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特許7141499三相交流電源の欠相検出装置及び欠相検出方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-13
(45)【発行日】2022-09-22
(54)【発明の名称】三相交流電源の欠相検出装置及び欠相検出方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 29/18 20060101AFI20220914BHJP
   G01R 25/08 20060101ALI20220914BHJP
【FI】
G01R29/18 Q
G01R25/08
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021112952
(22)【出願日】2021-07-07
【審査請求日】2021-07-07
(31)【優先権主張番号】202110266261.8
(32)【優先日】2021-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】502330713
【氏名又は名称】台達電子工業股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】DELTA ELECTRONICS, INC.
【住所又は居所原語表記】No.252,ShanYing Rd.,Guishan Dist.,Taoyuan City 333,Taiwan, R.O.C.
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鄭隆傑
(72)【発明者】
【氏名】簡劭全
(72)【発明者】
【氏名】廖書鴻
(72)【発明者】
【氏名】呉▲イ▼軒
【審査官】永井 皓喜
(56)【参考文献】
【文献】特開平9-308083(JP,A)
【文献】特開2011-53108(JP,A)
【文献】特開2014-66566(JP,A)
【文献】特開2001-296324(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 29/18
G01R 25/08
G01R 31/08
G01R 31/50
G01R 31/00
H02H 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1周期を有する三相交流電源の任意の2組の線間電圧を受信し、前記任意の2組の線間電圧にそれぞれ対応する第1のデジタル信号及び第2のデジタル信号を出力するアナログデジタル変換器と、
前記第1のデジタル信号及び前記第2のデジタル信号を受信し、前記第1のデジタル信号及び前記第2のデジタル信号に対して排他的論理和演算を行って、レベル信号を生成する排他的論理和演算器と、
前記レベル信号を受信し、前記レベル信号が高レベルに維持される時間長さに基づいて、高レベル時間カウント値を加算し、前記レベル信号が低レベルに維持される時間長さに基づいて、低レベル時間カウント値を加算する信号演算器と、を含み、
前記信号演算器は、前記高レベル時間カウント値を加算する場合、低レベル時間カウント値をゼロにリセットし、前記低レベル時間カウント値を加算する場合、高レベル時間カウント値をゼロにリセットし、
前記信号演算器は、前記高レベル時間カウント値が前記第1周期の1/3時間長さ以上である場合、又は前記低レベル時間カウント値が前記第1周期の1/6時間長さ以上である場合、前記三相交流電源に欠相異常が発生したと判定することを特徴とする三相交流電源の欠相検出装置。
【請求項2】
前記信号演算器は、前記低レベル時間カウント値が前記第1周期の1/6時間長さ以上である場合、前記任意の2組の線間電圧の共通位相電圧に欠相異常が発生したと判定することを特徴とする請求項1に記載の三相交流電源の欠相検出装置。
【請求項3】
前記信号演算器は、前記高レベル時間カウント値が前記第1周期の1/3時間長さ以上である場合、前記任意の2組の線間電圧の非共通位相電圧に欠相異常が発生したと判定することを特徴とする請求項1に記載の三相交流電源の欠相検出装置。
【請求項4】
前記三相交流電源の各相電圧を計測する3つの電圧センサを備え、前記三相交流電源の前記任意の2組の線間電圧を出力する電圧検出回路をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の三相交流電源の欠相検出装置。
【請求項5】
前記アナログデジタル変換器は、前記電圧検出回路により前記三相交流電源の前記任意の2組の線間電圧を受信することを特徴とする請求項4に記載の三相交流電源の欠相検出装置。
【請求項6】
第1周期を有する三相交流電源の任意の2組の線間電圧を取得するステップと、
前記任意の2組の線間電圧にそれぞれ対応する第1のデジタル信号及び第2のデジタル信号を取得するステップと、
前記第1のデジタル信号及び前記第2のデジタル信号に対して排他的論理和演算を行って、レベル信号を生成するステップと、
前記レベル信号が高レベルに維持される時間長さにおいて高レベル時間カウント値を加算し、レベル信号が低レベルに維持される時間長さにおいて低レベル時間カウント値を加算するステップと、
