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特許7142028超音波プローブを冷却する方法およびそのような冷却を含むプローブ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-14
(45)【発行日】2022-09-26
(54)【発明の名称】超音波プローブを冷却する方法およびそのような冷却を含むプローブ
(51)【国際特許分類】
   A61N 7/02 20060101AFI20220915BHJP
   A61B 8/00 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
A61N7/02
A61B8/00
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019557575
(86)(22)【出願日】2018-04-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-07-27
(86)【国際出願番号】 FR2018051013
(87)【国際公開番号】W WO2018197795
(87)【国際公開日】2018-11-01
【審査請求日】2021-02-16
(31)【優先権主張番号】1753515
(32)【優先日】2017-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】511004944
【氏名又は名称】エダップ テエムエス フランス
【氏名又は名称原語表記】EDAP TMS FRANCE
(74)【代理人】
【識別番号】100107641
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 耕一
(74)【代理人】
【識別番号】100202201
【弁理士】
【氏名又は名称】兒島 淳一郎
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンスノ,ジェレミー
(72)【発明者】
【氏名】ナレ,オリヴィエ
(72)【発明者】
【氏名】ブラン,エマニュエル
【審査官】宮崎 敏長
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-144225(JP,A)
【文献】特表2017-508542(JP,A)
【文献】特表2011-519499(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 7/00 - A61N7/02
A61B 8/00 - A61B8/15
A61B 17/00
A61B 17/225
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波を生成するプローブの変換器(3)を冷却する方法であって、前記変換器(3)は、前部において、超音波を放射する面(4)であって音響伝搬軸(A)を有する面(4)を呈し、後部において、後面(5)を呈し、少なくとも前記放射面()は、少なくとも1つの入口(14)の上流において延びる少なくとも1つの筒状ダクトであって接線成分(VT)、求心成分(VC)および法線成分(VN)の3つの成分に分解される速度ベクトルを有する冷却流体を導くように縦延伸軸(X)に沿って規定される長さを有する少なくとも1つの筒状ダクトを介して前記冷却流体が導入される冷却室(11)を部分的に区画し、前記冷却流体は、前記少なくとも1つの入口(14)と、前記放射面の中央部に配置された少なくとも1つの出口(16)との間で流れ、前記方法は、前記放射面(4)の縁に配置された前記入口(14)と前記出口(16)と、の間において、渦巻に基づく前記冷却流体の流れを、前記冷却室内で、前記変換器の前記放射面の前記音響伝搬軸(A)の周りで形成するように、前記筒状ダクト(18)を、前記筒状ダクト(18)の縦延伸軸(X)および前記筒状ダクト(18)により生じる前記速度ベクトルが接線成分であって前記速度ベクトルの前記接線成分の前記速度ベクトルの前記求心成分に対する比率が1よりも大きくなるような接線成分を呈するように方向づけることを備えることを特徴とする、方法。
【請求項2】
超音波生成プローブであって、前記超音波生成プローブは変換器(3)を含み、前記変換器(3)は、前部において、超音波を放射する面(4)であって超音波を伝搬させるための音響伝搬軸(A)を有する面(4)を呈し、後部において、後面(5)を呈し、少なくとも前記放射面(4)は、冷却室(11)であって、冷却流体が、筒状ダクトを介して導入され、少なくとも1つの入口(14)と前記放射面の中央部に配置された少なくとも1つの出口(16)との間で流れる冷却室(11)を部分的に区画し、前記筒状ダクトは、前記入口の上流において延び、接線成分(VT)、求心成分(VC)および法線成分(VN)の3つの成分に分解される速度ベクトルを有する前記冷却流体を導くように縦延伸軸(X)に沿って規定される長さを有し、前記入口(14)は、前記放射面(4)の縁に配置され、前記筒状ダクト(18)は、前記冷却室(11)内で渦巻に基づく冷却流体の流れを形成するよう前記流体を案内するように、前記筒状ダクト(18)の縦延伸軸(X)が前記音響伝搬軸(A)および前記入口(14)を含む平面(P)に実質的に直交する接線方向に沿って規定される接線成分を呈しかつ前記速度ベクトルの前記求心成分に対する前記速度ベクトルの前記接線成分の比率が1よりも大きくなるように方向づけられていることを特徴とする、プローブ。
