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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-14
(45)【発行日】2022-09-26
(54)【発明の名称】振動付与装置及び振動制御方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20220915BHJP
   G06F 3/01 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
G06F3/041 480
G06F3/01 560
G06F3/041 600
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018220587
(22)【出願日】2018-11-26
(65)【公開番号】P2020086944
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-06-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000194918
【氏名又は名称】ホシデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104569
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 正夫
(72)【発明者】
【氏名】池原 雅幸
【審査官】酒井 優一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0102358(US,A1)
【文献】特開2012-059243(JP,A)
【文献】特開2016-186757(JP,A)
【文献】特開2015-011470(JP,A)
【文献】特開2004-192413(JP,A)
【文献】特開2016-045605(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
G06F 3/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被振動部と、
前記被振動部にかかる荷重を検出する荷重検出部と、
前記被振動部を振動させる振動生成部と、
振動制御部とを備えており、
前記振動制御部は、前記荷重検出部により検出される荷重が第1閾値以上になったか否かについて第1判断をし、前記第1判断の結果、前記荷重検出部により検出される荷重が前記第1閾値以上になったと判断した場合、前記振動生成部を駆動させており、且つ、前記荷重検出部により検出される荷重が前記第1閾値以上になったときから所定の第1期間を経過するまでの間に、前記荷重検出部により検出される荷重が第2閾値未満になったか否かについて第2判断を行い、前記第2判断の結果、前記荷重検出部により検出される荷重が前記第1期間中に前記第2閾値未満になったと判断した場合、前記振動生成部を駆動させないようになっており、
前記振動制御部は、前記荷重検出部により検出される荷重が前記第1期間中に前記第2閾値未満にならず、前記第1期間が経過した後に、前記荷重検出部により検出される荷重が前記第2閾値未満になった場合に、前記振動生成部を駆動させる振動付与装置。
【請求項2】
請求項1記載の振動付与装置において、
前記振動制御部は、前記第2判断の結果、前記荷重検出部により検出される荷重が前記第1期間中に前記第2閾値未満になったと判断した場合、前記荷重検出部により検出される荷重が前記第2閾値未満になったときから所定の第2期間を経過するまでの間に、前記荷重検出部により検出される荷重が前記第1閾値以上になったか否かについて第3判断を行い、前記第3判断の結果、前記荷重検出部により検出される荷重が前記第2期間中に前記第1閾値以上になったと判断した場合、前記振動生成部を駆動させず、前記第2判断の処理に戻る一方、前記荷重検出部により検出される荷重が前記第2期間中に前記第1閾値以上にならず、前記第2期間が経過した後に、前記第1判断の処理に戻る振動付与装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の振動付与装置において、
前記第1期間の経過後、前記振動制御部は、前記荷重検出部により検出される荷重が前記第2閾値未満になったときから所定の第3期間を経過するまでの間に、前記荷重検出部により検出される荷重が前記第1閾値以上になったか否かについて第4判断を行い、前記第4判断の結果、前記荷重検出部により検出される荷重が前記第3期間中に前記第1閾値以上になったと判断した場合、前記振動生成部を駆動させない一方、前記荷重検出部により検出される荷重が前記第3期間中に前記第1閾値以上にならず、前記第3期間が経過した後に、前記第1判断の処理に戻る振動付与装置。
【請求項4】
請求項3記載の振動付与装置において、
前記振動制御部は、前記第4判断の結果、前記荷重検出部により検出される荷重が前記第3期間中に前記第1閾値以上になったと判断した場合、前記荷重検出部により検出される荷重が前記第2閾値未満になったか否かについて第5判断を行い、前記第5判断の結果、前記荷重検出部により検出される荷重が前記第2閾値未満になったと判断した場合、前記振動生成部を駆動させず、前記第4判断の処理に戻る振動付与装置。
【請求項5】
請求項1~4の何れかに記載の振動付与装置において、
前記被振動部は、第1方向側から押圧されるようになっており、
前記振動生成部は、前記第1方向の反対側の第2方向側から前記被振動部に対して振動を付与するようになっている振動付与装置。
【請求項6】
請求項5記載の振動付与装置において、
前記荷重検出部は、前記被振動部に対して前記第2方向側に配置されており且つ前記被振動部にかかる前記第2方向の荷重を検出するようになっている振動付与装置。
【請求項7】
請求項1~6の何れかに記載の振動付与装置において、
前記第1期間は、10ms以上であり且つ200ms以下である振動付与装置。
【請求項8】
請求項3又は4記載の振動付与装置において、
前記第1期間は、10ms以上であり且つ200ms以下であり、
前記第3期間は、10ms以上であり且つ200ms以下である振動付与装置。
【請求項9】
請求項1~8の何れかに記載の振動付与装置において、
前記被振動部は、振動板と、
前記振動板に直接的又は間接的に固定されたタッチセンサとを有しており、
前記振動生成部は、前記振動板を振動させるようになっており、
前記荷重検出部は、前記振動板にかかる荷重を検出するようになっている振動付与装置。
【請求項10】
請求項1~8の何れかに記載の振動付与装置において、
前記被振動部は、タッチセンサを有しており、
前記振動生成部は、前記タッチセンサを振動させるようになっており、
前記荷重検出部は、前記タッチセンサにかかる荷重を検出するようになっている振動付与装置。
【請求項11】
被振動部にかかる荷重を荷重検出部により検出し且つ振動生成部により前記被振動部を振動させる振動制御方法において、
振動制御部が、前記荷重検出部により検出される荷重が第1閾値以上になったか否かについて第1判断をし、前記第1判断の結果、前記荷重検出部により検出される荷重が前記第1閾値以上になったと判断した場合、前記振動生成部を駆動させ、前記振動制御部は、前記荷重検出部により検出される荷重が前記第1閾値以上になったときから所定の第1期間を経過するまでの間に、前記荷重検出部により検出される荷重が第2閾値未満になったか否かについて第2判断を行い、前記第2判断の結果、前記荷重検出部により検出される荷重が前記第1期間中に前記第2閾値未満になったと判断した場合、前記振動生成部を駆動させず、且つ、前記振動制御部は、前記荷重検出部により検出される荷重が前記第1期間中に前記第2閾値未満にならず、前記第1期間が経過した後に、前記荷重検出部により検出される荷重が前記第2閾値未満になった場合に、前記振動生成部を駆動させる振動制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動付与装置及び振動制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の振動付与装置が下記特許文献1に記載されている。この振動付与装置は、指やタッチペンなどの検出対象によって押下操作される被振動部(入力部)と、この被振動部に対する押圧荷重を検出する荷重検出部と、被振動部を振動させる振動生成部と、制御部とを備えている。制御部は、荷重検出部により検出される荷重が、所定の第1基準を満たした際に、振動生成部を駆動させて被振動部を振動させて検出対象に押下操作の触感を付与している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-146510号公報(US2011/0102358)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の振動付与装置では、荷重検出部により被振動部にかかる荷重が検出される一方で、被振動部が振動生成部により振動させられる構成であるため、被振動部自体が振動することによって、荷重検出部により検出される荷重が変化する。この荷重の変化によって、制御部は、操作に対する触感を付与するために振動生成部を駆動させた後、振動生成部を誤作動させることがある。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みて創案されたものであって、その目的とするところは、振動生成部の誤作動を抑制することができる振動付与装置及び振動制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一態様の振動付与装置は、被振動部と、被振動部にかかる荷重を検出する荷重検出部と、被振動部を振動させる振動生成部と、振動制御部とを備えている。
