(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-14
(45)【発行日】2022-09-26
(54)【発明の名称】僧帽弁治療装置(MVTD)を僧帽弁の位置に導入するためのシステム
(51)【国際特許分類】
A61F 2/24 20060101AFI20220915BHJP
【FI】
A61F2/24
(21)【出願番号】P 2019547598
(86)(22)【出願日】2017-11-22
(86)【国際出願番号】 US2017062913
(87)【国際公開番号】W WO2018098210
(87)【国際公開日】2018-05-31
【審査請求日】2020-11-19
(32)【優先日】2016-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-01-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519179420
【氏名又は名称】シネコー・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【氏名又は名称】徳本 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100180231
【氏名又は名称】水島 亜希子
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【氏名又は名称】有原 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100121762
【氏名又は名称】杉山 直人
(74)【代理人】
【識別番号】100126767
【氏名又は名称】白銀 博
(72)【発明者】
【氏名】スタック、リチャード・エス
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン、ケヴィン・ダブリュー
(72)【発明者】
【氏名】アサス、ウィリアム・エル
【審査官】小林 睦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/178115(WO,A2)
【文献】特表2012-521854(JP,A)
【文献】特表2008-523922(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0317289(US,A1)
【文献】特表2016-512726(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
僧帽弁治療装置(MVTD)を僧帽弁の位置に導入するためのシステムであって、
血管系の中へ導入するのに調和し、ケーブルの第1の端部が患者の大腿静脈の外側に存在し、ケーブルの第2の端部が患者の大腿動脈の外側に存在するように、右大腿静脈から、経中隔的な穿孔を介して心臓を通り、大腿動脈に至って伸びる長さを有るケーブルと、
ケーブルの第2の端部を基端側方向に引きながら、僧帽弁治療装置(MVTD)を先端側方向へ押すことにより、僧帽弁治療装置(MVTD)を僧帽弁の位置に前進させるようにして、僧帽弁治療装置(MVTD)をケーブルに固定する手段と、
管状の管腔を有し、曲部を形成するために能動的に操舵可能な先端端部を有する左心室リダイレクター(LVR)と、
僧帽弁治療装置(MVTD)の先端ノーズに係合可能な基端端部と、左心室リダイレクター(LVR)の先端端部と係合可能な先端端部とを有する管状のコネクタと、
を備え、
左心室リダイレクター(LVR)の管腔の当該先端端部は、左心室リダイレクター(LVR)の基端端部を体外に残して配置しながら、左心室リダイレクター(LVR)の能動的に形成された曲部を左心室の頂部に配置するために、ケーブルの第2の端部上を前進可能であり、
左心室リダイレクター(LVR)の当該基端端部は、左心室リダイレクター(LVR)の基端端部に先端側方向の力を作用させることが、左心室の頂部の中に曲部を押し付けることになるように構成されている、
ことを特徴とするシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムにおいて、
左心室リダイレクター(LVR)は、プル・ワイヤと、曲部を形成するためにプル・ワイヤ上のテンションを調整操作できるアクチュエータを含むことを特徴とするシステム。
【請求項3】
請求項2に記載のシステムにおいて、
左心室リダイレクター(LVR)は、リターン・ワイヤと、左心室リダイレクター(LVR)をほぼ直線状の状態に戻すためにリターン・ワイヤの位置を調整操作できるアクチュエータを含むことを特徴とするシステム。
【請求項4】
請求項2に記載のシステムにおいて、
プル・ワイヤはシャフトを通って伸び、シャフトの外側に沿って伸びた先端部分を含み、
左心室リダイレクター(LVR)は、曲部において平坦なバリアを形成するために展開可能な防護パネルを更に含む、
ことを特徴とするシステム。
【請求項5】
請求項4に記載のシステムにおいて、
