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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-14
(45)【発行日】2022-09-26
(54)【発明の名称】地盤削孔装置及び地盤調査方法
(51)【国際特許分類】
   E02D 1/00 20060101AFI20220915BHJP
   E21B 3/00 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
E02D1/00
E21B3/00
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2017234774
(22)【出願日】2017-12-07
(65)【公開番号】P2019100138
(43)【公開日】2019-06-24
【審査請求日】2020-11-26
(73)【特許権者】
【識別番号】598085906
【氏名又は名称】株式会社立川機械製作所
(73)【特許権者】
【識別番号】506332605
【氏名又は名称】基礎地盤コンサルタンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080838
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 光康
(74)【代理人】
【識別番号】100194261
【弁理士】
【氏名又は名称】栢原 崇行
(72)【発明者】
【氏名】立川 日出男
(72)【発明者】
【氏名】立川 智勝
(72)【発明者】
【氏名】武政 学
【審査官】石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-008447(JP,A)
【文献】米国特許第04735270(US,A)
【文献】特開2001-020268(JP,A)
【文献】米国特許第06039508(US,A)
【文献】実開平01-035283(JP,U)
【文献】特開平06-299532(JP,A)
【文献】特開2011-149151(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 1/00
E21B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端部に円錐形状または螺子形状の金属体を備え掘削機能を有した地盤調査装置を有し、調査地盤に挿入されるロッドと、板状で、その中央部に形成され、前記ロッドが貫通可能な貫通孔を有するターンテーブルと、該ターンテーブルを回転させる駆動装置と、前記ターンテーブルに設けられ、前記ロッドを装着可能な送り出し装置と、少なくとも前記ロッドの送り出し量を記録することができるエンコーダーと、少なくとも前記ロッドの押し込み荷重を測定できる貫入時荷重計又は引き抜き時の荷重を測定できる引き上げ時荷重計のいずれかとで構成され、前記送り出し装置は前記ロッドを所定の荷重又は送り出し速度で連続的に送り出し、又は、所定の引き上げ力又は引き上げ速度でロッドを連続的に引き上げることができる地盤削孔装置。
【請求項2】
前記送り出し装置は、複数個のローラーを用いてロッドを挟み込み、前記ローラーを回転させることによりロッドを連続的に送り出すことを特徴とする請求項1に記載の地盤削孔装置。
【請求項3】
前記送り出し装置は、少なくとも1対の無限軌道を用いてロッドを挟み込み、前記無限軌道を回転させることによりロッドを連続的に送り出すことを特徴とする請求項1に記載の地盤削孔装置。
【請求項4】
前記送り出し装置は、対向する少なくとも1対のウォームホイールギヤを用いるとともに、前記ロッドにこのウォームホイールギヤと噛み合うウォームギヤを形成し、前記ウォームホイールギヤを回転させることによりロッドを連続的に送り出すことを特徴とする請求項1に記載の地盤削孔装置。
【請求項5】
前記送り出し装置の前記ロッドとの接触面は、複数の曲率を組み合わせた断面とすることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の地盤削孔装置。
【請求項6】
先端部に円錐形状または螺子形状の金属体を備え掘削機能を有した地盤調査装置を有し、調査地盤に挿入されるロッドと、板状で、その中央部に形成され、前記ロッドが貫通可能な貫通孔を有するターンテーブルと、該ターンテーブルを回転させる駆動装置と、前記ターンテーブルに設けられ、前記ロッドを装着可能な送り出し装置と、少なくとも前記ロッドの送り出し量を記録することができるエンコーダーと、少なくとも前記ロッドの押し込み荷重を測定できる貫入時荷重計又は引き抜き時の荷重を測定できる引き上げ時荷重計のいずれかとからなる地盤削孔装置を調査対象地盤の地面に設置する設置工程と、該設置工程後に、少なくとも前記送り出し装置により前記ロッドに所定の荷重若しくは送り出し速度を付加する付加工程、前記ロッドに回転を加える回転付加工程、所定の深さまで連続的に前記ロッドを貫入させる貫入工程、又は連続的に前記ロッドを引き上げる引き上げ工程のいずれかを行う地盤調査方法。
