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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-14
(45)【発行日】2022-09-26
(54)【発明の名称】付着型蔓植物の育成方法及び育成補助具
(51)【国際特許分類】
   A01G 9/12 20060101AFI20220915BHJP
【FI】
A01G9/12 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021518235
(86)(22)【出願日】2019-05-07
(86)【国際出願番号】 JP2019018280
(87)【国際公開番号】W WO2020225855
(87)【国際公開日】2020-11-12
【審査請求日】2022-04-15
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】300013258
【氏名又は名称】大島造園土木株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】500146484
【氏名又は名称】ダイトウテクノグリーン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134647
【弁理士】
【氏名又は名称】宮部 岳志
(72)【発明者】
【氏名】牧 隆
(72)【発明者】
【氏名】澤田 健二
(72)【発明者】
【氏名】猪俣 景悟
【審査官】田辺 義拓
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-035512(JP,A)
【文献】特開2007-306862(JP,A)
【文献】特開2016-103993(JP,A)
【文献】特開2010-161995(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 9/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
付着型蔓植物の付着根が付着できる帯材を、前記帯材の背面に配置する剛性材と一体にして鉛直方向に起立させ、
前記帯材の水平方向の両側前記帯材に平行し鉛直方向に起立する一対の側壁と、前記帯材に対向し長手方向に連続する離間部の両側に配置される正面壁を有し、保水性と保湿性を持たない壁材で囲い、
前記壁材で囲まれた内部空間において前記正面壁の双方の間に架け渡され前記付着型蔓植物が前記帯材から離れる方向に傾倒することを防止する支持材を鉛直方向に所定の間隔で複数設けることを特徴とする付着型蔓植物の育成方法。
【請求項2】
前記壁材の間に鉛直方向に起立して伸びる支柱を配置する請求項1に記載の付着型蔓植物の育成方法。
【請求項3】
内部空間を包囲する周壁が長手方向に連続する離間部で周方向に不連続とされた、保水性と保湿性を持たない筒形材の前記内部空間における前記離間部に対向する面に、付着型蔓植物の付着根が付着できる帯材が配置され、
前記周壁は、前記離間部に対向する背面壁と、前記背面壁に対し起立する一対の側壁と、前記背面壁と平行し前記離間部の両側に配置される一対の正面壁で構成され、
前記前記正面壁の双方の間に架け渡され前記付着型蔓植物が前記帯材から離れる方向に傾倒することを防止する支持材が前記内部空間において前記筒形材の長手方向に所定の間隔で複数設けられたことを特徴とする付着型蔓植物の育成補助具。
【請求項4】
前記離間部に前記筒形材の長手方向に伸びる支柱が配置されている請求項3に記載の付着型蔓植物の育成補助具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁面に沿って伸長する付着型蔓植物を育成する方法及びその伸長を補助するための育成補助具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建築物の壁面に植物を繁茂させる壁面緑化にあたり、蔓植物の付着根が付着できる材質の登攀助材で壁面を覆い、蔓植物が登攀助材から脱落することを防止する保護材を登攀助材の表面から間隔を空けて登攀助材に重ねて配置する手法が広く採用されている。そして、その手法に適した様々な冶具が提案されている。
【0003】
