(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-14
(45)【発行日】2022-09-26
(54)【発明の名称】給電車配車システム
(51)【国際特許分類】
E02F 9/00 20060101AFI20220915BHJP
E02F 9/26 20060101ALI20220915BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20220915BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20220915BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20220915BHJP
【FI】
E02F9/00 C
E02F9/26 B
H01M10/44 Q
H01M10/48 P
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2020058013
(22)【出願日】2020-03-27
【審査請求日】2021-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090022
【氏名又は名称】長門 侃二
(72)【発明者】
【氏名】宝 河
【審査官】大塚 裕一
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-69517(JP,A)
【文献】特開2016-84633(JP,A)
【文献】特開2012-128587(JP,A)
【文献】特開2014-187766(JP,A)
【文献】特開2013-130963(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/00-9/18
9/24-9/28
G06Q 10/00-10/10
30/00-30/08
50/00-50/20
50/26-99/00
G16Z 99/00
H01M 10/42-10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設現場で作業を行うバッテリ駆動式の複数の建設機械と、
互いに充電性能が異なる複数の給電車を有し、前記建設機械に前記給電車を配車して前記建設機械を充電させる配車センタと、
前記建設機械の充電状態を管理し、前記配車センタへ前記給電車の配車を指示する管理センタと、を備え、
それぞれの前記建設機械は、自己の運用情報を前記管理センタへ送信し、
前記管理センタは、それぞれの前記建設機械から送信される前記運用情報と、前記建設機械の管理者から受信した給電要望とに基づいて充電の緊急度を設定し、配車する前記給電車を前記緊急度に応じて選択する、給電車配車システム。
【請求項2】
前記管理センタは、前記建設現場における過去の作業情報を記憶するデータベースを含み、過去の前記作業情報と現在の前記運用情報とに基づいて前記緊急度を設定する、請求項1に記載の給電車配車システム。
【請求項3】
前記運用情報は、前記建設機械のSOC残量、前記建設機械の位置情報、及び前記建設機械の要充電時刻を含む、請求項1又は2に記載の給電車配車システム。
【請求項4】
前記管理センタは、前記建設機械の管理者に給電要望を問い合わせ、前記運用情報に基づき設定された充電の前記緊急度を前記管理者から受信した給電要望に基づいて補正することによって設定する、請求項1に記載の給電車配車システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリ駆動式の建設機械を充電するための給電車配車システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ショベル等の建設機械は、排気ガスや騒音振動等の問題、及び省エネルギー性の観点から、従来のエンジン駆動式に替えてバッテリ駆動式を採用することが提案されている。バッテリ駆動式の建設機械は、電動モータ及びバッテリを搭載し、アクチュエータを直接、若しくは油圧系を用いて間接的に駆動させるものである。
【0003】
このようなバッテリ駆動式の建設機械は、車体に搭載するバッテリのサイズ及び電力容量を制限することによりコストダウンを図ることができるものの、これにより連続運転時間も制限されてしまう。そのため、バッテリ容量が制限される建設機械は、長時間に亘り作業を継続するためには、作業の合間にバッテリ交換又は充電作業により電力が供給される必要がある。
【0004】
例えば、特許文献1には、建設機械の操作者から電力補給の要求があった場合に、充電済のバッテリを搭載したバッテリ搭載車両を建設現場に移動させ、使用済みバッテリと充電済みバッテリとを交換する方法が開示されている。また、特許文献2には、運搬車両がバッテリを搭載した被牽引車を牽引して建設現場へ移動し、建設機械に当該被牽引車の牽引を引き継ぐことにより、建設機械が新たなバッテリを牽引しながら当該バッテリの電力で作業を継続する方法が開示されている。
