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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-13
(45)【発行日】2022-09-22
(54)【発明の名称】遮光パネル
(51)【国際特許分類】
   B23K 9/32 20060101AFI20220914BHJP
   H02S 40/38 20140101ALI20220914BHJP
【FI】
B23K9/32 B
B23K9/32 J
H02S40/38
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021137884
(22)【出願日】2021-08-26
【審査請求日】2021-08-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521378543
【氏名又は名称】中平 稔
(73)【特許権者】
【識別番号】521378554
【氏名又は名称】中平 光俊
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 朋子
(72)【発明者】
【氏名】中平 稔
【審査官】岩見 勤
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-030026(JP,A)
【文献】再公表特許第2018/083786(JP,A1)
【文献】実開昭56-076793(JP,U)
【文献】特開2015-223597(JP,A)
【文献】特開平07-168144(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 9/32
H02S 40/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地面に対して立設する遮光パネル本体を備え、
前記遮光パネル本体は、アーク光を受ける受光面を有し、
前記受光面には、前記アーク光を電力に変換する光発電機が、遮光パネルで囲まれた内側で発生するアーク光を複数の受光面で遮断するように設けられ、
前記遮光パネル本体が地面と隙間を空けて設けられる遮光パネル。
【請求項2】
2以上の前記遮光パネル本体同士が、回動可能になるように連結してある請求項1に記載の遮光パネル。
【請求項3】
前記光発電機が所定の電圧よりも大きな電圧を発電した時間を記録する、記録部が設けられている請求項1または2に記載の遮光パネル。
【請求項4】
前記光発電機が発電する電力が所定以下のときに動作する、ファンが設けられている請求項1~3の何れかに記載の遮光パネル。
【請求項5】
前記光発電機によって得られた電力を蓄電する、蓄電部が設けられている請求項1~4の何れかに記載の遮光パネル。
【請求項6】
地面と当接した状態で回転する移動手段を有し、
記移動手段は、前記遮光パネルを形成する2辺に垂直に設けられる請求項1~5の何れかに記載の遮光パネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶接作業において発生する光を遮るとともに、その光を用いて発電を行い、発電をした電力を用いて溶接作業の補助に用いる遮光パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
溶接作業を行う際にはアーク放電が発生する。アーク放電に伴って発生するアーク光の照度は非常に高く、これを利用するための方法が従来から模索されてきた。その一例として特許文献1には、アーク光を光電変換装置によって電力に変換し、アーク光の発生を利用して換気扇を回す発明が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11―47935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、アーク光に長期間曝露されると皮膚や目の障害を引き起こすことがある。このため溶接作業者は通常、保護面やエプロンを装着した状態で作業し、また、周囲に別の人間がいる場合は遮光パネルを用いてアーク光が漏れないように配慮する。
