(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-14
(45)【発行日】2022-09-26
(54)【発明の名称】エレファントフローの指向されたハンドオーバ
(51)【国際特許分類】
H04W 28/08 20090101AFI20220915BHJP
H04W 36/22 20090101ALI20220915BHJP
【FI】
H04W28/08
H04W36/22
(21)【出願番号】P 2019513953
(86)(22)【出願日】2017-09-13
(86)【国際出願番号】 US2017051412
(87)【国際公開番号】W WO2018053038
(87)【国際公開日】2018-03-22
【審査請求日】2020-09-08
(32)【優先日】2016-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517307865
【氏名又は名称】オパンガ ネットワークス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】ハルラング,ジェフリー ピー.
(72)【発明者】
【氏名】バーネット,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ハドーン,ベン
(72)【発明者】
【氏名】ギボンズ,デイヴィッド
【審査官】野村 潔
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-204159(JP,A)
【文献】国際公開第2016/141239(WO,A1)
【文献】特表2016-502291(JP,A)
【文献】特表2016-507203(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のカバレッジエリア内に位置する複数のユーザ機器(UE)端末に送信されるか、または前記複数のUE端末から送信されたデータフローのうち1つ以上のエレファントフローを特定するステップと、
前記1つ以上のエレファントフローを閾値特性と比較するステップと、
前記第1のカバレッジエリアが輻輳しているかどうかを決定するステップと、
前記複数のUE端末からの前記1つ以上のエレファントフローのうちのエレファントフローのエンドポイントであるUE端末を選択するステップと、
前記1つ以上のエレファントフローが前記閾値特性を超え、前記第1のカバレッジエリアが輻輳しているときに、前記第1のカバレッジエリアからの前記選択されたUE端末のハンドオーバを生じさせるステップと、を含む方法。
【請求項2】
前記1つ以上のエレファントフローを特定するステップは、前記1つ以上のエレファントフローがフロー検出器によって転送されるステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1つ以上のエレファントフローを前記閾値特性と比較するステップは、前記1つ以上のエレファントフローの数が閾値を超えるかどうかを決定するステップを含み、
前記1つ以上のエレファントフローの数が前記閾値よりも大きいときに、前記1つ以上のエレファントフローが前記閾値特性を超える、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記1つ以上のエレファントフローを前記閾値特性と比較するステップは、前記第1のカバレッジエリアと第2のカバレッジエリアの間にエレファントフローの不均衡が存在するかどうかを決定するステップを含み、前記第1のカバレッジエリアと該第2のカバレッジエリアとが重複し、
前記エレファントフローの不均衡は、前記第1のカバレッジエリアにおけるエレファントフローの数が、前記第2のカバレッジエリアにおけるエレファントフローの数よりも大きく、前記第1のカバレッジエリアにおいてエレファントフローを動作させているUE端末の相対的割合が、前記第2のカバレッジエリアにおいてエレファントフローを動作させているUE端末の相対的割合よりも大きいときに、存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記
第1のカバレッジエリアが輻輳しているかどうかを決定するステップは、前記
第1のカバレッジエリアの余剰容量が閾値容量未満であるかどうかを決定するステップを含み、該余剰容量は、前記
第1のカバレッジエリアの総容量と該総容量のうち現在使用されている量の間で定義される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のカバレッジエリアからの前記選択されたUE端末のハンドオーバを生じさせるステップは、ネットワーク機器にメッセージを送信するステップを含み、該メッセージは、前記選択されたUE端末のハンドオーバを要求する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記メッセージは、前記1つ以上のUE端末のうちの前記選択されたUE端末を特定し、
前記エレファントフローの前記エンドポイントである前記UE端末を選択するステップは、前記選択されたUE端末が、前記第1のカバレッジエリアが第2のカバレッジエリアと重複する領域に位置するステップを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第2のカバレッジエリアが前記第1のカバレッジエリアよりも少ないエレファントフローに関連付けられるときに、前記第1のカバレッジエリアと前記第2のカバレッジエリアの間にエレファントフローの不均衡があると決定するステップをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ネットワーク機器は、前記第1のカバレッジエリアにサービスを提供する基地局である、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記1つ以上のエレファントフローが前記閾値特性を超え、前記第1のカバレッジエリアが輻輳しているときに、前記第1のカバレッジエリアからの前記複数のUE端末のハンドオーバを生じさせるステップは、前記第1のカバレッジエリアから第2のカバレッジエリアへの前記UE端末のうちの選択された1つのハンドオーバを生じさせるステップを含み、前記第2のカバレッジエリアは、前記第1のカバレッジエリアと重複する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記1つ以上のエレファントフローが前記閾値特性を超え、前記第1のカバレッジエリアが輻輳しているときに、前記第1のカバレッジエリアからの前記1つ以上のUE端末のうちの少なくとも1つのハンドオーバを生じさせるステップは、第1のネットワーク技術から第2のネットワーク技術への前記1つ以上のUE端末のうちの選択された1つのハンドオーバを生じさせるステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
非一時的なプログラムコマンドを記憶するメモリと、
プロセッサと、を含み、
前記プロセッサが前記プログラムコマンドを実行すると、前記プロセッサは、
第1のカバレッジエリア内で動作する複数のユーザ機器(UE)端末に送信されるか、または前記複数のUE端末から送信されたデータフローのうち1つ以上のエレファントフローを特定することと、
前記1つ以上のエレファントフローを閾値特性と比較することと、
前記第1のカバレッジエリアが輻輳しているかどうかを決定することと、
前記複数のUE端末からの前記1つ以上のエレファントフローのうちのエレファントフローのエンドポイントであるUE端末を選択することと、
前記1つ以上のエレファントフローが前記閾値特性を超え、前記第1のカバレッジエリアが輻輳しているときに、前記第1のカバレッジエリアからの前記選択されたUE端末のハンドオーバを生じさせることと、を行う、システム。
【請求項13】
前記プロセッサは、前記1つ以上のエレファントフローの数が閾値を超えるかどうかを決定することによって、前記1つ以上のエレファントフローを前記閾値特性と比較し、
前記1つ以上のエレファントフローの数が前記閾値よりも大きいときに、前記1つ以上のエレファントフローが前記閾値特性を超える、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記プロセッサは、前記第1のカバレッジエリアと第2のカバレッジエリアの間にエレファントフローの不均衡が存在するかどうかを決定することにより、前記1つ以上のエレファントフローを前記閾値特性と比較し、前記第1のカバレッジエリアと該第2のカバレッジエリアとが重複し、
前記エレファントフローの不均衡は、前記第1のカバレッジエリアにおけるエレファントフローの数が、前記第2のカバレッジエリアにおけるエレファントフローの数よりも大きく、前記第1のカバレッジエリアにおいてエレファントフローを動作させているUE端末の相対的割合が、前記第2のカバレッジエリアにおいてエレファントフローを動作させているUE端末の相対的割合よりも大きいときに、存在する、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記プロセッサは、前記
