(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-14
(45)【発行日】2022-09-26
(54)【発明の名称】靴底カバーとその製造方法
(51)【国際特許分類】
A43B 3/16 20220101AFI20220915BHJP
【FI】
A43B3/16 Z
(21)【出願番号】P 2022529518
(86)(22)【出願日】2022-03-28
(86)【国際出願番号】 JP2022014977
【審査請求日】2022-06-02
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522198254
【氏名又は名称】山本 浩仁
(74)【代理人】
【識別番号】100091834
【氏名又は名称】室田 力雄
(72)【発明者】
【氏名】山本 浩仁
【審査官】粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-290105(JP,A)
【文献】中国実用新案第201657844(CN,U)
【文献】登録実用新案第3199363(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A43B 3/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
靴底に対して着脱自在に被着されることで、少なくとも靴底をカバーするようにした靴底カバーであって、
カバー本体と一対の縛付用帯紐とを伸縮性のある布で構成し、
前記カバー本体は、これを靴に対して被着することで、少なくとも靴底を被うように構成されると共に、カバー本体の先端部には靴のつま先部に対して着脱自在に帽着される先端帽着部を構成し、
前記一対の縛付用帯紐は、前記カバー本体の踵部から左右一対で且つ幅広で立ち上がると共に先にいくにつれて細くなるように構成され、且つ踵部の両側から靴と足首とを被いながら足首の前に回して縛り付けが可能となるように構成さ
れ、
カバー本体と一対の縛付用帯紐とを伸縮性のある布の一体物として構成し、カバー本体の先端帽着部の甲面側の中央後端位置に第1の布分岐点が構成されると共にカバー本体の踵部の後端中央上部位置に第2の布分岐点が構成され、カバー本体の布の上縁が前記第1の布分岐点を境に左右に分岐され、それぞれ前記左右一対の縛付用帯紐の布の上縁へと連続するように構成されると共に、前記第2の布分岐点から左右に分岐されるカバー本体の一対の布の下縁がそれぞれ前記一対の縛付用帯紐の布の下縁へと連続するように構成されている
ことを特徴とする靴底カバー。
【請求項2】
第1の布分岐点から分岐するカバー本体の左右一対の布の上縁、それらに連続して構成される一対の縛付用帯紐の各布の上縁、第2の布分岐点から分岐するカバー本体の一対の布の下縁、それらに連続して構成される一対の縛付用帯紐の各布の下縁は、何れも全長に亘って内向きに付勢された巻回形状
に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の靴底カバー。
【請求項3】
第1の布分岐点
、第2の布分岐点、及び一対の縛付用帯紐の末端部に、布の綻びを防止する補強手段を施していることを特徴とする
請求項1又は2に記載の靴底カバー。
【請求項4】
カバー本体と一対の縛付用帯紐は、袋状足部と筒状レッグ部とを備えた伸縮性のある布からなる靴下において、前記袋状足部のつま先部の甲面側の中央後端位置から中央線に沿って筒状レッグ部の上端までをカットすると共に、袋状足部の踵部の後端中央上部位置から中央線に沿って筒状レッグ部の上端までをカットした状態としたものを用いることを特徴とする請求項1~3の何れか
に記載の靴底カバー。
【請求項5】
靴底に対して着脱自在に被着されることで、少なくとも靴底をカバーするようにした靴底カバーの製造方法であって、
袋状足部と筒状レッグ部とを備えた伸縮性のある布からなる靴下を出発品として用い、前記袋状足部のつま先部の甲面側の中央後端位置を第1の布分岐点とすると共にそこから中央線に沿って筒状レッグ部の上端までを第1のカット線としてカットし、また袋状足部の踵部の後端中央上部位置を第2の布分岐点とすると共にそこから中央線に沿って筒状レッグ部の上端までを第2のカット線としてカットし、前記第1のカット線によって甲面側の途中から左右に分岐された前記袋状足部を、靴のつま先部に帽着され且つ靴底を被うカバー本体として構成すると共に、第1のカット線と第2のカット線とで左右に分割された筒状レッグ部の一対の分割片を、踵部両側から靴と足首とを被いながら足首の前に回して縛り付けを行う縛付用帯紐として構成し、
次に前記第1の布分岐点と第2の布分岐点とに綻び防止のための補強手段を施すと共に前記一対の縛付用帯紐の各末端部を固く絞るための補強手段を施すことを特徴とする靴底カバーの製造方法
。
【請求項6】
補強手段を施す際に、第1の布分岐点から分岐するカバー本体の左右一対の布の上縁、それらに連続して構成される左右一対の縛付用帯紐の各布の上縁、第2の布分岐点から分岐するカバー本体の一対の布の下縁、それらに連続して構成される一対の縛付用帯紐の各布の下縁を、何れも全長に亘って内向きに付勢された巻回形状となるように内向きの巻回処理を施すことを特徴とする
