(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-14
(45)【発行日】2022-09-26
(54)【発明の名称】前方に指向される衝撃波を生成するためのデバイスおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/22 20060101AFI20220915BHJP
【FI】
A61B17/22
(21)【出願番号】P 2019569918
(86)(22)【出願日】2018-05-29
(86)【国際出願番号】 US2018034855
(87)【国際公開番号】W WO2018236551
(87)【国際公開日】2018-12-27
【審査請求日】2021-04-21
(32)【優先日】2017-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515000292
【氏名又は名称】ショックウェーブ メディカル, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】グエン, ホア ディー.
【審査官】和田 将彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-528327(JP,A)
【文献】特開昭62-275446(JP,A)
【文献】特開昭61-135648(JP,A)
【文献】特開2014-208305(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
衝撃波デバイスであって、
外側被覆と、
内側部材であって、前記外側被覆および内側部材が、前記デバイスの遠位端に接続され、前記外側被覆と前記内側部材との間の容積が、伝導性流体で充填可能である、内側部材と、
前記外側被覆内で前記デバイスの長さに沿って延在し、前記デバイスの前記遠位端に近接して終了する、第1の伝導性ワイヤおよび第2の伝導性ワイヤであって、前記第1および第2の
伝導性ワイヤ
は、
前記デバイスの長さに沿って絶縁され、前記第1および第2の
伝導性ワイヤの遠位端面で前記第1および第2の
伝導性ワイヤのそれぞれにおいて非絶縁部分が存在する、第1の伝導性ワイヤおよび第2の伝導性ワイヤと、
前記第1および第2の
伝導性ワイヤの前記遠位端面に隣接する伝導性エミッタバンドであって、前記伝導性エミッタバンドは、前記第1の
伝導性ワイヤの前記遠位端面と前記
伝導性エミッタバンドとの間に第1のスパーク間隙を形成し、前記第2の
伝導性ワイヤの前記遠位端面と前記
伝導性エミッタバンドとの間に第2のスパーク間隙を形成し、前記容積が前記伝導性流体で充填され、高電圧パルスが前記第1および第2の
伝導性ワイヤを横断して印加されると、第1および第2の衝撃波が、前記第1および第2のスパーク間隙から開始される、伝導性エミッタバンドと
を備える、デバイス。
【請求項2】
前記第1および第2の
伝導性ワイヤの端部に近接する領域において前記内側部材の周囲を囲む絶縁シースをさらに備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記外側被覆は、血管形成バルーンを備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記
伝導性エミッタバンドは、前記デバイスの遠位端に
前記第1および第2の
伝導性ワイヤの遠位端よりも近接して延在する円筒管である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記第1および第2の
伝導性ワイヤの遠位端は、前記
伝導性エミッタバンド内に位置している、請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記デバイスの近位端に接続され、伝導性流体を前記外側被覆と前記内側部材との間の前記容積に提供するように構成されている流体ポンプと、
前記デバイスの前記遠位端に近接した入口を有し、前記外側被覆と前記内側部材との間の前記容積から前記伝導性流体を除去するように構成されている流体帰還ラインと
をさらに備え、前記流体ポンプおよび流体帰還ラインは、圧力下で、前記外側被覆と前記内側部材との間の前記容積内で前記伝導性流体を循環させるように構成されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
前記流体帰還ラインの出口に圧力リリーフ弁をさらに備える、請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
前記外側被覆内で前記デバイスの長さに沿って延在し、前記デバイスの前記遠位端に近接して終了する、第3の伝導性ワイヤおよび第4の伝導性ワイヤであって、前記第3および第4の
伝導性ワイヤ
は、
前記デバイスの長さに沿って絶縁され、前記第3および第4の
伝導性ワイヤの遠位端面で前記第3および第4の
伝導性ワイヤのそれぞれにおいて非絶縁部分が存在する、第3の伝導性ワイヤおよび第4の伝導性ワイヤ
をさらに備え、前記伝導性エミッタバンドは、前記第3および第4の
伝導性ワイヤの端部に隣接し、前記第3の
伝導性ワイヤの前記遠位端面と前記
伝導性エミッタバンドとの間に第3のスパーク間隙を形成し、前記第4の
伝導性ワイヤの前記遠位端面と前記
