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  • 特許-シリンダ装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-13
(45)【発行日】2022-09-22
(54)【発明の名称】シリンダ装置
(51)【国際特許分類】
   F16F 9/46 20060101AFI20220914BHJP
   B61F 5/24 20060101ALI20220914BHJP
   F16F 15/02 20060101ALI20220914BHJP
   F16F 15/023 20060101ALI20220914BHJP
   F15B 11/02 20060101ALI20220914BHJP
【FI】
F16F9/46
B61F5/24 F
F16F15/02 B
F16F15/023 A
F15B11/02 F
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022022587
(22)【出願日】2022-02-17
【審査請求日】2022-05-10
(31)【優先権主張番号】P 2021095910
(32)【優先日】2021-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000929
【氏名又は名称】KYB株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122323
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 憲
(72)【発明者】
【氏名】山崎 晋平
【審査官】鵜飼 博人
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第02133576(EP,A2)
【文献】特開2002-257179(JP,A)
【文献】特開2017-226339(JP,A)
【文献】特開2016-084841(JP,A)
【文献】国際公開第2018/084099(WO,A1)
【文献】特開2015-158255(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 9/00- 9/58
B61F 5/24
F16F 15/00- 15/36
F15B 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダと、前記シリンダ内に移動可能に挿入されるロッドと、前記シリンダ内に移動可能に挿入されるとともに前記ロッドに連結されて前記シリンダ内をロッド側室とピストン側室とに区画するピストンとを有する伸縮ユニットと、
タンクと、
前記シリンダと前記タンクとの間に設けられるとともに、前記タンクから前記シリンダに液体を供給可能なポンプとを有して前記伸縮ユニットを伸縮駆動させ得るアクチュエータ回路と、
前記ロッド側室と前記ピストン側室とを連通する伸側通路と、前記伸側通路に設けられて前記ロッド側室から前記ピストン側室へ向かう液体の流れに抵抗を与える伸側リリーフ弁と、前記ピストン側室と前記タンクとを連通する圧側排出通路と、前記圧側排出通路に設けられて前記ピストン側室から前記タンクへ向かう液体の流れに抵抗を与える圧側リリーフ弁と、前記タンクと前記ピストン側室とを連通する吸込通路と、前記吸込通路に設けられて前記タンクから前記ピストン側室へ向かう液体の流れを許容する吸込チェック弁とを含むダンパ回路と、
前記圧側排出通路を開閉可能であって、前記ポンプを駆動するアクチュエータモード時に前記圧側排出通路を遮断し、前記ポンプを停止させるダンパモード時に前記圧側排出通路を開放する開閉装置とを備えた
ことを特徴とするシリンダ装置。
【請求項2】
前記開閉装置は、前記圧側排出通路に設けられて前記圧側排出通路を開閉する常開型の開閉弁を有し、
前記開閉弁は、前記ポンプの駆動時に吐出される液体の圧力に基づき閉弁する
ことを特徴とする請求項1に記載のシリンダ装置。
【請求項3】
前記アクチュエータ回路は、開弁圧を調整可能であって、前記開弁圧の調整によって前記ポンプから前記シリンダ内に供給される液体の圧力を調整する可変リリーフ弁を有し、
前記伸側リリーフ弁の開弁圧は、前記可変リリーフ弁が前記アクチュエータモード時に採り得る最大開弁圧より高い
ことを特徴とする請求項1または2に記載のシリンダ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリンダ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シリンダ装置は、推力を発揮し、推力を作用させる対象を駆動したり、対象の変位を助成したり、前記対象の振動を抑制したりする。たとえば、鉄道車両における車体を対象とする場合、シリンダ装置は、鉄道車両の車体と台車との間に水平に介装されて、車体の進行方向に対して左右方向の振動を抑制する目的で使用される。また、シリンダ装置には、たとえば、積極的に推力を車体へ与えて車体の振動を抑制するアクチュエータとしても、車体の振動によって伸縮する際に減衰力を発生して車体の振動を抑制するダンパとしても機能できるものがある。
【0003】
このようなシリンダ装置は、たとえば、シリンダと、シリンダ内に移動自在に挿入されるロッドと、シリンダ内に移動可能に挿入されるとともにロッドに連結されるとともにシリンダ内を作動油が充填されたロッド側室とピストン側室とに区画するピストンと、作動油を貯留するタンクと、ロッド側室とピストン側室とを連通する第1通路に設けた第1開閉弁と、ピストン側室とタンクとを連通する第2通路に設けた第2開閉弁と、ロッド側室へ液体を供給するポンプと、ポンプを駆動するモータと、ロッド側室とタンクとを連通する排出通路と、排出通路に設けた開弁圧を変更可能な可変リリーフ弁と、ピストン側室からロッド側室へ向かう液体の流れのみを許容する整流通路と、タンクからピストン側室へ向かう液体の流れのみを許容する吸込通路とを備えている(たとえば、特許文献1参照)。
【0004】
このように構成されたシリンダ装置は、ポンプを停止して第1開閉弁と第2開閉弁とを閉弁させるとダンパモードとなり、外力を受けて伸縮作動すると作動油がタンク、圧側室、伸側室を順番に巡ってタンクへ到達するユニフロー型のダンパとして機能する。そして、シリンダ装置は、伸縮作動時にシリンダ内から排出通路を通じてタンクへ排出される作動油の流れに可変リリーフ弁により抵抗を与えて、伸縮を妨げる減衰力を発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-060438号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述したように従来のシリンダ装置は、必要に応じてアクチュエータとしてもダンパとしても機能できるが、ダンパモードでは、ユニフロー型のダンパとして機能する。ダンパモードのシリンダ装置では、伸長作動時に縮小するロッド側室内から作動油が可変リリーフ弁を通じてタンクに排出されるとともに拡大するピストン側室には吸込通路を介してタンクから作動油が供給される。よって、ダンパモードのシリンダ装置は、伸長作動する場合、ピストンのロッド側室に臨む受圧面に可変リリーフ弁によって上昇するロッド側室内の圧力が作用し、ピストンのピストン側室に臨む受圧面にタンク圧が作用する。タンク圧を0と看做すと伸長作動時のダンパモードのシリンダ装置は、ロッド側室内の圧力にピストンのロッド側室側の受圧面積を乗じた値の減衰力を発生する。
【0007】
他方、ダンパモードのシリンダ装置が収縮作動を呈すると、縮小されるピストン側室から整流通路を通じてロッド側室へ作動油が移動するとともに、シリンダ内にロッドが侵入する体積分の作動油がシリンダ内から可変リリーフ弁を通じてタンクへ排出される。よって、ダンパモードのシリンダ装置は、収縮作動する場合、ピストンのロッド側室側の受圧面積とピストン側室側の受圧面とにそれぞれ等しく可変リリーフ弁によって昇圧されたシリンダ内の圧力が作用する。ピストンのロッド側室側の受圧面積とピストン側室側の受圧面積との差は、ロッドの断面積に等しいので、収縮作動時のダンパモードのシリンダ装置は、シリンダ内の圧力にロッドの断面積を乗じた値の減衰力を発生する。
【0008】
シリンダ装置は、車体の台車に対する左右方向の振動を抑制するものであるから、伸長作動時の減衰力と収縮作動時の減衰力とに偏りがあると伸縮を繰り返すうちに、台車に対して車体が減衰力の小さい方の作動方向へ偏ってしまって好ましくない。そこで、ユニフロー型のダンパとして機能するシリンダ装置は、ロッドの断面積をピストンの断面積の二分の一に設定して、伸長作動しても収縮作動してもシリンダ内でのストローク量が同じであれば等しい流量の作動油が可変リリーフ弁を通過するようにしており、伸長作動時と収縮作動時とで等しい減衰力を発生可能とされている。このように従来のシリンダ装置では、ロッド径とピストン径とに設計上の制約がある。
【0009】
ここで、シリンダ装置の作動媒体である作動油は、粘弾性を有しており、シリンダ装置の減衰係数を高くして大きな減衰力を発生させるには、油柱剛性を高くする必要がある。油柱剛性を高くするには、ピストンの受圧面積を大きくする必要があるので、シリンダ径を大きくすればよいのであるが、そうするとロッド径も大きくなって鉄道車両の他の機器との干渉する恐れがあって、シリンダ径の大径化は難しい。
