(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-14
(45)【発行日】2022-09-26
(54)【発明の名称】波形管接続具
(51)【国際特許分類】
F16L 37/133 20060101AFI20220915BHJP
F16L 37/10 20060101ALI20220915BHJP
F16L 33/00 20060101ALI20220915BHJP
E03C 1/12 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
F16L37/133
F16L37/10
F16L33/00 B
E03C1/12 E
(21)【出願番号】P 2019141286
(22)【出願日】2019-07-31
【審査請求日】2020-07-22
(31)【優先権主張番号】P 2018190051
(32)【優先日】2018-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000119830
【氏名又は名称】因幡電機産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】特許業務法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】松村 良太
【審査官】▲高▼藤 啓
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第00728977(EP,A1)
【文献】実開平06-069585(JP,U)
【文献】特開平06-233432(JP,A)
【文献】実開昭59-095723(JP,U)
【文献】特開2009-019664(JP,A)
【文献】特開平10-047570(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 37/133
F16L 37/10
F16L 33/00
E03C 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
波形管を挿入可能な筒穴を有する接続具本体と、
前記接続具本体に対して前記筒穴の筒軸周りに相対回転可能な可動部と、を備え、
前記接続具本体と前記可動部とのいずれか一方は、前記波形管の外周面に形成されている凹部と係合可能な複数の係合爪部であって、前記筒穴を規定する内周面に沿って周方向に間隔をあけて配置される複数の係合爪部を有し、
前記接続具本体と前記可動部とのいずれか他方は、前記可動部が前記接続具本体に対して前記相対回転したときに、前記複数の係合爪部のうちの少なくとも一つの係合爪部と前記筒穴の径方向から見て重ならないように前記周方向にずれた位置から、該係合爪部に対する前記周方向の相対移動によって該係合爪部における前記接続具本体の内周面の側に移動することで、前記複数の係合爪部によって囲まれる領域を小さくする押圧部を有し、
前記接続具本体と前記可動部とは、前記押圧部が前記係合爪部における前記接続具本体の内周面の側に移動したときに、該可動部の該接続具本体に対する前記相対回転を防ぐように係合
し、
この係合によって防がれる相対回転は、前記波形管が前記筒穴に挿抜可能な状態のときの前記接続具本体に対する前記可動部の位置である初期位置に戻る方向の相対回転である、波形管接続具。
【請求項2】
前記複数の係合爪部は、前記少なくとも一つの係合爪部の前記内周面の側に前記押圧部が位置していない状態のときの前記複数の係合爪部によって囲まれる領域が前記筒穴への挿入が予定されている前記波形管のうちの径の最も大きな波形管が挿入可能な大きさで、且つ、前記少なくとも一つの係合爪部の前記内周面の側に前記押圧部が位置した状態のときの前記複数の係合爪部によって囲まれる領域が前記筒穴に挿入が予定されている前記波形管のうちの径の最も小さな波形管の前記凹部に各係合爪部が係合する大きさ、となる位置に配置されている、請求項
1に記載の波形管接続具。
【請求項3】
前記接続具本体と前記可動部とのいずれか一方は、前記少なくとも一つの係合爪部の前記内周面の側に前記押圧部が位置していない状態で前記波形管が前記筒穴に挿入されたときに該波形管の前記凹部に引っ掛かる仮止め爪部を有し、
前記凹部に対する前記仮止め爪部の引っ掛かりは、前記可動部の相対移動によって前記係合爪部が前記凹部と係合したときの該凹部に対する該係合爪部の引っ掛かりより浅い、
請求項1
又は2に記載の波形管接続具。
【請求項4】
前記係合爪部と前記仮止め爪部とは、共通の部位であり、
前記係合爪部は、前記押圧部が前記少なくとも一つの係合爪部の前記内周面の側に位置していないときに前記仮止め爪部として機能する、請求項
3に記載の波形管接続具。
【請求項5】
波形管を挿入可能な筒穴を有する接続具本体と、
前記接続具本体に対して前記筒穴の筒軸周りに相対回転可能な可動部と、を備え、
前記接続具本体と前記可動部とのいずれか一方は、前記波形管の外周面に形成されている凹部と係合可能な複数の係合爪部であって、前記筒穴を規定する内周面に沿って周方向に間隔をあけて配置される複数の係合爪部を有し、
前記接続具本体と前記可動部とのいずれか他方は、前記可動部が前記接続具本体に対して前記相対回転したときに、前記複数の係合爪部のうちの少なくとも一つの係合爪部と前記筒穴の径方向から見て重ならないように前記周方向にずれた位置から、該係合爪部に対する前記周方向の相対移動によって該係合爪部における前記接続具本体の内周面の側に移動することで、前記複数の係合爪部によって囲まれる領域を小さくする押圧部を有し、
前記接続具本体と前記可動部とは、前記押圧部が前記係合爪部における前記接続具本体の内周面の側に移動したときに、該可動部の該接続具本体に対する前記相対回転を防ぐように係合
し、
前記複数の係合爪部は、それぞれが前記波形管の前記凹部と係合する爪を有する第一の爪部及び第二の爪部を含み、
前記第一の爪部の爪の筒軸方向の位置と前記第二の爪部の爪の筒軸方向の位置とは、異なっている、波形管接続具。
【請求項6】
波形管を挿入可能な筒穴を有する接続具本体と、
前記接続具本体に対して前記筒穴の筒軸周りに相対回転可能な可動部と、を備え、
前記接続具本体と前記可動部とのいずれか一方は、前記波形管の外周面に形成されている凹部と係合可能な複数の係合爪部であって、前記筒穴を規定する内周面に沿って周方向に間隔をあけて配置される複数の係合爪部を有し、
前記接続具本体と前記可動部とのいずれか他方は、前記可動部が前記接続具本体に対して前記相対回転したときに、前記複数の係合爪部のうちの少なくとも一つの係合爪部と前記筒穴の径方向から見て重ならないように前記周方向にずれた位置から、該係合爪部に対する前記周方向の相対移動によって該係合爪部における前記接続具本体の内周面の側に移動することで、前記複数の係合爪部によって囲まれる領域を小さくする押圧部を有し、
前記接続具本体と前記可動部とは、前記押圧部が前記係合爪部における前記接続具本体の内周面の側に移動したときに、該可動部の該接続具本体に対する前記相対回転を防ぐように係合
し、
前記可動部は、前記複数の係合爪部と、複数の案内片と、を有し、
前記複数の案内片のそれぞれは、前記筒軸方向に延びると共に、自由端となっている先端側が径方向の内側及び外側へ変位するように弾性変形可能であり、
前記係合爪部と前記案内片とは、前記複数の係合爪部によって囲まれる領域まわりに交互に配置されている、波形管接続具。
【請求項7】
波形管を挿入可能な筒穴を有する接続具本体と、
前記接続具本体に対して前記筒穴の筒軸周りに相対回転可能な可動部と、を備え、
前記接続具本体と前記可動部とのいずれか一方は、前記波形管の外周面に形成されている凹部と係合可能な複数の係合爪部であって、前記筒穴を規定する内周面に沿って周方向に間隔をあけて配置される複数の係合爪部を有し、
前記接続具本体と前記可動部とのいずれか他方は、前記可動部が前記接続具本体に対して前記相対回転したときに、前記複数の係合爪部のうちの少なくとも一つの係合爪部と前記筒穴の径方向から見て重ならないように前記周方向にずれた位置から、該係合爪部に対する前記周方向の相対移動によって該係合爪部における前記接続具本体の内周面の側に移動することで、前記複数の係合爪部によって囲まれる領域を小さくする押圧部を有し、
前記接続具本体と前記可動部とは、前記押圧部が前記係合爪部における前記接続具本体の内周面の側に移動したときに、該可動部の該接続具本体に対する前記相対回転を防ぐように係合
し、
