(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-14
(45)【発行日】2022-09-26
(54)【発明の名称】ステップが簡略化され、試料が少なく、スピードアップし、使いやすい、生化学的/化学的なアッセイ装置及び方法
(51)【国際特許分類】
G01N 1/28 20060101AFI20220915BHJP
G01N 35/08 20060101ALI20220915BHJP
G01N 37/00 20060101ALI20220915BHJP
C12M 1/34 20060101ALI20220915BHJP
C12Q 1/04 20060101ALI20220915BHJP
C12Q 1/68 20180101ALI20220915BHJP
C12Q 1/70 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
G01N1/28 U
G01N35/08 A
G01N37/00 101
G01N1/28 F
C12M1/34 Z
C12M1/34 E
C12M1/34 F
C12M1/34 B
C12Q1/04
C12Q1/68
C12Q1/70
(21)【出願番号】P 2020080877
(22)【出願日】2020-05-01
(62)【分割の表示】P 2018527843の分割
【原出願日】2016-08-10
【審査請求日】2020-05-29
(32)【優先日】2015-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2015-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518048123
【氏名又は名称】エッセンリックス コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】シュー スティーヴン ワイ.
(72)【発明者】
【氏名】ディン ウェイ
【審査官】北条 弥作子
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-002839(JP,A)
【文献】特開2013-061576(JP,A)
【文献】特開2015-118313(JP,A)
【文献】特開平08-334702(JP,A)
【文献】特開2010-197425(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0109059(US,A1)
【文献】米国特許第04022521(US,A)
【文献】特開2012-127904(JP,A)
【文献】特開2013-117848(JP,A)
【文献】国際公開第2007/074929(WO,A1)
【文献】特開平09-211010(JP,A)
【文献】国際公開第2014/065868(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/00- 1/44
G01N 35/00-37/00
C12M 1/00ー 3/10
C12Q 1/00- 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のプレート、第2のプレート、及び、スペーサ
を含み、
i.前記プレートが、異なる構成になるように互いに対して移動可能であり、
ii.1つ又は2つのプレートが可撓性であり、可撓性プレートの厚さと可撓性プレートのヤング率との乗算値は、60GPa-μm~750GPa-μmの範囲内にあり、
iii.各前記プレートが、そのそれぞれの表面上に、分析物を含む試料と接触するための試料接触領域を有し、
iv.前記プレートの1つ又は2つが、それぞれの試料接触領域に固定された前記スペーサを含み、前記スペーサは、柱形状を有し、実質的に平坦な上面を有し、所定の実質的に均一な高さを有し、所定のスペーサ間距離を有し、かつ前記スペーサの少なくとも1つは前記試料接触領域内にあり、前記スペーサ間距離は隣接する2つのスペーサ間の距離であり、スペーサ間距離(ISD)の4乗を可撓性プレートの厚さ(h)及び可撓性プレートのヤング率(E)で割り算した値(ISD
4/(hE))が、10
6μm
3/GPa以下であり
、
1つの構成は、前記2つのプレートが離れており前記プレート間の間隔が前記スペーサにより調節されずかつ前記試料が前記プレートの1つ又は2つに付着する、開放構成であり、かつ
別の構成は、前記試料が前記開放構成で付着した後に構成された閉鎖構成であり、前記閉鎖構成では、前記試料の少なくとも一部は、前記2つのプレートにより圧縮されて非常に均一な厚さの層になり、前記層の前記均一な厚さは、前記プレートの内表面により制限され、前記スペーサ及び前記プレートにより調節される、試料を分析するための装置。
【請求項2】