前記高レベル時間カウント値を加算する場合、低レベル時間カウント値をゼロにリセットし、前記低レベル時間カウント値を加算する場合、高レベル時間カウント値をゼロにリセットするステップと、
前記高レベル時間カウント値が前記第1周期の1/3時間長さ以上である場合、又は前記低レベル時間カウント値が前記第1周期の1/6時間長さ以上である場合、前記三相交流電源に欠相異常が発生したと判定するステップと、を含むことを特徴とする三相交流電源の欠相検出方法。
【請求項7】
前記低レベル時間カウント値が前記第1周期の1/6時間長さ以上である場合、前記任意の2組の線間電圧の共通位相電圧に欠相異常が発生したと判定することを特徴とする請求項6に記載の三相交流電源の欠相検出方法。
【請求項8】
前記高レベル時間カウント値が前記第1周期の1/3時間長さ以上である場合、前記任意の2組の線間電圧の非共通位相電圧に欠相異常が発生したと判定することを特徴とする請求項6に記載の三相交流電源の欠相検出方法。
【請求項9】
前記レベル信号は、時間長さが前記第1周期の1/2時間長さである第2周期を有することを特徴とする請求項6に記載の三相交流電源の欠相検出方法。
【請求項10】
前記第1周期において、前記高レベル時間カウント値が前記第1周期の1/3時間長さ以上であるか否かを2回検出し、前記低レベル時間カウント値が前記第1周期の1/6時間長さ以上であるか否かを2回検出することを特徴とする請求項9に記載の三相交流電源の欠相検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源異常検出装置及び検出方法に関し、特に三相交流電源の欠相検出装置及び欠相検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
可変電圧可変周波数制御インバータは、通常、三相交流電圧を入力電源とし、この三相電圧回路の一方の相に断線等の異常現象が発生すると、図1に示すように、入力欠相の状態となる。入力欠相時に全波整流により得られた直流入力電圧(source voltage)が大きく揺らぐため、さらに直流母線間電圧(DC bus voltage)が揺らぐことになり、モータ駆動制御に不利である。
【0003】
図2に示すように、現行のレベル型欠相検出構造は、付加された三相交流入力電圧センサを用いて三相(例えばABC三相又はRST三相)入力電圧の電圧値をそれぞれ読み取り、更にこの三相電圧物理量で入力電圧源が異常か否かを判定する。図3に示すように、その動作原理及び波形は、設定した高(high)と低(low)電圧レベルと、電圧センサで読み取った電圧デジタル情報とを比較する。電圧情報がlow電圧レベル(V)より低い又はhigh電圧レベル(V)より高ければ、タイマをリセットしてゼロにする(phase counter=0)。逆に、一定時間内に電圧情報に変化がなければ、タイマは上限値に加算され、この相の入力電圧が異常と判定される(AC stable=0)。しかし、この検出方法は、欠相状態であると判定するには、一定の観察時間を待たなければならず、このように、ハードコストが高いだけでなく、判定時間が長すぎるため、現在の業界の高まる需要に対応できなくなった。
【0004】
そこで、現行の方法に比べてより速く、精確であり、しかも交流電源の異常検出の応答時間を高めるだけでなく、回路の使用需要も相対的に低下し、システム性能の向上、及びコスト低減の目的を達成する三相交流電源の欠相検出装置及び欠相検出方法をどのように設計するかが、本願発明者によって検討された重要な課題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたものであり、三相交流電源の欠相検出装置及び欠相検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る三相交流電源の欠相検出装置は、第1周期を有する三相交流電源の任意の2組の線間電圧を受信し、前記任意の2組の線間電圧にそれぞれ対応する第1のデジタル信号及び第2のデジタル信号を出力するアナログデジタル変換器と、前記第1のデジタル信号及び前記第2のデジタル信号を受信し、前記第1のデジタル信号及び前記第2のデジタル信号に対して排他的論理和演算を行って、レベル信号を生成する排他的論理和演算器と、前記レベル信号を受信し、前記レベル信号が高レベルに維持される時間長さに基づいて、高レベル時間カウント値を加算し、前記レベル信号が低レベルに維持される時間長さに基づいて、低レベル時間カウント値を加算する信号演算器と、を含み、前記信号演算器は、前記高レベル時間カウント値を加算する場合、低レベル時間カウント値をゼロにリセットし、前記低レベル時間カウント値を加算する場合、高レベル時間カウント値をゼロにリセットし、前記信号演算器は、前記高レベル時間カウント値が前記第1周期の1/3時間長さ以上である場合、又は前記低レベル時間カウント値が前記第1周期の1/6時間長さ以上である場合、前記三相交流電源に欠相異常が発生したと判定する。
【0007】
一実施形態において、前記低レベル時間カウント値が前記第1周期の1/6時間長さ以上である場合、前記任意の2組の線間電圧の共通位相電圧に欠相異常が発生したと判定する
【0008】
