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  • 特許-被洗浄物の洗浄装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-14
(45)【発行日】2022-09-26
(54)【発明の名称】被洗浄物の洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   B08B 3/08 20060101AFI20220915BHJP
   C11D 7/50 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
B08B3/08 Z
C11D7/50
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021117856
(22)【出願日】2021-07-16
【審査請求日】2021-07-16
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390019884
【氏名又は名称】ジャパン・フィールド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000501
【氏名又は名称】翠弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】内野 正英
【審査官】石井 茂
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-138166(JP,A)
【文献】特開2016-088963(JP,A)
【文献】特開平04-244281(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B08B 3/00-3/14
C11D 7/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
沸点差が少ないHFC-365mfcとHFO-1233zd(z)とを混合した混合溶剤を内部に収納するとともに、当該混合溶剤の洗浄蒸気を冷却するための冷却機構を開口部側に設け、被洗浄物の液洗浄、蒸気洗浄、及び/又は自熱乾燥を行う洗浄槽と、上記混合溶剤を収納するとともに、当該混合溶剤を加熱して洗浄蒸気を発生させる加熱機構を備え、当該洗浄蒸気を上記洗浄槽に移送するための移送管を設けた蒸気発生槽と、当該蒸気発生槽と上記洗浄槽との間に設けるとともに当該洗浄槽からの混合溶剤を蒸気発生槽内に回収可能とする回収管とを備えたことを特徴とする被洗浄物の洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、混合溶剤にて機械部品、電子部品、医療機器等の被洗浄物を洗浄するための洗浄装置に係るものである。
【背景技術】
【0002】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-36478号公報 従来広く使われていたフッ素系溶剤のフロン113や塩素系溶剤の1.1.1.トリクロロエタンは、1995年、世界的にオゾン層破壊で全廃となった。その後、洗浄業界では安易に使用できる洗浄溶剤として、毒性の強いトリクロロエチレンやパークロロエチレン、塩化メチレン等が未だ使用されている。これらの洗浄溶剤は発がん性物質とも言われており人体に悪影響を及ぼすおそれがある。そして特許文献1に示す如く、HFCやHFEなどの洗浄溶剤が単独で、あるいは他の溶剤と混合して一般的に使用されている。
【0004】
また洗浄業界では洗浄溶剤として石油系溶剤が多く使われているが、この石油系溶剤の沸点は170℃~220℃程度と高いものであるため、減圧しなければ蒸気洗浄が困難なものである。更に石油系溶剤は可燃性であって火災の危険性がある。そのため、石油系溶剤を洗浄溶剤として用いる場合には既存の洗浄装置では対応が困難となることから、専用の新たな設備投資が必要となる。従って、このような洗浄装置を取り扱う多くの中小企業にとっては、設備投資に多大な費用を投じる必要があるためコスト面などを考慮すると対応が困難なものとなっていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで本願では上述の如き課題を解決しようとするものであって、多大なコストをかけることなく、地球環境に配慮するとともに人体にも悪影響を及ぼしにくい洗浄を可能にしようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
