(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-14
(45)【発行日】2022-09-26
(54)【発明の名称】エチレン-Α-オレフィンコポリマー-リン酸トリアリル組成物
(51)【国際特許分類】
C08F 255/00 20060101AFI20220915BHJP
C08K 5/14 20060101ALI20220915BHJP
C08K 5/521 20060101ALI20220915BHJP
C08L 23/08 20060101ALI20220915BHJP
C08L 51/06 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
C08F255/00
C08K5/14
C08K5/521
C08L23/08
C08L51/06
(21)【出願番号】P 2019543111
(86)(22)【出願日】2018-02-21
(86)【国際出願番号】 US2018018903
(87)【国際公開番号】W WO2018160402
(87)【国際公開日】2018-09-07
【審査請求日】2021-02-09
(32)【優先日】2017-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100128761
【氏名又は名称】田村 恭子
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】バーラト・アイ・チャウダリー
【審査官】宮内 弘剛
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第03974132(US,A)
【文献】米国特許第04198310(US,A)
【文献】国際公開第2010/017554(WO,A1)
【文献】日本化学会編,改訂5版 化学便覧 基礎編 I,日本,2004年02月20日,p.719
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08K3/00-13/08
C08L1/00-101/14
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
過酸化物硬化性エチレンコポリマー組成物であって、58.00~99.90重量パーセント(重量%)の(A)架橋性エチレン/α-オレフィンコポリマー(「コポリマー(A)」または「成分(A)」)であって、
メタロセン触媒またはポストメタロセン触媒の存在下で、エチレンとα-オレフィンコモノマー、ならびに任意選択的に非共役ジエンおよび第2のα-オレフィンから選択される別のコモノマーとを共重合させることを含むプロセスによって製造された、架橋性エチレン/α-オレフィンコポリマーと、0.050~0.949重量%の(B)リン酸トリアリル(TAP)と、0.050~5.00重量%の(C)有機過酸化物と、0.00~40重量%の(D)エチレン/不飽和カルボン酸エステルコポリマー、ポリエチレンホモポリマー、非(分子触媒)形成エチレン/α-オレフィンコポリマー、およびプロピレン系ポリマーから選択される補助ポリマーと、を含み、但し、成分(A)および成分(D)の総重量は80.00~99.90重量%であるものとし、全ての重量%は、前記過酸化物硬化性エチレンコポリマー組成物の総重量に基づいており、前記過酸化物硬化性エチレンコポリマー組成物の総重量は100.0重量%であ
り、
前記過酸化物硬化性エチレンコポリマー組成物を硬化することにより、少なくとも20%の熱老化後(136℃で7日間)の引張伸び保持率(TER)と、少なくとも6分間の酸化誘導時間(OIT)(O
2
、185℃)とを有する架橋エチレン/α-オレフィンコポリマー生成物を生成する、組成物。
【請求項2】
制約(i)~(ii)のいずれか1つによってさらに説明される、請求項1に記載の組成物:
(i)前記α-オレフィンコモノマーは(C
3~C
20)α-オレフィンであり、前記(A)架橋性エチレン/α-オレフィンコポリマーは、特性(a
1)
、(a2)、(b)および(c)のうちの少なくとも1つによって特徴付けられるエチレン-(C
3-C
20)α-オレフィンコポリマ
ーである:
(a1)ASTM D790-15e2に従って測定される
0psi超~40,000psi(
0MPa超~278MPa)の曲げ弾性率(2%割線)および/または
(a2)ASTM D792に従って測定される1立方センチメートル当たり0.850~0.930グラム(g/cm
3)の密度、
(b)ASTM 3418-15に従って示差走査熱量測定(DSC)により測定される-130℃~-20℃のガラス転移温度(T
g)、ならびに
(c)ASTM D1238-04に従って測定される毎分0.5デシグラム(dg/分)~50dg/分のメルトインデックス(190℃、2.16キログラム(kg)、「I
2」)、あるいは
(ii)前記α-オレフィンコモノマーはプロピレンであり、別のコモノマーが使用され、それは非共役(C
6-C
20)ジエンであり、
前記(A)架橋性エチレン/α-オレフィンコポリマーは、特性(a
1)
、(a2)、(b)および(c)のうちの少なくとも1つによって特徴付けられるエチレン-プロピレン-(C
6-C
20)ジエンコポリマ
ー(EPDM)である:
(a1)ASTM D790-15e2に従って測定される
0psi超~20,000psi(
0MPa超~138MPa)の曲げ弾性率(2%割線)および/または
(a2)ASTM D792に従って測定される0.850~0.910g/cm
3の密度、
(b)ASTM 3418-15に従って示差走査熱量測定(DSC)により測定される-130℃~-20℃のガラス転移温度(T
g)、ならびに
(c)ASTM D1238-04に従って測定される毎分0.1デシグラム(dg/分)~50dg/分のメルトインデックス(190℃、2.16キログラム(kg)、「I
2」)。
【請求項3】
制約(i)~(iv)のいずれか1つによってさらに説明される、請求項1または2に記載の組成物:(i)前記(A)架橋性エチレン/α-オレフィンコポリマーは前記過酸化物硬化性エチレンコポリマー組成物の90~99重量%であり、前記過酸化物硬化性エチレンコポリマー組成物は前記(D)補助ポリマーを含まない(欠く)、(ii)前記(A)架橋性エチレン/α-オレフィンコポリマーは前記過酸化物硬化性エチレンコポリマー組成物の58.00~90.00重量%であり、前記(D)補助ポリマーは前記過酸化物硬化性エチレンコポリマー組成物の40.0~1.0重量%である、(iii)前記(D)補助ポリマーはポリプロピレンホモポリマーである、ならびに(iv):(ii)および(iii)の両方。
【請求項4】
制約(i)~(iv)のいずれか1つによってさらに説明される、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物:(i)前記(B)リン酸トリアリル(TAP)は0.090~0.940重量%である、(ii)前記(B)リン酸トリアリル(TAP)は0.100~0.900重量%である、(iii)前記(B)リン酸トリアリル(TAP)は0.19~0.849重量%である、(iv)前記(B)リン酸トリアリル(TAP)は0.200~0.800重量%である(全ての重量%は、前記過酸化物硬化性エチレンコポリマー組成物の総重量に基づく)。
【請求項5】
制約(i)または(ii)によってさらに説明される、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物:(i)成分(A)~(D)の合計量はその100重量%である、または(ii)成分(A)~(D)の前記合計量は100重量%未満であり、前記過酸化物硬化性エチレンコポリマー組成物は、成分(E)~(O)のうちの少なくとも1つをさらに含む:(E)酸化防止剤、(F)TAPではない助剤、(G)ポリジメチルシロキサン(PDMS)流体、(H)ヒンダードアミン安定剤、(I)難燃剤、(J)トリー遅延剤、(K)着色剤、(L)液体芳香族または飽和炭化水素(LASH)、(M)メチルラジカル捕捉剤、(N)スコーチ遅延剤、および(O)充填剤。
【請求項6】
請求項
5に記載の過酸化物硬化性エチレンコポリマー組成物を製造する方法であって、有効量の成分(A)~(C)と、いずれか任意の成分(D)~(O)とを接触させて、前記過酸化物硬化性エチレンコポリマー組成物を得ることを含む、方法。
【請求項7】
請求項1~5のいずれか一項に記載の過酸化物硬化性エチレンコポリマー組成物を硬化してなる生成物である、架橋エチレン/α-オレフィンコポリマー生成物。
【請求項8】
請求項7に記載のエチレン/α-オレフィンコポリマー生成物の成形体を含む、製造品。
【請求項9】
導電性コアと、前記導電性コアを少なくとも部分的に覆う絶縁層と、を備える、被覆導体であって、前記絶縁層の少なくとも一部分が請求項7に記載の架橋エチレン/α-オレフィンコポリマー生成物を含む、被覆導体。
【請求項10】
電気を伝導する方法であって、請求項9に記載の被覆導体の前記導電性コア全体に電圧を印加して、前記導電性コアを通る電気の流れを発生させることを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この分野には、エチレン/α-オレフィンコポリマー組成物、それから製造される硬化生成物、それを製造および使用する方法、ならびにそれを含有する物品が含まれる。
【背景技術】
【0002】
絶縁導電体/光導体は、絶縁導電体、絶縁光導体、および絶縁電気光学導体を含む。絶縁光導体は、データ伝送用途に使用するための被覆光ファイバーおよび光ファイバー(ファイバーオプティック)ケーブルを含む。絶縁導電体は、低電圧、中電圧、高電圧および超高電圧送電/配電用途に使用するための被覆金属ワイヤおよび電力ケーブルを含む電気ケーブルを含む。絶縁電気光学導体は、データ伝送および/または送電用途に使用するための被覆光ファイバーおよび被覆金属ワイヤを含む。
【0003】
様々な種類のワイヤおよびケーブル組成物が、US3,974,132、US7,858,705(B2)、WO2007/056154、WO2010/017553、WO2010/017554、WO2015/009562、WO2016/200600(A1)、PCT/US16/048014、またはPCT/US16/056719に言及されている。
【0004】
L.L.Valdiserriに対するUS3,974,132(「VALDISERRI」)は、オレフィンポリマーを硬化させるためのプロセスに関する。言及されているのは、リン酸トリアリルが助剤として使用される熱硬化性エチレンポリマー組成物である。組成物は有機過酸化物「触媒」も含有する。言及されているエチレンポリマーの例として、低密度ポリエチレン(LDPE)、摂氏25度(℃)より高いTg(ガラス転移温度)を有するエチレンコポリマー、またはエチレン-プロピレン-1,4-ヘキサジエンターポリマーが挙げられる。発見のタイムラインに基づいて、VALDISERRIのエチレンポリマーを製造するのに使用されるいずれの触媒もチーグラー・ナッタ触媒であった。
【0005】
J.S.Parentらに対するUS7,858,705(B2)(「PARENT」)は、官能化ポリオレフィン、湿気硬化型ポリオレフィン樹脂、およびそれらの製造業者のプロセス(sic)に関する。実施例5の一態様において、3-メルカプトプロピルトリメトキシシランを添加する前に、リン酸トリアリルをアイソタクチックポリプロピレン分解剤に含めた。アイソタクチックポリプロピレンはペレットの形態であり、50,000の数平均分子量および多分散度=3.8を有していた。
【0006】
B.Chaudharyらに対するWO2010/017554(A1)(「CHAUDHARY」:本出願のB.Chaudharyと同じ)は、グラフト化難燃剤を含むポリオレフィン組成物に関する。CHAUDHARYは、(a)ポリオレフィンおよび(b)グラフト可能なリン含有助剤から製造されるかまたはそれを含有する難燃性組成物を含む。CHAUDHARYは、グラフト化難燃剤が結合したポリオレフィンも含む。(b)は、約1.0重量パーセントより多く約20.0重量パーセントまでの量である。好適なグラフト可能なリン含有助剤は、リン、窒素、およびケイ素元素を同時に含有することができる。とりわけ、オクテンコモノマー含有量=7.3モルパーセントを有するメタロセン触媒エチレン-オクテンコポリマーを含む例が挙げられる。エステルコモノマーに起因するコポリマーの部分が、コポリマーの重量に基づいて約5~約50重量パーセント、好ましくは約15~約40重量パーセントであるエチレン/不飽和エステルコポリマーが言及されている。一例として、分子触媒を用いて製造されないエチレン-酢酸ビニルコポリマーであるELVAX 265が挙げられる。
【発明の概要】
【0007】
我々は、VALDISERRIのエチレンポリマー、PARENTのアイソタクチックポリプロピレン、および7.3モルパーセントオクテンコモノマー含有量のCHAUDHARYのメタロセン触媒エチレン-オクテンコポリマーの例が、可撓性電気絶縁体等の可撓性製品としての使用に十分な可撓性を欠く場合があることを認識した。それらはまた、中電圧~超高電圧電力ケーブルに使用するのに十分な熱安定性または酸化安定性を欠く場合もある。
【0008】
我々は、長期間熱に曝露されてきた既存の絶縁導電体/光導体の被覆(例えば、単層被覆または多層被覆)は、可撓性が低下し、酸化して脆化する傾向があることを認識した。十分な可撓性、熱安定性または酸化安定性、および単層被覆または多層被覆として使用するための散逸率を示す新規架橋ポリオレフィン材料、例えば、特に、中電圧~超高電圧用途の電力ケーブルにおける、絶縁導電体/光導体の多層被覆の改善された架橋ポリオレフィン絶縁層が必要である。その場合、我々の課題は、硬化させたときに、向上した(すなわち増大した)可撓性、向上した(増大した)熱安定性および/もしくは酸化安定性、ならびに/または未変化もしくは3倍未満悪化した(増大した)散逸率を有する新しい架橋ポリオレフィン材料をもたらす、新しい硬化性ポリオレフィン組成物を配合することであろう。熱安定性および/または酸化安定性の特徴付けのために、熱老化後の引張伸び保持率(TER)および/または酸化誘導時間(OIT)を測定することができる。熱老化後のTERは、後述の手順に従って測定される136℃で7日後、または136℃で28日後の引張伸び保持率(「TER(7d、136℃)」または「TER(28d、136℃)」)、集合的に「TER(7dまたは28d、136℃」)であり得る。酸化誘導時間は、後述の手順(「OIT(O2、185℃)」)に従って、185℃の分子酸素雰囲気中で測定することができる。散逸率の特徴付けに関しては、ASTM D150を使用して、後述の手順に従って130℃、60ヘルツ(Hz)、および2キロボルト(kV)で測定することができる(「DF(130℃、60Hz、散逸率2kV)」)。
