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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-14
(45)【発行日】2022-09-26
(54)【発明の名称】作業機械
(51)【国際特許分類】
   E02F 3/38 20060101AFI20220915BHJP
【FI】
E02F3/38 A
E02F3/38 B
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019150691
(22)【出願日】2019-08-20
(65)【公開番号】P2021031891
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2021-06-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】和田 健治
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 優作
【審査官】小倉 宏之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0071216(US,A1)
【文献】実開昭52-114502(JP,U)
【文献】特表2005-513310(JP,A)
【文献】特開2012-021335(JP,A)
【文献】特開2004-060371(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機械本体と、前記作業機械本体に取り付けた作業装置とを備え、前記作業装置が、前記作業機械本体に回動自在に連結したブームと、前記ブームに回動自在に連結したアームと、前記アームに装着したアタッチメントと、前記ブームを駆動する2本のブームシリンダと、前記アームを駆動するアームシリンダとを含んで構成されており、前記ブームシリンダ及び前記アームシリンダが前記ブームの下側に配置された作業機械において、
前記ブームシリンダの先端を支持する第1ピンと、
前記アームシリンダの基端を支持する第2ピンと、
前記第1ピンを支持するボスと、
前記ブームの下面に設けられて前記ボスを支持する左右のブームブラケットと、
前記ブームの下面に設けられて前記第2ピンを支持する左右のアームブラケットとを備え、
前記左右のブームブラケットの間に前記左右のアームブラケットが介在し、左右から見て前記ブームブラケットと前記アームブラケットとが一部重なって配置され
前記アームブラケットのブーム先端側の端部が前記ブームブラケットから前記ブーム先端側に突出し、この突出した部位に前記第2ピンが支持されており、
前記左右のアームブラケットの間に前記アームシリンダの基端が挿し込まれ、前記左右のアームブラケットと前記アームシリンダの基端とが前記第2ピンで連結されており、
前記ボスが前記左右のブームブラケット及び前記左右のアームブラケットを貫通し、前記ボスの左右の端部に前記2本のブームシリンダの先端が位置し、前記2本のブームシリンダ及び前記ボスに前記第1ピンが通してあ
ことを特徴とする作業機械。
【請求項2】
請求項1に記載の作業機械において、
前記ボスが、相対的に肉厚が厚い左右の厚肉部と、相対的に肉厚が薄く前記左右の厚肉部を連結する薄肉部とを含んで構成されており、
前記左右のアームブラケットと前記左右のブームブラケットがいずれも前記厚肉部で支持されていることを特徴とする作業機械。
【請求項3】
請求項2に記載の作業機械において、前記左右のアームブラケットが前記左右の厚肉部の対向端部でそれぞれ支持されていることを特徴とする作業機械。
【請求項4】
請求項3に記載の作業機械において、前記ボスの薄肉部は前記厚肉部に対して内径が大きく、前記薄肉部と前記第1ピンとの間に隙間が介在していることを特徴とする作業機械。
【請求項5】
請求項1に記載の作業機械において、前記第2ピンが左右から見て前記ブームブラケットに重ならず、前記第2ピンが前記ブームブラケットに干渉することなく左右に抜き差し可能に構成されていることを特徴とする作業機械。
【請求項6】
請求項1に記載の作業機械において、前記ブームと前記ボスとを連結する補強板を備えていることを特徴とする作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブーム及びアームを含んで構成された多関節型の作業装置を備えた作業機械に関し、特にブームシリンダとアームシリンダをブームの下側に配置した作業機械に係る。
【背景技術】
【0002】
トラックへの物体の積み込み作業といった荷役作業等に、油圧ショベルにグラップル等の把持機構を持つアタッチメントを装着して構成した作業機械が用いられる場合がある(特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-127051号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
