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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-14
(45)【発行日】2022-09-26
(54)【発明の名称】折り畳み封書及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B42D 15/02 20060101AFI20220915BHJP
   B42D 15/08 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
B42D15/02 501E
B42D15/08 B
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018138885
(22)【出願日】2018-07-05
(65)【公開番号】P2020006671
(43)【公開日】2020-01-16
【審査請求日】2021-06-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000105280
【氏名又は名称】ケイディケイ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】木村 義和
(72)【発明者】
【氏名】土屋 雅人
【審査官】富士 春奈
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-053172(JP,A)
【文献】特開2014-054822(JP,A)
【文献】特開平08-267956(JP,A)
【文献】特開2017-209971(JP,A)
【文献】特開2010-274422(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42D 1/00-25/485
(57)【特許請求の範囲】
【請求項5】
縦方向の折り線を介して横方向に連接された横幅の異なる複数の葉片からなる一組の単位シートが横方向の折り線を介して縦方向に二組連接された折り畳み封書用紙を、前記縦方向の折り線から折り畳んだ後に最終的に前記横方向の折り線から二つ折りに折り畳み、折り畳み後に生じる各対向葉片間が疑似接着媒体を介して剥離可能に接着されると共に前記横方向の折り畳みの際に横幅の狭い葉片から表出する横幅の広い葉片の縁辺同士を剥離不能に接着することにより、前記横方向の折り線で形成される袋とじ状態の下縁辺を開放して展開した後に複数の葉片が前記剥離不能に接着された縁辺から対称的に展開することを特徴とした折り畳み封書の製造方法であって、
前記折り畳み封書用紙が印刷されたシートを繰り出すシートの繰り出し工程と、
繰り出されたシートの疑似接着予定面に疑似接着媒体を形成すると共に製本予定部分に完全接着媒体を形成する接着媒体の形成工程と、
接着媒体が形成されたシートに印刷された折り畳み封書用紙の縦方向の余白を切除する切除工程と、
縦方向の余白が切除された折り畳み封書用紙が印刷されたシートを疑似接着媒体同士及び完全接着媒体同士が対向するように縦方向の折り線から折り畳む第一の折り畳み工程と、
縦方向の折り線から折り畳まれた折り畳み封書用紙が印刷されたシートの前後する折り畳み封書用紙を断裁して個別の折り畳み封書用紙に切り出す折り畳み封書用紙の切り出し工程と、
個別に切り出された折り畳み封書用紙を横方向の折り線から最終形態の二つ折りに折り畳む第二の折り畳み工程と、
最終形態に折り畳まれた折り畳み封書用紙の疑似接着予定面を剥離可能に接着すると共に製本予定部分を剥離不能に接着する接着工程と
からなることを特徴とした折り畳み封書の製造方法。
【請求項8】
