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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-14
(45)【発行日】2022-09-26
(54)【発明の名称】踏切装置
(51)【国際特許分類】
   B61L 29/04 20060101AFI20220915BHJP
【FI】
B61L29/04 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2017225596
(22)【出願日】2017-11-24
(65)【公開番号】P2019093939
(43)【公開日】2019-06-20
【審査請求日】2020-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000003403
【氏名又は名称】ホーチキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079359
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 進
(72)【発明者】
【氏名】外村 賢昭
【審査官】清水 康
(56)【参考文献】
【文献】実公昭46-034168(JP,Y1)
【文献】特開昭57-111700(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103306225(CN,A)
【文献】中国実用新案第201089883(CN,Y)
【文献】特開2011-227548(JP,A)
【文献】実開昭56-051818(JP,U)
【文献】特開2009-278220(JP,A)
【文献】特開昭59-088510(JP,A)
【文献】特開2012-216132(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61L 29/00 - 29/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
列車が通行する線路を横断する踏切道に設けられた踏切装置であって、
踏切出入口に、当該踏切出入口を遮るように水ビームを放水する放水装置が設けられたことを特徴とする踏切装置。
【請求項2】
請求項1記載の踏切装置に於いて、前記放水装置から放水された水ビームが到達する所定の位置に、前記水ビームを受け入れて排水させる集水装置が設けられたことを特徴とする踏切装置。
【請求項3】
請求項1記載の踏切装置に於いて、前記放水装置から放水された水ビームの路面投影位置に排水溝が設けられたことを特徴とする踏切装置。
【請求項4】
請求項1記載の踏切装置に於いて、前記放水装置から放水された水ビームを照明する照明装置が設けられたことを特徴とする踏切装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかに記載の踏切装置に於いて、更に、
前記放水装置に加圧水を供給する加圧給水装置と、
前記加圧給水装置と前記放水装置の間に設けられて開閉制御される制御弁と、
所定の列車検知信号に基づいて前記制御弁を開閉制御して前記放水装置による水ビームの放水を制御する踏切制御装置と、
が設けられたことを特徴とする踏切装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、列車が通行する線路を横断する踏切道に設けられた踏切装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、線路を横切る踏切道には踏切装置が設けられており、列車の安全な運行を行うために、列車が踏切に近づくと、遮断機のバーが降下して踏切出入口を遮断し、踏切警報機が動作して、ライトやスピーカによって視覚や聴覚により車両の運転手や歩行者に列車の接近を通知している。
【0003】
ところで、列車の踏切は交通が錯綜することから事故が起こり易く、渋滞の原因ともなる。特に、列車本数や線路数の多い踏切では、時間帯によっては、閉まっている時間が長くなる所謂開かずの踏切等もある。
【0004】
このため遮断機が降りているにも関わらず、遮断機を潜って人が踏切に進入し、これを検知することで、現場確認が済むまで列車運行を停止させる事態が多発している。
【0005】
また、踏切を通過しようとする車両が、警報器が鳴り始めているにも関わらず、無理に踏切に進入したため、遮断機が下りて踏切に閉じ込められ、列車から逃れるために遮断機のバーを突き破って脱出するような事故も数多く発生している。
【0006】
このような問題を解決するために様々な取り組みが行われており、例えば、踏切の状態を道路上の車両に通知して踏切の存在とその状態を予告したり、車両の速度超過を検出し、遮断機の降下中に踏切への車両の進入を防止する装置等も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開平08-058593号公報
