(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-14
(45)【発行日】2022-09-26
(54)【発明の名称】ブロワユニット
(51)【国際特許分類】
F04D 29/58 20060101AFI20220915BHJP
F04D 29/44 20060101ALI20220915BHJP
F04D 29/70 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
F04D29/58 P
F04D29/44 U
F04D29/70 N
(21)【出願番号】P 2018208974
(22)【出願日】2018-11-06
【審査請求日】2021-08-20
(73)【特許権者】
【識別番号】506292974
【氏名又は名称】マーレ インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】MAHLE International GmbH
【住所又は居所原語表記】Pragstrasse 26-46, D-70376 Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【氏名又は名称】高橋 久典
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【氏名又は名称】片岡 央
(74)【代理人】
【識別番号】100152146
【氏名又は名称】伏見 俊介
(72)【発明者】
【氏名】黒川 勇来
【審査官】岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/123111(WO,A1)
【文献】特開2010-059825(JP,A)
【文献】実開昭57-114707(JP,U)
【文献】特開2008-297917(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/58
F04D 29/44
F04D 29/70
B60H 1/00
H02K 5/10
H02K 9/02 - 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファンと、ファンを回転駆動する駆動モータと、前記ファン及び前記駆動モータとを収容するケースとを備えるブロワユニットであって、
前記ケースは、
前記ファンにより圧送される空気
が流れるスクロール流路と、
前記スクロール流路を流れる前記空気の一部を前記駆動モータの冷却風として取り込む冷却風導入口と、
前記空気の流れ方向における前記冷却風導入口の上流側の壁面に
前記冷却風導入口と離れて形成され、前記空気の流れ方向と交差する前記冷却風導入口の幅方向に沿って延伸する溝部と
を有
し、
前記溝部の端部が前記スクロール流路の底面から離間して配置されている
ことを特徴とするブロワユニット。
【請求項2】
前記溝部は、前記延伸方向における両端部のうちの少なくとも一方が、前記冷却風導入口の幅方向にて、前記冷却風導入口の同じ側に位置する一方の端部よりも外側に配置されていることを特徴とする請求項1記載のブロワユニット。
【請求項3】
前記溝部は、前記延伸方向における両端部のうちの他方が、前記冷却風導入口の幅方向にて、前記冷却風導入口の同じ側に位置する他方の端部よりも外側に配置されていることを特徴とする請求項2記載のブロワユニット。
【請求項4】
前記溝部は、前記空気の流れ方向に沿った方向から見て前記冷却風導入口の幅方向における中央に重なる部位と比較して、端部が前記冷却風導入口に近接して配置されていることを特徴とする請求項1~3いずれか一項に記載のブロワユニット。
【請求項5】
前記空気の流れ方向に、前記溝部が複数配列されていることを特徴とする請求項1~4いずれか一項に記載のブロワユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブロワユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載される車両用空調システムには、空調ユニットに対して外気あるいは内気を圧送するためのブロワユニットが備えられている。このブロワユニットでは、駆動モータによってファンを回転駆動させ、ファンの回転駆動によって発生された空気流をケース内部の流路を通じて空調ユニットに案内する。
【0003】
