸の鎖合成に関係する核酸ポリメラーゼの活性を意味し、この活性によってヌクレオチドが核酸鎖の5'末端から除去される。
【0027】
「熱安定性ポリメラーゼ」という用語は、熱に対して安定なポリメラーゼ酵素を意味する。すなわちこの酵素は、鋳型と相補的なプライマー延長産物を形成する際の触媒となり、二本鎖鋳型核酸を変性させるのに必要な時間にわたって高温に曝露するときに不可逆的に変性することがない。一般に、合成は、各プライマーの3'末端から始まり、鋳型鎖に沿って5'から3'の方向に進行する。熱安定性ポリメラーゼは、テルムス・フラブス(Thermus flavus)、テルムス・ルーバー(T. ruber)、テルムス・テルモフィルス(T. thermophilus)、テルムス・アクアティカス(T. aquaticus)、テルムス・ラクテウス(T. lacteus)、テルムス・ルーベンス(T. rubens)、バチルス・ステアロテルモフィルス(Bacillus stearothermophilus)、メタノテルムス・フェルビダス(Methano-thermus fervidus)から単離された。しかし熱安定性でないポリメラーゼも、その酵素が補充されるのであればPCRアッセイで使用することができる。
【0028】
「その相補配列」という用語は、所与の核酸と同じ長さ、かつ所与の核酸と正確に相補的な核酸を意味する。
【0029】
「延長」または「伸長」という用語は、核酸に関して用いるときには、追加のヌクレオチド(または他の類似した分子)を核酸の中に組み込むことを意味する。例えば、ヌクレオチド組み込み生体触媒(例えば核酸の3'末端にヌクレオチドを一般に付加するポリメラーゼ)によって1個分の核酸を延長させる。
【0030】
2つ以上の核酸配列の文脈における「一致」または「一致」率という用語は、例えば当業者が利用できる配列比較アルゴリズムの1つを用いて、または目視によって測定することにより対応が最大になるようにアラインメントして比較するとき、同じであるか、同じヌクレオチドが特定の割合になる2つ以上の配列または部分配列を意味する。配列一致率と配列類似度を求めるのに適したアルゴリズムの例はBLASTプログラムであり、それが記載されているのは、例えばAltschul他(1990年)「基本的局所アラインメント検索ツール」J. Mol. Biol. 第215巻:403~410、Gish他(1993年)「データベース類似性検索によるタンパク質コーディングの同定」Nature Genet. 第3巻:266~272ページ、Madden他(1996年)「Applications of network BLAST server」Meth. Enzymol. 第266巻:131~141ページ、Altschul他(1997年)「ギャップ付き BLASTとPSI-BLAST:新世代のタンパク質データベース検索プログラム」Nucleic Acids Res. 第25巻:3389~3402ページ、Zhang他(1997年)「PowerBLAST:対話式の、または自動化された配列分析とアノテーションのための新たなネットワークBLASTの応用」Genome Res. 第7巻:649~656ページである。
【0031】
オリゴヌクレオチドの文脈における「修飾されたヌクレオチド」は、オリゴヌクレオチドの少なくとも1個のヌクレオチドの位置が、そのオリゴヌクレオチドに望む特性を提供する異なるヌクレオチドで置換された変化を意味する。本明細書に記載したオリゴヌクレオチド内で置換することのできる修飾されたヌクレオチドの例に含まれるのは、例えば、C5-メチル-dC、C5-エチル-dC、C5-メチル-dU、C5-エチル-dU、2,6-ジアミノプリン、C5-プロピニル-dC、C5-プロピニル-dU、C7-プロピニル-dA、C7-プロピニル-dG、C5-プロパルギルアミノ-dC、C5-プロパルギルアミノ-dU、C7-プロパルギルアミノ-dA、C7-プロパルギルアミノ-dG、7-デアザ-2-デオキシキサントシン、ピラゾロピリミジン類似体、シュード-dU、ニトロピロール、ニトロインドール、2'-0-メチルリボ-U、2'-0-メチルリボ-C、N4-エチル-dC、N6-メチル-dAなどである。オリゴヌクレオチド内で置換することのできる他の多くの修飾されたヌクレオチドは、本明細書で言及されているか、本分野で知られている。いくつかの実施態様では、修飾されたヌクレオチドによる置換でオリゴヌクレオチドの融解温度(Tm)が、対応する修飾されていないオリゴヌクレオチドの融解温度と比べて変化する。さらに説明すると、いくつかの実施態様では、修飾されたヌクレオチドによるいくつかの置換によって非特異的核酸増幅を減らすこと(例えばプライマー二量体の形成などを最少にすること)、および/または想定する標的アンプリコンの収量を増加させることなどができる。このようなタイプの核酸修飾の例は、例えば例えばアメリカ合衆国特許第6,001,611号に記載されている。
【0032】
MGの検出
【0033】
本開示により、例えば標的MG遺伝子の核酸配列の一部を増幅することによってMGを検出する方法が提供される。23sリボソームRNA遺伝子、mgpB遺伝子、MgPar部分反復の核酸配列は公開されている(例えばGenBank)。具体的には、特定のMG核酸分子標的を増幅して検出するためのプライマーとプローブを本開示の実施態様によって用意する。
【0034】