請求項5乃至7の何れかに記載の折り畳み封書の製造方法において、接着媒体の形成工程の上流側及び/又は下流側に縦方向の折り線に折り手段を形成する折り手段の形成工程が配置されたことを特徴とした折り畳み封書の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙の折り畳みにより得られる封書であり、大量の情報伝達を可能にすると共に開封後の製本状態で展開されるため受取人の興味を引く折り畳み封書とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、案内状やパンフレット等の大量の情報を伝達する手段として、封筒に各種広告宣伝物を封入封緘して郵送する方法が一般的である。しかし最近では個人情報等の管理が重要となり、誤って他人の情報を記載したり、そのために封書を誤配したりする等の事故は極力避けなければならない。また多数の個別の情報を封入封緘する作業に係る多大な経費を削減したいところである。そのような状況下、例えば特開2000-43456号に記載される折り畳み封書用シートが提案されている。
【先行技術分野】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-43456号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
既述の引用文献に記載される折り畳み封書用シートは、一枚のシートに一対一対応で情報を記載して折り畳み封書に仕上げるため、誤って他人の情報が混じることはない。また折り畳むことで封書に仕上がるので封入封緘の手間も省ける等の長所がある。しかし特殊加工を必要とする突出した封緘辺、封緘のための接着剤塗布、開封に際して封着片を引きちぎるための切取ミシン加工、接着部分が容易に剥離するための剥離剤塗布加工、二条のミシン目による開封手段等の複雑で手間が掛かる加工等が必要で、せっかく既述の長所があるにも関わらず割高についてしまう。
【0005】
本発明の折り畳み封書は、上記問題に鑑み、一枚のシートに情報を記載して折り畳み封書に仕上げるため、一つの封筒に複数の紙片、情報を封入する際に起こる他人の情報の誤封入等の事故が起こらず、開封後は立体的な見開き状に製本されているため情報の確認がしやすく受取人の興味を引く。また本発明の折り畳み封書の製造方法は、封書にする際の特殊な加工を最低限にすることでコストのアップを押さえることができる、折り畳み封書を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の折り畳み封書は、縦方向の折り線を介して横方向に連接された横幅の異なる複数の葉片からなる一組の単位シートが横方向の折り線を介して縦方向に二組連接された折り畳み封書用紙を、前記縦方向の折り線から折り畳んだ後に最終的に前記横方向の折り線から二つ折りに折り畳み、折り畳み後に生じる各対向葉片間が疑似接着媒体を介して剥離可能に接着されると共に前記横方向の折り畳みの際に横幅の狭い葉片から表出する横幅の広い葉片の縁辺同士を剥離不能に接着することにより、前記横方向の折り線で形成される袋とじ状態の下縁辺を開放して展開した後に複数の葉片が前記剥離不能に接着された縁辺から対称的に展開することを特徴としている。
【0007】
なお本発明の折り畳み封書は、下縁辺が全体を大きく二つ折りにした折り線部分になるため袋状に閉じられている。従って受取人は開封に際して下縁辺を鋏やカッター等の切除道具を使用し切除してから開放する必要がある。その手間を省くため予め重なり合う葉片の下縁辺に沿って切取ミシン等の破断手段を設けておけば、切除道具を使用せず手で破断して開封するようにすることができる。
【0008】
また下縁辺の横方向の折り線に切取ミシン等の破断手段を形成しておいて、前記開封手段と同様に切除道具を使用せず、前記折り線に形成された切取ミシンを手で破断して開封するようにすることもできる。この場合破断に際して切り屑が発生しないのでより至便である。
【0009】
さらに開封に際しての前記全ての手間を省くために、投函前に下縁辺を予め切除して開放した状態で受取人の手元へ届くようにしても構わない。
【0010】
