IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社高山自動車の特許一覧

<>
  • 特許-駆動系開発支援装置 図1
  • 特許-駆動系開発支援装置 図2
  • 特許-駆動系開発支援装置 図3
  • 特許-駆動系開発支援装置 図4
  • 特許-駆動系開発支援装置 図5
  • 特許-駆動系開発支援装置 図6
  • 特許-駆動系開発支援装置 図7
  • 特許-駆動系開発支援装置 図8
  • 特許-駆動系開発支援装置 図9
  • 特許-駆動系開発支援装置 図10
  • 特許-駆動系開発支援装置 図11
  • 特許-駆動系開発支援装置 図12
  • 特許-駆動系開発支援装置 図13
  • 特許-駆動系開発支援装置 図14
  • 特許-駆動系開発支援装置 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-14
(45)【発行日】2022-09-26
(54)【発明の名称】駆動系開発支援装置
(51)【国際特許分類】
   B62B 11/00 20060101AFI20220915BHJP
   B60L 7/02 20060101ALI20220915BHJP
   B62B 3/00 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
B62B11/00 B
B60L7/02
B62B3/00 B
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019135046
(22)【出願日】2019-07-23
(62)【分割の表示】P 2018138532の分割
【原出願日】2018-07-24
(65)【公開番号】P2020015499
(43)【公開日】2020-01-30
【審査請求日】2019-07-23
【審判番号】
【審判請求日】2021-05-06
(73)【特許権者】
【識別番号】517097678
【氏名又は名称】株式会社高山自動車
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】高山 英一
【合議体】
【審判長】一ノ瀬 覚
【審判官】大谷 光司
【審判官】出口 昌哉
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/103981(WO,A1)
【文献】特開昭50-19109(JP,A)
【文献】特開2011-47906(JP,A)
【文献】特開平8-47211(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L1/00-3/12, 7/00-13/00, 15/00-58/40
B62B1/00-19/04
G01R31/34
G01L5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
卓上に設置可能な大きさ及び平面形状を有する板状部と、流れる電流に応じた回転駆動力を発生させる駆動用モータと、前記駆動用モータの回転駆動力が第一伝達機構を介して伝達される出力軸と、前記出力軸の回転駆動力が第二伝達機構を介して伝達される車軸と、前記車軸に固定されて前記車軸とともに回転する車輪と、前記車輪を挟持する車輪挟持部と、前記車輪挟持部による挟持力を設定する挟持力設定部と、を備える駆動系開発支援装置であって、
前記駆動用モータは、前記板状部の上面に設けられたモータ固定部に固定され、前記出力軸は、前記板状部の上面に設けられた架台に出力軸用軸受部を介して回転可能に取り付けられ、前記車軸は、前記架台に車軸用軸受部を介して回転可能に取り付けられ、前記車輪挟持部及び前記挟持力設定部は、前記板状部に取り付けられており、
前記駆動用モータ、前記出力軸用軸受部、前記出力軸、前記車軸用軸受部、前記車軸、前記車輪、前記車輪挟持部及び前記挟持力設定部は、前記板状部の上方に配置されて卓上に設置さるものであり、
前記挟持力設定部によって設定された所定の挟持力で前記車輪を挟持した状態で前記駆動用モータによって前記車輪を回転駆動するのに必要な電流値索する、駆動系開発支援装置。
【請求項2】
前記挟持力設定部は、前記車輪挟持部に設けられた負荷調整ネジである、請求項1に記載の駆動系開発支援装置。
