(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-14
(45)【発行日】2022-09-26
(54)【発明の名称】廃棄物処理管理システム、廃棄物処理管理サーバ、廃棄物処理管理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/40 20120101AFI20220915BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20220915BHJP
B65F 5/00 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
G06Q20/40 300
G06Q50/10 ZAB
B65F5/00
(21)【出願番号】P 2018051844
(22)【出願日】2018-03-19
【審査請求日】2021-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】511090534
【氏名又は名称】株式会社グリーナー
(74)【代理人】
【識別番号】100163267
【氏名又は名称】今中 崇之
(72)【発明者】
【氏名】黒瀬 啓介
(72)【発明者】
【氏名】三根 進也
【審査官】塩田 徳彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/109061(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0008671(US,A1)
【文献】特開2003-296518(JP,A)
【文献】国際公開第2016/164310(WO,A1)
【文献】特開2011-027349(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
B65F 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物を排出する排出事業者が操作する排出事業者端末と、
前記廃棄物の処理を管理する管理事業者によって運用される廃棄物処理管理サーバと、
前記廃棄物を収集して運搬する収集運搬業者が操作する収集運搬業者端末と、を備え、
前記排出事業者端末、前記廃棄物処理管理サーバ、及び前記収集運搬業者端末が互いにネットワークを介して接続され、電子マニフェストに基づいて前記廃棄物の処理を管理する廃棄物処理管理システムであって、
前記収集運搬業者端末が、カメラ及びGPS機能を有し、撮影場所の位置情報をそれぞれ含む前記廃棄物の収集先における該廃棄物の写真P1及び運搬先における該廃棄物の写真P2を撮影できる端末であり、
前記廃棄物処理管理サーバが、前記廃棄物の収集先及び運搬先の所在地の情報をそれぞれ記憶する記憶手段と、
前記写真P1の情報に含まれる前記位置が前記収集先の所在地の情報から予め設定された距離の範囲内にあり、前記写真P2の情報に含まれる前記位置が前記運搬先の所在地の情報から予め設定された距離の範囲内にあることである第1の条件の成否を判定する第1の条件判定手段と、
前記写真P1及び前記写真P2からそれぞれ求められた前記廃棄物の量と前記収集運搬業者が前記収集運搬業者端末を介して入力した前記廃棄物の量とが実質的に一致することである第2の条件の成否を判断する第2の条件判定手段と、
前記写真P1として撮影された前記廃棄物及び前記写真P2として撮影された前記廃棄物が、前記収集運搬業者が前記収集運搬業者端末を介して入力した廃棄物の種類と実質的に同一であることである第3の条件の成否を判定する第3の条件判定手段と、
マニフェスト情報が電子マニフェストシステムに登録されたことである第4の条件の成否を判定する第4の条件判定手段と、
ブロックチェーンネットワークに参加しており、前記第1~第4の条件が全て成立することを条件とし、前記排出事業者又は前記管理事業者のウォレットAから前記収集運搬業者のウォレットBへ仮想通貨又はポイントを移すことを内容とする契約を作成するコントラクト作成手段と、を有する廃棄物処理管理システム。
【請求項2】
廃棄物を排出する排出事業者が操作する排出事業者端末と、
前記廃棄物の処理を管理する管理事業者によって運用される廃棄物処理管理サーバと、
前記廃棄物を収集して運搬する収集運搬業者が操作する収集運搬業者端末と、を備え、
前記排出事業者端末、前記廃棄物処理管理サーバ、及び前記収集運搬業者端末が互いにネットワークを介して接続され、電子マニフェストに基づいて前記廃棄物の処理を管理する廃棄物処理管理システムであって、
前記収集運搬業者端末が、カメラ及びGPS機能を有し、撮影場所の位置情報をそれぞれ含む前記廃棄物の収集先における該廃棄物の写真P1及び運搬先における該廃棄物の写真P2を撮影できる端末であり、
前記廃棄物処理管理サーバが、前記廃棄物の収集先及び運搬先の所在地の情報をそれぞれ記憶する記憶手段と、
前記写真P1の情報に含まれる前記位置が前記収集先の所在地の情報から予め設定された距離の範囲内にあり、前記写真P2の情報に含まれる前記位置が前記運搬先の所在地の情報から予め設定された距離の範囲内にあることである第1の条件の成否を判定する第1の条件判定手段と、
前記写真P1及び前記写真P2からそれぞれ求められた前記廃棄物の量と前記収集運搬業者が前記収集運搬業者端末を介して入力した前記廃棄物の量とが実質的に一致することである第2の条件の成否を判断する第2の条件判定手段と、