来よりHFC-365mfc及びHFO-1233zd(z)は、それぞれ洗浄溶剤として広く知られている。しかし、HFC-365mfcは安価であるという利点はあるものの、地球温暖化係数が高い上に脱脂力が弱く用途が限られている。一方、HFO-1233zd(z)は地球温暖化係数が低く脱脂力は高いという利点はあるものの、現時点では量産されておらず価格が高いため単体で使用する場合にはコストが高くつくものである。そのため、HFC-365mfc単体、あるいはHFO-1233zd(z)単体での洗浄溶剤としての使用は上記のようなデメリットがあることから、一般的に使用することは困難となっていた。そこで本願発明者はHFC-365mfcとHFO-1233zd(z)との沸点差が小さい点に着目し、両者を混合した混合溶剤を開発するに至った。
【0007】
即ち、HFC-365mfcの沸点が40.2℃、HFO-1233zd(z)の沸点が39℃と沸点差が小さい。一般的に、異なる二液を混合させた混合溶剤については従来より使用されているが、異なる二液を混合・加熱して蒸気を発生させた場合には、各液の沸点差によりどちらか一方が先に蒸発するものとなる。そのため、二液を混合・加熱した後の混合溶剤の混合割合が変化するという問題が生じていた。また、より沸点差の大きい二液の混合溶剤の再利用を試みた場合、各液において蒸発時間に著しい差が生じるため、沸点の高い溶剤は蒸気発生槽内に汚液とともに滞留するため再利用が困難なものとなっていた。
【0008】
方混合溶剤を構成する各液の沸点差が極めて少ない場合には、当該混合溶剤を沸点近傍まで加熱することによりほぼ同時に蒸気が発生するため、どちらか一方のみ蒸発するという事態が生じにくく、残留した混合溶剤の各液の混合比が大きく変化することはない。また当該混合溶剤による液洗浄あるいは蒸気洗浄後にこの混合溶剤を蒸留した場合には、ほぼ同時に蒸留再生を行うことができる。そのため、混合溶剤であるにもかかわらず、単体で使用した場合と同様の手順により混合溶剤を回収し再利用することが可能となり、当該混合溶剤の管理が容易となる。
【0009】
またHFC-365mfcとHFO-1233zd(z)との混合比を変化させることにより、使用目的に応じた混合溶剤を得ることができる。例えば、HFC-365mfcとHFO-1233zd(z)との混合比を変化させて脱脂力の強弱を調整したり、HFO-1233zd(z)の混合割合を多くすることにより環境への負荷を軽減したり、逆にHFC-365mfcの混合割合を多くすることにより価格を低廉なものにすることが可能となる。
【0010】
また、上記混合溶剤は、HFC-365mfcにHFO-1233zd(z)を加え、更にハイドロカーボンを溶解することにより洗浄力を向上可能としたものであっても良い。HFC-365mfc単体では石油系溶剤に溶解しにくいものであるが、このHFC-365mfcにHFO-1233zd(z)を添加することにより石油系溶剤にも溶解するものとなる。そしてこの混合溶剤に、更に石油系溶剤であるハイドロカーボンを溶解させることにより、脱脂洗浄力を効果的に高めることが以下の実験より明らかとなっている。
【0011】
またハイドロカーボンは安価であるため、HFC-365mfcとHFO-1233zd(z)との混合液に添加することにより、低コストで脱脂洗浄力の優れた洗浄溶剤を得ることが可能となり、被洗浄物への適用範囲を拡大することができる。
【0012】
ここで、HFC-365mfcにHFO-1233zd(z)を加え、ハイドロカーボンを溶解した混合溶剤による被洗浄物からの油の除去能力を確認するため、以下の試験を行った。
試験1:混合溶剤の相溶性について
