(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-14
(45)【発行日】2022-09-26
(54)【発明の名称】連絡通路の凍結工法及び凍結システム
(51)【国際特許分類】
E21D 9/04 20060101AFI20220915BHJP
【FI】
E21D9/04 C
(21)【出願番号】P 2021506939
(86)(22)【出願日】2020-06-29
(86)【国際出願番号】 CN2020099045
(87)【国際公開番号】W WO2020244677
(87)【国際公開日】2020-12-10
【審査請求日】2021-02-04
(31)【優先権主張番号】201910929010.6
(32)【優先日】2019-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521052838
【氏名又は名称】中▲鉄▼九局集▲団▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】CHINA RAILWAY NO.9 GROUP CO., LTD
【住所又は居所原語表記】No.3-1 Jingbin Street, Shenhe District, Shenyang city, Liaoning 11013 P.R.China
(73)【特許権者】
【識別番号】521052849
【氏名又は名称】中▲鉄▼九局集▲団▼第四工程有限公司
【氏名又は名称原語表記】CHINA RAILWAY NO.9 GROUP NO.4 ENGINEERING CO., LTD
【住所又は居所原語表記】No.3-1 Jingbin Street, Shenhe District, Shenyang city, Liaoning 11013 P.R.China
(74)【代理人】
【識別番号】110001106
【氏名又は名称】弁理士法人キュリーズ
(72)【発明者】
【氏名】王 ▲鷹▼
(72)【発明者】
【氏名】▲儲▼ 著▲勝▼
(72)【発明者】
【氏名】王 ▲懐▼▲東▼
(72)【発明者】
【氏名】▲ジン▼ 文涛
(72)【発明者】
【氏名】▲韓▼ 利▲傑▼
(72)【発明者】
【氏名】李 ▲麗▼文
(72)【発明者】
【氏名】王 ▲義▼平
【審査官】柿原 巧弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-056287(JP,A)
【文献】特開2012-117275(JP,A)
【文献】特開2008-019650(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106089214(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第110132347(CN,A)
【文献】欧州特許第01548228(EP,B1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0116868(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21D 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
連絡通路の凍結工法であって、
連絡通路の両側にそれぞれ複数の凍結孔と、複数の測温孔と、複数の減圧孔とを配置し、凍結管、測温管、及び減圧管をそれぞれドリルパイプ施工に対応する凍結孔、測温孔、及び減圧孔とするステップS1において、
凍結管をドリルパイプとし、凍結管をねじ式接続して溶接し、
凍結管の同心度及び
凍結管の溶接強度を確保し、凍結管が設計深さに達した後
、延長ロッドを用いて、凍結管の底部にプラグを装着し
て、プラグで孔の底部をシールし、
掘削機を凍結孔の施工方位に設置して固定し、ドリルビッドを孔口装置に組込み、盤根
(パッキング)でシールし、ドリルパイプが断裂
した場合、その凍結孔
に対応する凍結孔を改めて位置決め
し、開孔
する対策
を行うとともに、
ドリルパイプが断裂した凍結孔
をフィリング・グラウトし、
凍結孔を掘削するとき、一定の掘削深さごとに凍結管方向を繰り返して修正し、掘削機の位置を調整し、掘削方向が偏っていないと検出した後に掘削を継続し、
凍結管の装着が完了した後、凍結管内に給液管を組み込み、
凍結管の施工と同じ工法で測温孔及び減圧孔を施工することを含むステップS
1と、
冷凍ステーションを連絡通路の片側のトンネルに設け、冷凍ステーションの対側のトンネルは通路周辺の凍結壁に沿って複数列の冷凍カランドリアを敷設し、両側のトンネルの間に、対側のトンネルの凍結孔と冷凍カランドリアに給冷するための複数の対向貫通孔を開設するステップS2と、
冷凍ステーションに凍結システムを設置し、凍結システムを立ち上げして運行するステップS3と、
所定の積極凍結時間で塩水温度が所定温度以下まで低下するように両側のトンネルの間の土壌を積極凍結し、測温孔を用いて両側のトンネルの間の凍土温度を測定し、凍結壁の平均温度を計算し、平均温度が予定値に達した時、連絡通路の掘削条件を満たしていると判定
