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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-14
(45)【発行日】2022-09-26
(54)【発明の名称】光受信サブアセンブリ及び光モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/02 20060101AFI20220915BHJP
   G02B 6/42 20060101ALI20220915BHJP
   H01L 31/0232 20140101ALI20220915BHJP
【FI】
H01L31/02 B
G02B6/42
H01L31/02 D
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2018140222
(22)【出願日】2018-07-26
(65)【公開番号】P2020017657
(43)【公開日】2020-01-30
【審査請求日】2021-04-16
(73)【特許権者】
【識別番号】301005371
【氏名又は名称】日本ルメンタム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】弁理士法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宍倉 正人
【審査官】佐竹 政彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-140292(JP,A)
【文献】特開2016-092260(JP,A)
【文献】特開2017-098616(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0336368(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/0232、31/08-31/119
H03F 3/08、3/68
H04B 10/69
G02B 6/42-6/43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学的インターフェースと、
第1方向に相互に並ぶ複数の受光素子と、
前記複数の受光素子に、前記第1方向に交差する第2方向に隣り合って電気的に接続する集積回路チップと、
前記集積回路チップに電気的に接続する電気的インターフェースと、
前記集積回路チップの上面よりも小さい大きさで前記上面の内側に固定され、前記第1方向に沿った第1ラインに沿って並ぶ複数の第1パッドを含み、前記第2方向に沿った第2ラインに沿って並ぶ複数の第2パッドを含み、前記複数の第1パッドおよび前記複数の第2パッドの間に延びる複数の配線を含む配線基板と、
前記配線基板にボンディングされる複数のワイヤと、
を有し、
前記複数のワイヤは、前記電気的インターフェースにボンディングされる複数の第1ワイヤと、前記集積回路チップに電気的に接続する複数の第2ワイヤと、を含むことを特徴とする光受信サブアセンブリ。
【請求項2】
請求項1に記載された光受信サブアセンブリであって、
前記第1方向に前記集積回路チップの両側の少なくとも一方に隣り合う電子部品と、
前記電子部品の電極及び前記集積回路チップに両端がそれぞれボンディングされる第3ワイヤと、
をさらに有し、
前記複数の第2ワイヤは、前記電子部品の前記電極にボンディングされ、前記第3ワイヤ及び前記電極を介して、前記集積回路チップに電気的に接続するワイヤを含むことを特徴とする光受信サブアセンブリ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された光受信サブアセンブリであって、
前記複数の第2ワイヤは、前記集積回路チップにボンディングされるワイヤを含むことを特徴とする光受信サブアセンブリ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載された光受信サブアセンブリであって、
前記配線基板は、前記複数のワイヤがそれぞれボンディングされる複数のパッドを有し、
前記複数のパッドは、前記複数の第1ワイヤがそれぞれボンディングされる前記複数の第1パッドと、前記複数の第2ワイヤがそれぞれボンディングされる前記複数の第2パッドと、を含むことを特徴とする光受信サブアセンブリ。
【請求項5】
請求項4に記載された光受信サブアセンブリであって、
前記配線基板の前記複数の配線のそれぞれは、前記複数の第1パッドのそれぞれと前記複数の第2パッドの対応する少なくとも1つを接続することを特徴とする光受信サブアセンブリ。
【請求項6】
請求項4又は5に記載された光受信サブアセンブリであって、