MGを検出するため、MG遺伝子を標的とするプライマーとプローブを用意する。本明細書に例示した以外の核酸も、サンプル中のMGの検出に使用できる。例えば当業者が定型的な方法を利用して機能性バリアントを特異度および/または感度に関して評価することができる。代表的な機能性バリアントに含めることのできるのは、例えば、本明細書に開示した標的MG遺伝子の核酸の中の1つ以上の欠失および/または挿入および/または置換である。
【0035】
より具体的には、オリゴヌクレオチドの実施態様のそれぞれに含まれるのは、配列番号1~89から選択した配列を持つ核酸、それと実質的に同じバリアントで、配列番号1~89のうちの1つと配列が少なくとも例えば80%、または90%、または95%一致するもの、配列番号1~89とそのバリアントの相補配列である。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】
【表3】
【0039】
【表4】
【0040】
【表5】
【0041】
【表6】
【0042】
【表7】
【0043】
【表8】
【0044】
【表9】
【0045】
一実施態様では、MGを含有することが疑われる生物サンプル中のMGを検出するため、上記のプライマーとプローブのセットを用いる。プライマーとプローブのセットは、配列番号1~89の核酸配列を含むか、その核酸配列からなる23s遺伝子、mgpB遺伝子、MgPar部分反復の核酸配列に特異的なプライマーとプローブを含むか、そのプライマーとプローブで構成することができる。別の一実施態様では、標的MG遺伝子のためのプライマーとプローブは、配列番号1~89のいずれかのプライマーとプローブの機能的に活性なバリアントを含むか、そのバリアントからなる。
【0046】
配列番号1~89の任意のプライマーおよび/またはプローブの機能的に活性なバリアントは、本開示の方法でそのプライマーおよび/またはプローブを用いることによって同定できる。配列番号1~89の任意のプライマーおよび/またはプローブの機能的に活性なバリアントは、本明細書に記載した方法またはキットにおいて配列番号1~89の各配列と比べて同等であるかより大きい特異度と感度を提供するプライマーおよび/またはプローブとして適している。
【0047】
バリアントは、例えば配列番号1~89の配列と比べて配列番号1~89の各配列の5'末端および/または3'末端の位置で1個以上のヌクレオチドが付加、または欠失、または置換していることが異なっている可能性がある。上に詳述したように、プライマー(および/またはプローブ)は、化学的に修飾することができる。すなわちプライマーおよび/またはプローブは、修飾されたヌクレオチドまたは非ヌクレオチド化合物を含むことができる。するとプローブ(またはプライマー)は、修飾されたオリゴヌクレオチドになる。「修飾されたヌクレオチド」(または「ヌクレオチド類似体」)は、天然の「ヌクレオチド」とはいくつかの修飾が異なっているが、それでも、塩基化合物または塩基様化合物、ペントフラノシル糖化合物またはペントフラノシル糖様化合物、リン酸部分またはリン酸様部分、またはこれらの組み合わせからなる。例えば「標識」を「ヌクレオチド」の塩基部分に付着させることによって「修飾されたヌクレオチド」を得ることができる。「ヌクレオチド」内の天然の塩基を例えば7-デアザプリンで置換して「修飾されたヌクレオチド」を得ることもできる。「修飾されたヌクレオチド」または「ヌクレオチド類似体」という用語は、本出願では交換可能に用いられる。「修飾されたヌクレオシド」(または「ヌクレオシド類似体」)は、「修飾されたヌクレオチド」(または「ヌクレオチド類似体」)に関して上に概説したように、天然のヌクレオシドとは何らかの修飾が異なっている。
【0048】
修飾されたオリゴヌクレオチドとオリゴヌクレオチド類似体を含んでいて標的MG遺伝子(例えば23s遺伝子)をコードする核酸分子を増幅するオリゴヌクレオチドは、OLIGO(Molecular Biology Insights Inc.社、カスケード、コロラド州)などのコンピュータプログラムを用いて設計することができる。増幅用プライマーとして用いるオリゴヌクレオチドを設計するときの重要な特徴の非限定的な例に含まれるのは、(例えば電気泳動による)検出を容易にするため増幅産物が適切なサイズであること、プライマーペアのメンバーが似た融解温度であること、各プライマーの長さ(すなわちプライマーは、配列特異的にアニールするとともに合成を開始させるのに十分な長さだが、オリゴヌクレオチド合成の間の正確度(fidelity)が低下するほど長くはない必要がある)である。典型的には、オリゴヌクレオチドプライマーは、長さが8~50個のヌクレオチドである(例えば長さが8個、10個、12個、14個、16個、18個、20個、22個、24個、26個、28個、30個、32個、34個、36個、38個、40個、42個、44個、46個、48個、50個のヌクレオチド)。
【0049】
本発明の方法では、MGの存在または不在を検出するため、プライマーのセットに加え、1つ以上のプローブを用いることができる。「プローブ」という用語は、合成した核酸、または生物が産生した核酸を意味し、設計または選択により特定のヌクレオチド配列を含有しているため、決められた所定の厳密さのもとで「標的核酸」(本発明の場合には標的MG遺伝子の核酸)に特異的に(すなわち選択的に)ハイブリダイズすることができる。「プローブ」は、「検出プローブ」と呼ぶことができる。これは、このプローブが標的核酸を検出することを意味する。
【0050】