し、測温孔温度及び減圧孔圧力の監視結果から、凍結壁の閉鎖状況、平均温度、及び拡張厚みを含む凍結壁の形成状況を解析するステップS4と、
連絡通路を掘削し、掘削期間中、両側のトンネルの間の凍土
を維持するメンテナンス凍結し、
凍結壁の表面温度及び変位量のメンテナンス凍結データを監視
し、メンテナンス凍結データに基づいて凍結孔の流量を調節するステップS5と、を含む、
ことを特徴とする連絡通路の凍結工法。
【請求項2】
前記ステップS3は、
冷凍機、冷却水システム、及び塩水システムを冷凍ステーションに配置し、
前記冷却水システムは、冷却塔と、清水タンクと、清水ポンプとを有し、前記冷却塔と、清水タンクと、清水ポンプと、冷凍機との間には管路で接続されて循環管路となり、前記冷凍機と清水ポンプの水出入口、冷却塔の水入口にそれぞれ制御弁を取り付け、前記清水ポンプの水出口に圧力表と温度計とを取り付け、
前記塩水システムは、塩水タンクと、塩水ポンプと、塩水管とを有し、前記塩水タンクと、塩水ポンプと、冷凍機と、冷凍カランドリアと、給液管との間には塩水管で接続されて塩水循環管路となり、前記冷凍機と塩水ポンプの塩水出入口にそれぞれ制御弁を取り付け、前記塩水ポンプの水出口に圧力表と温度計とを取り付け、各冷凍機の塩水出口に温度計を取り付け、前記塩水
システムにおける塩水は、塩化カルシウム溶液であることを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の連絡通路の凍結工法。
【請求項3】
前記ステップS2は、
冷凍ステーションの対側のトンネルは、連絡通路周辺の凍結壁に沿って6列の冷凍カランドリアを敷設し、カランドリアピッチdは、300mm<d<500mmであり、
前記冷凍カランドリアは、Φ45×3mmのシームレス鋼管が用いられ、
前記冷凍カランドリアは、トンネル管片
(セグメント)に密着して敷設されることを含む、
ことを特徴とする請求項2に記載の連絡通路の凍結工法。
【請求項4】
前記ステップS4は、
積極凍結を行うとき、冷却水温度及び塩水温度に応じて冷凍機の運行パラメータを調整することで冷凍機の冷却効率を上げ、
凍土の解凍が始めた後、凍結器の着霜を巡回チェックし、冷凍機の着霜ムラや融解現象が発見されると、制御弁を調節するや空
(ベント弁)にする対策を採用して凍結器の塩水流量を均一化さ
せること、を含む、
ことを特徴とする請求項2に記載の連絡通路の凍結工法。
【請求項5】
前記ステップS4は、さらに、
積極凍結時間が45日以上、
塩水温度が-28°C以下、
塩水循環管路の先、末端温度差が2°C以下、
及び、
凍結壁の平均温度が-10°C以下、凍結壁表面温度が-5°C以下の場合には、
連絡通路の掘削条件を満足していると判定することを含む、
ことを特徴とする請求項4に記載の連絡通路の凍結工法。
【請求項6】
前記ステップS5は、
メンテナンス凍結期間中、塩水温度が-25°C以下であり、1つの凍結孔の塩水流量が5m
3/h以上で均一流れを維持し、
露出された凍結壁の表面温度及び変位量を監視し、一部凍結壁温度が上昇して変形したことが発見される場合、温度上昇や変形した凍結壁に対応した位置の凍結孔の流量を大きくすることを含む、
ことを特徴とする請求項5に記載の連絡通路の凍結工法。
【請求項7】
連絡通路凍結施工に用いられる凍結システムであって、冷凍機と、冷却水システムと、塩水システムと、冷凍カランドリアと、給液管とを含み、
前記冷凍機、冷却水システム、及び塩水システムは、連絡通路の一方のトンネルに設けられ、他方のトンネルは、通路周辺凍結壁に沿って複数列の冷凍カランドリアが敷設され、両側のトンネルの間には、対側のトンネルの凍結孔及び冷凍カランドリアに給冷するための複数の対向貫通孔が開設され、連絡通路の周囲の凍結管には、前記給液管が設けられ、
前記冷却水システムは、冷却塔と、清水タンクと、清水ポンプとを有し、前記冷却塔と、清水タンクと、清水ポンプと、冷凍機との間には管路で接続されて循環管路となり、前記冷凍機と清水ポンプの水出入口、冷却塔の水入口にそれぞれ制御弁が取り付けられ、前記清水ポンプの水出口に圧力表と温度計とが取り付けられ、
前記塩水システムは、塩水タンクと、塩水ポンプと、塩水管とを有し、前記塩水タンクと、塩水ポンプと、冷凍機と、冷凍カランドリアと、給液管との間には塩水管で接続されて塩水循環管路となり、前記冷凍機と塩水ポンプの塩水出入口にそれぞれ制御弁が取り付けられ、前記塩水ポンプの水出口に圧力表と温度計とが取り付けられ、各冷凍機の塩水出口に温度計が取り付けられる、
ことを特徴とする連絡通路凍結施工に用いられる凍結システム。
【請求項8】
前記塩水
システムにおける塩水は、塩化カルシウム溶液である、
ことを特徴とする請求項7に記載の連絡通路凍結施工に用いられる凍結システム。
【請求項9】
前記対向貫通孔が複数あり、複数の前記対向貫通孔は互いに平行であり、複数の前記塩水管は、それぞれ複数の前記対向貫通孔に挿通され、前記塩水管は、一端が冷凍機に接続され、他端が冷凍カランドリアと給液管とに接続されている、
