(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-14
(45)【発行日】2022-09-26
(54)【発明の名称】排水中の廃油再生システム
(51)【国際特許分類】
C02F 1/48 20060101AFI20220915BHJP
【FI】
C02F1/48 A
(21)【出願番号】P 2021100516
(22)【出願日】2021-05-07
【審査請求日】2021-05-20
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521262312
【氏名又は名称】RYOENG株式会社
(72)【発明者】
【氏名】松本 健一
(72)【発明者】
【氏名】石井 裕之
【審査官】高橋 成典
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-279423(JP,A)
【文献】特開2007-330901(JP,A)
【文献】特開2004-154626(JP,A)
【文献】特開平09-075912(JP,A)
【文献】特開平09-117618(JP,A)
【文献】特開平10-085722(JP,A)
【文献】特開2015-000385(JP,A)
【文献】特開2011-189257(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第101671064(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第105417832(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/46 - 1/48
1/00
1/20 - 1/36
1/30 - 1/38
1/40
9/00 - 9/14
B01D 21/00 - 21/34
17/00 - 17/12
23/00 - 35/04
35/08 - 37/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水を貯留する原水槽と、
前記原水槽に貯留されている排水を固液分離する固液分離機と、
前記原水槽と前記固液分離機を接続し、前記原水槽に貯留されている排水を前記固液分離機に導く第1配管と、
前記固液分離機で分離処理された第1処理水を貯留する油水分離槽と、
前記固液分離機と前記油水分離槽を接続し、前記固液分離機で分離処理された前記第1処理水を前記油水分離槽に導く第3配管と、
前記第1処理水とは異なり、
前記油水分離槽
の上方に貯留されている
比重の軽い油脂と水分からなる第2処理水を油水分離する油水分離機と、
前記油水分離槽と前記油水分離機を接続し、前記油水分離槽に貯留されている
前記第2処理水を前記油水分離機に導く第4配管と、
前記第4配管に設置され、前記第4配管の内部に磁場及び電場を発生させる水質改質装置と、を備えた
排水中の廃油再生システム。
【請求項2】
排水を貯留する原水槽と、
前記原水槽に貯留されている排水を固液分離する固液分離機と、
前記原水槽と前記固液分離機を接続し、前記原水槽に貯留されている排水を前記固液分離機に導く第1配管と、
前記第1配管に設置され、前記第1配管の内部に磁場及び電場を発生させる水質改質装置と、
前記固液分離機で分離処理された第1処理水を貯留する油水分離槽と、
前記固液分離機と前記油水分離槽を接続し、前記固液分離機で分離処理された前記第1処理水を前記油水分離槽に導く第3配管と、
前記第1処理水とは異なり、
前記油水分離槽
の上方に貯留されている
比重の軽い油脂と水分からなる第2処理水を油水分離する油水分離機と、
前記油水分離槽と前記油水分離機を接続し、前記油水分離槽に貯留されている第2処理水を前記油水分離機に導く第4配管と、を備えた
排水中の廃油再生システム。
【請求項3】
排水を貯留する原水槽と、
前記原水槽に貯留されている排水を固液分離する固液分離機と、
前記原水槽と前記固液分離機を接続し、前記原水槽に貯留されている排水を前記固液分離機に導く第1配管と、
前記第1配管に設置され、前記第1配管の内部に磁場及び電場を発生させる第1水質改質装置と、
前記固液分離機で分離処理された第1処理水を貯留する油水分離槽と、
前記固液分離機と前記油水分離槽を接続し、前記固液分離機で分離処理された前記第1処理水を前記油水分離槽に導く第3配管と、
前記第1処理水とは異なり、
前記油水分離槽
の上方に貯留されている