【0009】
この問題に対する我々の技術的解決策は、(A)架橋性エチレン/α-オレフィンコポリマー、(B)有効量のリン酸トリアリル(TAP)、および(C)有機過酸化物を含む、新しい過酸化物硬化性エチレンコポリマー組成物(本発明の組成物)を含む。(A)架橋性エチレン/α-オレフィンコポリマーは、有用な分子触媒の存在下で、エチレンとα-オレフィンコモノマー、ならびに任意選択的に非共役ジエンおよび第2のα-オレフィンから選択される別のコモノマーとを共重合させることを含むプロセスによって製造される。本発明の組成物を硬化させることによって製造される新しい架橋エチレン/α-オレフィンコポリマー(本発明の架橋生成物)も含まれる。本発明の架橋生成物は、単層被覆または多層被覆として、例えば、絶縁導電体/光導体の多層被覆の架橋ポリオレフィン絶縁層として使用するのに十分な、さらに向上した(すなわち増大した)可撓性、ならびに向上した(すなわち増大した)熱安定性および酸化安定性、ならびに十分な散逸率を有する。我々の技術的解決策はまた、本発明の組成物と、本発明の組成物または架橋生成物を含むかまたはそれから製造される物品と、を製造および使用する方法も含む。本発明の組成物および架橋生成物は、単層被覆または多層被覆、例えば、絶縁導電体/光導体の多層被覆の架橋ポリオレフィン絶縁層を製造するのに有用である。本発明の組成物または架橋生成物から製造される架橋ポリオレフィン絶縁層、単層または多層被覆(例えば、架橋ポリオレフィン絶縁層を含む多層被覆)、および単層または多層被覆を含む絶縁導電体/光導体も含まれる。絶縁導電体/光導体は、低電圧、中電圧、高電圧、および超高電圧用途を含むデータ伝送および/または送電/配電用途に有用である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
概要および要約は、参照により本明細書に組み込まれる。本発明の架橋生成物は、TAPグラフト化エチレン/α-オレフィンコポリマーであると特徴付けられる。コポリマーは、TAP分子と(A)架橋性エチレン/α-オレフィンコポリマーとの間に共有結合を形成するフリーラジカルプロセスによって製造される。フリーラジカルプロセスは、過酸化物等のフリーラジカル発生剤化合物によって、または電子ビーム照射等のフリーラジカルを発生させる他の手段によって開始または伝播されるフリーラジカルを含む。本発明の架橋生成物またはコポリマー(A)は、0~100重量%の範囲の(例えば、デカリン抽出により測定される)任意のゲル含有量を示し得る。別途記載のない限り、全ての曲げ弾性率は23℃で測定される。
【0011】
技術的解決策を可能にするために、(B)TAPの有効量は、本発明の組成物の総重量に基づいて0.050~0.950重量パーセント(重量%)未満の(B)TAPであり得る。例えば、(B)TAPは、本発明の組成物の、0.050~0.949重量%、代替として0.101~0.901重量%、代替として0.1501~0.849重量%、代替として0.1905~0.8049重量%であってもよい。本発明の組成物を硬化させた後、結果として得られる本発明の架橋生成物は、向上した(すなわち増大した)TER(7dまたは28d、136℃)、向上した(すなわち増大した)OIT(O2、185℃)、および未変化もしくは3倍未満悪化した(すなわち<3倍増大した)、代替として未変化もしくは2倍未満悪化した(すなわち<2倍増大した)DF(130℃、60Hz、2kV)によって特徴付けることができる(全て、TAPを含まない比較組成物およびそれから製造されるTAPを含まない比較架橋生成物と比較)。加えて、TAPが、より少ないTAPを含有する比較組成物の総重量に基づいて>0~0.050重量%未満で第1のより少ないTAPを含有する比較組成物中に存在する場合、第1のより少ないTAPを含有する比較組成物を硬化させた後、結果として得られるより少ないTAP比較架橋生成物は、TER(7dまたは28d、136℃)またはOIT(O2、185℃)によって特徴付けられ得るが、これらは中電力~高電力ケーブルの可撓性電気絶縁体に使用するには向上していないか、または十分に向上していない(すなわち、十分に増大していない)場合がある。また、より多くのTAPを含有する比較組成物の総重量に基づいて、TAPが1.00重量%以上、代替として1.10重量%以上でより多くのTAPを含有する比較組成物中に存在する場合、より多くのTAPを含有する比較組成物を硬化させた後、結果として得られるより多くのTAP比較架橋生成物は、向上した(またはさらに向上した)TER(7dまたは28d、136℃)、向上した(またはさらに向上した)OIT(O2、185℃)、および向上した(すなわち減少した)DF(130℃、60Hz、2kV)によって特徴付けることができる。
【0012】
態様1.過酸化物硬化性エチレンコポリマー組成物であって、58.00~99.90重量パーセント(重量%)の(A)架橋性エチレン/α-オレフィンコポリマー(「コポリマー(A)」または「成分(A)」)であって、有用な分子触媒の存在下で、エチレンとα-オレフィンコモノマー、ならびに任意選択的に非共役ジエンおよび第2のα-オレフィンから選択される別のコモノマーとを共重合させることを含むプロセスによって製造された、架橋性エチレン/α-オレフィンコポリマーと、0.050~0.949重量%の(B)リン酸トリアリル(TAP)と、0.050~5.00重量%の(C)有機過酸化物と、0.00~40重量%、代替として0.00~20重量%、代替として0.00重量%、代替として>0.00~10重量%の(D)エチレン/不飽和カルボン酸エステルコポリマー、ポリエチレンホモポリマー、非(分子触媒)形成エチレン/α-オレフィンコポリマー、およびプロピレン系ポリマーから選択される補助ポリマーと、を含み、但し、成分(A)および成分(D)の総重量は80.00~99.90重量%、代替として90.0~99.90重量%、代替として90.0~96.5重量%であるものとし、全ての重量%は、過酸化物硬化性エチレンコポリマー組成物の総重量に基づいており、過酸化物硬化性エチレンコポリマー組成物の総重量は100.0重量%である、組成物。ある特定の実施形態において、成分(A)~(C)、代替として(A)~(D)の重量%の合計が100.00重量%未満である場合、組成物は、少なくとも1つのさらなる成分、例えば、成分(D)、または成分(E)~(O)それぞれのうちの少なくとも1つをさらに含有し、これらは後述される。典型的には、(A)架橋性エチレン/α-オレフィンコポリマーを製造するための、エチレンとα-オレフィンコモノマー、ならびに任意選択的に非共役ジエンおよび第2のα-オレフィンから選択される別のコモノマーとの共重合は、チーグラー・ナッタ触媒の非存在下で行われる。
【0013】
態様2.制約(i)~(ii)のいずれか1つによってさらに説明される、態様1に記載の過酸化物硬化性エチレンコポリマー組成物:(i)α-オレフィンコモノマーは(C3-C20)α-オレフィンであり、(A)架橋性エチレン/α-オレフィンコポリマーは、特性(a)~(c)のうちの少なくとも1つ、代替として2つ、代替として各々によって特徴付けられるエチレン-(C3-C20)α-オレフィンコポリマー(例えば、バイポリマー(別のコモノマーなしで共重合する)もしくはターポリマー(第2のα-オレフィンコモノマーと共重合する))である:(a1)ASTM D790-15e2に従って測定される>0~40,000psi(>0~278MPa)、代替として>0~6,500psi(>0~45MPa)、代替として>0~5,000psi(>0~34MPa)の曲げ弾性率(2%割線)および/または(a2)ASTM D792に従って測定される1立方センチメートル当たり0.850~0.930グラム(g/cm3)、代替として0.850~0.890g/cm3の密度、(b)ASTM 3418-15に従って示差走査熱量測定(DSC)により測定される-130℃~-20℃のガラス転移温度(Tg)、ならびに(c)ASTM D1238-04に従って測定される毎分0.5デシグラム(dg/分)~50dg/分のメルトインデックス(190℃、2.16キログラム(kg)、「I2」)、あるいは(ii)α-オレフィンコモノマーはプロピレンであり、別のコモノマーが使用され、それは非共役(C6-C20)ジエンであり、(A)架橋性エチレン/α-オレフィンコポリマーは、特性(a)~(d)のうちの少なくとも1つ、代替として2つ、代替として各々によって特徴付けられるエチレン-プロピレン-(C6-C20)ジエンコポリマー(例えばターポリマー)(EPDM)である:(a1)ASTM D790-15e2に従って測定される>0~20,000psi(>0~138MPa)、代替として>0~6,500psi(>0~45MPa)、代替として>0~5,000psi(>0~34MPa)の曲げ弾性率(2%割線)および/または(a2)ASTM D792に従って測定される0.850~0.910g/cm3、代替として0.850~0.890g/cm3の密度、(b)ASTM 3418-15に従って示差走査熱量測定(DSC)により測定される-130℃~-20℃のガラス転移温度(Tg)、(c)ASTM D1238-04に従って測定される毎分0.1デシグラム(dg/分)~50dg/分のメルトインデックス(190℃、2.16キログラム(kg)、「I2」)、ならびに(d)1分間の予熱時間および4分間のローター作動時間で、ASTM D1646-15に従って測定される15~170のムーニー粘度(125℃でML1+4)。いくつかの態様において、コポリマー(A)は共有結合したケイ素原子を含まない。他の態様において、コポリマー(A)は加水分解性シリル官能基(例えば、トリメトキシシリル基)をさらに含有し、コポリマー(A)はエチレン/α-オレフィン/オレフィン官能性加水分解性シランコポリマーであるとして特徴付けられる。エチレン/α-オレフィン/オレフィン官能性加水分解性シランコポリマーは、後述するように製造することができる。
【0014】
態様3.制約(i)~(iv)のいずれか1つによってさらに説明される、態様1または2に記載の過酸化物硬化性エチレンコポリマー組成物:(i)(A)架橋性エチレン/α-オレフィンコポリマーは過酸化物硬化性エチレンコポリマー組成物の90~99重量%、代替として91~98重量%、代替として93~97重量%であり、過酸化物硬化性エチレンコポリマー組成物は(D)補助ポリマーを含まない(欠く)、(ii)(A)架橋性エチレン/α-オレフィンコポリマーは過酸化物硬化性エチレンコポリマー組成物の58.00~90.00重量%、代替として80.0~90.0重量%、代替として85.0~90.0重量%であり、(D)補助ポリマーは、過酸化物硬化性エチレンコポリマー組成物のそれぞれ、40.0~1.0重量%、代替として10.0~1.0重量%、代替として10.0~7.0重量%である、(iii)(D)補助ポリマーが存在し、それはポリプロピレンホモポリマーである、ならびに(iv)(ii)および(iii)の両方。全ての重量%は、過酸化物硬化性エチレンコポリマー組成物の総重量に基づく。
【0015】
態様4.制約(i)~(iv)のいずれか1つによってさらに説明される、態様1~3に記載の過酸化物硬化性エチレンコポリマー組成物:(i)(B)リン酸トリアリル(TAP)は0.090~0.940重量%である、(ii)(B)リン酸トリアリル(TAP)は0.100~0.900重量%である、(iii)(B)リン酸トリアリル(TAP)は0.19~0.849重量%である、(iv)(B)リン酸トリアリル(TAP)は0.200~0.800重量%である(全ての重量%は、過酸化物硬化性エチレンコポリマー組成物の総重量に基づく)。
【0016】
態様5.制約(i)~(v)のいずれか1つによってさらに説明される、態様1~4に記載の過酸化物硬化性エチレンコポリマー組成物:(i)(C)有機過酸化物は、1.0~4.0重量%、代替として1.5~3.0重量%、代替として1.9~2.4重量%である(全ての重量%は過酸化物硬化性エチレンコポリマー組成物の総重量に基づく)、(ii)(C)有機過酸化物は式RO-O-O-ROの化合物であり、式中、各ROは独立して(C1-C20)アルキル基または(C6-C20)アリール基である、(iii)(C)有機過酸化物は、ビス(1,1-ジメチルエチル)過酸化物、ビス(1,1-ジメチルプロピル)ペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ビス(1,1-ジメチルエチルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ビス(1,1-ジメチルエチルペルオキシ)ヘキシン、4,4-ビス(1,1-ジメチルエチルペルオキシ)吉草酸、ブチルエステル、1,1-ビス(1,1-ジメチルエチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、過酸化ベンゾイル、tert-ブチルペルオキシベンゾエート、ジ-tert-アミルペルオキシド(「DTAP」)、ビス(α-t-ブチル-ペルオキシイソプロピル)ベンゼン(「BIPB」)、イソプロピルクミルt-ブチルペルオキシド、t-ブチルクミルペルオキシド、ジ-t-ブチルペルオキシド、2,5-ビス(t-ブチルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサン、2,5-ビス(t-ブチルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキシン-3,1,1-ビス(t-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、イソプロピルクミルクミルペルオキシド、ブチル4,4-ジ(tert-ブチルペルオキシ)バレラート、またはジ(イソプロピルクミル)ペルオキシド、またはジクミルペルオキシドである、(iv)(C)有機過酸化物はジクミルペルオキシドである、および(v):(i)と(ii)~(iv)のいずれか1つとの組み合わせ。