第1のカバレッジエリアの余剰容量が閾値容量未満であるかどうかを決定することによって、前記
第1のカバレッジエリアが輻輳しているかどうかを決定することを行い、該余剰容量は、前記
第1のカバレッジエリアの総容量と該総容量のうち現在使用されている量の間で定義される、請求項12に記載のシステム。
【請求項16】
前記プロセッサは、ネットワーク機器にメッセージを送信することによって、前記1つ以上のエレファントフローが閾値特性を超え、前記第1のカバレッジエリアが輻輳しているときに、前記第1のカバレッジエリアからの前記選択されたUE端末のハンドオーバを生じさせることを行い、該メッセージは、前記選択されたUE端末のハンドオーバを要求し、
前記メッセージは、前記選択されたUE端末を特定し、
前記エレファントフローの前記エンドポイントである前記UE端末を選択することは、前記選択されたUE端末が第1のカバレッジエリアが第2のカバレッジエリアと重複する領域に位置することを含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項17】
前記プロセッサは、前記第1のカバレッジエリアから第2のカバレッジエリアへの前記選択されたUE端末のハンドオーバを生じさせることによって、前記第1のカバレッジエリアからの前記選択されたUE端末のハンドオーバを生じさせることを行い、前記第2のカバレッジエリアは、前記第1のカバレッジエリアと重複する、請求項12に記載のシステム。
【請求項18】
非一時的なプログラムコマンドを記憶するメモリと、
1つ以上のプロセッサと、を含み、
前記1つ以上のプロセッサが前記プログラムコマンドを実行すると、前記1つ以上のプロセッサは、
第1のカバレッジエリア内の複数の第1のUE端末に送信されるか、または前記複数の第1のUE端末から送信されたデータフローのうち第1のエレファントフローを特定し、
前記第1のエレファントフローの数が、第2のカバレッジエリア内の複数の第2のUE端末に送信されるか、または前記複数の第2のUE端末から送信された第2のエレファントフローの数を超えていると決定することであって、該第2のカバレッジエリアが第1のカバレッジエリアと重複する、決定することと、
前記第1のカバレッジエリアが輻輳していると決定することと、
前記第2のカバレッジエリアが輻輳していないと決定することと、
前記第1のカバレッジエリアにサービスを提供する基地局にメッセージを送信することであって、該メッセージは、前記第1のカバレッジエリアから前記第2のカバレッジエリアへのあるUE端末のハンドオーバを要求する、送信することと、を行う、トランスポートマネージャ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2016年9月13日に出願された米国仮特許出願第62/393,999号の利益を主張し、本明細書においてすべての目的のために参照により援用される。
【背景技術】
【0002】
モバイルセルラネットワークは、典型的には、ネットワークリソースを共有するユーザのグループに多様な音声のセット及びデータサービスを提供するようにオペレータによって設計される。標準的な構成では、ネットワーク化された無線カバレッジセルの各々(「セクタ」としても知られている)は、地域サービスエリア内に静的連続無線カバレッジを提供するようにアレンジされる。モバイルセルラネットワークのユーザは、ユーザ機器端末(UE)を介してネットワークに接続し、1つ以上のセルに無線でアタッチする。
【0003】
ネットワークとUEは、ハンドオーバサービスをサポートし、ユーザがカバレッジセル間を移動する際に、連続的かつ中断されないユーザ知覚通信を提供する。例えば、ネットワークは、UEが第1のセルから第2のセルに移動するときに、第1のセルから第2のセルにUEをハンドオーバすることができる。
【0004】
ユーザのランダムな分布と、音声およびデータサービスに対する様々な需要のため、トラフィック負荷はセルごとに異なる。隣接または重複するセルは、時間とともに劇的に異なる負荷を有することがある。
【0005】
セルが満足できる以上のリソース需要を経験すると、セルは「輻輳」する。セルが輻輳しているときは、セル内の過負荷の共有リソースは、セルにアタッチされているUE間で公平ベースで割り当てられることがある。しかし、各UEは、セルが輻輳しているとき、セルが輻輳していないときよりも、より少ないリソースを割り当てられる。輻輳中のこれらの減少した割り当てでは、ビデオサービスのような特定の高データスループットサービスまたはタイムリーな大規模ファイル配信サービス、例えば電子メール添付ファイルのダウンロードには不十分である。したがって、輻輳は可能な限り避けるべき条件である。
【0006】
従って、可能であれば、モバイルネットワークは、サービングセル間でUEをハンドオーバすることによって、セルの「負荷バランス」を行う。負荷分散は、例えば、あるセルが輻輳状態で動作し、別の隣接するセルまたは重複するセルがアイドル状態であるようなシナリオを防止する。負荷バランシングは、セルラネットワークの集約容量の利用を最大にし、展開されたインフラの経済的利用を改善し、モバイルネットワークのユーザのための体感品質を改善する傾向がある。
【0007】
例えば、オペレータは、共通カバレッジエリアに1つ以上の動作しているUEを有する隣接または重複するカバレッジセル間の集約トラフィック負荷に数値閾値差が存在する場合はいつでも、セル間の負荷バランシングをトリガすることができる。例えば、より高いトラフィック負荷セルからより低いトラフィック負荷セルへのUEのハンドオーバを強制またはバイアスすることにより、2つのセル間の集約トラフィック負荷レベルが平衡に向かって駆動され、一般的な輻輳が軽減され得る。
【0008】
しかし、既存の方法は、現在、自己組織化ネットワーク(SON)の原理と整合させることができる全体的なネットワーク輻輳をより効率的かつ同等に低減するために、負荷バランシングをトリガし実行する新規の方法を欠いている。
【発明の概要】
【0009】
本開示の様々な実施形態によれば、第1のカバレッジエリア内に位置する複数のユーザ機器(UE)端末によって動作する1つ以上のエレファントフローを特定するステップと、1つ以上のエレファントフローを閾値特性と比較するステップと、カバレッジエリアが輻輳しているかどうかを決定するステップと、1つ以上のエレファントフローが閾値特性を超え、第1のカバレッジエリアが輻輳しているときに、第1のカバレッジエリアからの複数のUE端末のハンドオーバを生じさせるステップと、を含む方法である。
【0010】
一実施形態では、第1のカバレッジエリア内で動作する複数のUE端末によって生成される1つ以上のエレファントフローを特定するステップは、1つ以上のエレファントフローがフロー検出器によって転送されるステップを含む。
【0011】
一実施形態では、1つ以上のエレファントフローを閾値特性と比較するステップは、1つ以上のエレファントフローの数が閾値を超えるかどうかを決定するステップを含み、1つ以上のエレファントフローの数が閾値よりも大きいときに、1つ以上のエレファントフローが閾値特性を超える。
【0012】
一実施形態では、1つ以上のエレファントフローを閾値特性と比較するステップは、第1のカバレッジエリアと第2のカバレッジエリアの間にエレファントフローの不均衡が存在するかどうかを決定するステップを含み、第1のカバレッジエリアと第2のカバレッジエリアとが重複する。
【0013】
一実施形態では、カバレッジエリアが輻輳しているかどうかを決定するステップは、カバレッジエリアの余剰容量が閾値容量未満であるかどうかを決定するステップを含み、余剰容量は、カバレッジエリアの総容量と総容量のうち現在使用されている量の間で定義される。
【0014】
一実施形態では、1つ以上のエレファントフローが閾値特性を超え、第1のカバレッジエリアが輻輳しているときに、第1のカバレッジエリアからの複数のUE端末のハンドオーバを生じさせるステップは、ネットワーク機器にメッセージを送信するステップを含み、メッセージは、1つ以上のUE端末のハンドオーバを要求する。
【0015】
一実施形態では、メッセージは、1つ以上のUE端末のうちの選択されたUE端末を特定し、選択されたUE端末は、第1のカバレッジエリアが第2のカバレッジエリアと重複する領域に位置する。
【0016】
一実施形態では、方法は、第1のカバレッジエリアと第2のカバレッジエリアの間にエレファントフローの不均衡があると決定するステップをさらに含み、第2のカバレッジエリアは、第1のカバレッジエリアよりも少ないエレファントフローに関連付けられる。
【0017】
一実施形態では、ネットワーク機器は、第1のカバレッジエリアにサービスを提供する基地局である。
【0018】
一実施形態では、1つ以上のエレファントフローが閾値特性を超え、第1のカバレッジエリアが輻輳しているときに、第1のカバレッジエリアからの複数のUE端末のハンドオーバを生じさせるステップは、第1のカバレッジエリアから第2のカバレッジエリアへのUE端末のうちの選択された1つのハンドオーバを生じさせるステップを含み、第2のカバレッジエリアは、第1のカバレッジエリアと重複する。
【0019】
