(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-13
(45)【発行日】2022-09-22
(54)【発明の名称】フライヤー及びフライヤーの調理油検知センサ
(51)【国際特許分類】
A47J 37/12 20060101AFI20220914BHJP
【FI】
A47J37/12 331
(21)【出願番号】P 2022020695
(22)【出願日】2022-02-14
【審査請求日】2022-02-25
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514247872
【氏名又は名称】マッハ機器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088580
【氏名又は名称】秋山 敦
(74)【代理人】
【識別番号】100195453
【氏名又は名称】福士 智恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100205501
【氏名又は名称】角渕 由英
(72)【発明者】
【氏名】巻幡 勝浩
(72)【発明者】
【氏名】中谷 正信
【審査官】西村 賢
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-323291(JP,A)
【文献】特開昭59-168322(JP,A)
【文献】特開2003-250708(JP,A)
【文献】実開平03-103040(JP,U)
【文献】特開2021-176283(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0285777(US,A1)
【文献】特開平11-299658(JP,A)
【文献】特開2007-190041(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0116285(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 37/10-37/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に取り付けられて、調理油を貯留する油槽と、前記油槽内に収容されて、前記調理油を加熱するヒータと、該ヒータの加熱開始操作を受け付ける操作受付手段と、前記調理油を検知する調理油検知センサと、を備えたフライヤーであって、
前記調理油検知センサは、
長尺形状を有し、一方の端部に配設された第一電極と、絶縁部材を介して前記第一電極と離隔された第二電極と、を有する電極部と、
前記電極部とケーブルを介して接続されて、前記調理油の貯留状態を判定し、該判定結果に基づいて、前記操作受付手段が前記加熱開始操作を受け付けた際に、前記ヒータによる加熱が開始されないように制御
し、前記加熱開始操作を無効化する計測処理部と、を有し、
前記筐体には、仕切壁によって前記油槽から仕切られた隔離空間が設けられ、
前記電極部は前記油槽内に配設され、前記計測処理部は、前記隔離空間内に配設されることを特徴とするフライヤー。
【請求項2】
前記ヒータは、前記油槽の下方において水平面状に広がるように配設される加熱部と、前記油槽の内壁に沿って上下方向に延びて、前記加熱部を支持するヒータ支持部と、を有し、
前記電極部は、前記ヒータ支持部より前記油槽の前記内壁から離れる方向に突出しない位置において上下方向に延びていることを特徴とする請求項1に記載のフライヤー。
【請求項3】
前記筐体には、前記ヒータ及び前記調理油検知センサと連結する回動機構が備えられ、
前記回動機構は、前記ヒータ及び前記調理油検知センサを、前記油槽内に収容された下降位置と、前記油槽から引き上げられた上昇位置との間で変位させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のフライヤー。
【請求項4】
前記ヒータは、抵抗発熱体と、該抵抗発熱体に対する通電を阻止する接点部を有し、
前記計測処理部は、前記接点部を開成させることによって前記ヒータによる加熱が開始されないように制御することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一の請求項に記載のフライヤー。
【請求項5】
前記計測処理部は、前記調理油検知センサの異常に関する異常検知信号を取得し、前記異常検知信号に基づいて、前記操作受付手段が前記加熱開始操作を受け付けた際に、前記ヒータによる加熱が開始されないように制御することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一の請求項に記載のフライヤー。
【請求項6】
筐体内に取り付けられて、調理油を貯留する油槽と、前記油槽内に収容されて、前記調理油を加熱するヒータと、該ヒータの加熱開始操作を受け付ける操作受付手段と、を備えたフライヤーに用いられ、前記調理油を検知する耐熱性の調理油検知センサであって、
前記調理油検知センサは、
長尺形状を有し、一方の端部に配設された第一電極と、絶縁部材を介して前記第一電極と離隔された第二電極と、を有する電極部と、
前記電極部とケーブルを介して接続されて、前記調理油の貯留状態を判定し、該判定結果に基づいて、前記操作受付手段が前記加熱開始操作を受け付けた際に、前記ヒータによる加熱が開始されないように制御