例えば、特開2005-261287公報には、プレキャストコンクリート製のブロック本体の表面側に、溝の長手方向が植物の登攀方向に沿った凹条部を適宜間隔で複数並設し、凹条部の長手方向と直交する方向で凹条部においてブロック本体の表面との間に登攀隙間を空けて配置した保護筋を複数並設した緑化ブロックが提案されている。
【0004】
付着根を有する蔓植物(付着型蔓植物)は、一般に、面的に繁茂する習性があることから、この緑化ブロックのように一定の面積を有する冶具は、付着型蔓植物の繁茂に適したものといえる。しかしながら、階層構造の建築物の中には、蔓植物を繁茂させるために利用できる部分が狭くなる場所もある。例えば、ピロティ、壁が設けられることなく側部開放状態となっている場所、或いは、大きな窓が設けられている場所である。
【0005】
このような場所においては、蔓植物を付着させる面積を狭く抑えることで対応する方法が考えられる。例えば、正面から見て細長い長尺の冶具であれば、所定の間隔で並設することにより採光が可能な状態で窓を覆い設置することができる。また、ピロティや側部開放状態の場所では柱に取り付けることができる。なお、細長い長尺の冶具として、例えば、特開2016-103993公報に開示されている登攀補助用支持柱がある。
【0006】
上記登攀補助用支持柱は、水平断面が略凹形状となる少なくとも1つ以上の長尺状の金属材又は樹脂材で形成されており、その凹空間には、植物の吸着根(気根)が付着する付着材が配置されたものである。なお、付着材の表面側には網状体が配置され、網状体は付着材を凹空間に固定するとともに、蔓植物は網状体に固定されるものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2005-261287公報
【文献】特開2016-103993公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
蔓植物には、上記付着型の他、巻き蔓が絡んで登攀するもの(巻き蔓型蔓植物)が存在する。そして、巻き蔓型蔓植物は、付着型蔓植物より早く伸長するため、壁面を早く緑化できる利点がある。その一方で、巻き蔓型蔓植物は、先端の葉のみが残った状態、すなわち、壁面が部分的に緑化された状態になりやすい問題があった。従って、壁面全体を等しく緑化するためには、付着型蔓植物を用いることが好ましい。
【0009】
しかしながら、付着型蔓植物は、既述の通り、面的に繁茂する習性があり、蔓植物を付着させる面積を狭く抑える必要がある場合、従来の技術では、付着型蔓植物を所望する方向に誘導しながら伸長させることは難しい。更に、従来の技術では、巻き蔓型蔓植物と比較し緑化に時間を要する問題がある。
【0010】
そこで、本発明は、蔓植物を付着させる面積を狭く抑える必要がある場合でも、付着型蔓植物を、所望する方向に誘導しながら、従来よりも早く伸長させることができる付着型蔓植物の育成方法及び育成補助具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明にかかる付着型蔓植物の育成方法では、付着型蔓植物の付着根が付着できる帯材を、前記帯材の背面に配置する剛性材と一体にして鉛直方向に起立させ、前記帯材の水平方向の両側を、前記帯材に平行し鉛直方向に起立する、保水性と保湿性を持たない壁材で囲い、前記壁材の双方の間に架け渡され前記付着型蔓植物が前記帯材から離れる方向に傾倒することを防止する支持材を鉛直方向に所定の間隔で複数設ける。
【0012】
前記壁材の間に鉛直方向に起立して伸びる棒材を配置してもよい。
【0013】
本発明にかかる付着型蔓植物の育成補助具は、内部空間を包囲する周壁が長手方向に連続する離間部で周方向に不連続とされた、保水性と保湿性を持たない筒形材の、前記内部空間における前記離間部に対向する面に、付着型蔓植物の付着根が付着できる帯材が配置され、前記離間部に架け渡され前記付着型蔓植物が前記帯材から離れる方向に傾倒することを防止する支持材が前記筒形材の長手方向に所定の間隔で複数設けられる。
【0014】
本発明にかかる付着型蔓植物の育成補助具において、前記離間部に前記筒形材の長手方向に伸びる支柱が配置されてもよい。
【0015】
なお、本発明において、付着型蔓植物の付着根が付着できる帯材とは、例えば、表面や内部に微細な隙間有し、付着型蔓植物の生長の拠り所として必要な保水性と保湿性を持つものであり、具体的には、ヤシガラマット、不織布、コルクボード、或いは木板で形成した帯や、基盤となる帯のうえに珪藻土や細かい砂の層を形成したものを挙げることができる。
【0016】