【0005】
これらの電力供給システムは、充電済みバッテリの建設現場への到着が遅延すると、建設機械の作業が予定外の中断を強いられる可能性が生じる。また、充電済みバッテリは、建設現場への到着が予定よりも早まると、バッテリ搭載車両の往復時間が予定よりも増加して次回の電力供給が遅延する可能性が生じる。そのため、電力供給システムは、建設機械の運用スケジュールに合わせてバッテリ搭載車両を適時に配車することが重要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2008-69517号公報
【文献】特開2016-84633号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記の特許文献1に係る従来技術では、多くの交換用バッテリを事前に用意しておく必要があるため、導入コストが増加する虞が生じる。また、特許文献2に係る従来技術では、バッテリを搭載した被牽引車を牽引しながら作業を行う必要があるため作業効率が低下するほか、複数の被牽引車及び複数の運搬車両が必要となり、やはり導入コストが増加する虞が生じる。
【0008】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、バッテリ駆動式の建設機械へ適時に給電することができる給電車配車システムを低コストで提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
<本発明の第1の態様>
本発明の第1の態様は、建設現場で作業を行うバッテリ駆動式の複数の建設機械と、互いに充電性能が異なる複数の給電車を有し、前記建設機械に前記給電車を配車して前記建設機械を充電させる配車センタと、前記建設機械の充電状態を管理し、前記配車センタへ前記給電車の配車を指示する管理センタと、を備え、それぞれの前記建設機械は、自己の運用情報を前記管理センタへ送信し、前記管理センタは、それぞれの前記建設機械から送信される前記運用情報と、前記建設機械の管理者から受信した給電要望とに基づいて充電の緊急度を設定し、配車する前記給電車を前記緊急度に応じて選択する、給電車配車システムである。
【0010】
<本発明の第2の態様>
本発明の第2の態様は、上記した本発明の第1の態様において、前記管理センタは、前記建設現場における過去の作業情報を記憶するデータベースを含み、過去の前記作業情報と現在の前記運用情報とに基づいて前記緊急度を設定する、給電車配車システムである。
【0011】
<本発明の第3の態様>
本発明の第3の態様は、上記した本発明の第1又は2の態様において、前記運用情報は、前記建設機械のSOC残量、前記建設機械の位置情報、及び前記建設機械の要充電時刻を含む、給電車配車システムである。
【0012】
<本発明の第4の態様>
本発明の第4の態様は、上記した本発明の第1の態様において、前記管理センタは、前記建設機械の管理者に前記給電要望を問い合わせ、前記運用情報に基づき設定された充電の緊急度を前記管理者から受信した給電要望に基づいて補正することによって設定する、給電車配車システムである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、バッテリ駆動式の建設機械へ適時に給電することができる給電車配車システムを低コストで提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に係る給電車配車システムの全体構成を表す構成図である。
【
図2】建設機械における充電要求の手順を表すフローチャートである。
【
図3】管理センタにおける給電車配車制御の手順を表すフローチャートである。
【
図4】建設機械のバッテリ管理を行うための管理表の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本発明は以下に説明する内容に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において任意に変更して実施することが可能である。また、実施の形態の説明に用いる図面は、いずれも構成要素を模式的に示すものであって、理解を深めるべく部分的な強調、拡大、縮小、又は省略などを行なっており、構成要素の縮尺や形状等を正確に表すものとはなっていない場合がある。
【0016】
図1は、本発明に係る給電車配車システム1の全体構成を表す構成図である。給電車配車システム1は、建設現場で作業を行う複数の建設機械2を少数の給電車で適時に給電するためのシステムであり、複数の建設機械2のほか、配車センタ3、管理センタ4、及び管理者端末5を備える。
【0017】
建設機械2は、例えば搭載したバッテリで駆動するバッテリ駆動式油圧ショベルであり、本実施形態においては第1ショベル2a~第5ショベル2eを含む。また、それぞれの建設機械2は、後述する管理センタ4との間で通信を行うほか、例えばGPS端末を搭載することにより自己の位置情報を取得する。ここで、建設機械2は、ショベルに限定されるものではなく他の作業機械であってもよい。また、建設機械2の数は必要に応じて適宜変更することができる。