前記複数の第1パッドが沿って配列される前記第1ラインは、前記電気的インターフェースに近い前記配線基板の端部に位置することを特徴とする光受信サブアセンブリ。
【請求項7】
請求項4から6のいずれか1項に記載された光受信サブアセンブリであって、
前記複数の第2パッドが沿って配列される前記第2ラインは、前記配線基板の端部に位置することを特徴とする光受信サブアセンブリ。
【請求項8】
請求項4から7のいずれか1項に記載された光受信サブアセンブリであって、
前記複数のパッドは、前記第2方向に前記複数の受光素子に近い側では、少なくとも前記第1方向に前記配線基板の中央を避けて配列されていることを特徴とする光受信サブアセンブリ。
【請求項9】
請求項4から8のいずれか1項に記載された光受信サブアセンブリであって、
前記集積回路チップは、複数の電極を有し、
前記複数の電極は、前記複数の受光素子からの電気信号をそれぞれ入力するための複数の第1電極と、前記電気信号を増幅してそれぞれ出力するための複数の第2電極と、を含み、
前記複数の第1電極は、前記複数の受光素子に近い側で、前記集積回路チップの端部に前記第1方向に一列に並び、
前記複数の第2電極は、前記電気的インターフェースに近い側で、前記集積回路チップの端部に前記第1方向に一列に並ぶことを特徴とする光受信サブアセンブリ。
【請求項10】
請求項9に記載された光受信サブアセンブリであって、
前記複数の電極は、直流信号の入出力のための複数の第3電極を含み、
前記複数の第3電極は、前記第1方向に前記集積回路チップの両端部に配列されていることを特徴とする光受信サブアセンブリ。
【請求項11】
請求項9又は10に記載された光受信サブアセンブリであって、
前記複数のパッドは、前記複数の電極よりも高い位置にあることを特徴とする光受信サブアセンブリ。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか1項に記載された光受信サブアセンブリであって、
前記複数の受光素子及び前記集積回路チップを電気的に接続する複数のワイヤと、
前記電気的インターフェース及び前記集積回路チップを電気的に接続する複数のワイヤと、
をさらに含むことを特徴とする光受信サブアセンブリ。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか1項に記載された光受信サブアセンブリと、
入力された電気信号から変換された光信号を出力する光送信サブアセンブリと、
を有することを特徴とする光モジュール。
【請求項14】
請求項1に記載された光受信サブアセンブリであって、
前記配線基板の上面は、第1辺と、第2辺と、前記第1辺と前記第2辺を結ぶ第3辺と、を含み、
前記複数の第1パッドが沿う前記第1ラインは、前記第3辺に近接しており、
前記第2ラインは、前記複数の第2パッドのいくつかが配列されて前記第1辺に近接している第2ラインと、前記複数の第2パッドの他のいくつかが配置されて前記第2辺に近接している他の第2ラインと、を含むことを特徴とする光受信サブアセンブリ。
【請求項15】
請求項14に記載された光受信サブアセンブリであって、
前記複数の配線のそれぞれは、前記第1方向に沿って延びる部分と、前記第2方向に沿って延びる他の部分と、を含むことを特徴とする光受信サブアセンブリ。
【請求項16】
請求項1に記載された光受信サブアセンブリであって、
前記電気的インターフェースの配線と前記集積回路チップの電極との間に延びる複数のワイヤをさらに有することを特徴とする光受信サブアセンブリ。
【請求項17】
請求項1に記載された光受信サブアセンブリであって、
前記複数の第2ワイヤは、前記集積回路チップに接合されて前記複数の第2パッドと前記集積回路チップの電極との間に延びる一群の第2ワイヤを含むことを特徴とする光受信サブアセンブリ。
【請求項18】
請求項2に記載された光受信サブアセンブリであって、
前記第3ワイヤは、前記集積回路チップと前記電子部品の前記電極との間に延びることを特徴とする光受信サブアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光受信サブアセンブリ及び光モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、クラウドサービスの進展やデータセンタの大規模化に伴い、これらのデータ通信を支える通信用の光モジュールの大容量化、小型化及び低コスト化が強く望まれている。特に、伝送速度が100Gbit/sを超えて、200Gbit/sひいては400Gbit/sにもなると、PAM4(Pulse Amplitude Modulation 4)といった多値変調方式が採用され、その変復調にはDSP(Digital Signal Processor)といったサイズの大きな集積回路チップが必要となる。光モジュールの大型化を避けるには、光モジュールに内蔵される光受信サブアセンブリの小型化が必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-140292号公報