掘削作業に用いられる油圧ショベルでは、一般にアームシリンダがブームの上面(背側面)に設置されていて、アームシリンダを伸ばすと作業装置がアームクラウド動作するように構成されている。出力の強いシリンダ伸長動作を掘削時に多用されるアームクラウド動作に対応させるためである。しかしアタッチメントで掴んだ物体を持ち上げる動作、つまりアームダンプ動作に力を要する作業機械では、シリンダ伸長動作をアームダンプ動作に対応付けることが望ましい。そのためには、アームシリンダの基部を連結するブラケット(以下、アームブラケット)をブームの下面(腹側面)に設置する必要がある。
【0005】
ブームシリンダについては、ブーム下げ動作に比べてブーム上げ動作に力を要するため、伸長時にブームが上がるように構成されるのが通常である。ブームシリンダの先端はブームの側面に連結される場合が多いが、ブームを起こして物体を持ち上げた姿勢を頻繁に採る作業機械では、ブームシリンダの先端を連結するブラケット(以下、ブームブラケット)をブームの下面に設置する構成が望ましい場合がある。ブームを起立させた際に、ブームを支持するフートピンとブームシリンダが過度に接近しないようにするためである。
【0006】
本発明の目的は、このようにアームシリンダとブームシリンダをブームの下側に配置した構成においてアームシリンダのストロークに対してアームの広い可動域を確保でき、両シリンダの支持強度を向上させることができる作業機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、作業機械本体と、前記作業機械本体に取り付けた作業装置とを備え、前記作業装置が、前記作業機械本体に回動自在に連結したブームと、前記ブームに回動自在に連結したアームと、前記アームに装着したアタッチメントと、前記ブームを駆動する2本のブームシリンダと、前記アームを駆動するアームシリンダとを含んで構成されており、前記ブームシリンダ及び前記アームシリンダが前記ブームの下側に配置された作業機械において、前記ブームシリンダの先端を支持する第1ピンと、前記アームシリンダの基端を支持する第2ピンと、前記第1ピンを支持するボスと、前記ブームの下面に設けられて前記ボスを支持する左右のブームブラケットと、前記ブームの下面に設けられて前記第2ピンを支持する左右のアームブラケットとを備え、前記左右のブームブラケットの間に前記左右のアームブラケットが介在し、左右から見て前記ブームブラケットと前記アームブラケットとが一部重なって配置され
前記アームブラケットのブーム先端側の端部が前記ブームブラケットから前記ブーム先端側に突出し、この突出した部位に前記第2ピンが支持されており、前記左右のアームブラケットの間に前記アームシリンダの基端が挿し込まれ、前記左右のアームブラケットと前記アームシリンダの基端とが前記第2ピンで連結されており、前記ボスが前記左右のブームブラケット及び前記左右のアームブラケットを貫通し、前記ボスの左右の端部に前記2本のブームシリンダの先端が位置し、前記2本のブームシリンダ及び前記ボスに前記第1ピンが通してあることを特徴とする作業機械を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、アームシリンダとブームシリンダをブームの下側に配置した構成においてアームシリンダのストロークに対してアームの広い可動域を確保でき、両シリンダの支持強度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る作業機械の全体構成を表す側面図
図2図1に示した作業機械に備わった作業装置(フロント作業機)の側面図
図3図1に示した作業機械に備わったブームシリンダの先端を支持するブームブラケット及びアームシリンダの基端を支持するアームブラケットとその周囲構造を拡大して表す側面図
図4図1に示した作業機械に備わったブームシリンダの先端を支持するブームブラケット及びアームシリンダの基端を支持するアームブラケットとその周囲構造を拡大して表す下面図
図5図3に示したブームブラケット及びアームブラケットの側面図
図6図3に示したブームブラケット及びアームブラケットの下面図
図7図5中のVII-VII線による矢視断面図
図8図5中のVIII-VIII線による矢視断面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。
【0011】
-作業機械-
図1は本発明の一実施形態に係る作業機械の側面図、図2図1に示した作業機械に備わった作業装置(フロント作業機)の側面図である。図2においては旋回フレーム(後述)上に搭載した作業装置以外の設備(運転室等)やシリンダカバー(後述)を図示省略してある。以降、運転席に座った操作者が正対する方向(図1中の方向)を旋回体12の前方とする。図1に示した作業機械は油圧ショベルをベースマシンとしており、作業機械本体10及び作業機械本体10に取り付けた作業装置20を備えている。作業機械本体10は、走行体11及び旋回体12を備えている。
【0012】