例えば、特許文献1に開示されたブロワユニットでは、ファンの回転駆動によって生成された空気流の一部を駆動モータの冷却風として利用している。特許文献1に開示されたブロワユニットでは、ケースの一部に設けられた冷却風導入口から空気流の一部を取り込み、取り込んだ空気を駆動モータに供給している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ファンに対しては、外気等の水分を含んだ空気が導入される場合もある。このため、駆動モータに対して水分が供給されないように対策する必要がある。特許文献1に開示されたブロワユニットにおいては、冷却風導入口の内側にバッファ室となる空気取込室を形成し、空気取込室の内部に駆動モータに繋がる冷却空気口を設けると共に冷却空気口の上流側に防水壁を立設している。このような特許文献1によれば、空気取込室に流入した空気が防水壁に衝突し、水分が防水壁に付着することで空気中から水分を除去することができる。
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示されたブロワユニットでは、防水壁によって駆動モータに至るまでの経路の圧力損失が高まる。このため、大型の駆動モータやファンを設置しなければ、駆動モータに対して供給される冷却風の流量が十分に確保できない恐れがある。
【0007】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、ファンから圧送される空気の一部を駆動モータの冷却風として取り込むブロワユニットにおいて、冷却風の流路抵抗を低下させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、以下の構成を採用する。
【0009】
第1の発明は、ファンと、ファンを回転駆動する駆動モータと、上記ファン及び上記駆動モータとを収容するケースとを備えるブロワユニットであって、上記ケースが、上記ファンにより圧送される空気の一部を上記駆動モータの冷却風として取り込む冷却風導入口と、上記空気の流れ方向における上記冷却風導入口の上流側の壁面に形成され、上記空気の流れ方向と交差する上記冷却風導入口の幅方向に沿って延伸する溝部とを有するという構成を採用する。
【0010】
第2の発明は、上記第1の発明において、上記溝部が、上記延伸方向における両端部のうちの少なくとも一方が、上記冷却風導入口の幅方向にて、上記冷却風導入口の同じ側に位置する一方の端部よりも外側に配置されているという構成を採用する。
【0011】
第3の発明は、上記第2の発明において、上記溝部が、上記延伸方向における両端部のうちの他方が、上記冷却風導入口の幅方向にて、上記冷却風導入口の同じ側に位置する他方の端部よりも外側に配置されているという構成を採用する。
【0012】
第4の発明は、上記第1~第3いずれかの発明において、上記溝部が、上記空気の流れ方向に沿った方向から見て上記冷却風導入口の幅方向における中央に重なる部位と比較して、端部が上記冷却風導入口に近接して配置されているという構成を採用する。
【0013】
第5の発明は、上記第1~第4いずれかの発明において、上記空気の流れ方向に、上記溝部が複数配列されているという構成を採用する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、冷却風導入口の上流側のケース壁面に、冷却風導入口の幅方向に沿って延伸する溝部が設けられているため、ケース壁面を伝って空気流に押されて冷却風導入口に向かう水滴が溝部に流れ込むことによって捕捉される。さらに、溝部に捕捉された水分は溝部の端部まで流れ、溝部の端部から空気流に押し流される。つまり、本発明によれば、ケース壁面を伝って冷却風導入口に向かう水分を溝部によって冷却風導入口の幅方向に移動させ、冷却風導入口への入りにくい位置に案内することができ、冷却風導入口への水分の侵入を抑止することができる。したがって、本発明によれば、防水壁を設ける必要がなく、ファンから圧送される空気の一部を駆動モータの冷却風として取り込むブロワユニットにおいて、防水壁を設置する場合よりも冷却風の流路抵抗を低下させたうえで、冷却風導入口への水分の侵入を抑止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の第1実施形態におけるブロワユニットの概略構成を示す断面図である。
【
図2】本発明の第1実施形態におけるブロワユニットの空気取込室を含む拡大断面図であり、
図1のA-A断面図である。
【
図3】(a)が本発明の第1実施形態におけるブロワユニットが備えるケースに設けられた冷却風導入口を含む拡大図であり、(b)が本発明の第1実施形態におけるブロワユニットの変形例が備えるケースに設けられた冷却風導入口を含む拡大図である。