請求項5に記載の靴底カバーの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は靴底カバーとその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、靴全体をカバーする靴カバーや靴の底をカバーする靴底カバー等が提供されている。その目的は様々である。例えば靴全体をカバーするものは、靴全体が汚れないようにするための目的やカバーに入れて持ち歩きするための目的等がある。
また靴底をカバーする靴底カバーでは、例えば土足で室内に入る状況となったときに靴底の汚れが床面につかないようにする目的や、雪道、氷道を歩く場合、その他沢等の渓流登りを行う場合等のスリップ防止を目的とする場合もある。
また前記靴カバーや靴底カバーは、それらを持ち歩き、出先において一時的に使用する目的とするものや、自宅等において保存用に使用する目的など種々の目的に用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開昭64-80301号公報
【文献】実用新案登録第3084064号公報
【文献】特開平10-42901号公報
【文献】登録実用新案第3015810号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1はシューズカバーに関し、ゴム材で一体に形成されてなり、カバー本体2が靴3の踵部3bや先端部3cを含む底部3a全体を被う形に形成されており、靴底に対して着脱自在に被着することができる構成が開示されている。必要なときに靴底に被着して滑り止め等をなし、必要のないときには靴から外しておくことができる。
しかしながら特許文献1に示すシューズカバーは、カバー本体2を靴に対して単に嵌め合わすだけの構成であるので、嵌め合せた状態のカバーの締め付け力は嵌脱もできる程度にとどまり、過酷な環境下等においては簡単に靴から外れてしまう問題がある。勿論、弾性的な付勢力の範囲にも限界があるので、適切に嵌合して使用できる靴のサイズ幅にも自ずと限界がある。例えば大人用の大きな靴に適用できるサイズのものは、子供用の靴に適用しようとしても、大き過ぎて使用できないであろうし、その逆の場合もしかりである。
上記特許文献2は油分により滑り易い場所で使用する滑り防止用靴カバーに関し、靴底部分2と、靴6の周囲を包み込む周側カバー部分3とで構成され、靴底部分2には滑り防止材4を施し、周側カバー部分3の上縁にゴム部分5を施したものが開示されている。
この特許文献2の靴カバーの場合においても、靴6に対して周側カバー部分3が着脱自在に嵌合されるだけの構成であるため、大きな力の働く過酷な環境においては容易に脱落してしまう問題がある。また使用できる靴の範囲にも自ずと限界がある。
上記特許文献3は靴の滑り止めカバーに関し、スリップ防止用として用いられるもので、靴底被覆部1と、靴Bの先端を係止する先端係止部2と、靴Bの踵に係止される後部係止部3とを備え、靴底被覆部1等にスパイク10と滑り止め用突起14を設けた構成が開示されている。
しかしながら特許文献3に示す靴の滑り止めカバーの場合、先端係止部2と後部係止部3とで靴自体に対してのみ嵌め合わせ、係止するだけの構成であるので、やはりカバーAは靴から外れ易く、過酷な環境では脱げ易い問題がある。加えて使用できる靴のサイズや幅の自由度が少ない。
上記特許文献4は靴などの滑り止め具に関し、前底部2aや踵底部2bにスパイク1を施し、また前カバー4aや後カバー4b等を備え、バックル6a、6b、6cの付いた締め付け帯5、5で靴に対してがっちりと取り付けるようにした構成が開示されている。
しかしながら、この特許文献4に示す靴などの滑り止め具は、スパイク1を取り付けたかなりの剛性物を靴に対して強く取り付け、靴と一体化して使用することを目的とするもので、対象とする靴のサイズや幅の自由度も狭く、軟質からなる靴底カバーとはその使い方が大きく異なるものである。勿論、人の足首等に確実に縛りつけるのではなく、靴自体に取り付けるだけであるので、カバーが外れ易く、またカバーが外れた際に直接肌で感じ取ることができない。
【0005】
そこで本発明は上記従来技術の問題点を解消し、靴底をカバーすることにより、靴の滑り止めや靴底による汚れを防止する等の従来からの一般的な作用効果を奏するのは勿論のこと、靴底カバーとしての機能に優れたものとして、柔軟でコンパクトに折りたたむことができて、収納や携帯にも適し、使用時には簡単に取り出してすぐに取り付けて使用に供することができ、靴底への取り付けに関しては、かなり広範囲の寸法の靴に対しても適用することが容易で、取り付け作業も簡単容易で、にもかかわらず十分な締付力でもって容易に外れてしまわないように取り付けることができ、加えて適切に取り付けられているか否かを直接感じとることが可能な靴底カバーの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を達成するため本発明の靴底カバーは、靴底に対して着脱自在に被着されることとで、少なくとも靴底をカバーするようにした靴底カバーであって、
カバー本体と一対の縛付用帯紐とを伸縮性のある布で構成し、
前記カバー本体は、これを靴に対して被着することで、少なくとも靴底を被うように構成されると共に、カバー本体の先端部には靴のつま先部に対して着脱自在に帽着される先端帽着部を構成し、
