(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-14
(45)【発行日】2022-09-26
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20220915BHJP
【FI】
A63F7/02 320
(21)【出願番号】P 2020047965
(22)【出願日】2020-03-18
【審査請求日】2021-04-05
(73)【特許権者】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】110002158
【氏名又は名称】特許業務法人上野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 浩司
(72)【発明者】
【氏名】野原 修平
(72)【発明者】
【氏名】井上 雄貴
(72)【発明者】
【氏名】平口 敏彦
(72)【発明者】
【氏名】湯川 強
(72)【発明者】
【氏名】山本 健弘
(72)【発明者】
【氏名】加藤 哲平
(72)【発明者】
【氏名】森 大城
【審査官】進藤 利哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-017879(JP,A)
【文献】特開2008-054766(JP,A)
【文献】特開2009-183520(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置に表示される複数種の識別図柄の組み合わせにより当否判定結果を報知する報知手段と、
リーチを構築するリーチ図柄として選択されることが遊技者にとって好ましい一または二種以上の前記識別図柄を好機図柄として示す好機演出を実行する演出実行手段と、
を備え、
前記好機演出は、
リーチが構築されるかどうかが示されるリーチ成立分岐点よりも前であるリーチ成立前場面だけでなく、
前記好機図柄以外の前記識別図柄である非好機図柄が前記リーチ図柄として設定されたリーチ成立後場面でも
実行され
ることがあり、
前記好機図柄以外の前記識別図柄である非好機図柄が前記リーチ図柄として設定された前記リーチ成立後場面にて、前記好機図柄と前記リーチ図柄が一致しない状況から前記好機図柄と前記リーチ図柄が一致する状況に変化する図柄変化演出が発生することがあり、
前記リーチ成立分岐点にて前記好機演出にて示された前記好機図柄が前記リーチ図柄として設定されたリーチが成立した場合よりも、
前記リーチ成立後場面にて前記図柄変化演出が発生して前記好機図柄が前記リーチ図柄として設定されたリーチが成立した場合の方が、
当否判定結果が当たりとなる蓋然性が高い
ことを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
所定の図柄でリーチが成立した場合にミッション成立となる演出を実行することが可能な遊技機が公知である(例えば、下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、リーチを利用して遊技の趣向性を向上させることが可能な遊技機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた本発明にかかる遊技機は、表示装置に表示される複数種の識別図柄の組み合わせにより当否判定結果を報知する報知手段と、リーチを構築するリーチ図柄として選択されることが遊技者にとって好ましい一または二種以上の前記識別図柄を好機図柄として示す好機演出を実行する演出実行手段と、を備え、前記好機演出は、リーチが構築されるかどうかが示されるリーチ成立分岐点よりも前であるリーチ成立前場面だけでなく、前記好機図柄以外の前記識別図柄である非好機図柄が前記リーチ図柄として設定されたリーチ成立後場面でも実行されうることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
上記遊技機によれば、リーチを利用して遊技の趣向性を向上させることが可能である。
【0007】
本発明にかかる遊技機によれば、リーチを利用して遊技の趣向性を向上させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】表示領域に表示された識別図柄および保留図柄を示した図である。
【
図3】好機演出および図柄変化演出を説明するための図である。
【
図4】好機演出および図柄変化演出を説明するための図(