(HFC-365mfcとハイドロカーボンとの混合試験)
室温下でHFC-365mfc 150mlとハイドロカーボン150mlとを混合した場合、これら二液はほとんど溶け合わず、二層に分離した。
(HFC-365mfc、HFO-1233zd(z)、及びハイドロカーボンの混合試験)
室温下でHFC-365mfc 150ml、HFO-1233zd(z) 150ml、ハイドロカーボン50mlを混合した結果、各液が分離することなく溶けあって透明な混合溶剤を得ることができた。
【0013】
試験2:混合溶剤による被洗浄物に付着した油の除去能力について
(被洗浄物)
50mm×50mmのSUS製の平板
(洗浄溶剤)
(a) HFC-365mfc
(b) HFO-1233zd(z)
(c) HFC-365mfcとHFO-1233zd(z)との混合比1:1の混合溶剤
(d) HFC-365mfcとHFO-1233zd(z)とハイドロカーボンとの混合比3:3:1の混合溶剤
(加工油)
レータス150(株式会社ジャパンエナジー製)
(試験方法)
1 室温下で被洗浄物を加工油浴に浸す。
2 加工油浴から被洗浄物を取り出して、油が滴下しなくなるまで油切りを行う。
3 油切りした被洗浄物を上記(a)~(d)の各洗浄溶剤に浸漬して3分間揺動洗浄を行う。
4 液切り乾燥を行う。
5 目視(肉眼)にて被洗浄物に加工油が残留しているかどうかを確認する。
【0014】
上記試験を行った結果、洗浄溶剤(a)HFC-365mfcについては油切り時に被洗浄物に付着していた加工油が残留しており加工油をほとんど溶解できないことが確認できた。また洗浄溶剤(b) HFO-1233zd(z)を用いた場合には、油切り時に被洗浄物に付着していた加工油が残留していなかった。また洗浄溶剤(c) HFC-365mfcとHFO-1233zd(z)との混合比1:1の混合溶剤を使用した場合には、油切り時に被洗浄物に付着していた加工油が部分的に残留していることが確認された。また洗浄溶剤(d) HFC-365mfcとHFO-1233zd(z)とハイドロカーボンとの混合比3:3:1の混合溶剤を用いた場合には、被洗浄物に付着していた加工油が残留していなかった。
【0015】
以上の結果より、HFC-365mfcにHFO-1233zd(z)を加え、更にハイドロカーボンを溶解することにより、被洗浄物に付着していた加工油を、HFC-365mfcとHFO-1233zd(z)との混合溶剤よりも更に効果的に溶解除去することができることが明らかとなった。そのため、プレス油やしぼり油のような粘性が高い汚れも容易に除去することができる混合溶剤を得ることが可能となる。
【0016】
また、上記混合溶剤は、HFC-365mfcよりもHFO-1233zd(z)の混合量を多くすることにより、HFO-1233zd(z)単体で使用した場合、HFC-365mfcとHFO-1233zd(z)とを同量とした場合、あるいはHFO-1233zd(z)よりもHFC-365mfcの混合量を多くした場合と比較して、地球温暖化率を低減可能となる。
【0017】
本願発明は、沸点差が少ないHFC-365mfcとHFO-1233zd(z)とを混合した混合溶剤を内部に収納するとともに、当該混合溶剤の洗浄蒸気を冷却するための冷却機構を開口部側に設け、被洗浄物の液洗浄、蒸気洗浄、及び/又は自熱乾燥を行う洗浄槽と、上記混合溶剤を収納するとともに、当該混合溶剤を加熱して洗浄蒸気を発生させる加熱機構を備え、当該洗浄蒸気を上記洗浄槽に移送するための移送管を設けた蒸気発生槽と、当該蒸気発生槽と上記洗浄槽との間に設けるとともに当該洗浄槽からの混合溶剤を蒸気発生槽内に回収可能とする回収管とを備えたものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明は上記の如く構成したものであって、HFC-365mfcの沸点が40.2℃、HFO-1233zd(z)が39℃と沸点差が小さいことから、当該混合溶剤を沸点近傍まで加熱することによりほぼ同時に蒸気が発生するため、どちらか一方のみ蒸発するという事態が生じにくく混合溶剤の各液の混合比が大きく変化しない。そのため混合溶剤の性質を一定に保つことができるため当該混合溶剤の管理が容易となり、特別な装置を必要とすることなく既存の装置を利用して洗浄作業を行うことができるため、洗浄コストを安価なものとすることが可能となる。
