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特許7142002花粉及び/又は雌しべの抽出物を含む組成物、調製方法、並びに関連する使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-14
(45)【発行日】2022-09-26
(54)【発明の名称】花粉及び/又は雌しべの抽出物を含む組成物、調製方法、並びに関連する使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 36/899 20060101AFI20220915BHJP
   A61K 36/15 20060101ALI20220915BHJP
   A61K 31/11 20060101ALI20220915BHJP
   A61K 31/7034 20060101ALI20220915BHJP
   A23L 33/105 20160101ALI20220915BHJP
   A61P 15/12 20060101ALI20220915BHJP
   A61P 25/20 20060101ALI20220915BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20220915BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20220915BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20220915BHJP
   A61P 25/06 20060101ALI20220915BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20220915BHJP
   A61P 25/22 20060101ALI20220915BHJP
   A61P 5/24 20060101ALI20220915BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220915BHJP
   A61P 13/08 20060101ALI20220915BHJP
   A61K 133/00 20060101ALN20220915BHJP
【FI】
A61K36/899
A61K36/15
A61K31/11
A61K31/7034
A23L33/105
A61P15/12
A61P25/20
A61P19/02
A61P25/00
A61P25/04
A61P25/06
A61P3/04
A61P25/22
A61P5/24
A61P35/00
A61P13/08
A61K133:00
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019512717
(86)(22)【出願日】2017-08-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-11-07
(86)【国際出願番号】 EP2017071573
(87)【国際公開番号】W WO2018041790
(87)【国際公開日】2018-03-08
【審査請求日】2020-08-25
(31)【優先権主張番号】1670480
(32)【優先日】2016-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】519071010
【氏名又は名称】セレリス・ファルマ・エス・ア・エム
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【弁理士】
【氏名又は名称】徳本 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100180231
【弁理士】
【氏名又は名称】水島 亜希子
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】モラ,ソシオ
【審査官】柴原 直司
(56)【参考文献】
【文献】特表2004-507506(JP,A)
【文献】特開2014-024800(JP,A)
【文献】Plant Sci., (1989), 59, [1], p.57-62
【文献】Menopause Rev., (2017), 16, [1], p.8-11
【文献】奥田拓男編, 天然物薬学事典, 株式会社廣川書店, (1986), p.339
【文献】応用薬理, (1986), 31, [1], p.1-11
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 36/15
A61K 36/899
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
- ライムギ(セカレ・セレアレL.)からの花粉の抽出物と、
- トウモロコシ(ゼア・メイスL.)からの花粉の抽出物と、
- マツ(ピヌス・シルベストリスL.)からの花粉の抽出物と、
- オーチャードグラス(ダクチリス・グロメラタL.)からの花粉の抽出物と、
- トウモロコシ(ゼア・メイスL.)からの雌しべの抽出物と
を含む経口組成物であって、前記花粉及び雌しべの抽出物は、30℃~45℃の間で抽出された水性抽出物であり、ベータ-1,3-グルカナーゼであるタンパク質又は前記タンパク質から誘導されるペプチドを含む、経口組成物。
【請求項2】
前記花粉の抽出物が、細胞質花粉の抽出物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記抽出物が、花粉アレルゲンLol p4、花粉アレルゲンSec 4(セカレ・セレアレ)、グルカンエンド-1,3-ベータ-D-グルコシダーゼ、ベータ-アミラーゼ、キチナーゼ、若しくはこれらのいずれかの組合せの群の中から選択される少なくとも1つの第二のタンパク質又は前記第二のタンパク質から誘導される少なくとも1つのペプチドをさらに含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記抽出物が、噴霧乾燥された抽出物、又は異なる噴霧乾燥された抽出物の混合物である、請求項1~のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
少なくとも2つの抽出物の混合物を含み、第一の抽出物は、前記トウモロコシからの雌しべ(ゼア・メイスL.)、前記トウモロコシ(ゼア・メイスL.)からの花粉、前記ライムギ(セカレ・セレアレL.)からの花粉、前記オーチャードグラス(ダクチリス・グロメラタL.)からの花粉、及び前記マツ(ピヌス・シルベストリスL.)からの花粉の抽出物であり、第二の抽出物は、トウモロコシ花粉及びトウモロコシ雌しべ(ゼア・メイスL.)に由来する、請求項1~のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
第一及び第二の抽出物を含み、前記第一の抽出物は、前記トウモロコシからの雌しべ(ゼア・メイスL.)、及び前記トウモロコシ(ゼア・メイスL.)からの花粉、前記ライムギ(セカレ・セレアレL.)からの花粉、前記オーチャードグラス(ダクチリス・グロメラタL.)からの花粉、及び前記マツ(ピヌス・シルベストリスL.)からの花粉の抽出物であり、前記第二の抽出物は、トウモロコシ(ゼア・メイスL.)、ライムギ(セカレ・セレアレL.)、マツ(ピヌス・シルベストリスL.)、又はこれらのいずれかの組合せの中から選択される花粉に由来する、請求項1~のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
サフラナール及び/又はピクロ(クロシン)をさらに含む、請求項1~のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
医薬品、栄養補助食品、補助食品、健康補助食品、又は医療用/食餌療法用食品の形態で投与される、請求項1~のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
錠剤、カプセル、ソフトジェル、半固体、固体、液体、又は粉末である、請求項に記載の組成物。
【請求項10】
閉経周辺期、閉経後、及び/又は閉経期の治療での使用のための、請求項1~のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
前記症状が、のぼせ、睡眠障害、関節痛、気分の変化(気分変動及び気分不良、漠然とした憂鬱な気分、易刺激性、神経緊張)、疲労、性欲の変化、乳房痛、頭痛、体重増加、冷汗、及び/又は関節痛である、請求項10に記載の使用のための組成物。
【請求項12】
月経の前及び最中に、健康な状態及び活力に寄与し、疲労を低減し、前向きな気分を維持する手助けとなり、並びに安心感を促進する、月経前症候群(PMS)の治療における使用のための、請求項に記載の組成物。
【請求項13】
癌患者におけるホルモン療法によって誘導されたのぼせの治療における使用のための、請求項1~のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
前記癌が、乳癌又は前立腺癌である、請求項13に記載の使用のための組成物。
【請求項15】
男性の男性更年期の症状、及び付随するホルモン不均衡に関連する不快感の治療における使用のための、請求項1~のいずれか一項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食餌療法的若しくは医薬的使用、又は医薬品、栄養補助食品若しくは補助食品、健康補助食品としての使用、又は経口形態の医療用/食餌療法用食品としての使用のための花粉の抽出物を含む調合物の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
植物は、これまでも、また現在も継続して、広く様々な薬用化合物の主要な入手源である。何世紀にも亘り、植物から誘導された様々な形態の製品が、非常に数多くの感染症の治療に用いられてきている。植物製品は、一般的に、1若しくは複数の植物から作製された粉末、又は植物全体若しくは選択された植物の部分から誘導された抽出物の形態で見られている。これらの粉末及び抽出物は、ほとんどの場合、生物学的活性化合物と生物学的不活性化合物の複雑な混合物である。