いくつかの実施態様では、本明細書に記載した標的MG遺伝子プローブに少なくとも1つの蛍光標識を標識することができる。一実施態様では、標的MG遺伝子プローブにドナー蛍光部分(例えば蛍光染料)とそれに対応するアクセプタ部分(例えばクエンチャー)を標識することができる。一実施態様では、プローブは、蛍光部分を含むか、蛍光部分からなり、核酸配列は、配列番号18~28、42~46、67~89を含むか、その配列からなる。
【0051】
プローブとして使用するオリゴヌクレオチドの設計は、プライマーの設計と同様にして実施することができる。実施態様では、増幅産物を検出するため単一のプローブ、またはプローブのペアを用いることができる。実施態様に応じ、使用するプローブは、少なくとも1つの標識および/または少なくとも1つのクエンチャー部分を含むことができる。プライマーと同様、プローブは、通常は互いに似た融解温度を持ち、各プローブの長さは、配列特異的なハイブリダイゼーションが起こるのに十分だが、合成の間に正確度が低下するほど長くはない必要がある。オリゴヌクレオチドプローブは、一般に、長さが15~40個(例えば16個、18個、20個、21個、22個、23個、24個、25個)のヌクレオチドである。いくつかの実施態様では、プライマーは、長さが40個以下のヌクレオチドである。
【0052】
コンストラクトは、標的MG遺伝子プライマー核酸分子と標的MG遺伝子プローブ核酸分子のうちの1つをそれぞれが含有する複数のベクターを含むことができる。コンストラクトは、例えば対照鋳型核酸分子として使用できる。用いるのに適したベクターは、市販されているベクター、および/または本分野で一般的な組み換え核酸技術の方法によって作製したベクターである。標的MG遺伝子の核酸分子は、例えば化学合成によって、またはMGからの直接的クローニングによって、またはPCR増幅によって得ることができる。
【0053】
本発明の方法で用いるのに適したコンストラクトは、典型的には、標的MG遺伝子の核酸分子(例えば配列番号1~89の1つ以上の配列を含有する核酸分子)に加え、望むコンストラクトおよび/または形質転換体を選択するための選択マーカー(例えば抗生剤耐性遺伝子)をコードする配列と、複製起点を含んでいる。ベクター系の選択は、通常はいくつかの因子に依存しており、因子の非限定的な例に含まれるのは、宿主細胞の選択、複製効率、選択可能性、誘導可能性、回収の容易さである。
【0054】
標的MG遺伝子の核酸分子を含有するコンストラクトは、宿主細胞の中で増殖させることができる。本明細書では、宿主細胞という用語は、原核生物と真核生物(例えば酵母細胞、植物細胞、動物細胞)を含むことを意味する。原核宿主に含めることができるのは、大腸菌(E. coli)、サルモネラ・ティフィムリウム(Salmonella typhimurium)、セラチア・マルセッセンス(Serratia marcescens)、枯草菌(Bacillus subtilis)である。真核宿主に含まれるのは、酵母(例えば出芽酵母(S. cerevisiae)、分裂酵母(S. pombe)、ピキア・パストリス(Pichia pastoris))、哺乳動物細胞(例えばCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞)、昆虫細胞、植物細胞(例えばシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)、タバコ(Nicotiana tabacum))である。コンストラクトは、当業者に一般に知られている任意の技術を利用して宿主細胞に導入することができる。例えばリン酸カルシウム沈降、電気穿孔、熱ショック、リポエフェクション、微量注入、ウイルスを媒介とした核酸移動が、核酸を宿主細胞に導入するための一般的な方法である。それに加え、裸のDNAを直接細胞に送達することができる(例えばアメリカ合衆国特許第5,580,859号と第5,589,466号を参照されたい)。
【0055】
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)
【0056】
アメリカ合衆国特許第4,683,202号、第4,683,195号、第4,800,159号、第4,965,188号に、従来のPCR技術が開示されている。PCRでは、一般に、選択された核酸鋳型(例えばDNAまたはRNA)に結合する2つのオリゴヌクレオチドプライマーを用いる。いくつかの実施態様で有用なプライマーは、本明細書に記載した標的MG遺伝子の核酸配列(例えば配列番号1~17、29~41、47~66)中で核酸合成の開始点として機能することのできるオリゴヌクレオチドを含んでいる。プライマーは、一般的な方法によって制限消化物から精製すること、または合成して作製することができる。プライマーは、増幅の効率を最大にするため一本鎖であることが好ましいが、二本鎖も可能である。二本鎖プライマーは、最初に変性させる。すなわち処理して鎖を分離させる。二本鎖核酸を変性させる1つの方法は、加熱である。
【0057】
鋳型核酸が二本鎖である場合、その二本の鎖を分離した後にPCRで鋳型として用いることができる。鎖の分離は、適切な任意の変性法(物理的手段、化学的手段、酵素的手段が含まれる)によって実現できる。核酸の鎖を分離する1つの方法は、大半が変性する(例えば50%超、60%超、70%超、80%超、90%超、95%超が変性する)まで核酸を加熱することを含んでいる。鋳型核酸の変性に必要な加熱条件は、例えば緩衝液の塩の濃度、変性させる核酸の長さとヌクレオチド組成に依存するが、典型的には、反応の特徴(例えば温度と核酸の長さ)に応じた時間の間、約90℃~約105℃の範囲にする。変性は、典型的には30秒間~4分間(例えば1分間~2分30秒間、または1.5分間)実施する。
