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特許7141705シール構造およびシール方法ならびにこのシール構造を備えた継手
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  • 特許-シール構造およびシール方法ならびにこのシール構造を備えた継手 図1
  • 特許-シール構造およびシール方法ならびにこのシール構造を備えた継手 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-14
(45)【発行日】2022-09-26
(54)【発明の名称】シール構造およびシール方法ならびにこのシール構造を備えた継手
(51)【国際特許分類】
   F16J 15/06 20060101AFI20220915BHJP
   F16L 19/03 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
F16J15/06 F
F16L19/03
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018547741
(86)(22)【出願日】2017-10-26
(86)【国際出願番号】 JP2017038598
(87)【国際公開番号】W WO2018079632
(87)【国際公開日】2018-05-03
【審査請求日】2020-08-26
【審判番号】
【審判請求日】2021-12-07
(31)【優先権主張番号】P 2016212814
(32)【優先日】2016-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390033857
【氏名又は名称】株式会社フジキン
(74)【代理人】
【識別番号】100106091
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 直都
(74)【代理人】
【識別番号】100079038
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 彰
(72)【発明者】
【氏名】平松 浩司
(72)【発明者】
【氏名】山路 道雄
(72)【発明者】
【氏名】大道 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】薬師神 忠幸
(72)【発明者】
【氏名】柳田 保昌
(72)【発明者】
【氏名】船越 高志
【合議体】
【審判長】平瀬 知明
【審判官】尾崎 和寛
【審判官】岡本 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2001-516862(JP,A)
【文献】特開2015-175518(JP,A)
【文献】特開2010-90939(JP,A)
【文献】特開2009-74619(JP,A)
【文献】特開2016-14468(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16J 15/00-15/14
F16L 17/00-19/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに連通する流体通路をそれぞれ有している第1の部材および第2の部材との突き合わせ部に設けられ、第1および第2の部材の一部を構成とするシール構造であって、
前記両部材間に介在させられる環状のガスケットを備えており、少なくとも一方の部材のガスケット対向面は、内径側の第1の面と、前記第1の面の外径側に連なって設けられた環状の第1突起と、前記第1突起の外径側に連なって設けられ、かつ前記第1の面に対して突出した第2の面と、前記第2の面の外径側に連なって設けられ、かつ前記第1突起よりも前記第2の面に対する突出量が大きい環状の第2突起と、前記第2突起の外径側に連なって設けられ、かつ前記第1の面および前記第2の面に対して凹まされた第3の面とを備えており、
前記第1突起および第2突起がガスケットに食い込み、少なくとも前記第2の面がガスケットを押圧していることでシール性が確保されているとともに、内径側に位置する前記第1突起によるシール性が低下した場合において、前記第2の面が全周で前記ガスケットを押圧しているとともに、前記第1突起よりも突出量が大きい外径側に位置する前記第2突起が全周で前記ガスケットに食い込んでいることにより、シール性が維持されることを特徴とするシール構造。
【請求項2】
互いに連通する流体通路をそれぞれ有している第1の部材と第2の部材とをねじで締め付けて接続する際のシール方法であって、前記両部材間に環状のガスケットを介在させるとともに、少なくとも一方の部材の前記ガスケットに対向する面に、内径側の第1の面と、前記第1の面の外径側に連なる環状の第1突起と、前記第1突起の外径側に連なり、かつ前記第1の面に対して突出させられた第2の面と、前記第2の面の外径側に連なり、かつ前記第1突起よりも前記第2の面に対する突出量が大きい環状の第2突起と、前記第2突起の外径側に連なり、かつ前記第1の面および前記第2の面に対して凹まされた第3の面とをそれぞれ設けておき、