伝導性エミッタバンドとの間に第4のスパーク間隙を形成し、前記容積が前記伝導性流体で充填され、第2の高電圧パルスが前記第3および第4の
伝導性ワイヤを横断して印加されると、第3および第4の衝撃波が、前記第3および第4のスパーク間隙から開始される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
前記伝導性流体は、生理食塩水、または、生理食塩水および造影剤の組み合わせを含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項10】
前記デバイスの中間場所に配置され、前記中間場所から第3の衝撃波を開始させるように構成されている1つまたは複数の二次エミッタバンドをさらに備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項11】
前記内側部材は、ガイドワイヤ管腔を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項12】
血管
または泌尿器構造におけるプラークを処置するためのシステムであって、
患者の血管
または泌尿器構造の中に導入されるように構成された衝撃波デバイスであって、前記衝撃波デバイスは、
外側被覆と、
内側部材であって、前記外側被覆および内側部材は、前記デバイスの遠位端に接続され、前記外側被覆と前記内側部材との間の容積は、伝導性流体で充填される、内側部材と、
前記外側被覆内で前記デバイスの長さに沿って延在し、前記デバイスの前記遠位端に近接して終了する、第1の伝導性ワイヤおよび第2の伝導性ワイヤであって、前記第1および第2の
伝導性ワイヤ
は、
前記デバイスの長さに沿って絶縁され、前記第1および第2の
伝導性ワイヤの遠位端面で前記第1および第2の
伝導性ワイヤのそれぞれにおいて非絶縁部分が存在する、第1の伝導性ワイヤおよび第2の伝導性ワイヤと、
前記第1および第2の
伝導性ワイヤの前記遠位端面に隣接する伝導性エミッタバンドであって、前記第1の
伝導性ワイヤの前記遠位端面と前記
伝導性エミッタバンドとの間に第1のスパーク間隙を形成し、前記第2の
伝導性ワイヤの前記遠位端面と前記
伝導性エミッタバンドとの間に第2のスパーク間隙を形成する伝導性エミッタバンドと
を備え、前記衝撃波デバイスは、前記衝撃波デバイスの前記遠位端が第1の処置領域に面するように、前記血管
または泌尿器構造内に前進させられるように構成されている、衝撃波デバイスと、
前記第1および第2の
伝導性ワイヤを横断して高電圧パルスを印加
することにより、前記第1および第2のスパーク間隙から第1および第2の衝撃波を開始させるように構成されている高電圧源と
を備えるシステム。
【請求項13】
前記外側被覆は、血管形成バルーンを備え、
前記血管形成バルーンは、前記第1の処置領域と整合されるように構成され、前記システムは、前記血管形成バルーンを膨張させるための手段をさらに備える、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記外側被覆は、血管形成バルーンを備え、
前記血管形成バルーンは、第2の処置領域と整合されるように構成され、前記システムは、前記血管形成バルーンを膨張させるための手段をさらに備える、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記衝撃波デバイスはさらに、前記デバイスの中間場所に配置されている1つまたは複数の二次エミッタバンドを備え、
前記1つまたは複数の二次エミッタバンドの前記中間場所は、前記第1の処置領域と整合されるように構成され、前記システムは、前記1つまたは複数の二次エミッタバンドから第3の衝撃波を開始させるための手段をさらに備える、請求項12に記載のシステム。
【請求項16】
前記衝撃波デバイスはさらに、前記デバイスの中間場所に配置されている1つまたは複数の二次エミッタバンドを備え、
前記1つまたは複数の二次エミッタバンドの前記中間場所は、第2の処置領域と整合されるように構成され、前記システムは、前記1つまたは複数の二次エミッタバンドから第3の衝撃波を開始させるための手段をさらに備える、請求項12に記載のシステム。
【請求項17】
第1の処置領域は、慢性完全閉塞(CTO)、周辺カルシウム、または腎臓結石を含む、請求項12に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2017年6月19日に出願された仮出願第62/521,994号の優先権を主張し、その開示全体が参照によって本明細書に援用される。
【0002】
(分野)
本開示は、概して、衝撃波の生成に関し、より具体的には、血管または泌尿器構造内での衝撃波の生成に関する。
【背景技術】
【0003】
(背景)
本発明は、血管内の石灰化病変、または尿管内の腎臓結石等の他の管内の閉塞を処置することに関する。この課題に対処するための1つの一般的なアプローチは、バルーン血管形成術である。本タイプの手技では、バルーンを担持するカテーテルが、バルーンが閉塞と整合されるまで、ガイドワイヤに沿って血管系の中に前進させられる。バルーンは、次いで、閉塞を低減または破壊するような様式で加圧される。高圧まで膨張させられると、血管形成バルーンは、それらが拡張する特定の最大直径を有し得る。概して、求心性病変下の管内の開口部は、典型的には、はるかに小さくなる。圧力が血流のための通路を開放するために増加されるにつれて、バルーンは、(これが破壊されて開放される前に)石灰化病変内の開口部のサイズまで限局される。圧力が蓄積するにつれて、膨大な量のエネルギーが、石灰化病変が破壊しまたは割れるまでバルーン内に貯蔵される。そのエネルギーが、次いで、解放され、バルーンのその最大寸法までの急速な膨張をもたらし、管壁に応力印加し、管壁を傷つけ得る。
