IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アクソン カーブルの特許一覧

<>
  • 特許-小型コネクタ 図1
  • 特許-小型コネクタ 図2
  • 特許-小型コネクタ 図3A
  • 特許-小型コネクタ 図3B
  • 特許-小型コネクタ 図3C
  • 特許-小型コネクタ 図4
  • 特許-小型コネクタ 図5
  • 特許-小型コネクタ 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-14
(45)【発行日】2022-09-26
(54)【発明の名称】小型コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/58 20060101AFI20220915BHJP
   G02B 6/40 20060101ALI20220915BHJP
   H01R 13/625 20060101ALI20220915BHJP
   H01R 13/434 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
H01R13/58
G02B6/40
H01R13/625
H01R13/434
【請求項の数】 13
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018097684
(22)【出願日】2018-05-22
(65)【公開番号】P2018198203
(43)【公開日】2018-12-13
【審査請求日】2021-03-09
(31)【優先権主張番号】1754572
(32)【優先日】2017-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】514002710
【氏名又は名称】アクソン カーブル
【氏名又は名称原語表記】AXON CABLE
(74)【代理人】
【識別番号】100107641
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 耕一
(72)【発明者】
【氏名】エルワン,ジルベール
【審査官】高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-289805(JP,A)
【文献】特開平07-006813(JP,A)
【文献】特開2006-012573(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0014428(US,A1)
【文献】特開2008-090004(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R13/40-13/533
H01R13/56-13/72
G02B 6/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体(20)と、少なくとも第1のストランド固定ユニット(30A)および第2のストランド固定ユニット(30B)と、を備えるコネクタ(10)であって、
前記筐体(20)は、前記筐体の後面(25)にある1つの開口を介して開いている内部チャンバ(26)を有し、
前記第1のストランド固定ユニットおよび第2のストランド固定ユニットのそれぞれは、軸(X)を有し、かつ、接触部(32)とスリーブ(36)とを備え、前記接触部(32)は、予め前記スリーブ(36)の内部を通したストランド(40)の一方の端部に固定されるように構成されており、
前記コネクタは、前記第1のストランド固定ユニットおよび第2のストランド固定ユニット(30)のそれぞれに対して、前記筐体の前記内部チャンバ内への該ストランド固定ユニット(30)の少なくとも一部の取り付けを可能にするバヨネット式連結機構を有し、
前記筐体と前記第1のストランド固定ユニットおよび第2のストランド固定ユニットとは、前記取り付け時に、前記第1のストランド固定ユニットおよび第2のストランド固定ユニットが前記1つの開口を介して前記筐体に挿入されるように構成されている、
コネクタ。
【請求項2】
前記第1のストランド固定ユニットおよび第2のストランド固定ユニット(30)のそれぞれに関し、
‐前記バヨネット式連結機構は、前記筐体に形成された少なくとも1つのガイド面(49)を含み、
‐前記ストランド固定ユニット(30)と前記筐体(20)とは、前記ストランド固定ユニットの少なくとも一部が前記筐体の前記内部チャンバに取り付けられるときに、前記少なくとも1つのガイド面(49)が前記スリーブ(36)と協働して、前記スリーブの前記ストランド固定ユニットの前記軸に沿った並進運動と前記軸の周りの回転運動とを除く全ての自由度の運動を阻止するように配置される、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記第1のストランド固定ユニットおよび第2のストランド固定ユニット(30)のそれぞれにおいて、対象となる前記ストランド固定ユニットが有するところの前記少なくとも1つのガイド面は、前記少なくとも1つのガイド面(49)の位置において、軸方向について前記スリーブ(36)の周面の一部のみにわたって延び、前記第1のストランド固定ユニットおよび第2のストランド固定ユニットのそれぞれの前記スリーブの互いに最も近接する部分同士が直接向き合う状態にする、
請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記ストランド固定ユニットの少なくとも1つに関して、挿入方向において見た場合に、前記少なくとも1つのガイド面(49)は、2つの互いに対向する角領域(S1,S2)にわたって延びている、
請求項2または3に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記第1のストランド固定ユニットおよび第2のストランド固定ユニット(30)の少なくとも1つに関して、該ストランド固定ユニット(30)を取り付けの最後に取り付け位置でロックできるようにすることで、該ストランド固定ユニット(30)を前記筐体(20)に対して相対的に固定された位置に保持できるようにするスナップ機構を備える、
請求項1~4のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記第1のストランド固定ユニットおよび第2のストランド固定ユニット(30)の少