【0010】
他方、伸長時にロッド側室からピストン側室へ移動する作動油の流れに伸側のリリーフ弁で抵抗を与えて伸側減衰力を発生し、収縮時にピストン側室からタンクへ移動する作動油の流れに圧側のリリーフ弁で抵抗を与えて圧側減衰力を発生するバイフロー型のダンパでは、伸側減衰力と圧側減衰力とをそれぞれ伸側のリリーフ弁と圧側のリリーフ弁で任意に設定できるので、シリンダ径の大型化を招かずに減衰係数を高くできる。しかしながら、バイフロー型のダンパでは、ピストン側室に作動油を供給すると圧側のリリーフ弁からタンクへ作動油が逃げてしまってアクチュエータとして利用することが難しい。
【0011】
このように、従来のシリンダ装置では、減衰係数を高くしようとするとシリンダ装置の大型化を招いてしまうかアクチュエータとしての利用に問題が生じるといった不具合がある。なお、このような問題は、鉄道車両用に使用されるシリンダ装置に限った話ではなく、シリンダ装置が推力を作用させる対象が鉄道車両以外の車両、構造物や機械等である場合も同様であって、減衰係数を高くしようとするとシリンダ装置の大型化を招いてしまうかアクチュエータとしての利用に問題が生じる。
【0012】
そこで、本発明は、大型化を招かずにアクチュエータとしての機能を発揮しつつも、ダンパとして機能する際に減衰係数を向上できるシリンダ装置の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のシリンダ装置は、シリンダと、シリンダ内に移動可能に挿入されるロッドと、シリンダ内に移動可能に挿入されるとともにロッドに連結されてシリンダ内をロッド側室とピストン側室とに区画するピストンとを有する伸縮ユニットと、タンクと、シリンダとタンクとの間に設けられるとともにタンクからシリンダに液体を供給可能なポンプとを有して伸縮ユニットを伸縮駆動させ得るアクチュエータ回路と、ロッド側室とピストン側室とを連通する伸側通路と、伸側通路に設けられてロッド側室からピストン側室へ向かう液体の流れに抵抗を与える伸側リリーフ弁と、ピストン側室とタンクとを連通する圧側排出通路と、圧側排出通路に設けられてピストン側室からタンクへ向かう液体の流れに抵抗を与える圧側リリーフ弁と、タンクとピストン側室とを連通する吸込通路と、吸込通路に設けられてタンクからピストン側室へ向かう液体の流れを許容する吸込チェック弁とを含むダンパ回路と、圧側排出通路を開閉可能であって、ポンプを駆動するアクチュエータモード時に前記圧側排出通路を遮断し、ポンプを停止させるダンパモード時に前記圧側排出通路を開放する開閉装置とを備えている。
【0014】
このように構成された本実施の形態のシリンダ装置は、アクチュエータとしてもダンパとしても機能できるとともに、ダンパとして機能する際に、伸長作動時の減衰力特性と収縮作動時の減衰力特性とを、ロッドの径とシリンダの径の設定によらず、伸側リリーフ弁と圧側リリーフ弁との設定によって同一の特性に設定できる。
【0015】
つまり、本実施の形態のシリンダ装置では、シリンダの径を大径化する代わりにロッドの径を強度の許す範囲で小径化しても、ダンパとして機能する際に伸長作動時の減衰力特性と収縮作動時の減衰力特性とを同一に設定できる。このように、シリンダの径を大径化する代わりにロッドの径を強度の許す範囲で小径化すれば、伸縮ユニット内の液体の液柱剛性を高めることができるため、シリンダ装置は、減衰係数を高めてダンパとして機能する際に応答性よく高い減衰力を発生できる。
【0016】
また、シリンダ装置は、開閉装置が圧側排出通路に設けられて圧側排出通路を開閉する常開型の開閉弁を備え、開閉弁がポンプの駆動時に吐出される液体の圧力に基づき閉弁するように構成されてもよい。このように構成されたシリンダ装置によれば、ポンプの駆動と停止の切り換えによって、自動的にアクチュエータモードとダンパモードとに切り換わるので開閉弁をソレノイドで切り換える必要が無くなり安価となる。
【0017】
さらに、シリンダ装置は、アクチュエータ回路が開弁圧を調整可能であって開弁圧の調整によってポンプからシリンダ内に供給される液体の圧力を調整する可変リリーフ弁を有し、伸側リリーフ弁の開弁圧は可変リリーフ弁がアクチュエータモード時に採り得る最大開弁圧より高くなるように設定されてもよい。このように構成されたシリンダ装置によれば、アクチュエータとして機能する場合、ポンプからシリンダ内に供給される液体をロッド側室からピストン側室へ逃がさないので効率よく収縮側の推力を発生できるとともにエネルギ消費も低減される。
【発明の効果】
【0018】
本発明のシリンダ装置によれば、大型化を招かずにアクチュエータとしての機能を発揮しつつも、ダンパとして機能する際に減衰係数を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1の実施の形態におけるシリンダ装置の概略図である。
図2】一実施の形態におけるシリンダ装置を鉄道車両の車体と台車との間に介装した状態を示す図である。
図3】第2の実施の形態におけるシリンダ装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図に示した各実施の形態に基づき、本発明を説明する。各実施の形態のシリンダ装置において、共通の符号が付された部材、部品は、同一の構成を備えている。よって、説明の重複を避けるため、一つの実施の形態のシリンダ装置の説明中で詳細に説明した構成については、他の実施の形態のシリンダ装置の説明では詳しい説明を省略する。なお、本発明のシリンダ装置を説明にあたり、各実施の形態では、鉄道車両に適用されたシリンダ装置を例にして説明しているが、本発明のシリンダ装置は、鉄道車両以外の車両、構造物や建築物、さらには機械等を対象として、当該対象の駆動や振動の抑制にも利用可能である。
【0021】
<第1の実施の形態>
第1の実施の形態におけるシリンダ装置C1は、図1に示すように、伸縮ユニット1と、タンク7と、アクチュエータ回路A1と、ダンパ回路D1と、開閉装置としての開閉弁34とを備えて構成されている。このシリンダ装置C1は、本実施の形態では、図2に示すように、2つ並列して鉄道車両Tの車体Sと台車Bとの間に介装されて使用されており、車体Sの水平方向の振動を抑制するが、1つが車体Sと台車Bとの間に介装されて使用されてもよい。
【0022】
以下、シリンダ装置C1の各部について説明する。伸縮ユニット1は、シリンダ2と、シリンダ2内に移動可能に挿入されるロッド3と、シリンダ2内に移動可能に挿入されるとともにロッド3に連結されてシリンダ2内をロッド側室5とピストン側室6とに区画するピストン4とを備えている。
【0023】
また、ロッド側室5とピストン側室6には液体として作動油が充填されており、また、タンク7には、作動油のほかに気体が充填されている。液体は、作動油以外にも、水や水溶液を使用することも可能である。なお、タンク7内は、特に、気体を圧縮して充填することによって加圧状態とする必要は無いが、加圧状態としてもよい。
【0024】
シリンダ2は筒状であって、その図1中右端は蓋19によって閉塞され、図1中左端には環状のロッドガイド20が取り付けられている。また、ロッドガイド20の内周には、シリンダ2内に移動自在に挿入されるロッド3が移動可能に挿入されている。このロッド3は、一端をシリンダ2内に移動可能に挿入されているピストン4に連結してあり、他端をシリンダ2外へ突出させており、シリンダ2に対して軸方向に移動可能とされている。
【0025】
また、このシリンダ装置C1は、シリンダ2の外周を覆う外筒21を備えている。外筒21の図1中左端と右端は、シリンダ2と同様に、蓋19とロッドガイド20とで閉塞されており、外筒21とシリンダ2との間の環状隙間でタンク7が形成されている。ロッド3の図1中左端およびシリンダ2の右端を閉塞する蓋19には、図示しない取付部が設けられており、このシリンダ装置C1を鉄道車両Tにおける車体Sと台車Bとの間に介装できる。
【0026】
アクチュエータ回路A1は、シリンダ2とタンク7との間に設けられるとともに、タンク7からシリンダ2に作動油を供給可能なポンプ14を備えて、伸縮ユニット1を伸縮駆動させる回路である。アクチュエータ回路A1は、ポンプ14の駆動によって、作動油をシリンダ2内に供給して伸縮ユニット1に伸長方向と収縮方向との一方を選択して、選択した方向へ推力を発生させるとともに、当該推力の調整を行うことができる。
【0027】
具体的には、アクチュエータ回路A1は、図1に示すように、シリンダ2とタンク7との間に設けられており、ロッド側室5へ作動油を供給するポンプ14と、ポンプ14を駆動するモータ15と、ロッド側室5とタンク7とを連通する排出通路8と、排出通路8に設けられた可変リリーフ弁9と、ロッド側室5とピストン側室6とを連通する第1通路10と、第1通路10に設けられた第1開閉弁11と、ピストン側室6とタンク7とを連通する第2通路12と、第2通路12に設けられた第2開閉弁13と、ロッド側室5へ作動油を供給するポンプ14と、ポンプ14を駆動するモータ15とを備えている。
【0028】
ポンプ14は、モータ15によって駆動されるようになっており、本実施の形態のシリンダ装置C1では一方向のみに作動油を吐出する。ポンプ14吐出口は、ロッド側室5とタンク7とを連通する供給通路22を通じてロッド側室5へ連通されるとともに、吸込口は供給通路22を通じてタンク7に通じている。よって、ポンプ14は、モータ15によって駆動されると、タンク7から作動油を吸込んでロッド側室5へ作動油を供給する。
【0029】
