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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-14
(45)【発行日】2022-09-26
(54)【発明の名称】通信システム
(51)【国際特許分類】
   H04J 13/22 20110101AFI20220915BHJP
   H04L 27/26 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
H04J13/22
H04L27/26 313
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021173240
(22)【出願日】2021-10-22
(62)【分割の表示】P 2020171196の分割
【原出願日】2008-09-30
(65)【公開番号】P2022009416
(43)【公開日】2022-01-14
【審査請求日】2021-10-22
(31)【優先権主張番号】P 2007257764
(32)【優先日】2007-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中尾 正悟
(72)【発明者】
【氏名】今村 大地
(72)【発明者】
【氏名】平松 勝彦
【審査官】玉田 恭子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2007/051158(WO,A2)
【文献】米国特許出願公開第2007/0171995(US,A1)
【文献】ETRI,Sequence allocation and hopping for uplink ACK/NAK channels[online], 3GPP TSG-RAN WG1#50 R1-073413,3GPP,2007年08月20日,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_50/Docs/R1-073413.zip>
【文献】PANASONIC,Cyclic Shift Hopping Pattern for Uplink ACK/NACK [online],3GPP TSG RAN WG1 Meeting #50bis R1-074411,3GPP,2007年10月02日,pp.1-6,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_50b/Docs/R1-074411.zip>
【文献】PANASONIC,Variable Phase Definition of the Reference Signal for CQI in PUCCH [online],3GPP R1-073621,3GPP,2007年08月24日,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_50/Docs/R1-073621.zip>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04J 13/22
H04L 27/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信装置と受信装置からなる通信システムであって、
前記送信装置は、
12個のサイクリックシフトインデックスから、応答信号の送信に用いられないサイクリックシフトインデックスを除いた、循環的に連続するサイクリックシフトインデックスのうち、一つのサイクリックシフトインデックスに対応するサイクリックシフト量にて定義される系列を用いて、応答信号を拡散する、拡散部と、
拡散された前記応答信号を送信する送信部と、
を有し、
前記受信装置は、
前記応答信号を受信する受信部、
を有し、
前記応答信号の送信に用いられないサイクリックシフトインデックスは、スロット間において、ブロック型に固まってホッピングする、
通信システム。
【請求項2】
前記受信装置は、受信された前記応答信号を逆拡散する逆拡散部、を有する、
請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記送信装置は、PUCCH番号に対応する直交系列を用いて前記応答信号を2次拡散する、2次拡散部、を有する、
請求項1に記載の通信システム。
【請求項4】
前記受信装置は、前記PUCCH番号に対応する直交系列を用いて2次拡散された前記応答信号を逆拡散する、2次逆拡散部、を有する、
請求項3に記載の通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
移動体通信では、無線通信基地局装置(以下、基地局と省略する)から無線通信移動局装置(以下、移動局と省略する)への下り回線データに対してARQ(Automatic Repeat Request)が適用される。つまり、移動局は下り回線データの誤り検出結果を示す応答信号を基地局へフィードバックする。移動局は下り回線データに対しCRC(Cyclic Redundancy Check)を行って、CRC=OK(誤り無し)であればACK(Acknowledgment)を、CRC=NG(誤り有り)であればNACK(Negative Acknowledgment)を応答信号として基地局へフィードバックする。この応答信号は例えばPUCCH(Physical Uplink Control Channel)等の上り回線制御チャネルを用いて基地局へ送信される。
【0003】
また、基地局は下り回線データのリソース割当結果を通知するための制御情報を移動局へ送信する。この制御情報は例えばL1/L2CCH(L1/L2 Control Channel)等の下り回線制御チャネルを用いて移動局へ送信される。各L1/L2CCHは制御情報の符号化率に応じて1つまたは複数のCCE(Control Channel Element)を占有する。例えば、符号化率2/3の制御情報を通知するためのL1/L2CCHが1つのCCEを占有する場合、符号化率1/3の制御情報を通知するためのL1/L2CCHは2つのCCEを占有し、符号化率1/6の制御情報を通知するためのL1/L2CCHは4つのCCEを占有し、符号化率1/12の制御情報を通知するためのL1/L2CCHは8つのCCEを占有する。また、1つのL1/L2CCHが複数のCCEを占有する場合、1つのL1/L2CCHは連続する複数のCCEを占有する。基地局は移動局毎にL1/L2CCHを生成し、制御情報が必要とするCCE数に従ってL1/L2CCHに占有すべきCCEを割り当て、割り当てたCCEに対応する物理リソースに制御情報をマッピングして送信する。
【0004】