【請求項3】
前記超音波プローブは、前記入口において、前記筒状ダクトの前記出口に面して配置され、前記接線方向に沿って前記流体を方向づける、前記流体を偏向させる少なくとも1つの壁(21,2b)を含むことを特徴とする、請求項に記載の超音波プローブ。
【請求項4】
前記放射面(4)は出口に開口する平面に配置された縁端(4a)を含み、前記筒状ダクト(18)は前記冷却流体を案内するものであり、流体を偏向させる壁(21,2b)は前記筒状ダクトの前記出口に面して配置されていることを特徴とする、請求項に記載の超音波プローブ。
【請求項5】
前記放射面(4)の前記縁端(4a)は、その縁において、冷却流体を供給する少なくとも1つの筒状ダクト(18)と連通する縁路(28)により境界づけられ、前記縁路(28)には、前記冷却室と連通する少なくとも1つの求心方向開口が設けられていることを特徴とする、請求項に記載の超音波プローブ。
【請求項6】
前記超音波プローブは、複数の求心方向連通開口であって各々が前記冷却流体の進行方向を変更する2つの隣り合う羽(29)の間で区画された複数の求心方向連通開口を含み、前記羽(29)は、1つの接線方向から疑似放射方向に変化する曲がったプロファイルを有することを特徴とする、請求項に記載の超音波プローブ。
【請求項7】
前記プローブ(1)は、筒状ダクト(18)であって、冷却流体を供給し、前記冷却室(11)に開口し、かつ、前記接線方向に合致する法線を有する横断面を呈する筒状ダクト(18)を含むことを特徴とする、請求項に記載の超音波プローブ。
【請求項8】
前記冷却室(11)は、前記放射面の前記縁に分布する一連の入口(14)であって、各々が、前記流体用の少なくとも1つの筒状ダクト(18)を呈し、前記冷却室(11)内で前記冷却流体の渦巻流を協働して形成する方向に沿って方向づけられている一連の入口(14)を含むことを特徴とする、請求項2~のいずれか一項に記載の超音波プローブ。
【請求項9】
前記放射面(4)は、集束幾何形状を呈することを特徴とする、請求項2~のいずれか一項に記載の超音波プローブ。
【請求項10】
前記放射面(4)は、音響伝搬軸について対称に頂部が切り取られた形状を呈することを特徴とする、請求項に記載の超音波プローブ。
【請求項11】
前記変換器(3)は、その中央部において、前記冷却流体用の第2出口(16)を含み、前記2つの出口は、好ましくは、前記放射面(4)の前記音響伝搬軸の両側に対称に配置されていることを特徴とする、請求項2~10のいずれか一項に記載の超音波プローブ。
【請求項12】
前記変換器(3)は、その中央部において、画像形成プローブ(8)用の収容溝(6)を区画する切取部であって前記切取部の両側に前記冷却流体用の前記出口(16)が配置された切取部を含むことを特徴とする、請求項11に記載の超音波プローブ。
【請求項13】
前記プローブは、前記入口により前記冷却室(11)に開口する流体供給ダクト(15)を含み、前記ダクトは、流体速度を制御する装置を含むことを特徴とする、請求項2~12のいずれか一項に記載の超音波プローブ。
【請求項14】
前記超音波プローブは、前記変換器(3)の前記後面の温度を測定するのに適した温度センサを含み、前記温度センサは、流体速度を制御する装置に接続されており、前記温度測定に基づいて前記冷却室内の前記流体の入口速度を制御することを可能としていることを特徴とする、請求項13に記載の超音波プローブ。
【請求項15】
前記筒状ダクト(18)は、円形断面のダクトである場合、その直径と比べて大きいもしくは等しい長さを呈し、楕円形断面のダクトである場合、最小の直径と比べて大きいもしくは等しい長さを呈し、または、長方形断面のダクトである場合、最小の幅と比べて大きいもしくは等しい長さを呈することを特徴とする、請求項2~14のいずれか一項に記載の超音波プローブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、治療処置に使用される超音波プローブを含む装置(des appareils ou des dispositifs)の技術分野に関し、人体の解剖学的構造の超音波検査画像形成用の超音波プローブに関連づけられ得る。
【0002】
より具体的には、本発明は、治療用超音波プローブまたはさらには超音波検査プローブを冷却する技術を目的とする。
【0003】
本発明の主題の特に有利な適用例は、高密度焦点式超音波(HIFU)による治療処置の分野である。
【背景技術】
【0004】
一般的には、超音波プローブは、電気エネルギーを機械エネルギーに変換する、特定の圧電性の材料でできた音響変換器を含む。不完全な変換効率が原因で、変換されないエネルギーにより、変換器の材料において熱の蓄積が生じる。大き過ぎる熱により、変換器の損傷またはさらには破壊が生じ得る。
【0005】
技術水準において、変換器の温度が低下するように、生成された熱を逃がす種々の技術が提案されている。
【0006】
例えば、特許EP0553804には、超音波医用変換器であって、熱伝導材料に接触した変換器要素を含み、該変換器の後部への熱伝導により冷却を行う、超音波医用変換器が記載されている。このパッシブタイプすなわち空気または液体の流れなしの冷却方法は、比較的限定的であり、数カロリーを生成する変換器に好適に適用される。
【0007】