【0004】
近年、本譲受人は、例えば、動脈および静脈内の石灰沈着物を粉砕するためのシステムおよび方法を開発している。そのようなシステムが、例えば、米国特許第8,956,371号および米国特許第8,888,788号に説明され、この両方とも、参照によって本明細書に援用される。そこで説明される実施形態は、流体で膨張させられるように配列される血管形成バルーン等のバルーンをその遠位端に有するカテーテルを含む。例えば、コネクタを通してカテーテルの近位端において高電圧源に結合される電極の対の形態をとり得る衝撃波発生器がバルーン内に配置される。バルーンが、静脈および動脈の石灰沈着領域に隣接して設置され、高電圧パルスが電極を横断して印加されると、衝撃波が形成され、衝撃波は、流体を通して伝搬し、バルーンの壁および石灰沈着領域に影響を及ぼす。繰り返されるパルスが、軟組織の周囲を損傷させることなく、カルシウムを粉砕する。類似する技法が、尿管内の腎臓結石を処置するために使用されることができる。そのようなシステムによって生成される衝撃波は、典型的には、電極からあらゆる方向に伝搬する。
【0005】
動脈は、時として、血栓、プラーク、繊維質プラーク、および/またはカルシウム沈着物で完全に閉塞される。この状態が存在するとき、医師は、典型的には、最初に、動脈を辿って、かつ閉塞された区域を通して、軟質の細いガイドワイヤを送る。ガイドワイヤは、直径が0.014インチ程度に小さくてもよく、通常、動脈のコーナーにおける動脈壁を穿通することを回避することに役立つように、軟質の可撓性先端を有する。血管形成バルーンが、次いで、ガイドワイヤ上で、動脈を辿って閉塞部の所望される場所まで給送される。残念ながら、何度も、医師は、ガイドワイヤで通過可能ではない慢性閉塞に直面する。これは、閉塞が、非常に緊密かつ中実であるため、軟質のガイドワイヤが閉塞を通して穿通することができないときに生じる。より硬質のガイドワイヤが、このような場合に使用され得るが、それらは、慢性完全閉塞に対して押進されるときに動脈壁を容易に穿通し得るため、非常に慎重に使用されなければならない。
【0006】
無線周波数エネルギーを利用し、閉塞を開放させるガイドワイヤが、提案されている。残念ながら、閉塞を開放させるための無線周波数エネルギーによって生成される熱が、強烈であり、動脈または管の壁を損傷させ得る。無線周波数エネルギーは、その経路内のあらゆるものを熱傷させるプラズマを生産する。故に、そのようなシステムは、慎重に使用されなければならず、動脈または管の損傷を回避するために、一時停止することなく、継続的に移動させられなければならない。また、そのようなアプローチは、プラズマを動脈または管内の中心に置かれた状態に保つセンタリング機構を要求する。そのようなセンタリングは、特に、動脈または静脈のコーナーおよび屈曲部において達成することが困難である。
【0007】
ごく近年では、本譲受人は、ガイドワイヤおよび血管形成バルーンが通過して給送されることを可能にするために十分に完全閉塞を開放させるための前方に指向される衝撃波を生成するために、ガイドワイヤの先端上に電極を提供することを提案している。加えて、そのようなシステムは、動脈または管への損傷を回避する。この拒絶理由アプローチは、米国特許出願公開第2015/0320432号に開示され、これも、参照によって本明細書に援用される。
【0008】
本発明は、血管形成バルーンと統合され得る、前方に指向される衝撃波を生成するためのさらに別の代替アプローチに関する。このアプローチはまた、衝撃波電極の他のタイプと併用されることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】米国特許第8,956,371号公報
【文献】米国特許第8,888,788号公報
【文献】米国特許出願公開第2015/0320432号公報
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
(概要)
管内のプラークまたは閉塞の処置のための衝撃波デバイスおよび方法が、本明細書に記載される。管は、患者の血管系内の血管または患者の泌尿器系内の尿管を含み得る。衝撃波デバイスの一実施例は、外側被覆と、ガイドワイヤ管腔を形成する内側部材とを含む。外側被覆および内側部材は、本デバイスの遠位端において接続され、外側被覆と内側部材との間の容積が、伝導性流体で充填可能である。第1の伝導性ワイヤおよび第2の伝導性ワイヤが、外側被覆と内側部材との間の容積内で、本デバイスの長さに沿って延在し、本デバイスの遠位端に近接して終了する。第1および第2のワイヤの長さは、絶縁され、第1および第2のワイヤの端部は、絶縁されていない。伝導性エミッタバンドが、第1および第2のワイヤの端部の周囲を囲み、第1のワイヤの端部とエミッタバンドとの間に第1のスパーク間隙を形成し、第2のワイヤの端部とエミッタバンドとの間に第2のスパーク間隙を形成する。容積が伝導性流体で充填され、高電圧パルスが第1および第2のワイヤを横断して印加されると、第1および第2の衝撃波が、第1および第2のスパーク間隙から開始される。