また、本発明において、保水性と保湿性を持たない壁材、及び、保水性と保湿性を持たない筒形材とは、付着型蔓植物の生長の拠り所として必要な保水性と保湿性を持たないものであり、例えば、金属材料や、表面が滑らかに磨きあげられ表面や内部に微細な隙間が存在しない緻密な構造の強化プラスチックで形成することにより得ることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明にかかる付着型蔓植物の育成方法によれば、付着型蔓植物の付着根が付着できる帯材の両側を、帯材に平行し鉛直方向に起立する、保水性と保湿性を持たない壁材で囲うことにより、付着型蔓植物が壁材を拠り所として壁材を超えて伸長すること防止し、付着型蔓植物を帯材に沿って鉛直方向上方に伸長させることができる。更に、壁材で囲うことにより、付着型蔓植物を伸長させる方向と異なる方向に付着型蔓植物を揺さぶる風が、付着型蔓植物に当たることを防ぎ、付着型蔓植物が伸長方向と異なる方向に揺らされることを防止できる。そのため、伸長速度を速めることができる。従って、付着型蔓植物を、帯材の幅の範囲に抑えて所望する方向に誘導しながら、従来よりも早く伸長させることができる。
【0018】
また、壁材の間に鉛直方向に起立して伸びる支柱を配置することにより、付着型蔓植物に加え、巻き蔓型蔓植物を伸長させたい場合にも適用することができる。
【0019】
本発明にかかる付着型蔓植物の育成補助具では、保水性と保湿性を持たない筒形材の内部空間を包囲する周壁が、筒形材の内部空間に配置された、付着型蔓植物の付着根が付着できる帯材の両側を囲う状態となる。従って、本発明にかかる付着型蔓植物の育成方法の実施に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明に係る付着型蔓植物の育成方法により付着型蔓植物を育成させる場所に設置された状態の育成補助具の実施形態を示す、付着型蔓植物を育成させる場所の正面図である。
図2図1に示す付着型蔓植物を育成させる場所の側断面図である。
図3図1に示す付着型蔓植物を育成させる場所に設置される育成補助具の一部を横断方向に切断して示す斜視図である。
図4図3に示す育成補助具の筒形材の内側におかれた視点から見た視野で筒形材の内部を拡大して示す斜視図である。
図5】支持体の筒形材への取り付けに使用する固定ピンの正面図である。
図6】本発明に係る付着型蔓植物の育成方法により付着型蔓植物を育成させる場所に設置された状態の育成補助具の他の実施形態を示す、付着型蔓植物を育成させる場所の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1~5を参照しながら、本発明に係る付着型蔓植物の育成補助具と育成方法の実施形態について説明する。この実施形態は、壁が設けられていない側部開放状態となっている場所に、付着型蔓植物を育成させる場合を示すものである。なお、付着型蔓植物を育成させる場所(以下、育成場所とする)として、具体的には、開口の高さ寸法が2~4mのベランダが想定されている。
【0022】
育成場所の開口には、長尺の育成補助具1の複数が、間隔を空けて並設されている。育成補助具1の各々は、公知のアングル材とボルト、ナットの組合せにより、その下端部11が床面に固定され、上端部12が天井(上階の床版)に固定され、その他の部位は建築物に固定されていない状態で設置されている。
【0023】
育成補助具1は、筒形材2、帯材3、及び、支持体4で構成されている。
筒形材2は、長手方向に連続する離間部23で周方向に不連続とされ、離間部23に対向する背面壁22aと、背面壁22aに対し起立する一対の側壁22bと、背面壁22aと平行し離間部23の両側に配置される一対の正面壁22cで構成されている。すわなち、筒形材2の内部空間21は、背面壁22a、一対の側壁22b及び一対の正面壁22cに包囲された状態となっている。そして、内部空間21における離間部23に対向する面(以下、内背面24とする)に、帯材3が配置されるものとなっている。
【0024】
一対の側壁22bの双方の内面には、内背面24から所定の高さ位置に、筒形材2の長手方向に伸びる第一の突条25の一対が設けられている。この第一の突条25と内背面24の間には、帯材3の縁辺が挿入され、内部空間21に配置された帯材3の筒形材2からの脱落が防止されるものとなっている。
【0025】