ポンプによって動かされる冷却流体を用いた強制伝導タイプの冷却システムを用いることも知られている。例えば、特許FR2910169には、超音波検査プローブ(sonde echographique)と、該プローブから熱を逃がすアクティブ冷却システムと、を含む超音波検査システムが記載されている。この冷却システムは、超音波検査プローブにおいて冷却剤を流すように構成されたポンプを含む。同様に、特許US5560362には、超音波変換器であって、熱交換器と、該変換器用の冷却流体の閉ループ流を実現するポンプと、を含む冷却回路が設けられた、超音波変換器が記載されている。両方の場合において、変換器の冷却は、変換器の後部への熱伝導により実現される。このアプローチの主な欠点は、変換器の冷却装置および電子制御回路を後ろの同一容積に収める困難性に関する。
【0008】
ポンプによって動かされる冷却流体を用いた強制対流タイプの冷却システムを用いることも知られている。強制対流冷却システムの主な困難性は、変換器の表面の全体にわたる均一な冷却を実現することにある。この困難性は、変換器が平坦な表面を有しているとはとても言えない場合には、より一層顕在化する。
【0009】
大きな(importantes)音響的なパワーおよびエネルギーを生成する治療用超音波プローブの分野において、特許FR2929040には、物理的に互いに独立した複数の放射要素のアセンブリによって構成された変換器が記載されている。これらの電気-音響要素は、後ろの冷却室を形成する2つのディスクの間に配置されている。これらのディスクの一方は、変換器の前面を形成し、膜によって閉じられた前室内に収容された音響結合流体を保持する。他方のディスクは、後面を形成し、電子制御回路を受ける。
【0010】
複数の変換器要素は、それぞれ、圧電素子でできており、強固で電気絶縁性および熱伝導性の構造に固定されている。そのため、この強固な構造は、変換器の後部へと熱エネルギーを排出することを可能にし、このためそれが冷却流体に曝されたときに一種の放熱器を形成する。
【0011】
複数の変換器要素は、ディスクの中央部を中央として螺旋状に分布し、該中央部に1つの流体出口が設けられ、一方、ディスクの縁に複数の流体入口が設けられている。そのような配置により、変換器の後面において、変換器要素が螺旋状に分布することに由来する均一な螺旋流が得られ得る。この冷却原理は、螺旋状の冷却流体用の伝導路を形成可能な、独立した複数の変換器要素に特に適している。そのような冷却システムは、滑らかな放射面を呈する変換器の前面であって均一な流れが得られるように液体を案内し得る要素を配置するのは該要素が超音波の場を妨げるであろうため不可能である前面を介した冷却には適していないことが分かっている。相補的なやり方による(De facon complementaire)、案内態様での冷却流体の螺旋流では、最適化された冷却を実現できない。
【0012】
文献JP2007144225には、体内の治療のために設けられた、細い帯の形状の変換器を含む、治療用体外超音波システムが記載されている。このシステムは、冷却装置であって、結合液体の一定の包絡体積(volume d'enveloppe)を維持するための吸引ポンプおよび排出ポンプを用いて流れる液体による冷却装置も含む。図14~23に、冷却装置の種々の他の実施形態が記載されている。
【0013】
図14,16および17には、変換器の縁に位置する冷却液体入口が、変換器への冷却液体ジェットの偏向(deflexion)と、中央孔による排出と、ともに、描かれている。このような配置により、冷却液体の求心的な流れがもたらされるのであるが、この流れでは最適化された冷却は実現できない。
【0014】
図19に示された例示的な実施形態では、噴射ノズルが、冷却液体を超音波変換器へと斜め方向に向けるように配置されている。そのため、結合液体は、超音波生成器内で回転し中央吸引点へと上がっていくように、流れる。このような求心的な回転流では、変換器の最適化された冷却は実現できない。さらに、噴射ノズルを中央であり縁でない位置に配置すると、変換器の超音波の場との干渉が生じ、このためその治療効果を損なわれることに留意されたい。
【発明の概要】
【0015】
本発明は、変換器の幾何形状がどのようなものであっても変換器の均一で最適化された冷却を実現可能な超音波プローブ用の新規な冷却技術を提案することによって、従来技術の欠点を解決することを目的とする。
【0016】
上記のような目的を達成するために、本発明は、超音波を生成するプローブの変換器を冷却する方法であって、変換器は、前部において、音響伝搬軸に沿って(selon)伝搬する超音波を放射する面を呈し、後部において、後面を呈し、少なくとも放射面は、少なくとも1つの入口と少なくとも1つの出口との間で冷却流体が流れる冷却室を部分的に区画し、入口は、放射面の縁(peripherie)に配置され、一方、出口は、放射面の中央部に配置されている、方法に関する。
【0017】
本発明では、方法は、入口と出口の間において、渦巻に基づく(selon)冷却流体の流れを、冷却室内で、変換器の放射面の音響伝搬軸の周りで形成することを備える。
【0018】
本発明の他の主題は、超音波を生成するプローブであって、プローブは変換器を含み、変換器は、前部において、音響伝搬軸に沿って伝搬する超音波を放射する面を呈し、後部において、後面を呈し、少なくとも放射面は、冷却室であって、冷却流体が、筒状ダクトを介して導入され、放射面の縁に配置された少なくとも1つの入口と放射面の中央部に配置された少なくとも1つの出口との間で流れる冷却室を部分的に区画し、筒状ダクトは、入口の上流において延び、速度ベクトルを有する冷却流体を導くように縦延伸軸に沿って(selon)規定される長さを有する、プローブを提案することである。