防護パネルは、シャフトの先端部分とプル・ワイヤの先端部分とに結合されていることを特徴とするシステム。
【請求項6】
請求項5に記載のシステムにおいて、
防護パネルは、左心室リダイレクター(LVR)がほぼ直線状の状態にあるときに、シャフトの外側に沿って伸びていることを特徴とするシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明者: Richard S. Stack
【0002】
優先権: 本出願は、以下の米国仮出願: 2016年11月22日に出願した仮出願番号62/425,584、2017年1月6日に出願した仮出願番号62/443,492、2017年2月21日に出願した仮出願番号62/461,788、及び2017年3月20日に出願した仮出願番号62/473,495に基づく優先権の利益を享受するものである。
【背景技術】
【0003】
経血管手法を使用した僧帽弁の置換、あるいは治療する試みに多くの注目が集まっている。 経血管的介入手法を使用して導入するように設定された、40を超える新規な僧帽弁治療装置(MVTDs)が今までに記載されてきている。 多くの僧帽弁治療装置(MVTDs)は僧帽弁の人工器官を導入する際に使用するための導入装置である。 これらの装置が低侵襲であると考えられる、手術に基づく心臓インターベンション治療用とするためには、経中隔カテーテル法として知られている確立された手法によって、それらは心臓の右側から心房間隔膜を横切って心臓の右側へ横断しなければならない。 置換用僧帽弁治療装置(MVTDs)によって実行される僧帽弁のサイズと特殊な形状の理由から、このルートは極度に困難なものであることが証明されている。
【0004】
現状の全ての経中隔僧帽弁導入システムは、心房間隔膜を横切り、左心房を通り、更に僧帽弁を横切り、そして左心室の中に入るように予め導入された0.035インチのガイドワイヤ上を、これらの大きな装置を押していくことが必要な従来のインターベンション(血管内治療)的なアプローチに依存している。 現在利用可能な全ての経中隔インターベンション用装置において使用されているガイドワイヤは、これらの大きな装置を所定位置へ潜在的に推し進めることができる「レール」を提供するものである。 不幸にも、左心房を通って横断し、案内するときに必要となるきつい曲部をうまく曲げるには、一般的に僧帽弁治療装置(MVTDs)は単に大きすぎ、リジッドすぎるものである。 その結果、僧帽弁の弁輪の中に位置決めするために必要となる複数個所の曲部をうまく曲げようとしたときに、それらは「立往生した状態」に陥る可能性がある。 ある例では、僧帽弁の弁輪の中において、適切な位置決めを達成するために、デリケートな心臓組織を離れて屈曲させるようにしてガイドワイヤと僧帽弁治療装置を使用しながら、医者がガイドワイヤ上をこれらの僧帽弁治療装置を推し進めることを試みている。 心臓組織に対するダメージを防止するためには、このような推し進める使用法は避けたほうが良い。
【0005】
本明細書において記載された実施例では、僧帽弁への施術(例えば、治療または置換)のために、僧帽弁治療装置(MVTDs)をターゲットとする位置へ導入するよう動かすために、ガイドワイヤは使用されていない。 その代わり、僧帽弁治療装置(MVTDs)を所定場所に安全に配置するために、保護され、調整された、相乗的な力が利用されている。 この力には、血管系を通り所定の位置まで僧帽弁治療装置(MVTD)を安全に前進させると共に僧帽弁に対して適切な方向を向かせるのに助けとなる、引く力、押す力、およびステアリング力が含まれている。
【0006】
導入システムの先端部を方向づけるのを手助けするために、商業的に利用可能であって、保護されていない形態で左心室と左心房を通り、大動脈から後退して送られる「スネア装置」を使って、僧帽弁治療装置(MVTDs)のガイドワイヤを使った導入を容易にすることが試みられた。 スネアで僧帽弁治療装置(MVTD)を引くことによって、スネアは大きな力で(上方に)引っ張られ、そして大動脈弁尖および僧帽弁弁尖の両方を横断して同時に広く開くようになり、患者の両弁の機能不全と血圧の喪失につながることが分かった段階でこの試みは放棄された。 ここで開示するシステムは、このような問題を取り除き、どのような僧帽弁治療装置であっても僧帽弁の弁輪の中の正確な位置に安全に導入するための力を最大限適用できるようになっている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1A】
図1Aは、ブロッケンブロー法(心房中隔穿刺)の針と拡張器と共に組み立てられた“右側から左側”への導管(RLC)の側方立面図である。
【
図1B】
図1Bは、トラッカー・バルーン・カテーテルと一緒に組み立てられた
図1Aの“右側から左側”への導管(RLC)の側方立面図である。
【
図1C】
図1Cは、左心室リダイレクター(LVR)と一緒に組み立てられた
図1Aの“右側から左側”への導管(RLC)の側方立面図である。
【
図2A】
図2Aは、防護パネルを展開するための曲がった部分において先端部を有する左心室リダイレクター(LVR)の側方立面図である。
【
図2B】
