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特許7141651マルチアクティブネットワーク無線デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-14
(45)【発行日】2022-09-26
(54)【発明の名称】マルチアクティブネットワーク無線デバイス
(51)【国際特許分類】
   H04B 1/401 20150101AFI20220915BHJP
   H04B 1/00 20060101ALI20220915BHJP
   H04W 88/06 20090101ALI20220915BHJP
   H04M 1/00 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
H04B1/401
H04B1/00 253
H04W88/06
H04M1/00 R
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021510266
(86)(22)【出願日】2019-04-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-02
(86)【国際出願番号】 US2019029972
(87)【国際公開番号】W WO2019213117
(87)【国際公開日】2019-11-07
【審査請求日】2021-01-06
(31)【優先権主張番号】62/665,103
(32)【優先日】2018-05-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/836,571
(32)【優先日】2019-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520425497
【氏名又は名称】インターメトロ コミュニケーションズ, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】INTERMETRO COMMUNICATIONS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】ライス, チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】フォーゲル, クリストファー
【審査官】鴨川 学
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-527774(JP,A)
【文献】特開2012-170090(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0029274(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0048773(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0223313(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0226539(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/401
H04B 1/00
H04W 88/06
H04M 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が異なる通信技術又は周波数帯域の集まりを使用して構成されたデータネットワークを有する複数のデータネットワークを介して通信チャネルを維持するように構成された無線デバイスであって、
第1送信帯域の信号を送信し、第1受信帯域の信号を受信し、第2送信帯域の信号を送信し、第2受信帯域の信号を受信する第1プライマリアンテナと、
前記第1受信帯域の信号を受信し、前記第2受信帯域の信号を受信する第1ダイバーシティアンテナと、
前記第1プライマリアンテナ及び前記第1ダイバーシティアンテナと電気通信する第1無線周波数サブシステムであって、前記第1受信帯域の信号をデコードし、前記第2受信帯域の信号をデコードするように構成された第1無線周波数サブシステムと、
前記第1ダイバーシティアンテナと電気通信する第2無線周波数サブシステムであって、前記第1受信帯域の信号をデコードし、前記第2受信帯域の信号をデコードするように構成された第2無線周波数サブシステムと、
第1加入者識別モジュール、第2加入者識別モジュール、前記第1無線周波数サブシステム、及び前記第2無線周波数サブシステムと電気通信するハードウェアプロセッサとを備え、
前記第1加入者識別モジュールは、前記第1送信帯域及び前記第1受信帯域をサポートする第1無線ネットワークに関連付けられ、前記第2加入者識別モジュールは、前記第2送信帯域及び前記第2受信帯域をサポートする第2無線ネットワークに関連付けられ、
前記ハードウェアプロセッサは、前記第1加入者識別モジュール又は前記第2加入者識別モジュールが、特定の時間帯に通信するために前記第1無線周波数サブシステムを使用するかどうかを制御するように構成され
前記第1無線周波数サブシステム及び前記ハードウェアプロセッサ間に接続され、前記第1プライマリアンテナを使用してパケットを前記第1無線ネットワーク又は前記第2無線ネットワークのうちの一方に送信する第1モデムと、
前記ハードウェアプロセッサに接続され、第2プライマリアンテナを使用してパケットを送信するように構成された第2モデムと、をさらに備え、
前記第2モデムを前記ハードウェアプロセッサに接続するように構成された通信ハブをさらに備える、無線デバイス。
【請求項2】
前記第1無線周波数サブシステム及び前記ハードウェアプロセッサ間に接続され、前記第1プライマリアンテナを使用してパケットを前記第1無線ネットワーク又は前記第2無線ネットワークに送信するように構成された第1モデムをさらに備える、請求項1に記載の無線デバイス。
【請求項3】
前記第1モデムは、前記パケットが音声パケットであるかデータパケットであるかを判別するように構成される、請求項2に記載の無線デバイス。
【請求項4】
前記第2モデムは、第3無線ネットワークとの通信を管理するように構成された第2ハードウェアプロセッサと統合される、請求項1から3のいずれか1項に記載の無線デバイス。
【請求項5】
前記ハードウェアプロセッサは、プライマリデバイスとして機能し、前記第2ハードウェアプロセッサは、プライマリ/セカンダリ通信モデルにおけるセカンダリデバイスとして機能する、請求項に記載の無線デバイス。
【請求項6】
前記第2モデムは、前記ハードウェアプロセッサの補助ポートを介して前記ハードウェアプロセッサに接続される、請求項からのいずれか1項に記載の無線デバイス。
【請求項7】
前記通信ハブは、前記無線デバイスの外部データ転送又は充電用のポート、及び前記ハードウェアプロセッサのデータ転送又は充電用のポート間に接続する、請求項1から6のいずれか1項に記載の無線デバイス。
【請求項8】
各々が異なる通信技術又は周波数帯域の集まりを使用して構成されたデータネットワークを有する複数のデータネットワークを介して通信チャネルを維持するように構成された無線デバイスであって、
第1送信帯域の信号を送信し、第1受信帯域の信号を受信し、第2送信帯域の信号を送信し、第2受信帯域の信号を受信する第1プライマリアンテナと、
前記第1受信帯域の信号を受信し、前記第2受信帯域の信号を受信する第1ダイバーシティアンテナと、
前記第1プライマリアンテナ及び前記第1ダイバーシティアンテナと電気通信する第1無線周波数サブシステムであって、前記第1受信帯域の信号をデコードし、前記第2受信帯域の信号をデコードするように構成された第1無線周波数サブシステムと、
前記第1ダイバーシティアンテナと電気通信する第2無線周波数サブシステムであって、前記第1受信帯域の信号をデコードし、前記第2受信帯域の信号をデコードするように構成された第2無線周波数サブシステムと、
第1加入者識別モジュール、第2加入者識別モジュール、前記第1無線周波数サブシステム、及び前記第2無線周波数サブシステムと電気通信するハードウェアプロセッサとを備え、
前記第1加入者識別モジュールは、前記第1送信帯域及び前記第1受信帯域をサポートする第1無線ネットワークに関連付けられ、前記第2加入者識別モジュールは、前記第2送信帯域及び前記第2受信帯域をサポートする第2無線ネットワークに関連付けられ、
前記ハードウェアプロセッサは、前記第1加入者識別モジュール又は前記第2加入者識別モジュールが、特定の時間帯に通信するために前記第1無線周波数サブシステムを使用するかどうかを制御するように構成され、
前記第2無線周波数サブシステムは、前記第1受信帯域の信号又は前記第2受信帯域の信号を受信するように構成され、
前記第2無線周波数サブシステムは、信号を送信しない、無線デバイス。
【請求項9】
前記第1無線周波数サブシステムと電気通信するチューナであって、受信信号が第1チャネルアクセス法の信号であるか第2チャネルアクセス法の信号であるかを決定するように構成された第1チューナをさらに備える、請求項1からのいずれか1項に記載の無線デバイス。
【請求項10】
前記第1チャネルアクセス法は、符号分割多元接続、広帯域符号分割多元接続、又は時分割多元接続のうちの1つを含み、前記第2チャネルアクセス法は、符号分割多元接続、広帯域符号分割多元接続、又は時分割多元接続のうちの1つを含む、請求項に記載の無線デバイス。
【請求項11】
前記ハードウェアプロセッサは、さらに、少なくとも部分的に前記第1受信帯域の前記受信信号及び前記第2受信帯域の前記受信信号に基づき、前記第1無線ネットワークとの接続の第1信号強度及び前記第2無線ネットワークとの接続の第2信号強度を決定するように構成される、請求項1から1のいずれか1項に記載の無線デバイス。
【請求項12】
前記ハードウェアプロセッサは、さらに、少なくとも部分的に前記第1信号強度又は前記第2信号強度に基づき、前記第1無線ネットワーク又は前記第2無線ネットワークと通信するかどうかを決定するように構成される、請求項1に記載の無線デバイス。
【請求項13】
前記第1無線ネットワークは、第1通信技術を使用して実装され且つ第1サービスプロバイダに関連付けられ、前記第2無線ネットワークは、第2通信技術を使用して実装され且つ第2サービスプロバイダに関連付けられる、請求項1から1のいずれか1項に記載の無線デバイス。
【請求項14】
複数のセルラーネットワークを介して通信する方法であって、
第1周波数帯域を介した第1セルラーネットワーク及び第2周波数帯域を介した第2セルラーネットワークと通信するように構成された無線デバイスのハードウェアプロセッサにより、
前記第1セルラーネットワークは、前記無線デバイスの第1加入者識別モジュールに関連付けられ、前記第2セルラーネットワークは、前記無線デバイスの第2加入者識別モジュールに関連付けられ、前記第1加入者識別モジュールは、データパケットの送信用に指定されている場合において、前記無線デバイスの第1プライマリアンテナを介して、前記第1セルラーネットワークからの前記第1周波数帯域の第1信号を受信し、
前記無線デバイスの第1ダイバーシティアンテナを介して、前記第2セルラーネットワークからの前記第2周波数帯域の第2信号を受信し、
少なくとも部分的に前記第1信号に基づき、前記第1セルラーネットワークに関連付けられた第1信号強度を決定し、
少なくとも部分的に前記第2信号に基づき、前記第2セルラーネットワークに関連付けられた第2信号強度を決定し、
前記第2信号強度が前記第1信号強度を超えることを決定し、
1データパケットを送信するためのアクティブな加入者識別モジュールとして前記第2加入者識別モジュールを指定するとともに、前記第1データパケットを送信しないものとして前記第1加入者識別モジュールを指定することにより、前記第2セルラーネットワークを介し、前記第1プライマリアンテナを経由して前記第1データパケットをターゲットシステムに送信することを含
前記無線デバイスの第2プライマリアンテナを経由して、第3セルラーネットワークに関連付けられた第3周波数帯域の第3信号を受信し、
少なくとも部分的に前記第3信号に基づき、前記第3セルラーネットワークに関連付けられた第3信号強度を決定し、
前記第3信号強度が前記第2信号強度を超えることを決定し、
前記第3セルラーネットワークを介し、第1優先度に関連付けられた第2データパケットを送信し、
前記第2セルラーネットワークを介し、前記第1優先度よりも低い第2優先度に関連付けられる前記第1データパケットを送信する、方法。
【請求項15】
前記第1信号及び第2信号は、第1時間帯の間に受信される、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
さらに、第2時間帯に前記第1セルラーネットワークからの第1周波数帯域の第3信号を受信し、
前記第2時間帯に前記第2セルラーネットワークからの第2周波数帯域の第4信号を受信し、
少なくとも部分的に前記第3信号に基づき、前記第1セルラーネットワークに関連付けられた第3信号強度を決定し、
少なくとも部分的に前記第4信号に基づき、前記第2セルラーネットワークに関連付けられた第4信号強度を決定し、
前記第3信号強度が前記第4信号強度を超えることを決定し、
前記第2データパケットを送信するための前記アクティブな加入者識別モジュールとして前記第1加入者識別モジュールを指定するとともに、前記第2データパケットを送信しないものとして前記第2加入者識別モジュールを指定することにより、前記第1セルラーネットワークを介し、前記第1プライマリアンテナを経由して前記ターゲットシステムに前記第2データパケットを送信することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記第1データパケットは非音声データに関連付けられる場合に、
さらに、アプリケーションから前記第2データパケットを取得し、
前記第2データパケットが発信先無線デバイスへの通話に関連付けられた音声データを含むことを決定し、
前記第2セルラーネットワークを介し、非音声データに関連付けられた前記データパケットを送信し続けながら、前記第1加入者識別モジュールに関連付けられた前記第1セルラーネットワークを介して、前記第2データパケットを送信することを含む、請求項1から1のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2018年5月1日に出願された「マルチネットワーク動的径路設定のためのシステム及び方法」と題する米国仮出願第62/665103号の優先権を主張し、その開示の全体があらゆる目的のために本明細書において参照により明示的に援用される。また、本出願は、2019年4月19日に出願された「マルチアクティブネットワーク無線デバイス」と題する米国仮出願第62/836571号の優先権を主張し、その開示の全体があらゆる目的のために本明細書において参照により明示的に援用される。本出願の出願データシートにおいて外国又は国内の優先権主張に係る全ての出願は、その全体が37 CFR 1.57を根拠にして参照により援用される。さらに、本出願は、2012年2月6日に出願された「動的マルチファクター経路設定のためのシステム及び方法」と題する米国特許出願公開第2013/367133号(現在の米国特許第9124957号)明細書を参照することにより、その全体をあらゆる目的のために援用する。
【背景技術】
【0002】
ネットワークプロトコルは、モバイル通信用デバイスの接続のために使用できる。デバイスを接続する方法の1つは、時分割多元接続(TDMA)プロトコルを採用しうる移動通信用グローバルシステム(GSM)のアーキテクチャ及び/又は標準規格を用いている。あるデバイスからの音声をデジタルデータに変換でき、チャネルと時間帯を指定できるものである。受信デバイスは、割り当てられた時間帯において音声を聞きとることができる。GSMと競合する一部のネットワークプロトコルは、符号分割システムを用いて通話を接続可能な符号分割多元接続(CDMA)を実装している。通話データはユニークキーを用いて符号化されており、複数の通話データを一度に送信できるようになっている。受信デバイスは、該受信デバイスが接続されている特定の通話に関するデータを識別するために、該ユニークキーを使用しうるようになっている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示のシステム、方法、及び、デバイスは、その其々が幾つかの革新的な特徴を有し、そのうちの1つが本明細書で開示した望ましい特性のすべてを単独で担うというものではない。本明細書の記載内容である1つ以上の実施態様の詳細については、添付の図面及び下記説明において明らかとなる。
【0004】
本開示の特定の態様は、各々が異なる通信技術又は周波数帯域の集まりを使用して構成されたデータネットワークを有する複数のデータネットワークを介して通信チャネルを維持するように構成された無線デバイスに関するものである。該無線デバイスは、第1送信帯域の信号を送信し、第1受信帯域の信号を受信し、第2送信帯域の信号を送信し、第2受信帯域の信号を受信する第1プライマリアンテナと、上記第1受信帯域の信号を受信し、上記第2受信帯域の信号を受信する第1ダイバーシティアンテナと、上記第1プライマリアンテナおよび上記第1ダイバーシティアンテナと電気通信する第1無線周波数サブシステムであって、上記第1受信帯域の信号をデコードし、上記第2受信帯域の信号をデコードするように構成された第1無線周波数サブシステムと、上記第1ダイバーシティアンテナと電気通信する第2無線周波数サブシステムであって、上記第1受信帯域の信号をデコードし、上記第2受信帯域の信号をデコードするように構成された第2無線周波数サブシステムと、第1加入者識別モジュール、第2加入者識別モジュール、上記第1無線周波数サブシステム、及び上記第2無線周波数サブシステムと電気通信するハードウェアプロセッサとを備えており、上記第1加入者識別モジュールは、上記第1送信帯域及び上記第1受信帯域をサポートする第1無線ネットワークに関連付けられ、上記第2加入者識別モジュールは、上記第2送信帯域及び上記第2受信帯域をサポートする第2無線ネットワークに関連付けられ、上記ハードウェアプロセッサは、上記第1加入者識別モジュール又は上記第2加入者識別モジュールが、特定の時間帯に通信するために上記第1無線周波数サブシステムを使用するかどうかを制御するように構成されている。
【0005】
