(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-14
(45)【発行日】2022-09-26
(54)【発明の名称】グルコサミン類の生物学的利用率向上方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/7008 20060101AFI20220915BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20220915BHJP
A61P 29/02 20060101ALI20220915BHJP
C12Q 1/68 20180101ALI20220915BHJP
C12N 15/52 20060101ALN20220915BHJP
【FI】
A61K31/7008 ZMD
A61P19/02
A61P29/02
C12Q1/68 ZNA
C12N15/52
(21)【出願番号】P 2019539354
(86)(22)【出願日】2018-08-16
(86)【国際出願番号】 JP2018030422
(87)【国際公開番号】W WO2019044524
(87)【国際公開日】2019-03-07
【審査請求日】2020-12-07
(31)【優先権主張番号】P 2017165804
(32)【優先日】2017-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】309007911
【氏名又は名称】サントリーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】大塚 祐多
(72)【発明者】
【氏名】冨森 菜美乃
(72)【発明者】
【氏名】立石 法史
(72)【発明者】
【氏名】藤 秀人
【審査官】鶴見 秀紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-020959(JP,A)
【文献】合田敏尚,消化管における遺伝子発現リズム発振の分子基盤に関する研究,科学研究費補助金研究成果報告書,2011年05月30日,<URL: https://kaken.nii.ac.jp/ja/file/KAKENHI-PROJECT-19500602/19500602seka.pdf>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-31/80
A61P 19/02
A61P 29/02
C12Q 1/68
C12N 15/52
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
6時間以上絶食後、かつ、Period遺伝子のmRNA発現量が1日の中で最大となる時間以降6時間以内
で、起床時から1回目の食事までの間に、対象にグルコサミン類を経口摂取させることを含む、グルコサミン類の生物学的利用率向上方法(但し、ヒトに対する医療行為を除く)。
【請求項2】
前記グルコサミン類の生物学的利用率向上が、グルコサミン類の吸収率向上によるものである請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記絶食時間が、
6~24時間である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記グルコサミン類を経口摂取させた後、15分以上絶食させる、請求項1~
3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
6時間以上絶食後、かつ、小腸におけるグルコーストランスポーター遺伝子のmRNA発現量が1日の中で最大となる時間の2時間後から8時間後の間
で、起床時から1回目の食事までの間に、対象にグルコサミン類を経口摂取させることを含む、グルコサミン類の生物学的利用率向上方法(但し、ヒトに対する医療行為を除く)。
【請求項6】
前記グルコサミン類の生物学的利用率向上が、グルコサミン類の吸収率向上によるものである、請求項
5に記載の方法。
【請求項7】
前記グルコーストランスポーターが、グルコーストランスポーター2(GLUT2)、グルコーストランスポーター5(GLUT5)及びナトリウム-グルコース共輸送タンパク質1(SGLT1)からなる群より選択される1種以上である請求項
5又は
6に記載の方法。
【請求項8】
前記絶食時間が、
6~24時間である、請求項
5~
7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記グルコサミン類を経口摂取させた後、15分以上絶食させる、請求項
5~
8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
Period遺伝子のmRNA発現量
及び絶食時間を指標とし
、6時間以上絶食後、かつ、Period遺伝子のmRNA発現量が1日の中で最大となる時間以降6時間以内で、起床時から1回目の食事までの間を、グルコサミン類の生物学的利用率が向上する摂取時間として提示する、生物学的利用率が向上するグルコサミン類の摂取時間を提示する方法(但し、ヒトに対する医療行為を除く)。
【請求項11】
小腸におけるグルコーストランスポーター遺伝子のmRNA発現量
及び絶食時間を指標とし
、6時間以上絶食後、かつ、小腸におけるグルコーストランスポーター遺伝子のmRNA発現量が1日の中で最大となる時間の2時間後から8時間後の間で、起床時から1回目の食事までの間を、グルコサミン類の生物学的利用率が向上する摂取時間として提示する、生物学的利用率が向上するグルコサミン類の摂取時間を提示する方法(但し、ヒトに対する医療行為を除く)。
【請求項12】
グルコサミン類を含む関節痛の予防又は改善剤であって、下記(i)又は(ii)において対象に経口摂取させるための、関節痛の予防又は改善剤。
(i)6時間以上絶食後、かつ、Period遺伝子のmRNA発現量が1日の中で最大となる時間以降6時間以内で、起床時から1回目の食事までの間
(ii)6時間以上絶食後、かつ、小腸におけるグルコーストランスポーターのmRNA発現量が1日の中で最大となる時間の2時間後から8時間後の間で、起床時から1回目の食事までの間
【請求項13】
「起床時から1回目の食事までの間に摂取する」旨の表示を付した請求項
12に記載の関節痛の予防又は改善剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グルコサミン類の生物学的利用率を向上させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