図2Bは、直線部分において先端部を有する左心室リダイレクター(LVR)の側方立面図である。
【
図2C】
図2Cは、
図2Bに示す2C-2C面において切り取った左心室リダイレクター(LVR)のシャフトの断面図である。
【
図3C】
図3Cは、ケーブル、テンショナー、僧帽弁治療装置(MVTD)、およびケーブル・ロックの組み立て図を示したものである。
【
図4A】
図4Aは、心臓の一部を図示し、“右側から左側”への導管(RLC)を通り、ブロッケンブロー法(心房中隔穿刺)の針組み立てを使用し、左心房から右心房への経中隔カテーテル法のステップを示したものである。
【
図4B】
図4Bは、
図4Aと類似の図であり、右心房の中で展開されたバルーン・カテーテルを示したものである。
【
図5A-5C】
図5A-5Cは、左心房と、左心房からの血流によって運ばれ、大動脈へ入りそこを通って大腿動脈に至るトラッカー・バルーンを描いた心臓を図示したものである。
【
図6A】
図6Aは、ケーブルが“右側から左側”への導管(RLC)を通った後、左大腿動脈中にあるケーブルのボール・チップのスネア処理を示したものである。
【
図6B】
図6Bは、ケーブル上を左心室リダイレクター(LVR)を前進させ、そして左心室リダイレクター(LVR)をケーブルに固定するステップを示したものである。
【
図6C】
図6Cは、“右側から左側”への導管(RLC)を左心室リダイレクター(LVR)が前進する状況を示したものである。
【
図7】
図7は、“右側から左側”への導管(RLC)を除去した後、左心室内において左心室リダイレクター(LVR)が拡張した状態を示したものである。
【
図8A-8B】
図8Aおよび8Bは、僧帽弁治療装置(MVTD)導入システムと、心房中隔を横断し僧帽弁の弁輪に向かうケーブルによって引かれているケーブル上のテンショナーを示すものである。
【
図9A】
図9Aは、僧帽弁治療装置(MVTD)が僧帽弁の中の中央に置かれるようにして、僧帽弁治療装置(MVTD)導入システムが僧帽弁に配置された状態を示すものである。
【
図9B】
図9Bは、僧帽弁の弁輪の所定位置にある僧帽弁を示すものであり、僧帽弁治療装置(MVTD)から展開したものである。
【発明の概要】
【0008】
本明細書において開示されたシステムは、僧帽弁治療装置(MVTD)を僧帽弁位置へ導入することを支援するために設計されたものである。 ここで使用されている僧帽弁治療装置又はMVTDという用語は、治療目的のために、自然の僧帽弁の場所に導入されるいずれかの装置を意味するものである。 以下の記載において、僧帽弁治療装置(MVTD)は置換用僧帽弁を搬送する僧帽弁導入システムとして示したものであるが、このシステムおよびここで記載する方法は、僧帽弁を治療するために使用されるような、その他の僧帽弁治療装置(MVTD)を導入するために使用することもできるものであることを理解すべきである。
【0009】
ここで開示されたシステムおよび方法は、心臓内にある僧帽弁に僧帽弁治療装置(MVTD)を安全に向かわせることができる経皮的なシステムであって、僧帽弁治療装置(MVTD)の導入のために使用されてきた従来のインターベンショナル(血管内治療)なガイドワイヤを使用したアプローチにとって代わるものである。 このシステムは、全てのインターベンショナル(血管内治療)な装置に存在する固有の0.035インチの管腔を介して、既存のいずれの僧帽弁治療装置(MVTD)に対しても容易に装着できるものであって、このシステムは、僧帽弁治療装置(MVTD)におけるガイドワイヤの必要性を取り除くものである。
【0010】
以下に記載する詳細な説明をレビューすることによって理解できるように、ケーブル・システムは、心房中隔を横切って、僧帽弁治療装置(MVTD)を駆動するために、等しい、又は協調した力で僧帽弁治療装置(MVTD)の先端ノーズを同時に引っ張りながら、僧帽弁治療装置(MVTD)の基端部を押す両方の機能を有する。 ケーブルを使用して僧帽弁治療装置(MVTD)の先端ノーズを更に引っ張ると、硬くて嵩張った僧帽弁治療装置(MVTD)を心房中隔を横切り、左心房へ入り、そして僧帽弁リング(心房中隔の入り口部の下方であって、患者の左側に位置する)内において展開するための位置へと案内する操舵力が提供されることになる。更に、左心房(LV)リダイレクター(以下に詳述する)と呼ばれるユニークな装置に存在する操舵機構を使用することによって、僧帽弁治療装置(MVTD)は、僧帽弁(MV)の面に垂直な角度であって、中央位置に精度よく位置決めされる。 ある実施例では、高精度で調整された押し力と引き力を伝えるために、電気的な駆動ユニットを使用するようにしても良い。
【0011】
システムおよび方法に関する以下の記載において、当該システムのコンポーネントのアクセス・ポイントは、静脈アクセスのための右大腿静脈および動脈アクセスのための左大腿動脈として記載されている。 しかしながら、当該システムおよび方法は、静脈および動脈アクセスの別の組み合わせを利用することも容易に行うことができる。 例えば、静脈アクセスは右大腿静脈を経由して達成され、動脈アクセスは右大腿動脈を経由して達成される。 別の方法として、両方のアクセス・ポイントを左側にすることもできる。 更に別の実施例では、静脈アクセスは左大腿静脈を経由して達成され、動脈アクセスは右大腿動脈を経由して達成される。
