(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-14
(45)【発行日】2022-09-26
(54)【発明の名称】センサおよびコンポーネント
(51)【国際特許分類】
G01B 7/16 20060101AFI20220915BHJP
B62M 6/50 20100101ALI20220915BHJP
【FI】
G01B7/16 R
B62M6/50
(21)【出願番号】P 2018160673
(22)【出願日】2018-08-29
【審査請求日】2020-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】高山 仁志
(72)【発明者】
【氏名】木下 恵利
【審査官】信田 昌男
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-086619(JP,A)
【文献】特開平05-332859(JP,A)
【文献】特開昭55-024409(JP,A)
【文献】特開平07-158636(JP,A)
【文献】特開2008-157830(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 7/16
B62M 6/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転中心軸心まわりに回転する被測定物に取り付けられ、前記被測定物の前記回転中心軸心まわりのねじれを検出するための歪みセンサを含むセンサであって、
前記歪みセンサは、歪みゲージであり、
前記歪みセンサは、
可撓性を有する
シート状の電気絶縁部材と、
前記電気絶縁部材に設けられ、予め定めるパターン部を有する導電膜と、を含み、
前記予め定めるパターン部は、前記
電気絶縁部材が前記被測定物に取り付けられている状態で、前記被測定物の前記回転中心軸心まわりの周方向に90°以上にわたり連続して延びている、センサ。
【請求項2】
回転中心軸心まわりに回転する被測定物に取り付けられ、前記被測定物の前記回転中心軸心まわりのねじれを検出するための歪みセンサを含むセンサであって、
前記歪みセンサは、歪みゲージであり、
前記歪みセンサは、
可撓性を有する電気絶縁部材と、
前記電気絶縁部材に設けられ、予め定めるパターン部を有する導電膜と、を含み、
前記予め定めるパターン部は、前記歪みセンサが前記被測定物に取り付けられている状態で、前記被測定物の前記回転中心軸心まわりの周方向に90°以上にわたり連続して延びており、
前記歪みセンサが前記被測定物に取り付けられている状態で、前記予め定めるパターン部は、前記回転中心軸心に平行な方向および前記被測定物の前記周方向のそれぞれに対して傾斜して延びる部分を含む
、センサ。
【請求項3】
回転中心軸心まわりに回転する被測定物に取り付けられ、前記被測定物の前記回転中心軸心まわりのねじれを検出するための歪みセンサを含むセンサであって、
前記歪みセンサは、歪みゲージであり、
前記歪みセンサは、
可撓性を有する電気絶縁部材と、
前記電気絶縁部材に設けられ、予め定めるパターン部を有する導電膜と、を含み、
前記予め定めるパターン部は、前記歪みセンサが前記被測定物に取り付けられている状態で、前記被測定物の前記回転中心軸心まわりの周方向に90°以上にわたり連続して延びており、
前記予め定めるパターン部は、2つのパターン部を含み、
前記歪みセンサが前記被測定物に取り付けられている状態で、前記2つのパターン部は、前記被測定物の前記周方向に間隔をあけて配置される
、センサ。
【請求項4】
回転中心軸心まわりに回転する被測定物に取り付けられ、前記被測定物の前記回転中心軸心まわりのねじれを検出するための歪みセンサを含むセンサであって、
前記歪みセンサは、歪みゲージであり、
前記歪みセンサは、
可撓性を有する電気絶縁部材と、
前記電気絶縁部材に設けられ、予め定めるパターン部を有する導電膜と、を含み、
前記予め定めるパターン部は、前記歪みセンサが前記被測定物に取り付けられている状態で、前記被測定物の前記回転中心軸心まわりの周方向に90°以上にわたり連続して延びており、
前記予め定めるパターン部は、2つのパターン部を含み、
前記歪みセンサが前記被測定物に取り付けられている状態で、前記2つのパターン部は、前記回転中心軸心に垂直な第1平面に交差するように配置される
、センサ。
【請求項5】
回転中心軸心まわりに回転する被測定物に取り付けられ、前記被測定物の前記回転中心軸心まわりのねじれを検出するための歪みセンサを含むセンサであって、
前記歪みセンサは、
可撓性を有する電気絶縁部材と、
前記電気絶縁部材に設けられ、予め定めるパターン部を有する導電膜と、を含み、
前記予め定めるパターン部は、前記歪みセンサが前記被測定物に取り付けられている状態で、前記被測定物の前記回転中心軸心まわりの周方向に90°以上にわたり延び、かつ2つのパターン部を含み、
前記歪みセンサが前記被測定物に取り付けられている状態で、前記2つのパターン部は、前記被測定物の前記周方向に間隔をあけて配置される、センサ。
【請求項6】
回転中心軸心まわりに回転する被測定物に取り付けられ、前記被測定物の前記回転中心軸心まわりのねじれを検出するための歪みセンサを含むセンサであって、
前記歪みセンサは、
可撓性を有する電気絶縁部材と、
前記電気絶縁部材に設けられ、予め定めるパターン部を有する導電膜と、を含み、
前記予め定めるパターン部は、前記歪みセンサが前記被測定物に取り付けられている状態で、前記被測定物の前記回転中心軸心まわりの周方向に90°以上にわたり延び、かつ2つのパターン部を含み、
前記歪みセンサが前記被測定物に取り付けられている状態で、前記2つのパターン部は、前記回転中心軸心に垂直な第1平面に交差するように配置される、センサ。
【請求項7】
前記2つのパターン部は、前記歪みセンサが前記被測定物に取り付けられている状態で、前記被測定物の前記周方向に180°以上にわたり延びている、請求項3~6のいずれか一項に記載のセンサ。
【請求項8】
前記被測定物の前記周方向において、前記2つのパターン部の長さは実質的に等しく、
前記回転中心軸心に平行な方向において、前記2つのパターン部の長さは実質的に等しい、請求項3~7のいずれか一項に記載のセンサ。
【請求項9】
前記2つのパターン部はそれぞれ、前記回転中心軸心に平行な方向および前記被測定物の前記周方向のそれぞれに対して傾斜して延びる部分を含み、
前記2つのパターン部は、前記回転中心軸心を含む平面に関して面対称に形成される、請求項3~8のいずれか一項に記載のセンサ。
【請求項10】
回転中心軸心まわりに回転する被測定物に取り付けられ、前記被測定物の前記回転中心軸心まわりのねじれを検出するための歪みセンサを含むセンサであって、
前記歪みセンサは、歪みゲージであり、
前記歪みセンサは、
可撓性を有する電気絶縁部材と、
前記電気絶縁部材に設けられ、予め定めるパターン部を有する導電膜と、を含み、
前記予め定めるパターン部は、前記歪みセンサが前記被測定物に取り付けられている状態で、前記被測定物の前記回転中心軸心まわりの周方向に90°以上にわたり連続して延びており、
前記予め定めるパターン部は、2つのパターン部を含み、
前記歪みセンサが前記被測定物に取り付けられている状態で、前記2つのパターン部は、前記回転中心軸心に平行な方向に間隔をあけて配置される
、センサ。
【請求項11】
前記歪みセンサが前記被測定物に取り付けられている状態で、前記回転中心軸心に平行な方向から見た場合、前記2つのパターン部は少なくとも一部が重なるように配置される、請求項10に記載のセンサ。
【請求項12】
前記歪みセンサが前記被測定物に取り付けられている状態で、前記回転中心軸心に平行な方向から見た場合、前記2つのパターン部は全体が重なるように配置される、請求項11に記載のセンサ。
【請求項13】
前記被測定物の前記周方向において、前記2つのパターン部の長さは実質的に等しく、
前記回転中心軸心に平行な方向において、前記2つのパターン部の長さは実質的に等しい、請求項10~12のいずれか一項に記載のセンサ。
【請求項14】
前記2つのパターン部は、前記回転中心軸心に平行な方向および前記被測定物の前記周方向のそれぞれに対して傾斜して延びる部分をそれぞれ含み、
前記2つのパターン部は、前記回転中心軸心に垂直な平面に対して対称に形成される、請求項10~13のいずれか一項に記載のセンサ。
【請求項15】
回転中心軸心まわりに回転する被測定物に取り付けられ、前記被測定物の前記回転中心軸心まわりのねじれを検出するための歪みセンサを含むセンサであって、
前記歪みセンサは、歪みゲージであり、
前記歪みセンサは、
可撓性を有する電気絶縁部材と、
前記電気絶縁部材に設けられ、予め定めるパターン部を有する導電膜と、を含み、
前記予め定めるパターン部は、前記歪みセンサが前記被測定物に取り付けられている状態で、前記被測定物の前記回転中心軸心まわりの周方向に90°以上にわたり連続して延びており、
前記予め定めるパターン部は、第1パターン部、第2パターン部、第3パターン部および第4パターン部を含み、
前記歪みセンサが前記被測定物に取り付けられている状態で、
前記第1パターン部は、前記第2パターン部、前記第3パターン部および前記第4パターン部に対して、前記被測定物の前記周方向および前記回転中心軸心に平行な方向の少なくとも一方において間隔をあけて配置され、
前記第2パターン部は、前記第1パターン部、前記第3パターン部および前記第4パターン部に対して、前記被測定物の前記周方向および前記回転中心軸心に平行な方向の少なくとも一方において間隔をあけて配置され、
前記第3パターン部は、前記第1パターン部、前記第2パターン部および前記第4パターン部に対して、前記被測定物の前記周方向および前記回転中心軸心に平行な方向の少なくとも一方において間隔をあけて配置され、
前記第4パターン部は、前記第1パターン部、前記第2パターン部および前記第3パターン部に対して、前記被測定物の前記周方向および前記回転中心軸心に平行な方向の少なくとも一方において間隔をあけて配置される
、センサ。
【請求項16】
回転中心軸心まわりに回転する被測定物に取り付けられ、前記被測定物の前記回転中心軸心まわりのねじれを検出するための歪みセンサを含むセンサであって、
前記歪みセンサは、
可撓性を有する電気絶縁部材と、
前記電気絶縁部材に設けられ、予め定めるパターン部を有する導電膜と、を含み、
前記予め定めるパターン部は、前記歪みセンサが前記被測定物に取り付けられている状態で、前記被測定物の前記回転中心軸心まわりの周方向に90°以上にわたり延び、かつ前記予め定めるパターン部は、第1パターン部、第2パターン部、第3パターン部および第4パターン部を含み、
前記歪みセンサが前記被測定物に取り付けられている状態で、
前記第1パターン部は、前記第2パターン部、前記第3パターン部および前記第4パターン部に対して、前記被測定物の前記周方向および前記回転中心軸心に平行な方向の少なくとも一方において間隔をあけて配置され、
前記第2パターン部は、前記第1パターン部、前記第3パターン部および前記第4パターン部に対して、前記被測定物の前記周方向および前記回転中心軸心に平行な方向の少なくとも一方において間隔をあけて配置され、
前記第3パターン部は、前記第1パターン部、前記第2パターン部および前記第4パターン部に対して、前記被測定物の前記周方向および前記回転中心軸心に平行な方向の少なくとも一方において間隔をあけて配置され、