前段落の無線デバイスは、以下の各特徴の任意の組み合わせ又は部分的な組み合わせを含みうる。上記無線デバイスは、上記の第1無線周波数サブシステムおよびハードウェアプロセッサ間に接続され、上記第1プライマリアンテナを使用してパケットを上記の第1無線ネットワーク又は第2無線ネットワークに送信するように構成された第1モデムをさらに含む。該第1モデムは、上記パケットが音声パケットであるか又はデータパケットであるかを判別するように構成されている。上記無線デバイスは、上記の第1無線周波数サブシステムおよびハードウェアプロセッサ間に接続され、上記第1プライマリアンテナを使用してパケットを上記の第1無線ネットワークまたは第2無線ネットワークのうちの一方に送信する第1モデムと、上記ハードウェアプロセッサに接続され、第2プライマリアンテナを使用してパケットを送信するように構成された第2モデムとをさらに含む。該第2モデムは、第3無線ネットワークとの通信を管理するように構成された第2ハードウェアプロセッサと統合されている。上記ハードウェアプロセッサは、プライマリデバイスとして機能し、上記第2ハードウェアプロセッサは、プライマリ/セカンダリ通信モデルにおけるセカンダリデバイスとして機能する。上記第2モデムは、上記ハードウェアプロセッサの補助ポートを介して上記ハードウェアプロセッサに接続される。上記第2モデムを上記ハードウェアプロセッサに接続するように構成された通信ハブをさらに含む。該通信ハブは、上記無線デバイスの外部データ転送用又は充電用のポート、および上記ハードウェアプロセッサのデータ転送用又は充電用のポート間を接続する。上記第2無線周波数サブシステムは、上記第1受信帯域の信号又は上記第2受信帯域の信号を受信するように構成され、上記第2無線周波数サブシステムは、信号を送信しない。上記無線デバイスは、上記第1無線周波数サブシステムと電気通信するチューナであって、受信信号が第1チャネルアクセス法の信号であるか第2チャネルアクセス法の信号であるかを決定するように構成された第1チューナをさらに含む。上記第1チャネルアクセス法は、符号分割多元接続、広帯域符号分割多元接続、又は時分割多元接続のうちの1つを含み、上記第2チャネルアクセス法は、符号分割多元接続、広帯域符号分割多元接続、又は時分割多元接続のうちの1つを含む。上記ハードウェアプロセッサは、さらに、少なくとも部分的に上記第1受信帯域の受信信号及び上記第2受信帯域の受信信号に基づき、上記第1無線ネットワークとの接続の第1信号強度および上記第2無線ネットワークとの接続の第2信号強度を判定するように構成されている。上記ハードウェアプロセッサは、さらに、少なくとも部分的に上記第1信号強度又は上記第2信号強度に基づき、上記第1無線ネットワーク又は上記第2無線ネットワークと通信するかどうかを決定するように構成されている。上記第1無線ネットワークは、第1通信技術を使用して実装され且つ第1サービスプロバイダに関連付けられ、上記第2無線ネットワークは、第2通信技術を使用して実装され且つ第2サービスプロバイダに関連付けられている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図面全体を通して、参照する要素間の対応を示すために符号を再使用する。各図面は、本明細書に記載された発明の実施形態を説明するために用意したものであり、その範囲を限定するものではない。
図1図1は、本開示の教示に係るものであり、通信環境の実施形態を示す。
図2図2は、本開示の教示に係るものであり、動的通話経路設定プロセスの一実施形態のフローチャートを示す。
図3図3は、本開示の教示に係るものであり、通話を接続するために何れの通信ネットワークプロバイダ、及び/又は、ネットワークプロトコルを使用するかを決定するために使用できる様々なネットワーク特性を示す。
図4図4は、本開示の教示に係るものであり、通話パターンを決定し発信者プロファイルを生成するプロセスの一実施形態のフローチャートを示す。
図5図5は、本開示の教示に係るものであり、通話に関わるネットワークプロトコルを決定するための地理的位置プロファイルの一実施形態を示す。
図6図6は、本開示の教示に係るものであり、発信元及び発信先の各ネットワーク特性に基づき経路を設定するための動的通話経路設定プロセスの一実施形態のフローチャートを示す。
図7図7は、本開示の教示に係るものであり、通話中に経路を再設定するための動的通話経路設定プロセスの一実施形態のフローチャートを示す。
図8図8は、デュアルSIM無線デバイスの比較例を示す。
図9図9は、異なる通信技術を跨ぐセルラーカバレッジの例を示す。
図10図10は、特定の実施形態に係るデュアルSIMデュアルデータアクティブ無線デバイスの例を示す。
図11図11は、特定の実施形態に係るデュアルSIMデュアルデータアクティブ無線デバイスの別の例を示す。
図12図12は、特定の実施形態に係るデュアルSIMデュアルデータアクティブ無線デバイスのさらに別の例を示す。
図13図13は、特定の実施形態に係るデュアルSIMデュアルデータアクティブ無線デバイスのさらに別の例を示す。
図14図14は、デュアルSIMデュアルデータアクティブ無線デバイスを使用して通信するための通信環境の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
(序論)
多くの経路設定システムは、単一型のネットワークプロトコルに基づいて通話を経路設定する方法を決めている。多くの場合、通信デバイスは、TDMAプロトコル若しくはCDMAプロトコルを実装しうるCDMA若しくはGSMなどの単一型のネットワークプロトコル、又はセルラー通信で使用される周波数帯域のサブセットをサポートできる。一部の実施形態では、ネットワークプロトコルは、周波数分割多元接続(FDMA)、直交周波数分割多元接続(OFDMA)、空間分割多元接続(SDMA)、WiFi技術、Bluetooth(登録商標)、デジタルコードレス電話規格(DECT)、近距離無線通信規格(NFC)、ZigBee、WiGig、ロングタームエボリューション(LTE)など、有線媒体又は無線媒体で複数のユーザに通信サービスを提供するために使用可能な他のネットワークプロトコルを含むことができる。この場合において、経路設定システムは、同じ型のネットワークプロトコルを実装する同じネットワーク内で、ある通信ネットワークプロバイダから他の通信ネットワークプロバイダへと通話を経路設定することができる。同じ型のネットワークプロトコルを使用するネットワークに関わる通信ネットワークプロバイダに通話の経路設定を制限すると、通話に利用できるネットワークの利用可能性が制限される。あるネットワークプロトコルを実装する一部のネットワークは、特定の地理的又はネットワーク上の場所において、他のネットワークプロトコルを実装する他のネットワークよりも優れたネットワーク接続性を提供できることがある。例えば、GSMネットワークは、特定の場所ではCDMAネットワークよりも優れたサービスを提供しうる。さらに、特定の地域で同じネットワークを使用して多くの通話が行われると、そのネットワークのパフォーマンスが低下することもあろう。
【0008】
本開示では、1つ以上の通信ネットワークプロバイダによって提供されうる1つ以上の通信ネットワークを介した通話を動的に経路設定できる幾つかのシステム及び関連するプロセスを説明する。該通信ネットワークは、CDMA又はGSMなどの異なるネットワークプロトコルを実装することができる。さらに、一部の通信ネットワークは、同じネットワークプロトコルを利用する場合があるが、異なる周波数帯域を使用する。さらに、本開示において、基準に基づいて通話に適したネットワークを自動的に識別するために使用しうる特定の基準についても説明する。場合に応じて、該基準は、特定のネットワークと関連付けられた地理的な場所を含むものであってもよい。その場合、複数のプロトコルをサポートできるモバイルデバイスにおいては、従来の通信システムと比較して、通話を処理できるネットワークの選択枝が増加しうる。
【0009】
さらに、本開示において、通話に最適なネットワークを決定するために使用できる、特定の通話パターンのパターン認識及びプロファイリングを可能とするいくつかのシステム及び関連するプロセスについても説明する。特定の実施形態において、通話の経路設定に係るネットワークの決定は、少なくとも部分的に通話の発信元デバイス及び発信先デバイスの両方のネットワーク特性に基づいて行うことができる。一部の実施形態において、動的経路設定システムは、第1ネットワークプロトコルを実装している第1通信ネットワーク(例えばGSMを実装する)を使用して最初に確立された通話を、第2ネットワークプロトコルを実装している第2通信ネットワーク(例えばCDMAを実装する)へとその経路を設定することができる点において有利である。1つのネットワークプロトコルを使用する1つのネットワークでネットワークパフォーマンスが低下した場合、異なる通信ネットワークプロバイダによって所有され維持されている、他のネットワークプロトコルを使用した異なるネットワークを介して通話の経路を再度設定できるようになる。
【0010】
(通信環境の例)
図1は、本開示の教示に係るものであり、通信環境100の実施形態を示す。該通信環境100において、モバイルデバイス102は、モバイルデバイス104に電話をかけることができる。図示の例では、モバイルデバイス102は、通話を開始した発信元と呼ばれるユーザに関連付けられており、モバイルデバイス104は、発信者が通話を希望する通話のターゲットや発信先と呼ばれるユーザに関連付けられている。しかし、ユーザの役割、すなわち、モバイルデバイス102およびモバイルデバイス104が逆転してもよいことを理解されたい。通話は、その種類に制限はなく、1つ以上の異なる通信プロトコルを実装しうる1つ以上の通信ネットワークを介して実行される任意の種類の通話を含むことができる。例えば、該通話は、いくつかの例を挙げると、携帯電話を介して行われる通話、ヴォイスオーバーインターネットプロトコル(VoIP)通話、或いはモデム通話でありうる。また、モバイルデバイス102及びモバイルデバイス104は、電話をかけることができる任意のユーザ或いは組織を含みうる。
【0011】
モバイルデバイス102及びモバイルデバイス104間の通話接続を確立すべく、1つ以上の異なる通信ネットワークプロバイダによって提供され又は維持される1つ以上の異なる通信ネットワークを介して、通話が経路設定されることになる。場合によっては、各通信ネットワークは、異なる通信ネットワークプロバイダによって所有され又は維持されるものであってもよい。しかし、一部の実施形態では、複数の通信ネットワークが単独の通信ネットワークプロバイダにより維持されるものであってもよい。プロバイダは、例えば、3Gネットワーク及び4Gネットワークを維持するものであってもよい。さらに、プロバイダは、5Gネットワークを構築していてもよい。3Gネットワーク、4Gネットワーク、又は5Gネットワークのそれぞれは、同じ通信プロファイルの複数バージョンを実装する場合もあれば、異なる通信プロファイルを実装する場合もある。
【0012】
一実施形態において、通話は、動的経路設定システム108へ経路設定される。該動的経路設定システム108は、通信ネットワークプロバイダのネットワーク106によりサポートされている1つ以上のネットワークプロトコルを決定できる。通信環境は、通信ネットワーク106A、106B、106Cが示されており、これらを個別に通信ネットワーク106と呼ぶ場合もあるが、これらをまとめて通信ネットワーク106と呼ぶ場合もある。例えば、動的経路設定システム108は、通信ネットワーク106Aがネットワークプロトコル1を実装でき、通信ネットワーク106Bがネットワークプロトコル2を実装でき、通信ネットワーク106Cがネットワークプロトコル3を実装できると決定してもよい。一部の実施形態では、通信ネットワーク106A及び106Cは、何れもネットワークプロトコル1を実装するが、異なる周波数スペクトル又は帯域を使用しうる。動的経路設定システム108は、1つ以上の通信ネットワークプロバイダに関連付けることができ、又は、1つ以上の通信ネットワークを介し1つ以上の経路設定基準に基づいて最適な経路若しくは改善された経路を設定できるシステムやサービスを提供可能な任意のエンティティに関連付けることができる。動的経路設定システム108は、例えば、通話の通話信号強度を改善させる基準や通話の通話切断率を減少させる基準に基づき、最適な経路或いは改善された経路を提供するように構成される。さらに、各通信ネットワーク106は、セッションボーダーコントロール及びゲートウェイのような複数のコンピューティングデバイスならびに/又はテレフォニーデバイスを含み、通信ネットワーク106内、複数の通信ネットワーク106間、及び/又は動的経路設定システム108との通信を容易にすることができる。これらのコンピューティングデバイスの非限定的な例を動的経路設定システム108に関する図1に示し、以下でさらに説明する。図1は、通信環境100の構成に関わる特定の実施形態を示しているが、他の構成であってもよい。例えば、通信環境100の他の実施形態では、通信ネットワーク106へ通話の経路を設定する前に、動的経路設定システム108へ直接的に通話の経路を設定するものであってもよい。一部の実施形態では、通信ネットワーク106は、他の通信ネットワークと直接的に通信できる。
【0013】
特定の実施形態では、通話の経路を設定する場合において、動的経路設定システム108は、通話の経路を設定するための複数の要因に基づいてネットワーク106を決定することができる。これらの要因は、例えば、発信元、発信先、通信ネットワーク106を介して通話の経路を設定するために動的経路設定システム108により課金される額及び/若しくは通信ネットワーク106からの通話を受けるのに動的経路設定システム108により課金される額、ネットワーク特性、発信者の地理的位置、通話履歴データのパターン、並びに/又はそのようなものを含むことができる。
【0014】
図1において、通信ネットワークプロバイダ106及び動的経路設定システム108を介してモバイルデバイス102とモバイルデバイス104とを接続するために、いくつかの潜在的な通信経路が存在する。例えば、モバイルデバイス102からの通話は、通信ネットワーク106Aから動的経路設定システム108へ、次いで、動的経路設定システム108から通信ネットワーク106Cへ、そして、通信ネットワーク106Cからモバイルデバイス104へと経路が設定されうる。一部の実施形態では、モバイルデバイス102からの通話は、最初に通信ネットワーク106Aから動的経路設定システム108へとその経路が設定されうる。動的経路設定システム108は、次いで、1つ以上の経路設定基準に基づき、通話を完了させるためにモバイルデバイス102に対し通信ネットワーク106Bを使用するように指示しうる。通信ネットワーク106Bを使用して通話を完了させる処理には、通信ネットワーク106Bを使用してモバイルデバイス104との新規通話を開始することも含みうる。特定の実施形態では、動的経路設定システム108への最初の通話、及び、これに続くモバイルデバイス104への通話は、モバイルデバイス102上で通話を開始するユーザが知ることなく発生しうる。図1において、限られた数の通信ネットワーク及び通話経路が示されているが、モバイルデバイス102をモバイルデバイス104と接続するために、追加の通信ネットワークを介した追加の経路が存在していてもよい。さらに、1つの動的経路設定システム108のみを示しているが、複数の動的経路設定システム108が存在し、各動的経路設定システム108が図1の通信ネットワークプロバイダ106および他の動的経路設定システム108のような複数の通信ネットワークと通信してもよいことに留意されたい。
【0015】
一部の実施形態では、動的経路設定システム108は、通話経路設定モジュール114、通話基準データベース112、及び発信者プロファイルデータベース110を含む。一部の実装形態では、動的経路設定システム108は、複数の通話経路設定モジュール114、複数の通話基準データベース112、及び/又は、複数の発信者プロファイルデータベース110を含む。通話経路設定モジュール114、通話基準データベース112、及び/又は、発信者プロファイルデータベース110は、サブシステムとして示しているが、一部の実施形態では、動的経路設定システム108の外部にあり、該動的経路設定システム108と通信しうる別個のシステムであってもよい。通話基準データベース112は、本明細書でさらに説明するように、通話経路設定モジュール114によって特定のネットワークプロトコルを用いるネットワークを選択するための基準を含むか又は格納することができる。発信者プロファイルデータベース110は、発信者のプロファイル情報、例えば、通話履歴データ、発信者に関する識別化パターン、発信者の地理的位置、及び/又は、そのようなものを格納することができる。
【0016】
通話経路設定モジュール114は、1つ以上の通信ネットワーク106上で、モバイルデバイス102によって開始された通話の経路を設定することができる。通話の経路を設定すべき1つ以上の通信ネットワーク106を決定するため、通信経路設定モジュール114は、通話に関わる通話情報を識別し又は決定し、該識別した情報を使用して、通信ネットワーク106の選択を容易にする。該通話情報は、スループットおよび遅延、モバイルデバイス及び/又は通話に利用できる通信ネットワークのサポートするネットワークプロトコル、サポートされる通信周波数などのネットワーク特性、及び/又は、そのようなものを含みうる。さらに、一部の実施形態では、該通話情報は、発信側ユーザ及び/若しくは受信側ユーザの携帯電話プランの価格若しくは料金情報、並びに/又は、動的経路設定システム108に代わって通話の経路を設定する1つ以上の通信ネットワーク若しくはその他の1つ以上の通信ネットワークの価格若しくは料金情報を含むものであってもよい。
【0017】
通話経路設定モジュール114は、通話を受信し、該通話をどこに経路設定するかを決定できる任意のシステムを含むことができる。該通話は、通信ネットワーク106、該通信ネットワーク106に関連付けられたエンティティ及び/若しくはプロセッサ、モバイルデバイス102、モバイルデバイス104、動的経路設定システム108、又は、通話経路設定モジュール114に該通話を提供することのできる他の任意のシステムから受信することができる。さらに、通話経路設定モジュール114は、通話を別のシステムに提供し、且つ/又は、経路設定できる任意のシステムを含むことができる。該通話は、通信ネットワーク106、該通信ネットワークプロバイダ106に関連するエンティティ及び/若しくはプロセッサ、モバイルデバイス102、モバイルデバイス104、及び/又は、通話経路設定モジュール114から該通話を受信できる他の任意のシステムに提供することができる。さらに、通話経路設定モジュール114は、通話に関連した通話情報の提供、及び/又は、受け取りが可能な任意のシステムを含むことができる。
【0018】