ことを特徴とする請求項7に記載の連絡通路凍結施工に用いられる凍結システム。
【請求項10】
測温管と減圧管とをさらに含み、前記凍結管、前記測温管、及び前記減圧管は、凍結孔、測温孔、及び減圧孔にそれぞれ装着され、前記凍結孔、測温孔、及び減圧孔は、それぞれ連絡通路の周囲に設けられ、前記凍結管、測温管、および減圧管は、それぞれ凍結孔、測温孔、及び減圧孔が掘削されるときのドリルビッドとする、
ことを特徴とする請求項7に記載の連絡通路凍結施工に用いられる凍結システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネル掘削技術分野に関し、具体的に、連絡通路の凍結工法及び凍結システムに関する。
【背景技術】
【0002】
トンネル凍結工法は、地質環境が悪い地域、例えば岩盤が不安定で、施工中に崩壊する可能性があるなど、工事に不利や施工者に対し危険になる環境に主に用いられる。この方法の原理は、低温により岩層を安定させ、施工を容易にさせることである。
【0003】
凍結法は、例えば円礫層、風化層泥岩、砂土液化など、水含量の大きい地質と砂礫のゆるい地質に適用する。円礫層は、中程度の透水層に属し、水量が豊富であり、凍結孔の施工過程において、大きな湧水が発生し、流土、管湧きを生じ、ドリル孔が断裂するリスクが生ずる可能性がある。風化層泥岩の岩盤は軟硬不均一で、均一性が悪いので、ドリル孔のずれ、歪みなどの問題を引き起こしやすく、ドリル孔施工の難度が大きくなり、施工品質に一定の影響を与える。砂土液化後の基礎は工事に不利であり、液化沈下が発生しやすいので、相応の液化防止対策を取り、液化土層の工事への影響を解消すべきであり、一部に浅層天然ガスが存在する可能性があるので、施工中に監視を強化すべきである。
【0004】
連絡通路は、2本のトンネルの間に設けられた通路であり、一般的に防火、換気、緊急避難などに用いられるが、連絡通路の掘削は、円礫層、風化層泥岩、砂土液化などの地質環境では、水平凍結法で地層を補強し、鉱山法で闇掘削施工し、即ち、トンネル内で水平凍結法を用いて地層を補強し、連絡通路の周辺土壌を凍結させ、強度が高くてシール性の良い凍結壁を形成し、その後、凍結壁の保護で連絡通路の掘削及び構造施工を行う。この方法の優勢は、凍結後の環境がより優しく、施工に利便性があり、また、環境にも汚染がなく、地下施工に有利であり、その劣勢は、コストが高くなり、周囲環境に対して要求があり、水が多くなるほうが好ましく、また、工期が延びることである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、凍結法で連絡通路を施工するとき、以下のような事故が発生し、つまり、トンネル連絡通路工事の施工作業面内で、大量の水及び流砂が突入したので、トンネルの一部構造の損傷及び周辺地区の地面沈下を引き起こし、三棟の建物がひどく傾斜し、防水壁が一部陥没し、防水壁の堰の管湧きをさせてしまい、直接経済損失は人民元約1.5億元と見積もった。事故調査の結果、事故の原因は、冷凍法施工に用いられる冷房装置に故障が発生し、危機的兆候が現れ、工事が停止した場合、施工単位が直ちに有効対策を立てて危機を取除くことなく、現場管理者が施工を違法指揮し、この事故の発生を直接に招くことが分かった。
【0006】
従って、これに鑑み、施工時により安全で、凍結時に凍結パラメータをリアルタイムで監視し、かつ適時に調節できる連絡通路の凍結工法及び凍結システムが期待されている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、開孔段階に二次開孔プロセスを採用し、トンネル管片を貫通する時の大量泥排出、水排出を防止し、凍結過程において、各組の凍結器の塩水温度変化を検出、分析し、連絡通路の施工安全を保証する連絡通路の凍結工法及びシステムを提供することを目的とする。
【0008】
上記の目的を実現するために、本発明は、以下のような技術案を提供する。
本発明は、連絡通路の両側にそれぞれ複数の凍結孔と、複数の測温孔と、複数の減圧孔とを配置し、凍結管、測温管、及び減圧管をそれぞれドリルパイプ施工に対応する凍結孔、測温孔、及び減圧孔とするステップS1と、
冷凍ステーションを連絡通路の片側のトンネルに設け、冷凍ステーションの対側のトンネルは通路周辺の凍結壁に沿って複数列の冷凍カランドリアを敷設し、両側のトンネルの間に、対側のトンネルの凍結孔と冷凍カランドリアに給冷するための複数の対向貫通孔を開設するステップS2と、
冷凍ステーションに凍結システムを設置し、凍結システムを立ち上げして運行するステップS3と、
両側のトンネルの間の土壌を積極凍結し、測温孔を用いて両側のトンネルの間の凍土温度を測定し、凍結壁の平均温度を計算し、平均温度が予定値に達した時、連絡通路の掘削条件を満たしていると判定するステップS4と、
連絡通路を掘削し、掘削期間中、両側のトンネルの間の凍土をメンテナンス凍結し、メンテナンス凍結データを監視するステップS5と、を含む連絡通路の凍結工法を提供する。