【0017】
態様6.制約(i)~(ii)のいずれか1つによってさらに説明される、態様1~5に記載の過酸化物硬化性エチレンコポリマー組成物:(i)成分(A)~(D)の合計量はその100重量%である、または(ii)成分(A)~(D)の合計量は100重量%未満であり、過酸化物硬化性エチレンコポリマー組成物は、成分(E)~(O)のうちの少なくとも1つをさらに含む:(E)酸化防止剤、(F)TAPではない助剤、(G)ポリジメチルシロキサン(PDMS)流体、(H)ヒンダードアミン安定剤、(I)難燃剤、(J)トリー遅延剤、(K)着色剤、(L)液体芳香族または飽和炭化水素(LASH)、(M)メチルラジカル捕捉剤、(N)スコーチ遅延剤、および(O)充填剤。いくつかの態様において、過酸化物硬化性エチレンコポリマー組成物は、代替として、(E)酸化防止剤、(F)TAPではない助剤、(H)ヒンダードアミン安定剤、および(J)トリー遅延剤のうちの少なくとも1つをさらに含む。いくつかの態様において、過酸化物硬化性エチレンコポリマー組成物は、成分(G)PDMS流体、(I)難燃剤、(K)着色剤、(L)液体芳香族または飽和炭化水素(LASH)、(M)メチルラジカル捕捉剤、(N)スコーチ遅延剤、および(O)充填剤のうちの少なくとも1つ、代替としてそれらの各々をさらに含まない。
【0018】
態様7.制約(i)~(vi)のいずれか1つによってさらに説明される、態様6に記載の過酸化物硬化性エチレンコポリマー組成物:(i)過酸化物硬化性エチレンコポリマー組成物は成分(E)酸化防止剤をさらに含み、(E)酸化防止剤は、ビス(4-(1))-メチル-1-(フェニルエチル)フェニル)アミン、2,2’-メチレン-ビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2’-チオビス(2-t-ブチル-5-メチルフェノール;2,2’-チオビス(6-t-ブチル-4-メチルフェノール);トリス[(4-tert-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-(ジメチルフェニル)メチル]-1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリオン;ペンタエリスリトールテトラキス(3-(3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート);3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシベンゼンプロパン酸2,2’-チオジエタンジイルエステル;またはジステアリルチオジプロピオネートである、(ii)過酸化物硬化性エチレンコポリマー組成物は、成分(F)TAPではない助剤をさらに含み、(F)TAPではない助剤は、トリアリルイソシアヌレート;トリアリルリン酸トリアミド、N-ヒドロキシメチル-3-ジメチルホスホノプロピオンアミド、2-エチル-メタクリレートリン酸、ヒドロキシルエチルメタクリレートのリン酸エステル、またはビニルホスホン酸等の不飽和有機リン化合物;またはα-メチルスチレンダイマー(AMSD)もしくはジイソプロペニルベンゼン(DIPB)である、(iii)過酸化物硬化性エチレンコポリマー組成物は、成分(H)ヒンダードアミン安定剤をさらに含み、(H)ヒンダードアミン安定剤は、1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリアミン、N2,N2’’-1,2-エタンジイルビス[N2-[3-[[4,6-ビス[ブチル(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)アミノ]-1,3,5-トリアジン-2-イル]アミノ]プロピル]-N’、N’’-ジブチル-N’、N’’-ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)-である、(iv)過酸化物硬化性エチレンコポリマー組成物は、成分(J)トリー遅延剤をさらに含み、(J)トリー遅延剤は、10,000~30000グラム/モルの数平均分子量(Mn)を有するポリ(エチレングリコール)(PEG)である、(v)過酸化物硬化性エチレンコポリマー組成物は、制約(i)~(iv)の組み合わせをさらに含む、ならびに(vi)過酸化物硬化性エチレンコポリマー組成物は、0.20~0.50重量%の成分(E)((E)は2,2’-チオビス(2-t-ブチル-5-メチルフェノール)である)、0.30~0.50重量%の成分(F)((F)はα-メチルスチレンダイマー(AMSD)である)、0.10~0.30重量%の成分(H)((H)は1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリアミン,N2,N2’’-1,2-エタンジイルビス[N2-[3-[[4,6-ビス[ブチル(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)アミノ]-1,3,5-トリアジン-2-イル]アミノ]プロピル]-N’,N’’-ジブチル-N’,N’’-ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)-である]、および0.40~0.80重量%の成分(J)((J)は15000~25000g/モルのMnを有するPEGである)をさらに含む。
【0019】
態様8.態様1~7のいずれか1つに記載の過酸化物硬化性エチレンコポリマー組成物であって、(A)架橋性エチレン/α-オレフィンコポリマーはエチレン/プロピレン/ジエンターポリマーであり、ジエンは5-エチリデン-2-ノルボルネンである、組成物。
【0020】
態様9.態様1~8のいずれか一項に記載の過酸化物硬化性エチレンコポリマー組成物を製造する方法であって、有効量の成分(A)~(C)と、いずれか任意の成分(D)~(O)とを接触させて、過酸化物硬化性エチレンコポリマー組成物を得ることを含む、方法。いくつかの態様において、本方法は、後述の調製方法1に従って行われる。
【0021】
態様10.接触させることは、成分(A)~(C)およびいずれか任意の成分(D)~(O)を内部混合すること、または成分(B)、(C)およびいずれか任意の成分(D)~(O)のうちの少なくとも1つを成分(A)に浸漬することを含む、態様9に記載の方法。浸漬は、溶融混合等の攪拌を含まない受動的な方法である。
【0022】
態様11.態様1~8のいずれか一項に記載の過酸化物硬化性エチレンコポリマー組成物を硬化してなる生成物である、架橋エチレン/α-オレフィンコポリマー生成物。
【0023】
態様12.(A)架橋エチレン/α-オレフィンコポリマーはエチレン/プロピレン/ジエンターポリマーであり、ジエンは5-エチリデン-2-ノルボルネンであり、架橋エチレン/α-オレフィンコポリマー生成物は、オーブン内で17時間180℃で加熱した後、30%~90%の引張伸びを有するか、またはオーブン内で24時間180℃で加熱した後、25%~80%の引張伸びを有する、態様11の架橋エチレン/α-オレフィンコポリマー生成物。
【0024】
態様13.態様11または12に記載の架橋エチレン/α-オレフィンコポリマー生成物の成形体を含む、製造品。
【0025】
態様14.導電性コアと、導電性コアを少なくとも部分的に覆う絶縁層と、を備える、被覆導体であって、絶縁層の少なくとも一部分が態様11または12に記載の架橋エチレン/α-オレフィンコポリマー生成物を含む、被覆導体。絶縁層は、導電性コアを覆う単層被覆または多層被覆であり得る。被覆導体は、序論に概説されるように、絶縁導電体/光導体であってもよく、その説明は参照により本明細書に組み込まれるが、但し、絶縁導電体/光導体の多層被覆の架橋ポリオレフィン絶縁層は本発明の架橋生成物から構成される。本発明の絶縁導電体/光導体は、絶縁電気導体であり、電気を伝達するのに有用であり得る。
【0026】
態様15.電気を伝導する方法であって、態様14に記載の被覆導体の導電性コア全体に電圧を印加して、導電性コアを通る電気の流れを発生させることを含む、方法。
【0027】
過酸化物硬化性エチレンコポリマー組成物(例えば、態様1~7の本発明の組成物)。全成分の総重量は、100重量%である。本発明の組成物は、成分(A)または成分(A)および(D)以外のポリオレフィンを実質的に含まず、代替として含有しない。例えば、エチレン/不飽和カルボン酸エステルコポリマー、ポリ(C4-C40)α-オレフィンホモポリマー、またはポリスチレンから実質的に由来するか、または代替として含有しない。さもなければ、任意の追加のポリマーが技術的解決策を完全に否定しない限り、本発明の組成物は追加のポリマーを含有してもよい。これに関連して、本質的になるということは、本発明の組成物が、成分(A)~(O)を含めずに、0~1重量%、代替として0~<0.1重量%、代替として0重量%の任意の他のポリマーを含有することを意味する。
【0028】
過酸化物硬化性エチレンコポリマー組成物は、後により詳細に記載される成分(A)~(C)を含有する。過酸化物硬化性エチレンコポリマー組成物は、エチレン由来モノマー単位およびα-オレフィン由来コモノマー単位を有する(A)架橋性高分子である架橋性エチレン/α-オレフィンコポリマーを含有する。(A)は、炭素原子および水素原子、ならびに任意選択的にケイ素原子およびケイ素結合酸素原子からなってもよい。(A)は、他のヘテロ原子(例えば、ハロゲン、N、S、P)を実質的に含まないかまたは含まない。硬化条件下で(典型的には160℃を超える、代替として180℃を超える温度に加熱することを含む)、(C)有機過酸化物は酸素ラジカルを形成する。Oラジカルは、(A)架橋性エチレン/α-オレフィンコポリマーの主鎖または側鎖の内部炭素原子から水素原子を引き抜き、それによって炭素原子上に内部ポリマー鎖フリーラジカルを生成する。炭素ラジカルは、結合して架橋エチレン/α-オレフィンコポリマーを形成する。架橋は、硬化条件下での硬化反応を介して起こり、それによって、ネットワークポリマーである架橋エチレン/α-オレフィンコポリマーを形成する。
【0029】
過酸化物硬化性エチレンコポリマー組成物は、1部配合物、代替として2部配合物、代替として3部配合物であり得る。1部配合物は、過酸化物硬化性エチレンコポリマー組成物である単一混合物中に、成分(A)~(C)と、成分(D)~(O)等のいずれか任意の成分とを含む。2部配合物は、第1の部分および第2の部分を含んでもよく、第1の部分は、(A)架橋性エチレン-ビニルアセテートコポリマーと、任意選択的に(D)補助ポリマーとから本質的になり、第2の部分は、成分(B)~(C)のうちの少なくとも1つと、添加剤(D)~(O)等のいずれか任意の成分とを含有する添加剤マスターバッチ組成物とから本質的になる。残りの成分(B)~(C)、および添加剤(D)~(O)等のいずれか任意の添加剤は、第1の部分または第2の部分またはその両方に存在してもよい。過酸化物硬化性エチレンコポリマー組成物は、第1の部分と第2の部分とを組み合わせてそれらの混合物を過酸化物硬化性エチレンコポリマー組成物として得ることによって、2部配合物から製造され得る。3部配合物は、成分(C)および任意選択的に任意の添加剤(G)PDMS流体は第1または第2の部分に存在しないが、成分(C)有機過酸化物および任意選択的に成分(G)PDMS流体が第3の部分を含むこと以外は、2部配合物と同じであり得る。(C)、および任意選択的に(G)が第3の部分を含む場合、過酸化物硬化性エチレンコポリマー組成物は、第1の部分と第2の部分とを組み合わせて、成分(A)、(B)、任意の(D)、および任意選択的に任意の成分(H)~(O)を含有するそれらの混合物を得、所望に応じて任意選択的にその混合物をペレット化してペレット形態の混合物を得、次いで、第1の部分および第2の部分の混合物(例えば、ペレット)を第3の部分(すなわち、(C)有機過酸化物、および任意選択的に(G)PDMS流体と接触させて過酸化物硬化性エチレンコポリマー組成物を得ることによって製造され得る。一般的に、成分(A)~(C)、任意選択的に(D)、および添加剤(E)~(O)等のいずれか任意の成分の組み合わせまたは混合(接触)は、約20~100℃の温度で2~100時間、例えば、50~80℃で6~24時間行われ得る。成分(A)、(B)、任意選択的に(D)、および任意の成分(E)~(O)を組み合わせて(C)有機過酸化物の非存在下で混合物を得る場合、より高い温度を使用してもよく、その後、(C)有機過酸化物と組み合わせるかまたは接触させる前に、混合物を硬化温度よりも低い温度に冷却してもよい。なぜ成分(A)~(C)および任意選択的な(D)、ならびにいずれか任意の成分(D)~(O)のいかなる組み合わせも、1部配合物、または2部配合物の第1の部分もしくは第2の部分のいずれにも存在し得ないかという特有の理由は存在しない。一般的に、(A)~(O)の間にいかなる非互換性も存在しない。
【0030】
いくつかの態様において、態様2の実施形態(i)~(i)のいずれか1つの(A)架橋性エチレン/α-オレフィンコポリマーは、上記実施形態(i)~(ii)のいずれか1つのコポリマー(A)へのオレフィン官能性加水分解性シラン(例えば、ビニルトリメトキシシラン)の反応器後グラフト化によって製造される、加水分解性シラングラフト化架橋性エチレン/α-オレフィンコポリマーとして特徴付けられる。
【0031】
