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特許7141531一体型モータ圧縮機ユニット用の慣性フィルタ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-13
(45)【発行日】2022-09-22
(54)【発明の名称】一体型モータ圧縮機ユニット用の慣性フィルタ
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/70 20060101AFI20220914BHJP
   B01D 46/00 20220101ALI20220914BHJP
   F04D 29/058 20060101ALI20220914BHJP
【FI】
F04D29/70 L
B01D46/00 C
F04D29/058
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021525671
(86)(22)【出願日】2019-11-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-18
(86)【国際出願番号】 EP2019025396
(87)【国際公開番号】W WO2020098971
(87)【国際公開日】2020-05-22
【審査請求日】2021-05-11
(31)【優先権主張番号】1860462
(32)【優先日】2018-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】515121243
【氏名又は名称】サーモダイン・エスエイエス
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】ギルマン、シルヴァン
【審査官】岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/058037(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0045764(US,A1)
【文献】実開平01-160185(JP,U)
【文献】特開平10-089296(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/70
B01D 46/00
F04D 29/058
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一体型圧縮機ユニット(13)と関連付けられた冷却ガスを濾過するように構成されている濾過装置(1)であって、前記濾過装置(1)が、
長手方向軸(X)に沿って延在する内側円筒壁(W1)を有する外側ハウジング(3)と、
前記長手方向軸(X)に沿って延在する外側円筒壁(W0)及び濾過したガスのための内側通路(4)を有する内側カートリッジ(2)であって、前記内側カートリッジが、前記外側ハウジング(3)内に取り付けられ、前記長手方向軸(X)に直交する断面において、ダクト(5)を前記外側ハウジング(3)とともに画定する、内側カートリッジ(2)と、を含み、
前記ダクト(5)が、前記冷却ガスのための流入口(6)と捕捉された粒子のための第1の流出口(7)との間に位置し、前記冷却ガスの流れを、反対方向に流れて前記第1の流出口(7)の上流側で合流するような2つの流れに分割するように構成され、
前記流入口(6)と、前記第1の流出口(7)のそれぞれが前記外側ハウジング(3)を通過する少なくとも1つの穴を有し、
前記内側カートリッジ(2)が、前記ダクト(5)から延びて前記内側通路(4)につながり、前記流入口(6)と前記第1の流出口(7)との間に位置する少なくとも1つの第2の濾過流出口(8a、8b)のアセンブリを有し、
前記外側円筒壁(W0)が、前記第1の流出口(7)に面する平坦部分(9)を有すること、を特徴とする、濾過装置(1)。
【請求項2】
前記第2の濾過流出口(8a、8b)が、前記ダクト(5)における前記冷却ガスの観点から上流に延在する軸を含むことを特徴とする、請求項1に記載の濾過装置(1)。
【請求項3】
一対の反対側の前記第2の濾過流出口(8a、8b)を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の濾過装置(1)。