【0007】
振動制御部は、荷重検出部により検出される荷重が第1閾値以上になったか否かについて第1判断をし、第1判断の結果、荷重検出部により検出される荷重が第1閾値以上になったと判断した場合、振動生成部を駆動させる構成とすることが可能である。振動制御部は、荷重検出部により検出される荷重が第1閾値以上になったときから所定の第1期間を経過するまでの間に、荷重検出部により検出される荷重が第2閾値未満になったか否かについて第2判断を行い、第2判断の結果、荷重検出部により検出される荷重が第1期間中に第2閾値未満になったと判断した場合、振動生成部を駆動させない構成とすることが可能である。
【0008】
このような態様の振動付与装置による場合、振動生成部が被振動部を振動させることを起因として、振動生成部が誤作動することを抑制することができる。その理由は以下の通りである。被振動部が押圧されると、振動生成部が駆動し、被振動部を振動させる。この被振動部の振動により、荷重検出部により検出される荷重が変動することがある。しかし、第1期間中において、被振動部の振動により荷重検出部により検出される荷重が変動し、第2閾値未満になったとしても、振動生成部が駆動しない。
【0009】
振動制御部は、第2判断の結果、荷重検出部により検出される荷重が第1期間中に第2閾値未満になったと判断した場合、荷重検出部により検出される荷重が第2閾値未満になったときから所定の第2期間を経過するまでの間に、荷重検出部により検出される荷重が第1閾値以上になったか否かについて第3判断を行い、第3判断の結果、荷重検出部により検出される荷重が第2期間中に第1閾値以上になったと判断した場合、振動生成部を駆動させず、第2判断の処理に戻る一方、荷重検出部により検出される荷重が第2期間中に第1閾値以上にならず、第2期間が経過した後に、第1判断の処理に戻る構成とすることが可能である。
【0010】
このような態様の振動付与装置による場合、振動生成部が被振動部を振動させることを起因として、振動生成部が誤作動することを更に抑制することができる。その理由は以下の通りである。第1期間中において、被振動部の振動により荷重検出部により検出される荷重が変動して第2閾値未満になり、その後、第2期間中において、第1閾値以上になったたり、これを繰り返したとしても、振動生成部が駆動しない。
【0011】
振動制御部は、荷重検出部により検出される荷重が第1期間中に第2閾値未満にならず、第1期間が経過した後に、荷重検出部により検出される荷重が第2閾値未満になった場合に、振動生成部を駆動させる構成とすることが可能である。このような態様の振動生成装置による場合、第1期間が経過した後に、荷重検出部により検出される荷重が第2閾値未満になった場合に、振動生成部を駆動させ、振動生成部が被振動部を振動させることができる。
【0012】
第1期間の経過後、振動制御部は、荷重検出部により検出される荷重が第2閾値未満になったときから所定の第3期間を経過するまでの間に、荷重検出部により検出される荷重が第1閾値以上になったか否かについて第4判断を行い、第4判断の結果、荷重検出部により検出される荷重が第3期間中に第1閾値以上になったと判断した場合、振動生成部を駆動させない一方、荷重検出部により検出される荷重が第3期間中に第1閾値以上にならず、第3期間が経過した後に、第1判断の処理に戻る構成とすることが可能である。
【0013】
このような態様の振動付与装置による場合、振動生成部が被振動部を振動させることを起因として、振動生成部が誤作動することを更に抑制することができる。その理由は以下の通りである。第1期間の経過後に、振動生成部が駆動し、被振動部を振動させる。この場合も、被振動部の振動により、荷重検出部により検出される荷重が変動することがある。しかし、振動生成部の駆動後の第3期間中において、被振動部の振動により荷重検出部により検出される荷重が変動し、第1閾値以上になったとしても、振動生成部が駆動しない。
【0014】
振動制御部は、第4判断の結果、荷重検出部により検出される荷重が第3期間中に第1閾値以上になったと判断した場合、荷重検出部により検出される荷重が第2閾値未満になったか否かについて第5判断を行い、第5判断の結果、荷重検出部により検出される荷重が第2閾値未満になったと判断した場合、振動生成部を駆動させず、第4判断の処理に戻る構成とすることが可能である。
【0015】
このような態様の振動付与装置による場合、振動生成部が被振動部を振動させることを起因として、振動生成部が誤作動することを更に抑制することができる。その理由は以下の通りである。第1期間の経過後に、振動生成部が駆動し、被振動部を振動させる。この場合も、被振動部の振動により、荷重検出部により検出される荷重が変動することがある。しかし、振動生成部の駆動後の第3期間中において、被振動部の振動により荷重検出部により検出される荷重が変動し、第1閾値以上になった後、第2閾値未満になったり、これを繰り返したりしたとしても、振動生成部が駆動しない。
【0016】
被振動部は、第1方向側から押圧されるようになっても良い。この場合、振動生成部は、第1方向の反対側の第2方向側から被振動部に対して振動を付与するようになっていても良い。
【0017】
荷重検出部は、被振動部に対して第2方向側に配置されており且つ被振動部にかかる第2方向の荷重を検出する構成となっても良い。
【0018】
第1期間は、10ms以上であり且つ200ms以下であると良いが、これに限定されるものではない。第2期間は、10ms以上であり且つ200ms以下であると良いが、これに限定されるものではない。第3期間は、10ms以上であり且つ200ms以下であると良いが、これに限定されるものではない。
【0019】
被振動部は、振動板と、振動板に直接的又は間接的に固定されたタッチセンサとを有する構成とすることが可能である。この場合、振動生成部は、振動板を振動させる構成とすることが可能であり且つ荷重検出部は振動板にかかる荷重を検出する構成とすることが可能である。被振動部は、振動板に固定されたカバーパネルを更に備えた構成とすることが可能である。タッチセンサは、カバーパネルに固定された構成とすることが可能である。
【0020】
又は、被振動部は、タッチセンサを有する構成とすることが可能である。この場合、振動生成部はタッチセンサを振動させる構成とすることが可能であり且つ荷重検出部はタッチセンサにかかる荷重を検出する構成とすることが可能である。被振動部は、タッチセンサに直接的又間接的に固定されたカバーパネルを更に有する構成とすることが可能である。
【0021】
本発明の一態様の振動制御方法は、被振動部にかかる荷重を荷重検出部により検出し且つ振動生成部により前記被振動部を振動させる方法であって、振動制御部が上記した何れかの態様の通り処理を行うようになっている。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施例1に係る振動付与装置の模式的断面図である。
図2】前記実施例1の振動付与装置の設計変更例の模式的断面図である。
図3】前記実施例1及び前記設計変更例の振動付与装置の振動制御部により処理される振動制御プログラムのフローチャートである。
図4】前記実施例1及び前記設計変更例の振動付与装置の動作状態に関する状態遷移図である。
図5A】前記実施例1及び前記設計変更例の振動付与装置の動作状態に関する状態遷移表であって、状態S0~S5の前後の遷移を示す表である。
図5B】前記実施例1及び前記設計変更例の振動付与装置の動作状態に関する状態遷移表であって、イベントとイベントの前の状態S0~S5において行われる処理との関係を示す表である。