【0011】
いくつかの実施例では、本デバイスはさらに、第1および第2のワイヤの端部に近接する領域において内側部材の周囲を囲む絶縁シースを含む。いくつかの変形例では、外側被覆は、血管形成バルーンを備える。いくつかの実施例では、エミッタバンドは、本デバイスの遠位端に第1および第2のワイヤよりも近接して延在する円筒管である。いくつかの実施例では、本デバイスはさらに、本デバイスの近位端に接続され、伝導性流体を外側被覆と内側部材との間の容積に提供するように構成されている流体ポンプと、本デバイスの遠位端に近接した入口を有し、外側被覆と内側部材との間の容積から伝導性流体を除去するように構成されている流体帰還ラインとを含む。流体ポンプおよび流体帰還ラインは、圧力下で、外側被覆と内側部材との間の容積内で伝導性流体を循環させるように構成されてもよい。いくつかの実施例では、本デバイスはさらに、流体帰還ラインの出口に圧力リリーフ弁を含む。
【0012】
いくつかの実施例では、本デバイスはさらに、外側被覆と内側部材との間の容積内で、本デバイスの長さに沿って延在し、本デバイスの遠位端に近接して終了する、第3の伝導性ワイヤおよび第4の伝導性ワイヤを含む。第3および第4のワイヤの長さは、絶縁されてもよく、第3および第4のワイヤの端部は、絶縁されていなくてもよい。伝導性エミッタバンドは、第3および第4のワイヤの端部の周囲を囲み、第3のワイヤの端部とエミッタバンドとの間に第3のスパーク間隙を形成し、第4のワイヤの端部とエミッタバンドとの間に第4のスパーク間隙を形成してもよい。容積が伝導性流体で充填され、第2の高電圧パルスが第3および第4のワイヤを横断して印加されると、第3および第4の衝撃波が、第3および第4のスパーク間隙から開始されてもよい。いくつかの実施例では、伝導性流体は、生理食塩水、または、生理食塩水および造影剤の組み合わせを含む。いくつかの実施例では、本デバイスはさらに、本デバイスの中間場所に配置され、中間場所から少なくとも第3の衝撃波を開始させるように構成されている1つまたは複数の二次エミッタバンドを含む。
【0013】
本方法の一実施例は、管の中に衝撃波デバイスを導入することと、衝撃波デバイスの遠位端が第1の処置領域に面するように、管内に衝撃波デバイスを前進させることと、第1および第2のワイヤを横断して高電圧パルスを印加し、第1および第2のワイヤとエミッタバンドとの間に形成される第1および第2のスパーク間隙から第1および第2の衝撃波を開始させることとを含む。第1および第2のワイヤならびにエミッタバンドを位置付けることは、実質的に前方方向に伝搬する第1および第2の衝撃波をもたらす。
【0014】
いくつかの実施例では、本方法はさらに、印加するステップの後に、血管形成バルーンが第1の処置領域または第2の処置領域と整合されるように、さらに管内に衝撃波デバイスを前進させることと、血管形成バルーンを膨張させることとを含む。いくつかの実施例では、本方法はさらに、印加するステップの後に、本デバイスの中間場所における1つまたは複数の二次エミッタバンドが第1の処置領域または第2の処置領域と整合されるように、さらに管内に衝撃波デバイスを前進させることと、二次エミッタバンドから第3の衝撃波を開始させることとを含む。いくつかの実施例では、管は、患者の血管系の血管または患者の泌尿器系の尿管である。いくつかの実施例では、第1の処置領域は、慢性完全閉塞(CTO)、周辺カルシウム、または腎臓結石を含む。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
衝撃波デバイスであって、
外側被覆と、
内側部材であって、前記外側被覆および内側部材が、前記デバイスの遠位端に接続され、前記外側被覆と前記内側部材との間の容積が、伝導性流体で充填可能である、内側部材と、
前記外側被覆と前記内側部材との間の前記容積内で前記デバイスの長さに沿って延在し、前記デバイスの遠位端に近接して終了する、第1の伝導性ワイヤおよび第2の伝導性ワイヤであって、前記第1および第2のワイヤの長さは、絶縁され、前記第1および第2のワイヤの遠位端近傍で前記第1および第2のワイヤのそれぞれにおいて非絶縁部分が存在する、第1の伝導性ワイヤおよび第2の伝導性ワイヤと、
前記第1および第2のワイヤの端部の周囲を囲む伝導性エミッタバンドであって、前記伝導性エミッタバンドは、前記第1のワイヤの端部と前記エミッタバンドとの間に第1のスパーク間隙を形成し、前記第2のワイヤの端部と前記エミッタバンドとの間に第2のスパーク間隙を形成し、前記容積が前記伝導性流体で充填され、高電圧パルスが前記第1および第2のワイヤを横断して印加されると、第1および第2の衝撃波が、前記第1および第2のスパーク間隙から開始される、伝導性エミッタバンドと
を備える、デバイス。
(項目2)
前記第1および第2のワイヤの端部に近接する領域において前記内側部材の周囲を囲む絶縁シースをさらに備える、項目1に記載のデバイス。
(項目3)
前記外側被覆は、血管形成バルーンを備える、項目1に記載のデバイス。
(項目4)
前記エミッタバンドは、前記デバイスの遠位端に第1および第2のワイヤの端部よりも近接して延在する円筒管である、項目1に記載のデバイス。
(項目5)