グルコサミン(2-アミノ-2-デオキシ-D-グルコース)は、グルコースの2位の水酸基がアミノ基に置換したアミノ糖である。グルコサミンは、変形性関節症(OA)の症状改善のために健康食品等に使用されているが、経口投与の絶対的生物学的利用率(経口投与AUC/静脈投与AUC)が低いことが報告されている(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】Aghazadeh-Habashi A et al.,J Pharm Pharmaceut Sci,2002,5(2),p.181-184.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、グルコサミン類の生物学的利用率を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究し、グルコサミン類の生物学的利用率を向上させることができる経口摂取の条件を見出した。具体的には、所定時間絶食後、かつ、特定の遺伝子発現の概日リズムを考慮してグルコサミン類を経口摂取させると、グルコサミン類の吸収率を向上させることができ、これによりその生物学的利用率を向上させることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、以下のグルコサミン類の生物学的利用率向上方法等を包含する。
〔1〕3時間以上絶食後、かつ、Period遺伝子のmRNA発現量が1日の中で最大となる時間以降6時間以内に、対象にグルコサミン類を経口摂取させることを含む、グルコサミン類の生物学的利用率向上方法。
〔2〕上記グルコサミン類の生物学的利用率向上が、グルコサミン類の吸収率向上によるものである上記〔1〕に記載の方法。
〔3〕上記絶食時間が、3~24時間である、上記〔1〕又は〔2〕に記載の方法。
〔4〕起床時から1回目の食事までに対象にグルコサミン類を対象にグルコサミン類を経口摂取させる上記〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の方法。
〔5〕上記グルコサミン類を経口摂取させた後、15分以上絶食させる、上記〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の方法。
〔6〕3時間以上絶食後、かつ、小腸におけるグルコーストランスポーター遺伝子のmRNA発現量が1日の中で最大となる時間の2時間後から8時間後の間に、対象にグルコサミン類を経口摂取させることを含む、グルコサミン類の生物学的利用率向上方法。
〔7〕上記グルコサミン類の生物学的利用率向上が、グルコサミン類の吸収率向上によるものである、上記〔6〕に記載の方法。
〔8〕上記グルコーストランスポーターが、グルコーストランスポーター2(GLUT2)、グルコーストランスポーター5(GLUT5)及びナトリウム-グルコース共輸送タンパク質1(SGLT1)からなる群より選択される1種以上である上記〔6〕又は〔7〕に記載の方法。
〔9〕上記絶食時間が、3~24時間である、上記〔6〕~〔8〕のいずれかに記載の方法。
〔10〕起床時から1回目の食事までに対象にグルコサミン類を経口摂取させる上記〔6〕~〔9〕のいずれかに記載の方法。
〔11〕上記グルコサミン類を経口摂取させた後、15分以上絶食させる、上記〔6〕~〔10〕のいずれかに記載の方法。
〔12〕Period遺伝子のmRNA発現量を指標とした、生物学的利用率が向上するグルコサミン類の摂取時間を提示する方法。
〔13〕小腸におけるグルコーストランスポーター遺伝子のmRNA発現量を指標とした、生物学的利用率が向上するグルコサミン類の摂取時間を提示する方法。
〔14〕グルコサミン類を含む関節痛の予防又は改善剤であって、下記(i)又は(ii)において対象に経口摂取させるための、関節痛の予防又は改善剤。
(i)3時間以上絶食後、かつ、Period遺伝子のmRNA発現量が1日の中で最大となる時間以降6時間以内
(ii)3時間以上絶食後、かつ、小腸におけるグルコーストランスポーターのmRNA発現量が1日の中で最大となる時間の2時間後から8時間後の間
〔15〕「起床時から1回目の食事までの間に摂取する」旨の表示を付した上記〔14〕に記載の関節痛の予防又は改善剤。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、グルコサミン類の生物学的利用率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、グルコサミン塩酸塩(GlcN-HCl)を単回投与後の、ラットの血漿中グルコサミン(GlcN)濃度の経時変化を示すグラフである。
【
図2】
図2は、GlcN-HClを単回投与後の、ラットの血漿中GlcN濃度の経時変化を示すグラフである。
【
図3】
図3は、GlcN-HClを単回投与後の、ラットの血漿中GlcN濃度の経時変化を示すグラフである。
【
図4】
図4は、各投与時刻における自由摂食群及び投与3時間前絶食群の血漿中GlcN濃度の経時変化を示すグラフである((a)は、4:00投与群、(b)は、10:00投与群、(c)は、16:00投与群、(d)は、22:00投与群)。
【
図5】
図5は、ラット十二指腸組織中のGLUT2遺伝子、GLUT5遺伝子及びSGLT1遺伝子の各mRNA発現量の24時間のリズムを示すグラフである((a):GLUT2、(b):SGLT1、(c):GLUT5)。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の第一の態様のグルコサミン類の生物学的利用率向上方法は、3時間以上絶食後、かつ、Period遺伝子(以下、Per遺伝子ともいう)のmRNA発現量が1日の中で最大となる時間以降6時間以内に、対象にグルコサミン類を経口摂取させることを含む。上記グルコサミン類の生物学的利用率向上方法を、以下、本発明の第一の方法ともいう。本明細書中、Per遺伝子のmRNA発現量が1日の中で最大となる時間を、Per遺伝子の発現ピーク時間ともいう。Per遺伝子のmRNA発現量が1日の中で最大となる時間以降6時間以内とは、Per遺伝子の発現ピーク時間~その6時間後である。
【0010】
本発明の第二の態様のグルコサミン類の生物学的利用率向上方法は、3時間以上絶食後、かつ、小腸におけるグルコーストランスポーター遺伝子のmRNA発現量が1日の中で最大となる時間の2時間後から8時間後の間に、対象にグルコサミン類を経口摂取させることを含む。上記グルコサミン類の生物学的利用率向上方法を、以下、本発明の第二の方法ともいう。本明細書中、小腸におけるグルコーストランスポーター遺伝子のmRNA発現量が1日の中で最大となる時間を、グルコーストランスポーター遺伝子の発現ピーク時間ともいう。
【0011】
本明細書中、単に本発明の方法という場合は、本発明の第一の方法及び第二の方法を指す。
本発明の方法では、所定時間絶食後、かつ、上記の特定の時間帯に対象にグルコサミン類を経口摂取させることにより、グルコサミン類の吸収率を向上させることができ、その生物学的利用率を向上させることができる。生物学的利用率の向上は、関節痛の改善等のグルコサミン類の効果の増強に寄与する。また、より少ない摂取量でのグルコサミン類の効果の発現等に寄与し得る。本発明においては、上記時間に対象にグルコサミン類を1回経口摂取させることが好ましい。
本発明の方法において、上記絶食時間は、4時間以上が好ましく、5時間以上がより好ましく、6時間以上がさらに好ましく、7時間以上が特に好ましい。上記時間絶食後、かつ、上記の特定の時間帯に対象にグルコサミン類を経口摂取させると、グルコサミン類の吸収率がより向上し、その生物学的利用率がより向上する。本発明における絶食の間、水は自由に摂取させてよい。睡眠中も、絶食時間に含まれる。上記絶食時間の上限は、対象に応じて適宜設定することができるが、24時間以下が好ましく、18時間以下がより好ましく、15時間以下がさらに好ましく、12時間以下が特に好ましい。一態様において、上記絶食時間は、3~24時間が好ましく、3~18時間がより好ましく、3~15時間がさらに好ましく、4~12時間がさらにより好ましく、5~12時間がさらにより好ましく、6~12時間が特に好ましく、7~12時間が最も好ましい。