図6】前記実施例1及び前記設計変更例の振動付与装置のタイムチャートである。
図7】本発明の実施例2に係る振動付与装置の模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0024】
以下、本発明の実施例1を含む複数の実施例に係る振動付与装置T1について図1及び図2を参照しつつ説明する。図1には、実施例1の振動付与装置T1が示されており、図2には、その設計変形例が示されている。図1及び図2に示すZ-Z’方向のうちのZ方向が特許請求の範囲の第1方向に相当し、Z’方向が特許請求の範囲の第1方向の反対の第2方向に相当している。
【0025】
振動付与装置T1は、被振動部V1及び少なくとも一つの振動生成部200を備えている。被振動部V1は、振動板100、静電容量型のタッチセンサ300及び操作パネル400を有する構成とすることが可能である。
【0026】
振動板100は、金属板などであって、Z方向側の第1面101と、Z’方向側の第2面102とを有している。なお、Z-Z’方向は、振動付与装置T1の振動板100の振動方向でもある。
【0027】
少なくとも一つの振動生成部200は、振動板100をZ-Z’方向に振動させる構成となっていれば良い。例えば、少なくとも一つの振動生成部200は、以下の(A)~(C)の何れかの構成とすることが可能である。
(A)少なくとも一つの振動生成部200は、電磁式ソレノイドであって、プランジャ210と、図示しないコイルとを有している。この場合、少なくとも一つの振動生成部200は、図1に示すように振動板100に対してZ’方向側又はZ方向側に配置されていると良い。この少なくとも一つの振動生成部200は、コイルが励磁されることによって、プランジャ210がZ-Z’方向に往復移動し、振動板100をZ’方向側又はZ方向側から繰り返し押圧することによって、振動板100にZ-Z’方向の振動を付与する。
(B)少なくとも一つの振動生成部200は、振動モータであって、モータ部と、プランジャとを有している。この場合も、少なくとも一つの振動生成部200も、振動板100に対してZ’方向側又はZ方向側に配置されていると良い。この少なくとも一つの振動生成部200は、モータ部の駆動により、プランジャがZ-Z’方向に往復移動し、振動板100をZ’方向側又はZ方向側から繰り返し押圧することによって、振動板100にZ-Z’方向の振動を付与する。
(C)少なくとも一つの振動生成部200は、形状記憶合金ワイヤーを使用した振動素子である。この場合も、少なくとも一つの振動生成部200も、振動板100に対してZ’方向側又はZ方向側に配置されていると良い。この少なくとも一つの振動生成部200は、前記ワイヤーがプランジャとして機能してZ-Z’方向に振動(すなわち、Z-Z’方向に往復移動)し、振動板100をZ’方向側又はZ方向側から繰り返し押圧することによって、振動板100にZ-Z’方向の振動を付与する。
【0028】
上記した何れかの態様の少なくとも一つの振動生成部200は、複数とすることができる。複数の振動生成部200は、互いに間隔をあけて配置されていると良いが、これに限定される物ではない。
【0029】
操作パネル400は、例えば、ポリメチルメタクリレート(Polymethylmethacrylate(PMMA))やポリカーボネート(polycarbonate(PC))などの樹脂で構成されている。又は、操作パネル400は、一又は複数の樹脂板や樹脂フィルムで構成されている。各樹脂板又は樹脂フィルムは、例えば、ポリカーボネート(polycarbonate(PC))、ポリスチ
レン(PS)、シクロオレフィンコポリマー(COC)、シクロオレフィンポリマー(COP)、ポリメチルメタクリレート(Polymethyl methacrylate(PMMA))、ポリプロピレン(PP)又はこれらの素材のうち複数の素材を混合させたポリマーアロイ等で構成されている。
【0030】
この操作パネル400は、パネル本体410と、脚部420とを有していても良い。パネル本体410はプレートであって、操作面Fを有している。操作面Fは、パネル本体410のZ方向側の外面であって、指やタッチペンなどの検出対象によってZ方向側からタッチ入力操作がなされ、Z方向側から押圧される面である。この操作面Fは、フラットであっても良いし、少なくとも一部が曲面状であっても良い。パネル本体410は、固定面を更に有していても良い。固定面は、パネル本体410のZ’方向側の内面である。脚部420は、パネル本体410の周縁部からZ’方向に延びた筒である。図1に示されるように、操作パネル400の脚部420が振動板100の第1面101にネジ止めや両面粘着材などで固定されている。このように操作パネル400が振動板100に固定されているため、操作パネル400は振動板100の振動に伴ってZ-Z’方向に振動し、且つ操作パネル400の操作面FがZ’方向に押圧されることによって、振動板100に操作パネル400を介してZ’方向の荷重が加えられるようになっている。この操作パネル400の振動によって、操作面FもZ-Z’方向に振動するため、操作面Fを通じて検出対象に触感が付与される。なお、脚部420は、省略可能である。この場合、パネル本体410が振動板100の第1面101にネジ止めや両面粘着材などで固定されていると良い。
【0031】
タッチセンサ300は操作パネル400の操作面FのZ’方向側に位置するように、操作パネル400の固定面に固定されていても良いし(図1参照)、操作パネル400内部に設けられていても良い。後者の場合、タッチセンサ300は、操作パネル400の複数の樹脂板又は樹脂フィルムの間に挟持されていても良いし、操作パネル400内にインサート成形されていても良い。このようにタッチセンサ300は、操作パネル400を介して振動板100に間接的に固定されている。この場合、タッチセンサ300は振動板100及び操作パネル400の振動に伴ってZ-Z’方向に振動する。
【0032】
タッチセンサ300は、複数の電極310を有している。複数の電極310は、操作パネル400の操作面FのZ方向からの平面視(以下、単に平面視とも称する。)において、同一平面に間隔をあけて配置されていても良い(図1参照)。又は、複数の電極310が、第1平面に間隔をあけて配置された複数の電極310と、第2平面に間隔をあけて配置された複数の電極310とを有しており、平面視において第1平面上の電極310と第2平面上の電極310とが互いに交差していても良い。第1平面と第2平面は、Z-Z’方向において異なる高さの平面である。
何れの場合も、タッチセンサ300は、下記(ア)又は(イ)の構成とすることが可能である。
【0033】
(ア)検出対象が操作面Fにタッチし、当該検出対象が複数の電極310のうちの少なくとも一つの電極310に対して接近すると、接近された電極310と検出対象との間の静電容量が変化し、この静電容量の変化に応じて接近された電極310の出力信号(電圧又は電流)が変化するようになっている。
【0034】
(イ)複数の電極310は、平面視において少なくとも一組の隣り合う又は交差する電極310を含んでおり、隣り合う又は交差する電極310のうちの一方が駆動電極(Tx電極)であり、他方が検出電極(Rx電極)である。駆動電極及び検出電極が静電結合されている。検出対象が操作面Fにタッチし、当該検出対象が少なくとも一組の隣り合う又は交差する電極310(駆動電極及び検出電極)に接近すると、接近された駆動電極及び検出電極の間の静電容量が変化し、この静電容量の変化に応じて接近された検出電極の出力信号(電圧又は電流)が変化するようになっている。
【0035】
別の態様では、被振動部V1は、振動板100及びタッチセンサ300を有する構成とすることが可能である。すなわち、操作パネル400は省略可能である。この場合、タッチセンサ300のZ方向側の面が操作面Fとなっている。タッチセンサ300は、振動板100の第1面101に中間材Mを介して間接的に固定されていてもよいし(図2参照)、振動板100の第1面101に両面粘着材などで直接的に固定されていても良い(図示なし)。何れの場合も、タッチセンサ300は振動板100の振動に伴ってZ-Z’方向に振動し、且つタッチセンサ300の操作面FがZ’方向に押圧されることによって、振動板100にタッチセンサ300を介してZ’方向の荷重が加えられるようになっている。
【0036】
上記した何れかの態様のタッチセンサ300のZ’方向側に有機ELや液晶表示装置などの表示装置が配置される場合、振動板100のタッチセンサ300のZ’方向側の部分に開口を設けて表示装置とタッチセンサ300とが対向するようにしても良い。表示装置が省略される場合、振動板100に前述の開口は不要である。また、表示装置が省略される場合、タッチセンサ300は操作パネル400の操作面FのZ’方向側に位置するように、振動板100の第1面101上に直接固定されていても良い。この場合、タッチセンサ300は振動板100の振動に伴ってZ-Z’方向に振動する。