前述のようにポンプ14は、一方向のみに作動油を吐出するのみで回転方向の切換動作がないので、回転切換時に吐出量変化するといった問題は皆無であり、安価なギアポンプ等を使用できる。さらに、ポンプ14の回転方向が常に同一方向であるので、ポンプ14を駆動する駆動源であるモータ15にあっても回転切換に対する高い応答性が要求されず、その分、モータ15も安価なものを使用できる。なお、供給通路22には、ロッド側室5からポンプ14への作動油の逆流を阻止するチェック弁23が設けられている。
【0030】
また、本実施の形態のアクチュエータ回路A1では、ロッド側室5とピストン側室6とを連通する第1通路10に第1開閉弁11が設けられており、ピストン側室6とタンク7とを連通する第2通路12に第2開閉弁13が設けられている。
【0031】
第1開閉弁11は、この実施の形態の場合、電磁開閉弁とされており、第1通路10を開放してロッド側室5とピストン側室6とを連通する連通ポジション11bと、ロッド側室5とピストン側室6との連通を遮断する遮断ポジション11cとを備えた弁体11aと、遮断ポジション11cを採るように弁体11aを付勢するばね11dと、通電時に弁体11aをばね11dに対抗して連通ポジション11bに切り換えるソレノイド11eとを備えて構成されている。
【0032】
第2開閉弁13は、この実施の形態の場合、電磁開閉弁とされており、第2通路12を開放してピストン側室6とタンク7とを連通する連通ポジション13bと、ピストン側室6とタンク7との連通を遮断する遮断ポジション13cとを備えた弁体13aと、遮断ポジション13cを採るように弁体13aを付勢するばね13dと、通電時に弁体13aをばね13dに対抗して連通ポジション13bに切り換えるソレノイド13eとを備えて構成されている。
【0033】
また、本例では、ロッド側室5とタンク7とが排出通路8を通じて接続されており、この排出通路8に開弁圧を変更可能な可変リリーフ弁9が設けられている。可変リリーフ弁9は、排出通路8に設けた弁体9aと、排出通路8を遮断するように弁体9aを付勢するばね9bと、通電時にばね9bに対抗する推力を発生する比例ソレノイド9cとを備えて構成されている。そして、可変リリーフ弁9は、比例ソレノイド9cに流れる電流量の調節により開弁圧の調節が可能となっている。
【0034】
そして、弁体9aに作用する排出通路8の上流のロッド側室5内の圧力が可変リリーフ弁9のリリーフ圧(開弁圧)を超えると、この圧力と比例ソレノイド9cとの弁体9aを押す力が、弁体9aを付勢するばね9bの力に打ち勝つようになり、弁体9aが後退して可変リリーフ弁9が排出通路8を開放する。
【0035】
また、可変リリーフ弁9にあっては、比例ソレノイド9cに供給する電流量を増大させると、比例ソレノイド9cが発生する推力を増大できる。よって、比例ソレノイド9cに供給する電流量を最大とすると可変リリーフ弁9の開弁圧が最小となり、反対に、比例ソレノイド9cに全く電流を供給しないと可変リリーフ弁9の開弁圧が最大となる。なお、可変リリーフ弁9は、比例ソレノイドへの電流量を最大とした場合に開弁圧を最大とする構成を採用してもよい。
【0036】
なお、可変リリーフ弁9は、第1開閉弁11および第2開閉弁13の開閉状態に関わらず、伸縮ユニット1に伸縮方向の過大な入力がありロッド側室5内の圧力が開弁圧を超えると、排出通路8を開放してロッド側室5をタンク7へ連通する。このように、伸縮ユニット1への過大入力に対し、可変リリーフ弁9は、ロッド側室5内の圧力をタンク7へ排出して、シリンダ装置C1のシステム全体を保護する。
【0037】
つづいて、ダンパ回路D1は、ロッド側室5とピストン側室6とを連通する伸側通路24と、伸側通路24に設けられてロッド側室5からピストン側室6へ向かう作動油の流れに抵抗を与える伸側リリーフ弁25と、ピストン側室6とタンク7とを連通する圧側排出通路26と、圧側排出通路26に設けられてピストン側室6からタンク7へ向かう作動油の流れに抵抗を与える圧側リリーフ弁としての第1圧側リリーフ弁27と、タンク7とピストン側室6とを連通する吸込通路28と、吸込通路28に設けられてタンク7からピストン側室6へ向かう作動油の流れを許容する吸込チェック弁29と、タンク7とロッド側室5とを連通する伸側吸込通路30と、伸側吸込通路30に設けられてタンク7からロッド側室5へ向かう作動油の流れのみを許容する伸側チェック弁31と、ピストン側室6とロッド側室5とを連通する圧側通路32と、圧側通路32に設けられてピストン側室6からロッド側室5へ向かう作動油の流れに抵抗を与える第2圧側リリーフ弁33とを備えている。
【0038】
伸側通路24は、ピストン4に設けられていて、ロッド側室5とピストン側室6とを連通している。また、伸側リリーフ弁25は、ピストン4に設けられていて、ロッド側室5内の圧力がピストン側室6内の圧力を上回り、ロッド側室5内の圧力とピストン側室6内の圧力との差が開弁圧に達すると開弁して、ロッド側室5からピストン側室6へ向かう作動油の流れに抵抗を与える。なお、伸側リリーフ弁25は、伸側通路24をピストン側室6からロッド側室5へ向かう作動油の流れに対しては閉弁して伸側通路24を遮断する。よって、伸側通路24は、伸側リリーフ弁25によって、ロッド側室5からピストン側室6へ向かう作動油の流れのみを許容する一方通行の通路に設定されている。
【0039】
伸側リリーフ弁25の開弁圧は、アクチュエータ回路A1によって伸縮ユニット1が収縮側へ最大推力を発生する場合のロッド側室5内の圧力とピストン側室6内の圧力との差以上に設定されている。よって、アクチュエータ回路A1におけるポンプ14を駆動して伸縮ユニット1に収縮方向へ最大推力を発生させても、伸側リリーフ弁25は開弁せず、伸側通路24を遮断した状態に維持する。
【0040】
圧側排出通路26は、ピストン側室6とタンク7とを連通している。また、圧側リリーフ弁としての第1圧側リリーフ弁27は、ピストン側室6内の圧力がタンク7内の圧力を上回り、ピストン側室6内の圧力とタンク7内の圧力との差が開弁圧に達すると開弁して、ピストン側室6からタンク7へ向かう作動油の流れに抵抗を与える。なお、第1圧側リリーフ弁27は、圧側排出通路26をタンク7からピストン側室6へ向かう作動油の流れに対しては閉弁して圧側排出通路26を遮断する。よって、圧側排出通路26は、第1圧側リリーフ弁27によって、ピストン側室6からタンク7へ向かう作動油の流れのみを許容する一方通行の通路に設定されている。第1圧側リリーフ弁27は、蓋19に設けられてもよい。
【0041】
吸込通路28は、タンク7とピストン側室6とを連通している。また、吸込チェック弁29は、タンク7内の圧力がピストン側室6内の圧力を上回ると開弁して、然程抵抗を与えずにタンク7からピストン側室6へ向かう作動油の通過を許容する。なお、吸込チェック弁29は、吸込通路28をピストン側室6からタンク7へ向かう作動油の流れに対しては閉弁して吸込通路28を遮断する。よって、吸込通路28は、吸込チェック弁29によって、タンク7からピストン側室6へ向かう作動油の流れのみを許容する一方通行の通路に設定されている。
【0042】
さらに、伸側吸込通路30は、タンク7とロッド側室5とを連通している。また、伸側チェック弁31は、タンク7内の圧力がロッド側室5内の圧力を上回ると開弁して、然程抵抗を与えずにタンク7からロッド側室5へ向かう作動油の通過を許容する。なお、伸側チェック弁31は、伸側吸込通路30をロッド側室5からタンク7へ向かう作動油の流れに対しては閉弁して伸側吸込通路30を遮断する。よって、伸側吸込通路30は、伸側チェック弁31によって、タンク7からロッド側室5へ向かう作動油の流れのみを許容する一方通行の通路に設定されている。
【0043】
また、圧側通路32は、ピストン4に設けられており、ピストン側室6とロッド側室5とを連通している。また、第2圧側リリーフ弁33は、ピストン4に設けられていて、ピストン側室6内の圧力がロッド側室5内の圧力を上回り、ピストン側室6内の圧力とロッド側室5内の圧力との差が開弁圧に達すると開弁して、ピストン側室6からロッド側室5へ向かう作動油の流れに抵抗を与える。なお、第2圧側リリーフ弁33は、圧側通路32をロッド側室5からピストン側室6へ向かう作動油の流れに対しては閉弁して圧側通路32を遮断する。よって、圧側通路32は、第2圧側リリーフ弁33によって、ピストン側室6からロッド側室5へ向かう作動油の流れのみを許容する一方通行の通路に設定されている。
【0044】
つづいて、圧側排出通路26を開閉可能な開閉装置は、本実施の形態のシリンダ装置C1では、圧側排出通路26に第1圧側リリーフ弁27と直列に設けられた開閉弁34とされている。開閉弁34は、圧側排出通路26を開放してピストン側室6とタンク7とを連通させる連通ポジション34bと、ピストン側室6とタンク7との連通を遮断する遮断ポジション34cとを備えた弁体34aと、連通ポジション34bを採るように弁体34aを付勢するばね34dと、ポンプ14が吐出する圧力を弁体34aに対して遮断ポジション34cを採るように作用させるパイロット通路34eとを備えて構成されている。
【0045】
開閉装置としての開閉弁34は、ポンプ14が駆動されていない状態では、ばね34dによって付勢された弁体34aが常に連通ポジション34bを採るために、圧側排出通路26によってピストン側室6とタンク7とが連通された状態となる。他方、開閉装置としての開閉弁34は、ポンプ14が駆動されるとポンプ14から吐出される作動油の圧力によって弁体34aが押圧されてばね34dを押し縮めて遮断ポジション34cを採り、圧側排出通路26を遮断する。