いくつかの態様において、態様2の実施形態(i)~(ii)のいずれか1つの(A)架橋性エチレン/α-オレフィンコポリマーは、特性(a)~(c)のうちの少なくとも1つ、代替として2つ、代替として各々によって特徴付けられる:(a1)500~40,000psi(3~276MPa)、代替として500~20,000psi(3~138MPa)、代替として500~6,500psi(3~45MPa)、代替として500~4,501psi(3~31MPa)、代替として500~4001psi(3~28MPa)、代替として500~3501psi(3~24MPa)、代替として900~2010psi(6~14MPa)の曲げ弾性率(2%割線)(全てASTM D790-15e2に従って測定)、および/または(a2)0.850~0.930g/cm3、代替として0.850~0.910g/cm3、代替として0.850~0.890g/cm3、代替として0.850~0.885g/cm3、代替として0.850~0.880g/cm3、代替として0.850~0.875g/cm3、代替として0.870~0.875g/cm3の密度(全てASTM D792に従って測定)、(b)Tgは-120~-30℃、代替として-110~-50℃(ASTM 3418-15に従ってDSCにより測定)、(c)0.3~30dg/分、代替として0.5~20.0dg/分のメルトインデックス(190℃、2.16キログラム(kg)、「I2」)(ASTM D1238-04に従って測定)。いくつかの態様において、実施形態(i)~(ii)のいずれか1つの(A)架橋性エチレン/α-オレフィンコポリマーは、独立して、特性(e)によってさらに特徴付けられる:ジクミルペルオキシドで硬化可能であるが、TAPの非存在下では、0.1%超、代替として0.3%超、代替として0.5%超のDF(130℃、60Hz、2kV)を有する、TAPを含まない比較架橋エチレン/α-オレフィンコポリマー。いくつかの態様において、(A)は、特性(a1)、代替として特性(a2)、代替として特性(b)、代替として特性(c)、代替として特性(a1)および(a2)、代替として特性(a1)または(a2)および(b)、代替として特性(a1)または(a2)および(c)、代替として特性(a1)、(a2)、(b)、および(c)によって特徴付けられる。
【0032】
成分(A):架橋性エチレン/α-オレフィンコポリマー。「コポリマー」は、モノマーを重合することによって製造されるモノマー単位と、1つ以上の異なる種類のα-オレフィンコモノマーと、任意選択的に非共役ジエンとを重合することによって製造される1つ以上の異なる種類のコモノマー単位とを有する高分子または高分子の集合である。モノマーおよびコモノマーは重合性分子である。モノマー単位または「マー」とも呼ばれるモノマー単位は、単一のモノマー分子によって(それから誘導される)高分子の構造に寄与される最大の構成単位である。コモノマー単位は、単一のコモノマー分子によって(それから誘導される)高分子(複数可)の構造に寄与される最大の構成単位である。各単位は典型的には二価である。「バイポリマー」は、モノマーと1つのコモノマーとから製造されるコポリマーである。「ターポリマー」は、モノマーと2つの異なるコモノマーとから製造されるコポリマーである。「エチレン/α-オレフィンコポリマー」は、モノマー単位がモノマーエチレン(CH2=CH2)から誘導され、1分子当たり平均して、高分子の少なくとも50重量パーセントを占め、コモノマー単位が、少なくとも1つのα-オレフィンコモノマー、および任意選択的に第2のα-オレフィンコモノマーまたは非共役(C6-C20)ジエンから誘導されるコポリマーである。各コモノマーは、独立して、水素原子および1分子当たり3~20個の炭素原子を有することができる。(A)架橋性エチレン/α-オレフィンコポリマーは、バルク形態の顆粒またはペレットであり得る。
【0033】
上記態様のいくつかにおいて、α-オレフィンコモノマーは、(C3-C20)α-オレフィン、代替として(C4-C20)α-オレフィン、代替として(C4-C8)α-オレフィンであり得る。(A)架橋性エチレン/α-オレフィンコポリマーは、それぞれ独立して、特性(a)~(c)、および任意選択的に(e)のうちの少なくとも1つ、代替として2つ、代替として各々によって特徴付けられる、対応するエチレン-(C3-C20)α-オレフィンコポリマー(例えば、バイポリマーまたはターポリマー)であり得る。エチレン-(C3-C20)α-オレフィンバイポリマーは、エチレン由来モノマー単位および(C3-C20)α-オレフィン由来コモノマー単位から本質的になる。エチレン-(C3-C20)α-オレフィンターポリマーは、エチレン由来モノマー単位、第1の(C3-C20)α-オレフィン由来コモノマー単位、および第2の(C3-C20)α-オレフィン由来コモノマー単位から本質的になる。第1の(C3-C20)α-オレフィン由来コモノマー単位は第1の(C3-C20)α-オレフィンから誘導され、第2の(C3-C20)α-オレフィン由来コモノマー単位は第2の(C3-C20)α-オレフィンから誘導され、第1および第2の(C3-C20)α-オレフィンが異なる(例えば、第1の(C3-C20)α-オレフィンがプロピレンであり、第2の(C3-C20)α-オレフィンが1-ヘキセンである)。エチレンモノマー単位は、エチレン-(C3-C20)α-オレフィンバイポリマーの99~51重量%、代替として95~60重量%、代替として90~70重量%であり得るか、または99~70重量%または90~60重量%等の、それらの単一点置換であり得る。(C3-C20)α-オレフィンコモノマー単位は、エチレン-(C3-C20)α-オレフィンバイポリマーの1~49重量%、代替として5~40重量%、代替として10~30重量%であり得るか、または1~30重量%または10~40重量%等の、それらの単一点置換であり得る。重量%値は、エチレン-(C3-C20)α-オレフィンバイポリマー1分子当たりの平均である。α-オレフィンコモノマーは、末端炭素原子に位置するただ1つの炭素-炭素二重結合(C=C)を含有する。(C3-C20)α-オレフィンは(C4-C8)α-オレフィンであり得、エチレン-(C3-C20)α-オレフィンコポリマーは、特性(a)~(c)、および任意選択的に(e)のうちの少なくとも1つ、代替として2つ、代替として各々によって特徴付けられるエチレン-(C4-C8)α-オレフィンバイポリマーであり得る。(C3-C20)α-オレフィンは、線状、分岐状、または環状含有であり得る。いくつかの態様において、(C3-C20)α-オレフィンは、(C3-C10)α-オレフィン、代替として(C4-C8)α-オレフィン、代替として(C10-C20)α-オレフィンである。好適な(C3-C20)α-オレフィンの例として、プロペン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、および1-オクタデセンがある。(C3-C20)α-オレフィンは、非置換であるか、または3-シクロヘキシル-1-プロペンおよびビニルシクロヘキサン等の飽和(sp3)炭素原子上のシクロアルキル基で置換される。エチレン-(C3-C20)α-オレフィンバイポリマーの例として、エチレン/プロピレンバイポリマー、エチレン/1-ブテンバイポリマー、エチレン/1-ヘキセンバイポリマー、およびエチレン/1-オクテンバイポリマーがある。エチレン-(C3-C20)α-オレフィンターポリマーの例として、エチレン/プロピレン/1-オクテンターポリマー、エチレン/プロピレン/1-ブテンターポリマー、およびエチレン/1-ブテン/1-オクテンターポリマーがある。エチレン-(C3-C20)α-オレフィンコポリマーは、エチレン-(1-オクテン)バイポリマーであり得る。好適なエチレン-(C3-C20)α-オレフィンコポリマーの例として、ASTM D792に従って測定される0.872g/cm3の密度、ASTM D1238に従って測定される4.8g/10分のメルトインデックス(190℃、2.16kg)、ASTM D790-15e2に従って測定される1570psi(10.8MPa)の曲げ弾性率(2%割線)、およびASTM 3418-15に従って示差走査熱量測定(DSC)により測定される-53℃のガラス転移温度(Tg)によって特徴付けられる分子触媒製エチレン-1-オクテンコポリマーがある(Dow Chemical CompanyによりDevelopmental XUS 38660.00ポリオレフィンエラストマーとして商業的に入手した)。
【0034】
上記態様のいくつかにおいて、(A)架橋性エチレン/α-オレフィンコポリマーを製造するために使用されるコモノマーは、プロピレンと非共役(C6-C20)ジエンとの組み合わせであってもよく、(A)架橋性エチレン/α-オレフィンコポリマーは、特性(a)~(d)、および任意選択的に(e)のうちの少なくとも1つ、代替として2つ、代替として各々によって特徴付けられるエチレン-プロピレン-(C4-C20)ジエンターポリマー(EPDM)であってもよい。EPDMは、エチレン由来モノマー単位、プロピレン由来コモノマー単位、および非共役(C6-C20)ジエン由来コモノマー単位から本質的になる。エチレンモノマー単位は、EPDMの99~51重量%、代替として95~60重量%、代替として90~70重量%であり得るか、または99~70重量%もしくは90~60重量%等の、それらの単一点置換であり得る。エチレン性モノマー単位の重量%は、ASTP D3900に従って測定することができる。(C3-C20)α-オレフィンコモノマー単位は、EPDMの1~48.1重量%、代替として5~39.1重量%、代替として10~29.1重量%であり得るか、または1~39.1重量%または10~48.1重量%等の、それらの単一点置換であり得る。非共役(C6-C20)ジエンは、EPDMの0.1~10.0重量%、代替として0.2~5.0重量%、代替として0.3~3.0重量%であり得る。重量%値は、EPDM1分子当たりの平均である。エチレン、プロピレン、および非共役(C6-C20)ジエン単位の総重量は、EPDMの100重量%である。非共役(C6-C20)ジエンは、2つの炭素-炭素二重結合のみを含有する。(C4-C20)ジエンのC=Cは非共役である。いくつかの態様において、非共役(C6-C20)ジエンは非共役(C6-C15)ジエン、代替として非共役(C6-C8)ジエンである。好適な非共役(C6-C20)ジエンの例として、1,4-ヘキサジエン、1,6-オクタジエン、1,7-オクタジエン、1,9-デカジエン、分岐鎖非環式ジエン、例えば、5-メチル-1,4-ヘキサジエン、3,7-ジメチル-1,6-オクタジエン、3,7-ジメチル-1,7-オクタジエン、およびジヒドロミリセン(dihydromyricene)とジヒドロオシネン(dihydroocinene)との混合異性体;単環脂環式ジエン、例えば1,3-シクロペンタジエン、1,4-シクロヘキサジエン、1,5-シクロオクタジエン、および1,5-シクロドデカジエン;ならびに多環脂環式の縮合ジエンおよび架橋環ジエン、例えばテトラヒドロインデン、メチルテトラヒドロインデン、ジシクロペンタジエン、およびビシクロ-(2,2,1)-ヘプタ-2,5-ジエン;アルケニル、アルキリデン、シクロアルケニル、およびシクロアルキリデンノルボルネン、例えば、5-エチリデン-2-ノルボルネン、5-メチレン-2-ノルボルネン、5-プロペニル-2-ノルボルネン、5-イソプロピリデン-2-ノルボルネン、5-(4-シクロペンテニル)-2-ノルボルネン、5-シクロヘキシリデン-2-ノルボルネン、5-ビニル-2-ノルボルネン、およびノルボルナジエンがある。いくつかの態様において、(C6-C20)ジエンは、1,4-ヘキサジエン(「HD」)、5-エチリデン-2-ノルボルネン(「ENB」)、5-ビニリデン-2-ノルボルネン(「VNB」)、5-メチレン-2-ノルボルネン(「MNB」)、またはジシクロペンタジエン(「DCPD」)である。他の態様において、非共役(C6-C20)ジエンは、1,4-ヘキサジエン、または1,7-オクタジエンである。非共役(C6-C20)ジエンは、1,4-ヘキサジエン、1,6-ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネン、またはビニルノルボルネンであってもよく;(A)架橋性エチレン/α-オレフィンターポリマーは、それぞれ、特性(a)~(d)、および任意選択的に(e)のうちの少なくとも1つ、代替として2つ、代替として各々によって特徴付けられるエチレン-プロピレン-1,4-ブタジエンターポリマー;特性(a)~(d)、および任意選択的に(e)のうちの少なくとも1つ、代替として2つ、代替として各々によって特徴付けられるエチレン-プロピレン-1,4-ヘキサジエンターポリマー;特性(a)~(d)、および任意選択的に(e)のうちの少なくとも1つ、代替として2つ、代替として各々によって特徴付けられるエチレン-プロピレン-1,6-ヘキサジエンターポリマー;特性(a)~(d)、および任意選択的に(e)のうちの少なくとも1つ、代替として2つ、代替として各々によって特徴付けられるエチレン-プロピレン-ジシクロペンタジエンターポリマー;特性(a)~(d)、および任意選択的に(e)のうちの少なくとも1つ、代替として2つ、代替として各々によって特徴付けられるエチレン-プロピレン-エチリデンノルボルネンターポリマー;または、特性(a)~(d)、および任意選択的に(e)のうちの少なくとも1つ、代替として2つ、代替として各々によって特徴付けられるエチレン-プロピレン-ビニルノルボルネンターポリマーであってもよい。好適なEPDMの例として、分子触媒を使用して製造され、ASTM D3900Bに従って測定される72.0重量%のエチレン性モノマー含有量および1.0g/10分のメルトインデックス(190℃、2.16kg)を有するエチレン-プロピレン-ジエンターポリマーがあり(ExxonMobilからVISTALON 722等のVISTALON EPDMとして商業的に入手した)、ジエンは、1,4-ヘキサジエン、VNB、またはENBであり得る。EPDMの別の例として、分子触媒を使用して製造されるエチレン-プロピレン-ジエンターポリマーがある(71重量%のエチレン性モノマー単位レベルおよび1重量%未満のENBコモノマー単位レベルを有するNORDEL IP 3722P EL炭化水素ゴム等のNORDEL IP EPDMとして、The Dow Chemical Companyから商業的に入手した)。ENB重量%は、ASTM D6047に従って測定され得る。
【0035】