前記スペーサ間距離は、1μm~120μmの範囲内にある、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記可撓性プレートは、20μm~250μmの範囲内の厚さと、0.1GPa~5GPaの範囲内のヤング率を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記プレート上に予め塗布しかつ乾燥させた試薬または複数の試薬をさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記分析物を検出する検出器をさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記非常に均一な厚さの試料の層は、±5%までの厚さ均一性を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記スペーサは、円形、多角形、環形、正方形、長方形、長円形、楕円形、又はそれらの任意の組み合わせから選択される断面形状を有する柱状のものである、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記スペーサの高さに対するその横方向寸法の比は少なくとも1である、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記スペーサは周期的なアレイ形態に構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記スペーサは、1%以上の充填率を有し、前記充填率は、全プレート面積に対するスペーサ接触面積の比である、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記スペーサのヤング率と前記スペーサの充填率との乗算値は、20MPa以上であり、前記充填率は、全プレート面積に対するスペーサ接触面積の比である、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記閉鎖構成における前記2つのプレートの間の間隔は、200μmより小さい、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記閉鎖構成における前記2つのプレートの間の間隔は、1.8μm~3.5μmの間の値である、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記スペーサは、プレートを直接的にエンボス加工することにより又は前記プレートへの射出成形により、前記プレート上に固定される、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記プレート及び前記スペーサの材料は、ポリスチレン、PMMA、PC、COC、COP、又は他種のプラスチックから選択される、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記プレートが、前記プレートを開放構成と閉鎖構成の間で変換するように構成されたヒンジによって結合されている、請求項1に記載の装置。
【請求項17】
スペーサ間距離が1μm~80μmの範囲内にある、請求項1に記載の装置。
【請求項18】
前記プレートの少なくとも1つは透明である、請求項1に記載の装置。
【請求項19】
前記スペーサを製造するために使用される金型は、複数のフィーチャを含む金型によって製造され、前記フィーチャは、(a)直接、反応性イオンエッチングもしくはイオンビームエッチングによって、又は(b)反応性イオンエッチングもしくはイオンビームエッチングでエッチングされたフィーチャを複製もしくは複数回複製することによって製造される、請求項1に記載の装置。
【請求項20】
1つのプレート又は2つのプレートの内表面の少なくとも一部が親水性である、請求項1に記載の装置。
【請求項21】
請求項1に記載の装置であって、
複数のスケールマーク、イメージャ、及びプロセッシング装置をさらに含み、
(i)前記複数のスケールマークの少なくとも一部が周期的に配列された前記スペーサを含み、
(ii)前記イメージャは前記スケールマークと前記装置とを画像化し、
(iii)前記プロセッシング装置は前記イメージャにより画像化された1つ又は複数の画像を処理する、
前記装置。
【請求項22】
前記プロセッシング装置が、命令を有する非一時的コンピュータ可読媒体を含み、前記命令が、前記プロセッシング装置によって実行されると、粒子数アルゴリズム、LUT(ルックアップテーブル)フィルタ、粒子フィルタ、パターン認識アルゴリズム、形態学的決定アルゴリズム、ヒストグラム、ラインプロファイル、地形表現、2進数換算、カラーマッチングプロファイル、及びそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される1つ又は複数の画像処理アルゴリズムを用いて前記1つ又は複数の画像を処理する、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
