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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-14
(45)【発行日】2022-09-26
(54)【発明の名称】動物情報システムおよびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20220915BHJP
【FI】
G06Q50/10
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022076354
(22)【出願日】2022-05-03
【審査請求日】2022-05-03
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522177927
【氏名又は名称】ペットフード・テクノリサーチ合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100132333
【弁理士】
【氏名又は名称】大澤 孝明
(72)【発明者】
【氏名】藤井 立哉
【審査官】岡北 有平
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-027920(JP,A)
【文献】特開2015-208234(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106909764(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一意に動物個体を特定する情報が読み出し可能に記録されたマイクロチップが付けられた動物個体の所有者の使用する所有者端末装置、前記動物個体に関するサービス提供者が使用する閲覧者端末装置、および前記動物個体についてのデータを管理する管理装置を含む動物情報システムであって、
前記管理装置は、前記所有者端末装置および前記閲覧者端末装置と通信する管理装置通信手段、前記動物個体についての動物個体データが記録された動物データベース、前記所有者端末装置に関する情報が記録された所有者端末データベース、前記サービス提供者の情報が記録された閲覧者データベース、前記動物データベースのデータの出力記録を記録する履歴データベース、および前記動物データベース、前記所有者端末データベース、並びに前記管理装置を制御する管理装置制御手段を有し、
前記動物個体データは、前記マイクロチップに記録されている個体識別番号、前記個体識別番号に関連付けされた前記動物個体の写真の画像情報および前記個体識別番号に関連付けされた前記動物個体に施された処置に関する画像情報を含み、
前記所有者端末データベースは、前記所有者端末装置を一意に特定する所有者端末識別情報および所有者端末情報を含み、
前記閲覧者データベースは、前記閲覧者端末装置を一意に特定する閲覧者端末識別情報、および前記閲覧者端末装置を使用するサービス提供者の情報を含み、
前記所有者端末装置は、前記管理装置と通信する所有者端末通信手段、画像を読み取る所有者端末画像入力手段、文字情報を入力する所有者端末文字入力手段、前記動物データベースの前記動物個体データの閲覧を許可するための閲覧情報を提示する所有者端末情報提示手段および前記所有者端末装置を制御する所有者端末制御手段を含み、前記所有者端末制御手段により前記閲覧情報が生成され、前記所有者端末通信手段を介して前記動物個体データを前記個体識別番号と関連付けて前記動物データベースに入力すること、前記データ出力記録の閲覧をすることが可能であり、
前記閲覧情報は、前記個体識別番号、および前記動物個体データの出力を認証する出力認証情報を含み、
前記閲覧者端末装置は、前記閲覧情報を取得する閲覧情報取得手段、文字情報を入力する閲覧端末文字入力手段、前記管理装置に前記動物個体データの閲覧を求める閲覧申請情報を前記管理装置へ送信する閲覧者端末通信手段、前記閲覧申請情報の送信に呼応して前記管理装置から受信した前記動物個体データを提示する閲覧者端末提示手段、および前記閲覧者端末装置を制御する閲覧者端末制御手段を含み、前記閲覧者端末制御手段により前記閲覧情報に基づいて前記閲覧申請情報が生成され、前記閲覧端末通信手段を介して前記動物個体データを閲覧することができ、
前記閲覧申請情報は、前記個体識別番号、前記出力認証情報、および閲覧者識別情報を含み、
前記管理装置制御手段は、前記管理装置通信手段を経由して、前記閲覧者端末装置から受信した前記閲覧申請情報を識別し、前記動物データベースの情報の出力の可否を判断し、可となった場合に、前記個体識別番号により特定された前記動物個体データを前記閲覧者端末装置へ送信し、前記閲覧申請情報を受信したこと、前記閲覧者識別情報および前記動物個体データを送信したことを前記履歴データベースに記録し並びに前記所有者端末装置へ送信する
ことを特徴とする動物情報システム。
【請求項2】
前記所有者端末制御手段は、前記所有者端末通信手段を経由して、前記管理装置に動物データ出力許可情報の生成を要求し、
次いで前記管理装置制御手段は、前記管理装置通信手段を経由して、前記動物データ出力許可情報を生成し、前記所有者端末へ送信し、
その後、前記所有者端末制御手段は、生成された前記動物データ出力許可情報を前記出力認証情報として前記閲覧情報を生成することを特徴とする請求項1に記載の動物情報システム。
【請求項3】
前記閲覧情報取得手段は、画像読み取り装置であり、前記所有者端末情報提示手段により提示された画像を読み取り、前記閲覧者端末制御手段は、前記閲覧申請情報を生成し、前記閲覧者端末通信手段は前記管理装置へ前記閲覧申請情報を送信することを特徴とする請求項1に記載の動物情報システム。
【請求項4】
前記管理装置制御手段は、前記閲覧申請情報を識別するときに、先に生成した前記動物データ出力許可情報に対応する情報が、前記閲覧申請情報に含まれている場合に前記動物データベースの情報の出力を可とし、含まれていない場合には、前記動物データベースの情報の出力を行わず、その旨を前記閲覧者端末装置へ送信することを特徴とする請求項2に記載の動物情報システム。
【請求項5】
獣医師端末装置を含み、前記管理装置は、獣医師データを記録する獣医師データベースを含み、
前記獣医師端末装置は、前記管理装置と通信する獣医師端末通信手段、画像を入力する獣医師端末画像入力手段、文字情報を入力する獣医師端末文字入力手段、および前記獣医師端末装置を制御する獣医師端末制御手段を含み、前記獣医師端末通信手段を介して前記動物個体データを前記個体識別番号と関連付けて前記動物データベースに入力することが可能であることを特徴とする請求項1に記載の動物情報システム。
【請求項6】
請求項1ないし5に記載の動物情報システムを実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、犬や猫などのペットの飼い主が、ペットのためにトリミングサロンやペットホテルなどのサービスを利用する際、ペットのワクチン接種等の履歴を容易にかつ安全にサービス事業者に提示することができる動物情報システムおよび動物情報システムを実行可能なプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
