▶ メダクタ・インターナショナル・ソシエテ・アノニムの特許一覧
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-13
(45)【発行日】2022-09-22
(54)【発明の名称】腱の水平切開のための切断ツール
(51)【国際特許分類】
A61B 17/3201 20060101AFI20220914BHJP
A61B 17/3209 20060101ALN20220914BHJP
【ＦＩ】
A61B17/3201
A61B17/3209
【請求項の数】
15
(21)【出願番号】P 2021514030
(86)(22)【出願日】2019-07-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-27
(86)【国際出願番号】 IB2019056262
(87)【国際公開番号】W WO2020053675
(87)【国際公開日】2020-03-19
【審査請求日】2021-04-16
(31)【優先権主張番号】102018000008559
(32)【優先日】2018-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】512073792
【氏名又は名称】メダクタ・インターナショナル・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100159905
【弁理士】
【氏名又は名称】宮垣 丈晴
(74)【代理人】
【識別番号】100142882
【弁理士】
【氏名又は名称】合路 裕介
(74)【代理人】
【識別番号】100158610
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 新吾
(74)【代理人】
【識別番号】100132698
【弁理士】
【氏名又は名称】川分 康博
(72)【発明者】
【氏名】カキック，ルカ
(72)【発明者】
【氏名】シッカルディ，フランチェスコ
(72)【発明者】
【氏名】ベルベリッヒ，サッシャ
(72)【発明者】
【氏名】ルッキーニ，リッカルド
(72)【発明者】
【氏名】パリシ，ジャンルーカ
【審査官】菊地 康彦
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第２０１２／０２１５２４０（ＵＳ，Ａ１）
【文献】特表２０１４－５１９８７９（ＪＰ，Ａ）
【文献】米国特許第０５８２７３１１（ＵＳ，Ａ）
(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)
Ａ６１Ｂ １７／３２０１
Ａ６１Ｂ １７／３２０９
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
腱の水平切開用の切断ツールであって、長手方向軸（２ａ）に沿って延在し且つ遠位端（２ｄ）、近位端（２ｐ）、および前記遠位端（２ｄ）の近くに配置された切断ヘッド（９）を有するステム（２）を備え、前記切断ヘッド（９）は、前記ステム（２）の前記長手方向軸（２ａ）に平行な長手方向の伸展軸（９ａ）を有するベースプレート（１０）と、前記ベースプレート（１０）に平行な平面上に延びるブレード（１１）とを有し、前記ブレード（１１）は、２つのＶ字形のプロファイルによって規定される少なくとも２つの頂点（２０、２３）を特定するために、異なる角度に従って前記切断ヘッド（９）の前記長手方向の伸展軸（９ａ）に対して傾斜した複数の切断エッジ（１１ａ、１１ｂ、１１ｃ）を有する、切断ツール。
【請求項2】
前記ブレード（１１）が、前記切断ヘッド（９）の前記長手方向の伸展軸（９ａ）に対して７０°から８０°の間に含まれる角度（α）、好ましくは７５°だけ傾斜した第１の遠位切断エッジ（１１ａ）と、前記切断ヘッド（９）の前記長手方向の伸展軸（９ａ）に対して５５°から６５°の間に含まれる角度（β）、好ましくは６０°だけ傾斜した第２の近位切断エッジ（１１ｂ）と、前記第１の遠位切断エッジ（１１ａ）と前記第２の近位切断エッジ（１１ｂ）との間に配置され且つそれらに接続され、前記切断ヘッド（９）の前記長手方向の伸展軸（９ａ）に対して１００°から１１０°の間に含まれる角度（γ）、好ましくは１０５°だけ傾斜した第３の中間切断エッジ（１１ｃ）とを備える、請求項１に記載の切断ツール。