一実施形態では、1つ以上のエレファントフローが閾値特性を超え、第1のカバレッジエリアが輻輳しているときに、第1のカバレッジエリアからの1つ以上のUE端末のうちの少なくとも1つのハンドオーバを生じさせるステップは、第1のネットワーク技術から第2のネットワーク技術への1つ以上のUE端末のうちの選択された1つのハンドオーバを生じさせるステップを含む。
【0020】
本開示の様々な実施形態によれば、非一時的なプログラムコマンドを記憶するメモリと、プロセッサと、を含み、プロセッサがプログラムコマンドを実行すると、プロセッサは、第1のカバレッジエリア内で動作する複数のユーザ機器(UE)端末によって生成される1つ以上のエレファントフローを特定することと、1つ以上のエレファントフローを閾値特性と比較することと、第1のカバレッジエリアが輻輳しているかどうかを決定することと、1つ以上のエレファントフローが閾値特性を超え、第1のカバレッジエリアが輻輳しているときに、第1のカバレッジエリアからの複数のUEの端末のうちの1つ以上のUE端末のハンドオーバを生じさせることと、を行う、システムである。
【0021】
一実施形態によれば、プロセッサは、1つ以上のエレファントフローの数が閾値を超えるかどうかを決定することによって、1つ以上のエレファントフローを閾値特性と比較し、1つ以上のエレファントフローの数が閾値よりも大きいときに、1つ以上のエレファントフローが閾値特性を超える。
【0022】
一実施形態によれば、プロセッサは、第1のカバレッジエリアと第2のカバレッジエリアの間にエレファントフローの不均衡が存在するかどうかを決定することにより、1つ以上のエレファントフローを閾値特性と比較し、第1のカバレッジエリアと第2のカバレッジエリアとが重複する。
【0023】
一実施形態によれば、プロセッサは、カバレッジエリアの余剰容量が閾値容量未満であるかどうかを決定することによって、カバレッジエリアが輻輳しているかどうかを決定することを行い、余剰容量は、カバレッジエリアの総容量と総容量のうち現在使用されている量の間で定義される。
【0024】
一実施形態によれば、プロセッサは、ネットワーク機器にメッセージを送信することによって、1つ以上のエレファントフローが閾値特性を超え、第1のカバレッジエリアが輻輳しているときに、第1のカバレッジエリアからの複数のUE端末のうちの1つ以上のハンドオーバを生じさせることを行い、メッセージは、1つ以上のUE端末のハンドオーバを要求する、メッセージは、1つ以上のUE端末のうちの選択されたUE端末を特定し、選択されたUE端末は、第1のカバレッジエリアが第2のカバレッジエリアと重複する領域に位置する。
【0025】
一実施形態によれば、プロセッサは、第1のカバレッジエリアから第2のカバレッジエリアへの1つ以上のUE端末のうちの選択された1つのハンドオーバを生じさせることによって、1つ以上のエレファントフローが閾値特性を超え、第1のカバレッジエリアが輻輳しているときに、第1のカバレッジエリアからの複数のUE端末のうちの1つ以上のハンドオーバを生じさせることを行い、第2のカバレッジエリアは、第1のカバレッジエリアと重複する。
【0026】
一実施形態によれば、非一時的なプログラムコマンドを記憶するメモリと、1つ以上のプロセッサと、を含み、1つ以上のプロセッサがプログラムコマンドを実行すると、1つ以上のプロセッサは、第1のカバレッジエリア内の複数の第1のUE端末によって動作する第1のエレファントフローを特定し、第1のエレファントフローの数が、第2のカバレッジエリア内の第2のUE端末によって動作する第2のエレファントフローの数を超えていると決定することであって、第2のカバレッジエリアが第1のカバレッジエリアと重複する、決定することと、第1のカバレッジエリアが輻輳していると決定することと、第2のカバレッジエリアが輻輳していないと決定することと、第1のカバレッジエリアにサービスを提供する基地局にメッセージを送信することであって、メッセージは、第1のカバレッジエリアから第2のカバレッジエリアへの少なくとも1つの第1のUE端末のハンドオーバを要求する、送信することと、を行う、トランスポートマネージャである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1A】本開示の実施形態によるシステムアーキテクチャを示す。
【
図1B】本開示の実施形態によるシステムアーキテクチャを示す。
【
図2A】一実施形態による、UE端末ハンドオーバの前の重複するセルカバレッジエリア内の複数のUE端末を示す。
【
図2B】一実施形態による、UE端末ハンドオーバ後の重複するセルカバレッジエリア内の複数のUE端末を示す。
【
図2C】一実施形態による、カバレッジのシフト後の重複するセルカバレッジエリア内の複数のUE端末を示す。
【
図3A】実施形態によるエレファントフローを特定する方法を示すフローチャートである。
【
図3B】実施形態によるエレファントフローを特定する方法を示すフローチャートである。
【
図4】一実施形態に係るエレファントフローを動作させるUE端末のハンドオーバを要求する方法を示すフローチャートである。
【
図5A】実施形態による、あるカバレッジエリアから別のカバレッジエリアへのUE端末のハンドオーバを生じさせる方法を示すフローチャートである。
【
図5B】実施形態による、あるカバレッジエリアから別のカバレッジエリアへのUE端末のハンドオーバを生じさせる方法を示すフローチャートである。
【
図6A】実施形態によるカバレッジエリアからのUE端末のハンドオーバを実行する方法を示すフローチャートである。
【
図6B】実施形態によるカバレッジエリアからのUE端末のハンドオーバを実行する方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本開示の実施形態は、カバレッジエリア内で動作するデータフローのタイプに基づく、ネットワークの異なるカバレッジエリア間の負荷バランスに関する。
【0029】
例えば、カバレッジエリアが輻輳していると決定されたとき、ネットワークリソースは、カバレッジエリア内のデータフローを動作させる端末に公平に分配され得る。例えば、余剰能力が限られているときに、カバレッジエリアは輻輳していると決定される。
【0030】
カバレッジエリア内の一部のデータフローは、カバレッジエリア内の他のデータフローよりも、ネットワークに著しく負担をかけることがある。例えば、「エレファントフロー」として特定されたデータフローは、カバレッジエリア内の他のデータフローよりもかなり多くのネットワークリソースを要求する。カバレッジエリアで動作するエレファントフローは、かなりの量のネットワークリソースを結びつけ、それによって、カバレッジエリアが輻輳しているときに、カバレッジエリア内で動作するUE端末への余剰ネットワーク容量の公平な割り当てを比較的困難にする。
【0031】
本開示の様々な実施形態によれば、エレファントフローに関連付けられたUE端末は、トラフィックのフロー特性に基づいて特定され、輻輳したカバレッジエリアから選択的にハンドオーバされる。UE端末は、例えば、同じネットワーク、または別のネットワークにおいて、輻輳が少なく、負担が少なく、重複するカバレッジエリアにハンドオーバされる。
【0032】
選択的ハンドオーバにより、エレファントフローを地理的に重複するカバレッジエリア間でより均等に割り当てることができる。エレファントフローを均等に割り当てた結果、様々な実施形態によれば、ネットワークリソースを、そうしなければ輻輳しているカバレッジエリアに公平に割り当てることができる。
【0033】
本開示の実施形態は、トラフィックフロー特性および余剰容量可用性を利用することにより、モバイルネットワークのセル間の集約(aggregate)トラフィック負荷を負荷バランスを行うためのシステムおよび方法を提供する。
【0034】
いくつかの実施形態において理解されるように、トラフィックフロー特性は、ユーザトラフィックフローの相対的データスループット値および持続時間(duration)を含む。
【0035】
実施形態によれば、トラフィックフローは、共通のトランスポート層識別子またはこれと同等のセットを共有するパケットネットワークを横断するデータパケットの一方向性の集合である。データパケットは2つのノード、例えばUE端末とコンテンツサーバの間を横断する。フローは、一方向(例えば、アップリンクまたはダウンリンク)であるが、同じペアの接続エンドポイント間の逆方向のフロー(例えば、相互交換された宛先および送信元ネットワークアドレスを持つパケット、相互交換されたポートアドレス、共通のフローラベルなど)と対にしてもよい。
【0036】
エレファントフローは、ネットワークを横断する他のデータフローよりも相対的に高いデータスループットと相対的に長い持続時間を有するトラフィックフローである。例えば、エレファントフローは、閾値データスループットよりも高いデータスループット、および/または閾値持続時間よりも長い持続時間を有する。一実施形態によれば、閾値データスループットおよび閾値持続時間は、時間とともに変化し、ネットワークの能力に応じて変化する。
【0037】
標準フローは、ネットワークを横断する他のデータフローと比較して、相対的に低い、または標準的なデータスループットおよび/または持続時間を有するトラフィックフローである。例えば、標準フローは、閾値データスループットよりも低いデータスループットおよび/または閾値持続時間よりも長い持続時間を有する。