前記写真P1として撮影された前記廃棄物及び前記写真P2として撮影された前記廃棄物が、前記収集運搬業者が前記収集運搬業者端末を介して入力した廃棄物の種類と実質的に同一であることである第3の条件の成否を判定する第3の条件判定手段と、
マニフェスト情報が電子マニフェストシステムに登録されたことである第4の条件の成否を判定する第4の条件判定手段と、
前記廃棄物処理管理サーバが、前記収集運搬業者に対して決済処理を実行することが承認されたことである第5の条件の成否を判定する第5の条件判定手段と、
ブロックチェーンネットワークに参加しており、前記第1~第5の条件が全て成立することを条件とし、前記排出事業者又は前記管理事業者のウォレットAから前記収集運搬業者のウォレットBへ仮想通貨又はポイントを移すことを内容とする契約を作成するコントラクト作成手段と、を有する廃棄物処理管理システム。
【請求項3】
請求項1又は2記載の廃棄物処理管理システムが備える廃棄物処理管理サーバ。
【請求項4】
請求項2記載の廃棄物処理管理システムを用いた廃棄物処理管理方法であって、
前記第1~第3の条件判定手段が、それぞれ前記第1~第3の条件が成立したことを判定し、
前記第4の条件判定手段が前記第4の条件が成立したことを判定し、
前記第5の条件判定手段が前記第5の条件が成立したことを判定する廃棄物処理管理方法。
【請求項5】
廃棄物を排出する排出事業者が操作する排出事業者端末と、前記廃棄物を収集する収集運搬業者が撮影場所の位置情報をそれぞれ含む前記廃棄物の収集先における該廃棄物の写真P1及び運搬先における該廃棄物の写真P2を撮影するための
収集運搬業者端末と、にネットワークを介して接続され、電子マニフェストに基づいて前記廃棄物の処理を管理する管理事業者によって運用され、ブロックチェーンネットワークに参加している廃棄物処理管理サーバを、
前記廃棄物の収集先及び運搬先の所在地の情報を記憶する記憶手段、
前記写真P1の情報に含まれる前記位置が前記収集先の所在地の情報から予め設定された距離の範囲内にあり、前記写真P2の情報に含まれる前記位置が前記運搬先の所在地の情報から予め設定された距離の範囲内にあることである第1の条件の成否を判定する第1の条件判定手段、
前記写真P1及び前記写真P2からそれぞれ求められた前記廃棄物の量と前記収集運搬業者が前記収集運搬業者端末を介して入力した前記廃棄物の量とが実質的に一致することである第2の条件の成否を判断する第2の条件判定手段、
前記写真P1として撮影された前記廃棄物及び前記写真P2として撮影された前記廃棄物が、前記収集運搬業者が前記収集運搬業者端末を介して入力した廃棄物の種類と実質的に同一であることである第3の条件の成否を判定する第3の条件判定手段、
マニフェスト情報が電子マニフェストシステムに登録されたことである第4の条件の成否を判定する第4の条件判定手段、
前記第1~第4の条件が全て成立することを条件とし、前記排出事業者又は前記管理事業者のウォレットAから前記収集運搬業者のウォレットBへ仮想通貨又はポイントを移すことを内容とする契約を作成するコントラクト作成手段、として機能させるためのプログラム。
【請求項6】
廃棄物を排出する排出事業者が操作する排出事業者端末と、前記廃棄物を収集する収集運搬業者が撮影場所の位置情報をそれぞれ含む前記廃棄物の収集先における該廃棄物の写真P1及び運搬先における該廃棄物の写真P2を撮影するための
収集運搬業者端末と、にネットワークを介して接続され、電子マニフェストに基づいて前記廃棄物の処理を管理する管理事業者によって運用され、ブロックチェーンネットワークに参加している廃棄物処理管理サーバを、
前記廃棄物の収集先及び運搬先の所在地の情報を記憶する記憶手段、
前記写真P1の情報に含まれる前記位置が前記収集先の所在地の情報から予め設定された距離の範囲内にあり、前記写真P2の情報に含まれる前記位置が前記運搬先の所在地の情報から予め設定された距離の範囲内にあることである第1の条件の成否を判定する第1の条件判定手段、
前記写真P1及び前記写真P2からそれぞれ求められた前記廃棄物の量と前記収集運搬業者が前記収集運搬業者端末を介して入力した前記廃棄物の量とが実質的に一致することである第2の条件の成否を判断する第2の条件判定手段、
前記写真P1として撮影された前記廃棄物及び前記写真P2として撮影された前記廃棄物が、前記収集運搬業者が前記収集運搬業者端末を介して入力した廃棄物の種類と実質的に同一であることである第3の条件の成否を判定する第3の条件判定手段、
マニフェスト情報が電子マニフェストシステムに登録されたことである第4の条件の成否を判定する第4の条件判定手段、
前記収集運搬業者に対して決済処理を実行することが承認されたことである第5の条件の成否を判定する第5の条件判定手段、
前記第1~第5の条件が全て成立することを条件とし、前記排出事業者又は前記管理事業者のウォレットAから前記収集運搬業者のウォレットBへ仮想通貨又はポイントを移すことを内容とする契約を作成するコントラクト作成手段、として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄物処理管理システム、廃棄物処理管理サーバ、廃棄物処理管理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、特に新築、建替、リフォームにおいて工程毎に発生する産業廃棄物が収集業者に収集された後で産廃処分業者(総称して産廃業者ともいう)に渡されるまでの廃棄物の流れを一括管理すると共に、廃棄物を画像で管理する廃棄物管理システムが記載されている。