一実施形態において、前記信号演算器は、前記高レベル時間カウント値が前記第1周期の1/3時間長さ以上である場合、前記任意の2組の線間電圧の非共通位相電圧に欠相異常が発生したと判定する。
【0009】
一実施形態において、三相交流電源の欠相検出装置は、前記三相交流電源の各相電圧を計測する3つの電圧センサを備え、前記三相交流電源の前記任意の2組の線間電圧を出力する電圧検出回路をさらに含む。
【0010】
一実施形態において、前記アナログデジタル変換器は、前記電圧検出回路により前記三相交流電源の前記任意の2組の線間電圧を受信する。
【0011】
上記目的を達成するために、本発明に係る三相交流電源の欠相検出方法は、第1周期を有する三相交流電源の任意の2組の線間電圧を取得するステップと、前記任意の2組の線間電圧にそれぞれ対応する第1のデジタル信号及び第2のデジタル信号を取得するステップと、前記第1のデジタル信号及び前記第2のデジタル信号に対して排他的論理和演算を行って、レベル信号を生成するステップと、前記レベル信号が高レベルに維持される時間長さにおいて高レベル時間カウント値を加算し、レベル信号が低レベルに維持される時間長さにおいて低レベル時間カウント値を加算するステップと、前記高レベル時間カウント値を加算する場合、低レベル時間カウント値をゼロにリセットし、前記低レベル時間カウント値を加算する場合、高レベル時間カウント値をゼロにリセットするステップと、前記高レベル時間カウント値が前記第1周期の1/3時間長さ以上である場合、又は前記低レベル時間カウント値が前記第1周期の1/6時間長さ以上である場合、前記三相交流電源に欠相異常が発生したと判定するステップと、を含む。
【0012】
一実施形態において、前記低レベル時間カウント値が前記第1周期の1/6時間長さ以上である場合、前記任意の2組の線間電圧の共通位相電圧に欠相異常が発生したと判定する。
【0013】
一実施形態において、前記高レベル時間カウント値が前記第1周期の1/3時間長さ以上である場合、前記任意の2組の線間電圧の非共通位相電圧に欠相異常が発生したと判定する。
【0014】
一実施形態において、前記レベル信号は、時間長さが前記第1周期の1/2時間長さである第2周期を有する。
【0015】
一実施形態において、前記第1周期において、前記高レベル時間カウント値が前記第1周期の1/3時間長さ以上であるか否かを2回検出し、前記低レベル時間カウント値が前記第1周期の1/6時間長さ以上であるか否かを2回検出する。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る三相交流電源の欠相検出装置及び欠相検出方法によれば、三相交流電源側にアナログデジタル変換器を設けて、任意の2組の線間電圧のデジタル信号を取得し、この2組のデジタル信号を基礎としてアルゴリズム設計を行って、三相交流電源の位相差等の状態を識別することを完成し、現行の方法に比べてより速く、精確であり、しかも交流電源の異常検出の応答時間を高めるだけでなく、回路の使用需要も相対的に低下し、システム性能の向上、及びコスト低減の目的を達成することができる。
【0017】
本発明の目的を達成するためになされた本発明の技術、手段、及び効果をより良く理解するために、本発明の目的及び特徴は、本発明の詳細な説明及び添付図面を参照することによってより良く理解されると考えられるが、添付図面は、参照及び説明のみを提供するものであり、本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】欠相異常発生時の直流入力電圧と直流母線間電圧との変化を示す波形図である。
図2】従来のレベル型欠相検出のアーキテクチャ図である。
図3】従来のレベル型欠相検出の概略動作図である。
図4A】本発明に係る三相交流電源の欠相検出装置の一実施形態を示すブロック図である。
図4B】本発明に係る三相交流電源の欠相検出装置の別の実施形態を示すブロック図である。
図5】本発明に係る線間電圧とデジタル信号との関係を示概略波形図である。
図6】本発明に係るレベル信号とデジタル信号との関係を示す概略波形図である。
図7】本発明に係る高、低レベル時間カウント値とレベル信号との関係を示す概略波形図である。
図8】本発明に係るS相断線の欠相検出波形の概略図である。
図9】本発明に係るR相断線の欠相検出波形の概略図である。
図10】本発明に係るT相断線の欠相検出波形の概略図である。
図11】本発明に係る三相交流電源の欠相検出方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の技術的内容及び詳細な説明について、図面を参照しながら以下に説明する。
【0020】