前記ねじの締付けに伴って、まず、前記第2突起を前記ガスケットの側面に当接させ、次いで、前記第1突起を前記ガスケットの側面に当接させ、次いで、前記第2の面を前記ガスケットに当接させることでシール性を確保するとともに、内径側に位置する前記第1突起によるシール性が低下した場合において、前記第2の面が全周で前記ガスケットを押圧しているとともに、前記第1突起よりも突出量が大きい外径側に位置する前記第2突起が全周で前記ガスケットに食い込んでいることにより、シール性を維持することを特徴とするシール方法。
【請求項3】
互いに連通する流体通路をそれぞれ有している第1および第2の部材と、前記両部材同士を結合する締付手段と、前記両部材の突き合わせ部に設けられるシール構造とを備えている継手であって、前記シール構造が請求項1のものとされていることを特徴とする継手。
【請求項4】
逆止弁機構が内蔵されていることを特徴とする請求項3の継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、逆止弁機構を内蔵した継手などで使用されるシール構造およびシール方法ならびにこのシール構造を備えた継手に関する。
【背景技術】
【0002】
継手として、互いに連通する流体通路を有している第1および第2の継手部材と、両継手部材の突き合わせ部に配置されたシール部材(Oリング、ガスケットなど)と、継手部材同士を結合する締付手段(ナットなど)とを備えているものは、よく知られている。
【0003】
継手において、シール性の向上は、最大の課題であり、特許文献1には、高圧用配管継手で使用されるシール構造として、環状のガスケットを備えており、各継手部材のガスケット対向面に環状の第1突起を設けるとともに、この第1突起の外径側に共回り防止の環状の第2突起を設けたものが開示されている。
【0004】
また、継手として、栓体およびこれを付勢する付勢部材を有する逆止弁機構を内蔵したものがあり、インライン式逆止弁などと称されている(特許文献2)。特許文献2では、第1の部材と第2の部材との突き合わせ部には、パッキンが介在させられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-14468号公報
【文献】特開2015-175518号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
継手は、シール性確保に厳しい種々の条件下で使用されており、低温条件も、その1つとなっている。低温条件では、低温流体(例えば、液体窒素、液体酸素、液体ヘリウム、液体水素など)が繰り返し流され、温度サイクルに伴う収縮によるシール性の劣化が懸念される。特許文献2に示されている逆止弁においてシール部材として使用されているパッキンは、低温流体用としては、シール性に問題があった。
【0007】
また、特許文献1に突き合わせ面に突起を2ヶ所設けたシール構造が記載されているが、低温条件の温度サイクル下で使用した場合、内側の突起によるシール性が低下すると共に、同一形状とされた外側の突起も同様にシール性が低下することになり、シール性の問題が生じる。
【0008】
この発明の目的は、低温流体用に使用しても長期間にわたってシール性が確保されるシール構造およびシール方法ならびにこのシール構造を備えた継手を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明によるシール構造は、互いに連通する流体通路をそれぞれ有している第1の部材および第2の部材との突き合わせ部に設けられ、第1および第2の部材の一部を構成とするシール構造であって、前記両部材間に介在させられる環状のガスケットを備えており、少なくとも一方の部材のガスケット対向面は、内径側の第1の面と、前記第1の面の外径側に連なって設けられた環状の第1突起と、前記第1突起の外径側に連なって設けられ、かつ前記第1の面に対して突出した第2の面と、前記第2の面の外径側に連なって設けられ、かつ前記第1突起よりも前記第2の面に対する突出量が大きい環状の第2突起と、前記第2突起の外径側に連なって設けられ、かつ前記第1の面および前記第2の面に対して凹まされた第3の面とを備えており、前記第1突起および第2突起がガスケットに食い込み、少なくとも前記第2の面がガスケットを押圧していることでシール性が確保されているとともに、内径側に位置する前記第1突起によるシール性が低下した場合において、前記第2の面が全周で前記ガスケットを押圧しているとともに、前記第1突起よりも突出量が大きい外径側に位置する前記第2突起が全周で前記ガスケットに食い込んでいることにより、シール性が維持されることを特徴とするものである。
【0010】