前記接続具本体は、前記筒穴における前記波形管の挿入方向の奥側から該挿入方向と反対側に向けて延びると共に、前記波形管が前記筒穴に挿入されたときに該波形管の端部開口から内側に進入することによって該波形管の端部を筒軸方向に案内する案内部を有する、波形管接続具。
【請求項8】
波形管を挿入可能な筒穴を有する接続具本体と、
前記接続具本体に対して前記筒穴の筒軸周りに相対回転可能な可動部と、を備え、
前記接続具本体と前記可動部とのいずれか一方は、前記波形管の外周面に形成されている凹部と係合可能な複数の係合爪部であって、前記筒穴を規定する内周面に沿って周方向に間隔をあけて配置される複数の係合爪部を有し、
前記接続具本体と前記可動部とのいずれか他方は、前記可動部が前記接続具本体に対して前記相対回転したときに、前記複数の係合爪部のうちの少なくとも一つの係合爪部と前記筒穴の径方向から見て重ならないように前記周方向にずれた位置から、該係合爪部に対する前記周方向の相対移動によって該係合爪部における前記接続具本体の内周面の側に移動することで、前記複数の係合爪部によって囲まれる領域を小さくする押圧部を有し、
前記接続具本体は、前記筒穴における前記波形管の挿入方向の奥側から該挿入方向と反対側に向けて延びると共に、前記波形管が前記筒穴に挿入されたときに該波形管の端部開口から内側に進入することによって該波形管の端部を筒軸方向に案内する案内部を有する、波形管接続具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、波形管を配管に接続する波形管接続具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、波形管を配管に接続するための波形管接続具がしられている(特許文献1参照)。この波形管接続具は、
図32に示すように、波形管530の端部が挿入される筒穴511を有する本体510と、本体510に対して該本体510の筒軸C
1方向にスライドできるように、本体510の波形管挿入側端部512に配置される操作体520と、を備える。
【0003】
操作体520は、筒穴511と連通する貫通穴521を規定し且つ本体510の波形管挿入側端部512に取り付けられる筒部522と、筒部522の内周面に沿って周方向に並ぶ複数の係合爪部5231によって構成される係合爪群523と、を有する。
【0004】
係合爪群523は、筒部522から内側にU字状に折り曲げられた複数の係合爪部5231が筒軸C
1方向から見て環状に配設されることによって構成されている。この係合爪群523を構成する各係合爪部5231は、
図33にも示すように、先端部を筒部522の内周面側に接近させるように(矢印α方向)に弾性変形可能である。また、各係合爪部5231は、先端部における内側面に立設される係止部524を有している。
【0005】
このように構成される波形管接続具500では、操作体520の貫通穴521から本体510の筒穴511に向けて波形管530の端部が挿入されると、波形管530の外面に形成されている凹部531に挟まれた部位(凸部)が操作体520の係止部524と当接し、該係止部524が該凸部によって押されることで各係合爪部5231が弾性変形し、これにより、環状の係合爪群523が拡径する。この拡径により、波形管530の凸部が操作体520の貫通穴521における係止部524の位置を通過する。そして、凸部に当接している係止部524が該凸部を乗り越えると、前記弾性変形によって生じた弾性力によって、係合爪部5231の先端部が元の位置(弾性変形前の位置)に向けて戻る(即ち、環状の係合爪群523が縮径する)。
【0006】
以上のような係合爪群523の拡径と縮径とが、波形管530の各凸部が係止部524の位置を通過する毎に繰り返され、所定の数の凸部が係止部524の位置を通過して貫通穴521への波形管530の挿入が完了すると、各係合爪部5231の係止部524が一つの凹部531と係合し、これにより、波形管接続具500と波形管530とが接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記の波形管接続具500では、弾性変形によって生じた弾性力のみによって波形管接続具500と波形管530との接続状態(係合)が維持されているため、係合爪部5231の損傷や変形等による前記弾性力の低下や、前記弾性力以上の力が加わった場合に、波形管530が波形管接続具500から抜けることが懸念される。
【0009】
そこで、本発明は、波形管との接続状態が確実に維持される波形管接続具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の波形管接続具は、
波形管を挿入可能な筒穴を有する接続具本体と、
前記接続具本体に対して相対移動可動な可動部と、を備え、
前記接続具本体と前記可動部とのいずれか一方は、前記波形管の外周面に形成されている凹部と係合可能な複数の係合爪部であって、前記筒穴を規定する内周面に沿って周方向に間隔をあけて配置される複数の係合爪部を有し、
前記接続具本体と前記可動部とのいずれか他方は、前記可動部が前記接続具本体に対して前記相対移動したときに、前記複数の係合爪部のうちの少なくとも一つの係合爪部に対する相対移動によって該係合爪部における前記接続具本体の内周面の側に位置することで前記複数の係合爪部によって囲まれる領域を小さくする押圧部を有する。
【0011】
かかる構成によれば、前記少なくとも一つの係合爪部における接続具本体の内周面の側に押圧部が位置することで、係合爪部に囲まれる領域が小さくなった状態(筒穴に波形管が挿入されている場合には各係合爪部が波形管の凹部と係合した状態)が維持されるため、筒穴に波形管が挿入された状態で可動部を接続具本体に対して相対移動させた状態にすることによって、波形管接続具と波形管との接続状態が確実に維持される。
【0012】
前記波形管接続具では、
前記複数の係合爪部は、前記少なくとも一つの係合爪部の前記内周面の側に前記押圧部が位置していない状態のときの前記複数の係合爪部によって囲まれる領域が前記筒穴への挿入が予定されている前記波形管のうちの径の最も大きな波形管が挿入可能な大きさで、且つ、前記少なくとも一つの係合爪部の前記内周面の側に前記押圧部が位置した状態のときの前記複数の係合爪部によって囲まれる領域が前記筒穴に挿入が予定されている前記波形管のうちの径の最も小さな波形管の前記凹部に各係合爪部が係合する大きさ、となる位置に配置されてもよい。
【0013】
かかる構成によれば、複数種の径の波形管に対して波形管接続具を接続することができる。即ち、挿入が予定されている波形管のうちの径の最も小さな波形管に対し、少なくとも一つの係合爪部の前記内周面の側に押圧部が位置した状態のときに各係合爪部が係合できるため、この波形管より径の大きな波形管(例えば、挿入が予定されている波形管のうちの径の最も大きな波形管)の凹部に対しても、少なくとも一つの係合爪部の前記内周面の側に押圧部が位置した状態のときに各係合爪部が係合する。このため、前記径の最も大きな波形管から前記径の最も小さな波形管までの間の複数種の径の波形管に対して波形管接続具を接続できる。
【0014】
前記波形管接続具では、
前記接続具本体と前記可動部とのいずれか一方は、前記少なくとも一つの係合爪部の前記内周面の側に前記押圧部が位置していない状態で前記波形管が前記筒穴に挿入されたときに該波形管の前記凹部に引っ掛かる仮止め爪部を有し、
前記凹部に対する前記仮止め爪部の引っ掛かりは、前記可動部の相対移動によって前記係合爪部が前記凹部と係合したときの該凹部に対する該係合爪部の引っ掛かりより浅くてもよい。
【0015】
かかる構成によれば、波形管を筒穴に挿入したときに、仮止め爪部が波形管の凹部に引っ掛かるため、波形管を波形管接続具に対して仮止めすることができる。即ち、波形管を筒穴に挿入すると仮止め爪部が波形管の凹部に引っ掛かることで波形管を波形管接続具に対して係止できるが、可動部を接続具本体に相対移動させたときに各係合爪部が波形管の凹部と係合する場合に比べて凹部に対する引っ掛かりが小さいため、筒穴から波形管を容易に引き抜くことができる。
【0016】
この場合、
前記係合爪部と前記仮止め爪部とは、共通の部位であり、
前記係合爪部は、前記押圧部が前記少なくとも一つの係合爪部の前記内周面の側に位置していないときに前記仮止め爪部として機能することが好ましい。
【0017】
このように、内周面の側に押圧部が位置していないときの係合爪部が仮止め用爪部として機能することによって爪部の数が抑えられ、これにより、構成の簡素化が可能になる。