いくつかの態様において、(A)架橋性エチレン/α-オレフィンコポリマーまたは(D)補助ポリマーを製造するために使用されるコモノマーは、Chaudharyに対するWO2016/200600(A1)(2016年5月24日に出願されたPCT/US16/033879)段落[0019]、またはMeverdenらに対するUS5,266,627の加水分解性シランモノマー等のオレフィン官能性加水分解性シランをさらに含み得る。オレフィン官能性加水分解性シランは、コポリマー(A)または補助ポリマー(D)にグラフト化(後反応器)することができる。代替として、オレフィン官能性加水分解性シランをエチレン、α-オレフィン、および任意選択的に第2のα-オレフィンまたは非共役ジエン等の第2のコモノマーと共重合させて、加水分解性シリル基を含有する(A)架橋性エチレン/α-オレフィンコポリマーを直接製造することができる。代替として、オレフィン官能性加水分解性シランをエチレンおよび不飽和カルボン酸エステルコモノマーと共重合して、加水分解性シリル基を含有する実施形態(D)架橋性エチレン/不飽和カルボン酸エステルコポリマーを直接製造することができる。いくつかの態様において、オレフィン官能性加水分解性シランは、ビニルトリメトキシシラン(VTMS)、ビニルトリエトキシシラン(VTES)、ビニルトリアセトキシシラン、またはγ-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシランであり、加水分解性シリル基は、2-トリメトキシシリルエチル、2-トリエトキシシリルエチル、2-トリアセトキシエチルで、または3-トリメトキシシリルプロピルオキシカルボニルエチルもしくは3-トリメトキシシリルプロピルオキシカルボニルプロピルである。
【0036】
(A)架橋性エチレン/α-オレフィンコポリマーの他の実施形態、その特性および量については前述しており、後に本発明の実施例において例示される。特性(a)~(d)、および任意選択的に(e)のうちの少なくとも1つ、代替として2つ、代替として各々を有する(A)架橋性エチレン/α-オレフィンコポリマーは一般に知られており、商業的供給業者(例えば、The Dow Chemical Company)から入手することができるか、または触媒を用いてまたは用いずに、エチレンと1つ以上のオレフィン官能性コモノマーとを共重合させてコポリマーを得ることによって製造することができる。
【0037】
(A)架橋性エチレン/α-オレフィンコポリマーおよび(D)補助ポリマーを製造するのに適した重合方法は一般によく知られている。例えば、架橋性エチレン/α-オレフィンコポリマーは、エチレンと1つ以上のオレフィン官能性コモノマーとを低圧(例えば、触媒を用いて)または高圧(例えば、触媒を用いずに)の反応器中で共重合させてA)架橋性エチレン/α-オレフィンコポリマーを得ることによって製造されてもよい。代替として、(A)架橋性エチレン/α-オレフィンコポリマーは、(A)架橋性エチレン/α-オレフィンコポリマーのグラフトコポリマー形態を製造するために、任意選択的に過酸化物または触媒で開始または促進された、ポリエチレンとオレフィン官能性加水分解性シラン等のコモノマーとの反応押出等の反応器後グラフト法によって製造されてもよい。(D)補助ポリマー、特にエチレン系ポリマーは、類似の方法で製造することができる。
【0038】
成分(B):リン酸トリアリルまたはTAPは、式O=P(OCH2C(H)=CH2)3の化合物である。これは市販されている。(B)TAPおよびその量の実施形態については前述しており、後に本発明の実施例において例示される。
【0039】
成分(C):有機過酸化物。(C)有機過酸化物は、過酸化物硬化性エチレンコポリマー組成物の0.05~4.5重量%、代替として0.1~3重量%、代替として0.5~2.5重量%であり得る。(C)有機過酸化物は、式RO-O-O-ROのものであってもよく、式中、各ROは独立して、(C1-C20)アルキル基または(C6-C20)アリール基である。各(C1-C20)アルキル基は独立して、非置換であるか、または1個もしくは2個の(C6-C12)アリール基で置換される。各(C6-C20)アリール基は、非置換であるか、または1~4個の(C1-C10)アルキル基で置換される。(C)有機過酸化物は、前述の有機過酸化物のいずれか1つ、またはそれらのいずれか2つ以上の組み合わせであってもよい。いくつかの態様において、単一の種類の(C)有機過酸化物のみが使用され、例えば、t-ブチルクミルペルオキシドとビス(t-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼンとの20:80(wt/wt)ブレンド(例えば、Arkemaから市販されているLUPEROX D446B)、代替として、ジクミルペルオキシド(例えば、AkzoNobelのPERKADOX BC-FF)が使用される。
【0040】
エチレン/不飽和カルボン酸エステルコポリマー、ポリエチレンホモポリマー、非(分子触媒)形成エチレン/α-オレフィンコポリマー、およびプロピレン系ポリマーから選択される任意選択的な成分(D)補助ポリマー。ポリエチレンホモポリマーは、エチレンモノマー単位からなる。非(分子触媒)形成エチレン/α-オレフィンコポリマーは、エチレンモノマー単位およびオレフィンコモノマー単位を含む。いくつかの態様において、非(分子触媒)形成エチレン/α-オレフィンコポリマーは、高圧重合におけるように、チーグラー・ナッタ触媒を用いて、またはいずれの触媒も用いずに、エチレンとα-オレフィンとを共重合させることによって製造される。ポリエチレンホモポリマーまたは非(分子触媒)形成エチレン/α-オレフィンコポリマーは、共有結合したケイ素原子を含まなくてもよく、代替として、ポリエチレンホモポリマーまたは非(分子触媒)形成エチレン/α-オレフィンコポリマーは、加水分解性シリル官能基(例えば、トリメトキシシリル基)をさらに含有してもよく、これは本明細書中に記載されるように製造され得る。「プロピレン系ポリマー」は、モノマープロピレン(CH3CH2=CH2)から誘導される繰り返し単位のみを有するポリプロピレンホモポリマー、またはモノマープロピレン(CH3CH2=CH2)から誘導されるモノマー単位と、1つ以上のオレフィン官能性コモノマーから誘導される1つ以上のコモノマー単位とを有するプロピレン系コポリマーである。プロピレンモノマー単位は、1分子当たり平均して、プロピレン系コポリマーの高分子の少なくとも50重量パーセントを占める。コモノマー単位は、エチレン/α-オレフィンコポリマーについて前述した1つ以上のオレフィン官能性コモノマーから独立して誘導される。いくつかの態様において、プロピレン系コポリマーのコモノマー単位を製造するために使用されるオレフィン官能性コモノマー(複数可)は、前述され、かつ参照により本明細書に組み込まれる(C3-C20)α-オレフィン(複数可)である。
【0041】
いくつかの態様において、(D)補助ポリマーは、過酸化物硬化性エチレンコポリマー組成物中には存在せず、したがってそれから製造される本発明の架橋生成物にも存在しない。いくつかの態様において、(D)は過酸化物硬化性エチレンコポリマー組成物中に存在し、(D)はエチレン/不飽和カルボン酸エステルコポリマーであり、代替として、(D)はポリエチレンホモポリマーであり、代替として、(D)は非(分子触媒)形成エチレン/α-オレフィンコポリマーであり、代替として、(D)はプロピレン系ポリマーである。エチレン/不飽和カルボン酸エステルコポリマーは、エチレン/酢酸ビニル(EVA)コポリマー等のエチレン/ビニルカルボン酸エステルコポリマー、またはエチレン/アクリル酸エチル(EEA)コポリマー等のエチレン/アルキル(メタ)アクリレート(EAA)コポリマーであり得る。いくつかの態様において、(D)が存在し、それはポリプロピレンホモポリマーである。いくつかの態様において、(D)が存在し、それは典型的には、少なくとも60重量%、代替として少なくとも70重量%、代替として少なくとも80重量%のプロピレンモノマー単位と、少なくとも1重量%のコモノマー単位と、多くとも40重量%、代替として多くとも30重量%、代替として多くとも20重量%のコモノマー単位とを含有するポリプロピレンコポリマーである。(D)の他の実施形態、その特性および量については前述しており、後に本発明の実施例において例示される。
【0042】
(D)として有用なポリエチレンホモポリマーの例として、低密度ポリエチレン(LDPE)(密度0.910~0.940g/cm3)、および高密度ポリエチレン(密度最大0.965g/cm3)がある。(D)として有用な分子触媒を用いて製造されないエチレン系コポリマーは、非(分子触媒)を用いてまたは触媒を用いずに、エチレンとオレフィン官能性コモノマーとを共重合させることによって製造される。代替として、(D)は、ASTM D1238-04に従って測定される2~60g/10分、代替として5~40g/10分のメルトインデックス(190℃、2.16kg)を有し得る。
【0043】
任意選択的な成分(E)~(O)。任意選択的に、過酸化物硬化性エチレンコポリマー組成物、および/またはそれを硬化させることによってそれから製造される架橋エチレン/α-オレフィンコポリマーは、ゼロ、1つ、もしくはそれ以上の添加剤および/またはゼロ、1つ、もしくはそれ以上の液体芳香族もしくは飽和炭化水素(LASH)を含有し得る。任意の成分(G)~(O)は、存在する場合、過酸化物硬化性エチレンコポリマー組成物の>0.00~2.00重量%、あるいは0.01~1.00重量%であり得る。
【0044】
任意選択的な成分(E)酸化防止剤。(E)酸化防止剤は、過酸化物硬化性エチレンコポリマー組成物および/または過酸化物硬化半導体生成物に酸化防止特性を提供するように機能する。好適な(E)の例として、ビス(4-(1-メチル-1-フェニルエチル)フェニル)アミン(例えば、NAUGARD 445)、2,2’-メチレン-ビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)(例えば、VANOX MBPC)、2,2’-チオビス(2-t-ブチル-5-メチルフェノール(CAS番号90-66-4、市販のLOWINOX TBM-6)、2,2’-チオビス(6-t-ブチル-4-メチルフェノール)(CAS番号90-66-4、市販のLOWINOX TBP-6)、トリス[(4-tert-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルフェニル)メチル]-1,3,5-トリアジン-2,4、6-トリオン(例えば、CYANOX 1790)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-(3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)(例えば、IRGANOX 1010、CAS番号6683-19-8)、3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシベンゼンプロパン酸2,2’-チオジエタンジイルエステル(例えば、IRGANOX 1035、CAS番号41484-35-9)、およびジステアリルチオジプロピオネート(「DSTDP」)がある。いくつかの態様において、(E)は、ビス(4-(1-メチル-1-フェニルエチル)フェニル)アミン(例えば、Danbury,Connecticut,USAのAddivantから市販されているNAUGARD 445)である。(E)は、過酸化物硬化性エチレンコポリマー組成物の0.01~1.5重量%、代替として0.05~1.2重量%、代替として0.1~1.0重量%であり得る。
【0045】
任意選択的な成分(F)TAPではない助剤。(F)は、1分子当たり平均して1つ以上の-CH2=CH2基を有する化合物であり得る。(F)の例は前述されている。いくつかの態様において、(F)は不飽和有機リン化合物である。いくつかの態様において、(F)は、α-メチルスチレンダイマー(AMSD)またはジイソプロペニルベンゼン(DIPB)またはトリアリルイソシアヌレート(TAIC)である。AMSDは、例えば、NOF CorporationのNofmer MSDであってもよく、2,4-ジフェニル-4-メチル-1-ペンテン(CAS 6362-80-7)としても知られている。DIPBは、1,3-ジイソプロペニルベンジル(1,3-DIPB、CAS 3748-13-8、Sigma-Aldrich)であり得る。(F)は、存在する場合、過酸化物硬化性エチレンコポリマー組成物の0.05~1.0重量%、代替として0.10~0.90重量%、代替として0.1~0.60重量%の濃度であり得る。
【0046】
任意選択的な成分(H)ヒンダードアミン安定剤。(H)は、立体ヒンダードアミノ官能基を有し、酸化的分解を阻害する化合物であり、存在する場合(C)有機過酸化物の酸触媒分解を低減し得る。好適な(H)の例として、ブタン二酸ジメチルエステル、4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジン-エタノールを有するポリマー(CAS番号65447-77-0、市販のLOWILITE62)がある。
【0047】
任意選択的な成分(I)難燃剤。(I)は架橋エチレン/α-オレフィンコポリマーの燃焼性を低下させる。難燃剤の例は、臭素化難燃剤を含む有機ハロゲン化合物、三酸化アンチモン等の無機相乗剤化合物、有機リン化合物、無機リン化合物、金属水和物、金属炭酸塩、およびそれらのいずれか2つ以上の混合物である。
【0048】
任意選択的な成分(J)水トリー遅延剤または電気トリー遅延剤。水トリー遅延剤は、水トリーイングを阻害する化合物であり、水トリーイングは、電界と湿度または湿気との複合効果に曝露されるとポリオレフィンが劣化する工程である。電気トリー遅延剤は、電気トリーイングを阻害する化合物であり、電気トリーイングは、部分的な放電による固体電気絶縁における電気的破壊前工程である。電気トリーイングは、水の非存在下で発生し得る。水トリーイングおよび電気トリーイングは、被覆がポリオレフィンを含有する被覆導体を含む電気ケーブルについての問題である。(J)は、ポリ(エチレングリコール)(PEG)であり得る。
【0049】
任意選択的な成分(K)着色剤。例えば、顔料または色素。例えば、二酸化チタン。
【0050】
成分(N)スコーチ遅延剤。スコーチ遅延剤の例として、US6,277,925(B1)の第2欄、第62行目~第3欄、第46行に記載されるアリル含有化合物がある。
【0051】
成分(O)充填剤。(O)充填剤は、か焼粘土、有機粘土、カーボンブラック、酸化チタン、またはCabot Corporationから商標名CAB-O-SILで商業的に入手可能なもの等の疎水化ヒュームドシリカであり得る。(O)充填剤は難燃効果を有し得る。
【0052】