【請求項3】
卓上に設置可能な大きさ及び平面形状を有する板状部と、流れる電流に応じた回転駆動力を発生させる駆動用モータと、前記駆動用モータの回転駆動力が第一伝達機構を介して伝達される出力軸と、前記出力軸の回転駆動力が第二伝達機構を介して伝達される車軸と、前記車軸に対して抵抗力を付与する抵抗用モータと、前記抵抗力を設定する抵抗力設定部と、を備える駆動系開発支援装置であって、
前記駆動用モータは、前記板状部の上面に設けられたモータ固定部に固定され、前記出力軸は、前記板状部の上面に設けられた架台に出力軸用軸受部を介して回転可能に取り付けられ、前記車軸は、前記架台に車軸用軸受部を介して回転可能に取り付けられ、前記抵抗用モータ及び前記抵抗力設定部は、前記板状部に取り付けられており、
前記駆動用モータ、前記出力軸用軸受部、前記出力軸、前記車軸用軸受部、前記車軸、前記抵抗用モータ及び前記抵抗力設定部は、前記板状部の上方に配置されて卓上に設置さるものであり、
前記抵抗力設定部によって設定された所定の抵抗力を前記車軸に付与した状態で前記駆動用モータによって前記車軸を回転駆動するのに必要な電流値索する、駆動系開発支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動システム、人力車及び駆動系開発支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、電源から供給される電力によって作動する電動モータの駆動力によって車輪を回
転させるように構成された電動アシスト式人力車が種々提案されている(例えば、特許文
献1~3参照)。かかる電動アシスト式人力車を採用すると、例えば勾配の大きな登り傾
斜路等において、車夫の労力を軽減することができる、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-200979号公報
【文献】特開2004-009770号公報
【文献】特開2004-025975号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1~3に記載されたような従来の電動アシスト式人力車においては
、電動モータを含む駆動部と、この駆動部によって発生させた駆動力を車輪に伝達する伝
達機構と、の双方を設ける必要がある。このような駆動部及び伝達機構は、人力車の前方
寄りであって左右の車輪の間に配置されるのが一般的である。
【0005】
しかし、従来の電動アシスト式人力車においては、このような駆動部等の存在によって
その美観が損ねられてしまう虞があった。また、駆動部等の存在によって、人力車の左右
の車輪の間のスペースが狭められてしまうため、そのスペースにユーザ(車夫)が入り込
み難いという問題があった。
【0006】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、左右の車輪の間に駆動部及び伝達
機構が配置されてなる駆動システムにおいて、左右の車輪の間に比較的広いスペースを確
保することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明に係る駆動システムは、所定の方向に延在するフレー
ムと、フレームの延在方向両端部に車軸を介して回転可能に取り付けられる左右一対の車
輪と、車軸を回転駆動するための駆動部と、を備えるものであって、駆動部は、フレーム
のうち少なくとも一方の車輪側の端部付近に固定されるベースプレートと、ベースプレー
トのうち少なくとも一方の車輪側の端部付近に固定される軸受部と、駆動用モータと、軸
受部によって回転可能に支持される出力軸と、を有し、出力軸は、駆動用モータの回転駆
動力を出力軸に伝達する第一伝達機構を介して駆動用モータに接続され、車軸は、出力軸
の回転駆動力を車軸に伝達する第二伝達機構を介して出力軸に接続され、軸受部は、出力
軸を片持ちで支持するように構成されているものである。また、本発明に係る人力車は、
かかる駆動システムを備えるものである。
【0008】
かかる構成を採用すると、車軸を回転駆動するための駆動部の軸受部を、フレームのう
ち少なくとも一方の車輪側の端部付近に固定されるベースプレートのうち車輪側の端部付