【文献】特開2005-170259号公報
【文献】特開2016-141251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、このような従来の踏切は、遮断機のバーを降ろして車両や歩行者の通行を遮断する構造であり、歩行者であれば遮断機のバーをくぐって簡単に踏切に進入することが可能であり、踏切に進入した人を検知して列車を停止させる事故が絶えない。
【0009】
また、遮断機のバーが車両の通過より壊された場合には、踏切の機能が失われると共に、復旧に手間と時間かかかり、列車の運行停止や運航遅れを引き起こす問題がある。
【0010】
本発明は、踏切閉鎖状態での人による踏切への侵入を忌避させると共に踏切作動中に車両が通過しても破壊されることなく機能停止や復旧を必要としない踏切装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(踏切装置)
本発明は、列車が通行する線路を横断する踏切道に設けられた踏切装置であって、
踏切出入口に、当該踏切出入口を遮るように水ビームを放水する放水装置が設けられたことを特徴とする。
【0016】
(集水装置)
放水装置から放水された水ビームが到達する所定の位置に、水ビームを受け入れて排水させる集水装置が設けられる。
【0017】
(排水溝)
放水装置から放水された水ビームの路面投影位置に排水溝が設けられる。
【0018】
(照明装置)
放水装置から放水された水ビームを照明する照明装置が設けられる。
【0019】
(踏切装置の設備構成)
踏切装置は、更に、
放水装置に加圧水を供給する加圧給水装置と、
加圧給水装置と放水装置の間に設けられて開閉制御される制御弁と、
所定の列車検知信号に基づいて制御弁を開閉制御して放水装置による水ビームの放水を制御する踏切制御装置と、
が設けられる。

【発明の効果】
【0020】
(基本的な効果)
本発明は、列車が通行する線路を横断する踏切道に設けられた踏切装置に於いて、踏切出入口に、当該踏切出入口を遮るように水ビームを放水する水ビーム放水装置が設けられたため、列車が接近すると、水ビーム放水装置により踏切出入口を遮るように水ビームが放水され、歩行者が踏切に進入しようとすると水ビームがかかって濡れることの忌避感から踏切への進入を思い止まらせることができ、踏切作動中への人の進入を確実に防止可能とする。
【0021】
また、水ビームの放水による踏切遮断中に、車両が違法に通過しても、単に水ビームを横切るに過ぎないことから、踏切設備や機器の損傷は起きず、従来の遮断機バーの破損による問題は発生しない。
【0022】
(水ビームの横並び放水による効果)
また、水ビーム放水装置は、踏切出入口の路面横方向に複数のノズルが所定間隔で配置され、複数のノズルからアーチ状に連設される複数の水ビームを放水させるようにしたため、踏切で入り口を横切る方向にアーチ状の水ビームが複数繋がって形成されることで、踏切が遮断状態にあることが確実に認識され、また、水ビームの放水でアーチ形状を形成するには、水道水程度の低圧放水で良いことから、設備構成が簡単で放水量も必要最小限に抑えることができ、更に、踏切で入り口の道路幅が変わっても、横に配置するノズルの数を変えて水ビームにより形成されるアーチの数を変えることで、踏切出入口の道路幅に対し簡単に対応できる。また、水ビームが下からアーチ高さまで存在するため、視線が低い子供でも気づくことができることに加え、下からくぐることが困難となる。
【0023】
(水ビームの横放水による効果)
また、水ビーム放水装置は、踏切出入口の片側又は両側に配置されたノズルから踏切出入口を横切る方向に1又は複数の水ビームを放水させるようにしたため、水ビームの放水に使用するノズル数が少なくて済み、設備構成が簡単になることから、踏切で入り口の道路幅が比較的狭い踏切に好適である。
【0024】
(水ビームのクロス放水による効果)
また、水ビーム放水装置は、踏切出入口の両側に配置されたノズルから踏切出入口を横切って交差するように複数の水ビームを放水させるようにしたため、両側のノズルから放水された水ビームが中央付近で交差するため、水ビームの本数が少なくても、水ビームによる踏切の遮断状態を確実に形成して認識させることができる。
【0025】
(水ビームの偏向放水による効果)
また、水ビーム放水装置は、平面から見て踏切内側に向かう斜め方向にノズルから水ビームを放水させるようにしたため、水ビームの放水による踏切の遮断中に列車が通過すると、列車の通過に伴い水ビームが風を受けるが、予め踏切内側に向けて水ビームを放水することで、列車通過による風を受けても水ビームの外側への偏向を抑制し、踏切出入口の横方向への水ビームの放水状態を維持可能とする。
【0026】
(水ビームの集水装置による効果)
また、水ビーム放水装置のノズルから放水された水ビームが到達する所定の位置に、水ビームを受け入れて排水させる集水装置が設けられたため、ノズルから放水された水ビームは踏切周辺に飛散することなく、集水装置で受け止められて排水されるか再利用される。
