IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ハンマーキャスター株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-キャスター 図1
  • 特許-キャスター 図2
  • 特許-キャスター 図3
  • 特許-キャスター 図4
  • 特許-キャスター 図5
  • 特許-キャスター 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-14
(45)【発行日】2022-09-26
(54)【発明の名称】キャスター
(51)【国際特許分類】
   B60B 33/00 20060101AFI20220915BHJP
【FI】
B60B33/00 R
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018151762
(22)【出願日】2018-08-10
(65)【公開番号】P2020026204
(43)【公開日】2020-02-20
【審査請求日】2021-04-30
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 展示会で発表 展示日 平成30年6月20日~平成30年6月22日 展示会名 第22回 機械要素技術展 開催場所 東京ビッグサイト(東京都江東区有明3-11-1)
(73)【特許権者】
【識別番号】000111731
【氏名又は名称】ハンマーキャスター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【弁理士】
【氏名又は名称】立花 顕治
(74)【代理人】
【識別番号】100179213
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 未知子
(74)【代理人】
【識別番号】100170542
【弁理士】
【氏名又は名称】桝田 剛
(72)【発明者】
【氏名】吉田 晴一
【審査官】西田 侑以
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-159905(JP,A)
【文献】特開2008-100560(JP,A)
【文献】実開昭57-133405(JP,U)
【文献】特開2016-101308(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60B 33/00 - 33/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1フォークと、
回動可能な状態で前記第1フォークに取り付けられており、所定位置において前記第1フォークと接触するように構成された第2フォークと、
回動可能な状態で前記第2フォークに取り付けられた車輪と、
前記第2フォークを前記所定位置に向けて付勢するように構成されたキックバネとを備え、
前記第2フォークは、金属板を折り曲げることによって成型されており、
第1板部と、
前記第1板部と対向する第2板部と
前記所定位置において前記第1フォークと接触する前板部と、
を含み、
前記第1及び第2板部によって、前記車輪が挟まれており、
前記キャスターは、
前記第1及び第2板部を貫通し、前記第1及び第2板部を連結する第1棒状部材と、
前記第1及び第2板部を貫通し、前記第1及び第2板部を連結する可動棒状部材と、
をさらに備え、
前記キックバネは、前記第1棒状部材に接触しており、
前記第1フォークには、前記第2フォークの回動に伴なう前記可動棒状部材の回動をガイドする溝が形成されている、
キャスター。
【請求項2】
前記キックバネの中心は、前記車輪の上端よりも低い位置に配置されている、請求項1に記載のキャスター。
【請求項3】
前記第1フォークは、
第3板部と、
前記第3板部と対向する第4板部とを含み、
前記キャスターは、
前記第1、第2、第3及び第4板部を貫通し、前記第1、第2、第3及び第4板部を連結する第2棒状部材をさらに備え、
前記キックバネは、前記第2棒状部材に巻き付けられている、請求項1または2に記載のキャスター。
【請求項4】
前記第1フォークは、前記キックバネと係合する係合部を含む、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のキャスター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャスターに関する。
【背景技術】
【0002】
特許第3799554号公報(特許文献1)は、キャスターを開示する。このキャスターは、内部に円錐コイルバネを含む。この円錐コイルバネは、キャスターが段差部を乗り越える場合等に生じる衝撃を吸収する。このキャスターによれば、円錐コイルバネが緩衝部材として機能するため、キャスターが段差部を乗り越える場合等に生じる衝撃を吸収することができる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第3799554号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示されているキャスターにおいては、たとえば、円錐コイルバネの取付け等に多数の部品が使用されているため、部品点数が嵩んでいる。その結果、部品コストが増加している。
【0005】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであって、その目的は、衝撃を吸収するように構成されたキャスターにおいて、部品点数を削減することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に従うキャスターは、第1フォークと、第2フォークと、車輪と、キックバネとを備える。第2フォークは、回動可能な状態で第1フォークに取り付けられており、所定位置において第1フォークと接触するように構成されている。車輪は、回動可能な状態で第2フォークに取り付けられている。キックバネは、第2フォークを所定位置に向けて付勢するように構成されている。