し、前記加熱開始操作を無効化する計測処理部と、を有し、
前記電極部は前記油槽内に配設され、前記計測処理部は、前記筐体に設けられ、仕切壁によって前記油槽から仕切られた隔離空間内に配設されることを特徴とするフライヤーの調理油検知センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フライヤー及びフライヤーの調理油検知センサに係り、特に、業務用フライヤー及び業務用フライヤーの調理油検知センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、揚げ物料理の提供を行う料理店やファーストフード店の厨房において、業務用フライヤーが利用されている。業務用フライヤーは、家庭で利用されている揚げ物調理用鍋と比べて、大容量の油槽(オイルパン)を備え、一度で大量の揚げ物料理を行うことができる。
そして、近年の業務用フライヤーは、自動調理機能を有している。換言すると、業務用フライヤーは、予め記憶された加熱制御プログラムを実行することによって、調理油が40度~250度近傍の状態を維持するよう調整することで、安定した味と品質の揚げ物料理を提供することができる。
【0003】
自動調理機能によって業務用フライヤーの利便性が向上する一方で、業務用フライヤーの安全性の向上も望まれている。詳細に述べると、油槽に調理油が貯留されていない状態や、温度センサ等が故障した状態でヒータによる加熱動作が実行されることを防止するための空焚き防止機能や、異常過熱防止機能が注目されている。すなわち、空焚き防止機能及び異常加熱防止機能は、業務用フライヤーに関連した火災事故や調理作業者の火傷等の怪我を防止するために重要な役割を担っている。
【0004】
特許文献1には、温度センサを有し、ヒータによって加熱された油槽内の温度を監視することによって空焚き状態を検出し、空焚き状態が検出された際にヒータの加熱を停止するフライヤーが記載されている。
【0005】
また、
図8に示すように、フライヤー101の油槽111内に静電容量式の調理油検知センサ113を配設し、油槽111内の静電容量を監視することによって空焚き状態を検知することができる。静電容量式の調理油検知センサ113によって空焚き状態が検知されると、フライヤー101は、ヒータ112の加熱を停止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載された技術によれば、空焚き状態を検出した後にヒータの加熱動作を停止することができる。しかしながら、空焚き状態を検出するまでの間は、調理油が貯留されていないにも関わらずヒータの加熱動作が継続されるため、油槽内に調理油が貯留されていないにもかかわらず、無用な加熱が行われていた。したがって、より早期に、効果的に空焚きを検出するとともに空焚きを防止することが望まれていた。
【0008】
また、
図8に示す静電容量式の調理油検知センサ113によって、ヒータ112の加熱動作を開始する前に調理油の貯留状態を検出することができるものの、調理油検知センサ113の上方部に位置し、静電容量の計測を行うヘッド部(計測処理部115)が油槽111の上方を覆うことにより揚げ物調理作業の邪魔になり、作業性が低下するという問題があった。
また、調理油検知センサ113は、所定の調理温度まで昇温される調理油と、調理油の輻射熱に曝されるため、耐熱性及び耐故障性の向上が望まれていた。
【0009】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、無用な加熱を行うことなくフライヤーの空焚きを防止することができるとともに、揚げ物調理の作業性を低下させることのない調理油検知センサを備えたフライヤーを提供することにある。
また、本発明の他の目的は、ヒータによって加熱された調理油に対して十分な耐熱性及び耐故障性を有する調理油検知センサを備えたフライヤーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題は、本発明のフライヤーによれば、筐体内に取り付けられて、調理油を貯留する油槽と、前記油槽内に収容されて、前記調理油を加熱するヒータと、該ヒータの加熱開始操作を受け付ける操作受付手段と、前記調理油を検知する調理油検知センサと、を備えたフライヤーであって、前記調理油検知センサは、長尺形状を有し、一方の端部に配設された第一電極と、絶縁部材を介して前記第一電極と離隔された第二電極と、を有する電極部と、前記電極部とケーブルを介して接続されて、前記調理油の貯留状態を判定し、該判定結果に基づいて、前記操作受付手段が前記加熱開始操作を受け付けた際に、前記ヒータによる加熱が開始されないように制御し、前記加熱開始操作を無効化する計測処理部と、を有し、前記筐体には、仕切壁によって前記油槽から仕切られた隔離空間が設けられ、前記電極部は前記油槽内に配設され、前記計測処理部は、前記隔離空間内に配設されることにより解決される。
【0011】