図3の続き)である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1)遊技機の基本構成
以下、本発明にかかる遊技機1(ぱちんこ遊技機)の一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。まず、
図1を参照して遊技機1の全体構成について簡単に説明する。なお、以下の説明において画像というときは、静止画だけでなく、動画を含むものとする。
【0010】
遊技機1は遊技盤90を備える。遊技盤90は、ほぼ正方形の合板により成形されており、発射装置908(発射ハンドル)の操作によって発射された遊技球を遊技領域902に案内する通路を構成するガイドレール903が略円弧形状となるように設けられている。
【0011】
遊技領域902には、表示装置91、始動領域904、大入賞口906、アウト口などが設けられている。表示装置91の表示領域911は、遊技盤90に形成された開口901を通じて視認可能な部分である。また、遊技領域902には、流下する遊技球が衝突することにより遊技球の流下態様に変化を与える障害物としての遊技釘が複数設けられている。遊技領域902を流下する遊技球は、遊技釘に衝突したときの条件に応じて様々な態様に変化する。
【0012】
このような遊技機1では、発射装置908を操作することにより遊技領域902に向けて遊技球を発射する。遊技領域902を流下する遊技球が、始動領域904や大入賞口906等の入賞口に入賞すると、所定の数の賞球が払出装置により払い出される。
【0013】
なお、遊技機1の枠体、遊技球を貯留する下皿や上皿など、本発明に関係のない遊技機1の構成要素は説明を省略する。これらについては公知の遊技機と同様の構造のものが適用できる。
【0014】
大当たりの抽選は、図示されない制御基板に設けられた当否判定手段が始動領域904への遊技球の入賞を契機として実行する。本実施形態では、始動領域904として、第一始動領域904a(いわゆる「特
図1」の始動領域)と第二始動領域904b(いわゆる「特
図2」の始動領域)が設けられている。始動領域904への遊技球の入賞を契機として乱数源から数値(当否判定情報)が取得され、当該数値が予め定められた大当たりの数値と同じである場合には大当たりとなり、異なる場合にははずれとなる。本実施形態では、当該数値が取得された順に当否判定結果の報知が開始される(いわゆる変動が開始される)こととなるが、未だ当否判定結果の報知が完了していない当否判定情報が存在する場合には、新たに取得された当否判定情報は保留情報として図示されない制御基板に設けられた記憶手段に記憶される。記憶手段に保留情報が記憶されていることは、保留図柄10として表示される。つまり、保留図柄10は、対応する当否判定結果の報知が完了していない当否判定情報の存在を示す。
【0015】
本実施形態では、保留図柄10として、当否判定結果を報知する報知演出(識別図柄20(識別図柄群20g)の変動開始から、当否判定結果を示す組み合わせで完全に停止するまでの演出、いわゆる一変動中分の演出をいう)は開始されているものの、当否判定結果の報知は完了していない当否判定情報(以下、変動中保留情報と称することもある)に対応する変動中保留図柄11(いわゆる「当該変動保留」の存在を示す図柄)と、当否判定結果を報知する報知演出が開始されていない当否判定情報(以下、変動前保留情報と称することもある)に対応する変動前保留図柄12が表示される(
図2参照)。本実施形態では、変動中保留図柄11と変動前保留図柄12の基本的な形態は同じである。変動中保留図柄11と変動前保留図柄12の基本的な形態が全く異なるものとしてもよい。また、変動中保留図柄11が表示されない構成としてもよい。なお、変動前保留図柄12に対応する当否判定結果の報知が完了する順番(いわゆる保留「消化順」)は、右に位置するものほど早い。
【0016】
変動前保留情報の最大の記憶数は上限が決められている。本実施形態では、第一始動領域904aに入賞することによって得られる第一変動前保留情報(特
図1保留)の最大の記憶数は四つであり、第二始動領域904bに入賞することによって得られる第二変動前保留情報(特
図2保留)の最大の記憶数は四つである。したがって、特
図1および特
図2の一方に相当する保留図柄10に関していえば、一つの変動中保留図柄11と、最大四つの変動前保留図柄12が表示されることがある(
図2参照)。
【0017】