【0058】
二本鎖鋳型核酸を熱によって変性させる場合、反応混合物を放置し、各プライマーが本明細書に記載した標的MG遺伝子の核酸分子上の標的配列にアニールするのを促進する温度まで冷却する。アニーリングの温度は、通常は約35℃~約65℃(例えば約40℃~約65℃;約45℃~約50℃)である。アニーリングの時間は、約10秒間~約1分間(例えば約20秒間~約50秒間;約30秒間~約40秒間)が可能である。次に反応混合物を、ポリメラーゼの活性が促進されるか最適になる温度、すなわちアニールしたプライマーから延長が起こって鋳型核酸と相補的な産物を生成するのに十分な温度に調節する。温度は、核酸鋳型にアニールする各プライマーから延長産物が合成されるのに十分でなければならないが、その相補的な鋳型からの延長産物が変性するほど高くなってはならない(例えば延長のための温度は一般に約40℃~約80℃(例えば約50℃~約70℃;約60℃)の範囲である)。延長の時間は、約10秒間~約5分間(例えば約30秒間~約4分間;約1分間~約3分間;約1分30秒間~約2分間)が可能である。
【0059】
PCRアッセイでは、核酸(例えばRNAまたはDNA(cDNA))を用いることができる。鋳型核酸は精製する必要がない。鋳型核酸として、複合混合物(例えばヒト細胞に含まれる核酸)のわずかな一部が可能である。核酸分子は、生物サンプルから定型的な技術(例えば『Diagnostic Molecular Microbiology: Principles and Applications』(Persing他(編)、1993年、アメリカ微生物学会、ワシントンD.C.)に記載されている技術)によって抽出することができる。核酸は、任意の数の供給源(例えばプラスミドや、天然の供給源(細菌、酵母、ウイルス、オルガネラ、より高等な生物(植物や動物など)が含まれる))から得ることができる。
【0060】
プライマーの延長を誘導する反応条件下でオリゴヌクレオチドプライマーをPCR試薬と組み合わせる。例えば鎖延長反応は、一般に、50 mM KClと、10 mMトリス-HCl(pH 8.3)と、15 mM MgCl2と、0.001%(w/v)ゼラチンと、0.5~1.0μgの変性した鋳型DNAと、50ピコモルの各オリゴヌクレオチドプライマーと、2.5 UのTaqポリメラーゼと、10%DMSOを含んでいる。反応物は、通常はdATP、dCTP、dTTP、dGTPのそれぞれ、またはその1つ以上の類似体を150~320μM含有している。
【0061】
新たに合成された鎖は二本鎖分子を形成し、それを反応のその後の工程で用いることができる。鎖分離工程、アニーリング工程、伸長工程は、標的核酸分子に対応する増幅産物を望む量生成させるのに必要な回数繰り返すことができる。反応における制限因子は、反応物の中に存在するプライマー、熱安定性酵素、ヌクレオシド三リン酸の量である。サイクリング工程(すなわち変性、アニーリング、延長)は、少なくとも1回繰り返すことが好ましい。検出で利用するとき、サイクリング工程の数は、例えばサンプルの性質に依存するであろう。サンプルが核酸の複合混合物である場合には、検出に十分な標的配列を増幅するためより多数回のサイクリング工程が必要になろう。一般にサイクリング工程は少なくとも約20回繰り返すが、40回、60回、それどころか100回繰り返すことさえできる。
【0062】
蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)
【0063】
FRET技術(例えばアメリカ合衆国特許第4,996,143号、第5,565,322号、第5,849,489号、第6,162,603号を参照されたい)は、ドナー蛍光部分とそれに対応するアクセプタ蛍光部分が互いにある距離内に位置しているときにそれら2つの蛍光部分の間でエネルギー移動が起こるため、それを可視化するか、他のやり方で検出および/または定量することができるという考え方に基づいている。ドナーは、一般に、適切な波長の光照射によって励起されるとアクセプタにエネルギーを移動させる。アクセプタは、一般に、移されたエネルギーを異なる波長の光照射の形態で再び放出する。いくつかの系では、実質的に非蛍光ドナー部分を含む生体分子を通じて非蛍光エネルギーをドナー部分とアクセプタ部分の間で移動させることができる(例えばアメリカ合衆国特許第7,741,467号を参照されたい)。
【0064】
一例では、オリゴヌクレオチドプローブは、ドナー蛍光部分とそれに対応するクエンチャーを含有することができる。クエンチャーは蛍光性であってもなくてもよく、移されたエネルギーを光以外の形態で散逸させる。プローブが完全な状態であるとき、エネルギー移動は一般にドナー部分とアクセプタ部分の間で起こるため、ドナー蛍光部分からの蛍光放出がアクセプタ部分によって阻止される。ポリメラーゼ連鎖反応の延長工程の間に増幅産物に結合したプローブは例えばTaqポリメラーゼの5'→3'ヌクレアーゼ活性によって開裂するため、ドナー蛍光部分の蛍光放射はもはや阻止されない。この目的のためのプローブの例は、例えばアメリカ合衆国特許第5,210,015号、第5,994,056号、第6,171,785号に記載されている。一般に用いられているドナー-アクセプタ・ペアには、FAM-TAMRAペアが含まれる。一般に用いられているクエンチャーは、DABCYLとTAMRAである。一般に用いられているダーククエンチャーに含まれるのは、BlackHole Quenchers(商標)(BHQ)(Biosearch Technologies, Inc社、ノヴァト、カリフォルニア州)、Iowa Black(登録商標)(Integrated DNA Tech., Inc.社、コラルヴィル、アイオワ州)、BlackBerry(商標)Quencher 650(BBQ-650)(Berry & Assoc.社、デクスター、ミシガン州)である。