前記課題は、本発明のフライヤーの調理油検知センサによれば、筐体内に取り付けられて、調理油を貯留する油槽と、前記油槽内に収容されて、前記調理油を加熱するヒータと、該ヒータの加熱開始操作を受け付ける操作受付手段と、を備えたフライヤーに用いられ、前記調理油を検知する調理油検知センサであって、前記調理油検知センサは、長尺形状を有し、一方の端部に配設された第一電極と、絶縁部材を介して前記第一電極と離隔された第二電極と、を有する電極部と、前記電極部とケーブルを介して接続されて、前記調理油の貯留状態を判定し、該判定結果に基づいて、前記操作受付手段が前記加熱開始操作を受け付けた際に、前記ヒータによる加熱が開始されないように制御し、前記加熱開始操作を無効化する計測処理部と、を有し、前記電極部は前記油槽内に配設され、前記計測処理部は、前記筐体に設けられ、仕切壁によって前記油槽から仕切られた隔離空間内に配設されることにより解決される。
【0012】
上記構成によれば、電極部を有する静電容量式の調理油検知センサによって調理油が貯留されているか否かを判定し、調理油が貯留されていないと判定された場合に、ヒータの加熱が開始されないように制御する。これにより、ヒータによる無用な加熱を行うことなく空焚きを検出して、ヒータの加熱動作に対してインターロック機能を実現することができる。そして、計測処理部は油槽の上方ではなく、筐体に設けられた隔離空間に配設されるため、揚げ物調理作業の作業性の低下を抑制することができる。
また、電極部が油槽内に配設されているのに対して、計測処理部は仕切壁によって油槽と仕切られた隔離空間(制御ボックス)内に配設されているため、計測処理部に対する油槽からの輻射熱の影響を低減することが可能となり、調理油検知センサの耐熱性及び耐故障性を向上させることが可能となる。
【0013】
また、前記ヒータは、前記油槽の下方において水平面状に広がるように配設される加熱部と、前記油槽の内壁に沿って上下方向に延びて、前記加熱部を支持するヒータ支持部と、を有し、前記電極部は、前記ヒータ支持部より前記筐体の前記内壁から離れる方向に突出しない位置において、上下方向に延びていると好適である。
上記構成によれば、電極部は、ヒータ支持部よりも油槽の内壁から離れる方向に突出しない位置に配設されているため、油槽内の揚げ物調理スペースが、電極部によって縮小してしまうことが抑制される。そのため、揚げ物調理における作業性を低下させることなく、調理油の貯留状態を検出することが可能となる。
【0014】
また、前記筐体には、前記ヒータ及び前記調理油検知センサと連結する回動機構が設けられ、前記回動機構は、前記ヒータ及び前記調理油検知センサを、前記油槽内に収容された下降位置と、前記油槽から引き上げられた上昇位置との間で変位させると好適である。
上記構成によれば、回動機構によってヒータが上昇位置に回動された際に、調理油検知センサも上昇位置に回動される。これにより、ヒータが上昇位置にあるとき、調理油検知センサによって調理油が貯留されていないと判定され、ヒータによる加熱が開始されないように制御される。したがって、ヒータが上昇位置にあるときに誤操作によってヒータの加熱が開始されてしまうことを防止することができ、業務用フライヤーの安全性を向上させることが可能となる。
【0015】
また、前記ヒータは、抵抗発熱体と、該抵抗発熱体に対する通電を阻止する接点部を有し、前記計測処理部は、前記接点部を開成させることによって前記ヒータによる加熱が開始されないように制御すると好適である。
上記構成によれば、接点部を開成することによってヒータに対する通電が阻止されるため、簡単な構成でインターロック機能を実現することができ、コストアップを抑制することが可能となる。
【0016】
また、前記計測処理部は、前記調理油検知センサの異常に関する異常検知信号を取得し、前記異常検知信号に基づいて、前記操作受付手段が前記加熱開始操作を受け付けた際に、前記ヒータによる加熱が開始されないように制御すると好適である。
上記構成によれば、計測処理部は、調理油検知センサに異常が発生した際に、異常検知信号に基づいてヒータによる加熱が開始されないように制御するため、異常過熱防止機能が実現され、より安全に揚げ物調理を行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、無用な加熱を行うことなくフライヤーの空焚きを防止することができるとともに、揚げ物調理の作業性を低下させることなく調理油を検出することが可能となる。
また、本発明によれば、ヒータによって加熱された調理油に対して十分な耐熱性及び耐故障性を備えた調理油検知センサを備えたフライヤーを実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態に係るフライヤーの基本構成の説明図である。
【
図2】フライヤー筐体内の部品配置を示す説明図である。
【
図3】調理油検知センサの基本構成の説明図である。
【
図5】フライヤー制御部の機能構成を示す図である。
【
図6】ヒータ制御処理(加熱開始時)の処理の流れを示す図である。
【
図8】従来の調理油検知センサを備えたフライヤーの基本構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、
図1乃至
図7を参照しながら、本発明の実施形態(以下、本実施形態)に係るフライヤー1について説明する。本実施形態に係るフライヤー1は、揚げ物料理を提供する店舗であって、例えばファーストフード店、スーパーマーケット、又はコンビニエンスストアの厨房やバックヤードにおいて利用される業務用フライヤーである。
【0020】