本実施形態では、公知の遊技機と同様に、表示装置91の表示領域911に表示される識別図柄20(
図2参照)の組み合わせによって当否判定結果を遊技者に報知する。具体的には、複数種の識別図柄20を含む識別図柄群20g(左識別図柄群20gL、中識別図柄群20gC、右識別図柄群20gR)が変動を開始し、最終的に各識別図柄群20gから一の識別図柄20が選択されて停止する。大当たりに当選している場合には各識別図柄群20gから選択されて停止した識別図柄20の組み合わせは所定の組み合わせ(例えば、同じ識別図柄20の三つ揃い)となる。はずれである場合にはそれ以外(大当たりとなる組み合わせ以外)の組み合わせとなる。識別図柄20は、数字とキャラクタ等が組み合わされたものとしてもよい。
【0018】
本実施形態では、遊技状態として、通常遊技状態と特別遊技状態が設定されている。特別遊技状態は、通常遊技状態に比して遊技者に有利な遊技状態である。通常遊技状態は、大当たりに当選する確率が低い低確率遊技状態であり、かつ、始動領域904に遊技球が入賞しにくい低ベース状態(低確率・時短無)である。特別遊技状態としては、第一特別遊技状態と第二特別遊技状態が設定されている。第一特別遊技状態は、大当たりに当選する確率が高い高確率遊技状態であり、かつ、始動領域904に遊技球が入賞しやすい高ベース状態(高確率・時短有)である。第二特別遊技状態は、大当たりに当選する確率が低い低確率遊技状態であり、かつ、始動領域904に遊技球が入賞しやすい高ベース状態(低確率・時短有)である。通常遊技状態においては、遊技者は、第一始動領域904aを狙って遊技球を発射させる。本実施形態では、いわゆる「左打ち」を行う。特別遊技状態は、第二始動領域904bを狙って遊技球を発射させる。本実施形態では、いわゆる「右打ち」を行う。特別遊技状態は、普通始動領域905に遊技球が進入することを契機とした第二始動領域904bの開放抽選に当選しやすい状態であるため、比較的容易に第二始動領域904bに遊技球が入賞する。
【0019】
2)好機演出および図柄変化演出
以下、本実施形態にかかる遊技機1が実行可能な好機演出および図柄変化演出について
図3および
図4を用いて説明する。これらの演出は、「リーチ」に関係する演出である。本実施形態では、三つの識別図柄群20gのうちの二つが停止または擬似停止(完全に停止していないが遊技者には停止したように見える状態をいう。例えば、僅かに揺れたような状態とする)することによって示された二つの識別図柄が同じ種類の識別図柄となることがリーチ(の成立)として設定されている。以下、当該同じ種類の識別図柄(リーチを構成する識別図柄)をリーチ図柄と称することもある。本実施形態におけるリーチ図柄は、左識別図柄群20gLが停止または擬似停止することによって示された識別図柄(左識別図柄20L)、および、右識別図柄群20gRが停止または擬似停止することによって示された識別図柄(右識別図柄20R)である(
図3(c-1)(c-2)参照)。
【0020】
好機演出は、リーチ図柄として選択されることが好ましい識別図柄を好機図柄として示す演出である。当該好機図柄がリーチ図柄として設定された場合の方が、当該好機図柄がリーチ図柄として設定されなかった場合に比して対象当否判定結果が大当たりとなる蓋然性(大当たり信頼度)が高くなるように設定されている。本実施形態では、好機図柄として設定される識別図柄は一種であるが、二種以上であってもよい。本実施形態における識別図柄は、数字の「1」~「7」のいずれかを含む七種類である(以下の説明においては、『「1」の識別図柄』というように、各種識別図柄を「数字」を用いて表すこともある)ところ、当該七種類の識別図柄のいずれもが好機図柄として設定される可能性がある。好機演出では、好機図柄を遊技者に対して示す画像(好機画像30と称することもある)が表示領域911に表示される(
図3(b)等参照)。本実施形態における好機画像30は、好機図柄として設定された識別図柄が有する「数字」を少なくとも含む。例えば、好機画像30が「6」の数字を含んでいれば、好機図柄は「6」の識別図柄ということになる。本実施形態では、『「6」がチャンス」という文字を含む好機画像30が表示される。なお、当該好機画像30はあくまで一例である。各種識別図柄がキャラクタを含んでおり、当該キャラクタを表す画像を表示することで好機画像30を示すといった態様としてもよい。
【0021】