さらにまた、上記目的を達成するために、本発明の折り畳み封書の製造方法は、縦方向の折り線を介して横方向に連接された横幅の異なる複数の葉片からなる一組の単位シートが横方向の折り線を介して縦方向に二組連接された折り畳み封書用紙を、前記縦方向の折り線から折り畳んだ後に最終的に前記横方向の折り線から二つ折りに折り畳み、折り畳み後に生じる各対向葉片間が疑似接着媒体を介して剥離可能に接着されると共に前記横方向の折り畳みの際に横幅の狭い葉片から表出する横幅の広い葉片の縁辺同士を剥離不能に接着することにより、前記横方向の折り線で形成される袋とじ状態の下縁辺を開放して展開した後に複数の葉片が前記剥離不能に接着された縁辺から対称的に展開することを特徴とした折り畳み封書の製造方法であって、前記折り畳み封書用紙が印刷されたシートを繰り出すシートの繰り出し工程と、繰り出されたシートの疑似接着予定面に疑似接着媒体を形成すると共に製本予定部分に完全接着媒体を形成する接着媒体の形成工程と、接着媒体が形成されたシートに印刷された折り畳み封書用紙の縦方向の余白を切除する切除工程と、縦方向の余白が切除された折り畳み封書用紙が印刷されたシートを疑似接着媒体同士及び完全接着媒体同士が対向するように縦方向の折り線から折り畳む第一の折り畳み工程と、縦方向の折り線から折り畳まれた折り畳み封書用紙が印刷されたシートの前後する折り畳み封書用紙を断裁して個別の折り畳み封書用紙に切り出す折り畳み封書用紙の切り出し工程と、個別に切り出された折り畳み封書用紙を横方向の折り線から最終形態の二つ折りに折り畳む第二の折り畳み工程と、最終形態に折り畳まれた折り畳み封書用紙の疑似接着予定面を剥離可能に接着すると共に製本予定部分を剥離不能に接着する接着工程とからなることを特徴としている。
【0011】
また受取人の開封に際しての全ての面倒を省くために、前記接着工程の後に折り畳み封書の袋状に閉じられて封緘された下縁辺を切除する切除工程を配置しておけば、既に下縁辺が切除されて解放された状態なので、受取人はそのまま開封することができると共に切り屑が発生しないため至便である。
【0012】
さらに前記折り畳み封書の製造方法において切除工程と断裁工程を先に行い、折り畳み封書用紙を切り出した後に第一及び第二の折り畳み工程を一気に通過させ、その後接着工程に送り込み折り畳み封書を製造するようにしても構わない。
【0013】
さらにまた、縦方向の折り線に形成される折りミシンや折り筋等の折り手段の形成時期に制限はない。例えば接着媒体の形成工程の上流側或いは下流側の何れで形成しても構わない。また上流側と下流側の両側で段階的に形成しても構わない。さらに繰り出し工程で予め折り手段が形成された折り畳み封書用紙を載置しておいても良く、その場合折り手段形成工程は省略することができる。なお、横方向の折り線にも折り手段を形成しても構わない。
【0014】
これら製造方法における各工程は、一貫した連続工程で行われてもよく、或いは個別の専用機により工程ごとに折り畳み封書用紙を移し替えて行われても構わない。
【0015】
本発明の折り畳み封書に使用される資材は、例えば上質紙、マット紙、コート紙等の通常の用紙、合成紙、不織布或いは樹脂フィルムシート等を好適に使用することができる。そして折り畳まれた対向面同士を剥離可能に接着する疑似接着に使用する疑似接着媒体は、大きく以下の3種類に分けられる。
1)後糊方式
印刷後の用紙の疑似接着予定面に疑似接着性のUVニスを塗布して疑似接着性の被膜を形成したもの。前記疑似接着性の被膜同士を対向させて加圧或いは加熱・加圧処理を施すと剥離可能に接着する。エマルジョン型の粘着剤を塗布するものもある。
2)先糊方式
印刷前の用紙の疑似接着予定面に、合成ゴム或いは天然ゴムを主成分とした疑似接着性の媒体を塗布し含侵させる。乾燥後印刷・印字を行い疑似接着予定面同士を対向させて加圧処理を施すと剥離可能に接着する。
3)フィルム方式
印刷後の用紙の疑似接着予定面に疑似接着性のフィルムシートを被覆し、前記疑似接着性のフィルムシートを対向させて加圧或いは加熱・加圧処理を施すと剥離可能に接着する。なお、フィルム方式には対向面の両面に予め被覆しておく全面貼り方式と、折り畳んだ用紙の対向面間に予め疑似接着しているフィルム方式を挟み込み接着する挟み込み方式の二種類がある。