なくとも1つに関して、
前記スナップ機構は、バネ(34)を含み、
前記接触部(32)は、予め前記スリーブ(36)の内部を通した前記ストランド(40)の前記端部に固定された後で、前記筐体(20)の前記後面にある前記1つの開口を通すことによって前記ストランド固定ユニットの前記軸に沿って挿入方向(X)に取り付けられるように構成されており、
前記ストランド固定ユニット(30)と前記筐体(20)とは、前記ストランド固定ユニットが前記取り付け位置にあるときに、前記バネ(34)が圧縮されるとともに、前記バネが、前記筐体(20)に対して押し当てられることで、前記接触部(32)に対して前記挿入方向に押し当てられ、それにより前記接触部が前記挿入方向において前記筐体に対して相対的に移動することを阻止するように配置される、
請求項5に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記接触部(32)は、バネ支持面(37)を有し、前記バネ支持面は、前記ストランド(40)の前記端部の周囲に配置された前記バネ(34)が、前記接触部の前記バネ支持面(37)に対して軸方向に圧縮による力を加えることができるように配置されている、
請求項6に記載のコネクタ。
【請求項8】
前記スリーブは、前記スリーブの外面から突出している少なくとも1つの軸方向阻止突起(42)を有し、
前記筐体と対象となる前記ストランド固定ユニットとは、前記取り付け位置において、前記バネ(34)からの圧力の作用を受けて前記スリーブ(36)が後方に押され、前記少なくとも1つの軸方向阻止突起(42)が前記筐体の少なくとも1つのスリーブ軸方向阻止面(47)に押し当てられる前記取り付け位置に前記スリーブが移動することによって、前記少なくとも1つの軸方向阻止突起(42)の後方向への移動が阻止され、それにより、前記スリーブ(36)の後方へのあらゆる移動が防止されるように構成されている、
請求項6または7に記載のコネクタ。
【請求項9】
対象となる前記ストランド固定ユニットの前記スリーブ(36)と前記筐体(20)とは、
‐対象となる前記ストランド固定ユニットの前記スリーブが第1の角度位置(α1)にあるときに、前記スリーブを前記挿入方向に沿って前記筐体の前記チャンバ(26)の内部へ挿入できるように、かつ、
‐挿入後に前記スリーブ(36)を前記ストランド固定ユニットの前記軸の周りに回転させることによって、前記筐体の前記少なくとも1つのスリーブ軸方向阻止面(47)が前記少なくとも1つの軸方向阻止突起(42)の後方向への移動を阻止する第2の角度位置(α2)に前記スリーブが到達できるように、構成されている、
請求項8に記載のコネクタ。
【請求項10】
少なくとも対象となる前記ストランド固定ユニット(30)に関して、対象となる該ストランド固定ユニットの前記スリーブ(36)と前記筐体(20)とは、
‐前記筐体が、挿入方向(X)の周りの回転面ではない少なくとも1つの回転阻止面(50)を有するように、かつ、
‐前記スリーブ(36)が、前記スリーブの外面から突出している少なくとも1つの回転阻止突起(45)を有するように、構成されており、
さらに、対象となる前記ストランド固定ユニット(30)と前記筐体(20)とは、対象となる該ストランド固定ユニット(30)の少なくとも一部を前記筐体の前記内部チャンバ内に取り付ける際に、
‐前記スリーブが軸方向において第1の軸方向位置(X1)に到達し、角度方向において第1の角度位置(α1)に到達するまで、前記ストランド固定ユニットが前記筐体の前記チャンバ(26)の内部に前記筐体の前記1つの開口を介して前記挿入方向に挿入されるように、かつ、
‐挿入後に前記スリーブ(36)が前記ストランド固定ユニットの前記軸の周りに回転して第2の角度位置(α2)に到達するように、かつ、
‐前記第2の角度位置に到達後、前記スリーブが軸方向において前記筐体に対して相対的に摺動して、前記第1の軸方向位置よりも後方にある第2の軸方向位置(X2)に到達するように、かつ、
‐前記スリーブが前記第2の軸方向位置(X2)にあるときに、前記回転阻止突起が前記少なくとも1つの回転阻止面(50)と協働して、前記スリーブが前記ストランド固定ユニットの前記軸の周りに回転することを防止するように、構成されている、
請求項1~9のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項11】
少なくとも対象となる前記ストランド固定ユニット(30)に関して、前記スリーブは目印部(45)を備え、該ストランド固定ユニット(30)と前記スリーブ(36)とは、前記スリーブ(36)が前記第1の軸方向位置(X1)にあるときに、前記目印部が前記筐体の後部において視認できないように、かつ、前記スリーブ(36)が前記第2の軸方向位置(X2)にあるときに、前記目印部(45)が前記筐体の後部において視認できるように、好ましくは前記筐体の後部から突出するように、構成されている、
請求項10に記載のコネクタ。
【請求項12】
前記目印部(45)は、前記スリーブ(36)の外面に設けられた着色された目印部および/または前記外面に形成された突起である、
請求項11に記載のコネクタ。
【請求項13】
前記接触部(32)は、1つまたは複数の導電体および/または1つまたは複数の光ファイバーのための接触部である、
請求項1~12のいずれか一項に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも2つのストランドを少なくとも2つの対応するストランドに接続するためのコネクタに関する。各ストランドは、1つまたは複数の導電体、および/または1つまたは複数の光伝導体、すなわち1つまたは複数の光学繊維、を有し得る。
【0002】
より正確には、該コネクタは、それ自体が第2のコネクタに固定できるように構成された第1のコネクタとなる。上記少なくとも2つのストランドは上記第1のコネクタに固定されており、上記少なくとも2つの対応するストランドは第2のコネクタに固定されている。したがって、第1のコネクタと第2のコネクタとを組み合わせると、上記少なくとも2つのストランドが上記少なくとも2つの対応するストランドに接続される。
【背景技術】
【0003】
上述した仕方でストランド同士を接続するためのコネクタには多くの種類がある。
【0004】