【請求項3】
前記第１の遠位切断エッジ（１１ａ）が、前記第３の中間切断エッジ（１１ｃ）と、１４５°から１５５°の間に含まれる角度（δ）、好ましくは１５０°を形成する、請求項２に記載の切断ツール。
【請求項4】
前記第２の近位切断エッジ（１１ｂ）が、前記第３の中間切断エッジ（１１ｃ）と、４０°から５０°の間に含まれる角度（ε）、好ましくは４５°を形成する、請求項２に記載の切断ツール。
【請求項5】
前記切断ヘッド（９）が、上部の腱ストリップを切断するように適合されたブレード（１５）を含む、前記ベースプレート（１０）の遠位端（１０ｄ）に位置する面取りされた上部エッジ（１４）を有する、請求項１から４のいずれか１項に記載の切断ツール。
【請求項6】
前記ベースプレート（１０）および前記ブレード（１１）が側壁（１２）によってのみ互いに接続されており、前記側壁（１２）は、前記ベースプレート（１０）および前記ブレード（１１）の両方に直交し且つ前記ベースプレート（１０）の片側（１３）に突出する、請求項２に記載の切断ツール。
【請求項7】
前記切断ヘッド（９）の前記ベースプレート（１０）が、前記ステム（２）の前記長手方向軸（２ａ）に平行な平面上にあり、前記長手方向軸（２ａ）に対して１０°から２０°の間に含まれる角度（θ）、好ましくは１５°だけ傾斜した接続部（１６）によって前記ステム（２）に接続されている、請求項６に記載の切断ツール。
【請求項8】
前記切断ヘッド（９）が、使用構成において、前記ステム（２）の前記長手方向軸（２ａ）の下に位置する、請求項７に記載の切断ツール。
【請求項9】
前記切断ヘッド（９）が、使用構成においてＣ字形の断面を有する、請求項８に記載の切断ツール。
【請求項10】
前記ステム（２）が前記切断ヘッド（９）と一体である、請求項１から９のいずれか１項に記載の切断ツール。
【請求項11】
前記切断ツールは把持スリーブ（４）に結合することができる、請求項１から１０のいずれか１項に記載の切断ツール。
【請求項12】
前記ステム（２）が、前記把持スリーブ（４）への安定した結合のためのノッチ（５）を有する、請求項１１に記載の切断ツール。
【請求項13】
前記ステム（２）が、前記ステム（２）と前記把持スリーブ（４）との間の相対回転を回避するために平坦面（６）を有する、請求項１１に記載の切断ツール。
【請求項14】
前記ステム（２）が目盛りを刻んだスケール（７）を有する、請求項１から１３のいずれか１項に記載の切断ツール。
【請求項15】
前記ステム（２）が、前記把持スリーブ（４）との正しい位置合わせおよび手術部位への前記切断ツールの正しい挿入を支援するための配向インジケータ（８）を有する、請求項１１から１３のいずれか１項に記載の切断ツール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腱の水平切開のための切断ツールに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の主題である切断ツールは、大腿四頭筋腱の水平切開を目的としており、よく知られているように、大腿四頭筋腱は、十字靭帯の再建に重要な利益をもたらす。
【0003】
実際、大腿四頭筋腱は他の腱よりも大きな直径に達することができ、その採取部位は、例えば膝蓋腱と比較して低い罹患率を持ち、良好な生体力学的特性を持ち、ひずみや変形が起こり難いので、膝靭帯の再建に好ましい剛性プロファイルを持つ。
【0004】
大腿四頭筋腱を切断および取り除くための外科的技術は、膝蓋骨の上縁部の上方の皮膚切開を伴う。
【0005】
皮下切開後、大腿四頭筋腱を露出させるために、膝蓋前皮下包の層は長手方向に分離される。
【0006】
その後、十字靭帯の再建のための所望の幅の腱が、垂直切断ツールまたは腱ストリッパーで切開される。
【0007】
皮膚切開部を通して、垂直切開のための切断ツールは皮下位置で腱に適用され、それが移植のための所望の長さに達するまで、腱に近位に押し込まれる。したがって、腱は完全に切断されるのではなく、側部で切開される。
【0008】
