(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-14
(45)【発行日】2022-09-26
(54)【発明の名称】温度調節されるべき非無端表面の均一な非接触温度調節方法およびその装置
(51)【国際特許分類】
F27B 9/40 20060101AFI20220915BHJP
C03B 18/02 20060101ALI20220915BHJP
C21D 9/56 20060101ALI20220915BHJP
C21D 9/573 20060101ALI20220915BHJP
F27B 9/24 20060101ALI20220915BHJP
F27D 19/00 20060101ALI20220915BHJP
G05D 23/00 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
F27B9/40
C03B18/02
C21D9/56 101C
C21D9/573 101Z
F27B9/24 R
F27D19/00 Z
G05D23/00 B
(21)【出願番号】P 2017560768
(86)(22)【出願日】2016-05-18
(86)【国際出願番号】 EP2016061102
(87)【国際公開番号】W WO2016192994
(87)【国際公開日】2016-12-08
【審査請求日】2019-01-29
【審判番号】
【審判請求日】2021-02-15
(31)【優先権主張番号】102015108514.3
(32)【優先日】2015-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102015113056.4
(32)【優先日】2015-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】513069145
【氏名又は名称】フォエスタルピネ スタール ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】ブルマイヤー マルクス
(72)【発明者】
【氏名】エッツェルスドルファー クルト
【合議体】
【審判長】池渕 立
【審判官】土屋 知久
【審判官】太田 一平
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第5871686(US,A)
【文献】国際公開第2014/006008(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C21D9/52-9/66
C21D1/00
C21D9/46-9/48
F27B9/00-9/40
F27D17/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
温度調節されるべき非無端の表面の温度調節のための、物体と直接接触しない装置であって;前記温度調節のための温度調節装置
(1)は、温度調節ブレードフレーム(8)内に位置する少なくとも
7つの温度調節ブレード(2)を有し、前記温度調節ブレードフレーム(8)は、流体供給ボックス(15)上に置かれ;前記温度調節ブレード(2)は中空なものであり、内部に少なくとも1つのノズル(10)が提供される温度調節ノズル縁(6)を有し;前記少なくとも1つのノズル(10)は、温度調節されるべき物体に向けられており;前記温度調節されるべき表面上の流体の流れのパターンがハニカム状構造を形成するように、
前記少なくとも7つの温度調節ブレード
(2)が設けられる、装置において、移動デバイス(16)が提供され、前記移動デバイス(16)により、前記温度調節ブレード(2)が
前記温度調節ブレードフレーム(8)および
前記流体供給ボックス(15)とともに温度調節されるべき物体を横断して移動することができ、または前記温度調節されるべき物体が前記温度調節ブレード(2)に対して移動することができ、それにより互いに対す
る振動が
少なくとも生み出されうるようになっており;前記温度調節ブレードおよび/または前記温度調節装置
(1)は、
前記移動デバイス(16)により前記移動
する方向であるY方向と、垂直方向および前記Y方向と直交するX方向とを含むXY平面内および前記垂直方向に少なくとも振動することができるように装備されるユニットを有
し、複数の前記温度調節ブレード(2)は、互いに隣り合う前記温度調節ブレード(2)どうしが前記X方向にずれて配置されていることを特徴とする、装置。
【請求項2】
互いに平行に離間して設けられた複数の