比重の軽い油脂と水分からなる第2処理水を油水分離する油水分離機と、
前記油水分離槽と前記油水分離機を接続し、前記油水分離槽に貯留されている第2処理水を前記油水分離機に導く第4配管と、
前記第4配管に設置され、前記第4配管の内部に磁場及び電場を発生させる第2水質改質装置と、を備えた
排水中の廃油再生システム。
【請求項4】
前記水質改質装置は、
配管の外側に巻き付けられるコイル部と、
前記コイル部に20Hz~1MHzの周波数である電気を流す電源部と、を有している
請求項1又は2に記載の排水中の廃油再生システム。
【請求項5】
前記第1水質改質装置及び前記第2水質改質装置は、
配管の外側に巻き付けられるコイル部と、
前記コイル部に20Hz~1MHzの周波数である電気を流す電源部と、を有し
ている
請求項3に記載の排水中の廃油再生システム。
【請求項6】
前記油水分離機で油水分離された水は、
前記油水分離槽の上流側に戻される
請求項1~5のいずれか一項に記載の排水中の廃油再生システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機物を扱っている工場、例えば食品加工工場、下水処理工場、製紙工場、染色工場などで生じる排水中の廃油を再生する廃油再生システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
有機性排水の処理方法として、微生物を利用することが従来から行われている。有機性排水には、例えば下水などを流れるし尿成分を含有する排水、食品加工工場等から排出される有機性成分及び油分を含有する排水などがある。一般的な排水処理は、最初に排水中の固形物や浮遊物質を物理的、又は化学的な方法で分離する固液分離を行い、次に溶解性の物質を化学的、又は生物学的、もしくはその両方の方法を使って分解処理を行っている。
【0003】
そのようなものとして、たとえば「屎尿及び/又は有機性汚泥と、生物処理において発生する余剰汚泥と、の混合汚泥を脱水処理した後に、生物処理する有機性排水処理方法であって、混合汚泥に高分子凝集剤を添加してから脱水処理する工程と、混合汚泥に高分子凝集剤を添加せずに脱水処理する工程と、を交互に行い、高分子凝集剤を添加する場合には、脱水処理の際に発生する分離液からリン酸マグネシウムアンモニウム(MAP)を回収するMAP回収工程を具備することを特徴とする。」が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文系1に記載の有機性排水の処理方法を含め、従来の排水処理では固液分離及び油水分離のいずれも十分に効果的に実行されているとは言えず、生物学的処理の負荷が(微生物の負担が)大きくなっていた。生物学的処理の負荷が大きいということは、排水処理に多くの時間がかかってしまうということでもある。また、生物学的処理の負荷が大きいということは、微生物が処理しなければならない対象物(有機汚物)の量が多いという事にでもあり、一定時間内に処理しきれなかった対象物(有機汚物)が処理水に残留してしまうことにもなり、そのことが原因となって固液分離用の膜(膜分離活性汚泥法)が頻繁に目詰まりしてしまうことにもつながる。膜の交換には、多くの費用がかかり、更なる低価格化が期待されると同時に、膜の交換頻度を下げる技術が期待されている。
【0006】
また、食品加工工場、食肉加工工場などには必ずグリストラップ(油水分離槽)が設置してある。しかしながら、グリストラップを経て分離された油の中にはまだまだ異物が多く存在している。従来は、異物を含んだままの状態の廃油として、産廃業者が回収するようになっていた。つまり、グリストラップを経て分離された廃油の再利用については何ら考えられていなかった。また、廃油をそのままの状態で再利用することを考えると、臭いの問題など多くの問題点を解決しなければならず、まだまだ改良の余地が残っている。
【0007】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたものであり、固液分離及び油水分離のいずれをも効果的に実行することを可能とした排水中の廃油再生システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る排水中の廃油再生システムは、排水を貯留する原水槽と、前記原水槽に貯留されている排水を固液分離する固液分離機と、前記原水槽と前記固液分離機を接続し、前記原水槽に貯留されている排水を前記固液分離機に導く第1配管と、前記固液分離機で分離処理された第1処理水を貯留する油水分離槽と、前記固液分離機と前記油水分離槽を接続し、前記固液分離機で分離処理された前記第1処理水を前記油水分離槽に導く第3配管と、前記油水分離槽に貯留されている第2処理水を油水分離する油水分離機と、前記油水分離槽と前記油水分離機を接続し、前記油水分離槽に貯留されている第2処理水を前記油水分離機に導く第4配管と、前記第4配管に設置され、前記第4配管の内部に磁場及び電場を発生させる水質改質装置と、を備えたものである。