ある当否判定結果(対象当否判定結果)を報知する報知演出(一変動)にて、リーチが成立する場合(リーチが成立せずにはずれであることが報知される「どはずれ」変動ではない場合)、リーチが構築されるリーチ成立分岐点(以下、単に分岐点と称することもある)よりも前であるリーチ成立前場面と、分岐点よりも後のリーチ成立後場面に区分けされる(
図3、
図4参照)。換言すれば、リーチ成立後場面は、リーチが成立した後のリーチ演出が実行されている最中であり、リーチ成立前場面はリーチ演出が実行されていない状況であるということができる。また、リーチ成立前場面は、上記分岐点より以前であるから、当該報知演出にてリーチが成立するかどうかを遊技者が明確に判別することはできない(ただし、リーチ成立前場面にて「リーチ」が成立することを確定的に示す予告が発生するようなケースを除く)。
【0022】
ある報知演出にて好機演出を実行することが決定された場合、当該好機演出はリーチ成立前場面において実行される(
図3(b)参照)。つまり、リーチが成立するよりも前に好機図柄となる識別図柄がいずれであるかを示すことで、遊技者に対し、当該好機図柄にてリーチが成立することを期待させる遊技性を実現する。リーチ成立前場面において示された好機図柄にてリーチが成立した場合(
図3(c-2)参照)の方が、好機図柄以外の図柄(以下、非好機図柄と称することもある)でリーチが成立した場合(
図3(c-1)参照)に比して対象当否判定結果の大当たり信頼度は高い。なお、本実施形態では、リーチ成立前場面において好機演出が実行された上で、好機図柄および非好機図柄のいずれでもリーチが成立しないことも発生しうる。この場合にはそのまま対象当否判定結果がはずれであることが報知される(いわゆる「どはずれ」変動となる)。ただし、リーチ成立前場面において好機演出が実行された場合、分岐点にて必ずリーチが成立する設定としてもよい。すなわち、分岐点にて好機図柄のリーチが成立するか、非好機図柄のリーチが成立するかのいずれかが発生する設定としてもよい。
【0023】
さらに本実施形態では、リーチ成立前場面にて好機演出が実行されたものの、当該好機演出にて示される好機図柄でリーチが成立しなかった場合(
図3(c-1)参照)、すなわち非好機図柄でリーチが成立したリーチ成立後場面においても好機演出が実行される。本実施形態では、リーチ成立前場面からリーチ成立後場面にかけて継続的に好機演出が実行される。ただし、リーチ成立前場面やリーチ成立後場面が実行されている少なくとも一部の期間において好機演出が実行されない(好機図柄が示されない)状況が存在していてもよい。なお、リーチ成立前場面にて好機演出が実行され、当該好機演出にて示される好機図柄でリーチが成立した場合には、リーチ成立後場面において好機演出は実行されない(詳細を後述する図柄変化演出が発生する余地がないからである)。つまり、リーチ成立と同時またはリーチ成立後所定のタイミングで好機画像30が消去される。以下の説明において単にリーチ成立後場面というときは、好機演出が実行されるリーチ成立後場面をいうものとする。
【0024】
リーチ成立後場面にて実行される好機演出は、その開始当初は、リーチ成立前場面にて実行される好機演出にて示された好機図柄と同じ図柄を好機図柄として示す(つまり、リーチ図柄となった非好機図柄以外の図柄を好機図柄として示す)。また、リーチ成立後場面においては、リーチ図柄となった識別図柄の種類を継続的に示す。好機演出が実行されている(好機図柄が示されている)期間においてもリーチ図柄となった識別図柄の種類が示されている(
図4(a)においては「4」の識別図柄がリーチ図柄であることが示されている)。したがって、当該期間では、「リーチ図柄≠好機図柄」であることが遊技者に対して明確に示された状態にあるといえる。なお、リーチ成立後場面にて実行される好機演出とリーチ成立前場面にて実行される好機演出は、いずれも好機図柄を示すというものであればよく、演出の基本的態様(好機図柄の表示方法等)が異なるものであってもよい。
【0025】
リーチ成立後場面においては、図柄変化演出が発生しうる。図柄変化演出は好機演出にて好機図柄として示されている識別図柄が、リーチ図柄となる変化が生じる演出である。具体的には、リーチ成立後場面が開始された当初は、非好機図柄がリーチ図柄として設定され、当該非好機図柄とは異なる識別図柄が好機図柄として示されているところ、当該好機図柄がリーチ図柄となる変化(「リーチ図柄≠好機図柄(リーチ図柄=非好機図柄)」→「リーチ図柄=好機図柄」の変化)が生じる。例えば、リーチ成立前場面にて「6」の識別図柄が好機図柄として示された好機演出が発生したものの、「4」の識別図柄(非好機図柄)がリーチ図柄となり、リーチ成立後場面に移行したとする。そこで、図柄変化演出が発生し、リーチ図柄が「6」の識別図柄となる変化が生じる(