【0027】
(水ビームの排水溝による効果)
また、水ビーム放水装置のノズルから放水された水ビームの路面投影位置に排水溝が設けられたため、ノズルから水ビームの放水を開始する場合や水ビームの放水を停止する場合、水ビームの届く位置は踏切出入口の横方向に移動することから、このように水ビームの届く位置が移動しても、そこには排水溝が形成されていることで、周囲に飛散することなく、排水溝で受け止められて排水されるか、再利用される。
【0028】
(照明装置の効果)
また、水ビーム放水装置のノズルから放水された水ビームを照明する照明装置が設けられたため、夜間等の周囲が暗い場合には、放水中の水ビームが照明されることで視認性が向上し、水ビームによる踏切の遮断状態をより確実に認識可能とする。また、美観を向上させる。
【0029】
(踏切装置の設備構成による効果)
また、踏切装置は、更に、水ビーム放水装置に加圧水を供給する加圧給水装置と、加圧給水装置とノズルの間に設けられて開閉制御される制御弁と、所定の列車検知信号に基づいて制御弁を開閉制御してノズルによる水ビームの放水を制御する踏切制御装置とが設けられたため、簡単な装置構成により水ビームの放水により遮断する踏切装置が実現でき、設置も容易であることから、将来的な普及が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】踏切装置の第1実施形態を示した説明図
図2図1の水ビーム放水装置の構成を示した説明図
図3】水ビームを2列に放水する水ビーム放水装置を示した説明図
図4】踏切装置の第2実施形態を示した説明図
図5図4の水ビーム放水装置の構成を示した説明図
図6】踏切装置の第3実施形態を示した説明図
図7図6の水ビーム放水装置の構成を示した説明図
図8】踏切装置の第4実施形態を示した説明図
図9図8の水ビーム放水装置の構成を示した説明図
【発明を実施するための形態】
【0031】
[踏切装置の第1実施形態]
(踏切装置の概要)
図1は踏切装置の第1実施形態を示した説明図である。図1に示すように、複線の線路16を横切る方向に踏切道14が設けられ、踏切出入口に向かって右側には踏切警報器18が設置されている。踏切警報機18には、X字形に配置された踏切動作反応灯、赤点滅する踏切信号機、列車通過方向を示す表示機、警報音を出力するスピーカ等が設置されている。
【0032】
本実施形態にあっては、踏切出入口となる路面を横切る方向に形成された排水溝22の中に水ビーム放水装置10が設置されている。本実施形態の水ビーム放水装置10は、列車の接近が検知された場合、図示のように、排水溝22内に配置されている複数のノズルからアーチ状に水ビーム12が放水され、アーチ状の水ビーム12が横方向に連設されることで、踏切を遮断状態とする。
【0033】
また、踏切警報機18の支柱には照明装置38が設けられ、必要に応じて水ビーム放水装置10から放水されたアーチ状の水ビーム12を照明して目立たせるようにしている。
【0034】
(水ビーム放水装置の構成)
図2図1の水ビーム放水装置の構成を示した説明図である。図2に示すように、踏切出入口の路面横方向には排水溝22が形成され、排水溝22には格子状の排水蓋24が装着されている。排水口22の中には、水ビーム放水装置10で使用するノズル20が放水方向を上向きとし横方向に所定間隔で配置されている。
【0035】
水ビーム放水装置10は加圧給水装置28を備え、加圧供給装置28から給水配管34が引き出され、給水配管34は制御弁30を介して排水溝22に配置したノズル20に接続され、ノズル20に加圧水を供給するようにしている。
【0036】
加圧給水装置28は、水源水槽、ポンプ、蓄圧タンク及び制御盤で構成され、給水配管34に連通した蓄圧タンクに所定圧力の加圧水を常時充填している。また、加圧給水装置28としては、第1実施形態にあっては、ノズル20から水ビーム12を放水させるための圧力が0.02MPa以下と低いことから、水道水を直接供給するものであっても良い。
【0037】
また、水ビーム放水装置10には踏切制御装置32が設けられ、予め設置されている列車検知用の軌道回路や列車検知器からの列車検知信号により制御弁30を開制御してノズル20から水ビーム12を放水させる踏切遮断制御を行い、また、列車通過検知信号により制御弁30を閉制御してノズル20からの水ビーム12の放水を停止させる踏切遮断解除制御を行う。なお、踏切制御装置32は、列車検知信号に基づき踏切警報機18の制御を行うが、踏切警報機18の制御は従来と同じである。
【0038】
踏切制御装置32により開閉制御される制御弁30としては、モータ駆動により弁体が開閉される電動弁を使用する。
【0039】
ここで、ノズル20から放水した水ビーム12をアーチ状とするためには、ノズル20の放水方向を垂直方向から例えば右側に微小な所定角度に傾けて配置する。また、平面から見て隣接する水ビーム12に当たらないようにするため、水平方向にもノズル20を微小角度にオフセットして配置する。