前記第4パターン部は、前記第1パターン部、前記第2パターン部および前記第3パターン部に対して、前記被測定物の前記周方向および前記回転中心軸心に平行な方向の少なくとも一方において間隔をあけて配置される、センサ。
【請求項17】
前記歪みセンサが前記被測定物に取り付けられている状態で、
前記第1パターン部および前記第2パターン部は、前記被測定物の前記周方向に間隔をあけて配置され、
前記第3パターン部および前記第4パターン部は、前記被測定物の前記周方向に間隔をあけて配置され、
前記第1パターン部および前記第3パターン部は、前記回転中心軸心に平行な方向に間隔をあけて配置され、
前記第2パターン部および前記第4パターン部は、前記回転中心軸心に平行な方向に間隔をあけて配置される、請求項15または16に記載のセンサ。
【請求項18】
前記歪みセンサが前記被測定物に取り付けられている状態で、
前記第1パターン部および前記第2パターン部は、前記回転中心軸心に垂直な第1平面に交差するように配置され、
前記第3パターン部および前記第4パターン部は、前記回転中心軸心に垂直な第2平面に交差するように配置される、請求項17に記載のセンサ。
【請求項19】
前記歪みセンサが前記被測定物に取り付けられている状態で、前記回転中心軸心に平行な方向から見た場合、
前記第1パターン部および前記第3パターン部は、少なくとも一部が重なるように配置され、
前記第2パターン部および前記第4パターン部は、少なくとも一部が重なるように配置される、請求項17または18に記載のセンサ。
【請求項20】
前記歪みセンサが前記被測定物に取り付けられている状態で、前記回転中心軸心に平行な方向から見た場合、
前記第1パターン部および前記第3パターン部は、全体が重なるように配置され、
前記第2パターン部および前記第4パターン部は、全体が重なるように配置される、請求項19に記載のセンサ。
【請求項21】
前記歪みセンサが前記被測定物に取り付けられている状態で、前記第1パターン部および前記第2パターン部と、前記第3パターン部および前記第4パターン部とは、前記被測定物の前記周方向に180°以上にわたり延びている、請求項17~20のいずれか一項に記載のセンサ。
【請求項22】
前記被測定物の前記周方向において、前記第1パターン部、前記第2パターン部、前記第3パターン部および前記第4パターン部の長さは実質的に等しく、
前記回転中心軸心に平行な方向において、前記第1パターン部、前記第2パターン部、前記第3パターン部および前記第4パターン部の長さは実質的に等しい、請求項17~21のいずれか一項に記載のセンサ。
【請求項23】
前記第1パターン部、前記第2パターン部、前記第3パターン部および前記第4パターン部は、前記回転中心軸心に平行な方向および前記被測定物の前記周方向のそれぞれに対して傾斜して延びる部分をそれぞれ含み、
前記第1パターン部および前記第2パターン部は、前記回転中心軸心を含む平面に関して面対称に形成され、
前記第3パターン部および前記第4パターン部は、前記回転中心軸心を含む平面に関して面対称に形成され、
前記第1パターン部および前記第3パターン部は、前記回転中心軸心に垂直な平面に対して対称に形成され、
前記第2パターン部および前記第4パターン部は、前記回転中心軸心に垂直な平面に対して対称に形成される、請求項17~22のいずれか一項に記載のセンサ。
【請求項24】
回転中心軸心まわりに回転する被測定物に取り付けられ、前記被測定物の前記回転中心軸心まわりのねじれを検出するための歪みセンサを含むセンサであって、
前記歪みセンサは、歪みゲージであり、
前記歪みセンサは、
可撓性を有する電気絶縁部材と、
前記電気絶縁部材に設けられ、予め定めるパターン部を有する導電膜と、を含み、
前記予め定めるパターン部は、前記歪みセンサが前記被測定物に取り付けられている状態で、前記被測定物の前記回転中心軸心まわりの周方向に90°以上にわたり連続して延びており、
前記予め定めるパターン部は、ホイートストンブリッジ回路の少なくとも一部を構成する
、センサ。
【請求項25】
前記歪みセンサは、前記電気絶縁部材に設けられ、前記ホイートストンブリッジ回路の4つの端子を構成する第1端子、第2端子、第3端子および第4端子をさらに含む、請求項24に記載のセンサ。
【請求項26】
前記第1端子、前記第2端子、前記第3端子および前記第4端子は、前記被測定物の前記周方向において前記電気絶縁部材の端部にそれぞれ配置される、請求項25に記載のセンサ。
【請求項27】
回転中心軸心まわりに回転する被測定物に取り付けられ、前記被測定物の前記回転中心軸心まわりのねじれを検出するための歪みセンサを含むセンサであって、
前記歪みセンサは、歪みゲージであり、
前記歪みセンサは、
可撓性を有する電気絶縁部材と、
前記電気絶縁部材に設けられ、予め定めるパターン部を有する導電膜と、を含み、
前記予め定めるパターン部は、前記歪みセンサが前記被測定物に取り付けられている状態で、前記被測定物の前記回転中心軸心まわりの周方向に90°以上にわたり連続して延びており、
前記センサは、温度検出部をさらに含む
、センサ。
【請求項28】
回転中心軸心まわりに回転する被測定物に取り付けられ、前記被測定物の前記回転中心軸心まわりのねじれを検出するための歪みセンサを含むセンサであって、
前記歪みセンサは、
可撓性を有する電気絶縁部材と、
前記電気絶縁部材に設けられ、予め定めるパターン部を有する導電膜と、を含み、
前記予め定めるパターン部は、前記歪みセンサが前記被測定物に取り付けられている状態で、前記被測定物の前記回転中心軸心まわりの周方向に90°以上にわたり延び、
前記センサは、温度検出部をさらに含む、センサ。
【請求項29】
前記温度検出部は、前記被測定物の前記周方向において前記電気絶縁部材の端部に配置される、請求項27または28に記載のセンサ。
【請求項30】
前記被測定物は、人力駆動車の一部を含む、請求項1~29のいずれか一項に記載のセンサ。
【請求項31】
前記電気絶縁部材は、前記被測定物に接着によって取り付けられる、または、前記被測定物に直接形成される、請求項1~30のいずれか一項に記載のセンサ。
【請求項32】
被測定物と、
前記被測定物に取り付けられる歪みセンサと、を含むコンポーネントであって、
前記被測定物において前記歪みセンサが取り付けられる領域は、前記歪みセンサの前記被測定物に対向する取付面の周縁が前記被測定物に直接接触しないように形成される凹部を含み、
前記凹部には、前記被測定物と前記歪みセンサとを接着する接着剤が充填され、
前記接着剤は、前記被測定物と前記取付面の周縁とを接着する、コンポーネント。
【請求項33】
前記凹部は、前記歪みセンサの前記周縁の全周にわたり形成される、請求項32に記載のコンポーネント。
【請求項34】
前記被測定物において、前記歪みセンサに対向する前記凹部のエッジは曲面によって形成される、請求項32または33に記載のコンポーネント。
【請求項35】
前記接着剤は、前記歪みセンサの周縁のうち、前記取付面とは反対側の面にも設けられる、請求項32~34のいずれか一項に記載のコンポーネント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、センサ、および、センサを含むコンポーネントに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被測定物のねじれを検出するセンサは、可撓性を備えた単一の電気絶縁部材の表面に金属膜のパターンで形成される歪みセンサを含む。センサは、電気絶縁部材を被測定物の表面に取り付けられ、被測定物のねじれを検出する。特許文献1の捩れモーメント検出装置は、従来のセンサの一例である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
歪みセンサによる被測定物のねじれの検出精度が高いことが好ましい。
本開示の目的の1つは、被測定物のねじれの検出精度を向上できるセンサおよびコンポーネントを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1側面に従うセンサは、回転中心軸心まわりに回転する被測定物に取り付けられ、前記被測定物の前記回転中心軸心まわりのねじれを検出するための歪みセンサを含むセンサであって、前記歪みセンサは、可撓性を有する電気絶縁部材と、前記電気絶縁部材に設けられ、予め定めるパターン部を有する導電膜と、を含み、前記予め定めるパターン部は、前記歪みセンサが前記被測定物に取り付けられている状態で、前記被測定物の前記回転中心軸心まわりの周方向に90°以上にわたり延びている。
第1側面のセンサによれば、歪みセンサが被測定物の回転中心軸心まわりのねじれを検出する範囲が広くなるため、被測定物の回転中心軸心まわりのねじれの検出精度を向上できる。
【0006】
本開示の第1側面に従う第2側面のセンサにおいて、前記歪みセンサが前記被測定物に取り付けられている状態で、前記予め定めるパターン部は、前記回転中心軸心に平行な方向および前記被測定物の前記周方向のそれぞれに対して傾斜して延びる部分を含む。
第2側面のセンサによれば、被測定物の回転中心軸心まわりのねじれの方向とパターン部が延びる方向とが近づくことによって、歪みセンサによる被測定物の回転中心軸心まわりのねじれの検出精度を向上できる。
【0007】
本開示の第1または第2側面に従う第3側面のセンサにおいて、前記予め定めるパターン部は、2つのパターン部を含み、前記歪みセンサが前記被測定物に取り付けられている状態で、前記2つのパターン部は、前記被測定物の前記周方向に間隔をあけて配置される。
第3側面のセンサによれば、歪みセンサが被測定物の回転中心軸心まわりのねじれを検出する範囲が広くなるため、被測定物の回転中心軸心まわりのねじれの検出精度を向上できる。
【0008】
本開示の第1または第2側面に従う第4側面のセンサにおいて、前記予め定めるパターン部は、2つのパターン部を含み、前記歪みセンサが前記被測定物に取り付けられている状態で、前記2つのパターン部は、前記回転中心軸心に垂直な第1平面に交差するように配置される。
第4側面のセンサによれば、被測定物の回転中心軸心に平行な方向において、2つのパターン部が被測定物のうちの概ね同じ箇所に配置されるため、回転中心軸心に平行な方向において被測定物のうちの概ね同じ箇所の回転中心軸心まわりのねじれを、被測定物の回転中心軸心まわりの周方向において広く検出できる。したがって、被測定物の回転中心軸心まわりのねじれの検出精度を向上できる。
【0009】
本開示の第3または第4側面に従う第5側面のセンサにおいて、前記2つのパターン部は、前記歪みセンサが前記被測定物に取り付けられている状態で、前記被測定物の前記周方向に180°以上にわたり延びている。
第5側面のセンサによれば、歪みセンサが被測定物の回転中心軸心まわりのねじれを検出する範囲がより広くなるため、被測定物の回転中心軸心まわりのねじれの検出精度を一層向上できる。
【0010】
本開示の第3~第5側面のいずれか一つに従う第6側面のセンサにおいて、前記被測定物の前記周方向において、前記2つのパターン部の長さは実質的に等しく、前記回転中心軸心に平行な方向において、前記2つのパターン部の長さは実質的に等しい。
第6側面のセンサによれば、2つのパターン部の長さの違いに起因する、被測定物の回転中心軸心まわりのねじれの検出精度のばらつきを抑制できる。
【0011】
本開示の第3~第6側面のいずれか一つに従う第7側面のセンサにおいて、前記2つのパターン部はそれぞれ、前記回転中心軸心に平行な方向および前記被測定物の前記周方向のそれぞれに対して傾斜して延びる部分を含み、前記2つのパターン部は、前記回転中心軸心を含む平面に関して面対称に形成される。