通話経路設定モジュール114は、特定の通信ネットワーク106若しくは通信ネットワークのプロバイダに優先順位を付け、且つ/又は、ランクを付けることが可能である。該通話経路設定モジュール114は、通話に関連付けられた通話情報を受け取り、且つ/又は、通話の経路設定のためのネットワーク106及び/若しくは通信ネットワークプロバイダのランク付けした経路設定用リストを決定できる任意のシステムを含むことができる。該通話経路設定モジュール114は、例えば、1つ以上のコンピューティングシステムによって実装でき、また、各コンピューティングシステムは、1つ以上のプロセッサを含むことができる。特定の実施形態において、通話経路設定モジュール114は、2015年9月1日に発行された「動的マルチファクター経路設定のためのシステム及び方法」と題した米国特許第9124957号明細書で開示された、通話の経路を設定するための1つ以上のシステムを実装し、且つ/又は、そのための1つ以上のプロセスを実行することができ、あらゆる目的のために、その開示の全体を本明細書で参照により援用する。
【0019】
一部の実施形態において、通話経路設定モジュール114は、通話を処理するために、複数の通信ネットワーク106をランク付けすることができる。通話経路設定モジュール114は、通話に関わる通話情報を受信することができる。通話経路設定モジュール114は、通話情報を使用して、1つ以上のランク付け処理を実行して、通信ネットワークのランク付けした経路設定用リストを決定することができる。ランク付けした経路設定用リストは、通話の経路を設定でき、ネットワーク選択基準セットを満たす通信ネットワーク及び/又は通信ネットワークプロバイダのランク付け順序を示すことができる。通話経路設定モジュール114は、いくつかの基準又は要因に基づいて通話に関するランク順序付けした経路設定リストについて判定できる任意のシステムを含むことができる。通話経路設定モジュール114は、ネットワーク及び/又はネットワークプロバイダに関する特定の重み値に基づいて使用可能なネットワーク106及び/又は通信ネットワークプロバイダをランク付けすることができる。該重み付けは、例えば、ネットワークの処理能力、ネットワーク及び/若しくは通信ネットワークプロバイダを利用する時点でのその価格や利益率、発信者プロファイルデータベース110から取り出した発信者プロファイル、通話基準データベース112から取り出した通話の特定の基準、例えば、地理的な位置、ネットワーク106に経路設定されている現在の通話の数、ネットワーク及び/若しくは関連する通信ネットワークプロバイダの評価、並びに/又はそのようなものに基づいて決定することができる。
【0020】
(通話経路設定)
図2は、本開示の教示に係るものであり、動的通話経路設定プロセス200の一実施形態のフローチャートを示す。プロセス200は、モバイルデバイス102からの通話を最初に受け取る通信ネットワーク106、モバイルデバイス104に最終的な通話接続を完了させる通信ネットワークプロバイダ106、その通話を受け取る初期ネットワークおよびモバイルデバイス104に通話を受け渡す発信先ネットワーク間の通信ネットワーク、動的経路設定システム108などを含み、通話の経路を設定できる任意のシステムによって実行されうる。複数の異なるシステムがプロセス200の一部又は全部を実行するものでもよいが、説明を簡単にするため、プロセス200を特定のシステムに関するものとして説明する。
【0021】
該プロセスは、例えば動的経路設定システム108がモバイルデバイス102によって開始された通話を受信した場合に、ブロック202で開始する。一部の実施形態では、通話の受信には、ユーザが通話を開始しようとしているか、又は、通話を開始しようとする可能性があるという表示の受け取りも含まれうる。例えば、ユーザが電話でダイヤラーや他のアプリケーションを開くときに、又は、ユーザが電話番号を入力し或いは入力し始めたときに、プロセス200は、通話が開始される前に通話を完了させるための適切なネットワークの選択をできるように開始してもよい。
【0022】
ブロック204において、動的経路設定システム108は、モバイルデバイス102によってサポートされている1つ以上のネットワークプロトコルを判定する。ネットワークプロトコルは、例えば、CDMA、GSM、又は、その他のサポートされているセルラーネットワークプロトコルを含むことができる。さらに、一部の実施形態では、ブロック204は、モバイルデバイス102によってサポートされている1つ以上の周波数帯域、及び/又は、ネットワークプロバイダを識別する処理を含みうる。一部の実施形態において、動的経路設定システム108は、実装されたプロトコル、サポートされている周波数帯域、サポートされている通信規格(例えば、3G、4G、又は、4G LTE)、又は、他の、場合に応じて何れの無線デバイスが通信ネットワークと通信できるかということに影響する通信ネットワークに関する特性に基づいて変化しうる様々な通信ネットワーク間で経路を設定することができる。例えば、動的経路設定システム108は、異なるGSMキャリア間、異なるCDMAキャリア間、4G通信規格を実装するキャリアおよび3G通信規格を実装するキャリア間などで、通話の経路を設定しうる。説明を簡単にするため、本明細書で開示する幾つかの実施形態においては、GSMおよびCDMAネットワーク間の通話経路の設定に関するものとして説明するが、これは本開示を限定するものではない。
【0023】
判定ブロック206において、動的経路設定システム108は、ユーザデバイスがデュアルネットワークプロトコル機能のような複数のネットワークプロトコルをサポートしているか否かを決定する。この決定は、少なくとも部分的には、ユーザデバイスがGSMプロトコルおよびCDMAプロトコルの両方か、又は、他のネットワークプロトコルをサポートしているかの決定に基づいて行うことができる。一部の実施形態において、特定のネットワークプロトコルをサポートするネットワークは、モバイルデバイスの何れかのSIMカードに関連付けることができ、それとは別のネットワークプロトコルをサポートする他のネットワークは、モバイルデバイスの別のSIMカードに関連付けることができる。
【0024】
判定ブロック206において、ユーザデバイスが複数のネットワークプロトコルをサポートしていると決定した場合、ブロック210において、動的経路設定システム108は、モバイルデバイス102によりサポートされている第1ネットワークプロトコルを実装する第1ネットワーク106Aを識別する。第1通信ネットワーク106Aは、例えば、GSMプロトコルを実装しうる。
【0025】
ブロック212において、動的経路設定システム108は、第1通信ネットワーク106Aを使用する通信チャネルの第1信号強度を識別する。信号強度を決定する処理には、モバイルデバイス102への第1信号強度測定のためのリクエストの送信が含まれ、且つ/又は、モバイルデバイス102からの測定された第1信号強度の受信が含まれてもよい。通信チャネルは、モバイルデバイス102及び、通信ネットワーク106Aの初期基地局若しくはセルタワー間に存在しうるもので、これは、第1ホップ又は第1マイルと呼んでもよい。あるいは、若しくは追加的に、第1通信チャネルは、モバイルデバイス102並びに、通信ネットワーク106A及び/又はモバイルデバイス104間の通信チャネルの大部分を含むものでもよい。ある場合には、該信号強度は、モバイルデバイス102及び、初期基地局又はセルタワー間の信号強度である。
【0026】
ブロック214において、動的経路設定システム108は、モバイルデバイス102によりサポートされている第2ネットワークプロトコルを実装する第2ネットワーク106Bを識別する。該第2通信ネットワーク106Bは、例えば、CDMAプロトコルを実装する。
【0027】
ブロック216において、動的経路設定システム108は、第2通信ネットワーク106Bを使用する通信チャネルの第2信号強度を識別する。特定の実施形態において、ブロック216は、ブロック212に関して説明した1つ以上の実施形態を含むものでもよい。
【0028】
ブロック218において、動的経路設定システム108は、少なくとも部分的に第1信号強度及び第2信号強度に基づき、モバイルデバイス102の通話の経路を設定するにあたり、より強い信号強度に関連した通信ネットワークを選択することができる。モバイルデバイス102が最も強い信号強度を有しているネットワークへと通話の経路を設定するということは、プロセス200が開始された特定の場所と時間において該モバイル102にとって最も好ましい信号強度を提供する通信ネットワークを使用してモバイルデバイス102が通話を開始することを可能にする、最も強い信号強度に関与するネットワークの識別情報を該モバイルデバイス102に提供するということも含みうる。代替的に若しくは追加的に、動的経路設定システム108は、モバイルデバイス102に代わって、最も強い信号強度を有している通信ネットワークに通話の経路を設定することができる。特定の実施形態において、プロセス200は、信号強度に対する代替的な又は追加的な基準に基づいて通話の経路を設定するためのネットワークを識別するために使用されてもよい。通話の経路を設定するためのネットワークを識別するために、例えば、通話切断率、時間帯別領料金、利用可能なネットワーク帯域幅、又はその他の情報を使用してもよい。特定の実施形態では、ブロック214及びブロック216に関する動作は、モバイルデバイス102によってサポートされているか若しくはモバイルデバイス102に通信できるようにさせる各々の通信ネットワーク又は通信ネットワークプロトコルに対して繰り返されうる。例えば、このような動作は、通信ネットワーク106Cに対して繰り返されうる。
【0029】
判定ブロック206において、モバイルデバイス102が複数のネットワークプロトコルをサポートしていないと判定した場合、ブロック208において、モバイルデバイス102によりサポートされているネットワークに通話の経路が設定される。
【0030】
図3は、本開示の教示に係るものであり、通信ネットワークプロバイダ及び/又はネットワークプロトコルに関連する何れのネットワークを使用して通話を接続するかを決定するために使用可能な様々なネットワーク特性300を明確に示した図である。ネットワーク特性300の非限定的なリストは、ネットワーク遅延302、パケット損失304、通話成功率306、通話明瞭度評価(call clarity rating)308、通話切断率310、ネットワーク有効率(network effectiveness ratio)312、発信後遅延(post dial delay)314、及び/又は、そのようなものを含むことができる。例えば、GSMプロトコルをサポートする第1通信ネットワークプロバイダでGSMプロトコルを使用する第1ネットワークのネットワーク遅延302は、CDMAプロトコルをサポートする第2通信ネットワークプロバイダでCDMAプロトコルを使用する第2ネットワークの場合よりも低くなりうる。図2のブロック216の例では、動的経路設定システム108は、ネットワーク遅延302のパフォーマンスを改善するためにGSMプロトコルを使用するネットワークに通話の経路を切り替えることができる。
【0031】
(通話パターンの識別及びプロファイリング)
図4は、本開示の教示に係るものであり、通話パターンを決定し発信者プロファイルを生成するプロセスの一実施形態のフローチャートを示す。プロセス400は、通話パターンの決定、並びに/又は発信者プロファイルの生成及び/若しくは適用をできる任意のシステムによって実行することができる。複数の異なるシステムがプロセス400の一部又は全部を実行できるが、説明を簡単にするために、プロセス400を特定のシステムに関するものとして説明する。
【0032】
該プロセスは、例えば、動的経路設定システム108がモバイルデバイス102の通話履歴データを識別する、ブロック402で開始する。一部の実施形態では、該通話履歴データは、モバイルデバイス102のユーザ又は電話番号に関連付けられている。従って、通話履歴データは、ユーザ又は電話番号に関連付けられている、或いは、関連付けられた複数のデバイスの通話履歴データを含みうる。過去の通話データには、いつ電話がかけられたか、どこ(例えば、自宅又は会社の住所、都市部又は農村地域等)から電話がかけられたか、誰が電話をかけたかなどの情報を含めることができる。例えば、通話履歴データは、特定のユーザ又はモバイルデバイス102が決まって毎日午後2時頃に或いは週末に特定の番号に電話をしている、という内容を示すものでもよい。
【0033】
ブロック406において、動的経路設定システム108は、使用されているネットワーク及び/又はネットワークプロトコル並びに、ユーザデバイスに関する通話履歴データの特性間のパターンを識別する。識別されたパターンを使うと、ユーザ又はモバイルデバイス102に関する通話プロファイルを確立できる。例えば、動的経路設定システム108は、毎晩、ユーザが自宅から特定の番号(例えば、ユーザの叔父に関連付けられた番号)に通話を開始する、ということを決定することができる。該動的経路設定システム108は、午後8時から午後10時の間というような特定の時間帯に通話が発生する、ということを決定することもできる。該動的経路設定システム108は、通話のために頻繁に選択されるネットワーク、又は、最も強い信号強度を提供するネットワークが特定のネットワークである、ということも決定することができる。動的経路設定システム108は、履歴データに基づいて生成されたプロファイルと一致する通話が行われた際に、上記特定のネットワークへと自動的に通話の経路を設定するための基準を確立できる。一部の実施形態において、ユーザ又はモバイルデバイス102に関する通話プロファイルを識別するために機械学習プロセスを使用することができる。
【0034】
ブロック408において、動的経路設定システム108は、モバイルデバイス102によって開始された通話を通信ネットワークから受信する。該通話の受信には、通話に関する特性、例えば、時刻、発信者の身元、発信者の位置などを決定することを含めてもよい。例えば、動的経路設定システム108は、リクエストが特定の通話者との間のものか、特定の時間枠及び/又は地理的位置、特定の通話種類などで行われているかを決定することができる。一実施形態において、通話種類の識別には、例えば、数例を挙げると、発信元及び/又は発信先が国際的なものかどうかの識別、通話が州間のものかどうかの識別、通話が州内のものかどうかの識別、通話がFAX通話であるかどうかの識別、通話がモデム通話であるかどうかの識別、通話がフリーダイヤル通話かどうかの識別、並びに通話がプレミアム料金通話であるかどうかの識別を含めることができる。
【0035】
判定ブロック410において、動的経路設定システム108は、通話の特性がユーザ又はモバイルデバイス102に関連付けられた通話プロファイルの特性と一致するかどうかを決定する。
【0036】
通話の特性が特定の通話プロファイルを満たす場合、動的経路設定システム108は、ブロック412において、通話プロファイルで識別した通信ネットワークを使用して通話の経路を設定する。通話の特性が通話プロファイルを満たさない場合、動的経路設定システム108は、ブロック414において、プロセス200のような動的経路設定プロセスを使用して通話の経路を設定する。一部の実施形態では、ブロック414において、従来の経路設定プロセスを使用して通話の経路を設定してもよい。
【0037】
(地理的位置プロファイル)
図5は、本開示の教示に係るものであり、通話のネットワークを決定するための地理的位置プロファイルの一実施形態を示す。一部の実施形態では、モバイルデバイス102又はユーザにとって、ある特定の地理的な位置では、ある特定のネットワークが好ましい、と決定されうる。例えば、図5に示すように、ユーザがロサンゼルス内にいる場合、CDMAプロトコルは向上した信号強度又はより低い通話切断率を提供しうることから、通話を行うためにはCDMAプロトコルを使用することが好ましいと決定されうる。しかしながら、例えば、ユーザ又はモバイルデバイスがオレンジ郡にある場合、GSMプロトコルは、識別された場所のCDMAネットワークと比較して、向上した信号強度または向上した通話明瞭度を提供しうることから、GSMプロトコルを使用して(例えば、GSMネットワークを介して)通話を行うのが好ましいと決定されうる。
【0038】
一部の実施形態において、モバイルデバイス102及び/又は動的経路設定システム108は、地理的位置プロファイルにより示されるネットワーク選択に優先することができる。例えば、ロサンゼルスではCDMAプロトコルを使用することが一般的に好ましいかも知れないが、動的経路設定システム108は、少なくとも部分的にネットワーク特性に基づいて、特定の時刻ではGSMプロトコルが好ましいと決定しうる。そのような場合、CDMAプロトコルの初期選択は、この特定の時刻におけるネットワーク特性の決定又は測定に基づいて優先されうる。
【0039】
(発信元及び発信先のネットワーク特性に基づく経路設定)
図6は、本開示の教示に係るものであり、発信元及び発信先の両ネットワーク特性に基づき通話の経路を設定するための動的通話経路設定プロセス600の一実施形態のフローチャートを示す。プロセス600は、モバイルデバイス102から最初に通話を受信した通信ネットワーク106、モバイルデバイス104に対して最終的な通話接続を完了させた通信ネットワーク106、その間の何れかの場所に存在する通信ネットワーク、動的経路設定システム108を含み、通話の経路を設定できる任意のシステムによって実行することができる。複数の異なるシステムがプロセス600の一部又は全部を実行しうるが、説明を簡単にするため、プロセス600を特定のシステムに関するものとして説明する。
【0040】
該プロセスは、例えば、動的経路設定システム108が発信元デバイスと呼んでもよいモバイルデバイス102によって開始された通話を受信したときに、ブロック602で開始する。特定の実施形態において、該ブロック602は、ブロック202に関して説明した1つ以上の実施形態を含むものでもよい。
【0041】
ブロック604において、動的経路設定システム108は、サポートされている2つ以上の通信ネットワークの集まりのそれぞれについて、発信元デバイスに関するネットワーク特性を識別するか又は測定する。前述したように、サポートされている通信ネットワークには、異なるベンダーのネットワーク、及び/又は、異なるネットワークプロトコルを実装し若しくはサポートするネットワークが含まれうる。例えば、発信元デバイスがGSMネットワーク及びCDMAネットワークの何れとも連携でき又は通信できる場合には、動的経路設定システム108は、GSMネットワークと通信する発信元デバイスに関する第1信号強度およびCDMAネットワークと通信する発信元デバイスに関する第2信号強度を判定することができる。
【0042】