また、応答信号の送信に用いるPUCCHを基地局から各移動局へ通知するためのシグナリングを不要にして下り回線の通信リソースを効率よく使用するために、CCEとPUCCHとを1対1で対応付けることが検討されている(非特許文献1参照)。各移動局は、この対応付けに従って、自局への制御情報がマッピングされている物理リソースに対応するCCEから、自局からの応答信号の送信に用いるPUCCHを判定することができる。よって、各移動局は、自局への制御情報がマッピングされている物理リソースに対応するCCEに基づいて、自局からの応答信号を物理リソースにマッピングする。例えば移動局は、自局宛の制御情報がマッピングされている物理リソースに対応するCCEがCCE#0である場合は、CCE#0に対応するPUCCH#0を自局用のPUCCHと判定する。また例えば移動局は、自局宛の制御情報がマッピングされている物理リソースに対応するCCEがCCE#0~CCE#3である場合は、CCE#0~CCE#3において最小番号のCCE#0に対応するPUCCH#0を自局用のPUCCHと判定し、自局宛の制御情報がマッピングされている物理リソースに対応するCCEがCCE#4~CCE#7である場合は、CCE#4~CCE#7において最小番号のCCE#4に対応するPUCCH#4を自局用のPUCCHと判定する。
【0005】
また、図1に示すように、複数の移動局からの複数の応答信号をZAC(Zero Auto Correlation)系列およびウォルシュ(Walsh)系列を用いて拡散することによりコード多重することが検討されている(非特許文献2参照)。図1において[W,W,W,W]は系列長4のウォルシュ系列を表わす。図1に示すように、移動局では、ACKまたはNACKの応答信号が、まず周波数軸上で、時間軸上での特性がZAC系列(系列長12)となる系列によって1次拡散される。次いで1次拡散後の応答信号がW~Wにそれぞれ対応させてIFFT(Inverse Fast Fourier Transform)される。周波数軸上で拡散された応答信号は、このIFFTにより時間軸上の系列長12のZAC系列に変換される。そして、IFFT後の信号がさらにウォルシュ系列(系列長4)を用いて2次拡散される。つまり、1つの応答信号は4つのSC-FDMA(Single Carrier-Frequency Division Multiple Access)シンボルS~Sにそれぞれ配置される。他の移動局でも同様に、ZAC系列およびウォルシュ系列を用いて応答信号が拡散される。但し、異なる移動局間では、時間軸上での循環シフト(Cyclic Shift)量が互いに異なるZAC系列、または、互いに異なるウォルシュ系列が用いられる。ここではZAC系列の時間軸上での系列長が12であるため、同一ZAC系列から生成される循環シフト量0~11の12個のZAC系列を用いることができる。また、ウォルシュ系列の系列長が4であるため、互いに異なる4つのウォルシュ系列を用いることができる。よって、理想的な通信環境では、最大48(12×4)の移動局からの応答信号をコード多重することができる。
【0006】
また、図1に示すように、複数の移動局からの複数の参照信号(パイロット信号)をコード多重することが検討されている(非特許文献2参照)。図1に示すように、ZAC系列(系列長12)から3シンボルの参照信号R,R,Rを生成する場合、まずZAC系列がフーリエ系列等の系列長3の直交系列[F,F,F]にそれぞれ対応させてIFFTされる。このIFFTにより時間軸上の系列長12のZAC系列が得られる。そして、IFFT後の信号が直交系列[F,F,F]を用いて拡散される。つまり、1つの参照信号(ZAC系列)は3つのシンボルR,R,Rにそれぞれ配置される。他の移動局でも同様にして1つの参照信号(ZAC系列)が3つのシンボルR,R,Rにそれぞれ配置される。但し、異なる移動局間では、時間軸上での循環シフト量が互いに異なるZAC系列、または、互いに異なる直交系列が用いられる。ここではZAC系列の時間軸上での系列長が12であるため、同一ZAC系列から生成される循環シフト量0~11の12個のZAC系列を用いることができる。また、直交系列の系列長が3であるため、互いに異なる3つの直交系列を用いることができる。よって、理想的な通信環境では、最大36(12×3)の移動局からの参照信号をコード多重することができる。
【0007】
そして、図1に示すように、S,S,R,R,R,S,Sの7シンボルにより1スロットが構成される。
【0008】
ここで、同一ZAC系列から生成される循環シフト量が互いに異なるZAC系列間での相互相関はほぼ0となる。よって、理想的な通信環境では、循環シフト量が互いに異なるZAC系列(循環シフト量0~11)でそれぞれ拡散されコード多重された複数の応答信号は基地局での相関処理により時間軸上でほぼ符号間干渉なく分離することができる。
【0009】
しかしながら、移動局での送信タイミングずれ、マルチパスによる遅延波等の影響により、複数の移動局からの複数の応答信号は基地局に同時に到達するとは限らない。例えば、循環シフト量0のZAC系列で拡散された応答信号の送信タイミングが正しい送信タイミングより遅れた場合は、循環シフト量0のZAC系列の相関ピークが循環シフト量1のZAC系列の検出窓に現れてしまうことがある。また、循環シフト量0のZAC系列で拡散された応答信号に遅延波がある場合には、その遅延波による干渉漏れが循環シフト量1のZAC系列の検出窓に現れてしまうことがある。つまり、これらの場合には、循環シフト量1のZAC系列が循環シフト量0のZAC系列からの干渉を受ける。よって、これらの場合には、循環シフト量0のZAC系列で拡散された応答信号と循環シフト量1のZAC系列で拡散された応答信号との分離特性が劣化する。つまり、互いに隣接する循環シフト量のZAC系列を用いると、応答信号の分離特性が劣化する可能性がある。
【0010】
そこで、従来は、ZAC系列の拡散によって複数の応答信号をコード多重する場合には、ZAC系列間での符号間干渉が発生しない程度の循環シフト間隔(循環シフト量の差)をZAC系列間に設けている。例えば、ZAC系列間の循環シフト間隔を2として、系列長が12で循環シフト量0~11の12個のZAC系列のうち循環シフト量0,2,4,6,8,10の6つのZAC系列のみを応答信号の1次拡散に用いる。よって、系列長が4のウォルシュ系列を応答信号の2次拡散に用いる場合には、最大24(6×4)の移動局からの応答信号をコード多重することができる。
【0011】
しかし、図1に示すように、参照信号の拡散に用いる直交系列の系列長が3であるため、参照信号の拡散には互いに異なる3つの直交系列しか用いることができない。よって、図1に示す参照信号を用いて複数の応答信号を分離する場合、最大18(6×3)の移動局からの応答信号しかコード多重することができない。よって、系列長が4の4つのウォルシュ系列のうち3つのウォルシュ系列があれば足りるため、いずれか1つのウォルシュ系列は使用されない。
【0012】
また、図1に示す1SC-FDMAシンボルは1LB(Long Block)と称されることがある。そこで、シンボル単位、すなわち、LB単位での拡散に用いられる拡散コード系列はブロックワイズ拡散コード系列(Block-wise spreading code sequence)と呼ばれる。
【0013】
また、図2に示すような18個のPUCCHを定義することが検討されている。通常、互いに異なるブロックワイズ拡散コード系列を用いる移動局間では、移動局が高速移動しない限り応答信号の直交性は崩れない。しかし、互いに同一のブロックワイズ拡散コード系列を用いる移動局間では、特に基地局において各移動局からの応答信号間に受信電力の大きな差がある場合、一方の応答信号が他方の応答信号から干渉を受けることがある。例えば、図2において、PUCCH#3(循環シフト量=2)を用いる応答信号が、PUCCH#0(循環シフト量=0)を用いる応答信号から干渉を受けることがある。
【0014】