【請求項7】
前記送り出し装置は、複数個のローラーを用いてロッドを挟み込み、前記ローラーを回転させることによりロッドを連続的に送り出すことを特徴とする請求項6に記載の地盤調査方法。
【請求項8】
前記送り出し装置は、少なくとも1対の無限軌道を用いてロッドを挟み込み、前記無限軌道を回転させることによりロッドを連続的に送り出すことを特徴とする請求項6に記載の地盤調査方法。
【請求項9】
前記送り出し装置は、対向する少なくとも1対のウォームホイールギヤを用いるとともに、前記ロッドにこのウォームホイールギヤと噛み合うウォームギヤを形成し、前記ウォームホイールギヤを回転させることによりロッドを連続的に送り出すことを特徴とする請求項6に記載の地盤調査方法。
【請求項10】
前記送り出し装置の前記ロッドとの接触面は、複数の曲率を組み合わせた断面とすることを特徴とする請求項6乃至請求項8のいずれかに記載の地盤調査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤調査に用いられる地盤削孔装置及び地盤調査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
宅地の地盤調査に用いられるスウェーデン式サウンディングにおいては、金属製のスクリューポイントに接続されたロッドに、最大1000N(100kg)の錘を用いて荷重をかけ、手動でハンドルを回転させてスクリューポイントを地盤にねじり込む作業を行い、荷重、半回転数、貫入深度を基に地盤の締まり具合を調査する手法が知られている。
【0003】
スウェーデン式サウンディングは、前述した手動式以外にも、自動化した装置が多数開発されているが、基本的には、ロッドを固定するクランプと、クランプとロッドを水平回転させる動力部が一体となった昇降ユニットを昇降用ピラー又はガイドパイプに沿わせて下降させることでスクリューポイントを調査対象地盤に対して回転させながら貫入させる機構を基本としている。
【0004】
昇降ユニットの上昇・下降は、例えば、昇降ユニットに昇降用のモーターを内臓するもの(特許文献1)や、流体シリンダーを用いるもの(特許文献2)、チェーンやベルトによるもの(特許文献3)、パンタグラフを用いるもの(特許文献4)など、様々な手法が公知となっている。
【0005】
スウェーデン式サウンディングの他に、地盤調査で一般的に用いられているボーリングマシンは、スピンドルに貫通させたロッドをロッドチャックで固定し、スピンドルを回転させながら油圧シリンダーで上下動させる構造のものが知られている。
ボーリングマシンでは、スピンドルを回転させる動力は上下しない構造になっているものの、ロッドを固定して回転させるスピンドルが油圧シリンダーによって上下動を繰り返してロッドを送り出すという点で自動スウェーデン式サウンディング装置と類似した構造である。
【0006】
昇降ユニット又はスピンドルを下降させて貫入させる公知の掘削装置に共通する問題として、貫入量が昇降ユニット又はスピンドルの上下動のストロークに規定される点が指摘される。ストローク以上に貫入させるためには、貫入作業を一旦停止し、昇降ユニット又はスピンドルを上昇させた後にロッドに接続し、貫入を再開するという手順が必要となる。
【0007】
また、1回のストロークでロッドを貫入しようとした場合、ストロークを大きくしなければならず、装置が非常に大型化してしまうという欠点があった。
【0008】
このような機械的特徴により、サウンディング調査は断続的な作業となってタイムロスが発生しているほか、昇降ユニット又はスピンドルを上昇させる際には掘削先端の負荷を解放してしまうため、地盤を緩めてしまい、調査データが乱れてしまうことがあった。
また、ロッドの接続作業や、ロッドチャックでの固定作業は指詰め事故や、ツールの落下事故の原因となる作業である。
【0009】
特許文献5では、地盤に貫入させたロッドを、ギヤを用いて引き抜く装置や、同装置を用いて再度地盤に貫入させる方法が開示されているが、同装置には掘削能力や地盤調査の機能は有しておらず、ウインチの代替装置としての装置である。
【0010】
東日本大震災以降、宅地は耐震性能を向上させるために、これまでよりも深い深度まで精度の高い調査が求められており、従来多用されていたスウェーデン式サウンディングの装置を利用しつつも、スウェーデン式サウンディングのサウンディング方法にとらわれないサウンディング方法やそのサウンディング方法に適した装置が求められるようになっている。