【0018】
前記波形管接続具において、
前記接続具本体は、前記筒穴における前記波形管の挿入方向の奥側から該挿入方向と反対側に向けて延びると共に、前記波形管が前記筒穴に挿入されたときに該波形管の端部開口から内側に進入することによって該波形管の端部を筒軸方向に案内する案内部を有してもよい。
【0019】
かかる構成によれば、案内部が筒穴の奥側から筒穴の入り口側(波形管の挿入方向と反対側)に向けて延びているため、筒穴に挿入された波形管の端部が案内部によって筒穴の奥側に向けて案内され、これにより、波形管が筒軸に対して傾いた状態で筒穴に挿入されることが防がれる。
【発明の効果】
【0020】
以上より、本発明によれば、波形管との接続状態が確実に維持される波形管接続具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、第一実施形態に係る波形管接続具の斜視図である。
【
図2】
図2は、前記波形管接続具を筒軸方向と直交する方向から見た図である。
【
図3】
図3は、前記波形管接続具を筒軸方向の一方側から見た図である。
【
図4】
図4は、前記波形管接続具の分解斜視図である。
【
図6】
図6は、前記波形管接続具の本体を筒軸方向の一方側から見た図である。
【
図7】
図7は、
図3のV-V位置における前記本体の断面斜視図である。
【
図8】
図8は、前記波形管接続具の可動部を筒軸方向の一方側から見た図である。
【
図11】
図11は、呼び径φ14mmの波形管が前記波形管接続具の筒穴へ挿入された状態の断面図である。
【
図12】
図12は、呼び径φ16mmの波形管が前記波形管接続具の筒穴へ挿入された状態の断面図である。
【
図13】
図13は、前記可動部が初期位置のときの
図2のXIII-XIII位置における断面図である。
【
図14】
図14は、前記可動部が前記本体に対して相対回転したときの
図2のXIII-XIII位置における断面図である。
【
図15】
図15は、呼び径φ14mmの波形管が前記波形管接続具に係止された状態の断面図である。
【
図16】
図16は、
図2のXVI-XVI位置の断面図であって、前記本体の係合凸部が前記可動部の切欠部に嵌まり込んだ状態を示す断面図である。
【
図17】
図17は、呼び径φ16mmの波形管が前記波形管接続具に係止された状態の断面図である。
【
図18】
図18は、第二実施形態に係る波形管接続具の斜視図である。
【
図20】
図20は、前記波形管接続具の本体を筒軸方向の一方側から見た図である。
【
図22】
図22は、前記波形管接続具の可動部の断面図である。
【
図24】
図24は、爪部の爪の一方側の面の筒軸方向に対する傾斜角を説明するための図である。
【
図25】
図25は、呼び径φ14mmの波形管が前記波形管接続具の筒穴へ挿入された状態の縦断面図である。
【
図26】
図26は、呼び径φ16mmの波形管が前記波形管接続具の筒穴へ挿入された状態の縦断面図である。
【
図27】
図27は、前記可動部が初期位置のときの横断面図である。
【
図28】
図28は、前記可動部が前記本体に対して相対回転したときの横断面図である。
【
図29】
図29(a)は、他実施形態に係る波形管接続具において可動部が初期位置のときの爪部と押圧用凸部との位置関係を示す模式図であり、
図29(b)は、他実施形態に係る波形管接続具において可動部が本体に対して相対移動したときの爪部と押圧用凸部との位置関係を示す模式図である。
【
図30】
図30は、他実施形態に係る波形管接続具の斜視図である。
【
図31】
図31は、可動部と本体とを分離した状態の前記波形管接続具の断面図である。
【
図33】
図33は、前記波形管接続具における係合爪部を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の第一実施形態について、
図1~
図17を参照しつつ説明する。
【0023】
本実施形態の波形管接続具(以下、単に「接続具」とも称する。)1は、ドレン管等の波形管71を塩ビ製の継手72に接続するためのものである(
図15及び
図17参照)。この波形管71の外周面710には、周方向に延びる凹部711が波形管71の長手方向に間隔をあけて複数配置されている。
【0024】
具体的に、本実施形態の接続具1は、
図1~
図5に示すように、波形管71を挿入可能な筒穴210Aを有する本体(接続具本体)2と、本体2に対して相対移動可能な可動部3と、を備える。
【0025】
本実施形態の接続具1においては、本体2が押圧部22を有し、可動部3が複数の爪部33を有する。また、本実施形態の接続具1は、可動部3と筒穴210Aに挿入された波形管71との隙間を塞ぐ閉塞部材4も備える。この閉塞部材4は、筒穴210Aに挿入される波形管71の径によって着脱される。即ち、接続具1は、波形管71が接続された状態において閉塞部材4を備えない構成も採り得る。
【0026】
本体2は、
図6及び
図7にも示すように、内周面210を有する筒部21と、筒部21の内周面210の内側に配置される押圧部22と、を有する。本実施形態の本体2は、爪部33の開き(即ち、複数の爪部33に囲まれる領域A
1の広がり)を防止する開き防止凸部23と、可動部3を本体2に取り付ける(嵌合させる)際に用いられる誘い部24と、可動部3の本体2に対する相対移動を規制する規制部25と、可動部3と係合する係合凸部26と、可動部3を本体2に相対移動可能に嵌合させる本体側嵌合爪27と、も有する。また、本体2は、筒穴210Aに挿入された波形管71を案内する案内部28も有する。
【0027】
筒部21は、筒軸C方向の一方側(
図2における上側)の端部から筒穴210Aに波形管71を挿入可能であり、且つ、筒軸C方向の他方側(
図2における下側)の端部から該筒部21を継手72内に挿入可能な形状を有する(
図15及び
図17参照)。
【0028】
具体的に、筒部21は、該筒部21における筒軸C方向の一方側の端部を含む部位である第一部位211と、筒軸C方向における第一部位211の他方側に位置し且つ第一部位211より径の小さな第二部位212と、第一部位211と第二部位212とを接続する段差部213と、を有する。本実施形態の第一部位211と第二部位212とは、それぞれ円筒状の部位であり、共通の筒軸Cを有する。即ち、第一部位211と第二部位212とは、互いの筒軸を一致させ、且つ筒軸C方向において隣り合うように配置されている。段差部213の径方向内側の端部213Aは、第二部位212の内周面2120より径方向内側まで延びている。
【0029】
また、筒部21は、筒軸Cを囲む内周面210を有する。この内周面210は、第一部位211の内周面(第一内周面)2110と、第二部位212の内周面(第二内周面)2120と、を含む。
【0030】
本実施形態の筒部21においては、第一部位211に、複数種(本実施形態の例では、呼び径がφ14mmとφ16mmの2種)の径の波形管71の挿入が予定されており、複数種(本実施形態の例では、内径がφ26.45mmとφ32.55mmの2種)の径の継手72への筒部21の第二部位212側からの挿入が予定されている。
【0031】
押圧部22は、筒部21の内周面210、詳しくは、第一部位211の第一内周面2110の内側(筒軸C側)に配置されている。本実施形態の押圧部22は、段差部213の面(筒軸C方向の一方側を向いた面)2131から筒軸C方向に突出する複数(爪部33の数と対応する数:本実施形態の例では六つ)の押圧用凸部221を有する。これら複数の押圧用凸部221は、第一内周面2110の周方向(以下、単に「周方向」とも称する。)に間隔をあけて配置されている。また、本実施形態の押圧部22は、各押圧用凸部221と第一内周面2110との間に配置され且つ第一部位211の径方向に延びることにより該押圧用凸部221と該第一内周面2110とを接続する複数(押圧用凸部221と対応する数)の補強部222も有する。
【0032】
複数の押圧用凸部221のそれぞれは、段差部213の面2131において第一内周面2110から筒軸C側に間隔をあけた位置から筒軸C方向に突出し、且つ周方向に沿って延びている。これら複数の押圧用凸部221は、周方向に等間隔となるように配置されている。各押圧用凸部221は、第一部位211の径方向と直交する面方向に沿って広がり且つ筒軸C側を向いた押圧面2211と、筒軸C方向の一方側から見て押圧面2211における周方向の一方側(