判定ブロック606において、動的経路設定システム108は、サポートされている2つ以上のネットワークのネットワーク特性間の差が閾値を満たすかどうかを決定する。例えば、動的経路設定システム108は、先の例における第1信号強度および第2信号強度間の差が信号強度差閾値を満たすかどうかを決定しうる。
【0043】
ネットワーク特性間の差が閾値を満たさないと決定した場合、動的経路設定システム108は、ブロック612で、ターゲットデバイス或いは発信先デバイスと呼んでもよいモバイルデバイス104が複数の通信ネットワークをサポートしているかどうかを決定する。発信先デバイスが複数の通信ネットワークをサポートしている場合、ブロック614において、動的経路設定システム108は、2つ以上のサポートされている通信ネットワークの集まりのそれぞれについて、発信先デバイスのネットワーク特性を識別するか又は測定する。該ネットワーク特性は、ブロック604で決定されたものと同じネットワーク特性であってもよいし、異なるネットワーク特性であってもよい。例えば、動的経路設定システム108は、上述した発信元デバイスに関する例と同様に、サポートされている各通信ネットワークに関する発信先デバイスについての信号強度を測定してもよいし、帯域幅を測定してもよい。一部の実施形態では、ブロック604及びブロック614の両方において、ネットワーク特性が複数のネットワーク特性の組み合わせを含むものでもよいし、複数のネットワーク特性の組み合わせであってもよい。ブロック616において、動的経路設定システム108は、より望ましい値に関連付けられた通信ネットワークを使用して通話を完了させうる。例えば、発信先デバイスに対して最も強い信号強度又は最も低い通話切断率を持つ通信ネットワークを使用して通話を完了できる。いくつもの通信ネットワークがより望ましい若しくはより優れたネットワーク特性値と関連付けられている場合、ランダム通信ネットワーク選択、代替ネットワーク特性に基づく選択、ラウンドロビン選択、価格設定に基づく選択、又は、ユーザの好みに基づく選択などの補助選択プロセスを実行してもよい。
【0044】
判定ブロック612で発信先デバイスが複数の通信ネットワークをサポートしていないと決定した場合、補助選択プロセスを使用して、通話を完了するための通信ネットワークを選択する。補助選択プロセスは、ランダム通信ネットワーク選択、代替ネットワーク特性に基づく選択、ラウンドロビン選択、価格設定に基づく選択、又は、ユーザの好みに基づく選択を用いて、発信元モバイルデバイスによりサポートされている2つ以上の通信ネットワークから通信ネットワークを選択することを含むものでもよい。
【0045】
判定ブロック606でネットワーク特性間の差が閾値を満たしていると判定した場合、ブロック608において、動的経路設定システム108は、モバイルデバイス102にとってより優れた又はより望ましいネットワーク特性に関連する通信ネットワークを使用して通話を完了させる。特定の実施形態では、ブロック608は、ブロック616に関して説明した1つ以上の実施形態を含むものでもよい。特定の実施形態では、動的経路設定システム108は、モバイルデバイス102に対して選択された通信ネットワークを識別することにより、選択された通信ネットワークを使用して通話を完了させてもよい。そして、モバイルデバイス102は、選択された通信ネットワークとの通話を確立できる。場合によっては、選択された通信ネットワークを使用して通話を完了させる処理は、選択された通信ネットワークを使用して新しい通話を開始すること、ブロック602で受信した通話の音声を新しい通話に転送することを含むものでもよい。新規通話の確立及び/又は既存通話の転送は、モバイルデバイス102を使用して通話している若しくは通話しようとしているユーザの知らないうちに行われてもよい。
【0046】
一部の実施形態において、通話を完了させる通信ネットワークの決定は、少なくとも部分的には発信元モバイルデバイス102及び発信先モバイルデバイス104において利用可能な通信ネットワークのネットワーク特性に基づいたものとなりうる。他の実施形態において、特定の通話は、モバイルデバイス102により発せられる電話の発信部分に関して通信ネットワークが選択されるものでもよいし、また、モバイルデバイス104における電話の着信部分に関して通信ネットワークが選択されるものでもよい。従って、通信ネットワーク106Aは、モバイルデバイス102が通話を行うために選択されるものでもよく、通信ネットワーク106Cは、モバイルデバイス104がその通話を受信するために選択されるものでもよい。
【0047】
(通話中の再経路設定)
図7は、本開示の教示に係るものであり、進行中の通話の経路を再設定するための動的通話経路設定プロセス700の一実施形態のフローチャートを示す。プロセス700は、モバイルデバイス102からの通話を最初に受信した通信ネットワーク106、モバイルデバイス104への最終的な通話接続を完了させた通信ネットワーク106、その間の何れかの場所に存在する通信ネットワーク、動的経路設定システム108などを含む、通話の経路を設定できる任意のシステムによって実行することができる。いくつかの異なるシステムがプロセス700の一部又は全部を実行するものでもよいが、説明を簡単にするため、プロセス700を特定のシステムに関するものとして説明する。
【0048】
該プロセスは、例えば、動的経路設定システム108が第1通信ネットワーク106を使用して発信元デバイス102及び発信先デバイス104間の通話を確立する、プロセス702で開始する。通話を確立する処理には、例えば、プロセス200、プロセス600、又は複数の通信ネットワークの中から1つの通信ネットワークを選択する他の任意のプロセスを使用して第1通信ネットワーク106を選択することが含まれうる。さらに、通話を確立する処理には、選択されたネットワークを使用してデバイス102をデバイス104に接続することが含まれてもよい。又は、通話を確立する処理には、選択された通信ネットワークを使用してデバイス102が通話を確立できるようにするための該通信ネットワークの識別情報を該デバイス102に提供することが含まれてもよい。
【0049】
ブロック704において、動的経路設定システム108は、第1ネットワークプロトコルを使用しうる第1通信ネットワークのネットワーク特性を測定するか、他の方法で決定する。例えば、動的経路設定システム108は、第1通信ネットワークの通信強度、帯域幅、又は、通話切断率を決定することができる。例えば、ネットワーク特性は、上記の図3に記載した1つ以上のネットワーク特性を含むことができる。
【0050】
判定ブロック706において、動的経路設定システム108は、測定されたネットワーク特性が閾値を満たすかどうかを判定する。測定されたネットワーク特性が閾値を満たす場合、プロセス700は、ブロック704に戻り、動的経路設定システム108が連続的、断続的、又は周期的にネットワーク特性を測定するものでもよい。一部の実施形態では、識別されたパターンに基づいて閾値を決定することができる。例えば、該閾値は、図4のユーザデバイスに関する履歴データで識別されたパターンに基づいて決定することができる。該パターンは、ネットワークプロトコル及びユーザデバイスの履歴データの特性間で識別でき、該パターンに基づいて閾値を確立することができる。例えば、ユーザデバイスの履歴データは、GSMプロトコルの場合は山岳地域でのパケット損失が高い、ということを示すことができる。後日にユーザがCDMAプロトコルを使用して山岳地域を移動する場合、システムは、GSMプロトコルに切り替えるためにパケット損失閾値をより高く設定するものでもよい。別の例を挙げると、このユーザの履歴データは、山岳地域においてCDMAプロトコルの方がGSMプロトコルよりも過去において良好に機能した(例えば、より高い通話明瞭度であった、又は、より少ない通話切断であった)、ということを示すこともできる。そのような場合には、システムは、自動的にCDMAプロトコルを使用したネットワークを通じた通話を初期値として設定するものでもよい。システムは、CDMAプロトコルを実装するネットワーク及びGSMプロトコルを実装するネットワークの過去のパフォーマンス間の差の平均に基づいて、GSMプロトコルに切り替えるものでもよい。
【0051】
一部の実施形態において、上記閾値は、動的閾値でありうる。無線デバイスは、例えば、第1プロトコルを使用して通話に接続できる。システムは、第1プロトコルに関わるネットワーク特性のパフォーマンスを識別することができる。システムは、第2プロトコルのネットワーク特性のパフォーマンスも識別することができる。例えば、発信者が通話中にある目的地から別の目的地に移動していると、第1プロトコルに関わるネットワーク特性のパフォーマンスが低下し、一方で、第2プロトコルに関わるネットワーク特性のパフォーマンスが向上する場合がある。通話を第1プロトコルから第2プロトコルに切り替えるための閾値は、第1プロトコル及び第2プロトコルに関わるネットワーク特性のパフォーマンスの変化に基づいて動的に調節できる。一実施形態において、動的閾値は、第1プロトコル及び第2プロトコルに関わるネットワーク特性のパフォーマンスの平均に基づいて調節してもよい。別の実施形態では、動的閾値は、第1プロトコルに関わるネットワーク性能が第2プロトコルに関わるネットワーク性能よりも低下していることに基づくものであってもよい。例えば、動的閾値は、特定の期間において第1プロトコルに関わるネットワーク特性のパフォーマンスが第2プロトコルに関わるネットワーク特性のパフォーマンスよりも低下していることに基づくものであってもよい。
【0052】
測定されたネットワーク特性が閾値を満たしていないと決定した場合、ブロック708において、動的経路設定システム108は、第1ネットワークプロトコルとは異なる第2ネットワークプロトコルを使用しうる利用可能な第2通信ネットワークを識別する。あるいは、両方のネットワークが同じネットワークプロトコルを使用していてもよいが、異なるベンダーにより維持され、且つ/又は、異なる周波数帯域を使用するものでありうる。
【0053】
ブロック710において、動的経路設定システム108は、第2通信ネットワークのネットワーク特性を測定する。ブロック710は、ブロック704に関して説明した1つ以上の実施形態を含むものでもよい。
【0054】
判定ブロック712において、動的経路設定システム108は、ブロック710で測定され又は他の方法で取得したネットワーク特性が閾値を満たすかどうかを決定する。第2通信ネットワークのネットワーク特性が閾値を満たしていないと決定した場合、プロセスは、ブロック704に戻ってもよい。一部の実施形態では、ブロック704でのネットワーク特性に関わる継続的な測定間の時間は、プロセス700が判定ブロック706からブロック704に戻るか、又は、判定ブロック712からブロック704に戻るかどうかにより異なっていてもよい。さらに、一部の実施形態では、ブロック704におけるネットワーク特性の継続的な測定間の時間は、デバイス102と関連したユーザが閾値距離を移動したかどうかにより、異なっていてもよい。例えば、ブロック704は、移動中の車両に乗っている又は近所若しくは街中を歩いている可能性のあるユーザのように閾値を超える速度で移動しているユーザについては、より頻繁に繰り返されるものでもよい。プロセス700は、ユーザが移動しているときには、ユーザが異なる基地局に関連したより多くのセル領域を通過する可能性があるため、ユーザが静止し又は比較的静止しているときに比べて、より頻繁に実行されるものでもよい。代替的に若しくは追加的に、該プロセスは、ユーザが移動しているとき(例えば、運転又は歩行しているとき)には、ユーザが静止しているとき(例えば、自宅や職場で座っているとき)と比べ、ユーザが無線カバレッジに影響を与えうるより多くの障害物を通過する可能性があるため、より頻繁に実行されてもよい。一部の実施形態では、プロセス700は、ブロック704に戻る代わりに終了してもよい。
【0055】
判定ブロック712において、ブロック710で第2通信ネットワークに関して測定されたネットワーク特性が閾値を満たしていると判定した場合、ブロック714において、動的経路設定システム108は、該第2通信ネットワークを使用して通話の経路を再設定する。通話の経路を再設定する処理には、第2通信ネットワークを使用する第2通話を確立すること、及び、第2通話の確立後に該第2通話に音声を転送することが含まれてもよい。その後、最初の通話は終了してもよい。一部の実施形態において、動的経路設定システム108は、モバイルデバイス102に対し、新しい通話を確立し、該新しい通話に音声を切り替えるよう指示することにより、通話の経路を再設定する。一部の実施形態では、ユーザにおいて該通話に関して知ることなく、当該通話の経路が再設定される。
【0056】
一部の実施形態において、判定ブロック706で使用される閾値及び判定ブロック712で使用される閾値とは異なっていてもよい。例えば、より良いサービスを提供でき又は特定の所望の基準を満たすネットワークが存在するかどうかを判定するための閾値(例えば、ブロック706の閾値)は、通話を処理するために新しい通信ネットワークを選択するかどうかの判定を行うために使用する閾値(例えば、ブロック712の閾値)よりも低いものであってもよい。異なる閾値を使用することで既存の通話の切り換え又は再経路設定に伴う通信資源のコストを考慮できるようになる点は、利点である。さらに、特定の実施形態では、追加的なネットワークが存在するかどうかを決定するために使用する閾値より、通信ネットワークを切り替えるかどうかを決定するために使用する閾値を高くすることにより、2つのネットワーク間の通話の連続的で且つ反復的な再経路設定を減らすことができる。
【0057】
特定の実施形態では、第2通信ネットワークのネットワーク特性が閾値を満たしているかどうかを決定することに代えて或いはこれに加えて、判定ブロック712は、第2通信ネットワークのネットワーク特性が第1通信ネットワークのネットワーク特性よりもある閾度以上に高い或いは優れているかどうかの決定も含みうる。特定の実施形態では、通話の経路を再設定する前に、第2通信ネットワークがある閾度以上に第1通信ネットワークよりも優れていることを確認することで、2つのネットワーク間の通話の連続的で且つ反復的な再経路設定の発生を減らすことができる。
【0058】
(デュアルSIM無線デバイス)
セルラー通信ネットワークは、無線デバイスのユーザを識別するために加入者識別モジュール(SIM)を使用することが多い。SIMカードは、無線デバイスに挿入され、無線デバイスのプロセッサ及び/又は通信ネットワークと通信するスマートカードの一種や集積回路として実装されることが多い。SIMカードは、ユーザ及び/又は無線デバイスを一意に識別する情報を含む。例えば、SIMカードは、国際的な加入者識別(IMSI)番号及びそれに関連するキーを安全に格納しうる。SIMカードに格納されている情報は、モバイルデバイスや無線デバイスのユーザ或いは加入者を識別及び認証するために使用できる。SIMカードは、さらに、集積回路カード識別子(ICCID)のような固有のシリアル番号、セキュリテ認証及び暗号化情報、ローカルネットワーク(例えば、セルラー又は他の無線ネットワーク)に関する一時情報、ユーザがアクセス可能なサービスのリスト、及び1つ以上のパスワード(例えば、個人識別番号(PIN)、及びPINロック解除用の個人ブロック解除コード(PUC))を含んでもよい。SIMカードは、無線デバイスがSIMカードに関連付けられた特定のセルラーネットワークと接続でき且つ/又は通話できるようにするために必要とされることが多い。さらに、あるセルラーネットワークのSIMカードは、無線デバイスが別のセルラーネットワークと接続し且つ/又は通信するために使用できないことが多い。例えば、T-Mobile(登録商標)ネットワークと通信可能なSIMカードを搭載した無線デバイスは、通常、Verizon(登録商標)ネットワーク又はATT(登録商標)ネットワークで通信することができない。Verizon(登録商標)ネットワーク又はATT(登録商標)ネットワーク上での通信を希望するユーザは、通常、SIMカードをVerizon(登録商標)ネットワーク又はATT(登録商標)ネットワークに関連付けられているものに変更する必要がある。
【0059】
大抵の無線デバイスは、単一のSIMカードをサポートしており、従って、大抵の無線デバイスは、いつでも単一のセルラー通信ネットワークのみと通信できるようになっている。一部の無線デバイスは、無線デバイスが2つのセルラーネットワークと通信することを可能にする2つのSIMカードをサポートしていることがある。しかし、通常、1枚のSIMカードだけが一度にアクティブになりうる。従って、無線デバイスは、アクティブSIMカードに関連付けられた1つのセルラーネットワークのみと通信することができる。さらに、SIMカードを切り替えて第2SIMカードを使用し別のセルラーネットワークと通信するためには、通常、無線デバイスをリセットするか若しくは再始動するか、又は少なくともネットワークサブシステムを再起動する必要がある。無線デバイスを再始動又は再起動すると、アクティブSIMカードとして第2SIMカードを選択することができる。
【0060】
無線デバイスや該無線デバイスのネットワークシステムの再起動は、多くの場合、全く不便であっても、例えば多くのユーザは異なる国に旅行する際にSIMカード及び/又はセルラーネットワークを切り替えるのみであり、些細な不便でしかない。このような場合、電話機は移動中に、通常、電源がオフになっているか、機内モードになっている。従って、SIMカードの切り替えは、新しい場所での無線デバイスの電源オンの一部とみなすことができる。
【0061】
しかしながら、異なるセルラーネットワークに関連する国々又は地理的に離れた場所間の移動以外にも、セルラーネットワークを変更することが有益となる場合がある。例えば、ユーザがより限定された地域や特定の国内を移動すると、特定のセルラーネットワークのカバレッジエリア又は強度が変化しうる。通常、無線デバイスを使用しているときのユーザが受けるサービスの品質は、ユーザが加入している特定のセルラーネットワークの制限と対応している。しかしながら、特定のエリアにおいて最も優れた接続又は最も強い信号強度を提供するセルラーネットワークを使用してサービスを維持するためのセルラーネットワーク間の切り替えを行い、サービスの優れた品質を維持することが望ましい場合がある。さらに、無線デバイスを使用したマルチタスクを向上させるために、複数のセルラーネットワークに同時接続することが望ましいこともある。例えば、ユーザは、他のユーザと音声通話しながら、且つ/又は、同時に1つ以上のコンテンツプロバイダからコンテンツ(例えば、音楽、映画、又はゲーム)をダウンロード若しくはストリーミングすることを望むかもしれない。このような場合、各々のサービス又は作業は、単一のセルラーネットワークへの接続中に実行されると、サービスの品質、又はその他のサービス若しくは作業に影響しうる。しかし、複数のセルラーネットワークに接続することで、各タスクへの影響を最小限に抑えながら、複数のタスクを実行できるようになる。さらに、優先度の高いタスク又はより広い帯域幅(高解像度のコンテンツのダウンロード等)若しくはより優れた接続を必要とするタスクを一方のセルラーネットワークに割り当てながら、優先度の低いタスク又はより狭い帯域幅で済むタスク(音声通話など)をより弱い信号強度を持つ他のセルラーネットワークに割り当てることも可能となる。
