(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-14
(45)【発行日】2022-09-26
(54)【発明の名称】リソース管理装置、リソース管理方法、及びリソース管理システム
(51)【国際特許分類】
H04L 47/76 20220101AFI20220915BHJP
【FI】
H04L47/76
(21)【出願番号】P 2018219710
(22)【出願日】2018-11-22
【審査請求日】2021-09-27
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成30年度、総務省、「革新的AIネットワーク統合基盤技術の研究開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】特許業務法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 敏明
(72)【発明者】
【氏名】小河 太郎
(72)【発明者】
【氏名】牧野 友和
(72)【発明者】
【氏名】溜渕 弘
(72)【発明者】
【氏名】田中 裕一郎
【審査官】佐々木 洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-098587(JP,A)
【文献】特開2003-209572(JP,A)
【文献】特表2002-533993(JP,A)
【文献】特開平10-336194(JP,A)
【文献】特開2005-184616(JP,A)
【文献】特開平10-154984(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 47/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1の通信装置と一つ以上の第2の通信装置との間に介在する複数の中間装置のうちの少なくとも一つの装置に接続されるインターフェース装置と、
前記複数の第1の通信装置と前記一つ以上の第2の通信装置と前記複数の中間装置との少なくとも一部に関わるリソースであり通信に利用されるリソースである通信リソースを管理するためのリソース管理データを格納する記憶装置と、
前記インターフェース装置及び前記記憶装置に接続されており、前記リソース管理データを基に、リソース要求に応答して、空きリソースから、当該リソース要求に従うリソースである要求リソースを割り当てるプロセッサと
を有し、
前記プロセッサは、前記リソース管理データを基に複数タイプのリソースを管理可能であり、
前記複数タイプのリソースは、リソース量が恒常的に続く恒常型のリソースの他に、リソース量が反復的に続く反復型のリソースを含み、
前記プロセッサは、
前記要求リソースのタイプと同じタイプの空きリソースに、当該要求リソースが存在するか否かの第1の判定を行い、
前記第1の判定の結果が真の場合に、当該同じタイプの空きリソースから前記要求リソースを割り当てる、
リソース管理装置。
【請求項2】
前記第1の判定の結果が偽の場合に、前記プロセッサは、
異なるタイプの空きリソースに、前記要求リソースが存在するか否かの第2の判定を行い、
前記第2の判定の結果が真の場合に、当該異なるタイプの空きリソースから前記要求リソースを割り当てる、
請求項
1に記載のリソース管理装置。
【請求項3】
前記複数タイプの空きリソースは、更に、リソース量の一回の利用が可能な個別型の空きリソースを含み、
前記第1の判定の結果が偽であることに加えて、前記要求リソースのタイプが個別型であり、且つ、前記恒常型の空きリソースと前記反復型の空きリソースとの両方がある場合に、前記プロセッサは、前記第2の判定では、
当該反復型の空きリソースに、前記要求リソースが存在するか否かを判定し、
当該判定の結果が偽の場合に、当該恒常型の空きリソースに、前記要求リソースが存在するか否かを判定する、
請求項
2に記載のリソース管理装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、割当て済のリソースのうち余剰なリソースと推測されるリソースを調整可能リソースとして前記リソース管理データを用いて管理し、
前記プロセッサは、前記リソース管理データを基に前記複数タイプの調整可能リソースを管理可能であり、
前記プロセッサは、
前記要求リソースのタイプと同じタイプの調整可能リソースに、前記要求リソースが存在するか否かの第3の判定を行い、
前記第3の判定の結果が真の場合に、当該同じの調整可能リソースから前記要求リソースを割り当てる、
請求項
1に記載のリソース管理装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記第1の判定の結果が偽の場合に、前記第3の判定を行う、
請求項
4に記載のリソース管理装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、前記第3の判定の結果が偽の場合に、
異なるタイプの空きリソースに、前記要求リソースが存在するか否かの第2の判定を行い、
前記第2の判定の結果が真の場合に、当該異なるタイプの空きリソースから前記要求リソースを割り当てる、
請求項
5に記載のリソース管理装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、
恒常型の調整可能リソースと反復型の調整可能リソースとに重複があるか否かを判定し、
当該判定の結果が真の場合、当該重複に関する情報を前記リソース管理データに登録し、
前記恒常型の調整可能リソースと前記反復型の調整可能リソースの一方が割り当てられた場合、前記プロセッサは、他方の調整可能リソースのうち前記重複を除く部分を、新たな反復型の調整可能リソースとして、前記リソース管理データを基に管理する、
請求項
4に記載のリソース管理装置。
【請求項8】
前記余剰なリソースとそのタイプは、過去の消費リソース量推移に基づき前記プロセッサにより推測されたリソース及びタイプである
請求項
4に記載のリソース管理装置。
【請求項9】
複数の第1の通信装置と一つ以上の第2の通信装置との間に介在する複数の中間装置のうちの少なくとも一つの装置に接続されるインターフェース装置と、
前記複数の第1の通信装置と前記一つ以上の第2の通信装置と前記複数の中間装置との少なくとも一部に関わるリソースであり通信に利用されるリソースである通信リソースを管理するためのリソース管理データを格納する記憶装置と、
前記インターフェース装置及び前記記憶装置に接続されており、前記リソース管理データを基に、リソース要求に応答して、空きリソースから、当該リソース要求に従うリソースである要求リソースを割り当てるプロセッサと
を有し、
前記プロセッサは、前記リソース管理データを基に複数タイプのリソースを管理可能であり、
前記複数タイプのリソースは、リソース量が恒常的に続く恒常型のリソースの他に、リソース量が反復的に続く反復型のリソースを含み、
前記プロセッサは、
それぞれが将来の期間と同じ長さの期間である複数の過去期間の各々における消費リソース量推移を基に、当該将来の期間における消費リソース量推移を予測し、
当該予測された消費リソース量推移に基づいて、将来の空きリソースを決定し、
当該決定された将来の空きリソースを、前記リソース管理データを基に管理し、
前記プロセッサは、前記将来の期間における連続的な空きリソース量の最小値を将来の恒常型の空きリソースのリソース量として決定する、
リソース管理装置。
【請求項10】
複数の第1の通信装置と一つ以上の第2の通信装置との間に介在する複数の中間装置のうちの少なくとも一つの装置に接続されるインターフェース装置と、
前記複数の第1の通信装置と前記一つ以上の第2の通信装置と前記複数の中間装置との少なくとも一部に関わるリソースであり通信に利用されるリソースである通信リソースを管理するためのリソース管理データを格納する記憶装置と、
前記インターフェース装置及び前記記憶装置に接続されており、前記リソース管理データを基に、リソース要求に応答して、空きリソースから、当該リソース要求に従うリソースである要求リソースを割り当てるプロセッサと
を有し、
前記プロセッサは、前記リソース管理データを基に複数タイプのリソースを管理可能であり、
前記複数タイプのリソースは、リソース量が恒常的に続く恒常型のリソースの他に、リソース量が反復的に続く反復型のリソースを含み、
前記プロセッサは、
それぞれが将来の期間と同じ長さの期間である複数の過去期間の各々における消費リソース量推移を基に、当該将来の期間における消費リソース量推移を予測し、
当該予測された消費リソース量推移に基づいて、将来の空きリソースを決定し、
当該決定された将来の空きリソースを、前記リソース管理データを基に管理し、
前記プロセッサは、前記将来の期間において時間方向に離散した複数の期間のうち最短の期間を、反復型の空きリソースの利用期間として決定し、当該将来の期間において時間方向に離散した複数のリソース量のうち最小のリソース量を、当該反復型の空きリソースのリソース量として決定する、
リソース管理装置。
【請求項11】
複数の第1の通信装置と一つ以上の第2の通信装置との間に介在する複数の中間装置のうちの少なくとも一つの装置に接続されるインターフェース装置と、
前記複数の第1の通信装置と前記一つ以上の第2の通信装置と前記複数の中間装置との少なくとも一部に関わるリソースであり通信に利用されるリソースである通信リソースを管理するためのリソース管理データを格納する記憶装置と、
前記インターフェース装置及び前記記憶装置に接続されており、前記リソース管理データを基に、リソース要求に応答して、空きリソースから、当該リソース要求に従うリソースである要求リソースを割り当てるプロセッサと
を有し、
前記プロセッサは、前記リソース管理データを基に複数タイプのリソースを管理可能であり、
前記複数タイプのリソースは、リソース量が恒常的に続く恒常型のリソースの他に、リソース量が反復的に続く反復型のリソースを含み、
前記プロセッサは、
それぞれが将来の期間と同じ長さの期間である複数の過去期間の各々における消費リソース量推移を基に、当該将来の期間における消費リソース量推移を予測し、
当該予測された消費リソース量推移に基づいて、将来の空きリソースを決定し、
当該決定された将来の空きリソースを、前記リソース管理データを基に管理し、
前記プロセッサは、前記将来の空きリソースとして、期間とリソース量の少なくとも一部が共通する恒常型の空きリソースと反復型の空きリソースとの両方を決定する、
リソース管理装置。
【請求項12】
前記プロセッサは、恒常型の空きリソースから反復型の要求リソースを割り当てた場合、当該恒常型の空きリソースから当該反復型の要求リソースを除いた部分に従う反復型の空きリソースを、前記リソース管理データを基に管理する、
請求項
2に記載のリソース管理装置。
【請求項13】
前記反復型のリソースは、リソース量と利用期間との組と、反復頻度とに従う、
請求項1
乃至12のいずれか1項に記載のリソース管理装置。
【請求項14】
前記プロセッサは、前記リソース要求を、いずれかの第1の通信装置から当該第1の通信装置の通信相手となる第2の通信装置を経由又は非経由で受け付ける、或いは、いずれかの第1の通信装置から通信を要求された第2の通信装置から受け付ける、
請求項1
乃至12のいずれか1項に記載のリソース管理装置。
【請求項15】
前記複数タイプのリソースは、更に、リソース量の一回の利用が可能な個別型のリソースを含む、
請求項1乃至14のいずれか1項に記載のリソース管理装置。
【請求項16】
リソースは、単位時間と単位リソース量に従うスロット単位で管理される、
請求項1乃至14のいずれか1項に記載のリソース管理装置。
【請求項17】