図4(a)→
図4(b-1)の変化が生じる)。これが図柄変化演出である。「リーチ図柄≠好機図柄」であること(リーチ図柄として設定される識別図柄の種類と好機図柄として示される識別図柄の種類が同じではないこと)が遊技者に理解できるように表示された状況から、図柄変化演出を経て「リーチ図柄=好機図柄」であること(リーチ図柄として設定される識別図柄の種類と好機図柄として示される識別図柄の種類が同じであること)が理解できるように遊技者に表示された状況に移行することになる。
【0026】
リーチ成立後場面にて、このような図柄変化演出が必ず発生するわけではない。図柄変化演出が発生して「リーチ図柄=好機図柄」となる状況に移行する(
図4(a)→
図4(b-1)のように演出が進行する)こともあれば、図柄変化演出が発生せずに「リーチ図柄≠好機図柄」の状況が維持される(
図4(a)→
図4(b-2)のように演出が進行する)こともある。前者の方が、後者の場合よりも、対象当否判定結果の大当たり信頼度は高い。なお、本実施形態では、図柄変化演出が発生して「リーチ図柄=好機図柄」となっても、対象当否判定結果の大当たりが確定するわけではない(大当たり信頼度が100%であるわけではない)。ただし、図柄変化演出が発生して「リーチ図柄=好機図柄」となった場合に大当たりが確定する設定とすることを否定するわけではない。また、図柄変化演出が発生せずに「リーチ図柄≠好機図柄」の状況が維持されても、対象当否判定結果が大当たりとなる可能性はある(大当たり信頼度が0%であるわけではない)。
【0027】
本実施形態では、リーチ成立後場面として発生するリーチ演出(スーパーリーチ演出)の結末により対象当否判定結果が報知される。具体的には、対象当否判定結果が大当たりとなる場合にはリーチ演出の結末は成功結末となり、はずれとなる場合にはリーチ演出の結末は失敗結末となる。このようなリーチ演出にて図柄変化演出が発生した場合の方が、発生しなかった場合に比して、リーチ演出の結末が成功結末となる蓋然性が高いということである。つまり、図柄変化演出の発生は、遊技者にとって有利な事象であるということができる。
【0028】
リーチ成立後場面にて図柄変化演出が発生する場合、それを契機として好機演出は終了する(
図4(c-1)参照)。つまり、図柄変化演出が発生して「リーチ図柄=好機図柄」となったのであるから、好機図柄を表示させる必要はないとして好機画像30を消去する。一方、図柄変化演出が発生しない場合には、所定のタイミングまでは好機演出を継続させる(
図4(c-2)参照)。本実施形態では、上記結末(成功結末or失敗結末)に至る直前まで好機演出を継続させる。換言すれば、既に図柄変化演出が発生する可能性が無い状況(遊技者はこのような状況であることが分からない)でも好機演出を継続させるということである。このように好機演出を継続させることで、遊技者は最後までリーチ図柄が好機図柄となる変化が生じるのではないかということに期待する。
【0029】
このように、本実施形態にかかる遊技機1では、リーチ成立前場面だけでなく、リーチ成立後場面においても好機図柄を示す好機演出が実行されるため、リーチ成立後に図柄変化演出を発生させて「リーチ図柄≠好機図柄」の状況から「リーチ図柄=好機図柄」の状況に移行したことを明確に示すことができる(仮に、好機演出が実行されていないとすれば、リーチ図柄を変化させても当該変化がどのようなことを示しているのか分かりにくい)。つまり、好機図柄がリーチ図柄となり、対象当否判定結果の大当たり信頼度が高まったことを明確に示すことができる。見方を変えれば、好機演出は、リーチ図柄として選択されることが好ましい図柄を示すものであるから、通常であればリーチ成立前場面にて終了するものであるところ、敢えてリーチ成立後場面においても実行しているという点が斬新であるといえる。
【0030】
以下、好機演出および図柄変化演出に関する事項を改良、具体化、変形等した具体例について説明する。なお、可能な限りにおいて、以下の具体例を用いて説明する技術を複数組み合わせて適用した構成としてもよい。
【0031】
〇第一具体例
上記実施形態では、リーチ成立後場面にて図柄変化演出が発生しうる(「リーチ図柄≠好機図柄」の状況から「リーチ図柄=好機図柄」の状況に変化しうる)ことを説明したが、このような図柄変化演出が発生することがない設定としてもよい。つまり、リーチ成立後場面において好機演出(好機図柄の表示)はなされるものの、「リーチ図柄≠好機図柄」の状況が維持され、「リーチ図柄=好機図柄」の状況に変化することがない設定とする。