【
図4】本発明の第2実施形態におけるブロワユニットが備えるケースに設けられた冷却風導入口を含む拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明に係るブロワユニットの一実施形態について説明する。
【0017】
(第1実施形態)
図1は、本第1実施形態のブロワユニットS1の概略構成を示す断面図である。本実施形態のブロワユニットS1は、車両用空調システムに備えられるユニットであり、空調ユニットに対して空気を圧送する。
図1に示すように、本実施形態のブロワユニットS1は、ブロワケース1(ケース)と、ブロワケース1内に設置されるファン2と、ファン2を回転駆動する駆動モータ3等を備えている。
【0018】
ブロワケース1は、上部から見た形状が略円形に形状設定されており、内部にファン2及び駆動モータ3を収容している。このようなブロワケース1は、
図1に示すように、中央上部にファン2を収容するファン収容室1aを備え、中央下部に駆動モータ3を収容する駆動モータ収容室1bを備えている。また、ファン収容室1aの上部には、不図示のブロワダクトに接続する開口1a1が形成されている。
【0019】
さらに、ブロワケース1は、ファン収容室1a及び駆動モータ収容室1bを囲んで配置されるスクロール流路1c(空気流路)を備えている。
図1には示されていないが、スクロール流路1cは、ファン収容室1aと接続されており、ファン2によって圧送される空気が流れる空気流路として機能する。そして、スクロール流路1cの吐出側端部(不図示)が空調ユニットに繋がるダクトと接続されている。
【0020】
また、
図1に示すように、ブロワケース1の内部には、冷却風導入口1dを介してスクロール流路1cと接続される空気取込室1eが設けられている。
図2は、空気取込室1eを含む拡大断面図であり、
図1のA-A断面図である。
図1及び
図2に示すように、この空気取込室1eの内部には、駆動モータ3に通じるモータ導通口10が設けられている。このモータ導通口10は、空気取込室1eと駆動モータ収容室1bとを接続する接続流路11の空気取込室1e側の開口端によって構成されている。
【0021】
このような本実施形態のブロワユニットS1では、ファン2によって圧送された空気流の一部が冷却風導入口1dを通じて空気取込室1eに取り込まれ、冷却風導入口1dを介して空気取込室1eに取り込まれた空気がモータ導通口10から駆動モータ収容室1bに冷却風として導入されるように構成されている。なお、空気取込室1eの床面1e1が冷却風導入口1dに向けて低くなるように傾斜されており、モータ導通口10は、当該床面1e1に形成され、上方に向けて開口されている。
【0022】
図3(a)は、スクロール流路1c側から見た冷却風導入口1dを含む拡大図である。この図に示すように、本実施形態のブロワユニットS1において、ブロワケース1は、スクロール流路1cにおける空気の流れ方向における冷却風導入口1dの上流側の壁面に防水溝1f(溝部)を有している。この防水溝1fは、
図3(a)に示すように、冷却風導入口1dの幅方向(スクロール流路1cにおける空気の流れ方向と直交(交差)しかつケース壁面に沿った方向)に直線状に延伸して設けられている。
【0023】
防水溝1fの延伸方向における両端部(一方の端部1f1と他方の端部1f2)は、冷却風導入口1dの幅方向の端部(一方の端部1d1と他方の端部1d2)よりも外側に配置されている。つまり、防水溝1fの一方の端部1f1は、冷却風導入口1dの幅方向にて、一方の端部1f1と同じ側に位置する冷却風導入口1dの一方の端部1d1よりも外側に位置している。さらに、防水溝1fの他方の端部1f2は、冷却風導入口1dの幅方向にて、他方の端部1f2と同じ側に位置する冷却風導入口1dの他方の端部1d2よりも外側に位置している。このような防水溝1fは、一方の端部1f1から他方の端部1f2までの距離が、冷却風導入口1dの幅方向の寸法よりも大きく設定されている。
【0024】
このような防水溝1fは、ケース壁面に付着した水滴がスクロール流路1cを流れる空気流に流されて冷却風導入口1dに向かうときに、水滴を捕捉して冷却風導入口1dに水分が侵入することを抑制する。より詳細には、ケース壁面を伝って空気流に押されて冷却風導入口1dに向かう水滴は、防水溝1fと接触すると、毛細管現象等の力によって防水溝1fの内部に流れ込む。防水溝1fに流れ込んだ水分は防水溝1fの端部(一方の端部1f1と他方の端部1f2)まで流れ、防水溝1fの端部から空気流に押し流される。つまり、防水溝1fに取り込まれた水分は、防水溝1fの端部まで移動されることで冷却風導入口1dを避けるように冷却風導入口1dの幅方向に移動された後に、防水溝1fから排水される。このため、防水溝1fは、ケース壁面に付着して冷却風導入口1dに向かう水滴を捕捉し、冷却風導入口1dに水分が侵入することを抑止する。