このような干渉を低減するために、循環シフトホッピング(Cyclic shift Hopping)なる技術が検討されている(非特許文献3参照)。循環シフトホッピングとは、図1における各シンボルに対して割り当てる循環シフト量を時間の経過に伴ってほぼランダムに変化させる技術である。これにより、干渉が発生する応答信号の組合せをランダム化でき、一部の移動局のみが強い干渉を受け続けることがないようにすることができる。つまり、循環シフトホッピングにより、干渉をランダム化することができる。
【0015】
ここで、応答信号間での干渉は、セル間で発生する干渉であるインターセル干渉(Inter-cell interference)と1セル内の移動局間で発生する干渉であるイントラセル干渉(Intra-cell interference)とに大別される。よって、干渉のランダム化も、インターセル干渉のランダム化(Inter-cell interference randomization)とイントラセル干渉のランダム化(Intra-cell interference randomization)とに大別される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0016】
【文献】Implicit Resource Allocation of ACK/NACK Signal in E-UTRA Uplink (ftp://ftp.3gpp.org/TSG_RAN/WG1_RL1/TSGR1_49/Docs/R1-072439.zip)
【文献】Multiplexing capability of CQIs and ACK/NACKs form different UEs (ftp://ftp.3gpp.org/TSG_RAN/WG1_RL1/TSGR1_49/Docs/R1-072315.zip)
【文献】Randomization of intra-cell interference in PUCCH (ftp://ftp.3gpp.org/TSG_RAN/WG1_RL1/TSGR1_50/Docs/R1-073412.zip)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
ここで、インターセル干渉では一方のセルの移動局の応答信号が他方のセルで自局の応答信号と同一の循環シフト量を用いる複数の応答信号からの干渉を受けるため、インターセル干渉を十分にランダム化するためには多くの循環シフトホッピングパターン(以下、ホッピングパターンと省略する)が必要となる。よって、インターセル干渉を十分にランダム化するためには、循環シフト量をLB毎(SC-FDMAシンボル毎)に変化させる循環シフトホッピング、すなわち、LBベース(SC-FDMAシンボルベース)の循環シフトホッピング(LB based Cyclic shift Hopping, SC-FDMA symbol based Cyclic shift Hopping)を行う必要がある。
【0018】
一方で、イントラセル干渉を十分にランダム化するために、1セル内のすべての移動局の応答信号に対し互いに異なるホッピングパターンを割り当てることが考えられる。しかし、これでは、ホッピングパターンの増加に伴い、ホッピングパターンの通知を基地局-移動局間で行うための制御信号のオーバーヘッドが大きくなってしまうという課題が発生する。また、同一セル内の複数の移動局がLBベースの各移動局に固有の循環シフトホッピングを行うと、ブロックワイズ拡散コード系列が乗算されているS,S,S,SまたはR,R,Rの循環シフト量の移動局間での相対関係が崩れてしまうことがあるために、互いに異なるブロックワイズ拡散コード系列を用いる移動局間での直交性が崩れてしまうことがあるという課題が発生する。例えば、図2において、PUCCH#3は本来PUCCH#0からのみ干渉を受けるはずが、ブロックワイズ拡散コード系列の直交性が崩れることにより、PUCCH#3はPUCCH#0からの干渉だけでなく、PUCCH#1およびPUCCH#2からの干渉も受けるようになる。
【0019】
上記課題は、LBベースの循環シフトホッピングに代えてスロットベースの循環シフトホッピング(Slot based Cyclic shift Hopping)を行うこと、つまり、循環シフト量をスロット毎に変化させることにより解決可能である。
【0020】
しかし、LBベースの循環シフトホッピングに代えてスロットベースの循環シフトホッピングを行うと、インターセル干渉のランダム化を十分に行えなくなってしまうという新たな課題が発生する。
【0021】
つまり、インターセル干渉のランダム化に適するホッピングパターンとイントラセル干渉のランダム化に適するホッピングパターンとの間には矛盾がある。
【0022】
本発明の目的は、インターセル干渉およびイントラセル干渉の双方をランダム化することができる通信装置、通信方法及び集積回路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明の通信装置は、応答信号を送信する場合、12個のサイクリックシフトインデックスに含まれる循環的に連続するN個のサイクリックシフトインデックスのうち、一つのサイクリックシフトインデックスに対応するサイクリックシフト量にて定義される系列を用いて、前記応答信号を拡散し、CQIを送信する場合、前記12個のサイクリックシフトインデックスに含まれる、前記N個のサイクリックシフトインデックスを除いた12-N個のサイクリックシフトインデックスのうち、一つのサイクリックシフトインデックスに対応するサイクリックシフト量にて定義される系列を用いて、前記CQIを拡散する、拡散部と、前記応答信号又は前記CQIを送信する送信部と、を有し、前記N個のサイクリックシフトインデックスは、シンボル番号とセル番号とに基づいて算出される第1の値と、スロット番号とPUCCH番号とに基づいて算出される第2の値とに基づいて算出される構成を採る。
【0024】
本発明の通信方法は、応答信号を送信する場合、12個のサイクリックシフトインデックスに含まれる循環的に連続するN個のサイクリックシフトインデックスのうち、一つのサイクリックシフトインデックスに対応するサイクリックシフト量にて定義される系列を用いて、前記応答信号を拡散し、CQIを送信する場合、前記12個のサイクリックシフトインデックスに含まれる、前記N個のサイクリックシフトインデックスを除いた12-N個のサイクリックシフトインデックスのうち、一つのサイクリックシフトインデックスに対応するサイクリックシフト量にて定義される系列を用いて、前記CQIを拡散する、拡散工程と、前記応答信号又は前記CQIを送信する、送信工程と、を有し、前記N個のサイクリックシフトインデックスは、シンボル番号とセル番号とに基づいて算出される第1の値と、スロット番号とPUCCH番号とに基づいて算出される第2の値とに基づいて算出されるようにした。
【0025】