請求項1に記載の装置であって、
i.前記装置を画像化するためのイメージャ;及び、
ii.前記イメージャからの1つ又は複数の画像を処理するためのプロセッシング装置
をさらに含み、
前記プロセッシング装置は、画像処理アルゴリズムを用いて前記1つ又は複数の画像を処理し、かつ、前記画像処理アルゴリズムは、粒子数アルゴリズム、LUT(ルックアップテーブル)フィルタ、粒子フィルタ、パターン認識アルゴリズム、形態学的決定アルゴリズム、ヒストグラム、ラインプロファイル、地形表現、2進数換算、カラーマッチングプロファイルからなる群より選択される1つ又は複数を含む、
前記装置。
【請求項24】
請求項1に記載の装置であって、
i.前記装置を画像化するためのイメージャ;
ii.前記イメージャからの1つ又は複数の画像を処理するためのプロセッシング装置;及び、
iii.機械実行可能コードを含む非一時的コンピュータ可読媒体
をさらに含み、
前記コードは、前記プロセッシング装置によって実行されると、画像取得アルゴリズム、画像処理アルゴリズム、(i)ユーザと計算装置との間の相互作用を容易にしかつ(ii)データ収集、データ送信及び分析、通信プロトコルのための手段として機能するユーザインタフェース方法、及びデータ処理アルゴリズムからなる群より選択される1つ以上を含む方法を実現する、
前記装置。
【請求項25】
請求項1に記載の装置であって、
i.前記装置を画像化するためのイメージャ;
ii.前記イメージャからの1つ又は複数の画像を処理するためのプロセッシング装置;及び、
iii.機械実行可能コードを含む非一時的コンピュータ可読媒体
をさらに含み、
前記コードは、前記プロセッシング装置によって実行されると、試料からのシグナルの検出、及び、生データの補正からなる群より選択される1つ以上を含む方法を実現し、
前記生データの補正は、
値の計算、濃度値の計算、ベースラインとの比較、閾値との比較、標準曲線との比較、履歴データとの比較、検査の正確性の決定、異常値又は異常な結果の決定、正常範囲又は許容範囲を上回るか又は下回る値又は結果の決定、異常状態を示す値又は結果の決定、異常条件の存在を共に示す2つ以上の結果の決定、カーブフィッティング、並びに、演繹的推論、誘導的推論、及びベイジアン推論からなる群より選択される数学的又は分析的推論の基礎としてのデータの使用を含む、
a.数学的操作、
b.数学的補正、及び
c.試料を検査するために使用された装置又は試薬に特有の較正
の少なくとも1つに基づく、
前記装置。
【請求項26】
前記非一時的コンピュータ可読媒体が機械実行可能コードを含み、前記コードは、前記プロセッシング装置によって実行されると、データをデータベースと比較して、被験者によって実行される一連の動作のための命令を検索することを含む方法を実現する、請求項25に記載の装置。
【請求項27】
前記データベースが前記装置に格納されている、請求項26に記載の装置。
【請求項28】
請求項1に記載の装置であって、
i.前記装置を画像化してデータを生成するためのイメージャ;及び、
ii.前記イメージャからの前記データを処理するためのプロセッシング装置
をさらに含み、
前記処理は、データのビニング、データの変換、フーリエ変換による時間領域データの周波数領域への変換、他のデータとの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1つを含む、
前記装置。
【請求項29】
請求項1に記載の装置であって、
i.前記装置を画像化してデータを生成するためのイメージャ;
ii.前記イメージャからの前記データを処理するためのプロセッシング装置;及び、
iii.機械実行可能コードを有する非一時的コンピュータ可読媒体
をさらに含み、
前記コードは、前記プロセッシング装置によって実行されると、試料からのシグナルの検出、及び、生データの補正からなる群より選択される1つ以上の方法を実現し、
前記生データの補正は、
値の計算、濃度値の計算、ベースラインとの比較、閾値との比較、標準曲線との比較、履歴データとの比較、検査の正確性の決定、異常値又は異常な結果の決定、正常範囲又は許容範囲を上回るか又は下回る値又は結果の決定、異常状態を示す値又は結果の決定、異常条件の存在を共に示す2つ以上の結果の決定、カーブフィッティング、並びに、演繹的推論、誘導的推論、及びベイジアン推論からなる群より選択される数学的又は分析的推論の基礎としてのデータの使用を含む、
a.数学的操作、
b.数学的補正、及び
c.試料を検査するために使用された装置又は試薬に特有の較正
の少なくとも1つに基づく、
前記装置。
【請求項30】
