(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-14
(45)【発行日】2022-09-26
(54)【発明の名称】拘束的かつ解放不能な部材を有する工具保持具、その製造及び組立て方法、並びに切削工具
(51)【国際特許分類】
B23B 31/117 20060101AFI20220915BHJP
B23B 31/20 20060101ALI20220915BHJP
B23Q 11/10 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
B23B31/117 610A
B23B31/20 F
B23Q11/10 D
(21)【出願番号】P 2019571575
(86)(22)【出願日】2018-07-11
(86)【国際出願番号】 IL2018050758
(87)【国際公開番号】W WO2019026060
(87)【国際公開日】2019-02-07
【審査請求日】2021-05-14
(32)【優先日】2017-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514105826
【氏名又は名称】イスカル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】シャヒーン フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】フィッシャー ラズ
【審査官】増山 慎也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2008/054295(WO,A1)
【文献】特開平11-309613(JP,A)
【文献】特表2009-532220(JP,A)
【文献】実開平06-036750(JP,U)
【文献】特開2016-147326(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 31/117
B23B 31/20
B23Q 3/12
B23Q 11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する前方方向(D
F)及び後方方向(D
R)を画定する工具保持システム中心軸(A)を有する工具保持システム(22、122)であって、
切削インサート(24)を締め付けて受け入れるための締め付け孔(32)を有する締め付けスリーブ部(30)の少なくとも一部を形成する一体形成されたワンピースの内側連結部材(36、136)であって、前記締め付け孔(32)は前記工具保持システム(22、122)の前端(34)に開口し、前記内側連結部材(36、136)は、半径方向外向きに面する第1係合面(56)を有する、一体形成されたワンピースの内側連結部材(36、136)、及び
半径方向内向きの第2係合面(58)を有する一体形成されたワンピースの外側連結部材(38、138)を含む締め付け部(28)と、
前記内側連結部材(36、136)及び前記外側連結部材(38、138)の一方に接続された取付け部(26)と、を含み、
前記外側連結部材(38、138)は、前記内側連結部材(36、136)の少なくとも一部の周りに円周方向に配置され、前記第1係合面(56)は前記第2係合面(58)に面し、
前記内側連結部材(36、136)及び前記外側連結部材(38、138)は互いに拘束的かつ解放不能に係合され、
前記第1係合面(56)及び前記第2係合面(58)は、前記内側及び外側連結部材をロック位置と解放位置との間で調整するために、互いに対して摺動可能に変位可能である工具保持システム(22、122)。
【請求項2】
前記第1係合面(56)及び前記第2係合面(58)が、前記工具保持システム中心軸(A)の周りに円周方向に延在し、
前記第1係合面(56)及び前記第2係合面(58)が、前記工具保持システム中心軸(A)の周りで円周方向(S)に互いに対して摺動可能に変位可能である、請求項1に記載の工具保持システム(22、122)。
【請求項3】
前記第1係合面(56)及び前記第2係合面(58)が、前記円周方向(S)に互いに対して50°以下だけ摺動可能に変位可能である、請求項2に記載の工具保持システム(22)。
【請求項4】
前記第1係合面(56)が、その中に窪んだ少なくとも1つの係合凹部(62)を備え、
前記第2係合面(58)が、そこから突出する少なくとも1つの係合突起(60)を備え、
各係合突起(60)が、それぞれの係合凹部(62)内に配置される、請求項1~3のいずれか一項に記載の工具保持システム(22、122)。
【請求項5】
前記少なくとも1つの係合突起(60)が、少なくとも1つの
前記工具保持システム中心軸(A)の方向に複数配置され且つ前記円周方向(S)に離間した係合突起(60)を含み、
前記少なくとも1つの係合凹部(62)が、少なくとも1つの
前記工具保持システム中心軸(A)の方向に複数配置され且つ前記円周方向(S)に離間した係合凹部(62)を含む、請求項4に記載の工具保持システム(22)。
【請求項6】
各係合凹部(62)が、中央凹部底面(66)を含み、
各凹部底面(66)が、凹部クリアランス面(68)と、前記円周方向(S)に前記凹部クリアランス面(68)に隣接する凹部当接面(70)と、を含み、
前記凹部当接面(70)が、前記凹部クリアランス面(68)よりも半径方向に前記工具保持システム中心軸(A)から遠くに配置される、請求項4又は5に記載の工具保持システム(22)。
【請求項7】
前記第1係合面(56)が、そこから突出する少なくとも1つの係合突起(60)を備え、
