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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-14
(45)【発行日】2022-09-26
(54)【発明の名称】貯留槽
(51)【国際特許分類】
   E03F 1/00 20060101AFI20220915BHJP
   E03B 11/14 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
E03F1/00 Z
E03B11/14
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2017123618
(22)【出願日】2017-06-23
(65)【公開番号】P2019007219
(43)【公開日】2019-01-17
【審査請求日】2020-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】306024805
【氏名又は名称】株式会社 林物産発明研究所
(72)【発明者】
【氏名】林 慎一郎
(72)【発明者】
【氏名】林 和志郎
(72)【発明者】
【氏名】林 宏三郎
(72)【発明者】
【氏名】林 加奈子
【審査官】石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-057718(JP,A)
【文献】特開平10-102569(JP,A)
【文献】特開2006-037482(JP,A)
【文献】特開2006-241701(JP,A)
【文献】特開2012-057442(JP,A)
【文献】特開平04-055537(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03F 1/00
E03B 11/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地下に盤体と盤体に開口する脚部からなるテーブル状部材を配列して形成する貯留空間において、盤体の縁部に脚部に向かって開口する凹部がリブで形成されたテーブル状部材と、端部に前記凹部に挿入可能な凸部を有し、前記盤体と1:1に対応する幅を有する壁材を用いて、盤体最外辺リブ部2枚を壁材の中央部の凸部と凸部の間に嵌め込むことで相接するテーブル状部材を接続し、前記貯留空間の周壁部を構成し、当該周壁内に一定の間隔を開けたテーブル状部材間を継手部材で連結して、周壁内を天井部材で覆った貯留槽
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テーブル状部材で形成された貯留空間を利用して液体特に雨水を貯留する雨水流出抑制用の貯留槽技術および軽量盛土技術などに属する。
【背景技術】
【0002】
貯留空間を形成するため使用される盤体と盤体に開口する脚部からなるテーブル状部材と壁材は主として一時的に雨水を貯留し、徐々に流出させる雨水流出抑制施設を構築する滞水材あるいは軽量盛土材として使用されている。
雨水流出抑制施設としての貯留槽、浸透槽として使用される例として以下の開示がある。(特開平10-252108、特開2001-90167、特開2006-200356、特開2009-57695)
またテーブル状部材を軽量盛土に利用する例として以下の技術が公開されている。(特開2007-2419、特開2009-57695)
さらに、テーブル状部材を使用し且つぶ資材の節約を図る手段が開示されている(特開2008-280775)。本方法では水平強度が従来方法に比べ劣る恐れがあり、資材の節約を実現し且つ水平強度の維持を図る手段が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-252108
【文献】特開2001-90167
【文献】特開2006-200356
【文献】特開2009-57695
【文献】特開2007-2419
【文献】特開2009-57695
【文献】特開2008-280775
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
テーブル状部材を使用して形成する貯留空間を資材の節約を実現し且つ水平強度の維持を図る手段の提案である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、地下に盤体と盤体に開口する脚部からなるテーブル状部材を配列して形成する貯留空間において、盤体の縁部に脚部に向かって開口する凹部がリブで形成されたテーブル状部材と、端部に前記凹部に挿入可能な凸部を有し、前記盤体と1:1に対応する幅を有する壁材を用いて、盤体最外辺リブ部2枚を壁材の中央部の凸部と凸部の間に嵌め込むことで相接するテーブル状部材を接続し、前記貯留空間の周壁部を構成し、当該周壁内に一定の間隔を開けたテーブル状部材間を継手部材で連結して、周壁内を天井部材で覆った貯留槽である。
従来テーブル状部材で形成する貯留空間の最外辺部に使用するテーブル状部材間の接続に使用する継手を壁材で代替できるようにした。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、テーブル状部材の平盤部の縁には脚部と同じ方向に開口した複数の凹部がリブで形成され、壁材の端部には前記凹部に挿入可能な凸部が設けられ、かつ凸部の間隔はテーブル状部材の平盤部最外辺リブ部が2枚挿入可能に設定されている。ユニットを立体的に配置し貯留空間の周壁を形成し、その貯留空間の最外辺部のユニットのテーブル状部材盤体凹部に壁材をずらして挿入するため以下の効果がある。
(1) 壁材をずらして、すなわち壁材の中心凸部間に相接するテーブル状部材の最外辺部のリブを2枚挿入することで2つのテーブル状部材は壁材で接続される。
(2) 壁材で接続するため従来の継手接続より接続強度が向上する。
(3) 従来どおりテーブル状部材と壁材部を1対1に対応して接続することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】は、本発明のテーブル状部材と壁材の概念図である。
図2】は、本発明のテーブル状部材をその脚部を対向させた状態で接続したユニットの側面概念図である。