【文献】特開2005-294429号公報
【文献】特開2016-225631号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、光受信サブアセンブリの内部で、増幅機能を有する集積回路チップの上方に配置した配線基板を介して、受光素子やパッケージの端子部との電気接続を行うことが開示されている。配線基板は、集積回路チップよりも幅が広い。そのため、配線基板の端部にあるパッドがパッケージの側壁に接近し、ワイヤボンディングが難しくなる。特許文献2及び特許文献3には、集積回路チップの上に受光素子を実装することが開示されているが、狭いスペースでの配線の効率的配置については言及されていない。
【0005】
本発明は、配線の効率的配置を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明に係る光受信サブアセンブリは、光学的インターフェースと、第1方向に相互に並ぶ複数の受光素子と、前記複数の受光素子に、前記第1方向に交差する第2方向に隣り合って電気的に接続する集積回路チップと、前記集積回路チップに電気的に接続する電気的インターフェースと、前記集積回路チップの上面よりも小さい大きさで前記上面の内側に固定された配線基板と、前記配線基板にボンディングされる複数のワイヤと、を有し、前記複数のワイヤは、前記電気的インターフェースにボンディングされる複数の第1ワイヤと、前記集積回路チップに電気的に接続する複数の第2ワイヤと、を含むことを特徴とする。本発明によれば、配線基板によって、配線の効率的配置が可能になる。
【0007】
(2)(1)に記載された光受信サブアセンブリであって、前記第1方向に前記集積回路チップの両側の少なくとも一方に隣り合う電子部品と、前記電子部品の電極及び前記集積回路チップに両端がそれぞれボンディングされる第3ワイヤと、をさらに有し、前記複数の第2ワイヤは、前記電子部品の前記電極にボンディングされ、前記第3ワイヤ及び前記電極を介して、前記集積回路チップに電気的に接続するワイヤを含むことを特徴としてもよい。
【0008】
(3)(1)又は(2)に記載された光受信サブアセンブリであって、前記複数の第2ワイヤは、前記集積回路チップにボンディングされるワイヤを含むことを特徴としてもよい。
【0009】
(4)(1)から(3)のいずれか1項に記載された光受信サブアセンブリであって、前記配線基板は、前記複数のワイヤがそれぞれボンディングされる複数のパッドを有し、前記複数のパッドは、前記複数の第1ワイヤがそれぞれボンディングされる複数の第1パッドと、前記複数の第2ワイヤがそれぞれボンディングされる複数の第2パッドと、を含むことを特徴としてもよい。
【0010】
(5)(4)に記載された光受信サブアセンブリであって、前記配線基板は、前記複数の第1パッドのそれぞれと前記複数の第2パッドの対応する少なくとも1つを接続する配線を有することを特徴としてもよい。
【0011】
(6)(4)又は(5)に記載された光受信サブアセンブリであって、前記複数の第1パッドは、前記電気的インターフェースに近い前記配線基板の端部に、前記第1方向に沿って少なくとも一列に並んでいることを特徴としてもよい。
【0012】
(7)(4)から(6)のいずれか1項に記載された光受信サブアセンブリであって、前記複数の第2パッドは、前記第1方向に前記配線基板の両端部の少なくとも一方に配列されていることを特徴としてもよい。
【0013】
(8)(4)から(7)のいずれか1項に記載された光受信サブアセンブリであって、前記複数のパッドは、前記第2方向に前記複数の受光素子に近い側では、少なくとも前記第1方向に前記配線基板の中央を避けて配列されていることを特徴としてもよい。
【0014】
(9)(4)から(8)のいずれか1項に記載された光受信サブアセンブリであって、前記集積回路チップは、複数の電極を有し、前記複数の電極は、前記複数の受光素子からの電気信号をそれぞれ入力するための複数の第1電極と、前記電気信号を増幅してそれぞれ出力するための複数の第2電極と、を含み、前記複数の第1電極は、前記複数の受光素子に近い側で、前記集積回路チップの端部に前記第1方向に一列に並び、前記複数の第2電極は、前記電気的インターフェースに近い側で、前記集積回路チップの端部に前記第1方向に一列に並ぶことを特徴としてもよい。
【0015】