【0046】
よって、開閉弁34は、ポンプ14の非駆動時には開弁して圧側排出通路26を開放し、ポンプ14の駆動時に吐出される作動油の圧力に基づいて閉弁して圧側排出通路26を遮断する常開型の開閉弁となっている。
【0047】
シリンダ装置C1は、以上のように構成されており、以下にシリンダ装置C1の作動を説明する。まず、アクチュエータ回路A1を利用してシリンダ装置C1をアクチュエータとして機能させるアクチュエータモードについて説明する。シリンダ装置C1に伸長方向の推力を発生させる場合、第1開閉弁11を連通ポジション11bとし第2開閉弁13を遮断ポジション13cとしてモータ15でポンプ14を駆動して、タンク7からシリンダ2内へ作動油を供給する。このようにすると、第1開閉弁11の開弁によって第1通路10を通じてロッド側室5とピストン側室6とが連通状態におかれ、ロッド側室5とピストン側室6とにポンプ14から作動油が供給される。また、ポンプ14の駆動によって、ポンプ14から受ける圧力の作用で開閉装置としての開閉弁34が圧側排出通路26を遮断し、第2開閉弁13が第2通路12を遮断するため、シリンダ2内に供給された作動油は、ピストン側室6からタンク7へは移動できない。このように開閉装置は、アクチュエータモード時には、圧側排出通路26を遮断する。
【0048】
よって、第1開閉弁11を連通ポジション11bとし第2開閉弁13を遮断ポジション13cとしてモータ15でポンプ14を駆動すると、ポンプ14からシリンダ2内へ供給された作動油がシリンダ2に対してピストン4を図1中左方へ押し出す方向へ押圧するので、シリンダ装置C1は伸長方向の推力を発生する。
【0049】
そして、ロッド側室5内およびピストン側室6内の圧力が可変リリーフ弁9の開弁圧を上回ると、可変リリーフ弁9が開弁して作動油が排出通路8を介してタンク7へ排出され、ロッド側室5内およびピストン側室6内の圧力は、可変リリーフ弁9の開弁圧と等しくなる。このように可変リリーフ弁9は、開弁圧の調整によってポンプ14からシリンダ2内に供給される作動油の圧力を調整する。よって、シリンダ装置C1は、ピストン4におけるピストン側室側とロッド側室側の受圧面積差に可変リリーフ弁9の開弁圧を乗じた伸長方向の推力を発生し、可変リリーフ弁9の開弁圧の調節で推力を調整し得る。なお、この状態で、伸縮ユニット1が外力によって強制的に収縮させられても、ロッド側室5内およびピストン側室6内の圧力が可変リリーフ弁9の開弁圧と等しくなるように制御されるので、収縮を抑制する伸長方向の推力を発生する。
【0050】
シリンダ装置C1が伸長方向の推力を発生中に、伸縮ユニット1が外力で高速で収縮してピストン側室6内が異常に高圧になった場合には、第2圧側リリーフ弁33が開弁してピストン側室6内の作動油をロッド側室5へ移動させるので、シリンダ装置C1が保護される。
【0051】
これに対して、シリンダ装置C1に収縮方向の推力を発生させる場合、第1開閉弁11を遮断ポジション11cとし第2開閉弁13を連通ポジション13bとし、モータ15でポンプ14を駆動して、タンク7からロッド側室5へ作動油を供給する。このようにすることで、ピストン側室6とタンク7とが第2開閉弁13の開弁によって第2通路12を通じて連通状態におかれ、第1開閉弁11が閉弁してロッド側室5とピストン側室6との連通が断たれるため、ポンプ14から吐出された作動油はロッド側室5のみに供給される。なお、ポンプ14の駆動によって、ポンプ14から受ける圧力の作用で開閉装置としての開閉弁34が圧側排出通路26を遮断するが、第2通路12によってピストン側室6とタンク7と連通される。
【0052】
よって、第1開閉弁11を遮断ポジション11cとし第2開閉弁13を連通ポジション13bとしてモータ15でポンプ14を駆動すると、ポンプ14からロッド側室5へ供給された作動油がシリンダ2に対してピストン4を図1中右方へ押圧するので、シリンダ装置C1は収縮方向の推力を発生する。そして、シリンダ装置C1は、ピストン4におけるロッド側室側の受圧面積と可変リリーフ弁9の開弁圧を乗じた値からピストン4におけるピストン側室側の受圧面積とタンク7の圧力とを乗じた値を差し引きした値に等しい収縮方向の推力を発生し、可変リリーフ弁9の開弁圧の調節で推力を調整し得る。この状態で、伸縮ユニット1が外力によって強制的に伸長せられても、ロッド側室5内の圧力が可変リリーフ弁9の開弁圧と等しくなるように制御されるので、伸長を抑制する収縮方向の推力を発生する。
【0053】
なお、本実施の形態のシリンダ装置C1に収縮方向の推力を発生させる場合、前述したように、ロッド側室5とピストン側室6との連通を断った状態でロッド側室5に作動油を供給する必要がある。ここで、ダンパ回路D1における伸側通路24は、伸側リリーフ弁25が開弁するとロッド側室5からピストン側室6へ向かう作動油の流れを許容する。よって、本実施の形態のシリンダ装置C1に収縮方向の推力を発生させる場合に、伸側リリーフ弁25が開弁すると作動油がロッド側室5からピストン側室6へ逃げてしまうため効率が悪くなるが、伸側リリーフ弁25の開弁圧は、アクチュエータ回路A1によって伸縮ユニット1が収縮側へ最大推力を発生する場合のロッド側室5内の圧力とピストン側室6内の圧力との差以上に設定されている。本実施の形態のシリンダ装置C1の収縮方向の最大推力は、可変リリーフ弁9が開弁圧を最大とした場合に発生される。よって、伸側リリーフ弁25は、本実施の形態のシリンダ装置C1が収縮方向の推力を発生するアクチュエータとして機能する場合に可変リリーフ弁9の開弁圧を最大にしても開弁せず、伸側通路24を通じてロッド側室5からピストン側室6へ作動油が移動するのを防止する。このように、伸側リリーフ弁25の開弁圧がアクチュエータ回路A1によって伸縮ユニット1が収縮側へ最大推力を発生する場合のロッド側室5内の圧力とピストン側室6内の圧力との差以上に設定されると、シリンダ装置C1は、アクチュエータとして収縮方向に推力を発生する場合に効率よく推力を発生でき、エネルギ消費も少なくなる。前述した通り、本実施の形態のシリンダ装置C1では、伸側リリーフ弁25は、ロッド側室5内の圧力を制御する可変リリーフ弁9が開弁圧を最大としても開弁しなければよいので、伸側リリーフ弁25の開弁圧は、可変リリーフ弁9の最大開弁圧より高ければよい。この場合、伸側リリーフ弁25の開弁圧は、可変リリーフ弁9のハードウェア上の最大開弁圧ではなく、アクチュエータモード時における可変リリーフ弁9が制御上で採り得る最大開弁圧よりも高くなっていてもよい。
【0054】
なお、前述した通り、効率の観点から、伸側リリーフ弁25の開弁圧をアクチュエータ回路A1によって伸縮ユニット1が収縮側へ最大推力を発生する場合のロッド側室5内の圧力とピストン側室6内の圧力との差以上に設定するとよいが、前記開弁圧を前記差未満に設定してもシリンダ装置C1は、アクチュエータとして収縮方向に推力を発生できる。
【0055】
シリンダ装置C1が収縮方向の推力を発生中に、伸縮ユニット1が外力で高速で伸長してロッド側室5内が異常に高圧になった場合には、伸側リリーフ弁25が開弁してロッド側室5内の作動油をピストン側室6へ移動させるので、シリンダ装置C1が保護される。
【0056】
このように、シリンダ装置C1は、第1開閉弁11と第2開閉弁13との開閉、および可変リリーフ弁9の開弁圧の調節で伸長方向および収縮方向の何れにも可変リリーフ弁9の開弁圧の調整範囲で推力を発生できる。よって、シリンダ装置C1は、ポンプ14を駆動させつつ第1開閉弁11、第2開閉弁13および可変リリーフ弁9を制御することでシリンダ装置C1をアクチュエータモードとしてアクチュエータとして機能させて車体Sの振動を抑制できる。
【0057】
つづいて、ダンパ回路D1を利用してシリンダ装置C1をダンパとして機能させるダンパモードについて説明する。シリンダ装置C1をダンパモードにする場合、第1開閉弁11を遮断ポジション11cとし第2開閉弁13を遮断ポジション13cとして、モータ15を駆動せずポンプ14を停止させる。
【0058】
この状態では、第1通路10によるロッド側室5とピストン側室6との連通が断たれるとともに、第2通路12によるピストン側室6とタンク7との連通が断たれる。そして、ポンプ14の停止によってポンプ14から開閉弁34の弁体34aへ圧力が作用しないために開閉弁34が開弁し、圧側排出通路26が開放される。つまり、本実施の形態のシリンダ装置C1では、ポンプ14を駆動すると開閉装置である開閉弁34が圧側排出通路26を遮断して圧側排出通路26を無効とし、ポンプ14を停止させると開閉装置である開閉弁34が圧側排出通路26を開放して圧側排出通路26を有効とする。このように開閉装置は、ダンパモード時には、圧側排出通路26を開放する。
【0059】
そして、シリンダ装置C1をダンパモードとした状態で伸縮ユニット1が外力によって伸長すると、シリンダ2に対してピストン4が図1中左方へ移動してロッド側室5を縮小しつつピストン側室6を拡大させる。縮小されるロッド側室5内の作動油は、排出通路8の可変リリーフ弁9と伸側通路24の伸側リリーフ弁25との一方または両方を通過し、可変リリーフ弁9と伸側リリーフ弁25との一方または両方によって抵抗を受けながら拡大するピストン側室6へ移動する。伸縮ユニット1の伸長作動時には、ロッド3がシリンダ2から退出するために、シリンダ2内で作動油が不足するが、吸込チェック弁29が開弁して吸込通路28を通じて不足分の作動油がタンク7からピストン側室6へ供給される。このように、シリンダ装置C1がダンパモードとなって伸縮ユニット1が伸長作動すると、ロッド側室5内の圧力が可変リリーフ弁9と伸側リリーフ弁25とによって上昇し、ピストン側室6内の圧力がタンク圧と等しくなる。よって、シリンダ装置C1は、ピストン4のロッド側室側の受圧面積にロッド側室5内の圧力を乗じた値からピストン4のピストン側室側の受圧面積にタンク7の圧力を乗じた値を差し引いた値に等しい減衰力を伸縮ユニット1の伸長を妨げる向きに発生する。