図6における反時計回り側)の端部から延び且つ該端部から周方向の一方側に離れるにつれて第一内周面2110に接近する傾斜押圧面2212と、を有する。
【0033】
開き防止凸部23は、第一内周面2110から突出する。具体的に、開き防止凸部23は、第一内周面2110から突出し且つ段差部213の面2131から筒軸C方向の一方側に向けて延びる。本実施形態の開き防止凸部23の突出方向の端部(頂部)23Aは、押圧用凸部221の押圧面2211より、第一部位211の径方向(以下、単に「径方向」とも称する。)の外側に位置している。この開き防止凸部23は、複数(本実施形態の例では、三つ)設けられる。各開き防止凸部23は、周方向に隣り合う二つの押圧用凸部221間の略中央に配置されている(
図6参照)。そして、複数の開き防止凸部23は、周方向に等間隔となるように配置されている。
【0034】
誘い部24は、第一部位211における筒軸C方向の一方側の端部に配置される。この誘い部24は、筒軸C方向の一方側に進むにつれて径方向の内側となる傾斜面によって構成されている。本実施形態の誘い部24は、複数(本実施形態の例では、三つ)設けられ、周方向に等間隔となるように配置されている。
【0035】
規制部25は、第一部位211の外周面における筒軸C方向の一方側の端部において径方向外側に突出する部位である。この規制部25は、筒軸C方向の一方側から見て、周方向の一方側の端縁に、径方向外側に延びると共に筒軸C方向に延びる規制面251を有する(
図1、
図2、及び
図4参照)。本実施形態の規制部25は、複数(本実施形態の例では、三つ)設けられ、周方向に等間隔となるように配置されている。この規制部25は、筒軸C方向の他方側の端に、径方向外側に延び且つ周方向に延びる挿入停止面252を有する。この挿入停止面252は、本体2を第二部位212側から継手72に挿入したときに、継手72の開口縁と当接することにより、それ以上の本体2の継手72内への挿入を阻止する面である。
【0036】
各規制部25の規制面251は、可動部3が本体2に対して筒軸C周りに相対回転(相対移動)したときに該可動部3の一部が該規制面251と当接することにより、可動部3の本体2に対するそれ以上の相対回転を規制(阻止)する。この規制面251は、筒軸C方向の一方側から見て、誘い部24から周方向の他方側(
図4における時計回り側)に間隔をあけた位置に配置されている。
【0037】
係合凸部26は、規制部25(規制面251)によって相対回転が規制された状態の可動部3と係合する。この係合により、可動部3が本体2に対して相対回転し難くなる(ロックされる)。本実施形態の係合凸部26は、規制部25から外側に向けて突出する。この係合凸部26は、複数(本実施形態の例では三つ)設けられ、周方向に等間隔となるように配置されている。詳しくは、各係合凸部26は、筒軸C方向の一方側から見て、該係合凸部26における周方向の一方側の端部が規制面251と略一致する位置に配置されている。
【0038】
本体側嵌合爪27は、可動部3を本体2に対して相対回転可能に嵌合させる。本体側嵌合爪27は、周方向に隣り合う規制部25間を繋ぐように周方向に延びる。この本体側嵌合爪27は、筒軸C方向の他方側の端に、周方向に延び且つ径方向外側に進むにつれて筒軸C方向の他方側となる本体側嵌合面271を有する(
図7参照)。本実施形態の本体側嵌合爪27は、複数(本実施形態の例では、三つ)設けられ、周方向に隣り合う二つの規制部25間のそれぞれに配置されている。
【0039】
案内部28は、筒穴210Aにおける波形管71の挿入方向の奥側から該挿入方向と反対側に向けて延びると共に、波形管71が筒穴210Aに挿入されたときに該波形管71の端部開口から内側に進入することによって該波形管71の端部を筒軸C方向に案内する(
図11及び
図15参照)。具体的に、案内部28は、段差部213の径方向内側の端部213Aから径方向内側に向けて延びる延設部281と、延設部281の先端から筒軸C方向の一方側に向けて延びる案内部本体282と、を有する。この案内部本体282は、筒軸C方向の一方側に延び且つ周方向に沿って延びている。本実施形態の案内部28は、複数(本実施形態の例では、三つ)設けられ、周方向に等間隔となるように配置されている。
【0040】
可動部3は、筒部21における筒軸C方向の一方側の端部と嵌合した状態で該筒部21(本体2)に対して相対移動する。本実施形態の可動部3は、筒軸C周りに回動することによって本体2に対して相対回転する。この可動部3は、
図1、
図2、
図4、
図5及び
図8~
図10に示すように、本体2(詳しくは、筒部21の第一部位211)における筒軸C方向の一方側の端部に沿って環状に延びる環状部31と、環状部31の径方向外側の端部から筒軸C方向の他方側に延びる短筒部32と、環状部31の径方向内側の端部から筒軸C方向の他方側に延びる複数の爪部33と、を有する。
【0041】
環状部31は、筒軸Cと直交する面方向に沿った板状で且つ筒軸C方向から見て環状の部位である。この環状部31の内側面(本体2側を向いた面)31Aが本体2における筒軸C方向の一方側の端部に当接した状態で、可動部3が筒部21に対して相対回転する。
【0042】
環状部31は、筒軸Cを中心にした円形の開口311を有する。この開口311は、筒穴210Aと連通し、該開口311には波形管71が挿入可能である。このため、開口311の内径は、筒穴210Aに挿入される波形管71(筒穴210Aへの挿入が予定されている波形管71)の外径よりも大きい。
【0043】
短筒部32は、筒部21における筒軸C方向の一方側の端部を径方向外側から囲う短筒本体321と、短筒本体321における筒軸C方向の他方側の端部に形成される一対の切欠部322と、一対の切欠部322の間に形成される可動部側嵌合爪323と、を有する。
【0044】
一対の切欠部322は、短筒本体321における筒軸C方向の他方側の端縁から一方側に向けてそれぞれ延びると共に、周方向に間隔をあけて配置される。一対の切欠部322のうちの一方(本実施形態の例では、周方向における他方側)の切欠部322は、可動部3を本体2に対して相対回転させることによって本体2の係合凸部26と係合する(即ち、係合凸部26が切欠部322内に嵌まり込んだ状態となる)。本実施形態の可動部3には、一対の切欠部322は、複数対(本実施形態の例では、三対)設けられ、周方向に等間隔となるように配置されている。
【0045】
可動部側嵌合爪323は、本体側嵌合爪27と嵌合する。これにより、可動部3が本体2と嵌合した状態で該本体2に対して相対回転可能となる。この可動部側嵌合爪323は、短筒本体321における筒軸C方向の他方側の端部において、一対の切欠部322間を繋ぐように周方向に延びる。可動部側嵌合爪323は、本体側嵌合爪27と嵌合した状態において本体側嵌合面271と対向した状態で当接する可動部側嵌合面3231を有する。本実施形態の可動部側嵌合爪323は、複数(本実施形態の例では、三つ)設けられ、周方向に等間隔となる位置に配置されている。これら複数の可動部側嵌合爪323は、可動部3を本体2に取り付ける(嵌合させる)ときに、本体2の誘い部24の位置にそれぞれ合わせられ、可動部3が本体2に対して筒軸C方向の他方側に押し込まれることによって本体2の各本体側嵌合爪27と嵌合する。
【0046】
複数の爪部33のそれぞれは、環状部31の径方向内側の端部から筒軸C方向の他方側に向けて延び且つ弾性変形可能な弾性変形部331と、弾性変形部331から径方向内側に突出する爪332と、を有する。
【0047】
弾性変形部331は、先端(筒軸C方向の他方側の端:自由端)側が径方向の内側及び外側へ変位するように弾性変形可能である。具体的に、弾性変形部331は、環状部31の径方向内側の端部(開口周縁部)から筒軸C方向に沿って押圧用凸部221の先端(筒軸C方向の一方側の端)より他方側の位置まで延び、且つ円周方向に沿って延びる板状の部位である。この弾性変形部331の径方向の位置は、押圧用凸部221と略同じ位置、詳しくは、周方向に隣り合う二つの押圧用凸部221の間に位置した状態から周方向の他方側に移動したときに押圧用凸部221の傾斜押圧面2212と当接する位置である。
【0048】
爪332は、波形管71の凹部711と係合する(凹部711に引っ掛かる)部位である。具体的に、爪332は、弾性変形部331から筒軸C方向に突出し且つ円周方向に沿って延びている。筒軸C方向における爪332の他方側の面3321は、筒軸C方向と直交する面方向に広がり、筒軸C方向における爪332の一方側の面3322は、爪332の筒軸C方向の寸法(厚さ)が突出方向の先端側(筒軸C側)に向かうにつれて漸減するように筒軸C方向に対して傾斜している。