コンピュータが、リソース要求を受信し、
コンピュータが、複数の第1の通信装置と、一つ以上の第2の通信装置と、前記複数の第1の通信装置と前記一つ以上の第2の通信装置の間に介在する複数の中間装置との少なくとも一部に関わるリソースであり通信に利用されるリソースである通信リソースを管理するためのリソース管理データを基に、前記リソース要求に応答して、空きリソースから、当該リソース要求に従うリソースである要求リソースを割り当て、
前記リソース管理データを基に複数タイプのリソースが管理されることがあり、
前記複数タイプのリソースは、リソース量が恒常的に続く恒常型のリソースの他に、リソース量が反復的に続く反復型のリソースを含
み、
コンピュータが、前記要求リソースのタイプと同じタイプの空きリソースに、当該要求リソースが存在するか否かの第1の判定を行い、
コンピュータが、前記第1の判定の結果が真の場合に、当該同じタイプの空きリソースから前記要求リソースを割り当てる、
リソース管理方法。
【請求項18】
コンピュータが、リソース要求を受信し、
コンピュータが、複数の第1の通信装置と、一つ以上の第2の通信装置と、前記複数の第1の通信装置と前記一つ以上の第2の通信装置の間に介在する複数の中間装置との少なくとも一部に関わるリソースであり通信に利用されるリソースである通信リソースを管理するためのリソース管理データを基に、前記リソース要求に応答して、空きリソースから、当該リソース要求に従うリソースである要求リソースを割り当て、
前記リソース管理データを基に複数タイプのリソースが管理されることがあり、
前記複数タイプのリソースは、リソース量が恒常的に続く恒常型のリソースの他に、リソース量が反復的に続く反復型のリソースを含み、
コンピュータが、それぞれが将来の期間と同じ長さの期間である複数の過去期間の各々における消費リソース量推移を基に、当該将来の期間における消費リソース量推移を予測し、
コンピュータが、当該予測された消費リソース量推移に基づいて、将来の空きリソースを決定し、
コンピュータが、当該決定された将来の空きリソースを、前記リソース管理データを基に管理し、
コンピュータが、前記将来の期間における連続的な空きリソース量の最小値を将来の恒常型の空きリソースのリソース量として決定する、
リソース管理方法。
【請求項19】
コンピュータが、リソース要求を受信し、
コンピュータが、複数の第1の通信装置と、一つ以上の第2の通信装置と、前記複数の第1の通信装置と前記一つ以上の第2の通信装置の間に介在する複数の中間装置との少なくとも一部に関わるリソースであり通信に利用されるリソースである通信リソースを管理するためのリソース管理データを基に、前記リソース要求に応答して、空きリソースから、当該リソース要求に従うリソースである要求リソースを割り当て、
前記リソース管理データを基に複数タイプのリソースが管理されることがあり、
前記複数タイプのリソースは、リソース量が恒常的に続く恒常型のリソースの他に、リソース量が反復的に続く反復型のリソースを含み、
コンピュータが、それぞれが将来の期間と同じ長さの期間である複数の過去期間の各々における消費リソース量推移を基に、当該将来の期間における消費リソース量推移を予測し、
コンピュータが、当該予測された消費リソース量推移に基づいて、将来の空きリソースを決定し、
コンピュータが、当該決定された将来の空きリソースを、前記リソース管理データを基に管理し、
コンピュータが、前記将来の期間において時間方向に離散した複数の期間のうち最短の期間を、反復型の空きリソースの利用期間として決定し、当該将来の期間において時間方向に離散した複数のリソース量のうち最小のリソース量を、当該反復型の空きリソースのリソース量として決定する、
リソース管理方法。
【請求項20】
コンピュータが、リソース要求を受信し、
コンピュータが、複数の第1の通信装置と、一つ以上の第2の通信装置と、前記複数の第1の通信装置と前記一つ以上の第2の通信装置の間に介在する複数の中間装置との少なくとも一部に関わるリソースであり通信に利用されるリソースである通信リソースを管理するためのリソース管理データを基に、前記リソース要求に応答して、空きリソースから、当該リソース要求に従うリソースである要求リソースを割り当て、
前記リソース管理データを基に複数タイプのリソースが管理されることがあり、
前記複数タイプのリソースは、リソース量が恒常的に続く恒常型のリソースの他に、リソース量が反復的に続く反復型のリソースを含み、
コンピュータが、それぞれが将来の期間と同じ長さの期間である複数の過去期間の各々における消費リソース量推移を基に、当該将来の期間における消費リソース量推移を予測し、
コンピュータが、当該予測された消費リソース量推移に基づいて、将来の空きリソースを決定し、
コンピュータが、当該決定された将来の空きリソースを、前記リソース管理データを基に管理し、
コンピュータが、前記将来の空きリソースとして、期間とリソース量の少なくとも一部が共通する恒常型の空きリソースと反復型の空きリソースとの両方を決定する、
リソース管理方法。
【請求項21】
複数の第1の通信装置と一つ以上の第2の通信装置との間に介在する複数の中間装置と、
前記複数の中間装置のうちの少なくとも一つの中間装置に接続される
請求項1乃至16のいずれか1項に記載のリソース管理装置と
を有
するリソース管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、通信装置間の通信に関わる通信リソースの管理に関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワーク上において伝送されるトラフィック量が継続的に増加しており、ネットワークにおける帯域といったネットワークリソースの効率的な利用が望まれている。また、輻輳によりデータの欠落が発生すると、ユーザの満足度が低下するため、ユーザの希望におうじたデータ伝送品質の保証が望まれている。
【0003】
本分野の背景技術として、特許文献1記載の技術がある。この文献では、「現在のみならず将来における各ユーザへのリソース提供状態を調整してNWリソースに余裕を発生させ、サービス利用機会の増加を実現することを目的としている。また、その解決手段として、各ユーザ端末10へのコンテンツ配信状態を調整して、リソース削減を行うリソース集約部30と、各ユーザ端末10に対してリソース販売を行うリソース販売部31と、NW中の空きリソース判定を行うリソース判定部32を設ける。リソース集約部30は、リソース集約可否判定するリソース集約判定機能301と、リソース集約可否判定によりNW中のトラヒック制御を行うNW制御機能302を、リソース販売部31は、ユーザ情報のデータベース310と、ユーザからのNWリソース要求を受付ける受付機能311と、リソース要求に対して回答する回答機能312と、リソース予約者に対して通知する通知機能313を、リソース判定部32は、NW状態情報のデータベース320と、NW使用状態を監視するNW監視機能321と、空きリソース判定を行うリソース判定機能322を、それぞれ備える」、と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記記載の技術では、リソースを販売するシステム側が、トラフィックの集約制御を実行し、新たに要求されるネットワーク帯域の収容可能かを判定する。このため、集約側に輻輳が発生した場合、既設トラフィックユーザのネットワーク利用品質が劣化するといった課題がある。また、帯域のような通信リソースの利用効率の向上が望ましい。
【0006】
そこで、本発明は前述した課題を鑑みてなされた発明であり、ユーザのネットワーク利用品質劣化を防止し、且つ通信リソースを高効率に利用可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
複数の第1の通信装置と一つ以上の第2の通信装置との間に介在する複数の中間装置のうちの少なくとも一つの装置に接続されたリソース管理装置が、当該複数第1の通信装置と当該一つ以上の第2の通信装置と当該複数の中間装置との少なくとも一部に関わるリソースであり通信に利用されるリソースである通信リソースを管理するためのリソース管理データを基に、リソース要求に応答して、空きリソースから、当該リソース要求に従うリソースである要求リソースを割り当てる。リソース管理装置は、リソース管理データを基に複数タイプのリソースを管理可能である。複数タイプのリソースは、リソース量が恒常的に続く恒常型のリソースの他に、リソース量が反復的に続く反復型のリソースを含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ネットワーク利用品質の劣化が防止され、且つ、通信リソースの高効率利用が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1の実施形態におけるネットワークシステム構成図の例である。
【
図2】第1の実施形態における物理リソース管理データの例である。
【
図3】第1の実施形態における経路P1に対するリソース設定のシーケンスを示す図の例である。
【
図4】第1の実施形態における経路P2に対するリソース設定のシーケンスを示す図の例である。
【
図5】第1の実施形態における管理装置の構成図の例である。
【
図6】第1の実施形態における管理装置内のメモリに保持されるプログラム及びデータを示す図の例である。
【
図7】第1の実施形態における経路P1についての設定リソース管理データを示す図の例である。
【
図8】第1の実施形態における経路P1についてのリソース状態を示す図の例である。
【
図9】第1の実施形態における経路P2についての設定リソース管理データを示す図の例である。
【
図10】第1の実施形態における経路P2についてのリソース状態を示す図の例である。
【
図11A】第1の実施形態における確定した恒常型空きリソースのリソース管理データを示す図の例である。
【
図11B】第1の実施形態における確定した個別型空きリソースのリソース管理データを示す図の例である。
【
図11C】第1の実施形態における確定した反復型空きリソースのリソース管理データを示す図の例である。
【
図12】第1の実施形態におけるリソース割当てを示すフローチャートの例である。
【
図13】第1の実施形態における空きリソース管理を示すフローチャートの例である。
【
図14】第2の実施形態におけるリソース割当てを示すフローチャートの例である。
【
図15】第3の実施形態における管理装置内のメモリに保持されるデータを示す図の例である。
【
図16】第3の実施形態における調整可能リソース管理を示すフローチャートの例である。
【
図17】第3の実施形態における恒常型調整可能リソースを示す図の例である。
【
図18】第3の実施形態における反復型調整可能リソースを示す図の例である。
【
図19A】第3の実施形態における調整可能な恒常型リソースの調整可能リソース管理データを示す図の例である。
【
図19B】第3の実施形態における調整可能な反復型リソースの調整可能リソース管理データを示す図の例である。
【
図20A】第3の実施形態における個別型リソースのリソース要求を示す図の例である。
【
図20B】第3の実施形態における反復型リソースのリソース要求を示す図の例である。
【
図21】第3の実施形態におけるリソース割当てを示すフローチャートの例である。
【
図22】第4の実施形態における調整可能リソース管理を示すフローチャートの例である。
【
図23A】第4の実施形態における恒常型調整可能リソースを示す図の例である。
【
図23B】第4の実施形態における反復型調整可能リソースを示す図の例である。
【
図23C】第4の実施形態における恒常型調整可能リソースに対する反復型調整可能リソースとの重複領域を示す図の例である。
【