【0009】
本発明に係る排水中の廃油再生システムは、排水を貯留する原水槽と、前記原水槽に貯留されている排水を固液分離する固液分離機と、前記原水槽と前記固液分離機を接続し、前記原水槽に貯留されている排水を前記固液分離機に導く第1配管と、前記第1配管に設置され、前記第1配管の内部に磁場及び電場を発生させる水質改質装置と、前記固液分離機で分離処理された第1処理水を貯留する油水分離槽と、前記固液分離機と前記油水分離槽を接続し、前記固液分離機で分離処理された前記第1処理水を前記油水分離槽に導く第3配管と、前記油水分離槽に貯留されている第2処理水を油水分離する油水分離機と、前記油水分離槽と前記油水分離機を接続し、前記油水分離槽に貯留されている第2処理水を前記油水分離機に導く第4配管と、を備えたものである。
【0010】
本発明に係る排水中の廃油再生システムは、排水を貯留する原水槽と、前記原水槽に貯留されている排水を固液分離する固液分離機と、前記原水槽と前記固液分離機を接続し、前記原水槽に貯留されている排水を前記固液分離機に導く第1配管と、前記第1配管に設置され、前記第1配管の内部に磁場及び電場を発生させる第1水質改質装置と、前記固液分離機で分離処理された第1処理水を貯留する油水分離槽と、前記固液分離機と前記油水分離槽を接続し、前記固液分離機で分離処理された前記第1処理水を前記油水分離槽に導く第3配管と、前記油水分離槽に貯留されている第2処理水を油水分離する油水分離機と、前記油水分離槽と前記油水分離機を接続し、前記油水分離槽に貯留されている第2処理水を前記油水分離機に導く第4配管と、前記第4配管に設置され、前記第4配管の内部に磁場及び電場を発生させる第2水質改質装置と、を備えたものである。
【0011】
本発明に係る排水中の廃油再生システムは、前記水質改質装置は、配管の外側に巻き付けられるコイル部と、前記コイル部に20Hz~1MHzの周波数である電気を流す電源部と、を有している、構成とすることができる。
【0012】
本発明に係る排水中の廃油再生システムは、前記第1水質改質装置及び前記第2水質改質装置は、配管の外側に巻き付けられるコイル部と、前記コイル部に20Hz~1MHzの周波数である電気を流す電源部と、を有している、構成とすることができる。
【0013】
本発明に係る排水中の廃油再生システムは、前記油水分離機で油水分離された水は、前記油水分離槽の上流側に戻される、構成とすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る排水中の廃油再生システムは、水質改質装置を備えているので、水質改質装置の作用によって固液分離及び油水分離のいずれをも効果的に実行することができ、その結果、油水分離機で分離される油脂の精製度も向上することになる。
【0015】
本発明に係る排水中の廃油再生システムは、簡易な構成の水質改質装置を備えているので、大型化することもなく、安価なものになる。
【0016】
本発明に係る排水中の廃油再生システムは、油水分離機で油水分離された水を、油水分離槽の上流側に戻されるので、水質改質装置を十分に機能させることができ、油水分離の性能が向上することになる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施の形態に係る排水中の廃油再生システムの全体的なシステム構成を説明するための説明図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係る排水中の廃油再生システムの水質改質装置(第1水質改質装置、第2水質改質装置)の構成を概略的に示した構成図である。
【
図3】本発明の実施の形態に係る排水中の廃油再生システムの全体的なシステム構成を説明するための説明図である。
【
図4】本発明の実施の形態に係る排水中の廃油再生システムの全体的なシステム構成を説明するための説明図である。
【
図5】本発明の実施の形態に係る排水中の廃油再生システムで生成した油脂の利用方法の一例を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<実施の形態1>