前記第2係合面(58)が、その中に窪んだ少なくとも1つの係合凹部(62)を備え、
各係合突起(60)が、それぞれの係合凹部(62)内に配置される、請求項1又は2に記載の工具保持システム(122)。
【請求項8】
前記少なくとも1つの係合凹部(62)が環状溝(108)を含み、
前記少なくとも1つの係合突起(60)が環状リッジ(110)を含む、請求項7に記載の工具保持システム(122)。
【請求項9】
前記内側連結部材(36、136)が、前記取付け部(26)と一体的に接続され、ワンピース構造を有する工具本体(39)を形成する、請求項1~6のいずれか一項に記載の工具保持システム(22)。
【請求項10】
前記外側連結部材(138)が、半径方向内向きの外側ネジ部(98)を含み、
前記取付け部(26)が、半径方向外側に面する取り付けネジ部(100)を含み、
前記外側ネジ部(98)が、前記取り付けネジ部(100)にねじ式に係合する、請求項1、2、7及び8のいずれか一項に記載の工具保持システム(122)。
【請求項11】
前記内側連結部材(36)が、前記締め付けスリーブ部(30)全体を形成する、請求項1~7及び9のいずれか一項に記載の工具保持システム(22)。
【請求項12】
前記内側連結部材(136)が、摺動コレットリング(102)を形成し、
前記締め付けスリーブ部(30)が、前記内側連結部材(136)に取り外し可能に取り付けられたコレット(106)をさらに備え、
前記締め付け孔(32)が前記コレット(106)内に配置される、請求項1、2、7、8及び10のいずれか一項に記載の工具保持システム(122)。
【請求項13】
前記工具保持システム(22、122)の前記前端(34)に開口する少なくとも1つの冷却剤チャネル(76)をさらに備える、請求項1~12のいずれか一項に記載の工具保持システム(22、122)。
【請求項14】
各冷却剤チャネル(76)が、内側連結部材(36)内に形成され、その軸方向長さ全体にわたって延在する、請求項13に記載の工具保持システム(22)。
【請求項15】
前記内側連結部材(36)が、少なくとも1つの軸方向に延在する冷却剤リッジ(78)を含み、
各冷却剤チャネル(76)が、冷却剤リッジ(78)内に配置される、請求項14に記載の工具保持システム(22)。
【請求項16】
前記内側連結部材(136)が、前記内側連結部材(136)の軸方向長さ全体に延在する冷却剤溝(114)を備え、
各冷却剤チャネル(76)が、前記冷却剤溝(114)及び前記外側連結部材(138)によって形成される、請求項13に記載の工具保持システム(122)。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか一項に記載の工具保持システム(22、122)と、
前記締め付け孔(32)内に配置され、そこに締め付け係合される切削インサート(24)と、を含む切削工具(20、120)。
【請求項18】
請求項1~16のいずれか一項に記載の工具保持システム(22、122)の製造及び組立て方法であって、
前記取付け部(26)を製造する工程と、
付加製造プロセスを用いて、締め付けヘッド部(80、180)を製造する工程であって、前記締め付けヘッド部(80、180)は、
前記内側連結部材(36、136)及び前記外側連結部材(38、138)、
前記内側連結部材(36、136)と前記外側連結部材(38、138)とを接続する少なくとも1つの接続部分(92)、
前記内側連結部材(36、136)及び前記外側連結部材(38、138)と前記少なくとも1つの接続部分(92)とによって境界付けられた環状の分離キャビティ(94)、並びに
前記締め付けヘッド部(80、180)の少なくとも締め付けヘッド前端面(82)に開口する締め付けヘッド孔(88)を含む工程と、
前記締め付けヘッド部(80、180)を前記内側連結部材(36、136)及び前記外側連結部材(38、138)に分離する工程と、
前記締め付けヘッド部(80、180)を前記取付け部(26)に接続する工程と、を備える方法。
【請求項19】
前記分離キャビティを完全に閉じるように、前記内側連結部材(36、136)及び前記外側
連結部材(38、138)を接続する正確に2つの接続部分(92)を有するように前記締め付けヘッド部(80、180)を製造する工程を備える、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記締め付けヘッド部(80、180)を前記内側連結部材(36、136)と前記外側連結部材(38、138)とに分離する工程が、前記少なくとも1つの接続部分(92)を除去する工程を備える、請求項18又は19に記載の方法。
【請求項21】
前記少なくとも1つの接続部分(92)を除去する工程が、
i)前記締め付けヘッド部(80、180)において、前記分離キャビティ(94)に延在する分離溝(96)を面溝形成する工程、又は
ii)前記締め付けヘッド部(80、180)において、前記分離キャビティ(94)に延在する分離溝(96)を外部溝形成する工程、又は
iii)前記締め付けヘッド孔(88)において、前記分離キャビティ(94)に延在する分離溝(96)を内部溝形成する工程を備える、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記締め付けヘッド部(180)を前記内側及び外側連結部材(136、138)に分離した後に、コレット(106)を前記内側連結部材(136)に解放可能に取り付ける工程をさらに備え、