【0049】
本実施形態の可動部3には、押圧用凸部221の数と対応する数(本実施形態の例では、六つ)の爪部33が設けられている。これら六つの爪部33は、筒軸C方向における爪332の位置が異なる二種類の爪部(第一の爪部33Aと第二の爪部33B)を含む。本実施形態の爪部33は、三つの第一の爪部33Aと三つの第二の爪部33Bとを含む。
【0050】
筒軸C方向において、第一の爪部33Aの爪332Aは、第二の爪部33Bの爪332Bより他方側に配置されている。本実施形態の第一の爪部33Aは、弾性変形部331の先端部に爪332Aを有し、第二の爪部33Bは、弾性変形部331における筒軸C方向の中央部に爪332Bを有する。
【0051】
これら六つの爪部33は、周方向において第一の爪部33Aと第二の爪部33Bとが交互に位置し且つ周方向に等間隔となるように配置されている。より詳しくは、可動部3が本体2に対して初期位置(波形管71が筒穴210Aに挿抜可能な状態のときの本体2に対する可動部3の位置)のとき、換言すると、複数の可動部側嵌合爪323が本体2の誘い部24の位置にそれぞれ合わせられ、可動部3が本体2に対して筒軸C方向の他方側に押し込まれた状態のときに、三つの第一の爪部33Aのそれぞれは、間に開き防止凸部23が配置されている押圧用凸部221間に位置し、三つの第二の爪部33Bのそれぞれは、間に開き防止凸部23が配置されていない押圧用凸部221間に位置している(
図13参照)。
【0052】
また、第一の爪部33Aにおける弾性変形部331からの爪332Aの突出量(径方向の寸法)は、第二の爪部33Bにおける弾性変形部331からの爪332Bの突出量より大きい。
【0053】
詳しくは、第一の爪部33Aの爪332Aの突出量は、可動部3が本体2に対して初期位置の状態で筒穴210Aに呼び径φ14mmの波形管71が挿入されたときに、該爪332Aの先端部(径方向内側の端部)が波形管71の凹部711に引っ掛かる(係合する)大きさであり(
図11参照)、且つ、呼び径φ16mmの波形管71が挿入されたときに該爪332Aの一方側の面3322に当接する大きさである(
図12参照)。また、第二の爪部33Bの爪332Bの突出量は、可動部3が本体2に対して初期位置の状態で筒穴210Aに呼び径φ16mmの波形管71が挿入されたときに、該爪332Bの先端部(径方向内側の端部)が波形管71の凹部711に引っ掛かる(係合する)大きさである(
図12)。
【0054】
閉塞部材4は、径の小さな波形管(本実施形態の例では呼び径φ14mmの波形管)71が筒穴210Aに挿入されたときに、波形管71を可動部3の開口周縁部との間に形成される隙間を塞ぐ(閉塞する:
図11及び
図15参照)。具体的に、閉塞部材4は、
図1~
図5に示すように、筒軸Cと直交する面方向に沿った板状で且つ筒軸C方向から見て環状の閉塞部材本体41と、閉塞部材本体41から筒軸C方向の他方側に延びる係止部42と、を有する。
【0055】
閉塞部材本体41は、筒軸Cを中心にした円形の開口411を有する。この開口411は、筒穴210Aと連通し、該開口411には波形管71が挿入可能である(
図11参照)。開口311の内径は、筒穴210Aに挿入が予定される波形管71(本実施形態の例では、呼び径φ14mmと呼び径φ16mmの波形管71)のうちの外径の最も小さい波形管(呼び径φ14mmの波形管)71の外径より僅かに大きい。
【0056】
係止部42は、閉塞部材本体41の径方向内側の端部(開口周縁部)から筒軸C方向の他方側に延び、先端に係合部421を有する。この係合部421が可動部3の環状部31の開口周縁部に係合することにより、閉塞部材4が可動部3に係止される。
【0057】
以上のように構成される接続具1は、以下のようにして波形管71と継手72とを接続する。
【0058】
先ず、可動部3が本体2に対して初期位置にある状態(
図13参照)の接続具1に対し、波形管71の端部が可動部3の開口311を通じて本体2の筒穴210A内に挿入される。このとき、呼び径φ14mmの波形管71が挿入される場合には、閉塞部材4が可動部3に取り付けられた状態で、波形管71が閉塞部材4の開口411及び可動部3の開口311を通じて筒穴210Aに挿入される(
図11参照)。
【0059】
この呼び径φ14mmの波形管71の挿入の際には、案内部28の案内部本体282が、開口311、411を通じて筒穴210Aに挿入されてきた波形管71の端部開口から波形管71の内側に進入することにより、該波形管71の端部を筒軸C方向に案内する。これにより、波形管71が傾いて筒穴210Aへ十分に挿入できなくなることを防ぐことができる。
【0060】
波形管71が筒穴210Aに十分に挿入された状態では、複数の第一の爪部33Aの各爪332Aの先端部が波形管71の凹部711にそれぞれ引っ掛かっている(係合している)。この状態では、波形管71から作業者等が手を放しても、各爪332Aが凹部711に引っ掛かっているため、波形管71が接続具1から抜けない。一方、この状態では、波形管71に対して引き抜き方向の力が加わると、各爪332Aの凹部711への引っ掛かりが浅い(十分に係合していない)ため、波形管71が接続具1から容易に引き抜かれる。即ち、波形管71が接続具1に対して仮止めされた状態となっている。このように、本実施形態の第一の爪部33Aの爪332Aは、凹部711と係合して波形管71を接続具1に対して係止する爪部(係合爪部)としての機能に加え、仮止め用の爪部(仮止め爪部)としても機能する。
【0061】
また、呼び径φ16mmの波形管71が挿入される場合には、閉塞部材4が可動部3に取り付けられていない状態で、波形管71が可動部3の開口311を通じて筒穴210Aに挿入される(
図12参照)。即ち、呼び径φ16mmの波形管71を継手72に接続する際には、接続具1は、閉塞部材4が取り外された状態で使用される。
【0062】
この呼び径φ16mmの波形管71の挿入の際には、波形管71の先端が第一の爪部33Aの爪332Aに当接する。このとき、爪332Aの一方側の面3322が筒軸C側に向けて先下がり勾配で傾斜しているため、波形管71の先端が該一方側の面3322を筒軸C方向の他方側に押すことによって第一の爪部33Aが弾性変形して先端部が径方向外側に変位する、即ち、筒軸C方向から見て第一の爪部33Aによって囲まれる円形の領域A1が大きくなる(拡径する)。しかし、本実施形態の接続具1では、第一の爪部33Aの先端部が開き防止凸部23に当接することによって該先端部のそれ以上の変位が阻止(規制)され、これにより、波形管71が通過できる大きさまで領域A1が拡径しない。その結果、波形管71の先端が第一の爪部33Aの爪332Aより奥(筒軸C方向の他方側)に進入することが防がれる。
【0063】
波形管71の先端が第一の爪部33Aの爪332Aの位置まで呼び径φ16mmの波形管が筒穴210Aに挿入された状態では、複数の第二の爪部33Bの各爪332Bの先端部が波形管71の凹部711にそれぞれ引っ掛かっている(係合している:
図12参照)。この状態においても、波形管71から作業者等が手を放しても、各爪332Bが凹部711に引っ掛かっているため、波形管71が接続具1から抜けない。一方、この状態では、波形管71に対して引き抜き方向の力が加わると、各爪332Bの凹部711への引っ掛かりが浅い(十分に係合していない)ため、波形管71が接続具1から容易に引き抜かれる。即ち、波形管71が接続具1に対して仮止めされた状態となっている。このように、本実施形態の第二の爪部33Bの爪332Bは、凹部711と係合して波形管71を接続具1に対して係止する爪部(係合爪部)としての機能に加え、仮止め用の爪部(仮止め爪部)としても機能する。
【0064】
波形管71が接続具1の筒穴210Aに十分に挿入されると(
図11及び
図12参照)、続いて、可動部3が本体2に対して初期位置から相対回転させられる。具体的には、可動部3が本体2に対して、筒軸C方向の一方側から見て周方向の他方側に相対回転させられる。これにより、周方向に隣り合う二つの爪部33間に位置していた各押圧用凸部221(
図13参照)の傾斜押圧面2212が、周方向の一方側にある爪部33(弾性変形部331)と当接する。各規制部25の規制面251に可動部3の可動部側嵌合爪323がそれぞれ当接する位置まで可動部3がさらに相対回転を続けると、弾性変形部331が傾斜押圧面2212によって筒軸C側に押されて弾性変形し、各押圧用凸部221が爪部33と第一内周面2110との間にそれぞれ入り込む(