【0062】
本明細書で開示した実施形態は、無線デバイスが前述の問題を伴うことなく、複数のセルラーネットワークを介して通信できるようにするシステム及び方法を提示するものである。例えば、本明細書で開示した実施形態は、無線デバイスの一部若しくは全部ををリセットする、又は再起動する必要なく、同時に又は実質同時に複数のセルラーネットワークと通信することができる無線デバイスを提示するものである。さらに、本明細書で開示した実施形態は、タスクの実行の前に、及び/又は、タスクの実行中において、セルラーネットワーク間の移行中の休止若しくはアクセス喪失を伴うことなく、タスクを実行(例えば、メディアをダウンロードし、又は、音声通話を実行)しているセルラーネットワークを切り換えることができる無線デバイスを提示するものである。
【0063】
図8は、デュアルSIM無線デバイス800の一部の比較例を示す。図示したように、無線デバイス800は、プロセッサ806と通信しうる2つのSIMカード802及びSIMカード804を含みうる。プロセッサ806は、SIMカード802及びSIMカード804のそれぞれに関連付けられた一対のセルラーネットワークのペアとの通信を制御することができる。さらに、無線デバイス800は、セルラーネットワークを介して音声やデータのパケットの送受信を行う単一のプライマリアンテナ808を含む。無線デバイス800は、さらにモデム810及びRFサブシステム812を含み、これらは、セルラーネットワークを介して受信又は送信される信号を分離又は結合するためのフロントエンドモジュール、フィルタ、又は、他の無線周波数ハードウェアを含む。モデム810は、プライマリアンテナ808を介した送信のために、データを変換することができる。該モデム810は、プライマリアンテナ808を介した送信のために、デジタルデータパケットを変調された電気信号に変換することができる。RFサブシステム812は、無線信号の送受信を容易にするために、無線周波数ダイプレクサ、デュプレクサ、及びアンプを含むものでもよい。例えば、RFサブシステム812は、受信信号をフィルタリングし、(例えば、低雑音増幅器を使用して)増幅するように構成されたフロントエンドモジュールを含むものでもよい。さらに、フロントエンドモジュールは、送信用の信号を増幅するための1つ以上のパワーアンプを含むものでもよい。
【0064】
無線デバイスは、信号強度を判定するのを助けるために使用されるダイバーシティアンテナを含むものでもよい。ダイバーシティアンテナ814は、無線デバイスにより受信された信号から独立したサンプルを取得することができる。これらの独立したサンプルは、SIMカード802又はSIMカード804に関連付けられたセルラーネットワークから受信した信号の信号強度を測定するために使用しうる。通常、ダイバーシティアンテナは、受信専用であり、音声又はデータのパケットを含む信号を送信しない。従って、無線デバイスは、ダイバーシティアンテナ814との接続においてモデムを含まない。
【0065】
SIM802又はSIM804に関連付けられたネットワーク間で切り替えを行うために、無線デバイス800を再起動する、又は電源をオフにして再び電源をオンにしてもよい。或いは、ネットワークサブシステムをリセットしてもよい。いずれの場合でも、アクティブSIMをSIM802及びSIM804間で切り替える限り、セルラーネットワークとの通信は一般には維持されない。
【0066】
図9は、異なる通信技術を跨ぐセルラーカバレッジの例を示す。各円は、特定の通信技術を実装した単一の基地局のカバレッジを表している。説明を簡単にするため、4G及び/又は5Gの通信に関する幾つかの円を省略している。しかし、円902によって表した地理的領域のより多くの部分をカバーするために、より多くの基地局を表すより多くの円が存在していてもよいことは理解されるであろう。
【0067】
円902は、単一の3G基地局によって提供される3Gセルラーカバレッジを有する地理的領域を表しうる。3Gの通信技術を実装する基地局は、円904及び円906によって表したように、4G又は5Gの通信技術を実装する基地局と比較して広い地理的カバレッジを有しうる。従って、3G基地局と同じ地理的領域をカバーするには、より多くの4G基地局や5G基地局が必要になろう。さらに、同じ地理的領域をカバーするために、5G技術を実装する基地局は、4G技術を実装する基地局よりも多く必要になろう。このように、新しいセルラー通信技術は、改善された帯域幅又は改善されたダウンロード/アップロード速度などの利点を提供しうるが、特定の地理的領域ではカバレッジが悪化しうる。従って、任意の特定領域における最適カバレッジのチャンスを向上させるべく、様々な競合他社のセルラーネットワークを利用できる無線デバイスを有することが望ましい。例えば、ユーザからの入力なしに、且つ/又は、無線デバイス若しくはネットワークを介した無線デバイスの通信を容易にするハードウェアを1個以上含みうるネットワークサブシステムの再始動若しくは再起動なしに、2つ、3つ、若しくはそれ以上の数のセルラーネットワークと通信できる無線デバイスを有することが有利である。
【0068】
(デュアルSIM、及び、デュアルデータアクティブデバイスの例)
図10は、特定の実施形態に係るデュアルSIMデュアルデータアクティブ無線デバイス1000の一部分の例を示す。上述したように、無線デバイス800に関して、無線デバイスは、複数のSIMカードを有しうる。そのようなデバイスは、デュアルSIMデバイスと呼ぶことができる。先に説明したように、該デュアルSIMデバイスは、単一のSIMカードを使用して一度に単一の通信ネットワーク又はセルラーネットワークのみと通信できる。第2SIMカードを使用して通信するためには、無線デバイスをリセットし、アクティブSIMカードを第2SIMカードに切り替える必要がある。
【0069】
デュアルSIMデュアルデータアクティブ無線デバイスは、例えば、20秒間、30秒間、45秒間などの接続の一時的な喪失を引き起こしうる無線デバイス又はネットワークサブシステムのリセットを行う必要なく、無線デバイスが複数のSIMカードを使用して複数のセルラーネットワークと通信できるようにする。無線デバイスを使用していないときには、一時的な接続の喪失は許容できるかもしれないが、通話中や無線デバイスがネットワーク上のコンテンツにアクセスしているときには、問題になりうる。デュアルSIMデュアルデータアクティブ無線デバイスは、2つの異なるSIMカードに関連付けられた2つのセルラーネットワーク上で同時に、又は実質同時に(例えば、1、2、若しくは5マイクロ秒差、又はユーザがサービスの消失若しくは低下を経験しないような十分に接近した時間で)データパケットを送信し且つ/又は受信することができる無線デバイスを含むものでもよい。
【0070】
一部の実施形態において、あるセルラーネットワークを介して送信されるデータパケットを第1タスクに関連付け、別のセルラーネットワークを介して送信されるデータパケットを第1タスク又は第2タスクに関連付けることができる。例えば、第1タスクは、第1ネットワークサイト又は第1メディアサービスから提供されるメディアへのアクセスであってもよく、第2タスクは、他のユーザとの音声通話又は他のネットワークサイト若しくはメディアサービスから提供されるメディアへのアクセスであってもよい。データパケットは、2つのセルラーネットワークを介して同時に、或いは、ユーザがサービスの中断又は第1タスク若しくは第2タスクの何れかの実行の中断に気づかないような十分に接近した時間で受信若しくは送信されうる。言い換えれば、特定の実施形態では、ユーザは、何れのタスクの如何なる中断も伴うことなく、第2通信ネットワークを介して他のユーザと話しながら第1通信ネットワークを介してメディアサイトからコンテンツをダウンロードすることができる。
【0071】
図10の無線デバイス1000は、特定の符号を再度使用して示す無線デバイス800と同様の要素を幾つか含んでいる。無線デバイス1000は、該無線デバイス1000が複数のセルラーネットワークから同時に通信を受信でき、また、複数のセルラーネットワークを介して送信できるという点において、デュアルSIMデュアルデータアクティブ無線デバイスであってもよいし、又は、それに倣ったものでもよい。しかしながら、無線デバイス1000は、特定の時点で1つのセルラーネットワークを介して送信する。該無線デバイスは、所望のセルラーネットワークに関わるアクティブSIMを該無線デバイスの再始動を伴うことなく動的に切り替えて、該無線デバイス1000がデュアルSIMデュアルデータアクティブ無線デバイスと同じように機能するようできる。
【0072】
無線デバイス1000は、第2RFサブシステム1002を含む。該第2RFサブシステム1002は、第1RFサブシステムと同様に構成されて同様の作業を実行するものでもよい。しかしながら、RFサブシステム812は、プライマリアンテナ808で受信した信号を処理しうるものであるが、前述のRFサブシステムは、ダイバーシティアンテナ814で受信した信号を処理しうるものである。従って、ある場合において、RFサブシステム812は、プライマリアンテナ808により受信される、SIM802に関する第1セルラーネットワークからの信号を処理することができ、RFサブシステム1002は、ダイバーシティアンテナ814により受信される、SIM804に関する第2セルラーネットワークからの信号を処理することができる。他の場合において、RFサブシステム812は、プライマリアンテナ808により受信される、SIM804に関する第2セルラーネットワークからの信号を処理することができ、RFサブシステム1002は、ダイバーシティアンテナ814により受信される、SIM802に関連した第1セルラーネットワークからの信号を処理することができる。
【0073】
図10に示すように、RFサブシステム812を含む信号経路は、モデム810を含む。しかしながら、RFサブシステム1002を含む信号経路では、モデムが省かれている。従って、無線デバイス1000の特定の実施形態では、RFサブシステム812を含む信号経路は、プライマリアンテナ808を使用して音声及び/又はデータのパケットの受信と送信の両方を行うことができる。しかし、RFサブシステム1002を含む経路は、信号を受信しうるが、ダイバーシティアンテナ814を介して信号を送信することはできない。さらに、ダイバーシティアンテナ814で受信される第2セルラーネットワークからの信号は、全てが音声データパケット(例えば、VoLTE)を含む、データパケットであり得、音声パケットは除かれうる。従って、特定の実施形態において、RFサブシステム1002は、RFサブシステム812の小型化バージョンでありうる。例えば、RFサブシステム812は、送信に先立って信号を増幅するための1つ以上のパワーアンプを有するパワーアンプモジュールを含みうるが、RFサブシステム1002は、パワーアンプモジュールを有しないものでもよい。従って、小型化されたRFサブシステム1002は、RFサブシステム812と比較し、物理的領域が小さく、また、少ない電力消費で済む。
【0074】
特定の実施形態では、無線デバイスは、チューナ1004及びチューナ1006を含むものでもよい。チューナ1004及びチューナ1006は、アンテナ808及びアンテナ814で受信された信号を分離できる任意の種類のフィルタを含みうる。例えば、チューナ1004は、SIM802に係る第1セルラーネットワークに関連した信号を通過させるためのバンドパスフィルタ、及び第1セルラーネットワークとの通信と関連しない信号(例えば、ノイズ、望まない高調波、他の無線ネットワーク又はセルラーネットワークに関連した周波数帯域など)を除去するための1つ以上のバンドストップフィルタとを含むものでもよい。同様に、チューナ1006は、SIM804に係る第2セルラーネットワークに関連した信号を通過させるためのバンドパスフィルタ、及び第2セルラーネットワークとの通信と関連しない信号を除去するための1つ以上のバンドストップフィルタを含むものでもよい。さらに、チューナ1004及びチューナ1006は、セルラーネットワークから受信したRF信号を、RFサブシステム812、1002、及び/又は、ハードウェアプロセッサ806による更なる処理を容易にする固定周波数に変換してもよい。
【0075】
チューナ1006は、さらに、受信信号がCDMA、TDMA、GSM、又は他の種類の通信プロトコル若しくは規格を実装したセルラーネットワークからのものであるかどうかを決定するように構成されていてもよい。該決定は、信号若しくはデータパッカー(data packer)の送信器を識別するヘッダに基づいて行われる場合もある。該決定は、信号特性に基づいて行われる場合もある。通信プロトコルの種類の決定に基づき、チューナ1006は、RFサブシステム812の構成に変更を生じさせうる。代替的に若しくは追加的に、RFサブシステム812及びRFサブシステム1002は、セルラーネットワーク又はセルラーネットワークにより実装されている通信プロトコルの種類を決定するものでもよい。さらに、他の実施形態では、プロセッサ806は、セルラーネットワーク又はセルラーネットワークにより実装されている通信プロトコルの種類を決定してもよく、また、それに対応させて、RFサブシステム812、1002を構成してもよい。
【0076】
特定の実施形態では、プロセッサ806は、SIM804に関連する第2セルラーネットワークが送信に適していると決定してもよい。例えば、該プロセッサ806は、第2セルラーネットワークの現在の信号強度が第1セルラーネットワークの現在の信号強度を超えているか、又は、特定の閾値だけ超えていると決定してもよい。代替的に若しくは追加的に、プロセッサ806は、SIM802及びSIM804の両方を使用し、それぞれ第1セルラーネットワーク及び第2セルラーネットワークの両方を介して送信が行われるべきであると決定してもよい。例えば、プロセッサ806は、無線デバイス1000が、クラウドネットワークサービス(例えば、Dropbox(登録商標))にメディア(例えば、写真)を送信しようとし、且つ音声パケット若しくはデータパケット(例えば、Voice over LTE(VoLTE))を使用して音声通話を確立し維持し、又は、別のサービス(例えば、Eメールプロバイダを使用したEメール送信)を使用して他のデータパケットを送信しようとしていることを決定してもよい。そのような場合、無線デバイス1000は、現在送信中のセルラーネットワークに関連した信号を受信し続けることもできる。従って、そのような場合、アンテナ808、アンテナ814の何れか及びこれに対応する信号経路が、SIM802、SIM804に関連した何れかのセルラーネットワークから信号を受信することができる。このように、一部の実施形態では、チューナ1004は、さらに、SIM804に係る第2セルラーネットワークに関連した信号を通過させるためのバンドパスフィルタ、及び第2セルラーネットワークとの通信に関係しない信号を除去するための1つ以上のバンドストップフィルタを含むものでもよい。同様に、チューナ1006は、さらに、SIM802に係る第1セルラーネットワークに関連した信号を通過させるバンドパスフィルタ、及び第1セルラーネットワークとの通信に関係しない信号を除去するための1つ以上のバンドストップフィルタを含むものでもよい。
【0077】
チューナ1004、1006は、他の種類のフィルタを含むものでもよく、1つ以上のセルラーネットワーク及び/又は無線ネットワークに関連する1つ以上の信号の受信に関係する他の機能を実行するための他の回路を含んでいてもよいことを理解されたい。さらに、チューナ1006は、1つ以上のセルラーネットワーク又は無線ネットワークに関連した信号の送信に関係する機能を実行するための回路をさらに含むものでもよい。特定の実施形態において、チューナ1004、1006は、任意のものであって省かれていてもよい。例えば、チューナ1004、1006の機能は、それぞれRFサブシステム812、1002に含まれていてもよい。さらに、特定の実施形態では、無線デバイス1000は、1つ以上の追加のフィルタ、ダイプレクサ、デュプレクサ、又は、セルラーネットワークと通信するための信号の分割及び/若しくは結合を行う他の回路を含むものでもよい。
【0078】
前述のRFサブシステムを含む追加の信号経路が1つ以上のセルラーネットワークから信号を受信できるようにするために、ダイバーシティアンテナ814は、追加の接続部1008を含む。接続部1008は、ダイバーシティアンテナ814で受信した信号をチューナ1004に供給しうるものである。したがって、ダイバーシティアンテナ814によって受信した受信信号は、チューナ1006及びチューナ1004の両方に供給してもよい。アンテナ814によってチューナ1006を含む信号経路に供給された信号は、無線デバイス1000との通信の際に、セルラーネットワークの信号強度を測定するために用いることができる。アンテナ814によってチューナ1004を含む信号経路に供給された信号は、無線デバイス1000との通信の際に、セルラーネットワークを介して受信したデータを取得するために処理されうる。
【0079】
RFサブシステム1002は、補助ポートのようなプロセッサのポートと通信しうるものである。該ポートは、補助デバイスにプロセッサ806との通信を可能にするための、プロセッサ806に含まれるピン1010であってもよい。特定の実施形態において、第2信号経路をプロセッサ806の別のポート(例えば、ピン1010)に接続することにより、リセット、再起動、又はさもなければセルラーネットワークの1つとの通信を喪失するといったいずれもなく、アクティブなSIM802若しくはSIM804を切り替えることが可能となる点が利点である。
【0080】