【0065】
別の一例では、2つのオリゴヌクレオチドプローブ(そのそれぞれが蛍光部分を含有する)が、標的核酸配列に対するそれらオリゴヌクレオチドプローブの相補性によって決まる特定の位置で増幅産物にハイブリダイズすることができる。オリゴヌクレオチドプローブが増幅産物の核酸に適切な位置でハイブリダイズすると、FRET信号が発生する。ハイブリダイゼーションの温度は、約10秒間~約1分間にわたって約35℃~約65℃の範囲にすることができる。
【0066】
例えば(特定の範囲の蛍光放射をモニタするための適切なダイクロイックミラーとフィルタを有する)フォトン計数落射蛍光顕微鏡システム、フォトン計数光電子増倍管システム、蛍光計のいずれかを用いて蛍光分析を実施することができる。エネルギー移動を開始させるための励起、または蛍光体の直接的な検出を可能にする励起は、アルゴンイオンレーザー、高強度水銀(Hg)アークランプ、光ファイバー光源、望む範囲で励起が適切にフィルタされる他の高強度光源のいずれかを用いて実現することができる。
【0067】
ドナー部分とそれに対応するアクセプタ部分に関して本明細書で用いる「対応する」は、ドナー蛍光部分と重複する放射スペクトルを持つアクセプタ蛍光部分またはダーククエンチャーを意味する。アクセプタ蛍光部分の放射スペクトルの最大波長は、ドナー蛍光部分の放射スペクトルの最大波長よりも少なくとも100 nm大きくなければならない。したがってそれらの間で効果的な非放射性エネルギー移動が起こることが可能になる。
【0068】
蛍光性のドナー部分とそれに対応するアクセプタ部分は、一般に、(a)フェルスターエネルギー移動が高効率でなされるように;(b)最終的なストークスシフトが大きくなるように(100 nm超);(c)放射が可視スペクトルの赤色部分へと可能な限り大きくシフトするように(600 nm超);(d)ドナー励起波長での励起によって発生するラマン水蛍光放射よりも大きな波長に放射がシフトするように選択される。例えばドナー蛍光部分は、その最大励起がレーザー線(例えばヘリウム-カドミウム442 nm、またはアルゴン488 nm)に近くなるように、大きな消散係数となるように、大きな量子収率となるように、その蛍光放射が対応するアクセプタ蛍光部分の励起スペクトルとよく重複するように選択することができる。対応するアクセプタ蛍光部分は、大きな消散係数となるように、大きな量子収率となるように、その励起が対応するドナー蛍光部分の放射とよく重複するように、可視スペクトルの赤色部分(600 nm超)で放射されるように選択することができる。
【0069】
FRET技術でさまざまなアクセプタ蛍光部分とともに使用できる代表的なドナー蛍光部分に含まれるのは、フルオレセイン、Lucifer Yellow、B-フィコエリトリン、9-アクリジンイソチオシアネート、Lucifer Yellow VS、4-アセトアミド-4'-イソチオ-シアナトスチルベン-2,2'-ジスルホン酸、7-ジエチルアミノ-3-(4'-イソチオシアナトフェニル)-4-メチルクマリン、1-ピレン酪酸スクシンイミジル、4-アセトアミド-4'-イソチオ-シアナトスチルベン-2,2'-ジスルホン酸誘導体である。アクセプタ蛍光部分は、使用するドナー蛍光部分に依存するが、代表的なアクセプタ蛍光部分に含まれるのは、LC Red 640、LC Red 705、Cy5、Cy5.5、リサミンローダミンB塩化スルホニル、テトラメチルローダミンイソチオシアネート、ローダミン×イソチオシアネート、エリスロシンイソチオシアネート、フルオレセイン、五酢酸ジエチレントリアミンや、ランタニドイオン(例えばユーロピウムやテルビウム)の他のキレートである。ドナー蛍光部分とアクセプタ蛍光部分は、例えばMolecular Probes社(ジャンクション・シティ、オレゴン州)またはSigma Chemical Co.社(セントルイス、ミズーリ州)から入手することができる。
【0070】
ドナー蛍光部分とアクセプタ蛍光部分は、リンカーアームを通じて適切なプローブオリゴヌクレオチドに付着させることができる。各リンカーアームの長さが重要である。というのも、リンカーアームがドナー蛍光部分とアクセプタ蛍光部分の間の距離に影響を与えることになるからである。リンカーアームの長さとして、ヌクレオチド塩基から蛍光部分までの距離(単位はオングストローム(Å))が可能である。一般にリンカーアームは約10Å~約25Åである。リンカーアームはWO 84/03285に記載されているタイプのものが可能である。WO 84/03285には、リンカーアームを特定のヌクレオチド塩基に付着させる方法と、蛍光部分をリンカーアームに付着させる方法も開示されている。
【0071】