近に固定し、この軸受部で、車軸に接続される出力軸を片持ちで支持することができる。
このように、車輪付近(フレームの延在方向端部付近)に駆動部の軸受部を配置している
ため、駆動部を全体的に車輪付近に寄せて配置することができ、フレームの延在方向中央
部に比較的広いスペースを確保することができる。従って、例えば本駆動システムを人力
車の駆動システムとして採用した場合には、駆動部の存在によって人力車の美観を損なう
ことを防止することができ、このスペースにユーザ(車夫)が容易に入り込むことができ
る。
【0009】
本発明に係る駆動システムにおいて、駆動切替レバーを有する第一伝達機構を採用し、
駆動切替レバーを第一の方向に操作することにより駆動用モータの回転駆動力を出力軸に
伝達する一方、駆動切替レバーを第二の方向に操作することにより駆動用モータの回転駆
動力の出力軸への伝達を解除するように構成することができる。
【0010】
かかる構成を採用すると、第一伝達機構の駆動切替レバーを操作することにより、駆動
用モータから出力軸へと回転駆動力を伝達したり、当該回転駆動力の伝達を解除したりす
ることができる。
【0011】
本発明に係る駆動システムにおいて、第一伝達機構は、第一の信号を受信することによ
り駆動用モータの回転駆動力を出力軸に伝達する一方、第二の信号を受信することにより
駆動用モータの回転駆動力の出力軸への伝達を解除するように構成される電動クラッチを
有することができる。
【0012】
かかる構成を採用すると、特定の信号を受信して作動する電動クラッチにより、駆動用
モータから出力軸へと回転駆動力を伝達したり、当該回転駆動力の伝達を解除したりする
ことができる。
【0013】
また、本発明に係る第一の駆動系開発支援装置は、流れる電流に応じた回転駆動力を発
生させる駆動用モータと、駆動用モータの回転駆動力が第一伝達機構を介して伝達される
出力軸と、出力軸の回転駆動力が第二伝達機構を介して伝達される車軸と、車軸を回転可
能に支持する軸受部と、車軸に固定されて車軸とともに回転する車輪と、車輪を挟持する
車輪挟持部と、車輪挟持部による挟持力を設定する挟持力設定部と、を備えるものである
【0014】
かかる構成を採用すると、挟持力設定部によって設定された所定の挟持力で車輪を挟持
した状態で駆動用モータによって車輪を回転駆動するのにどの程度の電流が必要かを探る
ことができる。従って、所定の挟持力で車輪を挟持した場合においても駆動用モータが所
望の回転駆動力を生成することができるように、駆動用モータに流す電流を変更したり新
たな駆動用モータを開発したりすることができる。
【0015】
また、本発明に係る第二の駆動系開発支援装置は、流れる電流に応じた回転駆動力を発
生させる駆動用モータと、駆動用モータの回転駆動力が第一伝達機構を介して伝達される
出力軸と、出力軸の回転駆動力が第二伝達機構を介して伝達される車軸と、車軸を回転可
能に支持する軸受部と、車軸に対して抵抗力を付与する抵抗用モータと、抵抗力を設定す
る抵抗力設定部と、を備えるものである。
【0016】
かかる構成を採用すると、抵抗力設定部によって設定され抵抗用モータによって付与さ
れた所定の抵抗力を車軸に付与した状態で駆動用モータによって車軸を回転駆動するのに
どの程度の電流が必要かを探ることができる。従って、所定の抵抗力を車軸に付与した場
合においても駆動用モータが所望の回転駆動力を生成することができるように、駆動用モ
ータに流す電流を変更したり新たな駆動用モータを開発したりすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、左右の車輪の間に駆動部及び伝達機構が配置されてなる駆動システム
において、左右の車輪の間に比較的広いスペースを確保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係る駆動システムの斜視図である。
図2図1に示す駆動システムの上面図である。
図3図1に示す駆動システムの駆動部周辺部分を駆動用モータ側から見た場合の斜視図である。
図4図3に示す駆動部周辺部分をベースプレート側から場合の斜視図である。
図5図3に示す駆動部周辺部分の上面図である。
図6図3に示す駆動部周辺部分の側面図(図5に示す駆動部周辺部分をVI方向から見た場合の図)である。