前記処理が、前記処理されたデータを前記装置に格納されたデータベースと比較して、被験者によって実行される一連の動作のための命令を検索することを含むことができる、請求項29に記載の装置。
【請求項31】
請求項1に記載の装置であって、
i.前記装置を画像化してデータを生成するためのイメージャ;及び、
ii.前記イメージャからの前記データを処理するためのプロセッシング装置
をさらに含み、
前記処理は、検査の正確性を決定することを含む、
前記装置。
【請求項32】
請求項1に記載の装置であって、
i.前記装置を画像化するためのイメージャ;及び、
ii.前記装置の他の領域を画像化するように構成された走査機
をさらに含み、
前記スペーサがスペーサの周期的なアレイを含む、
前記装置。
【請求項33】
前記試料接触領域がアクリジンオレンジ色素を含む染色剤を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項34】
請求項1に記載の装置であって、
イメージャとプロセッシング装置とをさらに含み、
(i)前記イメージャは前記装置を画像化し;かつ、
(ii)前記プロセッシング装置は、前記イメージャにより画像化された1つ又は複数の画像を処理し、かつ前記分析物を分析する、
前記装置。
【請求項35】
測定装置をさらに含み、前記測定装置が、前記分析物に関連した信号を計測することにより前記分析物を検出及び/又は定量化し、前記信号が光学信号、電気信号、機械信号、化学-物理的信号、又はそれらの任意の組み合わせである、請求項1に記載の装置。
【請求項36】
測定装置をさらに含み、前記測定装置が、前記分析物に関連した光学信号を計測することにより前記分析物を検出及び/又は定量化し、前記光学信号が、光反射、散乱、透過、吸収、スペクトル、色、発光、強度、波長、位置、偏光、冷光、蛍光、電子発光、化学発光、電気化学発光、又はそれらの任意の組み合わせを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項37】
測定装置をさらに含み、前記測定装置が、前記分析物に関連した電気信号を計測することにより前記分析物を検出及び/又は定量化し、前記電気信号が、電荷、電流、インピーダンス、容量、抵抗、又はそれらの任意の組み合わせを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項38】
測定装置をさらに含み、前記測定装置が、前記分析物に関連した機械信号を計測することにより前記分析物を検出及び/又は定量化し、前記機械信号が、機械波、音波、衝撃波、又は振動を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項39】
測定装置をさらに含み、前記測定装置が、前記分析物に関連した化学-物理的信号を計測することにより前記分析物を検出及び/又は定量化し、前記化学-物理的信号が、反応において生成されたPH値、イオン、熱、気泡、色変化を含
む、請求項1に記載の装置。
【請求項40】
1つ又は2つのプレート上に塗布された乾燥試薬をさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項41】
前記スペーサの高さは、ほぼRBCの平均厚さである、請求項1に記載の装置。
【請求項42】
前記スペーサが5μm(ミクロン)以下の高さを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項43】
前記スペーサが10μm(ミクロン)以下の高さを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項44】
前記スペーサが30μm(ミクロン)以下の高さを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項45】
前記スペーサが10μm(ミクロン)以下、20μm(ミクロン)以下、30μm(ミクロン)以下、50μm(ミクロン)以下、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲の高さを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項46】
複数のスケールマークをさらに含み、前記複数のスケールマークの少なくとも2つが、関連のある試料の体積の横方向領域の平面と平行である方向で測定した既知の距離で離れている、請求項1に記載の装置。
【請求項47】
前記装置の1つ又は2つのプレートの試料接触表面上に1つ又は複数の結合部位をさらに含み、前記結合部位のそれぞれが、試料中の又は試料中にあると疑われる分析物又は複数の分析物に選択的に結合しそれを固定化する、請求項1に記載の装置。
【請求項48】