【0003】
現代では、生薬は、西洋社会で徐々に受け入れられているものの、依然として特定の課題に直面している。第一に、高い技能を持つ多くの医師によれば、生薬は、高度に科学技術的な志向な我々の社会において、科学的データによる裏付けが不充分である。第二に、薬草剤のどの化合物が医薬的に有効であるのかという懸念がある。さらに、薬草剤のそのような有効医薬成分の濃度又は用量に関する問題も生じる。すなわち、従来の医師は、薬用植物に対する定性的標準及び定量的標準のいずれもが欠けていることを懸念している。このような標準化の欠如は、一部の監督機関の側で、そのような植物から誘導された医薬の承認に消極的となることにも繋がってきている。
【0004】
薬草剤として、及び生物学的に改善された植物組成物として定義される植物ベースの治療薬は、植物から誘導されることから、植物からのそのような治療薬の化学組成は、遺伝組成、植物が生産される成長条件、並びに植物の活性化合物が培養され、単離される条件を含む数多くの因子に基づいて変動する。
【0005】
結果として、特定の植物の生物学的変異体は、その植物中に存在する特定の化学化合物を非常に異なる量で産生することが推測できる。同様に、植物の同じ生物学的変異体同士でも、土壌、カビ、及び他の成長条件の相違が、植物によって産生される特定の化学化合物の量に著しい影響を与え得る。
【0006】
花粉又は花粉の抽出物から構成される調合物は、先行技術から公知である。このような組成物は、その健康上の良い影響のために広く用いられており、例えば、女性の閉経期に起因する障害への対処において、免疫系ブースターとして、前立腺癌細胞の阻害剤として用いられており、他にも多くある。(蜂)花粉は、たんぱく質、遊離アミノ酸、炭水化物、及び微量ミネラルを豊富に含むことから、現在、いわゆるスーパーフード又は栄養食品と称されている。
【0007】
花粉の抽出物又は花粉の製剤は、通常、栄養補助食品として消費されている。これらは、遊離の形態又はカプセル化された形態の粉末として、花粉自体である基本的な形態で摂取されることができる。別の選択肢として、蜂花粉の抽出物も市販されている。WO2002017944には、2つの別個の花粉の抽出物から構成される調合物が記載されている。これらの抽出物は、細胞質(花粉粒のその外被を含まない内側部分)から得ることができる。一般的には、外被がアレルゲンの元であることから、細胞質抽出物を用いることは、自然の花粉と比較して明らかな利点を有している。
【0008】
花粉の特定の標準化され、精製された細胞質抽出物は、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)模倣物、フラボノイド、タンニン、及びポリフェノール、並びに有益なタンパク質及び炭水化物の含有量が高いことが示されている。様々な抽出物中の有益な化合物の濃度は、未加工状態の花粉中にある目的の化合物の量を大きく超えている。
【0009】
WO2002017944に記載の花粉の抽出物は、各々、その特定の組成を有し、様々な医療的な使用において有益である。しかしながら、これらの抽出物の内容物は、バッチ毎に変動することが見出されており、標準化又は品質管理の実施を可能とする情報は、現在のところ入手可能ではない。これは、医薬製剤、栄養補助食品、補助食品若しくは健康補助食品、又は医療用/食餌療法用食品の販売が目標の1つである場合、望ましいものではない。
【発明の概要】
【0010】
現在販売されている製品は、花粉から誘導される組成物の品質管理及びそれに続く標準化を可能とするのに適する情報に欠けるという問題を抱えている。
【0011】
本発明に係る目的は、特定の花粉の、精製され、標準化された細胞質抽出物であって、高濃度の健康増進剤及び有益な化合物で最適化され、抽出物を含む組成物の標準化及び品質管理を可能とする特定の構成要素から構成された抽出物を提供することである。この抽出物がアレルギーを引き起こす可能性は、全くないか又は非常に限定的でしかない。
【0012】
本発明は、グラミネアエ(Gramineae)(ポアセアエ(Poaceae))科及び/又はピナセアエ(Pinaceae)科に属する植物からの花粉及び/又は雌しべの中から選択される植物材料の1又は複数の抽出物を含む経口組成物であって、抽出物は、レチクリンオキシダーゼ、エンドキチナーゼA、ベータ-1,3-グルカナーゼ、エキソポリガラクツロナーゼ、タンパク質非特異的な脂質輸送タンパク質、又はこれらのいずれかの組合せの群より選択される少なくとも1つのタンパク質又は前記タンパク質から誘導されるペプチドを含む、経口組成物を提供する。
【0013】
また、本発明は、ピナセアエ科及び/又はイネ(ポアセアエ)科に属することが好ましい植物から水性の花粉及び雌しべの抽出物を調製するための方法であって、
a)花粉の水性抽出;
b)花粉及び雌しべの水性抽出;
c)工程a)及びb)で得られた抽出物の噴霧乾燥;
d)c)で得られた植物花粉及び雌しべの抽出物の回収;
の連続する工程を含み、抽出の温度は、厳密に45℃未満で所定の方法にも関する。
【0014】
また、本発明は、本発明に係る方法によって得ることができる水性の花粉及び雌しべの抽出物にも関する。
【0015】
最後に、本発明は、
- 女性の閉経周辺期、閉経後、閉経期、好ましくは閉経期の症状の治療;
- 月経前症候群(PMS)の治療、好ましくは、月経前不快気分障害の治療;
- 癌患者におけるホルモン療法によって誘導されたのぼせの治療;並びに
- 男性の男性更年期の症状、及び付随するホルモン不均衡に関連する不快感の治療、
における使用のための本発明に係る組成物又は抽出物に関する。
【発明の効果】
【0016】
組成物は、異なる植物材料及び植物種を用いることにより、幅広い濃度の健康増進剤を提供するという点において特に有利である。さらに、組成物は、異なるバッチ間での高度な再現性を有し(品質及び存在する構成成分に関して)、これによって、品質管理、標準化、バッチのトレーサビリティ、及び再現性のあるタンパク質プロファイルが可能となる。したがって、組成物は、市販される医薬品及び補助食品(医薬品品質の植物製品)の適正製造基準に準拠する。このような再現性はまた、花粉の抽出物の各新しいバッチが、確立された仕様を満たし、これによって臨床試験に用いられたバッチと同じ生理学的活性を示すことを保証するものでもある。この製造方法により、所望される有益な化合物を得ることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
天然の植物由来品中の医薬活性化合物の標準レベルの欠如は、医療提供者の側で、これらの製品を自身の患者に処方することに消極的となることに繋がっている。
【0018】
本発明は、少なくとも1つの植物花粉の抽出物及び/又は植物雌しべの抽出物を含み、1又は複数のタンパク質マーカー及び/又はそのタンパク質から誘導されるペプチドの存在を検出することができる経口組成物に関する。これらのタンパク質マーカーは、最終的な組成物の品質の良好な指標である。これらのマーカーは、組成物の標準化に用いることもできる。
【0019】
本発明にて「抽出」の用語は、水、グリセリン、グリコール、エーテル、オイル、水アルコール混合物、エタノール、及び他のアルコールなどの有利に環境にやさしい溶媒を植物原材料に対して用いて行われ得る混合、デカンテーション、及びろ過の後に、ある種の化合物又は分子を抽出する場合を意味する。
【0020】
溶媒は、続いて、抽出物を得るために、部分的に又は完全に除去されてよい。
【0021】
花粉は、回収された後、そのままで、又は乾燥された形態で、有利には乾燥された形態で用いられてよく、所望に応じて滅菌されてもよい。
【0022】
本発明に係る花粉及び/又は雌しべの抽出物は、油性抽出物及び/又は水性抽出物であってよい。
【0023】
「油性抽出物」の用語は、エーテル、ケトン、又はオイルなどの油性溶媒中での植物原材料の、例えば、冷浸、温浸、消化、煎出、パーコレーション、又はさらには浸出による、好ましくは、15から27℃までの間の室温での冷浸による抽出で得られた脂溶性活性物質を含有する抽出物を意味する。
【0024】
限定されない例としては、油性溶媒は、ジエチルエーテルなどのエーテル、又はアセトンなどのケトンである。
【0025】
「水性抽出物」の用語は、水性溶媒中、すなわち、水単独を、又は有利にはアルコール、ケトン、及び/若しくは非イオン性界面活性剤などの他の溶媒と混合された水を含む溶媒中での植物原材料の、例えば、水蒸気蒸留、冷浸、温浸、消化、煎出、パーコレーション、又はさらには浸出による、好ましくは、15から40℃までの間の室温での冷浸による抽出で得られた水溶性活性物質を含有する抽出物を意味するものと理解される。
【0026】
限定されない例としては、水性溶媒は、エタノールなどのアルコール、アセトンなどのケトン、及び/又は非イオン性界面活性剤と組み合わされた主として水を含む混合物から選択される。
【0027】
本発明に従って用いられる組成物は、好ましくは、水性の花粉及び/又は雌しべの抽出物を含み、より好ましくは、水性の花粉及び雌しべの抽出物を含む。
【0028】
本発明にて、経口組成物は、花粉及び/又は雌しべの中から選択される植物材料からの、好ましくは、花粉及び雌しべからの1又は複数の抽出物を含む。
【0029】
本発明に係る組成物に用いられる花粉は、好ましくは、グラミネアエ(ポアセアエ)科及びピナセアエ科に属する植物由来のものである。
【0030】
グラミネアエ科(イネ科)とも称されるポアセアエ科は、ポアレス(Poales)目の単子葉植物の科である。この科は、780の属の約12000の種から成り、「ハーブ」及び「穀草」と一般的に称されるほとんどの種を含む。それらは、通常、草状の植物であり、樹木状であるもの(タケ)はほとんどない。
【0031】
すべての風媒花粉と同様に、ポアセアエ科の花粉は、装飾状部分が低減された球形状、又は僅かな楕円形状を有する。唯一の開口部(又は細孔)は円形であり、これは、単子葉植物の条件の1つである。ポアセアエ科の花粉は、小さくて軽い。サイズは、40ミクロンのオーダーである。穀草の場合、サイズは、60から100ミクロンである。