アクセプタ蛍光部分(例えばLC Red 640)を、アミノリンカー(例えばABI社(フォスター・シティ、カリフォルニア州)またはGlen Research社(スターリング、ヴァージニア州)から入手できるC6-アミノホスホロアミダイト)を含有するオリゴヌクレオチドと組み合わせ、例えばLC Red 640で標識したオリゴヌクレオチドにすることができる。ドナー蛍光部分(例えばフルオロセイン)をオリゴヌクレオチドにカップルさせるのにしばしば用いられるリンカーに含まれるのは、チオ尿素リンカー(FITCから誘導された例えばGlen Research社またはChemGene社(アッシュランド、マサチューセッツ州)からのフルオロセイン-CPG)、またはアミド-リンカー(フルオロセイン-NHS-エステルから誘導された例えばBioGenex社(サン・ラモン、カリフォルニア州)からのCX-フルオロセイン-CPG)、またはオリゴヌクレオチド合成の後にフルオロセイン-NHS-エステルのカップリングを必要とする3'-アミノ-CPGである。
【0072】
MGの検出
【0073】
本開示により、生物サンプルまたは非生物サンプルの中のMGの存在または不在を検出する方法が提供される。提供される方法では、サンプルの汚染、偽陰性、偽陽性が回避される。この方法は、1つ以上のプライマーペアを用いてサンプルからの標的核酸分子の一部を増幅する工程とFRET検出工程を含むサイクリング工程を少なくとも1回実施することを含んでいる。好ましくはサーモサイクラーの中でサイクリング工程を多数回実施する。この方法をプライマーとプローブを用いて実施してMGの存在を検出することができ、標的MG遺伝子の検出が、サンプルの中にMGが存在していることを示す。
【0074】
本明細書に記載したように、増幅産物は、FRET技術を活用した標識したハイブリダイゼーションプローブを用いて検出することができる。1つのFRET形式では、TaqMan(登録商標)技術を利用して増幅産物の存在または不在、したがってMGの存在または不在を検出する。TaqMan(登録商標)技術では、例えば1つの蛍光染料と1つのクエンチャーで標識した1つの一本鎖ハイブリダイゼーションプローブを用いる。そのクエンチャーは、蛍光性であってもなくてもよい。第1の蛍光部分が適切な波長の光で励起されると、吸収されたエネルギーはFRETの原理に従って第2の蛍光部分またはダーククエンチャーに移動する。第2の部分は一般にクエンチャー分子である。標識したハイブリダイゼーションプローブがPCR反応のアニーリング工程の間に標的DNA(すなわち増幅産物)に結合し、その後の伸長相の間に例えばTaqポリメラーゼの5'→3'ヌクレアーゼ活性によって分解される。その結果として蛍光部分とクエンチャー部分は互いに空間的に離れることになる。その帰結として、クエンチャーがない状態で第1の蛍光部分が励起されると、その第1の蛍光部分からの蛍光放射を検出することができる。例えばABI PRISM(登録商標)7700配列検出システム(Applied Biosystems社)はTaqMan(登録商標)技術を利用しており、サンプル中のMGの存在または不在を検出するため本明細書に記載した方法を実施するのに適している。
【0075】
リアルタイムPCRを用いた増幅産物の存在の検出でFRETに分子ビーコンを組み合わせて用いることもできる。分子ビーコン技術では、第1の蛍光部分と第2の蛍光部分で標識したハイブリダイゼーションプローブを用いる。第2の蛍光部分は一般にクエンチャーであり、蛍光標識は、典型的にはプローブの各末端に位置する。分子ビーコン技術では、二次構造(例えばヘアピン)の形成を可能にする配列を有するプローブオリゴヌクレオチドを用いる。プローブ内に二次構造が形成される結果として、プローブが溶液中にあるときには両方の蛍光部分が空間的に近づく。プローブの二次構造は標的核酸(すなわち増幅産物)へのハイブリダイゼーションの後に破壊されて蛍光部分は互いに分離されるため、適切な波長の光で励起すると第1の蛍光部分の放射を検出することができる。
【0076】
FRET技術の別の一般的な形式では、2つのハイブリダイゼーションプローブを用いる。それぞれのプローブは異なる蛍光部分で標識することができ、一般に、標的DNA分子(例えば増幅産物)内で互いに近接してハイブリダイズするように設計される。ドナー蛍光部分(例えばフルオロセイン)はLightCycler(登録商標)装置の光源によって470 nmで励起される。FRETの間にフルオロセインがエネルギーをアクセプタ蛍光部分(LightCycler(登録商標)-Red 640(LC Red 640)やLightCycler(登録商標)-Red 705(LC Red 705)など)に移動させる。するとアクセプタ蛍光部分はより長い波長の光を放出し、その光がLightCycler(登録商標)装置の光学検出系によって検出される。効率的なFRETは、蛍光部分同士が局所的に直接近接していて、ドナー蛍光部分の放射スペクトルがアクセプタ蛍光部分の吸収スペクトルと重複しているときだけ起こることができる。放射される信号の強度は、元の標的DNA分子の数(例えばMGゲノムの数)と相関させることができる。標的核酸の増幅が起こって増幅産物が生成する場合には、ハイブリダイジング工程の結果として、プローブのペアのメンバー間でFRETが起こることに基づいた検出可能な信号が発生する。
【0077】