【0038】
各エレファントフローまたは標準フローは、ネットワークリソースを共有するUE端末に関連付けられる。すなわち、各エレファントフローまたは標準フローは、関連付けられたUE端末に送信されるまたはUE端末から送信される複数のパケットを含む。例えば、エレファントフローまたは標準フローに関連付けられたUE端末が、ネットワーク内のセルにアタッチされる。
【0039】
様々な実施形態によれば、UE端末は、携帯電話、コンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレット、ハンドヘルド装置、ハンドセット装置、スマートテレビ、スマートウォッチ、またはこれらの組み合わせである。特定の実施形態では、UE端末は、ネットワークと無線接続可能なデバイスである。
【0040】
余剰容量(「アイドル容量」としても知られている)は、いくつかの実施形態では、データの一部または全部をネットワーク経由で転送するために使用されるが、それ以外は使用されない共有ネットワーク容量(例えば、ネットワーク帯域幅、ネットワークリソース等)である。例えば、セルまたはネットワークの総ネットワークトラフィック搬送容量がXで、セルまたはネットワークの現在の集約ネットワークトラフィック負荷がYである場合、セルまたはネットワークの余剰容量はX-Yであり、ここで、YはX以下である。いくつかのシナリオでは、共有マルチユーザデータネットワークの余剰容量は一時的なものであり、時間の経過とともにランダムに変動する。本開示において定義される余剰容量の使用は、ネットワーク容量の公平なシェアまたは類似の競合的共有使用とは区別される(例えば、集約トラフィック負荷がネットワーク容量制限Xを超えるときは、ネットワークを共用するN人のユーザの各々は、ネットワーク容量のX/Nシェアを受信する)、ここで、Nはゼロではない。
【0041】
図1Aは、一実施形態によるシステムアーキテクチャ100を示す。
【0042】
システムアーキテクチャ100は、少なくとも1つのUE端末102、少なくとも1つのトランスポートマネージャ106、および少なくとも1つのコンテンツサーバ110を含む。
図1Aは、単一のUE端末102、単一のトランスポートマネージャ106、および単一のコンテンツサーバ110を図示しているが、一実施形態では、システムアーキテクチャ100は、複数のUE端末102、複数のトランスポートマネージャ106、および/または複数のコンテンツサーバ110を含む。
【0043】
UE端末102は、インタフェース111、プロセッサ112、ストレージ114、1つ以上のアプリケーション(APP)116、およびエージェント118を含む。
【0044】
トランスポートマネージャ106は、インタフェース120、プロセッサ122、キュー124、マネージャ126、およびストレージ128を含む。ストレージ128は、1つ以上のポリシー130を記憶する。
【0045】
コンテンツサーバ110は、インタフェース140、プロセッサ142、およびストレージ114を含む。ストレージ114は、1つ以上のファイル146を記憶する。
【0046】
UE端末102とコンテンツサーバ110の間にはデータフローが存在する。データフローは、UE端末とコンテンツサーバ110の間のパケットネットワーク104および108を横断する複数のパケットを含む。すなわち、UE端末102及びコンテンツサーバ110は、データフローの終端ノードである。
【0047】
例えば、UE端末102は、パケットネットワーク104および108を介してコンテンツサーバ110に記憶されたファイル146のうちの1つに対する要求パケットを送信し、コンテンツサーバ110は、コンテンツサーバ110に要求されたファイル146をパケットネットワーク104、108またはその両方を介して送信する。データフロー内のパケットはまた、UE端末102とコンテンツサーバ110の間に接続されたトランスポートマネージャ106を通過する。
【0048】
パケットデータネットワーク104および108は、UE端末102、トランスポートマネージャ106およびコンテンツサーバ110を相互接続する。様々な実施形態によれば、パケットデータネットワーク104および108は、2つの別個のネットワークまたは単一の大きな機能ネットワークの一部である。
【0049】
いくつかの実施形態では、パケットデータネットワーク104および108の一方は、トランスポートマネージャ106とUE端末102を接続するアクセスネットワーク(AN)104である。AN104は、例えば、モバイル・セルラ・アクセス・ネットワーク(例えば、2G、3G、LTE、5G)またはUE端末102とトランスポートマネージャ106を接続することができる別のタイプのネットワークである。具体的な実施形態では、AN104は、無線アクセスネットワークにリンクするサブノードのコア集合を含む。
【0050】
いくつかの実施形態では、パケットデータネットワーク104および108の他方は、コンテンツサーバ110とトランスポートマネージャ106を接続する無線アクセスネットワーク(WAN)108である。WAN108は、例えば、インターネットまたはコンテンツサーバ110とトランスポートマネージャ106を接続することができる別のタイプのネットワークである。
【0051】
本開示の一実施形態によれば、UE端末102とコンテンツサーバ110の間のユーザパケットデータトラフィックの少なくとも選択された部分は、トランスポートマネージャ106を通過するか、またはこれに沿っている(in-line)。すなわち、UE端末102とコンテンツサーバ110の間のデータフロー内のパケットの少なくとも一部は、トランスポートマネージャ106を通過する。いくつかの実施形態では、AN制御パケットデータの少なくとも選択された部分またはコピーは、トランスポートマネージャ106に向けられるか、またはトランスポートマネージャ106を通過する。特定の例において、複数のUE端末102と複数のコンテンツサーバ110の間のユーザパケットデータトラフィックは、単一のトランスポートマネージャ106を通過する。
【0052】
トランスポートマネージャ106は、UE端末102とコンテンツサーバ110の間に配置される。一実施形態では、トランスポートマネージャ106は、AN104をWAN108に接続する境界トラフィック集約ポイントにある。例えば、第3世代パートナーシップ・プロジェクト(3GPP)標準モバイルネットワークでは、集約ポイントは、パケットデータネットワーク(PDN)-ゲートウェイコア要素に接続し、インターネットに向かって外側に接続するsGi-LANの一部である。あるいは、集約ポイントは、ゲートウェイGPRSサポートノード(GGSN)-ゲートウェイに接続し、インターネットに向かって外側に接続するGi-LANの一部である。しかしながら、他の実施形態では、トランスポートマネージャ106は、別の場所に配置される。
【0053】
いくつかの実施形態では、トランスポートマネージャ106は、AN104を含む1つ以上のANにサービスを提供するコンテンツ配信ネットワーク内に配置され、その一部である。様々な実施形態によれば、トランスポートマネージャ106は、UE端末102とコンテンツサーバ110の間(または含む)のネットワークノードまたはエンドポイントに配置される。
【0054】
実施形態では、トランスポートマネージャ106は、基地局、基地局コントローラ、ゲートウェイ、またはUE端末102を含む1つ以上のUEノードにサービスを提供するアクセスポイントに配置される。例えば、トランスポートマネージャ106は、基地局または基地局コントローラとそのサービスゲートウェイの間に配置される。一実施形態では、トランスポートマネージャ106は、サービングGPRSサポートノード(SGSN)とサービングゲートウェイ/モバイル管理エンティティ(SGW/MME)の間に配置される。
【0055】
図1Bは、一実施形態によるシステムアーキテクチャ150を示す。
【0056】
システムアーキテクチャ150は、少なくとも1つのUE端末102´、少なくとも1つのトランスポートマネージャ106´、少なくとも1つのフロー検出器152、および少なくとも1つのコンテンツサーバ110´を含む。
図1Bには、単一のUE端末102´、単一のトランスポートマネージャ106´、単一のフロー検出器152、および単一のコンテンツサーバ110´が示されているが、一実施形態では、システムアーキテクチャ150は、複数のUE端末102´、複数のトランスポートマネージャ106´、複数のフロー検出器152´、および複数のコンテンツサーバ110´を含む。
【0057】
UE端末102´は、インタフェース111´、プロセッサ112´、ストレージ114´、1つ以上のアプリケーション(APP)116´、およびエージェント118´を含む。
【0058】
トランスポートマネージャ106´は、インタフェース120´、プロセッサ122´、キュー124´、マネージャ126´、およびストレージ128´を含む。ストレージ128´は、1つ以上のポリシー130´を記憶する。
【0059】
フロー検出器152は、インタフェース160、プロセッサ162、ストレージ164、および検出器166を含む。
【0060】