犬や猫などのペットの飼い主がトリミングサロン、ペットホテル、ドッグトレーナーなどのサービスを利用する場合、サービス提供事業者からワクチン接種の証明書や動物個体の健康状態の申告を求められる。そのため飼い主は、各種証明書類を持参しなければならない。
現在、ネットワークを介して動物患者の電子カルテを獣医師と飼い主の間で共有するシステムなどが検討されている。(特許文献1) また、個体識別が可能なマイクロチップが埋め込まれた動物個体について、そのマイクロチップに記録された個体識別情報と関連付けてデータベースを作成し、複数のアクセス権限ごとに参照できるデータを設定し、情報管理を行う方法が提案されている。(特許文献2)
【0003】
また、令和4年6月1日より販売される犬猫には、マイクロチップの装着と登録が義務化され、犬猫を購入した飼い主(所有者)も、所有者情報(氏名、住所)の登録が必要となる。そこで、マイクロチップを用いた種々のデータ管理、活用方法が検討されている。(特許文献3,4)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6989999号
【文献】特開2015-208234
【文献】特開2010-220506
【文献】特開2009-110421
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
今後、義務化される犬猫に装着されるマイクロチップの個体識別番号(11桁)に紐付けされる情報は、以下の通り定められている。
a.犬猫の情報:名前、犬猫の別、品種、毛色、生年月日、性別、その他特徴、狂犬病予防法に基づく登録年月日と登録番号
b.所有者の情報:氏名、住所、電話番号、電子メールアドレス
【0006】
特許文献1は、電子カルテに含まれる情報からワクチン接種証明書を生成し、動物個体の所有者に提示するシステムであり、電子カルテを直接操作するものであるので、情報を要求する動物個体の所有者について、厳格に取り扱うことが必要となり、所有者情報の確実な確認が必要となる。
特許文献2は、サービス事業者等の第3者が当該動物個体の情報を閲覧する場合に、閲覧する時点での所有者の承認を必要としないため、情報安全上の問題がある。
特許文献3は、動物個体に取り付けられたマイクロチップおよび通信装置を用いて、動物個体の個体管理を行うが、特許文献2と同様第3者が当該動物個体の情報を閲覧する場合に、閲覧する時点での所有者の承認を必要としないため、情報安全上の問題がある。
特許文献4は、ペットを同伴して店舗を利用する場合に自動的に店舗側へ過去の利用実績を提供するものであり、情報を提供する際に動物個体の所有者の承認を必要としていない。
従来の技術においては、サービス事業者に情報を提供する際、飼い主の情報提供の安全性と利便性を十分に兼ね備えたシステムとはなっていなかった。
【0007】
本発明は、上記課題を解決し、犬猫などの動物についてサービスを受ける場合に、飼い主の情報提供の安全性と利便性を兼ね備えた動物情報システムおよびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような目的は、下記(1)~(7)の本発明により、達成される。
【0009】
(1) 一意に動物個体を特定する情報が読み出し可能に記録されたマイクロチップが付けられた動物個体の所有者の使用する所有者端末装置、前記動物個体に関するサービス提供者が使用する閲覧者端末装置、および前記動物個体についてのデータを管理する管理装置を含む動物情報システムであって、
前記管理装置は、前記所有者端末装置および前記閲覧者端末装置と通信する管理装置通信手段、前記動物個体についての動物個体データが記録された動物データベース、前記所有者端末装置に関する情報が記録された所有者端末データベース、前記サービス提供者の情報が記録された閲覧者データベース、前記動物データベースのデータの出力記録を記録する履歴データベース、および前記動物データベース、前記所有者端末データベース、並びに前記管理装置を制御する管理装置制御手段を有し、
前記動物個体データは、前記マイクロチップに記録されている個体識別番号、前記個体識別番号に関連付けされた前記動物個体の写真の画像情報および前記個体識別番号に関連付けされた前記動物個体に施された処置に関する画像情報を含み、
前記所有者端末データベースは、前記所有者端末装置を一意に特定する所有者端末識別情報および所有者端末情報を含み、
前記閲覧者データベースは、前記閲覧者端末装置を一意に特定する閲覧者端末識別情報、および前記閲覧者端末装置を使用するサービス提供者の情報を含み、
前記所有者端末装置は、前記管理装置と通信する所有者端末通信手段、画像を読み取る所有者端末画像入力手段、文字情報を入力する所有者端末文字入力手段、前記動物データベースの前記動物個体データの閲覧を許可するための閲覧情報を提示する所有者端末情報提示手段および前記所有者端末装置を制御する所有者端末制御手段を含み、前記所有者端末制御手段により前記閲覧情報が生成され、前記所有者端末通信手段を介して前記動物個体データを前記個体識別番号と関連付けて前記動物データベースに入力すること、前記データ出力記録の閲覧をすることが可能であり、
前記閲覧情報は、前記個体識別番号、および前記動物個体データの出力を認証する出力認証情報を含み、
前記閲覧者端末装置は、前記閲覧情報を取得する閲覧情報取得手段、文字情報を入力する閲覧端末文字入力手段、前記管理装置に前記動物個体データの閲覧を求める閲覧申請情報を前記管理装置へ送信する閲覧者端末通信手段、前記閲覧申請情報の送信に呼応して前記管理装置から受信した前記動物個体データを提示する閲覧者端末提示手段、および前記閲覧者端末装置を制御する閲覧者端末制御手段を含み、前記閲覧者端末制御手段により前記閲覧情報に基づいて前記閲覧申請情報が生成され、前記閲覧端末通信手段を介して前記動物個体データを閲覧することができ、
前記閲覧申請情報は、前記個体識別番号、前記出力認証情報、および閲覧者識別情報を含み、
前記管理装置制御手段は、前記管理装置通信手段を経由して、前記閲覧者端末装置から受信した前記閲覧申請情報を識別し、前記動物データベースの情報の出力の可否を判断し、可となった場合に、前記個体識別番号により特定された前記動物個体データを前記閲覧者端末装置へ送信し、前記閲覧申請情報を受信したこと、前記閲覧者識別情報および前記動物個体データを送信したことを前記履歴データベースに記録し並びに前記所有者端末装置へ送信する
ことを特徴とする動物情報システム。
【0010】
(2) 前記所有者端末制御手段は、前記所有者端末通信手段を経由して、前記管理装置に動物データ出力許可情報の生成を要求し、
次いで前記管理装置制御手段は、前記管理装置通信手段を経由して、前記動物データ出力許可情報を生成し、前記所有者端末へ送信し、
その後、前記所有者端末制御手段は、生成された前記動物データ出力許可情報を前記出力認証情報として前記閲覧情報を生成することを特徴とする前記(1)に記載の動物情報システム。
【0011】
(3) 前記閲覧情報取得手段は、画像読み取り装置であり、前記所有者端末情報提示手段により提示された画像を読み取り、前記閲覧者端末制御手段は、前記閲覧申請情報を生成し、前記閲覧者端末通信手段は前記管理装置へ前記閲覧申請情報を送信することを特徴とする前記(1)または(2)に記載の動物情報システム。
【0012】