【0032】
好機演出にて好機図柄が表示されていれば、遊技者は、リーチ図柄が好機図柄に変化することに期待するのが通常である。つまり、実際にリーチ図柄が好機図柄に変化することが発生しなくても、リーチ成立後場面においても好機図柄を表示させ続けることで、「リーチ図柄≠好機図柄」の状況から「リーチ図柄=好機図柄」の状況に変化するのではないかと遊技者に期待させることができる。
【0033】
〇第二具体例
上記実施形態にて説明した図柄変化演出は、リーチ図柄が非好機図柄から好機図柄に変化することで、「リーチ図柄=好機図柄」となるものであることを説明したが、好機演出にて好機図柄として示す識別図柄の種類が変化することで、「リーチ図柄=好機図柄」となるものとしてもよい。例えば、「5」の識別図柄にてリーチが成立し(
図5(a)参照)、リーチ成立後場面の当初は好機演出にて「3」の識別図柄が好機図柄であることが示されていたとする(
図5(b)参照)。その後、図柄変化演出として好機図柄が「3」の識別図柄から「5」の識別図柄に変化すること(好機画像30の変化)が発生し、「リーチ図柄=好機図柄」となる(
図5(c)参照)。このように、好機演出が示す好機図柄の種類自体が変化することで、いわゆるチャンスアップが示されるようにしてもよい。
【0034】
〇第三具体例
図柄変化演出が発生したとき、「リーチ図柄=好機図柄」となる結果(成功結果)に至ることもあれば、「リーチ図柄=好機図柄」とはならない結果(失敗結果)に至ることもある設定とする(
図6参照)。図柄変化演出は、リーチ図柄の種類が変化するかもしれないことを遊技者に示す先の部分、当該先の部分の後に実行される後の部分を含む。先の部分は「煽り」の段階であって、リーチ図柄の種類が変化するのではないかと遊技者が感じるような態様であればよい。例えば、「リーチ図柄に注目」といった文字を表示する(
図6(b)参照)、リーチ図柄を発光させる(図示せず)、といった態様とすることが考えられる。後の部分は、上記成功結果または失敗結果に至ったことを示す部分である。成功結果(
図6(c-1)参照)は、上記実施形態にて説明した通りである。失敗結果は、リーチ図柄が維持されるという態様(
図6(c-2)参照)であってもよいし、リーチ図柄の種類は変化するものの変化後のリーチ図柄の種類が好機図柄と一致しない(非好機図柄となる)態様(図示せず)であってもよい。このようにすることで、図柄変化演出が発生しても「リーチ図柄=好機図柄」となるとは限られない演出形態とすることができる。
【0035】
リーチ成立後場面にて好機演出が実行されている場合、必ず図柄変化演出が発生し、成功結果または失敗結果に至る設定としてもよい。つまり、好機演出にて好機図柄が示されていることを尊重し、リーチ図柄が当該好機図柄に変化するかもしれないことを示す図柄変化演出(リーチ図柄変化の「煽り」)が必ず発生するものとする。
【0036】
〇第四具体例
好機演出が発生して「リーチ図柄=好機図柄」となるパターンとしては大きく分けて以下の二つが考えられる。
・リーチ成立前場面における好機演出にて好機図柄が表示されており、好機図柄がリーチ図柄として設定されるリーチが分岐点にて成立する第一パターン
・リーチ成立後場面における好機演出にて好機図柄が表示されており、図柄変化演出が発生してリーチ図柄の種類が変化して好機図柄と一致する第二パターン
図3および
図4に示した例でいえば、
図3(c-2)の状況に至るのが第一パターンであり、
図4(b-1)の状況に至るのが第二パターンである。
【0037】
第一パターンおよび第二パターンはいずれも結果として「リーチ図柄=好機図柄」となるものであり、結果として「リーチ図柄≠好機図柄」となる場合よりも対象当否判定結果の大当たり信頼度は高い。加えて、本例では、第一パターンが発生した場合よりも、第二パターンが発生した場合の方が、対象当否判定結果の大当たり信頼度が高い。つまり、第一パターンおよび第二パターンはいずれも「リーチ図柄=好機図柄」となるものであるが、その結果に至るまでの経緯に応じ、大当たり信頼度を異ならせる。具体的には、第一パターンは、リーチ図柄として選択されることが好ましい好機図柄を好機演出にて示した上で、当該好機図柄によりリーチが成立するといういわば通常のパターンである。一方、第二パターンは、好機図柄として示された図柄によりリーチが成立しなかったことを示した上で、リーチ成立後場面で「リーチ図柄=好機図柄」となる変化が生じるものである。つまり、遊技者を分岐点にて一旦落胆させた上で、図柄変化演出によりその落胆を覆すような変化を生じさせるものであるから、このような変化が生じた場合の方が、大当たり信頼度が高くなるような設定とするとよい。