特に、筐体と複数のストランド固定ユニットとを備えるコネクタがある。複数のストランド固定ユニットは全て同じである。ストランド固定ユニットは、それぞれ、複数のストランドのうちの1つを筐体に固定させる機能を果たす。全てのストランドが筐体の後面で筐体に固定されている。
【0005】
そこで、ストランド固定ユニット自体を固定できるようにするために、筐体は、開口、すなわち固定すべきストランドと同じ数の開口をその後面に有している。
【0006】
ストランド固定ユニットは、それぞれ、接触部、バネ、およびスリーブを備える。
【0007】
接触部は、ストランドの端部に固定される端部部品(または部品群)であり、該固定ユニットが接続される別の固定ユニットの対応する接触部との接続を行うための部品である。
【0008】
該コネクタ(ここでは上記説明を参照して「第1の」コネクタとみなす)において、接触部の機能は、第2のコネクタの対応する接触部との関連において定義される。すなわち、接触部は、第2のコネクタの対応する接触部と協働することによって、ストランドの導電体または光伝導体と第2のコネクタに固定された対応するストランドの導電体または光伝導体との間の接続を確立するのに適した末端部品(または部品群)である。
【0009】
ストランド固定ユニットそれぞれの内部において、各接触部は、複数のストランドのうちの1つに該ストランドが予めスリーブの内部を通った後に固定され、次いで、筐体の後面の複数の開口のうちの1つを通すことによって挿入方向に取り付けられる、または組み合わされるように構成されている。挿入方向は、全てのストランド固定ユニットについて同じである。
【0010】
このような種類のコネクタは、接続機能を非常に良好に果たすことができる。しかし、このような種類のコネクタはあまり小型ではなく、そのため、特定の用途において問題が生じる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで、本発明の目的は、コネクタ(「第1の」コネクタ)であって、特定の数のストランドを該コネクタに固定することで、該ストランドを同じ数の対応するストランドに第2のコネクタを介して接続できるようにし、かつ、上述したコネクタよりも小型であるコネクタを提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的は、
筐体と、少なくとも第1のストランド固定ユニットおよび第2のストランド固定ユニットと、を備えるコネクタであって、
前記筐体は、前記筐体の後面にある1つの開口を介して開いている内部チャンバを有し、
前記第1のストランド固定ユニットおよび第2のストランド固定ユニットのそれぞれは、軸を有し、かつ、接触部とスリーブとを備え、前記接触部は、予め前記スリーブの内部を通したストランドの一方の端部に固定されるように構成されており、
前記コネクタは、前記第1のストランド固定ユニットおよび第2のストランド固定ユニットのそれぞれに対して、前記筐体の前記内部チャンバ内への該ストランド固定ユニットの少なくとも一部の取り付けを可能にするバヨネット式連結機構を有し、
前記筐体と前記第1のストランド固定ユニットおよび第2のストランド固定ユニットとは、取り付け時に、前記第1のストランド固定ユニットおよび第2のストランド固定ユニットが前記1つの開口を介して前記筐体に挿入されるように構成されている、
コネクタ、によって達成される。換言すれば、取り付け時に、第1のストランド固定ユニットと第2のストランド固定ユニットとは、同一の開口を介して筐体に挿入されるため、2つの別々の開口ではなく、該同一の開口を通ることになる。
【0013】
さらに、コネクタを組み立てる際に、第1のストランド固定ユニットおよび第2のストランド固定ユニット(場合によってはさらに別のストランド固定ユニット)は、少なくともそれらの一部が同一のチャンバ内に配置される。ここで、「同一のチャンバ内」という用語は、第1、第2の接触部固定ユニットの筐体の内部にある部分を収容するチャンバの部分同士が互いに連通していること、すなわち、仕切りによって完全に隔てられてはいないことを意味するために用いられる。したがって、筐体内の取り付け位置にあるとき、第1のストランド固定ユニットおよび第2のストランド固定ユニットの筐体内にある部分同士は、少なくとも部分的に向かい合う。
【0014】
そのため、通常、第1のストランド固定ユニットおよび第2のストランド固定ユニットの互いに最も近接する部分同士が直接向かい合うことになる。第1のストランド固定ユニットおよび第2のストランド固定ユニットは、互いに非常に接近した状態で配置できる。
【0015】
このような構成によれば、コネクタの筐体を小さなサイズにできるとともに、ストランド固定ユニット同士の間隔を小さくでき、コネクタを小型にできる。
【0016】
上記コネクタは、少なくとも2つのストランド固定ユニットを有しているが、当然ながら、2つより多い任意の数のストランド固定ユニットを有し得る。
【0017】
接触部は、[背景技術]の欄で上述したコネクタの接触部と同様の機能を有する。
【0018】
各ストランドは、1つまたは複数の導電体および/または1つまたは複数の光学繊維を有するストランドであり得る。したがって、各接触部は、1つまたは複数の導電体および/または1つまたは複数の光学繊維用に設計された接触部であり得る。
【0019】
筐体の内部チャンバの開口については、筐体の後面にある開口のみを上述したが、当然ながら、内部チャンバは、それぞれの固定ユニットの接触部同士を接続できるようにするための少なくとも1つの別の開口を有しており、この別の開口は通常前方に面している。
【0020】
筐体は、1つまたは複数の部分として作られていてもよい。
【0021】
ストランド固定ユニットの種々の外面、特に接触部の外周面が絶縁材料でできている場合、固定ユニットのためのチャンバは、例えば金属などの導電材料でできていてもよく、筐体は、例えば、単一の金属部品として、具体的には機械加工によって作られていてもよい。このことは、例えば、接触部がそれぞれ絶縁性の外側シースを有する場合に当てはまる。
【0022】
一方、接触部の外面が導電材料、特に金属、でできている場合、より具体的には、信号またはエネルギーがその材料によって伝達される場合、接触部同士は、コネクタの内部において互いに電気的に絶縁されている必要がある。このような場合には、チャンバは、例えばプラスチック材料(ポリマーその他)などの電気絶縁材料でできていることが好ましい。