図23D】第4の実施形態における反復型調整可能リソースに対する恒常型調整可能リソース候との重複を示す図の例である。
【
図24A】第5の実施形態における第1週目における計測時系列データを示す図の例である。
【
図24B】第5の実施形態における第5週における計測時系列データを示す図の例である。
【
図24C】第5の実施形態における第12週目における予測時系列データを示す図の例である。
【
図24D】第5の実施形態における第7週目~第11週目までの調整可能リソースを示す図の例である。
【
図25】第6の実施形態におけるリソース要求画面を示す図の例である。
【
図26】第6の実施形態におけるリソース要求応答画面を示す図の例である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。本発明の思想ないし趣旨から逸脱しない範囲で、その具体的構成を変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。
【0011】
図面等において示す各構成の位置、数、大きさ、形状、範囲などは、発明の理解を容易にするため、実際の位置、数、大きさ、形状、範囲などを表していない場合がある。このため、本発明は、必ずしも、図面等に開示された位置、数、大きさ、形状、範囲などに限定されない。
【0012】
以下の説明では、「インターフェース装置」は、一つ以上のインターフェースデバイスでよい。当該一つ以上のインターフェースデバイスは、下記のうちの少なくとも一つでよい。
・一つ以上のI/O(Input/Output)インターフェースデバイス。I/O(Input/Output)インターフェースデバイスは、I/Oデバイスと遠隔の表示用計算機とのうちの少なくとも一つに対するインターフェースデバイスである。表示用計算機に対するI/Oインターフェースデバイスは、通信インターフェースデバイスでよい。少なくとも一つのI/Oデバイスは、ユーザインターフェースデバイス、例えば、キーボード及びポインティングデバイスのような入力デバイスと、表示デバイスのような出力デバイスとのうちのいずれでもよい。
・一つ以上の通信インターフェースデバイス。一つ以上の通信インターフェースデバイスは、一つ以上の同種の通信インターフェースデバイス(例えば一つ以上のNIC(Network Interface Card))であってもよいし二つ以上の異種の通信インターフェースデバイス(例えばNICとHBA(Host Bus Adapter))であってもよい。
【0013】
また、以下の説明では、「メモリ」は、一つ以上のメモリデバイスであり、典型的には主記憶デバイスでよい。メモリにおける少なくとも一つのメモリデバイスは、揮発性メモリデバイスであってもよいし不揮発性メモリデバイスであってもよい。
【0014】
また、以下の説明では、「永続記憶装置」は、一つ以上の永続記憶デバイスである。永続記憶デバイスは、典型的には、不揮発性の記憶デバイス(例えば補助記憶デバイス)であり、具体的には、例えば、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)である。
【0015】
また、以下の説明では、「記憶装置」は、メモリと永続記憶装置の少なくともメモリでよい。
【0016】
また、以下の説明では、「プロセッサ」は、一つ以上のプロセッサモジュールである。少なくとも一つのプロセッサモジュールは、典型的には、CPU(Central Processing Unit)のようなマイクロプロセッサデバイスであるが、GPU(Graphics Processing Unit)のような他種のプロセッサデバイスでもよい。少なくとも一つのプロセッサデバイスは、シングルコアでもよいしマルチコアでもよい。少なくとも一つのプロセッサモジュールは、プロセッサコアでもよい。少なくとも一つのプロセッサデバイスは、処理の一部又は全部を行うハードウェア回路(例えばFPGA(Field-Programmable Gate Array)又はASIC(Application Specific Integrated Circuit))といった広義のプロセッサデバイスでもよい。
【0017】
また、以下の説明では、「プログラム」を主語として処理を説明する場合があるが、プログラムは、プロセッサによって実行されることで、定められた処理を、適宜に記憶装置及び/又はインターフェース装置等を用いながら行うため、処理の主語が、プロセッサ(或いは、そのプロセッサを有するコントローラのようなデバイス)とされてもよい。プログラムは、プログラムソースから計算機のような装置にインストールされてもよい。プログラムソースは、例えば、プログラム配布サーバ又は計算機が読み取り可能な(例えば非一時的な)記録媒体であってもよい。また、以下の説明において、二つ以上のプログラムが一つのプログラムとして実現されてもよいし、一つのプログラムが二つ以上のプログラムとして実現されてもよい。
【0018】
また、以下の説明では、「xxx管理データ」といった表現にて、入力に対して出力が得られるデータを説明することがあるが、当該データは、どのような構造のデータでもよいし、入力に対する出力を発生するニューラルネットワークのような学習モデルでもよい。管理データは、二以上の管理データに分割されて管理されてもよいし、二以上の管理データの全部又は一部が一つの管理データとして管理されてもよい。
【0019】
また、以下の説明では、同種の要素を区別しないで説明する場合には、参照符号中の共通符号を使用し、同種の要素を区別して説明する場合は、参照符号(又は要素のID)を使用することがある。例えば、伝送装置を特に区別しないで説明する場合には、「伝送装置(10)」と記載し、個々の伝送装置を区別して説明する場合には、「伝送装置N1(10-1)」、「伝送装置N2(10-2)」のように記載することがある。
【0020】
以下、本発明の各実施形態を、
図1~
図26を用いて説明する。
【0021】
いずれの実施形態でも、ネットワークリソースを恒常的に利用する場合(恒常型リソース要求)、反復的に利用する場合(反復型リソース要求)、及び、単発的に利用する場合など恒常型と反復型のいずれにも含まれない場合(個別型リソース要求)に分けて、ネットワークリソースが管理され、ユーザが所望する利用形態に応じたネットワークリソースの提供が実行される。以下の実施形態では、説明の簡単化のために、リソースは、ネットワークリソースの一例としての帯域とする。このため、各実施形態の説明において、特段の説明が無い場合には、「リソース」及び「ネットワークリソース」のいずれも「帯域」を意味する。また、「リソース」は、“帯域”のような「リソース項目」(例えばリソース名)と、“200Mbps”のような「リソース量」の両方の意味を含むものとする。また、「帯域」は、ネットワークリソースの一例であり、ネットワークリソースは、通信リソースの一例である。「ネットワークリソース」は、ネットワークに関わるリソースである。ネットワークリソースとしては、帯域の他に、例えば、ネットワークの構成要素としての後述の伝送装置におけるリソース(例えば、伝送装置内のプロセッサの使用率)がある。また、「通信リソース」は、通信に利用されるリソースである。通信リソースとしては、ネットワークリソースの他に、例えば、後述のサーバ及び端末のうちの少なくとも一つにおけるリソース(例えば、サーバ内又は端末内のプロセッサの使用率)がある。
[第1の実施形態]
【0022】
本実施形態では、ユーザからのネットワークリソース要求のタイプに合致したタイプのネットワークリソース提供を制御する例について説明する。以下、
図1~
図13を用いて第1の実施形態に係るネットワークリソース管理の動作について説明する。
【0023】
図1は、第1の実施形態におけるネットワークシステム構成図の例である。
【0024】
本実施形態に係るリソース管理システムは、
図1に示されるように、管理装置M(20)(リソース管理装置の一例)と、それぞれデータを伝送(中継)する複数の伝送装置(10)(例えば伝送装置N1~N3(10-1~10-3))とを含む。複数の伝送装置(10)を介して、一つ以上のサーバ(30)(例えば、コンテンツを提供するサーバS1(30-1)及びS2(30-2))と複数の端末(40)(例えば、コンテンツを利用する端末T1~T6(40-1)~(40-6))間の通信が行われる。各伝送装置(10)について、下記のうちのいずれか一つ、
・サーバ(30)、端末(40)、管理装置M(20)及び伝送装置(10)のうちの二つ以上の装置が接続される、
・二つ以上の伝送装置(10)が接続される、
が該当する。各伝送装置(10)は、スイッチ、例えば、MPLS(Multi-Protocol Label Switching)が適用されたスイッチでよい。
【0025】
端末(40)は、第1の通信装置の一例でよい。サーバ(30)は、第2の通信装置の一例でよい。「通信装置」は、送信装置及び受信装置の少なくとも一つとして機能する装置でよい。伝送装置(10)は、中間装置の一例でよい。通信装置及び中間装置のいずれも、インターフェース装置、記憶装置及びプロセッサといったハードウェアを有し、当該ハードウェアに関して帯域やプロセッサ使用率といったリソースが定義されてよい。
【0026】
端末(40)は、伝送装置(10)経由でサーバ(30)にアクセスし、所望のコンテンツ(データ)の送信を当該サーバ(30)に要求する。サーバ(30)は、端末(40)から要求されたコンテンツの配信タイミングを算出し、当該コンテンツの配信に必要なネットワークリソースを、伝送装置(10)経由で管理装置M(20)に要求する。管理装置M(20)は、要求されたネットワークリソースの確保が可能か否かを判定する。管理装置M(20)は、確保が可能な場合、必要なネットワークリソースの確保を、配信元のサーバ(30)と配信先の端末(40)とを繋ぐ経路に関し、当該経路にある各伝送装置(10)に設定する。また、管理装置M(20)は、サーバ(30)に対して、要求されたネットワークリソースの提供可否を通知する。サーバ(30)は、提供可の通知を受けた場合には、スケジュール(算出された配信タイミング)に従い、端末(40)から要求されたコンテンツ(データ)を、上記経路経由で配信する。
【0027】
図2は、第1の実施形態における物理リソース管理データの例である。
【0028】
物理リソース管理データ(611)は、例えばサーバ(30)と端末(40)間の経路毎に、当該経路についてのリソース管理の番号を示す管理番号(201)、当該経路のIDを示す経路ID(202)、当該経路が経由する伝送装置のIDのリストである経由伝送装置(203)、該当経路に関して確保可能な帯域(空きの帯域)を示す帯域(204)、及び、当該経路の端点間における遅延を示す遅延(205)といった情報が格納されるフィールドから構成された行(エントリ)を有する。行211によれば、管理番号“L1”にて管理される伝送経路(以下、経路)P1は、伝送装置N1とN2を経由し、端点間で1000Mbpsのデータ伝送が可能であり、また、端点間の伝送遅延が40msである。また、行212によれば、経路P2に対しても同様に、経由する伝送装置、伝送可能な帯域、及び伝送遅延が管理される。各経路について、帯域(204)が、当該経路について割り当てられる一つ以上のリソース量(帯域)の合計の上限となる。以下の説明において、詳細は省略するが、各経路に関し、空きリソースのリソース量合計は、当該経路に関する帯域(204)から、設定リソースのリソース量合計を除いた量である。
【0029】
図3は、経路P1に対するリソース設定のシーケンスを示す図の例である。
【0030】