図14参照)。これにより、複数の爪部33によって囲まれた領域A
1が縮径する。
【0065】
このとき、呼び径φ14mmの波形管71が挿入されている場合には、複数の第一の爪部33Aの各爪332Aの略全体がそれぞれ波形管71の凹部711に嵌まり込み、これにより、各爪332Aと凹部711とが十分に係合する(十分に引っ掛かる:
図15参照)。一方、呼び径φ16mmの波形管が挿入されている場合には、複数の第二の爪部33Bの各爪332Bの略全体がそれぞれ波形管71の凹部711に嵌り込み、これにより、各爪332Bと凹部711とが十分に係合する(十分に引っ掛かる:
図14参照)。
【0066】
このように、爪部33の爪332が波形管71の凹部711に十分に嵌まり込んだ状態では、各押圧用凸部221が爪部33の第一内周面2110の側に位置しているため、複数の爪部33に囲まれた領域A1が縮径された状態が強固に維持され、これにより、波形管71に引き抜き方向の力が加わっても、波形管71が接続具1から抜けない。即ち、波形管71が接続具1に強固に係止(接続)される。
【0067】
また、可動部3の可動部側嵌合爪323が規制部25の規制面251に当接している状態では、第一部位211の各係合凸部26が可動部3の短筒部32に設けられた切欠部322と係合している(
図16参照)。これにより、可動部3の本体2に対する相対回転(初期位置に戻る方向の相対回転)が防がれる。即ち、接続具1による波形管71の強固な係止(接続)状態が解除され難くなる。
【0068】
このように波形管71が接続具1に係止されると、次に、接続具1が第二部位212側から継手72に挿入される。このとき、内径φ26.45mmの継手72に挿入される場合には、接続具1は、段差部213が継手72の開口縁に当接するまで挿入、即ち、第二部位212のみが挿入される(
図15及び
図17の符号72で示す破線参照)。一方、内径φ32.55mmの継手72に挿入される場合には、図示していないが、第一部位211の規制部25の挿入停止面252に継手72の開口縁が当接するまで挿入、即ち、第一部位211における筒軸C方向の途中位置まで挿入される。
【0069】
尚、本実施形態の接続具1では、該接続具1が継手72に挿入されるときには、該継手72に挿入される部位の外周面に接着剤が塗付された状態で挿入される。また、本実施形態では、波形管71が接続具1に係止(接続)された後に、接続具1が継手72に接続されているが、接続具1が継手72に接続された後に、波形管71が接続具1に係止(接続)されてもよい。
【0070】
また、接続具1から波形管71を取り外す(引き抜く)場合は、可動部3が初期位置になるまで本体2に対して相対回転させられる。これにより、各爪部33の第一内周面2110の側において押圧用凸部221が居なくなるため、各爪部33が弾性力によって元の姿勢(押圧用凸部221によって筒軸C側に押される前の姿勢)に戻り、第一の爪部33Aの爪332Aの先端部又は第二の爪部33Bの爪332Bの先端部しか波形管71の凹部711に引っ掛かっていない状態、即ち、波形管71が接続具1に仮止めされた状態となる(
図11及び
図12参照)。この状態で、波形管71が筒軸C方向の一方側に引っ張られることで接続具1から引き抜かれる。
【0071】
以上の接続具1によれば、少なくとも一つの爪部33における本体2の内周面210(詳しくは、第一内周面2110)側に押圧用凸部221が位置することで、爪部33に囲まれる領域A1が小さくなった状態(筒穴210Aに波形管71が挿入されている場合には各爪部33が波形管71の凹部711と係合した状態)が強固に維持される。このため、筒穴210Aに波形管71が挿入された状態で可動部3を本体2に対して相対移動させた状態にする(本実施形態の例では、可動部3を初期位置から規制部25に当接する位置まで本体2に対して相対回転させた状態にする)ことによって、接続具1と波形管71との接続状態が確実に維持される。
【0072】
本実施形態の接続具1では、凹部711と係合して波形管71を接続具1に係止する(係止状態を強固に維持する)爪332と、波形管71を接続具1に対して仮止めする爪332とが、共通の爪(共通の部位)である。即ち、本実施形態の接続具1のように、爪部33が押圧用凸部221に押圧されていないとき(換言すると、爪部33の内周面210の側に押圧用凸部221が位置していないとき)に該爪部33の爪332が仮止め用の爪として機能することによって爪332(爪部33)の数が抑えられ、構成の簡素化を図ることができる。
【0073】
また、本実施形態の接続具1では、呼び径φ14mmの波形管71が筒穴210Aに挿入されたときに該波形管71の端部開口から内側に進入することによって該波形管71の端部を筒軸C方向に案内する案内部28を、本体2が有している。即ち、本実施形態の接続具1では、案内部28が筒穴210Aの奥側から筒穴210Aの入り口側(波形管71の挿入方向と反対側)に向けて延びているため、筒穴210Aに挿入された波形管71の端部が案内部28によって筒穴210Aの奥側に向けて案内され、これにより、波形管71が筒軸Cに対して傾いた状態で筒穴210Aに挿入されることが防がれる。
【0074】
次に、本発明の第二実施形態について
図18~
図28を参照しつつ説明するが、上記第一実施形態と同様の構成には同一符号を用いると共に詳細な説明を省略し、異なる構成についてのみ詳細に説明する。
【0075】
図18及び
図19に示すように、接続具1Aは、本体(接続具本体)2と、本体2に対して相対移動可能な可動部3と、を備える。本実施形態の接続具1Aは、透明な樹脂によって形成されている。この接続具1Aは、第一実施形態と異なり、閉塞部材を備えていない。
【0076】
本体2は、
図20及び
図21にも示すように、内周面210を有する筒部21と、内周面210の内側(筒軸C側)に配置される押圧部22と、を有する。また、本体2は、誘い部24と、規制部25と、係合凸部26と、本体側嵌合爪27と、を有する。
【0077】
筒部21は、第一部位211と、第一部位211より径の小さな第二部位212と、第一部位211と第二部位212とを接続する段差部213と、を有する。これら第一部位211と第二部位212とは、それぞれ円筒状の部位であり、共通の筒軸Cを有する。段差部213の径方向内側の端部213Aは、第二部位212の内周面2120より径方向内側まで延びている。本実施形態の筒部21は、第一実施形態の筒部と異なり、案内部がないため、段差部213の径方向内側の端部213Aは、筒軸C方向から見て円形である。
【0078】
また、筒部21の内周面210は、第一部位211の内周面(第一内周面)2110と、第二部位212の内周面(第二内周面)2120と、を含む。
【0079】
本実施形態の筒部21においても、第一部位211に、複数種(本実施形態の例においても、呼び径がφ14mmとφ16mmの2種)の径の波形管71の挿入が予定されており、複数種(本実施形態の例においても、内径がφ26.45mmとφ32.55mmの2種)の径の継手への筒部21の第二部位212側からの挿入が予定されている。
【0080】
押圧部22は、第一部位211の第一内周面2110の内側(筒軸C側)に配置されている。本実施形態の押圧部22は、段差部213の面2131から筒軸C方向に突出すると共に第一内周面2110に接続されている複数(本実施形態の例では三つ)の押圧用凸部221を有する。これら複数の押圧用凸部221は、周方向に間隔をあけて配置されている。複数の押圧用凸部221のそれぞれは、押圧面2211と傾斜押圧面2212とを有する。
【0081】
可動部3は、筒部21と嵌合した状態で該筒部21(本体2)に対して相対移動する。本実施形態の可動部3も、第一実施形態同様、筒軸C周りに回動することによって本体2に対して相対回転する。この可動部3は、
図18、
図19、
図22、及び
図23に示すように、環状部31と、短筒部32と、複数(本実施形態の例では三つ)の爪部33と、複数(本実施形態の例では三つ)の案内片34と、を有する。
【0082】
環状部31の開口311の内径は、筒穴210Aに挿入される波形管(筒穴210Aへの挿入が予定されている波形管)のうち最も径の大きな波形管(本実施形態の例では、呼び径がφ16mmの波形管)71の外径より大きい。
【0083】