【0060】
さらに、シリンダ装置C1をダンパモードとした状態で伸縮ユニット1が外力によって収縮すると、シリンダ2に対してピストン4が図1中右方へ移動してピストン側室6を縮小しつつロッド側室5を拡大させる。縮小されるピストン側室6内の作動油は、圧側通路32の第2圧側リリーフ弁33を通過して拡大されるロッド側室5へ移動する。伸縮ユニット1の収縮作動時には、ロッド3がシリンダ2内へ侵入するために、シリンダ2内で作動油が過剰となるが、第1圧側リリーフ弁27が開弁して圧側排出通路26を通じて過剰分の作動油がピストン側室6からタンク7へ排出される。このように、シリンダ装置C1がダンパモードとなって伸縮ユニット1が収縮作動すると、ピストン側室6内の圧力が第1圧側リリーフ弁27および第2圧側リリーフ弁33によって上昇し、ロッド側室5内の圧力が減圧され、ピストン側室6内の圧力がロッド側室5内の圧力より高くなる。よって、シリンダ装置C1は、ピストン4のピストン側室側の受圧面積にピストン側室6内の圧力を乗じた値からピストン4のロッド側室側の受圧面積にロッド側室5内の圧力を乗じた値を差し引いた値に等しい減衰力を伸縮ユニット1の収縮を妨げる向きに発生する。なお、本実施の形態のシリンダ装置C1では、ダンパ回路D1が伸側吸込通路30と伸側チェック弁31とを備えているので、ダンパモードのシリンダ装置C1における伸縮ユニット1が収縮する際に、ロッド側室5内の圧力がタンク圧より低下すると伸側チェック弁31が開弁してタンク7から作動油がロッド側室5へ供給される。よって、本実施の形態のシリンダ装置C1がダンパモードで収縮する場合に、ロッド側室5内が負圧とならずに済み、エアレーションの発生や、伸縮ユニット1の収縮から伸長への切り換わりにおいて減衰力の発生が遅れる事態を招かずに済む。
【0061】
このようにシリンダ装置C1は、ダンパモードの状態では、伸縮ユニット1が外力によって伸長或いは収縮すると、伸縮ユニット1の伸長或いは収縮を妨げる減衰力を発生する。そして、ダンパモードの状態のシリンダ装置C1は、伸縮ユニット1の伸長時には可変リリーフ弁9と伸側リリーフ弁25との一方または両方によって減衰力を発生し、伸縮ユニット1の収縮時には第1圧側リリーフ弁27および第2圧側リリーフ弁33によって減衰力を発生する。したがって、ダンパモードのシリンダ装置C1の伸長作動時のピストン速度に対して発生する減衰力の減衰力特性は、可変リリーフ弁9と伸側リリーフ弁25とによって設定され、ダンパモードのシリンダ装置C1の収縮作動時のピストン速度に対して発生する減衰力の減衰力特性は、第1圧側リリーフ弁27および第2圧側リリーフ弁33によって設定されるので、伸長作動時と収縮作動時の減衰力特性をそれぞれ独立して設定できる。
【0062】
つまり、ダンパモードにおける本実施の形態のシリンダ装置C1の伸長作動時および収縮作動時の減衰力特性は、ピストン4のロッド側室側の受圧面積とピストン側室側の受圧面積の設定によらず、可変リリーフ弁9、伸側リリーフ弁25、第1圧側リリーフ弁27および第2圧側リリーフ弁33の設定によって独立して調整できる。換言すれば、ダンパモードにおける本実施の形態のシリンダ装置C1の伸長作動時と収縮作動時との2つの減衰力特性を同一の特性にするに際して、ロッド3の断面積をピストン4の断面積の2分の1にする必要はなく、ロッド3の径とピストン4の径(シリンダ2の径)を強度上で許される範囲で任意に決定した後、可変リリーフ弁9、伸側リリーフ弁25、第1圧側リリーフ弁27および第2圧側リリーフ弁33の設定によって前記の2つの減衰力特性を同一の特性となるように調整すればよい。ここで、可変リリーフ弁9は、特開2017-82874号公報、特開2010-65797号公報の図5に開示されているような非通電時に排出通路8を遮断する開閉弁としても機能する可変リリーフ弁とされてもよい。この場合、シリンダ装置C1をダンパモードとして可変リリーフ弁9で排出通路8を遮断すると、伸長作動時にはロッド側室5の作動油は可変リリーフ弁9を通過できないので伸側リリーフ弁25のみを通ってピストン側室6へ移動する。よって、可変リリーフ弁9が非通電時に排出通路8を遮断する場合、ダンパモードのシリンダ装置C1の伸長作動時の減衰力特性は、ピストン4のロッド側室側の受圧面積とピストン側室側の受圧面積の設定によらず、伸側リリーフ弁25の設定によって調整される。
【0063】
なお、本実施の形態のダンパ回路D1が伸側吸込通路30と伸側チェック弁31とを備えており、ダンパモードのシリンダ装置C1における伸縮ユニット1が収縮作動する際に、タンク7から拡大するロッド側室5へ向かう作動油の流れを許容するため、圧側通路32および第2圧側リリーフ弁33を省略してもよい。この場合、伸側リリーフ弁25および第1圧側リリーフ弁27の設定によって、ダンパモードにおける本実施の形態のシリンダ装置C1の伸長作動時と収縮作動時との2つの減衰力特性を同一になるように調整すればよい。
ただし、圧側通路32および第2圧側リリーフ弁33を備える場合、ダンパモードのシリンダ装置C1における伸縮ユニット1が収縮作動する際に、ピストン側室6内の圧力が異常に高圧となった場合に、第2圧側リリーフ弁33が開弁してピストン側室6内の作動油をロッド側室5へ移動させてシリンダ装置C1を保護できる利点がある。
【0064】
また、本実施の形態のダンパ回路D1が圧側通路32および第2圧側リリーフ弁33を備えているため、ダンパモードのシリンダ装置C1における伸縮ユニット1が収縮作動する際に、圧側通路32を通じてピストン側室6からロッド側室5へ供給される作動油によってロッド側室5が負圧となる心配がなければ伸側吸込通路30と伸側チェック弁31とを省略できる。
【0065】
また、圧側通路32には、第2圧側リリーフ弁33の代わりに、通過する作動油に然程抵抗を与えないチェック弁を設けて、ダンパモードのシリンダ装置C1における伸縮ユニット1が収縮作動する際に、第1圧側リリーフ弁27の抵抗のみで減衰力を発生してもよい。この場合、ダンパモードのシリンダ装置C1の伸長作動時のピストン速度に対して発生する減衰力の減衰力特性を伸側リリーフ弁25によって設定でき、ダンパモードのシリンダ装置C1の収縮作動時のピストン速度に対して発生する減衰力の減衰力特性を第1圧側リリーフ弁27によって設定できる。したがって、ピストン4のロッド側室側の受圧面積とピストン側室側の受圧面積の設定によらず、ダンパモードのシリンダ装置C1の伸長作動時と収縮作動時の減衰力特性を同一の特性に設定できる。
【0066】
以上、本実施の形態のシリンダ装置C1は、シリンダ2と、シリンダ2内に移動可能に挿入されるロッド3と、シリンダ2内に移動可能に挿入されるとともにロッド3に連結されてシリンダ2内をロッド側室5とピストン側室6とに区画するピストン4とを有する伸縮ユニット1と、タンク7と、シリンダ2とタンク7との間に設けられるとともにタンク7からシリンダ2に作動油(液体)を供給可能なポンプ14とを有して伸縮ユニット1を伸縮駆動させ得るアクチュエータ回路A1と、ロッド側室5とピストン側室6とを連通する伸側通路24と、伸側通路24に設けられてロッド側室5からピストン側室6へ向かう作動油(液体)の流れに抵抗を与える伸側リリーフ弁25と、ピストン側室6とタンク7とを連通する圧側排出通路26と、圧側排出通路26に設けられてピストン側室6からタンク7へ向かう作動油(液体)の流れに抵抗を与える第1圧側リリーフ弁(圧側リリーフ弁)27と、タンク7とピストン側室6とを連通する吸込通路28と、吸込通路28に設けられてタンク7からピストン側室6へ向かう作動油(液体)の流れを許容する吸込チェック弁29とを含むダンパ回路D1と、圧側排出通路26を開閉可能であってポンプ14を駆動するアクチュエータモード時に圧側排出通路26を遮断し、ポンプ14を停止させるダンパモード時に圧側排出通路26を開放する開閉弁(開閉装置)34とを備えている。
【0067】
このように構成された本実施の形態のシリンダ装置C1は、アクチュエータ回路A1によってポンプ14から作動油(液体)をシリンダ2へ供給し、開閉弁(開閉装置)34で圧側排出通路26を遮断することでアクチュエータとして機能できるとともに、ポンプ14を停止させて開閉弁(開閉装置)34で圧側排出通路26を開放するとダンパ回路D1を利用してダンパとして機能できる。
【0068】
そして、本実施の形態のシリンダ装置C1は、ダンパとして機能する場合、伸縮ユニット1が伸長作動する場合には伸側リリーフ弁25によって減衰力を発生し、伸縮ユニット1が収縮作動する場合には第1圧側リリーフ弁(圧側リリーフ弁)27によって減衰力を発生することができる。よって、本実施の形態のシリンダ装置C1は、ダンパとして機能する際に、伸長作動時の減衰力特性と収縮作動時の減衰力特性とを、ロッド3の径とピストン4の径(シリンダ2の径)の設定によらず、伸側リリーフ弁25と第1圧側リリーフ弁(圧側リリーフ弁)27との設定によって同一の特性に設定できる。
【0069】