図1は、本発明の実施の形態1に係る排水中の廃油再生システム(以下、単にシステム70Aと称する)の全体的なシステム構成を説明するための説明図である。
図2は、システム70Aの水質改質装置の構成を概略的に示した構成図である。
図1及び
図2に基づいて、システム70Aについて説明する。
【0019】
(システム70Aの構成)
図1に基づいて、システム70Aの構成について説明する。システム70Aは、原水槽20、固液分離機21、油水分離槽22、油水分離機23、及び、オイルタンク24を有している。システム70Aは、水質改質装置50を有している。また、システム70Aは、排水管40、第1配管41、第3配管43、第4配管44、第5配管45、第6配管46、及び、第7配管47を有している。さらに、システム70Aは、第1ポンプ61、第2ポンプ62、第3ポンプ63、及び、第4ポンプ64を有している。
【0020】
なお、オイルタンク24はシステム70Aに必須な構成ではない。排水管40、第3配管43、第5配管45、第6配管46及び第7配管47もシステム70Aに必須な構成ではない。また、第1ポンプ61、第2ポンプ62、第3ポンプ63、及び、第4ポンプ64もシステム70Aに必須な構成ではない。さらに、第1配管41とは別に原水槽20と固液分離機21とを接続する配管(第2配管)を設け、固液分離機21でオーバーフローする処理排水を原水槽20に戻すようにしてもよい。
【0021】
原水槽20は、排水を貯留するものである。排水は、食品加工工場や畜舎などで発生する(一般的には)廃棄処分される排水である。例えば、食品加工工場の排水であれば、食品加工工場に設置してあるグリストラップを経て流出する排水などである。また、畜舎の排水であれば、し尿などを含む汚水などである。
【0022】
固液分離機21は、排水から固形物を分離する機能を有しているものであり、ここでは原水槽20に貯留されている排水を固液分離するものである。固液分離機21は、物理的方法で固液分離するメッシュをフィルターとして備えている。フィルターの目開きの大きさが重要で、固液分離機21では最小目開き60~100メッシュで固液分離するようにしている。最小目開き60~100メッシュとした理由はボイラー燃料とする場合、必ず80メッシュのストレーナーが付属しているからである。固液分離機21で分離された固形物は固液分離機21から取り出される。固液分離機21で分離された第1処理水は固形物が含まれず、油水分離槽22に送られる。
【0023】
油水分離槽22は、固液分離機21で分離された第1処理水を貯留し、さらに油水分離の精度を上げるものである。何故なら第1処理水は、固液分離機21によって水中の浮遊物は分離除去されている、尚且つ油水分離槽22によって比重分離する油分は分離除去出来るが、水中に乳化した油分がまだ含まれているからであり、それを分離除去することで後段の排水処理の効率も上がる。また、油水分離槽22に複数枚の仕切板(第1仕切板22A、第2仕切板22B、第3仕切板22C)を設けて、油水分離槽22の内部を複数の槽に分けておく。つまり、油水分離槽22は、外郭を構成する本体槽22Xを有している。本体槽22Xの内部は、3つの槽(第1槽22a、第2槽22b、第3槽22c)に分画されている。第1槽22aは、本体槽22Xの内壁と本体槽22Xの中に設置された第1仕切板22Aとで仕切られた空間である。第2槽22bは、本体槽22Xの中に設置された第1仕切板22Aと第2仕切板22Bとで仕切られた空間である。第3槽22cは、本体槽22Xの中に設置された第2仕切板22Bと第3仕切板22Cとで仕切られた空間である。
【0024】
図1では、複数槽に区画された油水分離槽22を例に示しているが、本体槽22Xの容量によっては1槽又は2槽であってもよい。また、仕切板を更に設け、本体槽22Xを4つ以上の槽に区画してもよい。油水分離機23から油水分離槽22に戻される第3処理水は、
図1に示す構成であれば第1槽22aや第2槽22bに戻される。また、1槽又は2槽で構成された油水分離槽22であれば、第3処理水は、第1処理水が流入する近傍の上流側に戻せばよい。油水分離槽23で分離された第3処理水自体も、第2水質改質装置52の作用によって改質されているため、第3処理水を第1処理水に混ぜることによって、接触時間が増え、油水分離槽22での油水分離を効果的に実行できる。
【0025】