前記デバイスの近位端に接続され、伝導性流体を前記外側被覆と前記内側部材との間の前記容積に提供するように構成されている流体ポンプと、
前記デバイスの遠位端に近接した入口を有し、前記外側被覆と前記内側部材との間の前記容積から前記伝導性流体を除去するように構成されている流体帰還ラインと
をさらに備え、前記流体ポンプおよび流体帰還ラインは、圧力下で、前記外側被覆と前記内側部材との間の前記容積内で前記伝導性流体を循環させるように構成されている、項目1に記載のデバイス。
(項目6)
前記流体帰還ラインの出口に圧力リリーフ弁をさらに備える、項目5に記載のデバイス。
(項目7)
前記外側被覆と前記内側部材との間の前記容積内で、前記デバイスの長さに沿って延在し、前記デバイスの遠位端に近接して終了する、第3の伝導性ワイヤおよび第4の伝導性ワイヤであって、前記第3および第4のワイヤの長さは、絶縁され、前記第3および第4のワイヤの遠位端近傍で前記第3および第4のワイヤのそれぞれにおいて非絶縁部分が存在する、第3の伝導性ワイヤおよび第4の伝導性ワイヤ
をさらに備え、前記伝導性エミッタバンドは、前記第3および第4のワイヤの端部の周囲を囲み、前記第3のワイヤの端部と前記エミッタバンドとの間に第3のスパーク間隙を形成し、前記第4のワイヤの端部と前記エミッタバンドとの間に第4のスパーク間隙を形成し、前記容積が前記伝導性流体で充填され、第2の高電圧パルスが前記第3および第4のワイヤを横断して印加されると、第3および第4の衝撃波が、前記第3および第4のスパーク間隙から開始される、項目1に記載のデバイス。
(項目8)
前記伝導性流体は、生理食塩水、または、生理食塩水および造影剤の組み合わせを含む、項目1に記載のデバイス。
(項目9)
前記デバイスの中間場所に配置され、前記中間場所から第3の衝撃波を開始させるように構成されている1つまたは複数の二次エミッタバンドをさらに備える、項目1に記載のデバイス。
(項目10)
前記内側部材は、ガイドワイヤ管腔を含む、項目1に記載のデバイス。
(項目11)
血管プラークを処置するための方法であって、
衝撃波デバイスを患者の血管系の中に導入することであって、前記衝撃波デバイスは、
外側被覆と、
内側部材であって、前記外側被覆および内側部材は、前記デバイスの遠位端に接続され、前記外側被覆と前記内側部材との間の容積は、伝導性流体で充填される、内側部材と、
前記外側被覆と前記内側部材との間の前記容積内で前記デバイスの長さに沿って延在し、前記デバイスの遠位端に近接して終了する、第1の伝導性ワイヤおよび第2の伝導性ワイヤであって、前記第1および第2のワイヤの長さは、絶縁され、前記第1および第2のワイヤの遠位端近傍で前記第1および第2のワイヤのそれぞれにおいて非絶縁部分が存在する、第1の伝導性ワイヤおよび第2の伝導性ワイヤと、
前記第1および第2のワイヤの端部の周囲を囲む伝導性エミッタバンドであって、前記第1のワイヤの端部と前記エミッタバンドとの間に第1のスパーク間隙を形成し、前記第2のワイヤの端部と前記エミッタバンドとの間に第2のスパーク間隙を形成する伝導性エミッタバンドと
を備える、ことと、
前記衝撃波デバイスの遠位端が第1の処置領域に面するように、前記血管系内に前記衝撃波デバイスを前進させることと、
前記第1および第2のワイヤを横断して高電圧パルスを印加し、前記第1および第2のスパーク間隙から第1および第2の衝撃波を開始させることと
を含む、方法。
(項目12)
前記外側被覆は、血管形成バルーンを備え、前記方法はさらに、
前記印加するステップの後に、前記血管形成バルーンが前記第1の処置領域と整合されるように、さらに前記血管内に前記衝撃波デバイスを前進させることと、
前記血管形成バルーンを膨張させることと
を含む、項目11に記載の方法。
(項目13)
前記外側被覆は、血管形成バルーンを備え、前記方法はさらに、
前記印加するステップの後に、前記血管形成バルーンが第2の処置領域と整合されるように、さらに前記血管内に前記衝撃波デバイスを前進させることと、
前記血管形成バルーンを膨張させることと
を含む、項目11に記載の方法。
(項目14)
前記衝撃波デバイスはさらに、前記デバイスの中間場所に配置されている1つまたは複数の二次エミッタバンドを備え、前記方法はさらに、
前記印加するステップの後に、前記1つまたは複数の二次エミッタバンドの中間場所が前記第1の処置領域と整合されるように、さらに前記血管内に前記衝撃波デバイスを前進させることと、
前記1つまたは複数の二次エミッタバンドから第3の衝撃波を開始させることと
を含む、項目11に記載の方法。
(項目15)
前記衝撃波デバイスはさらに、前記デバイスの中間場所に配置されている1つまたは複数の二次エミッタバンドを備え、前記方法はさらに、
前記印加するステップの後に、前記1つまたは複数の二次エミッタバンドの中間場所が第2の処置領域と整合されるように、さらに前記血管内に前記衝撃波デバイスを前進させることと、
前記1つまたは複数の二次エミッタバンドから第3の衝撃波を開始させることと
を含む、項目11に記載の方法。
(項目16)
管は、患者の血管系の血管または患者の泌尿器系の尿管である、項目11に記載の方法。
(項目17)
第1の処置領域は、慢性完全閉塞(CTO)、周辺カルシウム、または腎臓結石を含む、項目11に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、いくつかの実施形態による、前方に指向される衝撃波を生成するための例示的衝撃波デバイスの破断斜視図を描写する。