部材同士は、適宜な締付手段で締め付けられ、この締付手段としては、例えば、第1および第2の継手部材のいずれか一方におねじ部が形成され、継手部材のおねじ部にねじ合わされた袋ナットによって、両継手部材が結合されてもよく、第1および第2の継手部材がいずれもおねじ部が形成されていないスリーブとされ、別体とされたおねじ部材と袋ナットとによって、両継手部材が結合されてもよい。また、継手部材同士は、一方にボルト挿通孔が、他方にめねじ部が形成されたものとされ、ボルトによって結合されるようにしてもよい。
【0011】
ガスケットは、通常、ガスケットの中心軸に対して直交する2つの側面を有している断面が長方形のものとされ、必要に応じて、例えば、大径部と、大径部と内径が同じで外径が小さい小径部とからなるものとされる。ガスケットの側面は、第2突起に先に当接するように、部材のガスケット対向面に近づくに連れて径が大きくなる円錐面であってもよい。また、ガスケットに、継手部材の突起に対応する環状凹部が形成されてもよい。
【0012】
第1および第2の部材は、例えば、SUS316などのステンレス鋼製とされ、ガスケットは、ニッケル合金製、ステンレス鋼製などの金属製とされるが、これに限定されるものではない。
【0013】
第1および第2突起は、例えば断面円弧状とされるが、断面台形やその他の形状としてもよい。
【0014】
各部材のガスケット対向面は、互いに同じものであってもよく、また、いずれか一方だけが上記の形状とされて、他方は、流体通路に直交する平坦面であってもよい。
【0015】
ガスケット対向面の第1、第2および第3の面については、第1の面だけ、第2の面だけ、または第1および第2の面の両方がガスケットを押圧しているものとされる。そして、好ましくは、第2の面が第1の面および第3の面より突出させられているものとされ、第2の面がガスケットを押圧してシールに寄与し、第1の面は、ガスケットの内縁部の大きな変形を押さえるが、シールには寄与しないものとされる。
【0016】
この発明によるシール方法は、互いに連通する流体通路をそれぞれ有している第1の部材と第2の部材とをねじで締め付けて接続する際のシール方法であって、前記両部材間に環状のガスケットを介在させるとともに、少なくとも一方の部材の前記ガスケットに対向する面に、内径側の第1の面と、前記第1の面の外径側に連なる環状の第1突起と、前記第1突起の外径側に連なり、かつ前記第1の面に対して突出させられた第2の面と、前記第2の面の外径側に連なり、かつ前記第1突起よりも前記第2の面に対する突出量が大きい環状の第2突起と、前記第2突起の外径側に連なり、かつ前記第1の面および前記第2の面に対して凹まされた第3の面とをそれぞれ設けておき、前記ねじの締付けに伴って、まず、前記第2突起を前記ガスケットの側面に当接させ、次いで、前記第1突起を前記ガスケットの側面に当接させ、次いで、前記第2の面を前記ガスケットに当接させることでシール性を確保するとともに、内径側に位置する前記第1突起によるシール性が低下した場合において、前記第2の面が全周で前記ガスケットを押圧しているとともに、前記第1突起よりも突出量が大きい外径側に位置する前記第2突起が全周で前記ガスケットに食い込んでいることにより、シール性を維持することを特徴とするものである。
【0017】
この発明のシール方法によると、第2の面をガスケットに当接させた後にもさらに若干の締め付けを行うことで、第1突起および第2突起がガスケットに食い込み、第2の面がガスケットを押圧している状態が得られる。
【0018】
この発明のシール構造およびシール方法において、流体通路に低温流体が流された場合、流体通路に近い内側の突起およびこれに対応するガスケットの部分が収縮し、低温条件の温度サイクルを繰り返し受けた場合に、内側の突起によるシール性の低下が懸念される。この発明のシール構造およびシール方法によると、低温条件の温度サイクル下で使用して内側の突起によるシール性が低下した場合であっても、第2の面がガスケットを押圧していることで、シール性が確保され、さらに、外側の突起は、内側の突起よりもガスケットに対して食い込み量が大きいことから、内側の突起によるシール性が低下した後、低温条件の温度サイクルを受け続けても、長期にわたってシール性が維持される。
【0019】
この発明による継手は、互いに連通する流体通路をそれぞれ有している第1および第2の部材と、前記両部材同士を結合する締付手段と、前記両部材の突き合わせ部に設けられるシール構造とを備えている継手であって、前記シール構造が上記のシール構造とされていることを特徴とするものである。
【0020】
この発明の継手によると、低温条件の温度サイクル下で使用した際のシール性を長期にわたって優れたものとできる。継手は、例えば、管継手とされるが、これに限定されるものではない。継手には、逆止弁機構が内蔵されていることがある。
【0021】
逆止弁機構は、栓体およびこれを付勢する付勢部材を有しており、一方の部材の流体通路の開口を付勢部材により付勢された栓体がシール面に当接することで遮断状態とし、該流体通路内に所定値以上の流体圧が負荷された際に、栓体が付勢部材の付勢力に抗して移動することで開放状態とするものとされる。
【0022】