手術の第２のステップは、腱自体の伸展軸に平行に、腱を水平に切断することを伴う。このステップでは、取り除かれる腱の部分が、第２の切断ツールによって、上部でおよび下部で周囲の軟組織から分離される。腱分離器としても知られている水平切開用のこの切断ツールは、取り除かれる腱の厚さを規定する。
【0009】
皮膚切開部を通して、水平切開用の切断ツールすなわち腱分離器は、腱の切開部に横向きに導入され、近位方向に前記同じ長さに沿って皮下に押し込まれ、腱の伸展方向に沿って、上部および下部で水平に腱を切断する。
【0010】
第３の段階は、腱の近位端を横方向に切断するように適合された第３のツールの再び皮下への挿入を伴い、ここで「近位」は患者を指す。
【0011】
最後に、腱の遠位端も切断され、その後取り除かれ、十字靭帯の再建に使用するために準備される。
【0012】
具体的には、本発明は、腱の水平切開のための切断ツールに関し、したがって、手術の第２のパートで使用される切断ツールに関する。
【0013】
既知の外科的技術は、切開外科的処置を必要とし、使用されるツールは、腱自体を採取するプロセスを困難にする。
【0014】
最新技術のいくつかは皮下に関する解決策を提供するが、それらはツールを使用する方法および設計のために依然として困難を示す。現在使用されているツールに見られる不利な点のいくつかは、制御されておらず且つ寸法的に不正確な採取につながる不安定な切断先端部を含む。一方、他のツールは、切断エッジの長方形の形状のため、切断抵抗がより大きい切断ヘッドを備える。
【0015】
切断が進む方向に直交する切断エッジでさえも、切開に困難を伴い、組織自体に損傷を与えるリスクがあることがわかった。
【発明の概要】
【0016】
本発明の目的は、上記の従来技術の欠点を克服する、腱の水平切開のための切断ツールを提示することである。
【0017】
実際、本発明の目的の１つは、低侵襲であり、周囲の軟組織に損傷を与えることなく患者のための完全に安全な切断を確実にする、腱の水平切開のための切断ツールを提案することである。
【0018】
さらに、本発明の目的は、外科医が使用しやすく、手術部位が外科医に良好な視認性を許容しないにもかかわらず迅速、安全、安定且つ正確な切断を可能にする、腱の水平切開のための切断ツールを提案することである。
【0019】
本発明の別の目的は、腱自体の採取のための容易なプロセスを可能にするだけでなく、手術後の美容的側面を維持することを可能にする、腱の水平切開のための切断ツールを提案することである。
【0020】
これらおよび他の目的は、添付の特許請求の範囲の請求項の１つまたは複数に記載されているように、腱を水平切開するための切断ツールによって実質的に達成される。
概要
特に、第１の態様によれば、本発明は、腱の水平切開のための切断ツールに関する。
概要
特に、第１の態様によれば、本発明は、腱の水平切開のための切断ツールに関する。
【0021】
長手方向軸に沿って延び且つ遠位端および近位端を有するステムと、この遠位端の近くに配置された切断ヘッドとが、好ましくは、提供される。
【0022】
切断ヘッドは、好ましくは、ステムの長手方向軸に平行な長手方向の伸展軸を有するベースプレートと、前記ベースプレートに平行な平面上に延びるブレードとを有する。ブレードは、好ましくは、２つのＶ字形プロファイルによって規定される少なくとも２つの頂点を特定するように、異なる角度に従って前記切断ヘッドの長手方向軸に対して傾斜した複数の切断エッジを有する。
【0023】
前記ブレードは、好ましくは、前記切断ヘッドの長手方向軸に対して７０°から８０°の間に含まれる角度だけ、好ましくは７５°だけ傾斜した第１の遠位切断エッジを備える。
【0024】
前記ブレードは、好ましくは、前記切断ヘッドの長手方向軸に対して５５°から６５°の間に含まれる角度だけ、好ましくは６０°角度だけ傾斜した第２の近位切断エッジを備える。
【0025】
前記ブレードは、好ましくは、第１の遠位端と第２の近位端との間に配置され且つそれらに接続された第３の中間切断エッジであって、前記切断ヘッドの長手方向軸に対して１００°から１１０°の間に含まれる角度だけ、好ましくは１０５°の角度だけ傾斜した第３の中間切断エッジを備える。
【0026】