前記装置の1つ又は2つのプレートの試料接触表面上に1つ又は複数の貯蔵部位をさらに含み、前記貯蔵部位のそれぞれが、試薬又は複数の試薬を貯蔵しており、前記試薬は、前記装置が閉鎖構成にあるとき、試料中に溶解して試料中に拡散する、請求項1に記載の装置。
【請求項49】
前記装置の前記試料接触表面の1つ又は両方の上に1つ又は複数の増幅部位をさらに含み、前記増幅部位のそれぞれが分析物又は標識が1つの増幅部位から500nm以内にある場合に試料中の前記分析物又は前記分析物の標識からの信号を増幅できる、請求項48に記載の装置。
【請求項50】
前記試料接触領域上に第1の分析物を評価するための第1のアッセイ部位をさらに含み、かつ、第2の分析物を第2の所定のアッセイ部位でアッセイする、請求項1に記載の装置。
【請求項51】
前記試料接触領域上に一対の電極をさらに含み、分析物アッセイ領域は前記電極の間である、請求項1に記載の装置。
【請求項52】
前記スペーサが、前記分析物と試薬との反応を60秒未満で飽和させるように構成された高さを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項53】
前記プレートの1つ又は2つが、その表面上に複数のアッセイ部位をさらに含み、隣接するアッセイ部位の縁部の間の距離は、前記プレートが前記閉鎖構成にあるときの前記均一な厚さの層の厚さよりも実質的に大きく、前記均一な厚さの層の少なくとも一部は、前記アッセイ部位の上にあり、前記試料は、前記試料中に拡散できる1つ又は複数の分析物を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項54】
WiFi又はセルラネットワークを介して遠隔地と通信するモバイル通信装置をさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項55】
携帯電話であるモバイル通信装置をさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項56】
遠隔地の医療専門家から処方せん、診断、又は助言を受信するモバイル通信装置をさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項57】
発光標識、蛍光標識、色素、量子ドット、発光標識、電気発光標識、化学発光標識、ビーズ、電磁放射エミッタ、光標識、電気的標識、光学的又は電気的信号を生成するために用いられる酵素、ナノ粒子、比色標識、酵素結合試薬、多色試薬、及びアビジン-ストレプトアビジン関連検出試薬からなる群より選択される標識を用いて前記分析物が測定される、請求項1に記載の装置。
【請求項58】
スケールマークをさらに含み、前記スケールマークが周期的に配列されたスペーサを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項59】
前記スペーサが周期的なアレイに配列され、前記周期的なアレイが矩形の格子を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項60】
前記スペーサが周期的なアレイに配列され、前記周期的なアレイが三角形格子、正方形格子、ダイアモンド格子、五角形格子、六角形格子、七角形格子、ハ角形格子、九角形格子、又は十角形格子を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項61】
(a)分析物を含む又は分析物を含む疑いのある試料を取得するステップ;
(b)請求項1~60のいずれか一項に記載の装置を取得するステップ;
(c)前記プレートが開放構成で構成されている時に、前記プレートの1つ又は両方の上に前記試料を付着させるステップ;
(d)ステップ(c)の後、前記2つのプレートを一体にして閉鎖構成にするステップ;および、
(e)前記プレートが閉鎖構成である間に、均一な厚さの層内の前記分析物を分析するステップ;
を含む、試料のアッセイ方法。
【請求項62】
ステップ(e)における分析することが、
i.フォトルミネセンス、エレクトロルミネッセンス、及び電気化学発光から選択される発光、
ii.表面ラマン散乱、
iii.抵抗、静電容量、及びインダクタンスから選択される電気的インピーダンス、又は
iv.i.~iii.の任意の組み合わせ
を計測することを含む、請求項61記載の方法。
【請求項63】
前記分析するステップ(e)が、前記分析物の画像化、画像分析、もしくは計数、又はそれらの組み合わせを含む、請求項61記載の方法。
【請求項64】
前記2つのプレートを一体にするステップ(d)が、人の手を使っての押し付けによるものである、請求項61記載の方法。
【請求項65】
ステップ(c)において、前記試料が、いかなる移送装置も使用することなく、被験者から前記プレートへ直に付着したものである、請求項61記載の方法。
【請求項66】