前記一対の縛付用帯紐は、前記カバー本体の踵部から左右一対で且つ幅広で立ち上がると共に先にいくにつれて細くなるように構成され、且つ踵部の両側から靴と足首とを被いながら足首の前に回して縛り付けが可能となるように構成され、
カバー本体と一対の縛付用帯紐とを伸縮性のある布の一体物として構成し、前記カバー本体の先端帽着部の甲面側の中央後端位置に第1の布分岐点が構成されると共にカバー本体の踵部の後端中央上部位置に第2の布分岐点が構成され、カバー本体の布の上縁が前記第1の布分岐点を境に左右に分岐され、それぞれ前記左右一対の縛付用帯紐の布の上縁へと連続するように構成されると共に、前記第2の布分岐点から左右に分岐されるカバー本体の一対の布の下縁がそれぞれ前記一対の縛付用帯紐の布の下縁へと連続するように構成されていることを第1の特徴としている。
また本発明の靴底カバーは、上記第1の特徴に加えて、第1の布分岐点から分岐するカバー本体の左右一対の布の上縁、それらに連続して構成される一対の縛付用帯紐の各布の上縁、第2の布分岐点から分岐するカバー本体の一対の布の下縁、それらに連続して構成される一対の縛付用帯紐の各布の下縁は、何れも全長に亘って内向きに付勢された巻回形状に構成されていることを第2の特徴としている。
また本発明の靴底カバーは、上記第1又は第2の特徴に加えて、第1の布分岐点、第2の布分岐点、及び一対の縛付用帯紐の末端部に、布の綻びを防止する補強手段を施していることを第3の特徴としている。
また本発明の靴底カバーは、上記第1~第3の何れかに記載の特徴に加えて、カバー本体と一対の縛付用帯紐は、袋状足部と筒状レッグ部とを備えた伸縮性のある布からなる靴下において、前記袋状足部のつま先部の甲面側の中央後端位置から中央線に沿って筒状レッグ部の上端までをカットすると共に、袋状足部の踵部の後端中央上部位置から中央線に沿って筒状レッグ部の上端までをカットした状態としたものを用いることを第4の特徴としている。
また本発明の靴底カバーの製造方法は、靴底に対して着脱自在に被着されることで、少なくとも靴底をカバーするようにした靴底カバーの製造方法であって、
袋状足部と筒状レッグ部とを備えた伸縮性のある布からなる靴下を出発品として用い、前記袋状足部のつま先部の甲面側の中央後端位置を第1の布分岐点とすると共にそこから中央線に沿って筒状レッグ部の上端までを第1のカット線としてカットし、また袋状足部の踵部の後端中央上部位置を第2の布分岐点とすると共にそこから中央線に沿って筒状レッグ部の上端までを第2のカット線としてカットし、前記第1のカット線によって甲面側の途中から左右に分岐された前記袋状足部を、靴のつま先部に帽着され且つ靴底を被うカバー本体として構成すると共に、第1のカット線と第2のカット線とで左右に分割された筒状レッグ部の一対の分割片を、踵部両側から靴と足首とを被いながら足首の前に回して縛り付けを行う縛付用帯紐として構成し、
次に前記第1の布分岐点と第2の布分岐点とに綻び防止のための補強手段を施すと共に前記一対の縛付用帯紐の各末端部を固く絞るための補強手段を施すことを第5の特徴としている。
また本発明の靴底カバーの製造方法は、上記第5の特徴に加えて、補強手段を施す際に、第1の布分岐点から分岐するカバー本体の左右一対の布の上縁、それらに連続して構成される左右一対の縛付用帯紐の各布の上縁、第2の布分岐点から分岐するカバー本体の一対の布の下縁、それらに連続して構成される一対の縛付用帯紐の各布の下縁を、何れも全長に亘って内向きに付勢された巻回形状となるように内向きの巻回処理を施すことを第6の特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の靴底カバーによれば、カバー本体と一対の縛付用帯紐とを伸縮性のある布で構成しており、カバー本体を靴に対して被着することで、靴底を被うと共に靴のつま先部に先端帽着部を着脱自在に帽着することができる。伸縮性のある布で構成されているのでので、種々の靴形状にも対応でき、またかなり広範の靴寸法にも対応してカバーすることができる。
一方、一対の縛付用帯紐はカバー本体の踵部から左右一対で、且つ幅広で立ち上がり、先に行くにつれて細くなるようになされている。従ってカバー本体が靴底に被着された状態において、縛付用帯紐をその立ち上がりの幅広部分で靴の踵部等をカバーすると共に、一対の縛付用帯紐を踵部両側から足首の前に回し、足首に縛り付けることができる。勿論、手を使って足首に直接結び付けることができるので、縛り付けの強さを足首で感じながら望む強さに結び付けることができる。またカバー本体が靴から外れた場合には直ぐに足首にて外れたことを感じ取ることができる。
特に、靴寸法が大きい場合においても、カバー本体の先端帽着部を靴の先端部に被せた後、一対の縛付用帯紐を後方に引っ張ることで、カバー本体の踵部を大きく後方に伸ばし且つ拡げることができるので、かなり大きな寸法の靴底まで適用することができる。
一方、子供用等の靴寸法が小さい場合においては、カバー本体の先端帽着部を靴のつま先部に被せた後、一対の縛付用帯紐を後方に十分に引っ張り、さらに上方へ引き上げることで、カバー本体の踵部を靴の踵部の背面まで回り込ませることができるので、靴に被せたカバー本体が踵部等でだぶつくことなく、縛り付けることができる。この場合、靴の踵部を越えたカバー本体の部分は靴の踵部の背面までせり上がった状態となり、一対の縛付用帯紐はだぶつく状態となるが、縛付用帯紐を足首の後ろ側で一旦結び或いはクロスした後に、足首の前に回して縛り付けることで、前記のだぶつきを解消することができ、適切な締付状態とすることができる。