【0018】
更に、建設機械2は、本実施形態においては、第1ショベル2a、第2ショベル2b、及び第3ショベル2cが第1建設現場Site1で作業を行い、第4ショベル2d、及び第5ショベル2eが第2建設現場Site2で作業を行っているものとする。尚、建設現場は、1か所であってもよく、又は3か所以上であってもよい。また、それぞれの建設機械2は、作業期間が例えば数日から数か月に亘ることがあるものとし、その日によって異なる建設現場で作業を行なってもよい。
【0019】
配車センタ3は、互いに充電性能が異なる複数の給電車を有しており、建設機械2を充電する必要が生じた場合に、後述する管理センタ4からの指示に基づいて給電車を建設現場へ配車する。本実施形態に係る配車センタ3は、急速充電が可能な急速給電車3a、通常充電が可能な通常給電車3b、及び充電設備3cを備える。
【0020】
急速給電車3a及び通常給電車3bのそれぞれは、給電用バッテリを搭載し、バッテリの充電状態(SOC:State Of Charge)が低下した建設機械2に配車されることにより、建設現場において充電ケーブルで建設機械2に接続され、建設機械2に搭載されたバッテリを充電する。
【0021】
充電設備3cは、商用電源CPSから供給される電力を充電に適した電圧に変換し、配車から戻った急速給電車3a及び通常給電車3bの給電用バッテリを充電することにより次回の配車に備える。
【0022】
ここで、配車センタ3が有する複数の給電車は、2台に限定されるものではなく、また、充電性能として給電可能な電力容量が異なっていてもよい。すなわち、配車センタ3は、電力容量が比較的多く急速充電も可能な給電車を相当数配備せずとも、充電性能にバリエーションを有する比較的少数の給電車を効率的に運用することにより、給電車配車システム1の導入コスト及び運用コストを抑制する。
【0023】
管理センタ4は、コンピュータからなる管理端末システムであり、建設機械管理部4a及びデータベース4bを含み、給電車配車システム1の各構成部との通信を行うことにより給電車配車システム1の全体を統括管理する。例えば建設機械管理部4aは、それぞれの建設機械2との間で通信を行うことにより、それぞれの建設機械2に搭載されたバッテリの充電状態を含む作業状況を管理すると共に、充電が必要となった建設機械2に適切な給電車を選択して配車するよう配車センタ3に指示を行う。また、データベース4bは、それぞれの建設現場における過去の作業情報を記憶することにより、特に建設機械2のバッテリ消費に係る運用管理に反映させる。更に、管理センタ4は、給電車の選択に際して建設機械2の管理者に問い合わせを行うこともできる。管理センタ4が行う給電車配車手順については詳細を後述する。
【0024】
管理者端末5は、例えば携帯端末やパーソナルコンピュータであり、管理センタ4が建設機械2の管理者と連絡を取るための通信機器である。当該管理者は、管理センタ4からの問い合わせに対し、建設機械2の充電に関する要望を管理者端末5で返答する。管理センタ4と管理者端末5との間における情報の送受信は、メールを利用してもよく、又は専用のアプリケーション上で行なってもよい。
【0025】
そして、上記の給電車配車システム1により、それぞれの建設機械2の充電状態を把握し、適時に建設機械2に給電車を手配する。このとき、それぞれの建設機械2は、自己の運用情報を管理センタ4に送信することにより、搭載したバッテリのSOC残量が駆動に必要なSOC下限値を下回る前に充電要求として管理センタ4に通知する。
【0026】
次に、建設機械2が管理センタ4へ充電要求を送信する手順について説明する。
図2は、建設機械2における充電要求の手順を表すフローチャートである。それぞれの建設機械2は、作業開始時にメインスイッチがオンに操作されることにより、
図2のフローチャートに沿った手順の実行を開始する。
【0027】
当該手順が開始されると、建設機械2は、作業を開始する前に、搭載されたバッテリの端子電圧を測定することによりSOC残量を読み込む(ステップS1)。また、建設機械2は、当該SOCの値がバッテリに規定されたSOC下限値以下であるかを確認する(ステップS2)。ここで、SOC下限値とは、建設機械2を稼働させるのに必要な最低限のSOC残量を意味し、バッテリごとに設定されるSOCの閾値である。
【0028】
そして、バッテリのSOCがSOC下限値以下である場合には(ステップS2でYes)、建設機械2は、搭載したバッテリを過放電によるダメージから保護するため、自己の稼働を禁止する(ステップS3)。また、建設機械2は、管理センタ4に対してバッテリ等の状況を含む運用情報、すなわちこの場合にはSOCに係る緊急アラームを管理センタ4に送信して(ステップS4)、充電要求の手順を終了する。
【0029】