前記締め付けヘッド部(180)を前記取付け部(26)に接続する工程が、前記コレット(106)を前記内側連結部材(136)に解放可能に取り付けた後に、前記外側連結部材(138)を前記取付け部(26)にねじ式に取り付ける工程を備える、請求項18~21のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願の主題は、一般に、工具保持システムに関し、特に、拘束的かつ解放不能に係合される部品を有するそのような工具保持システムに関し、さらに特に、付加製造によって製造されるそのような部品に関する。
【背景技術】
【0002】
工具保持システムは、その中に切削インサートを締め付けて受け入れるための締め付け孔を有する締め付け部を備えることができる。典型的には、回転切削工具では、締め付け孔は、内向きの半径方向変位(すなわち、直径収縮)を受ける締め付けスリーブ内に形成され、それによって、締め付け孔内に配置された切削インサートを締め付け係合する。半径方向内向きの変位は、締め付けナットなどの締め付け部材によって作動させることができる。
【0003】
いくつかのそのような工具保持システムでは、上記直径収縮は、締め付け部材の締め付けによって半径方向内向きに付勢される偏心面を締め付けスリーブ上に設けることによって達成することができる。
【0004】
いくつかの他のそのような工具保持システムでは、締め付けスリーブは、円錐コレット、例えば、標準的なERコレットによって形成することができる。このような工具保持システムの例は、例えば、米国特許第4,699,388号明細書及び米国特許第8,118,312号明細書に開示されている。任意選択的に、コレットの正確な位置合わせを可能にするために、コレットは、締め付けナットに回転可能に接続された環状コレットリングに着脱可能に接続することができる。このような工具保持システムの例は、例えば、米国特許第5,522,605号明細書及び米国特許第5,911,421号明細書に開示されており、これらの先行技術では、コレットリングは、ボールベアリングを介して締め付けナットに回転可能に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許第4,699,388号明細書
【文献】米国特許第8,118,312号明細書
【文献】米国特許第5,522,605号明細書
【文献】米国特許第5,911,421号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本出願の主題の目的は、新規で改良された工具保持システムを提供することである。
【0007】
本出願の主題の別の目的は、互いに拘束的かつ解放不能に係合される内側及び外側連結部材を有する工具保持システムを提供することである。
【0008】
本出願の主題のさらに別の目的は、新規で改良された切削工具を提供することである。
【0009】
本出願の主題のさらに別の目的は、工具保持システムの新規かつ改良された製造及び組立て方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本出願の主題の第1の態様によれば、対向する前後方向を画定する工具保持システム中心軸を有する工具保持システムであって、
切削インサートを締め付けて受け入れるための締め付け孔を有する締め付けスリーブ部の少なくとも一部を形成する一体形成されたワンピースの内側連結部材であって、上記締め付け孔は上記工具保持システムの前端に開口し、上記内側連結部材は、半径方向外向きに面する第1の係合面を有する一体形成されたワンピースの内側連結部材、及び
半径方向内向きの第2の係合面を有する一体形成されたワンピースの外側連結部材
を含む締め付け部と、
上記内側連結部材及び外側連結部材の一方に接続された取付け部と
を含み、
上記外側連結部材は、上記内側連結部材の少なくとも一部の周りに円周方向に配置され、上記第1の係合面は、上記第2の係合面に面し、
上記内側及び外側連結部材は、互いに拘束的かつ解放不能に係合され、
上記第1及び第2の係合面は、上記内側及び外側連結部材をロック位置と解放位置との間で調整するために、互いに対して摺動可能に変位可能である工具保持システムが提供される。
【0011】
本出願の主題の第2の態様によれば、
上述したタイプの工具保持システムと、
上記締め付け孔内に配置され、そこに締め付け係合される切削インサートと
を含む切削工具が提供される。
【0012】
本出願の主題の第3の態様によれば、上述のタイプの工具保持システムの製造及び組立て方法であって、
上記取付け部を製造する工程と、
付加製造プロセスを用いて、締め付けヘッド部を製造する工程であって、この締め付けヘッド部は、
上記内側及び外側連結部材、
この内側連結部材と外側連結部材とを接続する少なくとも1つの接続部分、
上記内側及び外側連結部材と上記少なくとも1つの接続部分とによって境界付けられた環状の分離キャビティ、並びに
上記締め付けヘッド部の少なくとも締め付けヘッド前端面に開口する締め付けヘッド孔を含む工程と、
上記締め付けヘッド部を上記内側及び外側連結部材に分離する工程と、
上記締め付けヘッド部を上記取付け部に接続する工程と
を備える方法が提供される。
【0013】
上記は概要であり、以下に記載される特徴は、本出願の主題に任意の組み合わせで適用可能であり得、例えば、以下の特徴のいずれかが、当該工具保持システム又は切削工具、又は製造及び組立て方法に適用可能であり得ることが理解される。
【0014】
上記第1及び第2の係合面は、工具保持システム中心軸の周りに円周方向に延在することができる。第1及び第2の係合面は、工具保持システム中心軸の周りで円周方向に互いに対して摺動可能に変位可能であることができる。
【0015】
上記第1及び第2の係合面は、周方向に互いに対して50°以下だけ摺動可能に変位可能であることができる。