図3a】は、本発明のテーブル状部材の縁部凹部に壁材の凸部をずらして挿入させた状態を示す側面概念図である。
図3b】は、従来のテーブル状部材間の接続状態を示す概念図である。
図4】は、本発明の貯留空間の周壁を示す概念図である。
図5a】は、周壁内にユニットを間隔を設けて配置し、継手でテーブル状部材の盤体間を接続した状態を示す概念図である。
図5b】は、周壁内にユニットを間隔を設けて配置し、継手でテーブル状部材の脚部間を接続した状態を示す概念図である。
図6】は、継手部材を示す概念図である。
図7】は、貯留空間に天井材を配置した状態を示す概念図である。
図8】は、本発明の貯留槽を雨水等の流出抑制施設として使用する例を示す。
図9】は、本発明の貯留槽を軽量盛土材として使用する例を示す。
図10】テーブル状部材の他の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を図により詳細に説明する。
図1は、本発明に使用するテーブル状部材と壁材の例を示している。
本発明に使用するテーブル状部材は、図1aに示す通り、平盤部と平盤部に開口する脚部から構成される。
平盤部には通常貯留する雨水が上下に流れ下るよう複数の孔が設けられている。形状は正方形、長方形、あるいはそれらの端部を切り欠いた形状であり、全体として密着して配置できる形状であれば良い。脚部は通常テーパを設けた筒状形を有し、その断面は円形、多角形、梅鉢形など任意に選ぶことができる。
図では平盤部と反対側の脚部の端面は閉じられているが、その端面においても任意に孔が設けることができる。平盤部に設ける脚部の位置、個数、寸法も任意に設定可能である。本願に使用するテーブル状部材はその平盤部の外縁に脚部の方向に向かって開口する複数の凹部がリブにより形成されている。
また図では開口する凹部が等間隔に配置されているが、非等間隔であっても、後述する壁材の凸部が複数挿入できる凹部があってもよい。
図3に示すように、壁材の端部に設けられた凸部が、テーブル状部材の平盤部が付き合わされた状態でその凹部に挿入可能で、付き合わされた平盤部の最外縁部が2枚凸部と凸部の間の隙間に挿入されテーブル状部材が接続できればよい。
図2は、テーブル状部材をその脚部の底部を対向させた状態で組み合わせたユニットを示している。
【0009】
壁材は、図1bに示す通り、平板状でその上下端には複数の凸部が設けられている。凸部の形状は前記テーブル状部材の平盤部縁部に設けた凹部に挿入可能に形成されている。
凸部の間隔は、少なくともその中央部分においては、テーブル状部材の最外縁部のリブが2枚挿入可能となるように設定されている。一般的には平盤部の最外縁部の厚さの2倍以上の間隔で、接続強度、接続の容易さを考慮して、適切な余裕を設けることが好ましい。壁材の幅はテーブル状部材の平盤部の幅に対応して設定される。
壁材の長さは、通常はテーブル状部材を図2に示すように組み合わせた状態のユニットの高さに対応するよう設定される。
また、テーブル状部材をそのまま脚部を上方向もしくは下方向に揃えて配置使用する場合があり、その場合壁材の高さは、図3に示すように、テーブル状部材の高さに対応して設定する。
【0010】
図3aのa、bはユニットとユニットの接続部に壁材の中心部が対応するよう、壁材をずらして挿入した状態を示す側面概念図である。特段の理由のない限り、壁材の中心がユニットの接続部に相当するように定めるのが、ユニット同士の接続強度のため好ましい。
図3のc、dは、テーブル状部材を壁材で接続する状態を示している。
【0011】
図3bは従来のテーブル状部材を使用した貯留空間のの最外辺部の接続状態を示す概念図である。
aは、テーブル状部材と壁材を1:1に対応させた状態を示し、bは、テーブル状部材の上面端部と従来の接続用継手を示している。
【0012】
図4は、貯留空間の周壁部をユニットを配列して形成した状態を示している。
ユニットを前後左右上下に配列し、上記の方法でユニット間を横方向に接続する。壁材の中心でユニットを接続するので、周壁の各側面の最初と最後は壁材の幅は半分となる。半分の幅の壁材を別途製造してもよいが、樹脂製であれば現場で半分に切って使用することでもよい。大きな貯留空間であれば、半分の壁材の数は相対的に少なくて住む。
【0013】
図5に示すように、周壁内部にユニットを間隔を開けて配列し、ユニット間、ユニットと周壁とを継手で接続する。
図5aは、ユニットを構成するテーブル状部材の盤体間を接続している例を示し、図5bは、ユニットを構成するテーブル状部材の脚間を接続している例を示している。なお継手部材はハッチを施してある。
盤体間の継手は図3bに示すようなオスメス継手を使用している。
【0014】
図6に継手部材の例を示している。図6aに示す継手部材は図5aに示す図に対応し。図6b示す継手部材は図5bに示す図に対応している。
図6aに示すいずれの継手部材も、平板の辺部、もしくは隅を本体より薄く形成し、その表面にオス継手としての凸部を設けたものである。テーブル状部材の対応する平盤部に凹所を設け上記薄く形成した部分を挿入可能とし、その凹所に継手部材の凸部が挿入可能なメス継手としての孔部を設けるものである。
【0015】
図6bに示すいずれの継手も、平板で、接続するユニットの相対向するテーブル状部材の脚部に対応する部分に凹部が設けられて、当該脚部が挿入可能となっている。
【0016】
図7は、周壁内に配置されたユニットと周壁およびユニット同士を天井材で覆った状態を示している。天井材にはハッチをほどこしてある。
図8および図9は本発明の貯留槽をシートで覆い、付帯設備を設けて流出抑制用の貯留槽、および軟弱地盤対策用の軽量盛土の例を示している。
図10に本発明に使用するテーブル状部材の例を示す。本例は盤体と盤体に開口する脚部が盤体の対角線状に同一直線状に配置された例である。テーブル状部材と壁材を示している。
【産業上の利用可能性】
【0017】
雨水の流出抑制用に使用される一時的貯留、汚染水などの一時貯留槽(図8)、あるいは軽量盛土材(図9)として使用される。また臨時のステージなどとして使用することもできる。
【符号の説明】
【0018】
1 テーブル状部材
11 平盤部
12 テーブル状部材平盤部縁部の凹部
2 ユニット
3 壁材
31 壁材の端部に設けた凸部
4 継手部材
5 天井材
6 従来の継手(オス継手)
61 メス継手
図1
図2
図3a
図3b
図4
図5a
図5b
図6
図7
図8
図9
図10