【0012】
システム
図1Aに関して言及すると、このシステムは、右側から左側への導管10(RLC)を含んでおり、この導管10は、成人の人間の右大腿静脈から右心房へ行き、心房中隔を横断して左心房へ行き、大動脈を通って患者の右側または左側の大腿動脈の中へと伸びていくことができる十分な長さをもった細長い管状のカテーテルである。 導管10(RLC)は、心房中隔に対する経中隔的な穿孔のために使用されるニードルの方向付けを容易にするために、先端部分の形状が湾曲した形状を有している。
【0013】
別の実施例では、導管10(RLC)は、プル・ワイヤまたはその他の手段をつかった操舵可能なものであっても良い。 心臓血管カテーテルの技術分野において知られているように、導管10(RLC)のデュロメーター硬度は、細胞の外傷を最小化するために相対的に低く(例えば、55D)なっている一方、カテーテルの基端部分のかなりの長い部分は、後述するように左心室リダイレクター(LVR)を前進させる間押されることになり、そのときに座屈するのを回避するために導管に柱としての十分な強度を付与するため、より高いデュロメーター硬度(例えば、70D)となっている。
【0014】
この高いデュロメーター硬度の部分は、導管が右大腿静脈と右又は左大腿動脈の間にわたって十分に展開したときに、導管の基端部又は基端部近傍で始まり下大静脈内で終了する導管の一部であっても良く、導管(RLC)の1/3の長さであっても良い。
図1Aにおいては、導管10(RLC)は、当該方法の経中隔カテーテル法のステップにおいて使用するための、ブロッケンブロー法(心房中隔穿刺)の針組立12と拡張器14とを一緒に組立てたものが示されている。
【0015】
当該システムは、
図1Bに示すような、導管10(RLC)を通って伸びたトラッカー・バルーン・カテーテル16を更に含んでおり、トラッカー・バルーン・カテーテル16は、カテーテルの先端部分に配置されたインフレータブルなバルーンから構成されている。 バルーン・カテーテル16は、ガイドワイヤの管腔を含んでいる。 このバルーンは二酸化炭素又は生理食塩水を含む流体またはガスによって膨らませることができるものであっても良いし、自己膨張性の「バキューム・バルーン」であっても良い。
【0016】
図1Cには、コンベア・ケーブル18と左心室リダイレクター(又はLVRと呼ぶ)26とを一緒に組立てた状態を示している。 LVR(左心室リダイレクター)の詳細は、
図2A-2Cで見ることができる。 LVR(左心室リダイレクター)は、ルアー・ポート40を備えた基端側ハンドル32を有する細長いカテーテル・シャフト28を含んでいる。
図2Cの断面図に示すように、シャフト28には、ポート40を介してアクセスすることができる管腔29が含まれている。 この管腔29は、シャフト28の先端部分へと伸びている。 LVR(左心室リダイレクター)の壁の中にはプル・ワイヤ26とリターン・ワイヤ38が取り込まれている。 プル・ワイヤ26はシャフト28の先端端部近くの側壁に存在し、シャフト28の外側に沿って配置されており、シャフト28の先端端部に取り付けられている。 プル・ワイヤ26のテンションを増すことにより、シャフト28の先端端部は引っ張られて、
図2Aに示すように湾曲した状態になる。 ハンドル32には、シャフト28を曲げるためのプル・ワイヤを駆動するアクチュエータと、シャフト28の先端端部がほぼ直線状の形態(
図2Bに示すような形態)に戻すためのリターン・ワイヤを駆動するアクチュエータが含まれている。 リターン・ワイヤ38は、カテーテルの優先的な曲げを促進するように長辺の向きを配向させた、四角形の断面形状を有するようにしても良い。
【0017】
シャフトの先端部分に沿って、かつ、プル・ワイヤ26の外側部分に沿って膜30が配置されている。 プル・ワイヤが緩められ、シャフトが直線状の形態になったときに、パネルとプル・ワイヤはシャフトの先端部分に沿って配置されるようになっている。 プル・ワイヤの動作によりシャフトの先端部分が湾曲した形態になったときに、膜は、
図2Aに示すようにD字状のバリアを形成するようになっている。 バリアは、プル・ワイヤの外側部分とシャフト28の間に伸び、実質的に両者間の隙間を無くす防護パネルを形成する。 このパネルは弾性的な挙動をするポリマー、あるいはその他の材料で作るようにしても良い。
【0018】
ここで、「プル・ワイヤ」という用語は、ワイヤによって形成されたプル・ワイヤということを意味するものではなく、本明細書においては、この用語は、プル・ワイヤが使用されているLVR(左心室リダイレクター)やその他のカテーテルの形状を変えるためにテンションを調整することができる腱や筋状のもの、ケーブル、その他の細長い要素の種類を表す、もっと広い意義を有するものとして使用されている。
【0019】