【0008】
また請求項1に記載の靴底カバーによれば、カバー本体と一対の縛付用帯紐とを伸縮性のある布の一体物としている。そしてカバー本体はその先端帽着部の甲面側の中央後端位置に第1の布分岐点を構成することで、カバー本体の布をその第1の布分岐点から分岐させて左右に開放し、それぞれ後方の左右一対の縛付用帯紐の末端まで続く長いフリーな布の上縁を得ることができる。
同様に、カバー本体はその踵部の後端中央上部位置に第2の布分岐点を構成することで、カバー本体の布をその第2の布分岐点から分岐させて左右に開放し、それぞれ左右の縛付用帯紐の末端まで続く長いフリーな布の下縁を得ることができる。
よってカバー本体はその上部が開口された状態となり、形状や伸縮の自由度が高いカバー本体となって、種々の形状や寸法の靴に対する適応範囲を十分に広くすることができる。
また左右一対の縛付用帯紐も、その布の上縁及び布の下縁がフリーの長い帯状を呈して、変形及び伸縮の自由度の高い締付用帯紐となって、種々の形や寸法の靴に対し、踵部の両側から立ち上がりながら、自由度よく靴の踵部や足首の一部をカバーすると共に、足首の前まで容易に回して、手で自由に縛り付け強さを調節しながら縛り付けを行うことができる。
【0009】
請求項2に記載の靴底カバーによれば、上記請求項1に記載の構成による作用効果に加えて、第1の布分岐点から分岐するカバー本体の左右一対の布の上縁、それらに連続して構成される一対の縛付用帯紐の各布の上縁、第2の布分岐点から分岐するカバー本体の一対の布の下縁、それらに連続して構成される一対の縛付用帯紐の各布の下縁は、何れも全長に亘って内向きに付勢された巻回形状に構成されている。
そしてこの巻回形状には内向きの付勢力が働いているので、普段は内向きに巻かれた状態となっているが、その一方、付勢力に抗した力が加わると、その力に応じて巻回形状が解け、その分だけ布が伸長して拡がる作用を奏する。
前記カバー本体の左右一対の布の上縁は、内向きに付勢された巻回形状になされているので、靴幅等の寸法の大きい靴等にカバー本体を被せる場合は、カバー本体の布の上縁の巻回形状が内向きの付勢に抗して伸長し拡がることで、靴底から靴側面、更に靴甲面にかけてのカバー不足を補うことができるメリットがある。
一方、靴幅等の寸法の小さい靴等にカバー本体を被せる場合は、カバー本体の布の上縁の巻回形状が十分に残留することで、余分な布が靴の甲面等にだぶつかないようにすることができるメリットがある。
前記一対の縛付用帯紐の布の上縁と布の下縁は、何れも内向きに付勢された巻回形状となされているので、帯の対向する両側縁が丸まった状態となって、帯紐としての強度、耐久性を向上させることができる。よって十分に引っ張り、また強く縛り付けることができるメリットがある。加えて、一対の縛付用帯紐の立ち上がり付近においては、必要に応じて巻回形状が拡がることで、寸法の大きな靴の踵部背面に対しても、十分な面積で被うことができるメリットがある。
【0010】
請求項3に記載の靴底カバーによれば、上記請求項1又は2に記載の構成による作用効果に加えて、第1の布分岐点、第2の布分岐点、及び一対の縛付用帯紐の末端部に、布の綻びを防止する補強手段を施している。
第1の布分岐点と第2の布分岐点とに布の綻びを防止する補強手段を施したことで、一体に構成されるカバー本体と一対の縛付用帯紐とが、第1の布分岐点及び第2の布分岐点から裂けて破損するのを予防することができる。また一対の縛付用帯紐の末端部に布の綻びを防止する補強手段を施したことで、該縛付用帯紐を、単なる帯状の布ではなく、帯紐として強度を持った紐の状態で存在せしめることができる。
また第1の布分岐点、第2の布分岐点、及び一対の縛付用帯紐の各末端部に対して、布の綻びを防止する補強手段を施すことで、第1の布分岐点と一対の縛付用帯紐の各末端部との間における各布の上縁の各巻回形状、及び第2の布分岐点と一対の縛付用帯紐の各末端部との間のおける各布の下縁の巻回形状に対して内向きの巻回付勢力をより容易に、確実に付与することが可能となる。
【0011】
請求項4に記載の靴底カバーによれば、上記請求項1~3の何れかに記載の構成による作用効果に加えて、カバー本体と一対の縛付用帯紐は、袋状足部と筒状レッグ部とを備えた伸縮性のある布からなる靴下において、前記袋状足部のつま先部の甲面側の中央後端位置から中央線に沿って筒状レッグ部の上端までをカットすると共に、袋状足部の踵部の後端中央上部位置から中央線に沿って筒状レッグ部の上端までをカットした状態としたものを用いるようにしている。
袋状足部と筒状レッグ部とを備えた靴下を上記の様にカットすることで、カバー本体と一対の縛付用帯紐の原形をごく簡単、容易に形成することが可能となる。そして各カットした布のカット縁はそれぞれカバー本体の各上縁、下縁、及び一対の縛付用帯紐の各上縁お及び下縁となり、しかも靴下が伸縮性のある布であるので、線状のカット縁を巻回状態或いは巻回し易い状態にすることができる。
【0012】
請求項5に記載の靴底カバーの製造方法によれば、袋状足部と筒状レッグ部とを備えた伸縮性のある布からなる靴下を出発品として用い、前記袋状足部のつま先部の甲面側の中央後端位置を第1の布分岐点とすると共にそこから中央線に沿って筒状レッグ部の上端までを第1のカット線としてカットし、また袋状足部の踵部の後端中央上部位置を第2の布分岐点とすると共にそこから中央線に沿って筒状レッグ部の上端までを第2のカット線としてカットしているので、