【0019】
本発明では、筒状ダクトは、冷却室内で渦巻に基づく冷却流体の流れを形成するよう流体を案内するように、筒状ダクトの縦延伸軸が音響伝搬軸および入口を含む平面に実質的に直交する接線方向に沿って規定される非ゼロの接線成分を呈するよう方向づけられている。
【0020】
さらに、本発明に係る超音波プローブは、以下の追加の特徴の少なくとも1つおよび/または複数を併せて含んでいてもよい:
【0021】
-筒状ダクトは、筒状ダクトの縦延伸軸および筒状ダクトにより生じる速度ベクトルが接線成分であって速度ベクトルの接線成分の速度ベクトルの求心成分に対する比率が1よりも大きくなるような接線成分を呈するように、方向づけられている;
【0022】
-超音波プローブは、入口において、筒状ダクトの出口に面して配置され、接線方向に沿って流体を方向づける、流体を偏向させる少なくとも1つの壁を含む;
【0023】
-放射面は出口に開口する平面に配置された縁端を含み、筒状案内ダクトは冷却流体用であり、流体を偏向させる壁は筒状ダクトの出口に面して配置されている(la face d'emission comporte un bord peripherique situe dans un plan dans lequel debouche par une sortie, le conduit tubulaire de guidage pour le fluide de refroidissement, une paroi de deflexion pour le fluide etant disposee en vis-a-vis de la sortie du conduit tubulaire);
【0024】
-放射面の縁端は、その縁において、冷却流体を供給する少なくとも1つの筒状ダクトと連通する縁路により境界づけられ、この縁路には、冷却室と連通する少なくとも1つの求心方向開口が設けられている;
【0025】
-超音波プローブは、複数の求心方向連通開口であって各々が冷却流体の進行方向を変更する(deviation)2つの隣り合う羽の間で区画された複数の求心方向連通開口を含み、羽は、1つの接線方向から疑似放射方向に変化する曲がったプロファイル(profil)を有する;
【0026】
-超音波プローブは、冷却流体を供給する筒状ダクトであって冷却室に開口し接線方向に合致する法線を有する横断面を呈する筒状ダクトを含む;
【0027】
-冷却室は、放射面の縁に分布する一連の入口であって、各々が、流体用の少なくとも1つの筒状ダクトを有し、冷却室内で冷却流体の渦巻流を協働して形成する方向に沿って方向づけられている一連の入口を含む;
【0028】
-放射面は、集束幾何形状を呈する;
【0029】
-放射面は、音響伝搬軸について対称に頂部が切り取られた形状を呈する(tronquee);
【0030】
-変換器は、その中央部において、冷却流体用の第2出口を含み、2つの出口は、好ましくは、放射面の音響伝搬軸の両側に対称に配置されている;
【0031】
-変換器は、その中央部において、画像形成プローブ用の収容溝(logement)を区画する切取部であって切取部の両側に冷却流体用の出口が配置された切取部を含む;
【0032】
-超音波プローブは、入口により冷却室に開口する流体供給ダクトを含み、このダクトは、流体速度を制御する装置を含む;
【0033】
-超音波プローブは、変換器の後面の温度を測定するのに適した温度センサを含み、この温度センサは、流体速度を制御する装置に接続されており、温度測定に基づいて冷却室内の流体の入口速度を制御することを可能としている;
【0034】
-筒状ダクトは、円形断面のダクトである場合、その直径と比べて大きいもしくは等しい長さを呈し、楕円形断面のダクトである場合、最小の直径と比べて大きいもしくは等しい長さを呈し、または、長方形断面のダクトである場合、最小の幅と比べて大きいもしくは等しい長さを呈する。
【0035】
本発明の主題の実施形態を非限定的な例として示す添付図面を参照する以下の記載から、様々な他の特徴が明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1図1は、本発明に係る治療用超音波プローブの例示的な実施形態を示す斜視図である。
図2図2は、図1におけるプローブの部分切取図である。
図3図3は、本発明に係るプローブの渦巻による冷却の原理を示す説明図である。
図4図4は、凹状の放射面における渦巻による冷却を示す、本発明に係るプローブの構成図を示す。
図5A図5Aは、円形で平らな放射面における渦巻による冷却を示す、本発明に係るプローブの構成図を示す。
図5B図5Bは、非円形の平らな放射面における渦巻による冷却を示す、本発明に係るプローブの構成図を示す。
図6図6は、デフレクタを用いた渦巻による冷却を示す、本発明に係るプローブの他の実施形態を示す。
図7図7は、複数の入口を含む冷却室の他の例示的な実施形態を示す。
図8A図8Aは、本発明に係るプローブの冷却流体の入口の例示的な実施形態の詳細な図を示す。
図8B図8Bは、図8Aに示す入口用の冷却流体供給ダクトの詳細を示す。
図9図9は、複数の入口を含む冷却室の他の例示的な実施形態を示す。