前記分析物が、タンパク質、ペプチド、DNA、RNA、核酸、分子、細胞、組織、ウイルス、異なる形状のナノ粒子、又はそれらの組み合わせである、請求項61記載の方法。
【請求項67】
前記試料が、羊水、房水、硝子体液、血液、全血、分画血液、血漿、血清、母乳、脳脊髄液(CSF)、耳垢(耳あか)、乳糜、糜汁、内リンパ液、外リンパ液、糞便、呼気、胃酸、胃液、リンパ液、鼻漏及び粘液質を含む粘液、心膜液、腹膜液、胸膜液、膿液、粘膜分泌物、唾液、呼気凝縮液、皮脂、精液、喀痰、汗、滑液、涙液、嘔吐
物、前立腺液、乳頭吸引液、涙液、汗、頬のスワブ、細胞溶解物、胃腸液、生検組織、及び尿から選択される生体試料である、請求項61記載の方法。
【請求項68】
前記試料が、特定の疾患の段階と相関する化合物又は生体分子の検出、精製、及び定量のためのものである、請求項61記載の方法。
【請求項69】
前記試料が、感染症及び寄生虫疾患、傷害、心臓血管疾患、癌、精神障害、神経精神障害、肺疾患、腎疾患、及びその他の器質性疾患に関連したものである、請求項61記載の方法。
【請求項70】
前記試料が、微生物の検出、精製、及び定量化に関連したものである、請求項61記載の方法。
【請求項71】
前記試料が、食品安全性又は国家安全保障に危険をもたらす化学物質又は生体試料、有害廃棄物、又は炭疽菌の検出、定量化に関連したものである、請求項61記載の方法。
【請求項72】
前記試料が、細胞、組織、体液、及び便である、請求項61記載の方法。
【請求項73】
前記試料が、ヒト、獣医学、農業、食品、環境、及び薬物検査の領域の試料である、請求項61記載の方法。
【請求項74】
前記試料が、血液、血清、血漿、鼻腔スワブ、鼻咽頭洗浄液、唾液、尿、胃液、脊髄液、涙、便、粘液、汗、耳あか、油、腺分泌物、脳脊髄液、組織、精液、膣液、腫瘍組織由来の間質液、眼液、脊髄液、咽頭スワブ、呼吸、髪、指の爪、皮膚、生検、胎盤液、羊水、臍帯血、リンパ液、腔液、痰、膿、微生物叢、胎便、母乳、呼気凝縮液
、鼻スワ
ブ、大便試料
、呼気、結締組織、筋肉組織、神経組織、上皮組織、軟骨、癌性試料、及び骨からなる群より選択される生体試料である、請求項61記載の方法。
【請求項75】
前記分析物が染色された細胞を含む、請求項61記載の方法。
【請求項76】
前記分析物が、好中球、リンパ球、単球、好酸球、又は好塩基球を含む染色された細胞を含む、請求項61記載の方法。
【請求項77】
前記分析物が、細胞、血液細胞、赤血球、白血球、顆粒球、好中球、好酸球、好塩基球、リンパ球、単球、血小板、癌細胞、ウイルス、細菌、真菌、タンパク質、核酸、DNA分子、RNA分子、miRNA分子、mRNA分子、血球、ペプチド、ポリペプチド、組織、ナノ粒子、薬物代謝物、脂質、炭水化物、ホルモン、ビタミン、これらの組み合わせ、これらの断片、及びこれらの誘導体からなる群より選択される、請求項61記載の方法。
【請求項78】
閉鎖構成における前記試料の層の前記均一な厚さは、前記装置の前記プレート及び前記スペーサにより調節される試料の体積の計算に使用される、請求項61記載の方法。
【請求項79】
前記試料は、例えば医薬品の合成又は精製中の反応生成物の検出に関連したものである、請求項61記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本願は、2015年8月10日出願の米国特許仮出願第62/202,989号、2015年9月14日出願の米国特許仮出願第62/218,455号、2016年2月9日出願の米国特許仮出願第62/293,188号、2016年3月8日出願の米国特許仮出願第62/305,123号及び2016年7月31日出願の米国特許仮出願第62/369,181号の利益を主張し、これらの全ての出願が、あらゆる目的のために全体で本明細書に組み込まれる。
【0002】
分野
本発明は、生化学的/化学的な試料採取、検知、アッセイ、及び用途の分野に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
多くの生化学的/化学的な検知及び検査(例えば、免疫学的アッセイ、ヌクレオチドアッセイ、血球計数など)、化学反応、並びに他のプロセスでは、プロセス(例えば、試薬の結合、混合など)をスピードアップしかつパラメータ(例えば、分析物濃度、試料体積など)を定量化することができ、試料採取及び測定プロセスを簡略化することができ、小体積の試料を処理することができ、アッセイ全過程を1分間未満で実行可能にし、スマートフォン(例えば、携帯電話)によってアッセイを実行可能にし、非専門者が自分でアッセイを実行可能にし、かつ、検査結果をローカル、遠隔、又はワイヤレスで異なる関係者に通信可能にする、方法及び装置を必要とする。本発明は、これらの必要性に対処する方法、装置、及びシステムに関する。
【発明の概要】
【0004】