前記第１の遠位切断エッジは、好ましくは、前記第３の中間切断エッジと、１４５°から１５５°の間に含まれる角度、好ましくは１５０°の角度を形成する。
【0027】
前記第２の近位切断エッジは、好ましくは、前記第３の中間切断エッジと、４０°から５０°の間に含まれる角度、好ましくは４５°の角度を形成する。
【0028】
切断ヘッドは、好ましくは、ベースプレートの遠位端に位置する面取りされた上部エッジを有し、上部で腱のストリップを切断するように適合されているブレードを備える。
【0029】
前記ベースプレートと前記ブレードは、好ましくは、両方に直交し且つベースプレートの片側から突出する側壁によってのみ共に接続されている。
【0030】
有利には、切断ヘッドは、前記ステムの長手方向軸に平行な平面上にあり、長手方向軸に対して１０°から２０°の間に含まれる角度、好ましくは１５°の角度で傾斜した接続部（fitting）によってステムに接続される。切断ヘッドの横たわっている面は、ステムの横たわっている面に対してずれており、且つ平行である。
【0031】
切断ヘッドは、使用中、好ましくは、ステムの長手方向軸の下に位置する。
【0032】
好ましくは、ブレードおよび上部ブレードの切断エッジの各々は、面取りされたエッジを有する。
【0033】
使用中、切断ヘッドは、好ましくは、Ｃ字形の断面を有する。
【0034】
ステムは、好ましくは、前記切断ヘッドと一体である。
【0035】
ステムは、好ましくは、外科医の把持を容易にするために把持スリーブに結合することができる。
【0036】
ステムは、好ましくは、把持スリーブへの安定した結合のためのノッチを有する。
【0037】
ステムはまた、好ましくは、ステムと把持スリーブとの間の相対回転を回避するために、平坦面を有する。
【0038】
ステムは、好ましくは、その長手方向の伸展に沿って目盛りを刻んだスケールを有する。
【0039】
ステムは、好ましくは、把持スリーブと正しく位置合わせし、手術部位にツールを正しく挿入するのを支援するための配向インジケータを有する。
【0040】
追加の特徴および利点は、本発明および従属請求項による、腱の水平切開のための切断ツールの好ましいが排他的ではない実施形態の説明においてより詳細に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0041】
本発明は、例としてのみ提供される添付の図面を参照して、以下の詳細な説明によってより明確にされるであろう。
【図1】本発明による腱の垂直切開のための切断ツールの斜視図を示す。
【図5】製造ステップで示される、本発明の主題である切断ツールの一部の分解図である。
【図7】本発明の主題である切断ツールの一部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
上記の図において、番号１は、本発明による腱の水平切開のための切断ツール全体を示す。
【0043】
示されている例では、ツール１は、大腿四頭筋腱がその解剖学的部位から取り除かれて十字靭帯の再建のために別の部位に移植される手術の実施中に使用されるのに適している。
【0044】
切断ツール１は、長手方向軸２ａに沿って延在し且つ遠位端２ｄおよび近位端２ｐを有するステム２を備える。
【0045】
「遠位」および「近位」という用語は、外科医に対する近接を示す。したがって、「近位」端は外科医の手に最も近い端であり、「遠位」端は外科医の手から最も遠い端である。
【0046】
近位端２ｐは、切断ツール１のグリップとして機能する把持スリーブ４に接続することができる。近位端２ｐの近くに、ステム２は、ステム２自体を把持スリーブ４のロック機構と安定して結合するためのノッチ５を有する。このようにして、結合後、把持スリーブ４とステム２との間の軸２ａに沿った軸方向の滑りが防止される。
【0047】
さらに、近位端２ｐにおいて、ステム２は、長手方向軸２ａ周りのステム２と把持スリーブ４自体との間の相対回転を回避するために、把持スリーブ４の内側の当接部と結合する平坦面６を有する。
【0048】
ステム２は、ツールの皮膚への挿入の深さに関する基準を持ち、どの深さまで切り込みを入れるかを知り、採取物（collection）の長さ、したがって採取される軟組織の長さの表示を持つように、側面２ｃの長手方向の伸展に沿って目盛りを刻んだスケール７を有する。