【0016】
また、本発明の折り畳み封書は、一枚の折り畳み封書シートを縦横に折り畳み完成されるものであるが、前記折り線に形成されるミシン目や折り筋等の折り手段は、折り畳み封書の製造工程中で行われる。また封緘のための疑似接着媒体の形成及び製本のための完全接着媒体の形成も、前記折り手段と同様で折り畳み封書の製造工程中でオンライン或いは個別の工程でオフラインで行われる。
【0017】
本発明の折り畳み封書は当初縦方向の折り線から折り畳み、続いて横方向の折り線で上下に分割された葉片群を前記横方向の折り線から折り合わせ封書サイズに仕上げる。そして前記横方向の折り線からの折り合わせの際に幅の狭い葉片から表出する幅の広い葉片の縁辺を選択し、その対向する縦方向の縁辺部分を剥離不能に接着する。そうすることにより前記剥離不能に接着された縁辺が製本されて、開封後の各葉片の分離を防ぎ立体的な展開を可能とする。
【0018】
本発明の折り畳み封書は最終的に前記横方向の折り線から折り畳むため、その折り畳まれた辺が袋状に閉じられている。なお実施例等で前記閉じられている辺を下縁辺と表現しているが、記載されるデザインのレイアウトにより上縁辺を袋状の閉じられた辺としても構わない。また横長方向にデザインをレイアウトした場合左右何れかの辺が袋状の閉じられた辺となる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の折り畳み封書は、一枚のシートに一対一対応で情報を記載し折り畳み封書に仕上げるので、個人情報を印字した複数の別体の紙片を集めて封入封緘する場合に起こる他人の情報を誤封入してしまう等の重大な事故がない。
また、開封後は、見開き状に製本されているため情報の確認がしやすく受取人の興味を引く。
さらに本発明の折り畳み封書の製造方法では、各種接着媒体の形成工程や折り手段の形成工程を含む面倒な作業工程を自動で行えるので、素人でも大量の折り畳み封書を短時間で製造することが可能になる。勿論個別の専用機による作業で行っても極めて容易に折り畳み封書を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】(A)は折り畳み封書F1の平面図、(B)は(A)におけるI-I線断面図、である。
図2図1(A)におけるII-II線断面図である。
図3】折り畳み封書F1を開封して展開した状態を示す斜視図である。
図4】(A)は折り畳み封書用紙S1の表面図、(B)は裏面図である。
図5】(A)は折り畳み封書用紙S1表面の所定位置に疑似接着フィルムシートG及び完全接着フィルムシートKが被覆されると共に縦方向の各折り線に折りミシンが形成された状態を示す表面図、(B)は折り畳み封書用紙S1裏面の所定位置に疑似接着フィルムシートGが被覆されると共に縦方向の各折り線に折りミシンが形成された状態を示す裏面図である。
図6】(A)は第一の折り畳み装置により断面S(Z)字状に折り畳まれた折り畳み封書用紙S1の平面図、(B)は(A)におけるIII-III線断面図、(C)は(A)におけるIV-IV線断面図である。
図7】(A)は折り畳み封書F2の平面図、(B)は(A)におけるV-V線断面図である。
図8図7(A)におけるVI-VI線断面図である。
図9】折り畳み封書F2を開封して展開した状態を示す斜視図である。
図10】(A)は折り畳み封書用紙S2の表面図、(B)は裏面図である。
図11】(A)は折り畳み封書用紙S2表面の所定位置に疑似接着フィルムシートGが被覆されると共に縦方向の各折り線に折りミシンが形成された状態を示す表面図、(B)は折り畳み封書用紙S2裏面の所定位置に疑似接着フィルムシートG及び完全接着フィルムシートKが被覆されると共に縦方向の各折り線に折りミシンが形成された状態を示す裏面図である。