【0009】
上記の連絡通路の凍結工法において、最適化案として、ステップS1は、具体的に、
凍結管をドリルパイプとし、凍結管をねじ式接続して溶接し、その同心度及び溶接強度を確保し、凍結管が設計深さに達した後、プラグで孔の底部をシールし、即ち延長ロッドを用いて、凍結管の底部にプラグを装着し、
掘削機を凍結孔の施工方位に設置して固定し、ドリルビッドを孔口装置に組込み、盤根でシールし、ドリルパイプが断裂すれば、その凍結孔を改めて位置決め、開孔対策で救済し、同時に廃孔にフィリング・グラウト(filling grouting)し、
凍結孔を掘削するとき、一定の掘削深さごとに凍結管方向を繰り返して修正し、掘削機の位置を調整し、掘削方向が偏っていないと検出した後に掘削を継続し、
凍結管の装着が完了した後、凍結管内に給液管を組み込み、
凍結管の施工と同じ工法で測温孔及び減圧孔を施工すること、を含んでいる。
【0010】
上記の連絡通路の凍結工法において、最適化案として、ステップS3は、
冷凍機、冷却水システム、及び塩水システムを冷凍ステーションに配置し、
冷却水システムは、冷却塔と、清水タンクと、清水ポンプとを有し、冷却塔と、清水タンクと、清水ポンプと、冷凍機との間には管路で接続されて循環管路となり、冷凍機と清水ポンプの水出入口、冷却塔の水入口にそれぞれ制御弁を取り付け、清水ポンプの水出口に圧力表と温度計とを取り付け、
塩水システムは、塩水タンクと、塩水ポンプと、塩水管とを有し、塩水タンクと、塩水ポンプと、冷凍機と、冷凍カランドリアと、給液管との間には塩水管で接続されて塩水循環管路となり、冷凍機と塩水ポンプの塩水出入口にそれぞれ制御弁を取り付け、上記塩水ポンプの水出口に圧力表と温度計とを取り付け、各冷凍機の塩水出口に温度計を取り付け、前記塩水は、塩化カルシウム溶液であることを含む。
【0011】
上記の連絡通路の凍結工法において、最適化案として、ステップS2は、
冷凍ステーションの対側のトンネルは、連絡通路周辺の凍結壁に沿って6列の冷凍カランドリアを敷設し、カランドリアピッチdは、300mm<d<500mmであり、
冷凍カランドリアは、Φ45×3mmのシームレス鋼管が用いられ、
冷凍カランドリアは、トンネル管片に密着して敷設されることを含む。
【0012】
上記の連絡通路の凍結工法において、最適化案として、ステップS4は、
積極凍結を行うとき、冷却水温度及び塩水温度に応じて冷凍機の運行パラメータを調整することで冷凍機の冷却効率を上げ、
凍土が解凍された後、凍結器の着霜を巡回チェックし、冷凍機の着霜ムラや融解現象が発見されると、制御弁を調節するや空にする対策(emptying)を採用して凍結器の塩水流量を均一化させ、
測温孔温度及び減圧孔圧力の監視結果から、凍結壁の閉鎖状況(closure condition、enclosed condition、delivered circle condition)、平均温度、及び拡張厚みを含む凍結壁の形成状況を解析すること、を含む。
【0013】
上記の連絡通路の凍結工法において、最適化案として、ステップS4は、さらに、
積極凍結時間が45日以上、
塩水温度が-28°C以下、
塩水循環管路の先、末端温度差が2°C以下、また、
凍結壁の平均温度が-10°C以下、凍結壁表面温度が-5°C以下の場合には、
連絡通路の掘削条件を満足していると判定することを含む。
【0014】
上記の連絡通路の凍結工法において、最適化案として、ステップS5は、
メンテナンス凍結期間中、塩水温度が-25°C以下であり、1つの凍結孔の塩水流量が5m3/h以上で均一流れを維持し、
露出された凍結壁の表面温度及び変位量を監視し、一部凍結壁温度が上昇して変形したことが発見される場合、温度上昇や変形した凍結壁に対応した位置の凍結孔の流量を大きくすることを含む。
【0015】
本発明は、冷凍機と、冷却水システムと、塩水システムと、冷凍カランドリアと、給液管とを含む連絡通路凍結施工に用いられる凍結システムであって、
前記冷凍機、冷却水システム、及び塩水システムは、連絡通路の一方のトンネルに設けられ、他方のトンネルは、通路周辺凍結壁に沿って複数列の冷凍カランドリアが敷設され、両側のトンネルの間には、対側のトンネルの凍結孔及び冷凍カランドリアに給冷するための複数の対向貫通孔が開設され、連絡通路の周囲の凍結管には、給液管が設けられ、
冷却水システムは、冷却塔と、清水タンクと、清水ポンプとを有し、冷却塔と、清水タンクと、清水ポンプと、冷凍機との間には管路で接続されて循環管路となり、冷凍機と清水ポンプの水出入口、冷却塔の水入口にそれぞれ制御弁が取り付けられ、清水ポンプの水出口に圧力表と温度計とが取り付けられ、
塩水システムは、塩水タンクと、塩水ポンプと、塩水管とを有し、塩水タンクと、塩水ポンプと、冷凍機と、冷凍カランドリアと、給液管との間には塩水管で接続されて塩水循環管路となり、冷凍機と塩水ポンプの塩水出入口にそれぞれ制御弁が取り付けられ、塩水ポンプの水出口に圧力表と温度計とが取り付けられ、各冷凍機の塩水出口に温度計が取り付けられる連絡通路凍結施工に用いられる凍結システムをさらに提供している。