【0016】
上記第1の係合面は、その中に窪んだ少なくとも1つの係合凹部を含むことができる。上記第2の係合面は、そこから突出する少なくとも1つの係合突起を備えることができる。各係合突起は、それぞれの係合凹部内に配置することができる。
【0017】
上記少なくとも1つの係合突起は、少なくとも1つの軸方向突起列に配置された複数の角度的に離間した係合突起を含むことができる。上記少なくとも1つの係合凹部は、少なくとも1つの軸方向凹部列に配置された複数の角度的に離間した係合凹部を含むことができる。
【0018】
各係合凹部は、中央凹部底面を含むことができる。各凹部底面は、凹部クリアランス面と、円周方向にそれに隣接する凹部当接面とを含むことができる。凹部当接面は、凹部クリアランス面よりも工具保持システム中心軸から遠くに配置することができる。
【0019】
各係合突起は、中央突起上面を含むことができる。各突起上面は、工具保持システム中心軸から一定の半径方向距離を有することができる。
【0020】
上記第1の係合面は、そこから突出する少なくとも1つの係合突起を備えることができる。第2の係合面は、その中に窪んだ少なくとも1つの係合凹部を備えることができる。各係合突起は、それぞれの係合凹部内に配置することができる。
【0021】
上記第1の係合面は、内側連結部材上に配置され、半径方向外向きに面することができる。上記第2の係合面は、外側連結部材上に配置され、半径方向内側に面することができる。
【0022】
上記外側連結部材は、締め付けナットを形成することができる。
【0023】
上記内側連結部材は、取付け部と一体的に接続され、ワンピース構造を有する工具本体を形成することができる。
【0024】
上記外側連結部材は、半径方向内向きの外側ネジ部を含むことができる。取付け部は、半径方向外側に面する取り付けネジ部を含むことができる。外側ネジ部は、取り付けネジ部にねじ式に係合することができる。
【0025】
上記内側連結部材は、締め付けスリーブ部全体を形成することができる。
【0026】
上記内側連結部材は、摺動コレットリングを形成することができる。締め付けスリーブ部は、内側連結部材に取り外し可能に取り付けられたコレットをさらに備えることができる。締め付け孔はコレット内に配置することができる。
【0027】
当該工具保持システムは、工具保持システムの前端に開口する少なくとも1つの冷却剤チャネルをさらに備えることができる。
【0028】
各冷却剤チャネルは、内側連結部材内に形成され、その軸方向長さ全体にわたって延在することができる。
【0029】
上記内側連結部材は、少なくとも1つの軸方向に延在する冷却剤リッジを含むことができる。各冷却剤チャネルは、冷却剤リッジ内に配置することができる。
【0030】
上記第1の係合面は、複数の角度的に離間した係合凹部を含むことができる。円周方向に隣接する係合凹部の各対の部材は、それぞれの冷却剤リッジによって分離することができる。
【0031】
上記内側連結部材は、内側連結部材の軸方向長さ全体に延在する冷却剤溝を備えることができる。各冷却剤チャネルは、冷却剤溝及び外側連結部材によって形成することができる。
【0032】
各突起上面は、それぞれの凹部当接面に当接することができる。
【0033】
当該方法は、上記分離キャビティを完全に閉じることができるように、内側及び外側結合部材を接続する正確に2つの接続部分を有するように締め付けヘッド部を製造する工程を備えることができる。
【0034】
上記締め付けヘッド部を内側連結部材と外側連結部材とに分離する工程は、少なくとも1つの接続部分を除去する工程を備えることができる。
【0035】
少なくとも1つの接続部分を除去する工程は、
i)締め付けヘッド部において、分離キャビティに延在する分離溝を面溝形成する工程、又は
ii)締め付けヘッド部を分離キャビティに研削する工程、又は
iii)締め付けヘッド部において、分離キャビティに延在する分離溝を外部溝形成する工程、又は
iv)締め付けヘッド孔において、分離キャビティに延在する分離溝を内部溝形成する工程
を備えることができる。
【0036】
当該方法は、非付加製造プロセスを用いて取付け部を製造する工程を含むことができる。
【0037】
当該方法は、付加製造プロセスを用いて取付け部を製造する工程を含むことができる。
【0038】
当該方法は、締め付けヘッド部を取付け部に直接付加製造することによって、締め付けヘッド部を取付け部に接続する工程を備えることができる。
【0039】
当該方法は、単一の付加製造プロセスにおいて、取付け部と締め付けヘッド部とを一緒に製造することによって、締め付けヘッド部を取付け部に接続する工程を備えることができる。
【0040】
当該方法は、取付け部と締め付けヘッド部とを別々に製造する工程を備えることができる。次に、締め付けヘッド部を取付け部に接続する。
【0041】
当該方法は、さらに、
締め付けヘッド部を内側及び外側連結部材に分離した後に、コレットを内側連結部材に解放可能に取り付ける工程
を備えることができ、締め付けヘッド部を取付け部に接続する工程は、コレットを内側連結部材に解放可能に取り付けた後に、外側連結部材を取付け部にねじ式に取り付ける工程を備える。
【図面の簡単な説明】
【0042】
本出願のより良い理解のために、また、それが実際にどのように実行され得るかを示すために、これより、添付の図面を参照する。
【0043】
【
図1】
図1は、本出願の第1の実施形態による切削工具の斜視図である。
【
図2】
図2は、本出願の第1の実施形態による、部分的に切り取られた工具保持システムの斜視図である。
【
図4】
図4は、