本発明の集積回路は、応答信号を送信する場合、12個のサイクリックシフトインデックスに含まれる循環的に連続するN個のサイクリックシフトインデックスのうち、一つのサイクリックシフトインデックスに対応するサイクリックシフト量にて定義される系列を用いて、前記応答信号を拡散し、CQIを送信する場合、前記12個のサイクリックシフトインデックスに含まれる、前記N個のサイクリックシフトインデックスを除いた12-N個のサイクリックシフトインデックスのうち、一つのサイクリックシフトインデックスに対応するサイクリックシフト量にて定義される系列を用いて、前記CQIを拡散する、拡散処理と、前記応答信号又は前記CQIを送信する、送信処理と、を制御し、前記N個のサイクリックシフトインデックスは、シンボル番号とセル番号とに基づいて算出される第1の値と、スロット番号とPUCCH番号とに基づいて算出される第2の値とに基づいて算出される構成を採る。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、インターセル干渉およびイントラセル干渉の双方をランダム化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】応答信号および参照信号の拡散方法を示す図(従来)
図2】PUCCHの定義を示す図(従来)
図3】本発明の実施の形態1に係る基地局の構成を示すブロック図
図4】本発明の実施の形態1に係る移動局の構成を示すブロック図
図5A】本発明の実施の形態1に係るホッピングパターン(例1-1,セル0のスロット0)
図5B】本発明の実施の形態1に係るホッピングパターン(例1-1,セル0のスロット1)
図6A】本発明の実施の形態1に係るホッピングパターン(例1-1,セル1のスロット0)
図6B】本発明の実施の形態1に係るホッピングパターン(例1-1,セル1のスロット1)
図7A】本発明の実施の形態1に係る第2階層ホッピングパターン(例1-1,スロット0)
図7B】本発明の実施の形態1に係る第2階層ホッピングパターン(例1-1,スロット1)
図8A】本発明の実施の形態1に係る第2階層ホッピングパターン(例1-2,スロット0)
図8B】本発明の実施の形態1に係る第2階層ホッピングパターン(例1-2,スロット1)
図8C】本発明の実施の形態1に係る第2階層ホッピングパターン(例1-3,スロット1)
図9A】本発明の実施の形態1に係る第2階層ホッピングパターン(例1-4,スロット0)
図9B】本発明の実施の形態1に係る第2階層ホッピングパターン(例1-4,スロット1)
図10A】本発明の実施の形態2に係るホッピングパターン(スロット0)
図10B】本発明の実施の形態2に係るホッピングパターン(スロット1)
図11A】本発明の実施の形態2に係る第2階層ホッピングパターン(スロット0)
図11B】本発明の実施の形態2に係る第2階層ホッピングパターン(スロット1)
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0029】
(実施の形態1)
本実施の形態に係る基地局100の構成を図3に示し、本実施の形態に係る移動局200の構成を図4に示す。
【0030】
なお、説明が煩雑になることを避けるために、図3では、本発明と密接に関連する下り回線データの送信、および、その下り回線データに対する応答信号の上り回線での受信に係わる構成部を示し、上り回線データの受信に係わる構成部の図示および説明を省略する。同様に、図4では、本発明と密接に関連する下り回線データの受信、および、その下り回線データに対する応答信号の上り回線での送信に係わる構成部を示し、上り回線データの送信に係わる構成部の図示および説明を省略する。
【0031】
また、以下の説明では、1次拡散にZAC系列を用い、2次拡散にブロックワイズ拡散コード系列を用いる場合について説明する。しかし、1次拡散には、ZAC系列以外の、互いに異なる循環シフト量により互いに分離可能な系列を用いてもよい。例えば、GCL(Generalized Chirp like)系列、CAZAC(Constant Amplitude Zero Auto Correlation)系列、ZC(Zadoff-Chu)系列、または、M系列や直交ゴールド符号系列等のPN系列を1次拡散に用いてもよい。また、2次拡散には、互いに直交する系列、または、互いにほぼ直交すると見なせる系列であればいかなる系列をブロックワイズ拡散コード系列として用いてもよい。例えば、ウォルシュ系列またはフーリエ系列等をブロックワイズ拡散コード系列として2次拡散に用いることができる。
【0032】
また、以下の説明では、系列長12で循環シフト量0~11の12個のZACをそれぞれZAC#0~ZAC#11と表記し、系列長4で系列番号0~2の3つのブロックワイズ拡散コード系列をそれぞれBW#0~BW#2と表記する。しかし、本発明はこれらの系列長に限定されない。
【0033】
また、以下の説明では、ZAC系列の循環シフト量とブロックワイズ拡散コード系列の系列番号とによってPUCCH番号が定義される。つまり、互いに異なる循環シフト量により互いに分離可能なZAC#0~ZAC#11と互いに直交するBW#0~BW#2とによって応答信号用の複数のリソースが定義される。
【0034】
また、以下の説明では、CCE番号とPUCCH番号とが1対1で対応付けられているものとする。つまり、CCE#0とPUCCH#0、CCE#1とPUCCH#1、CCE#2とPUCCH#2…がそれぞれ対応するものとする。
【0035】
図3に示す基地局100において、下り回線データのリソース割当結果が制御情報生成部101およびマッピング部104に入力される。また、下り回線データのリソース割当結果を通知するための制御情報の移動局毎の符号化率が符号化率情報として制御情報生成部101および符号化部102に入力される。ここでは、上記同様、制御情報の符号化率を2/3,1/3,1/6または1/12のいずれかとする。
【0036】
制御情報生成部101は、下り回線データのリソース割当結果を通知するための制御情報を移動局毎に生成し符号化部102に出力する。移動局毎の制御情報には、どの移動局宛ての制御情報であるかを示す移動局ID情報が含まれる。例えば、制御情報の通知先の移動局のID番号でマスキングされたCRCビットが移動局ID情報として制御情報に含まれる。また、制御情報生成部101は、入力される符号化率情報に従って、制御情報を通知するために必要なCCE数(CCE占有数)に応じたL1/L2CCH割当を各移動局に対して行い、割り当てたL1/L2CCHに対応するCCE番号をマッピング部104に出力する。ここでは、上記同様、制御情報の符号化率が2/3の場合のL1/L2CCHが1つのCCEを占有するものとする。よって、制御情報の符号化率が1/3の場合のL1/L2CCHは2つのCCEを占有し、制御情報の符号化率が1/6の場合のL1/L2CCHは4つのCCEを占有し、制御情報の符号化率が1/12の場合のL1/L2CCHは8つのCCEを占有する。また、上記同様、1つのL1/L2CCHが複数のCCEを占有する場合、1つのL1/L2CCHは連続する複数のCCEを占有するものとする。
【0037】
符号化部102は、入力される符号化率情報に従って、移動局毎の制御情報を符号化して変調部103に出力する。
【0038】
変調部103は、符号化後の制御情報を変調してマッピング部104に出力する。
【0039】
一方、符号化部105は、各移動局への送信データ(下り回線データ)を符号化して再送制御部106に出力する。
【0040】
再送制御部106は、初回送信時には、符号化後の送信データを移動局毎に保持するとともに変調部107に出力する。再送制御部106は、各移動局からのACKが判定部116から入力されるまで送信データを保持する。また、再送制御部106は、各移動局からのNACKが判定部116から入力された場合、すなわち、再送時には、そのNACKに対応する送信データを変調部107に出力する。