図7図3に示す駆動部周辺部分の側面図(図5に示す駆動部周辺部分をVII方向から見た場合の図)である。
図8図3に示す駆動部周辺部分の正面図(図5に示す駆動部周辺部分をVIII方向から見た場合の図)である。
図9図3に示す駆動部周辺部分の背面図(図5に示す駆動部周辺部分をIX方向から見た場合の図)である。
図10】本発明の実施形態に係る駆動系開発支援装置の斜視図である。
図11図10に示す駆動系開発支援装置の斜視図である。
図12図10に示す駆動系開発支援装置の上面図である。
図13図10に示す駆動系開発支援装置の正面図(図12に示す駆動系開発支援装置をXIII方向から見た場合の図)である。
図14図10に示す駆動系開発支援装置の側面図(図12に示す駆動系開発支援装置をXIV方向から見た場合の図)である。
図15図10に示す駆動系開発支援装置の正面図(図12に示す駆動系開発支援装置をXV方向から見た場合の図)である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は
あくまでも好適な適用例であって、本発明の適用範囲がこれに限定されるものではない。
【0020】
<駆動システム>
まず、図1図9を用いて、本発明の実施形態に係る駆動システム1について説明する
。本実施形態に係る駆動システム1は、電動アシスト式人力車に適用されるものであって
図1及び図2に示すように、フレーム10と、左右一対の車輪20と、駆動部30と、
を備えている。
【0021】
フレーム10は、所定の方向に延在し、左右一対の車輪20の間に配置されて車輪20
や駆動部30を支持するように機能する部材であり、例えば金属等の所定の剛性を有する
材料で構成される。フレーム10の形状は特に限定されるものではなく、例えば中実の柱
状部材や中空の筒状部材をフレーム10として採用することができる。フレーム10の形
状は、必ずしも柱状(筒状)でなくてもよく、駆動部30を取り付け易くするために局所
的に凹凸があってもよい。
【0022】
車輪20は、車軸21から放射状に延在するスポーク22と、スポーク22の周囲に配
置された環状のリム23と、リム23に取り付けられたタイヤ24と、を有しており、車
軸21を介してフレーム10の延在方向両端部に回転可能に取り付けられている。本実施
形態においては、人力車用の(例えば直径42インチの)比較的大きな車輪20を採用し
ているが、車輪20の大きさは特に限定されるものではない。
【0023】
駆動部30は、車輪20の車軸21を回転駆動するためのものであり、図3図9に示
すように、ベースプレート31と、軸受部32と、駆動用モータ33と、出力軸34と、
を有している。なお、本実施形態においては、図1及び図2に示すように、左右それぞれ
の車輪20を駆動するために2つの駆動部30を採用しているが、左右の何れか一方の車
輪20を駆動する1つの駆動部30のみを採用してもよい。
【0024】
ベースプレート31は、図1及び図2に示すように、フレーム10のうち車輪20側の
端部11付近に固定されて、軸受部32や駆動用モータ33を支持するように機能する部
材であり、例えば金属等の所定の剛性を有する材料で構成される。本実施形態におけるベ
ースプレート31は、図5等に示すように、軸受部32等を固定するための平板部31a
と、平板部31aとフレーム10とを連結するための連結部31bと、を有している。な
お、ベースプレート31の構造はこれに限定されるものではなく、軸受部32等を支持し
かつフレーム10に固定される構造であればよい。
【0025】
軸受部32は、ベースプレート31のうち車輪20側の端部31c付近に固定されて、
出力軸34を回転可能に支持するように機能する部材であり、例えば金属等の所定の剛性
を有する材料で構成される。本実施形態における軸受部32は、出力軸34を「片持ち」
で支持している。すなわち、出力軸34を二つの軸受部で(いわば二軸で)支持するので
はなく、出力軸34を一つの軸受部32で(いわば一軸で)支持している。これにより、
駆動部30を車輪20付近に寄せて配置することができ、フレーム10の延在方向中央部
に比較的広いスペースを形成することができる。
【0026】
駆動用モータ33は、図示されていない電源(バッテリ)から供給される電力によって