特定の実施形態では、補助デバイスは、ダイバーシティアンテナ814を用いてセルラーネットワークから受信した信号がプロセッサ806に供給されるようにする第2RF通信経路である。プロセッサ806は、補助ポートと接続する第2RFサブシステム1002を経由し且つダイバーシティアンテナ814を介し、第2SIM804に関連する第2セルラーネットワークからのデータを受信することができる。一部の実施形態では、ピン1010は、補助ポートではなく、プロセッサ806の特定の機能に関連したものとなっている。そのような一部の実施形態では、ピン1010は、ピン1010に対して前もって関連付けられた機能に代えて、アンテナ814を介してセルラーネットワークから通信信号を受信する別の目的で利用することができる。従って、特定の実施形態において、複数のセルラーネットワークが無線デバイス1000と同時に通信するのをサポートするために、既存のプロセッサ806を改良してもよい。
【0081】
さらに、プロセッサ806は、第1又はプライマリRFサブシステム812を使用しているSIM802、804のカードを切り替えることができ、プライマリアンテナ又は非ダイバーシティアンテナを使用して、何れかのセルラーネットワークを介して無線デバイス1000が送信できるようにする。プロセッサ806は、検出された2つのネットワークの信号強度に基づき、プライマリアンテナ808を使用して接続又は通信するためのSIM802、804のカード、又は、セルラーネットワークを決定しうる。図10の実施形態は、無線デバイス1000が両方のセルラーネットワークから同時にデータを受信することを可能にするが、送信については、特定の時点において単一のセルラーネットワークを介して行いうるものである。従って、場合によっては、無線デバイスは、SIM802、SIM804が共に送信及び受信の両方に関して同時にアクティブな状態にある双方向デュアルデータデュアルアクティブデバイスであり得ない。しかしながら、プロセッサ806は、迅速に(例えば、数マイクロ秒以内に、又は、数ミリ秒以内に)、プライマリアンテナ808に関連するSIM802、804のカード、又は、特定の時点においてアクティブなSIM802、804を切り替えることもできる。そのような場合において、SIM802、804のどちらがアクティブになるかの迅速な切り換え、及び/又は、SIM802、804のどちらがアンテナ808を含む信号経路上で処理を行うかの迅速な切り換えにより、送信がセルラーネットワークの一方を介して行われており、且つ両方のセルラーネットワークを介して行われているわけではないということについてユーザが検出できないようにできる。
【0082】
アクティブSIM802、804、若しくは受信及び送信しているSIMの切り替えは、ファームウェアによって決定され、且つ/又は、実行される。該ファームウェアは、プロセッサ806のカーネル又はオペレーティングシステムレベルで動作するものでもよい。該ファームウェアは、アクティブSIM802、804、又は、セルラーネットワークの信号強度に基づいて通信を選択すべきSIM802、804(及び関連するセルラーネットワーク)を決定してもよい。代替的に若しくは追加的に、SIM802、804は、利用可能な帯域幅、接続サービスの質、接続の安定性、セルラーネットワークに関するコスト、又は、セルラーネットワーク若しくはその接続に関連する他の任意の特性に基づいて選択されるものでもよい。
【0083】
特定の実施形態では、無線デバイス1000は、アクティブSIMカードを切り替えるときに、短期間(例えば、30秒未満、5秒以内、1秒以内、前述の間の任意の値)、接続を失いうる。そのような一部の実施形態では、無線デバイス1000は、電話中にアクティブSIMを切り替えないように構成することもできる。従って、特定の実施形態では、ユーザがネットワーク間の移行中に音声サービスを失わないようにすることもできる。
【0084】
(デュアルSIM、及び、デュアルデータアクティブデバイスの第2の例)
図11は、特定の実施形態に係るデュアルSIMデュアルデータアクティブ無線デバイス1100の第2例を示す。図11の無線デバイス1100は、特定の符号の再度の使用によって示すように、無線デバイス800及び1000と同様の要素をいくつか含んでいる。前述したように、無線デバイス1000は、特定の時点において単一のセルラーネットワークを介して送信できる。これに対し、無線デバイス1100は、複数のアクティブSIMカードを有し、特定の時点で複数のセルラーネットワークと通信(例えば、送信及び受信の両方)をすることができる。従って、無線デバイス1100は、複数のセルラーネットワークを使用し、同時に信号を受信し且つ/又は送信することができる。図11の実施形態は、プライマリアンテナ及びダイバーシティアンテナの第2ペアを含むことにより、無線デバイスが少なくとも2つのセルラーネットワークを介して受信及び送信の両方を同時に又は実質同時に行うことを可能にするものである。さらに、図11の実施形態は、図10の実施形態の特徴を複製することにより、3つ以上のセルラーネットワークと通信する機能を提供するものである。
【0085】
無線デバイス1100は、上記のモデム及びRFサブシステムを組み合わせたモデム及びRFサブシステム1102を含むものでもよい。モデム及びRFサブシステムは、単一のダイ(図示のように)、又は、複数の分離したチップ若しくはダイに実装できることを理解されたい。さらに、無線デバイス1100は、フィルタ1104を含みうる。フィルタ1104は、所望の周波数帯域を他の受信周波数から分離する1つ以上のフィルタを含みうる。フィルタ1104は、例えば、SIM802に対応するセルラーネットワークとの通信に関連する周波数帯域を、SIM1118、804、1120に対応する他のセルラーネットワークとの通信に関連する周波数帯域から分離しうる。フィルタ1104は、SIM802に対応するセルラーネットワークに関連する信号を、その他の信号を破棄しながらモデム及びRFサブシステムに供給しうる。代替的に若しくは追加的に、フィルタ1104は、受信した信号からノイズ及び望まない高調波を除去するものでもよい。例えば、受信したRF信号の第二次又は第三次の高調波は、別のセルラーネットワークやWi-Fi(登録商標)のような別の無線通信技術に関連する別の通信帯域の周波数と一致する場合がある。干渉を低減又は防止するために、フィルタ1104は、望まない高調波を除去してもよい。フィルタ1104及びチューナ1004を分離した図は、例示目的であることを理解されたい。特定の実施形態では、フィルタ1104は、チューナの一部として含まれていてもよい(図示せず)。さらに、チューナ1004は、1つ以上のフィルタを含んでいてもよい。従って、特定の実施形態では、要素1104は、組み合わされた(又は、別個に対をなす)チューナ及びフィルタ要素で置き換えてもよい。同様に、特定の実施形態では、チューナ1004は、組み合わされた(又は、別個に対をなす)チューナ及びフィルタ要素で置き換えてもよい。
【0086】
無線デバイス1100は、上部1122及び下部1124を含みうる。上部1122は、一対のセルラーネットワークに対応する一対のSIM802、1118に関連付けることができる。さらに、上部1122は、無線デバイス1000と同様の要素及び機能を含むことができる。従って、上部1122は、SIM802、1118に関連する2つの異なるセルラーネットワークから信号を受信し、セルラーネットワークのペアのうちの1つを介して任意の特定時点で送信することができる。
【0087】
下部1124は、上部1122の複製であってもよい。しかし、下部1124は、異なる一対のSIM804、1120と関連付けられる。特定の実施形態では、無線デバイス1100の下部1124及び上部1122の両方が、プロセッサ806を含んでいてもよく、また、プロセッサ806により制御されるものであってもよい。さらに、無線デバイス1100の下部1124及び上部1122の各々は、1つのアクティブSIMに対応するセルラーネットワークと個別の受信及び/又は送信を行いうる。従って、特定の実施形態では、無線デバイス1100は、最大4つのセルラーネットワークから同時に通信を受信することができる。さらに、無線デバイス1100は、最大2つのセルラーネットワークに対して同時に送信することができる。さらに、無線デバイス100と同様に、上部1122及び下部1124の各々は、最大4つのセルラーネットワークを使用して送信できるようにアクティブSIMを切り替えることができる。
【0088】
図示のように、下部1124は、それ自身のプライマリアンテナ1114及びダイバーシティアンテナ1116のペアを有するものでもよい。或いは、特定の実施形態では、上部1122及び下部1124は、1つのプライマリアンテナ(例えば、プライマリアンテナ808)及び1つのダイバーシティアンテナ(例えば、ダイバーシティアンテナ814)へのアクセスを共有するものでもよい。
【0089】
上部1122と同様に、無線デバイスの下部1124は、組み合わされたモデム及びRFサブシステム1106を含むものでもよいし、モデム及びRFサブシステムを分離してもよい。さらに、下部1124は、受信した信号をモデム及びRFサブシステム1106に供給する前に、プライマリアンテナ1114で受信した信号をフィルタリングするフィルタ1108を含みうる。モデム及びRFサブシステム1106ならびにフィルタ1108の信号経路は、SIM804及びSIM1120に関連する各セルラーネットワークと信号の送受信ができる。
【0090】
下部は、さらに、ダイバーシティアンテナ1116を介してSIM804及びSIM1120に関連するセルラーネットワークから信号を受信可能なRFサブシステム1110及びチューナ1112を含みうる。特定の実施形態において、プロセッサ806は、無線デバイス1100の上部1122を使用して、SIM802及びSIM1118に関連するセルラーネットワークと通信し、無線デバイス1100の下部1124を使用して、SIM804及びSIM1120に関連するセルラーネットワークと通信する。従って、上部1122の各要素及び下部1124の各要素は、特定の信号帯域を処理するように、また、それぞれ上部1122及び下部1124の2つのSIMに対応する特定の符号化を使用するように構成されうる。特定の実施形態において、異なるセルラーネットワークと通信する無線デバイス1100の各部の分離は、モデム及びRFサブシステム1102、1106、並びにRFサブシステム1002及び1110、さらに、関連するフィルタ及びチューナをより少ない回路を使用して実装することを可能にする点で有利である。
【0091】
特定の実施形態では、上部1122及び下部1124の両方がSIM802、1118、804、1120に対応するセルラーネットワークの一部又は全部と任意に通信できる。特定の実施形態において、上部1122及び下部1124を装着された4つのSIMに関連する任意のセルラーネットワークと通信可能にすることにより、無線デバイス1100が任意の2つのセルラーネットワークに対してデータパケット又は信号を同時に送信できるようになる点は利点である。
【0092】
無線デバイス1100が最大4つのセルラーネットワークをサポートするものとして説明したが、無線デバイス1100がより多くの又はより少ないセルラーネットワークをサポートするものに変更できることは理解されたい。例えば、下部1124は、1つのSIMを含むものでもよい。別の例として、第5又は第6のセルラーネットワークと通信できるようにするために、追加のハードウェアのセットを含むものでもよい。特定の実施形態では、無線デバイス1100は、無線デバイス1000よりも多くの電力を必要とし、より大きなバッテリを必要とし且つ/又はバッテリ寿命を短縮させうる。しかしながら、無線デバイス1100は、より多くのセルラーネットワークとの通信をサポートすることができる。さらに、特定の実施形態では、より強い信号強度を持つセルラーネットワークへの切り替えの柔軟性を高めることにより、必要とされる電力を減らすことができる場合がある。例えば、通信に際し、無線デバイス1000では、最大2つまでのセルラーネットワークから選択可能であるが、無線デバイス1100では、最大4つまでのセルラーネットワークから選択可能である。信号強度は無線デバイスの場所によって変化しうるため、無線デバイス1100は、特定の地理的領域又は時間帯において最も強い信号を持つセルラーネットワークを選択するためのより高い柔軟性を有しうる。この柔軟性の向上により、無線デバイス1000に比べて増加する無線デバイス1100の電力要求を打ち消すことができる場合がある。
【0093】
(デュアルSIM、及び、デュアルデータアクティブデバイスの第3の例)
図12は、特定の実施形態に係るデュアルSIMデュアルデータアクティブ無線デバイスの第3例を示す。図12の無線デバイス1200は、特定の符号の再度の使用によって示すように、無線デバイス800、1000、及び1100と同様の要素をいくつか含んでいる。無線デバイス1200は、第1SIM802を使用する第1セルラーネットワークを介した送信又は通信と実質同時に、第2SIM804を使用して第2セルラーネットワークを介した送信を可能にする第2モデム1202を含む。分離したモデムが第2プライマリアンテナ1114の信号経路内にあるので、プライマリアンテナ808及びプライマリアンテナ1114の両方が2つの異なるSIM(例えば、SIM802又はSIM1118とSIM804とのそれぞれ)に関連する2つの異なるセルラーネットワークに送信することができる。図示していないが、モデム1202は、プライマリアンテナ1114及び/又はダイバーシティアンテナ1116で受信した受信RF信号を処理するためのRFサブシステムを含むものでもよい。さらに、モデム1202のRFサブシステムは、プライマリアンテナ1114を介した送信を容易にするものでもよい。
【0094】
第2モデム1202は、無線デバイス1200のメインプロセッサ又はプライマリプロセッサの補助ポート若しくは他の予約ポートで構成されるポート1206との通信が可能な埋め込みプロセッサ1204を含みうる。ポート1206は、ピン配置(例えば、ピン1010)、又はプロセッサ806と接続するためのその他の任意の種類のインタフェースでよい。一部の実施形態において、メインプロセッサ(例えば、プロセッサ806)は、複数のSIMカードをサポートでき、従って、無線デバイス1200は、第3SIMカード1118を含むことができる。該第3SIMカードは、SIM1118に関して破線の枠で示したように、任意のものである。一部の実施形態では、図12の無線デバイスは、さらに、図10の実施形態を含むものでもよい。
【0095】
特定の実施形態において、無線デバイス1200は、同時に少なくとも2つのセルラーネットワークとの通信を可能にする少なくとも2つのアクティブSIMを有しうる点で有利である。さらに、複数のモデム810、1202を含むことにより、無線デバイス1200による複数のセルラーネットワークへのデータ及び/又は音声のパケットの同時送信を可能にする。さらに、特定の実施形態では、無線デバイス1200は、無線デバイス1100よりも少ない電力消費で済む。
【0096】
プロセッサ1204及びプロセッサ806間の接続は、プロセッサ806のピン又はポート1206との直接的な接続でもよい。プロセッサ806及びプロセッサ1204間の接続は、プリント806及びプロセッサ1204の両方を含むプリント回路基板上の導電性トレースであってもよい。
【0097】
無線デバイス1200において、プロセッサ806は、メインプロセッサ又はプライマリプロセッサとしての機能を継続しうる。例えば、プロセッサ806は、特定のタスク(例えば、通話やコンテンツサーバへのアクセス)のために通信するセルラーネットワークを選択しうる。さらに、プロセッサ806は、カーネルレベル、オペレーティングシステム、及びアプリケーションシステムタスクを実行しうる。さらに、プロセッサ806は、無線デバイス1200とのユーザインタラクション(user interaction)を処理しうる。埋め込みプロセッサ1204は、セカンダリプロセッサとして機能しうる。プロセッサ1204は、少なくとも部分的にプロセッサ806によって制御されるものでもよい。さらに、プロセッサ1204は、モデム1202の制御ホストであってもよい。
【0098】
(デュアルSIM、及び、デュアルデータアクティブデバイスの第4の例)
図13は、特定の実施形態に係るデュアルSIMデュアルデータアクティブ無線デバイス1300の第4例を示す。図13の無線デバイス1300は、特定の符号の再度の使用によって示すように、無線デバイス800、1000、及び1100と同様の要素をいくつか含んでいる。図13の実施形態は、追加のモデム及びRFサブシステム1302を含む。モデム及びRFサブシステム1302は、図13に示すように、単一のチップとして組み合わされてもよく、要素810及び要素812と同様に2つの分離したチップとして実装されてもよい。さらに、要素810及び要素812は、要素1302と同様のモデム及びRFサブシステムを組み合わせた単一のチップで置き換えることができる。或いは、図13の実施形態は、図12のモデム1202及び埋め込みプロセッサ1204を含むものでもよい。
【0099】
モデム及びRFサブシステム1302は、通信ハブ1304と通信しうる。通信ハブ1304は、プロセッサのデータ転送及び/又はバッテリ充電のポート1306に接続しうる。従って、そのような一部の実施形態において、無線デバイス1300のデュアルSIMデュアルデータアクティブ機能は、プロセッサ上に別のポートを追加することなく、且つ/或いは、補助ポートを使用すること、又はプロセッサ806の割り当てられた若しくは既存のポートを転用することなく、実装することができる。データ転送及び/又はバッテリ充電のポート1306は、標準サイズのUSBポート、ミニUSBポート、マイクロUSBポート、若しくは、USB Type C ポートなどのユニバーサルシリアルバス(USB)タイプのポートでもよい。ポート1306は、USBタイプのポートに限定されず、ポート1306には、充電及び/又はデータ転送のために無線デバイス1300によって使用される任意の種類のポートが含まれることは理解されたい。さらに、通信ハブ1304は、無線デバイス1300が通信ハブ1304のポート1308を介したデータ転送のためにコンセント又は他のポートに接続できるようにする通信ハブ1304のポート1308として、プロセッサ806のデータ転送及び/又はバッテリ充電のポート1306を複製したものでもよい。特定の実施形態では、通信ハブ1304は、Bluetooth(登録商標)やその他の近距離無線通信プロトコルを介して、プロセッサ806と無線で通信するものであってもよい。しかしながら、セルラーネットワークとの通信への干渉を回避するため、通信ハブ1304は、通常、有線通信機構を使用するように構成される。無線デバイスに関する種々の実施態様は、種々の図で示したようにデュアルSIMデュアルデータデバイスとして説明してきたが、3つ以上のSIMをサポートするものでもよく、且つ/又は、複数のセルラーネットワークとアクティブにデータパケットの通信を行う3つ以上のアクティブSIMを有するものでもよい。
【0100】
(通信環境の第2例)