【0032】
ピナセアエ科又はアビエタセアエ科(Abietaceae)は、裸子植物を含み、11の属に分類される220~250の種を含む。それらは、温帯地域からの樹木又は低木であり、常緑性の針状若しくはうろこ状の形態の葉を有するか、又はカラマツの場合のような落葉性の葉を有する。この科では、アビエス属(Abies)(モミ)、ピセア属(Picea)(トウヒ)、ラリクス属(Larix)(ヨーロッパカラマツ)、及びピヌス属(Pinus)(マツ)の中にフランスの在来種が含まれる。
【0033】
ピナセアエ科は、サイズが一般的には40から100ミクロンの間である大きい花粉粒を豊富に産生する。それらは細孔を有しない。マツ、モミ、トウヒ、及びシーダーの花粉粒は、空気中での浮遊を促進する2つの気嚢を有する。カラマツ及びベイマツの花粉粒は、おおよそ球形状であり、気嚢を有しない。
【0034】
花粉及び/又は雌しべが得られる植物は、好ましくは、セカレ属(Secale)、ゼア属(Zea)、ピヌス属、及び/若しくはダクチリス属(Dactylis)、又はこれらの混合物から選択される。
【0035】
より具体的には、花粉及び/又は雌しべが得られる植物は、好ましくは、セカレ・セレアレL.(Secale cereale L.)(ライムギ)、ゼア・メイスL.(Zea mays L.)(トウモロコシ)、ピヌス・シルベストリスL.(Pinus sylvestris L.)(マツ)、及び/若しくはダクチリス・グロメラタL.(Dactylis glomerata L.)(オーチャードグラス)、又はこれらの混合物から選択される。
【0036】
花粉の抽出物は、有利には、細胞質(花粉粒のその外被を含まない内側部分)から得られる。外被は、一般的に、アレルゲンの元であり、細胞質の化合物の利用性を妨害することから、細胞質抽出物を用いることは、自然の花粉の抽出物を用いることと比較して明らかな利点を有する。花粉のそのような特定の標準化され、精製された細胞質抽出物は、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)模倣物、フラボノイド、タンニン、及びポリフェノール、並びに有益なタンパク質及び炭水化物の含有量が高い。様々な抽出物中の有益な化合物の濃度は、未加工状態の花粉中にある目的の化合物の量を遥かに上回っている。
【0037】
したがって、両方の科の植物は、アレルギー反応を引き起こすことが知られているが、本発明に係る抽出物は、アレルゲンを含有しないか、又は微量のアレルゲンしか含有しないことから、アレルゲン性をまったく有しないか、又は非常に限定的にしか有しない。グラミネアエ科及びピナセアエ科からの花粉及び雌しべの抽出物は、SODなどの健康増進化合物及び分子を豊富に含むことが示されている。その使用は、したがって、不快感、疾患、及びヒトの健康全般に対する複数の有益な効果を有し得る。
【0038】
「組成物の成分」の用語は、1又は複数の活性物質で構成されている組成物の構成要素として理解されるべきである。
【0039】
したがって、より具体的には、1又は複数の抽出物から誘導される成分は、1又は複数の抽出物自体と同等である。
【0040】
明細書全体を通し、特に断りのない限りにおいて、「重量%」又は「重量/重量」(重量パーセント)といった表現は、調合物の総重量に対する対応する各々の化合物の相対的な重量を意味する。
【0041】
「賦形剤」の用語は、活性物質を含有する混合物を一まとめとする目的で、或いは、例えば、薬物の吸収若しくはその溶解度を高めることによって、又は混合物の製造を補助することによって、最終剤形での活性物質に治療的改善を付与する目的で、混合物中に含まれる活性物質と共に用いるために調合される天然又は合成の物質を意味するものとして理解されたい。
【0042】
本明細書において、特に断りのない限りにおいて、範囲が示される場合、それは、前記範囲の上限値及び下限値を含むことは理解される。
【0043】
本発明に係る組成物は、抽出物が、レチクリンオキシダーゼ、エンドキチナーゼA、ベータ-1,3-グルカナーゼ、エキソポリガラクツロナーゼ、非特異的な脂質輸送タンパク質、又はこれらのいずれかの組合せから成る群より選択される少なくとも1つのタンパク質又はそのタンパク質から誘導されるペプチドを含むことを特徴とする。
【0044】
本発明によれば、特異的なタンパク質マーカー又はこれらのタンパク質(マーカー)から誘導されるペプチドの存在は、最終的な組成物で確認することができ、マーカーは、組成物の品質の指標であり、したがって、標準化及び品質管理のために用いるのに適している。
【0045】
実際、本出願人は、ある種のトレーサー又はマーカー(タンパク質又はそのタンパク質から誘導されるペプチド)の存在によって、最終的な組成物中にある種の花粉及び/又は雌しべの抽出物が存在することを確認可能であることを実証できている。
【0046】
したがって、本出願人は、以下のタンパク質又はそのタンパク質から誘導されるペプチドによって、以下の花粉及び/又は雌しべのトレースが可能となることを実証することができた。
- 花粉アレルゲンSec 4(セカレ・セレアレ)(Q5TIW8及びQ5TIW7)、グルカンエンド-1,3-ベータ-D-グルコシダーゼ(Q1EM97)により、例えば、セカレ・セレアレL.からの花粉の存在のトレースが可能となること;
- レチクリンオキシダーゼ(B6T5D7)、ベータ-1,3-グルカナーゼ(E1AFV5)、ペクチンエステラーゼ(B6UCK8)、エクステンシン様タンパク質(Q9SPM0)、エキソポリガラクツロナーゼ(PGLR2)、ベータ-アミラーゼ(Q9SYS1)、キチナーゼ(D0EM57)により、例えば、ゼア・メイスL.の雌しべ及び花粉のトレースが可能となること;
- 花粉アレルゲンLol p4により、例えば、ダクチリス・グロメラタL.からの花粉の存在のトレースが可能となること;並びに
- 脂質輸送タンパク質により、例えば、ピヌス・シルベストリスL.及び/又はゼア・メイスL.からの花粉の存在のトレースが可能となること。
【0047】
最終的な抽出物中に、実際は本発明に係る組成物中に存在するタンパク質又はそのタンパク質から誘導されるペプチドは、好ましくは、レチクリンオキシダーゼ、エンドキチナーゼA、ベータ-ラクタマーゼ 1,3-グルカナーゼ、エキソポリガラクツロナーゼ、非特異的な脂質輸送タンパク質、又はこれらのいずれかの組合せの群より選択される。
【0048】
本発明に係る目的を成す組成物の抽出物は、有利には、ダクチリス・グロメラタL.からの花粉アレルゲンLol p4、花粉アレルゲンSec 4(セカレ・セレアレ)、グルカンエンド-1,3-ベータ-D-グルコシダーゼ、ベータ-アミラーゼ、キチナーゼ、又はこれらのいずれかの組合せの群の中から選択される、少なくとも1つの第二のタンパク質又は前記第二のタンパク質から誘導される少なくとも1つのペプチドを含む。
【0049】
本出願人は、ある種の花粉及び/若しくは雌しべに特異的なこれらのマーカー又はトレーサーの1又は複数が、前記花粉及び/又は雌しべを先験的に含有する抽出物中に、及び実際は、そのような抽出物を先験的に含む組成物中に存在しないことが、製品の定性的な指標であることを実証することができた。
【0050】
所与の花粉及び/又は雌しべの特異的マーカーが存在しないことは、したがって、抽出物若しくは組成物が前記花粉及び/若しくは雌しべを含まないことを示しているか、又はそれが変性されたために、少なくとも1つのそのような分解された花粉の抽出物及び/若しくは雌しべ含む組成物は効果がなくなっているか若しくは少なくとも効果が低下していることを示している。
【0051】
植物抽出物からの経口組成物の作製は、多くの場合、最終的な組成物に対して、及びそのタンパク質などのその構成要素に対して影響を有し得る噴霧乾燥、造粒などの特定の作製工程を必要としている。製造方法(典型的には、噴霧乾燥)の特定の性質に起因して、植物原材料に存在するある種のタンパク質が、その活性を失うか、消失するか、又は分解される可能性が高い。本発明の発明者らは、最適化された噴霧乾燥方法(入口部温度と出口部温度との間の温度差が50℃)の使用により、該当する標的タンパク質の変性が防止されることを見出した。本発明の発明者らはまた、列挙したタンパク質の中から、これらのタンパク質又はこれらのタンパク質から誘導されるペプチドのうちの少なくとも1つが最終的な組成物中に存在することにより、組成物及び組成物に用いられる抽出物の品質が最適であり、医薬品品質であること、並びに組成物の活性が損なわれていないことが確保されることも見出した。さらに、適切な品質管理を提供することにより、内容物のより良好な均一性を確保することができ、このことは、特定の症状及び/又は不快感の治療を患者に行う際に重要となる。
【0052】
特に有利には、本発明に係る組成物は、
- セカレ・セレアレL.からの花粉の抽出物;
- ゼア・メイスL.からの花粉の抽出物;
- ピヌス・シルベストリスL.からの花粉の抽出物;
- ダクチリス・グロメラタL.からの花粉の抽出物;及び
- ゼア・メイスL.からの雌しべの抽出物、
を含む。
【0053】
より有利には、本発明に係る組成物は、
- セカレ・セレアレL.からの花粉の水性抽出物;
- ゼア・メイスL.からの花粉の水性抽出物;
- ピヌス・シルベストリスL.からの花粉の水性抽出物;
- ダクチリス・グロメラタL.からの花粉の水性抽出物;及び
- ゼア・メイスL.からの雌しべの水性抽出物、
を含む。
【0054】
また好ましくは、本発明に係る組成物は、
- 抽出物の総重量に対して、45重量%から90重量%のセカレ・セレアレL.からの花粉の水性抽出物;
- 抽出物の総重量に対して、1重量%から35重量%のゼア・メイスL.からの花粉の水性抽出物;
- 抽出物の総重量に対して、0.01重量%から5重量%のピヌス・シルベストリスL.からの花粉の水性抽出物;
- 抽出物の総重量に対して、3重量%から30重量%のダクチリス・グロメラタL.からの花粉の水性抽出物;及び
- 抽出物の総重量に対して、0.1重量%から10重量%のゼア・メイスL.からの雌しべの水性抽出物、
を含む。
【0055】