作動して所要の回転駆動力を発生させるものである。駆動用モータ33で発生した回転駆
動力は、第一伝達機構を介して出力軸34に伝達される。また、出力軸34の回転駆動力
は、第二伝達機構を介して車軸21に伝達される。出力軸34は、駆動用モータ33の回
転駆動力を車軸21に出力するための部材であり、軸受部32によって回転可能に支持さ
れている。
【0027】
本実施形態における第一伝達機構は、手動クラッチ機構を有している。すなわち、第一
伝達機構は、駆動切替レバー35を有しており、駆動切替レバー35が第一の方向(図5
における矢印Aの方向)に操作されることにより駆動用モータ33の回転駆動力を出力軸
34に伝達する一方、駆動切替レバー35が第二の方向(図5における矢印Bの方向)に
操作されることにより駆動用モータ33の回転駆動力の出力軸34への伝達を解除するよ
うに構成されている。本実施形態における第二伝達機構は、出力軸34の先端に取り付け
られたスプロケット36や、スプロケット36の回転駆動力を車軸21に伝達する図示さ
れていないチェーン等で構成されている。
【0028】
以上説明した実施形態に係る駆動システム1においては、車軸21を回転駆動するため
の駆動部30の軸受部32を、フレーム10のうち車輪20側の端部11付近に固定され
るベースプレート31のうち車輪20側の端部31c付近に固定し、この軸受部32で、
車軸21に接続される出力軸34を片持ちで支持することができる。このように、車輪2
0付近(フレーム10の延在方向端部付近)に駆動部30の軸受部32を配置しているた
め、駆動部30を全体的に車輪20付近に寄せて配置することができ、フレーム10の延
在方向中央部に比較的広いスペースを確保することができる。従って、駆動部30の存在
によって人力車の美観を損なうことを防止することができ、このスペースにユーザ(車夫
)が容易に入り込むことができる。
【0029】
また、以上説明した実施形態に係る駆動システム1においては、第一伝達機構の駆動切
替レバー35を操作することにより、駆動用モータ33から出力軸34へと回転駆動力を
伝達したり、当該回転駆動力の伝達を解除したりすることができる。
【0030】
なお、以上の実施形態においては、手動クラッチ機構を採用した例を示したが、手動ク
ラッチ機構に代えて電動クラッチ機構を採用してもよい。すなわち、第一の信号を受信す
ることにより駆動用モータ33の回転駆動力を出力軸34に伝達する一方、第二の信号を
受信することにより駆動用モータ33の回転駆動力の出力軸34への伝達を解除するよう
に構成される電動クラッチを第一伝達機構に設けることができる。かかる構成を採用する
と、特定の信号を受信して作動する電動クラッチにより、駆動用モータ33から出力軸3
4へと回転駆動力を伝達したり、当該回転駆動力の伝達を解除したりすることができる。
【0031】
また、手動クラッチ機構や電動クラッチ機構を設ける代わりに、駆動用モータ33と出
力軸34とを直結しておき、駆動用モータ33によって発生させる回転駆動力のオンオフ
制御を行うことにより、出力軸34(ひいては車軸21)における回転駆動力のオンオフ
の切り替えを行うこともできる。
【0032】
<駆動系開発支援装置>
次に、図10図15を用いて、本発明の実施形態に係る駆動系開発支援装置2につい
て説明する。本実施形態に係る駆動系開発支援装置2は、所望の回転駆動力を発生させる
駆動用モータを卓上で開発するためのものであり、図示されていない駆動用モータと、出
力軸3と、車軸4と、車軸用軸受部5と、車輪6と、車輪挟持部7と、挟持力設定部8と
、を備えている。
【0033】
また、本実施形態に係る駆動系開発支援装置2は、図10図15に示すように、駆動
用モータ等が取り付けられる板状部9を備えている。板状部9は、卓上に載置可能な大き
さ及び平面形状(例えば、長辺が20~140cmで短辺が15~70cmの長方形状)
を有している。このため、駆動系開発支援装置2は、全体の構成を卓上に載置することが
できるようになっている。なお、板状部9の平面形状は長方形状に限られるものではなく
、例えば楕円形状や多角形状とすることもできる。
【0034】
駆動用モータは、図示されていない電源(バッテリ)から供給される電力によって作動
して、流れる電流に応じた回転駆動力を発生させるように構成されている。本実施形態に