この廃棄物管理システムにおいては、運搬担当者が電子秤で廃棄物回収袋の重量を計測し、携帯端末でICタグのタグ番号を読み込んで、車輌番号及び運搬担当者及び通信カメラID並びに回収日時等を携帯端末に登録する。そして、産廃業者で、重量を電子秤で計測し、携帯端末でICタグのタグ番号を読み込んで、荷降日時等と共に、携帯端末に登録した後に、産廃業者携帯端末送信情報を通信ネットワークで基幹サーバに送信させる。一方、基幹サーバは、産廃業者携帯端末送信情報の回収日時に対して直前の撮影日時を有する通信カメラ送信情報を引当て、この撮影画像を産廃業者携帯端末送信情報に紐付けて管理する。
【0003】
非特許文献1には、電子マニフェストの仕組み、特徴、及び導入の手順等が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献】
【0005】
【文献】「電子マニフェストガイドブック」、公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター、平成28年、ver.2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、電子マニフェストを利用した廃棄物の処理過程を透明化するとともに、事務処理の負担を低減できる廃棄物処理管理システム、廃棄物処理管理サーバ、廃棄物処理管理方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、廃棄物を排出する排出事業者が操作する排出事業者端末と、前記廃棄物の処理を管理する管理事業者によって運用される廃棄物処理管理サーバと、前記廃棄物を収集して運搬する収集運搬業者が操作する収集運搬業者端末と、を備え、前記排出事業者端末、前記廃棄物処理管理サーバ、及び前記収集運搬業者端末が互いにネットワークを介して接続され、電子マニフェストに基づいて前記廃棄物の処理を管理する廃棄物処理管理システムであって、前記収集運搬業者端末が、カメラ及びGPS機能を有し、撮影場所の位置情報をそれぞれ含む前記廃棄物の収集先における該廃棄物の写真P1及び運搬先における該廃棄物の写真P2を撮影できる端末であり、前記廃棄物処理管理サーバが、前記廃棄物の収集先及び運搬先の所在地の情報をそれぞれ記憶する記憶手段と、前記写真P1の情報に含まれる前記位置が前記収集先の所在地の情報から予め設定された距離の範囲内にあり、前記写真P2の情報に含まれる前記位置が前記運搬先の所在地の情報から予め設定された距離の範囲内にあることである第1の条件の成否を判定する第1の条件判定手段と、前記写真P1及び前記写真P2からそれぞれ求められた前記廃棄物の量と前記収集運搬業者が前記収集運搬業者端末を介して入力した前記廃棄物の量とが実質的に一致することである第2の条件の成否を判断する第2の条件判定手段と、前記写真P1として撮影された前記廃棄物及び前記写真P2として撮影された前記廃棄物が、前記収集運搬業者が前記収集運搬業者端末を介して入力した廃棄物の種類と実質的に同一であることである第3の条件の成否を判定する第3の条件判定手段と、マニフェスト情報が電子マニフェストシステムに登録されたことである第4の条件の成否を判定する第4の条件判定手段と、ブロックチェーンネットワークに参加しており、前記第1~第4の条件が全て成立することを条件とし、前記排出事業者又は前記管理事業者のウォレットAから前記収集運搬業者のウォレットBへ仮想通貨又はポイントを移すことを内容とする契約を作成するコントラクト作成手段と、を有する廃棄物処理管理システムである。
【0008】
請求項2に記載の発明は、廃棄物を排出する排出事業者が操作する排出事業者端末と、前記廃棄物の処理を管理する管理事業者によって運用される廃棄物処理管理サーバと、前記廃棄物を収集して運搬する収集運搬業者が操作する収集運搬業者端末と、を備え、前記排出事業者端末、前記廃棄物処理管理サーバ、及び前記収集運搬業者端末が互いにネットワークを介して接続され、電子マニフェストに基づいて前記廃棄物の処理を管理する廃棄物処理管理システムであって、前記収集運搬業者端末が、カメラ及びGPS機能を有し、撮影場所の位置情報をそれぞれ含む前記廃棄物の収集先における該廃棄物の写真P1及び運搬先における該廃棄物の写真P2を撮影できる端末であり、前記廃棄物処理管理サーバが、前記廃棄物の収集先及び運搬先の所在地の情報をそれぞれ記憶する記憶手段と、前記写真P1の情報に含まれる前記位置が前記収集先の所在地の情報から予め設定された距離の範囲内にあり、前記写真P2の情報に含まれる前記位置が前記運搬先の所在地の情報から予め設定された距離の範囲内にあることである第1の条件の成否を判定する第1の条件判定手段と、前記写真P1及び前記写真P2からそれぞれ求められた前記廃棄物の量と前記収集運搬業者が前記収集運搬業者端末を介して入力した前記廃棄物の量とが実質的に一致することである第2の条件の成否を判断する第2の条件判定手段と、前記写真P1として撮影された前記廃棄物及び前記写真P2として撮影された前記廃棄物が、前記収集運搬業者が前記収集運搬業者端末を介して入力した廃棄物の種類と実質的に同一であることである第3の条件の成否を判定する第3の条件判定手段と、マニフェスト情報が電子マニフェストシステムに登録されたことである第4の条件の成否を判定する第4の条件判定手段と、前記廃棄物処理管理サーバが、前記収集運搬業者に対して決済処理を実行することが承認されたことである第5の条件の成否を判定する第5の条件判定手段と、ブロックチェーンネットワークに参加しており、前記第1~第5の条件が全て成立することを条件とし、前記排出事業者又は前記管理事業者のウォレットAから前記収集運搬業者のウォレットBへ仮想通貨又はポイントを移すことを内容とする契約を作成するコントラクト作成手段と、を有する廃棄物処理管理システムである。