一対の側壁22bの双方の内面には、また、正面壁22cの背面から所定の高さ位置に、筒形材2の長手方向に伸びる第二の突条26の一対が設けられている。この第二の突条26と正面壁22cの間には、支持体4を構成する第二の線材42の縁辺が挿入され、内部空間21に配置された支持体4の筒形材2からの脱落が防止されるものとなっている。
【0026】
第二の突条26の側壁22bから突出する高さは、正面壁22cの幅寸法よりも小さいものとされている。すなわち、正面壁22cの端部近傍の背面は、第一の突条25に対峙している。そして、正面壁22cにおける第一の突条25に対峙する背面には、長手方向に伸びる溝27が設けられている。また、第一の突条25における正面壁22cの溝27の対面に段差28が形成されている。そして、これら溝27と段差28を利用して、後述する固定ピン6が内部空間21に固定されるものとなっている。
【0027】
この実施形態において、筒形材2の断面は、100mm×45mmの長方形の一方の長辺(100mmの辺)の中間部分を70mm切除し切り離した形となっているが、その形状に制限はなく、製造条件や使用条件を考慮し最適な形状とすることができる。例えば、断面をC字形やコ字形としてもよい。
【0028】
また、離間部23の幅寸法は70mmとされているが、設置環境や付着型蔓植物の種類に応じて適切な寸法とすることができる。ただし、付着型蔓植物の葉は成長に伴い筒形材2の内部空間21に収まらない大きさや数となる場合があるため、離間部23の幅寸法は、葉の成長に必要な開口を形成するものとする必要がある。
【0029】
この実施形態の筒形材2は、アルミニウムを押出成形しアルマイト処理を行って形成され、付着型蔓植物の生長の拠り所として必要な保水性と保湿性を持たないものとなっている。ただし、付着型蔓植物の生長の拠り所として必要な保水性と保湿性を持たず、育成場所において鉛直方向に起立した状態を維持できる強度と、その強度を維持するために必要な耐候性を備えるものであれば制限はなく、他の金属材料や、表面が滑らかに磨きあげられ表面や内部に微細な隙間が存在しない緻密な構造の強化プラスチックなど、使用条件に応じて最適な材質を採用することができる。
【0030】
帯材3は、既述のように、その縁辺が第一の突条25と内背面24の間に挿入され、筒形材2からの脱落が防止されているが、更に、突条25に両端部が掛け止めされ内背面24に近づく方向に弾発力が働く形状の押さえ具5によっても支持されており、より確実な脱落防止が図られている。この実施形態では、4個の固定金具5が、筒形材2の長手方向に等間隔で配置されているが、その数に制限はなく、使用状況等に応じて適切に配置すればよい。
【0031】
また、帯材3を筒形材2の内背面24に取り付ける手法に制限はなく、製造条件や使用条件を考慮し最適な手法を採用することができる。例えば、帯材3を内背面24に貼付することとしてもよい。
【0032】
この実施形態では、帯材3として、厚み寸法が5mmのヤシガラマットが採用されている。ただし、帯材3の材質は、付着型蔓植物の付着根が付着できるものであればよく、設置環境や付着型蔓植物の種類に応じて適切なものを採用することができる。例えば、ヤシガラマットの他に、不織布、コルクボード、木板を使用してもよく、珪藻土や細かい砂の層を内背面24の上に設けることで形成してもよい。
【0033】
支持体4は、長さ寸法の大きい第一の線材41の一対と、長さ寸法の小さい第二の線材42の複数で構成されている。第一の線材41の一対は、離間部23の幅よりも広く筒形材2の幅寸法よりも狭い間隔で平行に配置され、第二の線材42の複数が第一の線材41に対し直交する向きで第一の線材41の長手方向に等間隔で、第一の線材41に重ねて配置され梯子の形をなしている。なお、この実施形態では、第二の線材42が10本配置されているが、その数に制限はなく、使用状態に応じて適した数とすればよい。
【0034】
第二の線材42の長さは、内部空間21の幅とほぼ等しい寸法とされており、その両縁辺は、第二の突条26と正面壁22cの間に挿入されるものとなっている。また、一対の第一の線材41の各々は、一対の正面壁22cの各々の背面に配置されるものとなっている。そして、正面壁22cと第二の突条26により、筒形材2からの脱落防止が図られている。
【0035】
支持体4は、また、正面視M形でステンレス製の固定ピン6の複数により、長手方向の位置ずれ防止が図られている。固定ピン6は、頂辺61に設けられた凹部62が第二の線材42に当接しながら凹部62の両側に位置する凸部63が正面壁22cの背面に設けられた溝27に計上され、頂辺61の両端から伸びる一対の脚辺64の各々の端部が第一の突条25の段差28に圧着した状態で、内部空間21に取り付けられている。そして、第二の棒材42の端部を正面壁22cの背面に弾発力で圧着させ、支持体4の長手方向の位置ずれを防止するものとなっている。