一方、ステップS2において、SOC残量がSOC下限値よりも高いと判定された場合には(ステップS2でNo)、建設機械2は、バッテリ残量により稼働することができるものとして建設現場における作業を開始する(ステップS5)。
【0030】
また、建設機械2は、作業開始時からの経過時間Twをカウントし、所定の設定時間Tsが経過したか否かを判定する(ステップS6)。ここで、所定の設定時間Tsとは、建設機械2による一定期間の作業により低下したSOC残量の変化を把握するために予め任意に設定される作業期間であり、例えば本実施形態におけるショベルの場合、掘削、ブーム上げ、90°旋回、及び放土からなるサイクルを10~15回繰り返した時間として設定することができる。すなわち、建設機械2は、経過時間Twが設定時間Tsを超えるまでは、作業中における経過時間Twのカウントを継続する(ステップS6でNo)。
【0031】
そして、経過時間Twが設定時間Tsを超えると(ステップS6でYes)、建設機械2は、そのときのSOCを読み込み、作業開始時のSOCとの差分により設定時間Tsにおける時間当たりのバッテリ消費量を算出する(ステップS7)。これにより、建設機械2は、SOCの減少ペースに基づいて、その時点におけるSOC残量による作業可能時間を算出することができる(ステップS8)。
【0032】
また、建設機械2は、算出した作業可能時間を含む運用情報を管理センタ4に送信することにより、バッテリのSOC残量が上記のSOC下限値以下に低下する前に給電が必要であるとの給電要求とすることができる。この場合、建設機械2は、SOC残量、位置情報、及びバッテリ切れが予想される要充電時刻に加え、バッテリ消費に関係する車体環境データ、すなわちモータ回転数、外気気温、油圧の圧力及び流量等を含む運用情報を管理センタ4に送信する。
【0033】
続いて、管理センタ4が行う給電車配車手順について説明する。
図3は、管理センタ4における給電車配車制御の手順を表すフローチャートである。管理センタ4は、全ての建設機械2の稼働に先行して、
図3に示す手順を開始する。尚、管理センタ4は、ステップS10~ステップS13において建設機械2のバッテリ管理を行うための準備を行い、以降のステップにおいて建設機械2のバッテリ管理を実行する。
【0034】
まず、管理センタ4は、建設機械管理部4aにおいて建設機械2のバッテリ管理を行うための管理表を作成する(ステップS10)。ここで、管理表は、例えば管理対象の複数の建設機械2について、ID、バッテリタイプ、バッテリ容量、建設機械2がその日に作業を行う作業場所、及び作業内容等の情報が個別に纏められる。
【0035】
また、管理センタ4は、各建設現場における過去の作業情報を記憶したデータベース4bを読み込むことにより、各建設現場において建設機械2が受ける作業負荷についての事前情報を取得する(ステップS11)。
【0036】
更に、建設機械管理部4aは、管理対象の建設機械2ごとに、充電が必要となるまでの予測時間をベース時間として算出する(ステップS12)。すなわち、ベース時間は、管理センタ4において事前に取得された情報に基づき、建設機械2ごとに予測される満充電時の作業可能時間の推定値である。ここで、ベース時間は、本実施形態においては、建設機械2のバッテリが満充電であると仮定した場合の予測値であるが、例えば建設機械2の前回の作業終了時点においてSOC残量が管理センタ4へ送信される場合には、当該SOC残量に基づく作業可能時間の推定値であってもよい。
【0037】
そして、管理センタ4は、作成した管理表に上記のベース時間を反映させることにより、建設機械2のバッテリ管理を行うための準備が整ったとして、それぞれの建設機械2からの運用情報、すなわち給電要求の受け入れを開始する(ステップS13)。
【0038】
また、管理センタ4は、それぞれの建設機械2からの運用情報を受信したか否かを常時確認し(ステップS14)、受信するまでは待機する(ステップS14でNo)。そして、管理センタ4は、上記のように建設機械2からの運用情報を受信した場合には(ステップS14でYes)、管理表におけるベース時間と当該運用情報とに基づいて、その建設機械2に対する充電の緊急度(優先順位)を設定する(ステップS15)。
【0039】
より具体的には、管理センタ4は、既に管理表に記録されている過去の作業情報が反映されたベース時間に対し、建設機械2から受信した現在の運用情報を用いて補正することで、建設現場での実データを反映させたバッテリ管理が可能となる。尚、管理センタ4は、受信した運用情報をデータベース4bに記録することにより、当該建設現場についての作業情報を更新することができる。
【0040】
ここで、建設機械2が送信する運用情報は、建設機械2のSOC残量、位置情報、及び要充電時刻を含む。管理センタ4は、例えば複数の建設機械2から給電要求があった場合に、SOC残量が相対的に少ない建設機械2に対しては緊急度を上昇させる補正を行い、また、位置情報に基づいて算出される建設機械2と配車センタ3との距離が相対的に近い建設機械2に対しては緊急度を低下させる補正を行うと共に、バッテリのSOC残量から算出される要充電時刻によりそれぞれの建設機械2の緊急度を必要に応じて変更する。