【0011】
また、土木におけるボーリング調査については、今後懸念される人材不足を補うための自動化や、ボーリング作業時の回転数や給圧、掘進長を調査データ化する計測ボーリングの研究が進んでいる。
【0012】
本発明は、自動スウェーデン式サウンディングマシンやボーリングマシンの持つ問題点を改善しつつ、今後求められるサウンディングやボーリングなどの地盤調査手法の発展に利用できるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】特開平6-299532号公報
【文献】特開平10-121453号公報
【文献】特開平11-123842号公報
【文献】特開平10-8447号公報
【文献】特開2013-1299760号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は以上のような従来の欠点に鑑み、昇降ユニットの上昇・下降を必要とせず、連続的にロッドを回転貫入することができ、作業効率の向上と地盤データの精度及び安全性を向上させることができる地盤削孔装置及び地盤調査方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、本発明の地盤削孔装置は、先端部に円錐形状または螺子形状の金属体を備え掘削機能を有した地盤調査装置を有し、調査地盤に挿入されるロッドと、板状で、その中央部に形成され、前記ロッドが貫通可能な貫通孔を有するターンテーブルと、該ターンテーブルを回転させる駆動装置と、前記ターンテーブルに設けられ、前記ロッドを装着可能な送り出し装置と、少なくとも前記ロッドの送り出し量を記録することができるエンコーダーと、少なくとも前記ロッドの押し込み荷重を測定できる貫入時荷重計又は引き抜き時の荷重を測定できる引き上げ時荷重計のいずれかとで構成され、前記送り出し装置は前記ロッドを所定の荷重又は送り出し速度で連続的に送り出し、又は、所定の引き上げ力又は引き上げ速度でロッドを連続的に引き上げることができることを特徴とする。
【0016】
また、本発明による地盤調査方法は、先端部に円錐形状または螺子形状の金属体を備え掘削機能を有した地盤調査装置を有し、調査地盤に挿入されるロッドと、板状で、その中央部に形成され、前記ロッドが貫通可能な貫通孔を有するターンテーブルと、該ターンテーブルを回転させる駆動装置と、前記ターンテーブルに設けられ、前記ロッドを装着可能な送り出し装置と、少なくとも前記ロッドの送り出し量を記録することができるエンコーダーと、少なくとも前記ロッドの押し込み荷重を測定できる貫入時荷重計又は引き抜き時の荷重を測定できる引き上げ時荷重計のいずれかとからなる地盤削孔装置を調査対象地盤の地面に設置する設置工程と、該設置工程後に、少なくとも前記送り出し装置により前記ロッドに所定の荷重若しくは送り出し速度を付加する付加工程、前記ロッドに回転を加える回転付加工程、所定の深さまで連続的に前記ロッドを貫入させる貫入工程、又は連続的に前記ロッドを引き上げる引き上げ工程のいずれかを行うことを特徴とする。
【0017】
ここで、「貫入」とは、調査対象物(地盤)を貫くことではなく。調査対象地盤内に地盤調査装置を挿入することを意味する。
【発明の効果】
【0018】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
(1)請求項1、請求項2、請求項6及び請求項7に記載された各発明においては、送り出し装置及びターンテーブルによって、ロッドに回転を加えながら連続的に地盤に貫入させること、又は連続的に引き上げることができる。
したがって、断続的であった調査作業を連続して行えるようになることから、作業効率を向上させることができ、地盤データの精度及び安全性を向上させることができる。
(2)また、ロッドをクランプで挟む作業がなくなるため、指詰め事故が発生しない安全な作業が可能となる。
(3)ターンテーブル自体を回転させることにより、ロッドを軸とした大径の回転体の外周にロッドを回転させる動力を接続するため、公知の地盤削孔装置と同等の大きさの筐体でも、大きな回転力をロッドに与えることができる
(4)請求項3及び請求項8に記載された発明も、前記(1)~(3)と同様な効果が得られるとともに、無限軌道が略面接触状態でロッドを挟持するため、より大きな荷重をロッドに加えることができる。
(5)請求項4及び請求項9に記載された発明も、前記(1)~(3)と同様な効果が得られるとともに、ギヤがロッドと噛み合うため、より大きな荷重をロッドに加えることができる。
(6)請求項5及び請求項10に記載された発明も、前記(1)~(3)と同様な効果が得られるとともに、複数の直径のロッドを容易に装着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1乃至図6は本発明の第1の実施形態を示す説明図である。