図2に示された、部分的に切り取られた外側連結部材の斜視図である。
【
図5】
図5は、
図2に示す工具保持システムの軸方向断面図である。
【
図6a】
図6aは、工具保持システムが解放位置にあるときの、
図5のVIa-VIa線に沿った軸方向に垂直な断面図である。
【
図6b】
図6bは、工具保持システムがロック位置にあるときの
図6aの類似図である。
【
図7】
図7は、本出願の第1の実施形態による取付け部及び分離された締め付けヘッド部の斜視図である。
【
図8】
図8は、取付け部に接続された締め付けヘッド部の斜視図である。
【
図9】
図9は、分離前の内側及び外側連結部材を示す、部分的に切り取られた締め付けヘッド部の斜視図である。
【
図11】
図11は、本出願の第2の実施形態による、部分的に切り取られた切削工具の斜視図である。
【
図12】
図12は、本出願の第2の実施形態による、切欠断面を有する工具保持システムの締め付け部の斜視図である。
【
図17】
図17は、分離前の内側及び外側連結部材を示す、部分的に切り取られた締め付けヘッド部の斜視図である。
【0044】
説明を簡単かつ明確にするために、図に示される要素は必ずしも一定の縮尺で描かれていないことが理解されるであろう。例えば、いくつかの要素の寸法は、明確にするために他の要素に対して誇張されてもよく、又はいくつかの物理的構成要素が、1つの機能ブロック又は機能要素に含まれてもよい。さらに、適切であると考えられる場合、参照番号は、対応する又は類似の要素を示すために、複数の図の間で繰り返され得る。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下の説明では、本出願の主題の様々な態様を説明する。説明の目的のために、特定の構成及び詳細は、本出願の主題の完全な理解を提供するために十分に詳細に記載される。しかしながら、本出願の主題は、本明細書に提示される特定の構成及び詳細なしに実施できることも当業者には明らかであろう。
【0046】
まず、本出願の一態様を示す、切屑除去のための切削工具20、120を示す
図1に注目する。図面に示されるこの非限定的な例では、切削工具20、120は回転切削工具である。特に、この回転切削工具は、ドリル切削作業に適したドリル工具である。しかしながら、本出願の主題は、ドリルカッターのみに限定されるものではなく、例えば、フライス工具にも適用可能であるが、これに限定されるものではない。さらに、切削工具20、120は、非回転切削工具(例えば、旋削工具)であり得るが、これに限定されない。切削工具20、120は、工具長手方向軸Cを有する。本出願の主題のいくつかの実施形態によれば、切削工具20、120は、工具長手方向軸Cの周りで回転方向Rに回転可能であることができる。切削工具20、120は、工具保持システム22、122を含む。切削工具20、120はまた、工具保持システム22、122に締め付け係合された切削インサート24を含む。切削インサート24は、金属切削作業を行うように設計され、その目的のために切刃(図示せず)を有する。図面に示されるこの非限定的な例では、切削インサート24はドリルビットである。
【0047】
次に、本出願の別の態様を示す工具保持システム22、122を示す
図2を参照する。工具保持システム22、122は、工具保持システム中央軸Aを有する。工具保持システム中央軸Aは、対向する前方方向及び後方方向D
F、D
Rを規定する。本出願の主題のいくつかの実施形態によれば、工具保持システム中央軸Aは、工具長手方向軸Cと共在する(一致する)ことができる。
【0048】
なお、本明細書及び特許請求の範囲において、「前方」及び「後方」という用語の使用は、
図5及び
図16において、それぞれ、工具保持システム中心軸Aの左及び右に向かう方向の相対位置を指す。本開示において、「前方」は、切削工具20、120の切削端に関連する。さらに、明細書及び特許請求の範囲において、「軸方向」及び「半径方向」という用語の使用は、特に断らない限り、工具保持システム中心軸Aに関するものであることに留意されたい。
【0049】
工具保持システム22、122は、取付け部26と、取付け部26に接続された締め付け部28とを含む。回転切削工具の場合、例えば、取付け部26は、切削工具20、120を回転させるために、トルク伝達システム(例えば、スピンドル。図示せず)に接続されるように設計される。
【0050】
図2を参照すると、締め付け部28は、一体的に形成されたワンピースの内側連結部材36、136を含む。締め付け部28はまた、一体的に形成されたワンピースの外側連結部材38、138を含む。外側連結部材38、138は、内側連結部材36、136の少なくとも一部の周りに円周方向に配置されている。
【0051】
取付け部26は、内側及び外側連結部材36、136;38、138の一方に接続されている。本出願の主題の第1の実施形態によれば、内側連結部材36は、取付け部26と一体的に連結されて、ワンピース構造を有する工具本体39を形成され得る。
【0052】
ここで
図3を参照すると、内側連結部材36、136は、締め付け孔32を含む締め付けスリーブ部30の少なくとも一部を形成する。締め付け孔32は、切削インサート24を締め付けて受け入れるように設計されている。締め付け孔32は、工具保持システム22、122の前端34に開口している。本出願の主題のいくつかの実施形態によれば、内側連結部材36、136は、2つの対向する(前方及び後方)内側端面40、41と、それらの間に延在する内周面42とを含むことができる。内周面42は、工具保持システム中心軸Aの周りに円周方向に延在することができる。内側連結部材36、136は、少なくとも前方内側端面40まで開口することができる内孔44を含むことができる。内孔44は、内孔壁面46によって画定することができる。内側連結部材36が取付け部26と一体的に接続される構成において、後方内側端面41は、取付け部26が内側連結部材36に合流する(すなわち、移行する)場所に位置する仮想表面であることに留意されたい。