図10図10は、図9のA-A線に実質的に沿って得られる断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明の主題は、超音波を生成するプローブ1を冷却する新規な技術に関する。図1および2においてより正確に見られるように、このプローブ1は、より具体的には、治療処置に用いられる。この治療用プローブ1は、図示されていないがそれ自体知られており超音波を用いて生物の組織の処理を行うのに適した一般的な意味における治療装置の一部である。有利には、この治療用プローブは、高密度焦点式超音波(HIFU)を生成する。当然ながら、本発明に係る冷却技術は、治療用の超音波を生成するプローブに実装可能であり、人体の解剖学的構造の超音波検査画像形成プローブに関連づけられるまたは関連づけられない。
【0038】
プローブ1は、具体的には、変換器3用の支持ボディ2を含み、変換器3は、例えば圧電素子等の1または複数の超音波送信機を含む。変換器3の超音波送信機は、増幅段を介して、超音波送信機を駆動する信号を伝送する制御回路に接続されている。制御回路の実現は当業者の技術的知識の一部であるため、制御回路についてのより詳細な記載は省略する。この制御回路は、典型的には、増幅段によって超音波送信機に接続された、駆動信号生成器を含む。
【0039】
変換器3は、前部において超音波を放射する面4を呈し、後部において後面5を呈する。他の実施形態では、後面における熱的加熱を測定するために、後面に温度センサがあってもよい。放射面4は、滑らかな面を呈し、縁端4aによって区画されており、変換器の中央部に設けられた切取部を区画する内端4bによって区画されていてもよい。
【0040】
一般的には、放射面4は、対称軸に対応する音響波伝搬軸Aを有する。音響波伝搬軸Aは、後述の説明において、音響伝搬軸Aと表記される。他の有利な実施形態では、放射面4は、集束幾何形状を呈する、すなわち、生成された超音波は、超音波送信機の制御モードまたは放射面の幾何形状のいずれかによって、焦点領域に集束する。典型的には、放射面4は、例えば半球形状、図2に示す例における円環形状等のような、凹形状を有する。有利には、内端4bは、具体的には画像形成プローブ8用の収容溝6を区画する。この例示的な実施形態では、音響伝搬軸Aは、放射面4を形成する円環部の対称軸に対応し、放射面の縁端4aを通る平面に垂直である。
【0041】
当然ながら、放射面4は、図2および4に示すような凹形状とは異なる形状を呈していてもよい。図5A,5B,6,7および9に示す例では、放射面4は、平らな形状を呈する。これらの例示的な実施形態では、音響伝搬軸Aは、放射面4に垂直である。
【0042】
図2,4,5A,6,7および9に示す例示的な実施形態では、放射面4は、円形の輪郭を呈するが、当然ながら、放射面は、例えば長方形または楕円形(rectangulaire ou oblongue)のような他の形状の輪郭を呈していてもよい。図5Bに示す例では、放射面4は、平行に延び互いに対向する2つの直線端であって同一の曲げ半径を有する2つの円形端によって接続された直線端を放射面4が呈するように、音響伝搬軸Aについて対称な態様で頂部が切り取られた形状を呈する。
【0043】
プローブ1は、放射面4の前に配置され超音波を透過させる材料でできた膜10も含む。この膜10は、放射面4と協働して、冷却流体が流れる冷却室11を区画している。この膜10は、Oリング12を用いた適切な任意の手段によってボディ2に固定されており、これによりシールされた冷却室(chambre de refroidissement etanche)が得られている。この冷却室11は、音波が照射される(insonifie)媒体と音響結合する機能を発揮し得る。典型的には、冷却流体は、波の伝搬が向上するようにガス抜きされた水ベースの液体である、または、超音波の低い吸収という音響特性を有するオイルから選択されたオイルである。特許EP1038551に記載されている液体も使用可能である。
【0044】
冷却室11は、少なくとも1つの供給路15によって導入される冷却流体用の少なくとも1つの入口14を含む。各入口14は、超音波の伝搬を妨げないように、放射面の外側に存する放射面4の縁に設けられている。この実施形態の有利な特徴によれば、各入口14は、放射面4の縁端4aにおいて変換器を取り囲むボディ2の環状部(couronne)2aにおいて形成されている。このため、各入口14は、放射面4の外側で、放射面の縁端4aの境界上に配置されている。図2,4,5A,5Bおよび6に示す例示的な実施形態では、冷却室11は単一の入口14を含み、一方、図7および9に示す例では、プローブ1は複数の入口14を含む。
【0045】
冷却室11は、上記放射面4の中央部に配置された少なくとも1つの出口16も含む。各出口16は、出口ダクト17であってその入口孔により冷却室を出ていく冷却流体の流路断面(section de passage)を規定する出口ダクト17を含む。各出口16は、冷却室11を出ていく流体を回収する(recuperant)出口ダクト17の横断面(section droite de passage)に垂直な出口軸Yを呈する。そのため、出口ダクト17は、その孔により、方向Yに沿う冷却液体流の排出を可能にする流路断面を呈する。出口16の流路断面は、任意の形状を有し得る。プローブ1は、図示の例では単一の出口16を含む。ただし、図2に示す好ましい例であって、プローブが、放射面の音響伝搬軸Aの両側に対称に配置された2つの出口16を含む例を除く。