前記温度調節ブレード(2)が提供されることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
互いに隣り合う前記温度調節ブレード(2)はそれぞれ、前記
温度調節ノズル縁(6)で前記ノズル(10)間の距離の半分互いに
前記X方向にずれていることを特徴とする、請求項1または
2に記載の装置。
【請求項4】
前記温度調節ブレード(2)は、温度調節ブレード基部(3)と、温度調節ブレード幅広側部(4)と、温度調節ブレード幅狭側部(5)と、ノズル縁(6)と、を有し;前記ノズル縁(6)と、前記温度調節ブレード幅広側部(4)と、前記温度調節ブレード幅狭側部(5)と、が空洞(7)を画成し、前記温度調節ブレード(2)は、前記温度調節ブレード基部(3)が前記温度調節ブレードフレーム(8)内にあるかまたは前記温度調節ブレード基部(3)が前記温度調節ブレードフレーム(8)上にある状態で置かれ;温度調節ブレードフレーム(8)は、流体供給の目的で
前記流体供給ボックス(15)上に置かれることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
温度調節されるべき非無端の表面の温度調節のための、請求項1~
4のいずれか一項に記載の装置を用いる方法であって、
前記温度調節装置(1)と高温表面を有する物体とが互いに対して移動し;前記温度調節装置(1)は、互いに平行な離間した
前記少なくとも
7つの温度調節ブレード(2)を有し;前記温度調節ブレード(2)は、前記温度調節されるべき物体に向けられた
前記ノズル(10)を備えた
前記温度調節ノズル縁(6)を有し;温度調節流体が、前記ノズル(10)により前記温度調節されるべき物体の前記表面に向けられ、
前記温度調節流体は、前記高温表面に接触した後、前記
温度調節ブレード(2)の間のスペース内を流れ去り、前記温度調節ブレードおよび/または前記温度調節装置は、
前記XY平面内および前記垂直方向に少なくとも振動することができるユニットを有することを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度調節されるべき主として非無端の表面の均一な非接触温度調節のための方法およびその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
技術分野においては、例えば平板の冷却または加熱が必要な場合だけでなく、例えばガラス生産においてガラス表面の冷却または加熱が必要な場合またはプロセッサユニットの冷却または加熱が必要な場合など、多くの領域で温度調節工程が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の冷却システムは、非常に高価であるか、例えば空気または水もしくは油等のその他の流体を吹きつけることによるなど非常に単純に保たれているが、これには表面上に好ましくない無制御の流れ状態が常に生じるという欠点があり、特に定義された温度調節が必要な場合に問題となる。
【0004】
従来技術では、温度調節されるべき平面上に不利な流れ状態、いわゆる横流が存在し、これにより不均一な表面温度が生じることを主に想定しなければならない。均一な材料特性を達成するために表面の当該領域に均一な温度が必要である場合には、これは特に不利である。特に、不均一な表面温度は反りも生じさせる。
【0005】
従来の冷却方法では、所定の目標温度の制御された達成ができず、達成可能な最大温度調節速度に至るまで実質的にいかなる温度調節速度を系統的に設定することも不可能である。
【0006】
均一な温度条件に冷却されるべき温度調節表面に異なる材料厚みが存在する場合には、特に困難がある。
【0007】
同様に、先行技術においては加熱も問題を伴う。
【0008】
特にプレートを加熱する際、さらに具体的には金属プレートを加熱する際、例えば焼入れまたは成形のために加熱する際には、これらのプレートは、バーナ、電気抵抗ヒータまたは直接プレート加熱のいずれかにより処理される。
【0009】
これらのタイプの加熱はいずれも、非常に複雑であるか、または特に厚みが異なる場合に異なる加熱結果をもたらすという欠点を含む。これらは、わずかな、領域ごとの加熱制御ができない。
【0010】
先行技術においては、まず平坦な金属プレート、特に鋼板ブランクを多種多様な方法で予熱してから、後に焼入れが行われうる温度まで全領域または一部の領域のみで加熱を行うことも公知である。
【0011】
加熱法でも、不均一な表面温度により反りが生じうる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の目的は、主として非無端の高温表面の、所定表面温度への数秒以内での再現可能で系統的かつ均一な非接触温度調節を達成することである。