(10)(9)に記載された光受信サブアセンブリであって、前記複数の電極は、直流信号の入出力のための複数の第3電極を含み、前記複数の第3電極は、前記第1方向に前記集積回路チップの両端部に配列されていることを特徴としてもよい。
【0016】
(11)(9)又は(10)に記載された光受信サブアセンブリであって、前記複数のパッドは、前記複数の電極よりも高い位置にあることを特徴としてもよい。
【0017】
(12)(1)から(11)のいずれか1項に記載された光受信サブアセンブリであって、前記複数の受光素子及び前記集積回路チップを電気的に接続する複数のワイヤと、前記電気的インターフェース及び前記集積回路チップを電気的に接続する複数のワイヤと、をさらに含むことを特徴としてもよい。
【0018】
(13)本発明に係る光モジュールは、(1)から(12)のいずれか1項に記載された光受信サブアセンブリと、入力された電気信号から変換された光信号を出力する光送信サブアセンブリと、を有することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施形態に係る光モジュールの分解斜視図である。
図2】実施形態に係る光受信サブアセンブリの内部構造を示す横断面図である。
図3】実施形態に係る光受信サブアセンブリの内部構造を示す縦断面面図である。
図4】実施形態に係る光受信サブアセンブリの内部構造を示す平面図である。
図5】本実施形態に係る光受信サブアセンブリの製造方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、図面に基づき、本発明の実施形態を具体的かつ詳細に説明する。なお、実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。なお、以下に示す図は、あくまで、実施形態の実施例を説明するものであって、図の大きさと本実施例記載の縮尺は必ずしも一致するものではない。
【0021】
図1は、実施形態に係る光モジュールの分解斜視図である。光モジュール100は、電気信号を光信号に変換するための光送信サブアセンブリ104(TOSA: Transmitter Optical Sub-Assembly)と、光信号を電気信号に変換するための光受信サブアセンブリ102(ROSA: Receiver Optical Sub-Assembly)と、を有する。送信側では図示しないホスト側基板から入力された電気信号を、光送信サブアセンブリ104で光信号に変換して出力する。受信側では入力された光信号を、光受信サブアセンブリ102で電気信号に変換してホスト側基板へ出力する。
【0022】
図2は、実施形態に係る光受信サブアセンブリの内部構造を示す横断面図である。図3は、実施形態に係る光受信サブアセンブリの内部構造を示す縦断面図である。図4は、実施形態に係る光受信サブアセンブリの内部構造を示す平面図である。
【0023】
光受信サブアセンブリは、パッケージ10を有する。パッケージ10には蓋12が溶接されている。光受信サブアセンブリは、電気的インターフェース14(例えばフィードスルー)を有する。電気的インターフェース14は、パッケージ10の内側では高さの異なる段を有し、図4に示すように、高い面に複数の第1配線16を有し、低い面に複数の第2配線18を有する。第1配線16と第2配線18は、パッケージ10の外側では基板(例えばセラミックス)の反対面にそれぞれ延びて反対方向を向く。複数の第1配線16に第1フレキシブル基板20が接続され、複数の第2配線18に第2フレキシブル基板22が接続される。
【0024】
パッケージ10には、レンズ24、ホルダ26、レセプタクル28が固定され、これらが光信号を入力するための光学的インターフェース30を構成する。光学的インターフェース30から入力された光信号は、波長合分波器32で分波されてマイクロレンズアレイ34で集光され、ミラー36で進行方向が変えられる。波長合分波器32は、スペーサ38を介してパッケージ10の内側に固定されている。マイクロレンズアレイ34は、ベース40に固定されている。また、ミラー36も支柱42を介してベース40に固定されている。ベース40はパッケージ10に固定されている。ミラー36で反射した光信号は、受光素子44に入射する。
【0025】
光受信サブアセンブリは、複数の受光素子44(例えばフォトダイオード)を有する。複数の受光素子44は、第1方向D1に相互に並ぶ。受光素子44は、受光部46(吸収層)が形成された面とは反対側から光信号が入射する裏面入射型受光素子である。複数の受光素子44は、1つのチップ部品(PDアレイ等)にモノリシック集積されている。
【0026】
複数の受光素子44は、サブマウント48に搭載されている。サブマウント48は、ベース40に固定されて電気的接続が図られている。サブマウント48は、複数の受光素子44(チップ)を一体的に支持する。サブマウント48は、複数の受光素子44のそれぞれ対応する複数のパッド50を備えている。複数のパッド50は、第1方向D1に一列に並ぶ。複数のパッド50は、受光素子44と電気的に接続する。