【0040】
また、水ビーム12の放水によるアーチの高さHは、従来の踏切に設けられてる遮断機のバーの高さ程度とする必要があり、例えば、アーチの高さを1.2メートルとするためには、ノズル20に対する加圧水の圧力を例えば0.012MPa程度とする。この場合、水ビーム12の放水によるアーチの横幅Wは、ノズル20の傾斜角で決まる。例えばノズル20の設置間隔を1メートルとすると、アーチの横幅Wを例えばW=1.2メートルとなるように傾斜角を設定する。
【0041】
このような水ノズル12の放水によるアーチの高さHと幅Wの設定により、複数のノズル20から水ノズル12を放水した場合に、複数のアーチが連設された放水パターンを踏切遮断のために形成することができる。
【0042】
また、踏切制御装置32は、列車接近信号を受けた場合、制御弁30の開度を例えば2段階に分けて開制御することで、ノズル20から放水する水ビーム12の高さと幅を最初は小さくして踏切の遮断開始を予告し、所定の予告時間が経過したら制御弁30を全開として図示の踏切遮断とする水ビーム12の高さと幅にする制御を行う。このような水ビーム12の予告放水により、踏切を通過中の歩行者や車両は、水ビーム12が出始めたことで、踏切装置の遮断開始を認識し、踏切から速やかに出たり、また、踏切の手前で止まって列車の通過を待つことができる。
【0043】
また、踏切を車両が通行中に、列車検知に基づき水ビーム放水装置10による水ビーム12の放水で踏切遮断が行われた場合、水ビーム12が踏切遮断のための高さに放水されていても、車両の通過は何ら妨げられないことから、踏切遮断により踏切内に車両が閉じ込められ、遮断機バーを壊して脱出するといった問題は起きない。
【0044】
また、踏切制御装置32は、夜間の時間帯には、列車接近を検知した場合に、図1の踏切警報機18の支柱に配置している照明装置38を点灯し、水ビーム放水装置10から放水される水ビーム12を照明することで、水ビーム12を目立たせることができる。
【0045】
また、ノズル20から放水する水ビーム12に着色するようにしても良い。この場合には、加圧給水装置28に混合器を設け、ポンプにより加圧供給する水に着色液を混合器により混合させてノズル20から着色された水ビームを放水させる。
【0046】
また、冬場の凍結防止のために加圧給水装置28に混合器を設け、ポンプにより加圧供給する水に不凍液を混合器により所定割合で混合させてノズル20から水ビーム12を放水させるようにしても良い。
【0047】
更に、降雪時には、踏切が開いている状態で、ノズル20から数センチメートル程度の高さの水ビーム12を放水し続けることで、踏切に降った雪の融雪除去を行うことができる。
【0048】
(第1実施形態の変形例)
図3は水ビームを2列に放水する水ビーム放水装置を示した説明図であり、図3(A)に平面を示し、図3(B)に横断面を示している。
【0049】
図3に示すように、本実施形態にあっては、図1及び図2に示した第1実施形態で横一列に配置していたノズル20を、ノズル20aとノズル20bに分けて横2列に配置したことを特徴とし、給水配管34をノズル配管36aとノズル配管36bに分岐し、それぞれノズル20a,20bを個別に接続している。
【0050】
このようなノズル20a,20bの横2列の配置により、ノズル20a,20bから水ビーム12a,12bが放水されると、横2列に連設されたアーチ状のパターンが高い密度で形成され、踏切遮断の度合いを高めることができる。
【0051】
[踏切装置の第2実施形態]
図4は踏切装置の第2実施形態を示した説明図、図5図4の水ビーム放水装置の構成を示した説明図である。
【0052】
図4及び図5に示すように、本実施形態は、踏切装置に設けられた水ビーム放水装置10として、踏切出入口の路面を横切る方向に形成された排水溝22の両側にノズル20を斜め上向きに向かい合うように配置し、ノズル20から水ビーム12を放物線を描くように放水することで、踏切遮断状態を形成している。それ以外の構成は図1及び図2に示した第1実施形態と同じになる。
【0053】
本実施形態のノズル20に対する加圧水の圧力としては、踏切の道路横幅に相当する水ビーム12の放水距離が必要となることから、この放水距離に対応した圧力の加圧水をポンプ駆動により供給する。
【0054】
本実施形態は、水ビーム12の放水に使用するノズル20の数が少なくて済み、設備構成が簡単になることから、踏切出入口の道路幅が比較的狭い踏切に好適である。
【0055】
[踏切装置の第3実施形態]
図6は踏切装置の第3実施形態を示した説明図、図7図6の水ビーム放水装置の構成を示した説明図である。
【0056】
図6及び図7に示すように、本実施形態は、踏切装置に設けられた水ビーム放水装置10として、踏切出入口の路面を横切る方向に形成された排水溝22の片側に水ビーム放水装置10を配置し、反対側に相対して集水装置40を配置している。
【0057】