走行体11は作業機械の基部構造体をなすものであり、左右の履帯13を備えたクローラ式の走行体である。左右の履帯13はそれぞれ左右の走行駆動装置14により駆動される。走行駆動装置14は油圧モータと減速機からなる。旋回体12は、走行体11上に旋回輪15を介して設けられており、旋回輪15を旋回モータ(不図示)で駆動することによって鉛直に延びる軸を中心にして走行体11に対して旋回する。旋回モータは油圧モータであるが、電動モータが用いられる場合の他、油圧モータと電動モータが併用される場合もある。なお、本実施形態では基部構造体として走行体11を備えた作業機械を例示したが、港湾等では地面に固定されたポストを基部構造体とする作業機械も存在する。またホイール式の走行体を基部構造体とする作業機械も存在する。このような作業機械にも本発明は適用可能である。
【0013】
旋回体12は、旋回フレーム16、運転室17、機械室18、カウンタウェイト19等を備えている。旋回フレーム16は旋回体12のベースフレームであり、旋回体12に搭載される各機器を支持する。運転室17は旋回フレーム16の前部における左右方向の一方側(本例では左側)に位置している。運転室17内には、操作者が座る運転席(不図示)、操作者が操作する操作装置等が配置されている。機械室18は旋回フレーム16における運転室17の後側に配置されている。特に図示していないが、機械室18には、エンジン(内燃機関)である原動機、原動機により駆動される油圧ポンプ、油圧アクチュエータを駆動する作動油を制御するコントロールバルブ、熱交換器類等が収容されている。原動機に電動モータが用いられる場合もある。また、旋回フレーム16の前部における作業装置20を挟んで運転室17と反対側にタンク類が配置してある。タンク類には、燃料タンク、作動油タンク等が含まれる。カウンタウェイト19は作業装置20とのバランスをとる錘であり、旋回フレーム16の後端に支持されている。
【0014】
-作業装置-
作業装置20は多関節型の作業機であり、作業腕21とアタッチメント22とを備えている。作業腕21は、ブーム23、アーム24、ブームシリンダ25、アームシリンダ26及びアタッチメントシリンダ27を含んで構成されている。本実施形態では、ブームシリンダ25、アームシリンダ26及びアタッチメントシリンダ27がいずれも作業装置20の下側(例えば前方に延ばしたブーム23やアーム24の下側)に配置されている。ブームシリンダ25、アームシリンダ26及びアタッチメントシリンダ27はいずれも油圧シリンダである。また、ブームシリンダ25は2本左右に並べて設けられており、アームシリンダ26及びアタッチメントシリンダ27についてはそれぞれ1本のみ備わっている。
【0015】
ブーム23は旋回体12のベースフレーム(旋回フレーム16)の前部に左右に延びるフートピンP1を介して上下に回動可能に連結されている。本実施形態のブーム23の下面(前方に延ばした際に下方を向く腹側面)は湾曲や屈曲のない平面で構成されている。アーム24はこのブーム23の先端に左右に延びるピンP2を介して回動可能に連結されている。
【0016】
ブームシリンダ25は、左右に延びるピンP11を介して作業機械本体10(旋回体12の旋回フレーム16)に対して基端が連結されており、左右に延びるピンP12を介してブーム23の下面に対して先端が連結されている。アームシリンダ26は、左右に延びるピンP13を介してブーム23の下面に対して基端が連結されており、左右に延びるピンP14を介してアーム24の下面に対して先端が連結されている。本実施形態においては、アタッチメント22で木材等の長尺物W(図1)を把持した場合に、ブーム23の下側に配置したアームシリンダ26と長尺物Wとが干渉しないように、アームシリンダ26がシリンダカバーCで包囲してある。アタッチメントシリンダ27は、左右に延びるピンP15を介してアーム24の下面に基端が連結されており、左右に延びるピンP16を介して先端がリンク28の基端に連結されている。リンク28は左右に延びるピンP3を介してアーム24の先端に中間部が連結されている。
【0017】
アタッチメント22は本例ではグラップルであり、把持機構及びこれを旋回させる旋回機構を含んで構成され、リンク28の先端にピンP17を介して吊り下げられている。図1では長尺物Wをアタッチメント22で把持して持ち上げた様子を図1に例示している。なお、アタッチメント22にはバケット等の他の作業具を用いることもでき、リンク28と共にグラップルを取り外して他の作業具に交換することができる。
【0018】
なお、上記の通り、ブームシリンダ25、アームシリンダ26及びアタッチメントシリンダ27は作業装置20の下側に配置されている。そのため、これらシリンダはいずれも伸長動作によってアタッチメント22を持ち上げる方向に被駆動部材(ブーム23、アーム24及びアタッチメント22)を駆動するようになっている。つまり、グラップルで把持した物体を持ち上げる作業で各シリンダがより強い駆動力を発揮できるように構成されている。
【0019】
-ブラケット-