特許文献1に記載の発明には、アーク光の利用に関する手段が記載されているものの、アーク光自体がもたらす健康被害への対処方法には言及されておらず、ここにおいて改良の余地が残っているといえる。
また、溶接作業時に換気扇が動作することとすると、風によってシールドガスに揺らぎが生じるため、高品質の溶接をすることが難しくなるという問題もあった。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑み、溶接作業に伴って発生するアーク光を利用し、溶接作業を安全にし、さらに利便性を高める遮光パネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する本発明は、地面に対して立設する遮光パネル本体を備え、前記遮光パネル本体は、アーク光を受ける受光面を有し、前記受光面には、アーク光を電力に変換する光発電機が設けられている遮光パネルである。
このような構成によって、アーク光を電力として利用することができるようにするとともに、立設することで風を遮蔽し、シールドガスの揺らぎを抑える遮光パネルを提供することができる。また、前記光発電機を大きく構成することができるため、発電した大電力を様々な用途に使用できる。
【0007】
本発明の好ましい形態では、前記受光面は、アーク光の光源を取り囲むように設けられている。
このような構成によって、アーク光を電力に変換する効率及び風を遮蔽する効率をさらに高めることができる。
【0008】
本発明の好ましい形態では、2以上の前記遮光パネル本体同士が、回動可能になるように連結してある。
このような構成によって、前記遮光パネル本体を、溶接作業の態様に合わせて変形することができるようになり、溶接作業の利便性を高めることができる。
【0009】
本発明の好ましい形態では、前記光発電機が発電した時間を記録する、記録部が設けられている。
このような構成によって、溶接の実作業時間を計測することができるようになるため、作業の管理を容易にし、品質を高めることができる。
【0010】
本発明の好ましい形態では、前記光発電機が変換する電力が所定以下のときに動作する、ファンが設けられている。
このような構成によって、シールドガスの揺らぎを防いだうえで、溶接で発生するヒュームを前記遮光パネルの内部から除去することができる。
【0011】
本発明の好ましい形態では、前記光発電装置によって得られた電力を蓄電する、蓄電部が設けられている。
このような構成によって、アーク光から変換した電力を貯留し、多目的での利用をすることができるようになる。
【0012】
本発明の好ましい形態では、地面と当接した状態で回転する移動手段を有し、前記移動手段は、前記遮光パネルを形成する2辺に設けられる。
このような構成によって、前記遮光パネルを回転させた状態においても、前記遮光パネルの移動を簡単にすることができる。
【発明の効果】
【0013】
上記課題を解決する本発明は、溶接作業に伴って発生するアーク光を利用し、溶接作業を安全にし、さらに利便性を高める遮光パネルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第一の実施形態に係る、遮光パネルが使用される際の断面模式図を表す。
図2】本発明の第一の実施形態に係る、遮光パネルの斜視図を表す。
図3】本発明の第一の実施形態に係る、遮光パネルの電気の流れについての模式図を表す。
図4】本発明の第二の実施形態に係る、遮光パネルの斜視図を表す。
図5】本発明の第三の実施形態に係る、遮光パネルの斜視図を表す。
図6】本発明の第四の実施形態に係る、遮光パネルの斜視図を表す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を用いて、本発明の各実施形態に係る遮光パネルについて説明する。説明は、まず実施形態の構成について詳述し、次に実施の方法について詳述し、最後に他の実施例について詳述することで行う。
なお、以下に示す各実施形態は本発明の一例であり、本発明を以下の各実施形態に限定するものではなく、一部の構成が含まれとも発明の効果を達成することができる。
また、以下において符号Xは遮光パネルを表す。
【0016】
≪第一の実施形態≫