コンテンツサーバ110´は、インタフェース140´、プロセッサ142´、およびストレージ114´を含む。ストレージ114´は、1つ以上のファイル146´を記憶する。
【0061】
複数のパケットを含むデータフローが、UE端末102´とコンテンツサーバ110´の間に存在する。UE端末102´及びコンテンツサーバ110´は、データフローの終端ノードである。例えば、UE端末102´は、パケットネットワーク104´、105及び108´を介してコンテンツサーバ110´に記憶されたファイル146´のうちの1つに対する要求を送信し、コンテンツサーバ110´は、要求されたファイル146´をパケットネットワーク104´、105、108´またはその両方を介してコンテンツサーバ110´に送信する。
【0062】
パケットデータネットワーク104´、105、および108´は、UE端末102´、トランスポートマネージャ106´、フロー検出器152、およびコンテンツサーバ110´を相互接続する。パケットデータネットワーク104´、105、および108´のいずれも、別個のネットワーク、単一の大きな機能ネットワークの一部、またはその両方である。いくつかの実施形態では、ネットワーク105は、ローカルエリアネットワーク(LAN)またはデータセンター、例えばモバイルネットワークの境界に位置するsGiまたはGi-LANである。
【0063】
特定の実施形態では、トランスポートマネージャ106´、フロー検出器152、およびネットワーク105は、統合システム170の一部である。いくつかの実施形態では、システム170は、ネットワーク105の有無にかかわらず、トランスポートマネージャ106´及び統合ハードウェアコンポーネントに組み込まれたフロー検出器152を含む。
【0064】
図1Aに示されるシステムアーキテクチャ100とは異なり、
図1Bに示されるシステムアーキテクチャ150は、別個のフロー検出器152の要素を含む。他の実施形態では、フロー検出器152は、トランスポートマネージャ106´も含むシステムに統合される。
【0065】
一実施形態では、フロー検出器152は、パケットネットワーク104´、105、および108´を横断するデータトラフィックを監視および/またはサンプリングする。フロー検出器152は、データフローを特徴付ける構成ポリシーまたはテンプレートに基づいて、さらなる処理のために、データトラフィック内のデータフローを選択する。一実施形態では、ポリシーまたはテンプレートは、ストレージ164に記憶される。
【0066】
例えば、フロー検出器152は、フロー検出器152の機能的サブ要素である検出器164を使用して、データフローをネットワークリソースの使用において相対的に負担が大きいものとして分類するために、データフローの平均スループット、配信データ量、持続時間、および他の特性を測定する。フロー検出器152は、構成されたポリシーまたはテンプレートを用いてデータフローを分類する。例えば、フロー検出器152は、システムアーキテクチャ150内のどのデータフローがエレファントフローであるかを決定する。
【0067】
いくつかの実施形態では、フロー検出器152は、パケットのヘッダに基づいてどのパケットがエレファントフローに属するかを決定する。例えば、フロー検出器152は、例えば、インターネットプロトコル(IP)送信元と宛先アドレスの組み合わせ、送信制御プロトコル(TCP)またはユーザデータグラムプロトコル(UDP)送信元と宛先ポート、プロトコル(IPv4の場合)、フローラベル(IPv6の場合)、フラグ、拡張ヘッダフィールドなどを含むパケットのネットワーク層及びトランスポート層のヘッダを検査する。
【0068】
いくつかのシナリオでは、ネットワーク層またはトランスポート層のパケットデータペイロードが暗号化または隠蔽された場合でも、パケットのペイロードヘッダは、特定のデータフローに属するパケットを特定するためにフロー検出器152によって使用され得る。パケットデータペイロードが読み取り可能な他のシナリオでは、ネットワークまたはトランスポートのパケットペイロード内の情報は、フロー検出器152によって使用されて、特定のデータフローに関連付けられたパケットをさらに特定および/または区別する。
【0069】
いくつかの実施態様では、フロー検出器152は、エレファントフローが選択的にトランスポートマネージャ106´に転送されるようにする。例えば、フロー検出器152が一旦エレファントフローを特定すると、フロー検出器152は、ネットワーク105内のパケット転送ロジックの再構成をトリガし、ネットワーク105を横断するエレファントフロー内のパケットがトランスポートマネージャ106´に指向されるようにする。すなわち、トランスポートマネージャ106´は、サーバ110´とユーザ機器102´のエンドポイントの間のエンドツーエンドパス内に入る。例えば、フロー検出器152は、特定されたエレファントフローの特性を、ネットワーク105の機器、例えば1つ以上のルータおよびスイッチに通信し、ネットワーク105が、ソフトウェア定義ネットワークの原理を使用して、特定されたエレファントフローにおける後続のパケットをトランスポートマネージャ106´を通過させるために、転送またはスイッチングルールを動的に構成できるようにする。
【0070】
他の実施形態では、トランスポートマネージャ106´は、デフォルトルールまたはケーブル配線によってエンドツーエンドパスに含まれ、フロー検出器152は、1つ以上の分類テンプレートに一致する検出されたフローをトランスポートマネージャ106´に通知する。従って、トランスポートマネージャ106は、さらなる処理なしに、標準トラフィックフローのパケットを転送することができる。
【0071】
いくつかの実施形態では、フロー検出器152が双方向のエレファントフローを検出するときは、双方向フローの両方向ともトランスポートマネージャ106´に向けられる。
【0072】
一実施形態では、フロー検出器152およびトランスポートマネージャ106´は、ネットワーク105の一部である。いくつかの実施形態では、ネットワーク105は、ローカルエリアネットワークまたはデータセンター、例えばモバイルネットワークの境界に位置するSGiまたはGi-LANであってもよい。しかし、他の実施形態では、フロー検出器152およびトランスポートマネージャ106は、ネットワーク106の外側に配置される。いくつかの代替実施形態では、フロー検出器152およびトランスポートマネージャ106´は、AN102を含む1つ以上のANにサービスを提供するコンテンツ配信ネットワーク内にある。他の代替実施形態では、フロー検出器152およびトランスポートマネージャ106´は、UE端末102´とコンテンツサーバ110´、すなわち終端ノードの間の(又は含む)任意のノードまたはエンドポイントに配置される。例えば、フロー検出器152およびトランスポートマネージャ106´は、UE端末102´を含む1つ以上のUEノードにサービスを提供する基地局または基地局コントローラあるいはゲートウェイまたはアクセスポイントに配置される。別の実施形態では、フロー検出器152およびトランスポートマネージャ106´は、基地局または基地局コントローラとそのサービングゲートウェイ(例えば、SGSN、SGW/MME)の間に配置される。
【0073】
いくつかの実施形態では、トランスポートマネージャ106または106´は、コンテンツサーバ110または110´、UE端末102または102´等のフロー接続エンドポイント間のデータを検出、測定、および変調する。
【0074】
さらに、トランスポートマネージャ106または106´は、データフローが輻輳セル内でアクティブであるかどうかを決定する。例えば、輻輳セルは、余剰容量がほとんどまたは全くないセルとして定義される。これらの態様のいくつかは、「SYSTEMS AND METHODS FOR PACING DATA FLOWS」(米国特許出願公開第2016-0261510号明細書)およびその参考文献にさらに記載されている。
【0075】
様々な実施形態によれば、セルは、カバレッジエリアである。一実施形態では、トランスポートマネージャ106または106´は、セルの余剰容量が閾値容量以下であるときに、セルが輻輳していると決定する。
【0076】
いくつかの実施形態では、トランスポートマネージャ106または106´は、セル内の余剰容量の利用可能性およびセル内の1つ以上のユーザ機器端末に関連付けられたトラフィックフローのタイプに基づいて、制御要素と情報を交換することにより、AN104または104´内の1つ以上の制御要素にハンドオーバ決定を実行させる。特定の実施態様において、トランスポートマネージャ106又は106´が、セルが制限された余剰能力を有し、1つ以上のUEに関連付けられた1つ以上のエレファントフローを有すると決定したときは、トランスポートマネージャ106または106´は、セルからのUEの少なくとも1つのハンドオーバを生じさせる。
【0077】
図2Aは、一実施形態による、UE端末ハンドオーバの前の重複するセルカバレッジエリア内の複数のUE端末を示す。
【0078】
図2Aに示すように、複数のUE端末212~218、222、および224が、第1および第2のカバレッジエリア210および220を含む無線アクセスネットワークにアタッチされている。第1および第2のカバレッジエリア210および220は、例えば、セルラカバレッジエリアである。第1および第2のカバレッジエリア210および220は、重複領域230内で重複する。