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2記載の廃棄物処理管理システムが備える廃棄物処理管理サーバである。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項2記載の発明を用いた廃棄物処理管理方法であって、前記第1~第3の条件判定手段が、それぞれ前記第1~第3の条件が成立したことを判定し、前記第4の条件判定手段が前記第4の条件が成立したことを判定し、前記第5の条件判定手段が前記第5の条件が成立したことを判定する廃棄物処理管理方法である。
【0011】
請求項5に記載の発明は、廃棄物を排出する排出事業者が操作する排出事業者端末と、前記廃棄物を収集する収集運搬業者が撮影場所の位置情報をそれぞれ含む前記廃棄物の収集先における該廃棄物の写真P1及び運搬先における該廃棄物の写真P2を撮影するための収集運搬業者端末と、にネットワークを介して接続され、電子マニフェストに基づいて前記廃棄物の処理を管理する管理事業者によって運用され、ブロックチェーンネットワークに参加している廃棄物処理管理サーバを、前記廃棄物の収集先及び運搬先の所在地の情報を記憶する記憶手段、前記写真P1の情報に含まれる前記位置が前記収集先の所在地の情報から予め設定された距離の範囲内にあり、前記写真P2の情報に含まれる前記位置が前記運搬先の所在地の情報から予め設定された距離の範囲内にあることである第1の条件の成否を判定する第1の条件判定手段、前記写真P1及び前記写真P2からそれぞれ求められた前記廃棄物の量と前記収集運搬業者が前記収集運搬業者端末を介して入力した前記廃棄物の量とが実質的に一致することである第2の条件の成否を判断する第2の条件判定手段、前記写真P1として撮影された前記廃棄物及び前記写真P2として撮影された前記廃棄物が、前記収集運搬業者が前記収集運搬業者端末を介して入力した廃棄物の種類と実質的に同一であることである第3の条件の成否を判定する第3の条件判定手段、マニフェスト情報が電子マニフェストシステムに登録されたことである第4の条件の成否を判定する第4の条件判定手段、前記第1~第4の条件が全て成立することを条件とし、前記排出事業者又は前記管理事業者のウォレットAから前記収集運搬業者のウォレットBへ仮想通貨又はポイントを移すことを内容とする契約を作成するコントラクト作成手段、として機能させるためのプログラムである。
【0012】
請求項6に記載の発明は、廃棄物を排出する排出事業者が操作する排出事業者端末と、前記廃棄物を収集する収集運搬業者が撮影場所の位置情報をそれぞれ含む前記廃棄物の収集先における該廃棄物の写真P1及び運搬先における該廃棄物の写真P2を撮影するための収集運搬業者端末と、にネットワークを介して接続され、電子マニフェストに基づいて前記廃棄物の処理を管理する管理事業者によって運用され、ブロックチェーンネットワークに参加している廃棄物処理管理サーバを、前記廃棄物の収集先及び運搬先の所在地の情報を記憶する記憶手段、前記写真P1の情報に含まれる前記位置が前記収集先の所在地の情報から予め設定された距離の範囲内にあり、前記写真P2の情報に含まれる前記位置が前記運搬先の所在地の情報から予め設定された距離の範囲内にあることである第1の条件の成否を判定する第1の条件判定手段、前記写真P1及び前記写真P2からそれぞれ求められた前記廃棄物の量と前記収集運搬業者が前記収集運搬業者端末を介して入力した前記廃棄物の量とが実質的に一致することである第2の条件の成否を判断する第2の条件判定手段、前記写真P1として撮影された前記廃棄物及び前記写真P2として撮影された前記廃棄物が、前記収集運搬業者が前記収集運搬業者端末を介して入力した廃棄物の種類と実質的に同一であることである第3の条件の成否を判定する第3の条件判定手段、マニフェスト情報が電子マニフェストシステムに登録されたことである第4の条件の成否を判定する第4の条件判定手段、前記収集運搬業者に対して決済処理を実行することが承認されたことである第5の条件の成否を判定する第5の条件判定手段、前記第1~第5の条件が全て成立することを条件とし、前記排出事業者又は前記管理事業者のウォレットAから前記収集運搬業者のウォレットBへ仮想通貨又はポイントを移すことを内容とする契約を作成するコントラクト作成手段、として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、電子マニフェストを利用した廃棄物の処理過程を透明化するとともに、事務処理の負担を低減できる廃棄物処理管理システム、廃棄物処理管理サーバ、廃棄物処理管理方法、及びプログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】廃棄物の処理工程の一例を示す説明図である。
【
図2】本発明の一実施の形態に係る廃棄物処理管理システムの構成図である。