本発明の方法では、グルコサミン類の生物学的利用率がより向上することから、グルコサミン類を経口摂取させた後、15分以上絶食させることが好ましく、30分以上絶食させることがより好ましい。一態様において、グルコサミン類を経口摂取後の絶食時間の上限は、4時間以下が好ましい。
【0012】
本明細書中、グルコサミン類の生物学的利用率(BA)は、経口摂取したグルコサミン類の生物学的利用率であり、静脈内投与時のAUC(血中薬物濃度時間曲線下面積)を摂取量とみなした生物学的利用率(絶対的生物学的利用率)で評価することができる。
【0013】
後記の試験例に示されるように、小腸におけるグルコーストランスポーター遺伝子のmRNA発現には24時間の周期を示すリズム(概日リズム)が存在する。そして、3時間以上絶食後、かつ、グルコーストランスポーター遺伝子の発現ピーク時間の2時間後から8時間後の間に、ラットにグルコサミン類を経口摂取させることにより、グルコサミン類の吸収率が向上し、その生物学的利用率が向上した。
また、ほとんどの生物では、代謝等の様々な生理現象の概日リズムは、時計遺伝子と呼ばれる一群の遺伝子によって調整されていることが報告されている。グルコーストランスポーター遺伝子のmRNA発現の概日リズムも、時計遺伝子のmRNA発現の概日リズムと関連づけられる。
哺乳類においては、Period遺伝子等について、時計遺伝子としての機能が知られている。例えばげっ歯類のマウスでは、12時間周期で明期/暗期の環境で飼育した場合、Per遺伝子の発現ピーク時間は、通常、活動期である暗期開始時間周辺である(Yang X et al.,Cell,2006,126(4),p.801-10.)。また、グルコーストランスポーター遺伝子については、後記の試験例に示されるように、ラットを12時間周期で明期/暗期の環境で飼育した場合、その発現ピーク時間は、活動期である暗期開始時間の3時間前付近である。このことから、グルコーストランスポーター遺伝子の発現ピーク時間は、Per遺伝子の発現ピーク時間の約2~3時間前と考えられる。そして、グルコーストランスポーター遺伝子の発現ピーク時間の2時間後から8時間後の間は、Per遺伝子で考えると、Per遺伝子の発現ピーク時間以降約6時間以内の時間帯に相当すると考えられる。従って、3時間以上絶食後、Per遺伝子の発現ピーク時間以降6時間以内にグルコサミン類を経口摂取させることにより、グルコサミン類の生物学的利用率を向上させることができる。
【0014】
本発明の方法により、対象におけるグルコサミン類の生物学的利用率が向上する理由の詳細は明らかではないが、小腸におけるグルコーストランスポーター遺伝子の発現ピーク時間の2時間後から8時間後の間は、小腸(例えば十二指腸)内のグルコーストランスポーターの活性が1日の中で高い(好ましい態様では、最大となる)時間帯である可能性が考えられる。グルコサミン類は、グルコーストランスポーター2(GLUT2)等のグルコーストランスポーターの基質であることが報告されている(Uldry et al.,FEBS Lett.,2002,524,p.199-203)。例えば、ラット、マウス等のげっ歯類及びヒトでは、3時間以上絶食すると、通常小腸上部の十二指腸内にグルコーストランスポーターの基質であるグルコース等の単糖類が実質的に存在しないか、存在しても極少量であると考えられる。本発明の方法では、小腸におけるグルコーストランスポーターの活性が高い時間帯に、小腸(例えば十二指腸)内のグルコース等の単糖類を低減させると共に、グルコサミン類を増加させることができ、グルコサミン類の吸収率が向上することが推測される。
【0015】
本発明の第一の方法では、Per遺伝子の発現ピーク時間以降6時間以内の時間帯のいずれかの時点で、対象にグルコサミン類を経口摂取させればよい。グルコサミン類の生物学的利用率がより向上することから、対象にグルコサミン類を経口摂取させる時間帯は、Per遺伝子の発現ピーク時間以降、5時間以内が好ましく、4時間以内がより好ましく、3.5時間以内がさらに好ましい。また、一態様において、グルコサミン類を経口摂取させる時間帯は、Per遺伝子の発現ピーク時間の0.5時間後から5時間後の間(該発現ピーク時間の0.5~5時間後)が好ましく、該ピーク時間の0.5時間後から4時間後の間がより好ましく、該ピーク時間の1時間後から3.5時間後の間がさらに好ましく、該ピーク時間の1.5時間後から3時間後の間が特に好ましい。
【0016】
Per遺伝子として、Period遺伝子ファミリーであるPeriod1(Per1)、Period2(Per2)、Period3(Per3)が挙げられる。Per遺伝子は、これらのいずれかであればよい。
Per遺伝子の発現ピーク時間は、例えば、対象におけるPer遺伝子のmRNA発現量の変化を解析することにより確認することができる。Per遺伝子のmRNA発現量は、当業者に知られた任意の方法を用いて解析することができる。例えば、Per遺伝子配列中の任意の配列をプローブとして用いたノーザンブロッティング解析、リアルタイムRT-PCR解析、DNAマイクロアレイを用いた発現量解析等の方法を好適に用いることができる。遺伝子発現解析に供するための試料としては、細胞が含まれていればいかなるものをも用いることができるが、例えば毛包細胞を含む毛髪、皮膚等のバイオプシー、血液、唾液等を用いることができる。毛髪等の試料は、採取が比較的簡便であり、対象の負担が少ないという利点がある。本発明の第一の方法は、対象から採取した試料を用いてPer遺伝子のmRNA発現量の変化を解析し、Per遺伝子の発現ピーク時間を特定することを含んでもよい。
【0017】
例えばヒトでは、Per遺伝子の発現ピーク時間は、通常、起床時間周辺であり、より具体的には、起床時間の約1~2時間前である(Akashi M et al., “Noninvasive method for assessing the human circadian clock using hair follicle cells.”, Proc Natl Acad Sci U S A. 2010 Aug 31;107(35):15643-8.)。より具体的には、ヒトにおけるPer遺伝子の発現ピーク時間は、通常、午前4~10時頃、より具体的には、午前5~9時頃である(上記のAkashi M et al.)。例えば、この時間以降6時間以内にグルコサミン類を経口摂取させることが好ましい。一態様において、ヒトであれば、例えば、Per遺伝子の発現ピーク時間以降6時間以内の時間帯として、午前5時~午後2時の間が好ましく、午前6時~午前12時の間がより好ましい。
【0018】
本発明の第二の方法では、グルコーストランスポーター遺伝子の発現ピーク時間の2時間後から8時間後の間(該発現ピーク時間の2~8時間後)の時間帯のいずれかの時点で、対象にグルコサミン類を経口摂取させればよい。グルコサミン類の生物学的利用率がより向上することから、対象にグルコサミン類を経口摂取させる時間帯は、グルコーストランスポーター遺伝子の発現ピーク時間の3時間後から7時間後の間が好ましく、該ピーク時間の3.5時間後から7時間後の間がより好ましく、該ピーク時間の3.5時間後から6.5時間後の間がさらに好ましく、該ピーク時間の4時間後から6.5時間後の間が特に好ましい。本発明の第二の方法において、小腸は、好ましくは十二指腸である。