図4Aは、本発明に係る三相交流電源の欠相検出装置の一実施形態を示すブロック図である。図4Aに示すように、三相交流電源の欠相検出装置10(以下、「欠相検出装置10」と略す)は、アナログデジタル変換器11と、排他的論理和演算器12と、信号演算器13とを含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、アナログデジタル変換器11は三相交流電源の任意の2組の線間電圧を受信する。例えば、アナログデジタル変換器11は、三相(RST三相)交流電源のRS線間電圧(R相とS相間の線間電圧)、ST線間電圧(S相とT相間の線間電圧)及びTR線間電圧(T相とR相間の線間電圧)の3組のうち任意の2組を受信することができる。ここで、アナログデジタル変換器11は、各相電圧(例えば、R相、S相及びT相電圧)を受信し、そして受信した各相電圧を合成してRS線間電圧、ST線間電圧及びTR線間電圧としてもよく、又は図4Aに例示されるように、アナログデジタル変換器11により受信する前に、各相電圧(例えば、R相、S相及びT相電圧)は、予め合成されてRS線間電圧、ST線間電圧及びTR線間電圧とされて(例えば、三相3線式の配線方式又は三相4線式の配線方式)、アナログデジタル変換器11により受信してもよいが、本発明はこれらに限定されない。ここで、アナログデジタル変換器11は、アナログ信号(例えば、三相交流電の信号)を、デジタルコントローラ(又は他のデジタル信号プロセッサ或いはデジタルチップ)が演算できるデジタル信号に変換するものである。
【0022】
図4Bは、本発明に係る三相交流電源の欠相検出装置の別の実施形態を示すブロック図である。いくつかの実施形態では、図4Bに示すように、欠相検出装置10は電圧検出回路14をさらに含む。ここで、電圧検出回路14は、3つの電圧センサ141,142,143と合成回路144とを含む。3つの電圧センサ141,142,143は、それぞれ三相(RST三相)交流電源のR相電圧、S相電圧、T相電圧を計測する。そして、合成回路144は、3つの電圧センサ141,142,143によって計測された三相(RST三相)交流電源に基づいて、三相(RST三相)交流電源のRS線間電圧(R相とS相間の線間電圧)、ST線間電圧(S相とT相間の線間電圧)及びTR線間電圧(T相とR相間の線間電圧)の3組のうち任意の2組をアナログデジタル変換器11に出力する。図4Bを例に説明すると、アナログデジタル変換器11は、電圧検出回路14を介してRS線間電圧VRS及びST線間電圧VSTを受信する。ここで、合成回路144は三相3線式の配線方式又は三相4線式の配線方式であってもよいが、本発明はこれらに限定されない。
【0023】
本発明に係る欠相検出装置10の動作及び原理についての説明の便宜上、RS線間電圧及びST線間電圧の2組の線間電圧を採用する場合を例にして以下に説明する。したがって、図4Aにおけるアナログデジタル変換器11はRS線間電圧VRS及びST線間電圧VSTを受信するため、TR線間電圧VTRが図示されない。ST線間電圧とTR線間電圧の2組を選択すること、又はTR線間電圧とRS線間電圧の2組を選択することについては、上記と同様であるので、ここでは省略し、また別途図示しない。
【0024】
図5は、本発明に係る線間電圧とデジタル信号との関係を示概略波形図である。図5を併せて参照すると、RS線間電圧VRSとST線間電圧VSTとの位相差が120度(電気角度)、すなわち1周期の1/3時間長さである。アナログデジタル変換器11は、RS線間電圧VRSとST線間電圧VSTとを受信し、RS線間電圧VRS及びST線間電圧VSTに対してアナログ(信号)からデジタル(信号)に変換する処理を行う。図5に示すように、RS線間電圧VRSは、時点t1から時点t3までの間に正の値となり、1つの周期後に時点t5から時点t7までの間にも正の値となる。また、上記の時点t1,t3,t5,t7がRS線間電圧VRSのゼロ電圧値の交差点となる。同様に、ST線間電圧VSTは、時点t4から時点t6までの間に正の値となる。また、上記の時点t4,t6がST線間電圧VSTのゼロ電圧値の交差点となる。なお、アナログデジタル変換器11としては、シュミットトリガ(Schmitt trigger)であってもよいが、本発明はこれに限定されず、アナログ信号をデジタル信号に変換する機能を有する回路であれば、すべてアナログデジタル変換器11として本発明に用いることができる。ここで、シュミットトリガの動作原理と技術情報は、Wikipediaを参照することができる。例えば、https://en.wikipedia.org/wiki/Schmitt_triggerのWebページに開示されているため、ここでは説明を省略する。
【0025】
時点t4から時点t6の正の値のST線間電圧VSTと時点t5から時点t7までの正の値のRS線間電圧VRSを例にとると、ST線間電圧VSTは時点t4で負の値から正の値に変化し、RS線間電圧VRSは時点t5で負の値から正の値に変化し、時点t4と時点t5との電気角度差は120度であり、1周期の時間長さの3分の1である。
【0026】
アナログデジタル変換器11によりアナログデジタル変換処理(すなわち、アナログ信号をデジタル信号に変換する処理)を行った後に、RS線間電圧VRSに対応するRSデジタル信号SRS(以下、第1のデジタル信号とも称する)、及びST線間電圧VSTに対応するSTデジタル信号SST(以下、第2のデジタル信号とも称する)を取得することができる。すなわち、STデジタル信号SSTは、時点t4~時点t6において高レベル信号となる(ただし、時点t2~時点t4及び時点t6~時点t8において低レベル信号となる)。また、RSデジタル信号SRSは、時点t5~時点t7において高レベル信号となる(ただし、時点t3~時点t5及び時点t7~時点t9において低レベル信号となる)。
【0027】