以下に、図1図3を用いて、本実施形態に係る遮光パネルXに係る発明について詳述を行う。図1は遮光パネルXの断面模式図を表し、作業台に置かれた母材Q1を溶接部分Q2で溶接する様子を表している。また、図2は遮光パネルXの斜視図を表し、図3は遮光パネルXにおいて発生する電力の流れの模式図を表している。
【0017】
遮光パネルXは、光を遮るとともに発電を行う遮光パネル本体1と、遮光パネル本体1を支持するブラケット2と、遮光パネル本体1で発生した電力を分配する配電部3と、電気を貯留する蓄電部4と、電力が発生した時間を記録する記録部5と、気流を発生させるファン6と、遮光パネルXの内側を照らす補助光部7からなる。
【0018】
遮光パネル本体1は、遮光パネルXの内側で発生するアーク光を、受光面Sで受けることにより光を遮断する平板形状の材である。本実施形態においてパネルの大きさは、一辺が1500mm程度の大きさが想定されるが溶接の用途によって自由に変更することができる。
【0019】
受光面Sは、遮光パネルXの内側で発生した光を受ける面であり、遮光性が高い布や板材が設けられることで光を遮る。本実施形態においては受光面Sの全面に光発電機Pが設けられており、これによって光を遮断するとともに発電を行う。
【0020】
また、受光面Sは図1に示すように、実際に溶接が行われる溶接部分Q2の側面の一対と天面を取り囲むように設けられている。これによって溶接部分Q2から発せられる側面方向及び上方向への光の漏れを防ぐことができ、作業者が受光面Sの影になることがないため、光発電機Pの発電効率が向上する。さらに、受光面Sが風よけになることで作業時のシールドガスの揺らぎを防ぐことができる。
【0021】
光発電機Pは、光を電力に変換する機能をもつ半導体によって形成されている。これにより、受光面Sに達したアーク放電によって発生する光を電力へ変換することができる。光発電機Pは、溶接部分Q2の横に対向して位置する側面光発電機11と、上方に位置する天面光発電機12とによって構成される。
【0022】
側面光発電機11は、ブラケット2によって地面に対して略垂直に立設される光電変換装置であり、溶接部分Q2から側面方向に向かう光を受けて発電することができる。例えば図1に示すように、母材Q1を下向きに溶接することを想定する場合、側面にも受光面Sが生じるため発電効率が向上する。
なお、側面光発電機11は20度程度まで傾いていてもよい。
【0023】
天面光発電機12は、ブラケット2によって地面に対して平行な位置に固定された光電変換装置であり、溶接部分Q2から上方向に向かう光を受けて発電することができる。
【0024】
ブラケット2は、遮光パネル本体1を所定の位置で立設し、遮光パネル本体1同士を回動自在に連結するための支持具である。ブラケット2は、図2に示すように、形状を保持する複数のブラケット本体21と、遮光パネル本体1を固定するパネル固定部22と、ブラケット本体21同士を回転可能に接続する回動部材23と、遮光パネルXの移動を簡便にする移動手段24と、によって構成されている。
【0025】
ブラケット本体21は、金属性のパイプ材を適宜折り曲げることによって形成される空隙を有する平板部材であって、周縁を取り囲む周縁バー211と、周縁バー211をかけ渡す補助バー212と、を有する。
【0026】
周縁バー211は、一本のパイプ材を直角に折り曲げることによって平板形状の3辺又は4辺を形成する。
また、補助バー212は、周縁バー211を形成する、対向する辺同士を架設することによって、ブラケット本体21の変形を抑え、強度を高める。
【0027】
パネル固定部22は、遮光パネル本体1と、ブラケット本体21とを結合するための接続具であり、本実施形態においては、Ω型のバンド金具によって遮光パネル本体1の裏面と補助バー212とが接続される。
【0028】
回動部材23は、ブラケット本体21同士を回転自在に接続する接続具であって、円柱を挿入して固定可能な円筒形の2つの材が、回転可能な軸を介して接続されることで構成されている。好ましくは、ブラケット本体21が直角位置となる際に回動角度を固定できるようにする。
【0029】
移動手段24は、ブラケット本体21において地面と当接する位置にそれぞれ取り付けられているキャスターであり、自由に回転することによって摩擦力を減らし、平地での遮光パネルXの移動を容易にすることができる。