【
図3】同廃棄物処理管理システムが備える廃棄物処理管理サーバの機能ブロック図である。
【
図4】同廃棄物処理管理システムが備える廃棄物処理管理サーバの記憶手段の説明図である。
【
図5】同廃棄物処理管理システムを用いた廃棄物処理管理の流れを示す説明図である。
【
図6】同廃棄物処理管理システムを用いた決済処理の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。なお、図において、説明に関連しない部分は図示を省略する場合がある。
【0016】
廃棄物の処理工程は、例えば
図1に示すように、排出工程P1、収集運搬工程P2、保管工程P3、及び処分工程P4を含んでいる。
排出工程P1は、例えば顧客から建築物のリフォーム業務を受注したリフォーム事業者(排出事業者の一例)が、リフォーム作業により発生した廃棄物を排出する工程である。ここで、このリフォーム事業者は、フランチャイズ形式による事業を展開しており、排出事業者としての本部と加盟店とが存在する。ただし、排出事業者はフランチャイズ形式による事業を実施していなくてもよく、単一の事業者であってもよい。従って、以下、本部及び加盟店を区別することなく、このリフォーム事業者を単に「排出事業者」という場合がある。
【0017】
収集運搬工程P2は、収集運搬業者が廃棄物を収集及び運搬し、予め決められた保管場所に運搬する工程である。
【0018】
保管工程P3は、保管業者が廃棄物を保管施設にて保管する工程である。なお、保管業者は、この保管工程P3において、必要に応じて廃棄物を収集及び運搬する作業が発生する場合があるので、前述の収集運搬業者に含まれうる。
【0019】
処分工程P4は、処分業者が廃棄物を処分する工程である。なお、処分業者は、この処分工程P4において、必要に応じて廃棄物を収集及び運搬する作業が発生する場合があるので、前述の収集運搬業者に含まれうる。
【0020】
本発明の一実施の形態に係る廃棄物処理管理システム10は、
図2に示すように、排出事業者端末C1、C2、収集運搬業者端末MD、及び廃棄物処理管理サーバSVGを備え、電子マニフェストに基づいて廃棄物の処理を管理できる。排出事業者端末C1、C2、収集運搬業者端末MD、及び廃棄物処理管理サーバSVGは、互いにインターネット(ネットワークの一例)Nを介して接続されている。
ここで、インターネットNには、公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター(以下、「情報処理センター」という。)が運用する電子マニフェストシステム(JWNETサーバSVJ)が接続されている。すなわち、排出事業者端末C1、C2、収集運搬業者端末MD、及び廃棄物処理管理サーバSVGから、それぞれ情報処理センターへアクセスできる。
【0021】
また、排出事業者端末C1、C2、収集運搬業者端末MD、及び廃棄物処理管理サーバSVGは、コンソーシアム型のブロックチェーンネットワーク(以下、「コンソーシアムチェーン」という。)に参加している。コンソーシアムチェーンは、特定複数の事業者が参加できるブロックチェーンであり、必要に応じて、予め許可された保管業者、処分業者、又は金融機関の端末も参加できる。
【0022】
排出事業者端末C1、C2は、前述のリフォーム事業者が操作する端末である。排出事業者端末C1及び排出事業者端末C2は、それぞれ例えば、本部及び加盟店の所在地に設置されたコンピュータである。
なお、廃棄物処理管理システム10において、本部が行う操作や作業を代わりに加盟店が行ってもよいし、加盟店が行う操作や作業を代わりに本部が行ってもよい。
【0023】
収集運搬業者端末MDは、収集運搬業者が操作する端末であり、例えば、収集運搬業者の担当者が所持する携帯端末である。この携帯端末は、カメラ及びGPS機能を有している。
収集運搬業者端末MDは、インターネットNに接続できれば任意でよく、収集運搬業者の所在地に設置されたコンピュータであってもよい。また、収集運搬業者端末MDは、一収集運搬業者につき複数存在してもよい。
【0024】
廃棄物処理管理サーバSVGは、廃棄物の処理を管理する管理事業者によって運用されるサーバである。
廃棄物処理管理サーバSVGは、
図3に示すように、記憶手段202、業者選択手段203、受渡確認情報送信手段204、位置情報確認手段205、更新手段206、第1~第5の条件判定手段208a~208e、及びコントラクト作成手段210を有している。
なお、廃棄物処理管理サーバSVGは、廃棄物処理管理サーバSVGにて実行されるプログラムによって、これら各手段として機能する。
【0025】
記憶手段202は、例えばハードディスクドライブ装置を有し、
図4に示すように、受渡確認情報、仮登録情報、収集運搬業者のデータベース、処理料金情報、及び運搬先所在地情報を記憶できる。
受渡確認情報は、少なくとも、電子マニフェスト制度における受渡確認票に記載される情報を含み、第1の情報、第2の情報、及び第3の情報から構成されている。
【0026】
第1の情報は、排出事業者が廃棄物処理管理サーバSVGにアクセスすることによって提供される情報であり、例えば、マニフェスト番号、お客様名(リフォーム依頼者名)、お客様宅の郵便番号、廃棄物の回収現場となるお客様宅の住所(廃棄物の収集先の所在地)、配達工事伝票番号、排出予定日、作業工程日、リフォーム種別、登録協力業者(リフォーム事業者の依頼に基いて実質的に建築物のリフォーム作業を行うリフォーム業者)、回収条件、及び廃棄物の排出予測量の情報を含んでいる。なお、回収条件とは、回収車輌の種類、2名での搬出や手運び運搬が必要な特殊回収の有無、廃棄物の排出予定数量等の情報である。