【請求項4】
前記第2の濾過流出口(8a、8b)の方向が、前記ダクト(5)における前記流入口(6)からの前記冷却ガスの下流方向に対して135°~170°であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の濾過装置(1)。
【請求項5】
前記第2の濾過流出口(8a、8b)が、フィルタカートリッジ(10)を含むことを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の濾過装置(1)。
【請求項6】
前記第1の流出口(7)に接続され、前記捕捉された粒子を収集するように適合された容器(11)を更に含むことを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の濾過装置(1)。
【請求項7】
前記第1の流出口(7)の開口部を制御するための手段(12)を更に含むことを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の濾過装置(1)。
【請求項8】
前記流入口(6)が鉛直方向に前記ダクト(5)の頂部に配置され、前記第1の流出口(7)が鉛直方向に前記ダクト(5)の底部に配置されることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の濾過装置(1)。
【請求項9】
前記濾過装置(1)が、能動磁気軸受のための支持体を形成することを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の濾過装置(1)。
【請求項10】
一体型圧縮機ユニット(13)であって、
ータハウジング(18)と、
記モータハウジング(18)を通過し、ガスを流入口から流出口へと圧縮するように適合された、圧縮段(15)であって、前記ガスが、第1のサイズを有する第1の粒子と、前記第1の粒子の前記第1のサイズよりも大きい第2のサイズを有する第2の粒子とを有し、前記圧縮段(15)が、
縮機、
記圧縮機に連結され、能動磁気軸受(16)によって前記一体型圧縮機ユニット(13)に組み付けられた回転軸を含む、回転電動機(14)、を含む、圧縮段(15)と、
前記圧縮段(15)の前記流出口によって送達される前記ガスを使用して前記能動磁気軸受(16)を冷却するように構成されている、冷却回路(17)と、を含み、
前記一体型圧縮機ユニット(13)が、前記モータハウジング(18)に取り外し可能に取り付けられている、請求項1から9のいずれか一項に記載の濾過装置(1)を更に含む、一体型圧縮機ユニット(13)。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明の分野は、一体型モータ圧縮機ユニットを冷却するために使用されるガスから望ましくない粒子を除去するための濾過装置に関し、更に、この種類の濾過装置を含む一体型モータ圧縮機ユニット(「IMC(integrated motor compressor)ユニット」)に関する。
【0002】
一般に、モータ圧縮機ユニットは、遠心圧縮機と、ハウジングに一体化されたモータとを含む。
【0003】
遠心圧縮機は、一般に、モータ駆動ロータに連結されて圧縮ガスの流れを生成する従動軸上に取り付けられた複数のブレードによって、ガスを流入口から流出口へと圧縮するように適合される、複数の圧縮段を含む。回転軸は、軸受を介して一体型モータ圧縮機ユニットに取り付けられる。これらの軸受は、例えば、能動磁気軸受(「AMB(active magnetic bearing)」)であってもよい。
【0004】
この種類の遠心圧縮機を直接駆動するために使用される軸は、軸受内に熱を発生させる比較的速い速度(例えば、18,000rpm)で回転する必要がある。この熱が適切に放散されないと、軸受システムが悪影響を受け、軸受の劣化又は破損が生じ得る。
【0005】
軸受加熱及び冷却を調節するために、冷却回路を使用することが知られており、この回路は開ループであっても閉ループであってもよく、この中で、ガスを、例えば第1の圧縮段の流出口において、プロセスフローから抽出する。次いで、ガスをモータ及び軸受をとおして循環させて、熱を吸収する。
【0006】