【0041】
変調部107は、再送制御部106から入力される符号化後の送信データを変調してマッピング部104に出力する。
【0042】
マッピング部104は、制御情報の送信時には、変調部103から入力される制御情報を制御情報生成部101から入力されるCCE番号に従って物理リソースにマッピングしてIFFT部108に出力する。つまり、マッピング部104は、移動局毎の制御情報を、OFDMシンボルを構成する複数のサブキャリアにおいてCCE番号に対応するサブキャリアにマッピングする。
【0043】
一方、下り回線データの送信時には、マッピング部104は、リソース割当結果に従って各移動局への送信データを物理リソースにマッピングしてIFFT部108に出力する。つまり、マッピング部104は、移動局毎の送信データを、リソース割当結果に従ってOFDMシンボルを構成する複数のサブキャリアのいずれかにマッピングする。
【0044】
IFFT部108は、制御情報または送信データがマッピングされた複数のサブキャリアに対してIFFTを行ってOFDMシンボルを生成し、CP(Cyclic Prefix)付加部109に出力する。
【0045】
CP付加部109は、OFDMシンボルの後尾部分と同じ信号をCPとしてOFDMシンボルの先頭に付加する。
【0046】
無線送信部110は、CP付加後のOFDMシンボルに対しD/A変換、増幅およびアップコンバート等の送信処理を行ってアンテナ111から移動局200(図3)へ送信する。
【0047】
一方、無線受信部112は、移動局200から送信された応答信号または参照信号をアンテナ111を介して受信し、応答信号または参照信号に対しダウンコンバート、A/D変換等の受信処理を行う。
【0048】
CP除去部113は、受信処理後の応答信号または参照信号に付加されているCPを除去する。
【0049】
逆拡散部114は、移動局200において2次拡散に用いられたブロックワイズ拡散コード系列で応答信号を逆拡散し、逆拡散後の応答信号を相関処理部115に出力する。同様に、逆拡散部114は、移動局200において参照信号の拡散に用いられた直交系列で参照信号を逆拡散し、逆拡散後の参照信号を相関処理部115に出力する。
【0050】
相関処理部115は、逆拡散後の応答信号および逆拡散後の参照信号と、移動局200において1次拡散に用いられたZAC系列との相関値を求めて判定部116に出力する。
【0051】
判定部116は、各検出窓に移動局毎の相関ピークを検出することにより、移動局毎の応答信号を検出する。例えば、判定部116は、移動局#0用の検出窓#0に相関ピークが検出された場合には、移動局#0からの応答信号を検出する。そして、判定部116は、検出された応答信号がACKまたはNACKのいずれであるかを参照信号の相関値を用いた同期検波によって判定し、移動局毎のACKまたはNACKを再送制御部106に出力する。
【0052】
一方、図4に示す移動局200において、無線受信部202は、基地局100から送信されたOFDMシンボルをアンテナ201を介して受信し、OFDMシンボルに対しダウンコンバート、A/D変換等の受信処理を行う。
【0053】
CP除去部203は、受信処理後のOFDMシンボルに付加されているCPを除去する。
【0054】
FFT(Fast Fourier Transform)部204は、OFDMシンボルに対してFFTを行って複数のサブキャリアにマッピングされている制御情報または下り回線データを得て、それらを抽出部205に出力する。
【0055】
制御情報の符号化率を示す符号化率情報、すなわち、L1/L2CCHのCCE占有数を示す情報が、抽出部205および復号部207に入力される。
【0056】
抽出部205は、制御情報の受信時には、入力される符号化率情報に従って、複数のサブキャリアから制御情報を抽出して復調部206に出力する。
【0057】
復調部206は、制御情報を復調して復号部207に出力する。
【0058】
復号部207は、入力される符号化率情報に従って制御情報を復号して判定部208に出力する。
【0059】
一方、下り回線データの受信時には、抽出部205は、判定部208から入力されるリソース割当結果に従って、複数のサブキャリアから自局宛の下り回線データを抽出して復調部210に出力する。この下り回線データは、復調部210で復調され、復号部211で復号されてCRC部212に入力される。
【0060】
CRC部212は、復号後の下り回線データに対してCRCを用いた誤り検出を行って、CRC=OK(誤り無し)の場合はACKを、CRC=NG(誤り有り)の場合はNACKを応答信号として生成し、生成した応答信号を変調部213に出力する。また、CRC部212は、CRC=OK(誤り無し)の場合、復号後の下り回線データを受信データとして出力する。
【0061】
判定部208は、復号部207から入力された制御情報が自局宛の制御情報であるか否かをブラインド判定する。例えば、判定部208は、自局のID番号でCRCビットをデマスキングすることによりCRC=OK(誤り無し)となった制御情報を自局宛の制御情報であると判定する。そして、判定部208は、自局宛の制御情報、すなわち、自局に対する下り回線データのリソース割当結果を抽出部205に出力する。
【0062】
また、判定部208は、自局宛の制御情報がマッピングされていたサブキャリアに対応するCCE番号から、自局からの応答信号の送信に用いるPUCCHを判定し、判定結果(PUCCH番号)を制御部209に出力する。例えば、判定部208は、上記同様、自局宛の制御情報がマッピングされていたサブキャリアに対応するCCEがCCE#0である場合は、CCE#0に対応するPUCCH#0を自局用のPUCCHと判定する。また例えば判定部208は、自局宛の制御情報がマッピングされていたサブキャリアに対応するCCEがCCE#0~CCE#3である場合は、CCE#0~CCE#3において最小番号のCCE#0に対応するPUCCH#0を自局用のPUCCHと判定し、自局宛の制御情報がマッピングされていたサブキャリアに対応するCCEがCCE#4~CCE#7である場合は、CCE#4~CCE#7において最小番号のCCE#4に対応するPUCCH#4を自局用のPUCCHと判定する。
【0063】
制御部209は、設定されたホッピングパターンおよび判定部208から入力されたPUCCH番号に従って、拡散部214での1次拡散に用いるZAC系列の循環シフト量および拡散部217での2次拡散に用いるブロックワイズ拡散コード系列を制御する。すなわち、制御部209は、判定部208から入力されたPUCCH番号に対応する循環シフト量のZAC系列を設定されたホッピングパターンに従ってZAC#0~ZAC#11の中から選択して拡散部214に設定し、判定部208から入力されたPUCCH番号に対応するブロックワイズ拡散コード系列をBW#0~BW#2の中から選択して拡散部217に設定する。つまり、制御部209は、ZAC#0~ZAC#11とBW#0~BW#2とによって定義される複数のリソースのうちいずれかのリソースを選択する。制御部209での系列制御の詳細については後述する。また、制御部209は、参照信号としてのZAC系列をIFFT部220に出力する。
【0064】
変調部213は、CRC部212から入力される応答信号を変調して拡散部214に出力する。