(4) 前記管理装置制御手段は、前記閲覧申請情報を識別するときに、先に生成した前記動物データ出力許可情報に対応する情報が、前記閲覧申請情報に含まれている場合に前記動物データベースの情報の出力を可とし、含まれていない場合には、前記動物データベースの情報の出力を行わず、その旨を前記閲覧者端末装置へ送信することを特徴とする前記(2)または(3)に記載の動物情報システム。
【0013】
(5) 獣医師端末装置を含み、前記管理装置は、獣医師データを記録する獣医師データベースを含み、
前記獣医師端末装置は、前記管理装置と通信する獣医師端末通信手段、画像を入力する獣医師端末画像入力手段、文字情報を入力する獣医師端末文字入力手段、および前記獣医師端末装置を制御する獣医師端末制御手段を含み、前記獣医師端末通信手段を介して前記動物個体データを前記個体識別番号と関連付けて前記動物データベースに入力することが可能であることを特徴とする前記(1)ないし(4)に記載の動物情報システム。
【0014】
(6) 本発明は、さらに災害時端末装置を含み、前記管理装置は、災害時データを記録する災害時データベースを含み、
前記災害時端末装置は、前記管理装置と通信する災害時端末通信手段、文字情報を入力する災害時端末文字入力手段、および前記災害時端末装置を制御する災害時端末制御手段を含み、前記災害時端末通信手段を介して前記動物個体データを前記個体識別番号と関連付けて前記動物データベースから受信することが可能であることを特徴とする前記(1)ないし(5)に記載の動物情報システム。
【0015】
(7) 前記(1)ないし(6)に記載の動物情報システムを実行させるためのプログラム。
【発明の効果】
【0016】
前記(1)~(7)の本発明は、所有者端末装置に閲覧情報を提示し、閲覧者端末装置が前記閲覧情報を取得し、前記閲覧情報に基づいて、管理装置に閲覧申請し、許可された場合にサービス事業者である閲覧者が必要な情報を入手することができるので、所有者(飼い主)の情報提供の安全性と利便性を図ることができる。さらに管理装置には所有者の個人情報が登録されず、所有者端末情報のみを登録し使用するので、所有者の情報を含まず、高度の安全性を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の動物情報システムの構成を示す図である。
図2】動物個体を特定する情報が読み出し可能に記録されたマイクロチップが付けられた動物個体から、特定情報を読み取る態様を示す模式図である。
図3】本発明の所有者端末装置、閲覧者端末装置、および獣医師端末装置のハードウエア構成の一実施形態を示す図である。
図4】本発明の管理装置のハードウエア構成の一実施形態を示す図である。
図5】本発明の動物情報システムの動作を示すシーケンス図である。
図6】本発明のシステムの一実施形態のメインルーチンの処理を示すフローチャートである。
図7】本発明のシステムの一実施形態の初期設定ルーチンの処理を示すフローチャートである。
図8】本発明のシステムの一実施形態の所有者ルーチンの処理を示すフローチャートである。
図9】本発明のシステムの一実施形態の閲覧者ルーチンの処理を示すフローチャートである。
図10】本発明のシステムの一実施形態の獣医師ルーチンの処理を示すフローチャートである。
図11】Aは、本発明のシステムの一実施形態の親機連携ルーチンの処理を示すフローチャートである。Bは、本発明のシステムの一実施形態の子機連携ルーチンの処理を示すフローチャートである
図12】本発明のシステムの一実施形態の災害ルーチンの処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、前記のとおりの特徴を有するものであるが、以下、本発明の動物情報システムおよびそれを実行させるためのプログラムの一実施例を用いて詳細に説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には、複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴のすべてが本発明に必須のものとは限らない。
図1は、本発明の動物情報システムの一実施形態の構成を示す図である。図1に示すように、管理装置1、所有者端末装置2、閲覧者端末装置3、獣医師端末装置4、災害時端末装置10は、インターネット等の通信網5に接続されている。
図2は、本発明が用いられる動物個体の模式図であって、動物個体を特定する情報が読み出し可能に記録されたマイクロチップが付けられた動物個体から、特定情報を読み取る態様を示す模式図である。動物個体6の皮下にマイクロチップ7が埋め込まれている。マイクロチップ7の近傍にマイクロチップリーダー8を近づけることにより、マイクロチップ7に記録されている情報を読み取り、マイクロチップリーダー8の表示部9に表示することができる。マイクロチップ7に記録されている情報は、通常、一意に特定される番号(個体識別番号)である。
【0019】
図3は、本発明の端末装置である所有者端末装置2、閲覧者端末装置3、獣医師端末装置4、災害時端末装置10のハードウエア構成の一実施形態を示す図である。CPU201は、RAM202、ROM203あるいは不揮発メモリ204に記憶されているソフトウエアに従ってデータや命令に対して演算、判断および制御を行うことにより、それぞれ本発明の所有者端末制御手段、閲覧者端末制御手段、獣医師端末制御手段、災害時端末制御手段として機能し、それぞれ所有者端末装置2、閲覧者端末装置3、獣医師端末装置4、災害時端末装置10を制御する。RAM202は、CPU201が各種処理を行う際の一時記憶領域として用いられる。不揮発メモリ204は、オペレーティングシステム、アプリケーションソフトウエア等を記憶する。
所有者端末装置2は、スマートフォンやタブレット型コンピュータなど携帯可能な装置を用いることにより、サービス提供業者に対していつでも用いることができる。閲覧者端末装置3も同様に携帯可能な装置を用いることにより、サービス事業所において、効率的な作業を可能とする。獣医師端末装置4は、主に動物病院で使用されることが想定され、特に携帯可能な装置であることによる便益は大きくはないが、携帯可能な装置を用いることができる。災害時端末装置10は、災害現場あるいはその近傍の動物病院で使用されることが想定され、携帯可能な装置を用いることができる。
【0020】
撮像装置205は、CCDやCMOSイメージセンサー等で構成されるカメラやスキャナーを用いることができ、画像を撮影し、デジタルデータとして端末装置(2,3,4,10)が取り扱うことを可能とし、それぞれの端末装置において、所有者端末画像入力手段、閲覧情報取得手段、獣医師端末画像入力手段、災害時端末画像入力手段として機能する。
ディスプレイ206は、液晶ディスプレイとグラフィックコントローラを含んでおり、画像やアイコンなどのオブジェクトやGUI等の表示を行う。ディスプレイ206は、所有者端末装置2において、サービス事業者が動物個体データを閲覧するための閲覧情報を表示して提示する所有者端末情報提示手段として機能し、閲覧者端末装置3、獣医師端末装置4、災害時端末装置10において、管理装置1から受信した動物個体データを表示して提示する閲覧者端末提示手段等情報提示手段として機能する。