本発明に係る組成物の水性の花粉及び/又は雌しべの抽出物の1日用量は、好ましくは、160mgから480mgの間、より好ましくは、160から320mgの間である。この1日用量は、好ましくは、例えば1、2、3、4、又は6個の錠剤の形態で、1、2、又は3回の用量で(朝、昼、及び/又は晩)投与される。
【0056】
したがって、好ましくは本発明に係る組成物中に含まれる花粉及び/又は雌しべの抽出物を考慮して、組成物は、上記で述べた群から誘導されるタンパク質又はペプチドである少なくとも2つの、より好ましくは少なくとも3つの、さらにより好ましくは少なくとも4つのマーカー又はトレーサーを含む。
【0057】
本発明に係るより好ましい変形例によれば、レチクリンオキシダーゼ、エンドキチナーゼA、ベータ-1,3-グルカナーゼ、エキソポリガラクツロナーゼ、及び非特異的な脂質輸送タンパク質から選択される誘導されるタンパク質又はペプチドは、本発明に係る組成物中で識別できる。
【0058】
より好ましくは、本発明に係る目的を成す組成物は、
- ベータ-1,3-グルカナーゼである第一のマーカー;
- Sec 4花粉アレルゲン(セカレ・セレアレ)である第二のマーカー、
の少なくとも2つのマーカーを含む。
【0059】
驚くべきことに、本出願人は、上記マーカーが、特に高感度であり、本発明に係る目的で所定の方法などの再現性の所定の方法に従って調製されていない先行技術に係る組成物には存在していないことを実際に実証することができている。
【0060】
したがって、本発明に係る第一実施形態によると、本発明に係る目的である組成物は、第一に、
- セカレ・セレアレL.からの花粉の抽出物;
- ゼア・メイスL.からの花粉の抽出物;
- ピヌス・シルベストリスL.からの花粉の抽出物;
- ダクチリス・グロメラタL.からの花粉の抽出物;及び
- ゼア・メイスL.からの雌しべの抽出物;
を含み、また第二に、少なくとも、
- ベータ-1,3-グルカナーゼ(ゼア・メイスL.からの花粉の存在をトレースするため);及び
- 花粉アレルゲンSec 4(セカレ・セレアレからの花粉及び雌しべの存在をトレースするため)、
のマーカーを含む。
【0061】
本発明に係る第二実施形態によると、本発明に係る目的である組成物は、第一に、
- セカレ・セレアレL.からの花粉の抽出物;
- ゼア・メイスL.からの花粉の抽出物;
- ピヌス・シルベストリスL.からの花粉の抽出物;
- ダクチリス・グロメラタL.からの花粉の抽出物;及び
- ゼア・メイスL.からの雌しべの抽出物;
を含み、また第二に、少なくとも、
- 花粉アレルゲンSec 4(セカレ・セレアレ)(Q5TIW8及びQ5TIW7)、及び/又はグルカンエンド-1,3-ベータ-D-グルコシダーゼ(Q1EM97)(セカレ・セレアレL.からの花粉の存在をトレースするため);
- レチクリンオキシダーゼ(B6T5D7)、ベータ-1,3-グルカナーゼ(E1AFV5)、ペクチンエステラーゼ(B6UCK8)、エクステンシン様タンパク質(Q9SPMO)、エキソポリガラクツロナーゼ(PGLR2)、ベータ-アミラーゼ(Q9SYS1)、及び/又はキチナーゼ(D0EM57)(ゼア・メイスL.の雌しべ及び花粉をトレースするため);
- 花粉アレルゲンLol p4(ダクチリス・グロメラタL.からの花粉の存在をトレースするため);及び
- 脂質輸送タンパク質(例えば、ピヌス・シルベストリスL.及び/又はゼア・メイスL.からの花粉の存在のトレースが可能となる)、
のマーカーを含む。
【0062】
本発明に係る組成物は、特に有利には、抽出された各花粉及び/又は雌しべに対するマーカー又はトレーサーを含む。
【0063】
ピナセアエ科及び/又はポアセアエ科に属する植物から花粉及び雌しべの抽出物を調製するための方法を提供することも本発明に係る目的である。その方法は、
a)花粉の水性抽出;
b)花粉及び雌しべの水性抽出;
c)工程a)及びb)で得られた抽出物の噴霧乾燥;
d)c)で得られた植物花粉及び雌しべの抽出物の回収、
の連続する工程を含む。
【0064】
本出願人は、抽出工程が特に高感受性であることを実証できている。例えば、抽出の温度は、厳密に45℃未満でなければならない。この温度を超えると、上記で詳述した花粉及び雌しべの1又は複数のマーカーが存在しなくなる。したがって、組成物の品質及び/又はその効果が保証されない。
【0065】
抽出温度は、好ましくは、42℃未満であるべきである。
【0066】
抽出工程の継続時間は、各々の抽出物に対して、好ましくは、少なくとも6時間、より好ましくは、少なくとも10時間、さらにより好ましくは、少なくとも12時間である。
【0067】
さらに、本出願人は、過度に厳しい条件下での分離が抽出物を分解することも実証することができた。すなわち、抽出が分離を含む場合、これは、6000回転毎分(rpm)を、好ましくは、4500rpmを、さらにより好ましくは、2800rpmを超えてはならない。
【0068】
このようにして開発された方法により、用いた花粉及び雌しべの良好なトレーサビリティを確保することが可能となる。実際、本出願人は、先行技術の方法に従って製造された抽出物では、上述したマーカーの1又は複数の存在を、したがって、事実上、組成物中の花粉及び/又は雌しべの抽出物一式の存在を検出することができないことを実証することができた。
【0069】
したがって、先行技術に係る組成物は、均質ではなく、最終的な組成物中に、期待されるすべての花粉及び/又は雌しべの抽出物を含有するわけではない。
【0070】
有利には、本発明に係る目的で所定の方法は、分離、ろ過、及び/又は蒸発の追加工程を含み、それによって、最終的な抽出物の濃度を高めること、又は抽出物の調製を最適化することが可能となる。
【0071】
本発明に係る目的で所定の方法はまた、
- 標準化を可能とすること;
- 非常に優れた再現性を有すること;
- 工業的操作の数を最適化し、制限することによってコストを削減すること、
という利点も有する。
【0072】
このような方法によって、本発明に係る組成物中の抽出物の存在をトレースすることも、したがって、その品質を、及びしたがってその効果を確保することも可能となる。
【0073】
取り扱い及びコストを軽減する注目すべき利点としては、
- 単純化された計画立案;
- 設備の最適化された使用;
- 短縮された非生産的期間(洗浄、バッチ変更、確認の回数など);
- 限定的な参照番号管理;
- リスクのある操作の低減(洗浄、秤量、作業手順、低減された確認コスト、安定性、単純化された錠剤調合、微生物学的リスク、トレーサビリティなど)、
が挙げられる。
【0074】
本発明に係る調製方法によって、先行技術に従う抽出物の調製方法を用いた場合に識別することができないマーカーを含有する花粉及び/又は雌しべの抽出物を得ることが可能になるということから、本発明に係る別の目的は、上記で述べた調製方法に従って得ることができる、ピナセアエ科及び/又はポアセアエ科に属することが好ましい花粉及び雌しべの抽出物の作製である。
【0075】
これは、好ましくは、
a)第一の抽出物を得るための、セカレ・セレアレL.、ゼア・メイスL.、ピヌス・シルベストリスL.、及び/又はダクチリス・グロメラタL.からの花粉の45℃未満の温度での水性抽出;
b)第二の抽出物を得るための、ゼア・メイスL.からの花粉及び雌しべの45℃未満の温度での水性抽出;
c)a)及びb)で得られた第一及び第二の抽出物の混合;
d)c)で得られた混合物の噴霧乾燥;
e)d)で得られた混合物からの花粉及び雌しべの抽出物の回収、
の工程を含む調製方法に従って得ることができるセカレ・セレアレL.、ゼア・メイスL.、ピヌス・シルベストリスL.、及び/又はダクチリス・グロメラタL.からの花粉及び/又は雌しべの水性抽出物に関する。
【0076】
抽出温度は、好ましくは、各々の抽出物に対して、42℃未満でなければならない。
【0077】
最終的な組成物中に上述したタンパク質が存在することは、識別を可能とする本技術分野で公知の適切ないかなる方法によって確認されてもよい。好ましい変形例によると、分析は、質量分析(MS)によって行われる。より好ましい変形例では、分析方法は、質量分析(MS)と組み合わされた液体クロマトグラフィー(LC)又はHPLCである。適切な技術は、質量ペプチドマップを用いたLC-MS、又はSMタンデム(LC-MS/MS)である。好ましくは、タンパク質及び/又はタンパク質から誘導されたペプチドは、液体クロマトグラフィー-質量分析によって識別することができる。
【0078】
別の変形例によれば、抽出物は、花粉及び/又は雌しべなどの植物材料に由来し、適切な植物は、トウモロコシ(ゼア・メイスL.)、ライムギ(セカレ・セレアレL.)、オーチャードグラス(ダクチリス・グロメラタL.)、及びマツ(ピヌス・シルベストリスL.)、又はこれらのいずれかの組合せの群から選択される。本発明者らによって、これらの植物種が、経口摂取された場合にその使用者にとって非常に有益である高品質の抽出物を提供することが見出された。
【0079】
有利には、製品の品質確認に用いられる上述したマーカータンパク質及び/又はペプチドは、特定の植物種から誘導されてよい。例えば、組成物中に用いられた特定の植物種から用いられた材料の品質が最適な品質であったかどうか、又は材料源のうちの1つが不良であったかどうかのチェックが行われてよい。これによって、植物の収穫から最終的な組成物まで、組成物の作製全体を通してのトレーサビリティが可能となる。
【0080】
別の又はさらなる変形例によれば、レチクリンオキシダーゼ、エンドキチナーゼA、ベータ-1,3-グルカナーゼ、及びエキソポリガラクツロナーゼは、トウモロコシ(ゼア・メイスL.)に由来する。
【0081】
別の又はさらなる変形例によれば、非特異的な脂質輸送タンパク質は、マツ(ピヌス・シルベストリスL.及び/又はゼア・メイスL.)から誘導される。
【0082】
また前述のように、本発明に係る別の好ましい変形例によれば、抽出物は、ゼア・メイスL.、セカレ・セレアレL.、ダクチリス・グロメラタL.、ピヌス・シルベストリスL.、又はこれらの混合物からの植物材料に由来する。
【0083】