【0030】
配電部3は、光発電機P、蓄電部4、記録部5、ファン6、補助光部7と接続し、図3に示すように、光発電機Pで発生した電力を他の部分へ配分する。配電部3は、少なくとも光発電機Pが発電したか否かを判別する判別部31と、判別部31での測定結果をもとに他の部分に適切に電力を分配する分配回路32を有する。
好ましくは、それぞれの部位はスイッチ等で接続・切断自在に構成される。
【0031】
判別部31は、光発電機Pと接続し、発電した電圧を計測する部位であって、判別部31があらかじめ設定した電圧の閾値の最小値を超えたときに分配回路32に電流を流すことによって、溶接が行われたか否かを判別できるようにしてある。特に、複数の遮光パネル本体1で同時に電力が発生したかを判別することや、閾値の最大値を設けることによれば、溶接が実際に行われたか否かの判別の誤認を抑止できる。
好ましくは、閾値から外れた電力が計測された場合は、蓄電部4へ分配されるような回路を形成する。
【0032】
分配回路32は、判別部31及び蓄電部4から供給される電力を適切に分配する回路であり、蓄電部4に電力を分配する蓄電部分配回路324と、記録部5に電力を分配する記録部分配回路325と、ファン6に電力を分配するファン分配回路326と、補助光部7に電力を分配する補助光分配回路327よりなる。なお、分配回路32にはCPUを含み、電子制御されていてもよい。
【0033】
蓄電部分配回路324は、配電部3と蓄電部4を接続し、光発電機Pで発電されたが他の部分に配分されない余剰な電力を蓄電部4へ移送する回路である。特に、記録部5等を使用しないときには、光発電機Pから蓄電部4へ直接電力が配分されることが好ましい。
【0034】
記録部分配回路325は、分配回路32と、蓄電部4と、記録部5とを接続する回路であり、蓄電部4から記録部5へ恒常的に電力を供給する回路と、判別部31から分配回路32に供給された電力を信号として記録部5へ供給する回路を有する。後者の回路は信号に変換せずに電力を直接供給してもよい。
【0035】
ファン分配回路326は、分配回路32と、蓄電部4と、ファン6とを接続する回路であり、判別部31から分配回路32に電力が供給されないときに蓄電部4からファン6に電力が供給されるように構成する。
【0036】
補助光分配回路327は、分配回路32と、蓄電部4と、補助光部7とを接続する回路であり、蓄電部4に蓄えられた電力を、分配回路32を介して、補助光部7に恒常的に供給する。
【0037】
蓄電部4は、充放電可能な二次電池であり、鉛蓄蓄電池やリチウムイオン電池が想定される。好ましくは、遮光パネル本体1及びブラケット2から取り外し可能に構成される。また、独立した電源として利用できるように、蓄電部4の電源を他の電気製品が使用できるような電気に変換する変電部41が設けられる。
【0038】
変電部41は、いわゆるトランスやインバータであり、蓄電部4から供給される直流電流を変圧し、あるいは交流に変換することで、一般的な電動工具を接続できるようにする。例えば、ディスクグラインダーを接続することによれば、溶接物の切断・切削の加工を行うことができるため溶接作業を簡便化できる。他にも電動ドリルや他の電動工具を接続することもできるため、様々な溶接物に対応した加工が可能となる。
【0039】
記録部5は、アーク光が観測された時間を記録する部分である。これにより、溶接の作業時間を記録することができるようになるため、作業者の労働時間管理や、完成品の品質向上が達成できる。
本実施形態においては、蓄電部4によって恒常的に動作する時計システムと、前述した信号を受け取る記録システムとが含まれ、信号を受けた時刻を溶接の開始時刻として、信号が受け終わった時刻を溶接の終了時刻として記録することによって、溶接を行った時間を累積的に記録する。
同時に、溶接パネル本体1毎の信号の強さを記録することによって溶接姿勢等を推定できるようにしてもよく、これにより今後に生かせるデータとすることができる。また、記録した内容をコンピュータに接続して管理できるようにしてもよく、これにより作業者の労働時間管理を効率的にすることができるようになる。
なお、蓄電部4によらず、機械式の時計が電気を受け取った際に動作するように構成することで累積時間を記録してもよい。
【0040】