上記シール構造を逆止弁機能を備えた継手に適用することで、低温条件の温度サイクル下で使用した際の逆止弁のシール性を長期にわたって優れたものとできる。
【発明の効果】
【0023】
この発明のシール構造、シール方法および継手によると、低温条件の温度サイクル下で使用して内側の突起によるシール性が低下した場合であっても、第2の面がガスケットを押圧していることで、シール性が確保され、さらに、外側の突起は、内側の突起よりもガスケットに対して食い込み量が大きいことから、内側の突起によるシール性が低下した後、低温条件の温度サイクルを受け続けても、長期にわたってシール性が維持される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、この発明によるシール構造およびシール方法ならびにこのシール構造を備えた継手の1実施形態を示す縦断面図である。
図2図2は、シール構造の要部を示す拡大縦断面図であって、手でナットを締め付けたときの状態を示している。
【符号の説明】
【0025】
(1):継手
(2):第1継手部材(第1の部材)
(3):第2継手部材(第2の部材)
(4):流体通路
(5):流体通路
(6):ガスケット
(7):ナット
(11):逆止弁機構
(41):第1の面
(42):第1突起
(43):第2の面
(44):第2突起
(45):第3の面
【発明を実施するための形態】
【0026】
この発明の実施の形態を、以下図面を参照して説明する。以下の説明において、左右は、図1の左右をいうものとする。
【0027】
図1は、逆止弁機構(11)が内蔵されている継手(1)を示している。
【0028】
継手(1)は、互いに連通する流体通路(4)(5)をそれぞれ有している第1および第2の継手部材(2)(3)と、第1継手部材(2)と第2継手部材(3)との突き合わせ部分に配置された環状のガスケット(6)と、第1継手部材(2)と第2継手部材(3)とを締め付ける袋ナット(7)とを備えている。
【0029】
逆止弁機構(11)は、第1継手部材(2)内に配された栓体(12)と、栓体(12)を付勢する付勢部材(13)とを備えている。
【0030】
第1継手部材(2)は、本体(21)と、本体(21)の左端に設けられた配管接続用のめねじ部(22)と、本体(21)の右部の外周に設けられたフランジ部(23)とを有している。
【0031】
第1継手部材(2)の流体通路(4)は、左端に設けられたテーパ部を介してめねじ部(22)内部に連通する小径部(4a)と、小径部(4a)の右側に段差(4c)を介して連なる大径部(4b)とからなる。段差(4c)には、栓体(12)の左端面を受ける環状の突起(シート)(24)が設けられている。
【0032】
第2継手部材(3)は、本体(26)と、本体(26)の右端に設けられた配管接続用のめねじ部(27)と、本体(26)の左面外周部に設けられた左方突出部(28)とを有している。
【0033】
第2継手部材(3)の流体通路(5)は、右端に設けられたテーパ部を介してめねじ部(27)内部に連通している。第2継手部材(3)の本体(26)の左面には、ガスケット(6)を収納する凹所(29)が設けられている。
【0034】
ガスケット(6)は、塑性変形することでシール性を奏するもので、断面が方形の板状とされて、第2継手部材(3)の本体(26)の凹所(29)に収納されている。
【0035】
第2継手部材(3)の本体(26)および左方突出部(28)の外周には、おねじ部(30)が形成されている。おねじ部(30)は、第1継手部材(2)のフランジ部(23)の外周面よりも少し径方向外方に突出するように形成されている。
【0036】
袋ナット(7)は、内径が第1継手部材(2)の本体(21)外径より僅かに大きい小径部(31)と、外径が小径部(31)と同じで、内径が第1継手部材(2)のフランジ部(23)より僅かに大きい大径部(32)とを有している。大径部(32)の内周にめねじ部(32a)が設けられている。小径部(31)およびこれに連なる大径部(32)の一部に、スパナ等の締付け工具を係合することができる六角柱部(31a)が形成されている。
【0037】
袋ナット(7)は、左側から第1継手部材(2)に嵌め合わせられ、そのめねじ部(32a)が第2継手部材(3)のおねじ部(30)にねじ合わせられる。そして、小径部(31)の右面(大径部との間に形成された段差)が第1継手部材(2)のフランジ部(23)に当接することで、それ以上の右方への移動が阻止され、この状態で、締付け工具によって袋ナット(7)を所定量締め付けることで、第1継手部材(2)と第2継手部材(3)とが適正に結合される。
【0038】
この際、第1継手部材(2)の右端面がガスケット(6)を押圧して、ガスケット(6)を塑性変形させ、これにより、第1継手部材(2)と第2継手部材(3)との間に、所要のシール性が確保される。
【0039】
栓体(12)は、開放状態の流体の通路となる流体逃がし通路(53)が形成された円柱部(51)と、円柱部(51)の右側(基端側)に連なり円柱部(51)よりも外径が大きい大径円筒部(52)とからなる。
【0040】