第7側面のセンサによれば、被測定物が回転中心軸心まわりに第1方向にねじれる場合、および、被測定物が第1方向とは反対の第2方向にねじれる場合の両方において、被測定物の回転中心軸心まわりのねじれを精度よく検出できる。
【0012】
本開示の第1または第2側面に従う第8側面のセンサにおいて、前記予め定めるパターン部は、2つのパターン部を含み、前記歪みセンサが前記被測定物に取り付けられている状態で、前記2つのパターン部は、前記回転中心軸心に平行な方向に間隔をあけて配置される。
第8側面のセンサによれば、回転中心軸心に平行な方向において、被測定物の異なる箇所における回転中心軸心まわりのねじれを検出できる。
【0013】
本開示の第8側面に従う第9側面のセンサにおいて、前記歪みセンサが前記被測定物に取り付けられている状態で、前記回転中心軸心に平行な方向から見た場合、前記2つのパターン部は少なくとも一部が重なるように配置される。
第9側面のセンサによれば、被測定物の回転中心軸心まわりの周方向において、2つのパターン部が概ね同じ箇所に配置されるため、回転中心軸心に平行な方向において被測定物の異なる箇所かつ周方向において被測定物の概ね同じ箇所における回転中心軸心まわりのねじれを検出できる。
【0014】
本開示の第9側面に従う第10側面のセンサにおいて、前記歪みセンサが前記被測定物に取り付けられている状態で、前記回転中心軸心に平行な方向から見た場合、前記2つのパターン部は全体が重なるように配置される。
第10側面のセンサによれば、被測定物の回転中心軸心まわりの周方向において、2つのパターン部が同じ箇所に配置されるため、回転中心軸心に平行な方向において被測定物の異なる箇所かつ周方向において被測定物の同じ箇所における回転中心軸心まわりのねじれを検出できる。
【0015】
本開示の第8~第10側面のいずれか一つに従う第11側面のセンサにおいて、前記被測定物の前記周方向において、前記2つのパターン部の長さは実質的に等しく、前記回転中心軸心に平行な方向において、前記2つのパターン部の長さは実質的に等しい。
第11側面のセンサによれば、2つのパターン部の長さの違いに起因する、被測定物の回転中心軸心まわりのねじれの検出精度のばらつきを抑制できる。
【0016】
本開示の第8~第11側面に従う第12側面のセンサにおいて、前記2つのパターン部は、前記回転中心軸心に平行な方向および前記被測定物の前記周方向のそれぞれに対して傾斜して延びる部分をそれぞれ含み、前記2つのパターン部は、前記回転中心軸心に垂直な平面に対して対称に形成される。
第12側面のセンサによれば、被測定物が回転中心軸心まわりに第1方向にねじれる場合、および、被測定物が第1方向とは反対の第2方向にねじれる場合の両方において、被測定物の回転中心軸心まわりのねじれを精度よく検出できる。
【0017】
本開示の第1または第2側面に従う第13側面のセンサにおいて、前記予め定めるパターン部は、第1パターン部、第2パターン部、第3パターン部および第4パターン部を含み、前記歪みセンサが前記被測定物に取り付けられている状態で、前記第1パターン部は、前記第2パターン部、前記第3パターン部および前記第4パターン部に対して、前記被測定物の前記周方向および前記回転中心軸心に平行な方向の少なくとも一方において間隔をあけて配置され、前記第2パターン部は、前記第1パターン部、前記第3パターン部および前記第4パターン部に対して、前記被測定物の前記周方向および前記回転中心軸心に平行な方向の少なくとも一方において間隔をあけて配置され、前記第3パターン部は、前記第1パターン部、前記第2パターン部および前記第4パターン部に対して、前記被測定物の前記周方向および前記回転中心軸心に平行な方向の少なくとも一方において間隔をあけて配置され、前記第4パターン部は、前記第1パターン部、前記第2パターン部および前記第3パターン部に対して、前記被測定物の前記周方向および前記回転中心軸心に平行な方向の少なくとも一方において間隔をあけて配置される。
第13側面のセンサによれば、被測定物の回転中心軸心まわりの周方向において歪みセンサがねじれを検出する範囲が広くなり、回転中心軸心に平行な方向において、被測定物の異なる箇所における回転中心軸心まわりのねじれを検出できる。したがって、被測定物の回転中心軸心まわりのねじれの検出精度を向上できる。
【0018】
本開示の第13側面に従う第14側面のセンサにおいて、前記歪みセンサが前記被測定物に取り付けられている状態で、前記第1パターン部および前記第2パターン部は、前記被測定物の前記周方向に間隔をあけて配置され、前記第3パターン部および前記第4パターン部は、前記被測定物の前記周方向に間隔をあけて配置され、前記第1パターン部および前記第3パターン部は、前記回転中心軸心に平行な方向に間隔をあけて配置され、前記第2パターン部および前記第4パターン部は、前記回転中心軸心に平行な方向に間隔をあけて配置される。
第14側面のセンサによれば、被測定物の回転中心軸心まわりの周方向において歪みセンサがねじれを検出する範囲が広くなり、回転中心軸心に平行な方向において、被測定物の異なる箇所における回転中心軸心まわりのねじれを検出できる。したがって、被測定物の回転中心軸心まわりのねじれの検出精度を向上できる。
【0019】
本開示の第14側面に従う第15側面のセンサにおいて、前記歪みセンサが前記被測定物に取り付けられている状態で、前記第1パターン部および前記第2パターン部は、前記回転中心軸心に垂直な第1平面に交差するように配置され、前記第3パターン部および前記第4パターン部は、前記回転中心軸心に垂直な第2平面に交差するように配置される。
第15側面のセンサによれば、被測定物の回転中心軸心に平行な方向において、第1パターン部および第2パターン部が被測定物のうちの概ね同じ箇所に配置され、第3パターン部および第4パターン部が被測定物のうちの概ね同じ箇所に配置される。このため、回転中心軸心に平行な方向において被測定物のうちの概ね同じ箇所の回転中心軸心まわりのねじれを、被測定物の回転中心軸心まわりの周方向において広く検出できる。したがって、被測定物の回転中心軸心まわりのねじれの検出精度を向上できる。
【0020】
本開示の第14または第15側面に従う第16側面のセンサにおいて、前記歪みセンサが前記被測定物に取り付けられている状態で、前記回転中心軸心に平行な方向から見た場合、前記第1パターン部および前記第3パターン部は、少なくとも一部が重なるように配置され、前記第2パターン部および前記第4パターン部は、少なくとも一部が重なるように配置される。
第16側面のセンサによれば、被測定物の回転中心軸心まわりの周方向において、第1パターン部および第3パターン部が概ね同じ箇所に配置され、第2パターン部および第4パターン部が概ね同じ箇所に配置される。このため、回転中心軸心に平行な方向において被測定物の異なる箇所かつ周方向において被測定物の概ね同じ箇所における回転中心軸心まわりのねじれを検出できる。
【0021】
本開示の第16側面に従う第17側面のセンサにおいて、前記歪みセンサが前記被測定物に取り付けられている状態で、前記回転中心軸心に平行な方向から見た場合、前記第1パターン部および前記第3パターン部は、全体が重なるように配置され、前記第2パターン部および前記第4パターン部は、全体が重なるように配置される。
第17側面のセンサによれば、被測定物の回転中心軸心まわりの周方向において、第1パターン部および第3パターン部が同じ箇所に配置され、第2パターン部および第4パターン部が同じ箇所に配置される。このため、回転中心軸心に平行な方向において被測定物の異なる箇所かつ周方向において被測定物の同じ箇所における回転中心軸心まわりのねじれを検出できる。
【0022】
本開示の第14~第17側面のいずれか一つに従う第18側面のセンサにおいて、前記歪みセンサが前記被測定物に取り付けられている状態で、前記第1パターン部および前記第2パターン部と、前記第3パターン部および前記第4パターン部とは、前記被測定物の前記周方向に180°以上にわたり延びている。
第18側面のセンサによれば、被測定物の回転中心軸心まわりの周方向において歪みセンサがねじれを検出する範囲が広くなる。したがって、被測定物の回転中心軸心まわりのねじれの検出精度を向上できる。
【0023】
本開示の第14~第18側面のいずれか一つに従う第19側面のセンサにおいて、前記被測定物の前記周方向において、前記第1パターン部、前記第2パターン部、前記第3パターン部および前記第4パターン部の長さは実質的に等しく、前記回転中心軸心に平行な方向において、前記第1パターン部、前記第2パターン部、前記第3パターン部および前記第4パターン部の長さは実質的に等しい。
第19側面のセンサによれば、第1パターン部、第2パターン部、第3パターン部および第4パターン部のそれぞれの長さの違いに起因する、被測定物の回転中心軸心まわりのねじれの検出精度のばらつきを抑制できる。
【0024】
本開示の第14~第19側面のいずれか一つに従う第20側面のセンサにおいて、前記第1パターン部、前記第2パターン部、前記第3パターン部および前記第4パターン部は、前記回転中心軸心に平行な方向および前記被測定物の前記周方向のそれぞれに対して傾斜して延びる部分をそれぞれ含み、前記第1パターン部および前記第2パターン部は、前記回転中心軸心を含む平面に関して面対称に形成され、前記第3パターン部および前記第4パターン部は、前記回転中心軸心を含む平面に関して面対称に形成され、前記第1パターン部および前記第3パターン部は、前記回転中心軸心に垂直な平面に対して対称に形成され、前記第2パターン部および前記第4パターン部は、前記回転中心軸心に垂直な平面に対して対称に形成される。
第20側面のセンサによれば、被測定物が回転中心軸心まわりに第1方向にねじれる場合、および、被測定物が第1方向とは反対の第2方向にねじれる場合の両方において、被測定物の回転中心軸心まわりのねじれを精度よく検出できる。
【0025】
本開示の第1~第20側面のいずれか一つに従う第21側面のセンサにおいて、前記予め定めるパターン部は、ホイートストンブリッジ回路の少なくとも一部を構成する。
第21側面のセンサによれば、被測定物がねじれると予め定めるパターン部によってホイートストンブリッジ回路の出力電圧が変化するので、被測定物の回転中心軸心まわりのねじれを検出できる。
【0026】
本開示の第21側面に従う第22側面のセンサにおいて、前記歪みセンサは、前記電気絶縁部材に設けられ、前記ホイートストンブリッジ回路の4つの端子を構成する第1端子、第2端子、第3端子および第4端子をさらに含む。
第22側面のセンサによれば、被測定物がねじれると予め定めるパターン部によってホイートストンブリッジ回路の出力電圧が変化するので、被測定物の回転中心軸心まわりのねじれを検出できる。
【0027】
本開示の第22側面に従う第23側面のセンサにおいて、前記第1端子、前記第2端子、前記第3端子および前記第4端子は、前記被測定物の前記周方向において前記電気絶縁部材の端部にそれぞれ配置される。
第23側面のセンサによれば、第1~第4端子を予め定めるパターン部よりも電気絶縁部材の端部側に好適に配置できる。
【0028】
本開示の第1~第23側面のいずれか一つに従う第24側面のセンサにおいて、前記センサは、温度検出部をさらに含む。
第24側面のセンサによれば、歪みセンサの温度による影響を反映できるため、被測定物の回転中心軸心まわりのねじれの検出精度をより向上できる。
【0029】
本開示の第24側面に従う第25側面のセンサにおいて、前記温度検出部は、前記被測定物の前記周方向において前記電気絶縁部材の端部に配置される。