好ましくは、抽出物に用いられる植物材料は、新しく収穫されたものである。本発明で用いられる花粉は、昆虫によって収穫された花粉(蜂花粉など)又はヒトの介入によって収穫された花粉であってもよい。例えば、蜂花粉は、花粉だけでなく、花の蜜及び蜂の唾液も含有している。ヒトの介入によって収穫された花粉は、そのような追加の構成成分を含まない。好ましくは、本発明に係る組成物の花粉は、ヒトの介入のみによって得られる。このことも、最終製品の標準化を可能とするものである。
【0084】
本発明に係る組成物は、SOD模倣物、フラボノイド、タンニン、ポリフェノール、ビタミン、酵素、及び微量元素を豊富に含み、数多くの健康上の効果、特に女性の健康に関連する効果を有することが示された。本発明に係る組成物は、フィトエストロゲンなどのホルモンを含有するものではない。
【0085】
本発明に係る組成物は、アミノ酸も豊富に含む。好ましくは、組成物中のアミノ酸の総量は、少なくとも20g/kg、より好ましくは、少なくとも25g/kgであり、例えば、26.3g/kgなどである。これも、本発明に係る組成物に対する追加の品質管理として有用であり得るが、使用者にとっても必須アミノ酸源として好都合である。
【0086】
また、本発明は、花粉及び/又は雌しべから選択される植物材料からの1又は複数の特定の精製され、標準化された細胞質花粉を含む1又は複数の抽出物を作製するための方法にも関する。この方法は、植物材料、すなわち、花粉及び/又は花の雌しべを収穫することを含む。最終的な抽出物での変動及び外部からの影響を制限するために、収穫は、好ましくは、ヒトの介入のみによって行われる。
【0087】
植物材料は、好ましくは、グラミネアエ科及び/又はピナセアエ科に属する植物に由来する。より好ましくは、植物材料は、トウモロコシ(例:ゼア・メイスL.)、ライムギ(例:セカレ・セレアレL.)、オーチャードグラス(例:ダクチリス・グロメラタL.)、及びマツ(例:ピヌス・シルベストリスL.)の群から選択される植物に由来する。植物材料は、少なくとも、トウモロコシ花粉(ゼア・メイスL.)及びライムギの混合物から誘導される。他の好ましい組成物については、このセクションにもその全体が含まれるものとして理解されるべきである上記の記載が参照される。細胞質画分は、続いて、アセトンなどの溶媒を水性媒体に添加することによって固体画分から抽出される。次に、固体及び液体画分は分離され、固体画分は、望ましいと考えられる場合は、第二の抽出に掛けられてよい。精製された花粉の、得られた特定の標準化された細胞質抽出物は、混合されてよい(植物材料の異なる混合物からの異なる抽出物が同時に添加されてよい)。続いての工程では、抽出物は、粉末を得るために、例えば噴霧乾燥によって乾燥される。
【0088】
得られた粉末は、次に、上記で述べた乾燥された抽出物である1又は複数の抽出物を用いた錠剤の製造に用いられる。
【0089】
本発明に係る第一変形例によれば、組成物は、トウモロコシ花粉(ゼア・メイスL.)及びライムギ花粉(セカレ・セレアレL.)の単一の抽出物を含む。
【0090】
トウモロコシ(ゼア・メイスL.)及びライムギは、抗酸化剤などの有益な化合物の特に豊富な抽出物の作製を可能とすることが示されている。
【0091】
本発明に係る第二変形例によれば、組成物は、少なくとも2つの抽出物の混合物を含み、第一の抽出物は、トウモロコシ雌しべ(ゼア・メイスL.)、及びトウモロコシ(ゼア・メイスL.)、ライムギ(セカレ・セレアレL.)、オーチャードグラス(ダクチリス・グロメラタL.)、マツ(ピヌス・シルベストリスL.)、又はこれらのいずれかの組合せの中から選択される花粉に由来し、第二の抽出物は、花粉及びトウモロコシ雌しべ(ゼア・メイスL.)に由来する。
【0092】
第一の抽出物は、好ましくは、少なくともトウモロコシ花粉(ゼア・メイスL.)、ライムギ花粉(セカレ・セレアレL.)、オーチャードグラス花粉(ダクチリス・グロメラタL.)、マツ花粉(ピヌス・シルベストリスL.)、及びトウモロコシ雌しべ(ゼア・メイスL.)の混合物に由来する。
【0093】
本発明に係る第三変形例によれば、組成物は、第一及び第二の抽出物を含み、第一の抽出物は、トウモロコシ(ゼア・メイスL.)、ライムギ(セカレ・セレアレL.)、マツ(ピヌス・シルベストリスL.)、又はこれらのいずれかの組合せの中から選択される花粉に由来し、第二の抽出物は、トウモロコシ雌しべ(ゼア・メイスL.)、及びトウモロコシ(ゼア・メイスL.)、ライムギ(セカレ・セレアレL.)、オーチャードグラス(ダクチリス・グロメラタL.)、マツ(ピヌス・シルベストリスL.)、又はこれらのいずれかの組合せの中から選択される花粉に由来する。
【0094】
最後に、本発明に係る第四変形例によれば、組成物は、トウモロコシ雌しべ(ゼア・メイスL.)、及びトウモロコシ(ゼア・メイスL.)、ライムギ(セカレ・セレアレL.)、オーチャードグラス(ダクチリス・グロメラタL.)、マツ(ピヌス・シルベストリスL.)、又はこれらのいずれかの組合せの中から選択される花粉に由来する単一の抽出物を含む。
【0095】
本発明者らは、複数の植物からの植物材料の混合物の標準化された特定の精製された細胞質花粉の抽出物を含む本発明に係る変形例のいずれか1つに従う組成物に伴う健康上の有益性が、単一の植物のみの抽出物を含む組成物と比較して、より大きいことを見出した。
【0096】
本発明に係る目的である組成物は、有利には、セイヨウオトギリソウ(Hypericum perforatum)などのヒペリカム属(Hypericum sp.)、サフラン(Crocus sativus)などのクロッカス属(Crocus sp.)、ラヴァンデュラ属(Lavendula sp.)(ラベンダー)、イワベンケイ(Rhodiola rosea)などのロディオラ属(Rhodiola sp.)、エキウム・アモエヌム(Echium amoenum)などのエキウム属(Echium sp.)、クマツヅラ(Verbena officialis)などのベルベナ属(Verbena sp.)、ベルベナ・サチバ(Verbena sativa)などのアベナ属(Avena sp.)、エゾウコギ(Eleutherococcus senticosus)などのエレウテロコックス属(Eleutherococcus sp.)、レオヌルス・カルジア(Leonurus cardia)などのレオヌルス属(Leonurus sp.)、及びシサンドラ・チネンシス(Schisandra chinensis)などのシサンドラ属(Schisandra sp.)の中から選択される植物から誘導される化合物も含有してよい。
【0097】
活性化合物は、有利には、サフラナール及び/又はピクロ(クロシン)である。
【0098】
サフラナール及び/又はピクロ(クロシン)の濃度は、有利には、組成物の総重量に対して0.001重量%超であり、好ましくは、0.001%から10%の間であり、より好ましくは、0.01%から1%の間である。
【0099】
サフラナール及び/又はピクロ(クロシン)は、一般的に、サフランに見出される。これらの化合物は、鬱、精神不安感、又はこれらの障害に関連する症状の治療及び/又は予防に有用であることが知られている。
【0100】
驚くべきことに、本出願人は、サフラナール及び/又はピクロ(クロシン)を本発明に係る組成物に添加することによって、月経前症候群(PMS)を患っている女性の治療が改善されることを実証することができた。
【0101】
月経前症候群(PMS)は、月経の2から7日前(場合によっては、最大で14日前)に通常は発症する一連の身体的及び精神的症状である。それらは通常、月経の到来と共に、又はその後の数日間のうちに治まる。
【0102】
最も一般的な症状は、顕著な疲労、胸の痛み及び張り、下腹部の張り、頭痛、並びに易刺激性である。妊娠可能な女性のおよそ75%が、月経の前日又は月経の最中に、子宮の軽度な痙攣などの軽度な症状を経験している。
【0103】
したがって、そのような組成物は、特に有効であり、月経の前及び最中に、健康な状態及び活力に寄与し、疲労を低減し、前向きな気分を維持する手助けとなり、並びに安心感を促進する。
【0104】
女性の20%から30%が、自身の日々の活動の妨げとなるのに充分に強い症状を有する。症候群の中でも、月経前不快気分障害(PMDD)は、精神的症状が中心である月経前症候群(PMS)の重度な形態であり、黄体期の最後の週の間に発症し、卵胞期の開始時に改善する。PMDDの本質的な特徴は、憂鬱な気分、不安感、及び情緒不安定、並びに日々の活動への興味の減退である。女性の2%から6%が罹患する。
【0105】
本発明に係る目的である組成物は、有利には、月経前症候群(PMS)の治療での使用において、より詳細には、月経前不快気分障害の治療での使用において有用であり有効である。
【0106】
本発明に係る組成物は、有利には、医薬品、栄養補助食品、補助食品、健康補助食品、又は医療用/食餌療法用食品の形態で投与される。
【0107】
組成物は、本技術分野において公知である利用可能ないかなる形態を取ってもよく、錠剤、カプセル(ハード若しくはソフトシェル)、ソフトジェル、半固体、固体、粉末、又はアンプル若しくはシロップなどの液体の形態などである。好ましい変形例によると、組成物は、錠剤、カプセル、又は粉末である。
【0108】
したがって、精製された特定の標準化された細胞質花粉の抽出物は、顆粒、粉末の形態、又は結晶形態である本発明に係る組成物の成分として提供され得る。これは、得られた抽出物のフリーズドライ、噴霧乾燥、シリンダー乾燥、又は真空乾燥によって実現することができる。好ましくは、成分は、上記で述べた通りの噴霧乾燥された抽出物であるか、又は述べた通りの異なる噴霧乾燥された抽出物の混合物である。
【0109】
本発明に係る別の好ましい変形例によれば、本発明に係る組成物は、スリップ剤、バインダー、崩壊剤、香味剤、軟化剤、滑沢剤、付着防止剤、吸着剤、及びコーティング剤などの添加剤の群より選択される賦形剤を含むことができる。
【0110】
健康増進の態様を有する錠剤を提供するために、1又は複数の抽出物は、組成物全体の少なくとも40%に相当する。別の選択肢として、又は別の変形例によれば、1又は複数の抽出物は、組成物全体に対して160mgから640mgの量で存在する。この量は、花粉及び/又は雌しべから誘導された健康増進化合物が充填された組成物を提供する。
【0111】