【0016】
【
図2】
図2は、いくつかの実施形態による、前方に指向される衝撃波を生成するための例示的衝撃波デバイスの側面断面図を描写する。
【0017】
【
図3】
図3は、いくつかの実施形態による、前方に指向される衝撃波を生成するための例示的衝撃波デバイスの正面断面図を描写する。
【0018】
【
図4】
図4は、いくつかの実施形態による、前方に指向される衝撃波を生成するための例示的衝撃波デバイスの拡張された側面断面図を描写する。
【0019】
【
図5】
図5は、いくつかの実施形態による、例示的衝撃波デバイスの拡張された長さの側面図を描写する。
【0020】
【
図6】
図6は、前方に指向される衝撃波を生成するための例示的方法のフローチャート表現である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(詳細な説明)
慢性完全閉塞(CTO)または周辺カルシウム等の血管疾患を処置するために、または尿管内の結石または腎臓結石等の尿路疾患を処置するために、実質的に前方方向に伝搬する衝撃波を生成するためのデバイス、システム、および方法が、本明細書に説明される。本開示によると、衝撃波デバイスは、外側被覆と、ガイドワイヤ管腔を形成する内側部材とを含む。外側被覆および内側部材は、本デバイスの遠位端において接続される。第1の伝導性ワイヤおよび第2の伝導性ワイヤが、外側被覆と内側部材との間の容積内で、本デバイスの長さに沿って延在し、本デバイスの遠位端に近接して終了する。伝導性エミッタバンドが、第1および第2のワイヤの端部の周囲を囲み、第1のワイヤの端部とエミッタバンドとの間に第1のスパーク間隙を形成し、第2のワイヤの端部とエミッタバンドとの間に第2のスパーク間隙を形成する。
【0022】
容積が伝導性流体(例えば、生理食塩水および/または撮像造影剤)で充填され、高電圧パルスが、第1および第2のワイヤを横断して印加されると、第1および第2の衝撃波が、第1および第2のスパーク間隙から開始されることができる。電圧は、種々のパルス持続時間にわたり、100~10,000ボルトの範囲に及び得る。この高電圧は、ワイヤの端面にガス気泡を発生させ、電流のプラズマアークがエミッタバンドまで気泡を横断することをもたらし、急速に膨張および圧潰する気泡を生じさせ、これは、ひいては、本デバイスの遠位端に機械的衝撃波を生じさせ得る。ワイヤの端部との関係におけるエミッタバンドの位置付けは、本デバイスの遠位端に向かって実質的に前方方向に伝搬する衝撃波をもたらし得る。衝撃波は、伝導性流体を通して、および外側被覆を通して実質的に前方方向に機械的に伝導され、本デバイスの遠位端に面する閉塞またはカルシウムに影響を及ぼすように機械的力または圧力を印加してもよい。気泡のサイズ、膨張および圧潰率(ならびに、したがって、機械的力の大きさ、持続時間、および分布)は、電圧パルスの大きさおよび持続時間と、ワイヤの端部とエミッタバンドとの間の距離とに基づいて変動し得る。エミッタバンドは、使用の間に生成される高電圧レベルおよび強烈な機械力(例えば、数マイクロ秒に約1,000~2,000psiまたは68~136ATM)に耐え得る材料で作製されてもよい。例えば、エミッタバンドは、ステンレス鋼、タングステン、ニッケル、鉄、鋼、および同等物から作製されてもよい。
【0023】
図1は、いくつかの実施形態による、前方に指向される衝撃波を生成するための例示的衝撃波デバイス100の破断斜視図を描写する。デバイス100は、外側被覆102(例えば、可撓性外側管)と、ガイドワイヤ114のための管腔を形成する内側部材104とを含む。外側被覆102および内側部材104は、デバイス100の遠位端において接続され、ガイドワイヤ114は、デバイス100から退出してもよい。外側被覆102と内側部材104との間のデバイス100の内部容積は、伝導性流体(例えば、生理食塩水および/または撮像造影剤)で充填されてもよい。2つの絶縁される伝導性ワイヤ106(例えば、絶縁銅ワイヤ)が、内部容積内で、デバイス100の長さに沿って延在する。1つのワイヤ106のみが、
図1で可視であるが、第2のワイヤ106は、
図2-3に示されるように、内側部材104の対向側に沿って延在する。2つのワイヤ106は、ガイドワイヤが内側部材104によって形成される管腔から退出する、デバイス100の遠位端の近傍で終了する。2つのワイヤ106の端部は、非絶縁部分(図示せず)を含む。例えば、2つのワイヤの端部における平坦な円形表面は、絶縁されていなくてもよい。エミッタバンド108が、2つのワイヤ106の端部の周囲で内部容積内に位置付けられる。エミッタバンド108は、結合される内側部材104および2つのワイヤ106の合計の直径より大きい直径を伴う伝導性の円筒であってもよく、これにより、エミッタバンドが、
図2に示されるように、ワイヤに接触することなく2つのワイヤ106の端部の周囲を囲む。絶縁シース110(例えば、ポリイミド絶縁体)が、内側部材104の周囲に位置付けられ、内側部材104から2つのワイヤ106を分離し、さらに2つのワイヤ106を相互から絶縁してもよい。このように、2つのワイヤ106の間の好ましい伝導性経路は、エミッタバンド108を通る。高電圧パルスが、2つのワイヤ106を横断して印加されると、電流が、1つのワイヤの非絶縁端部からエミッタバンド108までアークを発生させ、次いで、再び、エミッタバンド108から他のワイヤの非絶縁端部までアークを発生させる。その結果、衝撃波が、衝撃波デバイス100の遠位端において開始され、これは、次いで、伝導性流体および外側被覆102の壁を通して伝搬し、閉塞または石灰沈着に影響を及ぼす。