【0049】
近位端２ｐの近くに、把持スリーブ４との正しい位置合わせおよび手術部位内へのツール１の正しい挿入を支援するための配向インジケータ８もある。
【0050】
遠位端２ｄの近くに、切断ツール１はまた、複数のブレード１１、１５を有する切断ヘッド９を備える。
【0051】
具体的には、切断ヘッド９は、平坦な水平のベースプレート１０を有し、その長手方向軸９ａは、ステム２の長手方向軸２ａに平行であり、ブレード１１は、ベースプレート１０に平行な平面上に延びる。
【0052】
ブレード１１は、２つのＶを規定する形状を有し、且つ異なる角度に従って切断ヘッド９の長手方向軸９ａに対して傾斜した複数の切断エッジ１１ａ、１１ｂ、１１ｃを有する。
【0053】
特に、ブレード１１は、切断ヘッド９の長手方向軸９ａに対して７０°から８０°の間に含まれる角度αだけ、好ましくは７５°だけ傾斜した第１の遠位切断エッジ１１ａを備える。
【0054】
ブレード１１はまた、前記切断ヘッド９の長手方向軸９ａに対して５５°から６５°の間に含まれる角度βだけ、好ましくは６０°だけ傾斜した第２の近位切断エッジ１１ｂを備える。
【0055】
最後に、ブレード１１は、第１の遠位エッジ１１ａと第２の近位エッジ１１ｂとの間に配置され且つそれらに接続された第３の中間切断エッジ１１ｃであって、前記切断ヘッド９の長手方向軸９ａに対して１００°から１１０°の間に含まれる角度γだけ、好ましくは１０５°だけ傾斜した第３の中間切断エッジ１１ｃを備える。
【0056】
図８に示されるように、第１の遠位切断エッジ１１ａは、１４５°から１５５°の間に含まれる角度δを、好ましくは１５０°を、前記第３の中間切断エッジ１１ｃと形成する。このようにして、頂点２３が規定され、これは、第１のＶ字形のエッジを特定する。
【0057】
他方、第２の近位切断エッジ１１ｂは、４０°から５０°の間に含まれる角度ε、好ましくは４５°を、第３の中間切断エッジ１１ｃと形成する。このようにして、頂点２０が規定され、これは、第２のＶ字形のエッジを特定する。
【0058】
ベースプレート１０とブレード１１は、両方に直交し且つベースプレート１０の片側１３から突出する側壁１２によってのみ互いに接続されている。
【0059】
したがって、ブレード１１は、側壁１２に接続された一端１１ｄのみを有し、一方、３つの切断エッジ１１ａ、１１ｂ、および１１ｃは自由である。
【0060】
ブレード１１は、除去される底部の腱のストリップを切断するために使用される。
【0061】
切り込み幅Ｌは、第３の中間切断エッジ１１ｃと第２の切断エッジ１１ｂとによって形成される角度εの頂点２０と側壁１２の内面２１との間の距離によって規定される。
【0062】
一方、切り込み高さｈは、ベースプレート１０の下部内面２２とブレード１１の上部内面２４との間の距離によって規定される。
【0063】
ツールが前進するときの軟組織の剥離を容易にするために、切断ヘッド９は、ベースプレート１０の遠位端１０ｄに位置し且つ上部の腱のストリップを切断するように適合されたブレード１５を備えた面取りされた上部エッジ１４を有する。
【0064】
上部ブレード１５およびその面取りされたプロファイルは、ツールが手術部位内で前進するときの軟組織の剥離並びにツールの挿入および前進を容易にする。
【0065】
言い換えれば、前部位置に配置された上部ブレード１５の前部ベベルは、腱の上部にある軟組織を持ち上げるのを支援し、ツールのスライドを容易にする。ブレードの傾斜が外科医の労力をかけずに腱に徐々に影響を与えるからである。
【0066】
第２の近位切断エッジ１１ｂおよび第３の中間切断エッジ１１ｃによって形成される、ブレード１１の角度εに位置する頂点２０を使用して、ツールを所望の軟組織に挿入する。
【0067】
Ｖ字形の頂点２０は、ブレード１１の縁部１１ｄと反対方向に向けられている。
【0068】
切開プロセスを支援するために、ブレード１１は、第１の遠位切断エッジ１１ａと第３の中間切断エッジ１１ｃとの間に形成された、角度δの他のＶ字形の頂点２３を有する。この最後のＶ角度のエッジは、ツールを前進させるのに役立つ。
【0069】
この最後の頂点２３は、近位方向、言い換えれば、ツールが前進する方向に沿って配向されている。