図12】(A)は第一の折り畳み装置により断面蛇腹状に折り畳まれた折り畳み封書用紙S2の平面図、(B)は(A)におけるVII-VII線断面図、(C)は(A)におけるVIII-VIII線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて具体的に説明する。
なお本実施例では、疑似接着媒体及び完全接着媒体として取り扱いが至便なフィルム方式に沿って説明するが、他の方式の疑似接着媒体や完全接着媒体を用いても一向にかまわない。またフィルム方式で使用される疑似接着媒体及び完全接着媒体の具体的な構成等は以下の通りであるが、他の構成の疑似接着フィルムシートや完全接着フィルムシートを用いても構わない。
【0022】
本実施例で使用する疑似接着フィルムシートGは、例えばポリエチレンテレフタレートや二軸延伸ポリプロピレン等からなる基材の一方の面に、公知の感熱接着剤層を形成すると共に、残るもう一方の面に疑似接着層を形成したサーマルラミネート法に対応したものを好適に使用することができる。このものは印刷物表面に前記感熱接着剤層を介して剥離不能に接着した後、疑似接着層が対向するように折り畳み加圧或いは加熱・加圧処理を施すことで対向面同士が剥離可能に接着する。
【0023】
本実施例で使用される完全接着フィルムシートKは、例えばポリエチレンテレフタレートや二軸延伸ポリプロピレン等からなる基材の一方の面に、公知の感熱接着剤層を形成すると共に、残るもう一方の面にヒート処理層を形成したサーマルラミネート法に対応したものを好適に使用することができる。このものは印刷物表面に前記感熱接着剤層を介して剥離不能に接着した後、ヒート処理層が対向するように折り畳み加圧或いは加熱・加圧処理を施すことで対向面同士が剥離不能に接着する。
【0024】
[実施例1:6つ折り封書F1]
図1(A)、(B)及び図2に示すように本実施例の6つ折り封書F1は、図4(A)及び(B)に示すように、縦方向の折り線7及び8により横方向に連接された第一葉片1、第二葉片2及び第三葉片3が、同様に縦方向の折り線7及び8により横方向に連接された第四葉片4、第五葉片5及び第六葉片6と横方向の折り線9を介して、第一葉片1と第四葉片4、第二葉片2と第五葉片5及び第三葉片3と第六葉片6がそれぞれ対向するように上下に連接された折り畳み封書用紙S1を、上から第三葉片3、第二葉片2、第一葉片1、第四葉片4、第五葉片5及び第六葉片6の順になるように折り畳み形成されている。
【0025】
そして各対向面間は疑似接着フィルムシートGにより剥離可能に接着されると共に図1(B)に示すように、第一葉片1及び第四葉片4より横幅が広く突出した第二葉片2及び第五葉片5の左側縁辺が完全接着フィルムシートKにより剥離不能に接着されることにより封緘されている。後述するが前記完全接着フィルムシートKにより封緘された部分が、6つ折り封書F1を開封展開した後に製本部分となる。
【0026】
この折り畳み封書F1の受取人は図1(A)に示すように、下側縁辺に沿って破線で示される切取線10と、図示はされないが「ここを切り落として開封してください。」等の文言に従い、カッターや鋏等により切取線10を切除する。すると図2に示す袋とじ状態の下側縁辺を二点鎖線で示す切取線10から切除することになり、全葉片間を剥離する準備が整えられる。
【0027】
なお各葉片の前記切取線10に対応する部分に切取ミシンを形成し容易に破断できるようにしておくことにより、切除道具を使用することなく手で切除するようにしても構わず、また図2に示す折り線9部分に切取ミシンを形成しておいて、折り線9を手で破断しながら開封できるように操作しても構わない。前記折り線9に切取ミシンを形成する場合、開封後に切除片が切り屑として残らず極めて至便である。
【0028】
既述の通り下側縁辺を切除した後に、受取人は各葉片間を剥離して最終的に図3に示すように、第二葉片2と第五葉片の縁辺が製本状態となり、展開された折り畳み封書F1の内部に隠されていた各種情報を、透明或いは半透明な疑似接着フィルムシートG及び完全接着フィルムシートKを透して確認することができるのである。
【0029】