本発明に係る組成物は、女性におけるホルモンの影響及び閉経期に関連する症状の治療に特に有用であることが示された。より詳細には、組成物は、閉経周辺期又は閉経前期(閉経期の前の期間)の間、閉経期自体の間、及び閉経期後の期間の間の女性にとって有用である。組成物は、関連する症状及び不快感を軽減することが示された。
【0112】
「治療」の用語は、疾患若しくは障害の、又はそれらの少なくとも1つの認識できる症状の改善、予防、又は回復を意味する。それはまた、治療中の疾患又は障害に関連する、必ずしも対象が感知可能ではない少なくとも1つの測定可能な身体的パラメータの改善、予防、又は回復でもある。別の実施形態では、「治療」の用語は、身体的に(例えば、認識できる症状の安定化)、生理学的に(例えば、身体的パラメータの安定化)、又はその両方のいずれかで、疾患又は障害の進行を阻害又は遅延させることを意味する。「治療」の用語はまた、疾患又は障害の発症の遅延も意味する。本発明の一部の特定の実施形態では、目的の組成物は、予防処置として投与される。この文脈では、「予防」の用語は、指定される疾患又は障害に罹患するリスクの低減を意味する。
【0113】
組成物の品質が、異なるバッチ間で確保されることから、組成物は、本技術分野で公知の組成物と比較して、より優れた有効性を有することが示される。
【0114】
このように、本発明に係る目的は、閉経周辺期、閉経後、及び/又は閉経期、好ましくは閉経期の症状の治療に用いるための上記で述べた組成物又は抽出物でもある。
【0115】
「閉経期の症状の治療」とは、のぼせ、発汗、動悸、心臓の不具合(異常心拍、心拍停止、胸部の刺すような痛み)、筋肉痛、頭痛、腹圧性尿失禁又は頻尿、精神不安感、性的障害(性的欲求、性活動、及び満足度の変化)、膣の不具合(膣の乾燥感又は灼熱感、性交困難)、関節痛、気分変動及び気分不良、漠然とした憂鬱な気分、易刺激性、不安感、身体的及び精神的機能障害(全体的な実行能力の低下、記憶違い、集中力の低下、記憶喪失)、膀胱の不具合(排尿困難、排尿増加、尿失禁)、関節及び筋肉の不快感(関節痛、リウマチ性の苦痛)、浮腫、気力減退、睡眠障害及び不眠症(入眠困難、睡眠困難、浅眠、早朝覚醒)、体重変化、過敏症などの症状の治療を意味するものと理解される。
【0116】
「閉経周辺期(又は閉経前期)の症状の治療」とは、神経緊張、非哀感、易刺激性及び不安感、乳房痛、のぼせ、頭痛、性的欲求の増加、体重増加、疲労、冷汗、睡眠障害、又は関節痛などの症状の治療を意味するものと理解される。閉経周辺期は、閉経期の前の移行期間であり、この間には、性ホルモンの分泌が変化する。この現象は、プロゲステロン及びエストロゲンの分泌が徐々に減少することに伴う卵胞の枯渇と関連している。それは、数年間にわたって継続し、女性が40から45歳の間の年令の時に開始する。
【0117】
「閉経後の症状の治療」とは、めまい感、渇き感、及び膣の痒み、体重増加、腹圧性尿失禁、骨量減少、尿路感染症、不眠症、及び時々起こるのぼせなどの症状の治療を含むものと理解される。閉経後は、閉経期の後の期間として定義される。女性は、1年全体を通して月経がない場合、閉経後であると見なされる。
【0118】
本出願人によって実証されたように、組成物は、有利には、のぼせ、睡眠障害、関節痛、気分の変化(気分変動及び気分不良、漠然とした憂鬱な気分、易刺激性)、疲労、及び/又は性欲の変化の治療に用いることができる。より好ましくは、組成物は、のぼせの治療に用いられる。
【0119】
本出願人は、本発明に係る組成物が、癌の患者、より詳細には、前立腺癌又は乳癌の患者におけるホルモン療法によって誘導されたのぼせの治療に用いられる場合に有効であることも実証することができた。
【0120】
驚くべきことに、本出願人は、本発明に係る組成物が、男性に有効であることも実証することができた。したがって、別の態様によると、本発明は、男性の男性更年期障害、及び付随するホルモン不均衡に関連する不快感の治療として用いるための上記で述べた組成物又は抽出物にも関する。「男性更年期」の用語は、テストステロンが徐々に減少することに通常は起因する男性におけるホルモンバランスの変化に関連するすべての態様を含むものとして理解される。より具体的には、本発明に係る組成物は、のぼせ、寝汗、心臓障害(異常な心拍の認識、心拍停止、頻脈、胸部の圧迫感)、睡眠障害(入眠困難、睡眠困難、浅眠、早朝覚醒)、憂鬱気分(ぼんやり感(feeling of vagueness)、職業活動の低下、娯楽活動の低下、社会活動の低下)、不安感(内心の動揺、パニック発作)、身体的及び精神的疲労(全体的な実行能力の低下、記憶力低下、集中力の低下、記憶喪失)、性的障害(性的欲求、性活動、及び満足度の変化)、膀胱の不具合(排尿困難、排尿する必要性の増加、尿失禁)、関節及び筋肉の不快感(関節痛、リウマチ性の苦痛)、クオリティオブライフ、体重変化などのホルモン不均衡又は男性更年期の症状の治療に用いることができる。
【0121】
本発明について、本発明を例証するものであり、本発明の範囲を限定するものとして理解されず、解釈されてはならない限定されない例に基づいて以下に記載する。
【実施例
【0122】
[実施例1]
<本発明に従って用いられる経口組成物>
(組成物A)
組成物Aは、トウモロコシ花粉(ゼア・メイスL.)、ライムギ(セカレ・セレアレL.)、及びマツ(ピヌス・シルベストリスL.)の混合物から得られた噴霧乾燥された抽出物を、錠剤に対して60重量/重量%の濃度で含む錠剤である。レチクリンオキシダーゼ及び非特異的な脂質輸送タンパク質の存在を、LC-MS/MSによって確認した。
【0123】
(組成物B)
組成物Bは、160mg錠剤中に重量基準のある量で存在するトウモロコシ(ゼア・メイスL.)、ライムギ(セカレ・セレアレL.)、マツ(ピヌス・シルベストリスL.)、及びオーチャードグラス(ダクチリス・グロメラタL.)の花粉、並びにトウモロコシ雌しべ(ゼア・メイスL.)、の混合物から得られた噴霧乾燥された抽出物を含む約380mg錠剤である。最終製品中の他の構成成分としては、例えば、微結晶セルロース、ステアリン酸マグネシウム、及びコーティング剤が挙げられる。コーティング剤としては、タルク及びシェラックを用いた。推奨される1日用量は、1日あたり2錠であり、朝又は晩に服用すべきである。レチクリンオキシダーゼ、エンドキチナーゼA、ベータ-1,3-グルカナーゼ、エキソポリガラクツロナーゼ、及び非特異的な脂質輸送タンパク質の存在を、LC-MS/MSによって確認した。
【0124】
抽出物はすべて、錠剤に対して35重量/重量%から70重量/重量%の間の濃度で存在する(組成物B)。
【0125】
(組成物C)
組成物Cは、粉末を含有するカプセルであり、粉末は、トウモロコシ花粉(ゼア・メイスL.)、トウモロコシ雌しべ(ゼア・メイスL.)、ライムギ花粉(セカレ・セレアレL.)、オーチャードグラス花粉(ダクチリス・グロメラタL.)、及びマツ花粉(ピヌス・シルベストリスL.)の混合物から得られた第一のフリーズドライされた抽出物;並びにトウモロコシ花粉(ゼア・メイスL.)、ライムギ花粉(セカレ・セレアレL.)、及びマツ花粉(ピヌス・シルベストリスL.)を含む第二の凍結乾燥された抽出物を含む。レチクリンオキシダーゼ、エンドキチナーゼA、ベータ-1,3-グルカナーゼ、エキソポリガラクツロナーゼ、及び非特異的な脂質輸送タンパク質の存在を、LC-MS/MSによって確認した。
【0126】
[実施例2]
<本発明に従って用いられる組成物のLC-MS/MS分析による品質管理>
本実施例では、本発明に係る組成物Cに従う組成物、及び最終的な組成物に繋がる抽出物を、本発明に従う品質管理に掛けた。組成物(最終製品の)は、トウモロコシ(ゼア・メイスL.)、ライムギ(セカレ・セレアレL.)、マツ(ピヌス・シルベストリスL.)、及びオーチャードグラス(ダクチリス・グロメラタL.)の花粉、並びにトウモロコシ雌しべ(ゼア・メイスL.)の混合物から得られた噴霧乾燥された抽出物を含み、この組成物を溶媒抽出に掛けた。得られた液体をゲル電気泳動によって分離し、タンパク質のバンドをトリプシン処理によって加水分解した。
【0127】
組成物に用いた抽出物も、ゲル電気泳動及びトリプシン処理に掛けた。
【0128】
続いての工程では、抽出物及び最終的な組成物の両方のサンプルを、LC-MS/MS手順に掛け、得られたデータを、タンパク質であるレチクリンオキシダーゼ、エンドキチナーゼA、ベータ-1,3-グルカナーゼ、エキソポリガラクツロナーゼ、又は非特異的な脂質輸送タンパク質のうちの1つの存在について分析した。
【0129】
マツからのレチクリンオキシダーゼ及び非特異的な脂質輸送タンパク質の存在が、抽出物及び最終的な組成物の両方で識別され、このことは、最終的な組成物が許容される品質であること、及びそれが市販可能であることを示している。マーカーとして記載したタンパク質及び/又はペプチドは、関連する科学的試験に用いられた花粉の抽出物中に示された。
【0130】
[実施例3]
<標準組成物と比較した本発明に従って用いられる組成物の(生物)有効性>
本実施例では、品質管理に不合格であった組成物とは対照的に、品質管理に合格した組成物(すなわち、上記で述べた少なくとも1つの識別可能なタンパク質を有する)を実証に用いた。
【0131】
閉経期の症状(のぼせ、不眠症、気分変動)を有する4人の閉経期の女性(51~54歳)を、無作為に2つのコホートに分けた。コホートAには、本発明に係る組成物Bを用いて治療された患者を含め、一方コホートBには、類似の組成物(量という観点から)であるが、異なる供給業者からのものであり(別の抽出法を用いて作製)、本発明で述べるタンパク質の存在を確認することができなかった組成物を用いて治療された患者を含めた。
【0132】
すべての患者は、1日2回の投与を3ヶ月間にわたって受け、その後、評価を実施した。本発明に係る組成物を与えた患者は、本発明ではない組成物を受けた患者と比較して、症状の大幅な低減を報告した。
【0133】
[実施例4]
<月経前症候群の治療のための本発明に係る組成物の使用:2つのケース>
4年間妊娠していない32歳の女性は、のぼせ、気分変動、及び易刺激性、又は急激な怒りによって特徴付けられる重度な月経前症候群を、具体的には、月経の7日前に患っていた。これらの症状は、重度として記録した。他の健康上の問題点は報告も検出もされなかった。パパニコロウ試験は正常であり、一般婦人科検査も正常であった。