【0046】
本発明では、プローブ1は、入口14において、供給路15と連通する、冷却流体用の少なくとも1つの案内筒状ダクト18を含む。この筒状ダクト18は、冷却室11内で、入口14と出口16の間において、音響伝搬軸Aの周りで冷却流体の渦巻流(circulation tourbillonnaire ou vortex)を形成するのに適している。この渦巻流は、音響伝搬軸Aの周りで少なくとも1回転の回転(au moins un tour de rotation)を行う冷却流体の流れを引き起こす。そのため、各流体粒子は、音響伝搬軸Aの周りで360度を超える回転運動を示す(decrit)。明細書の以下の部分では、渦巻という用語は、変換器の放射面に関して冷却流体が流れる現象を説明するのと同義で使用される。
【0047】
有利には、冷却流体の渦巻流は、放射面の音響伝搬軸Aに合致する回転軸(axe de rotation confondu avec l'axe de propagation acoustique A)の周りで実現される。これは、具体的には、出口16の出口軸Yが放射面の音響伝搬軸Aに合致する場合に該当する。
【0048】
入口14に配置され流体を案内する筒状ダクト18は、冷却室11へのその終端開口により、冷却流体用の入口流路の横断面を規定し得ることに留意されたい。この筒状ダクト18は、縦延伸軸Xに沿って延びており、冷却流体の流れを導くことと、縦延伸軸Xと同一直線方向に延びる速度ベクトルVを有する速度すなわち入口流路の横断面に垂直な速度を冷却流体に与えることと、に適した、十分な所定の(determinee)長さを呈している。図3においてより具体的に見られるように、筒状ダクト18の縦延伸軸Xが、および結果として筒状ダクト18により生じる速度ベクトルが、冷却室11内で冷却流体の渦巻流が形成されるよう接線方向Tに沿って規定される非ゼロ(non nulle)の接線成分VTを呈するように、筒状ダクト18は方向づけられている。
【0049】
接線方向Tは、放射面4の縁端4aに関して考慮されるものであり、この接線方向は、放射面4の縁端4aを含む平面に直交する法線方向Nと、接線方向Tに直交し放射面の中央に向かう求心方向Cと、を含む座標系の3つの直交する方向の1つであることに留意されたい。この接線方向Tは、音響伝搬軸Aと、入口14の少なくとも1つの点と、を含む平面Pに実質的に直交している。ここで、入口14の少なくとも1つの点は、例えば、縦延伸軸Xの、筒状ダクト18によって規定される入口流路の横断面との交差点である。
【0050】
上述のように、筒状ダクト18の縦延伸軸Xが、および結果として筒状ダクト18により生じる速度ベクトルが、接線方向Tに沿って規定される非ゼロの接線成分VTを呈するように、筒状ダクト18は方向づけられている。一般的には、この速度ベクトルVは、図3に示すように、座標系における3つの方向に沿って、3つの成分に分解される。ここで、座標系における3つの方向は、接線方向T、求心方向Cおよび法線方向Nであり、3つの成分は、それぞれ、接線成分VT、求心成分VCおよび法線成分VNである。
【0051】
筒状ダクト18は、その終端から、縦延伸軸Xに沿って規定される長さであって、冷却流体を導き、かつ、冷却流体の渦巻流を得るのに適切な方向および速度を冷却流体に与える、長さを有する。そのため、冷却流体は、入口流路の横断面において、縦延伸軸Xに沿う方向を有する速度ベクトルVであってその接線成分VTが非ゼロである速度ベクトルVを呈する。
【0052】
先の記載に続けて説明すると、筒状ダクト18は、接線成分VTを他の成分に対して最適化するように配置されている。理想的には、筒状ダクト18は、求心成分VCおよび法線成分VNがゼロ値をとるまたはゼロ値に近い値をとる(soient nulles ou tendent vers des valeurs nulles)ように、配置されている。
【0053】
そのため、筒状ダクト18の縦延伸軸Xおよび筒状ダクト18により生じる速度ベクトルが、接線成分であって速度ベクトルの接線成分の速度ベクトルの求心成分に対する比率が1よりも大きくなるような接線成分を呈するように、筒状ダクト18は方向づけられている。
【0054】
理想的には、円形断面の筒状ダクトである場合、筒状ダクト18の長さは、筒状ダクト18の直径と比べて大きいまたは等しいほうがいい。例えば、図2の筒状ダクト18は、円形であるとともに20mmの長さおよび2mmの平均直径を呈し、一方、図4の筒状ダクト18は、3mmの長さおよび1mmの直径を呈する。図8Aおよび8Bにおいて表されているように筒状ダクトが非円形であるが楕円形または長方形の断面を呈する場合、筒状ダクトの長さは、楕円形断面の最小の直径と比べて大きいもしくは等しい、または、長方形断面の最小の幅と比べて大きいもしくは等しいほうがよい。好ましくは、円形断面のダクトである場合、筒状ダクト18の長さは、筒状ダクト18の直径の1.5倍よりも大きい。同様に、筒状ダクト18の長さは、楕円形断面の最小の直径または長方形断面の最小の幅の1.5倍よりも大きい。
【0055】
上記のため、放射面4の縁に配置された入口14と放射面4の中央部に配置された出口16との間において、音響伝搬軸Aの周りで冷却流体の渦巻流が形成される。冷却流体の速度ベクトルVは、入口14の流路断面において、方向であってその成分VTが非ゼロであり平面Pに実質的に垂直である方向を呈する。そのため、冷却流体は、放射面4の端4aに関する接線方向をとり、これにより、冷却室11内で冷却流体の渦巻流が形成される。