【0037】
振動付与装置T1は、筐体500及び固定板600を更に備えていても良い。筐体500は、開口510を有している。被振動部V1が操作パネル400を有する場合、開口510の内形寸法は、平面視において操作パネル400の外形寸法よりも若干大きい(図1参照)。この場合、開口510内に操作パネル400が収容されている。換言すると、開口510から操作パネル400が筐体500外に露出している。被振動部V1が操作パネル400を有しない場合、開口510の内形寸法は、平面視においてタッチセンサ30
0の外形寸法よりも若干大きい(図2参照)。この場合、開口510内にタッチセンサ300が収容されている。換言すると、開口510からタッチセンサ300が筐体500外に露出している。
【0038】
固定板600は、例えば、金属板又は樹脂板(例え、ポリメチルメタクリレート(Polymethyl methacrylate(PMMA))、ポリカーボネート(polycarbonate(PC))、ポリブチレンテレフタレート(Polybutylene terephthalate(PBT))、ABS樹脂などの板)である。この固定板600は、振動板100の第2面102のZ’方向側に、当該第2面102に対して間隔をあけて配置されている。
【0039】
振動付与装置T1は緩衝部材700a、700bを更に備えている。緩衝部材700a、700bは、環状の弾性体(例えば、シリコンゴムやウレタンゴムなどのゴムやフォーム材など)であって、振動板100をZ-Z’方向において保持している。緩衝部材700aは、Z-Z’方向において振動板100と筐体500との間に介在している。緩衝部材700bは、Z-Z’方向において振動板100と固定板600との間に介在している。なお、緩衝部材700aは、複数に分割され、振動板100と筐体500との間で周方向に間隔をあけて配置されていても良い。緩衝部材700bも、複数に分割され、振動板100と固定板600との間で周方向に間隔をあけて配置されていても良い。
【0040】
振動付与装置T1は、少なくとも一つの荷重検出部800を更に備えている。少なくとも一つの荷重検出部800は、被振動部V1の振動板100に加えられるZ’方向の荷重に応じて出力信号(例えば、電圧など)を変動させる構成となっていれば良い。より具体的には、少なくとも一つの荷重検出部800は、被振動部V1の振動板100に加えられるZ’方向の荷重の増加に応じて、出力信号を上昇させる一方、Z’方向の荷重の減少に応じて出力信号を低下させる構成となっていれば良い。
【0041】
少なくとも一つの荷重検出部800は、例えば、以下の(1)又は(2)構成とすることが可能である。
(1)少なくとも一つの荷重検出部800は、Z-Z’方向において振動板100と固定板600との間(図1及び図2参照)に介在している。少なくとも一つの荷重検出部800は、感圧素子810と、ピン820とを有している。感圧素子810及びピン820は、感圧素子810が振動板100に接触し、ピン820が固定板600に接触するように配置されていても良いし、その逆に配置されていても良い。何れの場合でも、感圧素子810及びピン820は、被振動部V1がZ’方向に押圧され、振動板100がZ’方向に移動することにより、振動板100と固定板600との間で挟持される。これにより、ピン820が感圧素子810に圧力(すなわち、操作パネル400にかかる荷重)をかける。感圧素子810は、前記圧力に応じて出力信号を変動(上下)させるようになっている。なお、少なくとも一つの荷重検出部800は、Z-Z’方向において振動板100と振動付与装置T1の別の部材との間に介在していても良い。
(2)少なくとも一つの荷重検出部800は、歪みゲージセンサなどであって、振動板100に固定されている。少なくとも一つの荷重検出部800は、被振動部V1がZ’方向に押圧されることによって、振動板100にかかるZ’方向の荷重に応じて出力信号を変動(上下)させるようになっている。この場合、固定板600は、省略可能である。
【0042】
上記した通り、少なくとも一つの荷重検出部800により被振動部V1の振動板100にかかる荷重が検出される一方、被振動部V1の振動板100が少なくとも一つの振動生成部200により振動させられる構成である。このため、被振動部V1の操作面Fが検出対象にZ方向側からタッチされ(押圧され)、被振動部V1の振動板100にZ’方向の荷重が加えられているときに、検出対象に触感を付与するために、少なくとも一つの振動生成部200によって振動板100がZ-Z’方向に振動させられると、少なくとも一つの荷重検出部800の出力信号(少なくとも一つの荷重検出部800により検出される荷重)が変動(上下動)する。
【0043】
特に、被振動部V1にZ’方向の荷重が加えられる構成(被振動部V1がZ方向側から検出対象にタッチされる(押圧される)構成)であり、少なくとも一つの荷重検出部800が振動板100に対してZ’方向側に配置されており且つ少なくとも一つの振動生成部200が振動板100に対してZ’方向側に配置されている場合、検出対象によって被振動部V1の振動板100Z方向側から押圧されているとき(Z’方向の荷重が加えられているとき)に、振動板100が少なくとも一つの振動生成部200によってZ’方向側から繰り返し押圧される(すなわち、振動板100が少なくとも一つの荷重検出部800から離反するように間欠的に押圧される)ことになる。このため、少なくとも一つの荷重検出部800の出力信号が大きく変動(上下動)する。より具体的には、状況C1及び状況C2が交互に繰り返される。状況C1では、被振動部V1の操作面Fが検出対象によりZ’方向に押圧される一方で、被振動部V1の振動板100が少なくとも一つの振動生成部200によりZ方向に押圧されているため、少なくとも一つの荷重検出部800の出力信号が低下する(少なくともの一つ荷重検出部800により検出される荷重が軽減される)。一方、状況C2では、被振動部V1の操作面Fが検出対象によりZ’方向に押圧される一方で、振動板100が少なくとも一つの振動生成部200によって押圧されていないため、少なくとも一つの荷重検出部800の出力信号が上昇する(少なくとも一つの荷重検出部800により検出される荷重が増加する)。
【0044】
振動付与装置T1は制御部900を更に備えている。制御部900は、ICなどの論理回路、又はプロセッサなどによって処理されるソフトウェアで構成されている。制御部900は、タッチ制御部910及び振動制御部920を有している。制御部900は、タッチセンサ300、少なくとも一つの振動生成部200及び少なくとも一つの荷重検出部800に電気的に接続されている。なお、制御部900のタッチ制御部910及び振動制御部920の各々が、別個のICなどの論理回路、又はプロセッサなどによって処理されるソフトウェアで構成されていても良い。
【0045】
制御部900内又は外のメモリにはタッチ検出プログラムが記録されている。制御部900のタッチ制御部910が、タッチ検出プログラムを処理することによって以下の通り操作面Fにおけるタッチされた座標位置を検出する構成となっている。
タッチセンサ300が上記(ア)の構成である場合、タッチ制御部910は、順次入力されるタッチセンサ300の複数の電極310の出力信号を増幅し、増幅した信号(以下、増幅信号)が制御部900のメモリ内の閾値を超えるか否かを判断し、超えたと判断した場合、閾値を超えた出力信号を出力した電極310に検出対象が接近した座標位置(すなわち、操作面Fにおける当該電極310のZ方向側の部分がタッチされた座標位置)を検出するようになっている。この場合、タッチ制御部910は、閾値を超えた出力信号を出力した複数の電極310に基づいて、操作面Fのタッチされた座標位置を検出するようになっていても良い。
タッチセンサ300が上記(イ)の構成である場合、タッチ制御部910は、駆動電極に順次駆動パルスを供給し、これに応じて検出電極から順次得られる出力信号を増幅し、増幅した信号(以下、増幅信号)が制御部900のメモリ内の閾値を超えるか否かについて判断し、超えたと判断した場合、駆動パルスを供給した駆動電極と、出力信号を出力した検出電極との間の部分又は交差箇所に検出対象が接近したこと(すなわち、操作面Fにおける当該間の部分又は交差箇所のZ方向側の部分がタッチされた座標位置であること)を検出するようになっている。
【0046】
