(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-14
(45)【発行日】2022-09-26
(54)【発明の名称】精算機監視システムおよびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 7/18 20060101AFI20220915BHJP
A63F 13/35 20140101ALI20220915BHJP
G07B 15/00 20110101ALI20220915BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20220915BHJP
G08B 25/00 20060101ALI20220915BHJP
E04H 6/42 20060101ALI20220915BHJP
A63F 13/655 20140101ALI20220915BHJP
【FI】
H04N7/18 D
A63F13/35
G07B15/00 L
G06Q50/10
G08B25/00 510M
E04H6/42 Z
A63F13/655
(21)【出願番号】P 2018147723
(22)【出願日】2018-08-06
【審査請求日】2021-08-06
(73)【特許権者】
【識別番号】591069086
【氏名又は名称】パーク二四株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113804
【氏名又は名称】岩田 敏
(74)【代理人】
【識別番号】100101384
【氏名又は名称】的場 成夫
(72)【発明者】
【氏名】松田 隆一
【審査官】長谷川 素直
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-012245(JP,A)
【文献】特開2013-088979(JP,A)
【文献】特開平11-034818(JP,A)
【文献】特開2005-277856(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/18
A63F 13/35
G07B 15/00
G06Q 50/10
G08B 25/00
E04H 6/42
A63F 13/655
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
精算機および精算機の周囲を撮影する防犯カメラが撮影した撮影データを受信する撮影データ受信手段と、
その撮影データ受信手段が受信した撮影データから人物の顔を認識した場合にその顔部分を改変する顔データ消去手段と、
前記の撮影データ受信手段が受信した撮影データから自動車のナンバープレートを認識した場合にそのナンバープレート部分を改変するナンバープレート消去手段と、
前記の顔データ消去手段および前記のナンバープレート消去手段が機能して加工した加工撮影データをゲーマーに係る通信端末がアクセス可能であるように蓄積するゲーム用データベースと、
を備えた防犯カメラ撮影データ加工サーバ。
【請求項2】
前記の精算機に液晶パネルが備えられている場合において、その液晶パネルへ出力させるべきパネル出力用データを送信可能なパネル出力用データ送信手段を備えることとした
請求項1に記載の防犯カメラ撮影データ加工サーバ。
【請求項3】
前記のゲーム用データベースは、ゲーマーに係る通信端末がアクセスしてきた場合に、蓄積した直後の加工撮影データではなく、それよりも古い時刻に係る加工撮影データへアクセスさせるタイムシフト手段を備えることとした
請求項1または請求項2のいずれかに記載の防犯カメラ撮影データ加工サーバ。
【請求項4】
前記のゲーマーに係る通信端末から送信されてくるゲーム結果データを受信して蓄積するゲーマー管理データベースを備えることとした
請求項1から請求項3のいずれかに記載の防犯カメラ撮影データ加工サーバ。
【請求項5】
精算機および精算機の周囲を撮影する防犯カメラが撮影した撮影データを受信するデータサーバを制御するコンピュータプログラムであって、
そのコンピュータプログラムは、精算機および精算機の周囲を撮影する防犯カメラが撮影した撮影データを受信するカメラデータ受信手順と、
そのカメラデータ受信手順にて受信した撮影データから人物の顔を認識した場合にその顔部分を改変する顔データ消去手順と、
前記のカメラデータ受信手順にて受信した撮影データから自動車のナンバープレートを認識した場合にそのナンバープレート部分を改変するナンバープレート消去手順と、