【0013】
この目的は、請求項1の特徴を有する装置により達成される。
【0014】
有利な変更態様が、同請求項に従属する従属請求項に開示される。
【0015】
本発明のもう一つの目的は、主として非無端の高温表面の、所定表面温度への数秒以内での再現可能で系統的かつ均一な非接触温度調節のための方法を生み出すことである。
【0016】
この目的は、請求項8の特徴を有する方法により達成される。
【0017】
有利な変更態様が、同請求項に従属する従属請求項に開示される。
【0018】
本発明によれば、20~900℃の温度で、一平方メートル内で最大30℃の温度偏差を許容する温度調節、すなわち冷却または加熱を確保することが可能となるはずである。使用される冷却媒体は、空気ガスおよび混合ガスであるが、水または他の流体であってもよい。使用される加熱媒体は、高温ガスであるのが好ましい。
【0019】
本発明は、低い投資費用と低い操業費用で、高いシステム可用性、高い柔軟性、および既存の生産工程への簡単な組込みの達成を可能にするはずである。
【0020】
本発明によれば、これは、温度調節されるべき表面がロボットまたはリニアドライブによりX、YまたはZ平面を移動することができ、冷却されるべき表面の任意の移動軌道および速度を予め設定することが可能である点で良好に達成される。この場合、XおよびY平面のレスト位置の周辺で振動が存在するのが好ましい。任意にZ平面に(すなわち垂直方向に)振動が存在することが可能である。
【0021】
片側または両側に冷却が存在することも容易に可能である。
【0022】
本発明による温度調節ユニットはノズルからなり、ノズルは互いからある距離離間される。単純な円筒幾何形状から複雑な幾何学的に定義された実施形態までにおよぶノズルすなわち出口開口部の幾何形状。温度調節ユニットはこの場合、高温プレートから流れ去る媒体が十分な空間を見つけるように具体化され、その結果、冷却されるべき表面上に横流が生じない。ノズルおよび/またはノズル列の間のスペースは、温度調節速度を上昇させ、ひいては高温プレートから流れ去る温度調節媒体をいわば吸い上げるために、追加の横流により作用を受けうる。しかしこの横流は、温度調節媒体のノズルからプレートへの流れ、すなわち自由流れを妨げてはならない。
【0023】
本発明によれば、冷却されるべき表面上の好ましい流れのパターンは、ハニカム状構造を有するべきである。
【0024】
この場合、冷却は少なくとも一つの冷却ブレードにより行われるのが好ましく、冷却ブレードはプレート状または円筒状要素であり、基部から出口ストリップに向けて先細になることもでき、少なくとも一つのノズルが出口ストリップ内に取り付けられる。この場合、ブレードは、中空ブレードからノズルに温度調節流体が供給されうるように、中空なものとして具体化される。ノズル(単数または複数)は、くさび状要素により互いに離間されることができ、くさび状要素は、ノズルに向かう方向に流れる流体のためのスペースを狭めることもできる。
【0025】
特にこれは、出てくる流体噴射のねじれを生み出す。
【0026】
互いに隣り合って置かれた複数のブレードが提供され、ブレードは互いにずれているのが好ましい。
【0027】
ずれた配置により、温度調節も互いにずれたポイントで生じ、これらのポイントが互いに一体となって均一な冷却を生み出し、出てくる流体は二つのブレードの間の領域に吸い上げられ、運び去られる。
【0028】
この場合、温度調節されるべき要素、例えば温度調節されるべきプレートは、一方ではプレートの移動と他方ではノズルのずれた配置とにより、均一な温度調節が達成されるように温度調節流体がプレートの全領域を横断して流れることが確保されるように、移動されるのが好ましい。
【0029】
本発明は、図面に基づいて例として説明される。図面の説明は以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】互いに平行に設けられた複数の温度調節ブレードの上面図である。
【
図2】
図1の断面A‐Aによる温度調節ブレードの配置を示した図である。
【
図3】
図2の断面線C‐Cによる温度調節ブレードの縦断面図である。
【
図4】ノズルを示した
図3の細部Dの拡大図である。
【
図5】温度調節ブレードの配置の概略斜視図である。
【
図6】ブレードの配置にずれがある、温度調節ブレードの縁領域の拡大詳細図である。
【
図7】温度調節ブロックに統合された本発明による温度調節ブレードの配置の斜視図である。
【