また、記録部5には、ブラケット2の視認可能な位置に設けられ、直近の信号を受けた時刻から終わった時刻までの時間を表示する記録ディスプレイを含まれてもよい。これにより作業者が一度の溶接作業に要した時間を確認して、溶接部分の状態と溶接時間の関係を把握できるため、技術や品質を向上せしめる。
【0041】
ファン6は、遮光パネルXの天面に設けられる箱状の換気扇であり、外部への気流を発生させるファン本体61と、気流を浄化するフィルター62とによって構成される。これにより溶接に伴って発生するヒュームを遮光パネルXの内部に滞留させずに除去することができる。
【0042】
ファン本体61は、ファン分配回路326から供給された電力で回転し、遮光パネルXの内側から外側へ向かう気流を発生させる。すなわち、アーク光が発生していないとき、すなわち溶接作業をしていないときにファン6が動作するように構成されているため、溶接作業時におけるシールドガスの揺らぎを防ぎ成果物の品質を向上させることができる。
【0043】
フィルター62は、ファン本体61で発生する気流に含まれるヒュームを除去するために設けられる部材であり、これによって外部へのヒュームの排出を抑制し、作業者の健康状態を改善できる。
【0044】
補助光部7は、ファン6に隣接して設けられる照明器具であり、溶接部分Q2を照らすことができるように設けられている。特に、本実施形態においては天面及び側面からの外光が遮られるため、遮光パネルXの内部が暗くなり、溶接前の準備作業が行いにくくなる。この点、補助光部7が遮光パネルXの内側を照らすようにすることで作業効率が向上させることができる。なお、補助光部7の光の強さは、判別部31の閾値に達しないように形成されている。
【0045】
以下に、図を用いて本実施形態に係る遮光パネルXの使用方法について詳述する。なお、実施の方法は以下に述べる状態に限られず、その順番は前後してよい。遮光パネルXは、母材Q1を下向き溶接する目的を持つ作業者によって使用される。
【0046】
まず、作業者は、回動部材23を動かすことによって、作業に適した形状となるように遮光パネルXを組み立て、遮光パネルXの内側に母材Q1を配置する。
【0047】
次に、作業者は配電部3を起動することで蓄電部4から各部へ電気を供給する。これによりファン6が動作し、補助光部7が点灯する。作業者は補助光部7の下で母材Q1の下処理を行い、溶接部分Q2を準備する。
【0048】
次に、作業者は溶接部分Q2のアーク溶接作業を行う。この際発生したアーク光は、受光面Sに設置された光発電機Pを介して電力に変換される。変換された電力は、配電部3を通じて記録部5に供給され、作業を行った時間を記録する。
また、作業者がアーク溶接作業を中断した際には、ファン6が動作して発生したヒュームが除去されることで作業者の健康上の安全性が保たれ、補助光部7の照明によって溶接部分Q2の仕上がりを容易に確認できる。
【0049】
作業終了後、作業者は記録部5に記録された内容を確認する。そして回動部材23を介して遮光パネルXを三つ折りしてコンパクトに折りたたむ。
【0050】
また、作業者は、遮光パネル本体1の裏表が反転するように回動部材23を動作させ、その状態で固定して屋外に設置することもできる。これにより、太陽光を用いて蓄電部4に電力を貯めることができる。
【0051】
≪第二の実施形態≫
以下に、図4を用いて、本発明の第二の実施形態に係る発明について詳述する。第一の実施形態と異なる形態は、ブラケット2を構成するブラケット本体21、回動部材23、移動手段24にあり、以下にはこれらの構成について説明し、第一の実施形態と同様の構成については説明を省略する。
図4は、本実施形態に係る遮光パネルXを表す斜視図である。
【0052】
ブラケット本体21は、3つが連続して設けられることによって、平面視でコの字状になるように立設される。それぞれのブラケット本体21には、側面光発電機11が取り付けられることによって側面3方向の光を遮ると同時に光発電機Pによる発電を行う。
【0053】
回動部材23は、任意の角度で固定可能である。これによって2つの遮光パネル本体1がなす角を大きくすることによって広範囲における遮光が可能となり、また、収納時にはコンパクトに折りたたむことができる。
【0054】