固液分離機21から送られる第1処理水は、油水分離槽22の第1槽22aに流入する。流入した第1処理水は、第1槽22aから第2槽22bに流れる。第2槽22bでは、第1処理水が比重の違いによって油脂と水分に分離される。比重の軽い油脂は第2槽22bの上方に貯留される。比重の重い水分は、第2槽22bから第3槽22cに流れて、第3槽22cに貯留される。第2槽22bの上方に貯留された油脂は水分とともに第2処理水として油水分離機23に送られる。一方、第3槽22cに貯留されている水分は水タンク80に送られる。
【0026】
油水分離機23は、第2処理水をさらに油水分離する機能を有しているものであり、ここでは固液分離機21で分離され油水分離槽22を経由した第2処理水を油水分離するものである。油水分離の原理としては、一般的に知られているものであればよい。油水分離機23で分離された油脂はオイルタンク24に送られる。また、油水分離機23で油脂から分離された第3処理水は、油水分離槽22に戻される。
オイルタンク24は、油水分離機23で分離された油脂を貯留するものである。
【0027】
水質改質装置50は、第4配管44に設置されており、第4配管44の内部に磁場及び電場を発生させるものである。
なお、水質改質装置50の設置個数を特に限定するものではなく、複数の水質改質装置で水質改質装置50を構成してもよい。また、水質改質装置50の構成については、後段で説明するものとする。
【0028】
排水管40は、排水を原水槽20に導くものである。排水管40は必須ではない。
第1配管41は、原水槽20と固液分離機21を接続し、原水槽20に貯留されている排水を固液分離機21に導くものである。
第3配管43は、固液分離機21と油水分離槽22を接続し、固液分離機21で分離された第1処理水を油水分離槽22に導くものである。
【0029】
第4配管44は、油水分離槽22と油水分離機23を接続し、油水分離槽22で油水分離された油脂成分を多く含む第2処理水を油水分離機23に導くものである。第4配管44の一端(流入口)は、油水分離槽22の中間高さに位置し、油脂成分を多く含む第2処理水が導入されやすいようになっている。通常は、フロートで第4配管44の流入口は調整されるようになっている。また、第3槽22cの上方に貯留している油脂を含む処理水を第4配管44に導く第4サブ配管44Aを設けてもよい。第4配管44と第4サブ配管44Aを連結し、第3槽22cに貯留されている油脂を第4配管44を流れる第2処理水に合流させるようにしておくとよい。
【0030】
第5配管45は、油水分離槽22と油水分離機23を接続し、油水分離機23で分離された第3処理水を油水分離槽22に戻すものである。
第6配管46は、油水分離機23とオイルタンク24を接続し、油水分離機23で分離された油脂をオイルタンク24に導くものである。
第7配管47は、油水分離槽22と外部の水タンク80を接続し、油水分離槽22に貯留されている水分を水タンク80に導くものである。
【0031】
第1ポンプ61は、第1配管25に設置され、原水槽20に貯留されている排水を固液分離機21に送るものである。
第2ポンプ62は、第4配管28に設置され、油水分離槽22に貯留されている第2処理水を油水分離機23に送るものである。
第3ポンプ63は、第6配管46に設置され、油水分離機23で分離された油脂をオイルタンク24に送るものである。
第4ポンプ64は、オイルタンク24の外部に設置され、オイルタンク24に貯留されている油脂をシステム70の外部に送るものである。
【0032】
(水質改質装置50)
図2は、システム70Aの水質改質装置50の構成を概略的に示した構成図である。なお、処理水とは、原水槽20の下流側を流れる排水の総称である。
【0033】
原水槽20に貯留する排水には不純物などが多く含まれている。不純物が多く含まれていることによって、オイルタンク24に貯留される油脂は、そのままでは使用できず、廃棄物処理業者に引き取ってもらうしかなかった。また、不純物を取り除くには、フィルターや微生物を利用しなければならないが、メンテナンスや微生物の活性化に多くの手間と費用がかかっていた。
【0034】
そこで、システム70では、水質改質装置50を備えることで、排水の精製度を向上させるようにしている。水質改質装置50は、油水分離槽22から油水分離機23に導入される第2処理水が流れる第4配管44の外側に取り付けられる。水質改質装置50は、配管の外側に電流を流し、配管内部を流れる処理水を変調電場処理するようになっている。水質改質装置50によって第2処理水を変調電場処理することで、第2処理水の浄化が実現できる。
【0035】