成分(E)~(O)の他の実施形態、それらの特性および量については先に記載されており、成分(E)、(F)、(H)、および(J)については後の実施例において例示される。成分(E)および(H)~(K)、ならびに(N)は、組成物および/または生成物のいずれかに架橋密度以外の1つ以上の有益な特性を付与するために使用され得る添加剤である。(G)PDMS流体は、過酸化物硬化性エチレンコポリマー組成物のペレットに噴霧され、その押出を向上させ得る添加剤である。(L)LASH(複数可)は、過酸化物硬化性マー組成物または架橋エチレン/α-オレフィンコポリマーを製造、パージ、または運搬するために使用され得る添加剤である。成分(E)~(O)は、成分(A)~(D)および互いとは異なる化合物/材料である。添加剤は、典型的には架橋エチレン/α-オレフィンコポリマーから除去されない。(G)PDMS流体および(L)LASHは、化学的に不活性であり、揮発性かつ除去可能であり得る。
【0053】
加えて、過酸化物硬化性エチレンコポリマー組成物は、担体樹脂、腐食防止剤(例えば、SnSO4)、滑剤、加工助剤、ブロッキング防止剤、静電防止剤、核剤、スリップ剤、可塑剤、粘着付与剤、界面活性剤、エキステンダー油、酸捕捉剤、電圧安定剤、酸化防止剤、および金属不活性化剤から選択される1つ以上の任意選択的な添加剤の各々を0.005~0.5重量%さらに含んでもよい。
【0054】
成分(A)架橋性エチレン/α-オレフィンコポリマーと成分(B)および(C)ならびにいずれか任意の成分(D)~(O)との混合を容易にするために、成分(B)および(D)の1つ以上ならびに任意の成分(D)~(O)が添加剤マスターバッチの形態で提供されてもよい。添加剤マスターバッチは、担体樹脂中に(B)および(C)、ならびに任意選択的に(D)~(O)の1つ以上の分散液を含有し得る。担体樹脂は、EVAコポリマー、EAAコポリマー、またはポリ(1-ブテン-コ-エチレン)コポリマーであり得る。過酸化物硬化性エチレンコポリマー組成物に組み込まれる担体樹脂の量は、0~<10重量%、代替として0重量%、代替として>0~5重量%であり得る。添加剤マスターバッチ中で、担体樹脂は、添加剤マスターバッチの総重量の≧90重量%~<100重量%であり得、(B)および(C)ならびにいずれか任意の1つ以上の成分(D)~(O)は合わせて>0重量%~≦10重量%であり得る。いくつかの態様において、1~20重量部の添加剤マスターバッチを、99~80重量部の(A)架橋性エチレン/α-オレフィンコポリマーの顆粒と混合またはブレンドしてその調製用混合物またはブレンドを得、これを本明細書に記載の方法に従ってペレット化してペレットを得てもよい。次いで、ペレットを好適な量の(C)有機過酸化物と接触させて過酸化物硬化性エチレンコポリマー組成物を得てもよい。代替として、(C)有機過酸化物が、添加剤マスターバッチに含まれてもよく、(A)とのその調製中および混合中の添加剤マスターバッチの温度は、(C)の10時間半減期温度よりも十分に低く維持され得る。
【0055】
架橋エチレン/α-オレフィンコポリマー。架橋エチレン/α-オレフィンコポリマーは、過酸化物硬化性エチレンコポリマー組成物の硬化中に形成されるC-C結合架橋を含有するネットワーク化ポリオレフィン樹脂を含有する。ネットワーク化ポリオレフィン樹脂は、(A)架橋性エチレン/α-オレフィンコポリマー、または存在する場合、(D)補助ポリマーをカップリングした生成物を含む。エチレン/α-オレフィンコポリマーの、または存在する場合、(D)の架橋のための他のアプローチも用いられ得、それには、放射線架橋、ならびに(A)および/または(D)が前述のように加水分解性シリル基を含有する実施形態においては、湿気によって誘発される架橋等が含まれる。架橋エチレン/α-オレフィンコポリマーは、(C)有機過酸化物の反応のアルコール生成物等の硬化副生成物も含有し得る。過酸化物硬化性エチレンコポリマー組成物がいずれか任意の成分(D)~(O)の1つ以上をさらに含有する場合、架橋エチレン/α-オレフィンコポリマーもまた、任意選択的な成分(D)~(O)のいずれか1つ以上、または過酸化物硬化性エチレンコポリマー組成物の硬化中にそれから形成される1つ以上の反応生成物を含有し得る。任意の(L)LASH(複数可)および任意の他の揮発性化合物(例えば、未反応コモノマー)を架橋エチレン/α-オレフィンコポリマーから除去して、独立して>0~<1重量%の各LASHおよび任意の他の揮発性化合物を含まないかまたは含有する架橋エチレン/α-オレフィンコポリマーを得ることができる。このような除去は、デカンテーション、揮発分除去、蒸留、蒸発、濾過、不活性ガス(例えば、無水N2ガス)を用いたスパージング、およびストリッピング等の任意の好適な手段によって行われ得る。架橋エチレン/α-オレフィンコポリマーは、分割された固体形態または連続形態であり得る。分割された固体形態は、顆粒、ペレット、粉末、またはそれらのいずれか2つ以上の組み合わせを含み得る。連続形態は、成形部品(例えばブロー成形部品)または押出成形部品(例えば被覆導体またはケーブル)であり得る。
【0056】
被覆導体。被覆導体は、絶縁導電体/光導体であり得、これは、絶縁導電体、絶縁光導体、または絶縁電気光学導体であり得る。絶縁光導体は、データ伝送用途に使用するための被覆光ファイバーおよび/または光ファイバー(ファイバーオプティック)ケーブルを含むことができる。絶縁導電体は、低電圧、中電圧、高電圧および超高電圧送電用途に使用するための、被覆金属ワイヤおよび/または電力ケーブルを含む電気ケーブルを含むことができる。絶縁電気光学導体は、データ伝送用途および送電用途の両方に使用するための光ファイバーと金属ワイヤとのコーティングされた組み合わせを含むことができる。「ワイヤ」は、導電性材料、例えば銅もしくはアルミニウム等の導電性金属の一本鎖もしくはフィラメント、または光ファイバーの一本鎖もしくはフィラメントを意味する。「ケーブル」および「電力ケーブル」は同義語であり、シース、ジャケット(保護外側ジャケット)、またはコーティングと呼ばれ得るカバー内に配置された、少なくとも1つのワイヤまたは光ファイバー、またはそれらの組み合わせを含む絶縁導体を意味する。絶縁導体がワイヤを含む場合、それは絶縁導電体と呼ばれてもよく、それが光ファイバーを含む場合、それは絶縁光導体と呼ばれてもよい。絶縁電気導体は、中電圧、高電圧、または超高電圧用途に使用するように設計および構成することができる。好適なケーブル設計の例として、US5,246,783、US6,496,629、およびUS6,714,707がある。
【0057】
絶縁導電体/光導体は、導体コアと、その周囲に配置された外側単層被覆または外側多層被覆とを含み、導体コアを外部環境から保護し絶縁することができる。導体コアは、1つ以上の金属ワイヤ、1つ以上の光ファイバー、またはそれらの組み合わせから構成されてもよい。導体コアが2本以上の金属ワイヤおよび/または光ファイバーを含む場合、金属ワイヤは個別のワイヤ束に細分されてもよく、光ファイバーは個別のファイバー束に細分されてもよい。導体コア内の各ワイヤまたは光ファイバーは、束ねられていてもいなくても、個別に絶縁層で被覆することができ、かつ/または、個別の束を絶縁層で被覆することができる。単層被覆または多層被覆(例えば、単層または多層コーティングまたはシース)は、主として、日光、水、熱、酸素、他の導電性材料(例えば、短絡防止のために)、および/または他の腐食性物質(例えば、化学煙霧)等の外部環境から導体コアを保護または絶縁するように機能する。
【0058】
1つの絶縁導電体/光導体から次の絶縁導電体/光導体への単層または多層被覆は、それらのそれぞれの意図する使用に応じて異なって構成されてもよい。例えば、断面で見ると、絶縁導電体の多層被覆は、その最内層からその最外層まで以下の構成要素を有するように順次構成されてもよい:内側半導体層、架橋エチレン/α-オレフィンコポリマー(本発明の架橋生成物)を含む架橋ポリオレフィン絶縁層、外側半導体層、金属シールド、および保護シース。層およびシースは、円周方向および同軸方向(長手方向)に連続的である。金属シールド(接地)は、同軸方向に連続的であり、円周方向に連続(層)または不連続(テープまたはワイヤ)のいずれかである。意図する用途に応じて、絶縁光導体のための多層被覆は、半導体層および/または金属シールドを省くことができるが、光ファイバー間のクロストークを防ぐための遮光材料、および/または、例えば、光ファイバーの破断につながる過度の曲げを防止するためのポリマーファイバーまたはその束等の補剛材を含むことができる。外側半導体層は、存在する場合、架橋ポリオレフィン層から剥離可能な過酸化物架橋半導体生成物から構成されてもよい。
【0059】
電気を伝導する方法。電気を伝導する本発明の方法は、絶縁導電体の実施形態または絶縁電気光学導体の実施形態を含む本発明の被覆導体を使用し得る。
【0060】
有利なことに、我々は、架橋エチレン/α-オレフィンコポリマー生成物(本発明の架橋生成物)が、絶縁導電体/光導体の単層被覆または多層被覆の架橋ポリオレフィン絶縁層として使用するのに十分な可撓性、および十分な熱安定性または酸化安定性を示すことを発見した。過酸化物硬化性エチレンコポリマー組成物(本発明の組成物)は、本発明の架橋生成物を製造するのに有用である。本発明の組成物を硬化させた後、結果として得られる本発明の架橋生成物は、向上した(すなわち増大した)TER(7dまたは28d、136℃)、向上した(すなわち増大した)OIT(O2、185℃)、および/または未変化もしくは3倍未満悪化した(すなわち<3倍増大した)、代替として未変化もしくは2倍未満悪化した(すなわち<2倍増大した)DF(130℃、60Hz、2kV)によって特徴付けることができる(全て、TAPを含まない比較組成物およびそれから製造されるTAPを含まない比較架橋生成物と比較)。いくつかの態様において、架橋エチレン/α-オレフィンコポリマー生成物は、制約(i)~(iii)のいずれか1つによってさらに定義される:(i)少なくとも20%、代替として少なくとも40%、代替として少なくとも50%、代替として少なくとも60%、代替として少なくとも65%;および多くとも200%、代替として多くとも150%、代替として多くとも120%、代替として多くとも110%、代替として多くとも100%のTER(7dまたは28d、136℃)によって特徴付けられる、(ii)少なくとも6分、代替として少なくとも10分、代替として少なくとも20分、代替として少なくとも30分;および多くとも60分、代替として多くとも50分、代替として多くとも45分のOIT(O2、185℃)によって特徴付けられる、ならびに(iii)(i)および(ii)の両方。いくつかの態様において、架橋エチレン/α-オレフィンコポリマー生成物は、(iv)0.05%~1.10%、代替として0.10%~1.10%、代替として0.50%~1.10%のDF(130℃、60Hz、2kV)によってさらに定義される。いくつかの態様において、本発明の組成物は、それから製造される本発明の架橋生成物によって特徴付けられ、本発明の架橋生成物は、上記の制限(i)~(iv)のいずれか1つによって特徴付けられる。対照的に、比較組成物がリン酸トリアリルを含まない(含有しない)ことを除いて本発明の組成物と組成的に同一である非本発明比較過酸化物硬化性エチレンコポリマー組成物から製造される非本発明比較架橋生成物は、50%未満、代替として40%未満、代替として30%未満、代替として20%未満のTER(7dまたは28d、136℃)によって、および/または多くとも10分、代替として多くとも5分のOIT(O2、185℃)によって特徴付けられてもよい。本発明の絶縁導電体/光導体は、データ伝送用途および/または低電圧、中電圧、高電圧、および超高電圧用途を含む送電用途において有用である。
【0061】
本発明の組成物(例えば、態様1~7)および生成物(例えば、態様9~11)は、中電圧、高電圧、および超高電圧電気ケーブルを含む、電気または電気通信産業で使用するための被覆ワイヤまたは被覆ケーブル等の被覆導体(例えば、絶縁導電体)の被覆の構成要素として等の様々な用途に有用である。例えば、中電圧電気ケーブル。
【0062】
未充填および充填組成物の実施形態の試験試料は、圧縮成形プラークに別々に作製され得る。これらの組成物の機械的特性は、圧縮成形プラークから切り取られた試験試料を使用して特徴付けられ得る。
【0063】
オレフィン重合触媒としては、チーグラー・ナッタ触媒、クロム触媒、および分子触媒が挙げられる。TiCl4/MgCl2等のチーグラー・ナッタ(Z-N)および酸化クロム/シリカゲル等のクロム触媒は、それらの触媒部位が単一の分子種から誘導されないという点で不均一である。不均一触媒は、広い分子量分布(MWD)および広い化学組成分布(CCD)を有するポリオレフィンをもたらす。分子触媒は、理論的に、定義された配位子および構造を有する配位子-金属錯体分子から誘導される単一の触媒部位を有するという点で均質である。結果として、分子触媒は狭いCCDおよび狭いMWDを有するポリオレフィンをもたらし、これは理論的限界のMw/Mn=2に近づいてはいるものの、実際には達していない。メタロセンは、非置換シクロペンタジエニル配位子(Cp)を含有する分子触媒である。ポストメタロセンは、拘束幾何触媒等の1つ以上の置換CP配位子を含有するメタロセンの誘導体、または非サンドイッチ錯体である。ポストメタロセン触媒の例として、ビス-フェニルフェノキシ触媒、拘束幾何触媒、イミノ-アミド型触媒、ピリジル-アミド触媒、イミノ-エナミド触媒、アミノトロポニミナト触媒、アミドキノリン触媒、ビス(フェノキシ-イミン)触媒、およびホスフィンイミド触媒がある。
【0064】
組成物の調製方法。Banbury配合機において、150℃の典型的な配合温度、毎分60~65回転(rpm)のローター速度を使用して、またはZKS二軸スクリュー押出機において、160℃以上(例えば、200℃)の押出温度、および例えば、200rpmのスクリュー速度を使用して、(比較実施例および本発明の実施例の)過酸化物硬化性エチレンコポリマー組成物の成分を溶融ブレンドする。実験室規模の手順では、溶融ブレンドおよびペレット化のためにバッチミキサーおよび単軸スクリュー押出機を使用する。ブレンドした添加剤を含有するペレットに、過酸化物および任の他の液体添加剤を50~80℃で6~24時間浸漬する。下記の調製方法1は、実験室規模の手順の一例である。
【0065】
圧縮成形プラークの調製方法:架橋生成物は、以下の条件で、過酸化物硬化性エチレンコポリマー組成物の試験プロトコルに応じて異なる厚さのプラーク(例えば、散逸率試験用の厚さ50ミル(1.3mm)のプラーク)を圧縮成形することにより、圧縮成形プラークの形態で調整することができる:3分間125℃で500psi(3.4MPa)、続いて20分間180℃で2500psi(17MPa)、次いで2500psiの圧力で30℃に冷却し、これにより架橋生成物の圧縮成形プラーク形態を得る。