【0023】
そこで、筐体は、例えば、金属製外側シェルの内部に絶縁性インサートを配置することによって形成されていてもよい。あるいは、筐体は、全体がプラスチック材料でできていてもよい。
【0024】
少なくとも第1のストランド固定ユニットおよび第2のストランド固定ユニットが、筐体への取り付けのために設けられたバヨネット式連結機構によって筐体に取り付けられる。
【0025】
バヨネット式連結機構とは、2つの部品の特定の構成または配置であって、2つの運動、すなわち、一方の部品の他方の部品に対する相対的な並進運動と、それに続く一方の部品の他方の部品に対する相対的な回転運動とを行うことによって、該2つの部品を組み合わせることを可能にする構成または配置のことである。
【0026】
バヨネット式接続は、「1/4回転」接続とも称され得る。ここで、「1/4回転」という用語は、該回転が正確に1回転の1/4であることを必ずしも意味しない。回転運動は、例えば、20°~45°の範囲にある角度にわたるものであり得る。
【0027】
コネクタにおいて、バヨネット式連結機構により、第1のストランド固定ユニットおよび第2のストランド固定ユニットのそれぞれは、該ストランド固定ユニットを筐体の開口内に所定の軸方向位置まで軸方向に挿入し、その後スリーブをストランド固定ユニットの軸の周りに回転させることによって取り付けられるように構成されていることが理解される。
【0028】
固定ユニットの少なくとも一部を筐体の内部チャンバ内に取り付けることの目的および効果は、固定ユニットを筐体に固定することである。安全性の観点から、固定ユニットが所望の取り付け位置に持続的に保持され、時間が経過しても外れないようにするために、追加の手段を設けてもよい。
【0029】
この目的のために、一実施形態では、コネクタは、第1のストランド固定ユニットおよび第2のストランド固定ユニットの少なくとも1つに関して、該ストランド固定ユニットを取り付けの最後に取り付け位置でロックできるようにすることで、該ストランド固定ユニットを筐体に対して相対的に固定された位置に保持できるようにするスナップ(またはクリック)機構を備える。スナップ(またはクリック)固定とは、2つの部分を弾性変形(通常、例えば舌状部の局所的な変形、または組み合わせるべき部品の一方の全体的な変形)を利用してはめ合わせることによってそれら2つの部品を組み合わせるための技術のことである。2つの部品がいったんスナップ固定位置ではめ合わされると、それら部品は、通常、初期の形状に戻り、もはや弾性変形していない状態(または、弾性変形の程度が小さくなった状態)になる。2つの部品がスナップ固定位置で互いにはめ合わされると、それら部品は互いに協働して、分離する方向(はめ合わせの方向とは反対の方向)に互いが相対的に移動することを妨害、さらには阻止する。
【0030】
したがって、例えば、一実施形態では、第1のストランド固定ユニットおよび第2のストランド固定ユニットのそれぞれは、該ストランド固定ユニットが第1の軸方向位置に到達するまで該ストランド固定ユニットを筐体の開口の内部に挿入し、次いでスリーブを固定ユニットの軸の周りに回転させ、その後スリーブを解放することによって、該ストランド固定ユニットが戻り手段の作用を受けて軸方向における筐体に対する相対的な移動を阻止されて、筐体に取り付けられるように構成されている。例えば、戻り手段はバネであり得る。
【0031】
さらに、取り付けの最後に、ストランド固定ユニットが筐体に固定されている状態を確保するために、筐体とスリーブとは様々な異なる仕方で配置され得る。
【0032】
好ましくは、特に回転運動と並進運動とによる接続に関して、スリーブの固定ユニットの軸に沿った並進運動と該軸の周りの回転運動とを除く、スリーブの筐体に対する相対的な全ての自由度の運動を阻止するための第1のホルダを設け、それととともに、それぞれスリーブの挿入方向に沿った並進運動と上記軸の周りの回転運動とを阻止するための第2、第3のホルダ(または阻止構造)を設け得る。
【0033】
第1のホルダを実現するために、一実施形態では、上記第1のストランド固定ユニットおよび第2のストランド固定ユニットのそれぞれに関し、
‐バヨネット式連結機構は、筐体に形成された少なくとも1つのガイド面を含み、
‐ストランド固定ユニットと筐体とは、ストランド固定ユニットの少なくとも一部が筐体の内部チャンバに取り付けられるときに、上記少なくとも1つのガイド面がスリーブと協働して、スリーブの固定ユニットの軸に沿った並進運動と該軸の周りの回転運動とを除く全ての自由度の運動を阻止するように配置される。このように、(1つまたは複数の)ガイド面により、第1のホルダが構成される。(1つまたは複数の)ガイド面は、特に、底面が円形の円筒状の面(surfaces of a cylinder)であり得る。
【0034】
この実施形態では、各ストランド固定ユニットについて、ストランドが主にガイド面によって固定される。典型的には、スリーブは、円筒状の外形をしている。(1つまたは複数の)ガイド面は、同様に円筒状の形状をしており、その直径がスリーブの直径よりも小さくはないため、スリーブをガイド面に対して同軸になるように配置することが可能になり、それにより、スリーブを所定位置に保持すること(固定ユニットの軸に関して軸方向の並進運動と軸の周りの回転運動を除く)ができるようになる。
【0035】
本発明のコネクタの固有の特徴の1つは、先述したコネクタとは異なり、少なくとも2つのストランド固定ユニットに関して、それぞれの接触部が、筐体の後面にある同一の開口を通ることによって挿入方向に沿って取り付けられるように構成されていることである。筐体が1つまたは複数のガイド面を有する上記実施形態では、少なくとも第1のストランド固定ユニットおよび第2のストランド固定ユニットに関して、対象となるストランド固定ユニットが有するところの上記少なくとも1つのガイド面は、上記少なくとも1つのガイド面の位置において、軸方向についてスリーブの周面の一部のみにわたって延び、第1のストランド固定ユニットおよび第2のストランド固定ユニットのそれぞれのスリーブの互いに最も近接する部分同士が直接向き合う状態にすることが好ましい。
【0036】