以下の概要は、本発明の全ての特徴及び態様を含むことを意図するものではない。本発明は、従来の多くの検知方法及び装置に比べて、生化学的/化学的検知(免疫学的アッセイ、核酸アッセイ、電解質分析などを含むが、これらに限定されない)をより速くし、より敏感にし、ステップがより少なく、より実行しやすく、必要な試料の量がより少なく、専門的な支援に対する必要性がより少なくもしくは減少し(又は不要)、かつ/又はコストがより低い方法、装置、及びシステムに関する。
【0005】
現在の多くの実験室検査の目標は、試料中のある分析物の絶対濃度を正確に決定することである。例えば、RBC検査は、規定量の全血における赤血球の数を数え、次に、全血の1マイクロリットルあたりの赤血球の数を計算することを含む。しかし、このような計測は、通常、特別な計器及び/又は比較的小体積の生体液を正確に測定できる正確な測定装置(正確なピペットなど)を必要とするため、特別な検査センターを利用しない場合(即ち、「家庭で」、「薬局で」又は「臨床現場」の環境において)、実行に困難な場合がある。
【0006】
関連のある体積の計測
多くのアッセイは、試料中のある分析物の絶対濃度を提供する。しかし、小体積(例えば、100nL~10μl)しか分析しない場合、そのようなアッセイの結果は非常に不正確になる。これは、小体積では正確に分注及び/又は計測することが困難なためである。
【0007】
いくつかのアッセイにおいて、液体試料を、スペーサにより離された2つのプレートの間に配置して、分析することができる。理論的に、分析される試料の体積は、分析される試料の面積と分析される試料の厚さを乗算することで計算できる。しかし、実際には、このような推定は、容易に行えず、様々な原因で非常に不正確である。例として、いくつかの装置は、ビーズを用いてプレートを離間させ、ビーズ又はこれらのプレートの1つが変形可能である。このような装置は以下の理由で不正確になりやすい。
・球状のスペーサは、これらのプレートとの接触領域がはるかに小さい(ほぼ1つの点になる)。このような装置では、はるかに小さい接触領域のため、単位あたりに加えられたプレス力に対して、プレートと球体との接触領域に加えられる圧力がはるかに大きい。大きな圧力のため、球体及び/又はプレート(それらが可撓性であれば)が変形し、任意の計測値が歪む。
・球状のスペーサは、通常、2つのプレートの間にランダムに分布している。球状のスペーサがランダムに分布しているので、スペーサ間の距離は大きく変動し、いくつかの距離はかなり大きい。これにより、スペーサ及び/又はプレート(それらが可撓性であれば)は、いくつかの領域において他の領域と比較してはるかに大きく変形し、結果も歪む。
・互いに近接してランダムに配置されたスペーサは、分析物(例えば、細胞)の移動を妨害する障害物となる可能性があるため、より多くの困難を引き起こす可能性がある分析物又は細胞の「塊」を生成する恐れがある。
・これらのプレートの1つが大きく変形すると、細胞を溶解させる可能性があり、細胞計数の作業においてエラーを引き起こす可能性がある。
・分析される領域における球状のスペーサの数も、スペーサ及び/又はこれらのプレートの1つが変形した程度も試料によって異なるので、体積の計算は不正確である。
・変形によって、分子がこれらのプレートの1つの表面に拡散するのに必要な時間の変動が生じる。
【0008】
球状のスペーサを用いた装置において、分析された試料の部分の体積は、a)分析された試料の体積における球体を数えること、及び、b)一層の試料の厚さを実験的に推定する(例えば、プレートの間の距離を計算するために使用できる既知濃度の較正物質を含有する非混和性液体などの内部標準を添加する)ことにより、潜在的に推定することができる。しかし、これらの余分なステップは、実行に不便であり、上部プレート及び/又はスペーサが使用中に大きく変形するため、このような装置から取得した計測値は依然としてそれほど正確ではない。
【0009】
対照的に、本発明の方法及び装置の実施形態は、実質的に均一な高さ、実質的に均一な断面(例えば、真直ぐな側壁を有する柱)及び平面の(すなわち、「平坦な」)頂部を有する、一定かつ定義された距離(すなわち、ポアソン統計によるランダムな位置ではない)で互いに離される規則的なパターンで、これらのプレートの1つ以上のプレートに固定されたスペーサに依存する。本方法及び装置のいくつかの実施形態の使用中、スペーサ及びプレートは、いかなる寸法においても著しく圧縮又は変形せず、少なくともプレートが閉鎖位置にありかつ毛管力により引っ張られている間は、著しく圧縮又は変形しない。本装置は、本装置の使用において、データが取得される試料の一部の体積(すなわち、「関連のある体積」、又は分析される領域内の試料の一部の体積)を非常に容易かつ正確に計算でき、場合によっては、たとえ未知の量の試料が装置上に付着したとしても、アッセイを開始する前に計算することさえできる。閉鎖位置では、プレートは実質的に平坦であり(試料の厚さが均一であることを意味する)、分析領域内のスペーサの数及び寸法が分かっているので、該領域内の試料の体積を容易に高精度で計算することができるアッセイを行った後、領域内のスペーサを数える必要も一層の試料の厚さを推定する必要もなく、関連のある体積試料を決定することができる。特定量の試料を装置内に付着させる必要もある。さらに、インキュベーションの開始時に、分析物分子は、別の領域に比べてある領域に集中せずに関連のある体積全体にわたって(ポアソン統計に許容される程度まで)均一に分布されるべきである。