第25側面のセンサによれば、温度検出部を予め定めるパターン部よりも電気絶縁部材の端部側に好適に配置できる。
【0030】
本開示の第1~第25側面に従う第26側面のセンサにおいて、前記被測定物は、人力駆動車の一部を含む。
第26側面のセンサによれば、人力駆動車の一部のねじれを好適に検出できる。
【0031】
本開示の第1~第26側面に従う第27側面のセンサにおいて、前記電気絶縁部材は、前記被測定物に接着によって取り付けられる、または、前記被測定物に直接形成される。
第27側面のセンサによれば、電気絶縁部材を被測定物に好適に取り付けることができる、または、電気絶縁部材を被測定物に好適に形成できる。
【0032】
本開示の第28側面に従うコンポーネントは、被測定物と、前記被測定物に取り付けられる歪みセンサと、を含むコンポーネントであって、前記被測定物において前記歪みセンサが取り付けられる領域は、前記歪みセンサの前記被測定物に対向する取付面の周縁が前記被測定物に直接接触しないように形成される凹部を含み、前記凹部には、前記被測定物と前記歪みセンサとを接着する接着剤が充填される。
第28側面のコンポーネントによれば、歪みセンサの取付面の周縁が被測定物から剥がれることを抑制でき、センサの耐久性が向上する。したがって、歪みセンサが被測定物から離間することによる、歪みセンサの検出精度の低下を抑制できる。
【0033】
本開示の第28側面に従う第29側面のコンポーネントにおいて、前記凹部は、前記歪みセンサの前記周縁の全周にわたり形成される。
第29側面のコンポーネントによれば、歪みセンサの取付面の周縁が被測定物から剥がれることを一層抑制できる。したがって、歪みセンサが被測定物から離間することによる、歪みセンサの検出精度の低下を一層抑制できる。
【0034】
本開示の第28または第29側面に従う第30側面のコンポーネントにおいて、前記被測定物において、前記歪みセンサに対向する前記凹部のエッジは曲面によって形成される。
第30側面のコンポーネントによれば、曲面によって歪みセンサの取付面の周縁と凹部との間の隙間が大きくなるため、取付面の周縁を接着する接着剤の厚さが厚くなる。したがって、歪みセンサの取付面の周縁が被測定物から剥がれにくくなるため、歪みセンサの検出精度の低下を抑制できる。
【発明の効果】
【0035】
本開示のセンサおよびコンポーネントによれば、被測定物の歪の検出精度を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】実施形態のセンサを含む人力駆動車の側面図。
【
図2】人力駆動車のコンポーネントの一例の縦断面図。
【
図3】コンポーネントの電気的な構成を示すブロック図。
【
図7】被測定物にセンサが取り付けられている状態の斜視図。
【
図8】(a)は被測定物およびセンサの一部の断面図、(b)は(a)の一部の拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1~
図8を参照して、実施形態のセンサ80を含む人力駆動車10について説明する。人力駆動車10は、少なくとも人力駆動力によって駆動することができる車両である。人力駆動車10は、車輪の数が限定されず、例えば1輪車および3輪以上の車輪を有する車両も含む。人力駆動車10は、例えばマウンテンバイク、ロードバイク、シティバイク、カーゴバイク、および、リカンベントなどの種々の種類の自転車を含む。自転車は、電気モータによって駆動力が与えられる電動自転車(E-bike)を含む。電動自転車は、電気モータによって推進が補助される電動アシスト自転車を含む。以下、実施の形態において、人力駆動車10を、2つの車輪を有する自転車として説明する。
【0038】
図1に示されるとおり、人力駆動車10は、クランク12と、駆動輪14とを含む。人力駆動車10は、フレーム16をさらに含む。クランク12には、人力駆動力が入力される。クランク12は、フレーム16に対して回転可能なクランク軸12Aと、クランク軸12Aの軸方向の両端部にそれぞれ設けられるクランクアーム12Bとを含む。各クランクアーム12Bには、一対のペダル18が個別に連結される。駆動輪14は、クランク12が回転することによって駆動される。駆動輪14は、フレーム16に支持される。クランク12と駆動輪14とは、駆動機構20によって連結される。駆動機構20は、クランク軸12Aに結合される第1回転体22を含む。第1回転体22は、スプロケット、プーリ、または、ベベルギアを含む。クランク軸12Aと第1回転体22とは、一体に回転するように結合されていてもよく、第1ワンウェイクラッチ46を介して結合されてもよい。第1ワンウェイクラッチ46は、クランク12が第1回転方向に回転した場合に、第1回転体22を第1回転方向に回転させ、クランク12が第1回転方向とは反体の第2回転方向に回転した場合に、第1回転体22を第2回転方向に回転させないように構成される。第1ワンウェイクラッチ46は、ラチェット式のクラッチ、ローラクラッチ、および、スプラグ式のクラッチのいずれによって構成されてもよい。駆動機構20は、連結部材24と、第2回転体26とをさらに含む。連結部材24は、第1回転体22の回転力を第2回転体26に伝達する。連結部材24は、例えば、チェーン、ベルト、または、シャフトを含む。第1回転方向は、人力駆動車10を前進させる場合のクランク軸12Aの回転方向である。
【0039】
第2回転体26は、駆動輪14に連結される。第2回転体26は、スプロケット、プーリ、または、ベベルギアを含む。第2回転体26と駆動輪14との間には、第2ワンウェイクラッチが設けられていることが好ましい。第2ワンウェイクラッチは、第2回転体26が第3回転方向に回転した場合に、駆動輪14を第3回転方向に回転させ、第2回転体26が第3回転方向とは反対の第4回転方向に回転した場合に、駆動輪14を第4回転方向に回転させないように構成される。第3回転方向は、人力駆動車10を前進させる場合の第2回転体26の回転方向である。本実施形態では、第3回転方向は第1回転方向と同じ方向である。
【0040】
人力駆動車10は、前輪および後輪を含む。フレーム16には、フロントフォーク16Aを介して前輪が取り付けられている。フロントフォーク16Aには、ハンドルバー10Hがステム16Bを介して連結されている。以下の実施形態では、後輪を駆動輪14として説明するが、前輪が駆動輪14であってもよい。
【0041】
人力駆動車10は、例えば、バッテリ28、コンポーネント30、および、人力駆動車用制御装置70をさらに含む。以下では、人力駆動車用制御装置70を単に制御装置70と記載する。コンポーネント30の一例は、ドライブユニット30Aを含む。ドライブユニット30Aは、フレーム16に設けられる。
【0042】
バッテリ28は、1または複数のバッテリセルを含む。バッテリセルは、充電池を含む。バッテリ28は、人力駆動車10に設けられ、バッテリ28と有線で電気的に接続される他の電気部品に電力を供給する。他の電気部品は、例えばドライブユニット30Aおよび制御装置70を含む。バッテリ28は、フレーム16の外部に取り付けられてもよく、少なくとも一部がフレーム16の内部に収容されてもよい。
【0043】
図2に示されるように、ドライブユニット30Aは、人力駆動車10の推進をアシストする電気モータ32と、出力部34と、伝達体33と、電気モータ32の回転速度を複数段階で減速する減速機構36と、クラッチ機構38と、ハウジング40とを含む。出力部34は、伝達体33および第1ワンウェイクラッチ46を介して、クランク軸12Aに連結される。本実施形態では、出力部34は、クランク軸12Aが第1回転方向に回転する場合、第1回転方向に回転し、クランク軸12Aが第2回転方向に回転する場合、回転しない。クラッチ機構38は、出力部34と減速機構36との間に設けられ、減速機構36から出力部34に電気モータ32の回転力を伝達するように構成される。第1ワンウェイクラッチ46は省略されてもよく、この場合、出力部34と、伝達体33とが一体に回転するように互いに連結される。第1ワンウェイクラッチ46が省略される場合、出力部34と伝達体33とは、一体に形成されていてもよい。
【0044】
減速機構36は、好ましくは、電気モータ32の出力軸32Aに設けられる第1歯車42と、第1歯車42と噛み合う第2歯車44とを含む。好ましくは、第1歯車42の直径は、第2歯車44の直径よりも小さく、第1歯車42の歯数は、第2歯車44の歯数よりも少ない。
【0045】
出力部34は、中空軸であり、クランク軸12Aの回転中心軸心C1と出力部34の回転中心軸心とが一致するようにクランク軸12Aのまわりに配置される。出力部34には、第1ワンウェイクラッチ46が設けられる。出力部34は、クランク軸12Aの回転中心軸心C1の延びる方向において、第1端部34Aおよび第2端部34Bを含む。第1端部34Aは、回転中心軸心C1に平行な方向において、ハウジング40から突出する。第1端部34Aにおいてハウジング40から突出した部分には、
図1の第1回転体22が連結される。出力部34の第2端部34Bは、ハウジング40に収容される。伝達体33は、中空軸であり、クランク軸12Aの回転中心軸心C1と出力部34の回転中心軸心とが一致するようにクランク軸12Aのまわりに配置される。伝達体33は、クランク軸12Aの回転中心軸心C1の延びる方向において、第1端部33Aおよび第2端部33Bを含む。出力部34の第2端部34Bと、伝達体33の第1端部33Aとの間に、第1ワンウェイクラッチ46が設けられる。伝達体33の第2端部33Bは、クランク軸12Aの回転中心軸心C1まわりにクランク軸12Aに対して相対回転しないようにクランク軸12Aに連結される。第1ワンウェイクラッチ46は、クランク軸12Aが第1回転方向に回転する場合、出力部34を回転中心軸心C1まわりの第1回転方向に回転させ、クランク軸12Aが第2回転方向に回転する場合、出力部34を回転中心軸心C1まわりの第2回転方向に回転させないように構成される。出力部34および伝達体33の一方は、第1ワンウェイクラッチ46の内輪と一体に形成されていてもよく、出力部34および伝達体33の他方は、第1ワンウェイクラッチ46の内輪と一体に形成されていてもよい。出力部34は、ハウジング40の内部に設けられる第1軸受48によってハウジング40に対して回転可能に支持される。第1軸受48は、例えば転がり軸受を含む。
【0046】
クランク軸12Aは、出力部34の内周部に設けられる第2軸受50を介して出力部34に支持される。第2軸受50は、例えばすべり軸受を含む。クランク軸12Aは、ハウジング40の内部に設けられる第3軸受52によってハウジング40に対して回転可能に支持される。
【0047】
電気モータ32は、
図1のペダル18から後輪までの人力駆動力の伝達経路、または、前輪に回転を伝達するように設けられる。電気モータ32は、
図1の人力駆動車10のフレーム16、後輪、および、前輪の少なくとも1つに設けられる。電気モータ32は、フレーム16のみ、後輪のみ、前輪のみ、または、フレーム16、後輪および前輪のうちの任意の組み合わせに設けられる。一例では、電気モータ32は、クランク軸12Aから第1回転体22までの動力伝達経路に結合される。電気モータ32と出力部34との間の動力伝達経路には、好ましくは、クランク軸12Aを第1回転方向に回転させた場合にクランク12の回転力によって電気モータ32が回転しないように第2ワンウェイクラッチ58が設けられる。
【0048】