第1のカット線によって甲面側の途中から左右に分岐せられた前記袋状足部を、靴先端部に帽着され且つ靴底を被うカバー本体として、容易に構成することがでる。また第1のカット線と第2のカット線とで左右に分割せられた筒状レッグ部の一対の分割片を、踵部両側から足首の前に回して、手で直接に足首に縛り付けすることができる縛付用帯紐として、容易に得ることができる。
加えて、第1の布分岐点と第2の布分岐点とに綻び防止のための補強手段を施すと共に前記一対の縛付用帯紐の各末端部を固く絞るための補強手段を施しているので、
各布分岐点における布の綻び、引き裂きを確実に防止することができると共に、縛付用帯紐の末端部での布の解けを防止することができる。
【0013】
請求項6に記載の靴底カバーの製造方法によれば、上記請求項5に記載の構成による作用効果に加えて、補強手段を施す際に、第1の布分岐点から分岐するカバー本体の左右一対の布の上縁、それらに連続して構成される左右一対の縛付用帯紐の各布の上縁、第2の布分岐点から分岐するカバー本体の一対の布の下縁、それらに連続して構成される一対の縛付用帯紐の各布の下縁を、何れも全長に亘って内向きに付勢された巻回形状となるように内向きに巻回処理を施すようにしたので、
第1の布分岐点と一対の縛付用帯紐の各末端部との間における各布の上縁、及び第2の布分岐点と一対の縛付用帯紐の各末端部との間における各布の下縁に対して、内向きの巻回付勢力をより容易に、確実に付与することができ、良好な内向きの巻回形状を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態に係る靴底カバーの全体斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る靴底カバーの平面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る靴底カバーの側面図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る靴底カバーを被着する途中の状態を示す斜視図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る靴底カバーを被着した状態を示す斜視図である。
【
図8】本発明の実施形態に係る靴底カバーの製造方法を説明する斜視図である。
【
図9】本発明の実施形態に係る靴底カバーの製造方法を説明する斜視図である。
【
図10】本発明の実施形態に係る靴底カバーの製造方法を説明する斜視図である。
【
図11】本発明の実施形態に係る靴底カバーの製造方法を説明する斜視図である。
【
図12】本発明の実施形態に係る靴底カバーの製造方法を説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
先ず
図1~
図3を参照して、本発明に係る靴底カバー1は、カバー本体10と一対の縛付用帯紐20、20とを備えている。
カバー本体10と一対の縛付用帯紐20、20とは伸縮性のある布で構成している。
ここで布とは、織物の布、編物の布、不織布を含むものとする。
また伸縮性に関しては、織物の場合は、伸縮性のある糸を用いることで伸縮性を付与することができる。編物の場合は、編み方が種々あるが、糸自体の伸縮性には関わらず、基本的に何れの編み方においても伸縮性が付与される。また不織布の場合は、伸縮性のある素材を用いることで伸縮性を付与することができる。
【0016】
図4~
図7も参照して、前記カバー本体10は、これを靴50に被着することで、少なくとも靴底を被うように構成される。靴底とは端的には靴50の底面と言うものとする。
カバー本体10はこれを靴50の底面側から履かせるように被着することで、少なくとも靴底を被うが、より具体的に言えば、靴50の底面から側面にかけての範囲を被覆する。更にカバー本体10は、そのカバーする範囲が靴50の甲面に達してもよい。勿論、靴の幅、高さ、長さ等の寸法によって、実際に被覆できる範囲は変動する。
カバー本体10の先端部には、先端帽着部11が構成される。この先端帽着部11は靴50のつま先部51に対して着脱自在に帽着する構成とされている。
【0017】
前記一対の縛付用帯紐20は、カバー本体10の踵部12から左右一対で立ち上がり、且つ幅広で立ち上がり、先にいくにつれて細くなるように構成されている。
前記一対の縛付用帯紐20は、靴50の踵部52をその両側から被いつつ足60の足首61の前に回すことができ、手で直接に足首61に縛り付けることができるように構成されている。
上記においてカバー本体10と一対の縛付用帯紐20、20とは、好ましくは伸縮性のある布の一体物として構成している。一体物とは、カバー本体10と一対の縛付用帯紐20、20とが布として連続しており、途中で継ぎ合わされていないことである。勿論、途中で継ぎ合わせたものを用いることも可能である。その場合は、異なる素材のものを継ぎ合わせることが可能である。
また伸縮性のある布として、編物の布を好ましく用いることができる。編物の編み方の種類は特に限定されるものではない。平編み、ゴム編み、その他のよこ編み、経編み、その他を用いることができる。ただし、後述する巻回形状WSが容易にでき易い編物の布が好ましい。勿論、伸縮性のある布は、織布や不織布、その他の布を用いることも可能である。