前記の顔データ消去手順および前記のナンバープレート消去手順にて加工した加工撮影データをゲーマーに係る通信端末がアクセス可能であるようにゲーム用データベースへ蓄積するゲーム用データ蓄積手順と、
をデータサーバに実行させることとしたコンピュータプログラム。
【請求項6】
前記の精算機に液晶パネルが備えられている場合において、その液晶パネルへ出力させるべきパネル出力用データを送信可能なパネル出力用データ送信手順を、当該データサーバに実行させることとした
請求項5に記載のコンピュータプログラム。
【請求項7】
前記のゲーム用データベースに対してゲーマーに係る通信端末がアクセスしてきた場合に、蓄積した直後の加工撮影データではなく、それよりも古い時刻に係る加工撮影データへアクセスさせるタイムシフト手順を、当該データサーバに実行させることとした
請求項5または請求項6のいずれかに記載のコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、料金精算機や自動販売機を防犯カメラにて監視することについて、ゲーム性の要素を関わらせる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
商品販売やサービス提供の無人化、省力化のために料金精算機や自動販売機が多用されている。そうした料金精算機や自動販売機においては、現金を扱い、且つ無人であるが故に犯罪の温床となっている。犯罪を抑止するために、近年では低価格化が進んだ防犯カメラを導入するなどの対策も講じられている。
【0003】
本出願人は、
検索式=[防犯/CL+監視/CL]*[映像/CL+画像/CL]*[駐車場/TX]*[精算機/CL+自動販売機/CL+自販機/CL]
で検索したところ、19件の特許文献がヒットした。その2件を抽出し、以下に検討する。
【0004】
特許文献1には、無人駐車場における駐車車両の無賃退出、駐車料金精算機からの料金盗難等のトラブルに際して犯人を威嚇するとともにその映像を記録し、併せて警備会社等に通報する技術が開示されている。すなわち、無人駐車場にフラッシュライトとCCDカメラを設置する。各駐車スペースにはセンサーを設置して無賃退出を検知する。駐車料金精算機のセンサーは、キー不使用の開扉を検知し、その検知信号を受けた制御装置がフラッシュライトを断続的に発光させ,CCDカメラの映像をトラブル発生前に遡ってメモリーカードへ記録する。以上のような技術である。
【0005】
特許文献2には、駐車位置において車両の盗難を察知できるようにして、盗難を駐車場出口よりも早期に察知できる駐車場の車両盗難警報システムが開示されている。より具体的には、駐車場内の車両の移動軌跡をカメラC1~Cnと位置解析装置D1~Dnで監視して駐車位置を特定し、駐車車両の出場動作を検出したときに、車両軌跡管理装置2は記録情報に基づいて盗難警報登録情報の有無を判定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2001-148081号公報
【文献】特開2008-176452号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、駐車場のオーナーが駐車場の運営会社へ駐車場の管理運営を委託することで、駐車場の運営管理を円滑化するサービスが広まっている。
駐車場の運営会社としては、情報通信などの技術を導入して、安心で快適な駐車場を、駐車場の利用者へ提供したいと考えるのが普通である。たとえば、無人精算機、防犯カメラとその通報システムなどを設置することで、駐車場の不正(無賃)利用や精算機からの現金盗難などを防ぐような情報システムを構築したい。
【0008】
一方、駐車場のオーナーとしては、情報通信機器の導入コストやその運営コストを抑制したいと考えるのが普通である。具体的には、無人精算機までは導入したとしても、駐車場の希望が小さいほど、防犯カメラなどを省略する傾向がある。
【0009】
近年、コンビニエンスストアの普及によって、店内は勿論、その駐車場にも防犯カメラが設置されるようになった。その結果、犯罪や事故が発生した際、その防犯カメラの映像が事件や事故の解決や解明に役立つような事態が増えてきた。犯罪に関しては、その発生の抑止力となっていることが、想像に難くない。
【0010】
駐車場にも防犯カメラが多数設置されるようになれば、駐車場における事件や事故の解決や解明に役立つこと、犯罪の発生に対する抑止力は期待できる。しかし、前述したように、駐車場のオーナーにとって、防犯カメラを駐車場へ導入することのメリットが現時点では小さいため、二の足を踏んでいる、と推測できる。