電気モータ32は、例えばインナーロータ型のモータを含む。電気モータ32は、ステータ32Bおよびロータ32Cを含む。ステータ32Bは、電力が供給されることにより磁界が生成されるコイルを含む。ロータ32Cは、電磁鋼板等の磁性体および永久磁石の少なくとも一方を含む。本実施形態では、ロータ32Cに出力軸32Aが固定される。出力軸32Aは、第4軸受54および第5軸受56によってハウジング40に対して回転可能に支持される。第4軸受54および第5軸受56はそれぞれ、例えば転がり軸受を含む。
【0049】
クラッチ機構38は、好ましくは、第2ワンウェイクラッチ58を含む。第2ワンウェイクラッチ58は、ローラクラッチ、ラチェット式ワンウェイクラッチ、および、スプラグ式ワンウェイクラッチのいずれによって構成されていてもよい。第2ワンウェイクラッチ58は、例えば、内輪体58Aと、外輪体58Bと、内輪体58Aと外輪体58Bとの間に設けられる伝達体58Cとを含む。伝達体58Cは、例えば、ローラ、爪、または、スプラグを含む。第2ワンウェイクラッチ58は、回転中心軸心C1まわりにおいて出力部34の外周部に設けられる。第2ワンウェイクラッチ58の内輪体58Aが出力部34の外周部に設けられる。第2ワンウェイクラッチ58の内輪体58Aは、出力部34に一体に形成されてもよい。
【0050】
減速機構36は、好ましくは、第2ワンウェイクラッチ58の外周部に設けられる第3歯車60と、第3歯車60と噛み合う第4歯車62とをさらに含む。好ましくは、第3歯車60の直径は、第4歯車62の直径よりも大きく、第3歯車60の歯数は、第4歯車62の歯数よりも多い。第2ワンウェイクラッチ58の外輪体58Bは、第3歯車60の内周部に設けられる。外輪体58Bは、第3歯車60と一体に形成されてもよい。
【0051】
減速機構36は、第2歯車44と第4歯車62とが設けられる回転軸64をさらに含む。第2歯車44と第4歯車62とは、一体に回転するように構成される。好ましくは、第2歯車44の直径は、第4歯車62の直径よりも大きく、第2歯車44の歯数は、第4歯車62の歯数よりも多い。回転軸64は、第6軸受66および第7軸受68によってハウジング40に対して回転可能に支持される。第6軸受66および第7軸受68はそれぞれ、例えば転がり軸受を含む。減速機構36は、電気モータ32の回転速度を2段階で減速するが、3段階以上で減速する構成にしてもよい。
【0052】
ドライブユニット30Aは、好ましくは、電気モータ32を制御するための電子部品が実装される回路基板69をさらに含む。制御装置70は、回路基板69に設けられる。回路基板69は、プリント配線基板を含む。
【0053】
図3に示されるように、制御装置70は、電気モータ32を制御する制御部72と、制御部72に制御され、電気モータ32を駆動する駆動回路74とを含む。制御部72は、バッテリ28および駆動回路74と有線または無線によって通信可能に接続される。駆動回路74は、バッテリ28から電気モータ32への電力の供給を制御する。駆動回路74は、インバータ回路を含む。
【0054】
制御部72は、制御プログラムを実行する演算処理装置を含む。演算処理装置は、例えばCPU(Central Processing Unit)またはMPU(Micro Processing Unit)を含む。制御部72は、1または複数のマイクロコンピュータを含んでいてもよい。制御部72は、複数の場所に離れて配置される複数の演算処理装置を含んでいてもよい。制御装置70は、記憶部76をさらに含む。記憶部76には、各種の制御プログラムおよび各種の制御処理に用いられる情報が記憶される。記憶部76は、例えば不揮発性メモリおよび揮発性メモリを含む。
【0055】
制御部72は、人力駆動力に応じて、電気モータ32を駆動するように構成される。制御部72は、人力駆動力に対して、電気モータ32による補助力が予め定める比率となるように、電気モータ32を駆動する。予め定める比率は、複数設けられ、例えばハンドルに設けられる操作部によって選択されてもよい。制御部72は、人力駆動力が所定値以上になると電気モータ32を駆動する。所定値は、例えば5Nm以上の値である。
【0056】
人力駆動車10は、センサ80をさらに含む。一例では、
図2に示されるように、ドライブユニット30Aは、センサ80をさらに含む。センサ80は、好ましくは、クランク軸12Aと、出力部34のうちのクラッチ機構38が連結される部分34Cとの間の人力駆動力の伝達経路に設けられる。センサ80は、トルクセンサを含む。トルクセンサは、人力駆動力のトルクを検出するために用いられる。センサ80には、フレキシブルプリント配線基板81を介して、第1回路基板90が接続される。第1回路基板90は、基板ホルダ92を介して伝達体33に取り付けられる。ハウジング40の収容空間Sには、回転中心軸心C1に平行な方向において第1回路基板90と対向し、第1回路基板90との間に隙間をあけて配置される第2回路基板94が設けられる。第2回路基板94は、例えば基板ホルダ96を介してハウジング40に取り付けられるが、ハウジング40に直接取り付けられてもよい。第2回路基板94は、例えば電気ケーブルによって回路基板69と電気的に接続される。
【0057】
図5に示されるように、センサ80は、回転中心軸心まわりに回転する被測定物に取り付けられ、被測定物の回転中心軸心まわりのねじれを検出するための歪みセンサ82を含む。歪みセンサ82は、可撓性を有する電気絶縁部材84と、電気絶縁部材84に設けられ、予め定めるパターン部86Xを有する導電膜86と、を含む。予め定めるパターン部86Xは、歪みセンサ82が被測定物に取り付けられている状態で、被測定物の回転中心軸心まわりの周方向に90°以上にわたり延びている。被測定物は、人力駆動車10の一部を含む。本実施形態では、被測定物は、
図2の伝達体33を含む。本実施形態における以降の説明において、被測定物と記載した場合、伝達体33を示す。この場合、被測定物の回転中心軸心は、回転中心軸心C1を含む。歪みセンサ82は、伝達体33の回転中心軸心C1まわりのねじれを検出するように構成される。予め定めるパターン部86Xは、歪みセンサ82が出力部34に取り付けられている状態で、伝達体33の回転中心軸心C1まわりの周方向に90°以上にわたり延びている。以降の説明において、歪みセンサ82が被測定物に取り付けられている状態とは、歪みセンサ82が伝達体33に取り付けられている状態を含み、被測定物の周方向は、回転中心軸心C1まわりの周方向を含む。本実施形態では、
図4に示されるように、歪みセンサ82は、伝達体33の外周面に取り付けられる。歪みセンサ82は、好ましくは、回転中心軸心C1まわりの周方向において伝達体33の3/4以上、さらに好ましくは、回転中心軸心C1まわりの周方向において伝達体33の7/8以上、さらに好ましくは、回転中心軸心C1まわりの周方向において伝達体33の9/10以上の範囲にわたり設けられる。本実施形態では、歪みセンサ82は、歪みゲージを含む。
【0058】
図5に示されるように、電気絶縁部材84は、例えばシート状に形成される。電気絶縁部材84は、樹脂によって形成される。電気絶縁部材84として、例えばポリイミドフィルムが用いられる。電気絶縁部材84は、長手方向を有する。歪みセンサ82が被測定物に取り付けられている状態で、電気絶縁部材84の長手方向は、被測定物の周方向と平行である。電気絶縁部材84は、長手方向において第1端部84Aおよび第2端部84Bを有する。
【0059】
導電膜86の予め定めるパターン部86Xは、例えば金属箔を電気絶縁部材84に蒸着させることによって形成される。金属箔を形成する材料は、例えばニッケル、クロム、アルミニウム、金、および、銅等が用いられる。導電膜86は、シリコン等の半導体材料によって形成されてもよい。
【0060】
歪みセンサ82は、パターン部86Xを覆い、電気絶縁部材84との間にパターン部86Xを挟むカバーフィルムをさらに含む。カバーフィルムは、樹脂によって形成される。カバーフィルムとして、例えばポリイミドフィルムが用いられる。カバーフィルムは、電気絶縁部材84とは異なる樹脂材料によって形成されてもよい。
【0061】
本実施形態では、予め定めるパターン部86Xは、第1パターン部86A、第2パターン部86B、第3パターン部86Cおよび第4パターン部86Dを含む。一例では、歪みセンサ82が被測定物に取り付けられている状態で、第1パターン部86Aは、第2パターン部86B、第3パターン部86Cおよび第4パターン部86Dに対して、被測定物の周方向および回転中心軸心C1に平行な方向の少なくとも一方において間隔をあけて配置される。第2パターン部86Bは、第1パターン部86A、第3パターン部86Cおよび第4パターン部86Dに対して、被測定物の周方向および回転中心軸心C1に平行な方向の少なくとも一方において間隔をあけて配置される。第3パターン部86Cは、第1パターン部86A、第2パターン部86Bおよび第4パターン部86Dに対して、被測定物の周方向および回転中心軸心C1に平行な方向の少なくとも一方において間隔をあけて配置される。第4パターン部86Dは、第1パターン部86A、第2パターン部86Bおよび第3パターン部86Cに対して、被測定物の周方向および回転中心軸心C1に平行な方向の少なくとも一方において間隔をあけて配置される。本実施形態では、第1パターン部86Aおよび第2パターン部86Bは、被測定物の周方向に間隔をあけて配置される。第3パターン部86Cおよび第4パターン部86Dは、被測定物の周方向に間隔をあけて配置される。第1パターン部86Aおよび第3パターン部86Cは、回転中心軸心C1に平行な方向に間隔をあけて配置される。第2パターン部86Bおよび第4パターン部86Dは、回転中心軸心C1に平行な方向に間隔をあけて配置される。歪みセンサ82が被測定物に取り付けられている状態で、第1パターン部86Aおよび第2パターン部86Bは、回転中心軸心C1に垂直な第1平面PL1に交差するように配置される。第3パターン部86Cおよび第4パターン部86Dは、回転中心軸心C1に垂直な第2平面PL2に交差するように配置される。第1平面PL1および第2平面PL2は、回転中心軸心C1に沿う方向において間隔をあけて配置される。
図5に示されるように、電気絶縁部材84を展開した場合、センサ80の平面視において、第1平面PL1および第2平面PL2は、電気絶縁部材84の長手方向と平行な直線によって示される。
【0062】
好ましくは、歪みセンサ82が被測定物に取り付けられている状態で、回転中心軸心C1に平行な方向から見た場合、第1パターン部86Aおよび第3パターン部86Cは、少なくとも一部が重なるように配置され、第2パターン部86Bおよび第4パターン部86Dは、少なくとも一部が重なるように配置される。本実施形態では、歪みセンサ82が被測定物に取り付けられている状態で、回転中心軸心C1に平行な方向から見た場合、第1パターン部86Aおよび第3パターン部86Cは、全体が重なるように配置され、第2パターン部86Bおよび第4パターン部86Dは、全体が重なるように配置される。
【0063】
第1パターン部86A、第2パターン部86B、第3パターン部86Cおよび第4パターン部86Dはそれぞれ、第1端部E1および第2端部E2を含む。電気絶縁部材84を平面上に展開した場合、電気絶縁部材84の長手方向において、第1パターン部86Aの第1端部E1は、第2パターン部86B側とは反対側の端部であり、第1パターン部86Aの第2端部E2は、第2パターン部86B側の端部である。第2パターン部86Bの第1端部E1は、第1パターン部86A側の端部であり、第2パターン部86Bの第2端部E2は、第1パターン部86A側とは反対側の端部である。第3パターン部86Cの第1端部E1は、第4パターン部86D側とは反対側の端部であり、第3パターン部86Cの第2端部E2は、第4パターン部86D側の端部である。第4パターン部86Dの第1端部E1は、第3パターン部86C側の端部であり、第4パターン部86Dの第2端部E2は、第3パターン部86C側とは反対側の端部である。