図4Aを併せて参照すると、排他的論理和演算器12は、第1のデジタル信号(すなわち、RSデジタル信号SRS)及び第2のデジタル信号(すなわち、STデジタル信号SST)を受信して、第1のデジタル信号及び第2のデジタル信号に対して排他的論理和演算(exclusive OR operation)を行って、レベル信号SXORを生成する。排他的論理和演算の原則に基づいて、入力された2つのレベルが異なる(すなわち、一方が高レベルであり、他方が低レベルである)場合には、排他的論理和演算器12が演算して出力したレベル信号SXORは高レベル信号となる一方、入力された2つの信号のレベルが同一である(すなわち、両方が高レベルであるか、又は両方が低レベルである)場合には、排他的論理和演算器12が演算して出力したレベル信号SXORは低レベル信号となる。
【0028】
したがって、上述したRSデジタル信号SRSとSTデジタル信号SSTとの異なる時間帯におけるレベルの高低に基づいて、排他的論理和演算器12によりRSデジタル信号SRSとSTデジタル信号SSTとを排他的論理和演算して得られた異なる時間帯における対応するレベル信号SXORのレベルは次の表1に示す。
【0029】
【表1】
【0030】
図6は、本発明に係るレベル信号とデジタル信号との関係を示す概略波形図である。図6から明らかなように、排他的論理和演算器12によりRSデジタル信号SRS及びSTデジタル信号SSTを排他的論理和演算して得られたレベル信号SXORのレベル変化を明確に見ることができる。言い換えれば、本発明に係る位相型三相交流電源の欠相検出ハードウェア回路ロジックは、RS線間電圧VRSとST線間電圧VSTが正であれば、対応するRSデジタル信号SRSとSTデジタル信号SSTはhighレベルであり、逆に、RS線間電圧VRSとST線間電圧VSTが負であれば、対応するRSデジタル信号SRSとSTデジタル信号SSTはlowレベルであるので、正常な三相入力時にコントローラ/制御ユニットは位相差120度のRSデジタル信号SRSとSTデジタル信号SSTを受信することができる。
【0031】
図4Aを併せて参照すると、信号演算器13は、レベル信号SXORを受信して、レベル信号SXORのレベル状況に応じて加算カウントを行う。例えば、レベル信号SXORが高レベルに維持(継続)されることに基づいて、高レベル時間カウント値CNTHを加算し、レベル信号SXORが低レベルに維持されることに基づいて、低レベル時間カウント値CNTLを加算する。図7は、本発明に係る高、低レベル時間カウント値とレベル信号との関係を示す概略波形図である。図7を併せて参照すると、三相交流電源が正常(欠相異常なし)の場合、上記の表1より、時点t1~t2では、RSデジタル信号SRSがhighレベル、STデジタル信号SSTがhighレベルであるため、レベル信号SXORはlowレベルとなるので、低レベル時間カウント値CNTLは継続的に加算され、高レベル時間カウント値CNTHはゼロにリセットされる。
【0032】
同様に、時点t4~t5では、RSデジタル信号SRSがlowレベル、STデジタル信号SSTがhighレベルであるため、レベル信号SXORはhighレベルとなるので、高レベル時間カウント値CNTHは継続的に加算され、低レベル時間カウント値CNTLはゼロにリセットされる。そして、次の時点t5~t6では、RSデジタル信号SRSがhighレベル、STデジタル信号SSTがhighレベルであるため、レベル信号SXORはlowレベルとなるので、低レベル時間カウント値CNTLは継続的に加算され、高レベル時間カウント値CNTHはゼロにリセットされる。さらに、次の時点t6~t7では、RSデジタル信号SRSがhighレベル、STデジタル信号SSTがlowレベルであるため、レベル信号SXORはhighレベルとなるので、高レベル時間カウント値CNTHは継続的に加算され、低レベル時間カウント値CNTLはゼロにリセットされる。
【0033】
このため、上記の三相交流電源が正常動作である場合、高レベル時間カウント値CNTHの加算及び低レベル時間カウント値CNTLの加算は交互に行われる。すなわち、時点t4~t5では、高レベル時間カウント値CNTHの加算動作(低レベル時間カウント値CNTLがゼロにリセット)が行われ、時点t5~t6では、低レベル時間カウント値CNTLの加算動作(高レベル時間カウント値CNTHがゼロにリセット)が行われる。また、RSデジタル信号SRS及びSTデジタル信号SSTの高、低レベルが重畳する特性により、1周期中において高レベル時間カウント値CNTHの加算時間は、当該1周期の1/3時間長さ(すなわち1/3Tであり、例えば時点t4~t5)以上になることはなく、次の低レベル時間カウント値CNTLの加算動作に入ることとなる。同様に、低レベル時間カウント値CNTLの加算時間長さは、当該1周期の1/6時間長さ(すなわち1/6Tであり、例えば時点t5~t6)以上になることはなく、次の高レベル時間カウント値CNTHの加算動作に入ることとなる。ここで、レベル信号SXORの周期(例えば、第2周期)の時間長さは、当該1周期(例えば、第1周期)の1/2時間長さである。これにより、第1周期において、高レベル時間カウント値CNTHが第1周期の1/3時間長さ以上であるか否かを2回検出するとともに、低レベル時間カウント値CNTLが第1周期の1/6時間長さ以上であるか否かを2回検出することができる。
【0034】