【0024】
いくつかの実施形態では、デバイス100は、ワイヤ106から90度だけオフセットされたワイヤの第2の対(図示せず)を含んでもよい。例えば、ワイヤ106が0度および180度に位置付けられる場合、ワイヤの第2の対は、90度および270度に位置付けられてもよい。ワイヤの第2の対はまた、デバイス100の遠位端近傍で終了し、それらの端部に非絶縁部分を含む。エミッタバンド108は、同様に、ワイヤの第2の対の端部の周囲を囲む。別個の高電圧パルスが、ワイヤの第2の対を横断して印加され、エミッタバンド108を用いてアークの第2の対を発生させ得る。その結果、衝撃波の第2のセットが、デバイス100の遠位端から開始される。ワイヤ106の第1の対およびワイヤの第2の対は、交互にアクティブ化されてもよく、これは、衝撃波をさらに拡散させることによって、デバイス100の有効性を改善し得る。
【0025】
デバイス100の遠位端の近傍に入口を伴う流体帰還ライン112が、内部容積から伝導性流体を引き込む一方、流体ポンプ(図示せず)が、デバイス100の近位端における流体入口(
図5に示される)を介して付加的な伝導性流体を送り込む。このようにして、流体帰還ライン112および流体ポンプは、圧力下で、内部容積内で伝導性流体を循環させる。伝導性流体の循環は、デバイス100によって発生させられる気泡が、先端内の限定される空間に起因してデバイス100の遠位先端内に捕捉されることを防止し得る。さらに、伝導性流体の循環は、デバイス100および処置部位を冷却することを補助し得る。
【0026】
図2は、いくつかの実施形態による、前方に指向される衝撃波を生成するための例示的衝撃波デバイス100の側面断面図を描写する。
図2に示されるように、2つの伝導性ワイヤ106(例えば、ポリイミド絶縁銅ワイヤ)が、内側部材104の対向側に沿って位置付けられる。ワイヤ106はそれぞれ、非絶縁ワイヤ端部202を含む。絶縁シース110(例えば、ポリイミド管類)は、非絶縁ワイヤ端部202に近接する領域内に位置付けられ、電流が一方のワイヤ端部から他方のワイヤ端部までアークを発生させる可能性を減少させる。エミッタバンド108は、2つのスパーク間隙がワイヤ端部202のそれぞれとエミッタバンド108との間に形成されるように、ワイヤ端部202よりも前方の縁がデバイス100の遠位端に近接する状態に位置付けられる。ワイヤ端部202、絶縁シース110、およびエミッタバンド108を位置付けることは、高電圧パルスが2つのワイヤ106を横断して印加されると、電流が、1つのワイヤの非絶縁端部からエミッタバンド108までアークを発生させ、次いで、エミッタバンド108から他方のワイヤの非絶縁端部まで再びアークを発生させるようにする。その結果、衝撃波が、衝撃波デバイス100の遠位端において開始され、これは、次いで、伝導性流体および外側被覆102の壁を通して伝搬し、閉塞または石灰沈着に影響を及ぼす。ワイヤ端部202よりもエミッタバンド108を本デバイスの遠位端に近接して位置付けることは、衝撃波が実質的に前方方向(例えば、デバイス100の遠位端から外に長手方向)に伝搬するように促すことに役立つ。衝撃波は、血管系の領域を処置するために施術者によって望ましくあり得るように、繰り返して生成されてもよい。
【0027】
図3は、いくつかの実施形態による、前方に指向される衝撃波を生成するための例示的衝撃波デバイス100の正面断面図を描写する。
図3に示されるように、エミッタバンド108は、2つの伝導性ワイヤ106(例えば、絶縁銅ワイヤ)および流体帰還ライン112の周囲を囲む。流体帰還ライン112は、本デバイスの内部容積から伝導性流体を引き込む入口を含み、伝導性流体がデバイス100の遠位端内で循環されることを可能にする。
【0028】
図4は、いくつかの実施形態による、前方に指向される衝撃波を生成するための例示的衝撃波デバイス100の拡張された側面断面図を描写する。
図4に示されるように、いくつかの実施形態では、デバイス100の外側被覆は、血管形成バルーン402を含む。バルーン402は、本デバイスの内部容積の中に付加的な流体を圧送することによって膨張させられてもよい。バルーン402は、処置領域に衝撃波を印加する前または後に膨張させられてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、前方に指向される衝撃波が、デバイス100の遠位端におけるエミッタバンド108を使用して開始され、閉塞を分解した後、デバイス100は、患者の血管の中にさらに前進させられ、バルーン402は、閉塞の領域内で膨張させられ、その領域をさらに処置する。
【0029】
いくつかの実施形態では、衝撃波デバイス100は、デバイス100の中間場所の中に位置する二次エミッタバンド404を含んでもよい。