端末T1(40-1)は、サーバS1(30-1)にアクセスし、所望のコンテンツを要求する(ステップS301)。サーバS1(30-1)は、要求されたコンテンツの配信タイミングを算出し、管理装置M(20)に、コンテンツを端末T1(40-1)へ伝送するためのネットワークリソースの確保を要求する(ステップS302)。管理装置M(20)は、サーバS1(30-1)から要求されたネットワークリソースの確保が可能か否かを判定する。確保が可能な場合、管理装置M(20)は、コンテンツを伝送するためのネットワークリソースの確保を、経路P1の構成要素である伝送装置N1(10-1)及びN2(10-2)の各々に設定する(ステップS303-1及びS303-2)。管理装置M(20)は、要求されたネットワークリソースの確保が完了すると、要求元であるサーバS1(30-1)に対して、要求されたネットワークリソースの確保が完了したことを通知する(ステップS304)。
【0031】
端末T2(40-2)についても、ステップS301~S304と同様のステップが行われる(ステップS305~S308)。端末T3(40-3)についても、ステップS301~S304と同様のステップが行われる(ステップS309~S312)。端末T4(40-4)についても、ステップS301~S304と同様のステップが行われる(ステップS313~S316)。端末T5(40-5)についても、ステップS301~S304と同様のステップが行われる(ステップS317~S320)。
【0032】
サーバS1(30-1)は、端末T1(40-1)~端末T5(40-5)の各々について、要求されたネットワークリソースの確保が完了したことの通知を受けた後、算出したコンテンツ配信タイミングになると、要求されたコンテンツを配信する(ステップS321~S325)。
【0033】
図3では、端末T1(40-1)~端末T5(40-5)の各々について、端末(40)からサーバS1(30-1)へ送信されるコンテンツ要求も、サーバS1(30-1)から端末(40)へ配信されるコンテンツも、経路P1を経由するが、各端末(40)について、いずれの経路を経由してコンテンツが配信されるかは、当該コンテンツに対応したコンテンツ要求の経路に依存しない。具体的には、例えば、管理装置M(20)が、いずれかのサーバ(10)から、端末(40)からコンテンツを要求されたサーバ(10)から、当該コンテンツの配信のためのネットワークリソースの確保を要求された場合、当該端末(40)と当該サーバ(10)との間の経路から、当該コンテンツの経路を、下記のうちの少なくも1つ、
・コンテンツ要求で関連付けられている許容される遅延、及び、各経路についての遅延、
・コンテンツ要求で関連付けられている要求帯域、及び、各経路についての空き帯域、
に基づいて選択する。例えば、許容される遅延が“50”、P1の空き帯域が“500”、P2の空き帯域が“500”、要求帯域が“300”の場合、経路P1及びP2のいずれの空き帯域も、要求帯域“300”より大きいが、経路P2の遅延(205)は許容される遅延“50”より大きいため、遅延(205)が“50”以下である経路P1が、選択される。なお、このような経路選択は、
図4についても同様に行われてよい。
【0034】
図4は、経路P2に対するリソース設定のシーケンスを示す図の例である。
【0035】
端末T1(40-1)は、サーバS2(30-2)にアクセスし、所望のコンテンツを要求する(ステップS401)。サーバS2(30-2)は、コンテンツの配信タイミングを算出し、管理装置M(20)に、コンテンツを端末T1(40-1)へ伝送するためのネットワークリソースの確保を要求する(ステップS402)。管理装置M(20)は、サーバS2(30-2)から要求されたネットワークリソースの確保が可能か否かを判定する。確保が可能な場合、管理装置M(20)は、コンテンツを伝送するためのネットワークリソースの確保を、経路P2の構成要素である伝送装置N1(10-1)、N2(10-2)及びN3(10-3)の各々に設定する(ステップS403-1~S403-3)。管理装置M(20)は、要求されたネットワークリソースの確保が完了すると、要求元であるサーバS2(30-2)に対して、要求されたネットワークリソースの確保が完了したことを通知する(ステップS404)。
【0036】
端末T2(40-2)についても、ステップS401~S404と同様のステップが行われる(ステップS405~S408)。端末T3(40-3)についても、ステップS401~S404と同様のステップが行われる(ステップS409~S412)。端末T4(40-4)についても、ステップS401~S404と同様のステップが行われる(ステップS413~S416)。端末T5(40-5)についても、ステップS401~S404と同様のステップが行われる(ステップS417~S420)。
【0037】
サーバS2(30-2)は、端末T1(40-1)~端末T5(40-5)の各々について、要求されたネットワークリソースの確保が完了したことの通知を受けた後、算出したコンテンツ配信タイミングになると、要求されたコンテンツを配信する(ステップS421~S425)。
【0038】
【0039】
管理装置M(20)は、プロセッサの一例であるCPU(501)、記憶装置の一例である主メモリ(502)及び補助記憶デバイス(503)、及び、インターフェース装置の一例でありネットワークによりデータの送受信を行う入出力インタフェース(504)を備える。これらの構成要素(501)~(504)は、バス(505)を介して互いに接続される。管理装置M(20)は、さらに図示しない入出力装置、例えば、キーボードや画像表示装置を備えていてもよい。また、管理装置M(20)は、入出力インタフェース(504)を介して、サーバ(30)から要求を受け付けたり、伝送装置(10)にリソースを設定したりする。
【0040】
CPU(501)は、管理装置M(20)の各部を制御し、また、補助記憶デバイス(503)に格納されたプログラムを主メモリ(502)にロードし、プログラムを実行することにより、管理装置M(20)が備える各種機能を実行する。主メモリ(502)は、CPU(501)によって実行される一つ以上のプログラム、また当該一つ以上のプログラムの実行に必要なデータを格納する。
【0041】
図6は、主メモリ(502)に保持されるプログラム及びデータを示す図の例である。
【0042】
主メモリ(502)には、リソース割当て管理プログラム(601)及び空きリソース管理プログラム(602)がロードされ実行される。また、当該プログラム実行に必要なリソース管理データ(652)(例えば、物理リソース管理データ(611)、設定リソース管理データ(612)及び空きリソース管理データ(613)を含んだデータ)が保持される。なお、リソース割当て管理プログラム(601)については、
図12を用いて後述する。また、空きリソース管理プログラム(602)については、
図13を用いて後述する。物理リソース管理データ(611)については、
図2を用いて説明済みである。設定リソース管理データ(612)については
図7及び
図9を用いて後述する。空きリソース管理データ(613)については
図11を用いて後述する。
【0043】
図7は、経路P1に対する設定リソース管理データ612を示す図の例である。
【0044】
設定リソース管理データ612は、設定リソース(設定済みのリソース)毎に、設定リソース管理の番号を示す管理番号(701)、当該設定リソースが設定された経路のIDを示す経路ID(702)、当該設定リソースの利用開始の年月日を示す開始年月日(703)、当該設定リソースの利用開始の時分を示す開始時分(704)、当該設定リソースの利用終了の年月日を示す終了年月日(705)、当該設定リソースの利用終了の時分を示す終了時分(706)、当該設定リソースの利用の型を示す利用タイプ(707)、当該リソースを反復的に利用する場合の利用反復の頻度(開始周期)を示す繰返し頻度(708)、及び、当該設定リソースとして帯域(例えば[Mbps])を示す帯域(709)といった情報が格納されるフィールドから構成された行を有する。開始年月日と開始時分の組が、開始時刻の一例であり、終了年月日と終了時分の組が、終了時刻の一例である。すなわち、本実施形態では、時刻は、年月日と時分の組合せで表現される。時刻は、それよりも粗い又は細かい単位で表現されてもよい(例えば、時刻は、年月日時分秒で表現されてもよい)。
【0045】
行711によれば、設定リソースが、管理番号“A01”にて管理され、経路P1に対して、開始時刻(D1:0:00)より、恒常的に利用され、当該設定リソースとしての帯域が200Mbpsである。行712及び713によれば、行711と同様の設定が実行される。行714によれば、設定リソースが、管理番号“A04”にて管理され、経路P1に対して、開始時刻(D1:0:00)~終了時刻(D1:12:00)まで個別(単発)的に利用され、当該設定リソースとしての帯域が200Mbpsである。行715によれば、設定リソースが、管理番号“A05”にて管理され、経路P1に対して、開始時刻(D2:0:00)より、恒常的に利用され、当該設定リソースとしての帯域が200Mbpsである。
【0046】
図8は、経路P1についてのリソース状態を示す図の例である。図の横軸は時間を表し、縦軸がネットワーク帯域(Mbps)を示す。また、以下の説明では、管理番号“xx”に対応したリソースを「リソースxx」と表現することがある。
【0047】
符号801が示す設定リソースA01によれば、D1:0:00より200Mbpsの帯域が恒常的に利用される。同様に、符号802及び803が示す設定リソースA02及びA03によれば、D1:0:00より200Mbpsの帯域が恒常的に利用される。符号804が示す設定リソースA04によれば、D1:0:00~D1:12:00の間のみ、200Mbpsの帯域が個別に利用される。符号805が示す設定リソースA05によれば、D2:0:00から200Mbpsの帯域が恒常的に利用される。
【0048】
図9は、経路P2についての設定リソース管理データを示す図の例である。
【0049】
行911によれば、設定リソースが、管理番号“A11”にて管理され、経路P2に対して、D1:0:00より、恒常的に利用され、設定リソースとしての帯域が200Mbpsである。行912~914によれば、行911と同様の設定が実行される。行915によれば、設定リソースが、管理番号“A15”にて管理され、経路P2に対して、D1:0:00~D1:6:00まで、日単位の繰返しとして反復的に利用され、設定リソースとしての帯域が200Mbpsである。
【0050】
図10は、第1の実施形態における第2の経路(経路P2)についてのリソース状態を示す図の例である。
【0051】
符号1001が示す設定リソースA11によれば、D1:0:00より200Mbpsの帯域が恒常的に利用される。同様に、符号1002~1004が示す設定リソースA12~A14によれば、D1:0:00より200Mbpsの帯域が恒常的に利用される。符号1005-1及び1005-2が示す設定リソースA15によれば、D1:0:00~D1:6:00まで200Mbpsの帯域が日単位で同時間帯に利用される(つまり繰返し利用される)。
【0052】
本実施形態では、リソースの確保の要求に応答して、リソースが設定(確保)される。リソースの確保の要求を「リソース要求」と言い、リソース要求に従うリソース(つまり要求されたリソース)を「要求リソース」と言い、要求に応答して設定されたリソースを「設定リソース」と言い、空きとして管理されているリソースを「空きリソース」と言うことができる。
【0053】
また、本実施形態では、リソースのタイプが、恒常型、反復型及び個別型に区別される。具体的には、下記の通りである。
・恒常型リソースは、リソース量が恒常的に続くリソース、具体的には、例えば、開始時刻と利用されるリソース量とが規定され終了時刻が規定されないリソースである。