【0018】
カバー本体10と一対の縛付用帯紐20、20とを編地の一体物として備えているので、カバー本体10を靴50に対して被着することで、靴底を被うと共に、靴50のつま先部51に対して先端帽着部11を容易に、且つ着脱自在に帽着することができる。編地としているので伸縮性があり、種々の靴形状や広範な靴寸法にも対応するこができる。
一対の縛付用帯紐20、20はカバー本体10の踵部12から左右一対で立ち上がり、且つ幅広で立ち上がり、先にいくにつれて細くなるようになされているので、カバー本体10が靴底に被着された状態において、縛付用帯紐20、20を、その立ち上がりの幅広部分で靴50の踵部52や足60の足首61をカバーし、且つ一対の縛付用帯紐20、20を手で踵部52両側から足首61の前まで回し、相互に結ぶことで、足首61で縛り付強さを感じ取りながら自在の強さに調節して縛り付けることができる。
靴50の寸法が大きい場合においても、カバー本体10の先端帽着部11を靴50の先端部51に被せた後、一対の縛付用帯紐20、20を後方に引っ張ることで、カバー本体10の踵部12を大きく後方に伸ばし且つ拡げることができるので、かなり大きな寸法の靴50の靴底まで適用することができる。
一方、子供用等靴寸法が小さい場合においては、カバー本体10の先端帽着部11を靴50のつま先部51に被せた後、一対の縛付用帯紐20、20を後方に引っ張り、更に上方に引き上げることで、カバー本体10の踵部12を靴50の踵部52の背面まで回り込ませることができるので、靴底に被せたカバー本体10が踵部12等でだぶつくことなく、縛り付けることができる。この場合、靴50の踵部52を越えたカバー本体10の踵部12は靴50の踵部52の背面までせり上がった状態となるので、一対の縛付用帯紐20、20はだぶつく状態となる傾向となる。しかし、縛付用帯紐20、20を足首61の後ろ側で一旦結び或いはクロスさせ、その後に、足首の前に回して縛り付けることで、靴底カバーのだぶつきは解消され、適切な締付状態とすることができる。
【0019】
前記カバー本体10には、その先端帽着部11の甲面側の中央後端位置に第1の布分岐点13が構成され、またその踵部12の後端中央上部位置に第2の布分岐点14が構成されている。ここで、先端帽着部11の甲面側の中央後端位置は、靴を履いた足の中央の指の付け根付近に対応する位置となる。
前記第1の布分岐点13を境にして、カバー本体10の各布の上縁UE、UEが左右に分岐され、それぞれ左右一対の縛付用帯紐20の各布の上縁UE、UEへと連続するように構成されている。
また前記第2の布分岐点14を境にして、カバー本体10の各布の下縁LE、LEが左右に分岐され、それぞれ左右一対の縛付用帯紐20の各布の下縁LE、LEへと連続するように構成されている。
以上のように、第1の布分岐点13を構成することで、カバー本体10をその第1の布分岐点13から分岐させて左右に開放させることができ、且つ後方の左右一対の縛付用帯紐20、20の末端まで続く長いフリーな布の上縁UEを得ることができる。
また第2の布分岐点14を構成することで、カバー本体10をその第2の布分岐点14から分岐させて左右に開放し、それぞれ左右の縛付用帯紐20、20の末端まで続く長いフリーな布の下縁LEを得ることができる。
よってカバー本体10は、その上部が開口され、結果として変形、伸縮等の自由度が非常に高いカバー本体10となり、靴50の形状や寸法に対する被着の適応範囲が十分に広いものとなる。
また左右一対の縛付用帯紐20、20も、その布の上縁UE及び布の下縁LEがフリーの長い帯状を呈することとなり、十分な変形、伸縮能をもって、自由度よく靴50の踵部52や足首61をカバーすることができ、足首61の前まで回して、縛り付けを行うことが可能となる。
【0020】
本体カバー10の左右一対の布の上縁UE、UEとそれらに連続する縛付用帯紐20の左右一対の布の上縁UE、UEには、その全長に亘って巻回形状WSが構成されている。
同様に、本体カバー10の踵部12の後端中央上部から立ち上がる左右一対の布の下縁LE、LEとそれらに連続する左右一対の縛付用帯紐20、20の左右の布の下縁LE、LEにも、その全長に亘って巻回形状WSが構成されている。
前記各巻回形状WSは、内向き方向に巻回付勢されており、内向きに巻回された形状に構成されている。
もう少し詳細に言えば、本体カバー10から各縛付用帯紐20、20に亘る左右の一対の布の上縁UE、UEに設けられる一対の巻回形状WS、WSは、相互に内向きに向き合った状態に巻回されて構成されており、また各縛付用帯紐20、20における布の上縁UE、UEと下縁LE、LEとに設けられる巻回形状WS、WSもまた、相互に内向きに向き合った状態に巻回されて構成されている。
巻回形状WSには内向きに巻回付勢力が働くようにしている。しかして巻回形状WSは普段は内向きに巻いた状態となっている。しかし付勢力に抗した力が加わると、その力に応じて巻回形状WSが解け、その分だけ布が伸長して拡がる作用を奏する。
カバー本体10の左右一対の布の上縁UE、UEは、相互に内向きに巻回付勢された巻回形状WSとされているので、厚みや幅の大きい靴50の靴底にカバー本体10を被せる場合は、カバー本体10の上縁UEの巻回形状WSが付勢力に抗して伸長し拡がることで、靴側面から靴甲面にかけてのカバー不足を補うことができる。