水ビーム放水装置10には高さ方向に例えば3台のノズル20が配置され、ノズル20は放水方向を踏切出入口を横切る水平方向に設定している。このためノズル20からは水平方向に水ビーム12が3本放水されて踏切遮断状態とする。
【0058】
水ビーム放水装置10から放水された水ビーム12は反対側に起立された集水装置40に受け取られ、排水溝22に流れ落ち、排水管26から排水されるか加圧給水装置の貯水槽に回収される。集水装置40は水ビーム12の受け側を広角に開いた形状としており、水ビーム12が横方向に揺れても確実に集水可能としている。それ以外の構成は図1及び図2に示した第1実施形態と同じになる。
【0059】
本実施形態のノズル20に対する加圧水の圧力としては、踏切の道路幅に相当する水ビーム12の放水距離が必要となることから、この放水距離に対応した圧力の加圧水をポンプ駆動により供給する。
【0060】
本実施形態も、水ビーム12の放水に使用するノズル20の数が少なくて済み、設備構成が簡単になることから、踏切出入口の道路幅が比較的狭い踏切に好適である。
【0061】
また、ノズル20からの水ビーム12の放水開始時や放水停止時には、水ビーム12の先端が路面の横方向に移動するが、その位置には排水溝22が形成されることから、水ビーム12は排水溝22に中に入り、周囲に飛散することはない。
【0062】
[踏切装置の第4実施形態]
図8は踏切装置の第3実施形態を示した説明図、図9図8の水ビーム放水装置の構成を示した説明図である。
【0063】
図8及び図9に示すように、本実施形態は、踏切装置に設けられた水ビーム放水装置10として、踏切出入口の路面を横切る方向に形成された排水溝22の両側に、上側を水ビーム放水装置10とし、下側を集水装置40としたユニットを配置している。
【0064】
上側の水ビーム放水装置10にはノズル20が配置され、ノズル20は放水方向を僅かに斜め下向きに設定している。このため両側の水ビーム放水装置10に設けられたノズル20から斜め下向きに放水された水ビーム12は、略中央付近で交差した後に下側に配置された集水装置40に入る。
【0065】
集水装置40により受け取られた水ビーム12の水は排水溝22に流れ落ち、排水管26から排水されるか加圧給水装置の貯水槽に回収される。集水装置40は水ビーム12の受け側を広角に開いた形状としており、水ビーム12が横方向に揺れても確実に集水可能としている。
【0066】
本実施形態のノズル20に対する加圧水の圧力としては、踏切の道路横幅を斜め下向きに横切る水ビーム12の放水距離が必要となることから、この放水距離に対応した圧力の加圧水をポンプ駆動により供給する。それ以外の構成は図1及び図2に示した第1実施形態と同じになる。
【0067】
本実施形態は、両側のノズル20から放水された水ビーム12が中央付近で交差するため、水ビーム12の本数が少なくても、水ビーム12による踏切の遮断状態を確実に形成して認識させることができる。
【0068】
[本発明の変形例]
(水ビーム)
上記の実施形態に示した水ビームの放水による踏切遮断は一例であり、これに限定されず、踏切遮断のための適宜のパターンを形成する水ビームの放水が含まれる。例えば上記の実施形態に加え、踏切左右に柱を設けて二つの柱をつなぐように形成された門形状の放水機構などを用いて上から水を降らすことにより水幕を形成するようにしても良い。
【0069】
(水ビームの高さ)
上記の実施形態に示した水ビームの放水高さは、適宜変更しても良い。例えば高さを不均一とし、車両が通ると考えられる踏切中央部については放水高さを高くするように設定しても良い。
【0070】
(水ビームの横並び放水ノズル)
上記の実施形態に示した水ビームの放水ノズルは、路面に溝部を設け溝部の凹部に配置されるようにしても良い。一般的な車両のタイヤがノズルに接触しない程度に、溝部の進行方向幅を狭く及び又は深さを深く設定する。これによりノズルが車両の進行により変形等する恐れを無くすことができる。
【0071】
(断続放水)
上記の実施形態に示した水ビームの放水において、放水は途切れることなく連続的に行っても良いし、断続的に行っても良い。
【0072】
(照明装置による表示)
上記の実施形態に示した照明装置は、水ビームが文字や図形を表示するように照射しても良い。
【0073】
(踏切装置)
上記の実施形態は、列車が通過する線路を横切る鉄道の踏切装置を例にとるものであったが、本発明は鉄道の踏切装置に限定されず、適宜の踏切装置に適用することができる。
【0074】
(その他)
また本発明は上記の実施形態に限定されず、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0075】
10:水ビーム放水装置
12:水ビーム
14:踏切道
16:線路
18:踏切警報機
20:ノズル
22:排水溝
24:排水蓋
26:排水管
28:加圧給水装置
30:制御弁
32:踏切制御装置
34:給水配管
36a,36b:ノズル配管
38:照明装置
40:集水装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9