例えば、約10%のガスが流れから冷却回路に供給される。冷却ガスは、冷却ガス源とガスが流れることができる地点との間の圧力差によって駆動され得る。
【0007】
軸受は、多くの場合、軸受を冷却するガスの品質に非常に敏感である。具体的には、軸受がAMB型である場合、大きな固体粒子は、回転軸の磁気懸濁液に向かって不適切に作用し得る。濾過システムを使用してガスを濾過し、それによって望ましくない固体粒子、例えば3ミクロンより大きい粒子を除去することが必要である。
【0008】
図1に示される一般的に使用される解決策は、モータ圧縮機ユニットIをその冷却ループIIとともに図示しており、冷却ループ内に位置する少なくとも1つのフィルタFを、中央に位置し、かつモータ内にあるAMB軸受内を流れる冷却ガスの流入口の前に配置することによって、冷却ループの全ガス流を濾過するためのものである。示される例では、十分な量の望ましくない粒子を、それらがAMB軸受に入る前にガスから除去するため、及び達成することができる濾過レベルの十分な信頼性を得るためには、ガス流の100%に対してサイズ決定されたフィルタが必要であり、これは、コスト、サイズ、及びエネルギー消費を増大させる。加えて、この種類のフィルタFはその使用中に汚れるため、各フィルタFには、保守及び制御に関して定期的な介入が必要となる。したがって、フィルタFの使用がより激しくなるほど、必要な保守が重要となり、よりIMCユニットの運転停止を見込む必要が出てくる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本明細書に記載される一体型モータ圧縮機ユニット(「IMC」)のための濾過カートリッジの実施形態は、前述の欠点の少なくとも一部を回避することを意図している。記載される実施形態の特定の利点は、フィルタの必要性の一部又は全部を排除し、必要とされる保守を低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の前述の目的は、冷却ガスを濾過すること、即ち、サイズがある特定の寸法を超過し、かつ冷却ガスと混合され得る粒子を捕らえることを意図する、一体型圧縮機ユニットのハウジング上に取り外し可能に設置される濾過装置によって達成され、本濾過装置は、
内側円筒壁を有する外側ハウジングと、
外側円筒壁及び濾過したガスのための内側通路を有する内側カートリッジであって、内側カートリッジが、外側ハウジング内に取り付けられ、冷却ガスのための流入口と捕捉された粒子のための第1の流出口との間に位置するダクトを外側ハウジングとともに画定する、内側カートリッジと、を含み、
この内側カートリッジは、ダクトと内側通路との間、及び流入口と第1の流出口との間に延在する少なくとも1つの第2のフィルタ流出口のアセンブリを有する。
【0011】
これにより、ガスが流れるダクト内に粒子トラップが設けられる。一実施形態によれば、ガスは、一体型圧縮機ユニットの回転軸を担持するための能動磁気軸受(「AMB」)を冷却するために使用される前に濾過されてもよく、それによって、フィルタの必要性を低減又は回避しながら、AMB軸受の早期摩耗又は破損を防止する。
【0012】
有利なことに、各第2の流出口は、冷却ガス流れの観点から上流に延在する軸を有する。
【0013】
これにより、最も大きな望ましくない粒子は、第2の流出口に入ることができず、よって、第1の流出口に向かって流れ込む。
【0014】
有利なことに、一対の第2の反対側の流出口が設けられる。
【0015】
これにより、ガス流は、ダクト内で反対方向に流れる2つの流れに分割され、これらの流れは、第1の流出口の上で合流し、より大きな粒子が捕捉される乱流領域を創出する。
【0016】
有利なことに、第2の流出口の方向は、流入口からの冷却ガス流の下流方向に対して135°~170°である。
【0017】
各第2の流出口は、装置の濾過効果が各第2の流出口をとおるガス流に沿って完了するように、フィルタを有してもよい。
【0018】
有利なことに、容器が第1の流出口に接続され、捕捉された粒子を収集するように適合される。
【0019】
一実施形態によれば、第1の流出口の開口部を制御するための手段が設けられる。
【0020】
有利なことに、内壁は、第1の流出口に面する平坦部分を有する。
【0021】