つまり、本実施の形態のシリンダ装置C1では、シリンダ2の径を大径化する代わりにロッド3の径を強度の許す範囲で小径化しても、ダンパとして機能する際に伸長作動時の減衰力特性と収縮作動時の減衰力特性とを同一に設定できる。シリンダ2の径を大径化する代わりにロッド3の径を強度の許す範囲で小径化すれば、ピストン4の受圧面積を大きくでき、伸縮ユニット1内の作動油(液体)の油柱剛性(液柱剛性)を高めることができるため、本実施の形態のシリンダ装置C1は、減衰係数を高めてダンパとして機能する際に応答性よく高い減衰力を発生できる。よって、本実施の形態のシリンダ装置C1によれば、大型化を招かずにアクチュエータとしての機能を発揮しつつも、ダンパとして機能する際に減衰係数を向上できるのである。なお、ユニフローダンパのように、ロッド3の断面積をピストン4の断面積の2分の1に設定しても、圧側通路32と第2圧側リリーフ弁33とを設ければ、シリンダ装置C1の収縮時にピストン側室6内の圧力をロッド側室5内の圧力よりも高くすることができるため、従来のシリンダ装置よりも収縮作動時の減衰係数を高くできる。よって、圧側通路32と第2圧側リリーフ弁33とを設ければ、ロッド3の断面積をピストン4の断面積の設定の自由度が向上する。
【0070】
また、本実施の形態のシリンダ装置C1では、開閉装置が圧側排出通路26に設けられて圧側排出通路26を開閉する常開型の開閉弁34を備え、開閉弁34がポンプ14の駆動時に吐出される作動油(液体)の圧力に基づいて閉弁する。このように構成されたシリンダ装置C1は、アクチュエータ回路A1におけるポンプ14を駆動すれば開閉弁34が閉弁してアクチュエータとして機能し、ポンプ14を停止させれば開閉弁34が開弁してダンパ回路D1が有効となってダンパとして機能する。よって、本実施の形態のシリンダ装置C1によれば、ポンプ14の駆動と停止の切り換えによって、自動的にアクチュエータモードとダンパモードとに切り換わるので開閉弁34をソレノイドで切り換える必要が無くなり安価となる。なお、開閉装置は、ポンプ14の駆動時に圧側排出通路26を遮断し、ポンプ14の停止時に圧側排出通路26を開放すればよいので、ポンプ14の駆動状況に応じて開閉制御される電磁開閉弁とされてもよい。
【0071】
そして、本実施の形態のシリンダ装置C1では、ダンパ回路D1がタンク7とロッド側室5とを連通する伸側吸込通路30と、伸側吸込通路30に設けられてタンク7からロッド側室5へ向かう作動油(液体)の流れのみを許容する伸側チェック弁31とを含んでいる。このように構成されたシリンダ装置C1によれば、伸縮ユニット1が収縮作動する際に、ロッド側室5内が負圧とならずに済み、エアレーションの発生や、伸縮ユニット1の収縮から伸長への切り換わりにおいて減衰力の発生が遅れる事態を招かずに済む。
【0072】
さらに、本実施の形態のシリンダ装置C1では、アクチュエータ回路A1が開弁圧を調整可能であって、開弁圧の調整によってポンプ14からシリンダ2内に供給される作動油(液体)の圧力を調整する可変リリーフ弁9を有し、伸側リリーフ弁25の開弁圧は可変リリーフ弁9がアクチュエータモード時に採り得る最大開弁圧より高い。このように構成されたシリンダ装置C1では、アクチュエータとして機能する場合、ポンプ14からシリンダ2内に供給される作動油(液体)をロッド側室5からピストン側室6へ逃がさないので効率よく収縮側の推力を発生できるとともにエネルギ消費も低減される。
【0073】
<第2の実施の形態>
第2の実施の形態におけるシリンダ装置C2は、図3に示すように、伸縮ユニット1と、タンク7と、アクチュエータ回路A2と、ダンパ回路D2と、開閉装置とを備えている。第2の実施の形態のシリンダ装置C2は、アクチュエータ回路A2、ダンパ回路D2および開閉装置の構成が第1の実施の形態のシリンダ装置C1と異なっている。なお、シリンダ装置C2は、図示はしないが、第1の実施の形態のシリンダ装置C1と同様に、鉄道車両Tの車体Sと台車Bとの間に介装されて車体Sの水平方向の振動を抑制する。
【0074】
以下、第2の実施の形態のシリンダ装置C2の構成のうち、第1の実施の形態のシリンダ装置C1の構成と異なる部分について詳細に説明する。アクチュエータ回路A2は、シリンダ2とタンク7との間に設けられるとともに、タンク7からシリンダ2に作動油を供給可能なポンプ14を備えて、伸縮ユニット1を伸縮駆動させる回路である。アクチュエータ回路A2は、ポンプ14の駆動によって、作動油をシリンダ2内に供給して伸縮ユニット1に伸長方向と収縮方向との一方を選択して、選択した方向へ推力を発生させるとともに、当該推力の調整を行うことができる。
【0075】
具体的には、アクチュエータ回路A2は、図3に示すように、シリンダ2とタンク7との間に設けられており、タンク7に接続される供給通路40と、供給通路40に設けられてタンク7側に吸込口を接続したポンプ14と、供給通路40の途中であってポンプ14の反タンク側に設けられてシリンダ2からポンプ14への作動油の逆流を阻止するチェック弁23と、タンク7に接続される排出通路41と、ロッド側室5に接続される伸側給排路42と、ピストン側室6に接続される圧側給排路43と、供給通路40、排出通路41、伸側給排路42および圧側給排路43の間に設けられた4ポート3位置の方向切換弁44と、供給通路40のポンプ14の吐出側とタンク7とを接続するリリーフ通路45と、リリーフ通路45に設けられた可変リリーフ弁9とを備えている。
【0076】
方向切換弁44は、弁体44aと、弁体44aを中立位置に付勢するばね44b,44cと、弁体44aに推力を与えて弁体44aのポジションを切り換えるソレノイド44d,44eとを備えている。弁体44aは、伸側供給ポジション44a1と、中立ポジション44a2と、圧側供給ポジション44a3とを備えている。
【0077】
方向切換弁44は、ソレノイド44d,44eに通電しない状態では、弁体44aが中立ポジション44a2を採って、供給通路40と伸側給排通路42とを連通させるとともに、排出通路41および伸側給排路42を遮断する。また、方向切換弁44は、ソレノイド44dのみに通電すると、弁体44aが伸側供給ポジション44a1に切り換わり、供給通路40を伸側給排路42に接続するとともに排出通路41を圧側給排路43に接続する。さらに、方向切換弁44は、ソレノイド44eのみに通電すると、弁体44aが圧側供給ポジション44a3に切り換わり、供給通路40を圧側給排路43に接続するとともに排出通路41を伸側給排路42に接続する。
【0078】
方向切換弁44が中立ポジション44a2を採る場合、供給通路40と伸側給排通路42とが連通されるとともに、排出通路41および伸側給排路42が遮断され、ポンプ14を停止すればシリンダ装置C2がダンパモードとなってダンパとして機能する。他方、方向切換弁44が伸側供給ポジション44a1を採る場合、ポンプ14がロッド側室5に連通されるとともにタンク7がピストン側室6に連通されるため、ポンプ14を駆動するとロッド側室5内に作動油が供給されるようになり、シリンダ装置C2がアクチュエータモードとなって収縮方向へ推力を発生するアクチュエータとして機能する。さらには、方向切換弁44が圧側供給ポジション44a3を採る場合、ポンプ14がピストン側室6に連通されるとともにタンク7がロッド側室5に連通されるため、ポンプ14を駆動するとピストン側室6内に作動油が供給されるようになり、シリンダ装置C2がアクチュエータモードとなって伸長方向へ推力を発生するアクチュエータとして機能する。
【0079】
そして、可変リリーフ弁9は、ポンプ14から吐出された作動油の圧力が開弁圧となると開弁して、リリーフ通路45を介して作動油をタンク7へ還流させる。比例ソレノイド9cに流れる電流量の調節によって可変リリーフ弁9の開弁圧を変更できるので、シリンダ2内に供給される作動油の圧力を調整できる。よって、方向切換弁44における伸側供給ポジション44a1と圧側供給ポジション44a3との選択によって、シリンダ装置C2の推力の発生方向を選択でき、ポンプ14を駆動しつつ可変リリーフ弁9の開弁圧を調整すれば、シリンダ装置C2が発生する推力を高低調整できる。
【0080】
つづいて、ダンパ回路D2は、ロッド側室5とピストン側室6とを連通する伸側通路24と、伸側通路24に設けられてロッド側室5からピストン側室6へ向かう作動油の流れに抵抗を与える伸側リリーフ弁25と、ピストン側室6とタンク7とを連通する圧側排出通路26と、圧側排出通路26に設けられてピストン側室6からタンク7へ向かう作動油の流れに抵抗を与える圧側リリーフ弁としての第1圧側リリーフ弁47と、タンク7とピストン側室6とを連通する吸込通路28と、吸込通路28に設けられてタンク7からピストン側室6へ向かう作動油の流れを許容する吸込チェック弁29と、ピストン側室6とロッド側室5とを連通する圧側通路32と、圧側通路32に設けられてピストン側室6からロッド側室5へ向かう作動油の流れに抵抗を与える第2圧側リリーフ弁33とを備えている。
【0081】