【0053】
本出願の主題の第1の実施形態によれば、内側連結部材36は、締め付けスリーブ部30全体を形成することができる。すなわち、締め付けスリーブ部30は、内側連結部材36を除く他の部分からは形成されていない。有利には、これは、2つの別個の部品のみを有する工具保持システム22を提供し、追加の部品を用いて組立てる必要がない。このような構成では、内孔44は、締め付け孔32を形成することができる。内側連結部材36は、その後端に内側基部49を含むことができる。内側基部49は、内側連結部材36の最大半径方向寸法を画定することができる。外側連結部材38は、内側基部49を含まない内側連結部材36の一部分の周りに円周方向に配置することができる。
【0054】
ここで
図4を参照すると、本出願の主題のいくつかの実施形態によれば、外側連結部材38、138は、2つの対向する(前方及び後方)外側端面48と、それらの間に延在する外周面50とを含むことができる。外周面50は、工具保持システム中心軸Aの周りに円周方向に延在することができる。外側連結部材38、138は、2つの外側端面48の間に延在することができ、それら2つの外側端面48に開口することができる外側貫通孔52を含むことができる。外側貫通孔52は、半径方向内側に面する外側貫通孔壁面53によって画定することができる。内側連結部材36、136は、少なくとも部分的に外側貫通孔52内に配置することができる。外側連結部材38、138は、締め付けナット54を形成することができる。
【0055】
図3及び
図4を参照すると、内側連結部材36、136は、半径方向外向きの第1の係合面56、58を有し、外側連結部材38、138は、半径方向内向きの第2の係合面58を有する。第1及び第2の係合面56、58は、内側連結部材又はその上に配置される外側連結部材36、136;38、138の円周方向の全範囲にわたって延在することができる。
図2に示すように、内側及び外側連結部材36、136;38、138は、相互係合した第1及び第2係合面56、58を介して拘束的にかつ解放不能に係合される。第1及び第2の係合面56、58は、内側及び外側連結部材をロック位置と解放位置との間で調整するために、互いに対して摺動可能に変位可能である。
【0056】
本出願の主題のいくつかの実施形態によれば、第1及び第2の係合面56、58は、工具保持システム中心軸Aの周りに円周方向に延在することができる。第1及び第2の係合面56、58は、互いに対面することができる。第1及び第2の係合面56、58は、工具保持システム中心軸Aを中心として円周方向Sに互いに対して摺動変位可能である。従って、第1及び第2の係合面56、58は、互いに対して摺動回転可能である。円周方向S及び回転方向Rは、同一方向であってもよい。
【0057】
本出願の主題の第1の実施形態によれば、内側連結部材の第1の係合面56は、その中に窪んだ少なくとも1つの係合凹部62を含むことができる。外側連結部材の第2の係合面58は、そこから突出する少なくとも1つの半径方向内側に面する係合突起60を含むことができる。
図2及び
図5を参照すると、各係合突起60は、それぞれの係合凹部62内に配置することができる。従って、第1及び第2の係合面56、58を相互係合させることができる。
【0058】
図3に見られるように、本出願の主題の第1の実施形態によれば、少なくとも1つの係合突起60は、少なくとも1つの軸方向突起列に配置された複数の角度的に離間した係合突起60を含むことができる。少なくとも1つの係合凹部62は、少なくとも1つの軸方向凹部列に配置された複数の角度的に離間した係合凹部62を含むことができる。図面に示される非限定的な例では、正確に2つの軸方向突起列及び2つの軸方向凹部列がある。
【0059】
各係合凹部62は、2つの角度的に離間した凹部側壁64と、それらの間に延在する中央凹部底面66とを含むことができる。各凹部底面66は、凹部クリアランス面68及び凹部当接面70を含むことができる。凹部当接面70は、円周方向Sにおける凹部クリアランス面68に隣接することができる。
図3、
図6a及び
図6bに見られるように、凹部当接面70は、凹部クリアランス面68よりも、半径方向に工具保持システム中心軸Aから遠方に位置することができる。各係合凹部62は、2つの対向する軸方向に離間した凹部軸方向側壁65を含むことができる。
【0060】
図4に見られるように、各係合突起60は、2つの角度的に離間した突起側壁72と、それらの間に延在する中央突起上面74とを含むことができる。各突起上面74は、工具保持システム中心軸Aから一定の半径方向距離Dを有することができる。各係合突起60は、2つの対向する軸方向に離間した突起軸方向側壁73を含むことができる。凹部軸方向側壁65の1つ以上と突起軸方向側壁73の1つ以上との間の接触は、内側連結部材36、136に対する外側連結部材38、138の軸方向変位を防止する。
【0061】
図3に戻ると、本出願の主題の第1の実施形態によれば、半径方向外向きの第1の係合面56は、内側連結部材36の内周面42上に配置することができる。そして、
図4に見られるように、半径方向内向きの第2の係合面58は、外側連結部材38の外側貫通孔壁面53上に配置することができる。
【0062】
図2及び