【0011】
本願発明が解決しようとする課題は、駐車場への防犯カメラの設置によって新たな付加価値を生み出し、結果として駐車場への防犯カメラ設置を普及促進させることが期待できる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(第一の発明)
本願における第一の発明は、精算機および精算機の周囲を撮影する防犯カメラが撮影した撮影データを受信する撮影データ受信手段と、
その撮影データ受信手段が受信した撮影データから人物の顔を認識した場合にその顔部分を改変する顔データ消去手段と、
前記の撮影データ受信手段が受信した撮影データから自動車のナンバープレートを認識した場合にそのナンバープレート部分を改変するナンバープレート消去手段と、
前記の顔データ消去手段および前記のナンバープレート消去手段が機能して加工した加工撮影データをゲーマーに係る通信端末がアクセス可能であるように蓄積するゲーム用データベースと、
を備えた防犯カメラ撮影データ加工サーバに係る(
図1参照)。
【0013】
(用語説明)
「精算機」は、サービス対価(例えば駐車料金)の支払い精算を無人で完結するための精算機、無人で商品(たとえば飲み物)の販売をする自動販売機の両方を含む。
顔データ消去手段やナンバープレート消去手段が実行する「改変」とは、改変後データにおいて、顔やナンバープレートが視認不能であるように変更することである。
【0014】
(作用)
駐車場における精算機および精算機の周囲を撮影する防犯カメラが撮影する。撮影した撮影データは、撮影データ受信手段が受信する。受信した撮影データから人物の顔を認識した場合には、その顔部分を顔データ消去手段が改変する。受信した撮影データから自動車のナンバープレートを認識した場合には、そのナンバープレート部分をナンバープレート消去手段が改変する。こうして、プライバシー保護に配慮したデータ加工がなされる。
【0015】
前記の顔データ消去手段および前記のナンバープレート消去手段が機能して加工した加工撮影データは、ゲーム用データベースへ蓄積する。そして、そのゲーム用データベースは、ゲーマーに係る通信端末からアクセス可能であるようにする。
【0016】
加工撮影データは、顔データ消去手段やナンバープレート消去手段によるデータ加工は実行しているものの、さほどの時間を要しないため、リアルタイム性に優れている。したがって、ゲームをするためのデータとしては変化に富み、飽きにくいゲームへの応用が可能である。
こうした加工撮影データを用いた携帯情報端末用のゲームを提供すれば、ゲームプレーヤー(ゲーマー)を確保することに繋がる。ゲーマーを確保できれば、ゲームの有料化やゲーム使用時に広告閲覧を強制するなどの工夫によって、経済的な利益を確保できる。その経済的利益は、防犯カメラ等のハードウェア購入およびその運営コストに充当できる。そのため、駐車場への防犯カメラ設置を普及促進させることが期待できる。
【0017】
(第一の発明のバリエーション1)
第一の発明は、以下のように形成してもよい。
前記の精算機に液晶パネルが備えられている場合において、その液晶パネルへ出力させるべきパネル出力用データを送信可能なパネル出力用データ送信手段を備えることとしてもよい(
図1においては、「精算機管理DB」が「パネル出力用データ送信手段」を兼用する)。
【0018】
(作用)
パネル出力用データ送信手段がパネル出力用データを精算機へ送信する。パネル出力用データを受信した精算機は、その液晶パネルにパネル出力用データを出力させる。
防犯カメラは精算機および精算機の周辺を撮影しているので、精算機の出力パネルにどのような画像が出力されたかは、撮影データに残されることとなる。その撮影データは、顔データ消去手段やナンバープレート消去手段によって加工されることはない。リアルタイム性も確保できるので、ゲーム用データとして用いるのに適している。
【0019】
(第一の発明のバリエーション2)
第一の発明における前記のゲーム用データベースは、ゲーマーに係る通信端末がアクセスしてきた場合に、蓄積した直後の加工撮影データではなく、それよりも古い時刻に係る加工撮影データへアクセスさせるタイムシフト手段を備えることとしてもよい(
図6参照)。
【0020】
(作用)
ゲーマーに係る通信端末がアクセスしてきた場合には、蓄積した直後の加工撮影データよりも古い時刻に係る加工撮影データへタイムシフト手段がアクセスさせる。セキュリティ対策などの事情がある場合に、リアルタイムに近い加工撮影データを開示することを避けるためである。
【0021】