【0041】
更に、管理センタ4は、緊急度の設定後に管理者端末5に対して要望確認情報を送信することにより、建設機械2の管理者へ給電要望に係る問い合わせを行う(ステップS16)。より具体的には、管理センタ4は、充電が必要な建設機械2のID、建設機械2のSOC残量、建設機械2への給電予定時間等の情報を送信することで、それぞれの建設機械2の充電方法に関する要望を確認する。
【0042】
これに対し、管理者は、建設機械2ごとの充電の要否、充電希望時間、充電量、及び充電速度(急速給電車3a又は通常給電車3bの選択)等の要望を、管理者端末5を介して管理センタ4に返答する。
【0043】
これにより、管理センタ4は、管理者から受信した給電要望を組み入れて上記した緊急度を補正する(ステップS17)。例えば、SOC残量が低下して比較的高い緊急度が設定された建設機械2であっても、予定を早めてその建設機械2での作業を終了する場合等には、給電車の使用頻度が低下する夜間に給電するよう優先順位を低下させる変更が可能となる。
【0044】
そして、管理センタ4は、給電要望により補正された緊急度に基づいて、建設機械2の給電に必要な給電車を選択し、配車センタ3に対して当該給電車の配車を指示する(ステップS18)。これにより、配車センタ3は、例えば緊急度が相対的に高い建設機械2へ急速給電車3aを配車し、緊急度が相対的に低い建設機械2に対しては通常給電車3bを配車するか又は配車を保留するなどのスケジューリングを行うことができる。
【0045】
ここで、本実施形態においては、管理センタ4が給電車を直接選択する態様を例示しているが、要求される給電仕様を管理センタ4から配車センタ3へ送信することにより配車センタ3が給電車を選択してもよい。
【0046】
尚、管理センタ4は、全ての建設機械2に対する管理が終了した場合には一連の給電車配車手順を終了し(ステップS19でYes)、それまでは各建設機械2からの給電要求を順次継続的に受け入れる(ステップS19でNo)。
【0047】
次に、管理センタ4が管理するそれぞれの建設機械2に関する管理表について例示する。
図4は、建設機械2のバッテリ管理を行うための管理表の一例を示す図である。
【0048】
管理センタ4は、上記したように管理対象の複数の建設機械2、すなわち第1ショベル2a~第5ショベル2eについての情報を個別に纏める管理表を作成し、データベース4bから読み込んだ過去の作業情報を反映させることにより、ベース時間を算出して例えば
図4(A)に示すようなテーブルを作成する。ここでは、個別情報の一部について例示しているものとし、例えばバッテリタイプやバッテリ容量等の情報の記載を省略している。
【0049】
また、管理センタ4は、例えば
図4(B)に示すように、それぞれの建設機械2のうち給電要求を送信した建設機械2の運用情報を管理表に反映させる。ここでは、第1ショベル2a、第2ショベル2b、及び第4ショベル2dから運用情報を受信した状態を示しており、これらの建設機械2のSOC残量、位置情報から算出される配車センタ3までの距離、及び充電が必要となる要充電時刻を記載している。そして、管理センタ4は、上記のベース時間とこれらの運用情報とに基づいて、充電の緊急度(優先順位)を設定している。
【0050】
例えば
図4(B)においては、SOC残量が相対的に少なく2時間後にバッテリ切れが予想される第1ショベル2aが最優先の給電対象候補に設定されている。また、次にバッテリ切れが予想される第4ショベル2dが2番目の給電対象候補として設定されている。
【0051】
更に、管理センタ4は、この3台の建設機械2の管理者に給電要望を問い合わせ、例えば
図4(C)に示すように緊急度を補正する。ここでは、一例として優先充電の要否のみを問い合わせる例を示している。そして、管理センタ4は、最優先の給電対象候補に設定されていた第1ショベル2aであっても、優先充電が不要であるとの回答を受けた場合には緊急度を低下させる補正を行い、2番目の給電対象候補であった第4ショベル2dの緊急度を相対的に繰り上げる。
【0052】
このため、管理センタ4は、データベースによる事前情報、運用情報による緊急度の設定、及び給電要望の問い合わせを通して、高精度で給電の需要及びタイミングを判断し、少数の給電車を効率的に運用することにより、給電システム全体の導入コスト及び運用コストを抑制する。従って、本発明によれば、バッテリ駆動式の建設機械2へ適時に給電することができる給電車配車システム1を低コストで提供することができる。
【符号の説明】
【0053】
1 給電車配車システム
2 建設機械
2a~2e 第1ショベル~第5ショベル
3 配車センタ
3a 急速給電車
3b 通常給電車
4 管理センタ
4a 建設機械管理部
4b データベース
5 管理者端末
Site1、Site2 第1建設現場、第2建設現場