図3Aに示すコンベア・ケーブル18は、図示するようなボール・チップ状の外観を有する拡幅された先端チップ20を備えた先端ケーブル部分を有する細長いケーブルから成る。 先端チップ20は、スネアを使用した係合を容易にするために、凸状の曲面を有する先端面とほぼ平坦な基端面を持った円柱状の部分を含んでいる。 より大きな径を有する中間部分17bは、先端部分17Aの基端側にあり、ポリマーのコーティングが施されている。 基端側部分19は、中間部分17bの基端側にある剛なマンドレルから成る。 この基端側部分は、後述するように、導管(RLC)の取り出し中にケーブルを押す際に柱を支えるようにするため、十分な剛性を有している。
【0020】
X線不透過性のマーカー・バンド21が基端側のマンドレル部分19と中間部分17bの間に配置されている。 ケーブル18がセグメント化されたテンショナー22(後で説明)と共に組み立てられたとき、セグメント化されたテンショナーの柔らかい先端チップはマーカー・バンド21と接続し、ユーザーは、透視画像上においてセグメント化されたテンショナーとケーブルの(コーティングが施された)中間部分17bの間の移行部を見ることができるようになっている。
【0021】
図3Bに示す、セグメント化されたテンショナー22は、柔らかい(例えば、40D)チップ部分と、より大きな径をもち、より剛な(例えば、70D)基端側ハブ部分を備えた長さの短い(例えば、30~35mm)管状のコンポーネントである。 ハブ部分の内径は、僧帽弁治療装置(MVTD)の先端チップを受け入れるのに調和した大きさとなっている。 セグメント化されたテンショナー22は、コンベア・ケーブルのポリマーをコーティングした中間部分17bと係合し、僧帽弁治療装置(MVTD)46を所定位置にロックするために、シャフトの内径内にデッドストップを取り入れており、僧帽弁治療装置(MVTD)が僧帽弁に向かって動かされたときに、コンベア・ケーブルが単独で前進してしまうのを防止するようになっている。
【0022】
使用方法
最初のステップとして、例えば、
図4Aに示すように、右大腿静脈内に配置された導管(RLC)を通ったブロッケンブロー法(心房中隔穿刺)の針組立12、14を使用するという、経中隔カテーテル法の周知の技術を使用し、右心房(RA)から左心房(LA)へ導管10(RLC)が導入される。 一旦、導管10(RLC)が左心房の中に配置されると、針は取り下げられ、トラッカー・バルーン・カテーテル16が導管10(RLC)を通過して左心房の中に入れられる。 このバルーンは、上流側方向においてバルーンの表面積を増加させるために、凹んだ基端側の面を有している。 バルーンが左心房の中で一旦展開されると、
図5Bに示すように、血流によって大動脈のなかへ入り、そこを通って大腿動脈へと運ばれる。 上述したように、ここでの記載は、左側からの動脈血管系へのアクセスについて説明したものであり、別の方法として、トラッカー・バルーン・カテーテル16が右大腿動脈(RFA)へ導入されるようにしても良い。 導管10(RLC)はトラッカー・バルーン・カテーテル16上を左、又は右大腿動脈に向かって前進する。
図5C参照。
【0023】
トラッカー・バルーン・カテーテルは導管10(RLC)から取り下げられ、患者の右側からコンベア・ケーブル18が導管10(RLC)のなかへ挿入され、前進する。 これによって、ケーブル18のチップ部は左大腿動脈の中へ向かう。 左大腿動脈の中へ導入されたスネアは、
図6Aに示すように、コンベア・ケーブルのボール・チップ20を把持する。
【0024】
図6Bを参照すると、左心室リダイレクター(LVR)26はケーブル上を導入される。 左心室リダイレクター(LVR)の管腔は、ケーブル18のボール・チップとシャフトを超えてスライドする。 導管(RLC)が左心室リダイレクター(LVR)に向かって押されている間、左心室リダイレクター(LVR)は、導管(RLC)に向かって押され、導管10(RLC)の外側面の上を左心室リダイレクター(LVR)の先端端部が前進していくようになっている。 これによって、左心室リダイレクター(LVR)と導管(RLC)の間のケーブル18の露出部分がなくなる。 そして、コンベア・ケーブルは、左心室リダイレクター(LVR)や導管(RLC)に比べてより柔軟なので、このステップによって、そのとき血管系および心臓の中に存在するアッセンブリの柔軟性は取り除かれる。
【0025】
左心室リダイレクター(LVR)とケーブルが一緒に動くように、左心室リダイレクター(LVR)の基端側端部を大腿動脈へのアクセス・ポイントの外側にあるコンベア・ケーブルにロックするために、ケーブル・ロック44が使用される。 ユーザーは、患者の静脈側(
図6Bにおいて、患者の右側であって
図6Bの左側)においてケーブル18を引っ張る。 患者の動脈側(
図6Bにおいて、患者の左側であって
図6Bの右側)で、ユーザーは、左心室リダイレクター(LVR)26を押す。
ここで、左心室リダイレクター(LVR)はコンベア・ケーブル18にロックされているので、ケーブル18を引っ張り、そして左心室リダイレクター(LVR)を押す動作によって、左心室リダイレクター(LVR)は大動脈の中を前進する。 もし、当該システムが、左心室リダイレクター(LVR)が導管(RLC)上をスライドするように構成されているのであれば、このステップは、静脈側から導管10(RLC)を押すことにより達成することができる。 左心室リダイレクター(LVR)が前進している間、導管(RLC)を押すことにより、