おける駆動用モータは、図12等に示すように、板状部9の上面に設けられたモータ固定
部9aに固定される。
【0035】
出力軸3は、図12等に示すように、板状部9の上面に設けられた架台9bに、出力軸
用軸受部3aを介して回転可能に取り付けられている。出力軸3には、駆動用モータの回
転駆動力が第一伝達機構を介して伝達される。
【0036】
車軸4は、板状部9の上面に設けられた架台9bに、車軸用軸受部5を介して回転可能
に取り付けられている。車軸4には、出力軸3の回転駆動力が第二伝達機構を介して伝達
される。
【0037】
第一伝達機構及び第二伝達機構は、スプロケット、チェーン、クラッチ等で構成するこ
とができる。スプロケットのギア比は、適宜変更可能である。
【0038】
車輪6は、車軸4に固定されて車軸4とともに回転するものであり、車輪挟持部7によ
る挟持力に耐えることができるように、金属等の所定の剛性を有する材料で構成されてい
る。車輪6の直径や厚さは、卓上に配置することができるような寸法に設定される。
【0039】
車輪挟持部7は、車輪6を挟持するように構成されており、その挟持力は挟持力設定部
8によって設定される。本実施形態においては、挟持力設定部8として、負荷調整ネジを
採用している。
【0040】
以上説明した実施形態に係る駆動系開発支援装置2においては、挟持力設定部8によっ
て設定された所定の挟持力で車輪6を挟持した状態で駆動用モータによって車輪6を回転
駆動するのにどの程度の電流が必要かを探ることができる。従って、所定の挟持力で車輪
6を挟持した場合においても駆動用モータが所望の回転駆動力を生成することができるよ
うに、駆動用モータに流す電流を変更したり新たな駆動用モータを開発したりすることが
できる。例えば、重量350kgの電動アシスト用人力車を時速4km/hで8%の勾配
を有する上り坂を移動させることを想定して、駆動用モータの駆動最大値を「130Nm
」(180Nmの2/3アシスト)に設定し、実際に使用する24Vの駆動用モータに電
流値がどの程度必要か(また実際に動くかどうか)を、本装置2を用いて探ることができ
る。
【0041】
なお、以上の実施形態においては、車輪6と車輪挟持部7と挟持力設定部8とを備える
駆動系開発支援装置2について説明したが、これらの構成に代えて、車軸5に対して抵抗
力を付与する抵抗用モータと、抵抗力を設定する抵抗力設定部と、を採用することもでき
る。
【0042】
かかる構成を採用すると、車輪6等を用いることなく、抵抗力設定部によって設定され
抵抗用モータによって付与された所定の抵抗力を車軸5に付与した状態で駆動用モータに
よって車軸5を回転駆動するのにどの程度の電流が必要かを探ることができる。従って、
所定の抵抗力を車軸5に付与した場合においても駆動用モータが所望の回転駆動力を生成
することができるように、駆動用モータに流す電流を変更したり新たな駆動用モータを開
発したりすることができる。
【0043】
本発明は、以上の実施形態に限定されるものではなく、かかる実施形態に当業者が適宜
設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。
すなわち、前記実施形態が備える各要素及びその配置、材料、条件、形状、サイズ等は、
例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、前記実施形態
が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み
合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0044】
1…駆動システム
2…駆動系開発支援装置
3…出力軸
4…車軸
5…車軸用軸受部
6…車輪
7…車輪挟持部
8…挟持力設定部
10…フレーム
11…(フレームの)車輪側の端部
20…車輪
21…車軸
30…駆動部
31…ベースプレート
31c…(ベースプレートの)車輪側の端部
32…軸受部
33…駆動用モータ
34…出力軸
35…駆動切替レバー(第一伝達機構)
36…スプロケット(第二伝達機構)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15