一方、厚みや幅の小さい靴50の靴底にカバー本体10を被せる場合は、カバー本体10の布の上縁UEの巻回形状WSが十分に残留することで、余分な布が過剰にだぶつくのを防止できる。
【0021】
更に縛付用帯紐20の各布の上縁UE、UEと下縁LE、LEもまた、何れにも内向きに巻回付勢された巻回形状WS、WSになされているので、帯紐としての強度、耐久性を向上させることができると共に、強く縛り付けることができる。加えて、一対の縛付用帯紐20、20の立ち上がり付近においては、必要に応じて巻回形状WSが付勢力に抗して拡がることが可能であるので、寸法の大きな靴50の踵部52等に対しても拡張したカバー面積でカバーを行うことができる。
【0022】
前記第1の布分岐点13、第2の布分岐点14、及び一対の縛付用帯紐20、20の末端部にそれぞれ補強手段31、32、33を施している。
補強手段31、32、33は限定されるものではないが、単純には糸を用いた縫製や結束による補強、結束バンドや結束クリップを用いた補強、背着剤を用いた補強等の具体的手段がある。
本実施形態においては、プラスチック製の結束バンドを補強手段31、32、33として用い、補強を行っている。
これら補強手段31、32、33を施す基本的な目的は、それらを施す位置における布の綻びを防止することである。
第1の負の分岐点13と第2の布分岐点14においては、その部分を結束バンドからなる補強手段31、32で補強することで、その部分での布の綻びを防止し、布がそこから裂けるのを防止している。
また一対の縛付用帯紐20、20の末端部に設けられる第3の補強手段33、33においては、縛付用帯紐20の末端部を確実に絞った状態に結束補強し、布が解けるのを防止している。
【0023】
補強手段31、32、33を施す目的は他にもある。
カバー本体10の第1の布分岐点13と第2の布分岐点14に施される補強手段31、32は、分岐点から左右に分岐された一対の布の付け根部分を内向きに折り曲げた状態にして補強している。このように第1の布分岐点13及び第2の布分岐点14付近の布をそれぞれ内向きに折り曲げた状態に補強することで、布の上縁UE、UEを内向きに巻回する方向に誘導することができる。
また縛付用帯紐20、20の末端部に施される第3の補強手段33、33は、縛付用帯紐20、20の末端部における一対の巻回形状WS、WSを、相互に内向きに密接させた状態で結束し、補強している。このようにすることで、一対の縛付用帯紐20、20に沿って構成される布の上縁UEと下縁LEの巻回形状WS、WSはその巻回が維持される内向き方向に巻回付勢されることになる。このようにして巻回形状WS、WSが十分維持されることで、縛付用帯紐20の紐としての強度を高く維持することができる。縛付用帯紐20の紐としての強度は補強手段33、33のある末端方向に向けて増し、足首61等への縛り付けに際しての強度を発揮させることができる。
【0024】
図8、
図9も参照して、カバー本体10と一対の縛付用帯紐20、20は、袋状足部71と筒状レッグ部72とを備えた伸縮性のある布からなる靴下70において、袋状足部71のつま先部71aの甲面側の中央後端位置71bから中央線に沿って筒状レッグ部72の前面側の上端72aまでを第1のカット線L1としてカットすると共に、袋状足部71の踵部71cの後端中央上部位置71dから中央線に沿って筒状レッグ部72の後面側の上端72bまでを第2のカット線L2としてカットした状態としたものを用いることができる。
袋状足部71と筒状レッグ部72とを備えた伸縮性のある布からなる靴下70を上記のようにカットすることで、カバー本体10と一対の縛付用帯紐20、20とからなる一体物の原形をごく簡単、容易に形成することが可能となる。そして各カットした布のカット縁は、それぞれカバー本体10の各布の上縁UE、UE、下縁LE、LE及び一対の縛付用帯紐20、20の各上縁UE、UE、下縁LE、LEとなり、しかも靴下70が伸縮性のある布であるので、線状に延びる各カット縁である布の各上縁UE、下縁LEをそれぞれ巻回形状WSが形成され易い状態にすることができる。
【0025】
図10~
図12も参照して、本発明の実施形態に係る靴底カバーの製造方法を説明する。
この靴底カバーの製造方法は、靴底に対して着脱自在に被着されることで、少なくとも靴底をカバーするようにした靴底カバー1の製造方法である。
袋状足部71と筒状レッグ部72とを備えた伸縮性のある布からなる靴下70を出発品として用いている。前記袋状足部71のつま先部71aの甲面側の中央後端位置71bを第1の布分岐点13とし、そこから中央線に沿って筒状レッグ部72の前面の上端72aまでを第1のカット線L1としてカットする。また袋状足部71の踵部71cの後端中央上部位置71dを第2の布分岐点14とし、そこから中央線に沿って筒状レッグ部72の後面の上端72bまでを第2のカット線L2としてカットする。
以上によって、袋状足部71は、その布が第1のカット線L1により甲面側の途中から後方へ向けて左右に分岐された状態のカバー本体10となる。また第1のカット線L1と第2のカット線L2とで左右に割られた筒状レッグ部72が左右一対の縛付用帯紐20、20となる。