この配置により、筐体のチャンバ内で、第1のストランド固定ユニットおよび第2のストランド固定ユニットのそれぞれの接触部を互いに非常に接近させて配置できる。このように配置されるため、取り付け位置における2つの固定ユニットの間のピッチを最小化できる。特に、取り付け位置における2つの固定ユニットのそれぞれのスリーブ同士を非常に小さな間隔のみで隔てることができる。すなわち、筐体の壁が2つのスリーブの間に介在しなければならない場合に必要となるような最小限の間隔を設ける必要がない。
【0037】
したがって、第1のストランド固定ユニットおよび第2のストランド固定ユニットの間のピッチは、スリーブの外径の1.5倍未満、さらには1.2倍未満であり得る。(この外径とは、取り付け位置において筐体の内部にあるスリーブの部分であって、上記ガイド面と協働する部分の外径である。スリーブは、取り付け位置において筐体の外部に存在する部分を有し得る。この部分は、任意の形状であってよく、特に、円筒状ではない形状であり得る。)
【0038】
本発明の一実施形態では、ストランド固定ユニットの少なくとも1つに関して、挿入方向において見た場合に、上記少なくとも1つのガイド面は、2つの互いに対向する角領域にわたって延びている(2つの互いに対向する角領域にのみわたって延びていてもよい)。
【0039】
好ましくは、これら角領域は、第1、第2ストランド固定ユニットの軸を通る直線に対して略垂直であるかまたは傾斜している方向を向いている。このような実施形態は、特に、コネクタが3つのストランド固定ユニットを有し、それら3つのストランド固定ユニットが、取り付け位置において、互いのすぐ隣り合わせに配置される(並んで配置される)場合に選択される。そこで、(取り付け位置において)他の2つのストランド固定ユニットの間に配置されるストランド固定ユニットに関して、筐体は、ちょうど2つのガイド面を有し、これら2つのガイド面は互いに向き合って位置しているとともに、これら2つのガイド面の間に、取り付け位置においてスリーブが存在することになる。
【0040】
さらに、接触部が筐体の内部で軸方向に移動することを阻止するために、コネクタは様々な仕方で構成され得る。
【0041】
第2のホルダは、特に、スナップ機構を構成するバネを含み得る。この場合、ストランド固定ユニットは、(1つまたは複数の)ガイド面に加えて、筐体、バネ、接触部およびスリーブの協働によって固定される。バネは、概ねらせん形状であり、ストランドの端部の周囲に配置される。一実施形態では、固定ユニットが取り付け位置にあるときに、バネは、少なくとも一部または場合によっては全体が、スリーブの内部に配置される。
【0042】
バネは圧縮された状態で使用される。取り付け位置において、バネは、筐体および接触部に対して、それぞれ反対方向の力を加え、それにより、接触部が筐体に対して相対的に前方(すなわち挿入方向)に押される。筐体は、接触部の軸方向の移動を阻止するように配置される。
【0043】
そこで、一実施形態では、上記第1のストランド固定ユニットおよび第2のストランド固定ユニットの少なくとも1つに関して、
スナップ機構は、バネを含み、
接触部は、予めスリーブの内部を通したストランドの端部に固定された後で、筐体の後面にある開口を通すことによって固定ユニットの軸に沿って挿入方向に取り付けられるように構成されており、
ストランド固定ユニットと筐体とは、ストランド固定ユニットが取り付け位置にあるときに、上記バネが圧縮されるとともに、該バネが、筐体に対して押し当てられることで、接触部に対して挿入方向に押し当てられ、それにより接触部が挿入方向において筐体に対して相対的に移動することを阻止するように配置される。
【0044】
バネが接触部に対して挿入方向に押し当てられるようにするために、一実施形態では、接触部は、バネ支持面を有し、接触部の該バネ支持面は、ストランドの端部の周囲に配置されたバネが、接触部の該バネ支持面に対して接触部の軸方向に圧縮による力(compression force)を加えることができるように配置されている。特に、一実施形態では、少なくとも1つの接触部固定ユニットに関して、接触部は、実質的に円筒状の外形を有し、接触部のバネ支持面は、接触部の外側フランジに形成されている。
【0045】
さらに、筐体に対してバネが押し当てられることに関して、このことは、直接的(バネが筐体に接触する)であってもよく、または間接的であってもよい。間接的である場合、例えば、バネはスリーブに押し当てられ、スリーブが筐体に押し当てられるのでもよい。このような押し当てを可能にするために、一実施形態では、スリーブは、バネ支持面を有し、スリーブの該バネ支持面は、ストランドの端部の周囲に配置されたバネが、スリーブの該バネ支持面に対してスリーブの軸方向に圧縮による力を加えることができるように配置されている。
【0046】
この目的のために、一実施形態では、スリーブは、円筒状の内部孔を有し、スリーブのバネ支持面は、該孔に配置された肩部によって形成される。
【0047】
なお、特定の実施形態では、コネクタは、対応する「第2の」コネクタに接続されるか否かによって、2つの異なる仕方で接触部の軸方向の移動を阻止する。
【0048】
上述の「第2の」コネクタがなく、第1の仕方によって阻止する場合、筐体自体が、バネから接触部に加えられる力に抗することによって、接触部の前方向への移動を阻止する。(接触部は、筐体の面に接することで前方への移動を阻止される。)
【0049】
一方、コネクタ(第1のコネクタとみなす)が第2のコネクタに固定される場合には、接触部は上記とは異なる仕方で軸方向前方への移動を阻止される。この場合、第1のコネクタの接触部と第2のコネクタの接触部とが相互にはめ合わされる。有利なことに、この状態では、筐体が接触部の移動を阻止するのではなく、第2のコネクタの接触部が第1のコネクタに接触することによって、第1のコネクタおよび第2のコネクタの接触部のそれぞれが軸方向の移動を阻止される。このとき、接触部固定ユニットそれぞれのバネは、第1のコネクタの接触部が第2のコネクタの接触部に接触したままの状態を維持する機能を果たす。これにより、有利なことに、第1のコネクタの接触部と第2のコネクタの接触部との間に非常に良好な質の接触を確立できる。この場合の接触は、一体化されたバネ(integrated spring)による接触となる。
【0050】
本発明のコネクタの一実施形態では、バネによって筐体に対して後方向に加えられる力がスリーブを介して伝達される。すなわち、バネの後部がスリーブに対して後方向の力を加え、次いでスリーブがその力を筐体に対して作用させる。したがって、スリーブは、この力を筐体に伝達できなければならない。