【0038】
〇第五具体例
所定条件を満たした場合だけでなく、全ての報知演出(毎変動)にて好機演出が発生する(少なくともリーチ成立前場面にて好機演出が発生する)ものとしてもよい。そして、どのような報知演出においても、分岐点にてリーチが成立した場合には、リーチ成立後場面にて好機演出が実行されるようにしてもよい。
【0039】
また、複数種の演出モードのうちのいずれかである特定演出モードが設定されている状況では、毎変動好機演出が発生するようにしてもよい。例えば、複数種の演出モードA~Cのそれぞれは、キャラクタA~Cのいずれかをモチーフとしたものであり、キャラクタCをモチーフとした演出モードCが設定されている状況では、毎変動好機演出が発生する設定とする。なお、演出モードの制御に関し、遊技者が任意の演出モードを選択することが可能な構成であってもよいし、自動で(遊技者の意思によらず)演出モードが切り替えられる構成であってもよい。
【0040】
〇第六具体例
リーチ成立前場面にて好機演出が実行された(
図6(a)参照)ものの、非好機図柄がリーチ図柄となるリーチが成立したとする。この場合、リーチ成立後場面にて好機演出が実行されるケース(
図6(b-1)参照)だけでなく、リーチ成立後場面にて好機演出が実行されないケース(
図6(b-2)参照)が生じうるものとする。つまり、リーチ成立前場面から継続的にリーチ成立後場面においても好機演出が実行されるパターン(好機演出実行パターン)と、リーチ成立前場面にて好機演出が終了するパターン(好機演出非実行パターン)が生じうるものとする。
【0041】
好機演出実行パターン(
図6(b-1)参照)では、リーチ成立後場面にて図柄変化演出が実行される可能性がある。つまり、「リーチ図柄≠好機図柄」の状況から「リーチ図柄=好機図柄」の状況に変化する可能性がある。この点は上記実施形態にて説明した通りである。一方、好機演出非実行パターン(
図6(b-2)参照)では、リーチ成立後場面にて図柄変化演出が実行される可能性がない。つまり、「リーチ図柄≠好機図柄」の状況から「リーチ図柄=好機図柄」の状況に変化する可能性がない(「リーチ図柄≠好機図柄」の状況が維持される)。したがって、好機演出実行パターンとなる場合の方が、好機演出非実行パターンとなる場合よりも、図柄変化演出が発生して「リーチ図柄=好機図柄」となる可能性があるという点で遊技者にとって有利であるということができる。
【0042】
好機演出は、リーチ図柄として選択されることが好ましい好機図柄を表示するものであるから、リーチ成立後場面にて当該好機演出が実行された場合に限り、図柄変化演出が発生しうるものとする。つまり、好機演出が実行されているということを、図柄変化演出が発生しうる状況であることを示す要素として機能させている。遊技者にとってみればリーチ成立前場面にて実行された好機演出がリーチ成立前場面においても実行されることが有利な事象として設定されているから、分岐点経過後にも好機演出が終了せずに継続することを願う遊技性が実現される。
【0043】
〇第七具体例
上記実施形態における好機演出は、リーチ図柄として選択されることが好ましい識別図柄の種類を示すものであることを説明したが、発生した場合に遊技者に有利となる事象(以下、対象事象と称する)を示すものであればよい。対象事象は、基本的には、リーチ成立前場面にて発生しうるものとする。つまり、リーチ成立前場面にて好機演出を発生させることで、遊技者はリーチ成立前場面にて当該対象事象が発生することに期待することになる。例えば、基本的にはリーチ成立前場面にて表示されることがある「所定の演出画像の表示」が対象事象として設定された好機演出が発生したとする。この場合、遊技者はリーチ成立前場面にて当該演出画像が表示されることに期待する。リーチ成立前場面にて当該演出画像が表示されて対象当否判定結果の大当たり信頼度が高まったことが示されることもある。
【0044】