図3はブームシリンダの先端を支持するブームブラケット及びアームシリンダの基端を支持するアームブラケットとその周囲構造を拡大して表す側面図、図4はその下面図である。図5図3に示したブームブラケット及びアームブラケットの側面図、図6はその下面図、図7図5中のVII-VII線による矢視断面図、図8図5中のVIII-VIII線による矢視断面図である。これらの図に示した通り、作業機械には、左右一対のブームブラケット31、左右一対のアームブラケット32、ボス33及び補強板34が備わっている。
【0020】
ブームブラケット31はボス33を支持する部材であり、ブーム23の長手方向の中間部においてブーム23の下面23aの左右の縁に設けられている。左右のブームブラケット31はブーム23の下面23aから下方(腹側)に突出し、ブーム23の下面23aに例えば溶接で固定されている。これら左右のブームブラケット31は左右方向から見て下に凸の山型に形成された鋼板であり、ブーム23の長手方向おける位置、形状及び大きさは互いに同一で、作業装置20の動作平面(前後に延びる鉛直面)と平行に配置されている。
【0021】
アームブラケット32は、アームシリンダ26の基端(チューブ側端部)を支持するピンP13を支持する左右一対の鋼板である。左右のアームブラケット32はブーム23の下面23aから下方(腹側)に突出し、ブーム23の下面23aに例えば溶接で固定されている。これら左右のアームブラケット32はブーム23の長手方向おける位置、形状及び大きさが互いに等しく、左右から見てブームブラケット31と一部重なるように、左右のブームブラケット31の間に介在しブームブラケット31と平行に配置されている。左右のアームブラケット32の間にアームシリンダ26の基端を挿し込み、左右のアームブラケット32及びアームシリンダ26にピンP13を通して抜け止めをすることで、アームシリンダ26の基端がブーム23に対して回動自在に連結されている。
【0022】
なお、アームブラケット32のブーム基端側の端部はブームブラケット31のブーム基端側の端部とブーム長手方向における位置を合わせてある。そしてアームブラケット32はブームブラケット31よりも長く、アームブラケット32のブーム先端側の端部はブームブラケット31からブーム先端側に突出している。ピンP13はこのブームブラケット31よりもブーム先端側に突出した部位に支持されており、アームブラケット32に支持された状態でピンP13は左右から見てブームブラケット31に重ならないように構成されている(図3)。これによりピンP13がブームブラケット31に干渉することなく左右に抜き差し可能な構成となっている。
【0023】
ボス33は、ブームシリンダ25の先端(ロッド側端部)を支持する第1ピンP12を支持する部材であり、左右のブームブラケット31と左右のアームブラケット32とを貫通して左右に延び、ブームブラケット31とアームブラケット32に固定されている。ボス33の長さはブーム23の幅より長く、左右の端部がブームブラケット31からブーム23の側面を超えて突出している。このボス33の左右の端部に左右のブームシリンダ25の先端の位置を合わせ、左右のブームシリンダ25及びボス33にピンP12を通して抜け止めをすることで、ブームシリンダ25の先端がブーム23に対して回動自在に連結されている。
【0024】
図7及び図8に示したように、ボス33は、相対的に肉厚が厚い厚肉部33aと、相対的に肉厚が薄い薄肉部33bとを含んで構成されている(厚肉部33aに対して薄肉部33bの肉厚が薄い)。厚肉部33aは左右(ボス33の長手方向)に2つ存在し、これら厚肉部33aの間に1つの薄肉部33bが介在している。本実施形態では厚肉部33aと薄肉部33bとを別々に製作し、溶接によりこれらを接合して1つのボス33を構成してある。本実施形態では厚肉部33aと薄肉部33bの外径が等しく、薄肉部33bの内径が厚肉部33aの内径に対して大きくしてある。そのため、薄肉部33bの内周面とピンP12の外周面との間には隙間Gが介在しており、ピンP12は薄肉部33bに接触していない。薄肉部33bは左右のアームブラケット32の間に位置し、その長さ(左右の寸法)は左右のアームブラケット32の間隔以下である。左右のアームブラケット32と左右のブームブラケット31はいずれも厚肉部33aで支持されている。特に本実施形態では薄肉部33bの長さが左右のアームブラケット32の間隔程度に設定してあり、左右のアームブラケット32が左右の厚肉部33aの対向端部でそれぞれ支持されている。
【0025】
補強板34は、ブーム23とボス33とを連結する矩形の鋼板であり、左右のブームブラケット31とアームブラケット32との間、及び左右のアームブラケット32の間において、ボス33を挟んでブーム長手方向の両側に(つまり6枚)存在している。各補強板34の一端はボス33の外周面に固定され、他端はブーム23の下面23aに固定されており、左右から見るとボス33を頂点とするV字型に配置されている。各補強板34の左右の縁部は対向するブームブラケット31又はアームブラケット32に接合されている。このように各補強板34は、ボス33、ブーム23の下面23a、及びブームブラケット31又はアームブラケット32に四辺が固定されており、ブームブラケット31、アームブラケット32及びボス33の構造強度の向上に貢献している。