【0016】
好ましくは、塩水は、塩化カルシウム溶液である。
【0017】
上記の連絡通路凍結施工に用いられる凍結システムにおいて、最適化案として、対向貫通孔が複数あり、複数の前記対向貫通孔は互いに平行であり、複数の塩水管は、それぞれ複数の対向貫通孔に挿通され、塩水管は、一端が冷凍機に接続され、他端が冷凍カランドリアと給液管とに接続されている。
【0018】
上記の連絡通路凍結施工に用いられる凍結システムにおいて、最適化案として、さらに、測温管と減圧管とを含み、凍結管、測温管、及び減圧管は、凍結孔、測温孔、及び減圧孔にそれぞれ装着され、凍結孔、測温孔、及び減圧孔は、それぞれ連絡通路の周囲に設けられ、凍結管、測温管、および減圧管は、それぞれ凍結孔、測温孔、及び減圧孔が掘削されるときのドリルビッドとすることを特徴とする。
【0019】
最も近い先行技術と比べ、本発明が提供した技術案は以下の有益な効果を奏する。
本発明は連絡通路の凍結工法を提供し、以下の利点を持つ。
1.本発明は、凍結孔の施工時に、二次開孔プロセスを採用し、トンネル管片を貫通する時の大量泥排出、水排出を防止し、施工時にドリル孔の偏角を繰り返して修正し、できるだけ早く校正或いは封止し、凍結管接続の直結を保証し、凍結孔のスキュー精度を高める連絡通路の凍結工法を提供している。
2.本発明は、凍結過程において、各組の凍結器の塩水温度変化を検出、分析し、毎日凍結器の往、復路と測温孔温度を監視し、トンネル管片と土層との界面付近の温度変化を重点的に監視し、問題が発見され直ちに凍結システムを改善し、凍結運転パラメータを調整する連絡通路の凍結工法を提供している。
【0020】
本発明は、さらに、連絡通路凍結施工に用いられる凍結システムを提供し、その有益な効果は連絡通路の凍結工法に類似しており、その説明は省略する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本願の一部となる明細書の図面は、本発明への更なる理解を提供するためであり、本発明の模式的な実施例及びその説明は、本発明への解釈のためであり、本発明に不適当な限定とはならない。
【
図1】本発明実施例に提供された連絡通路の凍結工法の模式フローチャートである。
【
図2】本発明実施例に提供された連絡通路凍結施工に用いられる凍結システムの構成の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して実施例に基づいて本発明を詳しく説明する。なお、矛盾しない場合には、本願における実施例および実施例における特徴が相互に組み合わせられることができる。
【0023】
図1に示すように、本発明は、連絡通路の凍結工法を提供し、連絡通路の凍結工法は、
連絡通路の両側にそれぞれ複数の凍結孔と、複数の測温孔と、複数の減圧孔とを配置し、凍結管、測温管、及び減圧管をそれぞれドリルパイプ施工に対応する凍結孔、測温孔、及び減圧孔とするステップS1と、
冷凍ステーションを連絡通路の片側のトンネルに設け、冷凍ステーションの対側のトンネルは通路周辺の凍結壁に沿って複数列の冷凍カランドリアを敷設し、両側のトンネルの間に、対側のトンネルの凍結孔と冷凍カランドリアに給冷するための複数の対向貫通孔を開設するステップS2と、
冷凍ステーションに凍結システムを設置し、凍結システムを立ち上げして運行するステップS3と、
両側のトンネルの間の土壌を積極凍結し、測温孔を用いて両側のトンネルの間の凍土温度を測定し、凍結壁の平均温度を計算し、平均温度が予定値に達した時、連絡通路の掘削条件を満たしていると判定するステップS4と、
連絡通路を掘削し、掘削期間中、両側のトンネルの間の凍土をメンテナンス凍結し、メンテナンス凍結データを監視するステップS5と、を含む。
【0024】
上記の連絡通路の凍結工法において、最適化案として、ステップS1は、具体的に、
凍結管をドリルパイプとし、凍結管をねじ式接続して溶接し、その同心度及び溶接強度を確保し、凍結管が設計深さに達した後、プラグで孔の底部をシールし、即ち延長ロッドを用いて、凍結管の底部にプラグを装着するステップS101と、
掘削機を凍結孔の施工方位に設置して固定し、ドリルビッドを孔口装置に組込み、盤根でシールし、ドリルパイプが断裂すれば、その凍結孔を改めて位置決め、開孔対策で救済し、同時に廃孔に充填してグラウトするステップS102と、
凍結孔を掘削するとき、一定の掘削深さごとに凍結管方向を繰り返して修正し、掘削機の位置を調整し、掘削方向が偏っていないと検出した後に掘削を継続するステップS103と、
凍結管の装着が完了した後、凍結管内に給液管を組み込むステップS104と、
凍結管の施工と同じ工法で測温孔及び減圧孔を施工するステップS105と、を含む。
【0025】
ステップS101、ステップS102、ステップS103、ステップS104、及びステップS105の間の順序は、施工プロセスに影響を与えずにある程度調節できる。
【0026】