図9】本発明による温度調節ブレードの内部の図である。
【
図10】温度調節されるべきプレート、温度分布および流体温度分布を示した、温度調節ブレードとノズルの図である。
【
図12】互いにずらして設けられた本発明による複数の温度調節ブレードから構成された二つの対向する冷却ボックスと、冷却されるべき物品を受け取って運ぶ移動台車との配置を示した概略図である。
【
図13】本発明による装置を用いて平板金属ブランクで達成された板温度を示した加熱曲線の図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下に、一つの可能な実施形態を説明する。
【0032】
本発明による温度調節装置1は、少なくとも一つの温度調節ブレード2を有する。温度調節ブレード2は細長フラップの形で具体化され、温度調節ブレード基部3と、温度調節ブレード基部から遠ざかるように延びる二つの温度調節ブレード幅広側部4と、温度調節ブレード幅広側部を接続する二つの温度調節ブレード幅狭側部5と、自由ノズル縁6とを有する。
【0033】
温度調節ブレード2は、温度調節ブレード空洞7を有する中空のものとして具体化され、この空洞は、温度調節ブレード幅広側部4と、温度調節ブレード幅狭側部5と、ノズル縁6とにより囲まれ、温度調節ブレードは基部3で開いている。温度調節ブレードは温度調節ブレード基部3により温度調節ブレードフレーム8に挿入され、温度調節ブレードフレーム8は、中空流体供給ボックス上に置かれうる。
【0034】
ノズル縁6の領域には、空洞7内に達する複数のノズルまたは開口部が提供され、これにより流体がノズル10を通って空洞から外に流出することができる。
【0035】
ノズルからノズル導管11が空洞7内へと延び、少なくともノズル縁6の領域でノズルを空間的に互いに分離する。ノズル導管はこの場合、ノズル導管またはノズルがくさび形ストラット12により互いに分離されるように、くさび形であるものとして具体化されるのが好ましい。ノズル導管は、入って来る流体がノズル導管の狭小化によって加速されるように空洞7に向かう方向に広がるように、具体化されるのが好ましい。
【0036】
温度調節ブレード幅広側部4は、空洞7がノズル縁6に向かう方向に狭くなるように、温度調節ブレード基部3からノズル縁6に向かって収束するように具体化されうる。
【0037】
加えて、温度調節ブレード幅狭側部5は、収束または発散するように具体化されうる。
【0038】
少なくとも二つの温度調節ブレード2が提供され、幅広側部に対して互いに平行に設けられるのが好ましく、ノズル10の間隔に関しては、温度調節ブレード2は、ノズルの半分の距離互いにずれている。
【0039】
二つより多い温度調節ブレード2が存在することも可能である。
【0040】
ノズル10は、ノズル縁6のスパンに関して、同じくノズル縁6と縦方向に一列にあるように具体化されうるが、ノズル10は、円形であるように、楕円形でノズル縁6と揃えられるようにまたは楕円形でノズル縁6に対して横断方向であるように、六角形、八角形または多角形であるようにも具体化されうる。
【0041】
特に、ノズルもノズル縁の縦方向スパンに関して縦長に、特に縦長の楕円形または縦長の多角形の形で具体化される場合には、これにより、出てくる流体噴射のねじれが生じ(
図10および11)、ノズルの離間距離の半分ずれた配置により、対応してずれた温度調節パターンがプレート状物体上に得られる(
図10)。
【0042】
対応する速度プロフィールは、対応する分布も生じる(
図11)。
【0043】
本発明によれば、ノズル10から流出する流体は確かに温度調節されるべき物体の表面にぶつかるが(
図10および11)、明らかに流れ去って温度調節装置1の少なくとも二つのブレードの間に突入し、その結果温度調節されるべき物体の表面での温度調節流が中断されないことが分かっている。
【0044】
以下の条件が存在するのが好ましい:
ノズルの水力直径=DH、DH=4×A/U
物体からのノズルの距離=H
二つの温度調節ブレード/冷却シリンダ間の距離=S
ノズルの長さ=L
L≧6×DH
H≦6×DH、特に4~6×DH
S≦6×DH、特に4~6×DH(千鳥配列)
振動=X、Y(場合によってはZ)における二つの温度調節ブレード間の間隔距離の半分
【0045】
例えば、温度調節装置(
図12)は、温度調節ブレードフレーム8内に二つの温度調節ブレード2の配置を有し、温度調節ブレードフレーム8は対応する流体供給源14を備えて具体化され、特に温度調節ブレード2と反対に向いた側には、特に加圧流体の供給により加圧流体を含む流体ボックスが提供される。
【0046】