図7乃至図9は本発明の第2の実施形態を示す説明図である。
図10乃至図12は本発明の第3の実施形態を示す説明図である。
図13乃至図15は本発明の第4の実施形態を示す説明図である。
図1】第1実施形態の地盤削孔装置の概略図。
図2】第1実施形態の地盤調査方法の工程図。
図3】ターンテーブル、駆動装置及び送り出し装置の説明図。
図4】送り出し装置の接触面(シュー)の説明図。
図5】荷重付加工程の説明図。
図6】貫入工程の説明図。
図7】第2実施形態の地盤削孔装置の概略図。
図8】第2実施形態の地盤調査方法の工程図。
図9】ターンテーブル、駆動装置及び送り出し装置の説明図。
図10】第3実施形態の地盤削孔装置の概略図。
図11】第3実施形態の地盤調査方法の工程図。
図12】ターンテーブル、駆動装置及び送り出し装置の説明図。
図13】第4実施形態の地盤削孔装置の概略図。
図14】第4実施形態の地盤調査方法の工程図。
図15】ターンテーブル、駆動装置及び送り出し装置の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面に示す本発明を実施するための形態により、本発明を詳細に説明する。
【0021】
図1乃至図6に示す本発明を実施するための第1の形態において、1は調査対象地盤のサウンディング試験(スウェーデン式サウンディング試験やスウェーデン式サウンディング試験に類似した地盤調査等)を行うことができる地盤削孔装置である。
なお、本実施形態においては、その一例としてスウェーデン式サウンディング試験に用いる場合を説明する。
【0022】
この地盤削孔装置1は、図1に示すように、先端部にスクリューポイントや掘削機能を有した地盤調査装置2を有し、調査対象地盤G(以下、「地盤」という)に挿入されるロッド3と、板状で、その中央部に前記ロッド3を貫通状態で取り付けることができる貫通孔4を有するターンテーブル5と、該ターンテーブル5を回転させる駆動装置6と、前記ターンテーブル5の上面に設けられ、前記ロッド3を保持状態で装着することができるローラー7を用いた送り出し装置8と、地盤Gの地面に設置する台座9と、この台座9を地面に固定するアンカー10と、前記ターンテーブル5、駆動装置6、貫入時荷重計11、引き上げ時荷重計12及びエンコーダー13を内蔵し、前記ロッド3が貫通する筐体14とで構成されている。
【0023】
ロッド3は、棒状のロッド本体3aと先端部に設けられたスクリューポイント2とで構成されている。ロッド本体3aは、スウェーデン式サウンディング試験を行うために十分な長さを有するように構成されている。
【0024】
スクリューポイント2はロッド本体3aの先端部に固定的又は一体に設けられており、荷重と回転を加えることで地盤Gを掘削できる形状に形成されている。
【0025】
ターンテーブル5は、図3に示すように、本実施形態では、円盤状で前記筐体14に引き上げ時荷重計12を介して固定されており、その外周面には後述する駆動装置6のピニオン15と噛み合う歯16が形成されている。
【0026】
また、ターンテーブル5の中央部には貫通孔4が形成されており、この貫通孔4にはロッド3が貫通状態で挿入される。
【0027】
駆動装置6は、図3に示すように、本実施形態では、前記筐体14に固定されたモーター17と、このモーター17の駆動軸18に取り付けられ、前記ターンテーブル5の外周面に形成された歯16と噛み合うピニオン15とで構成されている。この駆動装置6を駆動させることにより、ターンテーブル5がロッド3を軸として回転する。
【0028】
送り出し装置8は、図3に示すように、長尺状のロッド3を備え、又はロッド3を装着可能なもので、本実施形態では、前記ターンテーブル5の上面にあらかじめ固定的に取り付けられており、本実施形態においては、ターンテーブル5の上面に固定される送り出し装置本体19と、この送り出し装置本体19の一側面に設けられた1対のローラー7とで構成されている。
【0029】
このローラー7は、前記ロッド3のロッド本体3aを挟持するとともに、送り出し装置本体19に内蔵された、図示しないアクチュエーター(例えばモーター)等により正逆回転し、ロッド3を上昇・下降させるものである。
【0030】
このローラー7の正逆回転により、ロッド3に所定の荷重を付加すること、ロッド3を所定の速度で連続的に送り出すこと、ロッド3を所定の引き上げ力で引き上げること、所定の送り出し速度でロッドを連続的に引き上げることができる。
【0031】
この送り出し装置8のローラー7とロッド本体3aとの接触面(シュー)7aは、図4に示すように、複数の径のロッドの曲率を組み合わせた断面とすることで、異なる径のロッドに対応することができる。また、ローラー7の交換又はロッド3を挟む左右の送り出し装置8の間隔を調整することで、径のことなるロッドを使用することができる。