【0019】
上記グルコーストランスポーターとして、グルコーストランスポーター2(GLUT2)、グルコーストランスポーター5(GLUT5)、ナトリウム-グルコース共輸送タンパク質1(SGLT1)等が挙げられる。本発明におけるグルコーストランスポーター遺伝子は、これらのいずれかであればよい。一態様において、好ましくは、GLUT2である。本発明においては、好ましくは、GLUT2遺伝子、GLUT5遺伝子及びSGLT1遺伝子のうちの1種以上の遺伝子の発現ピーク時間、より好ましくは、GLUT2遺伝子、GLUT5遺伝子及びSGLT1遺伝子の発現ピーク時間の2時間後から8時間後の間に、グルコサミン類を経口摂取させることが好ましい。本発明の一態様において、GLUT2遺伝子の発現ピーク時間の2時間後から8時間後の間に、グルコサミン類を経口摂取させることも好ましい。
【0020】
グルコーストランスポーター遺伝子の発現ピーク時間は、例えば、対象の小腸におけるグルコーストランスポーター遺伝子のmRNA発現量の変化を解析することにより確認することができる。グルコーストランスポーター遺伝子のmRNA発現量は、当業者に知られた任意の方法を用いて解析することができる。例えば、該遺伝子配列中の任意の配列をプローブとして用いたノーザンブロッティング解析、リアルタイムRT-PCR解析、DNAマイクロアレイを用いた発現解析等の方法を好適に用いることができる。遺伝子発現解析に供する試料としては、小腸組織(好ましくは十二指腸組織)が含まれる試料であればよい。本発明の第二の方法は、対象から採取した試料を用いて小腸におけるグルコーストランスポーター遺伝子の発現量の変化を解析し、グルコーストランスポーター遺伝子の発現ピーク時間を特定することを含んでもよい。
【0021】
後記の試験例に示されるように、ラットを12時間周期で明期/暗期の環境で飼育した場合、グルコーストランスポーター遺伝子の発現ピーク時間は、暗期開始時間の3時間前付近である。ヒトの通常の生活では、ラットと睡眠時間及び摂食時間の昼夜が通常逆であることから、ヒトにおけるグルコーストランスポーター遺伝子(例えば、GLUT2遺伝子、GLUT5遺伝子、SGLT1遺伝子等)の発現ピーク時間は、通常、午前1~7時頃、より具体的には、午前3~6時頃、さらに具体的には午前4~5時頃であることが推定される。例えば、その2時間後から8時間後の間にグルコサミン類を経口摂取させることが好ましい。一態様において、ヒトであれば、上述した午前5時~午後2時の間に、グルコサミン類を経口摂取させることが好ましく、午前6時~午前12時の間に、グルコサミン類を経口摂取させることがより好ましい。上記時間帯は、通常、グルコーストランスポーター遺伝子の発現ピーク時間から2時間後から8時間後の間であり、本発明における好ましい態様の一例である。
【0022】
本発明の方法においては、3時間以上絶食後の上記の特定の時間帯にグルコサミン類を経口摂取させる。グルコサミン類を経口摂取させる時間帯の好ましい態様の一例として、ヒト等の動物の1日の生活の中では、起床時から1回目の食事までが挙げられる。3時間以上絶食後、かつ、起床時から1回目の食事までに対象にグルコサミン類を経口摂取させることは、本発明における好ましい実施態様の一例である。
【0023】
上述したように、ヒトにおけるPer遺伝子の発現ピーク時間は、通常、起床時間周辺である。本発明の第一の方法の一態様においては、例えばヒトであれば、Per遺伝子の発現ピーク時間以降6時間以内の時間帯として、起床時以降好ましくは3.5時間以内、より好ましくは3時間以内にグルコサミン類を経口摂取させることができる。この場合、グルコサミン類を経口摂取させる時間帯として、例えば、起床時の0.5時間後から3.5時間後の間が好ましく、起床時の1時間後から3時間後の間がより好ましい。ヒトの場合、一態様として、起床時から1回目の食事(例えば朝食)前の上記時間帯(例えば起床時以降3.5時間以内)にグルコサミン類を摂取させることが好ましい。上記時間帯は、本発明の第二の方法における、グルコーストランスポーター遺伝子の発現ピーク時間の2時間後から8時間後の間の時間の好ましい態様の一例でもある。
また、マウス、ラット等のげっ歯類では、Per遺伝子の発現ピーク時間以降6時間以内の時間帯として、例えば、暗期開始時間の0.5時間後から6時間後の間が好ましく、0.5時間後から5時間後の間がより好ましく、0.5時間後から4時間後の間がさらに好ましく、1時間後から3.5時間後の間がさらにより好ましく、1.5時間後から3時間後の間が特に好ましい。上記時間帯は、本発明の第二の方法における、グルコーストランスポーター遺伝子の発現ピーク時間の2時間後から8時間後の間の時間の好ましい態様の一例でもある。
上記時間帯にグルコサミン類を摂取させることにより、グルコサミン類の吸収率が向上し、その生物学的利用率が向上する。
【0024】
本発明の第一の方法及び第二の方法について、以下にさらに説明する。
本発明におけるグルコサミン類は、グルコサミン若しくはその誘導体又はこれらの塩であり、1種使用してもよく、2種以上を組合わせて使用してもよい。グルコサミンの誘導体として、例えば、N-アセチルグルコサミン、N-メチル-L-グルコサミン等が挙げられる。グルコサミン又はその誘導体の塩としては、塩酸塩、硫酸塩、乳酸塩等が挙げられ、好ましくは塩酸塩である。中でも、グルコサミン類として、グルコサミン、グルコサミンの塩、N-アセチルグルコサミンの1種又は2種以上が好適に用いられる。グルコサミン類は、より好ましくは、グルコサミン、グルコサミン塩酸塩、グルコサミン硫酸塩、アセチルグルコサミンであり、グルコサミン、グルコサミン塩酸塩がさらに好ましい。
【0025】
本発明に使用できるグルコサミン類は、その由来、製法等について特に制限はない。グルコサミン類は、例えば、カニ、エビ、オキアミなどの甲殻類やイカの軟骨などに含まれるキチンを酸又は酵素により加水分解し、分離及び精製することによって得ることができる。また、グルコサミン類は、市販品を利用することもできる。
【0026】
グルコサミン類を経口摂取させる量(摂取量)は、例えば、成人のヒトであれば、一個体あたり、1日あたり50~5000mgが好ましく、500~3000mgがより好ましい。また、1日あたり、体重1kgあたりの摂取量は、例えば10~100mg/kg、より好ましくは10~60mg/kgとすることができる。本発明の方法においては、上記量のグルコサミン類を、1回で経口摂取させることが好ましい。また、本発明の一実施態様において、グルコサミン類の経口摂取は、1日に1回が好ましい。
【0027】