本実施の形態のシリンダ装置C2における開閉装置は、圧側排出通路26に設けられた第1圧側リリーフ弁47と、第1圧側リリーフ弁47にポンプ14が吐出する圧力を閉弁方向に作用させるパイロット通路48とで構成されている。第1圧側リリーフ弁47は、圧側排出通路26に設けた弁体47aと、弁体47aを閉弁方向に付勢するばね47bと、ピストン側室6内の圧力を弁体47aに対して開弁方向に作用させるパイロット通路47cとを備えている。他方、パイロット通路48は、供給通路40のポンプ14の吐出側であるシリンダ側の圧力を弁体47aに作用させるべく、供給通路40のポンプ14よりも方向切換弁側に接続されている。ポンプ14が駆動されて方向切換弁44が伸側供給ポジション44a1を採る場合、ピストン側室6はタンク7に連通されるため、第1圧側リリーフ弁47は閉弁する。また、ポンプ14が駆動されて方向切換弁44が圧側供給ポジション44a3を採る場合、ピストン側室6内の圧力は可変リリーフ弁9の開弁圧と等しくなり、弁体47aの両側にパイロット通路47c,48によって導かれる圧力が略同じ圧力となるためばね44bの付勢力によって閉弁状態を維持する。このように、第1圧側リリーフ弁47は、ポンプ14が駆動されるとポンプ14から吐出された作動油の圧力で弁体47aが閉弁する方向へ押圧されるため圧側排出通路26を遮断する。他方、第1圧側リリーフ弁47は、ポンプ14の停止中は、ピストン側室6内の圧力が開弁圧に達するとピストン側室6内の圧力で弁体44aが開弁方向に押圧されてばね44bを押し縮めて開弁する。このように、開閉装置は、第1圧側リリーフ弁47とパイロット通路48とで構成されてもよいし、また、第1の実施の形態の開閉弁34とされてもよいし、さらには、電磁開閉弁とされてもよい。
【0082】
シリンダ装置C2は、以上のように構成されており、以下にシリンダ装置C2の詳細な作動を説明する。まず、アクチュエータ回路A2を利用してシリンダ装置C2をアクチュエータとして機能させるアクチュエータモードについて説明する。
【0083】
シリンダ装置C2に伸長方向の推力を発生させる場合、方向切換弁44を圧側供給ポジション44a3として、ポンプ14を駆動してタンク7からピストン側室6内へ作動油を供給するとともに、ロッド側室5をタンク7に連通させる。なお、ポンプ14の駆動によって、ポンプ14から受ける圧力の作用によって第1圧側リリーフ弁47が圧側排出通路26を遮断するので、ピストン側室6内に供給された作動油によって、ピストン側室6内の圧力が上昇してピストン4を図3中左方へ押圧するので、シリンダ装置C2は、伸長方向の推力を発生する。
【0084】
そして、ピストン側室6内の圧力が可変リリーフ弁9の開弁圧を上回ると、可変リリーフ弁9が開弁してポンプ14から吐出された作動油の一部がリリーフ通路45を介してタンク7へ戻され、ピストン側室6内の圧力は、可変リリーフ弁9の開弁圧に等しくなる。よって、可変リリーフ弁9の開弁圧の調節で、ピストン4におけるピストン側室側の受圧面積に可変リリーフ弁9の開弁圧を乗じた値からピストン4におけるロッド側室側の受圧面積にタンク圧を乗じた値を差し引いた値に等しい伸長方向の推力をシリンダ装置C2に発生させ得る。なお、この状態で、伸縮ユニット1が外力によって強制的に収縮させられても、ロッド側室5内およびピストン側室6内の圧力が可変リリーフ弁9の開弁圧と等しくなるように制御されるので、収縮を抑制する伸長方向の推力を発生する。
【0085】
本実施の形態のシリンダ装置C2では、第2圧側リリーフ弁33の開弁圧をアクチュエータ回路A2によって伸縮ユニット1が伸長側へ最大推力を発生する場合のピストン側室6内の圧力とタンク7の圧力との差以上に設定しておくとよい。このようにすれば、シリンダ装置C2がアクチュエータとして伸長方向に推力を発生する場合に、ピストン側室6からロッド側室5へ作動油を逃がさないので効率よく推力を発生でき、エネルギ消費も少なくなる。本実施の形態のシリンダ装置C2では、第2圧側リリーフ弁33は、ピストン側室6内の圧力を制御する可変リリーフ弁9が開弁圧を最大としても開弁しなければよいので、第2圧側リリーフ弁33の開弁圧は、可変リリーフ弁9の最大開弁圧より高ければよい。なお、第2圧側リリーフ弁33の開弁圧を前述した通りに設定しない場合であっても、シリンダ装置C2は、アクチュエータとして伸長方向に推力を発生できる。
【0086】
また、シリンダ装置C2が伸長方向の推力を発生中に、伸縮ユニット1が外力で高速で収縮してピストン側室6内が異常に高圧になった場合には、第2圧側リリーフ弁33が開弁してピストン側室6内の作動油をロッド側室5へ移動させるので、シリンダ装置C2が保護される。
【0087】
これに対して、シリンダ装置C2に収縮方向の推力を発生させる場合、方向切換弁44を伸側供給ポジション44a1として、ポンプ14を駆動してタンク7からロッド側室5内へ作動油を供給するとともに、ピストン側室6をタンク7に連通させる。なお、ポンプ14の駆動によって、ポンプ14から受ける圧力の作用によって第1圧側リリーフ弁47が圧側排出通路26を遮断する。ロッド側室5内に供給された作動油によって、ロッド側室5内の圧力が上昇してピストン4を図3中右方へ押圧するので、シリンダ装置C2は、収縮方向の推力を発生する。
【0088】
そして、ロッド側室5内の圧力が可変リリーフ弁9の開弁圧を上回ると、可変リリーフ弁9が開弁してポンプ14から吐出された作動油の一部がリリーフ通路45を介してタンク7へ戻され、ロッド側室5内の圧力は、可変リリーフ弁9の開弁圧と等しくなる。よって、可変リリーフ弁9の開弁圧の調節で、ピストン4におけるロッド側室側の受圧面積に可変リリーフ弁9の開弁圧を乗じた値からピストン4におけるピストン側室側の受圧面積にタンク圧を乗じた値を差し引いた値に等しい収縮方向の推力をシリンダ装置C2に発生させ得る。なお、この状態で、伸縮ユニット1が外力によって強制的に伸長させられても、ロッド側室5内の圧力が可変リリーフ弁9の開弁圧と等しくなるように制御されるので、伸長を抑制する収縮方向の推力を発生する。
【0089】
本実施の形態のシリンダ装置C2では、伸側リリーフ弁25の開弁圧をアクチュエータ回路A2によって伸縮ユニット1が収縮側へ最大推力を発生する場合のロッド側室5内の圧力とピストン側室6内の圧力との差以上に設定しておくとよい。このようにすれば、シリンダ装置C2がアクチュエータとして収縮方向に推力を発生する場合に、ロッド側室5からピストン側室6へ作動油を逃がさないので、効率よく推力を発生でき、エネルギ消費も少なくなる。本実施の形態のシリンダ装置C2では、伸側リリーフ弁25は、ロッド側室5内の圧力を制御する可変リリーフ弁9が開弁圧を最大としても開弁しなければよいので、伸側リリーフ弁25の開弁圧は、可変リリーフ弁9の最大開弁圧より高ければよい。なお、伸側リリーフ弁25の開弁圧を前述した通りに設定しない場合であっても、シリンダ装置C2は、アクチュエータとして収縮方向に推力を発生できる。
【0090】
また、シリンダ装置C2が収縮方向の推力を発生中に、伸縮ユニット1が外力で高速で伸長してロッド側室5内が異常に高圧になった場合には、伸側リリーフ弁25が開弁してロッド側室5内の作動油をピストン側室6へ移動させるので、シリンダ装置C2が保護される。
【0091】
このように、シリンダ装置C2は、方向切換弁44の切り換えおよび可変リリーフ弁9の開弁圧の調節で伸長方向および収縮方向の何れにも可変リリーフ弁9の開弁圧の調整範囲で推力を発生できる。よって、シリンダ装置C2は、ポンプ14を駆動させつつ方向切換弁44および可変リリーフ弁9を制御することでシリンダ装置C2をアクチュエータモードとしてアクチュエータとして機能させて車体Sの振動を抑制できる。
【0092】
つづいて、ダンパ回路D2を利用してシリンダ装置C2をダンパとして機能させるダンパモードについて説明する。シリンダ装置C2をダンパモードにする場合、方向切換弁44を中立ポジション44a2としモータ15を駆動せずポンプ14を停止させる。
【0093】
この状態では、アクチュエータ回路A2を通じてピストン側室6とポンプ14およびタンク7との連通が断たれて、ダンパ回路D2が有効となる。そして、ポンプ14の停止によってポンプ14から第1圧側リリーフ弁47の弁体44aへ圧力が作用しないためにピストン側室6内の圧力が第1圧側リリーフ弁47の開弁圧に達すると第1圧側リリーフ弁47が開弁して圧側排出通路26を開放し得る状態となる。
【0094】
そして、シリンダ装置C2をダンパモードとした状態で伸縮ユニット1が外力によって伸長すると、シリンダ2に対してピストン4が図3中左方へ移動してロッド側室5を縮小しつつピストン側室6を拡大させる。縮小されるロッド側室5内の作動油は、リリーフ通路45の可変リリーフ弁9と伸側通路24の伸側リリーフ弁25との一方または両方を通過し、伸側リリーフ弁25によって抵抗を受けながら拡大するピストン側室6へ移動する。伸縮ユニット1の伸長作動時には、ロッド3がシリンダ2から退出するために、シリンダ2内で作動油が不足するが、吸込チェック弁29が開弁して吸込通路28を通じて不足分の作動油がタンク7からピストン側室6へ供給される。このように、シリンダ装置C2がダンパモードとなって伸縮ユニット1が伸長作動すると、ロッド側室5内の圧力が可変リリーフ弁9と伸側リリーフ弁25とによって上昇し、ピストン側室6内の圧力がタンク圧と等しくなる。よって、シリンダ装置C2は、ピストン4のロッド側室側の受圧面積にロッド側室5内の圧力を乗じた値からピストン4のピストン側室側の受圧面積にタンク7の圧力を乗じた値を差し引いた値に等しい減衰力を伸縮ユニット1の伸長を妨げる向きに発生する。
【0095】