図4に示されるデバイス100は、2つの二次エミッタバンド404を含むが、種々の数の二次バンド404が、使用されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、デバイス100は、単一の二次エミッタバンド404を含んでもよい。他の実施形態では、デバイス100は、5つまたはそれよりも多い二次エミッタバンド404を含んでもよい。二次エミッタバンド404は、種々の技法を使用して衝撃波を生成してもよい。例えば、二次エミッタバンド404は、米国特許第8,888,788号および米国出願第15/346,132号(これらは、これらの全体が参照によって本明細書に援用される)に説明されるもの等の、薄型または同一平面状の電極を使用して衝撃波を生成してもよい。衝撃波は、二次エミッタバンド404の中間場所から実質的に半径方向に放射してもよい。いくつかの実施形態では、二次エミッタバンド404は、デバイス100の遠位端におけるエミッタバンド108から独立して衝撃波を開始させてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、前方に指向される衝撃波が、デバイス100の遠位端におけるエミッタバンド108を使用して開始され、閉塞を分解した後、デバイス100が、二次エミッタバンド404の中間場所が閉塞の領域と整合されるまで、患者の血管の中にさらに前進させられる。次いで、付加的な衝撃波が、二次エミッタバンド404から開始され、その領域をさらに処置してもよい。独立的な動作を可能にするために、付加的な伝導性ワイヤが、高電圧源と二次エミッタバンド404との間に提供されてもよい。
【0030】
いくつかの実施形態では、エミッタバンド108から前方に指向される衝撃波、二次エミッタバンド404から半径方向に指向される衝撃波、および血管形成バルーン402の膨張が、種々のシーケンスおよび組み合わせで利用され、管内のプラークまたは閉塞を処置してもよい。管は、患者の血管系内の血管または患者の泌尿器系内の尿管を含み得る。
【0031】
図5は、いくつかの実施形態による、例示的衝撃波デバイス100の拡張された長さの側面図を描写する。衝撃波デバイス100は、流体源、および伝導性流体を流体入口502を介してデバイス100の内部容積の中に導入する流体ポンプ(図示せず)と流体連通してもよい。流体ポンプは、ある圧力まで、流体で内部容積を充填してもよい。伝導性流体は、
図1および
図3に示される流体帰還ラインの中に流体を引き込み、次いで、それを廃棄出口504を通して一掃することによって、デバイス100の内部容積内で循環されてもよい。廃棄出口504は、伝導性流体が循環される間、本デバイスの内部容積内の流体圧力を維持するために圧力リリーフ弁を含んでもよい。伝導性流体の循環は、デバイス100によって発生させられる気泡が、先端内の限定される空間に起因してデバイス100の遠位先端内に捕捉されることを防止し得る。捕捉された気泡は、後続の衝撃波がデバイス100から伝搬することを遮断し得、したがって、それらの蓄積を防止することは、有益である。いくつかの実施形態では、廃棄出口504は、流体ポンプが廃棄流体を再循環させるように、流体源に接続されてもよい。
【0032】
図6は、前方に指向される衝撃波を生成するための例示的方法のフローチャート表現である。
図6に描写されるように、衝撃波デバイスが、管の中に導入される(602)。管は、患者の血管系内の血管または患者の泌尿器系内の尿管を含み得る。衝撃波デバイスは、
図1-5を参照して説明される、デバイス100であってもよい。衝撃波デバイスは、本デバイスの遠位端が第1の処置領域に面するように、管内に前進させられる(604)。第1の処置領域は、慢性完全閉塞(CTO)、周辺カルシウム、腎臓結石、または他の閉塞もしくは結石を含み得る。いったん衝撃波デバイスの遠位端が、第1の処置領域に面するようになると、高電圧パルスが、第1および第2のワイヤを横断して印加され、第1および第2のワイヤとエミッタバンドとの間に形成される第1および第2のスパーク間隙から第1および第2の衝撃波を開始させる(606)。第1および第2のワイヤならびにエミッタバンドの位置付けに起因して、第1および第2の衝撃波は、衝撃波デバイスから実質的に前方方向に伝搬し、第1の処置区域内の閉塞またはカルシウムに影響を及ぼす。いくつかの実施形態では、衝撃波デバイスは、次いで、血管形成バルーンが第1の処置領域または第2の処置領域と整合されるように、さらに管内に前進させられてもよい(608)。血管形成バルーンは、次いで、第1または第2の処置領域内で膨張させられてもよい(610)。このようにして、従来の血管形成バルーン処置が、1つまたは複数の処置領域を処置するために、衝撃波処置が適用された後に適用されてもよい。代替として、または加えて、いくつかの実施形態では、衝撃波デバイスは、本デバイスの中間場所における二次エミッタバンドが第1の処置領域もしくは第2の処置領域と整合されるように、さらに管内に前進させられてもよい(612)。第3の衝撃波が、次いで、第1または第2の処置区域を処置するために、付加的な衝撃波を印加するように二次エミッタバンドから開始されてもよい(614)。ステップ604-614が、患者を処置するために適切であるとき、種々のシーケンスまたは組み合わせで実行され、必要に応じて繰り返されてもよい。
【0033】
本発明は、特に、その実施形態を参照して示され、説明されているが、形態および詳細における種々の変更が、本発明の範囲から逸脱することなくなされ得ることが、当業者によって理解されるであろう。上記で説明される実施形態の全てに関して、本方法のステップは、順次に実施される必要はない。