【0007】
このキャスターにおいては、キックバネによって衝撃が吸収される。キックバネの取付けに、特殊な部品は不要である。したがって、このキャスターによれば、バネの取付け等に特殊な部品が必要となるキャスターと比較して、部品点数を削減することができる。
【0008】
好ましくは、本発明に従うキャスターにおいて、キックバネの中心は、車輪の上端よりも低い位置に配置されている。
【0009】
このキャスターによれば、キャスターの高さ方向の長さをより短くすることができる。
【0010】
また、好ましくは、第2フォークは、第1板部と、第1板部と対向する第2板部とを含み、第1及び第2板部によって、車輪が挟まれており、キャスターは、第1及び第2板部を貫通し、第1及び第2板部を連結する第1棒状部材をさらに備え、キックバネは、第1棒状部材に接触している。
【0011】
このキャスターにおいては、第2フォークにおいて第1及び第2板部を連結する部材と、キックバネを支持する部材とが、第1棒状部材によって共用されている。したがって、このキャスターによれば、第1及び第2板部を連結する部材とキックバネを支持する部材とを別々に設ける必要がないため、部品点数を削減することができる。
【0012】
また、好ましくは、第1フォークは、第3板部と、第3板部と対向する第4板部とを含み、キャスターは、第1、第2、第3及び第4板部を貫通し、第1、第2、第3及び第4板部を連結する第2棒状部材をさらに備え、キックバネは、第2棒状部材に巻き付けられている。
【0013】
また、好ましくは、第1フォークは、キックバネと係合する係合部を含んでいる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、衝撃を吸収するように構成されたキャスターにおいて、部品点数を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】キャスターの側面を示す図である。
図2】キャスターの前面を示す図である。
図3】キャスターの前面を示すとともに隠れ線を示す図である。
図4】ピンの断面を示す図である。
図5】キャスターの動作を説明するための図である。
図6】キャスターの変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0017】
[1.キャスターの構成]
図1は、本実施の形態に従うキャスター10の側面を示す図である。図2は、キャスター10の前面を示す図である。図3は、キャスター10の前面を示すとともに隠れ線を示す図である。図1図2及び図3において、矢印U方向はキャスター10の上方を示し、矢印D方向はキャスター10の下方を示す。矢印R方向はキャスター10の右方を示し、矢印L方向はキャスター10の左方を示す。矢印F方向はキャスター10の前方を示し、矢印B方向はキャスター10の後方を示す。各矢印の方向は、他の図面においても同様である。
【0018】
キャスター10は、たとえば、各種製品(豆腐、ケーキ等)を運搬するための台車の底部に取り付けられる。たとえば、キャスター10は、1台の台車につき4つ取り付けられる。キャスター10においては、キャスター10が段差を乗り越える場合等に生じる衝撃を吸収するための構成上の工夫が採用されている。以下、キャスター10の構成について説明する。
【0019】
図1図2及び図3に示されるように、キャスター10は、固定部材400と、フォーク100,200と、車輪300と、キックバネ500とを含んでいる。固定部材400は、たとえば、金属製のネジステムによって構成されており、台車の底部等に取り付けられる。
【0020】
フォーク100は、金属製であり、ベアリング(不図示)を介して固定部材400に取り付けられている。フォーク100は、固定部材400に対して旋回可能である。フォーク100は、金属板を折り曲げる等することによって成型されており、上板部と側板部102,104(図2)とを含んでいる。側板部102,104の各々の内側には係合部110(図3)が形成されている。各係合部110は、側板部102,104の各々から内側に延びる略L字状の部分である。係合部110の役割については後程説明する。
【0021】
フォーク200は、金属製であり、フォーク100を外側から挟み込むように配置されている。フォーク200は、金属板を折り曲げる等することによって成型されており、側板部202,204と前板部250とを含んでいる。フォーク200は、支持ピン220及びピン210を介してフォーク100に回動可能に取り付けられている。すなわち、支持ピン220及びピン210の各々は、側板部202,204(図2)及び側板部102,104を貫通し、側板部202,204及び側板部102,104を連結している。
【0022】
なお、支持ピン220は、ピン224と支持部材222(図3)とを含んでいる。支持部材222は、たとえばMCナイロンによって構成された円筒状の部材であり、ピン224の周囲を覆っている。また、支持ピン220は、車輪300の前端よりも前方に位置するとともに、車輪300の上端よりも低所に位置している(図1)。
【0023】
フォーク200は、支持ピン220を軸としてフォーク100に対して回動可能である。フォーク100,200の間であり、かつ、ピン224の周囲である位置には、樹脂製のブッシュ223(図3)が配置されている。したがって、フォーク200の回動による金属摩耗は抑制されている。なお、フォーク100にはフォーク200の回動に伴なうピン210の回動をガイドする溝(不図示)が形成されており、フォーク200の回動時にピン210は該溝に沿って回動する。
【0024】