図14は、デュアルSIMデュアルデータアクティブ無線デバイス1300を使用して通信するための通信環境1400を示す。無線デバイス1300は、セルラーネットワーク1402及び/又はセルラーネットワーク1404を介して、ターゲットシステム1406及び/又は1412との通信を試みることができる。無線デバイス1300は、本明細書に記載のデュアルSIMデュアルデータアクティブ無線デバイスのいずれかの実施形態で置き換えてもよい。例えば、無線デバイス1300は、無線デバイス1000、1100、又は1200で置き換えることができる。2つのセルラーネットワーク1402、1404、及び、2つのターゲットシステム1406、1412のみを示しているが、本開示はそのよう構成に限定されるものではなく、通信環境1400は、より多くの又はより少ないセルラーネットワーク、及び、より多くの又はより少ないターゲットシステムを含んでもよいことは理解されたい。
【0101】
ターゲットシステム1406、1412は、無線デバイス1300と通信可能な任意のデバイスを含む。例えば、ターゲットシステム1406、1412は、それぞれ、無線デバイス1300と同じ種類の別の無線デバイスであってもよいし、無線デバイス1300とは異なる種類の別の無線デバイスであってもよい。さらに、ターゲットシステム1406及び1412は、それぞれが同じ種類でもよいし、異なる種類でもよい。別の例として、ターゲットシステム1406、1412は、それぞれがネットワーク対応サービスのサーバであってもよい。例えば、ターゲットシステム1406、1412は、それぞれ、メディアストリーミングサービス、データバックアップサービス、ショッピングサービス、小売業者(例えば、Amazon(登録商標)、Wallmart(登録商標))、画像印刷サービス、電子メールサービスなどのサーバ又はホストであってもよい。ターゲットシステム1406、1412は、それぞれ、無線デバイス1300を所有若しくは使用するユーザの雇用者のサーバ又はその他のコンピュータデバイスの場合もある。
【0102】
無線デバイス1300及び前述の任意の無線デバイスは、セルラーネットワークを介して通信可能な任意の種類のデバイスも含みうる。例えば、無線デバイス1300は、スマートフォン、タブレット、ラップトップ、ウェアラブルデバイス(例えば、スマートウォッチやスマートグラス)、又はSIMカードを有するかつ/若しくはセルラーネットワークと通信しうる他の任意のデバイスを含むものである。
【0103】
本明細書で開示したデュアルSIMデュアルデータアクティブ無線デバイスの各実施形態を使用し、異なるエンティティ又はプロバイダにより維持され、また、異なる技術を実装するか若しくは異なる周波数帯域幅を使用しうる複数のセルラーネットワークを介して、通信することが可能である。例えば、図14に示すように、無線デバイスは、各無線ネットワーク又はセルラーネットワーク1402、1404からインターネットプロトコルアドレスなどの識別子を取得してもよい。異なるエンティティがセルラーネットワーク1402、1404のそれぞれを所有し又は運営するものであってもよい。例えば、セルラーネットワーク1402は、Verizonのネットワークであり、セルラーネットワーク1404は、Sprintのネットワークであってもよい。さらに、セルラーネットワーク1402、1404のそれぞれは、異なる周波数帯域、異なる通信規格若しくはプロトコル、又は、異なる種類のハードウェアを使用して動作するように構成されるものでもよい。従って、セルラーネットワーク1402と通信するように構成された先行技術の無線デバイスがセルラーネットワーク1404と通信することができない、又は、その逆の場合が少なからずあるであろう。しかしながら、無線ネットワーク1300及び本明細書に記載の他の無線デバイスは、セルラーネットワーク1402、1404のいずれかと又はその両方と通信しうる。さらに、セルラーネットワーク1402、1404は、通信ネットワーク106に関して前述した実施形態の1つ以上を含むことができる。一部の例では、セルラーネットワーク1402、1404は、データパケットを送信するように構成されたデータネットワークでありうる。これらのデータパケットは、任意の種類のデータを含むことができる。さらに、データパケットは、カプセル化した音声データを含むものでもよい。一部の例では、セルラーネットワーク1402、1404は、データパケット及び音声パケットの両方を送信するものでもよい。セルラーネットワーク1402、1404は、異なる通信技術、プロトコル、又は周波数帯域を使用するように構成されていてもよい。例えば、セルラーネットワーク1402、1404は、種々の対応する周波数帯域若しくは符号化を使用して無線デバイス1300と通信することができる2G、3G、4G、4G LTE、又は5Gのセルラーネットワークであってもよい。
【0104】
上記のように、無線デバイス1300は、セルラーネットワーク1402、1404の一方、又は、場合によっては両方を介して、ターゲットシステム1406と通信しうる。さらに、上記のように、ターゲットシステム1406は、ユーザが別のユーザに電話をしている場合などのように、別の無線デバイスであってもよいし、又はターゲットシステム1406は、ユーザがウェブサイト、若しくはストリーミングメディアサービスのような他のサービスプロバイダからのコンテンツにアクセスしている場合などのように、ホストサーバであってもよい。無線デバイス1300は、セルラーネットワーク1402、1404及び/又はセルラーネットワーク1402、1404への接続に関する1つ以上の特性に基づき、ターゲットシステム1406と通信するかどうかを決定しうる。例えば、無線デバイス1300は、セルラーネットワーク1402、1404のそれぞれへの接続の信号強度を決定し、該信号強度に基づき、セルラーネットワーク1402、1404の中から1つをターゲットシステム1406との接続を確立するために選択しうる。次いで、無線デバイス1300は、無線デバイス内の対応するSIMをアクティブSIMにして、選択されたセルラーネットワークと通信できるようにしうる。場合によっては、無線デバイス1300は、複数のアクティブSIMを維持し、同時に又は実質同時にセルラーネットワーク1402、1404の両方を介して通信しうる。例えば、無線デバイス1300は、セルラーネットワーク1402を使用してターゲットシステム1406と通信し、セルラーネットワーク1404を使用してターゲットシステム1412と通信しうる。
【0105】
一部の実施形態では、無線デバイス1300は、セルラーネットワーク1402、1404のうちの1つ以上を使用して動的経路設定システム1408に接続しうる。動的経路設定システムは、動的経路設定システム108に関して説明した各実施形態の1つ以上を含むものでもよい。無線デバイス1300は、無線デバイス1300及びセルラーネットワーク1402、1404の各々の基地局間の信号強度の測定値を動的経路設定システム1408に供給しうる。或いは、動的経路設定システム1408は、無線デバイス1300のセルラーネットワーク1402、1404の各々への接続に関連する信号強度の測定値を、セルラーネットワーク1402、1404の各々のシステムから決定しうる。例えば、セルラーネットワーク1402、1404の各々の基地局、経路設定システム、又は、接続サーバは、信号強度情報を動的経路設定システム1408に供給しうる。
【0106】
前述のように、無線デバイス1300は、ターゲットシステム1406に接続するために使用すべきセルラーネットワーク1402、1404を決定しうる。他の場合においては、動的経路設定システム1408が、無線デバイス1300がターゲットシステム1406と通信するために使用すべきセルラーネットワーク1402、1404を決定しうる。動的経路設定システム1408は、少なくとも部分的には無線デバイス1300及びセルラーネットワーク1402、1404間の信号強度に基づき、セルラーネットワーク1402、1404を選択しうる。代替的に若しくは追加的に、動的経路設定システム1408は、他の接続特性又はサービス水準合意に基づき、セルラーネットワーク1402、1404を選択してもよい。例えば、動的経路設定システム1408は、少なくとも部分的には、1つ以上の使用可能な帯域幅、無線デバイス及び各セルラーネットワーク間の接続の安定性、トラフィック又はデータパケットの優先度、データパケットの種類(例えば、音声データパケット、メディアデータパケット、電子メールなど)、送信又は受信されたデータの発信先又は発信元、接続に関する帯域幅コスト、接続に関する金銭コスト、ユーザの好み(ユーザは、例えば、コスト、ベンダー使用バランス、ブランドロイヤルティ、又は、特殊性などのために特定のネットワークを好むかもしれない。)に基づき、セルラーネットワーク1402、1404を選択してもよい。
【0107】
動的経路設定システム1408は、ターゲットシステム1406と通信するために好ましい又は選択されたセルラーネットワーク1402、1404若しくは無線ネットワークプロバイダを無線デバイス1300に通知しうる。無線デバイス1300は、所望のタスク(例えば、ターゲットシステム1406との通信)を実行するために、好ましい又は選択されたセルラーネットワークに関連するSIM(例えば、SIM802、804)カードをアクティブにしうる。場合によっては、追加のSIMカードは、無線デバイス1300においてアクティブのままであってもよく、別のタスク(例えば、ターゲットシステム1412との通信)を実行するために対応するセルラーネットワーク1404と通信するために使用されてもよい。一部の実施形態では、セルラーネットワーク1402、1404は、例えば、信号強度、帯域幅、安定性などに基づいて、又は、特性の組み合わせに基づいて、ランク付けされてもよい。より高いランクのセルラーネットワークがより高い優先度のタスクを実行するために使用されてもよい。例えば、電話の通話は、メディアのダウンロードのような他のタスクよりも優先度が高いと考えてもよい。この例では、セルラーネットワーク1402に関連する信号強度がセルラーネットワーク1404に関連する信号強度を超えている場合、該通話は、セルラーネットワーク1402を使用して処理され、メディアのダウンロードやその他のタスクは、同ネットワークを使用して実行されてもよいし、セルラーネットワーク1404を使用して実行されてもよい。タスクをネットワーク間で分割するか同じネットワークを使用して行うかの決定は、特定のタスク及び/又はセルラーネットワーク間の特性の差に依存しうる。
【0108】
代替的に若しくは追加的に、より高いランクのセルラーネットワークは、より広い帯域幅又はより高い安定性を必要とするタスクを実行するために使用されるものでもよいが、該タスクの優先度がより高いものであるかどうかは問わない。例えば、音声通話は、通常、高解像度(HD)の映像のダウンロードのような他の多くのタスクと比べて狭い帯域幅で済む。従って、セルラーネットワーク1402がより優れた接続を提供でき又はより高い信号強度に関するものであっても、音声通話は、セルラーネットワーク1404に割り当てられ、メディアのダウンロードは、セルラーネットワーク1402に割り当てられてもよい。タスクが特定のセルラーネットワークに割り当てられるかどうかは、さらに、接続又は信号強度が該タスクに対して最低限のサービス品質を提供するのに十分であるかどうかにも依存しうる場合がある。例えば、前述の例で続けると、音声通話は、メディアのダウンロードのタスクよりも狭い帯域幅で済む場合があるが、セルラーネットワーク1404への接続が明瞭な音声通話を維持するのに十分に強くない場合には、該音声通話は、メディアのダウンロードのタスクの有無にかかわらず、セルラーネットワーク1402に割り当てられてもよい。
【0109】
特定の実施形態では、無線デバイス1300は、データパケットの発信元又はアプリケーションに基づき、特定のセルラーネットワーク1402、1404を介して送信すべき特定のタスクに該データパケットが属するかどうかを決定しうる。例えば、音声通話に関連したデータパケットは、データパケットの発信元がダイヤラアプリケーションであることに基づいて、且つ/又は、データパケットが通話用(例えば、ボイスオーバーデータ、又は、ボイスオーバーLTEパケット)であることを識別するラベル若しくはタグをデータパケットに付けるダイヤラアプリケーションに基づいて、識別されうる。
【0110】
時間が経過するにつれて、又は、無線デバイス1300が移動するにつれて、特定のタスクを実行すべき、又は、ターゲットシステム1406、1412との接続を維持し若しくは確立すべきセルラーネットワークの決定は変化しうる。選択されたセルラーネットワーク1402、1404が変化した場合、無線デバイス1300は、新たに選択されたセルラーネットワークを介して新しい接続を確立してもよく、新たに選択されたセルラーネットワークで既存の接続を使用してタスクを実行してもよく、該タスクは、新たなタスクであってもよいし、又は進行中のタスク(例えば、既存の通話若しくはダウンロード)であってもよい。例えば、ターゲットシステム1406に関する既存のタスク又は進行中のタスクをあるセルラーネットワーク1402から別のセルラーネットワーク1404に切り替えるために、無線デバイス1300は、セルラーネットワーク1404との新しい接続を確立しうる。該タスクは、新たに確立されたセルラーネットワーク1404との接続に切り替えられる。セルラーネットワーク1402との接続は、切断されても維持されてもよいが、もはやターゲットシステム1406に関するタスクを実行するために使用されることはない。特定の時点でタスクを実行するためにセルラーネットワークを切り替えるかどうかの決定は、例えば、セルラーネットワーク1402、1404との接続の信号強度の変化、使用可能な帯域幅の変化、接続の安定性の変化、又はセルラーネットワーク1402、1404への接続に関する他の任意の特性に基づいて行われうる。さらに、一部の実施形態では、無線デバイス1300は、接続特性の変化が閾値を超える場合に、又は、特定のセルラーネットワークに関連する接続特性が閾量若しくは割合を超えて別のセルラーネットワークのものを超える場合に、タスクの実行のために使用するセルラーネットワークを変更するものであってもよい。特定の実施形態では、有利なことに、セルラーネットワーク特性間の閾変化若しくは差を要求することにより、セルラーネットワーク間又はセルラーネットワーク接続間の振動の低減又は防止が可能である。
【0111】
一部の実施形態において、無線デバイス1300又は動的経路設定システム1408は、無線デバイス1300のセルラーネットワーク1402、1404及び対応するSIMカードの両方を使用し、ターゲットシステム(例えば、ターゲットシステム1406)への接続を維持しうる。無線デバイス1300は、好ましいセルラーネットワーク(例えば、より強い信号強度で無線デバイス1300に接続するセルラーネットワーク)を介して通信しうる。無線デバイス1300のユーザが移動(例えば、道路を運転)すると、好ましいセルラーネットワークは変化しうる。そのような場合、無線デバイス1300は、新たな好ましいセルラーネットワークを用いて以前に確立され、無線デバイス1300が元のその好ましいセルラーネットワークを介して通信していた時間又は少なくとも該時間の一部に亘って維持された接続を使用して、新たな好ましいセルラーネットワークに切り替えるものでもよい。
【0112】
一部の実施形態では、動的経路設定システム1408は、セルラーネットワーク1402、1404の両方を介して、ターゲットシステム1406との接続を維持しうる。無線デバイス1300がターゲットシステム1406と通信すべき好ましいセルラーネットワークが変化すると、動的経路設定システム1408は、無線デバイス1300との接続を以前の好ましいセルラーネットワークから現在において好ましいセルラーネットワークに移行させうる。両方の接続が維持されるため、セルラーネットワーク間の移行は、サービスが中断されることなく実行されうる。
【0113】
通信環境1400は、多数のノード1410を含みうる。各々のノード1410は、同じ種類でもよいし、異なる種類でもよい。ノード1410は、ネットワーク内の異なるノード又はホップを表しうる。ノード1410の少なくとも一部は、セルラーネットワーク1402及び/又は1404の一部であってもよい。或いは、ノード1410の少なくとも一部は、セルラーネットワーク1402、1404と通信している別のネットワークの一部であってもよい。一部の実施形態では、無線デバイス1300及びターゲットシステム1406、1412間のノード若しくはホップの数、又は、ノード若しくはホップ間の通信時間量は、セルラーネットワーク1402又はセルラーネットワーク1404をターゲットシステム1406、1412に接続するため選択するかどうかを決定する際の要因となりうる。例えば、無線デバイス1300及びセルラーネットワーク1404間の接続は、セルラーネットワーク1402への接続よりも、信号強度が強いことがある。しかしながら、セルラーネットワーク1404ではなくセルラーネットワーク1402を使用することでターゲットシステム1406に至るまでのホップが少なくなるので、セルラーネットワーク1402への接続が好ましい場合がある。したがって、場合によっては、無線デバイス1300が接続を望む特定のターゲットシステム、又は、該ターゲットシステムとの接続特性は、無線デバイス1300をターゲットシステム1406に接続するためのセルラーネットワークを選択する際の要因になりうる。
【0114】
前述の実施形態又は態様のそれぞれは、組み合わせてもよいし、又は、別個に実施してもよい。例えば、無線デバイス1200又は1300は、プロセッサ806に関する複数の信号経路が、2つのSIM及び2つの対応するセルラーネットワークをサポートしうる無線デバイス1000の態様を実装したものでもよく、一方、モデム1202又は1302に関する信号経路は、1つ若しくは2つのSIM、及び、1つ若しくは2つの対応するセルラーネットワークを同時にサポートするものでもよい。従って、無線デバイス1200は、少なくとも2つのセルラーネットワークを跨ぐデュアルアクティブデュアルデータ通信をサポートしうる。
【0115】
(追加の実施形態)