第2の情報は、後述する業者選択手段203又は管理事業者によって提供される情報であり、例えば、収集運搬業者の名称及び所在地の情報である。
第3の情報は、収集運搬業者が廃棄物処理管理サーバSVGにアクセスすることによって提供される情報であり、例えば、交付年月日、廃棄物の品目毎の排出量、荷姿、廃棄物の運搬先(処分事業場等)の所在地、廃棄物の処分方法、車両番号、運搬車名等の情報である。
【0027】
仮登録情報は、マニフェスト情報及び廃棄物を撮影した撮影場所の位置情報を含む複数の位置情報付き写真の情報から少なくとも構成される情報である。
マニフェスト情報は、電子マニフェストシステムに登録される情報であり、受渡確認情報に基いて構成される。
複数の位置情報付き写真は、それぞれ、収集運搬業者が収集先にて撮影した廃棄物の写真P1及び運搬先にて撮影した廃棄物の写真P2である。各写真P1、P2には、それぞれGPSを用いて取得された撮影場所の位置情報が関連付けられている。
【0028】
収集運搬業者のデータベースは、複数の収集運搬業者が登録されたデータベースである。本データベースには、複数の収集運搬業者の情報(名称や所在地等)が登録されている。なお、本データベースに登録された各収集運搬業者は、管理事業者によって予め決められた基準を満たすことが審査された信頼性の高い業者である。
【0029】
処理料金情報は、複数の収集運搬業者によってそれぞれ設定された廃棄物の処理に掛かる料金に関する情報である。処理料金は、各収集運搬業者が廃棄物処理管理サーバSVGにアクセスして設定される。
処理料金は、収集運搬費、処分費、産業廃棄物税、及び追加料金(廃棄物の収集先までの距離や積み込み作業の負担に応じた費用等)から構成される。
【0030】
運搬先所在地情報は、収集運搬業者が廃棄物を運搬する運搬先の所在地の情報であり、管理事業者によって予め設定されている。運搬先の所在地は、例えば処分事業場の所在地である。
【0031】
業者選択手段203は、記憶手段202に記憶された廃棄物の収集先の所在地(お客様宅の住所)、収集運搬業者の所在地、及び各収集運搬業者の処理料金情報に基づいて、廃棄物の処理料金を演算し、この処理料金が最低金額となる収集運搬業者を選択できる。
【0032】
受渡確認情報送信手段204は、インターネットNを介して収集運搬業者端末MDに受渡確認情報を送信できる。
【0033】
位置情報確認手段205は、写真P1の情報に含まれる位置が収集先の所在地の情報から予め設定された距離の範囲内にあり、写真P2の情報に含まれる位置が運搬先の所在地の情報から予め設定された距離の範囲内にあることを確認できる。この距離の範囲は、記憶手段202に記憶されている。
【0034】
更新手段206は、電子マニフェストシステムに登録されている最新のマニフェスト情報に基いて、記憶手段202に記憶されたマニフェスト情報を更新することができる。更新手段206は、予め決められた期間毎にマニフェスト情報を更新できる。
【0035】
第1の条件判定手段208aは、第1の条件の成否を判定できる。この第1の条件とは、写真P1の情報に含まれる位置が受渡確認情報に含まれる収集先の所在地の情報から予め設定された距離の範囲内にあり、写真P2の情報に含まれる位置が受渡確認情報又は運搬先所在地情報に含まれる運搬先の所在地の情報から予め設定された距離の範囲内にあることである。
従って、前述の位置情報確認手段205が、廃棄物の写真P1、P2に関連付けられた位置情報がそれぞれ収集先及び運搬先の所在地から予め設定された距離の範囲内にあることを確認すると、第1の条件判定手段208aは、第1の条件が成立したと判定する。
【0036】
第2の条件判定手段208bは、第2の条件の成否を判定できる。この第2の条件とは、写真P1及び写真P2からそれぞれ求められた廃棄物の量と収集運搬業者が収集運搬業者端末を介して入力した廃棄物の量とが一致することである。なお、ここに言う「一致」とは、厳密な意味での一致ではない。即ち、「一致」とは、予め決められた不一致度合いが許容された、「実質的な一致」という意味である(以下、同様)。
廃棄物の量は、例えばAR(Augmented Reality)を用いることによって写真P1及び写真P2からそれぞれ求められる。
【0037】
第3の条件判定手段208cは、第3の条件の成否を判定できる。この第3の条件とは、写真P1に記録された廃棄物及び写真P2に記録された廃棄物が、収集運搬業者が収集運搬業者端末を介して入力した廃棄物の種類と同一であることである。なお、ここに言う「同一」とは、厳密な意味での同一ではない。即ち、「同一」とは、予め決められた不同一度合いが許容された、「実質的な同一」という意味である(以下、同様)。
写真P1に記録された廃棄物及び写真P2に記録された廃棄物の種類は、例えばAI(Artificial Intelligence)を用いた画像処理によって求められる。
【0038】
第4の条件判定手段208dは、第4の条件の成否を判定できる。この第4の条件とは、受渡確認情報に基いて構成されたマニフェスト情報が電子マニフェストシステムに本登録されたことである。