【0134】
第一の例では、経口避妊薬を12ヶ月間にわたって与えたが、月経前症候群の症状に対して成功も改善も見られなかった。他の医薬は与えなかった。
【0135】
抗うつ薬の使用を回避する試みとして、錠剤の形態の本発明に係る組成物Bを(1日2回)、3ヶ月間にわたって患者に与えた。
【0136】
3ヶ月後、患者に質問票を渡した。患者が、組成物を服用する前の重度な状態から中程度又は軽度な状態へ、すべての症状の低減を認めたことが質問票から分かった。副作用は検出されなかった。患者にこの治療を継続させるべきであるとの判断を下した。
【0137】
第二の患者は、月経前に浮腫、睡眠遮断、及び気分変動を患っていた38歳の女性である。患者に、錠剤の形態の本発明に係る組成物Bを処方した(1日2回、4ヶ月間)。8週間後、患者は、自身の症状の改善を報告した(水分貯留の減少、睡眠の改善、及び気分変動の減少)。これらの結果は、4ヶ月間の治療後には、さらに良好であった。治療を継続した。
【0138】
[実施例5]
<閉経期の治療のための本発明に係る組成物の使用:2つのケース>
2人の子供を持ち6年間にわたって閉経期であった57歳の女性は、重度な閉経期の症状(のぼせ)と戦うために、2年間にわたってホルモン補充療法(HRT)を受けていた。この治療法は、ホルモンの副作用への不安から中止した。患者は、ステージ2高血圧症のための薬物療法(エナラプリルを毎日10mg)、及びコレステロール降下薬(アトルバスタチンを毎日20mg)を服用していた。患者は、高グルコース及び高BMIも患っており、厳格な食事療法下にあり、経口抗糖尿病薬を服用していた。HRTの中止後、患者は、不眠症を引き起こす段階までののぼせの大幅な悪化を報告した。
【0139】
患者が既に6年間も閉経期にあり、メタボリックシンドローム及び顕著なのぼせを有していることを考慮して、錠剤の形態の本発明に係る組成物Bを1日に2回、3ヶ月間にわたって患者に与えることを決定した。
【0140】
3ヶ月間の投与後、患者に、治療結果を評価するための質問票を渡した。患者は、組成物を5週間服用した後に症状の減退を経験した。3ヶ月後、のぼせの回数が半分に減少し、強さも明らかに低減した。その結果、不眠症の問題も消失した。
【0141】
代謝のモニタリングの過程で、組成物の投与が、パラメータのいずれに対しても影響を与えないことが示された。したがって、治療を継続した。
【0142】
第二の患者は、閉経移行期に起因する浮腫、疲労、及び気分変動を患っている54歳の女性である。錠剤の形態の本発明に係る組成物Bを2ヶ月間にわたって服用した後、患者は、気分変動の大幅な低減と共に、のぼせの発症回数が減少し、あまり目立たなくもなったと報告した。さらには、疲労もあまり顕著ではなくなり、患者の気分も改善した。
【0143】
[実施例6]
<男性ののぼせの治療のための本発明に係る組成物の使用:1つのケース>
限局性進行前立腺癌に対するホルモン療法での治療中である67歳の男性は、ホルモン療法を開始して以来、自身のクオリティオブライフを全体として低下させてきた(特に、自身の職業生活の必要性という観点から)強く頻繁なのぼせ(1日あたり6から10回)、睡眠障害/不眠症、及び気分変動を患っていた。
【0144】
患者には、本発明に係る組成物Bを与えた。3ヶ月間の投与(1日2回)の後、患者は、のぼせの発症回数、及びその強さが急激に低減したことを報告した。これは、患者のクオリティオブライフ全般を改善した。
【0145】
[実施例7]
<本発明に係る変形例に従う噴霧乾燥された抽出物の作製>
必要な植物材料は、適切な時点で収穫し、トウモロコシの花粉及び雌しべ(ゼア・メイスL.)、ライムギ花粉(セカレ・セレアレL.)、オーチャードグラス(ダクチリス・グロメラタL.)、並びにマツ(ピヌス・シルベストリスL.)を含んでいた。
【0146】
適切な収穫期間は、
- ライムギ花粉(セカレ・セレアレL.)及びオーチャードグラス花粉(ダクチリス・グロメラタL.)については、6月~7月;
- 花粉及びトウモロコシ雌しべ(ゼア・メイスL.)については、7月~9月;
- マツ花粉(ピヌス・シルベストリスL.)については、5月~6月、
である。
【0147】
次に、この材料を抽出工程に掛けた。植物材料は、水性媒体中5%のアセトンと混合した。抽出は、20から40℃の間の温度で、24から72時間にわたって行った。
【0148】
抽出後、得られた固相及び液相を、遠心分離又はろ過によって分離した。液相を取っておく。
【0149】
得られた抽出物を、続いての工程で混合し、噴霧乾燥して粉末を形成した。
【0150】
[実施例8]
<本発明に係る組成物中に含有される花粉及び雌しべマーカーの定性的及び定量的同定:>
(a.定性的同定:)
LC-MS法を用いて4つの種を識別した。ペプチドフィンガープリントの結果を、配列決定された生物の植物タンパク質データベースに存在するものと比較した。ピヌス・シルベストリスを識別するために、免疫拡散試験を行った。マーカーは、3つの工業バッチの製造後に選択した。抽出物中に識別されたタンパク質のリストの中から、錠剤中の「トレース可能」であったタンパク質を識別し、以下の表1に挙げる。
【0151】
【表1】
【0152】
(b.定量的同定:アミノ酸力価:)
噴霧化のための賦形剤(マルトデキストリン、アラビアガム)を天然抽出物に添加した。組成物の力価は、1日用量あたり、合計アミノ酸で16g/kgから38g/kgの範囲であった。
【0153】
[実施例9]
<本発明に係る変形例に従う噴霧乾燥された抽出物の作製>
本明細書で述べる抽出物を調製するための方法は、目的の水溶性タンパク質の制御された選択を可能とする水性抽出である。操作の順序及び製造パラメータの制御により、用いた種に特徴的な特定のタンパク質又はペプチドを保存することが可能となる。このことにより、抽出物中の種のトレーサビリティが確保される。抽出物中のアミノ酸の力価は、有利には、製造の最終段階の噴霧化の時点で標準化される。製造パラメータに対するこの制御により、トレーサビリティ、アミノ酸力価の標準化、及び抽出物の仕様の枠内でのバッチ内再現性が確保される。
【0154】
<i.本発明の方法に従う花粉及び雌しべの抽出物の調製:>
適切な収穫期間は、
- ライムギ花粉(セカレ・セレアレL.)及びオーチャードグラス花粉(ダクチリス・グロメラタL.)については、6月~7月;
- 花粉及びトウモロコシ雌しべ(ゼア・メイスL.)については、7月~9月;
- マツ花粉(ピヌス・シルベストリスL.)については、5月~6月、
である。
【0155】
マツ花粉は、野生のものを収穫し、他の雌しべ及び花粉は、農作物に由来する。
【0156】
花粉及び雌しべを乾燥させる。
【0157】
この方法は、
a)花粉からの水性抽出(好ましくは、水及び/又は界面活性剤);
b)花粉及び雌しべからの水性抽出(好ましくは、水及び/又は界面活性剤);
c)上記工程a)及びb)で得られた抽出物の噴霧乾燥;並びに
d)c)で得られた植物花粉及び雌しべの抽出物の回収、
の主要な工程によって特徴付けることができる。
【0158】
驚くべきことに、本出願人は、本発明に係る組成物を作製することを意図する抽出物の調製のための方法の操作条件を改変することによって、抽出物の品質を向上することが可能であることを明らかにすることができた。
【0159】
<ii.本発明に従う好ましい方法の主要工程の詳細:>
(a.抽出工程:)
本出願人は、抽出の温度が30℃から45℃の間であるべきであることを実証することができた。
【0160】
好ましくは、抽出は、12から90時間にわたる連続撹拌下で行う。
【0161】
(b.抽出物の混合物を噴霧乾燥する工程:)
様々な抽出物、好ましくは、既に蒸発、ろ過、及び/又はデカンテーションの処理が行われた抽出物を、30%から50%の間の乾燥物を得るために混合する。
【0162】
噴霧乾燥工程の開始温度は、138℃から168℃である。
【0163】
[実施例10]
<2つの異なる方法からの生成物の比較:>
上記で述べた方法(実施例9)に従って得られた組成物を、抽出温度が厳密に45℃よりも高い先行技術の方法に従って得られた組成物と比較する。
【0164】
両方の組成物は、
- 抽出物の総重量に対して、45重量%から90重量%のセカレ・セレアレL.からの花粉の水性抽出物;
- 抽出物の総重量に対して、1重量%から35重量%のゼア・メイスL.からの花粉の水性抽出物;
- 抽出物の総重量に対して、0.01重量%から5重量%のピヌス・シルベストリスL.からの花粉の水性抽出物;
- 抽出物の総重量に対して、3重量%から30重量%のダクチリス・グロメラタL.からの花粉の水性抽出物;及び
- 抽出物の総重量に対して、0.1重量%から10重量%のゼア・メイスL.からの雌しべの水性抽出物、
の様々な花粉及び雌しべを、実質的に同一の濃度で含む。
【0165】
本出願人は、抽出温度及び物理的分離条件の改変が、識別試験の結果に対して影響を与えることを確認した。
【0166】
タンパク質Q5TIW3(ダクチリス・グロメラタL.の花粉マーカー)は、先行技術の方法に従って得られた抽出物のバッチには見られないが、上記実施例9で述べた方法に従って得られた抽出物のバッチには存在している。
【0167】
従来の方法では、種のトレーサビリティは存在しない。
【0168】
方法の開発は、工業経済的制限を考慮したトレーサビリティ及び再現性の必要性に応えるものである。従来の方法に従って製造された抽出物中及び本発明に従う方法を用いて作製された抽出物中のマーカー/トレーサーを調べることにより、先行技術の方法では、用いた種のトレーサビリティを確保することができないことが示される。
【0169】
【表2】
【0170】
[実施例11]
<本発明に係る方法に伴うさらなる工業的及び定性的利点>
有利には、本出願人は、単一の操作で抽出を実施する。これは、工業的及び定性的利点を有する単純化である。これは、抽出物及び錠剤の製造に当てはまる。
【0171】
この方法により、操作の数が半分となり、操作時間が短縮され、品質リスクが低減される。
【0172】