【0032】
本実施形態では、対向する2方向からロッド3をシューによって挟持状態で固定しているが、3方向からシューでロッド3を固定してもよい。3方向以上の方向からロッドを固定することで、ロッド3のほぼ全周からロッド3を強固に固定することができる。例えば、ロータリー式ボーリングマシンでのロッドの固定は3個以上のチャックピースによりロッドを固定されることが多く、径の大きなロッド3を使う場合や、より大きな掘進力を必要とする場合に有効である。
【0033】
この地盤削孔装置1を使用して行われる地盤調査方法20は、本実施形態においては図2に示すように、地盤削孔装置1を地盤Gの地面に設置する設置工程21と、該設置工程21後に、少なくとも前記送り出し装置により前記ロッドに所定の荷重若しくは送り出し速度を付加する付加工程22、前記ロッドに回転を加える回転付加工程23、所定の深さまで連続的に前記ロッドを貫入させる貫入工程24、又は連続的に前記ロッドを引き上げる引き上げ工程25のいずれかを行うものである。
【0034】
本実施形態ではスウェーデン式サウンディング試験を例に説明しているので、付加工程22、回転付加工程23及び貫入工程24を行う。スウェーデン式サウンディング試験に類似する試験の場合、これらのいずれかを行う地盤調査方法20としてもよいし、これらの工程全てを行う地盤調査方法20としてもよい。
【0035】
設置工程21では、地盤Gの地面に台座9をアンカー10にて固定し、この台座9の上部に筐体14を固定する。なお、台座9と地盤Gを棒状又はスクリュー状のアンカー10を用いて固定することで、大きな反力を得ることができるが、小さい反力で足りる場合には台座9または筐体14に錘を設置することでアンカーを代用することができる。
【0036】
付加工程22では、図5に示すように、ロッド3の先端部(スクリューポイント2の先端部)を地盤Gの地面に接地した後、送り出し装置8のローラー7を回転させ、ロッド3に荷重を加える。
【0037】
一般的なスウェーデン式サウンディング試験では、この付加工程22において、最大1000N(100kg)の荷重を加え、ロッドの沈み込みがなく静止している場合には貫入工程23へ移行する。荷重は送り出し装置8の駆動力から得ることができる。ところで、本願発明では1000Nに限定することなく荷重を加えることができる。
【0038】
この付加工程22後に、回転付加工程23及び貫入工程24を同時に行う。回転付加工程23では、図6に示すように、駆動装置6により送り出し装置8が固定されたターンテーブル5を回転させ、この送り出し装置8に固定されたロッド3を回転させる。
【0039】
また、この回転付加工程23を行う際に送り出し装置8を駆動することによりロッド3の先端部のスクリューポイント2が地盤Gを掘削し、ロッド3が地盤G内へと侵入する貫入工程24を行うことができる。
【0040】
一般的なスウェーデン式サウンディング試験では、ロッド3を25cm貫入させるのに要した半回転数を記録する。
【0041】
なお、この貫入工程24を行った後は、必要に応じてロッド3を地盤から引き上げる引き上げ工程25を行う。この引き上げ工程25では、送り出し装置8のローラー7を貫入時と逆方向に回転させ、ロッド3を上方へ移動させる。
【0042】
ここで、掘削時に取得する情報であるロッド3の回転数、貫入深度・引き上げ深度は、送り出し装置8のアクチュエーターから得られる電気的情報により得ることができるが、締まりの良い地盤を調査する場合には送り出し装置8のロッド圧挟部(シュー7a)が滑り、実際の回転数や貫入深度・引き上げ深度と誤差が生じることがある。
【0043】
このような場合、別途ロッド3の回転と昇降を記録するためのエンコーダー13を内蔵することで、より正確な回転数と送り出し量を把握することができる。筐体14の不動点にエンコーダー13を設置する場合には、2軸のエンコーダーにより回転数と送り出し量を計測できる。エンコーダーを送り出し装置8に設置した場合には、1軸のエンコーダーにより、送り出し量を把握し、記録することができる。
【0044】
また、ロッド3を地盤に押し込む、又は引き抜く際に作用する荷重は、送り出し装置8の駆動力から求めることができるが、台座9を介して地盤に固定した筐体14に作用する反力を測定することで、より直接的に取得することができる。スクリューポイント2を地盤に押し込む際の反力は、送り出し装置8の上面と筐体14との間に作用し、スクリューポイント2を引き上げる際の反力は送り出し装置8の下面と筐体14との間に作用する。これらの荷重をそれぞれ貫入時荷重計11と引き上げ時荷重計12で測定して記録することができる。
【0045】