・反復型リソースは、リソース量が反復的(断続的)に続くリソース、具体的には、例えば、利用毎の利用期間(例えば開始時刻及び終了時刻)とリソース量とが規定されたリソースである。本実施形態では、反復型リソースは、一定の周期(例えば日毎に)で一定の利用期間(例えば午前0時~午前6時)に一定のリソース量(例えば200MBps)が利用されるリソースである。利用の反復に規則性があるリソースは、利用が周期的であるか否かや、各利用期間でリソース量が同じであるか否かに関わらず、反復型リソースに該当してよい。
・個別型リソースは、リソース量の一回の利用が可能なリソースであり、具体的には、例えば、一回の利用について利用期間(例えば開始時刻及び終了時刻)とリソース量とが規定されたリソースである。
【0054】
図11Aは、確定した恒常型空きリソースのリソース管理データ613を示す図の例である。
図11Bは、確定した個別型空きリソースのリソース管理データ613を示す図の例である。
図11Cは、確定した反復型空きリソースのリソース管理データ613を示す図の例である。
【0055】
図11A~
図11Cの空きリソース管理データ613は、空きリソースについて、当該空きリソースのリソース管理の番号を示す管理番号(1101)、当該空きリソースが関わる経路のIDを示す経路ID(1102)、当該空きリソースの状態を示すリソース状態(1103)、当該空きリソースのタイプを示す空きタイプ(1104)、当該空きリソースが反復型リソースである場合に反復頻度を示す反復頻度(1105)、当該空きリソースの開始の年月日を示す開始年月日(1106)、当該空きリソースの開始の時分を示す開始時分(1107)、当該空きリソースの終了の年月日を示す終了年月日(1108)、当該空きリソースの終了の時分を示す終了時分(1109)、及び、当該空きリソースの帯域を示す帯域(1110)といった情報を格納するフィールドから構成された行を有する。
【0056】
図11Aの行1121によれば、管理番号B01にて管理されているリソースは、経路P1において、空き状態が確定し且つ恒常的に利用が可能であり、またD1:0:00より、200Mbpsの帯域が空きのリソース量として有効である。
【0057】
図11Bの行1151によれば、管理番号B02にて管理されているリソースは、経路P1において、空き状態が確定し、単発的な個別利用が可能であり、またD1:12:00~D1:24:00において、200Mbpsの帯域が空きのリソース量として有効である。
【0058】
図11Cの行1181によれば、管理番号B11にて管理されているリソースは、経路P2において、空き状態が確定し、日単位での反復利用が可能であり、D1:6:00~D1:24:00において、日単位で200Mbpsの帯域が空きのリソース量として有効である。
【0059】
図12は、第1の実施形態におけるリソース割当てを示すフローチャートの例である。
【0060】
管理装置M(20)のCPU(501)は、補助記憶デバイス(503)に格納されたリソース割当て管理プログラム(601)を主メモリ(502)にロードして、リソース割当て管理を開始する(ステップS1200)。
【0061】
リソース割当て管理プログラム(601)は、データ伝送するためのリソース割当て設定が更新されたか否かを判定する(ステップS1201)。
【0062】
ステップS1201の判定結果が真の場合は、リソース割当て管理プログラム(601)は、空きリソースの情報を更新する(ステップS1202)。空きリソースの情報更新については、
図13を用いて後述する。
【0063】
ステップS1201の判定結果が偽の場合、ステップS1203が実行される。
【0064】
リソース割当て管理プログラム(601)は、サーバ(30)から、データを伝送するためのリソース要求を受信したか否かを判定する(ステップS1203)。
【0065】
ステップS1203の判定結果が偽の場合は、ステップS1201が実行される。
【0066】
ステップS1203の判定結果が真の場合は、リソース割当て管理プログラム(601)は、要求リソース(受信したリソース要求に従う要求されたリソース)が恒常型リソースの要求か否かを判定する(ステップS1204)。
【0067】
ステップS1204の判定結果が真の場合は、リソース割当て管理プログラム(601)は、確定した恒常型の空きリソースについて空きリソース管理データ613と、要求リソースに関する開始時刻とリソース量とを基に、確定した恒常型の空きリソースから要求リソースを提供可能(確保可能)かを判定する(ステップS1205)。要求リソースを提供可能なケースは、例えば下記の全てが満たされているケースである。
・要求リソースに関する開始時刻と同じかそれよりも過去の時刻から恒常的に空きのリソース量がある。
・当該リソース量が要求リソースのリソース量以上である。
【0068】
ステップS1205の判定結果が偽の場合は、リソース割当て管理プログラム(601)は、要求リソースを割当てる(確保する)ことが不可であることを、要求元のサーバ(30)に提示(ステップS1207)し、ステップS1201を実行する。
【0069】
ステップS1205の判定結果が真の場合は、リソース割当て管理プログラム(601)は、確定した恒常型の空きリソースより要求リソースを割り当てる、具体的には、データ伝送のための設定(要求リソースの設定)を、割当て元の空きリソースが関わる経路に属する各伝送装置(10)に対して実施する(ステップS1206)。
【0070】
ステップS1204の判定結果が偽の場合は、リソース割当て管理プログラム(601)は、要求リソースが反復型リソースか否かを判定する(ステップS1208)。
【0071】
ステップS1208の判定結果が真の場合、リソース割当て管理プログラム(601)は、確定した反復型の空きリソースについて空きリソース管理データ613と、要求リソースに関する利用期間、利用頻度及びリソース量とを基に、確定した反復型の空きリソースから要求リソースを提供可能かを判定する(ステップS1209)。要求リソースを提供可能なケースは、例えば下記の全てが満たされているケースである。
・要求リソースに関する複数の利用期間(反復的な利用期間)をそれぞれ含む複数の期間を持った空きリソースがある。
・当該複数の期間の各々について、当該期間での空きのリソース量が、当該期間に対応する利用期間でのリソース量(要求リソースでのリソース量)以上である。
【0072】
ステップS1209の判定結果が真の場合は、リソース割当て管理プログラム(601)は、確定した反復型の空きリソースより要求リソースを割り当てる、具体的には、データ伝送のための設定(要求リソースの設定)を、割当て元の空きリソースが関わる経路に属する各伝送装置(10)に対して実施する(ステップS1210)。
【0073】
ステップS1209の判定結果が偽の場合は、リソース割当て管理プログラム(601)は、要求リソースを割当てることが不可であることを、要求元のサーバ(30)に提示(ステップS1211)し、ステップS1201を実行する。
【0074】
ステップS1208の判定結果が偽の場合は、リソース割当て管理プログラム(601)は、要求リソースが個別型リソースか否かを判定する(ステップS1212)。
【0075】
ステップS1212の判定結果が偽の場合は、リソース割当て管理プログラム(601)は、要求リソースを割当てることが不可であることを、要求元のサーバ(30)に提示(ステップS1214)し、ステップS1201を実行する。
【0076】
ステップS1212の判定結果が真の場合は、リソース割当て管理プログラム(601)は、確定した個別型の空きリソースについて空きリソース管理データ613と、要求リソースに関する利用期間及びリソース量とを基に、確定した個別型の空きリソースから要求リソースを提供可能かを判定する(ステップS1213)。要求リソースを提供可能なケースは、例えば下記の全てが満たされているケースである。
・要求リソースに関する利用期間を含む期間を持った空きリソースがある。
・当該期間での空きのリソース量が、当該期間に対応する利用期間でのリソース量(要求リソースでのリソース量)以上である。
【0077】
ステップ1213の判定結果が偽の場合は、リソース割当て管理プログラム(601)は、要求リソースを割当てることが不可であることを提示(ステップS1214)し、ステップS1201を実行する。
【0078】
ステップ1213の判定結果が真の場合は、リソース割当て管理プログラム(601)は、確定した個別型の空きリソースより要求リソースを割り当てる、具体的には、データ伝送のための設定(要求リソースの設定)を、割当て元の空きリソースが関わる経路に属する伝送装置(10)に対して実施する(ステップS1215)。
【0079】
図13は、第1の実施形態における空きリソース管理を示すフローチャートの例である。
【0080】
管理装置M(20)のCPU(501)は、補助記憶デバイス(503)に格納された空きリソース管理プログラム(602)を主メモリ(502)にロードして、空きリソース管理を開始する(ステップS1300)。
図13にて説明する空きリソース管理処理(ステップS1302~S1310)は、
図12におけるステップS1202の処理に相当する。
【0081】
空きリソース管理プログラム(602)は、初めに恒常型、反復型、及び個別型に利用するリソースの割合を設定する(ステップS1301)。例えば、空きリソース管理プログラム(602)は、全体の空きリソースを、50%を恒常型リソースとして、30%を反復型リソースとして、そして20%を個別型リソースとして管理設定する。なお、この他の割合にて管理されてもよい。
【0082】
続いて、空きリソース管理プログラム(602)は、データを伝送するためのリソースが空きリソースから割当てられたことで利用設定されたリソースが更新されたか否かを判定する(ステップS1302)。
【0083】
ステップS1302の判定結果が偽の場合は、空きリソース管理プログラム(602)は、ステップS1202の処理を継続する。
【0084】
ステップS1302の判定結果が真の場合は、空きリソース管理プログラム(602)は、割り当てられたリソースが恒常型リソースか否かを判定する(ステップS1303)。
【0085】
ステップS1303の判定結果が真の場合は、空きリソース管理プログラム(602)は、恒常型の空きリソースを更新する(ステップS1304)。結果として、恒常型の空きリソースが確定する。
【0086】
ステップS1303の判定結果が偽の場合は、空きリソース管理プログラム(602)は、割り当てられたリソースが反復型リソースか否かを判定する(ステップS1305)。
【0087】
ステップS1305の判定結果が真の場合は、空きリソース管理プログラム(602)は、反復型の空きリソースを更新する(ステップS1306)。結果として、反復型の空きリソースが確定する。
【0088】
ステップS1305の判定結果が偽の場合は、空きリソース管理プログラム(602)は、割り当てられたリソースが個別型リソースか否かを判定する(ステップS1307)。
【0089】
ステップS1307の判定結果が真の場合は、空きリソース管理プログラム(602)は、個別型の空きリソースを更新する(ステップS1308)。結果として、個別型の空きリソースが確定する。
【0090】
ステップS1307の判定結果が偽の場合は、空きリソース管理プログラム(602)は、リソース制御のエラーを、要求元のサーバ(30)に提示(ステップS1309)し、空きリソース管理を終了する(ステップS1310)。
【0091】