(第一の発明のバリエーション3)
第一の発明は、前記のゲーマーに係る通信端末から送信されてくるゲーム結果データを受信して蓄積するゲーマー管理データベースを備えることとしてもよい。
【0022】
(第二の発明)
第二の発明は、精算機および精算機の周囲を撮影する防犯カメラが撮影した撮影データを受信するデータサーバを制御するコンピュータプログラムに係る。
そのコンピュータプログラムは、精算機および精算機の周囲を撮影する防犯カメラが撮影した撮影データを受信するカメラデータ受信手順と、
そのカメラデータ受信手順にて受信した撮影データから人物の顔を認識した場合にその顔部分を改変する顔データ消去手順と、
前記のカメラデータ受信手順にて受信した撮影データから自動車のナンバープレートを認識した場合にそのナンバープレート部分を改変するナンバープレート消去手順と、
前記の顔データ消去手順および前記のナンバープレート消去手順にて加工した加工撮影データをゲーマーに係る通信端末がアクセス可能であるようにゲーム用データベースへ蓄積するゲーム用データ蓄積手順と、
をデータサーバに実行させることとしたコンピュータプログラムである。
【0023】
(第二の発明のバリエーション1)
第二の発明は、 前記の精算機に液晶パネルが備えられている場合において、その液晶パネルへ出力させるべきパネル出力用データを送信可能なパネル出力用データ送信手順をデータサーバに実行させることとしてもよい。
【0024】
(第二の発明のバリエーション2)
第二の発明は、以下のようにしてもよい。
すなわち、前記のゲーム用データベースに対してゲーマーに係る通信端末がアクセスしてきた場合に、蓄積した直後の加工撮影データではなく、それよりも古い時刻に係る加工撮影データへアクセスさせるタイムシフト手順を、当該データサーバに実行させることとしてもよい。
【0025】
第二の発明に係るコンピュータプログラムは、請求項1に記載の防犯カメラ撮影データ加工サーバへインストールすることによって用いられる。
第二の発明は、たとえばCD-R等の記録媒体へ記録して配布したり、インターネットなど通信回線を介してダウンロードしたりすることも可能である。なお、記録媒体としては、CD-Rの他、ハードディスク、DVD-Rなどもある
【0026】
なお、第二の発明に係るコンピュータプログラムは、カーシェアリング管理サーバに備えられた演算装置としてのCPU、無線通信またはシリアル通信などによってデータを入力するデータ入力装置、演算の対象となるデータなどを一時的に記憶する揮発性メモリ、データ蓄積のための不揮発性メモリ(たとえば、ハードディスクドライブ)などを用いて実行される。
【発明の効果】
【0027】
第一の発明によれば、駐車場への防犯カメラ設置を普及促進させることが期待できる防犯カメラ撮影データ加工サーバを提供することができた。
また、第二の発明によれば、駐車場への防犯カメラ設置を普及促進させることが期待できる防犯カメラ撮影データ加工サーバ用のコンピュータプログラムを提供することを提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】第一の実施形態におけるハードウェア構成を示す図である。
【
図2】第一の実施形態における防犯カメラの撮影データを示す概念図である。
【
図3】第一の実施形態における防犯カメラの撮影データを加工撮影データへ加工する様子を示す概念図である。
【
図4】加工撮影データを用いたゲームの内容を示すための概念図である。
【
図5】第二の実施形態における防犯カメラの撮影データを示す概念図である。
【
図6】第二の実施形態におけるハードウェア構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
(全体の説明)
以下、本発明を実施の形態および図面に基づいて、更に詳しく説明する。ここで使用する図面は、
図1から
図6である。
図1から
図4にて第一の実施形態を、
図5および
図6にて第二の実施形態を示す。
【0030】
(
図1)
図1では、駐車場に設置された駐車料金精算用の精算機と、その精算機やその周辺を撮影する防犯カメラと、その防犯カメラが撮影した撮影データを受信して加工するデータ処理サーバと、そのデータ処理サーバが加工した加工撮影データを用いてゲームを運営するゲーム運営サーバと、そのゲーム運営サーバへアクセスするゲーマーのスマートフォンと、を図示している。
【0031】