制御部900のメモリには、図3に示す振動制御プログラムが更に記録されている。この場合、制御部900の振動制御部920は、振動制御プログラムを処理することによって、少なくとも一つの振動生成部200を制御する構成となっている。以下、図3に示される振動制御プログラムのフローチャートに加えて、図4に示される状態遷移図、図5A図5Bに示される状態遷移表及び図6に示されるタイミングチャートも参照しつつ、振動制御プログラムの内容(すなわち、振動制御部920による振動制御方法)について詳しく説明する。
なお、説明の便宜上、後述の通り、振動制御プログラムの初期状態を状態S0と称し、少なくとも一つの荷重検出部800の出力信号が後述するS101において第1閾値以上になった後の状態を状態S1と称し、少なくとも一つの荷重検出部800の出力信号が期間P1(第1期間)経過前の期間P2(第2期間)中に第2閾値未満になった後の状態を状態S2と称し、期間P1経過後の状態を状態S3と称し、少なくとも一つの荷重検出部800の出力信号が期間P1経過後に第2閾値未満になった後の状態を状態S4と称し、少なくとも一つの荷重検出部800の出力信号が期間P1経過後の期間P2(第3期間)中に第1閾値以上になった後の状態を状態S5と称する。図5Aの状態遷移表の表側には前状態S0~S5が示され、表頭には前状態の直後の状態S0~S5が示されており、表側の各前状態と表頭の各後状態とが交差するセルには、各前状態から各後状態へ移る際に生じるイベントが示されている。図5Bの状態遷移表の表側には前状態S0~S5が示され、表頭には前状態の直後に起こるイベントが示されており、表側の各前状態と表頭の各イベント態とが交差するセルの上段には、各前状態において行われるEXIT処理(図4も併せて参照)が示され、その下段には、各前状態の直後の状態S0~S5が示されている。
【0047】
振動付与装置T1の電源がONにされると、制御部900の振動制御部920は、振動制御プログラムを処理する。すると、振動制御部920は、振動制御部920に継続的に入力される少なくとも一つの荷重検出部800の出力信号(例えば、電圧)がメモリ上の第1閾値以上となったか否かについて判断を行う(S101)。このように振動制御部920は、少なくとも一つの荷重検出部800の出力信号が第1閾値以上になったか否かについて判断(第1判断)を行うことによって、検出対象の被振動部V1の操作面Fに対するタッチの有無を判断している。この状態が上記状態S0である。
【0048】
S101の判断の結果、振動制御部920が、少なくとも一つの荷重検出部800の出力信号が第1閾値以上になったと判断した場合、すなわち、検出対象の被振動部V1の操作面Fに対するタッチの有と判断した場合、振動制御部920は、上記メモリ上のフラグの値を「1」にセットして少なくとも一つの振動生成部200に対して第1波形の指示信号を出力し、少なくとも一つの振動生成部200を所定期間(例えば、12ms)駆動させる(S102)。これにより、被振動部V1が振動し、被振動部V1の操作面Fを通じてタッチ入力操作(押圧)した検出対象に対して触感(操作感)が付与される。以下、この被振動部V1の振動を「被振動部V1のタッチ時の振動」と称する。この被振動部V1の振動(間欠的な押圧)により、上記状況C1及び状況C2が交互に繰り返されることがあるが、被振動部V1のタッチ時の振動はこれに限定されるものではない。
【0049】
少なくとも一つの荷重検出部800の出力信号が第1閾値以上になると、上記状態がS0からS1に移行する。すなわち、S101の判断の結果、振動制御部920が少なくとも一つの荷重検出部800の出力信号が第1閾値以上になったと判断し且つ少なくとも一つの振動生成部200を駆動させた場合、振動制御部920は、制御部900のタイマー回路又は上記メモリ上のソフトウエアタイマー(以下、これを単にタイマーと称する。)をONにし(S103)、当該タイマーを参照して所定の期間P1(第1期間)が経過したか否かについて判断を行い(S104)、且つ少なくとも一つの荷重検出部800の出力信号が上記メモリ内の第2閾値未満になったか否かについて判断を行う(S105)。このようにして振動制御部920は、少なくとも一つの荷重検出部800の出力信号が第1閾値以上になったとき(被振動部V1の操作面Fに対するタッチ時)から期間P1(第1期間)が経過するまでの間に、少なくとも一つの荷重検出部800の出力信号が第2閾値未満になったか否かについて判断(第2判断)を行う。
なお、第1閾値は、任意に設定可能であるが、例えば、1.65vとすることが可能である。第2閾値は、第1閾値よりも小さければ任意に設定可能であるが、例えば、1.60vとすることが可能である。期間P1は、任意に設定可能であるが、例えば、10ms以上であり且つ200ms以下とすることが可能である。本実施例において、「期間P1中」とあるのは、期間P1経過前又は経過時の意であり、「期間P1が経過するまで」及び「期間P1経過後」は、期間P1の経過時を含まない。
【0050】
期間P1中において、少なくとも一つの荷重検出部800の出力信号が第2閾値未満になると、上記状態がS1からS2に移行する。すなわち、S105の判断の結果、振動制御部920が、期間P1中において、少なくとも一つの荷重検出部800の出力信号が第2閾値未満になったと判断した場合、振動制御部920は、少なくとも一つの振動生成部200を駆動させず、タイマーをONにし(S106)、当該タイマーを参照して期間P2(第2期間)が経過したか否かについて判断を行い(S107)、且つ少なくとも一つの荷重検出部800の出力信号が第1閾値以上になったか否かについて判断を行う(S108)。このようにして振動制御部920は、少なくとも一つの荷重検出部800の出力信号が第2閾値未満になったときから期間P2(第2期間)が経過するまでの間に、少なくとも一つの荷重検出部800の出力信号が第1閾値以上になったか否かについて判断(第3判断)を行う。
なお、S106の処理によって、タイマーがリセットされ、再度0秒から時間計測を開始する構成となっている。期間P2は、任意に設定可能であるが、例えば、10ms以上であり且つ200ms以下とすることが可能である。本実施例において、「期間P2中」とあるのは、期間P2経過前又は経過時の意であり、「期間P2が経過するまで」及び「期間P2経過後」は、期間P2の経過時を含まない。
【0051】
期間P2(第2期間)中において、少なくとも一つの荷重検出部800の出力信号が第1閾値以上になると、上記状態がS2からS1に移行する。すなわち、S108の判断の結果、振動制御部920が、少なくとも一つの荷重検出部800の出力信号が第1閾値以上になったと判断した場合、振動制御部920は、少なくとも一つの振動生成部200を駆動させず、S103の処理に戻る。S103の処理に戻ると、タイマーがリセットされ、再度0秒から時間計測を開始する構成となっている。
【0052】
一方、少なくとも一つの荷重検出部800の出力信号が第1閾値以上にならず且つ期間P2(第2期間)が経過すると、上記状態がS2からS0に移行する。すなわち、振動制御部920が、少なくとも一つの荷重検出部800の出力信号が第1閾値以上になったと判断せず且つ期間P2(第2期間)が経過した場合(S107)、振動制御部920は、上記メモリ上のフラグの値を「0」にセットし、且つタイマーをOFFにしてS101の処理に戻る。
【0053】
期間P1中において、少なくとも一つの荷重検出部800の出力信号が第2閾値未満にならず且つ期間P1が経過した場合、上記状態がS1からS3に移行する。すなわち、S105の判断の結果、振動制御部920が、少なくとも一つの荷重検出部800の出力信号が第2閾値未満になったと判断せず且つ期間P1が経過した場合(S104)、振動制御部920は、少なくとも一つの荷重検出部800の出力信号が第2閾値未満になったか否かについて判断を行う(S109)ことによって、被振動部V1の操作面Fからの検出対象の離反の有無を判断している。S109の判断の結果、振動制御部920が、少なくとも一つの荷重検出部800の出力信号が第2閾値未満になったと判断した場合、振動制御部920は、上記メモリ上のフラグの値を「0」にセットして少なくとも一つの振動生成部200に対して第2波形の指示信号を出力し、少なくとも一つの振動生成部200を所定期間(例えば、10ms)駆動させる(S110)。これにより、被振動部V1が振動し、被振動部V1の操作面Fを通じて検出対象の操作パネル400の操作面Fからの離反時に触感が付与される。以下、この被振動部V1の振動を「被振動部V1の離反時の振動」と称する。この離反時の触感の付与と共に、振動制御部920は、タイマーをONにする(S111)。この被振動部V1の振動(間欠的な押圧)により、上記状況C1及び状況C2が交互に繰り返されることがあるが、被振動部V1の離反時の振動はこれに限定されるものではない。
なお、振動制御部920の第2波形は、第1波形よりも短くすると良いが、これに限定されるものではない。
【0054】