連絡通路の凍結孔数は101個で、そのうち冷凍ステーション側のトンネル内に61個の凍結孔が配置され、冷凍ステーションの対側に40個の凍結孔が配置されている。測温孔は8個で、それぞれ通路内外及び両側のトンネル内に配置され、その中、冷凍ステーションの対側のトンネルには6個配置され、減圧孔は4個配置され、凍結カーテンの中間に配置され、左、右行線にはそれぞれ2個あり、深さは何れも6mである。そのほか、具体的な施工時に、具体的な要求は以下の通りである。
【0027】
(1)凍結孔の配置位置は設計図の要求に合致しなければならなく、開孔位置の誤差は100mm以下であり、管片の継ぎ目、ボルト穴、主筋、及び鋼管片のリブ板位置を避けなければならない。
(2)凍結孔は最大許容スキュー150mm(凍結孔形成軌跡と設計軌跡との間の距離)である。凍結孔の最終孔通路区域は1300mm以下であり、廃水ポンプ区域は1400mm以下である。
(3)冷凍カランドリアの給冷及び冷凍ステーションの対側の凍結孔塩水循環のため6つの対向貫通孔が設けられる。
(4)凍結孔有効深さ(管片表面以下の凍結管循環塩水セグメント長)は、凍結孔設計深さ以上である。凍結管ヘッドが対側のトンネル管片に当てる凍結孔施工のときに対側のトンネル管片に当てるまで、すべての凍結管の循環不能塩水のヘッド長さは150mm以下である。
(5)凍結管は、20#(Q235)鋼材を用い、規格はφ89×8mmの低炭素シームレス鋼管である。凍結管の耐圧は凍結作業面塩水圧力の1.5倍~2.0倍以上であり、0.8MPa以上である。
(6)凍結管継手の耐圧強さは、母管の80%以上である。
(7)凍結孔を施工する時の土体流失量は、凍結孔体積よりも大きくならなく、そうでなければ、適時にグラウトして地層の沈下を制御すべきである。
(8)孔を貫通して両トンネルの予約口位置をチェックする。両トンネルの予約口の相対位置誤差が100mmよりも大きい場合、凍結壁の設計厚さを保証する原則に従って、凍結孔の配置を調整すべきである。
(9)凍結管の管材は、Φ89×8mmの低炭素シームレス鋼管である。単根管材の長さは1.0~2.0mであり、施工場で許容される場合に長いほうがいい。
(10)凍結管は、内張管を用いて対向に溶接され、片側に45°の開先が加工される。第一節凍結管ヘッドは厚さ10mmの鋼板で溶接してシールされる。J422はんだが用いられる。
(11)測温管の管材は、Φ45×3mm/Φ89×8mmの低炭素シームレス鋼管である。
(12)減圧管は、Φ89×8mmのシームレス鋼管が用いられ、直接に対向に溶接され、第一節管ヘッドは、5mm鋼板で溶接してシールされる。
(13)給液管は、Φ45×3.5mmのポリエチレンプラスチック管が用いられる。
【0028】
凍結孔は施工時に、掘削精度を確保するために、開孔セグメントはキーである。前の2mを進めると、凍結管方向を繰り返してチェックし、掘削機位置を調整し、スキュー問題がないと検出された後、前に進むことができる。凍結管が孔内に組み込まれる前に、先ほど配管し、凍結管の同心度を確保する。凍結管を組み込んだ後、経緯儀灯光測定法にて検出してから、凍結孔の深さを再度測定し、打抜き試験を行う。凍結管の耐圧は、1.0MPa以上であり、凍結作業面塩水圧力の1.5倍以上であり、30分圧力変化なし又は前の30分圧下<0.05MPa、後の15分降下なしの場合試験圧合格である。
【0029】
上記の連絡通路の凍結工法において、最適化案として、ステップS3は、
冷凍機、冷却水システム、及び塩水システムを冷凍ステーションに配置し、冷却水システムは、冷却塔と、清水タンクと、清水ポンプとを有し、冷却塔と、清水タンクと、清水ポンプと、冷凍機との間には管路で接続されて循環管路となり、冷凍機と清水ポンプの水出入口、冷却塔の水入口にそれぞれ制御弁を取り付け、清水ポンプの水出口に圧力表と温度計とを取り付け、塩水システムは、塩水タンクと、塩水ポンプと、塩水管とを有し、塩水タンクと、塩水ポンプと、冷凍機と、冷凍カランドリアと、給液管との間には塩水管で接続されて塩水循環管路となり、冷凍機と塩水ポンプの塩水出入口にそれぞれ制御弁を取り付け、上記塩水ポンプの水出口に圧力表と温度計とを取り付け、各冷凍機の塩水出口に温度計を取り付け、前記塩水は、塩化カルシウム溶液であることを含む。
【0030】
冷凍ステーションは実装時に、以下の点に注意を払うべきである。
(1)塩水タンクの下敷きは、100×100×150mm角木であり、ピッチが800mm以下である。角木の間に厚さ100mmのポリスチレン保温板が充填される。
(2)冷凍機、ウォータポンプは、トンネル定盤に直接取り付けられ、基礎は設けられていない。
(3)冷凍機は、水平に取り付けられ、底盤が着座し、楔でレベリングする。
(4)冷凍機とウォータポンプの固定後、カップリングの隙間と同心度、軸シールまたは盤根の緩み具合を重点的にチェックし、機器取付技術要求を満たすことを確認する。
(5)冷却塔は、清水池の上方に取り付けられる。
(6)冷却塔の装着は、配水器のモータのケーブル継手が絶縁されているか否か、モータ回転方向が正しいか否か、配水器の配水が均一か否かを重点的にチェックする。
(7)冷却塔は、電気機器と十分な距離を有し、電気機器への水の飛散による機電事故を防止する。