なお受取人の開封作業を容易にするために葉片幅が相違するよう操作して、開封側縁辺に沿って段差を形成するようにしたり、開封側縁辺に沿って疑似接着フィルムシートGを控えて被覆して開封の切掛けとなる非接着域を意図的に形成したりしても構わない。
【0030】
[実施例2:6つ折り封書F1の製造方法]
6つ折り封書F1の製造には、図4(A)及び(B)に示す折り畳み封書用紙S1が印刷された長尺シート或いは枚葉シートを使用する。なお前記折り畳み封書用紙S1の構成は既に実施例1で詳述したが、縦方向の折り線7及び8により横方向に連接された第一葉片1、第二葉片2及び第三葉片3が、同様に縦方向の折り線7及び8により横方向に連接された第四葉片4、第五葉片5及び第六葉片6と横方向の折り線9を介して、第一葉片1と第四葉片4、第二葉片2と第五葉片5及び第三葉片3と第六葉片6がそれぞれ対向するように上下に連接された状態となっている。
【0031】
既述の構成の折り畳み封書用紙S1が印刷された長尺シート或いは枚葉シートは、用紙載せ台上に載置されると静電ベルト、吸着パッド、フィードローラ或いはピントラクタ等公知の給紙装置により搬送テーブルへ繰り出される。そして例えば一対のヒートローラからなるラミネート装置へ送り込まれ、図5(A)及び(B)に斜線で示すように印刷されている折り畳み封書用紙S1表裏面の所定位置に、疑似接着フィルムシートG及び完全接着フィルムシートKがそれぞれ被覆される。
【0032】
疑似接着フィルムシートG及び完全接着フィルムシートKが被覆された長尺シート或いは枚葉シートは、次に、印刷されている折り畳み封書用紙S1の周囲の余白を切除するのであるが、最初に搬送方向の余白がスリッタ等公知の切除装置により切除される。その際に各縦方向の折り線に折りミシン或いは折り筋等の折り手段が、図5(A)及び(B)に示すように公知の折り手段形成装置により形成される。
【0033】
なお図面では折り畳み封書用紙S1が単体で記載されているが、実際は長尺シート或いは枚葉シートに印刷されているため周囲に余白がある。ビジネスフォーム印刷等に使用する長尺シートの場合、シートの両外側に設けられるシート搬送用のマージナル部分が搬送方向の余白になる。またオフセット印刷等に使用する枚葉シートの場合には、四周に設けられた余白に切り出し用のレジスターマークが記載される。
【0034】
既述の通りの加工が施された長尺シート或いは枚葉シートは、次に縦方向の各折り線に沿ってアングル等の第一の折り畳み装置により、巻き折り、蛇腹折り、観音開き折り或いはそれらの複合折り形態に折り畳まれる。本実施例では図6(A)、(B)及び(C)に示すように、断面S(Z)字状に折り畳まれる。
【0035】
前記縦方向の折り線に沿って折り畳まれた長尺シート或いは枚葉シートは、次に単体の折り畳み封書S1毎に公知の断裁装置により断裁され切り出される。
なお前記縦方向の折り線に沿った第一の折り畳み工程と前記断裁装置を入れ替えて、先に単体の折り畳み封書用紙S1に仕上げた後に縦方向の折り線から折り畳んでも構わない。
【0036】
そして最終的に個別に仕上げられた折り畳み封書用紙S1は第二の折り畳み装置により、図6(A)に示す横方向の折り線9から第一葉片1及び第四葉片4が対向するように折り畳まれ図1(A)、(B)及び図2の状態(この時点では完全接着フィルムシートK同士は接着していない)に仕上げられると、続く一対の搬送ローラと一対のヒータパネルが交互に配置されると共に出口に加圧機能を備えた排出ローラが配置された接着装置へ送り込まれる。
【0037】
前記接着装置では、通過する折り畳み封書用紙S1は十分加熱されると共に加圧され、対向する疑似接着フィルムシートG同士は剥離可能に接着し、対向する完全接着フィルムシートK同士は剥離不能に接着して図1(A)、(B)及び図2に示す折り畳み封書F1が完成される。そしてベルトコンベア等からなるスタッカに順次積載された折り畳み封書F1は後にまとめて投函されるのである。
【0038】
[実施例3:8つ折り封書F2]