期間P1が経過し且つ少なくとも一つの振動生成部200が駆動した後に、少なくとも一つの荷重検出部800の出力信号が第2閾値未満になると、上記状態がS3からS4に移行する。すなわち、S109の判断の結果、振動制御部920が少なくとも一つの荷重検出部800の出力信号が第2閾値未満になったと判断し、少なくとも一つの振動生成部200を駆動させ且つタイマーをONにした場合、振動制御部920は、当該タイマーを参照して期間P2(第3期間)が経過したか否かについて判断を行い(S112)、且つ少なくとも一つの荷重検出部800の出力信号が第1閾値以上になったか否かについて判断を行う(S113)。このようにして振動制御部920は、少なくとも一つの荷重検出部800の出力信号が第2閾値未満になったときから期間P2(第3期間)が経過するまでの間に、少なくとも一つの荷重検出部800の出力信号が第1閾値以上になったか否かについて判断(第4判断)を行う。
【0055】
期間P2(第3期間)中において、少なくとも一つの荷重検出部800の出力信号が第1閾値以上にならず、期間P2(第3期間)が経過すると、上記状態がS4からS0に移行する。すなわち、S113の判断の結果、振動制御部920が、少なくとも一つの荷重検出部800の出力信号が第1閾値以上になったと判断せず且つ期間P2(第3期間)が経過した場合(S112)、振動制御部920は、タイマーをOFFにしてS101の処理に戻る。
【0056】
一方、期間P2(第3期間)中において、少なくとも一つの荷重検出部800の出力信号が第1閾値以上になると、上記状態がS4からS5に移行する。すなわち、S113の判断の結果、振動制御部920が、少なくとも一つの荷重検出部800の出力信号が第1閾値以上になったと判断した場合、振動制御部920は、且つタイマーをOFFにし、且つ少なくとも一つの荷重検出部800の出力信号が第2閾値未満になったか否かについて判断を行う(S114)。このようにして振動制御部920は、少なくとも一つの荷重検出部800の出力信号が第2閾値未満になったか否かについて判断(第5判断)を行う。その結果、振動制御部920が、少なくとも一つの荷重検出部800の出力信号が第2閾値未満になったと判断した場合、振動制御部920は、タイマーをONにし(S115)、S112の処理に戻る。
【0057】
なお、上記した通り、少なくとも一つの振動生成部200を駆動させる所定期間は、期間P1及び期間P2よりも短いと良いが、これに限定されるものではない。本発明において、上記第1期間、第2期間及び第3期間は同じ期間であっても良いし、第1期間、第2期間及び第3期間うちの二つの期間が同じであり、残り一つの期間が前記二つの期間と異なっていても良いし、第1期間、第2期間及び第3期間が互いに異なる期間であっても良い。
【0058】
以下、上記した振動付与装置T1の第1~第5使用例について説明する。但し、振動付与装置T1の使用例は、第1~第5使用例に限定されないことに留意されたい。
【0059】
[第1使用例(状態S0→S1→S3→S4→S0)]
初期状態S0において、被振動部V1の操作面Fが検出対象によってタッチされ、被振動部V1に荷重がかかると、少なくとも一つの荷重検出部800の出力信号(被振動部V1にかかる荷重)が変動して第1閾値以上となる。これにより、振動制御部920が、少なくとも一つの振動生成部200を駆動させ、被振動部V1を振動させる。このようにして被振動部V1のタッチ時の振動が生じ、検出対象にタッチ時の触感が付与される。この検出対象によるタッチが、期間P1が経過するまで継続され(状態S1→S3)、期間P1経過後に、検出対象が被振動部V1の操作面Fから離反する。すなわち、期間P1中に、タッチの継続によって、少なくとも一つの荷重検出部800の出力信号が第2閾値未満とならず、期間P1経過後に、検出対象の離反によって、少なくとも一つの荷重検出部800の出力信号が第2閾値未満となる(状態S3→S4)。すると、振動制御部920が、少なくとも一つの振動生成部200を駆動させ、被振動部V1を振動させる。このようにして被振動部V1の離反時の振動が生じ、検出対象に離反時の触感が付与される。この被振動部V1の離反時の振動によって、少なくとも一つの荷重検出部800の出力信号が変動するものの、その出力信号は第1閾値以上とならず且つ被振動部V1の離反時の振動が生じた後の期間P2が経過する(状態S4→S0)。
【0060】
第1使用例の場合、被振動部V1のタッチ時の振動及び被振動部V1の離反時の振動を起因とする少なくとも一つの振動生成部200の誤作動が以下の通り防止される。
被振動部V1の操作面Fに対する検出対象のタッチが、期間P1が経過するまで、継続される(S103~S105)ことによって、少なくとも一つの荷重検出部800の出力信号が期間P1中に第2閾値未満とならないため、振動制御部920は、被振動部V1のタッチ時の振動に起因して少なくとも一つの振動生成部200を駆動させることはない。
また、上記の通り、被振動部V1の離反時の振動によって(S110)、少なくとも一つの荷重検出部800の出力信号が変動するものの、その出力信号は、第1閾値以上とならず且つ期間P2が経過するので(S111~S113)、振動制御部920は、被振動部V1の離反時の振動に起因して少なくとも一つの振動生成部200を駆動させることはない。
【0061】
[第2使用例(状態S0→S1→S3→S4→S5→S4→S0又は状態S0→S1→S3→S4→S5→S4→S5→S4→S0)]
上記第1使用例と同様に、初期状態S0において、被振動部V1の操作面Fが検出対象によってタッチされると、被振動部V1のタッチ時の振動が生じ、検出対象にタッチ時の触感が付与される。また、上記第1使用例と同様に、検出対象によるタッチが、期間P1が経過するまで継続され(状態S1→S3)、期間P1経過後に、検出対象が被振動部V1の操作面Fから離反する。すなわち、期間P1経過後に、検出対象の離反によって、少なくとも一つの荷重検出部800の出力信号が第2閾値未満となると(状態S3→S4)、被振動部V1の離反時の振動が生じ、検出対象に離反時の触感が付与される。この被振動部V1の離反時の振動によって、少なくとも一つの荷重検出部800の出力信号が変動し、その出力信号が期間P2中に第1閾値以上となった後に、第2閾値未満となる、又はその繰り返しとなる(状態S4→状態S5)。その後、時間の経過によって被振動部V1の離反時の振動が小さくなると、少なくとも一つの荷重検出部800の出力信号が第1閾値以上から第2閾値未満に変動する。当該出力信号が第2閾値未満に至ったまま、期間P2が経過する(状態S5→S4→S0)。
【0062】
第2使用例の場合、第1使用例と同様に、被振動部V1のタッチ時の振動を起因とする少なくとも一つの振動生成部200の誤作動が防止される。
加えて、被振動部V1の離反時の振動を起因とする少なくとも一つの振動生成部200の誤作動が以下の通り防止される。期間P2中に、被振動部V1の離反時の振動により、少なくとも一つの荷重検出部800の出力信号が第1閾値以上となった後、第2閾値未満となる、又は、これを繰り返す(S111~S114)。このように期間P2中に、被振動部V1の離反時の振動を起因として少なくとも一つの荷重検出部800の出力信号が第1閾値以上となった後、第2閾値未満となる、又はその繰り返しとなるが、当該出力信号が第1閾値以上となったとき及び出力信号が第2閾値未満となったときの何れにおいても、振動制御部920が少なくとも一つの振動生成部200を駆動させることはない。
【0063】
[第3使用例(状態S0→S1→S2→S0又はS0→S1→S2→S1→S2→S0)]
上記第1使用例と同様に、初期状態S0において、被振動部V1の操作面Fが検出対象によってタッチされると、被振動部V1のタッチ時の振動が生じ、検出対象にタッチ時の触感が付与される。その後、検出対象が期間P1中に検出対象が被振動部V1の操作面Fから離反する(状態S1→S2)。被振動部V1のタッチ時の振動及び/又は期間P1中の検出対象の離反によって、少なくとも一つの荷重検出部800の出力信号が期間P1中に第2閾値未満となった後に、期間P2中に第1閾値以上とならない(状態S2→S0)。又は、被振動部V1のタッチ時の振動及び/又は期間P1中の検出対象の離反によって、少なくとも一つの荷重検出部800の出力信号が期間P1中に第2閾値未満となった後に、期間P2中に第1閾値以上となる、又はその繰り返しとなる(状態S1→S2)。その後、時間の経過によって、被振動部V1のタッチ時の振動が小さくなると、少なくとも一つの荷重検出部800の出力信号が第1閾値以上から第2閾値未満に変動する。当該出力信号が第2閾値未満に至ったまま、期間P2が経過する(状態S2→S1→S2→S0)。
【0064】