なお、以下に説明する実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。すなわち、以下に説明する部材の形状、寸法、配置等については、本発明の趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
【0021】
<フライヤーの主要構成>
図1及び
図2を参照して、本実施形態に係るフライヤー1の主要構成について説明する。
図1は、フライヤー1の外観を示す斜視図である。フライヤー1は、直方体形状の筐体10と、筐体10の四隅を支持する4本の脚部17から主に構成されている。
筐体10には、調理油を貯留する油槽11が取り付けられている。油槽11は、調理油及び調理物を収容可能な開口部11aを有し、内壁11b及び底壁11cとともに調理油の貯留空間を形成している。油槽11は、耐熱性の高いステンレス鋼に対して板金加工を施すことによって製作されている。
【0022】
図2は、筐体内の部品配置を示している。
図1及び
図2に示すように、油槽11内には、調理油を加熱するヒータ20と、調理油の貯留状態を検知する調理油検知センサ30が収容されている。
ヒータ20は、油槽11の下方に配設された加熱部20aと、上下方向に延びて、下端部において加熱部20aと接続して加熱部20aを支持するヒータ支持部20bと、筐体10のヒーターボックス14と連結する連結部20cと、を有している。
【0023】
加熱部20aは、抵抗発熱体からなり、ジュール熱を発生する熱源である。加熱部20aは、蛇行しながら水平面状に広がるように配設されている。これにより、油槽11内に貯留される調理油を、ムラなく均一に加熱することができる。
なお、「水平面状」とは、必ずしも完全な水平面を形成している必要はなく、上下方向における所定の寸法内で水平方向に広がるように延びる形状を含むこととする。
【0024】
ヒータ支持部20bは、内壁11bに沿って上下方向に延びて、下端部において加熱部20aに接続し、加熱部20aを支持している。そしてヒータ支持部20bは、上端部において連結部20cを介して筐体10のヒーターボックス14に対して固定されている。ヒータ支持部20b及び連結部20cは、中空のパイプ状体である。ヒータ支持部20b及び連結部20cの内部には、加熱部20aに対して電気エネルギーを供給する導電線が延びている。
【0025】
調理油検知センサ30は、長尺形状を有し、上下方向に延びる電極部31と、後述する計測処理部32(
図3を参照)を有している。
電極部31は、調理者から見て左右方向においてヒータ20のヒータ支持部20bに挟まれる位置に配設されている。そして電極部31は、ヒータ支持部20bが配設されている側の内壁11bから所定の間隔を隔てた位置に配設されている。このように内壁11bから所定の間隔を隔てて電極部31を配設ことによって、内壁11bの影響を受けることなく油槽11内に貯留された調理油の静電容量を計測することが可能となる。そして電極部31は、ヒータ支持部20bより内壁11bから離れる方向に突出しない位置に配設されている。これにより、油槽11内の揚げ物調理スペースが電極部31によって縮小してしまうことがないため、調理作業者は、広い揚げ物調理スペースを利用して揚げ物調理をすることが可能となる。
【0026】
図2に示すように、油槽11の底壁11cには、調理油を排出するためのドレン管12が接続されている。調理作業者は、ドレン管12の下端に配設されたドレン弁を開成することによってドレン管12から油槽11に貯留された調理油を排出することができる。
ドレン管12の下方には、排出された調理油を貯留するための貯留タンクが設置されていてもよい。
【0027】
筐体10の背面側には、上方に突出するヒーターボックス14が、水平方向に延びるように形成された回動軸15を中心に回動可能に設けられている。調理作業者は、回動レバー13を回動操作することによって、回動軸15を中心にヒーターボックス14を回動させることができる。これにより、ヒーターボックス14に対して固定されたヒータ20及び調理油検知センサ30を回動させて、油槽11に収容された下降位置と、油槽11から引き上げられた上昇位置との間で変位させることができる。
図2において、ヒータ20及び調理油検知センサ30の下降位置は、実線で描かれている。そしてヒータ20及び調理油検知センサ30の上昇位置は、一点鎖線で描かれている。
調理作業者が、ヒータ20及び調理油検知センサ30を上昇位置に位置させることによって、油槽11内に浮遊する油カスの清掃作業を行うことが容易になる。回動レバー13、ヒーターボックス14、及び回動軸15は、回動機構に相当する。
【0028】
調理油検知センサ30の電極部31は、ヒータ20とともにヒーターボックス14に固定されている。したがって、調理作業者が回動レバー13を操作すると、ヒータ20とともに調理油検知センサ30も、下降位置から上昇位置に回動しながら変位する。
このように、調理油検知センサ30をヒータ20とともに上昇させることによって、ヒータ20が上昇した状態(例えば油槽11の清掃中)で、後述する計測処理部32は、調理油が貯留されていないと判定する。これにより、ヒータ20の加熱動作が開始されてしまうことを防止することができ、フライヤー1を使用した調理作業の安全性を向上させることが可能となる。
【0029】