【0065】
拡散部214は、制御部209によって設定されたZAC系列で応答信号を1次拡散し、1次拡散後の応答信号をIFFT部215に出力する。つまり、拡散部214は、制御部209でホッピングパターンに従って選択されたリソースに対応する循環シフト量のZAC系列を用いて応答信号を1次拡散する。
【0066】
IFFT部215は、1次拡散後の応答信号に対してIFFTを行い、IFFT後の応答信号をCP付加部216に出力する。
【0067】
CP付加部216は、IFFT後の応答信号の後尾部分と同じ信号をCPとしてその応答信号の先頭に付加する。
【0068】
拡散部217は、制御部209によって設定されたブロックワイズ拡散コード系列でCP付加後の応答信号を2次拡散し、2次拡散後の応答信号を多重部218に出力する。つまり、拡散部217は、1次拡散後の応答信号を制御部209で選択されたリソースに対応するブロックワイズ拡散コード系列を用いて2次拡散する。
【0069】
IFFT部220は、参照信号に対してIFFTを行い、IFFT後の参照信号をCP付加部221に出力する。
【0070】
CP付加部221は、IFFT後の参照信号の後尾部分と同じ信号をCPとしてその参照信号の先頭に付加する。
【0071】
拡散部222は、予め設定された直交系列でCP付加後の参照信号を拡散し、拡散後の参照信号を多重部218に出力する。
【0072】
多重部218は、2次拡散後の応答信号と拡散後の参照信号とを1スロットに時間多重して無線送信部219に出力する。
【0073】
無線送信部219は、2次拡散後の応答信号または拡散後の参照信号に対しD/A変換、増幅およびアップコンバート等の送信処理を行ってアンテナ201から基地局100(図3)へ送信する。
【0074】
次いで、制御部209での系列制御の詳細について説明する。
【0075】
インターセル干渉のランダム化では1つの移動局に干渉を与える多数の移動局が存在することを前提とするため、インターセル干渉のランダム化には多くのホッピングパターンが必要となる。よって、インターセル干渉のランダム化にはLBベースの循環シフトホッピングが好ましい。
【0076】
一方で、イントラセル干渉では、1つの移動局に干渉を与える移動局は1つまたは2つしか存在しないため、イントラセル干渉のランダム化には少数のホッピングパターンがあれば足りる。また、イントラセル干渉に対してLBベースの循環シフトホッピングを行うと、上記のようにブロックワイズ拡散コード系列間の直交性が崩れてしまうことがある。
【0077】
そこで、本実施の形態では、2階層のホッピングパターンを定義して制御部209に設定する。すなわち、第1階層では、インターセル干渉をランダム化するために、セル毎に異なるLBベースのホッピングパターンを定義する。但し、第1階層では、同一セル内のすべての移動局が同一のホッピングパターンを用いる。また、第2階層では、イントラセル干渉をランダム化するために、同一セル内の移動局毎に異なるホッピングパターンを定義する。但し、ブロックワイズ拡散コード系列間の直交性を崩さないために、第2階層ホッピングパターンをスロットベースのホッピングパターンとする。また、ホッピングパターンの通知に必要なシグナリング量を削減するために、第2階層ホッピングパターンを複数のセルに共通のホッピングパターンとする。
【0078】
そして、各移動局は、第1階層ホッピングパターンと第2階層ホッピングパターンとで表されるホッピングパターン(ホッピングパターン1+2)を用いてホッピングを行う。つまり、制御部209にホッピングパターン1+2が設定され、制御部209は、設定されたホッピングパターン1+2に従って系列制御を行う。
【0079】
なお、各移動局は、ホッピングパターン1+2を基地局から通知されてもよい。また、第1階層ホッピングパターンをセルIDと1対1で対応付けることにより、第1階層ホッピングパターンの通知に必要なシグナリング量を削減してもよい。また、上記のように第2階層ホッピングパターンは複数のセルに共通のホッピングパターンを採るため、第2階層ホッピングパターンをスロット0でのPUCCH番号に対応させて一意に設定しておくことにより、第2階層ホッピングパターンの通知に必要なシグナリング量を削減してもよい。
【0080】
以下、ホッピングパターン1+2に従った系列制御について具体例を用いて説明する。
【0081】
<例1-1(図5A,図5B,図6A,図6B,図7A,図7B)>
図5Aおよび図5Bに示すホッピングパターン1+2をセル0に用い、セル0と隣接するセル1に、図6Aおよび図6Bに示すホッピングパターン1+2を用いる。
【0082】
図5Aに示すように、スロット0では、PUCCH#0~PUCCH#17のすべてのPUCCHが、互いの相対関係を維持しながら、セル0固有の同一の第1階層ホッピングパターンに従ってLB毎に循環シフト量を変化させる。換言すれば、スロット0内では、セル0固有のLBベースのホッピングが行われる。
【0083】
また、図5Bに示すように、スロット0に続くスロット1では、スロット0と同様にして、セル0固有の第1階層ホッピングパターンに従ってセル0固有のLBベースのホッピングが行われる。つまり、セル0の各スロット内では、各スロットに共通の、セル0固有の第1階層ホッピングパターンに従ったLBベースのホッピングが行われる。しかし、スロット1では、本来PUCCH#0がある箇所にPUCCH#5があり、本来PUCCH#5がある箇所にPUCCH#0がある。つまり、スロット1では、循環シフト軸上のPUCCHの配置順序がスロット0と逆順になる。例えば、BW#0(1行目)に着目すると、スロット0ではPUCCH#0→PUCCH#1→PUCCH#2→PUCCH#3→PUCCH#4→PUCCH#5という順に並んでいるのに対し、スロット1ではPUCCH#5→PUCCH#4→PUCCH#3→PUCCH#2→PUCCH#1→PUCCH#0という順に並んでいる。このように本例では、移動局固有のスロットベースの第2階層ホッピングパターンを、循環シフト軸上でのPUCCHの配置順序をスロット毎に逆順にすることによって定義する。
【0084】
また、セル1の各スロット内では、図6Aおよび図6Bに示すように、各スロットに共通の、セル0と異なるセル1固有の第1階層ホッピングパターンに従ったLBベースのホッピングが行われる。一方で、セル1においても、移動局固有のスロットベースの第2階層ホッピングパターンは、図6Aおよび図6Bに示すように、循環シフト軸上でのPUCCHの配置順序をスロット毎に逆順にすることによって定義される。
【0085】
本例のホッピングは式(1)によって表される。すなわち、セル番号がcellidのセルにおけるk番目のPUCCHがi番目のLB(SC-FDMAシンボル)で用いる循環シフト量CSindex(k,i,cellid)は式(1)によって与えられる。但し、init(k)はk番目のPUCCHがLB0(1番目のLB)で用いる循環シフト量である。また、HopLB(i,cellid)は、インターセル干渉のランダム化を行うために設定されるホッピングパターンであり、同一セル内のすべての移動局に共通で、かつ、各セルに固有のLBベースのホッピングパターンである。また、Hopslot(k,j)は、イントラセル干渉のランダム化を行うために設定されるホッピングパターンであり、すべてのセルに共通で、かつ、各PUCCHに固有のスロットベースのホッピングパターンである。