リーチ成立前場面にて上記演出画像が表示されず(対象事象が発生せず)、リーチが成立したとする。つまり、リーチ成立後場面に移行したとする。当該リーチ成立後場面においても、上記好機演出が実行される。このようにすることで、遊技者は、リーチ演出中に上記演出画像が表示されること(対象事象の発生)に期待することになる。リーチ成立後場面にて実際に演出画像が表示された場合には、対象当否判定結果の大当たり信頼度が高まることになる。
【0045】
このように、好機演出の対象事象は、リーチ成立前場面およびリーチ成立後場面のいずれでも発生しうる事象であって遊技者にとって有利な事象であればよい。そして、対象事象は、リーチ成立後場面にて発生する蓋然性よりも、リーチ成立前場面にて発生する蓋然性の方が高く設定されたものであることが好ましい。これにより、遊技者は、対象事象はリーチ成立前場面にて発生することが通常であると捉える蓋然性が高くなり、好機演出が発生した場合には基本的にはリーチ成立前場面にて対象事象が発生することに期待することになる。そのため、リーチ成立前場面にて対象事象が発生しなかったものの、リーチ成立後場面においても好機演出が継続して実行されたときの遊技者の期待感を高めることができる。
【0046】
3)以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0047】
上記実施形態にて説明した事項は、ぱちんこ遊技機特有の構成を利用した点を除いて、回胴式遊技機等その他の遊技機にも適用することが可能である。
【0048】
上記実施形態にて説明した当否判定結果が大当たりとなる蓋然性(大当たり信頼度)を示唆する演出は、いわゆる「小当たり」となる蓋然性を示唆するものとして用いることもできる。
【0049】
上記実施形態から得られる具体的手段(遊技機)を以下に列挙する。
【0050】
・手段1
表示装置に表示される複数種の識別図柄の組み合わせにより当否判定結果を報知する報知手段と、リーチを構築するリーチ図柄として選択されることが遊技者にとって好ましい一または二種以上の前記識別図柄を好機図柄として示す好機演出を実行する演出実行手段と、を備え、前記好機演出は、リーチが構築されるかどうかが示されるリーチ成立分岐点よりも前であるリーチ成立前場面だけでなく、前記好機図柄以外の前記識別図柄である非好機図柄が前記リーチ図柄として設定されたリーチ成立後場面でも実行されうることを特徴とする遊技機。
上記遊技機のように、リーチ成立後場面においても好機演出が実行されるようにすることで、リーチ図柄が好機図柄となる変化が発生することに遊技者が期待することになるから、遊技の趣向性を向上させることが可能である。
【0051】
・手段2
前記好機図柄以外の前記識別図柄である非好機図柄が前記リーチ図柄として設定された前記リーチ成立後場面にて、前記好機図柄と前記リーチ図柄が一致しない状況から前記好機図柄と前記リーチ図柄が一致する状況に変化する図柄変化演出が発生しうることを特徴とする手段に記載の遊技機。
上記のようにすることで、遊技者は図柄変化演出の発生に期待することになる。
【0052】
・手段3
前記図柄変化演出として、前記リーチ図柄が前記非好機図柄から前記好機図柄に変化する演出が発生することを特徴とする手段2に記載の遊技機。
・手段4
前記図柄変化演出として、前記好機演出が前記好機図柄として示す前記識別図柄の種類が変化することで、前記リーチ図柄が前記好機図柄となる演出が発生することを特徴とする手段2または手段3に記載の遊技機。
図柄変化演出の態様としては、リーチ図柄が変化することにより好機図柄とリーチ図柄が一致するという態様、好機図柄が変化することにより好機図柄とリーチ図柄が一致するという態様が考えられる。
【0053】
・手段5
前記リーチ成立分岐点にて前記好機演出にて示された前記好機図柄が前記リーチ図柄として設定されたリーチが成立した場合よりも、前記リーチ成立後場面にて前記図柄変化演出が発生して前記好機図柄が前記リーチ図柄として設定されたリーチが成立した場合の方が、当否判定結果が当たりとなる蓋然性が高いことを特徴とする手段2から手段4のいずれかに記載の遊技機。
リーチ成立時に好機図柄とリーチ図柄が一致せず、遊技者を一旦落胆させた後、図柄変化演出により好機図柄とリーチ図柄が一致する状況に変化した場合の方が、単純にリーチ成立時に好機図柄とリーチ図柄が一致した場合よりも、遊技者の感情の変化が大きいことが想定される。このような感情の変化の大小に合わせて信頼度の高低を設定する(感情の変化が大きい場合の方が高信頼度である設定とする)ことで、一連の演出が面白みのあるものとなる。
【符号の説明】
【0054】
1 遊技機
20 識別図柄
30 好機画像
91 表示装置
911 表示領域