本開示の特定の態様は、異なる通信技術又は周波数帯域の組を使用して構成された複数のデータネットワークを介して通信チャネルを維持するように構成された無線デバイスに関するものである。無線デバイスは、第1送信帯域の信号を送信し、第1受信帯域の信号を受信し、第2送信帯域の信号を送信し、第2受信帯域の信号を受信する第1プライマリアンテナと、上記第1受信帯域の信号を受信し、上記第2受信帯域の信号を受信する第1ダイバーシティアンテナと、上記第1プライマリアンテナ及び上記第1ダイバーシティアンテナと電気通信する第1無線周波数サブシステムであって、上記1受信帯域の信号をデコードし、上記第2受信帯域の信号をデコードするように構成された第1無線周波数サブシステムと、上記第1ダイバーシティアンテナと電気通信する第2無線周波数サブシステムであって、上記第1受信帯域の信号をデコードし、上記第2受信帯域の信号をデコードするように構成された第2無線周波数サブシステムと、第1加入者識別モジュール、第2加入者識別モジュール、上記第1無線周波数サブシステム、及び上記第2無線周波数サブシステムと電気通信するハードウェアプロセッサとを備えており、上記第1加入者識別モジュールは、上記第1送信帯域及び上記第1受信帯域をサポートする第1無線ネットワークに関連付けられ、上記第2加入者識別モジュールは、上記第2送信帯域及び上記第2受信帯域をサポートする第2無線ネットワークに関連付けられ、上記ハードウェアプロセッサは、上記第1加入者識別モジュール又は上記第2加入者識別モジュールが、特定の時間帯に通信するために上記第1無線周波数サブシステムを使用するかどうかを制御するように構成される。
【0116】
前段落の無線デバイスは、以下の各特徴の任意の組み合わせ又は部分的な組み合わせを含むことができる。上記無線デバイスは、上記第1無線周波数サブシステム及び上記ハードウェアプロセッサ間に接続され、上記第1プライマリアンテナを使用してパケットを上記第1無線ネットワーク又は上記第2無線ネットワークに送信するように構成された第1モデムをさらに含む。該第1モデムは、上記パケットが音声パケットであるかデータパケットであるかを決定するように構成されている。上記無線デバイスは、上記第1無線周波数サブシステム及び上記ハードウェアプロセッサ間に接続され、上記第1プライマリアンテナを使用してパケットを上記第1無線ネットワーク又は上記第2無線ネットワークのうちの一方に送信する第1モデムと、上記ハードウェアプロセッサに接続され、第2プライマリアンテナを使用してパケットを送信するように構成された第2モデムとをさらに含む。上記第2モデムは、第3無線ネットワークとの通信を管理するように構成された第2ハードウェアプロセッサと統合されている。上記ハードウェアプロセッサは、プライマリデバイスとして機能し、上記第2ハードウェアプロセッサは、プライマリ通信モデル/セカンダリ通信モデルにおけるセカンダリデバイスとして機能する。上記第2モデムは、上記ハードウェアプロセッサの補助ポートを介して上記ハードウェアプロセッサに接続されている。上記第2モデムを上記ハードウェアプロセッサに接続するように構成された通信ハブをさらに含む。上記通信ハブは、上記無線デバイスの外部データ転送用又は充電用のポート及び上記ハードウェアプロセッサのデータ転送用又は充電用のポートを接続する。上記第2無線周波数サブシステムは、上記第1受信帯域の信号又は上記第2受信帯域の信号を受信するように構成され、上記第2無線周波数サブシステムは、信号を送信しない。上記無線デバイスは、上記第1無線周波数サブシステムと電気通信するチューナであって、受信信号が第1チャネルアクセス法の信号であるか又は第2チャネルアクセス法の信号であるかを決定するように構成された第1チューナをさらに含む。上記第1チャネルアクセス法は、符号分割多元接続、広帯域符号分割多元接続、又は時分割多元接続のうちの1つを含み、上記第2チャネルアクセス法は、符号分割多元接続、広帯域符号分割多元接続、又は時分割多元接続のうちの1つを含む。上記ハードウェアプロセッサは、さらに、少なくとも部分的に上記第1受信帯域の受信信号及び上記第2受信帯域の受信信号に基づき、上記第1無線ネットワークとの接続の第1信号強度及び上記第2無線ネットワークとの接続の第2信号強度を決定するように構成されている。上記ハードウェアプロセッサは、さらに、少なくとも部分的に上記第1信号強度又は上記第2信号強度に基づき、上記第1無線ネットワーク又は上記第2無線ネットワークと通信するかどうかを決定するように構成されている。上記第1無線ネットワークは、第1通信技術を使用して実装され且つ第1サービスプロバイダに関連付けられ、上記第2無線ネットワークは、第2通信技術を使用して実装され且つ第2サービスプロバイダに関連付けられている。
【0117】
本開示の特定の追加の態様は、複数のセルラーネットワークを介した通信の方法に関するものである。該方法は、第1周波数帯域を介した第1セルラーネットワーク及び第2周波数帯域を介した第2セルラーネットワークと通信するように構成された無線デバイスのハードウェアプロセッサにより実行される。該方法は、以下を含む。上記無線デバイスの第1プライマリアンテナを介して、上記第1セルラーネットワークからの上記第1周波数帯域の第1信号を受信する、ことを含む。ここで、上記第1セルラーネットワークは、上記無線デバイスの第1加入者識別モジュールに関連付けられ、上記第2セルラーネットワークは、上記無線デバイスの第2加入者識別モジュールに関連付けられ、上記第1加入者識別モジュールは、データパケットの送信用に指定されている。さらに、上記無線デバイスの第1ダイバーシティアンテナを介して、上記第2セルラーネットワークからの上記第2周波数帯域の第2信号を受信し、少なくとも部分的に上記第1信号に基づき、上記第1セルラーネットワークに関連付けられた第1信号強度を決定し、少なくとも部分的に上記第2信号に基づき、上記第2セルラーネットワークに関連付けられた第2信号強度を決定し、上記第2信号強度が上記第1信号強度を超えることを決定し、上記第1データパケットを送信するためのアクティブな加入者識別モジュールとして上記第2加入者識別モジュールを指定するとともに、上記第1データパケットを送信しないものとして上記第1加入者識別モジュールを指定することにより、上記第2セルラーネットワークを介し、上記第1プライマリアンテナを経由して第1データパケットをターゲットシステムに送信する、ことを含む。
【0118】
前段落の方法は、以下の各特徴の任意の組み合わせ又は部分的な組み合わせを含むことができる。ここで、上記第1信号及び第2信号は、第1時間帯の間に受信される。該方法は、さらに以下を含む。第2時間帯に上記第1セルラーネットワークからの第1周波数帯域の第3信号を受信し、上記第2時間帯に上記第2セルラーネットワークからの第2周波数帯域の第4信号を受信し、少なくとも部分的に上記第3信号に基づき、上記第1セルラーネットワークに関連付けられた第3信号強度を決定し、少なくとも部分的に上記第4信号に基づき、上記第2セルラーネットワークに関連付けられた第4信号強度を決定し、上記第3信号強度が上記第4信号強度を超えることを決定し、第2データパケットを送信するための上記アクティブな加入者識別モジュールとして上記第1加入者識別モジュールを指定するとともに、上記第2データパケットを送信しないものとして上記第2加入者識別モジュールを指定することにより、上記第1セルラーネットワークを介し、上記第1プライマリアンテナを経由して上記ターゲットシステムに上記第2データパケットを送信する、ことを含む。ここで、第1データパケットは非音声データに関連付けられており、該方法は、さらに以下を含む。アプリケーションから第2データパケットを取得し、上記第2データパケットが発信先無線デバイスへの通話に関連付けられた音声データを含むことを決定し、上記第2セルラーネットワークを介し、非音声データに関連付けられたデータパケットを送信し続けながら、上記第1加入者識別モジュールに関連付けられた上記第1セルラーネットワークを介して、上記第2データパケットを送信する、ことを含む。ここで、該方法は、さらに以下を含む。上記無線デバイスの第2プライマリアンテナを経由して、第3セルラーネットワークに関連付けられた第3周波数帯域の第3信号を受信し、少なくとも部分的に上記第3信号に基づき、上記第3セルラーネットワークに関連付けられた第3信号強度を決定し、上記第3信号強度が上記第2信号強度を超えることを決定し、上記第3セルラーネットワークを介し、第1優先度に関連付けられた第2データパケットを送信し、上記第2セルラーネットワークを介し、上記第1優先度よりも低い第2優先度に関連付けられる上記第1データパケットを送信する、ことを含む。
【0119】
本開示の特定のさらなる追加の態様は、第1ネットワークプロトコルを実装する第1ネットワークにおける通話を、第2ネットワークプロトコルを実装する第2ネットワークへと動的に経路設定する方法に関するものである。該方法は、以下を含む。ユーザデバイスによって生成された通話要求を第1通信ネットワークプロバイダの第1ネットワークを介して受信し、上記第1ユーザデバイスが第1ネットワークプロトコル及び第2ネットワークプロトコルをサポートしていることを決定し、上記第1通信ネットワークプロバイダに関する、第1ネットワークプロトコルを実装する上記第1ネットワークのネットワーク特性の第1測定値を決定し、第2通信ネットワークプロバイダに関する、上記第2ネットワークプロトコルを実装する第2ネットワークを識別し、上記第2通信ネットワークプロバイダに関する上記第2ネットワークのネットワーク特性の第2測定値を決定し、上記第2測定値が上記第1測定値を閾量だけ超えることを決定し、上記第2測定値が上記第1測定値を閾量だけ超えるという上記決定に少なくとも部分的に基づいて、上記第2ネットワークプロトコルを使用し、上記第2通信ネットワークプロバイダに関する上記第2ネットワークに通話を経路設定する、ことを含む。
【0120】
前段落の方法は、以下の各特徴の任意の組み合わせ又は部分的な組み合わせを含むことができる。上記第1ネットークプロトコルは、グローバル・システム・フォー・モバイル・コミュニケーションズ(GSM)プロトコルであり、上記第2ネットワークプロトコルは、符号分割多元接続(CDMA)プロトコルである。上記第1ネットワークプロトコルは、第1SIMカードに関連付けられ、上記第2ネットワークプロトコルは、第2SIMカードに関連付けられる。第2ネットワークへの通話の経路設定は、上記第2ネットワークを使用して通話を完了させるためのコマンドを上記ユーザデバイスに提供することを含む。上記ネットワーク特性は、ジッター、遅延、パケット損失、通話成功率、通話明瞭度評価、通話切断率、ネットワーク有効率、発信後遅延のうちの少なくとも1つを含む。上記ネットワーク特性は、信号強度を含み、上記第1測定値は、上記ユーザデバイス及び上記第1ネットワーク間の第1信号強度を含み、上記第2測定値は、上記ユーザデバイス及び上記第2ネットワーク間の第2信号強度を含む。上記ネットワーク特性は、信号強度を含み、上記第1測定値は、通話先デバイス及び上記第1ネットワーク間の第1信号強度を含み、上記第2測定値は、通話先デバイス及び上記第2ネットワーク間の第2信号強度を含む。該方法は、さらに、以下を含む。上記ユーザデバイスの地理的位置を識別し、上記ユーザデバイスが上記第2ネットワークに関わる特定のカバレッジエリア内にあると決定し、ユーザデバイスが特定のカバレッジエリア内にあるという上記決定に少なくとも部分的に基づいて、通話を上記第2ネットワークに経路設定する、ことを含む。該方法は、さらに以下を含む。ユーザの履歴データを評価し、該履歴データに少なくとも部分的に基づいて、ユーザデバイスについて1つ以上の基準を満たす通話が特定のネットワークを使用して完了する確率を示す通話プロファイルを生成し、該通話プロファイルに少なくとも部分的に基づいて、通話を上記第2ネットワークに経路設定する、ことを含む。ここで、上記1つ以上の基準は、ユーザデバイスの位置、上記ユーザデバイスにより呼び出されるユーザの位置、時間、上記ユーザデバイスにより呼び出される特定ユーザ、該特定ユーザのデバイスにより使用される発信先ネットワーク、該発信先ネットワークの発信先ネットワークプロバイダのうちの1つ以上を含む。上記のネットワーク特性の第1測定値及び第2測定値の決定は、以下を含む。上記ネットワーク特性に関する要求を上記ユーザデバイスに送信し、上記の第1ネットワークに関するネットワーク特性の第1測定値及び上記の第2ネットワークに関するネットワーク特性の第2測定値を上記ユーザデバイスから受信する、ことを含む。
【0121】
(他の実施態様の詳細)
本明細書でいくつかの実施形態を説明した。説明した各実施形態が互いに排他的でない場合には、本明細書で説明した各実施形態を本明細書で説明した他の1つ以上の実施形態と組み合わせることができることを理解されたい。本明細書の任意の実施形態に関して示し或いは説明した任意の構造、材料、機能、方法、又は手順は、本明細書の任意の別の実施形態に関して示し或いは説明した任意の別の構造、材料、機能、方法、又は手順の代わりに用いたり、これらと組み合わせたりすることができる。さらに、本明細書に開示した特徴、手順、構造、又は方法は、必須或いは不可欠なものではない。
【0122】
実施形態に応じて、本明細書で説明した上記アルゴリズムの特定の動作、イベント、或いは機能は、異なる順序で実行してもよく、また、追加若しくは結合してもよく、或いは、完全に除外してしまってもよい(例えば、上記アルゴリズムの実施において、説明した全ての動作又はイベントが必要となるものではない)。さらに、特定の実施形態では、動作又はイベントは、例えば、マルチスレッド処理、割り込み処理、又はは複数のプロセッサ若しくはプロセッサコア若しくは他の並列アーキテクチャによって、順次ではなく、同時に実行することもできる。また、一緒に動作することができる異なる装置及び/又はコンピューティングシステムによって、異なるタスク若しくははプロセスを実行することができる。
【0123】
本明細書開示の各実施形態に関して説明した様々な例示的な論理ブロック、モジュール、及びアルゴリズム手順は、アプリケーション特化の電子ハードウェア、コンピュータハードウェアにより実行されるコンピュータソフトウェア、或いは、その両方の組み合わせとして実装することができる。ハードウェア及びソフトウェアの互換性を明確に説明するため、様々な例示的な構成要素、ブロック、モジュールをそれらの機能の観点から一般論として説明してきた。そのような機能がハードウェアとして実装されるかソフトウェアとして実装されるかは、システム全体に課される特定のアプリケーション及び設計上の制約に依存することになる。例えば、動的経路設定108は、1つ以上のコンピュータシステム、又は、1つ以上のプロセッサを含むコンピュータシステムによって実装することができる。さらに、上記機能は、本明細書で説明した上記システムの各々の特定のアプリケーションに関して様々な方法で実装できるが、そのような実装に関わる決定は本開示の範囲からの逸脱をもたらすと解釈されるべきでない。
【0124】
本明細書開示の実施形態に関して説明した様々な例示的な論理ブロック及びモジュールは、本明細書で説明した機能を実行するように設計された、汎用プロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、現場で書き換え可能な論理回路の多数配列(FPGA)若しくは他のプログラマブルな論理デバイス、ディスクリートゲート若しくはトランジスタ論理、ディスクリートハードウェアコンポーネント、又は、それらの任意の組み合わせなどの装置によって実装し、或いは実行することができる。汎用プロセッサは、マイクロプロセッサであってもよいが、代替として、該プロセッサは、コントローラ、マイクロコントローラ、又は状態機械、又は、それらと同様なものの組み合わせ等であってもよい。また、プロセッサは、コンピューティングデバイスの組み合わせ、例えば、DSP及びマイクロプロセッサの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと組み合わせた1つ以上のマイクロプロセッサ、或いは、同様な他の任意の構成として実装することができる。コンピューティング環境は、数例を挙げると、マイクロプロセッサ、メインフレームコンピュータ、デジタルシグナルプロセッサ、ポータブルコンピュータデバイス、パーソナルオーガナイザ、デバイスコントローラ、及び装置内の計算エンジンに基づくコンピュータシステムを含む、任意の種類のコンピュータシステムを含むことができるが、これらに限定されるものではない。
【0125】
本明細書開示の実施形態に関して説明した方法、プロセス、又は、アルゴリズムの各手順は、ハードウェア、プロセッサにより実行されるソフトウェア、又は、この2つの組み合わせで直接的に具体化することができる。ソフトウェアモジュールは、RAMメモリ、フラッシュメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、レジスタ、ハードディスク、リムーバルディスク、CD-ROM、又は、コンピュータで読み取り可能な記憶媒体であって当業者に知られている他の任意のものに存在できる。例示の記憶媒体は、プロセッサが該記憶媒体から情報を読み取ったり、該記憶媒体に情報を書き込んだりできるように、プロセッサと結合させることができる。或いは、該記憶媒体をプロセッサに統合してもよい。上記のプロセッサ及び記憶媒体は、ASICに存在できる。該ASICは、ユーザ端末に存在できる。或いは、上記のプロセッサ及び記憶媒体は、ユーザ端末内のディスクリートコンポーネントとして存在することもできる。
【0126】
とりわけ、「できる(can)」、「でもよい/しうる(might)」、「でもよい/しうる(may)」、「例えば(e.g.)」のような本明細書で使用する仮定的若しくは条件的な言い回しは、特に明記した場合、若しくは文脈内で使用したように理解される場合を除き、一般に、特定の実施形態が、特定の特徴、要素、及び/又は状態を含む一方で、他の実施形態はそれらを含まないことを伝えることを意図したものである。従って、仮定的若しくは条件的な言い回しは、一般に、特徴、要素、及び/又は状態がどうしても1つ以上の実施形態で必要とされること、或いは、1つ以上の実施形態は、これらの特徴、要素、及び/又は状態が、任意の特定の実施形態において含まれるか若しくは実行されるかどうかについて、著者の入力や指示の有無にかかわらず決定するロジックを必然的に含むことを意図したものではない。
【0127】
以上のとおり詳細な説明として述べ或いは示し、また、様々な実施形態に適用される新規な特徴について指摘してきたが、説明したデバイス又はアルゴリズムの形態及び詳細に関する種々の省略、置換、及び変更は、本開示の精神から逸脱することなく可能であることは理解されるであろう。認識されるように、本明細書で説明した本発明の特定の実施形態は、一部の特徴は他と別個に実施できるので、本明細書に記載の特徴及び利点を完全には提供しない形態の範囲内でも具体化することができる。本明細書に開示した特定の発明の範囲は、上記説明ではなく、添付の特許請求の範囲によって示される。特許請求の範囲の意味内容及び同等性のある範囲内でのすべての変更は、特許請求の範囲に包含される。
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