【0064】
好ましくは、歪みセンサ82が被測定物に取り付けられている状態で、第1パターン部86A、第2パターン部86B、第3パターン部86Cおよび第4パターン部86Dはそれぞれ、被測定物の周方向に90°以上にわたり延びている。第1パターン部86Aが被測定物の周方向に90°以上にわたり延びているとは、歪みセンサ82が被測定物に取り付けられている状態で、第1パターン部86Aの第1端部E1および第2端部E2と回転中心軸心C1とのなす角度が90°以上となるように第1パターン部86Aが形成されることである。第2パターン部86B、第3パターン部86Cおよび第4パターン部86Dについても、第1パターン部86Aと同様に規定される。本実施形態では、被測定物に取り付けられている状態で、第1パターン部86A、第2パターン部86B、第3パターン部86Cおよび第4パターン部86Dはそれぞれ、被測定物の周方向に約150°にわたり延びている。
【0065】
好ましくは、歪みセンサ82が被測定物に取り付けられている状態で、第1パターン部86Aおよび第2パターン部86Bと、第3パターン部86Cおよび第4パターン部86Dとは、被測定物の周方向に180°以上にわたり延びている。第1パターン部86Aおよび第2パターン部86Bが被測定物の周方向に180°以上にわたり延びているとは、第1パターン部86Aの第1端部E1および第2端部E2と回転中心軸心C1とのなす角度と、第2パターン部86Bの第1端部E1および第2端部E2と回転中心軸心C1とのなす角度との合計が180°以上となるように第1パターン部86Aおよび第2パターン部86Bが形成されることである。第3パターン部86Cおよび第4パターン部86Dについても第1パターン部86Aおよび第2パターン部86Bと同様に規定される。さらに好ましくは、歪みセンサ82が被測定物に取り付けられている状態で、第1パターン部86Aおよび第2パターン部86Bと、第3パターン部86Cおよび第4パターン部86Dとは、被測定物の周方向に270°以上にわたり延びている。本実施形態では、歪みセンサ82が被測定物に取り付けられている状態で、第1パターン部86Aおよび第2パターン部86Bと、第3パターン部86Cおよび第4パターン部86Dとは、被測定物の周方向に約300°にわたり延びている。
【0066】
電気絶縁部材84を平面上に展開した場合、電気絶縁部材84の長手方向から見て、第1パターン部86Aおよび第2パターン部86Bは、少なくとも一部が重なるように配置され、第3パターン部86Cおよび第4パターン部86Dは、少なくとも一部が重なるように配置される。電気絶縁部材84を平面上に展開した場合、本実施形態では、
図5に示されるとおり、電気絶縁部材84の長手方向から見て、第1パターン部86Aおよび第2パターン部86Bは、全体が重なるように配置され、第3パターン部86Cおよび第4パターン部86Dは、全体が重なるように配置される。
【0067】
歪みセンサ82が被測定物に取り付けられている状態で、予め定めるパターン部86Xは、回転中心軸心C1に平行な方向および被測定物の周方向のそれぞれに対して傾斜して延びる部分を含む。本実施形態では、第1パターン部86A、第2パターン部86B、第3パターン部86Cおよび第4パターン部86Dは、回転中心軸心C1に平行な方向および被測定物の周方向のそれぞれに対して傾斜して延びる部分をそれぞれ含む。第1パターン部86Aおよび第2パターン部86Bは、回転中心軸心C1を含む平面PLAに関して面対称に形成され、第3パターン部86Cおよび第4パターン部86Dは、回転中心軸心C1を含む平面PLAに関して面対称に形成される。第1パターン部86Aおよび第3パターン部86Cは、回転中心軸心C1に垂直な平面PLBに対して面対称に形成され、第2パターン部86Bおよび第4パターン部86Dは、回転中心軸心C1に垂直な平面PLBに対して面対称に形成される。平面PLBは、
図5では、回転中心軸心C1に平行な方向において、第1パターン部86Aと第3パターン部86Cとの間、かつ、第2パターン部86Bと第4パターン部86Dとの間に配置される。
図5では、平面PLBは、電気絶縁部材84の長手方向に沿って延びる。
【0068】
第1パターン部86A、第2パターン部86B、第3パターン部86Cおよび第4パターン部86Dはそれぞれ、複数の第1部分86Pおよび複数の第2部分86Qを含む。第1部分86Pは、歪みセンサ82が被測定物に取り付けられている状態で、回転中心軸心C1に平行な方向および被測定物の周方向のそれぞれに対して傾斜して延びる。本実施形態では、第1部分86Pは、好ましくは、回転中心軸心C1に平行な方向および被測定物の周方向のそれぞれに対して45°傾斜して延びている。第2部分86Qは、第1部分86Pが延びる方向において、第1部分86Pの両端部に設けられる。第2部分86Qは、歪みセンサ82が被測定物に取り付けられている状態で、被測定物の周方向に沿って延びる。第2部分86Qは、歪みセンサ82が被測定物に取り付けられている状態で、被測定物の周方向に隣り合う第1部分86Pを接続する。
【0069】
好ましくは、被測定物の周方向において、第1パターン部86A、第2パターン部86B、第3パターン部86Cおよび第4パターン部86Dの長さは実質的に等しく、回転中心軸心C1に平行な方向において、第1パターン部86A、第2パターン部86B、第3パターン部86Cおよび第4パターン部86Dの長さは実質的に等しい。一例では、第1パターン部86Aにおける全ての第1部分86Pおよび第2部分86Qの合計の長さ、第2パターン部86Bにおける全ての第1部分86Pおよび第2部分86Qの合計の長さ、第3パターン部86Cにおける全ての第1部分86Pおよび第2部分86Qの合計の長さ、および、第4パターン部86Dにおける全ての第1部分86Pおよび第2部分86Qの合計の長さは実質的に等しい。
【0070】
図3に示されるように、予め定めるパターン部86Xは、ホイートストンブリッジ回路87の少なくとも一部を構成する。本実施形態では、第1パターン部86Aの配線抵抗は、ホイートストンブリッジ回路87の第1抵抗R1を含む。第2パターン部86Bの配線抵抗は、ホイートストンブリッジ回路87の第2抵抗R2を含む。第3パターン部86Cの配線抵抗は、ホイートストンブリッジ回路87の第3抵抗R3を含む。第4パターン部86Dの配線抵抗は、ホイートストンブリッジ回路87の第4抵抗R4を含む。
【0071】
図5に示されるように、電気絶縁部材84は、第1パターン部86A、第2パターン部86B、第3パターン部86Cおよび第4パターン部86Dを電気的に接続する第1~第6配線85A~85Fを含む。本実施形態では、第1配線85Aの長さ、第2配線85Bの長さ、第4配線85Dの長さ、および、第5配線85Eの長さは等しい。第3配線85Cの長さおよび第6配線85Fの長さは等しい。
【0072】
歪みセンサ82は、電気絶縁部材84に設けられ、ホイートストンブリッジ回路87の4つの端子を構成する第1端子87A、第2端子87B、第3端子87Cおよび第4端子87Dをさらに含む。本実施形態では、第1端子87Aおよび第3端子87Cは、入力端子を含み、第2端子87Bおよび第4端子87Dは出力端子を含む。第1端子87A、第2端子87B、第3端子87Cおよび第4端子87Dは、予め定めるパターン部86Xと同様に、例えば金属箔を電気絶縁部材84に蒸着させることによって形成される。
【0073】
第1端子87Aは、第1配線85Aを介して第1パターン部86Aの第1端部E1と電気的に接続され、第2配線85Bを介して第3パターン部86Cの第1端部E1とを電気的に接続される。第1配線85Aは、第1パターン部86Aの第1端部E1と第1端子87Aとに接続される。第2配線85Bは、第3パターン部86Cの第1端部E1と第1端子87Aとに接続される。第1配線85Aおよび第2配線85Bは、予め定めるパターン部86Xと同様に、例えば金属箔を電気絶縁部材84に蒸着させることによって形成される。
【0074】
第2端子87Bは、第3配線85Cを介して第1パターン部86Aの第2端部E2と第2パターン部86Bの第1端部E1とに電気的に接続される。第3配線85Cは、第1パターン部86Aの第2端部E2と第2パターン部86Bの第1端部E1とを電気的に接続する第1部分85Pと、第1部分85Pから分岐して第2端子87Bに向けて延びる第2部分85Qとを含む。第2部分85Qは、回転中心軸心C1に平行な方向において、第1パターン部86Aと第3パターン部86Cとの間に配置される。第3配線85Cは、予め定めるパターン部86Xと同様に、例えば金属箔を電気絶縁部材84に蒸着させることによって形成される。
【0075】
第3端子87Cは、第4配線85Dを介して第2パターン部86Bの第2端部E2と電気的に接続され、第5配線85Eを介して第4パターン部86Dの第2端部E2とを電気的に接続される。第4配線85Dは、第2パターン部86Bの第2端部E2と第3端子87Cとを電気的に接続する。第5配線85Eは、第4パターン部86Dの第2端部E2と第3端子87Cとを電気的に接続する。第4配線85Dおよび第5配線85Eは、予め定めるパターン部86Xと同様に、例えば金属箔を電気絶縁部材84に蒸着させることによって形成される。
【0076】
第4端子87Dは、第6配線85Fを介して第3パターン部86Cの第2端部E2と第4パターン部86Dの第1端部E1とに電気的に接続される。第6配線85Fは、第3パターン部86Cの第2端部E2と第4パターン部86Dの第1端部E1とを電気的に接続する第1部分85Rと、第1部分85Rから分岐して第4端子87Dに向けて延びる第2部分85Sとを含む。第2部分85Sは、回転中心軸心C1に平行な方向において、第2パターン部86Bと第4パターン部86Dとの間に配置される。第6配線85Fは、予め定めるパターン部86Xと同様に、例えば金属箔を電気絶縁部材84に蒸着させることによって形成される。
【0077】
好ましくは、第1端子87A、第2端子87B、第3端子87Cおよび第4端子87Dは、被測定物の周方向において電気絶縁部材84の端部にそれぞれ配置される。一例では、第1端子87A、第2端子87B、第3端子87Cおよび第4端子87Dは、電気絶縁部材84の長手方向の両端部に配置される。より詳細には、第1端子87Aおよび第2端子87Bは、電気絶縁部材84の第1端部84Aに配置され、第3端子87Cおよび第4端子87Dは、電気絶縁部材84の第2端部84Bに配置される。一例では、第1端子87Aおよび第2端子87Bは、電気絶縁部材84の長手方向から見て、互いに重なるように配置される。一例では、第2端子87Bは、第1端子87Aよりも第1パターン部86Aおよび第3パターン部86C側に配置される。一例では、第3端子87Cおよび第4端子87Dは、電気絶縁部材84の長手方向から見て、互いに重なるように配置される。一例では、第4端子87Dは、第3端子87Cよりも第2パターン部86Bおよび第4パターン部86D側に配置される。
【0078】
好ましくは、センサ80は、温度検出部88をさらに含む。温度検出部88は、例えばサーミスタ、または、感温ダイオードを含む。温度検出部88は、被測定物の周方向において電気絶縁部材84の端部に配置される。本実施形態では、温度検出部88は、電気絶縁部材84の第1端部84Aに配置される。温度検出部88は、第1端子87Aおよび第2端子87Bよりも電気絶縁部材84の第1端部84Aの端縁側に配置される。この場合、被測定物の周方向において、第1端子87Aおよび第2端子87Bは、温度検出部88と第1パターン部86Aおよび第3パターン部86Cとの間に配置される。