入力装置207は、使用者から端末装置(2,3,4,10)に対する各種指示操作を受け付けるための装置である。入力装置207は、パーソナルコンピュータの場合のキーボード、マウス等があるが、ディスプレイ206と一体化したタッチパネルや、撮像装置205がカメラである場合のディスプレイとして構成される。キーボード、タッチパネル等により、文字入力が可能となり、所有者端末装置2において所有者端末文字入力手段として機能し、閲覧端末装置3においては閲覧端末文字入力手段として機能し、獣医師端末装置4において獣医師端末文字入力手段として機能し、災害時端末装置10において災害時端末文字入力手段として機能する。
【0021】
また、システムバス209を介して図3の各ブロック間のデータの送受信が行われる。
インターフェース(I/F)装置208は、無線LANや有線LAN、あるいは電話回線を介してインターネットの通信網5に接続し、通信網5に接続されている他の機器との間でデータの送受信を行うことができる。I/F装置208は、所有者端末装置2においては所有者端末通信手段として機能し、閲覧者端末装置3においては閲覧者端末通信手段として機能し、獣医師端末装置4においては獣医師端末通信手段として機能し、災害時端末装置10において災害時端末通信手段として機能する。
【0022】
図4は、本発明の管理装置1のハードウエア構成の一実施形態を示す図である。CPU101は、RAM102、ROM103あるいは記憶装置104に記憶されているソフトウエアに従ってデータや命令に対して演算、判断および制御を行うことにより、本発明の管理装置制御手段として機能し管理装置1を制御する。RAM102は、CPU101が各種処理を行う際の一時記憶領域として用いられる。記憶装置104は、ハードディスクや不揮発メモリを使用することができ、大容量で安全性の高いものが用いられる。また、記憶装置104は、管理装置1を制御するソフトウエアを記憶するほか、所有者端末装置2と獣医師端末装置4から登録される動物個体についてのデータが記録された動物データベース、動物個体の所有者端末情報が記録された所有者端末データベース、サービス提供者のデータが記録された閲覧者データベース、獣医師データが記録された獣医師データベース、前記動物データベースのデータの出力記録を記録する履歴データベース、および災害時情報が記録された災害時データベースが構築されている。
【0023】
ディスプレイ105は、液晶ディスプレイとグラフィックコントローラを含んでおり、画像やアイコンなどのオブジェクトやGUI等の表示を行う。入力装置106は、使用者から端末装置(2,3,4,10)に対する各種指示操作を受け付けるための装置である。入力装置106は、パーソナルコンピュータの場合のキーボード、マウス等があるが、ディスプレイ105と一体化したタッチパネルなどで構成される。キーボード、タッチパネル等により、文字入力が可能となる。
また、システムバス108を介して図4の各ブロック間のデータの送受信が行われる。
インターフェース(I/F)装置107は、無線LANや有線LAN、あるいは電話回線を介してインターネットの通信網5に接続し、通信網5に接続されている他の機器との間でデータの送受信を行うことができる。I/F装置107は、管理装置通信手段として機能する。
【0024】
(動作説明)
図5は、本発明の動物情報システムの動作の要部を示すシーケンス図である。本発明のシステムは、一意に動物個体を特定する情報が読み出し可能に記録されたマイクロチップが付けられた動物個体の所有者の使用する所有者端末装置2、前記動物個体に関するサービス提供者が使用する閲覧者端末装置3、および前記動物個体についてのデータを管理する管理装置1を含む動物情報システムである。
【0025】
前記動物個体の所有者は、まず、所有者端末装置2に本システムを実行させるプログラムをインストールし、自己の飼育、管理する動物個体の動物個体データを管理装置1の動物データベースへ入力しておく。前記動物個体データには、前記マイクロチップに記録されている当該動物個体を一意に特定する情報である個体識別番号に紐付けて、当該動物個体の写真およびその撮影日、ワクチン接種証明書の写真などを登録する。
前記所有者は、例えばトリミングサロンを利用する際に、トリミングサロンにワクチン接種証明書を提示することが求められる。本システムは、トリミングサロンにワクチン接種証明書を提示する場合、一実施例として以下のように動作する。
【0026】
まず、所有者は、所有者端末装置2を操作し、前記プログラムを起動し、管理装置1へ動物データ出力許可情報の生成要求を送信させる(S501)。前記生成要求を受信した管理装置1は、前記プログラムにより、動物データ出力許可情報を生成し(S502)、所有者端末装置2へ生成した動物データ出力許可情報を送信する(S503)。ここで、動物データ出力許可情報は、管理装置1がランダムに発生する文字列や暗号化されたデータ列でもよい。ここで生成される動物データ出力許可情報は、後に所有者端末装置2で生成される閲覧情報に含まれる出力認証情報として使用されうるものである。また、管理装置1は、生成した動物データ出力許可情報について、その有効期間を定め、所定期間経過後は、該動物データ出力許可情報を前記出力認証情報として含む閲覧者端末装置3からの閲覧申請情報による管理装置制御手段への閲覧申請を許可しないこととしてもよい。これにより、本システムを使用した動物個体データの使用の安全性が向上する。
前記S501~S503のステップは、必須ではなく、該動物データ出力許可情報を出力認証情報として使用しないで、閲覧情報を生成してもよい。
【0027】
さて、所有者端末装置2は、該動物データ出力許可情報を管理装置1から受信し、所有者端末制御手段により、閲覧情報を生成し、ディスプレイ206に表示する(S504)。該閲覧情報には、個体識別番号、および前記動物個体データの出力を認証する出力認証情報が含まれる。本実施例において、出力認証情報は、前記動物データ出力許可情報を含む。前述の通り、S501~S503のステップを有さないシステムにおいては、前記出力認証情報をあらかじめ本システムで取り決めることもでき、前記閲覧情報に所有者端末情報や所有者端末識別情報を含むことができる。
該閲覧情報は、バーコード、2次元バーコードなど、情報を画像化したものをディスプレイ206に表示して提示することができる。
【0028】
前記トリミングサロンは、スマーフォンやパーソナルコンピュータに、あらかじめ本システムの前記プログラムをインストールし、所定の閲覧者データを管理装置1の閲覧者データベースに入力し、前記プログラムを起動し、閲覧者端末装置3として作動させる。
次いで前記所有者端末装置2に表示された前記閲覧情報を、前記トリミングサロンの従業者が、閲覧者端末装置3の、閲覧情報取得手段により前記閲覧情報を読み取る(S505)。閲覧者端末制御手段により読み取った閲覧情報に基づいて、閲覧者端末制御手段が、閲覧申請情報を生成する(S506)。前記閲覧申請情報は、前記個体識別番号、前記出力認証情報、および閲覧者識別情報を含む。
前記個体識別番号により対象動物個体が特定され、前記出力認証情報により当該個体識別番号が記録されたマイクロチップが取り付けられた動物個体の所有者端末装置から承認を受けたものであることが裏付けられ、前記閲覧者識別情報を含むことにより、当該動物データベースの情報を閲覧したものの特定をすることができる。
【0029】