これにより、ダクトの断面積が急激に増加することで、ガス圧降下が生じ、乱流領域内の望ましくない粒子の捕捉が増加する。
【0022】
有利なことに、濾過装置は、能動磁気軸受のための支持体を構成する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本発明の実施形態の他の目的、特徴、及び利点は、非限定的な例としてのみ提供される以下の説明を詳細に検討することから、また添付の図面を参照することで、よりよく理解されることになる。
図1】現況技術によるカートリッジ濾過を模式的に示す。
図2】本発明の第1の実施形態によるフィルタ装置の断面を模式的に示す。
図3】任意選択のカートリッジフィルタを更に含む、図2のフィルタ装置の断面を模式的に示す。
図4図2の実施形態によるフィルタ装置の内側カートリッジ単独の斜視図である。
図5図2の濾過装置を含む一体型モータ圧縮機ユニットを模式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図2、3、及び図4は、中で冷却ガスが循環され濾過に供される濾過装置1を模式的に示す。図示した実施形態では、濾過装置1は、能動磁気軸受(「AMB」)を保護するために、能動磁気軸受上に冷却ガスが到着する前に配置されることが意図される。しかしながら、この種類の濾過装置は、一体型モータ圧縮機ユニット(「IMCユニット」)の任意の種類の回転要素の冷却ガスを濾過するために使用することができる。冷却ガスは、例えば、天然ガスであっても、望ましくない粒子で構成されるか若しくはそのような粒子を含む空気などのガス混合物であってもよい。これらのガスでは、異なる種の汚染粒子が分散している可能性がある。例えば、金属粒子、錆粒子、結露、水滴、又は油滴などの不純物が、IMCユニットの構成要素の通常動作中の腐食又は機械的劣化に起因して、ガス中で浮遊し得る。本濾過装置により、例えば3ミクロン~10ミクロンのサイズを有する、これらの望ましくない粒子のうちで最大の粒子を捕捉することが可能になる。ガスが過剰量のこれらの望ましくない大きな汚染固体粒子を有すると、AMB軸受の動作が妨害され得る。これは、AMB軸受が、回転するものであり、ガスが循環してAMB軸受を冷却するときにそれを危険にさらす、詰まり、閉塞、又は更には擦傷に敏感であるためである。
【0025】
図2、3、及び4に示されるように、濾過装置1は、内側カートリッジ2を含み、この内側カートリッジ2は、IMCユニットの少なくとも一部分、例えばIMCユニットのモータハウジングに対応する外側ハウジング3に組み付けられた内側AMB軸受支持リング、即ちAMB支持リングを形成する。内側カートリッジ2は、IMCユニットの1つ以上の他の部分、例えば軸受支持体に嵌合するように設計されてもよい。例えば、内側カートリッジ2は、IMCのハウジングに螺合することができる。内側カートリッジ2は、濾過された冷却ガスのための外側円筒壁W0及び内側通路4を有する。冷却されるAMB軸受は、濾過装置1の中央領域に位置する内側通路4に接続される。
【0026】
外側ハウジング3は、円筒内壁W1を含む。外側円筒壁W0は、円筒内壁W1内に包囲される。内側及び外側円筒壁は、同じ長手方向軸Xに沿って延在し、ガスが中を循環することができるダクト5を、円筒壁の間に画定する。
【0027】
ダクト5は、冷却ガスのための流入口6と、捕捉された粒子のための第1の流出口7との間に位置する。ダクト5は、管状空間に実質的に対応してもよい。図2の実施形態では、この管状空間は、略卵形をとり、断面平面となり、長軸が垂直上行軸Zに対応する。この垂直上行軸3に関して、ダクト5は、図2に示されるように、最大高さ(頂部)及び最小高さ(底部)を有する。
【0028】
ダクト5は、ダクト5内の気体がダクト5内でのみ流れることができるように、ガス粒子に対して気密である。
【0029】
流入口6は、冷却ガスがダクト5に入ることを可能にするために、外側ハウジング3を通過する少なくとも1つの穴を含む。ガスが例えば圧縮機によって入ることを可能にするために、流入口6に、例えば、ノズル、チューブ、及び/又は弁を装備してもよい。
【0030】
第1の流出口7は、ダクト5から外側ハウジング3を通過する少なくとも1つの孔を含む。
【0031】