【0027】
光受信サブアセンブリは、集積回路チップ52を有する。集積回路チップ52は、複数の受光素子44に、第1方向D1に交差する第2方向D2に隣り合う。集積回路チップ52は、ベース40に固定され、固定によって電気的接続が図られている。集積回路チップ52は、例えば、プリアンプ、リミッティングアンプ、オートゲインコントローラ又はトランスインピーダンスアンプなどの増幅器である。増幅器には、複数の増幅素子(例えばオペアンプ)がモノリシック集積されている。
【0028】
集積回路チップ52は、複数の第1電極E1を含む。複数の第1電極E1は、複数の受光素子44に近い側で、集積回路チップ52の端部に第1方向D1に一列に並ぶ。複数の第1電極E1は、複数の受光素子44からの電気信号(交流信号又はパルス信号)をそれぞれ入力するためのものである。
【0029】
集積回路チップ52は、複数の第2電極E2を含む。複数の第2電極E2は、電気的インターフェース14に近い側で、集積回路チップ52の端部に第1方向D1に一列に並ぶ。複数の第2電極E2は、増幅された電気信号をそれぞれ出力するためのものである。
【0030】
集積回路チップ52は、複数の第3電極E3を含む。複数の第3電極E3は、第1方向D1に集積回路チップ52の両端部に配列されている。複数の第3電極E3は、直流信号(電源又は集積回路チップ52の制御信号など)の入出力のためのものである。受光素子44の光電流又はそれが増幅された信号も一定であれば直流信号に含まれる。
【0031】
光受信サブアセンブリは、配線基板54を有する。配線基板54は、集積回路チップ52の上面よりも小さい。配線基板54は、集積回路チップ52の上面の内側(例えば中央)に、いずれの電極にも接触しないように固定されている。配線基板54及び集積回路チップ52は、電気的に絶縁されている。本実施形態によれば、配線基板54によって、配線の効率的配置が可能になっている。
【0032】
配線基板54は、複数の第1パッドP1を含む。複数の第1パッドP1は、電気的インターフェース14に近い配線基板54の端部に、第1方向D1に沿って少なくとも一列に並んでいる。配線基板54は、複数の第2パッドP2を含む。複数の第2パッドP2は、第1方向D1に配線基板54の両端部の少なくとも一方に配列されている。
【0033】
配線基板54は、複数の第1パッドP1のそれぞれと複数の第2パッドP2の対応する少なくとも1つを接続する配線56を有する。第1パッドP1及び第2パッドP2は、集積回路チップ52の電極よりも高い位置にある。配線基板54は、第2方向D2に複数の受光素子44に近い側では、少なくとも第1方向D1に配線基板54の中央にはパッドが無い。配線基板54は、単層基板であってもよいし、多層基板であってもよい。
【0034】
光受信サブアセンブリは、第1方向D1に集積回路チップ52の両側の少なくとも一方に隣り合う電子部品58(例えば平板キャパシタ)を有する。電子部品58は、ベース40に固定され、固定によって電気的接続が図られている。
【0035】
複数の受光素子44及び集積回路チップ52は、複数のワイヤで電気的に接続されている。電気的インターフェース14(複数の第2配線18)は、複数のワイヤで、集積回路チップ52に電気的に接続する。光受信サブアセンブリは、複数の第1ワイヤW1、複数の第2ワイヤW2及び複数の第3ワイヤW3を有する。
【0036】
第1ワイヤW1は、電気的インターフェース14(第1配線16)及び第1パッドP1を電気的に接続するように両者にボンディングされる。1つの第1配線16と1つの第1パッドP1を、2つ以上の第1ワイヤW1が接続してもよい。
【0037】
第2ワイヤW2は、第2パッドP2にボンディングされる。少なくとも1つの第2ワイヤW2は、第2パッドP2と集積回路チップ52(第3電極E3)を電気的に接続するように両者にボンディングされる。他の少なくとも1つの第2ワイヤW2は、第2パッドP2と電子部品58(電極)を電気的に接続するように両者にボンディングされる。電子部品58の電極は、第3ワイヤW3を介して、集積回路チップ52(第3電極E3)に電気的に接続する。つまり、第2ワイヤW2は、配線基板54(第2パッドP2)と集積回路チップ52(第3電極E3)を直接的に、あるいは、第3ワイヤW3及び電子部品58(電極)を介して間接的に接続している。
【0038】
集積回路チップ52には、外部にある電源(図示せず)から電力が供給される。例えば、電気的インターフェース14(第1配線16)から、第1ワイヤW1、配線基板54、第2ワイヤW2、電子部品58(平板キャパシタ)の電極及び第3ワイヤW3を通り、集積回路チップ52の第3電極E3へ電力が供給される。受光素子44には、集積回路チップ52から、バイアスを印加するための電圧が供給される。なお、受光素子44と集積回路チップ52が別個の電源に接続されてもよい。