【0079】
第1のUE端末212~218は、第1のカバレッジエリア210を有する第1のサービングセル(例えば、第1の基地局)に無線でアタッチされている。第2のUE端末222および224は、第2のカバレッジエリア220を有する第2のサービングセル(例えば、第2の基地局)に無線でアタッチされている。第1のUE端末212~218と第2のUE端末222および224は、重複領域230内に位置している。
図1Aには図示されていないが、追加のUE端末が、重複領域230の外側で、第1のサービングセルまたは第2のサービングセルにアタッチされていてもよい。
【0080】
第1のUE端末212~218と第2のUE端末222および224のいくつかは、エレファントフローとして特徴付けられるネットワーク通信およびトラフィックフローと能動的に係合するユーザおよび装置に関連付けられる。第1のUE端末212~218と第2のUE端末222および224のいくつかは、非エレファントフロー(標準フローとしても知られている)として特徴付けられるネットワーク通信およびトラフィックフローと能動的に係合するユーザおよび装置と関連付けられる。
図2Aに示すように、第1のサービングセルにアタッチされた第1のUE端末212~218は、複数の第1のエレファントフローUE端末212~217および第1の標準フローのUE端末218を含み、第2のサービングセルにアタッチされた第2のUE端末222および224は、第2のエレファントフローUE端末222および第2の標準フローUE端末222を含む。
【0081】
システム、例えば、トランスポートマネージャおよび/またはフロー検出器(トランスポートマネージャ106または106´、および/またはフロー検出器152)は、第1および第2のカバレッジエリア210および220内の様々なアクティブUE端末の各々のアクティブフロータイプを検出する。すなわち、システムは、監視される各アクティブUE端末がエレファントフローと関連付けられているか標準フローと関連付けられているかを検出する。例えば、システムは、第2のエレファントフローUE端末222がビデオストリーミングアプリケーションを動作させていることを決定することによって第2のエレファントフローUE端末222がエレファントフローに関連付けられていると決定し、さらに、第2の標準フローUE端末206がソーシャルネットワークチャットアプリケーションを動作させていることを決定することによって、第2の標準フローUE端末206が標準フローに関連付けられていると決定する。
【0082】
このシステムは、さらに、第1および第2のカバレッジエリア210および220の各々が現在輻輳を経験しているかどうかを検出することができる。例えば、システムは、第1および第2のサービスセルの各々の余剰容量が閾値容量よりも低いかどうかを決定することによって、第1および第2のカバレッジエリア210及び220の各々が輻輳しているかどうかを決定する。
【0083】
特定のセル/基地局によってどのフローのサービスが提供されているかを決定するために、いくつかの実施形態では、システムは、ユーザパケットデータトラフィックに関連付けられたAN(例えば、104または104´)から得られた制御情報を利用する。例えば、3GPPネットワークでは、システムは、ジェネリック・トンネリング・プロトコル(GTP:Generic Tunneling Protocol)におけるトンネルエンドポイント識別子(TEID:Tunnel Endpoint Identifier)を用いて、特定のユーザトラフィックを検査する、また、現在のサービスセルを特定のユーザトラフィック内のパケットのエンドポイントIPアドレスとリンクするメッセージを制御して、それによってフローのパケットヘッダ識別子とをリンクする。
【0084】
従って、実施形態では、システムは、各セル内で動作しているUE端末の絶対数、各セル内でエレファントフローを動作させているUE端末の相対的割合、各セル内で標準フローを動作させているUE端末の相対的割合、各セルにおける余剰容量の利用可能性、またはこれらの組み合わせを特定する情報を生成し、記憶する。一実施形態では、この情報は、各セル内でエレファントフローを動作させるUE端末の総数を含む。いくつかの実施形態では、この情報は、ネットワークの最適なトラフィック負荷バランシングおよびユーザに対する所望の体感品質を達成するべく、どのUE端末を隣接セルにハンドオーバするべきかに影響する決定をトリガするために、システムのビジネスロジックによって使用される。
【0085】
いくつかの実施形態では、システムは、ANに(標準フローとは対照的に)第1のセル内でアクティブにエレファントフローを動作させているUE端末の他のセルおよび/またはネットワークへのハンドオーバを優先的に実行させるために、制御メッセージをANのRANハンドオーバ制御要素(例えば、基地局、基地局コントローラ、ネットワーク内のUE端末のハンドオーバを制御することができる任意のネットワーク機器等)と通信する。
【0086】
例えば、
図2Aに示されるように、カバレッジエリア210よりもカバレッジエリア220においてエレファントフローを動作させるUE端末が相対的に少ない、すなわち、3つの第1のエレファントフローUE端末212~216が存在するが、第2のエレファントフローUE端末222は1つのみである。言い換えれば、カバレッジエリア210とカバレッジエリア220の間には、エレファントフローの不均衡が存在する。
【0087】
さらに、この例では、第1のカバレッジエリア210は重く負荷され、輻輳しているが、カバレッジエリア220は十分な余剰容量が利用可能であると仮定する。
【0088】
システムがエレファントフローの不均衡および第1のカバレッジエリア210の輻輳を認識すると、システムは、制御メッセージをANのRANハンドオーバ制御要素に送信し、制御要素は、輻輳している第1のカバレッジエリア210から第2のカバレッジエリア220へエレファントフローUE端末を優先的にハンドオーバすることができる。
【0089】
図2Bは、一実施形態による、UE端末ハンドオーバ後の重複するセルカバレッジエリア内の複数のUE端末を示す。
【0090】
図2Bに示すように、選択された1つである、重複するカバレッジエリア230の右下部にある第1のエレファントフローUE端末216´は、カバレッジエリア210を提供する基地局からカバレッジエリア220を提供する基地局へとネットワークアタッチメントを変更した。この場合の結果は、カバレッジエリア210および220内でエレファントフローを動作させるUE端末の総数間でより平衡に近づく。
【0091】
いくつかの実施形態では、基地局は、UEモバイル支援ハンドオーバ手順においてハンドオーバをトリガするために使用される無線信号強度または品質閾値の操作を介して、特定のUE端末の優先的ハンドオーバを達成することができる。例えば、基地局は、標準フローを動作させているUE端末と比較して、エレファントフローを動作させているUE端末に対するハンドオーバ閾値を下げることができる。他の実施形態では、サービング基地局は、UE端末に別の選択されたターゲット基地局に切り替えるようUE端末に命令することにより、UE端末がハンドオーバされるようにする。
【0092】
図2Cは、一実施形態によるカバレッジのシフト後の重複するセルカバレッジエリア内の複数のUE端末を示す。
【0093】
他の実施形態では、カバレッジエリアフットプリント自体は、選択されたエレファントフローUE端末がサービングカバレッジエリアの間ハンドオーバされるように操作することができる。一実施形態によれば、基地局は、従来の最良の信号強度/品質手順を用いて、基地局に関連付けられたカバレッジエリアフットプリントを縮小する。
【0094】
例えば、
図2Cに示されるシナリオでは、第1のカバレッジエリア210´は、前の第1のカバレッジエリア210の右下の選択されたエレファントフローUE端末216´´が、第1のカバレッジエリア210から第2のカバレッジエリア220にシフトされるように変更されている。様々な実施形態によれば、第1のカバレッジエリア210´は、電子アレイアンテナ、電気アンテナポインティング、キャリアアグリゲーション、および異種ネットワーク方法を用いて、関連付けられた基地局によってシフトされている。
【0095】
他の実施形態では、既存のカバレッジエリアが輻輳し、エレファントフローを動作させるUE端末の閾値レベルを超えるシナリオにおいて、必要に応じて、追加のカバレッジエリアまたは無線チャネルスペクトルをオンおよびオフに切り替えることができ、例えばANによるより効率的な電力使用を達成する。
【0096】
図3Aは、一実施形態によるエレファントフローを特定する方法300Aを示すフローチャートである。具体的な実施形態では、方法300Aは、フローマネージャまたはフローマネージャおよびトランスポートマネージャを含むシステムによって実行される。
【0097】
S310Aでは、ネットワークを横断する1つ以上のデータフローのフロータイプが検出される。フロータイプは、例えば、エレファントフローおよび標準フローを含む。1つ以上のデータフローは、1つ以上のカバレッジエリア内のUE端末によって動作される。
【0098】