【0025】
図1に戻り、ファン2は、シャフト4を介して駆動モータ3と接続されており、駆動モータ3によって生成された動力がシャフト4を介して伝達されることによって回転駆動される。そして、ファン2が回転駆動されることによって空気が圧送されてスクロール流路1cに空気流が形成される。
【0026】
駆動モータ3は、外部から入力される指令信号に基づいて動作し、上述のようにファン2を回転駆動するための動力を発生する。本実施形態において駆動モータ3は、モータ導通口10に入り込んだ空気が冷却風として吹き付けられることによって冷却される。
【0027】
このような構成を有する本実施形態のブロワユニットS1では、駆動モータ3が動作されてスクロール流路1cに空気流が形成される。ブロワユニットS1で生成された空気流は、空調ユニットに供給される。また、スクロール流路1cに空気流が形成されると、空気の一部が冷却風導入口1dを介して空気取込室1eに取り込まれ、モータ導通口10を通じて冷却風として駆動モータ3に吹き付けられる。
【0028】
ここで、本実施形態のブロワユニットS1によれば、冷却風導入口1dの上流側のケース壁面に、冷却風導入口1dの幅方向に沿って延伸する防水溝1fが設けられているため、ケース壁面を伝って空気流に押されて冷却風導入口1dに向かう水滴が防水溝1fに流れ込むことによって捕捉される。さらに、防水溝1fに捕捉された水分は防水溝1fの端部まで流れ、防水溝1fの端部から空気流に押し流される。
【0029】
つまり、本実施形態のブロワユニットS1によれば、ケース壁面を伝って冷却風導入口1dに向かう水分を防水溝1fによって冷却風導入口1dの幅方向に移動させ、冷却風導入口1dへ入りにくい位置に案内することができ、冷却風導入口1dへの水分の侵入を抑止することができる。
【0030】
したがって、本実施形態のブロワユニットS1によれば、防水壁を設ける必要がなく、ファン2から圧送される空気の一部を駆動モータ3の冷却風として取り込むブロワユニットS1において、防水壁を設置する場合よりも冷却風の流路抵抗を低下させたうえで、冷却風導入口1dへの水分の侵入を抑止することが可能となる。
【0031】
また、本実施形態のブロワユニットS1においては、防水溝1fの一方の端部1f1が、冷却風導入口1dの幅方向にて、一方の端部1f1と同じ側に位置する冷却風導入口1dの一方の端部1d1よりも外側に位置している。さらに、防水溝1fの他方の端部1f2は、冷却風導入口1dの幅方向にて、他方の端部1f2と同じ側に位置する冷却風導入口1dの他方の端部1d2よりも外側に位置している。このため、防水溝1fのいずれかの端部から排出された水分は、冷却風導入口1dの幅方向にて冷却風導入口1dの外側に排出される。このため、排出された水分が再び空気流に押されて空気流の流れ方向に沿って移動されても、水分が冷却風導入口1dに入り込むことを防止できる。
【0032】
また、
図3(b)に示すように、スクロール流路1cの空気流の流れ方向において防水溝1fが複数配列された構成を採用することも可能である。このように防水溝1fを複数配列することによって、より多くの水分を捕捉することができるため、より確実に冷却風導入口1dに水分が侵入することを防止することができる。なお、複数の防水溝の形状は必ずしも同一である必要はない。
【0033】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について、
図4を参照して説明する。なお、本実施形態の説明において、上記第1実施形態と同様の部分については、その説明を省略あるいは簡略化する。
【0034】
図4(a)は、本実施形態のブロワユニットの冷却風導入口1dを含む領域をスクロール流路1c側から見た拡大図である。この図に示すように、本実施形態のブロワユニットにおいてケースは、屈曲された防水溝1gを備えている。
【0035】
防水溝1gは、一方の端部1g1と他方の端部1g2との間の中央部がスクロール流路1cでの空気の流れ方向における上流側に位置し、一方の端部1g1と他方の端部1g2とが空気の流れ方向における下流側に位置している。つまり、防水溝1gは、空気の流れ方向に沿った方向から見て冷却風導入口1dの幅方向における中央に重なる部位と比較して、端部が冷却風導入口1dに近接して配置されている。