本発明の方法においては、グルコサミン類をそのまま経口摂取させることができる。また、グルコサミン類に、所望により他の成分を配合して組成物として経口摂取させることもできる。一態様において、好ましくは、グルコサミン類を含む組成物を経口摂取させる。グルコサミン類を含む組成物は、好ましくはグルコサミン類を有効成分として含む組成物である。グルコサミン類を含む組成物は、好ましくは、飲食品(飲食品組成物)、経口用医薬(経口用医薬組成物)、経口用医薬部外品(経口用医薬部外品組成物)、動物用飼料等の経口で摂取される形態の組成物であり、より好ましくは、飲食品、動物用飼料である。飲食品は特に限定されず、例えば、一般的な飲食品、健康食品、機能性表示食品、特定保健用食品、病者用食品、食品添加剤等が挙げられる。
【0028】
本発明の方法は、上記時間帯に、「起床時から1回目の食事までの間に摂取する」旨の表示を付したグルコサミン類を含む飲食品を対象に摂取させることを含む。本発明において、「起床時から1回目の食事までの間に摂取する」旨の表示には、一例として、「目覚めと共に摂取する」、「朝起きて一番に摂取する」、「寝起きと共に摂取する」、「目覚めて一番に摂取する」、「1日のスタートに摂取する」、「朝食前に摂取する」、「朝一番のエネルギー補給として摂取する」、「起床時に摂取する」、「1日の活動前に摂取する」、「1日の食事の前に摂取する」等の表示が含まれる。表示の方法として、グルコサミン類を含む飲食品の包装、容器、説明書、広告等への表示が挙げられる。
【0029】
グルコサミン類を含む組成物は、本発明の効果を損なわない限り、所望により、任意の添加剤、任意の成分を含むことができる。これらの添加剤及び成分としては、飲食品、経口用医薬、経口用医薬部外品、飼料等の経口用組成物一般的に使用可能なものを使用することができる。例えば甘味料、酸味料等を含んでもよい。また、製剤化において配合される賦形剤、結合剤、乳化剤、緊張化剤(等張化剤)、緩衝剤、溶解補助剤、防腐剤、安定化剤、抗酸化剤、着色剤、凝固剤、コーティング剤、香料等を含んでもよい。組成物は、グルコサミン類以外の有効成分、例えば、コンドロイチン、酵素処理ルチン、コラーゲン、ヒアルロン酸、ビタミン等を含んでもよい。これらの任意の成分は1種用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。一態様において、グルコサミン類を含む組成物は、グルコーストランスポーター(好ましくはGLUT2)の基質、例えばグルコース等の単糖類を含まないか、含んでいても少量であることも好ましい。
【0030】
グルコサミン類を含む組成物の形態は、特に限定されない。例えば、飲食品の場合、飲料等の液状食品、半固形状食品、固形状食品等のどのような形態でもよい。また、錠剤、カプセル、粉末、チュアブル錠等の経口用固形製剤;内服液剤、シロップ等の経口用液体製剤等の各種製剤形態とすることもできる。経口用医薬品、経口用医薬部外品は経口投与に適したものであればよい。
飲食品、医薬、医薬部外品、飼料等のグルコサミン類を含む組成物の製造方法は特に限定されず、グルコサミン類を用いて、一般的な方法により製造することができる。
グルコサミン類を含む組成物中のグルコサミン類の配合割合は特に限定されず、適宜設定することができる。例えば、組成物中に、グルコサミン類が、合計で0.1~95重量%が好ましく、10~80重量%がより好ましい。
【0031】
本発明の方法において、グルコサミン類を経口摂取させる対象は、哺乳動物(ヒト又は非ヒト哺乳動物)が好ましく、ヒトがより好ましい。非ヒト哺乳動物としては、例えば、ウシ、ウマ、ヤギ、イヌ、ネコ、ウサギ、マウス、ラット、モルモット、サル等が挙げられる。本発明の方法における対象として、グルコサミン類の生物学的利用率向上を希望する又は必要とする対象が好ましい。また、グルコサミン類は、変形性関節症の症状を改善する作用等を有することから、例えば、関節痛の予防又は改善のために使用される。本発明における対象として、膝関節に不具合を感じる対象、変形性関節症の予防又は改善を希望する又は必要とする対象等が好ましい。予防は、発症の防止、遅延、発症率の低下を包含する。改善は、症状の軽快、症状の進行抑制、症状の治癒を包含する。グルコサミン類の生物学的利用率の向上は、例えば、膝関節の痛み等の予防又は改善、変形性関節症の予防又は改善に寄与し得る。
本発明の方法は、治療的な方法であってもよく、非治療的な方法であってもよい。「非治療的」とは、医療行為、すなわち手術、治療又は診断を含まない概念である。
【0032】
上述したように、対象におけるPer遺伝子のmRNA発現量、又は、小腸におけるグルコーストランスポーター遺伝子のmRNA発現量は、生物学的利用率が向上するグルコサミン類の摂取時間(グルコサミン類を摂取する時間)を知る指標として使用できる。グルコサミン類の生物学的利用率が向上する摂取時間を知ることは、上述した関節痛の予防又は改善等のグルコサミン類による効果をより充分に得ることを希望する又は必要とする対象にとって有用である。
【0033】
本発明は、Per遺伝子のmRNA発現量を指標とした、生物学的利用率が向上するグルコサミン類の摂取時間を提示する方法も包含する。当該方法においては、Per遺伝子のmRNA発現量を指標として、該発現量が1日の中で最大となる時間以降6時間以内を、グルコサミン類の生物学的利用率が向上する摂取時間として提示すればよい。また、一態様において、当該方法おいては、上記Per遺伝子のmRNA発現量及び絶食時間を指標とし、3時間以上絶食後、かつ、該発現量が1日の中で最大となる時間以降6時間以内を、グルコサミン類の生物学的利用率が向上する摂取時間として提示することが好ましい。Per遺伝子の発現ピーク時間以降6時間以内の時間帯の好ましい態様は、上述した通りである。対象におけるPer遺伝子のmRNA発現量の解析等は上述した方法で行うことができる。本発明の方法は、対象から採取した試料を用いてPer遺伝子の発現量の変化を解析し、Per遺伝子の発現ピーク時間を特定することを含んでもよい。
【0034】
本発明は、小腸におけるグルコーストランスポーター遺伝子のmRNA発現量を指標とした、生物学的利用率が向上するグルコサミン類の摂取時間を提示する方法も包含する。当該方法においては、小腸におけるグルコーストランスポーター遺伝子のmRNA発現量を指標とし、上記発現量が1日の中で最大となる時間の2時間後から8時間後の間を、グルコサミン類の生物学的利用率が向上する摂取時間として提示すればよい。また、一態様において、当該方法おいては、上記グルコーストランスポーター遺伝子のmRNA発現量及び絶食時間を指標とし、3時間以上絶食後、かつ、該発現量が1日の中で最大となる時間の2時間後から8時間後の間を、グルコサミン類の生物学的利用率が向上する摂取時間として提示することが好ましい。グルコーストランスポーター遺伝子の発現ピーク時間の2時間後から8時間後の間の時間帯の好ましい態様は、上述した通りである。対象の小腸におけるグルコーストランスポーター遺伝子のmRNA発現量の解析等は上述した方法で行うことができる。本発明の方法においては、対象から採取した試料を用いて小腸におけるグルコーストランスポーター遺伝子の発現量の変化を解析し、グルコーストランスポーター遺伝子の発現ピーク時間を特定することを含んでもよい。
【0035】
本発明は、以下のグルコサミン類を含む関節痛の予防又は改善剤も包含する。
グルコサミン類を含む関節痛の予防又は改善剤であって、下記(i)又は(ii)において、対象に経口摂取させるための、関節痛の予防又は改善剤。
(i)3時間以上絶食後、かつ、Period遺伝子のmRNA発現量が1日の中で最大となる時間以降6時間以内