【0056】
少なくとも1つの筒状ダクト18の、入口14のレベルにおける(au niveau de l'entree 14)実装は、出口16と相俟って、冷却室11における冷却流体の渦巻流を形成することを可能にする。冷却流体の供給路15は、流体の速度を制御する装置であって、冷却流体に、冷却室における入口において、渦巻流を得るのに適した十分な速度を与えることを可能にする装置を含んでいることに留意されたい。典型的には、入口14における流体速度は、10-3m/sと1m/sの間の範囲にある。
【0057】
変換器の後面の温度を測定するのに適した温度センサをプローブが含む有利な他の実施形態では、温度センサは流体速度を制御する装置に接続されており、温度センサによって行われる測定に基づいて冷却室における流体の入口速度を制御することが可能となっている。
【0058】
この渦巻流は、放射面4の形状によらず、実現される。例えば、図4は、凹状の放射面4での冷却流体の渦巻流を示し、一方、図5A,5B,6,7および9は、平面状の放射面4での渦巻流を示す。
【0059】
本発明の主題により、放射面4の全表面にわたり最適化された均一な冷却を得ることが可能になることが理解されよう。上述のように、音響伝搬軸Aの周りにおける冷却流体の渦巻流は、単一渦巻(tourbillon unique)を実現する。
【0060】
単一渦巻に基づく冷却流体の流れにより、巨視的観点から、冷却流体の層状の移動(deplacement laminaire)を維持することが可能となり、放射面4の全表面にわたる均一な冷却が実現される。さらに、微視的観点から、渦巻形状の流れにより、入口点14と出口点16の間における冷却流体の直接的な非渦巻流により得られるであろう冷却効率が増加する。得られる渦巻きにより、冷却流体の各粒子が音響伝搬軸Aの周りで少なくとも1回転の回転を行うことが可能となる。一般的には、冷却流体の各粒子は、入口14と出口16の間で、音響伝搬軸A周りの(selon)数回転の回転を行う。流体粒子の回転の数および結果としてその移動速度は、接線速度成分の求心速度成分に対する比率が1よりも非常に大きい場合には、より一層大きく(important)なる。この比率は、図4に示すように求心速度成分がゼロである場合には、無限大に近づく。
【0061】
第1の実施形態では、流体の案内ダクト18は、冷却室11内で入口14によって開口する冷却流体の供給路15の一部によって実現されている。図4においてより正確に見られるように、供給路15は、入口14の上流において、放射面4の縁4aに関して接線方向に方向づけられた筒状ダクト18を含む。この例では、供給路15は、音響伝搬軸Aに実質的に平行に延びる部分であって案内ダクト18を形成する90°の屈曲部により終端し冷却流体を案内する部分を含む。筒状ダクト18を形成するこの90°の屈曲部は、その終端において、冷却流体用の入口流路の横断面を区画し得る。入口流路の横断面の法線は、縦延伸軸Xに対応し、音響伝搬軸Aを含む平面Pに実質的に直交する接線方向Tに沿って方向づけられている。この配置を考慮すると、冷却流体の速度ベクトルVは、放射面4の縁4aに関して接線方向Tに沿う接線成分VTに、実質的に分解される。
【0062】
当然ながら、供給路15は、放射面4の縁4aに関して完全に接線方向に方向づけられていてもよい。この場合には供給路15と出口ダクト17とが直交するが故にこのやり方はより難しいとしても、である。
【0063】
図5Aに示す他の例示的な実施形態では、供給路15は、入口14の上流において、筒状ダクトを形成する部分18であって、出口において放射面4の縁4aに関して接線方向に方向づけられた部分18を含む。この例では、供給路15は、出口軸に実質的に垂直に延びる部分であって、筒状ダクトを形成する屈曲部18により延長され、その終端において平面Pに直交する法線を有する入口流路断面を規定する部分を含む。ここでも、冷却流体の速度ベクトルVは、放射面4に関する接線方向Tに沿う接線成分VTに実質的に分解される。
【0064】
図4,5A,5Bおよび7に示す例示的な実施形態では、筒状ダクト18は、放射面4の前方平面(plan frontal)F、ここで前方平面Fは放射面の縁端4aを通るものである、を超えて配置されている。これらの例では、供給路15は、その末端部において、接線方向Tと同一直線方向の速度を有する冷却流体の流れが得られるように、前方平面に垂直な流路横断面を呈するように方向づけられており該前方平面の前に配置されている筒状ダクト18を含む。
【0065】
図6に示す原理を有する第2の実施形態では、筒状ダクト18は、引き下がっており(est situe en retrait)または放射面4の前方平面Fに位置しており、放射面の縁端4aを通っている。換言すると、冷却流体の筒状ダクト18は、放射面の前方平面に配置された支持体の環状部2aに、筒状ダクト18の終端と放射面の縁端4aとが同一レベルに配置されるように、開口している。
【0066】
この第2の実施形態では、筒状ダクト18の縦延伸軸Xが、および結果として速度Vが、冷却室11内で冷却流体の渦巻流を形成するよう接線方向Tに沿って規定される非ゼロの接線成分を呈するように、筒状ダクト18は方向づけられている。この構成では、縦延伸軸Xおよび結果として流体の速度ベクトルは、法線方向Nに沿って規定される法線成分を呈する。この例では、プローブは、入口において、流体を偏向させる少なくとも1つの壁21であって、筒状ダクトの出口に面して配置され、接線方向Tに沿って流体を方向づける壁21を含む。これにより、速度ベクトルの法線成分の大きさが制限される。