ヒーターボックス14の下端には、ヒーターボックス14の回動角を規制するストッパー(不図示)が取り付けられている。ストッパーによって、ヒータ20と調理油検知センサ30は、上昇位置又は下降位置に静止した状態で保持される。そのため、不用意にヒータ20と調理油検知センサ30が回動することが抑制され、揚げ物調理作業者が安心して調理を行うことが可能となる。
【0030】
筐体10の前面10aには、操作パネル16が配設されている。操作パネル16には、表示器及び複数の操作ボタンが配設されている。
表示器は、液晶表示器(LCD)、発光ダイオード(LED)、又は7セグメント表示器である。表示器には、調理油の温度及び調理時間が表示されるが、これに限定されない。表示器には、フライヤー1の通電状態(電源ON/OFF)が表示されてもよい。
操作ボタンは、フライヤー1に対する指示を入力するための操作入力手段である。調理作業者は、操作ボタンを押下することによって、フライヤー1に対する加熱開始、及び加熱停止の操作を入力することができる。また、調理作業者は、自動調理機能を利用して揚げ物料理を行うための設定情報を入力することもできる。操作パネル16は、操作受付手段に相当する。
【0031】
図2に示すように、筐体10内であって、操作パネル16の開閉板18aの内側には、制御ボックス18が設けられている。制御ボックス18は、筐体10の内部において仕切壁18bによって油槽11から仕切られた隔離空間を形成している。制御ボックス18内の空間には、フライヤー制御部21及び計測処理部32が収容されている。このようにフライヤー制御部21及び計測処理部32を仕切壁18bによって油槽11から隔離することによって、油槽11の輻射熱によってフライヤー制御部21及び計測処理部32が高温に曝されることを抑制している。
ここで、油槽11及び仕切壁18bの壁面は、断熱シート等の断熱性部材によって被覆されていてもよい。これにより、油槽11の輻射熱による影響を低減することができ、制御ボックス18内に配設されたフライヤー制御部21及び計測処理部32の耐熱性を向上することが可能となる。
【0032】
フライヤー制御部21は、プロセッサと、不揮発性記憶回路と、揮発性記憶回路を主な構成として有している。フライヤー制御部21のプロセッサは、不揮発性記憶回路に記憶された調理プログラムを実行することによってヒータ20を加熱制御する。換言すると、調理作業者が操作パネル16に対して、揚げ物メニューや調理時間を操作入力することによって、プロセッサが調理プログラムを実行し、揚げ物自動調理が行われる。フライヤー制御部21が有する機能については、
図5を参照して後述する。
【0033】
計測処理部32は、プロセッサと、不揮発性記憶回路と、揮発性記憶回路を、主な構成として有している。計測処理部32のプロセッサは、電極部31の出力に基づいて油槽11に調理油が貯留されているか否かを判定する。また、プロセッサは、調理油検知センサ30の異常の有無を判定する。そしてプロセッサは、調理油の判定結果及び異常判定結果に基づいて、ヒータ20の加熱部20aによる加熱が開始されないように制御する。これにより油槽11に調理油が貯留されていない状態でヒータ20が加熱されてしまう状態(いわゆる空焚き)が防止されるとともに、フライヤー1の異常過熱を防止することが可能となる。計測処理部32が有する機能については、
図4を参照して後述する。
【0034】
以上のように構成されたフライヤー1の動作について説明すると、調理作業者は、まず油槽11に調理油を貯留する。続いて調理作業者は、操作パネル16を操作してヒータ20を加熱することによって、調理油を所定の調理温度に昇温させる。そして調理作業者は、金属製のバスケットに入った被調理物を、油槽11内に沈下して調理油に浸漬させる。所定の調理時間が経過した後に、バスケットを油槽11から引き出すことによって一連の揚げ物料理は終了する。
【0035】
ここで油槽11内には、調理油検知センサ30が配設されており、油槽11内に調理油が貯留されているか否かを検出することができる。したがって、調理作業者が操作パネル16を操作してヒータ20を加熱するように操作すると、調理油検知センサ30は、調理油の有無を判定する。そして調理油が貯留されていないと判定された場合、ヒータ20による加熱が開始されないように制御する。調理油検知センサ30は、ヒータ20を加熱させることなく調理油が貯留されていない状態を検出することができる。これにより、効果的に空焚きを防止するインターロック機能が実現される。
【0036】
<調理油検知センサ30について>
次に、調理油検知センサ30について、
図3を参照して説明する。
図3は、静電容量式の流体検知センサである調理油検知センサ30の主要構成を説明するための模式図である。調理油検知センサ30は、電極部31と、ケーブル33を介して電極部31と接続される計測処理部32を有している。電極部31と計測処理部32の間に、接続端子が介在してもよい。
【0037】
電極部31は、長尺形状を有し、一方の端部に配設された第一電極31aと、絶縁部31cを介して第一電極31aから離隔した第二電極31bを有している。後述するように、計測処理部32は、電極部31に対して予め設定された共振周波数の交流電圧を印加し、第一電極31a及び第二電極31bの出力信号に基づいて、油槽11内に調理油が貯留されているか否かを判定する。
【0038】