移動手段24は、ブラケット本体21の地面に当接する辺の端部にそれぞれ設けられているキャスターである。本実施形態においては、地面に当接した状態で遮光パネルXの変形が可能であるため、取り扱いが容易となる。
また、第一の実施形態に比べて、側面から吹き込む風をより遮りやすくすることができるため、シールドガスの揺らぎを防ぐことができる。なお、本実施形態の遮光パネルXの天面に、さらに遮光パネル本体1を追加することによって風防の機能をより高められる。
【0055】
本実施形態の構成によれば、溶接部分を側面の複数方向から囲うことが容易にできる。これにより、立ち向きで溶接作業を行う際や、高さ方向に長尺なものを溶接する際にも遮光パネルXを利用することができるようになる。
【0056】
《第三の実施形態》
以下に、図5を用いて、本発明の第三の実施形態に係る発明について詳述する。本実施形態において、第一の実施形態と異なる点は、主として移動手段24の取り付け方法であるため、これについて詳述する。
【0057】
移動手段24は、対向して設けられるブラケット本体21にそれぞれ設けられており、他のブラケット本体21と接続する辺に隣接する辺の端部にそれぞれ設けられる第一の移動手段241と、他のブラケット本体21と接続する辺に対抗する辺の端部にそれぞれ設けられる第二の移動手段242と、を有する。
このような構成によって、第一の移動手段241が地面に当接しているときは、遮光パネル本体1が平面視でコの字状となるように配置され、また、第二の移動手段242が地面に当接しているときは、遮光パネル本体1が側面視でコの字状になるように配置される。
【0058】
上記によって、母材Q1や溶接部分Q2の態様によって遮光パネルXの設置方法を柔軟に変更することができる。なお、移動手段24の代わりにゴムなどの摩擦力の大きい部材が設けられていてもよい。
【0059】
《第四の実施形態》
以下に、図6を用いて、本発明の第四の実施形態に係る発明について詳述する。本実施形態において、前述の実施形態と異なる点は、主としてブラケット2におけるブラケット本体21と移動手段24の取り付け方法であるため、これについて詳述する。
【0060】
ブラケット2は、地面に対して略垂直に立設され側面光発電機11が設けられるブラケット本体21の上辺に、天面光発電機12が設けられるブラケット本体21が連結するようにして設けられている。
【0061】
移動手段24は、ブラケット本体21の下辺から水平方向に延設される延設移動手段243によって構成されており、これらによって遮光パネルXの重心がずれた場合でも立設した状態を維持することができる。延設移動手段243は回動部材23によって遮光パネルX全体の重心がずれ得る方向に延設されていることが好ましい。
【0062】
前述の実施形態と比べて、専有面積が狭いため取り回しがしやすくなる。特に立ち向き溶接や上向き溶接をする際に作業を行いやすくすることができる。
【0063】
なお、上述の実施形態に限らず、4枚以上の遮光パネル本体1が互いに回動可能となるように連結されることで立設してもよく、また、天面に設けられる遮光パネル本体1は、2枚以上が角度をつけて連結されていてもよい。また、曲面状の光発電機Pが、溶接部分Q2を取り囲むように設けてあってもよい。
【符号の説明】
【0064】
1 遮光パネル本体
11 側面光発電機
12 天面光発電機
2 ブラケット
21 ブラケット本体
211 周縁バー
212 補助バー
22 パネル固定部
23 回動部材
24 移動手段
3 配電部
4 蓄電部
5 記録部
6 ファン
61 ファン本体
62 フィルター
7 補助光部
X 遮光パネル
S 受光面
P 光発電機
Q1 母材
Q2 溶接部分

【要約】
【課題】溶接作業に伴って発生するアーク光を利用し、溶接作業を安全にし、さらに利便性を高める遮光パネルを提供することを目的とする。
【解決手段】上記課題を解決する本願発明は、溶接作業の際に周囲へ向かうアーク光を遮断するための遮光パネルであって、地面に対して立設する遮光パネル本体を備え、前記遮光パネル本体は、アーク光を受ける受光面を有し、前記受光面には、アーク光を電力に変換する光発電機が設けられている遮光パネルである。

【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6