【0051】
この目的のために、好ましい実施形態では、
スリーブは、該スリーブの外面から突出している少なくとも1つの軸方向阻止突起を有し、
筐体と対象となるストランド固定ユニットとは、取り付け位置において、上記バネからの圧力の作用を受けてスリーブが後方に押され、上記少なくとも1つの軸方向阻止突起が筐体の少なくとも1つのスリーブ軸方向阻止面に押し当てられる該取り付け位置にスリーブが移動することによって、上記少なくとも1つの軸方向阻止突起の後方向への移動が阻止され、それにより、スリーブの後方へのあらゆる移動が防止されるように構成されている。
【0052】
好ましい変形例では、対象となるストランド固定ユニットのスリーブと筐体とは、
‐ストランド固定ユニットのスリーブが第1の角度位置にあるときに、スリーブを挿入方向に沿って筐体のチャンバの内部へ挿入できるように、かつ、
‐挿入後にスリーブを固定ユニットの軸の周りに回転させることによって、筐体の上記少なくとも1つのスリーブ軸方向阻止面が上記少なくとも1つの軸方向阻止突起の後方向への移動を阻止する第2の角度位置にスリーブが到達できるように構成されている。
【0053】
好ましくは、少なくとも対象となるストランド固定ユニットに関して、対象となる該ストランド固定ユニットのスリーブと筐体とは、
‐対象となるストランド固定ユニットのスリーブが第1の角度位置にあるときに、該スリーブ(の少なくとも一部)を挿入方向に沿って筐体のチャンバの内部へ挿入(これによってスリーブは第1の軸方向位置に到達する)できるように、かつ、
‐挿入後にスリーブを固定ユニットの軸の周りに回転させることによって、筐体のスリーブ軸方向阻止面が上記少なくとも1つの軸方向阻止突起(ひいてはスリーブ)の後方向への移動を阻止し、それによってスリーブの後方へのあらゆる移動を防止する第2の角度位置にスリーブが到達できるように構成されている。
【0054】
さらに、スリーブが筐体に対して相対的に回転運動することを阻止するために、上述した第3のホルダを設けることが好ましい。
【0055】
この目的のために、一実施形態では、少なくとも対象となるストランド固定ユニットに関して、対象となる該ストランド固定ユニットのスリーブと筐体とは、
‐筐体が、挿入方向の周りの回転面ではない少なくとも1つの回転阻止面を有するように、かつ、
‐スリーブが、該スリーブの外面から突出している少なくとも1つの回転阻止突起を有するように構成されている。
【0056】
さらに、この場合、対象となるストランド固定ユニットと筐体とは、対象となる該ストランド固定ユニットの少なくとも一部を筐体の内部チャンバ内に取り付ける際に、
‐スリーブが軸方向において第1の軸方向位置に到達し、角度方向において第1の角度位置に到達するまで、ストランド固定ユニットが筐体のチャンバの内部に筐体の1つの開口を介して挿入方向に挿入されるように、かつ、
‐挿入後にスリーブが固定ユニットの軸の周りに回転して第2の角度位置に到達するように、かつ、
‐第2の角度位置に到達後、スリーブが軸方向において筐体に対して相対的に摺動して、第1の軸方向位置よりも後方にある第2の軸方向位置に到達するように、かつ、
‐スリーブが第2の軸方向位置にあるときに、回転阻止突起が上記少なくとも1つの回転阻止面と協働して、スリーブが固定ユニットの軸の周りに回転することを防止するように、構成されている。
【0057】
さらに、各ストランドが筐体に適切に固定されるようにするために、コネクタが視覚的な目印(各ストランド固定ユニットにつき1つの目印)を有していると有利である。
【0058】
そこで、一実施形態では、少なくとも対象となるストランド固定ユニットに関して、スリーブは、目印部を備え、該ストランド固定ユニットとスリーブとは、スリーブが第1の軸方向位置にあるときに、該目印部が筐体の後部において視認できないように、かつ、スリーブが第2の軸方向位置にあるときに、該目印部が筐体の後部において視認できるように、好ましくは筐体の後部から突出するように構成されている。目印部は、固定が適切であることを示すとともに、各ストランドの固定を行う操作者に対して、スリーブが確かに取り付け位置にあることとストランドが適切に固定されていることとを知らせる。
【0059】
例えば、目印部は、スリーブの外面に配置された着色された目印部および/または突起、あるいは、スリーブの外面に設けられた着色された目印部および/または該面に配置された突起であり得る。
【0060】
スリーブと筐体とは、スリーブが取り付け位置にあるときに、目印部が後方に突出する(径方向には突出しない)ように構成されていると有利である。この場合、筐体の径方向外側の面は、スリーブが適切に配置されていることを確認するために径方向の経路を有する必要がない。したがって、そのような径方向の経路の存在によって筐体の機械的強度が低下することが回避される。
【0061】
さらに、目印部は、軸方向スプライン、特に外形が円筒状の軸方向スプラインとして形成されていてもよい。さらに、軸方向阻止突起と協働するような形状に形成されるチャンバの内面も円筒状の面であってよい。この場合、筐体の内面を非常に簡易な方法で機械加工でき、例えば、シェルエンドミルを用い、該工具に単純な経路を辿らせることによって、機械加工できる。
【0062】
非限定的な例として示される一実施形態に関する以下の詳細な説明を読むことで、本発明がよく理解できるとともに、その利点が一層明らかになる。以下の説明は添付の図面を参照してなされる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
図1図1は、本発明のコネクタの一実施形態の模式的な斜視図である。
図2図2は、対応する第2のコネクタに接続されている図1のコネクタの平面図である。
図3A図3Aは、ストランド固定ユニットを筐体に挿入した直後かつスリーブを回転させる前の状態の図1のコネクタの挿入方向に垂直な平面に沿った断面図であり、後方に面した図である。
図3B図3Bは、ストランド固定ユニットを筐体に挿入した直後かつスリーブを回転させる前の状態の図1のコネクタの挿入方向に垂直な平面に沿った断面図であり、前方に面した図である。
図3C図3Cは、図3Aおよび図3Bに示した取り付け工程時の図1のコネクタの縦断面図である。