前記閲覧者端末制御手段は、閲覧者端末通信装置を介して、生成された前記閲覧申請情報を前記管理装置1へ送信する(S507)。前記管理装置1の管理装置制御手段は、受信した前記閲覧申請情報に含まれる前記個体識別番号、前記出力認証情報、および閲覧者識別情報を識別し、前記個体識別番号に係る動物個体の動物個体データを前記閲覧者端末装置へ出力するか否かを判断する。出力認証情報として前記動物データ出力許可情報を用いている場合は、先に前記管理装置1で生成した動物データ出力許可情報と前記閲覧申請情報に含まれる前記出力認証情報としての前記動物データ出力許可情報を対応付けし、対応がとれた場合には、データ出力を可とし、当該動物個体データを前記閲覧者端末装置3へ送信し(S509)、対応付けができなかった場合には、データ出力を行わず、その旨を閲覧者端末装置3へ送信する(S509)。尚、前記『対応付けができる』とは、二つの情報が一致する場合に限らず、一つの情報が他の情報から派生していることが確認できる場合とする。
また、管理装置1は、所有者端末装置2へ当該動物個体の動物個体データを前記閲覧者識別情報に含まれる閲覧者に送信したこと、あるいは送信しなかったことを送信し、同時に、前記履歴データベースに記録する。
【0030】
図示しないが、S509により当該動物個体データを受信した前記閲覧者端末装置3の閲覧者端末制御手段は、前記閲覧者端末装置3の閲覧者端末提示手段に当該動物個体の個体識別番号、顔の写真、全体の写真、予防接種証明書等の写真を表示する。
本動物情報システムとは別に、サービス事業者は、当該動物個体のマイクロチップ7が埋め込まれて装着されている近傍にマイクロチップリーダー8を接近させ、前記マイクロチップ7に記録されている個体識別番号を読み取り、個体識別番号がマイクロチップリーダー8に表示される。
サービス事業者は、読み取った個体識別番号と前記閲覧者端末提示手段に表示された個体識別番号の一致を確認し、当該個体を観察した現況と前記閲覧者端末提示手段に表示された当該動物個体の写真を対応させ個体の一致を確認し、さらに、前記閲覧者端末提示手段に表示された前記予防接種証明書等の写真により、当該動物個体の予防接種状況を確認することができる。
【0031】
(各データベース)
本発明に係るデータベースは、所有者端末装置2と獣医師端末装置4から登録される動物個体についての情報が記録された動物データベース、動物個体の所有者端末情報が記録された所有者端末データベース、サービス提供者の情報(閲覧者データ)が記録された閲覧者データベース、前記動物データベースのデータの出力記録を記録する履歴データベース、当該動物個体を診断、治療、処置等する獣医師の情報が記録された獣医師データベース、および災害時情報が記録された災害時データベースである。
【0032】
本発明の動物データベースのデータ項目は、以下の項目を含むことができる。
【表1】
本実施例では、動物種として、犬と猫に限っている。動物個体の写真として、顔の写真および動物個体全体の写真をその撮影の日付とともに登録することとしている。閲覧者が当該動物個体の確認を容易とするためである。また、撮影の日付を登録することにより、当該動物個体の現況との対比を容易とするためである。
また、動物個体特定情報として、所有者が複数の動物個体を管理している場合に、データを必要とする動物個体の選択を容易とするため、番号、イニシャルあるいはキャラクタを登録し特定動物の選択に用いることができる。
動物の所在地は、当該動物の所有者の所在地と同一であり、都道府県の選択としている。本動物情報システムは所有者の個人情報を扱う必要のないシステムとして構成されるが、災害時の動物保護を目的として情報公開を行う可能性があり、本項目で都道府県を指定することにより、公開の必要な範囲を限定することができる。
予防情報のうち、狂犬病予防接種、混合ワクチン接種については、カメラ撮影として、画像を入力することとしている。入力の簡便さを図るだけでなく、情報の真正性を担保するためである。
本発明において、個体識別番号、動物個体の写真、実施した予防情報は、必須の項目であるが、これ以外の上記の情報をすべて含む必要はなく、当該動物個体の所有者の使用用途に応じて、また、当該動物個体の使用するサービス事業者が必要とする項目について、入力項目とすることができる。
【0033】
本発明の閲覧者データベースのデータ項目は、以下の項目を含むことができる。
【表2】
インストール固有情報は、閲覧者が閲覧者端末装置3において、本発明のプログラムを最初に起動した際、初期設定において、前記管理装置制御手段(CPU101)により、当該インストールを一意に特定する情報として生成され、閲覧者端末装置3に送信され、閲覧端末制御手段(CPU201)により、当該閲覧者端末装置3の不揮発メモリ204に格納し保存される。
前記インストール固有情報や閲覧者端末デバイス情報は、前記閲覧者識別情報として機能させることができる。
閲覧者端末デバイス情報は、スマートフォンにおける利用者識別情報があり、AndroidID、IMEI、MACアドレスなどがある。
本発明において、上記の情報をすべて含む必要はなく、当該動物個体の所有者の使用用途に応じて、また、当該動物個体の使用するサービス事業者が必要とする項目について、入力項目とすることができる。
【0034】
本発明の所有者端末データベースのデータ項目は、以下の項目を含むことができる。
【表3】
インストール固有情報は、所有者が所有者端末装置2において、本発明のプログラムを最初に起動した際、初期設定において、前記管理装置制御手段(CPU101)により、当該インストールを一意に特定する情報として生成され、所有者端末装置2に送信され、所有者端末制御手段(CPU201)により、当該所有者端末装置の不揮発メモリ204に格納し保存される。
前記インストール固有情報や所有者端末デバイス情報は、前記所有者端末識別情報として機能させることができる。
所有者端末デバイス情報は、スマートフォンにおける利用者識別情報があり、AndroidID、IMEI、MACアドレスなどがある。
本発明において、上記の情報をすべて含む必要はないが、前記インストール固有情報と前記所有者端末デバイス情報のどちらか一方を含むことが必要である。
【0035】
本発明の履歴データベースのデータ項目は、以下の項目を含むことができる。
【表4】
【0036】
本発明の獣医師データベースのデータ項目は、以下の項目を含むことができる。
【表5】
インストール固有情報は、獣医師が獣医師端末装置4において、本発明のプログラムを最初に起動した際、初期設定において、前記管理装置制御手段(CPU101)により、当該インストールを一意に特定する情報として生成され、獣医師端末装置4に送信され、獣医師端末制御手段201により、当該獣医師端末装置4の不揮発メモリ204に格納し保存される。
前記インストール固有情報や獣医師端末デバイス情報は、獣医師識別情報として機能させることができ、獣医師端末装置4が、閲覧者端末装置として機能する場合に、閲覧者識別情報として機能する。
本発明において、上記の情報をすべて含む必要はなく、当該動物個体の所有者の使用用途に応じて、また、当該動物個体の診断・治療・処理する獣医師が必要とする項目について、入力項目とすることができる。
【0037】
本発明の災害時データベースのデータ項目は、以下の項目を含むことができる。
【表6】
災害番号は、システム管理者あるいはシステムで生成された当該災害を一意に特定する番号である。