データ処理サーバは、防犯カメラから通信回線を介して撮影データを受信する撮影データ受信手段と、その受信した撮影データを蓄積する撮影データベースと、前記の撮影データから人物の顔を認識した場合にその顔部分を改変する顔データ消去手段と、前記の撮影データから自動車のナンバープレートを認識した場合にそのナンバープレート部分を改変するナンバープレート消去手段と、を備えている。撮影データベースには、加工を施さないオリジナルの撮影データを蓄積する。
【0032】
顔データ消去手段およびナンバープレート消去手段にて加工されたデータは、更に、チェック手段を用いて、人物の顔やナンバープレート以外に個人を特定できそうな画像にモザイクを掛けたり、消去したりする。
顔データ消去手段、ナンバープレート消去手段およびチェック手段は、いずれもプライバシー保護手段として機能する。
【0033】
データ処理サーバにて加工された加工撮影データは、ゲーム運用サーバにおけるゲーム用データベースへ格納される。
また、ゲーム運用サーバには、加工撮影データを用いなければ参加できないゲームルールなどを入力するゲームルール入力手段や、そのゲームルール入力手段などを用いて用意されたゲーム用のアプリケーションをダウンロード可能とするゲーム用アプリデータベースを備えている。
【0034】
ゲーム運用サーバには、駐車場へ設置されている精算機の液晶パネルへ出力させるべきパネル出力用データを送信可能なパネル出力用データ送信手段を備えている。詳細は、
図2を用いて説明する。
更に、ゲーム運用サーバには、ゲーマーの携帯情報端末から送信されてくるゲーム結果データなどを受信して蓄積するゲーマー管理データベースを備えている。
【0035】
(
図2)
図2に基づいて、防犯カメラがどのような映像を得ているか、を説明する。
防犯カメラは、現金の盗難などの事件が発生しやすい精算機およびその周囲を撮影している。
図2に示した精算機の周囲には、精算機の奧側に電話をしているビジネスマン、そのビジネスマンの奥にスポーツカーがあり、それらを防犯カメラは撮影データとして取得する。
【0036】
一方、精算機の正面側の上部には液晶パネルが備えられている。通常は、駐車料金を精算しようとするユーザに対する情報提供(たとえば、駐車料金の表示やその根拠となる駐車開始時刻、駐車終了時刻など)のための出力がなされている。
しかし、料金精算をする人がいない状態においては、ゲーム運用サーバの精算機管理データベースに格納されているパネル出力用データが送信され、そのパネル出力用データを表示している。この図では、豚のイラストが表示されている。
【0037】
なお、パネル出力用データは、定期的に更新する。後に示す
図4で明らかなように、この実施形態においては、3時間毎にパネル出力用データを更新している。ゲームに用いるため
【0038】
(
図3)
図3では、
図1に示した顔データ消去手段およびナンバープレート消去手段の詳細を図示している。撮影データの中から自動車を認識したら、その中からナンバープレート認識手段がナンバープレートを認識する。そして、そのナンバープレートの文字を視認できないように消去する加工を施すのがナンバー消去手段である。撮影データの中から人間の顔を認識するのが、顔認識手段である。その顔認識手段が認識した顔部分は、顔を視認できないように消去する加工を施すのが顔消去手段である。
【0039】
ナンバー消去手段、顔消去手段が機能して加工されたデータは、チェック手段にて更なるプライバシー保護をチェックがなされ、加工撮影データとしてゲーム用データベースへ送信される。
なお、このゲーム用データベースは、駐車場毎、さらには精算機毎にデータを分けて格納している。
【0040】
(
図4)
図4に基づいて、精算機の液晶パネルへ出力される画像データについて説明する。
図4では、時刻を縦軸に、カメラ設置場所を横軸に、どのようなパネル出力用データが送信され、出力されたかを一覧表としている。
たとえば、駐車場Aでは、9時に豚、12時に猫、3時に蛸、6時に牛が出力されている。駐車場B、駐車場Cでは、別の出力がなされる。ゲームとしては、これらの出力が何であったかを当てさせ、たとえば全問正解となると経済的な価値のあるポイントが付与される。
【0041】
ゲーマーは、自らに係る情報端末にてゲーム用データベースへアクセスし、加工撮影データを閲覧していなければ、駐車場Aに設置されている精算機の出力パネルへどのような出力がなされているかは、分からない。それゆえ、ゲームとしての全問正解を狙うのであれば、ゲーム用データベースの加工撮影データを継続して閲覧していなければならないこととなる。
【0042】
ゲーマーは、ゲームへ参加した結果について、そのゲーム結果データをゲーム運用サーバのゲーマー管理データベースへ送信する。