【0039】
電源や集積回路チップ52の制御信号(直流信号)は、電気的インターフェース14(第1配線16)を介して、配線基板54の第1パッドP1に入力され、第2パッドP2から集積回路チップ52の第3電極E3に供給される。
【0040】
受光素子44に入力した光信号は、電気信号に変換され、サブマウント48のパッド50に接続されたワイヤを介して、第1電極E1(集積回路チップ52)に入力される。集積回路チップ52では、電気信号を増幅して、第2電極E2から出力し、ワイヤを介して、電気的インターフェース14(第2配線18)から外部に出力される。つまり、電気信号(高周波交流信号)は、配線基板54を通らないようになっている。
【0041】
なお、受光素子44から出力される光電流は、直流であれば、パッド50から集積回路チップ52の第1電極E1に入力され、第3電極E3から、配線基板54の第2パッドP2を経て、第1パッドP1へ流れるようになっていてもよい。
【0042】
配線基板54には、交流信号(データ信号としての電気信号)を伝達するための配線が無い。ただし、受光素子44の光電流が直流であるとき(一定の光を受光したとき)に、その光電流又はこれを増幅した信号を伝達する配線が含まれてもよい。その場合、複数の第1パッドP1に、プロ―ブを立てることにより、受光素子44の光電流をモニタすることができる。これにより、ワイヤボンディングなしで、マイクロレンズアレイ34や波長合分波器32の調芯位置決め作業をすることができる。
【0043】
図5は、本実施形態に係る光受信サブアセンブリの製造方法を説明するための図である。製造方法は、ベース40上に種々の部品を搭載するプロセスを含む。ベース40上に集積回路チップ52を導電性接着剤にて固定する。ベース40上には、集積回路チップ52の隣に、受光素子44が実装されたサブマウント48や電子部品58(図4)を導電性接着剤にて固定する。次に、集積回路チップ52上に、配線基板54を非導電性接着剤にて固定する。その後、受光素子44、集積回路チップ52及び配線基板54の電気的接続のためのワイヤボンディングを行う。次に、図4に示すように、ベース40に設けられた支柱42上にミラー36を位置調整しながら紫外線硬化樹脂にて接着固定する。
【0044】
こうして、ベース40上に部品が実装された実装体を、図4に示すように、パッケージ10内に導電性接着剤にて固定する。スペーサ38もパッケージ10内に固定する。その後、集積回路チップ52及び配線基板54と電気的インターフェース14とを接続するためのワイヤボンディングを行う。
【0045】
次に、受光素子44からの光電流を、電気的インターフェース14を介してモニタしながら、マイクロレンズアレイ34及び波長合分波器32をそれぞれ紫外線硬化樹脂にて接着固定する。その後、蓋12を溶接し、次に、光学的インターフェース30(レンズ24、ホルダ26、レセプタクル28)を調芯しながら溶接固定する。最後に、第1フレキシブル基板20及び第2フレキシブル基板22を電気的インターフェース14(第1配線16及び第2配線18)に半田にて固定する。
【0046】
なお、第1パッドP1にワイヤボンディングを行う前に、第1パッドP1にプローブを接触させて、受光素子44の光電流をモニタしながら、マイクロレンズアレイ34や波長合分波器32の調芯位置決め作業をしてもよい。
【0047】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、実施形態で説明した構成は、実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成で置き換えることができる。
【符号の説明】
【0048】
10 パッケージ、12 蓋、14 電気的インターフェース、16 第1配線、18 第2配線、20 第1フレキシブル基板、22 第2フレキシブル基板、24 レンズ、26 ホルダ、28 レセプタクル、30 光学的インターフェース、32 波長合分波器、34 マイクロレンズアレイ、36 ミラー、38 スペーサ、40 ベース、42 支柱、44 受光素子、46 受光部、48 サブマウント、50 パッド、52 集積回路チップ、54 配線基板、56 配線、58 電子部品、100 光モジュール、102 光受信サブアセンブリ、104 光送信サブアセンブリ、D1 第1方向、D2 第2方向、E1 第1電極、E2 第2電極、E3 第3電極、P1 第1パッド、P2 第2パッド、W1 第1ワイヤ、W2 第2ワイヤ、W3 第3ワイヤ。

図1
図2
図3
図4
図5