登録番号リストは、当該災害現場にて、動物の保護・管理にあたる獣医師の登録番号のリストである。当該災害現場を管轄する公的機関等により、予め連絡を受ける等により特定する。
ある災害が発生し、本動物情報システムを適用する都道府県としては、当該災害現場に対応する一つ又は複数の都道府県を選択し、システム管理者は、前記公的機関等に前記災害番号を了知させ、前記公的機関等の使用を可能とする。
インストール固有情報は、災害現場にて動物を保護・管理する獣医師が災害時端末装置10において、本発明のプログラムを最初に起動した際、初期設定において、前記管理装置制御手段(CPU101)により、当該インストールを一意に特定する情報として生成され、災害時端末装置10に送信され、災害時端末制御手段201により、当該災害時端末装置10の不揮発メモリ204に格納し保存される。
前記インストール固有情報、災害番号および獣医師の前記登録番号は、災害時端末識別情報として機能させることができる。
本発明において、上記の情報をすべて含む必要はなく、当該動物個体の所有者の使用用途に応じて、また、当該動物個体の診断・治療・処理する獣医師が必要とする項目について、入力項目とすることができる。
【0038】
図6は、本発明のプログラムをインストールした端末装置(2,3,4,10)において、前記プログラムのメインルーチンのCPU201の処理のフローチャートである。
プログラムの起動(S600)は、前記端末装置の使用者が本プログラムを選択し、CPU201が、ROM203あるいは不揮発メモリ204に記憶された本プログラムを実行した後、CPU201は、不揮発メモリ204の変数Rを参照する。R=0の場合(S601)は、初期設定ルーチンS602を実行する。R=1の場合(S603)は、所有者ルーチンS604を実行する。R=2の場合(S605)は、閲覧者ルーチンS606を実行する。R=3の場合(S607)は、獣医師ルーチンS608を実行する。R=4の場合(S609)は、子機連携ルーチンS610を実行する。
また、本実施例においては、図6でR=5の場合(S611)に示した災害ルーチンS612を有する。前記災害ルーチンS612は、所有者からの情報が得られない災害発生時等に、災害時の動物個体に対する適切な処置が行えるように、災害現場で動物を保護・管理する公的な立場の獣医師等に対して本動物情報システムに登録されている情報を開示する機能を有する。
図6において、災害ルーチンの公的な機関からの要請により、本管理システムに、特定の獣医師等に対して、前記出力認証情報を付与して、所有者端末の承認無しに動物個体情報の閲覧を許可する。
【0039】
図7は、前記初期設定ルーチンS602の処理を示すフローチャートである。前記使用者は、まず、自らが所有者、閲覧者、獣医師、子機あるいは災害現場での獣医師であるかの属性を入力する(S701)。
前記使用者が所有者である場合、S702においてCPU201は、不揮発メモリ204の変数Rに1を設定し、当該インストールに固有の文字列からなるインストール固有情報を生成し(S702)、不揮発メモリ204に保存する。次に所有者端末文字列入力手段より当該動物個体の個体識別番号、当該動物個体を特定する動物個体特定情報および当該インストールについてのプログラム使用のためのパスワードの入力、当該所有者端末装置の端末情報利用の許可の入力等を求め(S703)、入力の終了により、CPU201は、I/F装置を介して、それまでに入力された情報を管理装置1へ送信し、管理装置1のCPU101は、受信した情報を前記所有者データベースへ記録する。CPU201はメインルーチンへ復帰する。
【0040】
前記使用者がサービス提供者である場合、S704においてCPU201は、不揮発メモリ204の変数Rに2を設定し、当該インストールに固有の文字列からなるインストール固有情報を生成し(S704)、不揮発メモリ204に保存する。次に閲覧者端末文字列入力手段より前記サービス事業者の氏名、所属等前記閲覧者データベースに必要とされる情報および当該インストールについてのプログラム使用のためのパスワードの入力、当該所有者端末装置の端末情報利用の許可の入力等を求め(S705)、入力の終了により、CPU201は、I/F装置を介して、それまでに入力された情報を管理装置1へ送信し、管理装置1のCPU101は、受信した情報を前記閲覧者データベースへ記録する。CPU201はメインルーチンへ復帰する。
【0041】
前記使用者が獣医師である場合、S706においてCPU201は、不揮発メモリ204の変数Rに3を設定し、当該インストールに固有の文字列からなるインストール固有情報を生成し(S706)、不揮発メモリ204に保存する。次に獣医師端末文字列入力手段より前記獣医師の氏名、動物病院名等前記獣医師データベースに必要とされる情報および当該インストールについてのプログラム使用のためのパスワードの入力、当該獣医師端末装置の端末情報利用の許可の入力等を求め(S707)、入力の終了により、CPU201は、I/F装置を介して、それまでに入力された情報を管理装置1へ送信し、管理装置1のCPU101は、受信した情報を前記獣医師データベースへ記録する。CPU201はメインルーチンへ復帰する。
【0042】
前記使用者が子機使用者である場合、すなわち前記所有者の家族など前記動物個体を管理する者の端末を使用する場合、前記サービス事業者において複数の端末装置で営業する場合あるいは、前記動物個体を診断・治療・処理する獣医師が開業する動物病院などで複数の端末で診断・治療・処置する場合、S706においてCPU201は、不揮発メモリ204の変数Rに4を設定し、当該インストールに固有の文字列からなるインストール固有情報を生成し(S708)、不揮発メモリ204に保存する。次に当該端末の入力装置207により、当該インストールについてのプログラム使用のためのパスワードの入力、および当該端末装置の端末情報利用の許可の入力等を求め(S709)、入力の終了により、CPU201は、I/F装置を介して、それまでに入力された情報を管理装置1へ送信し、管理装置1のCPU101は、受信した情報を一時的に一時データベースへ記録する。CPU201はメインルーチンへ復帰する。
【0043】
前記使用者が、災害現場で所有者が不明のペット動物を保護・管理する公的な立場の獣医師の場合、S706においてCPU201は、不揮発メモリ204の変数Rに5を設定し、当該インストールに固有の文字列からなるインストール固有情報を生成し(S710)、不揮発メモリ204に保存する。次に、本動物情報システムのシステム管理者から、災害を特定するために事前に割り当てられた災害番号の入力を求め(S711)、入力の終了により、CPU201は、I/F装置を介して、それまでに入力された情報を管理装置1へ送信し、管理装置1のCPU101は、受信した情報を災害時データベースへ記録する。CPU201はメインルーチンへ復帰する。
メインルーチンにおいて、CPU201は、前記初期設定ルーチンS602で設定されたRの値に従い、所有者ルーチンS604、閲覧者ルーチンS606、獣医師S607、子機連携ルーチンS610あるいは災害ルーチン612に分岐する。
【0044】