第3使用例の場合、以下の通り、被振動部V1のタッチ時の振動を起因とする少なくとも一つの振動生成部200の誤作動が防止され且つ被振動部V1の離反時の振動を生じさせない。
被振動部V1のタッチ時の振動及び/又は期間P1中の検出対象の離反によって、少なくとも一つの荷重検出部800の出力信号が第2閾値未満となり、当該出力信号が第2閾値未満のまま第2期間が経過する(S103~S108)。又は、被振動部V1のタッチ時の振動及び/又は期間P1中の検出対象の離反によって、少なくとも一つの荷重検出部800の出力信号が第2閾値未満となった後、第1閾値以上となる、又はその繰り返しとなる(S103~S108)。このように被振動部V1のタッチ時の振動及び/又は期間P1中の検出対象の離反によって、少なくとも一つの荷重検出部800の出力信号が第2閾値未満となったり、第2閾値未満となった後に第1閾値以上となったり、これを繰り返したりするが、当該出力信号が第2閾値未満となったとき及び出力信号が第1閾値以上となったときの何れにおいても、振動制御部920が少なくとも一つの振動生成部200を駆動させることはない。
【0065】
[第4使用例(状態S0→S1→S2→S1→S3→S4→S0)]
上記第1使用例と同様に、初期状態S0において、被振動部V1の操作面Fが検出対象によってタッチされると、被振動部V1のタッチ時の振動が生じ、検出対象にタッチ時の触感が付与される。この検出対象によるタッチが、期間P1が経過するまで継続されているものの、被振動部V1のタッチ時の振動によって、少なくとも一つの荷重検出部800の出力信号が期間P1中に第2閾値未満となる(状態S1→S2)。しかし、少なくとも一つの荷重検出部800の出力信号は、タッチが継続しているため、期間P1に第1閾値以上に戻る(状態S2→S1)。そして、期間P1経過後(状態S1→S3)に、検出対象が被振動部V1の操作面Fから離反する。この期間P1経過後の検出対象の離反によって、少なくとも一つの荷重検出部800の出力信号が第2閾値未満となる(状態S3→S4)。すると、振動制御部920が、少なくとも一つの振動生成部200を駆動させ、被振動部V1を振動させる。このようにして被振動部V1の離反時の振動が生じ、検出対象に離反時の触感が付与される。この被振動部V1の離反時の振動によって、少なくとも一つの荷重検出部800の出力信号が変動するものの、その出力信号は第1閾値以上とならず且つ被振動部V1の離反時の振動が生じた後の期間P2が経過する(状態S4→S0)。
【0066】
第4使用例の場合、以下の通り、被振動部V1のタッチ時の振動及び被振動部V1の離反時の振動を起因とする少なくとも一つの振動生成部200の誤作動が防止される。
期間P1中に、検出対象のタッチ及び被振動部V1のタッチ時の振動によって、少なくとも一つの荷重検出部800の出力信号が第2閾値未満となった後、第1閾値以上となる(S103~S108)。又は、期間P1中に、検出対象のタッチ及び被振動部V1のタッチ時の振動によって、少なくとも一つの荷重検出部800の出力信号が第2閾値未満となった後に、第1閾値以上となるのを繰り返す(S103~S108)。このように期間P1中に、検出対象のタッチ及び被振動部V1のタッチ時の振動を起因として少なくとも一つの荷重検出部800の出力信号が第2閾値未満となった後に、第1閾値以上となる、又はその繰り返しとなるが、当該出力信号が第2閾値未満となったとき及び出力信号が第1閾値以上となったときの何れにおいても、振動制御部920が少なくとも一つの振動生成部200を駆動させることはない。
また、上記の通り、被振動部V1の離反時の振動によって、少なくとも一つの荷重検出部800の出力信号が変動するものの、その出力信号は第1閾値以上とならず且つ期間P2が経過するので(S111~S113)、振動制御部920は、被振動部V1の離反時の振動に起因して少なくとも一つの振動生成部200を駆動させることはない。
【0067】
[第5使用例(状態S0→S1→S2→S1→S3→S4→S5→S4→S0又はS0→S1→S2→S1→S3→S4→S5→S4→S5→S4→S0)]
上記第4使用例と同様に、初期状態S0において、被振動部V1の操作面Fが検出対象によってタッチされると、被振動部V1のタッチ時の振動が生じ、検出対象にタッチ時の触感が付与される。また、上記第4使用例と同様に、検出対象によるタッチが、期間P1が経過するまで継続されているものの、被振動部V1のタッチ時の振動によって、少なくとも一つの荷重検出部800の出力信号が期間P1中に第2閾値未満となる(状態S1→S2)。しかし、少なくとも一つの荷重検出部800の出力信号は、タッチが継続しているため、期間P1に第1閾値以上に戻る(状態S2→S1)。そして、上記第4使用例と同様に、期間P1経過後(状態S1→S3)に、検出対象が被振動部V1の操作面Fから離反すると、被振動部V1の離反時の振動が生じ、検出対象に離反時の触感が付与される。この被振動部V1の離反時の振動によって、少なくとも一つの荷重検出部800の出力信号が変動し、その出力信号が期間P2中に第1閾値以上となった後に、第2閾値未満となる、又はその繰り返しとなる(状態S4→状態S5)。その後、時間の経過によって被振動部V1の離反時の振動が小さくなると、少なくとも一つの荷重検出部800の出力信号が第1閾値以上から第2閾値未満に変動する。当該出力信号が第2閾値未満に至ったまま、期間P2が経過する(状態S5→S4→S0)。
【0068】
第5使用例の場合、第4使用例と同様に、被振動部V1のタッチ時の振動を起因とする少なくとも一つの振動生成部200の誤作動が防止される。また、第2使用例と同様に、被振動部V1の離反時の振動を起因とする少なくとも一つの振動生成部200の誤作動が防止される。
【0069】
このような振動付与装置T1による場合、上記の通り、被振動部V1のタッチ時の振動に起因する少なくとも一つの振動生成部200の誤作動が防止される。期間P1が経過するまで、検出対象が被振動部V1をタッチし続ける場合、検出対象の被振動部V1からの離反に応じて触感が付与されるが、上記の通り、被振動部V1の離反時の振動に起因する少なくとも一つの振動生成部200の誤作動が防止される。一方、検出対象が被振動部V1をタッチし、期間P1中に離反する場合には、上記の通り、被振動部V1の離反時の振動が生じない。この場合の検出対象の被振動部V1に対するタッチ及び離反は、短い期間P1中に起こるため、被振動部V1のタッチ時の振動を付与すれば、被振動部V1の離反時の振動が付与されずとも、検出対象に触感を付与できる。
しかも、被振動部V1の操作面Fが検出対象にタッチされ、少なくとも一つの荷重検出部800の出力信号(被振動部V1にかかる荷重)が変動して第1閾値以上となると、振動制御部920が、少なくとも一つの振動生成部200を駆動させ、被振動部V1を振動させた後に、被振動部V1のタッチ時の振動に起因する少なくとも一つの振動生成部200の誤作動を防止する処理を行っている。そのため、振動付与装置T1は、タッチ時に検出対象にタイムラグを与えることなく、触感を付与できる。
【実施例2】
【0070】
以下、本発明の実施例2を含む複数の実施例に係る振動付与装置T2について図7を参照しつつ説明する。この振動付与装置T2は、(1)被振動部V2が、静電容量型のタッチセンサ300’及び操作パネル400を有しており(すなわち、振動板100が省略されており)、(2)緩衝部材700a、700bが振動板100の代りにタッチセンサ300’をZ-Z’方向において保持しており、且つ(3)少なくとも一つの振動生成部200が被振動部V2のタッチセンサ300’に対して振動を付与している点で、振動付与装置T1と相違している以外、振動付与装置T1とほぼ同じ構成である。よって、その相違点について詳しく説明し、重複する説明は省略する。
【0071】
タッチセンサ300’は、Z-Z’方向において緩衝部材700a、700bによって保持されている以外、振動付与装置T1のタッチセンサ300と同様の構成である。
【0072】
操作パネル400は、振動板100ではなく、タッチセンサ300’のZ方向側の面上に両面粘着材などで固定されている以外、振動付与装置T1の操作パネル400と同様の構成とすることが可能である。操作パネル400は、タッチセンサ300’の振動に伴ってZ-Z’方向に振動する。操作パネル400の操作面FがZ’方向に押圧されることによって、タッチセンサ300’に操作パネル400を介してZ’方向の荷重が加えられるようになっている。
【0073】
少なくとも一つの振動生成部200は、振動板100ではなく、被振動部V2のタッチセンサ300’をZ-Z’方向に振動させる構成となっている以外、振動付与装置T1の少なくとも一つの振動生成部200と同様の構成とすることが可能である。
【0074】