第4の条件判定手段208dは、マニフェスト情報が電子マニフェストシステムに本登録されることを監視しており、本登録がなされると第4の条件が成立したものと判定する。
【0039】
第5の条件判定手段208eは、第5の条件の成否を判定できる。この第5の条件とは、排出事業者又は管理事業者によって、収集運搬業者に対して決済処理を実行することが承認されたことである。
第5の条件判定手段208eは、排出事業者又は管理事業者が決済処理の実行について承認することを監視しており、承認がなされると第5の条件が成立したものと判定する。
【0040】
コントラクト作成手段210は、予め決められた条件及び予め決められた内容の契約を作成できる。
予め決められた条件は、第1~第5の条件が全て成立することである。
予め決められた内容は、排出事業者又は管理事業者が使用できるウォレットAから収集運搬業者が使用できるウォレットBへ廃棄物を収集及び運搬した対価を仮想通貨により送金することである。
すなわち、コントラクト作成手段210が作成した契約をブロックチェーンに登録した後、収集運搬業者が廃棄物を収集及び運搬し、第1~第5の条件が全て成立すると、スマートコントラクトによって自動的に収集運搬業者に対する決済処理がなされる。
【0041】
なお、契約の条件は第1~第4の条件が全て成立することとしてもよい。この場合、第1~第4の条件が全て成立すると、決済処理の実行について承認を要することなく、自動的に収集運搬業者に対する決済処理がなされる。
また、対価の支払は仮想通貨によらなくてもよく、例えば、コンソーシアムチェーンに参加する金融機関、排出事業者、又は管理事業者が独自に発行するポイントであってもよい。すなわち、契約の内容がウォレットAからウォレットBへポイントを移すことであってもよい。
【0042】
次に、廃棄物処理管理システム10を用いた廃棄物処理管理方法(収集運搬業者に対する決済処理を除く)について、
図5に基いて説明する。なお、以下に示す各ステップは、可能な場合は、順番が入れ替わって実行されてもよいし、並行して実行されてもよい。
【0043】
(ステップS1)
排出事業者(本部又は加盟店)が、電子マニフェストにおけるマニフェスト番号を取得する。マニフェスト番号は、情報処理センターが提供する予約登録を活用することによって取得できる。
一方で、コントラクト作成手段210が、取得されたマニフェスト番号に対応する廃棄物処理について、予め決められた条件及び予め決められた内容の契約を作成する。
なお、契約は、本ステップS1にて作成されなくてもよく、ステップS2、ステップS3、又はステップS4にて作成されてもよい。作成された契約は適切なタイミングにてブロックチェーンに登録される。
【0044】
(ステップS2)
排出事業者がリフォーム作業を顧客から受注する。リフォーム作業の詳細が明確になり、このリフォーム作業によって発生する廃棄物を処理する必要があると判断されると、排出事業者(加盟店)が、排出事業者端末C2(
図2参照)を介して、廃棄物処理管理サーバSVGに受渡確認情報に含まれるマニフェスト番号その他の第1の情報(
図4参照)を登録する。
この受渡確認情報に含まれる第1の情報の登録をもって、廃棄物管理が開始される。
【0045】
(ステップS3)
廃棄物処理管理サーバSVGの業者選択手段203(
図3参照)が収集運搬業者を選択する。
なお、本ステップS3においては、管理事業者が人手によって受渡確認情報(
図4参照)を確認し、その受渡確認情報に基いて、複数の収集運搬業者の中からその廃棄物の収集運搬に適切な収集運搬業者を選択してもよい。
その後、選択された収集運搬業者が手配される。
また、本ステップにより、受渡確認情報に含まれる第2の情報が確定するので、管理事業者は第2の情報を廃棄物処理管理サーバSVG(
図2参照)に登録する。
【0046】
(ステップS4)
選択された収集運搬業者が、廃棄物処理管理サーバSVGの記憶手段202(
図3参照)に記憶された受渡確認情報を取得し、確認する。詳細には、廃棄物処理管理サーバSVGの受渡確認情報送信手段204(
図3参照)が、収集運搬業者の要求に基いて、受渡確認情報(
図4参照)を送信する。
次に、収集運搬業者が、取得した受渡確認情報を例えばFAXを用いてリフォーム業者(リフォーム事業者の依頼に基いて実質的に建築物のリフォーム作業を行う業者)に送信する。FAXを受信したリフォーム業者は、受渡確認情報を確認し、例えば排出予定日に変更がある場合には、収集運搬業者に変更内容を連絡する。
【0047】
次に、リフォーム業者によるリフォーム作業が行われ廃棄物が排出されると、収集運搬業者が、受渡確認情報に含まれる排出予定日に廃棄物の排出現場に出向き、廃棄物を回収する。
収集運搬業者は、廃棄物の回収現場(収集先)にて、収集運搬業者端末MD(
図2参照)を用いて、排出された廃棄物の写真P1を撮影する。この写真P1には、GPSによって撮影時に取得された位置情報が含まれている。また収集運搬業者は、収集した廃棄物を運搬した後、収集運搬業者端末MDを用いて、運搬先の処分事業場にて廃棄物の写真P2を撮影する。この写真P2にも、GPSによって撮影時に取得された位置情報が含まれている。
その後、収集運搬業者は、収集運搬業者端末MDを用いて、廃棄物の運搬先その他の受渡確認情報に含まれる第3の情報及び写真P1、P2(
図4参照)を廃棄物処理管理サーバSVGに送信し、登録する。
【0048】
なお、受渡確認情報に含まれる第3の情報及び写真P1、P2を送信するタイミングは任意でよく、一括して送信せずに順次送信してもよい。