したがって、この法則の特性の下で、信号演算器13は、高レベル時間カウント値CNTHと低レベル時間カウント値CNTLとの大きさを判定し、三相交流電源に欠相異常が発生しているか否かを判定することができる。言い換えれば、信号演算器13は、高レベル時間カウント値CNTHが周期の1/3時間長さ以上であると判定した場合、又は、低レベル時間カウント値CNTLが周期の1/6時間長さ以上であると判定した場合に、三相交流電源に欠相異常が発生する。このとき、信号演算器13は、欠相異常が発生したことを通知する出力信号SOUTを提供することも、欠相異常が発生したか否かを通知する異なるレベルの出力信号SOUTを提供することもできる。例えば、信号演算器13は、高レベル時間カウント値CNTHが周期の1/3時間長さ以上である場合、又は低レベル時間カウント値CNTLが周期の1/6時間長さ以上である場合には、高レベルの出力信号SOUTを提供して欠相異常が発生したことを通知してもよい。逆に、信号演算器13は、高レベル時間カウント値CNTHが周期の1/3時間長さ以上でない場合、又は低レベル時間カウント値CNTLが周期の1/6時間長さ以上でない場合には、低レベルの出力信号SOUTを提供して欠相異常が発生していないことを通知してもよい。
【0035】
言い換えれば、レベル信号SXORがhighレベルであれば、高レベル時間カウント値CNTHを継続的に加算し、低レベル時間カウント値CNTLをゼロにする。逆に、レベル信号SXORがlowレベルであれば、低レベル時間カウント値CNTLを継続的に加算し、高レベル時間カウント値CNTHをゼロにする。これにより、RSデジタル信号SRSとSTデジタル信号SSTとの位相差を判定することができる。三相交流電圧が正常に入力されている場合、高レベル時間カウント値CNTHを加算した値は周期の時間長さの1/3未満であり、低レベル時間カウント値CNTLを加算した値は周期の時間長さの1/6未満である。このため、高レベル時間カウント値CNTH又は低レベル時間カウント値CNTLを加算して正常値を超えた場合には、交流電源に欠相異常が発生したと判定する。
【0036】
なお、異なる実施形態において、排他的論理和演算器12及び信号演算器13は、独立した2つの回路又は素子とされてもよく、又は排他的論理和演算器12及び信号演算器13は、1つの論理回路に整合されてもよいが、本発明はこれらに限定されない。
【0037】
以下では、RS線間電圧VRS及びST線間電圧VSTの2組の線間電圧(RSデジタル信号SRS及びSTデジタル信号SSTに対応)を処理することを例にして、RST三相の個別に断線欠相について説明する。図8は、本発明に係るS相断線の欠相検出波形の概略図である。S相が断線したときの波形は図8に示すように、S相が断線しているため、RS線間電圧VRSは電圧V(VRS=V-V=V-0=V)に相当し、ST線間電圧VSTは電圧-V(VST=V-V=0-V=-V)に相当する。そのため、RS線間電圧VRS(電圧Vに相当)とST線間電圧VST(電圧-Vに相当)とは同相(電気角度差なし)となるので、排他的論理和演算によって得られたレベル信号SXORはlowレベルに維持される。したがって、信号演算器13から提供される出力信号SOUTは、低レベル時間カウント値CNTLが最大低レベル時間カウント値(すなわち1/6T)までカウントされたときに、S相欠相エラーの通知となる。また、入力電圧周期あたりにおいて、位相型欠相検出装置(すなわち本発明の実施形態方式)により検出できる回数は4回であり、図8の上から4番目の波形図に示すように、その検出回数はレベル型欠相検出装置(すなわち従来の検出方式)の2倍であるので、判定応答がより速くなる。ハードウェアの面では、レベル型欠相検出装置は、3組の電圧センサ(図2に示す)を付加する必要があり、しかも三相電圧値を読み取るために、アナログデジタル変換器のピン(ADCピン)を3つ使用する必要がある。本発明の位相型欠相検出装置は、従来のレベル型欠相検出装置と比べて、任意の2組の線間電圧(例えばRS線間電圧とST線間電圧)のデジタル信号のみを読み取り、しかもRSデジタル信号SRSとSTデジタル信号SSTの2つのデジタル信号を読み取るように入出力ピン(IO pin)を2つのみ用いる、又は排他的論理和演算によって得られたレベル信号SXOR(デジタル信号)を読み取るように入出力ピンを1つのみ用いることができる。全体的に言えば、交流電源の異常検出応答時間を高めるだけでなく、回路の使用需要も相対的に低下し、システム性能の向上、コストの低減の目的を達成することができる。
【0038】