少なくとも一つの荷重検出部800は、被振動部V2のタッチセンサ300’に加えられるZ’方向の荷重に応じて出力信号(例えば、電圧など)を変動させる構成である以外、振動付与装置T1の少なくとも一つの荷重検出部800と同様の構成とすることが可能である。すなわち、少なくとも一つの荷重検出部800は、被振動部V2のタッチセンサ300’に加えられるZ’方向の荷重の増加に応じて、出力信号を上昇させる一方、Z’方向の荷重の減少に応じて出力信号を低下させる構成となっていれば良い。
【0075】
振動付与装置T2でも、少なくとも一つの荷重検出部800により被振動部V2のタッチセンサ300’にかかる荷重が検出される一方、被振動部V2のタッチセンサ300’が少なくとも一つの振動生成部200により振動させられる構成である。このため、被振動部V2の操作面Fが検出対象にタッチされ(押圧され)、被振動部V2のタッチセンサ300’にZ’方向の荷重が加えられているときに、検出対象に触感を付与するために、少なくとも一つの振動生成部200によってタッチセンサ300’がZ-Z’方向に振動させられると、振動付与装置T1と同様に、少なくとも一つの荷重検出部800の出
力信号(少なくとも一つの荷重検出部800により検出される荷重)が変動(上下動)する。
【0076】
振動付与装置T2は、被振動部V2にZ’方向の荷重が加えられる構成(被振動部V2がZ方向側からタッチされる(押圧される)構成)であり、少なくとも一つの荷重検出部800がタッチセンサ300’に対してZ’方向側に配置されており且つ少なくとも一つの振動生成部200がタッチセンサ300’に対してZ’方向側に配置されている場合、少なくとも一つの荷重検出部800の出力信号が大きく変動(上下動)する(状況C1及び状況C2が交互に繰り返される)点も、振動付与装置T1と同様である。
【0077】
以上のような振動付与装置T2の振動制御部920は、図3に示す振動制御プログラムを処理して、振動付与装置T1と同様に、少なくとも一つの振動生成部200の駆動を制御するため、振動付与装置T1と同様の技術的特徴及び効果を奏する。
【0078】
なお、上記した振動付与装置は、上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載範囲において任意に設計変更することが可能である。以下、詳しく述べる。
【0079】
本発明の被振動部のタッチセンサは、検出対象が被振動部の操作面にタッチしたか否か又はタッチの座標位置を検出できる構成であれば良い。本発明のタッチセンサは、例えば、抵抗膜方式、光学式、電磁誘導方式、又は超音波方式のタッチセンサとすることが可能である。
【0080】
本発明のタッチ制御部は、タッチセンサの出力信号の変化に応じて操作面のタッチの座標位置を検出するのではなく、単に操作面のタッチのみを検出する構成とすることも可能である。
【0081】
本発明の少なくとも一つの振動生成部は、被振動部に振動を付与する構成となっていれば良い。よって、本発明の少なくとも一つの振動生成部は、被振動部に対してZ-Z’方向以外の方向から振動を付与する構成とすることが可能である。
【0082】
本発明の少なくとも一つの荷重検出部は、被振動部にかかる荷重を検出することができるものであれば良い。例えば、少なくとも一つの荷重検出部は、被振動部にかかる荷重に応じて出力信号を変動させる構成とすることが可能である。
【0083】
本発明の被振動部は、少なくとも一つの振動生成部により振動させられ、且つ少なくとも一つの荷重検出部により当該被振動部にかかる荷重を検出されるものであれば良い。
【0084】
本発明の振動制御部は、S101~S105の処理を行う構成であって、S104YESの場合、S105の処理に移り、S105がNOの場合、S104の処理に移り且つS105がYESの場合、S101の処理に戻る構成とすることが可能である。この場合、S106~S115は省略される。このような設計変更例による場合、期間P1中に、被振動部V1のタッチ時の振動により、少なくとも一つの荷重検出部の出力信号が第2閾値未満となったとしても、振動制御部は、期間P中に少なくとも一つの振動生成部を駆動させることがない。
【0085】
本発明の振動制御部は、S101~S108の処理を行う構成であって、S105がYESの場合、S101の処理に戻る構成とすることが可能である。この場合、S109~S115は省略される。このような設計変更例による場合、被振動部V1のタッチ時の振動により、少なくとも一つの荷重検出部の出力信号が第2閾値未満となった後に、第1閾値以上になったり、これを繰り返したりしたとしても、振動制御部は、期間P1及び期間P2中に少なくとも一つの振動生成部を駆動させることがない。
【0086】
本発明の振動制御部は、S101~S105及びS109~S113の処理を行う構成であって、S104YESの場合、S105の処理に移り、S105がNOの場合、S104の処理に移り、S105がYESの場合、S101の処理に戻り、且つS112がYESの場合、S113の処理に移る構成とすることが可能である。この場合、S106~S108及びS113~S115は省略される。このような設計変更例による場合、期間P1中に、被振動部V1のタッチ時の振動により、少なくとも一つの荷重検出部の出力信号が第2閾値未満となったとしても、振動制御部は、少なくとも一つの振動生成部を駆動させることがない。しかも、被振動部V1の離反時の振動により、少なくとも一つの荷重検出部の出力信号が第1閾値以上となったとしても、振動制御部は、期間P2中に少なくとも一つの振動生成部を駆動させることがない。
【0087】
本発明の振動制御部は、S101~S113の処理を行う構成であって、S112がYESの場合、S113の処理に移る構成とすることが可能である。この場合、S113~S115は省略される。このような設計変更例による場合、被振動部V1のタッチ時の振動により、少なくとも一つの荷重検出部の出力信号が第2閾値未満となった後に、第1閾値以上になったり、これを繰り返したりしたとしても、振動制御部は、期間P1及び期間P2(第2期間)中に少なくとも一つの振動生成部を駆動させることがない。しかも、被振動部V1の離反時の振動により、少なくとも一つの荷重検出部の出力信号が第1閾値以上となったとしても、振動制御部は、期間P2(第3期間)中に少なくとも一つの振動生成部を駆動させることがない。
【0088】
本発明の振動制御部は、S101~S105及びS109~S115の処理を行う構成であって、S104YESの場合、S105の処理に移り、S105がNOの場合、S104の処理に移る処理を行う構成とすることが可能である。この場合、S106~S108は省略される。このような設計変更例による場合、期間P1中に、被振動部V1のタッチ時の振動により、少なくとも一つの荷重検出部の出力信号が第2閾値未満となったとしても、振動制御部は、期間P1中に少なくとも一つの振動生成部を駆動させることがない。しかも、被振動部V1の離反時の振動により、少なくとも一つの荷重検出部の出力信号が第1閾値以上となった後に、第2閾値未満となったたり、これを繰り返したりしたとしても、振動制御部は、期間P2(第3期間)中に少なくとも一つの振動生成部を駆動させることがない。
【0089】
本発明の固定板は、振動付与装置の筐体及びその他の部材で代替可能である。
【0090】
なお、上記実施例の各態様及び設計変形例における振動付与装置の各構成要素を構成する素材、形状、寸法、数及び配置等はその一例を説明したものであって、同様の機能を実現し得る限り任意に設計変更することが可能である。上記した実施例の各態様及び設計変更例は、互いに矛盾しない限り、相互に組み合わせることが可能である。本発明の第1閾値及び第2閾値は、同じ値であっても良いし、異なる値であっても良い。すなわち、本発明の第2閾値は、第1閾値よりも大きい値であっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明は、操作面を通じて触感を付与するあらゆる電子機器に適用可能である。例えば、振動付与装置T1において、タッチセンサを省略し、その構成を電子機器に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0092】
T1、T2:振動付与装置
100:振動板
101:第1面
102:第2面
200:振動生成部
210:プランジャ
300、300’:タッチセンサ
310:電極
400:操作パネル
410:パネル本体
420:脚部
F:操作面
500:筐体
510:開口
600:固定板
700a、700b:緩衝部材
800:荷重検出部
810:感圧素子
820:ピン
900:制御部
910:タッチ制御部
920:振動制御部
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7