次に、前記第1の布分岐点13と第2の布分岐点14とに綻び防止のための補強手段31、32を施す。また前記一対の縛付用帯紐20、20の各末端部を固く絞るための補強手段33を施す。そして前記補強手段31、32、33を施す際には、同時的に各布の上縁UE、下縁LEに巻回形状WSを形成する。
【0026】
前記補強手段31、32、33を施す際には、第1の布分岐点13から分岐するカバー本体10の左右一対の布の上縁UE、UE、それらに連続して構成される左右一対の縛付用帯紐20、20の各布の上縁UE、UE、第2の布分岐点14から分岐するカバー本体10の一対の布の下縁LE、LE、それらに連続して構成される一対の縛付用帯紐20、20の各布の下縁LE、LEを、何れも全長に亘って内向きに巻回付勢された巻回形状WSとなるように内向きの巻回処理を施す。
前記内向きに巻回付勢される巻回形状WSの巻回処理については、補強手段31、32、33である結束バンドを用いて行うことができる。しかし結束バンドを用いることなく、縫製やその他の方法で行うことも可能であり、処理方法が限定されるものではない。
【0027】
既述したように、補強手段31、32、33はその手段が限定されるものではないが、本実施形態においては、プラスチック製の結束バンドを補強手段31、32、33として用いている。
第1の布分岐点13と第2の布分岐点14とは、それぞれプラスチック製の結束バンドからなる補強手段31、32を用いて、分岐点の両側にある布を結束し、補強する。そして結束の際、第1の布分岐点13、第2の布分岐点14において、分岐点からそれぞれ左右に分岐された一対の布の付け根部分が相互に内向きに折り曲がるようにして結束する。このように分岐点付近にある各分岐布を相互に内向きに折り曲げた状態に合わせて補強することで、分岐点付近の布の縁を内向きに巻回する方向に誘導し、内向きの巻回形状WSが形成され易くする
一対の縛付用帯紐20、20の各末端部については、これもプラスチック製の結束バンドからなる補強手段33を用いることができる。縛付用帯紐20の末端部の両側に内向きの巻回形状WS、WSを形成し、この両側の巻回形状WSを相互に内向きに密接させた状態にして結束バンドで結束する。このように結束することで、縛付用帯紐20の末端部の紐としての強度を増すことができる。加えて、縛付用帯紐20の末端部から第1の布分岐点13に至るラインに沿って構成される内向きの巻回形状WS、WS、及び縛付用帯紐20末端部から第2の布分岐点14に至るラインに沿って内向きに巻回付勢された巻回形状WS、WSの形成促進とその維持とを図ることができる。
尚、伸縮性のある布のカット縁は、そのカット縁に沿って丸く縮み易い傾向となるので、巻回形状WSを容易に形成できる傾向にある。
【0028】
図6、
図7を参照して、靴底カバー1の使用方法乃至被着方法を説明する。
まず靴底カバー1のカバー本体10を靴50の底に履かせて、カバー本体10の先端帽着部11を靴50のつま先部51に帽着する。次に一対の縛付用帯紐20、20を持って後方に引っ張り、靴50の踵部52をカバー本体10の踵部12に収容する。これにより靴底がカバー本体10に収容された状態となる(
図6)。この状態になった後、一対の縛付用帯紐20、20を上向きに折り返すようにして、靴50の踵部52をその両側から被いながら、更に靴50を履いている人の足60の足首61の前まで回して、縛付用帯紐20、20を相互に縛り付ける(
図7)。勿論、小さい靴の場合はカバー本体10や縛付用帯紐20、20が長く、だぶつくことがあるが、その場合は、縛付用帯紐20、20を十分に引っ張り上げてカバー本体10のだぶつきを解消すると共に、縛付用帯紐20、20を足首61に回すのに先立って、足首61の後側で一回結び或いはクロスした後、足首61の前に回して縛り付けることで、靴底カバー1のだぶつきを防止し、適切な締付状態とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は靴底カバーとして、種々の靴に対して用いられるものとして、産業上の利用可能性がある。
【符号の説明】
【0030】
1 靴底カバー
10 カバー本体
11 先端帽着部
12 踵部
13 第1の布分岐点
14 第2の布分岐点
20 縛付用帯紐
31 補強手段
32 補強手段
33 補強手段
50 靴
51 つま先部
52 踵部
60 足
61 足首
70 靴下
71 袋状足部
71a つま先部
71b 中央後端位置
71c 踵部
71d 後端中央上部位置
72 筒状レッグ部
72a 上端
72b 上端
UE 布の上縁
LE 布の下縁
WS 巻回形状
L1 第1のカット線
L2 第2のカット線
【要約】
柔軟でコンパクトで収納や携帯にも適し、広範囲の寸法の靴に対しても簡単、容易に且つ十分な締付力で、すぐに取り付けて使用に供することができ、加えて適切に取り付けられているか否かを直接感じとることが可能な靴底カバーの提供を課題とする。
カバー本体10と一対の縛付用帯紐20、20とを伸縮性のある布で構成し、カバー本体10は、これを靴に対して被着することで、少なくとも靴底を被うように構成されると共に、カバー本体10の先端部には靴のつま先部に対して着脱自在に帽着される先端帽着部11を構成し、一対の縛付用帯紐20、20は、カバー本体10の踵部12から左右一対で且つ幅広で立ち上がると共に先にいくにつれて細くなるように構成され、且つ踵部12の両側から靴と足首とを被いながら足首の前に回して縛り付けが可能となるように構成された靴底カバー1である。