【0019】
また本発明の混合溶剤による液洗浄あるいは上記洗浄後、再利用のためにこの混合溶剤を蒸留した場合にほぼ同時に蒸留再生ができるため、混合溶剤であるにもかかわらず、単体で使用した場合と同様の手順により蒸留再生液を回収することができることから、混合溶剤の再利用を単体の場合と同様に容易に行うことが可能となり、持続可能な社会への貢献に資するものである。
【0020】
またHFC-365mfcとHFO-1233zd(z)との混合比を変化させることにより、使用目的に応じた混合溶剤を得ることができる。例えば、HFC-365mfcとHFO-1233zd(z)との混合比を変化させて脱脂力の強弱を調整したり、HFO-1233zd(z)の混合割合を多くすることにより環境への負荷を軽減したり、更にはHFC-365mfcの混合割合を多くすることにより混合溶剤を安価なものとすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本願発明を示す実施例1の概念図。
【実施例1】
【0022】
本願発明の実施例1を図1に於いて説明すると、(1)は洗浄槽であって、この洗浄槽 (1)の開口部(2)付近には、本発明の冷却機構を構成する第1冷却管(3)を設けるとともに、底部側には、第2冷却管(4)を設けている。またこの洗浄槽(1)の隣には、図1に示す如く蒸気発生槽(5)を設けている。この蒸気発生槽(5)の開口部(6)側には、第3冷却管(7)を設けるとともに、底部側には本発明の加熱機構を構成するヒーター(8)及び温度センサー(10)を設けている。
【0023】
そして、当該蒸気発生槽(5)と洗浄槽(1)との間には、開閉弁(11)を備えた移送管(12)を設けており、両者を連通可能なものとしている。また当該移送管(12)の下方には、上記洗浄槽(1)と蒸気発生槽(5)との間に、洗浄槽(1)側から蒸気発生槽(5)の底部側に向かって下るように傾斜した回収管(13)が設けられており、当該回収管(13)を通じて洗浄槽(1)と蒸気発生槽(5)とが常時連通した状態となっている。
【0024】
そして上記の如く構成した被洗浄物(15)の洗浄装置を用いた洗浄方法について以下に説明する。まず、洗浄槽(1)内には、HFC-365mfcとHFO-1233zd(z)とを混合させて成る混合溶剤(16)を収納し、当該洗浄槽(1)内の第2冷却管(4)にてこの混合溶剤(16)を冷却しておく。ここで、HFC-365mfcの沸点が40.2℃、HFO-1233zd(z)が39℃と沸点差が小さいことから、当該混合溶剤(16)を沸点近傍まで加熱することによりほぼ同時に蒸気が発生する。そのため、どちらか一方のみ蒸発するという事態が生じにくく混合溶剤(16)の各液の混合比が大きく変化しないことから、混合溶剤(16)の性質を一定に保つことが可能となり当該混合溶剤(16)の管理が容易となる。
【0025】
尚、この各溶剤の混合比は、使用目的に応じて適宜変更することができる。例えば、HFC-365mfcとHFO-1233zd(z)との混合比を変化させて脱脂力の強弱を調整したり、HFO-1233zd(z)の混合割合を多くすることにより環境への負荷を軽減したり、更にはHFC-365mfcの混合割合を多くすることにより混合溶剤(16)を安価なものにしたりすることが可能となる。
【0026】
また、本実施例ではHFC-365mfcとHFO-1233zd(z)とを混合した混合溶剤(16)を用いているが、他の異なる実施例ではHFC-365mfcにHFO-1233zd(z)を加え、更に石油系溶剤であるハイドロカーボンを溶解させることにより、脱脂洗浄力を効果的に高めることも可能である。更にハイドロカーボンは安価であるため、HFC-365mfcとHFO-1233zd(z)との混合液に添加することにより、低コストで脱脂洗浄力の優れた洗浄溶剤を得ることが可能となり、被洗浄物(15)への適用範囲を拡大することができる。
【0027】