図6Bの矢印にて示すように、導管(RLC)のループをRVの頂点の中に押し込み、デリケートな弁構造と腱索から離れた位置に保持することになる。 もし、導管(RLC)が前進しない場合、左心室リダイレクター(LVR)が左心室に向かって前進するように、導管(RLC)は静脈のアクセス・ポイントに向かって引き下げても良い。
【0026】
心臓内において、一度、基端端部に作用する押す力によって左心室リダイレクター(LVR)は左心室の頂点の中に強く押し込まれる。
【0027】
次に、静脈側からケーブルに押す力を作用させながら、導管(RLC)が静脈側から取り出される。
図7は、LRCが引き出された後であって、左心室リダイレクター(LVR)の防護パネルがプル・ワイヤの起動装置によって左心室中で展開された状態を示す。 ケーブル18は、まだ図示された場所にとどまっている。 僧帽弁治療装置(MVTD)の先端チップがセグメント化されたテンショナーのハブの中に挿入された状態で、セグメント化されたテンショナー22は、僧帽弁治療装置(MVTD)を従えてケーブル18上に配置されている。 ケーブル・ロック48は、僧帽弁治療装置(MVTD)とセグメント化されたテンショナー22の組み立てをケーブル18上にロックしている。 左心室リダイレクター(LVR)をケーブル18にロックするケーブル・ロック44は取り外されている。
【0028】
図8Bでは、協調的な方法で、同じ速度で、僧帽弁治療装置(MVTD)を押しながら、同時に当該システムがケーブルによって引っ張られたときに、セグメント化されたテンショナー22に導かれて僧帽弁治療装置(MVTD)46は静脈循環の中へ入っており、右心房に向かって前進している。 心房中隔を横断し、大きくて剛な僧帽弁治療装置(MVTD)を徐々に移行させる時に、セグメント化されたテンショナー22は、経路を先導する(
図8A参照)。
【0029】
ここで、ケーブル18によって、僧帽弁治療装置(MVTD)/テンショナー組み立てに大きな引く力を作用させる。 この力は、僧帽弁治療装置(MVTD)の先端ノーズを引き下げ、心房中隔を通って患者の左側に至るようにするため、僧帽弁治療装置(MVTD)46に作用する「押す力」よりもわずかに大きい。 どんどん増えていく引く力と、左心室リダイレクター(LVR)を頂点の中に導くための押す力にもかかわらず、左心室リダイレクター(LVR)の操舵部分に内蔵されたケーブルのループを上方へ引き上げ、上方にある弁構造の中へ導くようにする強い傾向がある。 このような傾向は、セグメント化されたテンショナーが左心室(LV)の頂点にある左心室リダイレクター(LVR)の先端端部の管腔の中へ入るときに、セグメント化されたテンショナーによって働く相乗的な下方向きの押す力によって克服される(
図8B)。 それは、ケーブル18を左心室リダイレクター(LVR)の保護スリーブの中に置き、弁構造から離し、安全に維持することにより、ケーブル18が大動脈弁および僧帽弁の弁尖と腱索から離れて配置されるのを確かなものにする。
【0030】
心室の頂点にあるケーブル18のループを維持することの重要性に加えて、左心室リダイレクター(LVR)の別のキーとなる機能は、僧帽弁治療装置(MVTD)を、僧帽弁リングの面に対して垂直な角度で僧帽弁リングの中央へ導く最終的な操舵に寄与することである。 ハンドルからのプル・ワイヤのテンション、左心室リダイレクター(LVR)のトルク、および左心室リダイレクター(LVR)の押し-引きの調整の組み合わせを通じて、ユーザーは、僧帽弁リングの中における僧帽弁治療装置(MVTD)の位置を細かく調整する。
【0031】
図9Aは、僧帽弁治療装置(MVTD)の導入システムが僧帽弁リングの中央の所定位置に配置された状態を示すものである。 僧帽弁の導入装置から僧帽弁を展開した後、僧帽弁の導入装置が静脈のシースを通って、体外へ取り出されるときに、ケーブルの動脈側は分離され、左心室リダイレクター(LVR)を通って引き下げられる。 最後に、左心室リダイレクター(LVR)が動脈のシースから取り出され、置換用の弁のみが所定場所に残る(
図9B参照)。
【0032】
上述したマニュアル操作の方法およびシステムに代わる自動化された方法およびシステムは想定できるものであり、ここで開示する発明の範囲に含まれるものであるということを認めることができる。 このようなシステムには、静脈側で機器に係合し、選択的に押し/引きできる駆動要素、および動脈側で機器に係合し、選択的に押し/引きできる駆動要素が含まれる。 かかる実施例では、僧帽弁治療装置(MVTD)と左心室リダイレクター(LVR)の展開物を結合した後であって、僧帽弁治療装置(MVTD)を静脈のシース内に入れるためにセットする直前に、僧帽弁治療装置(MVTD)およびケーブルは、駆動ユニット(卓上設置でも良い)に取り付けられる。
【0033】