【0031】
上記の連絡通路の凍結工法において、最適化案として、ステップS2は、
冷凍ステーションの対側のトンネルは、連絡通路周辺の凍結壁に沿って6列の冷凍カランドリアを敷設し、カランドリアピッチdは、300mm<d<500mmであり、冷凍カランドリアは、Φ45×3mmのシームレス鋼管が用いられ、冷凍カランドリアは、トンネル管片に密着して敷設されることを含む。
【0032】
上記の連絡通路の凍結工法において、最適化案として、ステップS4は、
積極凍結を行うとき、冷却水温度及び塩水温度に応じて冷凍機の運行パラメータを調整することで冷凍機の冷却効率を上げるステップS401と、
凍土が解凍された後、凍結器の着霜を巡回チェックし、冷凍機の着霜ムラや融解現象が発見されると、制御弁を調節するや空にする対策(emptying measure)を採用して凍結器の塩水流量を均一化させるステップS402と、
測温孔温度及び減圧孔圧力の監視結果から、凍結壁の閉鎖状況(closure condition)、平均温度、及び拡張厚みを含む凍結壁の形成状況を解析するステップS403と、を含む。
【0033】
ステップS401、ステップS402、およびステップS403は、複数回継続して行われ、特定の優先順位は存在しない。積極凍結開始及びメンテナンス期間では、以下いくつの点を満たす。
【0034】
(1)積極凍結時間が45日(凍結壁閉鎖(closure)時間、凍結壁肉厚、及び平均温度等のパラメータに基づいて凍結掘削時間を決定する)であるように設計する。凍結孔の単孔流量が5m3/h以上であるように要求し、積極凍結7日の塩水温度が-18°C以下に低下し、積極凍結15日の塩水温度が-24°C以下に低下し、往、復路の塩水温度差が2°C以下であり、掘削時の塩水温度が-30°Cに低下する。塩水温度と塩水流量が設計要求に達しない場合、積極凍結時間を延ばす。
(2)回路システム、冷却水循環システム、塩水循環システムの運行パラメータをチェックして確認し、正常である場合、冷凍機をオンにする。冷凍機は、先に1~3h空転し、空転が正常になってから給液冷却する。
(3)試運転を行い、エネルギー、圧力、温度、およびモータ負荷などの各状態パラメータを段階的に調節し、装置仕様と運行要求に関する技術パラメータ条件でグループを運行する。
(4)試運転の正常後に積極凍結を行い、冷却水温度と塩水温度に応じて冷凍機の運行パラメータを調整することで冷凍機の冷却効率を上げる。
(5)解凍後、凍結器の着霜を巡回チェックし、着霜ムラや融解現象が発見されると、制御弁を調節するや空にする等の対策を採用して凍結器の塩水流量の不均一の問題を解決する。
(6)測温孔温度及び減圧孔圧力の監視結果から、凍結壁の閉鎖状況(closure condition)、平均温度、及び拡張厚み等を含む凍結壁の形成状況を解析する。減圧孔圧力は初期圧力0.2MPaを超えると、減圧弁を開けて減圧する。
(7)凍結壁の温度監視及び有限要素数値シミュレーションに基づいて、凍結壁の発展傾向を予測する。凍結壁の発展速度は設計要求を満足できない場合、積極凍結時間を長くするや凍結給冷を増すなど救済対策をとる。
(8)1日毎にトンネルの凍結変形をチェックし、必要の場合設計に応じてトンネル支持の支持力を調節する。トンネル管片継ぎ目が漏水しているか否かをチェックし、トンネル管片が漏水すると、直ちにグラウトして封止する。
(9)2時間毎に、凍結システムの運行パラメータをチェックして記録し、かつ、直ちに解析、処理を行う。
【0035】
上記の連絡通路の凍結工法において、最適化案として、ステップS4は、さらに、
積極凍結時間が45日以上、塩水温度が-28°C以下、塩水循環管路の先、末端温度差が2°C以下、また、凍結壁の平均温度が-10°C以下、凍結壁表面温度が-5°C以下の場合には、連絡通路の掘削条件を満足していると判定することを含んでいる。具体的な連絡通路の掘削時には以下の条件を備える。
(1)積極凍結時間が設計値に達し、塩水温度が-28°C以下に低下し、往、復路の塩水温度差が2°C以下である。
(2)凍結壁肉厚及び凍結壁平均温度検出
凍結壁設計厚みは、連絡通路アーチ部と側壁3m、ポンプ室側壁2.2m、底板2mであり、凍結壁平均温度は、-10°C以下であり、界面温度は、-5°C以下である。
<1>8個の測温孔からまとめた凍結監視データ及び測温孔の温度変化グラフから、監視して分析し、凍結壁の平均発展速度を算出し、凍結孔の実際スキューにより凍結壁有効領域最大孔間隔を求め、凍結壁閉鎖(closure)時間を算出し、凍結壁交絡図を描き、凍結壁肉厚を測定する。
<2>凍結壁が設計要求に応じて形成されているか否かを計算し、連絡通路内外側をプローブ孔監視する、すなわち、推定した凍土内外縁に、Φ32の小孔をあける必要がある。また、測温線を設けてその温度の変化を監視し、監視周波数は、6時間あたり1回とする。監視中、そのデータは、推定するのと同じ(0°Cに近い)である場合、凍結壁全体が形成済みであり、不一致である場合、凍結壁の発展状況を逆算する。プローブ孔の具合によっては、連絡通路が安全に掘削されるか否かを断定する。