ゲーム運用サーバとしては、そのゲーマー管理データベースに基づいて採点などを実行し、ポイント付与などを実行する。
【0043】
この継続的な閲覧を促すことによって、防犯カメラをウォッチングしている人間の数を確保することができる。その結果、駐車場のオーナーや駐車場の管理者が防犯カメラをウォッチングする必要性を低下させ、運用コストの大幅削減を見込める。
【0044】
図4では、複数の駐車場A,B,Cにおいて出力される画像を、時間帯で異ならせている。それゆえ、ゲーマーはゲーム用データベースにおける駐車場毎に異なる加工撮影データを切り替えながらウォッチングすることとなり、飽きにくい。
【0045】
ゲーム運用サーバにおいては、精算機の破壊行為などが発生しやすい時間帯に、ゲーム用データベースへのアクセス数を増やす工夫をする。たとえば、夜間や深夜の時間帯では、パネル出力用データの更新頻度を高めたり、正解者に対するポイント付与数を増やしたり、といった工夫である。
【0046】
なお、精算機の出力パネルに対して、ゲーマーによるアクセス数をリアルタイム(に近い状態)で小さく表示させるようにしてもよい。精算機を破壊しようとする者に対する警告となり、犯罪発生を未然に防止する効果が期待できるからである。
【0047】
(
図5)
次に、
図5に基づいて、第二の実施形態について説明する。
精算機は現金が出し入れされるので、収益となった現金の回収や釣り銭の補充などが必要であるため、必要に応じて精算機メンテナンスカーが巡回し、その作業を実行している。この精算機メンテナンスカーを、ゲーム用のデータとして活用しようというものである。
【0048】
防犯カメラに精算機メンテナンスカーが写り、撮影データとして取り込まれる。このとき、精算機メンテナンスカーのドライバー(精算機のメンテナンス担当者を兼務することが一般的)は、助手席に等身大の縫いぐるみを座らせておく。この縫いぐるみは数種類が用意されていたり、細部にアレンジを加えるためのグッズ(サングラス、帽子、耳飾りなど)が用意されたりしている。
図5に示した図示例では、豚の縫いぐるみが助手席に座っている。
【0049】
(
図6)
図6では、
図5に示した撮影データをゲーム用データベースに取り込んで、ゲーマーのスマートフォンにて閲覧できるようになるまでを示している。
図1に示した実施形態と異なるのは、防犯カメラに取り込まれた撮影データに対して、データ処理サーバにおいてメンテカー認識手段が備えられていること、およびゲーム運用サーバにおいてタイムシフト手段が備えられていること、である。
【0050】
撮影データの中に、精算機メンテナンスカーが移っていることをメンテカー認識手段が認識した場合、タイムシフト手段がゲーム運用サーバにおけるゲーム用データベースが閲覧できるようになるまでに所定の時間を経過させる。タイムシフト手段が機能することによって、精算機メンテナンスカーが現在どこにいるのか、という情報をリアルタイムでゲーマーが知ることのできないようにしているのである。
【0051】
図1に示した実施形態では、パネル出力データといういわばデジタルのデータをゲーマーが追いかけるのであるが、
図5および
図6に示した実施形態では、精算機メンテナンスカーのドライバーが実施することなので、いわばアナログのデータとなる。縫いぐるみの豚が掛けていたサングラスがずれてしまったり、耳飾りを片方ではなく両方に着けたり、といった意図的な、または意図しない変化が起きる。そのため、ゲームのエンターテイメント性が高められる。
【0052】
精算機メンテナンスカーのドライバーやメンテナンス担当者としては、現金を扱うという緊張感や、精算機およびその周辺を清掃するといったモチベーションの保ちにくさといった仕事環境となっているのが一般的である。そうした仕事環境へ、ゲームへの参加という異なった感覚を加えることができ、仕事全般への意欲を高められるという効果が期待できる。
【0053】
第一の実施形態と第二の実施形態とは、ゲーム用データとして別々のコンテンツであるかのように説明した。しかし、パネル出力用データが写り込んだ撮影データと精算機メンテナンスカーが写り込んだ撮影データとを組み合わせてゲーム用データを作成することとしても、当然構わない。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、精算機や自動販売機を伴うサービス業全般において利用可能性がある。また、精算機や自動販売機と防犯カメラとを融合させた情報サービス業や、その情報サービス業に用いるハードウェア製造業においても、利用可能性がある。