【0067】
上記の偏向させる壁またはデフレクタ21(Cette paroi de deflexion ou deflecteur 21)は、冷却室11において、筒状ダクト18および支持体環状部2aに面して配置されている。図6においてより正確に見られるように、このデフレクタ21は、筒状ダクト18によって導入された冷却流体が室内に到達するに際して障害物を構成する。そのため、支持体環状部2aと組み合わされて、デフレクタ21は、冷却流体を、放射面に関して接線方向に流す。そのため、このデフレクタ21は、接線方向Tに沿って方向づけられ筒状ダクト18の出口に面して配置された前方部を含む。
【0068】
有利な他の実施形態では、デフレクタ21は、ストッパ部21aにより直角に延長されており、単一の接線方向に冷却流体を方向づけることが可能となっている。
【0069】
図2に、放射面4が、円形の縁端4aであって、その縁において、冷却流体を供給し環状部2aに開口する1または複数の筒状ダクト18と連通する縁路28により境界づけられた縁端4aを含む、上記原理の他の実施形態を示す。冷却流体の筒状ダクト18は、筒状ダクト18の終端と放射面の縁端4aとが同一レベルに配置されるように、支持体の縁端2aであって放射面の前方平面に配置された縁端2aに開口している。
【0070】
図8A~8Bにおいてより具体的に見られるように、冷却流体の供給路15は、環状部2aに開口する筒状ダクト18と連通している。筒状ダクト18に関する損失水頭(pertes de charge)を筒状ダクト18の断面積を増加させることなく低減するために、筒状ダクト18は、有利には、複数の平行な誘導経路(couloirs d'acheminement)18bであって、図示の例では3経路であり、環状部2aの円形に適合する(epouser)ように設けられた誘導経路を含む。この筒状ダクト18は、放射面の縁端4aの周縁の限られた断面に合わせて(selon)開口している。
【0071】
各入口では、冷却流体は、筒状ダクト18とともに、筒状ダクト18の出口断面に面し該出口断面から離間して配置された偏向させる壁2bによって、接線方向に沿って案内される。この偏向させる壁2bは、速度ベクトルの法線成分の大きさが制限されるように接線方向に沿って流体を方向づける、冷却流体用のデフレクタとして作用する。
【0072】
図示の例では、偏向させる壁2bは、支持体の環状部2aに面して延びる環状の境界の形状で実現されている。支持体の環状部2aは、接続壁2cによって、環状の境界2bに接続されている。環状部2aに面し環状部2aから離間して延びる環状境界2bは、縁路28を区画しており、縁路28は、上述のように、ボディ2に設けられた溝によって、冷却室の外側を閉じつつ冷却室の中央部と内部で連通するように、形成されている。
【0073】
縁路28は、支持体の環状部2aと環状境界2bとを機械的に接続する点状の複数のスタッド29(plots 29 ponctuels)を含む。図9および10に示す例示的な実施形態では、複数のスタッドは、それぞれ、冷却流体の進行方向を変更する羽の形状で形成されている。各スタッド間の空間は、流体に、冷却室11へのアクセスを与える、求心方向開口を形成する。
【0074】
各スタッド29は、損失水頭を制限するために、接線方向から疑似放射方向に変化する曲がったプロファイルを有する。
【0075】
図7に示す他の実施形態では、冷却室11は、放射面4の縁において分布する一連の入口14を含み、各々が、流体を案内する少なくとも1つの筒状ダクト18を呈し、冷却室内で冷却流体の渦巻流を協働して形成するように音響伝搬軸Aを含む平面Pに直交する方向に沿って方向づけられている。当然ながら、本発明に係るプローブの全ての変形例に、複数の入口が設けられ得る。
【0076】
図4,5A,5B,6,7および9に示す例では、冷却室11は、放射面4の音響伝搬軸Aに合致する出口軸Yを有する単一の出口16を含む。図2に示す他の実施形態では、変換器3は、その中央部において、冷却流体用の第2出口16を含む。2つの出口16は、放射面4の音響伝搬軸Aの両側に対称に配置されており、出口軸Yは、放射面4の音響伝搬軸Aと同一直線上にある。当然ながら、本発明に係るプローブの全ての変形例に、複数の出口が設けられ得る。この変形例では、冷却流体は、音響伝搬軸Aの周りで1回転の渦巻に基づいて(selon)流れる。
【0077】
先の記載に続けて説明すると、本発明の主題は、超音波を生成するプローブの変換器を冷却する新規な方法であって、放射面の冷却室の入口と出口の間において、冷却流体の渦巻流を、冷却室内で、変換器の中央部に垂直な軸の周りで形成することを備える方法を提案する。この渦巻流すなわち単一の渦巻きに基づく流れにより、治療用超音波プローブまたはさらにはその中央に配置された画像形成プローブの、伝導による冷却の効果および均一性が同時に向上する。
【0078】
当然ながら、本発明の主題は、変換器の後面を冷却するためにも実行され得る。
【0079】
本発明は、説明し図示した例に限定されない。なぜなら、本発明の範囲を逸脱することなく、様々な変更を上記例に適用できるためである。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10