図9は、本発明に係るR相断線の欠相検出波形の概略図である。R相が断線したときの波形は図9に示すように、R相が断線しているため、RS線間電圧VRSは電圧-V(VRS=V-V=0-V=-V)に相当し、ST線間電圧VSTは電圧VST(VST=V-V=VST)に維持される。そのため、RS線間電圧VRS(電圧-Vに相当)とST線間電圧VST(電圧-VSTに相当)とは逆相となるので、排他的論理和演算によって得られたレベル信号SXORはhighレベルに維持される。したがって、信号演算器13から提供される出力信号SOUTは、高レベル時間カウント値CNTHが最大高レベル時間カウント値(すなわち1/3T)までカウントされたときに、R相欠相エラーの通知となる。また、入力電圧周期あたりにおいて、位相型欠相検出装置(すなわち本発明の実施形態方式)により検出できる回数は4回であり、図9の上から4番目の波形図に示すように、その検出回数はレベル型欠相検出装置(すなわち従来の検出方式)の2倍であるので、判定応答がより速くなる。ハードウェアの面では、レベル型欠相検出装置は、3組の電圧センサ(図2に示す)を付加する必要があり、しかも三相電圧値を読み取るために、アナログデジタル変換器のピン(ADCピン)を3つ使用する必要がある。本発明の位相型欠相検出装置は、従来のレベル型欠相検出装置と比べて、任意の2組の線間電圧(例えばRS線間電圧とST線間電圧)のデジタル信号のみを読み取り、しかもRSデジタル信号SRSとSTデジタル信号SSTの2つのデジタル信号を読み取るように入出力ピン(IO pin)を2つのみ用いる、又は排他的論理和演算によって得られたレベル信号SXOR(デジタル信号)を読み取るように入出力ピンを1つのみ用いることができる。全体的に言えば、交流電源の異常検出応答時間を高めるだけでなく、回路の使用需要も相対的に低下し、システム性能の向上、コストの低減の目的を達成することができる。
【0039】
図10は、本発明に係るT相断線の欠相検出波形の概略図である。T相が断線したときの波形は図10に示すように、T相が断線しているため、RS線間電圧VRSはVRS(VRS=V-V=VRS)に維持され、ST線間電圧VSTは電圧V(VST=V-V=V-0=V)に相当する。そのため、RS線間電圧VRSとST線間電圧VSTとは逆相となるので、排他的論理和演算によって得られたレベル信号SXORはhighレベルに維持される。したがって、信号演算器13から提供される出力信号SOUTは、高レベル時間カウント値CNTHが最大高レベル時間カウント値(すなわち1/3T)までカウントされたときに、T相欠相エラーの通知となる。また、入力電圧周期あたりにおいて、位相型欠相検出装置(すなわち本発明の実施形態方式)により検出できる回数は4回であり、図10の上から4番目の波形図に示すように、その検出回数はレベル型欠相検出装置(すなわち従来の検出方式)の2倍であるので、判定応答がより速くなる。ハードウェアの面では、レベル型欠相検出装置は、3組の電圧センサ(図2に示す)を付加する必要があり、しかも三相電圧値を読み取るために、アナログデジタル変換器のピン(ADCピン)を3つ使用する必要がある。本発明の位相型欠相検出装置は、従来のレベル型欠相検出装置と比べて、任意の2組の線間電圧(例えばRS線間電圧とST線間電圧)のデジタル信号のみを読み取り、しかもRSデジタル信号SRSとSTデジタル信号SSTの2つのデジタル信号を読み取るように入出力ピン(IO pin)を2つのみ用いる、又は排他的論理和演算によって得られたレベル信号SXOR(デジタル信号)を読み取るように入出力ピンを1つのみ用いることができる。全体的に言えば、交流電源の異常検出応答時間を高めるだけでなく、回路の使用需要も相対的に低下し、システム性能の向上、コストの低減の目的を達成することができる。
【0040】
さらに、上述した図8図9図10の三相のそれぞれが断線した場合についての説明から分かるように、低レベル時間カウント値CNTLが周期の1/6時間長さ以上である場合には、いずれか2組の線間電圧に位相の同じ(共通位相)電圧に欠相異常が発生していると判定することができる。図8に示すように、共通位相(S相)が断線した場合には、低レベル時間カウント値CNTLが周期の1/6時間長さ以上となるように継続的に加算される。高レベル時間カウント値CNTHが周期の1/3時間長さ以上である場合には、いずれか2組の線間電圧に位相の異なる(非共通位相)電圧に欠相異常が発生していると判定することができる。図9に示すように、非共通位相(R相)が断線した場合、又は図10に示すように、非共通位相(T相)が断線した場合には、高レベル時間カウント値CNTHが周期の1/3時間長さ以上となるように継続的に加算される。
【0041】
図11は、本発明に係る三相交流電源の欠相検出方法を示すフローチャートである。欠相検出方法は、以下のステップを含む。まず、第1周期を有する三相交流電源の任意の2組の線間電圧を取得する(ステップS10)。例えば、三相(RST三相)交流電源のRS線間電圧(R相とS相間の線間電圧)、ST線間電圧(S相とT相間の線間電圧)及びTR線間電圧(T相とR相間の線間電圧)の3組のうち任意の2組を取得する。次に、2組の線間電圧に対してアナログ(信号)からデジタル(信号)に変換する処理を行い、第1のデジタル信号及び第2のデジタル信号を取得する(ステップS20)。
【0042】
次に、第1のデジタル信号及び第2のデジタル信号に対して排他的論理和演算を行って、レベル信号を生成する(ステップS30)。入力された2つのレベルが異なる(すなわち、一方が高レベルであり、他方が低レベルである)場合には、演算出力の結果、すなわちレベル信号は高レベル信号となる一方、入力された2つの信号のレベルが同一である(すなわち、両方が高レベルであるか、又は両方が低レベルである)場合には、演算出力の結果、すなわちレベル信号は低レベル信号となる。
【0043】