図4図4は、ストランド固定ユニットを筐体に挿入した後かつスリーブを回転させた後であって、スリーブを解放する前の状態の図1のコネクタの挿入方向に垂直な平面に沿った断面図であり、後方に面した図である。
図5図5は、ストランド固定ユニットを筐体に挿入し、スリーブを回転させ、さらにスリーブを解放した後の状態の図1のコネクタ、すなわち取り付け位置にある図1のコネクタの挿入方向に垂直な平面に沿った断面図であり、後方に面した図である。
図6図6は、取り付け位置にある図1のコネクタの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0064】
以下、各図面を参照して、本発明の一実施形態となるコネクタ10について説明する。
【0065】
コネクタ10は、筐体20と、互いに同一である4つのストランド固定ユニット30A、30B、30C、30Dとを備える。ストランド固定ユニットは、それぞれ、接触部(32A、32B、32C、32D)と、バネ(34A、34B、34C、34D)と、スリーブ(36A、36B、36C、36D)とを備える。
【0066】
以下、取り決めとして、参照数字の後に付されたA、B、C、Dの文字は、同じ構成要素ではあるが、それぞれ第1のストランド固定ユニット、第2のストランド固定ユニット、第3のストランド固定ユニット、および第4のストランド固定ユニットの構成要素を指すものとする。また、例えば「スリーブ36」のように、数字による指示のみの場合には、4つの構成要素全てを指すものとする。
【0067】
コネクタ10は、第1のコネクタであって、対応する第2のコネクタ110に固定されるように設計された第1のコネクタとなる(図2)。コネクタ10は、4つのストランド40に接続するのに適している。その一方でコネクタ110が4つのストランド140に接続されている場合、コネクタ10とコネクタ110とは、互いに協働して、4つのストランド40と4つのストランド140との接続を並列して行わせることができる。複数のストランド40は、コネクタ10の反対側にあるシース41内にまとめられ、複数のストランド140は、コネクタ110の反対側にあるシース141内にまとめられる。筐体20は、ねじ44によって筐体120に固定されている。
【0068】
コネクタ10とコネクタ110との間の比較的大きな違いは、コネクタ10の接触部がそれぞれ「一体化されたバネ機能」を有するのに対し、コネクタ110の接触部は動かない、すなわち、コネクタ110の接触部は筐体120に対して相対的に固定された位置に保持されることである。
【0069】
筐体20は、2つの部分でできた筐体である。筐体は、射出成形されたおよび/または機械加工されたプラスチック材料でできたインサート21を備え、該インサートは、機械加工によって作られたアルミニウムシェル23に収容されている(図3)。筐体は、プラットフォーム22を有しており、コネクタ10をコネクタ110に固定するために、該プラットフォームの両端部を2つのねじ44が貫通している。
【0070】
プラットフォーム22を除けば、筐体20は、概ね、前面24と後面25との間に配置された直方体形状である。後面25には、固定ユニット30を通すための大きな開口があけられている。
【0071】
4つの固定ユニット30は同一であるため、コネクタ10の説明は、アセンブリ30Aのみを参照して行う。
【0072】
ストランド固定ユニット30Aは、接触部32A、バネ34A、およびスリーブ36Aを備える(図1図3)。ストランド固定ユニット30Aは、ストランド40Aを筐体20に固定する機能を果たす。
【0073】
図示した例では、ストランド40Aは、銅でできた単一の導電体によって構成されている。接触部32Aは、同じく銅でできた、旋削によって形成された接触部であり、ストランド40Aの端部を締め付けることで該端部に接合されている(it is crimped onto the end of the strand 40A)。
【0074】
接触部32Aの前面31Aは、4つの舌状部31A1、31A2、31A3、31A4で形成されており、4つの舌状部はそれぞれ、コネクタ110の対応する接触部の内部に挿入されるよう設計されている。
【0075】
接触部32Aの後端33Aは、スリーブ状、すなわち中空の円筒状である。内部の孔には、ストランド40Aの端部が収容されており、具体的には、この円筒状部33Aがストランドの端部を締め付けることで該端部に接合されている。バネ34Aは、円筒33Aの周囲に配置されている。
【0076】
接触部32Aは、その両端からおよそ同じ距離の位置にフランジ35Aを有している。フランジは、その後方側に、法線が後方に向かって延びる面37Aを有している。この面が、接触部のバネ支持面となる。すなわち、バネ34Aの前端がこの面に押し当てられる。
【0077】
当然ながら、スリーブ36Aは、通常、中空の円筒状である。スリーブを(取り付け位置において)挿入方向に貫通している内部の孔は、バネ34Aの外径よりもわずかに大きな径の第1の部分であって、特に、バネ34Aを収容する機能を果たす第1の部分を有している。さらに後方では、孔のこの径の大きな部分が、孔のより小さい径の部分に向かって延びており、この小さな径は、ストランド40Aが隙間のある状態で貫通できる程度のものである。
【0078】
スリーブ36Aの内部の孔の径が変化する箇所に、バネ34Aの後端が押し当てられるバネ支持面38Aが形成されている。
【0079】
スリーブ36Aの外面を特に図1に示している。スリーブの外面は、その後端に、スリーブを固定する機能を果たすフィン39Aを備え、フィン39Aは、具体的には、後述するように、スリーブを配置する際にスリーブを回転できるようにする。
【0080】
さらに、スリーブ36Aの外面は、その前端からおよそ全長の3分の1の位置に、2つの軸方向阻止突起42を備えている。
【0081】
これら突起は、スリーブ36Aの外面から突出している。これら突起は、以下のようにして、スリーブが軸方向後方に向かって筐体20に対して相対的に移動するのを防止する機能を果たす。
【0082】
まず、チャンバ26の形状およびその開口について説明する必要がある。後方から見たときに、該開口の形状は、その輪郭27によって定められる。
【0083】
チャンバ26は、接触部固定ユニット30(の一部)を収容するよう配置されている。チャンバ26は、特に、スリーブ36がその一部であるところの固定ユニットの軸に沿った並進運動とその軸の周りの回転運動とを除くスリーブ36の全ての自由度の運動を阻止することによって、スリーブ36の円筒状部分を固定する。この固定は、チャンバ26に配置された円筒状面49によってなされ、円筒状面49は、本発明におけるガイド面を構成する。