図2に示すように、水質改質装置50は、第4配管44の外側に巻き付けられるコイル部55と、コイル部55に電流を流す電源部56と、を有している。コイル部55は、第1コイル部55Aと第2コイル部55Bで構成され、第1コイル部55Aと第2コイル部55Bとの間は離間されている。なお、第1コイル部55Aと第2コイル部55Bは電気的に連続している。また、コイル部55は、直線状に伸びている配管に巻き付けられる。電源部56は、20Hz~1MHz(好ましくは100~5000Hz)の周波数帯域で、経時的に周波数を変調させた微小電流をコイル部55に供給する。こうすることで、配管の内部に磁場及び電場を発生させることができる。配管の内部に発生させた磁場及び電場によって電子エネルギーが生じる。この電子エネルギーは、配管を流れる処理水に含まれている水分に、水分子及び水中のイオンを媒体として電解エネルギーを与える。この作用によって、処理水の精製度が向上することになる。
【0036】
(システム70Aの作用)
原水槽20に排水が貯留される。原水槽20に貯留されている排水は第1ポンプ61の駆動によって第1配管41を流れ、固液分離機21を送られる。固液分離機21では物理的な方法で排水から固形物が除去される。
【0037】
油水分離槽22に送られた第1処理水は、比重差によって油水分離が行われる。油脂成分の多い第2処理水は油水分離槽22の第2槽22bの上方に貯留され、水分は油水分離槽22の第3槽22cの下方に貯留される。第3槽22cの下方には第7配管47が接続されており、油水分離槽22に貯留されている水分を外部の水タンク80に送る。水タンク80に送られた水分は、排水処理設備などに引き取られ、処分されることになる。
【0038】
油水分離槽22の上方に貯留されている第2処理水は、第4配管44を流れ、油水分離機23に送られる。第4配管44には水質改質装置50が設置されているため、水質改質装置50の作用によって第2処理水は浄化され、精製度が向上することになる。精製度が向上した第2処理水は、油水分離機23で更に油水分離される。油水分離機23で分離された油脂は、第2ポンプ62の駆動によって第6配管46を流れ、オイルタンク24に送られる。一方、油水分離機23で分離された第3処理水は、第5配管45を流れ、油水分離槽22に戻される。第3処理水の戻りは、第1槽22aや第2槽22bでよい。
【0039】
オイルタンク24に貯留されている油脂は、水質改質装置50の採用によって、精製度が高い、つまり不純物が含まれていない純度の高い状態になっており、更なる浄化作業を経ずとも、そのままの状態で種々に利用することが可能になっている。現在のところ、食品加工工場などで発生する油脂(油脂混じりの排水も含む)は、有償で廃棄業者に引き取ってもらっていた。また、水質改質装置についても、配管詰まりなどの抑制に利用されているだけで、内部を流れる流体の精製度を高めることについては何ら考慮されていないかった。
【0040】
<実施の形態2>
図3は、本発明の実施の形態2に係る排水中の廃油再生システム(以下、単にシステム70Bと称する)の全体的なシステム構成を説明するための説明図である。
図1に基づいて、システム70Bについて説明する。なお、システム70Bの基本的な構成はシステム70Aと同様であるため、相違点を中心に説明する。
【0041】
(システム70Bの構成)
図3に示すように、システム70Bの基本的な構成はシステム70Aと同様である。水質改質装置50の設置位置がシステム70Aと異なっている。水質改質装置50は、第1配管41に設置されており、第1配管41の内部に磁場及び電場を発生させるものである。水質改質装置50の構成については、
図2に示した通りである。なお、水質改質装置50の設置個数を特に限定するものではなく、複数の水質改質装置で水質改質装置50を構成してもよい。水質改質装置50は、第1配管41の外側に取り付けられる。水質改質装置50によって第1処理水を変調電場処理することで、第1処理水の浄化を実現している。
【0042】
(システム70Bの作用)
原水槽20に排水が貯留される。原水槽20に貯留されている排水は第1ポンプ61の駆動によって第1配管41を流れ、固液分離機21を送られる。固液分離機21では物理的な方法で排水から固形物が除去される。第1配管41には水質改質装置50が設置されているため、水質改質装置50の作用によって排水は浄化され、精製度が向上することになる。なお、固液分離機21と原水槽20とを配管で接続し、固液分離機21から原水槽20に排水を循環させるようにしておいてもよい。