【0070】
したがって、角度のあるＶ字形のエッジの組み合わせ、つまり、第１の頂点２３および第２の頂点２３、並びに切断ヘッド９の長手方向軸９ａに対する（すなわち、前進の近位方向に対する）第１の切断エッジ１１ａおよび第２の切断エッジ１１ｂの傾斜は、ブレード１１上の２つのＶ字形のエッジのおかげで、近位方向および遠位方向の両方でのツールの切断効率を改善する。
【0071】
ブレード１１の作業方向に対するエッジの角度は、ツールの切断能力を大幅に改善する。
【0072】
ブレードの切断エッジ１１ａ、１１ｂおよび１１ｃも面取りされている。
【0073】
断面において、切断ヘッド９は、Ｃ字形を有する（使用中）。
【0074】
ステム２は、遠位位置において、１０°から２０°の間に含まれる角度θ、好ましくは１５°、長手方向軸２ａに対して傾斜した接続部１６を有する。
【0075】
この接続部１６は、ステム２を切断ヘッド９に接続する。
【0076】
切断ヘッド９が接合される接続部１６の傾斜を受けて、使用中、切断ヘッド９は、ステム２の長手方向軸２ａの下に位置する。
【0077】
長手方向軸２ａに対する切断ヘッドの位置および傾斜は、膝蓋骨の上縁部へのツールの挿入および使用を容易にする。ずれた平面上のステム２および切断ヘッド９の位置は、切断中にステムが腱に接触しないことを確実にする。
【0078】
切断ヘッド９は、ツール自体の製造中にスロット１８に挿入される突起１７を有する。
【0079】
突起１７はまた、切断ヘッド９の長手方向軸９ａに対して、上記の角度θと同じ幅を有する、すなわち、１０°から２０°の間に含まれる角度Ωだけ、好ましくは１５°だけ傾斜している。
【0080】
次に、２つの部品がしっかりと共に結合され、その結果、ステム２と切断ヘッド９が単一の分割できない本体となる。
【0081】
このタイプの結合は、切断ヘッド９をステム２とさらに安定させる。
【0082】
さらに、切断ヘッド９が製造プロセスの終了前のようにステム２から分離されて表されている図５に示されるように、ステム２は、遠位端２ｄに、ツール自体の安定性を高めるノーズ１９を有する。安定性の向上は、ノーズ１９が使用中に切断ヘッド９の堅固な垂直ストッパとして機能するためであり、切断ヘッド９とステム２との間の接続点で正確に動作する。
【0083】
手術中、切断ツール１は、軟組織を軸方向に採取するために、専用グリップまたは把持スリーブ４に軸方向に挿入される。
【0084】
ツール１の切断ブレードの先端部は、採取のために所望の軟組織に横向きに挿入されなければならない。
【0085】
挿入されると、切断ツール１は、事前に規定された幅および高さで軟組織のストリップの厚みを切断するように、軟組織を通って近位方向に進められなければならない。ツールは、ステム２上の目盛りを刻んだスケール７を介して制御することができる、事前に確立された深さまで進められる。
【0086】
Ｖ字型の両刃の切断ブレードは、順方向と逆方向の両方での改善された抵抗の少ない移行を可能にする。
【0087】
このツールで得られる利点は、切断ヘッドがステムにしっかりと接続された単一ユニット設計による、ツールのより良い取り扱いと安定性、およびダブルＶ字型のブレードデザインと、切断ヘッドの長手方向軸に対する遠位端と近位端の傾斜とによる、近位方向と遠位方向の改善された切断である。
【0088】
ステムと切断ヘッドとの間のオフセット位置、および接続部とステムとの間の傾斜は、膝蓋骨の上縁部へのツールの挿入を容易にする。
【0089】
上部ブレードの遠位ベベルは、軟組織を剥離する能力が向上した結果として、ツールを前進させるのを支援する。
【0090】
このように、このツールは簡単に使用できる。ツールの滑らかさが増し、軟組織の剥離が容易になるので、手術の長さが大幅に短縮される。
【0091】
このように製造および設計されたツールは、腱の許容できない採取の可能性を減らすことにより、切断の安定性を改善する。
【0092】
ブレードがツールの前進方向に垂直ではない、ブレードの特定の形状は、後方および前方に切断する能力を高め、既知の技術で遭遇する欠点を克服する。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】