図5を参照すると、本出願の主題のいくつかの実施形態によれば、工具保持システム22、122は、工具保持システム22、122の前端34で開口する少なくとも1つの冷却剤チャネル76を含むことができる。冷却剤チャネル76は、切削インサート24の切削部分への冷却流体の送出を可能にするように設計されている。
【0063】
本出願の主題の第1の実施形態によれば、各冷却剤チャネル76は、内側連結部材36内に形成され、その軸方向長さ全体にわたって延在することができる。各冷却剤チャネル76は、前方内側端面40に開口することができる。内側連結部材36は、少なくとも1つの軸方向冷却剤リッジ78を含むことができる。各冷却剤リッジ78は、軸方向に延在することができる。各冷却剤チャネル76は、冷却剤リッジ78内に配置することができる。円周方向に隣接する係合凹部62の各対の部材は、それぞれの冷却剤リッジ78によって分離することができる。
【0064】
工具保持システム22、122は、解放位置とロック位置との間で調整可能である。工具保持システム22、122の解放位置では、締め付け孔32は、切削インサート24がその中に挿入されることを可能にするクリアランス(隙間)を有する。工具保持システム22、122のロック位置において、切削インサート24は締め付け孔32内に配置され、そこに締め付け係合されて切削工具20、120を形成する。
【0065】
本出願の主題の第1の実施形態によれば、工具保持システム22、122を解放位置とロック位置との間で調整するために、第1の係合面56及び第2の係合面58は、工具保持システム中心軸Aの周りで円周方向Sに互いに対して50°以下だけ摺動変位させることができる。突起と凹部側壁72、64との間の接触によって、さらなる回転を防止することができる。あるいは、回転は、突起上面74とそれぞれの凹部当接面70との間の緊密な当接によって防止することができる。
【0066】
上述したように、本発明の一態様は、切削工具20、120に関し、切削インサート24は、締め付け孔32内に配置され、締め付け孔32内に締め付け係合される。工具保持システム22がロック位置にあるとき、本出願の主題の第1の実施形態によれば、各突起上面74は、それぞれの凹部当接面70に当接することができる。かくして、締め付けスリーブ部30は、切削インサート24が締め付け孔32に締め付け係合されるように半径方向内側方向に付勢される。
【0067】
本出願の第3の態様は、工具保持システム22、122の製造及び組立て方法を含む。
図7を参照すると、本方法は他の実施形態にも適用可能であるが、第1の実施形態による締め付けヘッド部80及び取付け部26が示されている。当該方法は、取付け部26を製造する工程を備える。本出願の主題のいくつかの実施形態によれば、取付け部26を製造する工程は、非付加製造プロセスを含むことができる。あるいは、取付け部26を製造する工程は、付加製造プロセスを含むことができる。
【0068】
さらに、本明細書及び特許請求の範囲全体にわたって「付加製造プロセス」という用語の使用は、材料の層が形成されて物体を生成する三次元物体を生成するために使用されるプロセスを指すことに留意されたい。そのようなプロセスの例には、選択的レーザ溶融(SLM)、選択的レーザ焼結(SLS)、直接金属レーザ焼結(DMLS)、熱溶解積層法(FDM)及び3Dプリンティングが含まれるが、これらに限定されない。
【0069】
当該方法は、付加製造プロセスを使用することによって、締め付けヘッド部80、180を製造する工程を備える。締め付けヘッド部80、180は、締め付けヘッド前端面82及び後端面84と、それらの間に延在する締め付けヘッド周面86とを含む。締め付けヘッド部80、180は、少なくとも締め付けヘッド前端面82に凹んで開口する締め付けヘッド孔88を含む。締め付けヘッド孔88は、締め付けヘッド前端面82及び後端面84に開口することができる。締め付けヘッド孔88は、締め付けヘッド孔壁面90によって画定される。締め付けヘッド部80、180は、少なくとも1つの接続部分92によって接続された内側及び外側連結部材36、136;38、138から形成されている。各接続部分92は、環状の形状とすることができる。各接続部分92は、内側及び外側連結部材36、136;38、138の一方又は両方の軸方向端部(即ち、前方又は後方端部)に配置することができる。締め付けヘッド孔88は、内孔44に対応する。締め付けヘッド周面86は、外周面50に対応し、任意選択で内周面42の一部に対応する。
【0070】
なお、締め付けヘッド部80を取付け部26上に直接製造する場合(後述)を除いて、2つの工程(すなわち、取付け部26と締め付けヘッド部80の製造)の順序を入れ替えることができる。また、このような場合、締め付けヘッド前端面82の1つは、取付け部26が締め付けヘッド部80に合流する(すなわち、移行する)場所に位置する仮想表面であることに留意されたい。
【0071】
図9を参照すると、締め付けヘッド部80、180は、内側及び外側連結部材36、136;38、138及び少なくとも1つの接続部分92によって境界付けられる環状の分離キャビティ94を含む。第1及び第2の係合面56、58は、分離キャビティ94によって離間されている。従って、分離キャビティ94の形状は、横方向には、第1及び第2の係合面56、58の形状によって画定される。任意選択的に、内側及び外側連結部材36、136;38、138は、分離キャビティ94が完全に閉じられるように、正確に2つの接続部分92によって接続することができる。分離キャビティ94は、スリット状の形状を有することができる。
【0072】