図8は、前記所有者ルーチンS604の処理を示すフローチャートである。CPU201は、パスワード入力(S801)を求め、登録済みのパスワードと照合し(S802)、一致した場合には前記所有者の管理する動物個体のうち、1の動物個体の選択を求める(S803)。動物個体の特定は、前記個体識別番号でもよいし、動物個体の名前、その他動物個体を特定する情報の入力や、選択により行うことができる。次に、CPU201は、管理装置1へ、特定された動物個体に関する履歴データベースの参照を求め、管理装置1のCPU101は、履歴データベースを前記動物個体を特定する情報に基づき検索し、前記特定された動物個体に関する履歴データを前記所有者端末装置2に送信し、前記所有者端末装置2のCPU201は、ディスプレイ206に前記履歴データを表示する(S804)。
次に、CPU201は、a:閲覧許可表示、b:情報入力、c:家族連携の選択を求める(S805)。本プログラムの初回の使用に当たっては、動物個体データが入力されていないので、『b:情報入力』が選択され、S807が実行され、前記所有者は、当該動物個体についての動物個体情報入力、管理情報入力、動物病院(獣医師の情報を含む)入力、予防情報入力を行う。
ここで、入力された動物病院は『かかりつけ動物病院』とされ、獣医師端末装置4からの当該動物個体情報のうち管理情報と予防情報について、あらかじめ入力が許可されることとなる。CPU201により受け付けられた、これらの諸情報の入力の終了により、CPU201は、I/F装置を介して、それまでに入力された情報を管理装置1へ送信し、管理装置1のCPU101は、受信した情報を当該動物個体の個体識別番号と紐付けされた動物情報データベースへ記録し、本プログラムを終了する(S809)。
S805において『a:閲覧許可表示』が選択された場合には、CPU201は、当該動物個体情報の閲覧を許可するため閲覧情報を、図5のS501~S504のシーケンスで生成し、閲覧情報提示手段としての所有者端末情報提示手段であるディスプレイ206に2次元バーコード等で表示する。S501~S503のシーケンスを用いない場合には、管理装置1との間であらかじめ取り決められている認証情報(例えば、所有者端末情報、インストール固有情報等)を用いて所有者端末装置1のCPU201が前記閲覧情報を生成して利用する。CPU201は、入力装置207からの適宜の表示終了の入力を受け付けると本プログラムを終了する(S809)。
前記閲覧情報を音響、電磁波等で生成し、その態様に応じた閲覧情報提示手段を構成してもよい。
S805において『c:家族連携』が選択された場合には、CPU201は、親機連携ルーチンS808を実行する。親機連携ルーチンについては、後に説明する。
【0045】
図9は、閲覧者ルーチンS606の処理を示すフローチャートである。CPU201は、パスワード入力(S901)を求め、登録済みのパスワードと照合し(S902)、一致した場合には、a:閲覧許可情報取得、b:施設内連携の選択を求める(S903)。『a:閲覧許可情報取得』が選択された場合には、閲覧者端末装置3の閲覧端末制御手段であるCPU201は、閲覧情報取得手段である撮像装置205を起動し(S904)、所有者端末装置1の閲覧情報提示手段であるディスプレイ206に表示された閲覧情報を取得する(S905)。取得した閲覧情報はCPU201により図5のシーケンスのS505,S506のように閲覧申請情報を生成し(S906)、図5のシーケンスのS507,S508,S509を経て、当該動物個体データを取得し(S907)、ディスプレイ206に表示する(S907)。当該動物個体データには、当該動物個体を特定する個体識別番号や当該動物個体の顔写真と全身の写真が含まれている。CPU201は、入力装置207からの適宜の表示終了の入力を受け付けると本プログラムを終了する(S809)。
【0046】
閲覧端末装置3を使用するサービス事業者は、当該事業所に来訪している当該動物個体6に取り付けられているマイクロチップ7に、本動物情報システムとは別に別途用意されたマイクロチップリーダー8を近づけてマイクロチップ7に記録されている番号を知ることができる。当該サービス事業者は、本動物情報システムにより得られた個体識別番号と前記マイクロチップリーダー8により得られた番号とを照合し、当該動物個体情報が来訪している動物個体を示していることを確認する。また、本動物情報システムにより得られた動物個体の顔写真および全体写真と来訪している動物個体とを比較し、当該動物個体情報と来訪した動物個体が一致していることを確かめることができる。そして、当該動物個体情報に含まれている当該動物個体のワクチン接種証明書が当該動物個体のものであることを確認することができる。
【0047】
前記閲覧情報を音響、電磁波等で生成し、その態様に応じた閲覧情報提示手段が構成されている場合、前記閲覧情報取得手段は、それに対応し、マイクロフォン、アンテナ等を用いことになる
S903で『b:施設内連携』が選択された場合、CPU201は、親機連携ルーチンS808を実行する。親機連携ルーチンについては、後に説明する。
【0048】
図10は、獣医師ルーチンS608の処理を示すフローチャートである。CPU201は、パスワード入力(S1001)を求め、登録済みのパスワードと照合し(S1002)、一致した場合には、a:閲覧許可情報取得b:情報入力c:施設内連携の選択を求める(S1003)。
『a:閲覧許可情報取得』が選択された場合には、獣医師端末装置4の使用者は閲覧者端末装置3の使用者と同一の権限となり、図10のS1004~S1007ステップは図9のS904~S907に準じた作動となる。このとき、獣医師端末装置4の撮像装置205は、閲覧情報を取得する閲覧情報取得手段となる。獣医師端末装置4は、当該動物個体データを取得し(S1007)、当該動物個体データが獣医師端末装置のディスプレイ206に表示する(S1007)。CPU201は、入力装置207からの適宜の表示終了の入力を受け付けると本プログラムを終了する(S809)。
S1003で『b:情報入力』が選択された場合には、S1008が実行され、獣医師は、当該動物個体の個体識別番号を入力する。続いて、CPU201は、管理情報入力、予防情報入力を受付ける(S1009)。受け付けられた、これらの諸情報の入力の終了により、CPU201は、I/F装置を介して、それまでに入力された情報を管理装置1へ送信する。管理装置1のCPU101は、当該動物個体についての管理情報入力、予防情報入力について、所在地・施設名等の対応付けによりあらかじめ当該動物個体の所有者端末装置から許可されている場合、受信した情報を当該動物個体の個体識別番号と紐付けされた動物情報データベースへ記録し、受信した情報の入力が許可されていない場合、その旨を獣医師端末装置へ送信し、本プログラムを終了する(S809)。
S1003で『c:施設内連携』が選択された場合、CPU201は、親機連携ルーチンS808を実行する。親機連携ルーチンについては、後に説明する。
【0049】
図11Aは、親機連携ルーチンの処理を示すフローチャートである。所有者ルーチンS805『c:家族連携』、閲覧者ルーチンS903『b:施設内連携』および獣医師ルーチンのS1003『c:施設内連携』は、いずれも同様のフロートなる。