【0079】
センサ80は、電気絶縁部材84に設けられる第5端子87Eおよび第6端子87Fをさらに含む。第5端子87Eおよび第6端子87Fは、温度検出部88と電気的に接続される。一例では、第5端子87Eおよび第6端子87Fと温度検出部88とは、電気絶縁部材84に設けられる配線パターンによって接続される。配線パターンは、予め定めるパターン部86Xと同様に、例えば金属箔を電気絶縁部材84に蒸着させることによって形成される。一例では、回転中心軸心C1に沿う方向から見て、温度検出部88と、第5端子87Eおよび第6端子87Fとは、互いに重なるように配置される。一例では、電気絶縁部材84の長手方向から見て、第5端子87Eおよび第6端子87Fは、互いに重なるように配置される。第5端子87Eおよび第6端子87Fは、予め定めるパターン部86Xと同様に、例えば金属箔を電気絶縁部材84に蒸着させることによって形成される。
【0080】
電気絶縁部材84が被測定物の概ね全周にわたり延びる場合、電気絶縁部材84の第1端部84Aと第2端部84Bとが被測定物の回転中心軸心C1まわりの周方向において隣り合う。このため、第1~第4端子87A~87Dが互いに近くに配置される。さらに、温度検出部88、第5端子87Eおよび第6端子87Fが第1~第4端子87A~87Dの近くに配置される。このため、例えば、1枚のフレキシブル回路基板によって、第1~第6端子87A~87Fと
図2の第1回路基板90との電気的な接続を図ることができるので、歪みセンサ82と第1回路基板90とを容易に電気的に接続できる。
【0081】
次に、センサ80、第1回路基板90および第2回路基板94の回路構成について説明する。
図3に示されるように、第1回路基板90には、センサ80から出力される信号を処理する第1信号処理回路90Aと、第1信号処理回路90Aに接続される第1アンテナ部90Bとが設けられる。第1信号処理回路90Aは、例えば、オペアンプ91A、ADC(analog to digital converter)91B、ADC91C、演算回路91D、変調回路91Eおよび電源回路91Fを含む。
【0082】
オペアンプ91Aは、歪みセンサ82の第2端子87Bおよび第4端子87Dに電気的に接続され、歪みセンサ82の第2端子87Bと第4端子87Dとの電位差に応じた信号を増幅して出力する。
【0083】
ADC91Bは、オペアンプ91Aの出力端子に接続され、オペアンプ91Aからの信号をデジタル信号に変換して出力する。
ADC91Cは、温度検出部88と電気的に接続される。一例では、ADC91Cは、
図5の第5端子87Eおよび第6端子87Fと電気的に接続される。ADC91Cは、温度検出部88の検出結果に応じた信号をデジタル信号に変換して出力する。
【0084】
演算回路91Dは、ADC91B,91Cと電気的に接続され、ADC91Bからのデジタル信号およびADC91Cからのデジタル信号に応じて被測定物のねじれ量を演算する。一例では、演算回路91Dは、温度検出部88の検出結果に応じて第2端子87Bと第4端子87Dとの電位差を補正したうえで、補正した第2端子87Bと第4端子87Dとの電位差に応じて被測定物のねじれ量を演算する。
【0085】
変調回路91Eは、演算回路91Dと電気的に接続される。変調回路91Eは、演算回路91Dの演算結果を搬送波に重畳させるように、演算回路91Dの演算結果の信号波の振幅および周波数の少なくとも一方を変更し、第1アンテナ部90Bに出力する。
【0086】
電源回路91Fは、変調回路91Eおよび第1アンテナ部90Bに電気的に接続される。電源回路91Fは、第1アンテナ部90Bから供給される交流電力を直流電力に変換して歪みセンサ82に出力する。一例では、電源回路91Fは、第1端子87Aおよび第3端子87Cに電気的に接続される。
【0087】
第1アンテナ部90Bは、2次側コイル91Gを含む。第1アンテナ部90Bは、例えば搬送波を生成するための発振回路をさらに含む。発振回路の一例は、LC共振回路を含む。
【0088】
第2回路基板94には、第1アンテナ部90Bに対向する第2アンテナ部94Bが設けられる。第2回路基板94には、第2アンテナ部94Bが受信する信号を処理する第2信号処理回路94Aが設けられる。第2回路基板94は、例えば、回路基板69に電気ケーブルおよびコネクタの少なくとも一方を介して電気的に接続される。第2回路基板94は、回路基板69と一体に形成されていてもよく、第2信号処理回路94Aは、回路基板69に実装されていてもよい。
【0089】
第2アンテナ部94Bは、1次側コイル95Aを含む。第2アンテナ部94Bは、例えば搬送波を生成するための発振回路をさらに含む。発振回路の一例は、LC共振回路を含む。
【0090】
第2信号処理回路94Aは、変調回路95Bを含む。変調回路95Bは、制御部72に電気的に接続されている。変調回路95Bは、2次側コイル91Gから1次側コイル95Aに送信される変調波を復調して制御部72に出力したり、回路基板69を通じてバッテリ28から供給される直流電力を交流電力に変換して1次側コイル95Aに与えたりする。
【0091】
センサ80の出力は、第1アンテナ部90Bを介して第2アンテナ部94Bに無線送信される。制御部72は、センサ80によって検出されるねじれ量に応じて人力駆動力を取得する。一例では、記憶部76には、出力部34のねじれ量と人力駆動力との対応関係を示す演算用テーブル、または関数が記憶されている。制御部72は、記憶部76に記憶されている演算用テーブルまたは関数を用いて、出力部34のねじれ量から人力駆動力を取得する。制御部72は、取得した人力駆動力に応じて電気モータ32を制御する。
【0092】
次に、
図6~
図8を参照して、被測定物である伝達体33にセンサ80を取り付けるための取付構造について説明する。
図6および
図7では、便宜上、歪みセンサ82から第1~第6端子87A~87F、温度検出部88、および、パターン部86Xを省略し、第3歯車60を省略して示している。
【0093】
コンポーネント30は、被測定物と、被測定物に取り付けられる歪みセンサ82と、を含む。被測定物において歪みセンサ82が取り付けられる領域は、歪みセンサ82の被測定物に対向する取付面84Cの周縁が被測定物に直接接触しないように形成される凹部35を含む。
図8に示されるように、凹部35には、被測定物と歪みセンサ82とを接着する接着剤SDが充填される。本実施形態では、凹部35は出力部34に形成される。
【0094】
電気絶縁部材84は、被測定物に接着によって取り付けられる。
図7および
図8に示されるように、電気絶縁部材84は、出力部34に接着によって取り付けられる。
図6に示されるように、凹部35は、歪みセンサ82の周縁の全周にわたり形成される。本実施形態では、歪みセンサ82の周縁は、電気絶縁部材84の周縁を含む。一例では、凹部35は、出力部34の全周にわたり形成される。本実施形態では、凹部35は、出力部34の回転中心軸心C1まわりの周方向に延びる一対の第1凹部35Aと、一対の第1凹部35Aを繋ぐように回転中心軸心C1に平行な方向に延びる第2凹部35Bとを含む。
【0095】
図8(a)(b)に示されるように、好ましくは、被測定物において、歪みセンサ82に対向する凹部35のエッジは曲面35Xによって形成される。本実施形態では、歪みセンサ82に対向する凹部35の全周におけるエッジは曲面35Xによって形成される。歪みセンサ82が被測定物に取り付けられている状態において、曲面35Xは、歪みセンサ82の取付面84Cの周縁部と対向する。
図8(a)(b)に示されるように、本実施形態においては、凹部35は、底面および歪みセンサ82に対向していないエッジは、曲面によって形成される。凹部35の形状は、任意に変更可能である。凹部35の形状は、電気絶縁部材84の周縁が被測定物に接触しないような形状であればよく、例えば凹部35の長手方向に垂直な方向の断面を長方形または正方形としてもよい。
【0096】
接着剤SDは、被測定物と歪みセンサ82との間と、凹部35とのそれぞれに塗布される。凹部35によって囲まれる部分34Rの外面の接着剤SDの厚さは、凹部35に充填される接着剤SDの厚さよりも薄い。凹部35に充填される接着剤SDは、歪みセンサ82の取付面84Cの周縁に接触する。接着剤SDは、歪みセンサ82の周縁のうち、取付面84Cとは反対側の面にも設けられてもよい。
【0097】
(変形例)
実施形態に関する説明は、本開示に従うセンサおよびコンポーネントが取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本開示に従うセンサおよびコンポーネントが取り得る形態は、例えば以下に示される実施形態の変形例を含む。本開示に従うセンサおよびコンポーネントが取り得る形態は、相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例を組み合せた形態を含む。以下の変形例において、実施形態の形態と共通する部分については、実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0098】
・実施形態において、第1パターン部86A、第2パターン部86B、第3パターン部86Cおよび第4パターン部86Dを接続する配線の構成および第1~第4端子87A~87Dの配置構成はそれぞれ、任意に変更可能である。一例では、配線の構成および第1~第4端子87A~87Dの配置構成を
図9または
図10のように変更してもよい。
【0099】
図9に示されるように、第1~第4端子87A~87Dは、電気絶縁部材84の長手方向の中央に配置される。歪みセンサ82は、第1~第4配線85G~85Jを含む。第1配線85Gは、第1パターン部86Aの第1端部E1と第3パターン部86Cの第1端部E1と第1端子87Aとに電気的に接続される。第2配線85Hは、第2パターン部86Bの第2端部E2と第4パターン部86Dの第2端部E2と第2端子87Bとに電気的に接続される。第3配線85Iは、第3パターン部86Cの第2端部E2と第4パターン部86Dの第1端部E1と第3端子87Cとに電気的に接続される。第3配線85Iは、回転中心軸心C1に平行な方向に沿って延びる部分を有する。第4配線85Jは、第1パターン部86Aの第2端部E2と第2パターン部86Bの第1端部E1と、第4端子87Dとに電気的に接続される。第4配線85Jは、第2パターン部86Bおよび第4パターン部86Dを迂回するように延びる。
図9に示される歪みセンサ82では、第1端子87Aおよび第2端子87Bが図
3のホイートストンブリッジ回路87の入力端子を構成し、第3端子87Cおよび第4端子87Dがホイートストンブリッジ回路87の出力端子を構成する。
【0100】
図10に示されるように、第1~第4端子87A~87Dは、電気絶縁部材84の長手方向の中央に配置される。歪みセンサ82は、第1~第4配線85K~85Nを含む。第1配線85Kは、第1パターン部86Aの第1端部E1と第2パターン部86Bの第2端部E2と第1端子87Aとに電気的に接続される。第2配線85Lは、第1パターン部86Aの第2端部E2と第3パターン部86Cの第2端部E2と第2端子87Bとに電気的に接続される。第3配線85Mは、第2パターン部86Bの第1端部E1と第4パターン部86Dの第1端部E1と第3端子87Cとに電気的に接続される。第4配線85Nは、第3パターン部86Cの第1端部E1と第4パターン部86Dの第2端部E2と第4端子87Dとに電気的に接続される。第4配線85Nは、第1パターン部86A、第2パターン部86B、および、第4パターン部86Dを迂回するように延びる。