電極部31は、
図1及び
図2を参照して説明したように、油槽11内に配設される。電極部31は、長尺形状を有し、適正な量の調理油が貯留された状態の油槽内に収容されると、調理油に浸漬する。
【0039】
第一電極31a及び第二電極31bは、油槽11と同じステンレス製部材であるが、これに限定されない。第一電極31a及び第二電極31bは、ヒータ20によって加熱される調理油の上限温度(例えば250度)に対して十分な耐熱性を有していればよく、クロム及びニッケルの少なくとも一方を含有する合金製部材であってもよい。
【0040】
絶縁部31cは、第一電極31a及び第二電極31bの間に介在している。絶縁部31cは、PTFE製部材であるが、これに限定されない。絶縁部31cは、調理油の上限温度に対して十分な耐熱性を有していればよく、PTFE以外のフッ素樹脂製部材であってもよい。絶縁部31cは、絶縁部材に相当する。
【0041】
電極部31及び計測処理部32を電気的に接続するケーブル33は、フッ素樹脂によって被覆された導電線であるが、これに限定されない。ケーブル33は、調理油の輻射熱に対して十分な耐熱性を有していればよく、例えばガラス繊維によって被覆された導電線であってもよい。
【0042】
計測処理部32は、調理作業者が調理開始操作を行った際に、電極部31に対して共振周波数からなる交流電圧を印加することによって、調理油の貯留状態(非貯留状態)を判定する。そして調理油の貯留量が適正ではないと判定した場合、ヒータ20による加熱が開始されないように制御する。これにより、調理作業者による調理開始操作は、無効化される。換言すると、計測処理部32によって、フライヤー1の加熱動作に係るインターロック機能が実現される。インターロック機能については後述する。
【0043】
計測処理部32は、
図2を参照して説明したように、筐体10内の制御ボックス18内に配設される。計測処理部32を、筐体10内において仕切壁18bによって仕切られた隔離空間内に配設することによって、高温に昇温した油槽11に対して十分な耐熱性を確保することが可能となる。ここで、仕切壁18bを断熱材によって被覆することにより、計測処理部32の耐熱性をさらに向上させることができる。また計測処理部32を耐熱性の樹脂に封入してもよい。これにより、計測処理部32の耐熱性をさらに向上させることができる。
【0044】
<計測処理部32の機能構成について>
次に、計測処理部32の機能構成について説明する。
図4は、計測処理部32の機能構成を示している。
図4に示すように、計測処理部32は、その機能構成として、調理油判定部32aと、異常検知信号取得部32bと、異常判定部32cと、リレー制御部32dと、を有している。
調理油判定部32aは、第一電極31aと第二電極31bの間の電位差を取得して、油槽11内に適正量の調理油が貯留されているか否かを判定する。以下では、調理油が貯留されているか否かの判定方法について説明するが、調理油以外の液体(例えば、水)の判定方法も同様である。
【0045】
第一電極31a及び第二電極31bは、LCR共振回路の構成要素とみなすことができる。換言すると、第一電極31a及び第二電極31bの間に共振周波数からなる交流電圧を印加すると、第一電極31aと第二電極31bの間のインピーダンスが極大となり、第一電極31aと第二電極31bの間の高周波電圧も極大値をとる。計測処理部32は、調理油の有無によって共振周波数が変化したときに、第一電極31aと第二電極31bの間の電位差が大きく変化することを利用して、調理油が貯留されているか否かを判定する。
【0046】
調理油が油槽11に貯留されていない状態における共振周波数は、予め取得しておくこととする。そして、調理作業者が調理開始操作を行うと、調理油判定部32aは、第一電極31aと第二電極31bとの間に共振周波数成分からなる交流電圧を印加する。そして調理油判定部32aは、第一電極31aと第二電極31bとの間に生じる電位差を、所定の閾値と比較することによって、調理油の有無を判定する。仮に、油槽11に調理油が貯留されていない場合、上述したインピーダンスが極大の状態における高周波電圧が出力される。一方、油槽11に調理油が貯留されている場合、空気の静電容量と調理油の静電容量は異なるため、共振周波数が変化し、第一電極31aと第二電極31bとの間に生じる電位差は小さい値をとる。
なお、調理油は、空気に対して約4倍大きな比誘電率を有している。そして水は、空気に対して約80倍大きな比誘電率を有している。これにより、油槽11に調理油が貯留された状態、油槽11に水が貯留された状態、及び油槽11に料理油も水も貯留されていない状態を判別することが可能となる。
【0047】
このように、調理油判定部32aは、共振周波数からなる交流電圧を印加した際に得られる電位差に基づいて、油槽11内に調理油、又は水が貯留されているか否かを判定する。
調理油判定部32aは、電極部31の出力信号を増幅する増幅回路、アナログ信号をディジタル信号に変換するADC(アナログ・ディジタル変換器)、交流信号の振幅値を取得する検波回路、及びノイズ成分を除去するフィルター回路を有していてもよい。
【0048】
異常検知信号取得部32bは、調理油検知センサ30の異常に関する異常検知信号を取得する。異常検知信号は、ケーブル33の断線を検知する断線検知信号、又は第一電極31aと第二電極31bの間の絶縁異常を検知する絶縁異常検知信号であってもよい。また、異常検知信号は、調理油検知センサ30の自己診断結果を示す自己診断信号であってもよい。