(ii)3時間以上絶食後、かつ、小腸におけるグルコーストランスポーターのmRNA発現量が1日の中で最大となる時間から2時間後から8時間後の間
【0036】
本発明の関節痛の予防又は改善剤は、グルコサミン類を有効成分として含む。
上記の(i)又は(ii)の時間帯に対象にグルコサミン類を経口摂取させることにより、グルコサミン類の生物学的利用率が向上し、グルコサミン類による関節痛の予防又は改善効果が増強される。グルコサミン類を摂取させる時間の好ましい態様は、上述した通りである。本発明の関節痛の予防又は改善剤は、1日1回経口摂取させることが好ましい。
【0037】
本発明の関節痛の予防又は改善剤は、上述した任意の添加剤、任意の成分を含む組成物であってよい。グルコサミン類を含む組成物及びその好ましい態様は、上述した組成物及びその好ましい態様と同じである。グルコサミン類の摂取量等も上述した通りである。
本発明の関節痛の予防又は改善剤は、上述した経口用医薬品、経口用医薬部外品、飲食品、飼料等とすることができる。本発明の関節痛の予防又は改善剤は、包装、容器、説明書、添付文書、広告等に用途、有効成分の種類、使用方法等の1又は2以上を表示してもよい。一態様において、本発明の関節痛の予防又は改善剤には、上記の「起床時から1回目の食事までの間に摂取する」旨の表示を付してよい。
【実施例】
【0038】
以下、本発明を試験例によりさらに詳しく説明するが、これにより本発明の範囲を限定するものではない。時刻は24時間表記(0:00-24:00)で示した。なお、一連の動物実験は、動物愛護管理法他関連法令を遵守し、社内動物実験委員会の審査を経て機関の長が承認した計画に基づき実施した。
【0039】
<実験動物>
7週齢Lewis系雄性ラットを日本エスエルシー株式会社より購入した。ラットは、プラスチックケージの中で2-3匹の群飼育とし、自由摂食飲水、12時間明暗周期(明期:時刻7:00-19:00)、恒温(24±1℃)条件下の室内で1週間以上飼育した後、実験に使用した。
【0040】
<グルコサミン>
D(+)-グルコサミン塩酸塩(以下、GlcN-HCl)(プロテインケミカル(株)製)を、大塚蒸留水((株)大塚製薬工場)に用時に溶解させて使用した。GlcN-HCl水溶液は、投与容量を2mL/kgとして、ラットに経口投与した。
【0041】
以下の試験において、血漿中のグルコサミン(GlcN)濃度は、以下の方法により測定した。
<血漿中GlcN濃度測定>
尾静脈より血液を採取した。採取した血液は、直ちにEDTA処理を行った後、3,000×g、15℃で10分間遠心分離し、血漿を得た。血漿は測定まで-80℃で凍結保存した。
血漿中GlcN濃度の測定には、内部標準法を用いた。内部標準物質として13C-グルコサミンを使用し、血漿40μLに内部標準溶液5μL、アセトニトリル200μLを加え撹拌し、氷上静置10分間した後、遠心分離(4℃、12,000rpm、10min)を行った。得られた上清200μLについて、LC-MS/MSを用いて後述の分析条件でGlcN濃度を測定した。GlcN-HCl投与前の血漿中GlcN濃度を、投与時間0時間の血漿中GlcN濃度とした。
【0042】
血漿中GlcN濃度のLC-MS/MS分析条件
<HPLC条件>
カラム:Asahipak NH2P-50 2D 5.0μm,2.0×150mm(Shodex)(昭和電工(株))
ガードカラム:Asahipak NH2P-50G 2A 5.0μm,2.0×30mm(Shodex)(昭和電工(株))
移動相:10mM酢酸水溶液(アンモニアでpH7.5に調整):アセトニトリル=20:80(v/v)
流速:0.4mL/min
注入量:10.00μL
カラムオーブン:28±5℃
サンプルクーラー:10±5℃
【0043】
<MS/MS条件>
MS検出器:Quatro micro LC/MS/MS(Waters社)
モニターイオン:180.1→162.1
Ion spray voltage:3,500V
温度:350℃
【0044】
<統計解析>
多群間の比較には一元配置分散分析(one-way ANOVA)を、特定の2群間の比較にはScheffe’s testを用いた。独立した2群間の比較にはStudent’s t-testを用いた。24時間の周期性の有無の評価にはCosiner法を用いた。有意水準は5%とした。
【0045】
<試験例1>
(GlcNの体内動態に及ぼす絶食飼育環境の影響)
血漿中GlcN濃度に及ぼす摂食の影響を調べた。自由摂食又は投与12時間前絶食環境下(時刻22:00-10:00)で飼育したラットにGlcN-HCl 500mg/kgを時刻10:00に単回経口投与した。自由摂食群(n=3)は、試験開始前から試験終了まで継続して自由摂食環境下で飼育した。投与12時間前絶食群(n=3)は、GlcN-HCl投与12時間前から試験終了まで絶食環境下で飼育した。両群ともに常に自由飲水環境下で飼育した。
GlcN-HCl投与前、及び、GlcN-HCl投与から0.083、0.25、0.5、1、2、3、4時間後の各時間にラット尾静脈より採血を行い、上記方法で、血漿中のGlcN濃度を測定した。結果を
図1に示す。
【0046】
図1は、GlcN-HClを単回投与後の、ラットの血漿中GlcN濃度の経時変化を示すグラフである。
図1に示す値は、平均±S.D.(n=3)である。
図1中、○は自由摂食群、●は投与12時間前絶食群である。横軸は、GlcN-HCl投与後の経過時間である。
各測定時点での血漿中GlcN濃度に両投与群間で有意な差異はみられなかった。
また、各測定時点の血漿中GlcN濃度からAUC
0-4hrを算出した。各群におけるAUC
0-4hrの平均値は、自由摂食群で12.2(μg/mL・hr)、投与12時間前絶食群で14.1(μg/mL・hr)であり、両群間でAUC
0-4hrに有意な差異はみられなかった。これらの結果から、GlcN-HClの空腹時投与では、GlcNの吸収率を向上させることはできなかった。
【0047】
<試験例2>
(血漿中GlcN濃度に及ぼす投与時刻の影響)
自由摂食環境下のラットにGlcN-HCl 500mg/kgを時刻4:00、10:00、16:00又は22:00に単回経口投与した(各群n=6)。ラットは、GlcN-HCl投与後に絶食環境下とした。また試験開始前から試験終了まで自由飲水環境下で飼育した。
GlcN-HCl投与前、及び、GlcN-HCl投与から0.083、0.25、0.5、1、2、3、4時間後の各時間にラット尾静脈より採血を行い、上記方法で、血漿中のGlcN濃度を測定した。結果を
図2に示す。
【0048】
図2は、GlcN-HClを単回投与後の、ラットの血漿中GlcN濃度の経時変化を示すグラフである。
図2に示す値は、平均±S.D.(n=6)である。
図2中、▲は4:00投与群、○は10:00投与群、△は16:00投与群、●は22:00投与群である。
図2の横軸は、GlcN-HCl投与後の経過時間である。
各測定時点での血漿中GlcN濃度は、すべての投与群間で有意な差異はみられなかった。
また、各測定時点の血漿中GlcN濃度からAUC
0-4hrを算出した。各群におけるAUC
0-4hrの平均値は、4:00投与群で19.5(μg/mL・hr)、10:00投与群で15.5(μg/mL・hr)、16:00投与群で16.8(μg/mL・hr)、22:00投与群で16.4(μg/mL・hr)であり、すべての群間でAUC