S320Aでは、1つ以上のデータフローからエレファントフローを検出する。エレファントフローは、例えば、1つ以上のデータフローを含むパケットのヘッダに基づいて検出される。例えば、パケットのネットワーク層および/またはトランスポート層のヘッダがS310で検査され、例えば、IP送信元と宛先アドレスの組み合わせ、TCPまたはUDP送信元と宛先ポート、プロトコル(IPv4の場合)、フローラベル(IPv6の場合)、フラグ、拡張ヘッダフィールド等を含む。
【0099】
一実施形態では、特定のデータタイプ、例えば、ビデオストリーミングデータに関連付けられたデータフローは、エレファントフローとして指定される。特定の実施形態では、閾値持続時間よりも大きい持続時間を有するデータフローは、エレファントフローとして特定される。いくつかの実施形態では、閾値スループットよりも大きいスループットを有するデータフローは、エレファントフローとして特定される。エレファントフローを示すために使用される種々の閾値の各々は、予め決定されてもよい。
【0100】
S330Aでは、特定されたエレファントフローがトランスポートマネージャに通知される。例えば、エレファントフローを特定するメッセージがトランスポートマネージャに送信される。
【0101】
本開示の実施形態では、トランスポートマネージャは、デフォルトルールまたはケーブル配線によって、ネットワークを流れるデータフローのエンドツーエンドパスに含まれ、トランスポートマネージャに、1つ以上の分類テンプレートに一致する検出されたフローが通知される。従って、トランスポートマネージャは、さらなる処理なしに、標準トラフィックフローのパケットを転送することができる。
【0102】
図3Bは、一実施形態によるエレファントフローを特定する方法300Bを示すフローチャートである。具体的な実施形態では、方法300Bは、フローマネージャまたはフローマネージャおよびトランスポートマネージャを含むシステムによって実行される。
【0103】
S310Bでは、ネットワークを横断する1つ以上のデータフローのフロータイプが検出される。フロータイプは、例えば、エレファントフローおよび標準フローを含む。1つ以上のデータフローは、1つ以上のカバレッジエリア内のUE端末によって動作される。
【0104】
S320Bでは、1つ以上のデータフローからエレファントフローを検出する。エレファントフローは、例えば、1つ以上のデータフローを含むパケットのヘッダに基づいて検出される。一実施形態では、特定のデータタイプ、例えば、ビデオストリーミングデータに関連付けられたデータフローは、エレファントフローとして指定される。
【0105】
エレファントフローは、例えば、1つ以上のデータフローを含むパケットのヘッダに基づいて検出される。例えば、パケットのネットワーク層および/またはトランスポート層のヘッダは、例えば、IP送信元と宛先アドレスの組み合わせ、TCPまたはUDP送信元と宛先ポート、プロトコル(IPv4の場合)、フローラベル(IPv6の場合)、フラグ、拡張ヘッダフィールド等を含む。
【0106】
一実施形態では、特定のデータタイプ、例えば、ビデオストリーミングデータに関連付けられたデータフローは、エレファントフローとして特定される。特定の実施形態では、閾値持続時間よりも大きい持続時間を有するデータフローは、エレファントフローとして特定される。いくつかの実施形態では、閾値スループットよりも大きいスループットを有するデータフローは、エレファントフローとして特定される。
【0107】
S330Aでは、特定されたエレファントフローはトランスポートマネージャに転送される。一実施形態では、データフローは、デフォルトルールに従ってトランスポートマネージャをバイパスするが、エレファントフローは、選択的にトランスポートマネージャに転送され、トランスポートマネージャは、エレファントフローを選択的に受信し、標準フローを受信しない。
【0108】
いくつかの実施態様では、エレファントフローは、トランスポートマネージャを通して選択的に転換(diverted)される。例えば、エレファントフローが一旦特定されると、ネットワーク内のパケット転送ロジックの再構成がトリガされ、そのネットワークを横断するエレファントフロー内のパケットはトランスポートマネージャに指向されるようにする。たとえば、トランスポートマネージャは、サーバとエレファントフローを動作させるUE端末の間のエンドツーエンドパスに含まれるようになる。
【0109】
特定の実施形態によれば、特定されたエレファントフローの特性は、ネットワークの機器、例えば1つ以上のルータおよびスイッチに伝達され、ネットワークは、ソフトウェア定義ネットワーキングの原理を用いて、特定されたエレファントフロー内の次のパケットをトランスポートマネージャを通過させるために、転送または切替ルールを動的に設定することができる。
【0110】
図4は、一実施形態に係るエレファントフローを動作させるUE端末のハンドオーバを要求する方法400を示すフローチャートである。具体的な実施形態では、方法400は、トランスポートマネージャまたはフロー検出器およびトランスポートマネージャを含むシステムによって実行される。
【0111】
S410では、データフローのタイプとカバレッジエリアの輻輳が監視される。様々な実施形態によれば、カバレッジエリアからネットワークを横断するデータフローは、エレファントフローまたは標準フローとして定義される。例えば、エレファントフローはフロー検出器から選択的に転送される。別の例では、データフローからエレファントフローを特定する情報が受信される。
【0112】
実施形態では、各セル内で動作しているUE端末の絶対数、各セル内でエレファントフローを動作させているUE端末の相対的割合、各セル内で標準フローを動作させているUE端末の相対的割合、各セルにおける余剰容量の利用可能性、またはこれらの組み合わせを特定する情報が生成され、記憶される。一実施形態では、この情報は、各セル内でエレファントフローを動作させるUE端末の総数を含む。具体的な実施形態では、この情報は定期的に生成される。
【0113】
特定の実施形態によれば、カバレッジエリアの輻輳は、カバレッジエリアの余剰容量を計算することによって監視される。例えば、余剰容量は、定期的に決定される。
【0114】
S420では、カバーエリア内でエレファントフローを動作させる1つ以上のUE端末が特定される。UE端末は、例えば、エレファントフロー内のパケットのヘッダに基づいて特定される。
【0115】
S430では、エレファントフローが閾値特性を超えると決定される。閾値特性は、カバレッジエリアに対して定義されてもよく、カバレッジエリアがエレファントフローで過負荷であると決定される状態を特定してもよい。特定の実施形態では、エレファントフローの数は、カバレッジエリアに対するエレファントフローの閾値数よりも大きいと決定される。
【0116】
S440では、カバレッジエリアは輻輳していると決定される。例えば、第1のカバレッジエリアは、第1のカバレッジエリアに対する閾値余剰容量よりも低い余剰容量を有すると決定される。
【0117】
S440では、1つ以上のエレファントフローが閾値特性を超えていると決定され、カバレッジエリアが輻輳していると決定されたときは、ハンドオーバを要求するメッセージがネットワーク機器に送信される。一実施形態によれば、メッセージは、第1のカバレッジエリア内のエレファントフローの少なくとも1つを生成する選択されたUEのハンドオーバを要求する。
【0118】
様々な実施形態では、S440でメッセージを送信することにより、ネットワークに、輻輳したカバレッジエリア内でエレファントフローを動作させる1つ以上のUE端末のハンドオーバを優先的に実行させる。例えば、ネットワークは、同一ネットワーク内の重複するカバレッジエリアへの1つ以上のUE端末のハンドオーバを実行する。別の例では、ネットワークは、例えば、LTEネットワークから3Gネットワークへの、異なるネットワークへの1つ以上のUE端末のハンドオーバを実行する。
【0119】
従って、方法400は、カバレッジエリアがエレファントフローで過負荷になっているときを特定し、カバレッジエリア内で動作するエレファントフローの数を減少させるため、選択されたUEが他のカバレッジエリアにハンドオーバされるようにする。
【0120】
図5Aは、一実施形態による、あるカバレッジエリアから別のカバレッジエリアへのUE端末のハンドオーバを生じさせる方法500Aを示すフローチャートである。具体的な実施形態では、方法500Aは、トランスポートマネージャまたはフロー検出器およびトランスポートマネージャを含むシステムによって実行される。
【0121】
S510Aでは、データフローのタイプおよび第1および第2のカバレッジエリアの輻輳が監視される。様々な実施形態によれば、第1および第2のカバレッジエリアからネットワークを横断するデータフローは、エレファントフローまたは標準フローとして定義される。例えば、エレファントフローはフロー検出器から選択的に転送される。別の例では、データフローからエレファントフローを特定する情報が受信される。
【0122】