駆動ユニットは、僧帽弁治療装置(MVTD)を僧帽弁の位置に向かって動かしながら、静脈側を同じ速度で僧帽弁治療装置(MVTD)が前方に押されるようになっているローラーの間に僧帽弁治療装置(MVTD)の導入シースがセットされている間、動脈側においてケーブルに引く力を生じさせるローラーの間にケーブル18がセットされるような形態のものであっても良い。 かかるシステムでは、有線または無線のユーザー・コントローラを使用することができる。 このコントローラは、動脈側で選択的に動作を生じさせる(引く力または押す力)ために使用される第1段階の入力(例えば、ボタンやスライダー等)、およ静脈側で選択的に等しい引く力または押す力を逆方向に生じさせるために使用される第2段階の入力を含むことができる。
【0034】
好ましくは、このコントローラは、もしいずれかのボタンが解放されたとき全ての動作が直ちに停止するように、「デッドマン・スイッチ」を含む。 (このコントローラは、また、単一の入力を含むようにしても良いし、またはドライブ・ユニットに同じ速度でケーブルを引くことと、僧帽弁治療装置(MVTD)を押すことを同時に行なわせるというオペレーション・モードを含むようにしても良い。) 心房中隔と左心房を横断するときに、僧帽弁治療装置(MVTD)の先端チップを下方に向け、そして患者の左側に向けて操舵するために、引き方向の動きの速度よりも大きくなるように引き方向の動きの速度を増大させるように、第3段階の入力が使用される。 僧帽弁治療装置(MVTD)の通過中にケーブルに増大したテンションが作用している間、左心室リダイレクター(LVR)を左心室の頂点に押し込み続けるために、左心室リダイレクター(LVR)の操舵部分の保護スリーブの中に入れづらいセグメント化されたテンショナーを駆動するように、引く力よりももっと強く押すために、第4の入力を使用することもできる。
【0035】
僧帽弁の位置を横断した所定位置に僧帽弁治療装置(MVTD)を移動させるステップが、ガイドワイヤを使用せずに実施しているため、ここで開示したシステムおよび方法のことを「ガイドワイヤの無い」として説明している。 その他のステップでは、本発明の範囲から離れることなく、ガイドワイヤを使用するようにしても良い。 非限定的な例として、大動脈へのアプローチの際に施術者が、トラッカー・カテーテルの先頭部分がコースから外れたことを観察すると、トラッカー・バルーン・カテーテルがガイドワイヤ上をたどって動脈血管系の中のターゲットとする血管内へ行くことができるように、動脈側を経由してバルーン・カテーテルの先端の管腔の開口部の中へガイドワイヤを導入するようにしても良い。
【0036】
ここで引用された特許および特許出願は、優先権主張の目的のものを含め、本明細書において引用することにより、すべて本明細書に取り入れられるものである。
本願の出願当初の特許請求の範囲に記載されていた各請求項に記載された発明は、以下のとおりである。
請求項1:
僧帽弁治療装置(MVTD)を僧帽弁の位置に導入するための方法であって、
(a) 経皮的に患者の血管系の中へケーブルを導入し、大腿静脈から、経中隔的な穿孔を介して心臓を通り、大腿動脈へと至るようにケーブルを配置し、配置されたケーブルが、大腿静脈において患者の外部に位置する第1の端部と、大腿動脈において患者の外部に位置する第2の端部を備えるステップと、
(b) ケーブルの第1の端部を超えて僧帽弁治療装置(MVTD)を通過させ、僧帽弁治療装置(MVTD)をケーブルに固定するステップと、
(c) 僧帽弁治療装置(MVTD)を僧帽弁の位置へ前進させるために、ケーブルの第2の端部を基端側方向へ引張りながら、僧帽弁治療装置(MVTD)を先端側方向へ押すステップと、
から成ることを特徴とする方法。
請求項2:
請求項1に記載の方法において、更に、
管状の管腔を有し、先端端部が曲部を形成するために能動的な操舵が可能な左心室リダイレクター(LVR)を提供するステップと、
ケーブルの第2の端部上を左心室リダイレクター(LVR)の管腔の先端端部を通過させ、左心室リダイレクター(LVR)を左心室に進め、左心室リダイレクター(LVR)の先端端部に曲部を能動的に形成するステップと、
僧帽弁治療装置(MVTD)の先端ノーズを左心室リダイレクター(LVR)の先端端部に係合させるステップと、
左心室リダイレクター(LVR)の曲部の稜線を左心室の頂部の中に据え付けるステップと、
前記ステップ(c)の間に、曲部を左心室の頂部に押し付けるために、左心室リダイレクター(LVR)に先端側方向の力を作用させるステップと、
を含むことを特徴とする方法。
請求項3:
請求項2に記載の方法において、左心室リダイレクター(LVR)に力を作用させることが、僧帽弁治療装置(MVTD)の先端ノーズを下方であって、患者の左側に向かわせることになることを特徴とする方法。
請求項4:
請求項2に記載の方法において、左心室リダイレクター(LVR)に力を作用させることが、左心室リダイレクター(LVR)が弁尖の中へ移動していくことを防止することになることを特徴とする方法。
請求項5:
請求項2に記載の方法において、僧帽弁治療装置(MVTD)の先端ノーズを左心室リダイレクター(LVR)の先端端部に係合させるステップが、
先端端部と基端端部を有する管状のコネクタを提供し、