以上説明したように、本実施形態では、複数のリソースタイプが定義されており、管理装置M(20)が、空きリソースを、複数のタイプのうちのいずれかのタイプに属する空きリソースとして管理する。管理装置M(20)が、ユーザ(端末(40))から要求されたリソースのタイプに応じて、当該タイプに合致したタイプの空きリソースを特定し、当該空きリソースを、配信されるコンテンツが経由する経路に属する各伝送装置(10)に設定する。言い換えれば、要求されたリソースのタイプと異なるタイプのリソースが割り当てられること(例えば、反復型や個別型のリソースの要求に応答して恒常型のリソースが割り当てられること)がない。このため、ネットワークユーザが所望する利用形態に応じたネットワークリソース量を保証し、且つ、ネットワークリソースの高効率利用が可能となる。
[第2の実施形態]
【0092】
第1の実施形態では、恒常型、反復型、個別型のリソース要求があった場合に、恒常型、反復型、個別型の空きリソースより提供が可能かが判定される。第2の実施形態では、反復型のリソース要求に対して、反復型の空きリソースから提供できない場合に、恒常型の空きリソースから提供が可能かを判定する。また、個別型のリソース要求に対して、個別型の空きリソースから提供できない場合、反復型、又は恒常型の空きリソースから提供が可能かを判定する。以下、
図14を用いて第2の実施形態に係るネットワークリソース管理の動作について説明する。なお、上述の実施形態との相違点を主に説明し、上述の実施形態との共通点については説明を省略又は簡略する(これは、第3の実施形態以降についても同様である)。
【0093】
図14は、第2の実施形態におけるリソース割当てを示すフローチャートの例である。
【0094】
リソース割当て管理プログラム(601)が主メモリ(502)にロードされ、リソース割当て管理が開始する(ステップS1400)。
【0095】
ステップS1201~ステップS1210と同様のステップが実行される(ステップS1401~ステップS1410)。但し、ステップ1409の判定結果が偽の場合、リソース割当て管理プログラム(601)は、ステップS1211に代えて、ステップS1405を実行する。これにより、要求リソースが反復型リソースでも当該要求リソースを満たす反復型の空きリソースが無ければ、当該要求リソースを満たす恒常型の空きリソースから割り当てられること、具体的には、要求リソースに関する複数の利用期間にそれぞれ対応した複数のリソース量が、恒常型の空きリソースから割り当てられることが期待される。恒常型の空きリソースから反復型の要求リソースが割り当てられた場合、空きリソース管理データ(613)に、恒常型の空きリソースのうち反復型の要求リソースを除く部分に従う反復型の空きリソースを示す情報が、リソース割当て管理プログラム(601)により登録される。当該反復型の空きリソースは、利用期間とリソース量の組と、反復頻度とに従い定義される。
【0096】
ステップ1212~S1215と同様のステップが実行される(ステップS1411~ステップS1414)。但し、ステップ1412の判定結果が偽の場合、リソース割当て管理プログラム(601)は、ステップS1214(ステップS1413)に代えて、ステップS1409を実行する。これにより、要求リソースが個別型リソースでも当該要求リソースを満たす個別型の空きリソースが無ければ、当該要求リソースを満たす反復型の空きリソースから割り当てられること、具体的には、要求リソースに関する利用期間に対応したリソース量が、反復型の空きリソースから割り当てられることが期待される。なお、このステップS1409の判定結果が偽の場合、リソース割当て管理プログラム(601)は、ステップS1405を実行する。これにより、要求リソースが個別型リソースでも当該要求リソースを満たす個別型の空きリソースと反復型の空きリソースのいずれもが無ければ、当該要求リソースを満たす恒常型の空きリソースが割り当てられること、具体的には、要求リソースのリソース量以上のリソース量を持つ恒常型の空きリソースが割り当てられることが期待される。
【0097】
以上説明したように、本実施形態では、反復型のリソース要求に対して、反復型の空きリソースから提供できない場合に、恒常型の空きリソースから提供が可能かを判定する。また、個別型のリソース要求に対して、個別型の空きリソースから提供できない場合、反復型、又は恒常型の空きリソースから提供が可能かを判定する。そのため、ネットワークリソースの高効率利用が可能となる。なお、ステップ1412の判定結果が偽の場合にステップS1405よりも先にステップS1409が行われることで、複数タイプの空きリソースのうち汎用性の最も高い恒常型リソースをなるべく多く残すことができ、結果として、ネットワークリソースの高効率利用が一層期待できる。
[第3の実施形態]
【0098】
第2の実施形態では、データを伝送するために要求されたネットワークリソースを、空きが確定しているリソースから割り当てられる。第3の実施形態では、一度割り当てられたリソース(割当て済みのリソース)から、実際に必要となる量より過度に割当てられていると想定されるリソースが調整可能リソースとして、管理端末M(20)により融通されることにより(例えばユーザ間でリソースが調整されることにより)、割当て不可が生じる可能性を低減する。以下、
図15~
図21を用いて第3の実施形態に係るネットワークリソース管理の動作について説明する。
【0099】
図15は、第3の実施形態における管理装置内のメモリに保持されるデータを示す図の例である。
【0100】
主メモリ(502)には、リソース割当て管理プログラム(601)、空きリソース管理プログラム(602)、及び調整可能リソース管理プログラム(603)がロードされ実行される。また、当該プログラム実行に必要なリソース管理データ(652)(物理リソース管理データ(611)、設定リソース管理データ(612)、空きリソース管理データ(613)、及び調整可能リソース管理データ(614)を含んだデータ)が保持される。リソース割当て管理プログラム(601)については、
図21を用いて後述する。また、調整可能リソース管理プログラム(603)については、
図16を用いて後述する。調整可能リソース管理データ(614)については、
図19を用いて後述する。一方、空きリソース管理プログラム(602)については、
図13を用いて説明済みである。物理リソース管理データ(611)については、
図2を用いて説明済みである。設定リソース管理データ(612)については
図7及び
図9を用いて、また空きリソース管理データ(613)については
図11を用いて説明済みである。
【0101】
図16は、第3の実施形態における調整可能リソース管理を示すフローチャートの例である。
【0102】
管理装置M(20)のCPU(501)は、補助記憶デバイス(503)に格納された調整可能リソース管理プログラム(603)を主メモリ(502)にロードして、調整可能リソース管理を開始する(ステップS1600)。
【0103】
調整可能リソース管理プログラム(603)は、調整可能なリソースの量を算出するにあたり、時間とリソース量に対して、調整可能な単位としての区分を登録する(ステップS1601)。具体的には、例えば、本実施形態では、時間の各区分は6時間である。また、リソース量の各区分は、20Mbpsである。
【0104】
調整可能リソース管理プログラム(603)は、調整可能リソースを算出して更新するタイミングか否かを判定する(ステップS1602)。具体的には、例えば、6時間間隔で調整が走るようになっていて、現在時刻が0:00、6:00、12:00及び18:00のいずれかの場合、ステップS1602の判定結果が真である。
【0105】
ステップS1602の判定結果が真の場合、調整可能リソース管理プログラム(603)は、割当てたリソース(設定リソース)を一つ選択する(ステップS1603)。
【0106】
調整可能リソース管理プログラム(603)は、実際に利用された過去のリソース消費を示す図示しないリソース消費データ(例えば、過去に消費(利用)されたリソース量の時系列データ)に基づき、ステップS1603で選択されたリソースのうち、当該リソース消費データから想定される利用リソース(消費リソース)に重複しないリソースである未利用リソースを特定し、当該特定された未利用リソースから、調整可能リソースの構成要素となるリソース部分を区分単位(時間方向とリソース量方向の単位区分毎)にリストアップする(ステップS1604)。リストアップされた一つ以上のリソース部分が、恒常型、反復型又は個別型の調整可能リソースを構成することができる。また、リソース消費データは、ユーザ(端末(40))毎に、ユーザとサーバ(30)との組毎に、又は、ユーザとサーバ(30)と経路との組毎に、存在してよく、ステップS1604では、ステップS1603で選択された設定リソースが関わるユーザ、ユーザとサーバ(30)との組、又は、ユーザとサーバ(30)と経路との組に対応したリソース消費データが、参照されてよい。
【0107】
調整可能リソース管理プログラム(603)は、時間方向に対して未利用リソースを評価し、恒常型の調整可能リソースが存在するか否かを判定する(ステップS1605)。上記リストアップされた一つ以上のリソース部分の集合が、時間方向に対して未利用リソース量が恒常的に続いていれば、S1605の判定結果は真である。
【0108】
ステップS1605の判定結果が真の場合は、調整可能リソース管理プログラム(603)は、その恒常型調整可能リソースを示す情報を、調整可能リソース管理データ(614)として登録する(ステップS1606)。
【0109】
ステップS1605の判定結果が偽の場合は、調整可能リソース管理プログラム(603)は、時間方向に対して未利用リソースを評価した結果を基に、反復型の調整可能リソースが存在するか否かを判定する(ステップS1607)。上記リストアップされた一つ以上のリソース部分の集合が、時間方向に対して複数の未利用期間と未利用リソース量との組が規則的に並んでいれば(例えば、所定期間(1分、1時間、1日、1週間、1月、1年など)毎に未利用期間と未利用リソース量との組があれば)、S1607の判定結果は真である。
【0110】
ステップS1607の判定結果が真の場合は、調整可能リソース管理プログラム(603)は、その反復型調整可能リソースを示す情報を、調整可能リソース管理データ(614)として登録する(ステップS1608)。
【0111】
ステップS1607の判定結果が偽の場合は、調整可能リソース管理プログラム(603)は、全ての設定リソースについて調整可能リソースがあるかを確認したか否かを判定する(ステップS1609)。
【0112】
ステップS1609の判定結果が偽の場合は、調整可能リソース管理プログラム(603)は、ステップS1603を実行する(すなわち、調整可能リソースが存在するかを確認していない設定リソースを一つ選択する)。
【0113】
ステップS1609の判定結果が真の場合は、処理がステップS1602に戻る。
【0114】
図17は、第3の実施形態における恒常型調整可能リソースを示す図の例である。
【0115】
図17の例によれば、リソースは、スロット単位で管理される。言い換えれば、リソースは、スロットの集合である。「スロット」は、時間方向“6時間”且つリソース量“20Mbps”の単位リソースである。“6時間”は、単位時間の一例であり、“20Mbps”は、単位リソース量の一例である。このように、リソースは、リソース量方向と時間方向で量子化して管理される。
【0116】
調整可能リソース管理プログラム(603)は、恒常型の設定リソース(割り当てられた恒常的な200Mbps)のうち、余剰(例えば過剰)なリソース量を予測する。本実施形態では、調整可能リソース管理プログラム(603)は、リソース消費データからリソース消費の推移(1701)を予測し、設定リソースのうち予測された推移(1701)が占めるスロット群以外のスロット群のうち、調整可能な恒常型リソースとして灰色にて示された、時間方向に沿って連続したスロット群(1702)を推測する。スロット群は、一つ以上のスロットである。このようにして、調整可能リソース管理プログラム(603)は、調整可能な恒常型リソースとして、恒常的な40Mbpsを恒常型の調整可能リソースとして特定し登録する。