【0049】
異常判定部32cは、異常検知信号取得部32bが取得した異常検知信号に基づいて、調理油検知センサ30の異常の有無を判定する。計測処理部32が、電極部31の出力信号とは異なる異常検知信号に基づいて調理油検知センサ30の異常の有無を判定することによって、調理油検知センサ30の異常が原因となる空焚きや異常過熱を防止することが可能となる。
ここで、従来の流体検知センサは、異常発生時において流体が貯留されていることを示す信号を出力していた。換言すると、従来の流体検知センサを調理油検知センサ30として採用すると、センサに異常が発生したにもかかわらず、調理油が貯留されているとしてヒータ20が加熱され、異常過熱状態となる虞があった。そこで、異常検知信号取得部32b、異常判定部32c及び後述するリレー制御部32dによれば、異常検知信号を取得した際にヒータ20による加熱が開始されないように制御するため、異常過熱の発生を抑制することが可能となる。
【0050】
リレー制御部32dは、調理作業者によってヒータ20の加熱開始操作が行われた際に、調理油判定部32aによって油槽11に調理油が貯留されていないと判定された場合、ヒータ20の加熱が開始されないように制御する。
具体的に説明すると、リレー制御部32dは、リレーを構成するコイルに電流を流すことによって、ヒータ20の接点部20d(
図7を参照)を開成させる。これにより、ヒータ20に対して通電されず、ヒータ20の加熱動作は開始しない。
【0051】
そしてリレー制御部32dは、調理作業者によってヒータ20の加熱開始操作が行われた際に、異常判定部32cよって調理油検知センサ30の異常が判定された場合、ヒータ20の加熱が開始されないように制御する。
このように、リレー制御部32dによって、ヒータ20の加熱制御に対するインターロック機能が実現される。
【0052】
<フライヤー制御部21の機能構成について>
次に、フライヤー制御部21の機能構成について説明する。
図5は、フライヤー制御部21の機能構成を示している。
図5に示すように、フライヤー制御部21は、その機能構成として、操作受付部21aと、温度取得部21bと、ヒータ駆動部21cと、を有している。
操作受付部21aは、操作パネル16に対する操作入力を受け付ける。操作受付部21aは、操作パネル16を介して入力される設定情報、加熱開始操作、加熱終了操作の入力を受け付ける。操作受付部21aは、操作受付手段に相当する。
【0053】
温度取得部21bは、油槽11内に配設された温度センサ(不図示)が出力する調理油の温度信号を取得する。
ヒータ駆動部21cは、操作受付部21aが受け付けた操作入力と、温度取得部21bが取得した温度信号に基づいて、ヒータ20の加熱制御を行う。ヒータ駆動部21cは、予め記憶された加熱制御プログラムに基づいて、ヒータ20の加熱制御を行ってもよい。
【0054】
<ヒータ制御処理の流れについて>
次に、ヒータ制御処理の流れについて説明する。
図6は、フライヤー制御部21及び計測処理部32によって実行されるヒータ制御処理であって、特に加熱開始時の処理の流れを示している。
最初に、フライヤー制御部21は、操作パネル16を介して加熱開始操作が入力されたか否かを判定する(ステップS10)。ここでフライヤー制御部21は、タイマー等によって予め設定された加熱開始タイミングが到来したか否かを判定してもよい。
【0055】
加熱開始操作が入力されたと判定されなかった場合(ステップS10:No)、フライヤー制御部21は、加熱開始操作が入力されるまで待機する。
加熱開始条件が成立した場合(ステップS10:Yes)、計測処理部32の調理油判定部32aは、油槽11内に調理油が貯留されているか否かを判定する(ステップS11)。
【0056】
調理油が貯留されていると判定された場合(ステップS11:Yes)、計測処理部32の異常判定部32cは、調理油検知センサ30の異常の有無を判定する(ステップS12)。
異常が無いと判定された場合(ステップS12:No)、リレー制御部32dは、リレーを構成するコイルに電流を流すことにより接点部20dを閉成する。そしてフライヤー制御部21は、ヒータ20による加熱を開始して(ステップS13)、処理を終了する。
【0057】
一方、調理油が貯留されていないと判定された場合(ステップS11:No)、及び異常が有ると判定された場合(ステップS12:Yes)、リレー制御部32dは、コイルに電流を流すことことなく接点部20dの開成状態を維持する。これにより、調理作業者による加熱開始操作がインターロック機能により無効化され、ヒータ20による加熱が開始されることなく処理が終了する。
【0058】
図7は、ヒータ20に対する通電回路を示している。
図7に示すように、ヒータ20は、抵抗発熱体からなる加熱部20aと、加熱部20aに流れる電流を阻止する接点部20dを有している。加熱部20aは、三相電源Pから供給される電気エネルギーによって電流が流れると、ジュール熱を発生する。なお、電源は三相電源Pに限定されない。抵抗発熱体からなる加熱部20aに対して電流を供給することができればよく、単相電源を採用してもよい。
【0059】