抽出物に関しては、バッチ間の操作がなくなることから、単一の確認、植物の単一の秤量、単一の抽出、単一の制御、単一の洗浄、及び装置占有時間の最適化ということになる。交差汚染又は秤量誤差の品質リスクが最小限に抑えられる。これは、仕様の一部である微生物リスクにも当てはまる。
【0173】
品質リスクの低減により、「仕様からはずれた」結果の時間の掛かる検査及び分析、並びに不適合バッチの考え得る廃棄を減少させることが可能となる。
【0174】
したがって、本発明に係る目的で所定の方法は、以下の特定の利点を提供する:
- 抽出から得られるアミノ酸の合計から成る一定の力価、その種を確保する改善された標準化;
- 高い再現性:工業バッチの確認から、抽出パラメータの調節及びモニタリングのみによって、この再現性を確保することが可能となることが示されている;
- 経済的有益性:操作の数を減少させること、及び工業設備の使用を最適化することによる。
【0175】
[実施例12]
<閉経期に関連するのぼせの治療のための本発明に係る目的で所定の方法に従って得られた組成物の使用>
本発明に係る目的で所定の方法に従って得られた抽出物を含む実施例10の組成物を、のぼせを患っているおよそ1360人の閉経後の患者に投与した。
【0176】
様々な患者に対して少なくとも2ヶ月間にわたって治療を行った。
【0177】
これらの患者の症状の改善を、以下の表3に示す。
【0178】
【表3】
【0179】
上記の表は、閉経期に伴うのぼせのこの治療が特に有効であることを患者が見出したことを示している。
【0180】
その有効性は、非常に早い段階で感じられる。それは、主としてのぼせの回数、頻度、及び継続時間の低減として現れる。
【0181】
さらに、一部の患者は、
- 気分障害又は易刺激性;
- 睡眠障害、不眠症、又は疲労;
- 関節痛;及び
- 性欲の障害
などの閉経期に関連する他の症状の改善も自発的に報告した。
【0182】
医師は、この治療に対する耐容性が非常に優れており、副作用が見られなかったことも報告した。
【0183】
[実施例13]
<前立腺癌の患者におけるホルモン療法によって誘導されたのぼせの治療のための本発明に係る目的で所定の方法に従って得られた組成物の使用>
本発明に係る目的で所定の方法に従って得られた抽出物を含む実施例10の組成物を、ホルモン療法によって誘導されたのぼせを患っている前立腺癌の患者およそ130人(男性)に投与した。
【0184】
様々な患者に対して少なくとも2ヶ月間にわたって治療を行った。
【0185】
これらの患者の症状の改善を、以下の表4に示す。
【0186】
【表4】
【0187】
上記の表は、ホルモン療法によって誘導されたのぼせの治療が特に有効であることを患者が見出したことを示している。
【0188】
さらに、その有効性は、非常に早い段階で感じられる。それは、主としてのぼせの回数、強度、及び継続時間の低減として現れる。
【0189】
したがって、これらの患者のクオリティオブライフが向上する。
なお、本願の出願当初の特許請求の範囲の請求項は以下の通りである。
[請求項1]
グラミネアエ(Gramineae)(ポアセアエ(Poaceae))科及び/又はピナセアエ(Pinaceae)科に属する植物からの花粉及び/又は雌しべの中から選択される植物材料の1以上の抽出物を含む経口組成物であって、前記抽出物は、レチクリンオキシダーゼ、エンドキチナーゼA、ベータ-1,3-グルカナーゼ、エキソポリガラクツロナーゼ、非特異的な脂質輸送タンパク質、若しくはこれらのいずれかの組合せの群より選択される少なくとも1つのタンパク質又は前記タンパク質から誘導されるペプチドを含む、経口組成物。
[請求項2]
1以上の油性及び/若しくは水性の花粉並びに/又は雌しべの抽出物を含む、請求項1に記載の組成物。
[請求項3]
水性の花粉及び/又は雌しべの抽出物を含む、請求項1又は2に記載の組成物。
[請求項4]
前記抽出物が、セカレ属(Secale)、ゼア属(Zea)、ピヌス属(Pinus)、及び/若しくはダクチリス属(Dactylis)に属する植物、又はこれらの混合物から、好ましくは、セカレ・セレアレL.種(Secale cereale L.)(ライムギ)、ゼア・メイスL.種(Zea mays L.)(トウモロコシ)、ピヌス・シルベストリスL.種(Pinus sylvestris L.)(マツ)、及び/若しくはダクチリス・グロメラタL.種(Dactylis glomerata L.)(オーチャードグラス)に属する植物、又はこれらの混合物から得られた花粉及び/又は雌しべを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
[請求項5]
- ライムギ(セカレ・セレアレL.)からの花粉の抽出物と、
- トウモロコシ(ゼア・メイスL.)からの花粉の抽出物と、
- マツ(ピヌス・シルベストリスL.)からの花粉の抽出物と、
- オーチャードグラス(ダクチリス・グロメラタL.)からの花粉の抽出物と
- トウモロコシ(ゼア・メイスL.)からの雌しべの抽出物と
を含む、請求項4に記載の組成物。
[請求項6]
前記抽出物が、花粉アレルゲンLol p4、花粉アレルゲンSec 4(セカレ・セレアレ)、グルカンエンド-1,3-ベータ-D-グルコシダーゼ、ベータ-アミラーゼ、キチナーゼ、若しくはこれらのいずれかの組合せの群の中から選択される少なくとも1つの第二のタンパク質又は前記第二のタンパク質から誘導される少なくとも1つのペプチドをさらに含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
[請求項7]
前記抽出物が、噴霧乾燥された抽出物、又は異なる噴霧乾燥された抽出物の混合物である、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
[請求項8]
少なくとも2つの抽出物の混合物を含み、第一の抽出物は、トウモロコシ雌しべ(ゼア・メイスL.)、及びトウモロコシ(ゼア・メイスL.)、ライムギ(セカレ・セレアレL.)、オーチャードグラス(ダクチリス・グロメラタL.)、マツ(ピヌス・シルベストリスL.)、又はこれらのいずれかの組合せの中から選択される花粉に由来し、第二の抽出物は、花粉及びトウモロコシ雌しべ(ゼア・メイスL.)に由来する、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
[請求項9]
前記第一の抽出物が、少なくともトウモロコシ花粉(ゼア・メイスL.)、ライムギ花粉(セカレ・セレアレL.)、オーチャードグラス花粉(ダクチリス・グロメラタL.)、マツ花粉(ピヌス・シルベストリスL.)、及びトウモロコシ雌しべ(ゼア・メイスL.)の混合物に由来する、請求項8に記載の組成物。
[請求項10]
第一及び第二の抽出物を含み、前記第一の抽出物は、トウモロコシ(ゼア・メイスL.)、ライムギ(セカレ・セレアレL.)、マツ(ピヌス・シルベストリスL.)、又はこれらのいずれかの組合せの中から選択される花粉に由来し、第二の抽出物は、トウモロコシ雌しべ(ゼア・メイスL.)、及びトウモロコシ(ゼア・メイスL.)、ライムギ(セカレ・セレアレL.)、オーチャードグラス(ダクチリス・グロメラタL.)、マツ(ピヌス・シルベストリスL.)、又はこれらのいずれかの組合せの中から選択される花粉に由来する、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
[請求項11]
トウモロコシ雌しべ(ゼア・メイスL.)、及びトウモロコシ(ゼア・メイスL.)、ライムギ(セカレ・セレアレL.)、オーチャードグラス(ダクチリス・グロメラタL.)、マツ(ピヌス・シルベストリスL.)、又はこれらのいずれかの組合せの中から選択される花粉に由来する単一の抽出物を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
[請求項12]
サフラナール及び/又はピクロ(クロシン)をさらに含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物。
[請求項13]
医薬品、栄養補助食品、補助食品、健康補助食品、又は医療用/食餌療法用食品の形態で投与される、請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物。
[請求項14]
錠剤、カプセル、ソフトジェル、半固体、固体、液体、又は粉末である、請求項13に記載の組成物。
[請求項15]
ピナセアエ科及び/又はイネ(ポアセアエ)科に属することが好ましい植物から水性の花粉及び雌しべの抽出物を調製するための方法であって、
a)花粉の水性抽出と、
b)花粉及び雌しべの水性抽出と、
c)工程a)及びb)で得られた抽出物の噴霧乾燥と、
d)c)で得られた植物花粉及び雌しべの抽出物の回収と
の連続する工程を含み、前記抽出の温度は、厳密に45℃未満で所定の方法。
[請求項16]
請求項15に記載の方法に従って得ることができる水性の花粉及び雌しべの抽出物。
[請求項17]
閉経周辺期、閉経後、及び/又は閉経期の、好ましくは閉経期の症状の治療での使用のための、請求項1~14のいずれか1項に記載の組成物、又は請求項16に記載の抽出物。
[請求項18]
前記症状が、のぼせ、睡眠障害、関節痛、気分の変化(気分変動及び気分不良、漠然とした憂鬱な気分、易刺激性、神経緊張)、疲労、性欲の変化、乳房痛、頭痛、体重増加、冷汗、及び/又は関節痛である、請求項17に記載の使用のための組成物又は抽出物。
[請求項19]
月経の前及び最中に、健康な状態及び活力に寄与し、疲労を低減し、前向きな気分を維持する手助けとなり、並びに安心感を促進する、月経前症候群(PMS)の治療における使用のための、好ましくは月経前不快気分障害の治療における使用のための、請求項12に記載の組成物。
[請求項20]
癌患者におけるホルモン療法によって誘導されたのぼせの治療における使用のための、請求項1~14のいずれか一項に記載の組成物、又は請求項16に記載の抽出物。
[請求項21]
前記癌が、乳癌又は前立腺癌である、請求項20に記載の使用のための組成物又は抽出物。
[請求項22]
男性の男性更年期の症状、及び付随するホルモン不均衡に関連する不快感の治療における使用のための、請求項1~14のいずれか一項に記載の組成物、又は請求項16に記載の抽出物。