【0026】
-効果-
(1)本実施形態のようにアームシリンダをブームの下側に配置する場合、仮にアームシリンダの先端がアームの支点(ピンP2に相当)から必要以上に遠いと、アームシリンダのストロークに対するアームの可動域が狭まる。これでは作業装置の性能を十分に発揮できない。
【0027】
それに対し、本実施形態においては、アームシリンダ26の基端を支持するアームブラケット32をブームシリンダ25の先端を連結するブームブラケット31の間に配置し、ブーム長手方向に両者が一部重複するようにレイアウトした。これによりブームシリンダ25の先端とアームシリンダ26の基端をそれぞれ支持するピンP12,P13を近付けることができる。言い換えれば、ピンP12に対するピンP13の接近が許容される分だけ、アーム24の支点(ピンP2)に対するアームシリンダ26の先端の連結位置(ピンP14)の調整代を確保することができる。これにより、アーム24の駆動時のモーメント荷重を考慮に入れつつアーム24の支点(ピンP2)に対して必要十分にアームシリンダ26の先端(ピンP14)を近付けることができる。よって、アームシリンダ26を下側に配置したことと相俟って、荷役装置としての作業装置20の性能を向上させることができる。
【0028】
加えて、ブームシリンダ25の先端を支持するボス33がブームブラケット31のみならずアームブラケット32をも貫通する構成とした。これにより、仮にブームブラケット31はブームシリンダ25のみを、アームブラケット32はアームシリンダ26のみを支持する構成とした場合に比べ、ピンP12,P13を無理なく接近させることができる。更には、ボス33がブームブラケット31及びアームブラケット32を貫通し、これら4枚のブラケットをボス33で連結することで、ブラケット構造の剛性を高めることができ、高荷重が作用する各ブラケットの左右方向への倒れや変形を抑制することができる。
【0029】
以上のように、本実施形態によれば、ブームシリンダ25とアームシリンダ26をブーム23の下側に配置した構成において、アームシリンダ26のストロークに対してアーム24の広い可動域を確保でき、両シリンダの支持強度を向上させることができる。
【0030】
(2)2本のブームシリンダ25を支持するピンP12を支持するため、ボス33には相応の長さが必要であるところ、全長に亘って一様な厚みに形成するとボス33が必要以上に高価になる。それに対し、ボス33は薄肉部33bを含んで構成されているので、ボス33の製作コストを抑えることができる。長手方向の中央部を薄肉部33bとしても、ボス33によるピンP12の支持強度は十分に確保できる。
【0031】
(3)単純にボス33の製作コストのみに着目すれば厚肉部33aをできるだけ短尺化することが有利である。しかし、本実施形態ではボス33がアームブラケット32の支持部材としての役割を担うことから、厚肉部33aをボス33の端部からアームブラケット32まで延ばしてある。このようにアームブラケット32をボス33の厚肉部33aで支持することで、アームブラケット32の剛性をより高めることができる。また、アームブラケット32にボス33を通したことでアームブラケット32を介してボス33にアームシリンダ26の反力が伝わり得るところ、この反力を厚肉部33aで確りと受けることができる。
【0032】
(4)更には、左右の厚肉部33aの間に介在する薄肉部33bとピンP12との間に隙間Gを空けたことで、ボス33で拘束されない領域をピンP12の中央部に確保することができる。ピンP12は長尺であるため作業中に高荷重が作用すると撓む可能性があり、仮にボス33の全長がピンP12に接触する構成とした場合に比べ、ボス33の撓みを隙間Gで許容してピンP12にかかる負荷を軽減することができる。
【0033】
(5)アームブラケット32をボス33の厚肉部33aの端部で支持する構成としたことで、左右のアームブラケット32の間においてボス33の薄肉部33bの長さを極力確保することができる。これによりボス33のコストを極力抑えつつ、上記効果(3)を得ることができる。
【0034】
(6)左右(ピンP13の抜き差し方向)から見てピンP13とブームブラケット31とが重ならない構成としたことで、ブームブラケット31と干渉することなくピンP13を左右に抜き差しすることができ、効率良くアームシリンダ26を脱着することができる。
【0035】
(7)補強板34を設けたことで、ブームブラケット31やアームブラケット32の強度をより向上させることができる。
【符号の説明】
【0036】
10…作業機械本体、20…作業装置、22…アタッチメント、23…ブーム、23a…ブームの下面、24…アーム、25…ブームシリンダ、26…アームシリンダ、31…ブームブラケット、32…アームブラケット、33…ボス、33a…厚肉部、33b…薄肉部、34…補強板、G…隙間、P12…ピン(第1ピン)、P13…ピン(第2ピン)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8