CSindex(k,i,cellid)=mod(init(k)+HopLB(i,cellid)+Hopslot(k,j),12) …(1)
【0086】
ここで、1スロットが7LBから構成されるものとすると、iとjとの間には式(2)に示す関係がある。但し、floor(x)はx以下の最大の整数を示す。
j=floor(i/7) …(2)
【0087】
よって、図5Aおよび図5Bでは、HopLB(i,cellid)は式(3)によって定義され、Hopslot(k,j)は式(4),式(5)または式(6)のいずれかによって定義される。
HopLB(i,cellid)=2i …(3)
Hopslot(k,j)=0 (for j=0) …(4)
Hopslot(k,j)=10-init(k) (for j=1) …(5)
Hopslot(k,j)=12-init(k) (for j=1) …(6)
【0088】
ここで、セル0およびセル1に共通の第2階層ホッピングパターン(スロットベースのホッピングパターン)を図7Aおよび図7Bに示す。図7Aおよび図7Bは、図5A,図5B,図6A,図6Bから第2階層ホッピングパターンを抽出したものである。図7Aおよび図7Bより、第2階層ホッピングパターン(スロットベースのホッピングパターン)はセル0およびセル1に共通のホッピングパターンであることが分かる。また、図7Aおよび図7Bでの矢印の向き(右方向)は干渉の発生しやすい方向を示している。図7Aおよび図7Bより、PUCCH#0~PUCCH#17のすべてのPUCCHにおいて、干渉源となりやすいPUCCHがスロット0とスロット1との間で異なることが分かる。例えば、PUCCH#1は、スロット0ではPUCCH#0から干渉を受けやすいのに対し、スロット1ではPUCCH#3から干渉を受けやすいことになる。つまり、本例によれば、循環シフト軸上でのPUCCHの配置順序をスロット毎に逆順にすることによって定義される簡単なスロットベースのホッピングパターンにより、イントラセル干渉をランダム化することができる。
【0089】
このようにして本例によれば、ブロックワイズ拡散コード系列間の直交性を維持しつつ、インターセル干渉およびイントラセル干渉の双方をランダム化することができる。また、第1階層ホッピングパターンは同一セル内のすべての移動局に共通であるため、第1階層ホッピングパターンを基地局から自セル内のすべての移動局へ一括して通知することができる。例えば、基地局は、BCH(Broadcast Channel)を用いて第1階層ホッピングパターンを移動局へ通知するとよい。また、セルID(セル番号)と第1階層ホッピングパターンとを対応付け、基地局が、自セルのセルID(セル番号)を移動局へ通知することにより第1階層ホッピングパターンを移動局へ通知してもよい。また、本例によれば、移動局毎に異なるホッピングパターンはスロットベースのホッピングパターンであるため、ホッピングパターン数を減少させることができ、よって、ホッピングパターンの通知に必要なシグナリング量を削減することができる。また、第2階層ホッピングパターンは複数のセルに共通のホッピングパターンであるため、第2階層ホッピングパターンの通知に必要なシグナリング量をさらに削減することができる。
【0090】
<例1-2(図8A,図8B)>
移動局が高速移動する場合には、図7Aおよび図7Bに示す矢印の向き(右方向)だけでなく、図8Aに示す矢印の向き(上下方向)にも干渉が発生する。これは、従来BW#0=(1,1,1,1)、BW#1=(1,-1,1,-1)、BW#2=(1,-1,-1,1)が定義されるため、BW#1とBW#2との間の直交性が、BW#0とBW#1との間の直交性よりも崩れやすいからである。これは、BW#0とBW#1とはWとWとの間およびWとWとの間でそれぞれ直交するため、第1LBと第2LB(SとS)との間および第6LBと第7LB(SとS)との間においてチャネル状態がほぼ同一と見なされれば、BW#0の応答信号とBW#1の応答信号との間には干渉が発生しにくいのに対し、第1LB~第7LB(S~S)に渡ってチャネル状態がほぼ同一と見なされなければ、BW#1の応答信号とBW#2の応答信号との間には干渉が発生するためである。よって、図8Aにおいて、PUCCH#15からPUCCH#9への干渉は発生するが、PUCCH#6からPUCCH#1への干渉は発生しない。図8Aに示す上下方向の干渉を、図7Aおよび図7Bに示すホッピングパターンだけでランダム化することはできない。
【0091】
そこで、本例では、第2階層ホッピングパターンとして、図8Aおよび図8Bに示すホッピングパターンを用いる。図8Bでは、循環シフト軸上でのPUCCHの配置順序を図8Aと逆順にするとともに、互いに異なるブロックワイズ拡散コード系列にそれぞれ対応するPUCCHに対し循環シフト軸上での互いに異なるオフセットを与えている。
【0092】
本例のホッピングは式(7)によって表される。すなわち、本例における循環シフト量CSindex(k,i,cellid)は式(7)によって与えられる。但し、wはブロックワイズ拡散コード系列の番号(index)を示し、Hopoffset(w,j)はスロット毎およびブロックワイズ拡散コード系列毎に異なる循環シフト軸上のオフセット量を示す。
CSindex(k,i,w,cellid)=
mod(init(k)+HopLB(i,cellid)+Hopslot(k,j)+Hopoffset(w,j),12) …(7)
【0093】
このようにして本例によれば、循環シフト軸方向に発生する干渉だけでなく、ブロックワイズ拡散コード系列軸方向で発生する干渉もランダム化することができる。
【0094】
<例1-3(図8C)>
図8Bに示すホッピングパターンに代えて図8Cに示すホッピングパターンを用いても、例1-2と同様の効果を得ることができる。図8Cでは、循環シフト軸上でのPUCCHの配置順序を図8Aと逆順にするとともに、図8AにおけるBW#1(2行目)に対応するPUCCHをBW2(3行目)に対応させ、図8AにおけるBW#2(3行目)に対応するPUCCHをBW1(2行目)に対応させている。つまり、図8Cでは、図8AにおけるBW#1(2行目)とBW#2(3行目)とを入れ替えている。
【0095】
<例1-4(図9A,図9B)>
図8Aおよび図8Bに示すホッピングパターンに代えて図9Aおよび図9Bに示すホッピングパターンを用いても、例1-2と同様の効果を得ることができる。図9Bでは、循環シフト軸上でのPUCCHの配置順序を図9Aと逆順にするとともに、図9AにおけるBW#1(2行目)に対応するPUCCHをBW2(3行目)に対応させ、図9AにおけるBW#2(3行目)に対応するPUCCHをBW1(2行目)に対応させている。つまり、図9Bでは、図9AにおけるBW#1(2行目)とBW#2(3行目)とを入れ替えている。
【0096】
例1-2では、スロット0でほぼ同じ循環シフト量を用いていたPUCCH(例えば、図8AのPUCCH#0,PUCCH#6,PUCCH#12)がスロット1(図8B)では全く異なる循環シフト量を用いることになる。
【0097】