【0117】
図18は、第3の実施形態における反復型調整可能リソースを示す図の例である。
【0118】
調整可能リソース管理プログラム(603)は、恒常型の設定リソースのうち、予測されるリソース消費の推移(1801)が占めるスロット群以外のスロット群のうち、調整可能な反復型リソース量として灰色にて示された、時間方向に沿って並んだ複数の連続したスロット群(1802-1)~(1802-7)を推測する。このようにして、調整可能リソース管理プログラム(603)は、調整可能な反復型リソースとして、12:00~24:00の1日毎の繰返しとしての100Mbpsを特定し登録する。
図18によれば、時間方向に沿って並んだ複数の連続したスロット群は、時間方向に沿って並んだスロットの数も、リソース量方向に沿って並んだスロットの数も共通している。すなわち、時間方向に沿って並んだ離散した複数の領域のうち、最小の期間且つ最小のリソース量(つまり期間の共通部分とリソース量の共通部分)が、調整可能な反復型リソースに該当する複数のスロット群に相当する。
【0119】
図19Aは、第3の実施形態における調整可能な恒常型リソースの調整可能リソース管理データを示す図の例である。
【0120】
調整可能リソース管理データは、調整可能なリソースについて、当該リソースの管理の番号を示す管理番号(1901)、当該リソースに関する経路のIDを示す経路ID(1902)、当該リソースの状態を示すリソース状態(1903)、当該リソースのタイプを示す空きタイプ(1904)、当該リソースが反復型リソースの場合に反復頻度を示す反復頻度(1905)、当該リソースの利用可能な開始の年月日を示す開始年月日(1906)、当該リソースの利用可能な開始の時分を示す時間(1907)、当該リソースの利用可能な終了の年月日を示す終了年月日(1908)、当該リソースの利用可能な終了の時分を示す終了時分(1909)、当該リソースの帯域を示す帯域(1910)、及び、当該リソースを含んだ設定リソースの管理番号を示す調整元(1911)といった情報を格納するフィールドから構成された行を有する。
【0121】
行1921によれば、管理番号“C01”にて管理されているリソースは、経路P1に関して、調整可能な恒常型のリソースであり、開始年月日D15の開始時間0:00より、帯域40Mbpsが、管理番号“A01”にて管理されているリソースから調整可能(融通可能)である。
【0122】
図19Bは、第3の実施形態における調整可能な反復型リソースの調整可能リソース管理データを示す図の例である。
【0123】
行1951によれば、管理番号“C02”にて管理されているリソースは、経路P1に関して調整可能な反復型のリソースであり、反復頻度は1日であり、開始年月日D15の開始時間12:00より、終了年月日D15の終了時間24:00まで、帯域100Mbpsが、管理番号“A02”にて管理されているリソースから調整可能である。
【0124】
図20Aは、第3の実施形態における個別型リソースのリソース要求を示す図の例である。
【0125】
リソース要求は、例えば、リソース要求としての管理番号(2001)、経路の両端にある伝送装置を示す端点ノード(2002)、許容される遅延(2003)、リソース消費のタイプ(2004)、消費タイプが反復型の場合の反復頻度を示す反復頻度(2005)、利用開始の年月日を示す開始年月日(2006)、利用開始の時分を示す開始時分(2007)、利用終了の年月日を示す終了年月日(2008)、利用終了の時分を示す終了時間(2009)、及び、利用する帯域を示す帯域(2010)といった情報を格納するフィールドを有する。
図20Aに例示のリソース要求によれば、要求リソースは、伝送装置N1(10-1)及び伝送装置N2(10-2)を両端とした経路に関するリソースであり、許容遅延が50(ms)であり、要求リソースの消費タイプが個別型であり、要求リソースの利用期間がD15:12:00~D15:24:00であり、必要とされる帯域が200(Mbps)である。
【0126】
図20Bは、第3の実施形態における反復型リソースのリソース要求を示す図の例である。
【0127】
図20Bに例示のリソース要求によれば、要求リソースは、伝送装置N1(10-1)及び伝送装置N2(10-2)を両端とした経路に関するリソースであり、許容遅延が50(ms)であり、要求リソースの消費タイプが反復型であり、反復頻度は1日であり、D15:12:00~D15:24:00で必要とする帯域が100(Mbps)である。
【0128】
図21は、第3の実施形態におけるリソース割当てを示すフローチャートの例である。
【0129】
リソース割当て管理プログラム(601)が主メモリ(502)にロードされて、リソース割当て管理が開始する(ステップS2100)。
【0130】
ステップS1401~ステップS1406と同様のステップが実行される(ステップS2101)~(ステップS2106)。
【0131】
ステップS2105の判定結果が偽の場合は、リソース割当て管理プログラム(601)は、調整可能リソース管理データ614を参照し、一つ又は複数の調整による恒常型空きリソースから要求されたリソースを提供可能か否かを判定する(ステップS2107)。
【0132】
ステップS2107の判定結果が真の場合は、リソース割当て管理プログラム(601)は、一つ又は複数の調整による恒常型空きリソースから要求リソースを割当てる(ステップS2108)。
【0133】
ステップS2107の判定結果が偽の場合は、ステップS1407と同様のステップが実行される(ステップS2109)。
【0134】
ステップS1408~ステップS1410と同様のステップが実行される(ステップS2110)~(ステップS2112)。
【0135】
ステップS2111の判定結果が偽の場合は、リソース割当て管理プログラム(601)は、調整可能リソース管理データ614を参照し、一つ又は複数の調整による反復型空きリソースから要求されたリソースを提供可能か否かを判定する(ステップS2113)。
【0136】
ステップS2113の判定結果が真の場合は、リソース割当て管理プログラム(601)は、調整可能リソース管理データ614を参照し、一つ又は複数の調整による反復型空きリソースから要求リソースを割当てる(ステップS2114)。
【0137】
ステップS2113の判定結果が偽の判定した場合は、リソース割当て管理プログラム(601)は、ステップS2105を実行する。
【0138】
ステップS1411~ステップS1414と同様のステップが実行される(ステップS2116)~(ステップS2119)。
【0139】
以上説明したように、本実施形態では、設定リソースのうち過去のリソース量推移から過剰とみなされた部分が調整可能なリソースとして融通される。そのため、割当て不可が生じる可能性が低減され、故に、ネットワークリソースの一層の高効率利用が可能となる。
【0140】
なお、調整可能なリソースの割り当ては、確定した空きリソースに要求リソースがあるか否かに関わらず行われてよいが、本実施形態では、要求リソースは、確定した空きリソースから優先的に割り当てられ(確保され)、確定した空きリソースに要求リソースが無い場合に、調整可能リソースの少なくとも一部が要求リソースとして割り当てられる。このため、一度割り当てられた(設定された)リソースがなるべく維持され、結果として、ネットワーク利用品質の劣化が防止されることが一層期待される。
[第4の実施形態]
【0141】
第3の実施形態では、一度割当てたリソースのうち、実際に必要となる量より過度に割当てられていると想定されるリソースが、恒常型、或いは反復型といった、いずれかのタイプの調整可能なリソースとして管理される。第4の実施形態では、過度に割当てられていると想定されるリソースが、恒常型と反復型のいずれにも該当し得るようであれば、恒常型の調整可能リソースとしても反復型の調整可能リソースとしても管理される。以下、
図22~
図23Dを用いて第4の実施形態に係るネットワークリソース管理の動作について説明する。
【0142】
図22は、第4の実施形態における調整可能リソース管理を示すフローチャートの例である。
【0143】
調整可能リソース管理プログラム(603)が主メモリ(502)にロードされて、調整可能なリソースの管理が開始される(ステップS2200)。
【0144】
ステップS1601~S1608と同様のステップが実行される(ステップS2201~ステップS2208)。但し、ステップ2206の後、ステップS1609と同様のステップS2211が実行されることに代えて、ステップS2207が実行される。
【0145】
調整可能リソース管理プログラム(603)は、ステップS2203で選択されたリソースが、恒常型の調整可能リソースと反復型の調整可能リソースとのいずれにも該当し、それらのリソースに重複が存在するか否かを判定する(ステップS2209)。
【0146】
ステップS2209の判定結果が真の場合は、調整可能リソース管理プログラム(603)は、その重複するリソースを示す情報を、調整可能リソース管理データ(614)に登録する(ステップS2210)。その後、ステップS1609と同様のステップが実行される(ステップS2211)。
【0147】
ステップS2209の判定結果が偽の場合は、調整可能リソース管理プログラム(603)は、ステップS2211を実行する。
【0148】
図23Aは、第4の実施形態における恒常型調整可能リソースを示す図の例である。
【0149】
図23Bは、第4の実施形態における反復型調整可能リソースを示す図の例である。
【0150】
図23Cは、第4の実施形態における恒常型調整可能リソースに対する反復型調整可能リソースとの重複領域を示す図の例である。
【0151】
図23Dは、第4の実施形態における反復型調整可能リソースに対する恒常型調整可能リソースとの重複領域を示す図の例である。
【0152】
図23Aによれば、リソース量を200Mbpsとした恒常的な設定リソースのうち、予測されたリソース消費推移(2301)が占めるスロット群以外のスロット群のうち、調整可能な恒常型リソースとして灰色にて示されたスロット群(2302)が、調整可能な恒常型リソース(リソース量:40Mbps)に該当する。
【0153】
図23Bによれば、リソース量を200Mbpsとした恒常的な設定リソースのうち、予測されたリソース消費推移(2301)が占めるスロット群以外のスロット群のうち、調整可能な反復型リソース量として灰色にて示されたスロット群(2303-1)~(2303-7)が、調整可能な反復型リソース(利用期間:12:00~24:00、利用頻度:日、リソース量:120Mbps)に該当する。
【0154】
図23Cによれば、
図23Aの恒常型調整可能リソースのうち、
図23Bの反復型調整可能リソースと重複しているスロット群(2304-1)~(2304-7)を示す情報が登録される。これにより、
図23Bの反復型調整可能リソースが割り当てられた場合、
図23Aの恒常型調整可能リソースを要求リソースとして割り当てることは不可となるが、
図23Aの恒常型調整可能リソースのうち
図23Cに示された重複スロット群を差引いた残りの複数のスロット群(時間方向に離散した複数のスロット群)に相当するリソースが、調整可能リソース管理プログラム(603)により新たな反復型調整可能リソースとして管理される。
【0155】
図23Dによれば、
図23Bの反復型調整可能リソースのうち、
図23Aの恒常型調整可能リソースと重複しているスロット群(2305-1)~(2305-7)を示す情報が登録される。これにより、