接点部20dは、通常状態において閉成している。したがって、調理作業者によって操作パネル16を介して調理開始の操作が入力されると、加熱部20aに電流が流れてヒータ20の加熱動作が開始する。
一方、調理作業者によって調理開始の操作が入力された際に、調理油が貯留されていない場合、接点部20dは開成される。そのため、ヒータ20の加熱動作は開始されない。
【0060】
以上、本発明の一実施形態に係るフライヤー1について説明してきたが、上述した実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。すなわち、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
【0061】
上述した実施形態では、調理油検知センサ30は、筐体10内の制御ボックス18に配設されていることとして説明したが、本発明はこれに限定されない。調理油検知センサ30は、調理油及び油槽11の輻射熱による影響を低減することができる位置に配設されていればよく、仕切壁18bによって油槽11から仕切られた隔離空間内に配設されていると好適である。例えば、調理油検知センサ30は、筐体10の上方に設けられたヒーターボックス14内に配設されてもよい。また、制御ボックス18を筐体10の外側面に対して固定し、制御ボックス18内の空間に調理油検知センサ30を配設してもよい。
【0062】
上述した実施形態では、調理油検知センサ30は、ヒーターボックス14に対して固定されていることとして説明したが、本発明はこれに限定されない。調理油検知センサ30は、油槽11の内壁11bに対して固定されていてもよい。この場合、調理作業者が回動レバー13を操作してヒーターボックス14を回動させても、調理油検知センサ30は回動しない。したがって、回動操作に伴ってケーブル33が変形することがないため、ケーブル33の断線等の損傷の発生を抑制することが可能となる。
【0063】
上述した実施形態では、加熱部20aは、抵抗発熱体からなる電気加熱式の加熱部20aであることとして説明したが、これに限定されない。加熱部20aは、油槽11に貯留された調理油を所定の調理温度まで昇温することができればよく、例えばガス燃焼式、誘導加熱式又は遠赤外線式の加熱部20aが採用されてもよい。
【0064】
上述した実施形態では、フライヤー制御部21と計測処理部32が別体で構成されていることとして説明したが、本発明はこれに限定されない。フライヤー制御部21が有する機能と、計測処理部32が有する機能を、単一の制御部によって実現してもよい。また、フライヤー制御部21及び計測処理部32が有する機能の一部を、他の制御基板に実装されたプロセッサによって実現してもよい。
【0065】
上述した実施形態では、調理油検知センサ30が異常検知信号を取得し、異常が有ると判定した場合にヒータ20による加熱が開始されないように制御することとして説明したが、本発明はこれに限定されない。フライヤー制御部21が異常検知信号を取得し、異常が有ると判定した場合にヒータ20による加熱が開始されないように制御してもよい。
【0066】
上述した実施形態では、調理油の貯留状態を判定し、判定結果に基づいてヒータ20による加熱が開始されないように制御する調理油検知センサ30を備えたフライヤー1について説明したが、これに限定されない。本発明を、流体(例えば水)の貯留状態を判定し、判定結果に基づいて加熱が開始されないように制御する流体検知センサを備えた加熱調理装置に適用してもよい。
【符号の説明】
【0067】
1 フライヤー
10 筐体
10a 前面
11 油槽
11a 開口部
11b 内壁
11c 底壁
12 ドレン管
13 回動レバー(回動機構)
14 ヒーターボックス(回動機構)
15 回動軸(回動機構)
16 操作パネル(操作受付手段)
17 脚部
18 制御ボックス
18a 開閉板
18b 仕切壁
20 ヒータ
20a 加熱部
20b ヒータ支持部
20c 連結部
20d 接点部
21 フライヤー制御部
21a 操作受付部
21b 温度取得部
21c ヒータ駆動部
30 調理油検知センサ
31 電極部
31a 第一電極
31b 第二電極
31c 絶縁部(絶縁部材)
32 計測処理部
32a 調理油判定部
32b 異常検知信号取得部
32c 異常判定部
32d リレー制御部
33 ケーブル
101 フライヤー
111 油槽
112 ヒータ
113 調理油検知センサ
115 計測処理部
P 三相電源
【要約】
【課題】無用な加熱を行うことなくフライヤーの空焚きを防止することができるとともに、揚げ物調理作業の作業性を低下させることのない調理油検知センサを備えたフライヤーを提供する。
【解決手段】
筐体10内に取り付けられて、調理油を貯留する油槽11と、調理油を加熱するヒータ20と、加熱開始操作を受け付ける操作パネル16を備えたフライヤー1であって、調理油検知センサ30を備えている。調理油検知センサ30は、長尺形状を有し、一方の端部に配設された第一電極と、第一電極から離隔された第二電極と、を有する電極部と、調理油の貯留状態を判定し、判定結果に基づいて、操作パネル16が加熱開始操作を受け付けた際に、ヒータ20による加熱が開始されないように制御する計測処理部と、を有し、筐体10には、電極部は油槽11内に配設され、計測処理部は仕切壁によって油槽11から仕切られた隔離空間内に配設される。
【選択図】
図1