短筒部32の短筒本体321は、外周面に滑り止め部325を有する。本実施形態の滑り止め部325は、筒軸C方向に延びる突条であり、複数配置されている。これら複数の滑り止め部(突条)321は、周方向に間隔をあけて配置されている。尚、滑り止め部325は、作業者等が短筒本体321の外周面を把持して可動部3を本体2に対して相対回転させるときに滑り止めとして働く構成であればよく、例えば、溝やローレット等によって構成されていてもよい。
【0084】
複数の爪部33と複数の案内片34とは、環状部31の径方向内側の端部から筒軸C方向の他方側(
図22における下側)に向けてそれぞれ延びている。これら爪部33と案内片34とは、周方向において交互で且つ等間隔に配置されている。
【0085】
各爪部33は、弾性変形部331と爪332とを有し、周方向において押圧用凸部221と対応する位置に(即ち、周方向において隣り合う爪部33同士の間隔が、周方向において隣り合う押圧用凸部221同士の間隔と対応する間隔で)配置されている。このため、可動部3が本体2に対して初期位置(波形管71が筒穴210Aに挿抜可能な状態のときの本体2に対する可動部3の位置)のとき、換言すると、複数の可動部側嵌合爪323が本体2の誘い部24の位置にそれぞれ合わせられ、可動部3が本体2に対して筒軸C方向の他方側に押し込まれた状態のときに、三つの爪部33のそれぞれは、周方向に隣り合う押圧用凸部221間に位置している(
図27参照)。本実施形態の接続具1Aでは、可動部3が本体2に対して初期位置のときに、周方向において隣り合う爪部33と案内片34との間に押圧用凸部221が位置している(
図27参照)。
【0086】
本実施形態の爪332では、一方側の面3322の筒軸C方向に対する傾斜角β(
図24参照)は、第一実施形態の第一の爪部33Aの爪332Aの一方側の面3322に比べて大きい。例えば、第一実施形態の爪332Aの一方側の面3322の傾斜角βは、50°であり、本実施形態の爪332の一方側の面の傾斜角βは、60°である。また、本実施形態の可動部3には、押圧用凸部221の数と対応する数(本実施形態の例では、三つ)の爪部33が設けられている。尚、弾性変形部331からの爪332の突出量(径方向の寸法)は、第一実施形態の第一の爪部33Aの爪332Aと同じである。
【0087】
案内片34は、弾性変形部331と同じ形状である。この案内片34は、弾性変形部331と同様に、先端(筒軸C方向の他方側の端:自由端)側が径方向の内側及び外側へ変位するように弾性変形可能である。
【0088】
以上のように構成される接続具1Aは、以下のようにして波形管71と継手とを接続する。
【0089】
先ず、可動部3が本体2に対して初期位置にある状態(
図27参照)の接続具1Aに対し、波形管71の端部が可動部3の開口311を通じて本体2の筒穴210A内に挿入される。このとき、三つの爪部33に加え、三つの案内片34が配置されているため、波形管71の先端がこれら爪部33及び案内片34に案内され、これにより、波形管71を筒軸Cに沿って真っ直ぐに挿入し易い。また、第一実施形態の接続具1と異なり、本実施形態の接続具1Aでは、呼び径φ14mmの波形管71及び呼び径φ16mmの波形管71のいずれの波形管71も、先端が本体2の段差部213(面2131)の近傍に位置するまで、筒穴210Aに十分に挿入される(
図25及び
図26参照)。本実施形態の接続具1Aでは、全体が透明な樹脂によって形成されているため、波形管71の挿入状態(波形管71の先端の位置)の確認が容易である。
【0090】
このとき、本実施形態の接続具1Aでは、呼び径φ14mmの波形管71の挿入の際、及び、呼び径φ16mmの波形管71の挿入の際、のいずれの場合にも、一方側の面3322が筒軸C側に向けて先下がり勾配で傾斜しているため、波形管71の先端が爪部33の爪332の一方側の面3322を筒軸C方向の他方側に押すことによって爪部33(弾性変形部331)が弾性変形して先端部が径方向外側に変位する、即ち、筒軸C方向から見て爪部33によって囲まれる円形の領域A1が大きくなる(拡径する)。この爪部33に対し、各案内片34は、波形管71の挿入時に該波形管71に押されないため、弾性変形しない。
【0091】
また、波形管71が筒穴210Aに十分に挿入された状態では、複数の爪部33の各爪332の先端部が波形管71の凹部711にそれぞれ引っ掛かり(係合し)、第一実施形態の接続具1と同様に、波形管71が接続具1に対して仮止めされた状態となっている。このように、本実施形態の爪部33の爪332も、第一実施形態の接続具1と同様に、凹部711と係合して波形管71を接続具1に対して係止する爪部(係合爪部)としての機能に加え、仮止め用の爪部(仮止め爪部)としても機能する。尚、仮止め状態において、呼び径φ14mmの波形管71の凹部711への爪332の入り込んでいる量(
図25参照)と、呼び径φ16mmの波形管71の凹部711への爪332の入り込んでいる量(
図26参照)とでは、呼び径φ16mmの波形管71の場合の方が大きい。
【0092】
波形管71が接続具1の筒穴210Aに十分に挿入されると(
図25及び
図26参照)、続いて、可動部3が本体2に対して初期位置から、各規制部25の規制面251に可動部3の可動部側嵌合爪323がそれぞれ当接する位置まで相対回転させられる。この相対回転により、各押圧用凸部221(
図27参照)の傾斜押圧面2212が、周方向の一方側にある爪部33(弾性変形部331)と当接し、可動部3がさらに相対回転を続けると、弾性変形部331が傾斜押圧面2212によって筒軸C側に押されて弾性変形し、各押圧用凸部221が爪部33と第一内周面2110との間にそれぞれ入り込む(
図28参照)。これにより、複数の爪部33によって囲まれた領域A
1が縮径するため、複数の爪部33の各爪332の略全体がそれぞれ波形管71の凹部711に嵌まり込み、これにより、各爪332と凹部711とが十分に係合する(十分に引っ掛かる)。
【0093】
このように、爪部33の爪332が波形管71の凹部711に十分に嵌まり込んだ状態では、各押圧用凸部221が爪部33の第一内周面2110の側に位置しているため、複数の爪部33に囲まれた領域A1が縮径された状態が強固に維持され、これにより、波形管71に引き抜き方向の力が加わっても、波形管71が接続具1から抜けない。即ち、波形管71が接続具1に強固に係止(接続)される。
【0094】
このように波形管71が接続具1に係止されると、次に、接続具1が第二部位212側から継手に挿入され、これにより、波形管71と継手とが接続される。
【0095】
また、接続具1から波形管71を取り外す(引き抜く)場合は、第一実施形態の接続具1と同様に、可動部3が初期位置になるまで本体2に対して相対回転させられ、波形管71が筒軸C方向の一方側に引っ張られることで接続具1Aから引き抜かれる。
【0096】
以上の接続具1Aによれば、第一実施形態と同様に、少なくとも一つの爪部33における本体2の内周面210(詳しくは、第一内周面2110)の側に押圧用凸部221が位置することで、爪部33に囲まれる領域A1が小さくなった状態(筒穴210Aに波形管71が挿入されている場合には各爪部33が波形管71の凹部711と係合した状態)が強固に維持される。このため、筒穴210Aに波形管71が挿入された状態で可動部3を本体2に対して相対移動させた状態にすることによって、接続具1と波形管71との接続状態が確実に維持される。
【0097】
また、本実施形態の接続具1Aでは、複数の爪部33は、少なくとも一つの爪部33に対して本体2の内周面210の側に押圧用凸部221(押圧部22)が位置していない状態のときの複数の爪部33によって囲まれる領域A1が筒穴210Aへの挿入が予定されている波形管のうちの径の最も大きな波形管(本実施形態の例では、呼び径φ16mmの波形管)71が挿入可能な大きさで、且つ、少なくとも一つの爪部33に対して本体2の内周面210の側に押圧用凸部221(押圧部22)が位置した状態のときの複数の爪部33によって囲まれる領域A1が筒穴210Aに挿入が予定されている波形管のうちの径の最も小さな波形管(本実施形態の例では、呼び径φ14mmの波形管)71の凹部711に各爪部33が係合する大きさ、となる位置にそれぞれ配置されている。尚、少なくとも一つの爪部33に対して本体2の内周面210の側に押圧用凸部221(押圧部22)が位置していない状態のときの「複数の爪部33によって囲まれる領域A1が筒穴210Aへの挿入が予定されている波形管のうちの径の最も大きな波形管71が挿入可能な大きさ」とは、波形管71の端部が可動部3の開口311を通じて本体2の筒穴210A内に挿入されたときに、波形管71の先端(挿入側先端)が各爪部33の爪332と非接触で筒軸C方向における爪332より段差部213側まで挿入できる状態だけではなく、各爪部33の爪332が波形管71に押されて弾性変形部331が弾性変形することによって波形管71の先端が筒軸C方向における爪332より段差部213側まで挿入できる状態も含む。