図23Aの恒常型調整可能リソースが割り当てられた場合、
図23Bの反復型調整可能リソースのうち
図23Dに示された重複スロット群を差引いた残りの複数のスロット群(時間方向に離散した複数のスロット群)に相当するリソースが、調整可能リソース管理プログラム(603)により新たな反復型調整可能リソースとして管理される。
【0156】
以上説明したように、本実施形態では、設定リソースのうちの調整可能リソースが、可能であれば恒常型と反復型の両方の調整可能リソースとして管理され、且つ、それら恒常型の調整可能リソースと反復型の調整可能リソースの重複も管理される。恒常型の調整可能リソースと反復型の調整可能リソースの一方が割り当てられた場合、他方の調整可能リソースのうち重複を除く部分が、新たな反復型の調整可能リソースとして管理される。そのため、リソースの割当て不可が生じる可能性が一層低減されることが期待される。
[第5の実施形態]
【0157】
第5の実施形態では、データ伝送に必要となるリソースの将来予測を、第1と第2の期間における実際の消費リソースの履歴から、将来の第3の期間において必要となるリソースを算出することで、将来的に空きと想定されるリソース量を算出することができる。第1の期間と第2の期間は、それぞれが将来の期間(一例として第3の期間)と同じ長さの期間である複数の過去期間の一例でよい。以下、
図24A~
図24Dを用いて第5の実施形態に係るネットワークリソース管理の動作について説明する。
【0158】
図24Aは、第5の実施形態における第1週目における計測時系列データを示す図の例である。第1週目が、第1の期間の一例である。
【0159】
図24Bは、第5の実施形態における第5週における計測時系列データを示す図の例である。第5週目が、第2の期間の一例である。
【0160】
図24Cは、第5の実施形態における第12週目における予測時系列データを示す図の例である。第12週目が、第3の期間の一例である。
【0161】
図24Dは、第5の実施形態における第7週目~第11週目までの空きリソースを示す図の例である。
【0162】
図24Aによれば、第1週目について、経路P1(経路の一例)に関して、伝送装置N1(10-1)(伝送装置(10)の一例)から定期的に例えば空きリソース管理プログラム(602)により取得された計測データを基に、消費されたリソース量の推移(2400)を示す計測時系列データが、取得される。
【0163】
図24Bによれば、第5週目について、経路P1及び伝送装置N1(10-1)に関して、消費されたリソース量の推移(2410)を示す計測時系列データが取得される。
【0164】
図24Cによれば、空きリソース管理プログラム(602)は、取得した第1週目と第5週目の消費リソース量推移より、第12週目の消費リソース量の推移(2420)を推測する。
【0165】
図24Dによれば、空きリソース管理プログラム(602)は、第12週目の推測された消費リソース量推移(2420)から、推測された消費リソース量が増加傾向の場合は、第12週目において空きと想定される一つ以上のスロット群を、第7週目~第11週目までの空きリソースとして決定する。一方、推測された消費リソース量が減少傾向の場合は、第5週目の消費リソースに基づいて、第7週目~第11週目までの空きリソースとして決定する。
図24Dの例によれば、推測された消費リソース量が増加傾向の場合を示しており、時間方向に離散した複数のスロット群(2430-1)~(2430-7)に相当する反復型の空きリソースが決定される。なお、第7週目は、現時点よりも後の一つ以上の期間におけるm番目の期間の一例であり(mは自然数)、第11週目は、現時点よりも後の一つ以上の期間におけるn番目の期間の一例である(nは、m以上の自然数)。決定された空きリソースを示す情報が、空きリソース管理プログラム(602)により空きリソース管理データ613に登録される。
図24Dによれば、空きリソース管理プログラム(602)は、第12週目において時間方向に離散した複数の期間のうち最短の期間を、反復型の空きリソースの利用期間として決定し、且つ第12週目において時間方向に離散した複数のリソース量のうち最小のリソース量を、反復型の空きリソースのリソース量として決定する。
【0166】
以上説明したように、本実施形態では、第1と第2の期間における実際の消費リソース推移を基に、将来の第3の期間において調整可能と想定されるリソースが決定される。そして、例えば消費リソース量が増加傾向であるような場合、第2の期間と第3の期間の間のリソース消費を推測せず、第3の期間における推測された消費リソースを基に、空き帯域を算出しており、算出のための計算量が削減される。そのため、空きリソースを算出するための処理量と空きリソース量を登録するデータ量を削減した、将来に想定される空きリソースの管理が可能となる。なお、図示しないが、推測された消費リソース量が増加傾向の場合は、空きリソース管理プログラム(602)は、第3の期間における連続的な空きリソース量の最小値を将来の恒常型の空きリソースのリソース量として決定する。また、図示しないが、空きリソース管理プログラム(602)は、例えば
図22を参照して説明した調整可能リソースと同様に、一部のスロット群を共有する恒常型の空きリソースと反復型の空きリソースとを決定し、それらの空きリソースを示す情報を空きリソース管理データ613に登録してよい。
[第6の実施形態]
【0167】
第6の実施形態では、データ伝送に必要となるリソースを、コンテンツを配信するサーバ(30)が管理装置M(20)に要求するのではなく、ユーザ(端末(40))が管理装置M(20)にアクセスして要求する。以下、
図25及び
図26を用いて第6の実施形態に係るネットワークリソース管理の動作について説明する。
【0168】
図25は、第6の実施形態におけるリソース要求画面を示す図の例である。
【0169】
管理装置M(20)は、ユーザが希望する品質でのデータ伝送を設定するための機能を提供する。例えば、管理装置M(20)において、ユーザからの要求を処理する要求処理プログラム(図示せず)が、アクセス元の端末(40)に、
図25に例示のネットワークリソース要求画面(2500)(例えばGUI(Graphical User Interface))に表示されるオブジェクトの基になる情報を提供する。ネットワークリソース要求画面(2500)に表示されるオブジェクトとしては、複数の設定項目(2501)と、各設定項目(2501)についての設定値(2502)と、入力した要求を送信するための要求送信ボタン2530とがある。複数の設定値(2502)のうちの一部の設定値(例えば管理番号)は、自動で決定されてよい。設定値(2502)は、ユーザによる変更を受け付けるGUI部品のようなUI(ユーザインターフェース)を介して入力される。なお、例えば、消費タイプについては、恒常型、反復型、個別型といった事前登録された選択肢を選択するためのUI(例えばプルダウンメニュー)が可能である。また、例えば、反復頻度についても、反復される頻度として、分、時、日、週、月、年といった事前登録された選択肢を選択するためのUIが可能である。
【0170】
図26は、第6の実施形態におけるリソース要求応答画面を示す図の例である。
【0171】
例えば上述の要求処理プログラムは、ユーザが設定したリソースが要求されると(例えば
図25の要求送信ボタン2530が押されると)、それに対する結果として、端末(40)に、
図26に例示のリソース要求応答画面(2600)(例えばGUIに表示されるオブジェクトの基になる情報を応答する。応答画面(2600)に表示されるオブジェクトとしては、設定項目(2501)毎に、設定値(2502)に加えて、要求回答(2503)及び別案(2504)が表示される。また、設定項目(2501)として、価格及び選択肢(利用するリソースを選択するための選択肢)が表示される。価格については、本実施形態では、要求リソースにて実行する場合の価格と、別案を実行する場合の価格とがある。選択肢として、要求リソースにて実行することを選択するための選択ボタン(2540-1)と、別案にて実行することを選択するための選択ボタン(2540-2)とがある。例えば、本実施形態では、リソース利用の利用期間(開始時刻と終了時刻の少なくとも一方)を変更した場合に(例えば短くした場合に)、より低価格でリソース提供が可能な提示とされる。
【0172】
さらに、ネットワークリソース応答画面(2600)では、要求したリソースに対してキャンセルするためのボタン(2550)、及び応答より選択したリソース(選択ボタン(2540-1)及び(2540-2)のうちいずれか押されたボタンに対応したリソース)にて利用を確定するためのボタン(2560)も表示される。
【0173】
以上説明したように、本実施形態では、データ伝送に必要となるリソースの要求をユーザが管理装置M(20)にアクセスして実行する。そのため、サーバ(30)がリソースを管理装置M(20)に要求する機能を持っていなくても、ユーザが希望する品質でのデータ受信が可能となる。
【0174】
また、本実施形態では、要求リソースを提供可能な空きリソース及び調整可能リソースのうちのいずれも無い場合、要求処理プログラムは、リソース割当て不可とせずに、要求リソースに関する少なくとも一つの設定値を変更することで(例えば、利用期間を短くする、又は、要求帯域を小さくすることで)、割当て不可の可能性を低減することができる。具体的には、例えば、本実施形態では、要求処理プログラムは、設定リソース管理データ612、空きリソース管理データ613及び調整可能リソース管理データ614を基に、要求リソースに関する各設定項目の設定値を満たすことが可能か否かを判定してよい。当該判定結果が偽の設定項目については、要求処理プログラムは、設定リソース管理データ612、空きリソース管理データ613及び調整可能リソース管理データ614を基に、当該設定項目の設定値を変更することでリソース割当てが可能となるか否かを判定してもよい。
【0175】
以上、幾つかの実施形態を説明したが、これらは本発明の説明のための例示であって、本発明の範囲をこれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、他の種々の形態でも実行することが可能である。
【0176】
例えば、上記の実施形態では、リソースとしてネットワーク帯域を例に説明したが、他のリソース、例えば、ストレージ、計算機(CPU)に対して、同様のリソース管理が可能である。
【0177】
また、上記実施形態において、コンテンツとしては、例えば映像ストリーミングデータやセンサーにより計測され、定期的に発生するデータ等、様々に存在する。また、利用形態としての例では、映像ストリーミングデータの場合は、恒常型のリソースを利用して送受信され、センサーデータの場合は、反復型のリソースを利用して送受信される。但し、上記例に従って、データの送受信を必ずしも実施する必要はない。
【0178】
さらに、上記実施形態において、管理装置M(20)は、伝送装置(10)に接続せず、ネットワークを介してクラウド基盤(1以上の計算機)上で実行されるソフトウェア(アプリケーション)でもよい。
【0179】
また、上述の第1の実施形態~第6の実施形態のうちの少なくとも二つの実施形態を組み合わせることができる。
【0180】
また、ユーザ(端末(40))からのリソース要求とそれに対する応答は(例えば
図25及び
図26に例示の画面に表示される情報の送信は)サーバ(30)経由又は非軽油で実行されてもよい。
【0181】
また、上記実施形態は、パケット交換ネットワークにも、回線交換ネットワークにも適用可能である。
【符号の説明】
【0182】
10 伝送装置
20 管理装置
30 サーバ
40 端末