図7(A)、(B)及び図8に示すように、本実施例の8つ折り封書F2は、図10(A)及び(B)に示す、縦方向の折り線19、20及び21により横方向に連接された第一葉片11、第二葉片12、第三葉片13及び第四葉片14が、同様に縦方向の折り線19、20及び21により横方向に連接された第五葉片15、第六葉片16、第七葉片17及び第八葉片18と横方向の折り線22を介して、第一葉片11と第五葉片15、第二葉片12と第六葉片16、第三葉片13と第七葉片17及び第四葉片14と第八葉片18がそれぞれ対向するように上下に連接された折り畳み封書用紙S2を、上から第一葉片11、第二葉片12、第三葉片13、第四葉片14、第八葉片18、第七葉片27、第六葉片16及び第五葉片15の順になるように折り畳み形成されている。
【0039】
そして各対向面間は疑似接着フィルムシートGにより剥離可能に接着されると共に図7(B)に示すように、第四葉片14及び第八葉片18より横幅が広く表出した第三葉片13及び第七葉片17の左側縁辺が完全接着フィルムシートKにより剥離不能に接着され封緘されている。後述するが前記完全接着フィルムシートKにより封緘された部分が、8つ折り封書F2を開封展開した後に製本部分となる。
【0040】
この折り畳み封書F2の受取人は図7(A)に示すように、下側縁辺に沿って破線で示される切取線23と、図示はされないが「ここを切り落として開封してください。」等の文言に従い、カッターや鋏等により前記切取線23を切除する。すると図8に示す袋とじ状態の下側縁辺を二点鎖線で示す切取線23から切除することになり、全葉片間を剥離する準備が整えられる。
【0041】
なお各葉片の前記切取線23に対応する部分に切取ミシンを形成しておくことにより、切除道具を使用することなく手で容易に破断して切除するようにしておいても構わず、また図8に示す折り線22部分に切取ミシンを形成しておいて、折り線22を破断しながら開封できるように操作しても構わない。前記折り線22に切取ミシンを形成する場合、開封後に切除片が切り屑として残らず極めて至便である。
【0042】
既述の通り下側縁辺を切除した後に、受取人は各葉片間を剥離して最終的に図9に示すように、第三葉片13と第七葉片17の縁辺が製本状態となり展開された折り畳み封書F2の内部に隠されていた各種情報を、透明或いは半透明な疑似接着フィルムシートG及び完全接着フィルムシートKを透して確認することができるのである。
【0043】
[実施例4:8つ折り封書F2の製造方法]
8つ折り封書F2の製造には、図10(A)及び(B)に示す折り畳み封書用紙S2が印刷された長尺シート或いは枚葉シートを使用する。なお前記折り畳み封書用紙S2の構成は既に実施例3で詳述したが、縦方向の折り線19、20及び21により横方向に連接された第一葉片11、第二葉片12、第三葉片13及び第四葉片14が、同様に縦方向の折り線19、20及び21により横方向に連接された第五葉片15、第六葉片16、第七葉片17及び第八葉片18と横方向の折り線22を介して、第一葉片11と第五葉片15、第二葉片12と第六葉片16、第三葉片13と第七葉片17及び第四葉片14と第八葉片18がそれぞれ対向するように上下に連接された状態となっている。
【0044】
既述の構成の折り畳み封書用紙S2が印刷された長尺シート或いは枚葉シートは、用紙載せ台上に載置されると静電ベルト、吸着パッド、フィードローラ或いはピントラクタ等公知の給紙装置により搬送テーブルへ繰り出される。そして例えば一対のヒートローラからなるラミネート装置へ送り込まれ、図11(A)及び(B)に斜線で示すように印刷されている折り畳み封書用紙S2表裏面の所定位置に、疑似接着フィルムシートG及び完全接着フィルムシートKがそれぞれ被覆される。
【0045】
疑似接着フィルムシートG及び完全接着フィルムシートKが被覆された長尺シート或いは枚葉シートは、次に、印刷されている折り畳み封書用紙S2の周囲の余白を切除するのであるが、最初に搬送方向の余白がスリッタ等公知の切除装置により切除される。その際に各縦方向の折り線に折りミシン或いは折り筋等の折り手段が、図11(A)及び(B)に示すように公知の折り手段形成装置により形成される。