【0066】
密度試験方法:ASTM D792-13、変位によるプラスチックの密度と比重(相対密度)の標準試験法の方法Bに従って測定した(水以外の液体中、例えば液体2-プロパノール中で固体プラスチックを試験するため)。結果を1立方センチメートル当たりのグラム単位(g/cm3)で報告する。
【0067】
DF(130℃、60Hz、2kV)での散逸率試験方法1:本明細書に記載される差異を除いて、ASTM D150-11、固体電気絶縁のAC損失特性および誘電率(絶縁定数)の標準試験法に従って測定した。厚さ50ミル(1.3mm)のプラークから切り出した架橋円形試験片上で実施した。60℃の真空オーブン内でプラークを5日間脱気した。TETTEXの試験片ホルダーおよびTETTEX AG InstrumentsのTemperature Control Unitとともに、GUILDLINEのHigh Voltage Capacitance Bridgeユニット、モデル9920Aを使用した。試料を130℃で60Hzおよび2kVの印加応力で試験した。(代替温度25、40、または90℃)絶縁定数の測定にも同じ方法を使用することができる。1日=24時間。1時間=60分間。1分間=60秒間。
【0068】
DF(100℃、50Hz、2kV)での散逸率試験方法2:10kVの電源と、オーブン内でシリコンオイルに浸漬された電極システムとを有するQS87ブリッジによって測定した:(1)70℃で1日、架橋プラークを脱気する。(2)電極の温度が100℃程度まで上昇したら、脱気したプラークを電極内に入れる。(3)100℃で。電圧を2kV(最初)に、次いで4kVに上昇させ、2kV(2番目)に戻す。(4)各応力レベルでDFを測定し、4kVおよび2番目の2kVならびに対応する電極温度でDFを記録する。
【0069】
曲げ弾性率(2%割線)試験方法:ASTM D790-15e2、非強化および強化プラスチックならびに電気絶縁材料の曲げ特性に関する標準試験法に従って23℃で測定した。クロスヘッド位置で厚さ125ミル(3.18mm)の圧縮成形試験片に対して2%歪みおよび0.05インチ/分(0.127cm/分)で測定し、平方インチ当たりポンド(psi)または同等のメガパスカル(MPa)で表す。
【0070】
ガラス転移温度(Tg)および融点試験方法:ASTM3418-15、示差走査熱量測定によるポリマーの転移温度ならびに融解および結晶化のエンタルピーに関する標準試験法に従って示差走査熱量測定(DSC)により測定し、摂氏(℃)で表す。
【0071】
メルトインデックスI2試験方法:エチレン系(コ)ポリマーの場合、以前は「条件E」として知られ、またI2としても知られている、190℃/2.16キログラム(kg)の条件を使用して、ASTM D1238-04、押出プラトメーターによる熱可塑性樹脂のメルトフローレートの標準試験法に従って測定される。結果を10分当たりに溶出したグラム単位(g/10分)または1.0分当たりのデシグラム(dg/1分)で報告する。10.0dg=1.00g。メルトインデックスは、ポリエチレンの重量平均分子量に反比例するが、反比例は線形ではない。したがって、分子量が大きいほど、メルトインデックスは低くなる。
【0072】
OITの酸化誘導時間試験方法(O2、185℃):示差走査熱量計(DSC)において、185℃の分子酸素雰囲気下で、圧縮成形プラークの調製法によって作製された架橋ポリオレフィン組成物の試験試料の酸化を開始するのに必要な時間を測定する。モジュールDSC標準セルを備えたTA InstrumentsのThermal Analysis Q-1000 DSCユニットを使用した。かみそりの刃を使用して約2mgの試験試料を薄いスライスに切断する。スライスした試験試料を、開放されたアルミニウム製DSC皿に入れた。毎分50ミリリットル(mL/分)で流れる窒素ガス下で、皿/内容物を5分間60℃で平衡化した。次いで、窒素ガス下で20℃/分で185℃まで温度を上昇させ、窒素下で5分間185℃に維持した。次いで、同じく50mL/分の流速でガスを分子状酸素に切り替え、酸素ガスをオンにした時(時間0)からDSCにおける有意な発熱ピークの開始までの経過時間を酸化的誘導時間またはOIT(O2、185℃)として分単位で記録した。OIT(O2、185℃)までの経過時間が長いほど、試験試料は酸化熱老化に対してより耐性がある。
【0073】
TER(7dまたは28d、136℃)での引張伸び保持率試験方法:ASTM D638およびUL1581/2556に従って、架橋されたが未老化の試料、ならびに架橋および熱老化(オーブン)試料の引張伸び(破断点歪み)を測定した。この方法は、毎分20インチ(51cm)の変位速度と、公称厚さ70ミル(1.8mm)を有するタイプIVのドッグボーン型試験片を使用した。各条件で測定を4~5回繰り返して平均し、未老化の架橋試験片(すなわち、圧縮成形後に23℃の室温に維持した)および136℃で7日間または28日老化させた熱老化架橋試験片について引張特性を測定する。熱老化は、タイプII ASTM D5423-93試験用機械式対流オーブンを使用して実施される。熱老化試験片(7dまたは28d、136℃)の引張伸び保持率(TER)は、対応する未老化試験片の引張伸び値の百分率として表される。
【実施例】
【0074】
成分(A1):ASTM D792に従って測定される0.872g/cm3の密度、ASTM D1238に従って測定される4.8g/10分のメルトインデックス(190℃、2.16kg)、ASTM D790-15e2に従って測定される1570psi(10.8MPa)の曲げ弾性率(2%割線)、およびASTM 3418-15に従って示差走査熱量測定(DSC)により測定される-53℃のガラス転移温度(Tg)によって特徴付けられる、エチレン-1-オクテンコポリマー。Midland,Michigan,USAのThe Dow Chemical CompanyによるDevelopment XUS 38660.00ポリオレフィンエラストマーとして商業的に入手した。
【0075】
成分(A2):ASTM D792に従って測定される0.88g/cm3の密度、ASTM D3900-17(ゴムの標準試験法:赤外分光法によるエチレン-プロピレンコポリマー(EPM)中およびエチレン-プロピレン-ジエンターポリマー(EPDM)中のエチレン単位の測定)に従って測定される67重量%のエチレン含有量、ASTM D6047-17(原料ゴムの標準試験方法、エチレン-プロピレンジエン(EPDM)ターポリマー中の5-エチリデンノルボルネン(ENB)またはジシクロペンタジエン(DCPD)の測定に従って測定される4.9重量%のENB(5-エチリデン-2-ノルボルネン)含有量、およびASTM D1646-15(ゴム-粘度、応力緩和、および予備加硫特性の標準試験法(ムーニー粘度計))に従って測定される60のムーニー粘度(125℃でML1+4)を有する、エチレン/プロピレン/ENBターポリマー。The Dow Chemical CompanyからNORDEL IP 4760として入手可能。
【0076】
成分(B1):Portland,Oregon,USAのTCI Americaから商業的に入手した、純度>96%のリン酸トリアリル(TAP)。
【0077】
成分(C1):AkzoNobelからPERKADOX BC-FFとして商業的に入手したジクミルペルオキシド。
【0078】
成分(C2):ArkemaからLUPEROX(登録商標)101として入手可能な2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキサン。
【0079】
成分(D1):ASTM D1238に従って測定される1.8g/10分のメルトフロー(230℃、2.16kg)、およびASTM D790Aに従って測定される190,000psi(1,310MPa)の曲げ弾性率(0.05インチ/分、1%割線)によって特徴付けられるポリプロピレンホモポリマー。BraskemからBraskem FF018Fとして商業的に入手した。
【0080】
成分(E1):2,2’-チオビス(2-t-ブチル-5-メチルフェノール)(CAS番号90-66-4)。AddivantからLOWINOX TBM-6として商業的に入手した。
【0081】
成分(F1):2,4-ジフェニル-4-メチル-1-ペンテン(AMSD)。White Plains,New York,USAのNOF CorporationからNofmer MSDとして商業的に入手した。
【0082】
成分(H1):1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリアミン、N2,N2’’-1,2-エタンジイルビス[N2-[3-[[4,6-ビス[ブチル(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)アミノ]-1,3,5-トリアジン-2-イル]アミノ]プロピル]-N’,N’’-ジブチル-N’,N’’-ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)-。イタリアのSABO S.p.A.からSABOSTAB UV 119として商業的に入手した。
【0083】
成分(J1):PEG20000、平均Mn20,000g/molを有するポリ(エチレングリコール)であり、Charlotte,North Carolina,USAのClariantから商業的に入手した。
【0084】
比較例1および2(CE1およびCE2):調製方法1を参照。
【0085】
比較例3(CE3):調製方法2を参照。
【0086】
本発明の実施例1~4(IE1~IE4):調製方法1を参照。
【0087】
本発明の実施例5(IE5):調製方法2を参照。
【0088】
調製方法1:(C1)を60℃で溶融させ、得られた溶融物に(C1)/(F1)の重量/重量比が5:1になるよう(F1)を混合して溶融混合物を得た。(A1)、(D1)、存在する場合、(E1)、(H1)、および(J1)を、容器内で手で別々に混合して固形混合物を得た。カムローターを備えた容積420cm3のBrabenderバッチミキサー内で、固体混合物を190℃および毎分40回転(rpm)で5分間(ローディング後)配合してブレンドを得た。ミキサーからブレンドを取り出し、ブレンドを冷間圧縮して薄いシートにし、そのシートをストリップに切断した。ストリップを冷凍庫でコンディショニングして硬化させ、次いで硬化したストリップをペレタイザーに供給してペレットを得た。ガラス瓶内でペレットを50℃で2時間加熱し、次いで、加熱したペレットに(C1)/(F1)溶融混合物を噴霧し、IE1~IE4の場合は(B1)も噴霧して、瓶内に過酸化物硬化性エチレンコポリマー組成物を得た。((B1)はCE1またはCE2には使用しなかった。)瓶の内容物をブレンドするために室温で10分間瓶転がし、次いでジャーおよびその内容物を50℃のオーブンに16時間入れた。得られた内容物を、カムローターを備えた容積420cm3のBrabender混合ボウル内で、120℃および30rpmで10分間(ローディング後)混合し、場合によっては、IE1~IE4およびCE1およびCE2の過酸化物硬化性エチレンコポリマー組成物を得た。ボウルから試料を取り出し、取り出した試料を冷間圧縮または圧縮成形し、冷間圧縮または圧縮成形した試料を特徴付けた。IE1~IE4ならびにCE1およびCE2の過酸化物硬化性エチレンコポリマー組成物の組成および特性は、後述の表1に示される。
【0089】
組成物の冷間圧縮試料を、著しい架橋を防止する条件下で圧縮成形し、溶融レオロジー特性について試験した。著しい架橋を防止する条件は、120℃で3分間500psi(3.5MPa)で圧縮し、続いて120℃で3分間2500psi(17MPa)圧縮し、次いで後者の圧力下で30℃まで冷却し、結果として得られた圧縮成形プラークを取り出すことである。組成物のさらに他の試料を完全架橋条件下で圧縮成形して異なる寸法の試験片を作製し(上記の圧縮成形プラークの調製方法を参照)、試験片を電気的および機械的特性について試験した。データを下の表1に示す。
【0090】
調製方法2:Haakeミキサーを100℃で平衡させる。次いで、成分A2、B1(存在する場合)、およびC2をミキサーに添加する。100℃で4分間、毎分35回転(rpm)で混合して、最終ポリマーブレンドを得る。以下の冷間圧縮法に従って、ブレンドを初期シートへと冷間圧縮する。初期シートを75℃で2回のロールミルに供して、1mmの厚さの最終シートを得る。表2を参照のこと。
【0091】
著しい架橋を防止する条件下で調製方法2の冷間圧縮した試料を圧縮成形し、溶融レオロジー特性について試験する。著しい架橋を防止する条件は、120℃で2分間10MPaで圧縮し、続いて180℃で15分間10MPaで圧縮し、次いで10MPaの圧力下で30℃に冷却し、圧縮を開放し、結果として得られた圧縮成形プラークを取り出すことである。電気的性質について試験片を試験する。データを下の表2に示す。
【0092】
【0093】
【0094】
表1のデータは、それぞれの過酸化物硬化性エチレンコポリマー組成物(実施例IE1~IE4)から製造された架橋エチレン/α-オレフィンコポリマー生成物が、絶縁導電体/光導体の多層被覆の架橋ポリオレフィン絶縁層として使用するのに十分な熱安定性および/または酸化安定性を示すことを示している。実施例IE2~IE4は、向上した(すなわち増大した)TER(7dまたは28d、136℃)、向上した(すなわち増大した)OIT(O2、185℃)、および未変化または2倍未満悪化した(すなわち<2倍増大した)DF(130℃、60Hz、2kV))によって特徴付けられる(全てTAPを含まない比較例CE1およびCE2と比較)。実施例IE1は、向上した(すなわち増大した)OIT(O2、185℃)および2倍未満悪化した(すなわち<2倍増大した)DF(130℃、60Hz、2kV)によって特徴付けられ、向上した(すなわち増大した)TER(7dまたは28d、136℃)を有すると予想される(全て、それぞれのTAPを含まない比較例CE1と比較)。IE1をCE1と比較し、IE2~IE4をCE2と比較する。組成物CE1およびCE2は、それぞれ組成物IE1またはIE2~IE4と組成的に同一であったが、組成物CE1およびCE2はリン酸トリアリルを含まないのに対し、組成物IE1~IE4はリン酸トリアリルを含有していた。