温度調節装置が物体を冷却すべき場合には冷却媒体が使用され、冷却媒体は温度調節ブレードに供給されるのが好ましく、複数の温度調節ブレードでは、冷却媒体が流体供給ボックスに中心的に供給され、そこから温度調節ブレードに分配されるのが好ましい。
【0047】
温度調節装置が対応するプレートまたは対応する物品を加熱するために使用される場合には、ガス状媒体によって加熱が行われることが可能である。
【0048】
これらのガス状媒体は、温度調節装置外で目標温度まで対応して加熱されうる。このようの加熱は、例えば従来の熱風炉によって可能である。
【0049】
対応する流体の加熱は、流体供給ボックスで行われることも可能である。この場合流体は、直接的または間接的加熱により、特にバーナ、ラジアントチューブ、電気抵抗ヒータなどにより加熱されうる。
【0050】
バーナにより生み出される高温排出ガスを直接使用することも可能である。
【0051】
これらの場合には、ノズルからの十分な流出を確保するために、事前または事後に対応するガスを加速すること、または加圧することも可能でもある。
【0052】
第一例示的実施形態では、板ブランクが高温ガスによる純粋な対流熱により1100℃の温度で加熱され、200W/m^2/Kの熱伝達率で温度調節される。
【0053】
この純粋な対流加熱の加熱曲線(時間sに対してプロットされた温度℃)が、
図13に示される。例えばマンガン/ホウ素鋼では900℃であるAc3すなわちオーステナイト化温度を上回る温度への加熱が、急速に生じることが非常に明らかであり、したがってこの方法は例えば熱間成形にも非常に適する。
【0054】
当然ながら、この目的に平板ブランクを使用する必要はなく、代わりに適切に予成形された部品を加熱することも可能である。
【0055】
第二の例示的実施形態では、板ブランクの小領域だけが温度調節され、すなわち室温(約20℃)からAc3を上回る温度(約900℃)に加熱される。
【0056】
部分的オーステナイト化はこれらの領域だけを有利に硬化する一方で、板ブランクの他の領域は熱間成形段階(ここでは詳述しない)の後、軟質のままとどまる。
【0057】
このゾーンの設定は、-ノズルブレードの実施形態に応じて-非常に正確に調節されうる。この例では、少なくとも60mm×60mmから数ミリメートルに至るまでの面積の板ブランク内の領域の正確な温度調節のためにも使用されうる。板ブランクの縁領域が影響を受ける場合、板ブランクの一部がノズルフィールドを通り過ぎなければ、ノズルフィールドを通る対応した移動によって縁領域がさらに正確に温度調節されうる。
【0058】
第三の例示的実施形態は、板ブランクが-例えばローラハース炉または他の貯蔵炉によって予熱もされうることを明らかにする。
【0059】
この後、全体または一部の領域のみで行われるAc3より高い温度への板ブランクの温度調節が、ガス加熱によって行われる。
【0060】
ガス入口温度:1800℃。
板ブランクの開始温度:500℃
板ブランクの最終温度:1200℃
500℃から1200℃までの時間:約30秒
500℃から900℃までの時間:約16秒
構成:両側加熱
【0061】
加えて、移動デバイス16が提供され、移動デバイス16は、温度調節されるべき物体が、温度調節されるべき物体の両側に冷却作用が及ぼされうるようなやり方で対向する温度調節ブレードの配置の間を運ばれうるように具体化される。
【0062】
この場合の温度調節されるべき物体からノズル縁6までの距離は、例えば5~250mmである。
【0063】
温度調節されるべき物体に対する温度調節装置の相対的移動または温度調節装置に対する温度調節されるべき物体の相対的移動により、
図10による温度調節パターンが温度調節されるべき物体の表面を横断し、高温の物体から流れ去る媒体は、温度調節ブレード2の間に十分な空間を見つけ、したがって温度調節されるべき表面上には横流が生じない。
【0064】
本発明によれば、間のスペースは、温度調節されるべき物体に対して流れる媒体がブレードの間に吸い上げられるようにするために、追加の横流を利用して、対応する流れ媒体により作用を受ける。
【0065】
本発明により、安価であり目標温度および可能なスループット時間に関して高度の可変性を有する、温度調節されるべき要素の均一な温度調節を有利に達成することが可能である。
【符号の説明】
【0066】
1 温度調節装置
2 温度調節ブレード
3 温度調節ブレード基部
4 温度調節ブレード幅広側部
5 温度調節ブレード幅狭側部
6 ノズル縁
7 空洞
8 温度調節ブレードフレーム
10 ノズル
11 ノズル導管
12 くさび形ストラット
14 流体供給源