図10を参照すると、この方法は、締め付けヘッド部80、180を内側及び外側連結部材36、136;38、138に分離する工程を備える。本出願の主題のいくつかの実施形態によれば、締め付けヘッド部80、180を分離する工程は、少なくとも1つの接続部分92を除去する工程を備えることができる。少なくとも1つの接続部分92を除去する工程は、以下のうちの1つを備えることができる:i)締め付けヘッド部80、180において、分離キャビティ94に延在する分離溝96を面溝形成する工程、又はii)締め付けヘッド部80、180を分離キャビティ94に研削する工程、又はiii)締め付けヘッド部80、180において、分離キャビティ94に延在する分離溝96を外部溝形成する工程、又はiv)締め付けヘッド部80、180において、分離キャビティ94に延在する分離溝96を内部溝形成する工程。
【0073】
この方法はさらに、i)締め付けヘッド部80、180を製造する工程の間若しくは後、又はii)締め付けヘッド部80、180を分離する工程の後のいずれかで、締め付けヘッド部80、180を取付け部26に接続する工程を備える。
【0074】
図8を参照すると、本出願の主題の第1の実施形態によれば、締め付けヘッド部80を取付け部26に接続する工程は、締め付けヘッド部80を取付け部26上に直接付加製造することによって、締め付けヘッド部80を製造する工程中に実行することができる。さらに、取付け部26を付加製造する場合、取付け部26及び締め付けヘッド部80は、単一の付加製造プロセスで一緒に製造することができる。代替的に、取付け部26及び締め付けヘッド部80は、別個に製造することができる。締め付けヘッド部80を取付け部26に接続する工程は、例えば、それらの部品を互いにろう付けする工程を備えることができる。
【0075】
以下、本発明の第2の実施形態について説明する。
図12に見られるように、外側連結部材138は、内側連結部材136全体の周りに円周方向に配置され得る。
図13~
図16を参照すると、少なくとも1つの係合凹部62は、環状溝108を含むことができる。少なくとも1つの係合突起60は、環状リッジ110を含むことができる。第1の係合面56は、内側連結部材136上に配置され、半径方向外向きに面することができる。具体的には、第1の係合面56は、内周面42上に配置することができる。第2の係合面58は、外側連結部材138上に配置され、半径方向内側に面することができる。具体的には、第2の係合面58は、外側貫通孔壁面53上に配置することができる。
【0076】
図12に戻ると、内側連結部材136は、締め付けナット54に対して直接摺動変位可能な摺動コレットリング102を形成することができる。有利には、これは、ボールベアリングのような追加の部品を備えた後組立の必要のない工具保持システム22を提供する。このような構成では、内孔44は、締め付け孔32を形成することができる。内孔44は、リング貫通孔104を形成する2つの対向する内側端面40、41の両方に開口することができる。締め付け部28は、コレット106をさらに含むことができる。締め付け孔32はコレット106内に配置することができる。コレット106は、リング貫通孔104において摺動コレットリング102に取り外し可能に取り付けることができる。
【0077】
図13に見られるように、本出願の主題の第2の実施形態によれば、内側連結部材136は、内側連結部材136の軸方向長さ全体に延在する冷却剤溝114を含むことができる。例えば、冷却剤溝114を内周面42に配置することができる。各冷却剤チャネル76は、冷却剤溝114及び外側連結部材138によって形成することができる。あるいは、各冷却剤チャネル76は、冷却剤溝114及び切削インサート24によって形成することができる。
【0078】
本出願の主題の第2の実施形態によれば、工具保持システム122を解放位置とロック位置との間で調整するために、コレット106は、締め付けナット54(すなわち、外側連結部材138)を回転させることによって、円錐形受容孔112を介して半径方向内側方向に付勢され、その結果、切削インサート24は、
図11に示されるように(当技術分野で周知のように)締め付け孔32内に締め付け係合される。
【0079】
図11を参照する。外側連結部材138は、半径方向内側に面する外側ネジ部98を含むことができる。取付け部26は、半径方向外向きの取付けネジ部100を含むことができる。この方法は、締め付けヘッド部180を内側連結部材136及び外側連結部材138に分離した後に、コレット106を内側連結部材136に取り外し可能に取り付ける工程を更に備えることができる。締め付けヘッド部80を取付け部26に接続する工程は、コレット106を内側結合部材136に解放可能に取り付ける工程の後に、外側結合部材138を取付け部26にねじ式に取り付ける工程を備えることができる。
【0080】
本出願の主題の1つの特徴は、内側及び外側連結部材36、136;38、138が拘束的かつ解放不能に係合されているので、工具保持システム22、122は、例えば、切削インサート24又はコレット106を交換するときに、落下部品を有さないことであることに留意されたい。従って、一般的に言えば、内側及び外側連結部材は、部材の少なくとも1つを損傷することなく、互いに分離することができない。
【0081】
上述のことから、1つの実施形態では、少なくとも1つの係合凹部62が内側連結部材36上に形成され、他の実施形態では、少なくとも1つの係合凹部62が外側連結部材138上に形成され、少なくとも1つの突起60が他方の連結部材上に形成されることが分かる。
【0082】
本出願の主題は、特定の程度の具体性で説明されてきたが、以下に特許請求される本発明の精神又は範囲から逸脱することなく、各種変更及び修正を行うことができることを理解されたい。