これに対し、本例では、図9Aおよび図9Bに示すように、スロット0でほぼ同じ循環シフト量を用いていたPUCCH(例えば、図9AのPUCCH#0,PUCCH#1,PUCCH#2)はスロット1(図9B)でもほぼ同じ循環シフト量を用いることになる。すなわち、スロット0(図9A)ではPUCCH#0,PUCCH#1,PUCCH#2は循環シフト量0,1の互いに隣接する2つの循環シフト量を用いており、スロット1(図9B)でもPUCCH#0,PUCCH#1,PUCCH#2は循環シフト量10,11の互いに隣接する2つの循環シフト量を用いている。よって、PUCCH#0,PUCCH#1,PUCCH#2が未使用となった場合、スロット0およびスロット1の双方において、未使用リソース(空きリソース)がブロック型に固まってホッピングすることになる。よって、本例によれば、未使用リソースを他の用途、例えばCQI(Channel Quality Indicator)の送信用に割り当てることが容易になる。
【0098】
(実施の形態2)
本実施の形態では、図10Aおよび図10Bに示すように、実施の形態1における移動局固有のホッピングパターンを、直交系列の乗算単位内で同一にしつつ、直交系列の乗算単位毎に異ならせる。
【0099】
具体的には、図10Aおよび図10Bに示すように、移動局固有のホッピングパターンを、図1における[W,W,W,W]の乗算単位、すなわち、スロット0のLB0,LB1,LB5,LB6の単位とスロット1のLB7,LB8,LB12,LB13の単位とで互いに同一にする。また、移動局固有のホッピングパターンを、図1における[F,F,F]の乗算単位、すなわち、スロット0のLB2,LB3,LB4の単位とスロット1のLB9,LB10,LB11の単位とで互いに同一にする。さらに、移動局固有のホッピングパターンを、図1における[W,W,W,W]の乗算単位と図1における[F,F,F]の乗算単位とで互いに異ならせる。よって、図10Aおよび図10Bに示すように、第2階層ホッピングパターンはスロット毎に4つの循環シフト量で表され、[W,W,W,W]の乗算単位で変化せず同一となり、また、[F,F,F]の乗算単位で変化せず同一となる。
【0100】
本例のホッピングは式(8)によって表される。すなわち、セル番号がcellidのセルにおけるk番目のPUCCHがi番目のLB(SC-FDMAシンボル)で用いる循環シフト量CSindex(k,i,cellid)は式(8)によって与えられる。
CSindex(k,i,cellid)=mod(init(k)+HopLB(i,cellid)+Hopblock(k,l),12) …(8)
【0101】
但し、式(8)においてHopblock(k,l)は複数のセルに共通の第2階層ホッピングパターン、lは第2階層ホッピングパターンのインデックスを示し、iとlとの間には式(9)に示す関係がある。
l=0 (i=0,1,5,6), l=1 (i=2,3,4), l=2 (i=7,8,12,13), l=3 (i=9,10,11) …(9)
【0102】
ここで、スロット0のLB2,LB3,LB4の単位およびスロット1のLB9,LB10,LB11の単位での第2階層ホッピングパターンを図11Aおよび図11Bに示す。なお、スロット0のLB0,LB1,LB5,LB6の単位およびスロット1のLB7,LB8,LB12,LB13の単位での第2階層ホッピングパターンは実施の形態1と同一になる(図7A,図7B)。ここで、図7Aおよび図11Aに着目すると、PUCCH#0~PUCCH#17のすべてのPUCCHにおいて、循環シフト軸上で前後に隣接するPUCCHが図7A図11Aとの間で異なることが分かる。例えば、図7AではPUCCH#1の前方にPUCCH#0が隣接し、PUCCH#1の後方にPUCCH#2が隣接するのに対し、図11Aでは、PUCCH#1の前方にPUCCH#4が隣接し、PUCCH#1の後方にPUCCH#5が隣接する。よって、イントラセル干渉をさらにランダム化することができる。
【0103】
このように、本実施の形態によれば、4循環シフト量が第2階層ホッピングパターンに含まれるため、第2階層ホッピングパターンを増加させることができ、よって、イントラセル干渉をさらにランダム化することができる。
【0104】
以上、本発明の実施の形態について説明した。
【0105】
なお、上記実施の形態の説明で用いたPUCCHは、ACKまたはNACKをフィードバックするためのチャネルであるため、ACK/NACKチャネルと称されることもある。
【0106】
また、本発明は、応答信号以外の制御情報をフィードバックする場合にも上記同様にして実施可能である。
【0107】
また、移動局は端末局、UE、MT、MS、STA(Station)と称されることもある。また、基地局はNode B、BS、APと称されることもある。また、サブキャリアはトーンと称されることもある。また、CPはガードインターバル(Guard Interval;GI)と称されることもある。
【0108】
また、誤り検出の方法はCRCに限られない。
【0109】
また、周波数領域と時間領域との間の変換を行う方法は、IFFT、FFTに限られない。
【0110】
また、上記実施の形態では、本発明を移動局に適用する場合について説明した。しかし、本発明は、固定された静止状態の無線通信端末装置や、基地局との間で移動局と同等の動作をする無線通信中継局装置に対しても適用することができる。つまり、本発明は、すべての無線通信装置に対して適用することができる。
【0111】
また、上記実施の形態では、本発明をハードウェアで構成する場合を例にとって説明したが、本発明はソフトウェアで実現することも可能である。
【0112】
また、上記実施の形態の説明に用いた各機能ブロックは、典型的には集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部または全てを含むように1チップ化されてもよい。ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
【0113】
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路または汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサーを利用してもよい。
【0114】
さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
【0115】
2007年10月1日出願の特願2007-257764の日本出願に含まれる明細書、図面および要約書の開示内容は、すべて本願に援用される。
【産業上の利用可能性】
【0116】
本発明は、移動体通信システム等に適用することができる。
【符号の説明】
【0117】
100 基地局
101 制御情報生成部
102,105 符号化部
103,107 変調部
104 マッピング部
106 再送制御部
108 IFFT部
109 CP付加部
110 無線送信部
111 アンテナ
112 無線受信部
113 CP除去部
114 逆拡散部
115 相関処理部
116 判定部
200 移動局
201 アンテナ
202 無線受信部
203 CP除去部
204 FFT部
205 抽出部
206,210 復調部
207,211 復号部
208 判定部
209 制御部
212 CRC部
213 変調部
214,217,222 拡散部
215,220 IFFT部
216,221 CP付加部
218 多重部
219 無線送信部
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B