有利なことに、流入口6は、ダクト5の頂部に可能な限り近い位置にある。流入口6を高いところに設けることにより、中で粒子が濾過されるダクト5内における粒子の流跡を長くすることが可能となる。また、流入口6がより高い場所に位置することで、ダクト5内でガスのより長い経路を得ることが可能になるため、大きな粒子の重力に基づく捕捉が容易になる。同様に、結果として、垂直対称性を有する濾過装置1を得ることが可能となる。
【0032】
第1の流出口7は、流れの乱流が形成され、望ましくない粒子が捕捉されるダクト5の底部の実質的に周囲に位置することが有利である。
【0033】
有利なことに、内側カートリッジ2は、1組の少なくとも1つの第2の濾過流出口8a、8bを含む。各第2の流出口8a、8bは、内側カートリッジ2を通過するように設けられ、ダクト5内に収容されたガスが内側通路4に到達することを可能にする。ガスは、流入口6から第1の流出口7まで、又は最も遠くて第2の流出口8a、8b(少なくとも1つ)までのみ、ダクト5をとおって循環し得る。
【0034】
第1の実施形態によれば、濾過効果は、ガスが第2の流出口8a、8bを通過する前に、ガスで充填されたダクト5中で作用する。目的は、確実に、最大限の望ましくない粒子が第1の流出口7に向かって重力の影響下で流れ込み、具体的には、ガス流の乱流領域を第1の流出口7の真上に創出することで、粒子が第2の流出口8a、8bに再び上昇することを防止することによって、粒子を第1の流出口7の中に捕捉することである。
【0035】
各第2の流出口8a、8bは、ダクト5の流入口6と第1の流出口7との間の中間位置に配列されて単一性を構成し、そうすることで、ダクト5の直径に対して第2の流出口8a、8bが狭まることを理由に、ガス流の点圧の降下を生じさせる。第2の流出口8a、8bの流れは、第2の流出口8a、8bに入るガス流中の望ましくない粒子の吸引を最小限に抑えるために、ダクト5内より低くてもよい。
【0036】
流入口6におけるガス速度及び第2の流出口8a、8bの位置は、望ましくない粒子の大部分が、第2の流出口8a、8bの前を、それに入ることなく、つまり局所的圧力降下に耐えるのに十分速い速度で通過し、粒子トラップが位置する第1の流出口7に到達するまでダクト5を下るように選択される。
【0037】
図2に示されるように、第2の流出口8a、8bは、外側円筒壁W0上に流入口を、内側通路4上に流出口を有する貫通孔から、内側カートリッジ2を通過する。有利なことに、流出口は、垂直上行軸Zに対して流入口よりも高いところに配列されている。換言すれば、ガス流は第2の流出口8a、8bでオフになり、ガスの一部分が第2の流出口8a、8bをとおって上昇、即ち、上流を流れる。圧力降下を最大限にすることにより大きな粒子が第2の流出口8a、8bに入るのを防ぐために、貫通孔の軸と垂直軸との間の角度O1、O2は、可能な場合、135°~170°の鋭角で、少なくとも90°を超えるように選択する必要がある。
【0038】
有利な実施形態は、2つの第2の流出口8a、8bを提供し、これらの両方がダクト5から内側カートリッジ2をとおって内側通路4に繋がり、流出口の各々は、垂直上行軸Zに関して互いに実質的に対称に位置する。有利なことに、第2の流出口8a、8bは、実質的に同一であり、ダクト5と内側通路4との間、及び流入口6と第1の流出口7との間で、同じ高さで対称に配列される。第2の流出口8a、8bが上向きに類似して配向され、軸が上流に延在し、角度O1、O2が垂直軸Zに関して対称であることが有利である。有利なことに、流入口6から来る冷却ガス流は、第2の流出口8a、8bの各々に向かって、図2及び3に示されるように、2つの流れに分割される。各々の流れにおいて、2つの反対の流れは、それらが2つの反対の方向から来てダクト5の底部に到達するときに合流するので、ガス粒子は、ダクト5の全長の実質的に半分を移動する。2つの反対の流れの各々は、他方がダクト5の半分よりもはるかに遠くに行き、その後、第2の反対側の流出口8a、8bまで戻ることを防止する。2つの対称な流れの存在により、ダクト5の底部、第1の流出口7の上に、乱流点が創出される。これにより、望ましくない粒子が、第2の流出口8a、8bのうちの一方まで跳ね戻ることが防止される。各第2の流出口8a、8bは、特に流入する流れが高速である場合、望ましくない粒子が戻るのを防止するために、流入口6に可能な限り接近して配置されてもよい。しかしながら、各第2の流出口8a、8bは、それらの方向を上向きにする必要があることから、内側円筒壁W1の曲率を考慮して位置づけられる。