一般に、FRETの存在は、サンプル中にMGが存在することを示し、FRETの不在は、サンプル中にMGが存在しないことを示す。しかし試料の不十分な回収、輸送の遅延、不適切な輸送条件、ある種の回収スワブ(アルギン酸カルシウム、アルミニウムシャフト)の使用は、どれも、試験の成功および/または試験結果の精度に影響を与える可能性がある条件である。本明細書に開示した方法を利用するとき、例えば45回以内のサイクリング工程でのFRETの検出は、MG感染を示す。
【0078】
本発明の方法を実施する際に使用できる代表的な生物サンプルの非限定的な例に含まれるのは、呼吸器試料、糞試料、血液試料、皮膚スワブ、鼻腔スワブ、傷スワブ、血液培養物、皮膚、軟組織感染物である。生物サンプルの回収法と保管法は当業者に知られている。生物サンプルを(例えば本分野で知られている核酸抽出法および/またはキットによって)処理してMG核酸を放出させることや、いくつかのケースでは、生物サンプルをPCR反応成分と適切なオリゴヌクレオチドに直接接触させることができる。
【0079】
融解曲線分析は、サイクリングプロファイルに含めることのできる追加工程である。融解曲線分析は、DNAが融解温度(Tm)と呼ばれる特徴的な温度で融解するという事実に基づいている。融解温度は、DNAの二本鎖の半分が一本鎖に分離したときの温度と定義される。DNAの融解温度は主にそのヌクレオチド組成に依存する。したがってGとCというヌクレオチドが豊富なDNA分子は、AとTというヌクレオチドが豊富なDNA分子よりも高いTmを持つ。信号が消失する温度を検出することにより、プローブの融解温度を求めることができる。同様に、信号が発生する温度を検出することにより、プローブのアニーリング温度を求めることができる。増幅産物からのプローブの融解温度により、サンプル中のMGの存在または不在を確認することができる。
【0080】
サーモサイクラーの各ラン中に対照サンプルもサイクルさせることができる。陽性対照サンプルは、例えば対照プライマーと対照プローブを用いて(標的遺伝子に関して記載した増幅産物以外の)標的核酸対照鋳型を増幅することができる。陽性対照サンプルは、例えば、標的核酸分子を含有するプラスミドコンストラクトも増幅することができる。そのようなプラスミド対照は、想定する標的の検出に用いるのと同じプライマーとプローブを用い、内部で(例えばサンプル内で)、または患者のサンプルと並行した別のサンプルのラン中に増幅することができる。そのような対照は、増幅および/またはハイブリダイゼーションおよび/またはFRET反応の成功または失敗の指標である。サーモサイクラーの各ランには、例えば標的鋳型DNAが欠けた陰性対照も含めることができる。陰性対照は、汚染を測定することができる。そうすることで、系と試薬が偽陽性シグナルを発生させないであろうことが保証される。したがって対照反応から、例えばプライマーが配列特異的にアニールして伸長を開始させる能力のほか、プローブが配列特異的にハイブリダイズする能力やFRETを起こす能力を容易に判断することができる。
【0081】
一実施態様では、本発明の方法は、汚染を回避する工程を含んでいる。サーモサイクラーのあるランと次のランの間の汚染を減らしたりなくしたりするため、例えばウラシル-DNAグリコシラーゼを用いる酵素法がアメリカ合衆国特許第5,035,996号、第5,683,896号、第5,945,313号に記載されている。
【0082】
従来のPCR法をFRET技術と組み合わせて利用して本発明の方法を実施することができる。一実施態様では、LightCycler(登録商標)装置を用いる。特許出願WO 97/46707、WO 97/46714、WO 97/46712に、LightCycler(登録商標)技術で用いられるリアルタイムPCRが記載されている。
【0083】
LightCycler(登録商標)はPCワークステーションを用いて操作することができるため、ウインドウズNTオペレーティングシステムを利用できる。サンプルからの信号は、その機械がキャピラリーを順番に光学ユニットの上に位置させるのにつれて得られる。ソフトウエアは、各測定の直後に蛍光信号をリアルタイムで表示することができる。蛍光取得時間は10~100ミリ秒(msec)である。各サイクリング工程の後、サイクル数に対する蛍光の定量表示をすべてのサンプルについて連続的に更新することができる。生成したデータはあとで分析するために保管することができる。
【0084】
FRETの代替法として、蛍光DNA結合染料(例えばSYBR(登録商標)GreenやSYBR(登録商標)Gold(Molecular Probes社))などの二本鎖DNA結合染料を用いて増幅産物を検出することができる。そのような蛍光DNA結合染料は、二本鎖核酸と相互作用すると、適切な波長の光で励起することによって蛍光信号を放射する。二本鎖DNA結合染料(例えば核酸と相互作用する染料)も用いることができる。二本鎖DNA結合染料を用いるときには、通常は融解曲線分析を実施して増幅産物の存在を確認する。
【0085】
本開示の実施態様が1つ以上の市販されている装置の構成によって限定されることはないことを理解されたい。
【0086】
製品/キット
【0087】