【0046】
なお図面では折り畳み封書用紙S2が単体で記載されているが、実際は長尺シート或いは枚葉シートに印刷されているため周囲に余白がある。ビジネスフォーム印刷等に使用する長尺シートの場合、シートの両外側に設けられるシート搬送用のマージナル部分が搬送方向の余白になる。またオフセット印刷等に使用する枚葉シートの場合には、四周に設けられた余白に切り出し用のレジスターマークが記載される。
【0047】
既述の通りの加工が施された長尺シート或いは枚葉シートは、次に縦方向の各折り線に沿ってアングル等の第一の折り畳み装置により、巻き折り、蛇腹折り、観音開き折り或いはそれらの複合折り形態に折り畳まれる。本実施例では第一段階として図12(A)及び(B)に示すように、断面蛇腹折りに各葉片が折り線から折り畳まれる。
【0048】
前記縦方向の各折り線に沿って折り畳まれた長尺シート或いは枚葉シートは、次に単体の折り畳み封書用紙S2毎に公知の断裁装置により断裁され切り出される。
なお前記縦方向の折り線に沿った第一の折り畳み工程と前記断裁装置を入れ替えて、単体の折り畳み封書用紙S2に仕上げた後に縦方向の折り線から折り畳んでも構わない。
【0049】
そして最終的に個別に仕上げられた折り畳み封書用紙S2は第二の折り畳み装置により、図12(A)に示す横方向の折り線22から同図(B)及び(C)に示す第四葉片14と第八葉片18が対向するように折り畳まれ図7(A)、(B)及び図8の状態(この時点では完全接着フィルムシートK同士は接着していない)に仕上げられると、続く一対の搬送ローラと一対のヒータパネルが交互に配置されると共に出口に加圧機能を備えた排出ローラが配置された接着装置へ送り込まれる。
【0050】
前記接着装置では、通過する折り畳み封書用紙S2は十分加熱されると共に加圧され、対向する疑似接着フィルムシートG同士は剥離可能に接着し、対向する完全接着フィルムシートK同士は剥離不能に接着して図7(A)、(B)及び図8に示す折り畳み封書F2が完成される。そしてベルトコンベア等からなるスタッカに順次積載された折り畳み封書F2は後にまとめて投函されるのである。
【0051】
なお本発明は上記実施例に限られるものではない。
例えば、上記実施例では上下に3葉片配置した合計6葉片の折り畳み封書用紙、或いは上下に4葉片を配置した合計8葉片の折り畳み封書用紙を記載しているが、その他に上下5葉片を配置した合計10葉片或いはそれ以上の葉片から構成される折り畳み封書用紙を使用しても構わない。
また実施例中に記載してあるが、蛇腹折りや巻き折り、観音開き折りやそれらの複合折り等葉片の折り畳み形態に関しても制限はない
さらに何れの上下一対の縁辺を製本部分とするかの選択にも制限はない。前記選択に伴い各葉片の幅も自由に選択すればよい。
【0052】
上記各実施例では袋状に閉じられた折り畳み封書が記載されているが、各葉片の切取線に対応する部分に破断用の切取ミシンを形成しておけば、受取人は切除装具を使用することなく容易に手で破断して切除できるので至便である。
また折り畳み封書の製造方法において、接着工程を通過して完成された折り畳み封書の、袋状に閉じられた下縁辺に沿って記載されている切取線部分を、例えば接着工程の下流に増設した切断工程により切断しておいて、袋状に閉じられた部分を開放した折り畳み封書を投函するようにしても構わない。そのようにしておけば受取人はわざわざ切除道具を持ち出す必要がなく、また切除した切り屑が発生しないので至便である。
【符号の説明】
【0053】
F1、F2 折り畳み封書
S1、S2 折り畳み封書用紙
G 疑似接着フィルムシート
K 完全接着フィルムシート
1、2、3、4、5、6、11、12、13、14、15、16、17、18 葉片
7、8、19、20、21 縦方向の折り線
9、22 横方向の折り線
10、23 切取線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12