【0039】
別の実施形態によれば、外側円筒壁W0は、第1の流出口に面する平坦部分9を含む。図2、3、及び4に示されるように、この平坦部分9は、例えば、外側円筒壁W0上、かつ第1の流出口7の真上に、実質的に水平に設けられてもよい。平坦部分9は、外側円筒壁W0上に、ダクト5の内部に不連続部を構成する2つの鋭利な縁部9a、9bを有し、これに沿ってガスが流れる。図2に示すように、平坦部分9はまた、ダクト5の拡張部を創出する。この拡張部の正面、及び平坦部分の2つの鋭利な縁部9a、9bの間で合流するガスの流れにより、乱流が自然に創出される。より大きな粒子がそれらの運動エネルギーを急速に失い、重力の影響下で最終的に落下する場所が、この乱流である。この理由から、平坦部分9は、粒子の垂直上行に対する障害物として配列され、最大の粒子を保持する。
【0040】
本文書で示され、記載され、特許請求される濾過装置1のおかげで、望ましくない粒子は、次に、いくつかのパラメータを調節することによって捕捉することができ、これらのパラメータは、非限定的な例として、流入口ガス流の速度、第2の流出口の角度O1、O2、平坦部分9の長さ、及び平坦部分の縁部9a、9bの先鋭度であってもよい。
【0041】
図3に示される別の実施形態によれば、フィルタカートリッジ10は、各第2の流出口8a、8bに挿入される。このようなフィルタカートリッジ10はまた、例えば、内側円筒壁又は外壁W0に沿って、ダクト5に挿入されてもよい。このフィルタは、例えば、所望のサイズ、例えば、3ミクロン超の粒子を自然に捕捉するように適合された合体フィルタカートリッジ10であってもよい。
【0042】
別の実施形態によれば、第1の流出口7に接続された容器11が設けられる。この容器11により、捕捉された粒子を収集することが可能となり、捕捉された粒子は、重力の影響下で、ダクト5の底部で下層に蓄積し、最終的に、堆積物の層を、捕捉された粒子が集塵する場所であるダクト5の下部全体に形成する。
【0043】
例えば保守期間中に、捕捉された粒子の排出を促進するために、第1の流出口7を開放するための制御手段12が更に設けられてもよい。制御手段12は、例えば、ダクト5を例えば容器11に接続するか、又はダクト5を容器11から分離するための弁及びチューブを含んでもよい。
【0044】
加えて、内側及び外側円筒壁は、例えば、外側円筒壁W0の外周に沿って、かつ流入口6から第1の流出口7へと、ダクト5の断面積を増加させるように適合された特定の形状を有するように設計されてもよい。換言すれば、内壁及び外壁は、両壁間の距離が下に向けて増加するように適合された特定の形状を有してもよい。例えば、ダクト5の直径は、ダクト5の頂部から底部へと増加してもよい。これにより、ガスが流出口7、8a、8bに向かって徐々に膨張し、同時に粒子がわずかに減速することができるようになる。このダクト5の拡張部、並びに第1の流出口7及び平坦部分9の存在により、流体の流れが迂回して減速し、重力の影響下でのより大きな粒子の下方への落下が促進され、それによって、第1の流出口7をとおした望ましくない粒子の捕捉が改善する傾向にある。
【0045】
ここで図5を参照すると、上に開示した濾過装置1を装備したモータ圧縮機ユニットが模式的に表されている。示されるように、参照番号13によって指定されているモータ圧縮機ユニットは、電動モータ14と、モータロータによって駆動される軸に取り付けられた少なくとも1つの圧縮段15を有する圧縮機15とを含む。従動軸及びロータは、各々、一対のAMB軸受16によって支持される。
【0046】
AMB軸受16及びモータは、冷却ループ17によって冷却され、冷却ループ17では、冷却ガスが第1の圧縮段15でプロセス流から取り出される。冷却ガスの大部分は電気回転モータ14,内を循環し、残りのガスがAMB16の方向に流れる。少なくとも1つの濾過装置1は、上述のように、モータ圧縮機ユニット13のモータハウジング18上に組み付けられ、AMB16上の各冷却ガス到着の前に配置され得る。その後、この種類の濾過装置1は、冷却ガス流の少量部分に対してサイズ決定される。
図1
図2
図3
図4
図5