【0043】
油水分離槽22に送られた第1処理水は、比重差によって油水分離が行われる。油脂成分の多い第2処理水は油水分離槽22の第2槽22bの上方に貯留され、水分は油水分離槽22の第3槽22cの下方に貯留される。第3槽22cの下方には第7配管47が接続されており、油水分離槽22に貯留されている水分を外部の水タンク80に送る。水タンク80に送られた水分は、排水処理設備などに引き取られ、処分されることになる。
【0044】
油水分離槽22の上方に貯留されている第2処理水は、第4配管44を流れ、油水分離機23に送られる。第2処理水は、油水分離機23で更に油水分離される。油水分離機23で分離された油脂は、第2ポンプ62の駆動によって第6配管46を流れ、オイルタンク24に送られる。一方、油水分離機23で分離された第3処理水は、第5配管45を流れ、油水分離槽22に戻される。第3処理水の戻りは、第1槽22aや第2槽22bでよい。
【0045】
オイルタンク24に貯留されている油脂は、水質改質装置50の採用によって、精製度が高い、つまり不純物が含まれていない純度の高い状態になっており、更なる浄化作業を経ずとも、そのままの状態で種々に利用することが可能になっている。現在のところ、食品加工工場などで発生する油脂(油脂混じりの排水も含む)は、有償で廃棄業者に引き取ってもらっていた。また、水質改質装置についても、配管詰まりなどの抑制に利用されているだけで、内部を流れる流体の精製度を高めることについては何ら考慮されていないかった。
【0046】
<実施の形態3>
図4は、本発明の実施の形態1に係る排水中の廃油再生システム(以下、単にシステム70Cと称する)の全体的なシステム構成を説明するための説明図である。
図4に基づいて、システム70Cについて説明する。システム70Cは、システム70Aの水質改質装置50とシステム70Bの水質改質装置50の双方を設置したシステム構成となっている。第1配管41に設置された水質改質装置50を第1水質改質装置51と称し、第4配管44に設置された水質改質装置50を第2水質改質装置52と称するものとする。
【0047】
(システム70Cの構成)
図4に基づいて、システム70Cの構成について説明する。システム70Cの基本的な構成は、システム70A及びシステム70Bと同様である。システム70Cは、第1水質改質装置51、及び、第2水質改質装置52を有している。
【0048】
第1水質改質装置51は、第1配管41に設置されており、第1配管41の内部に磁場及び電場を発生させるものである。
第2水質改質装置52は、第4配管44に設置されており、第4配管44の内部に磁場及び電場を発生させるものである。
なお、第1水質改質装置51及び第2水質改質装置52の設置個数を特に限定するものではなく、複数の水質改質装置で第1水質改質装置51及び第2水質改質装置52を構成してもよい。また、第1水質改質装置51及び第2水質改質装置52の構成については、実施の形態1及び実施の形態2で説明した水質改質装置50と同様である。
【0049】
システム70Cでは、2つの水質改質装置50を備えることで、排水の精製度を向上させるようにしている。第1水質改質装置51は、第1配管41の外側に取り付けられる。第2水質改質装置52は、油水分離槽22から油水分離機23に導入される第2処理水が流れる第4配管44の外側に取り付けられる。水質改質装置50は、配管の外側に電流を流し、配管内部を流れる処理水を変調電場処理するようになっている。
【0050】
第1水質改質装置51によって第1処理水を変調電場処理することで、第1処理水の浄化が実現できる。第2水質改質装置52によって第3処理水を変調電場処理することで、第1処理水の浄化が実現できる。
【0051】
(システム70Cの作用)
原水槽20に排水が貯留される。原水槽20に貯留されている排水は第1ポンプ61の駆動によって第1配管41を流れ、固液分離機21を送られる。固液分離機21では物理的な方法で排水から固形物が除去される。第1配管41には第1水質改質装置51が設置されているため、第1水質改質装置51の作用によって排水は浄化され、精製度が向上することになる。
【0052】
油水分離槽22に送られた第1処理水は、比重差によって油水分離が行われる。油脂成分の多い第2処理水は油水分離槽22の第2槽22bの上方に貯留され、水分は油水分離槽22の第3槽22cの下方に貯留される。第3槽22cの下方には第7配管47が接続されており、油水分離槽22に貯留されている水分を外部の水タンク80に送る。水タンク80に送られた水分は、排水処理設備などに引き取られ、処分されることになる。