また蒸気発生槽(5)にも同様に、上記の如く洗浄槽(1)内に収納した混合溶剤(16)と同じ混合比の混合溶剤(16)を収納しておく。そして、当該蒸気発生槽(5)内の混合溶剤(16)をヒーター(8)にてHFC-365mfc及びHFO-1233zd(z)の沸点以上に加熱することによって、当該蒸気発生槽(5)内に混合溶剤(16)の洗浄蒸気(17)を発生させておく。尚、当該混合溶剤(16)の温度は温度センサー(10)により常時管理されている。
【0028】
上記の如く構成した洗浄装置を用いた被洗浄物(15)の洗浄方法について以下に説明する。まず、上記洗浄槽(1)内の混合溶剤(16)を第2冷却管(4)により冷却しておく。また上記移送管(12)の開閉弁(11)を閉止した状態で、蒸気発生槽(5)のヒーター(8)を作動させ、この蒸気発生槽(5)内の混合溶剤(16)をHFC-365mfcとHFO-1233zd(z)の沸点以上に加熱させて、当該混合溶剤(16)の洗浄蒸気(17)を予め発生させておく。
【0029】
このような状態において、上記洗浄槽(1)の混合溶剤(16)中に被洗浄物(15)を浸漬し、液洗浄を行う。そして液洗浄が完了した後、当該被洗浄物(15)を図1に示す如く混合溶剤(16)の液面(14)よりも上方に配置する。そして、移送管(12)の開閉弁(11)を開放することにより、蒸気発生槽(5)内にて発生させた洗浄蒸気(17)を洗浄槽(1)内に移送させる。これにより、洗浄槽(1)内に流入した洗浄蒸気(17)が被洗浄物(15)に接触するものとなり、被洗浄物(15)の蒸気洗浄が行われる。そしてこの蒸気洗浄が終了した後、図1に示す如く被洗浄物(15)を洗浄槽(1)の開口部(2)付近の位置に移動させて、当該位置にて自熱乾燥を行うことにより、一連の洗浄作業が完了する。
【0030】
ここで、蒸気洗浄時に使用した洗浄槽(1)内の洗浄蒸気(17)は、当該洗浄槽(1)内に設けた第1冷却管(3)により蒸留液化されて洗浄槽(1)内の混合溶剤(16)中に回収される。また液洗浄時において、洗浄槽(1)内の混合溶剤(16)により被洗浄物(15)が冷却されるため、当該被洗浄物(15)に付着した洗浄蒸気(17)もこの冷却された被洗浄物(15)の表面にて凝縮液化され、当該被洗浄物(15)に付着していた汚れとともに混合溶剤(16)中に滴下し回収される。
【0031】
そして、上記の如き洗浄蒸気(17)の液化回収により洗浄槽(1)内の混合溶剤(16)の液面(14)が上昇した場合には、この液面(14)が回収管(13)の連通口まで達した時点でオーバーフローして回収管(13)から蒸気発生槽(5)内に回収されるものとなる。
【0032】
そして、上記の如く蒸気発生槽(5)内に回収された混合溶剤(16)は、再び加熱されて洗浄蒸気(17)となり、洗浄槽(1)に移送されて再び蒸気洗浄に使用されるものとなる。このように、本実施例では被洗浄物(15)の液洗浄及び/又は蒸気洗浄に使用した混合溶剤(16)を蒸留再生することが可能であるとともに、更にHFC-365mfcの沸点が40.2℃、HFO-1233zd(z)が39℃と沸点差が小さいことから、混合溶剤(16)であるにもかかわらず単体で使用した場合と同様の手順により蒸留再生液を回収することができるため、混合溶剤(16)の再利用を特別な装置を用いることなく単体の場合と同様に容易に洗浄作業を行うことができる。
【符号の説明】
【0033】
1 洗浄槽
2 開口部
3 第1冷却管
5 蒸気発生槽
8 ヒーター
12 移送管
13 冷媒ガス
13 回収管
15 被洗浄物
16 混合溶剤
17 洗浄蒸気

【要約】
【課題】
多大なコストをかけることなく、地球環境に配慮するとともに人体にも悪影響を及ぼしにくい洗浄を可能とする。
【解決手段】
沸点差が少ないHFC-365mfcとHFO-1233zd(z)とを、洗浄目的に応じた混合比にて混合した混合溶剤16を洗浄槽1内に収納し、この洗浄槽1内の混合溶剤16による被洗浄物15の液洗浄、及び/又は、当該混合溶剤を加熱して発生させた洗浄蒸気17による蒸気洗浄を行うとともに、この液洗浄及び/又は蒸気洗浄に使用した混合溶剤16を蒸留再生することにより、当該混合溶剤16を再利用可能とする。
【選択図】図1
図1