また、フォーク200には、ピン230が取り付けられている。ピン230は、側板部202及び側板部204を貫通し、側板部202及び側板部204を連結している。ピン230,210の各々は、側板部202,204間の長さを一定に保つ役割を有する。ここでは、ピン230,210を代表して、ピン230の詳細な構成について説明する。なお、ピン210の構成もピン230の構成と同様である。
【0025】
図4は、ピン230の断面を示す図である。図4に示されるように、ピン230は、段付きピン232と、円筒部材234と、キャップ233とを含んでいる。キャップ233は段付きピン232の先端に取り付けられ、円筒部材234は段付きピン232の周囲を覆っている。段付きピン232のキャップ233が取り付けられていない方の端部にはカシメ加工が施されている。
【0026】
段付きピン232は、側板部204に接する位置に段差部を有している。したがって、段付きピン232の段差部とキャップ233とによって、側板部204は両サイドから固定されている。仮に円筒部材234が設けられていない場合には、側板部202は内側に移動し得る。ピン230においては、円筒部材234が設けられているため、段付きピン232のカシメ部と円筒部材234とによって側板部202が両サイドから固定されている。したがって、ピン230によれば、側板部202,204間の長さを一定に保つことができる。
【0027】
再び図1図2及び図3を参照して、車輪300は、側板部202,204に挟まれており、車軸240を介してフォーク200に取り付けられている。車輪300は、フォーク200に対して回動可能である。
【0028】
キックバネ500は、いわゆるダブルトーションバネであり、支持ピン220(支持部材222)に巻き付けられている。すなわち、キックバネ500の中心(コイル中心)は、車輪300の前端よりも前方に位置するとともに、車輪300の上端よりも低所に位置している(図1)。すなわち、キャスター10においては、バネの中心が車輪300の上端よりも高所に位置している場合と比較して、高さ方向の長さが短くなっている。
【0029】
また、キックバネ500の一方の端部付近は係合部110に係合しており、キックバネ500の他方の端部付近はピン230に係合している(図3)。キックバネ500は、キャスター10に衝撃等が加わっていない状態において、前板部250がフォーク100の前端に接するようにフォーク200を付勢する。すなわち、キャスター10に衝撃等が加わっていない状態において、フォーク200は所定位置(前板部250がフォーク100の前端に接する位置)に位置している。
【0030】
[2.対応関係]
キャスター10は、本発明の「キャスター」の一例である。フォーク100は本発明の「第1フォーク」の一例であり、フォーク200は本発明の「第2フォーク」の一例である。車輪300は本発明の「車輪」の一例であり、キックバネ500は本発明の「キックバネ」の一例である。側板部202は本発明の「第1板部」の一例であり、側板部204は本発明の「第2板部」の一例である。ピン230は、本発明の「第1棒状部材」の一例である。側板部102は本発明の「第3板部」の一例であり、側板部104は本発明の「第4板部」の一例である。支持ピン220は、本発明の「第2棒状部材」の一例である。係合部110は、本発明の「係合部」の一例である。
【0031】
[3.キャスターの動作]
図5は、キャスター10の動作を説明するための図である。図5を参照して、キャスター10が段差に当たると、車輪300が上方に持ち上げられる。車輪300が持ち上げられることによって、キックバネ500が内側に撓り、フォーク200がフォーク100に対して回動する。これにより、前板部250(図2)はフォーク100の前端から離れ、衝撃が吸収される。そして、キャスター10が段差を乗り越えた後に、撓ったキックバネ500は元に戻り、フォーク200も所定位置(前板部250がフォーク100の前端に接する位置)に戻る。
【0032】
[4.特徴]
以上のように、本実施の形態に従うキャスター10においては、キックバネ500によって衝撃が吸収される。キックバネ500の取付けに、特殊な部品は不要である。したがって、このキャスター10によれば、バネの取付け等に特殊な部品が必要となるキャスターと比較して、部品点数を削減することができる。
【0033】
また、キャスター10においては、フォーク200において側板部202,204を連結する部材と、キックバネ500を支持する部材とが、ピン230によって共用されている(図3)。したがって、このキャスター10によれば、側板部202,204を連結する部材とキックバネ500を支持する部材とを別々に設ける必要がないため、部品点数を削減することができる。
【0034】
[5.変形例]
以上、実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。以下、変形例について説明する。
【0035】
上記実施の形態においては、固定部材400がステムネジによって構成された。しかしながら、固定部材400は必ずしもステムネジによって構成される必要はない。固定部材400は、たとえば、取付け用のプレートによって構成されてもよい。
【0036】
図6は、上記実施の形態に従うキャスター10の変形例を示す図である。図6に示されるように、キャスター10Aは、固定部材400Aを含んでいる。固定部材400Aは、台車の底面等に取り付け可能なプレートである。固定部材400Aは、たとえば、台車の底面にネジ止めされる。フォーク100は、固定部材400Aに対して旋回可能に取り付けられている。
【符号の説明】
【0037】
10,10A キャスター、100,200 フォーク、102,104,202,204 側板部、110 係合部、210,224,230 ピン、220 支持ピン、222 支持部材、223 ブッシュ、232 段付きピン、233 キャップ、234 円筒部材、240 車軸、250 前板部、300 車輪、400,400A 固定部材、500 キックバネ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6