【0036】
なお、支持体4を筒形材2に取り付けるための構造に制限はなく、製造条件や使用条件に応じて適した構造を採用すればよい。
【0037】
また、この実施形態の第一の線材41と第二の線材42には、φ2mmのステンレス製線材が採用されているが、これらの材質や寸法に制限はなく、設置環境に応じて適切な材質や寸法とすることができる。
【0038】
育成補助具1は、図1及び図2に示すように、筒形材2の長手方向が鉛直方向となる向きで配置されている。そして、筒形材2の背面壁22aは、帯材3の背面に配置され帯材3と一体となり帯材3を鉛直方向に起立させ剛性材として機能するものとなっている。また、一対の側壁22bと正面壁22cは、付着型蔓植物の付着根が付着できる帯材3の両側を、帯材3に平行し鉛直方向に起立して囲う、保水性と保湿性を持たない壁材として機能するものとなっている。そのため、帯材3は両側が側壁22bと正面壁22cで囲われながら鉛直方向に起立した状態が維持されることになり、付着型蔓植物を、側壁22bと正面壁22cを拠り所として側壁22bと正面壁22cを超えて伸長することを防ぎながら、帯材3に沿って鉛直方向上方に伸長させることができる。
【0039】
また、帯材3を一対の側壁22bと正面壁22cで囲うことにより、帯材3と平行して吹く風が、すなわち、付着型蔓植物を伸長させる方向と異なる方向に付着型蔓植物を揺さぶる風が、付着型蔓植物に当たることが無くなり、付着型蔓植物が伸長方向と異なる方向に揺さぶられることを防止できる。そのため、伸長速度は速めることができる。なお、図1及び図2において、付着型蔓植物の葉は筒形材2の外側に飛び出した状態となっているが、茎は筒形材2の内部空間21に収まっているため、風により伸長方向と異なる方向に揺さぶられることはない。
【0040】
第二の線材42は、筒形材2の長手方向が鉛直方向となる向きで配置されると、正面壁22cの双方の間に架け渡され、鉛直方向に所定の間隔で配置された状態となる。そして、本発明の支持材として機能し、付着型蔓植物が帯材3から離れる方向に傾倒することを防止する。
【0041】
この実施形態において、育成補助具1の長さ寸法は2000mmとされているが、設置状況に応じて、最適な寸法とすることができる。ただし、長さ寸法が大きくなると運搬時や設置時において取扱い難くなるため、長さ寸法を大きくする必要のある場合は、長さ寸法の小さいものを設置現場で連結して使用することとしてもよい。
【0042】
この実施形態において、育成補助具1は、複数が並設され、その一部(図1において右側から二番目と四番目)は付着型蔓植物の育成に使用されていない状態となっている。このように、育成補助部1の複数を並設して使用する場合、採光等の目的に応じて、付着型蔓性植物が育成されない場所を設けてもよい。
【0043】
筒形材2の離間部23には、筒形材2の長手方向に伸びる支柱が配置してもよい。筒形材の離間部に支柱が配置された実施形態を図6に示す。なお、図6において、図1~5に示す実施形態と実質的に同じ部位には同符号を付し、その説明を省略又は簡略化する。
【0044】
図6に示す支持体4は、等間隔に配置された3本の第一の線材41に、10本の第二の線材42が、第一の線材41に対し直交する向きで第一の線材41の長手方向に等間隔で、第一の線材41に重ねて配置された格子となっている。そして、筒形材2の長手方向が鉛直方向となる向きで配置されると、中央に位置する第一の線材41が、正面壁22cの間に鉛直方向に起立して伸びる支柱7として機能するものとなっている。
【0045】
この実施形態のように、筒形材2の離間部23に、筒形材2の長手方向に伸びる支柱7を配置することにより、付着型蔓植物に加え、巻き蔓型蔓植物を伸長させることが可能となる。
【符号の説明】
【0046】
1 育成補助具
2 筒形材
3 帯材
4 支持体
5 押さえ具
6 固定ピン
7 支柱
11 下端部
12 上端部
21 内部空間
22a 背面壁
22b 側壁
22c 正面壁
23 離間部
24 内背面
25 第一の突条
26 第二の突条
27 溝
28 段差
41 第一の線材
42 第二の線材
61 頂辺
62 凹部
63 凸部
64 脚辺
図1
図2
図3
図4
図5
図6