図10に示される歪みセンサ82では、第1端子87Aおよび第4端子87Dが図
3のホイートストンブリッジ回路87の入力端子を構成し、第2端子87Bおよび第3端子87Cがホイートストンブリッジ回路87の出力端子を構成する。
【0101】
・
図9および
図10に示される変形例の歪みセンサ82は、温度検出部88、第5端子87Eおよび第6端子87Fをさらに含んでもよい。この場合、温度検出部88、第5端子87Eおよび第6端子87Fは、例えば電気絶縁部材84の長手方向において第1~第4端子87A~87Dと隣り合う箇所に設けられる。
【0102】
・実施形態において、予め定めるパターン部86Xの構成は、任意に変更可能である。一例では、予め定めるパターン部86Xは、
図11~
図13のように変更してもよい。
図11に示されるように、予め定めるパターン部86Xは、1つのパターン部を含む。この場合、予め定めるパターン部86Xは、歪みセンサ82が被測定物に取り付けられている状態で、被測定物の回転中心軸心C1まわりの周方向に90°以上にわたり延びている。歪みセンサ82は、第1端子87Xおよび第2端子87Yを含む。第1端子87Xは、パターン部86Xの第1端部E1に電気的に接続され、第2端子87Yは、パターン部86Xの第2端部E2に電気的に接続される。予め定めるパターン部86Xは、第1パターン部86Aと同様の形状を有する。
【0103】
図12に示されるように、予め定めるパターン部86Xは、2つのパターン部86A,86Bを含み、歪みセンサ82が被測定物に取り付けられている状態で、2つのパターン部86A,86Bは、被測定物の周方向に間隔をあけて配置される。好ましくは、歪みセンサ82が被測定物に取り付けられている状態で、2つのパターン部86A,86Bは、回転中心軸心C1に垂直な第1平面PL1に交差するように配置される。好ましくは、2つのパターン部86A,86Bは、歪みセンサ82が被測定物に取り付けられている状態で、被測定物の周方向に180°以上にわたり延びている。好ましくは、被測定物の周方向において2つのパターン部86A,86Bの長さは実質的に等しく、回転中心軸心C1に平行な方向において、2つのパターン部86A,86Bの長さは実質的に等しい。好ましくは、2つのパターン部86A,86Bはそれぞれ、回転中心軸心C1に平行な方向および被測定物の周方向のそれぞれに対して傾斜して延びる部分を含み、2つのパターン部86A,86Bは、回転中心軸心C1を含む平面PLAに関して面対称に形成される。パターン部86Aは、第1パターン部86Aと同様の形状を有する。パターン部86Bは、第2パターン部86Bと同様の形状を有する。
【0104】
図12に示す歪みセンサ82は、第1端子87X、第2端子87Y、および、第3端子87Zを含む。第1端子87Xおよび第3端子87Zは、電気絶縁部材84の第1端部84Aに配置され、第2端子87Yは、電気絶縁部材84の第2端部84Bに配置される。電気絶縁部材84には、第1配線85X、第2配線85Y、および、第3配線85Zが設けられる。第1配線85Xは、パターン部86Aの第1端部E1と第1端子87Xとを接続する。第2配線85Yは、パターン部86Bの第2端部E2と第2端子87Yとを接続する。第3配線85Zは
、実施形態の第3配線85Cと同様であり、パターン部86Aの第2端部E2とパターン部86Bの第1端部E1と第3端子87Zとを接続する。
【0105】
図13に示されるように、予め定めるパターン部86Xは、2つのパターン部86B,86Dを含み、歪みセンサ82が被測定物に取り付けられている状態で、2つのパターン部86B,86Dは、回転中心軸心C1に平行な方向に間隔をあけて配置される。好ましくは、歪みセンサ82が被測定物に取り付けられている状態で、回転中心軸心C1に平行な方向から見た場合、2つのパターン部86B,86Dは少なくとも一部が重なるように配置される。
図13では、歪みセンサ82が被測定物に取り付けられている状態で、回転中心軸心C1から平行な方向から見た場合、2つのパターン部86B,86Dは全体が重なるように配置される。好ましくは、被測定物の周方向において、2つのパターン部86B,86Dの長さは実質的に等しく、回転中心軸心C1に平行な方向において、2つのパターン部86B,86Dの長さは、実質的に等しい。好ましくは、2つのパターン部86B,86Dは、回転中心軸心C1に平行な方向および被測定物の周方向のそれぞれに対して傾斜して延びる部分をそれぞれ含み、2つのパターン部86B,86Dは、回転中心軸心C1に垂直な平面PLBに対して対称に形成される。平面PLBは、
図13では、回転中心軸心C1に平行な方向において2つのパターン部86A,86Cの間に配置される。
図13では、平面PLBは、電気絶縁部材84の長手方向に沿って延びる。例えば、
図5に示す歪みセンサ82に代えて、
図12に示す歪みセンサ82を被測定物の軸方向に2つ並べて電気的に接続して、ブリッジ回路を構成してもよい。パターン部86Bは、第2パターン部86Bと同様の形状を有する。パターン部86Dは、第4パターン部86Dと同様の形状を有する。
【0106】
図13に示す歪みセンサ82は、第1端子87X、第2端子87Y、および、第3端子87Zを含む。第1端子87Xは、電気絶縁部材84の第1端部84Aに配置され、第2端子87Yおよび第3端子87Zは、電気絶縁部材84の第2端部84Bに配置される。電気絶縁部材84には、第1配線85X、第2配線85Y、および、第3配線85Zが設けられる。第1配線85Xは、パターン部86Bの第1端部E1とパターン部86Dの第1端部E1と第1端子87Xとを接続する。第2配線85Yは、パターン部86Bの第2端部E2と第2端子87Yとを接続する。第3配線85Zは、パターン部86Dの第2端部E2と第3端子87Zとを接続する。例えば、
図5に示す歪みセンサ82に代えて、
図13に示す歪みセンサ82を被測定物の周方向に2つ並べて設けて電気的に接続して、ブリッジ回路を構成してもよい。
【0107】
・
図11~
図13の変形例の歪みセンサ82は、温度検出部88をさらに含んでもよい。この場合、歪みセンサ82は、第5端子87Eおよび第6端子87Fをさらに含むことが好ましい。
【0108】
・実施形態および変形例において、第1パターン部86A、第2パターン部86B、第3パターン部86Cおよび第4パターン部86Dの電気絶縁部材84における配置構成は任意に変更可能である。第1の例では、歪みセンサ82が被測定物に取り付けられている状態で、第1パターン部86A、第2パターン部86B、第3パターン部86Cおよび第4パターン部86Dは、被測定物の回転中心軸心C1まわりの周方向に間隔をあけて一列に配置されてもよい。第2の例では、歪みセンサ82が被測定物に取り付けられている状態で、第1パターン部86A、第2パターン部86B、第3パターン部86Cおよび第4パターン部86Dは、回転中心軸心C1に平行な方向において間隔をあけて配置されてもよい。この場合、例えば、回転中心軸心C1に平行な方向から見た場合、第1パターン部86A、第2パターン部86B、第3パターン部86Cおよび第4パターン部86Dの少なくとも一部が重なるように配置される。言い換えると、回転中心軸心C1に平行な方向から見た場合、第1パターン部86A、第2パターン部86B、第3パターン部86Cおよび第4パターン部86Dのうちの1つの少なくとも一部が、第1パターン部86A、第2パターン部86B、第3パターン部86Cおよび第4パターン部86Dのうち他の1つ、2つ、または3つに重なるように配置される。
【0109】
・実施形態および変形例において、歪みセンサ82から温度検出部88を省略してもよい。この場合、歪みセンサ82から第5端子87Eおよび第6端子87Fを省略してもよい。
【0110】
・実施形態および変形例において、予め定めるパターン部86Xの形状は任意に変更可能である。一例では、予め定めるパターン部86Xは、歪みセンサ82が被測定物に取り付けられている状態で、回転中心軸心C1に平行な方向および被測定物の周方向のそれぞれに対して傾斜していない形状とすることもできる。予め定めるパターン部86Xにおける被測定物の周方向における複数の第1部分86Pの間隔、および、第1部分86Pの長さは、任意に変更可能である。
【0111】
・実施形態および変形例において、凹部35の形状は、任意に変更可能である。一例では、
図14に示されるように、複数の凹部35が被測定物の回転中心軸心C1まわりの周方向に間隔をあけて形成されてもよい。
【0112】
・実施形態および変形例において、凹部35の形状は、歪みセンサ82の周縁の形状に応じて任意に変更可能である。一例では、
図15は、予め定めるパターン部86Xが、歪みセンサ82が被測定物に取り付けられている状態で、被測定物の回転中心軸心C1まわりの周方向で約90°にわたり延びる歪みセンサ82が出力部34に取り付けられる場合を示す。
【0113】
・実施形態および変形例において、凹部35が形成される被測定物に設けられる歪みセンサは、実施形態の金属歪ゲージの一例である歪みセンサ82に限られない。例えば、歪みセンサとして、金属歪ゲージに代えて、半導体歪ゲージが用いられてもよい。半導体歪ゲージは、例えば金属板の一表面に設けられ、金属板の他表面が被測定物に接着される。
【0114】
・実施形態および変形例において、電気絶縁部材84は、被測定物に直接形成されてもよい。この場合、出力部34の外周面に絶縁膜が形成され、絶縁膜上に金属箔が蒸着されることによって予め定めるパターン部86Xが形成される。予め定めるパターン部86X上には、絶縁膜が形成される。電気絶縁部材84が被測定物に直接形成される場合、被測定物において歪みセンサ82が取り付けられる領域は、例えば
図6に示される凹部35を含んでもよい。この場合、出力部34の外周面に形成される絶縁膜の一部が凹部35にも形成されてもよい。
【0115】
・実施形態および変形例において、被測定物から凹部35を省略してもよい。実施形態および変形例において、凹部35は、歪みセンサ82の周縁の少なくとも一部分に形成されてもよく、歪みセンサ82の周縁の一部分のみ形成されてもよい。凹部35は、好ましくは、歪みセンサ82に与えられる応力が最も大きくなる位置に設けられる。
【0116】
・被測定物は、伝達体33に限られず、人力駆動車10において歪を検出する必要がある部品であってもよい。一例では、被測定物は、クランク軸12A,クランクアーム12B、ペダル18およびフレーム16の少なくとも1つを含む。被測定物は、人力駆動車10の部品以外の部品であってもよい。
【符号の説明】
【0117】
10…人力駆動車、30…コンポーネント、34…出力部(被測定物の一例)、35…凹部、35X…曲面、80…センサ、82…歪みセンサ、84…電気絶縁部材、84C…取付面、86…導電膜、86X…予め定めるパターン部、86A…第1パターン部(パターン部)、86B…第2パターン部(パターン部)、86C…第3パターン部(パターン部)、86D…第4パターン部(パターン部)、87…ホイートストンブリッジ回路、87A…第1端子、87B…第2端子、87C…第3端子、87D…第4端子、88…温度検出部、SD…接着剤、C1…回転中心軸心、PLA…回転中心軸心を含む平面、PLB…回転中心軸心に垂直な平面、PL1…第1平面、PL2…第2平面。