【0036】
また、防水溝1gの両端部(一方の端部1g1と他方の端部1g2)は、冷却風導入口1dの幅方向の端部(一方の端部1d1と他方の端部1d2)よりも外側に配置されている。つまり、防水溝1gの一方の端部1g1は、冷却風導入口1dの幅方向にて、一方の端部1g1と同じ側に位置する冷却風導入口1dの一方の端部1d1よりも外側に位置している。さらに、防水溝1gの他方の端部1g2は、冷却風導入口1dの幅方向にて、他方の端部1g2と同じ側に位置する冷却風導入口1dの他方の端部1d2よりも外側に位置している。
【0037】
このような本実施形態のブロワユニットによれば、防水溝1gは、空気の流れ方向に沿った方向から見て冷却風導入口1dの幅方向における中央に重なる部位と比較して、端部が冷却風導入口1dに近接して配置されている。このため、防水溝1gに捕捉された水分が空気流に押されて防水溝1gの一方の端部1g1あるいは他方の端部1g2に向けて流れやすくなり、防水溝1gからの水分の排水を円滑に行うことが可能となる。
【0038】
また、本実施形態のブロワユニットS1においては、防水溝1gの一方の端部1g1が、冷却風導入口1dの幅方向にて、一方の端部1g1と同じ側に位置する冷却風導入口1dの一方の端部1d1よりも外側に位置している。さらに、防水溝1gの他方の端部1g2は、冷却風導入口1dの幅方向にて、他方の端部1g2と同じ側に位置する冷却風導入口1dの他方の端部1d2よりも外側に位置している。このため、防水溝1gのいずれかの端部から排出された水分は、冷却風導入口1dの幅方向にて冷却風導入口1dの外側に排出される。このため、排出された水分が再び空気流に押されて空気流の流れ方向に沿って移動されても、水分が冷却風導入口1dに入り込むことを防止できる。
【0039】
なお、
図4(b)に示すように、防水溝1gを、中央部が空気の流れ方向における上流側に膨出した湾曲形状とすることも可能である。また、
図4(c)に示すように、防水溝1gを、中央部分で分割した形状とすることも可能である。
【0040】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0041】
例えば、上記第1実施形態においては、防水溝1fが、冷却風導入口1dの幅方向と平行な直線状とされた構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、冷却風導入口1dの幅方向に対して傾斜した直線状の防水溝を設ける構成を採用することも可能である。
【0042】
また、上記実施形態においては、防水溝1fの端部(一方の端部1f1及び他方の端部1f2)の両方あるいは防水溝1gの端部(一方の端部1g1及び他方の端部1g2)の両方が、冷却風導入口1dの幅方向において、冷却風導入口1dの外側に配置された構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。僅かであっても水滴を冷却風導入口1dの幅方向に移動させることによって冷却風導入口1dへの水分の侵入を抑制できると考えられることから、防水溝の端部は必ずしも冷却風導入口1dの幅方向において、冷却風導入口1dの外側に配置されている必要はない。ただし、防水溝の両端部のうち少なくともいずれかは、冷却風導入口1dの外側に配置されていることが好ましい。
【0043】
また、例えば、端部が中央部と比較して細くあるいは浅くなる防水溝を備える構成を採用することも可能である。このような構成を採用することによって、毛細管現象や風圧を利用して防水溝の端部に向けて水分を移動させやすくなると共に、端部の空間容積が中央部の空間容積よりも小さくなることで水分を防水溝の端部から排水しやすくすることが可能となる。
【0044】
また、例えば、防水溝の延伸方向と直交する断面形状は、矩形形状に限られず、三角形状や半円形状とすることも可能である。例えば、防水溝の延伸方向と直交する断面形状を、冷却風導入口1d側が反対側よりも深くなった三角形状とすることによって、防水溝に水滴が入りやすく、かつ防水溝の中央部から水分が溢れ出し難くすることが可能となる。
【符号の説明】
【0045】
1……ブロワケース(ケース)、1d……冷却風導入口、1d1……端部、1d2……端部、1f……防水溝、1f1……端部、1f2……端部、1g……防水溝、1g1……端部、1g2……端部、2……ファン、3……駆動モータ、4……シャフト、10……モータ導通口、11……接続流路、S1……ブロワユニット