また、収集運搬業者端末MD(
図2参照)が収集運搬業者の所在地に設置されたコンピュータである場合には、このコンピュータを用いて、第3の情報及び写真P1、P2が送信されてもよい。
このように、収集運搬業者が収集先及び運搬先にてそれぞれ撮影した位置情報付きの廃棄物の写真P1、P2が登録されるので、実際には収集運搬業者が廃棄物を運搬していないにもかかわらず、運搬したように見せかける不正が抑制され、産業廃棄物の処理過程が透明化される。
【0049】
(ステップS5)
第1~第3の条件判定手段208a~208cが、収集運搬業者端末MDから送信された第3の情報及び写真P1、P2に基いて、それぞれ第1~第3の条件の成否を判定する。
第1~第3の条件判定手段208a~208cが、それぞれ第1~第3の条件が成立したと判断すると、次ステップS6が実行される。
【0050】
(ステップS6)
管理事業者が、仮登録情報に含まれるマニフェスト情報を電子マニフェストシステムに本登録する。その際、管理事業者はEDI方式により電子マニフェストシステムにマニフェスト情報を送信する。
マニフェスト情報が本登録されると、第4の条件判定手段208dは第4の条件が成立したと判定し、次ステップS7が実行される。
【0051】
(ステップS7)
収集運搬業者が、それぞれ、電子マニフェストシステムに対して廃棄物の運搬が終了したことを報告する。
具体的には、収集運搬業者が自ら直接JWNETサーバSVJにアクセスし、それぞれWeb方式を利用して廃棄物の収集日及び処分完了日を登録する。登録には一般的に使用されるWeb方式を利用するので、収集運搬業者が操作方法に迷うことなく、廃棄物の運搬を終了したことを報告できる。
なお、変更が必要な場合には、廃棄物の確定した数量も登録される。
【0052】
(ステップS8)
廃棄物処理管理サーバSVGの更新手段206(
図3参照)が、電子マニフェストシステムに登録されている最新のマニフェスト情報に基づいて、記憶手段202に記憶されたマニフェスト情報を更新する。更新は予め決められた期間毎に実行される。
【0053】
(ステップS9)
排出事業者が、ステップS4にて廃棄物処理管理サーバSVGに登録された仮登録情報(マニフェスト情報及び写真P1、P2)を確認する。排出事業者は、仮登録情報に問題がなければ、廃棄物処理管理サーバSVG上にて収集運搬業者に対して決済処理を実行することを承認する。
承認がなされると、第5の条件判定手段208eは第5の条件が成立したと判定する。
【0054】
(ステップS10)
排出事業者は、排出事業者端末C1又は排出事業者端末C2(
図2参照)を介して廃棄物処理管理サーバSVGのマニフェスト情報(
図4参照)を参照することで、廃棄物の処理状況を確認できる。
【0055】
次に、収集運搬業者に対する決済処理について、
図6に基いて説明する。
ステップS5にて第1~第3の条件が成立し、ステップS6にて第4の条件が成立し、ステップS9にて第5の条件が成立すると、コントラクト作成手段210がステップS1にて作成した契約の内容が履行される。すなわち、スマートコントラクトによって排出事業者又は管理事業者のウォレットAから収集運搬業者のウォレットBへ対価が送金される。
【0056】
保管業者が収集運搬業者となる場合には、保管工程P3について第1~第5の条件が成立すると、スマートコントラクトによって排出事業者又は管理事業者のウォレットAから収集運搬業者のウォレットCへ対価が送金される。
処分業者が収集運搬業者となる場合には、処分工程P4について第1~第5の条件が成立すると、スマートコントラクトによって排出事業者又は管理事業者のウォレットAから収集運搬業者のウォレットDへ対価が送金される。
【0057】
なお、コントラクト作成手段210が作成した契約の条件が第1~第4の条件が全て成立することである場合には、第1~第4の条件が全て成立すると、決済処理の実行についての承認を要することなく、自動的に送金がなされる。
【0058】
以上説明したように、本実施の形態に係る廃棄物処理管理システム10によれば、一連のステップを経て廃棄物の処理が管理されるので、電子マニフェストを利用した産業廃棄物の処理過程が透明化される。
また、第1~第5の条件判定手段208a~208eがそれぞれ第1~第5の条件の成否を判定し、各条件が全て成立すると決済処理がなされるので、廃棄物の処理管理に要する事務処理の負担が低減される。
【0059】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記した形態に限定されるものでなく、要旨を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用範囲である。
廃棄物は、建設系の廃棄物に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0060】
10 廃棄物処理管理システム
202 記憶手段
203 業者選択手段
204 受渡確認情報送信手段
205 位置情報確認手段
206 更新手段
208a 第1の条件判定手段
208b 第2の条件判定手段
208c 第3の条件判定手段
208d 第4の条件判定手段
208e 第5の条件判定手段
210 コントラクト作成手段
C1、C2 排出事業者端末
MD 収集運搬業者端末
N インターネット
SVG 廃棄物処理管理サーバ
SVJ JWNETサーバ