【0053】
油水分離槽22の上方に貯留されている第2処理水は、第4配管44を流れ、油水分離機23に送られる。第4配管44には第2水質改質装置52が設置されているため、第2水質改質装置52の作用によって第2処理水は浄化され、精製度が向上することになる。精製度が向上した第2処理水は、油水分離機23で更に油水分離される。油水分離機23で分離された油脂は、第2ポンプ62の駆動によって第6配管46を流れ、オイルタンク24に送られる。一方、油水分離機23で分離された第3処理水は、第5配管45を流れ、油水分離槽22に戻される。第3処理水の戻りは、第1槽22aや第2槽22bでよい。
【0054】
オイルタンク24に貯留されている油脂は、第1水質改質装置51及び第2水質改質装置52の採用によって、精製度が高い、つまり不純物が含まれていない純度の高い状態になっており、更なる浄化作業を経ずとも、そのままの状態で種々に利用することが可能になっている。現在のところ、食品加工工場などで発生する油脂(油脂混じりの排水も含む)は、有償で廃棄業者に引き取ってもらっていた。また、水質改質装置についても、配管詰まりなどの抑制に利用されているだけで、内部を流れる流体の精製度を高めることについては何ら考慮されていないかった。
【0055】
図5は、システム70Cで生成した油脂の利用方法の一例を説明するための説明図である。
図5に基づいて、油脂の利用方法の一例について説明する。
図5では、油脂をボイラーの熱源として利用している場合を例に示している。つまり、システム70Cで生成した油脂を廃油焚きボイラー(蒸気ボイラー)の燃料として利用している。なお、システム70Aやシステム70Bで生成した油脂であっても同様に利用することができる。
【0056】
食品加工工場では、殺菌、加温等を行うことにより、化石燃料焚きの蒸気ボイラーを一般的に使用している。この既設のボイラーをバックアップ用とし、廃油炊きボイラー、つまりシステム70で生成した油脂を燃料とするボイラーをメイン用として、油脂を燃焼させる。そして、発生させた蒸気は、汚泥乾燥用の熱源として活用することができる。このようにすれば、汚泥の減容となり、産廃費用が削減できることになる。
【0057】
以上のように、本実施の形態に係るシステム(システム70A、システム70B及びシステム70C)によれば、複雑な構成を採用することなく、水質改質装置50を設置するだけで、処理水の精鋭度を向上することができる。また、システム70では、固液分離機21、油水分離槽22、油水分離槽22を備えているだけでなく水質改質装置50を備えているため、排水からの固形分除去、処理水からの油脂の除去が効果的に実行でき、処理負荷が激減する。システム70では、生成した油脂を再生利用することで熱エネルギーとして利用することができる。
【0058】
本実施の形態に係るシステムでは、水質改質装置50の作用によって排水処理負荷軽減が実現でき、ランニングコストを大幅に削減できる。つまり、投与する各薬品を大幅に削減でき、さらには汚泥発生量を大幅に減少できる。また、生成した油脂の精製度が高いので、悪臭の軽減にもつながる。さらに、水質改質装置50の作用によって、配管の内壁の防錆、スケールの付着抑制、配管の詰まり抑制を実現できる。
【符号の説明】
【0059】
1:燃料源、2:燃料源、3:生成燃料、10:グリストラップ、20:原水槽、21:固液分離機、22:油水分離槽、22A:フィルター、22B:フィルター、23:油水分離機、24:オイルタンク、40:排水管、41:第1配管、43:第3配管、44:第4配管、44A:第4サブ配管、45:第5配管、46:第6配管、47:第7配管、50:水質改質装置、51:第1水質改質装置、52:第2水質改質装置、55:コイル部、56:電源部、61:第1ポンプ、62:第2ポンプ、63:第3ポンプ、64:第4ポンプ、70A:排水中の廃油再生システム、70B:排水中の廃油再生システム、70C:排水中の廃油再生システム、80:水タンク、100:廃棄物系バイオマスの利用方法。
【要約】
【課題】固液分離及び油水分離のいずれをも効果的に実行することを可能とした排水中の廃油再生システムを提供することを目的としている。
【解決手段】本発明に係る排水処理システムは、第1配管に設置され、第1配管の内部に磁場及び電場を発生させる第1水質改質装置と、第4配管に設置され、第4配管の内部に磁場及び電場を発生させる第2水質改質装置と、を備えたものである。
【選択図】
図1