0-4hrに有意な差異はみられなかった。これらの結果から、自由摂取環境下において、投与時刻の違いによりGlcNの吸収率を向上させることはできなかった。
【0049】
<試験例3>
(ラットの自発運動及び摂食行動の日内変動)
ラットの摂食行動及び活動リズムを以下の方法で測定した。
自由摂食飲水、12時間明暗周期(明期:時刻7:00-19:00)条件下のラットを対象に、15分毎にラットの自発運動量及び摂食量を測定した。測定には、cFDM-700AS(ラット用摂餌制限機能付摂餌量測定装置、MELQUEST社)を用いて、ラットはプラスチック測定ケージの中で個別飼育とした。
【0050】
ラットは、暗期の始まりである19:00頃に活動を開始し、暗期の間、断続的に活発な活動がみられた。各測定日における暗期及び明期での活動量の平均値は、暗期が8095.3(counts/12hr)及び明期が2090.1(counts/12hr)であり、摂食量の平均値は、暗期が12.8(g/12hr)及び明期が5.4(g/12hr)であった。総活動量中の暗期の活動量の占める割合は約80%、総摂食量中の暗期の摂食量の占める割合は約70%であり、自発運動及び摂食行動が暗期の間で活発に行われていることが確認された。
表1に、各測定日における3時間毎の自発運動量及び摂食量の平均値を示した。その結果、自発運動量及び摂食量のピークは、暗期の初期である19:00から22:00までの時間帯であった。また、19:00から22:00の時間帯をピークとした自発運動量及び摂食量の日内変動は、測定期間中、各測定日において継続して確認された。
【0051】
【0052】
<試験例4>
(投与3時間前より絶食環境下で飼育したラットを対象にした投与時刻の違いによる血漿中GlcN濃度への影響)
投与3時間前より絶食環境下で飼育したラットを対象にGlcN-HCl 500mg/kgを時刻4:00、10:00、16:00又は22:00に単回経口投与した。ラットは、GlcN-HCl投与3時間前から試験終了まで絶食環境下で飼育したが、水は自由に摂取させた。
GlcN-HCl投与前、及び、GlcN-HCl投与から0.083、0.25、0.5、1、2、3、4時間後の各時間にラット尾静脈より採血を行い、上記方法で、血漿中のGlcN濃度を測定した。結果を
図3に示す。
【0053】
図3は、GlcN-HClを単回投与後の、ラットの血漿中GlcN濃度の経時変化を示すグラフである。
図3に示す値は、平均±S.D.(n=6)である(*:P<0.05 vs.4:00投与群;#:P<0.05、##:P<0.01 vs.10:00投与群;†:P<0.05、††:P<0.01 vs.16:00投与群(Scheffe’s test))。
図3中、▲は4:00投与群、○は10:00投与群、△は16:00投与群、●は22:00投与群である。
図3の横軸は、GlcN-HCl投与後の経過時間である。
【0054】
GlcN-HCl投与0.25時間後の血漿中GlcN濃度は、22:00投与群が、16:00投与群と比較して有意に高値を示した(P<0.05)。また、GlcN-HCl投与0.5時間後及び1時間後の血漿中GlcN濃度は、22:00投与群が、他の投与群と比較して有意に高値を示した(それぞれ、P<0.05及びP<0.01)。さらにGlcN-HCl投与2時間後の血漿中GlcN濃度は、4:00投与群及び22:00投与群が、16:00投与群と比較して有意に高値を示した(それぞれP<0.05)。
【0055】
また、各測定時点の血漿中GlcN濃度からAUC0-4hrを算出した。各群におけるAUC0-4hrの平均値は、4:00投与群で19.5(μg/mL・hr)、10:00投与群で16.1(μg/mL・hr)、16:00投与群で12.5(μg/mL・hr)、22:00投与群で27.8(μg/mL・hr)であった。22:00投与群のAUC0-4hrは、10:00投与群及び16:00投与群のAUC0-4hrと比較してそれぞれ1.73倍及び2.22倍であった(vs.10:00投与群:P<0.05、vs.16:00投与群:P<0.01)。
【0056】
(各投与時刻での摂食条件の違いによる血漿中GlcN濃度への影響)
図4に、
図2及び
図3に示したデータを用いて、各投与時刻における自由摂食群及び投与3時間前絶食群の血漿中GlcN濃度の経時変化を示した((a)は、4:00投与群、(b)は、10:00投与群、(c)は、16:00投与群、(d)は、22:00投与群)。
図4(a)~(d)に示す値は、平均±S.D.(n=6)である(*:P<0.05 vs.各自由摂食群(Student’s t-test))。
図4(a)~(d)中、□は、自由摂食群、■は、投与3時間前絶食群である。
【0057】
22:00投与(
図4(d))における投与3時間前絶食群の血漿中GlcN濃度は、自由摂食群と比較して、投与後0.083時間目から1時間目までのすべての測定時点で有意に高値を示し(それぞれP<0.05)、投与3時間前絶食群のAUC
0-4hrは、自由摂食群と比較し1.70倍であった(P<0.05)。
4:00投与(
図4(a))及び10:00投与(
図4(b))においては、各測定時点での血漿中GlcN濃度及びAUC
0-4hrに両投与群間で有意な差異はみられなかった。16:00投与(
図4(c))における投与3時間前絶食群の血漿中GlcN濃度は、自由摂食群と比較して、投与後0.5時間目及び1時間目で有意に低値を示し(それぞれP<0.05)、投与3時間前絶食群のAUC
0-4hrは、自由摂食群と比較し0.74倍であった(P<0.05)。
このように22:00投与3時間前絶食群においてのみ、血漿中GlcN濃度が上昇した。以上より、特定の投与時刻で数時間摂食しないときにグルコサミン類を摂取すると、GlcNの血中濃度が顕著に増加することが明らかとなった。
【0058】
<試験例5>
(小腸組織中トランスポーターmRNA発現の概日リズムの評価)
ラットの小腸におけるグルコーストランスポーター(GLUT2、GLUT5及びSGLT1)のmRNA発現量の変化を調べた。
【0059】
(小腸組織の採取)
組織採取3時間前より絶食環境下(水は自由に摂取)で飼育したラットを対象に、時刻4:00、10:00、16:00、22:00に全身麻酔下で下大動脈よりPBS(-)を潅流させ、脱血致死後に十二指腸を採取した。組織サンプルは、-80℃にて凍結保存した。
【0060】
(Total RNA抽出)
採取した組織にRNAiso(TAKARA Bio Inc.)500μLを加え、氷冷却条件下でホモジナイズした。ホモジネートにクロロホルム100μLを加えてボルテックスし、室温で5分間静置後、12,000×g、4℃で15分間遠心分離した。その上清を採取し、イソプロパノール300μLを加え、転倒混和後、室温で10分間静置した。12,000×g、4℃で10分間遠心分離した後、上清を取り除いた。残渣に75%エタノールを加え、7,500×g、4℃で5分間遠心分離後、上清を取り除き風乾させ、残渣をTE buffer 22μLに溶解した。極微量分光光度計(LMS Nanodrop 1000、Thermo Fisher Scientific社)を用いてRNA濃度を測定した後、TE bufferを加え500ng/μLに調整し、Total RNAサンプルとした。