【0098】
上記の構成によれば、複数種の径の波形管71に対して接続具1Aを接続することができる。即ち、挿入が予定されている波形管のうちの径の最も小さな波形管71に対し、少なくとも一つの爪部33に対する本体2の内周面210の側に押圧用凸部221が位置した状態のときに各爪部3が係合できるため、この波形管より径の大きな波形管(挿入が予定されている波形管のうちの径の最も大きな波形管)71の凹部711に対しても、少なくとも一つの爪部33に対する本体2の内周面210の側に押圧用凸部221が位置した状態のときに各爪部33が係合できる。このため、挿入が予定されている径の最も大きな波形管(本実施形態の例では、呼び径φ16mmの波形管)から、挿入が予定されている径の最も小さな波形管(本実施形態の例では、呼び径φ14mmの波形管)までの間の複数種の径の波形管71に対して当該接続具1Aを接続できる。
【0099】
尚、本発明の波形管接続具は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を追加することができ、また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることができる。さらに、ある実施形態の構成の一部を削除することができる。
【0100】
上記第一及び第二実施形態の接続具1、1Aでは、本体2が押圧部22(押圧用凸部221)を有し、可動部3が爪部33を有しているが、この構成に限定されない。例えば、可動部3が押圧部22(押圧用凸部221)を有し、本体2が爪部33を有する構成でもよい。この構成の場合、例えば、各爪部33が本体2の段差部213の面2131から筒軸C方向の一方側に向けて延び、押圧部22(押圧用凸部221)が可動部3の環状部31の内側面31Aから筒軸C方向の他方側に向けて延びる。
【0101】
また、上記第一及び第二実施形態の接続具1、1Aでは、可動部3が本体2に対して筒軸C周りに相対回転することにより、各押圧用凸部221が対応する爪部33の内周面210の側に入り込んで該爪部33を筒軸C側に変位させるが、この構成に限定されない。例えば、可動部3が本体2に対して筒軸C方向に相対移動することにより、各押圧用凸部221が対応する爪部33の内周面210の側に入り込んで該爪部33を筒軸C側に変位させる構成でもよい。
【0102】
また、上記第一及び第二実施形態の接続具1、1Aでは、各爪部33の内周面210の側に対応する押圧部22(押圧用凸部221)がそれぞれ位置して各爪部33を筒軸C側に変位させる(押圧する)ことにより、複数の爪部33によって囲まれる領域A
1を小さくするが、この構成に限定されない。例えば、
図29に示すように、可動部3の本体2に対する相対移動によって、複数の爪部33のうちの少なくとも一つの爪部33の内周面210の側に押圧部22(押圧用凸部221)が移動して該爪部33を筒軸C側に変位させることにより、複数の爪部33に囲まれる領域A
1を小さくする構成でもよい。
【0103】
また、上記第一及び第二実施形態の接続具1、1Aでは、接続具1、1Aに対して波形管71を係止する爪と、接続具1、1Aに対して波形管71を仮止めする爪とが共通の爪(共通の部位)332によって構成されているが、この構成に限定されない。例えば、凹部711と係合して接続具1、1Aに対して波形管71を係止する爪と、接続具1、1Aに対して波形管71を仮止めする爪とが、異なる部位又は部材によって形成されていてもよい。この場合、波形管71の凹部711に対する前記仮止め用の爪の引っ掛かりは、接続具1、1Aに対して波形管71を係止するための爪が押圧部22に押圧されて波形管71の凹部711と係合したときの該凹部711に対する該爪332の引っ掛かりより浅い。かかる構成によっても、波形管71を筒穴210Aに挿入したときに、仮止め用の爪が波形管71の凹部711に引っ掛かるため、波形管71を接続具1、1Aに対して仮止めすることができる。即ち、波形管71を筒穴210Aに挿入すると仮止め用の爪が波形管71の凹部711に引っ掛かることで波形管71を接続具1、1Aに対して係止できるが、可動部3を本体2に相対移動させたときに各爪部の爪が波形管71の凹部711と係合する場合に比べ、凹部711に対する引っ掛かりが小さいため、筒穴210Aから波形管71を容易に引き抜くことができる。
【0104】
また、上記第一及び第二実施形態の接続具1、1Aでは、筒穴210Aに二種類の径の波形管71を挿入可能であり、且つ、二種類の径の継手72に本体2を挿入可能であるが、この構成に限定されない。例えば、
図30及び
図31に示す接続具1Bのように、筒穴210Aに一種類の径の波形管71が挿入可能であり、且つ、一種類の径の継手72に本体2を挿入可能な構成でもよい。この構成の接続具1Bの場合、筒部21が第二部位を有しておらず、全ての爪部33が同じ構成(各爪部33の爪332の筒軸C方向の位置が同じ)である。尚、
図30及び
図31において、上記第一実施形態の接続具1と同じ構成については、同じ符号を付している。
【0105】
また、接続具1、1Aは、筒穴210Aに複数種の径の波形管71が挿入可能であり、且つ、一種類の径の継手72に本体2を挿入可能な構成でもよく、筒穴210Aに一種類の径の波形管71が挿入可能であり、且つ、複数種の径の継手72に本体2を挿入可能な構成(筒部21が多段に縮径する構成)等であってもよい。
【0106】
また、爪部33の具体的な構成は限定されない。即ち、爪部33は、押圧部22(押圧用凸部221)が爪部33の内周面210の側に移動することによって該押圧部22に押圧されて爪部33(爪332)に囲まれる領域A1が小さくなる構成であればよい。
【0107】
また、上記第一及び第二実施形態では、波形管71は、ドレン管であるが、この構成に限定されない。波形管71は、外周面710において周方向に延びる凹部711が長手方向に間隔をあけて複数設けられていれば、他の目的に使用される管でもよい。
【0108】
また、上記第一及び第二実施形態の接続具1、1Aは、波形管71を継手72に接続しているが、この構成に限定されない。例えば、接続具1、1Aは、接続具1、1Aを内嵌可能な直管等に波形管71を接続する構成でもよい。即ち、接続具1、1Aは、該接続具1における筒軸C方向の他方側の部位を挿入可能な筒状の部材に、波形管71を接続できる。
【0109】
また、上記第二実施形態の接続具1Aでは、全体が透明であるが、この構成に限定されない。接続具1Aにおいて、少なくとも、波形管71が筒穴210Aに挿入されたときに該波形管71の先端位置が確認できる範囲(部位)が透明であればよい。
【符号の説明】
【0110】
1、1A、1B…接続具、2…本体(接続具本体)、21…筒部、210…内周面、210A…筒穴、211…第一部位、2110…第一内周面、212…第二部位、2120…第二内周面、213…段差部、213A…段差部の端部、2131…段差部の面(一方側を向いた面)、22…押圧部、221…押圧用凸部、2211…押圧面、2212…傾斜押圧面、222…補強部、23…開き防止凸部、24…誘い部、25…規制部、251…規制面、252…挿入停止面、26…係合凸部、27…本体側嵌合爪、271…本体側嵌合面、28…案内部、281…延設部、282…案内部本体、3…可動部、31…環状部、31A…内側面、311…環状部の開口、32…短筒部、321…短筒本体、322…切欠部、323…可動部側嵌合爪、3231…可動部側嵌合面、325…滑り止め部、33…爪部(係合爪部、仮止め爪部)、33A…第一の爪部、33B…第二の爪部、331…弾性変形部、332、332A、332B…爪、3321…爪の他方側の面、3322…爪の一方側の面、34…案内片、4…閉塞部材、41…閉塞部材本体、411…閉塞部材本体の開口、42…係止部、421…係合部、500…波形管接続具、510…本体、511…筒穴、512…波形管挿入側端部、520…操作体、521…貫通穴、522…筒部、523…係合爪群、5231…係合爪部、524…係止部、530…波形管、531…凹部、71…波形管、710…外周面、711…凹部、72…継手、A1…爪部に囲まれた領域、C、C1…筒軸