<3>凍結壁平均温度を氷結式から算出し、-10°Cに達すると、凍結壁強度が凍結設計要求に達したことが分かる。
<4>凍結壁とトンネル管片との間の界面凍結温度及び凍結壁肉厚が設計値に達したことをチェックして確認する。プローブ孔位置は、孔間隔が大きい、又は、凍結異常がある箇所に選ばれ、プローブ孔内の地層が安定するかを検出し、連続泥、水が流れない。
(3)減圧孔圧力の上昇は7日を超え、上昇後、圧力は原始孔隙間水圧よりも0.15MPa以上高くなる。
(4)減圧孔を開放し、泥水の漏出がないことを確認する。
【0036】
上記の連絡通路の凍結工法において、最適化案として、ステップS5は、メンテナンス凍結期間中、塩水温度が-25°C以下であり、1つの凍結孔の塩水流量が5m3/h以上で均一流れを維持し、露出された凍結壁の表面温度及び変位量を監視し、一部凍結壁温度が上昇して変形したことが発見される場合、温度上昇や変形した凍結壁に対応した位置の凍結孔の流量を大きくすることを含んでいる。具体的な連絡通路の掘削時のメンテナンス凍結期間は、以下の条件を備える。
(1)掘削から初回ライニングまでの間に、塩水温度が-25°C以下に保持する。掘削期間中、設計許容しなければ、塩水温度を上げるか、塩水流量を小さくするかはいけない。
(2)構造施工中にメンテナンス凍結を行うが、塩水温度は、-25°C以下であり(従来施工経験により、同等地質条件で施工安全を保証できる)、1つの凍結孔の塩水流量は5m3/h以上である。
(3)メンテナンス凍結過程において、積極凍結時と同様に凍結施工監視を行わなければならず、凍結システムの運転が正常であることを確保し、直ちに凍結壁の温度変化を分析する。
(4)掘削過程において、1日毎に露出された凍結壁の表面温度及び変位量を監視し、一部凍結壁温度が高くなり、変形が大きくなることが発見される場合、対応する位置の凍結孔流量を直列管路ポンプの方法で大きくすることができる。
(5)掘削過程において、バイパス通路の口付近の保温層を破壊してはいけない。露出された凍結壁表面温度が0°Cに上昇すると、その表面を保温処理し、保温材として厚さ30mmの軟質保温板が用いられる。
(6)コンクリートライナーが注入された後、凍結を停止することができる。
(7)凍結を止めると直ちに凍結孔を閉塞する。孔口管及び凍結管を先に取り除き、管片に進入される深さは、60mm以上であり、そして、圧縮空気で管内塩水を吹き付け、凍結管内に長さ1.5m以上のM10セメントモルタル又はコンクリートを充填する。
(8)凍結孔位置には、浸水時にスラリー封止を行うように、グラウト注入管を予め埋め込む。
【0037】
図2に示すように、本発明は、冷凍機と、冷却水システムと、塩水システムと、冷凍カランドリアと、給液管とを含む連絡通路凍結施工に用いられる凍結システムであって、冷凍機、冷却水システム、及び塩水システムは、連絡通路の一方のトンネルに設けられ、他方のトンネルは、通路周辺凍結壁に沿って複数列の冷凍カランドリアが敷設され、両側のトンネルの間には、対側のトンネルの凍結孔及び冷凍カランドリアに給冷するための複数の対向貫通孔が開設され、連絡通路の周囲の凍結管には、給液管が設けられ、冷却水システムは、冷却塔と、清水タンクと、清水ポンプとを有し、冷却塔と、清水タンクと、清水ポンプと、冷凍機との間には管路で接続されて循環管路となり、冷凍機と清水ポンプの水出入口、冷却塔の水入口にそれぞれ制御弁が取り付けられ、清水ポンプの水出口に圧力表と温度計とが取り付けられ、塩水システムは、塩水タンクと、塩水ポンプと、塩水管とを有し、塩水タンクと、塩水ポンプと、冷凍機と、冷凍カランドリアと、給液管との間には塩水管で接続されて塩水循環管路となり、冷凍機と塩水ポンプの塩水出入口にそれぞれ制御弁が取り付けられ、塩水ポンプの水出口に圧力表と温度計とが取り付けられ、各冷凍機の塩水出口に温度計が取り付けられる連絡通路凍結施工に用いられる凍結システムを提供している。
【0038】
好ましくは、塩水は、塩化カルシウム溶液である。
【0039】
上記の連絡通路凍結施工に用いられる凍結システムにおいて、最適化案として、対向貫通孔が複数あり、複数の前記対向貫通孔は互いに平行であり、複数の塩水管は、それぞれ複数の対向貫通孔に挿通され、塩水管は、一端が冷凍機に接続され、他端が冷凍カランドリアと給液管とに接続されている。
【0040】
上記の連絡通路凍結施工に用いられる凍結システムにおいて、最適化案として、さらに、測温管と減圧管とを含み、凍結管、測温管、及び減圧管は、凍結孔、測温孔、及び減圧孔にそれぞれ装着され、凍結孔、測温孔、及び減圧孔は、それぞれ連絡通路の周囲に設けられ、凍結管、測温管、および減圧管は、それぞれ凍結孔、測温孔、及び減圧孔が掘削されるときのドリルビッドとすることを特徴とする。
【0041】
上記の説明は、本発明の好ましい実施例のみであり、本発明を限定するためではない。当業者にとって、本発明は、各種の変更及び変化が可能である。本発明の精神及び原則内でいかなる修正、同等差し替え、改良等は、いずれも本発明の保護範囲に含まれている。