【0061】
(ゲノムDNA(gDNA)除去及びcDNA合成)
以下の実験はPrimeScript RT reagent Kit(TAKARA Bio Inc.)のプロトコールに準じて行った。Total RNAサンプル 1μL、5×gDNA Eraser Buffer 1μL、gDNA Eraser 0.5μL、RNase free water 2.5μLを混合した。PCR Thermal Cycler(Applied Biosystems)を用いて42℃、2分でgDNAase処理を行った。その後、5×PrimeScript Buffer 2(for Real Time)2.5μL、RT Primer Mix 0.5μL、PrimeScript(登録商標)RT Enzyme Mix I 0.5μL、RNase free water 2.5μLを混合し、PCR Thermal Cyclerを用いて37℃、15分、85℃、5秒で反応を行い、cDNAを合成した。
【0062】
(リアルタイムRT-PCR法)
各mRNAの発現量はリアルタイムRT-PCR法を用いて測定した。リアルタイムPCR反応はKOD SYBR qPCR Mix(TOYOBO CO.,LTD)を用い、GAPDH、GLUT2、GLUT5、SGLT1プライマーは以下に示す配列のものを用いた。
Rat GAPDH (GenBank accession number : NM_017008.4)
Forward: 5’- AAAGCTGTGGCGTGATGG-3’(配列番号1)
Reverse: 5’- TTCAGCTCTGGGATGACCTT-3’(配列番号2)
【0063】
Rat GLUT2 (GenBank accession number : NM_012879.2)
Forward: 5’- TGTGGGCTAATTTCAGGACTGG -3’(配列番号3)
Reverse: 5’- AAGAGCCAGTTGGTGAAGAGTG -3’(配列番号4)
【0064】
Rat GLUT5 (GenBank accession number : NM_031741.1)
Forward: 5’- ATCTTCTCCTCATCGGCTTCTC -3’(配列番号5)
Reverse: 5’- CAATGACACAGACGATGCTGAC -3’(配列番号6)
【0065】
Rat SGLT1 (GenBank accession number : NM_013033.2)
Forward: 5’- TGGAGTCTACGTAACAGCACAG -3’(配列番号7)
Reverse: 5’- GTCATATGCCTTCCTGAAGCAC -3’(配列番号8)
【0066】
cDNAサンプル2μL、forward primer 0.2μL(最終濃度0.2μM)、reverse primer 0.2μL(最終濃度0.2μM)、ROX reference Dye 0.4μL、KOD SYBR qPCR Mix 10μL、RNase free water 7.2μLを混合した。StepOnePlus(Applied Biosystems)を用いて初期変性を98℃、2分の条件で行った後に、解離反応を98℃、10秒、アニーリングを60℃、10秒、伸長反応を68℃、30秒の条件でPCR反応を40サイクル行った。さらに、PCR反応後に融解温度の測定を行った。
内部標準として、GAPDH遺伝子のmRNA発現量を測定し、GAPDH遺伝子に対する各遺伝子の相対mRNA発現量を算出した。
【0067】
図5は、ラット十二指腸組織中のGLUT2遺伝子、GLUT5遺伝子及びSGLT1遺伝子の各mRNA発現量の24時間のリズムを示すグラフである((a):GLUT2、(b):SGLT1、(c):GLUT5)。
図5(a)~(c)に示す値は、平均±S.D.(n=4)である。
図5(a)~(c)に示す結果は、GAPDH遺伝子のmRNA量に対する相対mRNA量である。
GLUT2、GLUT5及びSGLT1のmRNA発現量には、概日リズムが観察された(GLUT2:F from ANOVA=10.149、P<0.01,P from Cosinor<0.01;GLUT5:F from ANOVA=23.143、P<0.01、P from Cosinor<0.01;SGLT1:F from ANOVA=33.928、P<0.01、P from Cosinor<0.01)。
GLUT2及びGLUT5のmRNA発現量には、時刻16:00に最高値を、4:00に最低値を示す有意な概日リズムが観察された(それぞれP<0.01)。また、SGLT1のmRNA発現量には、16:00に最高値を、10:00に最低値を示す有意な概日リズムが観察された(P<0.01)。
【0068】
<試験例6>
グルコサミンの生物学的利用率の評価
自由摂食又は投与3時間前より絶食環境下で飼育したラットを対象にGlcN-HCl(50mg/kg)を時刻22:00に尾静脈内投与した。GlcN-HCl投与から0.083、0.25、0.5、1、2、3、4時間後の各時間に尾静脈より血液を採取し、上記の方法で血漿中のGlcN濃度を測定した。
【0069】
投与3時間絶食後の静脈注射時の血漿中GlcN濃度からAUC0-4hrを算出した。静脈投与(GlcN-HCl 50mg投与)のAUC0-4hr(静脈投与AUC)の平均値±SDは、29.2±1.6(μg/mL・hr)であった(n=3)。
試験例4の結果から、自由摂食又は投与3時間前より絶食環境下で飼育したラットを対象にGlcN-HCl(500mg/kg)を22:00に経口投与した場合のAUC0-4hr(経口投与AUC)は、自由摂食群の経口投与群のAUC0-4hrの平均値±SDは、16.4±3.6(μg/mL・hr)であり、投与3時間前絶食群が27.8±8.0(μg/mL・hr)であった(いずれも、n=6)。
経口投与AUC及び絶食群の静脈投与AUCから、以下の式により、22:00投与の際の自由摂食群及び投与3時間前絶食群のGlcNの生物学的利用率(BA)を算出した。
生物学的利用率(%)=100×経口投与AUC/絶食群の静脈投与AUC
【0070】
自由摂食群においては、GlcNの生物学的利用率が6%であった。投与3時間前絶食群の生物学的利用率は10%であり、自由摂食群の1.70倍であった。
上記の試験例から、所定時間絶食後の空腹時、かつ、小腸におけるグルコーストランスポーターのmRNA発現量が1日の中で高値を示す時刻から所定時間後にグルコサミン類を経口摂取させることによって、グルコサミン類の生物学的利用率を向上させることができることが明らかとなった。
【0071】
上記の試験においては、ラットでは、明期である昼間が睡眠時間にあたり、暗期である夜間が摂食時間にあたる。上記試験では、小腸におけるグルコーストランスポーター遺伝子のmRNA発現は、暗期開始前の16時(16:00)に最高値を示した。ヒトの場合は、ラットと睡眠時間及び摂食時間の昼夜が通常逆であり、通常は夕食後から起床時間までは絶食時間である。このため、上記のラットの結果をヒトに当てはめると、ヒトの通常の生活では、起床時から朝食までにグルコサミン類を経口摂取させることによって、グルコサミン類の吸収率を向上させることができると考えられる。
【配列表】