その後、レベル信号(すなわち排他的論理和演算の結果)が高レベルに維持されていれば(ステップS41)、高レベル時間カウント値を加算する(ステップS51)。逆に、レベル信号(すなわち排他的論理和演算の結果)が低レベルに維持されていれば(ステップS42)、低レベル時間カウント値を加算する(ステップS52)。高レベル時間カウント値を加算するときには、低レベル時間カウント値をゼロにリセットする(ステップS61)。低レベル時間カウント値を加算するときには、高レベル時間カウント値をゼロにリセットする(ステップS62)。三相交流電源が正常動作である場合に、高レベル時間カウント値の加算及び低レベル時間カウント値の加算は交互に行われる。三相交流電源が通常動作のときに、高レベル時間カウント値の加算と低レベル時間の計数値の加算は交互に行われる。また、第1のデジタル信号及び第2のデジタル信号の高、低レベルが重畳する特性により、第1周期中において高レベル時間カウント値の加算時間長さは、第1周期の1/3時間長さ(すなわち1/3T)以上になることはなく、次の低レベル時間カウント値の加算動作に入ることとなる。同様に、低レベル時間カウント値の加算時間長さは、第1周期の1/6時間長さ(すなわち1/6T)以上になることはなく、次の高レベル時間カウント値の加算動作に入ることとなる。
【0044】
このため、高レベル時間カウント値が第1周期の1/3時間長さ以上であると判定した場合、すなわちステップS71で「はい」と判定した場合には、三相交流電源に欠相異常が発生したと判定する(ステップS80)。或いは、低レベル時間カウント値が第1周期の1/6時間長さ以上であると判定した場合、すなわちステップS72で「はい」と判定した場合にも、三相交流電源に欠相異常が発生したと判定する(ステップS80)。逆に、ステップS71で「いいえ」と判定した場合、又はステップS72で「いいえ」と判定した場合には、欠相異常は発生していないので、再びステップS30に戻る。
【0045】
以上説明したように、本発明に係る三相交流電源の欠相検出装置及び欠相検出方法は、三相交流電源側にアナログデジタル変換器11を設け、RS線間電圧VRS及びST線間電圧VSTのデジタル信号(RSデジタル信号SRSとSTデジタル信号SST)を取得し、この2つの信号を基礎としてアルゴリズム設計を行って、三相電源の位相差等の状態を識別することができる。従来の欠相判定メカニズムに比べてより速く、精確であり、可変電圧可変周波数制御インバータの交流電源に対する識別度、厳密度を高めることができる。
【0046】
以上をまとめると、本発明の特徴と利点は次の通りである。
(1)三相交流電源側にアナログデジタル変換器を設けて任意の2組の線間電圧のデジタル信号を取得し、この2組の信号を基礎としてアルゴリズム設計を行い、三相電源の位相差等の状態を識別することができ、現行の方法に比べてより速く、精確である。
(2)本発明に係る入力欠相を即時に判定できる位相型欠相検出アーキテクチャ及びアルゴリズムは、現行方法の欠点を解決し、交流電源が異常であるか否かをより厳密に検証することができる。
(3)全体的に交流電源の異常検出の応答時間を高めるだけでなく、回路の使用需要も相対的に低下し、システム性能の向上、コストの低減の目的を達成することができる。
【0047】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもなく、本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の全ての範囲は以下の特許請求の範囲に基づくものであり、本発明の特許請求の範囲に合致する精神とその類似の変形例は、本発明の範囲に含まれるべきであり、当業者であれば、本発明の技術的範囲内において、容易に思いつくことができ、また、その変形例や修正例も、以下の特許請求の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0048】
10 三相交流電源の欠相検出装置
11 アナログデジタル変換器
12 排他的論理和演算器
13 信号演算器
14 電圧検出回路
141,142,143 電圧センサ
144 合成回路
RS RS線間電圧
ST ST線間電圧
TR TR線間電圧
RS RSデジタル信号
ST STデジタル信号
XOR レベル信号
OUT 出力信号
t1~t9 時点
高電圧レベル
低電圧レベル
【要約】
【課題】三相交流電源の欠相検出装置及び欠相検出方法を提供する。
【解決手段】三相交流電源の欠相検出方法は、第1周期を有する三相交流電源の任意の2組の線間電圧を取得するステップと、第1のデジタル信号及び第2のデジタル信号を取得するステップと、第1のデジタル信号及び第2のデジタル信号に対して排他的論理和演算を行ってレベル信号を生成するステップと、レベル信号が高レベルに維持されているときに高レベル時間カウント値を加算し、低レベル時間カウント値をゼロにリセットし、レベル信号が低レベルに維持されているときに低レベル時間カウント値を加算し、高レベル時間カウント値をゼロにリセットするステップと、高レベル時間カウント値が第1周期の1/3時間長さ以上である場合、又は低レベル時間カウント値が第1周期の1/6時間長さ以上である場合、三相交流電源に欠相異常が発生したと判定するステップと、を含む。
【選択図】図4A
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11