【0095】
表2のCE3とIE5とを比較すると、リン酸トリアリルは架橋エチレン/α-オレフィン/ジエンターポリマーにおいてDF(100℃、50Hz、4kVまたは100℃、50Hz、2kV)を向上させ(すなわち減少させ)、異なる有機過酸化物((C1)よりも(C2))を用いてそのようにした。
なお、本発明は、以下の実施形態を包含するものとする。
[1]過酸化物硬化性エチレンコポリマー組成物であって、58.00~99.90重量パーセント(重量%)の(A)架橋性エチレン/α-オレフィンコポリマー(「コポリマー(A)」または「成分(A)」)であって、有用な分子触媒の存在下で、エチレンとα-オレフィンコモノマー、ならびに任意選択的に非共役ジエンおよび第2のα-オレフィンから選択される別のコモノマーとを共重合させることを含むプロセスによって製造された、架橋性エチレン/α-オレフィンコポリマーと、0.050~0.949重量%の(B)リン酸トリアリル(TAP)と、0.050~5.00重量%の(C)有機過酸化物と、0.00~40重量%の(D)エチレン/不飽和カルボン酸エステルコポリマー、ポリエチレンホモポリマー、非(分子触媒)形成エチレン/α-オレフィンコポリマー、およびプロピレン系ポリマーから選択される補助ポリマーと、を含み、但し、成分(A)および成分(D)の総重量は80.00~99.90重量%であるものとし、全ての重量%は、前記過酸化物硬化性エチレンコポリマー組成物の総重量に基づいており、前記過酸化物硬化性エチレンコポリマー組成物の総重量は100.0重量%である、組成物。
[2]制約(i)~(ii)のいずれか1つによってさらに説明される、前記[1]に記載の組成物:(i)前記α-オレフィンコモノマーは(C
3
~C
20
)α-オレフィンであり、前記(A)架橋性エチレン/α-オレフィンコポリマーは、特性(a)~(c)のうちの少なくとも1つによって特徴付けられるエチレン-(C
3
-C
20
)α-オレフィンコポリマー(例えば、バイポリマー(別のコモノマーなしで共重合する)もしくはターポリマー(第2のα-オレフィンコモノマーと共重合する))である:(a1)ASTM D790-15e2に従って測定される>0~40,000psi(>0~278MPa)の曲げ弾性率(2%割線)および/または(a2)ASTM D792に従って測定される1立方センチメートル当たり0.850~0.930グラム(g/cm
3
)の密度、(b)ASTM 3418-15に従って示差走査熱量測定(DSC)により測定される-130℃~-20℃のガラス転移温度(T
g
)、ならびに(c)ASTM D1238-04に従って測定される毎分0.5デシグラム(dg/分)~50dg/分のメルトインデックス(190℃、2.16キログラム(kg)、「I
2
」)、あるいは(ii)前記α-オレフィンコモノマーはプロピレンであり、別のコモノマーが使用され、それは非共役(C
6
-C
20
)ジエンであり、前記(A)架橋性エチレン/α-オレフィンコポリマーは、特性(a)~(d)のうちの少なくとも1つによって特徴付けられるエチレン-プロピレン-(C
6
-C
20
)ジエンコポリマー(例えばターポリマー)(EPDM)である:(a1)ASTM D790-15e2に従って測定される>0~20,000psi(>0~138MPa)の曲げ弾性率(2%割線)および/または(a2)ASTM D792に従って測定される0.850~0.910g/cm
3
の密度、(b)ASTM 3418-15に従って示差走査熱量測定(DSC)により測定される-130℃~-20℃のガラス転移温度(T
g
)、(c)ASTM D1238-04に従って測定される毎分0.1デシグラム(dg/分)~50dg/分のメルトインデックス(190℃、2.16キログラム(kg)、「I
2
」)、ならびに(d)1分間の予熱時間および4分間のローター作動時間で、ASTM D1646-15に従って測定される15~170のムーニー粘度(125℃でML1+4)。
[3]制約(i)~(iv)のいずれか1つによってさらに説明される、前記[1]または[2]に記載の組成物:(i)前記(A)架橋性エチレン/α-オレフィンコポリマーは前記過酸化物硬化性エチレンコポリマー組成物の90~99重量%であり、前記過酸化物硬化性エチレンコポリマー組成物は前記(D)補助ポリマーを含まない(欠く)、(ii)前記(A)架橋性エチレン/α-オレフィンコポリマーは前記過酸化物硬化性エチレンコポリマー組成物の58.00~90.00重量%であり、前記(D)補助ポリマーは前記過酸化物硬化性エチレンコポリマー組成物の40.0~1.0重量%である、(iii)前記(D)補助ポリマーはポリプロピレンホモポリマーである、ならびに(iv):(ii)および(iii)の両方。
[4]制約(i)~(iv)のいずれか1つによってさらに説明される、前記[1]~[3]のいずれか一項に記載の組成物:(i)前記(B)リン酸トリアリル(TAP)は0.090~0.940重量%である、(ii)前記(B)リン酸トリアリル(TAP)は0.100~0.900重量%である、(iii)前記(B)リン酸トリアリル(TAP)は0.19~0.849重量%である、(iv)前記(B)リン酸トリアリル(TAP)は0.200~0.800重量%である(全ての重量%は、前記過酸化物硬化性エチレンコポリマー組成物の総重量に基づく)。
[5]制約(i)~(v)のいずれか1つによってさらに説明される、前記[1]~[4]のいずれか一項に記載の組成物:(i)前記(C)有機過酸化物は、前記過酸化物硬化性エチレンコポリマー組成物の総重量に基づいて1.0~4.0重量%である、(ii)前記(C)有機過酸化物は式R
O
-O-O-R
O
の化合物であり、式中、各R
O
は独立して(C
1
-C
20
)アルキル基または(C
6
-C
20
)アリール基である、(iii)前記(C)有機過酸化物は、ビス(1,1-ジメチルエチル)過酸化物、ビス(1,1-ジメチルプロピル)ペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ビス(1,1-ジメチルエチルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ビス(1,1-ジメチルエチルペルオキシ)ヘキシン、4,4-ビス(1,1-ジメチルエチルペルオキシ)吉草酸、ブチルエステル、1,1-ビス(1,1-ジメチルエチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、過酸化ベンゾイル、tert-ブチルペルオキシベンゾエート、ジ-tert-アミルペルオキシド(「DTAP」)、ビス(α-t-ブチル-ペルオキシイソプロピル)ベンゼン(「BIPB」)、イソプロピルクミルt-ブチルペルオキシド、t-ブチルクミルペルオキシド、ジ-t-ブチルペルオキシド、2,5-ビス(t-ブチルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサン、2,5-ビス(t-ブチルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキシン-3,1,1-ビス(t-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、イソプロピルクミルクミルペルオキシド、ブチル4,4-ジ(tert-ブチルペルオキシ)バレラート、またはジ(イソプロピルクミル)ペルオキシド、またはジクミルペルオキシドである、(iv)前記(C)有機過酸化物はジクミルペルオキシドである、および(v):(i)と(ii)~(iv)のいずれか1つとの組み合わせ。
[6]制約(i)または(ii)によってさらに説明される、前記[1]~[5]のいずれか一項に記載の組成物:(i)成分(A)~(D)の合計量はその100重量%である、または(ii)成分(A)~(D)の前記合計量は100重量%未満であり、前記過酸化物硬化性エチレンコポリマー組成物は、成分(E)~(O)のうちの少なくとも1つをさらに含む:(E)酸化防止剤、(F)TAPではない助剤、(G)ポリジメチルシロキサン(PDMS)流体、(H)ヒンダードアミン安定剤、(I)難燃剤、(J)トリー遅延剤、(K)着色剤、(L)液体芳香族または飽和炭化水素(LASH)、(M)メチルラジカル捕捉剤、(N)スコーチ遅延剤、および(O)充填剤。
[7]制約(i)~(vi)のいずれか1つによってさらに説明される、前記[6]に記載の組成物:(i)前記過酸化物硬化性エチレンコポリマー組成物は成分(E)酸化防止剤をさらに含み、前記(E)酸化防止剤は、ビス(4-(1))-メチル-1-(フェニルエチル)フェニル)アミン、2,2’-メチレン-ビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2’-チオビス(2-t-ブチル-5-メチルフェノール;2,2’-チオビス(6-t-ブチル-4-メチルフェノール);トリス[(4-tert-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-(ジメチルフェニル)メチル]-1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリオン;ペンタエリスリトールテトラキス(3-(3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート);3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシベンゼンプロパン酸2,2’-チオジエタンジイルエステル;またはジステアリルチオジプロピオネートである、(ii)前記過酸化物硬化性エチレンコポリマー組成物は、成分(F)TAPではない助剤をさらに含み、前記(F)TAPではない助剤は、トリアリルイソシアヌレート;トリアリルリン酸トリアミド、N-ヒドロキシメチル-3-ジメチルホスホノプロピオンアミド、2-エチル-メタクリレートリン酸、ヒドロキシルエチルメタクリレートのリン酸エステル、またはビニルホスホン酸等の不飽和有機リン化合物;またはα-メチルスチレンダイマー(AMSD)もしくはジイソプロペニルベンゼン(DIPB)である、(iii)前記過酸化物硬化性エチレンコポリマー組成物は、成分(H)ヒンダードアミン安定剤をさらに含み、前記(H)ヒンダードアミン安定剤は、1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリアミン、N2,N2’’-1,2-エタンジイルビス[N2-[3-[[4,6-ビス[ブチル(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)アミノ]-1,3,5-トリアジン-2-イル]アミノ]プロピル]-N’、N’’-ジブチル-N’、N’’-ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)-である、(iv)前記過酸化物硬化性エチレンコポリマー組成物は、成分(J)トリー遅延剤をさらに含み、前記(J)トリー遅延剤は、10,000~30000グラム/モルの数平均分子量(Mn)を有するポリ(エチレングリコール)(PEG)である、(v)前記過酸化物硬化性エチレンコポリマー組成物は、制約(i)~(iv)の組み合わせをさらに含む、ならびに(vi)前記過酸化物硬化性エチレンコポリマー組成物は、0.20~0.50重量%の成分(E)((E)は2,2’-チオビス(2-t-ブチル-5-メチルフェノール)である)、0.30~0.50重量%の成分(F)((F)はα-メチルスチレンダイマー(AMSD)である)、0.10~0.30重量%の成分(H)((H)は1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリアミン,N2,N2’’-1,2-エタンジイルビス[N2-[3-[[4,6-ビス[ブチル(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)アミノ]-1,3,5-トリアジン-2-イル]アミノ]プロピル]-N’,N’’-ジブチル-N’,N’’-ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)-である]、および0.40~0.80重量%の成分(J)((J)は15000~25000g/モルのMnを有するPEGである)をさらに含む。
[8]前記(A)架橋性エチレン/α-オレフィンコポリマーは、エチレン/プロピレン/ジエンターポリマーであり、前記ジエンは、5-エチリデン-2-ノルボルネンである、前記[1]~[7]のいずれか一項に記載の組成物。
[9]前記[1]~[8]のいずれか一項に記載の過酸化物硬化性エチレンコポリマー組成物を製造する方法であって、有効量の成分(A)~(C)と、いずれか任意の成分(D)~(O)とを接触させて、前記過酸化物硬化性エチレンコポリマー組成物を得ることを含む、方法。
[10]前記接触させることは、前記成分(A)~(C)およびいずれか任意の成分(D)~(O)を内部混合すること、または前記成分(B)、(C)およびいずれか任意の成分(D)~(O)のうちの少なくとも1つを成分(A)に浸漬することを含む、前記[9]記載の方法。
[11]前記[1]~[8]のいずれか一項に記載の過酸化物硬化性エチレンコポリマー組成物を硬化してなる生成物である、架橋エチレン/α-オレフィンコポリマー生成物。
[12]前記(A)架橋性エチレン/α-オレフィンコポリマーはエチレン/プロピレン/ジエンターポリマーであり、前記ジエンは5-エチリデン-2-ノルボルネンであり、前記架橋エチレン/α-オレフィンコポリマー生成物は、オーブン内で17時間180℃で加熱した後、30%~90%の引張伸びを有するか、またはオーブン内で24時間180℃で加熱した後、25%~80%の引張伸びを有する、前記[11]に記載の生成物。
[13]前記[11]または[12]に記載のエチレン/α-オレフィンコポリマー生成物の成形体を含む、製造品。
[14]導電性コアと、前記導電性コアを少なくとも部分的に覆う絶縁層と、を備える、被覆導体であって、前記絶縁層の少なくとも一部分が前記[11]または[12]に記載の架橋エチレン/α-オレフィンコポリマー生成物を含む、被覆導体。
[15]電気を伝導する方法であって、前記[14]に記載の被覆導体の前記導電性コア全体に電圧を印加して、前記導電性コアを通る電気の流れを発生させることを含む、方法。