前記ステップ(b)において、管状のコネクタの基端端部の中に僧帽弁治療装置(MVTD)の先端ノーズを挿入し、
前記ステップ(c)において、管状のコネクタの先端端部を左心室リダイレクター(LVR)の先端端部の中を通過させる、
ことを含むことを特徴とする方法。
請求項6:
請求項5に記載の方法において、左心室リダイレクター(LVR)にトルクがけすること、基端側方向または先端側方向に左心室リダイレクター(LVR)を前進させるかまたは後退させること、あるいは左心室リダイレクター(LVR)の曲部を能動的に操舵するために使用されるプル・ワイヤ上のテンションを能動的に修正すること、のいずれかの組み合わせによって、僧帽弁の弁輪の中で僧帽弁治療装置(MVTD)をセンタリングするステップを
更に含んでいることを特徴とする方法。
請求項7:
請求項1に記載の方法において、ステップ(a)は、
バルーン・カテーテルの展開可能なチップを右心房の中に位置決めし、当該チップを心房中隔を通って左心房へ通過させるステップと、
左心房の中でバルーンを膨らませ、血流によってバルーン・カテーテルを動脈に入れ、動脈を通って大腿動脈まで運ぶステップと、
バルーン・カテーテルの基端端部上へ“右側から左側”への導管(RLC)を導入するステップと、
左大腿動脈の切開部に近接させて“右側から左側”への導管(RLC)の先端端部を配置するために、バルーン・カテーテル上を“右側から左側”への導管(RLC)を前進させるステップと、
大腿静脈において、ケーブルの第2の端部を“右側から左側”への導管(RLC)の中へ導入し、ケーブルの第2の端部を“右側から左側”への導管(RLC)の先端端部へ前進させるステップと、
大腿動脈を通ったケーブルの第2の端部を捕捉し、第2の端部を体外に配置するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
請求項8:
請求項1に記載の方法において、第2の端部を捕捉するステップが、
左大腿動脈を通って血管系の中へスネアを前進させ、スネアを使用してケーブルの第2の端部を係合するステップを含むことを特徴とする方法。
請求項9:
僧帽弁治療装置(MVTD)を僧帽弁の位置に導入するためのシステムであって、
血管系の中へ導入するのに調和し、ケーブルの第1の端部が患者の大腿静脈の外側に存在し、ケーブルの第2の端部が患者の大腿動脈の外側に存在するように、右大腿静脈から、経中隔的な穿孔を介して心臓を通り、大腿動脈に至って伸びる長さを有るケーブルと、
ケーブルの第2の端部を基端側方向に引きながら、僧帽弁治療装置(MVTD)を先端側方向へ押すことにより、僧帽弁治療装置(MVTD)を僧帽弁の位置に前進させるようにして、僧帽弁治療装置(MVTD)をケーブルに固定する手段と、
からなることを特徴とするシステム。
請求項10:
請求項9に記載のシステムにおいて、更に、
管状の管腔を有し、曲部を形成するために能動的に操舵可能な先端端部を有する左心室リダイレクター(LVR)と、
僧帽弁治療装置(MVTD)の先端ノーズに係合可能な基端端部と、左心室リダイレクター(LVR)の先端端部と係合可能な先端端部とを有する管状のコネクタと、
を備え、
左心室リダイレクター(LVR)の管腔の当該先端端部は、左心室リダイレクター(LVR)の基端端部を体外に残して配置しながら、左心室リダイレクター(LVR)の能動的に形成された曲部を左心室の頂部に配置するために、ケーブルの第2の端部上を前進可能であり、
左心室リダイレクター(LVR)の当該基端端部は、左心室リダイレクター(LVR)の基端端部に先端側方向の力を作用させることが、左心室の頂部の中に曲部を押し付けることになるように構成されている、
ことを特徴とするシステム。
請求項11:
請求項10に記載のシステムにおいて、
左心室リダイレクター(LVR)は、プル・ワイヤと、曲部を形成するためにプル・ワイヤ上のテンションを調整操作できるアクチュエータを含むことを特徴とするシステム。
請求項12:
請求項11に記載のシステムにおいて、
左心室リダイレクター(LVR)は、リターン・ワイヤと、左心室リダイレクター(LVR)をほぼ直線状の状態に戻すためにリターン・ワイヤの位置を調整操作できるアクチュエータを含むことを特徴とするシステム。
請求項13:
請求項11に記載のシステムにおいて、
プル・ワイヤはシャフトを通って伸び、シャフトの外側に沿って伸びた先端部分を含み、
左心室リダイレクター(LVR)は、曲部において平坦なバリアを形成するために展開可能な防護パネルを更に含む、
ことを特徴とするシステム。
請求項14:
請求項13に記載のシステムにおいて、
防護パネルは、シャフトの先端部分とプル・ワイヤの先端部分とに結合されていることを特徴とするシステム。
請求項15:
請求項14に記載のシステムにおいて、
防護パネルは、左心室リダイレクター(LVR)がほぼ直線状の状態にあるときに、シャフトの外側に沿って伸びていることを特徴とするシステム。
請求項16:
請求項1に記載の方法において、
大腿静脈が右大腿静脈であり、大腿動脈が左大腿動脈であることを特徴とする方法。
請求項17:
請求項1に記載の方法において、
大腿静脈が左大腿静脈であり、大腿動脈が右大腿動脈であることを特徴とする方法。