さらに、シリンダ装置C2をダンパモードとした状態で伸縮ユニット1が外力によって収縮すると、シリンダ2に対してピストン4が図3中右方へ移動してピストン側室6を縮小しつつロッド側室5を拡大させる。縮小されるピストン側室6内の作動油は、圧側通路32の第2圧側リリーフ弁33を通過して拡大されるロッド側室5へ移動する。伸縮ユニット1の収縮作動時には、ロッド3がシリンダ2内へ侵入するために、シリンダ2内で作動油が過剰となるが、第1圧側リリーフ弁47が開弁して圧側排出通路26を通じて過剰分の作動油がピストン側室6からタンク7へ排出される。このように、シリンダ装置C2がダンパモードとなって伸縮ユニット1が収縮作動すると、ピストン側室6内の圧力が第1圧側リリーフ弁47および第2圧側リリーフ弁33によって上昇し、ロッド側室5内の圧力が減圧され、ピストン側室6内の圧力がロッド側室5内の圧力より高くなる。よって、シリンダ装置C2は、ピストン4のピストン側室側の受圧面積にピストン側室6内の圧力を乗じた値からピストン4のロッド側室側の受圧面積にロッド側室5内の圧力を乗じた値を差し引いた値に等しい減衰力を伸縮ユニット1の収縮を妨げる向きに発生する。
【0096】
このようにシリンダ装置C2は、ダンパモードの状態では、伸縮ユニット1が外力によって伸長或いは収縮すると、伸縮ユニット1の伸長或いは収縮を妨げる減衰力を発生する。そして、ダンパモードのシリンダ装置C2は、伸縮ユニット1の伸長時には可変リリーフ弁9と伸側リリーフ弁25との一方または両方によって減衰力を発生し、伸縮ユニット1の収縮時には第1圧側リリーフ弁27および第2圧側リリーフ弁33によって減衰力を発生する。したがって、ダンパモードのシリンダ装置C2の伸長作動時のピストン速度に対して発生する減衰力の減衰力特性は、可変リリーフ弁9と伸側リリーフ弁25とによって設定され、ダンパモードのシリンダ装置C2の収縮作動時のピストン速度に対して発生する減衰力の減衰力特性は、第1圧側リリーフ弁47および第2圧側リリーフ弁33によって設定されるので、伸長作動時と収縮作動時の減衰力特性をそれぞれ独立して設定できる。
【0097】
つまり、ダンパモードにおける本実施の形態のシリンダ装置C2の伸長作動時および収縮作動時の減衰力特性は、ピストン4のロッド側室側の受圧面積とピストン側室側の受圧面積の設定によらず、可変リリーフ弁9、伸側リリーフ弁25、第1圧側リリーフ弁47および第2圧側リリーフ弁33の設定によって独立して調整できる。
【0098】
なお、供給通路40に設置されるチェック弁23をリリーフ通路45の接続点よりも方向切換弁側に設けるか、可変リリーフ弁9が非通電時にリリーフ通路45を遮断する開閉弁として機能する場合、或いは、方向切換弁44が中立ポジション44a2を採る際に供給通路40、排出通路41、伸側給排路42および圧側給排路43の全てを遮断して相互の連通を断つように設定する場合、ダンパ回路D2のみが有効となって、シリンダ装置C2の伸長作動時にはロッド側室5の作動油は可変リリーフ弁9を通過できずに伸側リリーフ弁25のみを通ってピストン側室6へ移動する。よって、この場合、シリンダ装置C2の伸長作動時の減衰力特性は、ピストン4のロッド側室側の受圧面積とピストン側室側の受圧面積の設定によらず、伸側リリーフ弁25の設定によって調整される。
【0099】
なお、本実施の形態のシリンダ装置C2におけるダンパ回路D2は、ダンパ回路D1が備える伸側吸込通路30と伸側チェック弁31とを備えていてもよい。ダンパ回路D1が備えていた伸側吸込通路30と伸側チェック弁31とをダンパ回路D2が備えていると、シリンダ装置C2がダンパモードで収縮する場合に、ロッド側室5内が負圧とならずに済み、エアレーションの発生や、伸縮ユニット1の収縮から伸長への切り換わりにおいて減衰力の発生が遅れる事態を招かずに済む。
【0100】
なお、本実施の形態のダンパ回路D2が伸側吸込通路30と伸側チェック弁31とを備える場合、圧側通路32および第2圧側リリーフ弁33を省略してもよい。また、圧側通路32には、第2圧側リリーフ弁33の代わりに、通過する作動油に然程抵抗を与えないチェック弁を設けて、ダンパモードのシリンダ装置C2における伸縮ユニット1が収縮作動する際に、第1圧側リリーフ弁47の抵抗のみで減衰力を発生してもよい。この場合も、ピストン4のロッド側室側の受圧面積とピストン側室側の受圧面積の設定によらず、ダンパモードのシリンダ装置C2の伸長作動時と収縮作動時の減衰力特性を伸側リリーフ弁25と第1圧側リリーフ弁47の設定によって同一の特性にできる。
【0101】
以上、本実施の形態のシリンダ装置C2は、シリンダ2と、シリンダ2内に移動可能に挿入されるロッド3と、シリンダ2内に移動可能に挿入されるとともにロッド3に連結されてシリンダ2内をロッド側室5とピストン側室6とに区画するピストン4とを有する伸縮ユニット1と、タンク7と、シリンダ2とタンク7との間に設けられるとともにタンク7からシリンダ2に作動油(液体)を供給可能なポンプ14とを有して伸縮ユニット1を伸縮駆動させ得るアクチュエータ回路A2と、ロッド側室5とピストン側室6とを連通する伸側通路24と、伸側通路24に設けられてロッド側室5からピストン側室6へ向かう作動油(液体)の流れに抵抗を与える伸側リリーフ弁25と、ピストン側室6とタンク7とを連通する圧側排出通路26と、圧側排出通路26に設けられてピストン側室6からタンク7へ向かう作動油(液体)の流れに抵抗を与える第1圧側リリーフ弁(圧側リリーフ弁)47と、タンク7とピストン側室6とを連通する吸込通路28と、吸込通路28に設けられてタンク7からピストン側室6へ向かう作動油(液体)の流れを許容する吸込チェック弁29とを含むダンパ回路D2と、圧側排出通路26を開閉可能であってポンプ14を駆動するアクチュエータモード時に圧側排出通路26を遮断し、ポンプ14を停止させるダンパモード時に圧側排出通路26を開放する開閉装置とを備えている。
【0102】
よって、第2の実施の形態のシリンダ装置C2は、アクチュエータとしてもダンパとしても機能でき、ダンパとして機能する際に、伸長作動時の減衰力特性と収縮作動時の減衰力特性とを、ロッド3の径とピストン4の径(シリンダ2の径)の設定によらず、伸側リリーフ弁25と第1圧側リリーフ弁(圧側リリーフ弁)47との設定によって同一の特性に設定できる。よって、第2の実施の形態のシリンダ装置C2によれば、大型化を招かずにアクチュエータとしての機能を発揮しつつも、ダンパとして機能する際に減衰係数を向上できるのである。
【0103】
そして、本実施の形態のシリンダ装置C2では、ダンパ回路D2がタンク7とロッド側室5とを連通する伸側吸込通路30と、伸側吸込通路30に設けられてタンク7からロッド側室5へ向かう作動油(液体)の流れのみを許容する伸側チェック弁31とを含んでいる。このように構成されたシリンダ装置C2によれば、伸縮ユニット1が収縮作動する際に、ロッド側室5内が負圧とならずに済み、エアレーションの発生や、伸縮ユニット1の収縮から伸長への切り換わりにおいて減衰力の発生が遅れる事態を招かずに済む。
【0104】
さらに、本実施の形態のシリンダ装置C2では、アクチュエータ回路A2が開弁圧を調整可能であって、開弁圧の調整によってポンプ14からシリンダ2内に供給される作動油(液体)の圧力を調整する可変リリーフ弁9を有し、伸側リリーフ弁25の開弁圧は可変リリーフ弁9がアクチュエータモード時に採り得る最大開弁圧より高い。このように構成されたシリンダ装置C1では、アクチュエータとして機能する場合、ポンプ14からシリンダ2内に供給される作動油(液体)をロッド側室5からピストン側室6へ逃がさないので効率よく収縮側の推力を発生できるとともにエネルギ消費も低減される。
【0105】
また、本実施の形態のシリンダ装置C2では、開閉装置が圧側リリーフ弁である第1圧側リリーフ弁(圧側リリーフ弁)47と、第1圧側リリーフ弁(圧側リリーフ弁)47を閉弁方向に付勢するようにポンプ14の吐出圧力を作用させるパイロット通路48とで構成されている。このように構成されたシリンダ装置C2によれば、第1圧側リリーフ弁(圧側リリーフ弁)47をソレノイドで切り換える必要が無くなり安価となる。
【0106】
以上で、本発明の実施の形態についての説明を終えるが、本発明の範囲は図示されまたは説明された詳細そのものには限定されないことは勿論である。
【符号の説明】
【0107】
1・・・伸縮ユニット、2・・・シリンダ、3・・・ロッド、4・・・ピストン、5・・・ロッド側室、6・・・ピストン側室、7・・・タンク、14・・・ポンプ、24・・・伸側通路、25・・・伸側リリーフ弁、26・・・圧側排出通路、27,47・・・第1圧側リリーフ弁(圧側リリーフ弁)、28・・・吸込通路、29・・・吸込チェック弁、30・・・伸側吸込通路、31・・・伸側チェック弁、34・・・開閉弁、A1,A2・・・アクチュエータ回路、C1,C2・・・シリンダ装置、D1,D2・・・ダンパ回路
【要約】
【課題】大型化を招かずにアクチュエータとしての機能を発揮しつつも、ダンパとして機能する際に減衰係数を向上できるシリンダ装置を提供する。
【解決手段】本発明のシリンダ装置C1は、伸縮ユニット1と、タンク7と、伸縮ユニット1におけるシリンダ2とタンク7との間に設けられるアクチュエータ回路A1と、ロッド側室5とピストン側室6とを連通する伸側通路24と、伸側通路24に設けられてロッド側室5からピストン側室6へ向かう液体の流れに抵抗を与える伸側リリーフ弁25と、ピストン側室6とタンク7とを連通する圧側排出通路26と、圧側排出通路26に設けられてピストン側室6からタンク7へ向かう液体の流れに抵抗を与える圧側リリーフ弁27と、タンク7とピストン側室6とを連通する吸込通路28と、吸込通路28に設けられてタンク7からピストン側室6へ向かう液体の流れを許容する吸込チェック弁29とを含むダンパ回路D1と、圧側排出通路26を開閉可能な開閉装置とを備えている。
【選択図】図1
図1
図2
図3