なお、負荷も測定できる荷重計を用いて1箇所で測定するなどすることで反力を計測することもでき、荷重計は既知のバネ計数を有するバネと変位計を組み合わせで代用することもできる。また、滑車やテコ、流体、治具等を用いて荷重の作用点を変更して計測することも可能である。
【0046】
[発明を実施するための異なる形態]
次に、図7乃至図15に示す本発明を実施するための異なる形態につき説明する。なお、これらの本発明を実施するための異なる形態の説明に当って、前記本発明を実施するための第1の形態と同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0047】
図7乃至図9に示す本発明を実施するための第2の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、送り出し装置本体19に複数対のローラー7を設け、この複数対のローラー7でロッド3を挟持状態で固定する送り出し装置8Aを用い、モーター17にプーリー26を取り付け、プーリー形状のターンテーブル5Aを用いて、プーリー26とターンテーブル5Aとをベルト27で接続した駆動装置6Aにするとともに、このような駆動装置6A及び送り出し装置8Aを用いた付加工程22A、回転付加工程23A及び貫入工程24Aにした点で、このような地盤削孔装置1A及び地盤調査方法20Aにしても前記本発明を実施するための第1の形態と同様な作用効果が得られる。
【0048】
図10乃至図12に示す本発明を実施するための第3の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、送り出し装置本体19に1対の無限軌道28を設け、この1対の無限軌道28でロッド3を挟持状態で固定する送り出し装置8Bを用い、底面の内側に歯16を形成したターンテーブル5Bと、このターンテーブル5Bの下方に、この歯16と噛み合うピニオン15及びモーター17を設けた駆動装置6Bにするとともに、このような駆動装置6B及び送り出し装置8Bを用いた付加工程22B、回転付加工程23B及び貫入工程24Bにした点で、このような地盤削孔装置1B及び地盤調査方法20Bにしても前記本発明を実施するための第1の形態と同様な作用効果が得られる。
【0049】
なお、本実施形態においても、送り出し装置8Bの無限軌道28の接触面(シュー)は、複数の直径の曲率を組み合わせたものを用いることで異なる径のロッドに対応することができる。また、無限軌道28は1対でなくてもよく、複数対設けてもよい。
【0050】
図13乃至図15に示す本発明を実施するための第4の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、送り出し装置本体19に対向するように複数対のウォームホイールギヤ29を設けるとともに、ロッド本体3aの少なくとも一部に、このウォームホイールギヤ29と噛み合うウォームギヤ30を形成したロッド3Aとし、前記対向するウォームホイールギヤ29をロッド3のウォームギヤ30とかみ合わせ、前記ウォームホイールギヤ29を回転させることによりロッド3を連続的に送り出す送り出し装置8Cとし、この送り出し装置8Cを用いた付加工程22C及び貫入工程24Cにした点で、このような地盤削孔装置1C及び地盤調査方法20Cにしても前記本発明を実施するための第1の形態と同様な作用効果が得られる。
【0051】
本実施形態においては、ウォームホイールギヤ29を複数対(複数組)備え、上下方向のウォームギヤ29の回転を同期させるようにウォームギヤ29と噛み合う小ギヤ31を設けている。
なお、ウォームギヤ29は左右1対(1組)のみ備えるように構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明はサウンディングを行う産業において利用されるほか、土木工事におけるボーリング等を行う産業で利用される。
【符号の説明】
【0053】
1、1A、1B、1C:地盤削孔装置、
2:地盤調査装置、 3、3A:ロッド、
4:貫通孔、 5、5A、5B:ターンテーブル、
6、6A、6B:駆動装置、 7:ローラー、
8、8A、8B、8C:送り出し装置、
9:台座、 10:アンカー、
11:貫入時荷重計、 12:引き上げ時荷重計、
13:エンコーダー、 14:筐体、
15:ピニオン、 16:歯、
17:モーター、 18:駆動軸、
19:送り出し装置本体、
20、20A、20B、20C:地盤調査方法、
21:設置工程、
22、22A、22B、22C:付加工程、
23、23A、23B:回転付加工程、
24、24A、24B、24C:貫入工程、
25:引き上げ工程、 26:プーリー、
27:ベルト、 28:無限軌道、
29:ウォームホイールギヤ、 30:ウォームギヤ、
31:小ギヤ、 G:調査対象地盤。
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