親機連携ルーチンS808は、まず変数Tに現在親機が保有する変数Rの値を設定し、不揮発メモリ204に保存する。次いで、CPU201は連携情報を生成し、提示する(S1102)。前記連携情報の生成は、前記閲覧情報の生成と同様の態様により生成することができる。前記連携情報には、前記値Tの他、親機を特定する情報が含まれる。具体的には、所有者ルーチン内での連携の場合、連携しようとする当該動物個体の特定情報(通常、個体識別番号)および出力認証情報が含まれ、閲覧者ルーチン内での連携の場合は、閲覧者識別情報を含み、獣医師ルーチン内での連携の場合には、獣医師識別情報が含まれる。連携情報は、バーコードや2次元バーコードの画像、音響、電磁波でもよい。画像を用いることにより簡便確実に連携が可能となる。
CPU201は、入力装置207からの適宜の表示終了の入力(S1103)を受け付けると本プログラムを終了する(S809)。
【0050】
図11Bは、子機連携ルーチンの処理を示すフローチャートである。子機ルーチンは、メインルーチンS600のS609から分岐している。
まず、S1104では、親機より提示されている前記連携情報を取得するため、前記連係情報の態様に対応した連係情報取得手段を起動し、前記連係情報を取得する。前記連係情報取得手段は、前記連係情報が画像の場合には、端末装置の撮像装置205となり、音響の場合には、入力手段207としてのマイクロフォンであり、電磁波である場合には、I/F装置としてアンテナを配備すればよい。
S1105において、前記連携情報に含まれている変数T値を子機の変数Rに設定することで、親機と同じ端末機能として、本プログラム上で機能することとなる。また、子機のCPU201は、前記連係情報をI/F装置を介して前記管理装置1に送信する。管理装置1のCPU101は、受信した前記連携情報とS709で入力され一時データベースに記録されたデータにより、連携すべき親機と同等の機能を有する子機として、管理装置1のデータベースに登録する。管理装置1のCPU101は、管理装置1の登録が完了したら、その旨を前記子機に送信し、当該子機は本プログラムを終了する(S809)。
【0051】
図12は、災害ルーチンS612の処理を示すフローチャートである。CPU201は、使用者である獣医師の獣医師登録番号を求め(S1201)、前記災害時データベースの登録番号と照合し(S1202)、一致した場合には、保護している動物個体の個体識別番号の入力を求める(S1203)。図12においては、災害時端末識別情報として、獣医師登録番号を、使用者の使用資格を確認するために用いるが、前記災害番号を用いてもよく、また、インストール固有情報を災害時端末装置10の不揮発メモリ204から取得する場合は、S1201とS1202を省略することができる。
災害時端末装置10は、当該動物個体データを取得し(S1205)、当該動物個体データが災害時端末装置のディスプレイ206に表示する(S1205)。同時に、管理装置1は、所有者端末装置2へ当該動物個体の動物個体データを前記災害時データベースに含まれる災害番号および獣医師登録番号の災害時端末装置に送信したことを送信し、同時に、前記履歴データベースに記録する。入力装置207からの適宜の表示終了の入力を受け付けると本プログラムを終了する(S809)。
前記インストール固有情報、災害番号および獣医師の前記登録番号は、災害時端末識別情報として機能させることができる。
このとき、動物の保護・管理にあたる獣医師は、当該動物個体6に取り付けられているマイクロチップ7に、本動物情報システムとは別に別途用意されたマイクロチップリーダー8を近づけてマイクロチップ7に記録されている番号を知ることができる。当該獣医師は、本動物情報システムにより得られた個体識別番号と前記マイクロチップリーダー8により得られた番号とを照合し、当該動物個体情報が保護・管理している動物個体を示していることを確認する。また、本動物情報システムにより得られた動物個体の顔写真および全体写真と保護・管理している動物個体とを比較し、当該動物個体情報と保護・管理している動物個体が一致していることを確かめることができる。そして、当該動物個体情報に含まれている当該動物個体のワクチン接種証明書が当該動物個体のものであることを確認することができる。
災害発生時に犬や猫のペットが保護された場合に、当該動物個体の疾病管理状態が確認できるので、ペット動物の安全確保がはかられることとなる。
【0052】
前記閲覧者端末装置3の閲覧申請により前記閲覧者端末装置3に表示される動物個体情報について、前記閲覧者端末装置3の閲覧者データの所属、属性等により、あらかじめ表示する動物個体データの項目を本動物情報システムのプログラム上で設定しておくことで、必要な範囲での情報の開示にとどめることができる。
【0053】
本発明において、所有者端末装置制御手段が生成する閲覧情報は、画像情報として所有者端末に保存することができ、当該保存された閲覧情報を所有者端末情報提示手段に提示することができ、閲覧情報取得手段により取得され、前記閲覧申請情報を生成することも可能である。
また、本発明において、閲覧者端末装置の閲覧情報取得手段が閲覧情報を取得したとき、同時に閲覧者端末制御手段が当該閲覧情報に取得時刻を付加することができる。これにより、当該閲覧情報を使用して生成された閲覧申請情報を受信した管理装置が前記動物データベースの情報の出力の可否判断に制限時間を設けることができる。
【0054】
本発明において、サービス事業者は、トリミングサロン、ペットホテル、ドッグトレーナー、ドッグラン、災害発生時に開設されるシェルターなどを含み、さらに動物病院なども含まれる。
本発明の動物情報システムは、上記の通り、動物個体の所有者の個人情報を取り扱うことがなく、プライバシーが保たれる。
【0055】
また、前記管理装置1の管理装置制御手段は、前記動物情報の動物個体の写真の撮影の日付から所定期間経過したときに、当該動物個体の所有者端末装置に、当該動物個体の顔の写真と全体の写真について、画像データを更新するように促すことを通知する機能を有していてもよい。成長する動物の現況の確認を容易とすることができる。
【0056】
なお、本発明は、以上説明した実施態様に限定されることなく、本発明を逸脱しない範囲において、種々の変更が可能である。

【符号の説明】
【0057】
1 管理装置
2 所有者端末装置
3 閲覧者端末装置
4 獣医師端末装置
5 通信網
6 動物個体
7 マイクロチップ
8 マイクロチップリーダー
9 個体識別番号
10 災害時端末装置
101、201 CPU
102、202 RAM
103、203 ROM
104 記憶装置
105、206 ディスプレイ
106、207 入力装置
107、208 不揮発メモリ
205 撮像装置
108、209 システムバス
50 動物情報システム
【要約】
【課題】
本発明は、犬猫などの動物についてサービスを受ける場合に、情報提供の安全性と利便性を兼ね備えた動物情報システムおよびプログラムを提供する。
【解決手段】
本発明は、所有者端末装置に閲覧情報を提示し、閲覧者端末が前記閲覧情報を取得し、前記閲覧情報に基づいて、管理装置に閲覧申請し、許可された場合にサービス事業者である閲覧者が必要な情報を入手しすることができるので、所有者の安全性と利便性を図ることができる。さらに管理装置には所有者の個人情報を用いずに、所有者端末情報のみを登録し使用するので、所有者の情報を含まないので、所有者の情報管理において高度の安全性を実現することができる。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12