実施形態では、各カバレッジエリア内で動作するUE端末の絶対数、各カバレッジエリア内でエレファントフローを動作させているUE端末の相対的割合、各カバレッジエリア内で標準フローを動作させているUE端末の相対的割合、各カバレッジエリアにおける余剰容量の利用可能性、またはこれらの組み合わせを特定する情報が生成され、記憶される。一実施形態では、この情報は、各カバレッジエリア内でエレファントフローを動作させるUE端末の総数を含む。特定の実施形態では、この情報は定期的に生成される。
【0123】
S520Aでは、第1のカバレッジエリアは、第2のカバレッジエリアよりも多くのエレファントフローに関連付けられていると決定される。すなわち、エレファントフローの不均衡が第1および第2のカバレッジエリアの間に存在すると決定される。例えば、第1のカバレッジエリア内のUE端末は、第2のカバレッジエリア内のUE端末よりも多くの数のエレファントフローを動作させていると決定される。
【0124】
S530Aでは、第1のカバレッジエリアは輻輳していると決定され、第2のカバレッジエリアは輻輳していないと決定される。例えば、第1のカバレッジエリアの余剰容量が第1のカバレッジエリアに関連付けられた閾値よりも低いと決定され、第2のカバレッジエリアの余剰容量は、第2のカバレッジエリアに関連付けられた閾値を超えると決定される。
【0125】
S540Aでは、第1のカバレッジエリアから第2のカバレッジエリアへエレファントフローを動作させる1つ以上のUE端末のハンドオーバを要求するメッセージが送信される。例えば、メッセージは、ネットワーク機器に送信される制御メッセージである。特定の例において、メッセージは、第1のカバレッジエリアを動作させる基地局に送信される。
【0126】
従って、方法500Aは、カバレッジエリアがエレファントフローで過負荷になっており、他のカバレッジエリアと比較して輻輳しているときを特定し、過負荷で輻輳したエリアにおいて動作しているエレファントフローの数を減少させるため、選択されたUE端末が過負荷になっておらず、輻輳していないカバレッジエリアにハンドオーバされるようにする。
【0127】
図5Bは、一実施形態による、あるカバレッジエリアから別のカバレッジエリアへのUE端末のハンドオーバを生じさせる方法500Bを示すフローチャートである。特定の実施形態では、方法500Bは、トランスポートマネージャまたはフロー検出器およびトランスポートマネージャを含むシステムによって実行される。
【0128】
S510Bでは、データフローのタイプおよび第1および第2のカバレッジエリアの輻輳が監視される。様々な実施形態によれば、第1および第2のカバレッジエリアからネットワークを横断するデータフローは、エレファントフローまたは標準フローとして定義される。例えば、エレファントフローはフロー検出器から選択的に転送される。別の例では、データフローからエレファントフローを特定する情報が受信される。
【0129】
実施形態では、各カバレッジエリア内で動作するUE端末の絶対数、各カバレッジエリア内でエレファントフローを動作させているUE端末の相対的割合、および各カバレッジエリア内で標準フローを動作させているUE端末の相対的割合、各カバレッジエリアにおける余剰容量の利用可能性、またはこれらの組み合わせを特定する情報が生成され、記憶される。一実施形態では、この情報は、各カバレッジエリア内でエレファントフローを動作させているUE端末の総数を含む。具体的な実施形態では、その情報は定期的に生成される。
【0130】
S520Bでは、第1のカバレッジエリアは、第2のカバレッジエリアよりもエレファントフローの割合が大きいと決定される。すなわち、エレファントフローの不均衡は、第1および第2のカバレッジエリアの間に存在すると決定される。例えば、第1のカバレッジエリア内でエレファントフローを動作させるUE端末の相対的な割合は、第2のカバレッジエリア内でエレファントフローを動作させるUE端末の相対的な割合よりも大きいと決定される。
【0131】
S530Bでは、第1のカバレッジエリアは輻輳していると決定され、第2のカバレッジエリアは輻輳していないと決定される。例えば、第1のカバレッジエリアの余剰容量は、第1のカバレッジエリアに関連付けられた閾値よりも低いと決定され、第2のカバレッジエリアの余剰容量は、第2のカバレッジエリアに関連付けられた閾値を超えると決定される。
【0132】
S540Bでは、第1のカバレッジエリアから第2のカバレッジエリアへエレファントフローを動作させる1つ以上のUE端末のハンドオーバを要求するメッセージが送信される。例えば、メッセージは、ネットワーク機器に送信される制御メッセージである。具体的な例において、メッセージは、第1のカバレッジエリアを動作させる基地局に送信される。
【0133】
従って、方法510Bは、エレファントフローで相対的に過負荷となっているカバレッジエリアが輻輳しているときに、2つの重複するカバレッジエリア間のエレファントフローの不均衡を低減するために使用することができる。
図6Aは、一実施形態によるカバレッジエリアからのUE端末のハンドオーバを実行する方法600Aを示すフローチャートである。様々な実施形態によれば、方法600Aは、ネットワーク機器、例えば、カバレッジエリアに関連する基地局によって実行される。
【0134】
S610Aで命令を受信する。この命令は、カバレッジエリアからのUE端末のハンドオーバを要求する。様々な実施形態によれば、1つ以上のUE端末からのUE端末がカバレッジエリア内で動作する。
【0135】
S620Aでは、UE端末に関連する1つ以上のハンドオーバ閾値が命令に基づいて低くされる。いくつかの実施形態では、UE端末の優先的ハンドオーバは、UEモバイル支援ハンドオーバ手順においてUE端末のハンドオーバをトリガするために使用される無線信号強度または品質閾値の操作によって達成されてもよい。例えば、エレファントフローを動作させるUE端末のためのハンドオーバ閾値は、標準フローを動作させるUE端末と比較して低くされ得る。他の実施形態では、UE端末は、異なる選択されたターゲット基地局に切り替えるようにUE端末に命令することによってハンドオーバされる。
【0136】
S630Aでは、カバレッジエリアからのUE端末のハンドオーバが実行される。例えば、UE端末は、エレファントフローの数またはパーセンテージがより低く、利用可能な余剰容量がより大きい同じネットワーク内の他のカバレッジエリアにハンドオーバされる。一実施形態では、S610Aで受信された命令において特定された他のカバレッジエリア。別の例では、UE端末は別のネットワークに渡される。
【0137】
従って、方法600Aは、過負荷および輻輳したカバレッジエリアからのエレファントフローのハンドオーバを優先的に引き起こすように実行することができる。
【0138】
図6Bは、一実施形態によるカバレッジエリアからのUE端末のハンドオーバを実行する方法600Bを示すフローチャートである。様々な実施形態によれば、方法600Bは、ネットワーク機器、例えば、カバレッジエリアに関連する基地局によって実行される。
【0139】
S610Bで命令を受信する。この命令は、カバレッジエリアからのUE端末のハンドオーバを要求する。様々な実施形態によれば、1つ以上のUE端末からのUE端末がカバレッジエリア内で動作する。
【0140】
S620Bでは、UE端末はカバーエリアを変更することによりカバーエリアから除外される。一実施形態によれば、最良の信号強度/品質手順は、カバレッジエリアのフットプリントを縮小するために使用される。様々な実施形態では、カバレッジエリアのフットプリントは、電子アレイアンテナ、電気アンテナポインティング、キャリアアグリゲーション、および異種ネットワーク方法を用いてシフトされる。
【0141】
いくつかの実施形態では、UE端末がカバレッジエリアから除外されるときは、追加のカバレッジエリアまたは無線チャネルスペクトルをオンおよびオフに切り替えることができる。
【0142】
S630Bでは、カバレッジエリアからのUE端末のハンドオーバが実行される。例えば、UE端末は、エレファントフローの数またはパーセンテージが少なく、利用可能な余剰容量が大きい同じネットワーク内の他のカバレッジエリアにハンドオーバされる。一実施形態では、S610Bで受信された命令で他のカバレッジエリアが指定される。別の例では、UE端末は別のネットワークにハンドオーバされる。
【0143】
従って、方法600Bは、過負荷になっており、輻輳したカバレッジエリアからのエレファントフローのハンドオーバを優先的に生じさせるように実行することができる。
【0144】
本開示の種々の実施形態において、輻輳ネットワークにおいてエレファントフローを生成するUE端末は、負荷の少ないネットワークに効率的に再配置することができる。
【0145】
本開示において説明した機能および方法は、特定のハードウェアおよび/または一般的なコンピュータハードウェア上で実行されるソフトウェアによって実行することができる。様々な実施形態によれば、この方法は、プログラムコマンドを実行する1つ以上のプロセッサによって実行される。プログラムコマンドは、メモリ、一時的でないコンピュータ読み取り可能媒体等に記憶されてもよい。
【0146】
以上のことから、本開示の様々な実施形態は、例示を目的として本明細書で説明し、本開示の範囲および精神から逸脱することなく、種々の修正を行うことができることが理解されよう。従って、本明細書に開示する種々の実施形態は、限定することを意図しない。