本開示の実施態様によりさらに、MGを検出するための製品、組成物、キットが提供される。製品は、標的MG遺伝子の検出に用いるプライマーとプローブに加え、適切な包装材料を含むことができる。組成物は、標的MG遺伝子の増幅に用いるプライマーを含むことができる。いくつかの実施態様では、組成物は、標的MG遺伝子を検出するためのプローブも含むことができる。MGを検出するための代表的なプライマーとプローブは、標的核酸分子にハイブリダイズすることができる。それに加え、キットは、DNAの固定化、ハイブリダイゼーション、検出に必要な適切に包装された試薬と材料(例えば固体支持体、緩衝液、酵素、DNA標準)も含むことができる。プライマーとプローブを設計する方法は本明細書に開示されており、標的核酸分子を増幅して標的核酸分子にハイブリダイズするプライマーとプローブの代表例が提示されている。
【0088】
製品は、プローブに標識するための1つ以上の蛍光部分も含むことができる。あるいはキットとともに供給されるプローブに標識することができる。例えば製品は、プローブに標識するためのドナー蛍光部分および/またはアクセプタ蛍光部分を含むことができる。適切なFRETドナー蛍光部分とそれに対応するアクセプタ蛍光部分の例を上に提示した。
【0089】
製品は、サンプル中のMGを検出するためのプライマーとプローブを利用するための指示が表面に記載されたパッケージ挿入物またはパッケージラベルも含有することができる。製品と組成物は、本明細書に開示した方法を実施するための試薬(例えば緩衝液、ポリメラーゼ酵素、補因子、汚染を阻止する薬剤)をさらに含むことができる。そのような試薬は、本明細書に記載した市販の装置の1つに専用のものが可能である。
【0090】
本開示の実施態様を以下の実施例でさらに説明する。その実施例が請求項に記載した本発明の範囲を制限することはない。
【実施例
【0091】
以下の実施例、表、図面は、主題の理解を助けるために提示されており、その主題の真の範囲は添付の請求項に記載されている。本発明の精神を逸脱することなく、開示されている手続きを改変できることを理解されたい。
【実施例1】
【0092】
MGのために選択された標的は、公開されている配列データベースを包括的に検索した結果であった。多数の方法を利用してマイコプラズマ・ジェニタリウムの配列とその最も近縁であるマイコプラズマ・ニューモニアの配列を検索することで排他性なアッセイを設計した。選択されたMG標的は、公開データベース(mgpBの120の配列、MgParの5つの全ゲノムアセンブリ)の中でカバーする範囲が最も広かった。MGは小さくてコンパクトなゲノムであるため、NAT設計のために標的とする領域が制限された。mgpB表面タンパク質遺伝子(MgPar標的と呼ぶ)を、そのコピー数が多いことが理由でアッセイのために選択した。表面タンパク質は組み換えを起こすことが知られていて、その結果としてアッセイが失敗する可能性がある。関係するリスクを減らすため、よく保存された標的(mgpB標的と呼ぶ)を用いた二重標的アプローチを実施した。
【0093】
MgPaオペロンは、3つの遺伝子、すなわちmgpA、mgpB、mgpCをコードしている(図1にmgpB 221 kbとして黒い楕円で表示)。mgpB(4335 bp)が完全なオペロンの中に存在しているが、そのオペロンの外側には9つの部分反復(MgPar)が存在している。これら反復はmgpBの部分的コピーである(図1)。mgpB遺伝子のよく保存された領域A(mgpB標的と呼ぶ)を包括性の目的で選択し、可変領域EF(MgPar標的と呼ぶ)多コピー標的を感度の目的で選択した(図1)。
【0094】
cobas(登録商標)4800システムまたはcobas(登録商標)6800/8800システムプラットフォーム(Roche Molecular Systems, Inc.社、プレザントン、カリフォルニア州)を利用してMGのリアルタイムPCR検出を実施した。増幅試薬の最終濃度を以下に示す。
【0095】
【表10】
【0096】
下記の表は、PCR増幅反応で用いる典型的な熱プロファイルを示している。
【0097】
【表11】
【0098】
プレPCRプログラムは、RNA鋳型を逆転写するための55℃、60℃、65℃での初期変性とインキュベーションを含んでいた。3通りの温度でインキュベートすることで、わずかにミスマッチのある標的配列(例えばある生物の遺伝的バリアント)もより低温では転写されることの有利な効果が組み合わされる一方で、RNA二次構造の形成がより高温では抑制されるため、より効率的な転写になる。2回の測定を1工程設定(アニーリングと延長の組み合わせ)で実施するPCRサイクリングを2回の測定に分割した。55℃での最初の5サイクルでは、わずかにミスマッチのある標的配列をあらかじめ増幅することによって包括性を大きくすることができるのに対し、2回目の測定の45サイクルでは、58℃でのアニーリング/延長温度を用いることによって特異性が増大する。図2は典型的な増幅実験を示していて、さまざまな濃度のゲノムMG鋳型DNAでのPCR増殖曲線が示されている。
【0099】
標的MG遺伝子、23s rRNA、mgpB、MgParの増幅と検出を、上記の条件を利用して実施した。1000ゲノム当量/PCRの濃度で存在するゲノムMG DNAに対するいくつかの選択されたオリゴヌクレオチドプライマーとオリゴヌクレオチドプローブを用いた実験の結果を以下に増幅反応に関するCt(閾値サイクル)値として示す。
【0100】
【表12】
【0101】
明確にすることと理解してもらうことを目的として上記の発明をいくらか詳細に説明してきたが、この開示を読んだ当業者には、形態と詳細をさまざまに変更できることが明らかであろう。例えば上に記載したあらゆる技術と装置をさまざまな組み合わせで使用することができる。
図1
図2
【配列表】
0007141488000001.app