【0084】
これらガイド面49は、概ね互いに対向している2つの角領域S1、S2にわたって延びている(図3A)。
【0085】
ガイド面49の径は、4つのスリーブ36が通過して輪郭27の内部に入り、チャンバ26内に挿入可能なように定められている。
【0086】
さらに、スリーブ36を挿入する際に用いられるスリーブの角度位置(図3A図3B、および図3Cに示す)において、突起42がチャンバ26内に進入できる必要がある。このために、各アセンブリ30ごとに、輪郭27が、突起42が通過できるように外側に向かって突出する2つの突出部28(概ね円弧形状)を含んでいる。チャンバ26の内部は、ストランド固定ユニット30を筐体20に取り付ける際に突起42がチャンバの内部に進入できるように設計されている。
【0087】
筐体20と固定ユニット30とがこのように構成されているため、固定ユニットは、バヨネット式連結機構によって筐体に連結される。
【0088】
あるストランド固定ユニット30、例えばアセンブリ30Aは、以下の操作を行うことによってコネクタ10に取り付けられる。
【0089】
第1のステップ(図3A図3B図3C)では、突起42Aが筐体の面29Aに当接する位置である第1の挿入位置にスリーブが達するまで、ストランド固定ユニット30Aを挿入方向に並進運動させる。この並進運動の間、スリーブの角度位置は挿入角度位置のままである。この位置において、突起42Aは、図3Aに示すように、水平方向に対して角度α1をなす。
【0090】
第2のステップでは、スリーブ36が図4に示す最終角度位置(角度α2)に達するまで、スリーブ36を手動で回転させる。この回転運動は、突起42Aがチャンバ26の内壁に当接した時点で阻止される(矢印A、図5)。このような回転の後、突起42Aは、後方から見た場合、少なくとも一部が部分48の後方に位置することになる。部分48は、筐体20の後部25に位置し、面29Aの一部に対向している部分である。
【0091】
コネクタ10が取り付け位置にあるとき、筐体20の部分48は、図5および図6を参照して後述するように、スリーブ36が逆戻りすることを防止する機能を果たす。
【0092】
具体的には、コネクタ10は、固定ユニット30を取り付け位置に保持するスナップ機構を有する。このスナップ機構は、主に、バネ34と復元力を伝達する種々の面および構造とによって構成され、復元力を伝達する種々の面および構造とはすなわち、接触部32に対して前方に向かって作用するバネの支持面37、スリーブに形成されている支持面38、および筐体20の部分48と協働して、後方に向かって作用するスリーブ36の軸方向阻止突起42である。
【0093】
ストランド固定ユニットの取り付けの最後に、ロックステップ(図5および図6)を以下のように行って、ストランド固定ユニットを取り付け位置に配置するとともに、スリーブ36の軸方向の移動の阻止および回転の阻止の双方を実現する。
【0094】
スリーブ36Aは、突起42Aに加えて、目印部45Aを有する。この実施形態では、これらの目印部は、スリーブ36Aの外面から突出している長さの短い軸方向スプラインによって構成されている。これら軸方向スプラインまたは目印部45Aは、突起42Aから後方に延びている。特に、後方から見た場合(図1)、これら目印部45Aは、突起42Aによって画定される面の内部にある。
【0095】
コネクタ10を組み立てる第1のステップ時に、これら目印部45Aは全体がチャンバ26の内部に配置される。
【0096】
チャンバ26には、目印部45が以下のようにして通過できるよう配置された溝50が設けられている。
【0097】
ロックステップ時、スリーブ36Aが解放される。バネ34Aが後方向への力をスリーブ36Aに対して作用させているため、スリーブ36Aは、チャンバ26の内部で部分48に設けられているスリーブ軸方向阻止面によって突起42Aが阻止されるまで、後方に移動する(図6)。次いで、スリーブ36Aは、その最終軸方向位置(取り付け位置)で軸方向の移動が阻止される。この後方移動(図6の詳細図における矢印B)により、その前の時点では全体が筐体20の内部にあった目印部45が、図1に目印部45B、45C、45Dに関して示しているように、筐体からわずかに突出する。これにより、ストランド固定ユニット30Aの取り付けを行っている操作者は、取り付けたスリーブ36Aが適切に配置されていることを確認できる。
【0098】
目印部45は、組立て確認機能だけでなく、回転運動を防止する機能も果たす。具体的には、スリーブ36Aが最終軸方向位置に向かって後退移動する際に、目印部45Aは、それらを収容するためにチャンバ26の内部に形成された対応する溝50に挿入される。これら溝は目印部45Aの外形に(隙間のある状態で)合っているため、これら溝によってスリーブ36Aのあらゆる回転運動が防止される。このようにして、例えば振動の影響下で、スリーブ36Aの回転が防止されるため、第1の取り付けステップの終了時に到達する角度位置(角度α1)であって、スリーブ36Aがチャンバ26の外へ出てしまう可能性のある角度位置へとスリーブ36Aが戻ることがない。
【0099】
各図には、コネクタ10が小型であることが明確に示されている。図からわかるように、固定ユニット30は全て、チャンバ26の後面25において輪郭27によって定められている単一の開口を介して挿入される。隣り合うスリーブ36同士については、スリーブ36の互いに最も近接する部分同士が直接向き合っている。すなわち、より正確に言えば、スリーブ36同士は、筐体20内において何らかの仕切りによって隔てられてはいない。その結果、スリーブ36同士の間のピッチdを非常に小さな値にでき、特に、スリーブ36の外径をDとした場合、1.2D未満の値にできる。
【0100】
本発明を具体的な実施形態を参照して説明したが、特許請求の範囲によって定義される本発明の一般的な範囲を逸脱することなく、様々な改良および変更を該実施形態に対して行えることは明らかである。したがって、明細書および図面は、説明のためのものであって限定的なものではないと解されるべきである。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6