栓体(12)は、その円柱部(51)の左面が第1継手部材(2)の環状の突起(24)の先端に当接させられることで、第1継手部材(2)の流体通路(4)の右端開口を遮断状態としている。
【0041】
円柱部(51)の流体逃がし通路(53)は、円柱部(51)の外周面にある流体を大径円筒部(52)内に導くように形成されている。
【0042】
付勢部材(13)は、円筒状の圧縮コイルばねとされており、その左端面は、栓体(12)の円柱部(51)の右面で受けられ、その右端面は、第2継手部材(3)の本体(26)の左面で受けられている。
【0043】
この逆止弁機構(11)によると、図1に示す状態では、付勢部材(13)により付勢された栓体(12)の円柱部(51)の左面が1継手部材(2)の環状の突起(24)に右方から当接することで遮断状態が得られている。第1継手部材(2)の流体通路(4)の小径部(4a)内には流体が導入され、この流体の圧力が付勢部材(13)による付勢力に比べて小さいうちは、遮断状態が継続される。そして、流体圧が大きくなると、この流体圧によって栓体(12)が付勢部材(13)の付勢力に抗して右方に移動することになり、第1継手部材(2)の流体通路(4)の小径部(4a)の開口から栓体(12)の円柱部(51)外周を通り、栓体(12)の円柱部(51)の流体逃がし通路(53)から同大径円筒部(52)内を経て、第2継手部材(3)の通路(5)内に通じる通路ができて、開放状態が得られる。
【0044】
第1継手部材(2)の右端面には、2つの環状の突起(42)(44)が設けられており、図2に拡大して示すように、第1継手部材(2)の右端面は、内径側の第1の面(41)と、第1の面(41)の外径側に設けられた環状の第1突起(42)と、第1突起(42)の外径側に設けられた第2の面(43)と、第2の面(43)に対して突出させられた第2突起(44)と、第2突起(44)の外径側に設けられた第3の面(45)とを備えている。
【0045】
第2の面(43)は、第1の面(41)に対して僅かに突出させられており、第3の面(45)は、第2の面(43)に対して僅かに凹まされている。また、第2の面(43)は、第1の面(41)よりも大きな面積を有している。第1の面(41)に対する第2突起(44)の突出量は、第1の面(41)に対する第1突起(42)の突出量よりも大きいものとされている。
【0046】
図1は、締付け工具によって袋ナット(7)を所定量締め付けた締付け完了状態を示しており、第1突起(42)および第2突起(44)がガスケット(6)に食い込んでいるとともに、第1の面(41)、第2の面(43)および第3の面(45)のうちの少なくとも1つ(好ましくは、第2の面(43)だけ)がガスケット(6)を押圧している。図2は、袋ナット(7)を手で締め付けた状態を示しており、第2突起(44)がガスケット(6)に当接し、第1突起(42)とガスケット(6)との間に隙間がある。
【0047】
なお、図1および図2では、分かりやすくするために、各部(41)(42)(43)(44)(45)の寸法を誇張して描いている。
【0048】
具体的な寸法の一例として、第1の面(41)に対して、第1突起(42)が0.14mm突出させられ、第1突起(42)に対して、第2の面(43)が0.10mm凹まされ、第2の面(43)に対して、第2突起(44)が0.13mm突出させられ、第2突起(44)に対して、第3の面(45)が0.21mm凹まされている。また、各突起(42)(44)の断面形状は、半径0.5mmの円の円弧とされている。
【0049】
上記継手(1)において袋ナット(7)を締め付けていく場合 袋ナット(7)をまず手で締め付ける。これにより、第2突起(44)がガスケット(6)の側面に当接する。この後、工具を使用して袋ナット(7)を締め付けると、第2突起(44)がガスケット(6)の側面に食い込んでいき、第1突起(42)がガスケット(6)の側面に当接する。さらに、袋ナット(7)を締め付けると、第1突起(42)および第2突起(44)がガスケット(6)の側面に食い込んでいき、第2の面(43)がガスケット(6)に当接する。この後、袋ナット(7)をさらに締め付けると、第2の面(43)がガスケット(6)を押圧し、第1の面(41)がガスケット(6)の側面にほぼ当接する。締付け量は、第1の面(41)がガスケット(6)の側面を押圧することがないように設定されることが好ましく、この時点で、締付けが完了する。
【0050】
上記において、第1継手部材(2)の右端面の突起(42)の突出量および各面(41)(43)の傾斜の程度および相対的な凹み量は、突起(42)、外径側の面(43)、内径側の面(43)がこの順でガスケット(6)に当接する。第2の面(43)は第2突起(44)がガスケットに食い込んだ状態でシールの役割を果たすように設計され、温度サイクル等により第1突起(42)によるシール性が低下したときにおいてもシールの役割を果たす。
【産業上の利用可能性】
【0051】
この発明のシール構造、シール方法および継手を使用することで、低温条件下のシール性が向上するので、低温流体使用時の安全性に寄与できる。
図1
図2