【0010】
短縮された反応時間
既知であるが、水性環境において多くの分析物の拡散定数が非常に低いため、多くのアッセイでは長いインキュベーション時間(常に数時間、場合によっては数日)、攪拌、及び混合を促進する薬剤又は力の使用を必要とする。このようなアッセイは、分析物がこれらのプレートの1つの初期位置から、遠隔の場所に横方向に拡散可能に設計される(例えば、Weiら、Nucl. Acids Res. 33: e78及びToeglら、J. Biomol. Tech. 2003 14: 197-204を参照する)。このようなシステムは、結果を取得することに数時間かかることがあるため、制限されている。さらに、結果を取得した場合、通常、反応が終了した時点で反応が平衡に達しているとは確実に言い難い。特に、この不確かさのため、試料中の分析物の絶対濃度を推定することが不可能になる。
【0011】
以下で詳細に説明するように、本方法及び装置のいくつかの実施形態において、スペーサの高さ及びアッセイ終点は、アッセイ中に分析物が横方向に拡散する量を制限するように選択することができる。これらの場合、そのようなアッセイ(典型的には結合アッセイ)は、非常に短い時間で実行することができる。また、試料全体が分析されていなくても又は未知の量であっても、試料中の分析物の濃度を非常に正確に推定することができる。
【0012】
これらの実施形態において、i.閉鎖構成で標的実体が、厚さが均一な層の厚さを横切って拡散することに要する時間以上の時間(すなわち、分析物があるプレートから他のプレートに垂直に拡散することに要する時間よりも短い時間)で、及びii.標的実体が結合部位の所定の面積の直線寸法にわたって横方向に拡散することに要する時間より短い時間(すなわち、分析物が結合部位の一側から他側に横方向に拡散することに要する時間)より短い時間で、アッセイを停止すること及び/又はアッセイ結果を読み取ることができる。このような「局所的結合」構成では、データが取得される試料の一部の体積(「関連のある体積」)は、分析領域のすぐ上にある試料の体積であるため、合理的かつ正確に推定されることができる。実際に、データが取得される試料の一部の体積は、アッセイの開始前に知ることができる。このような「局所的結合」の実施形態は、試料及び任意の検出試薬が結合部位の上にある薄層としてプレスされるので、任意の検体及び/又は検出試薬の間の結合が、試料を薄層としてプレスしていない実施形態においてより、例えば、一滴の試料が単に結合部位を有するプレートの上部に置かれる場合より迅速に平衡に達する、という付加的な利点を有する。このように、多くの場合、数分ではなく数秒で結合平衡に達し、このように、多くのアッセイ、特に結合アッセイは、例えば1分未満で非常に迅速に完了することができる。
【0013】
多重化
また、「局所的結合」構成は、異なる反応を互いに流体的に隔離することなく多重アッセイを実行することを可能にする。言い換えれば、複数のアッセイを、アッセイが互いに隔離されていない(すなわち、流体的隔離なし)開放環境で実行することができる。例えば、局所的結合の実施形態において、同一の試料中の2種の異なる分析物を並行してアッセイすることができ、分析物があるアッセイ領域から他のアッセイ領域に拡散する前にアッセイを停止及び/又はアッセイ結果を読み取るので、試料中の分析物が互いに流体的に隔離されていなくても、試料中のこれらの分析物の絶対濃度をそれぞれ確定することができる。
【0014】
単に試料を2つのプレートの間に挟んで、拡散が制限される方法でアッセイを行うことにより、流体的隔離なしで、1つの試料に対して複数のアッセイを行うことができ、いくつかの利点がある。例えば、体積が未知の一滴の試料(例えば、血液)を単に滴下し、試料とプレートを一緒にプレスすることで試料をプレートに広げ、試料を一定の時間インキュベートして、装置内の複数の部位から読み取りを行うことにより、アッセイを完了することができる。このような方法を実施する場合、正確な流体移送及び/又は計測装置がなくては実行しにくい、規定量の試料を若干のチャンバに移すことを、必要としない。なお、上記の理由で、アッセイは非常に迅速である。さらに、プレートを「壁」を有するものに製造する必要がないので、装置の製造は容易である。最後に、プレートのいずれかにも、ポート、すなわち、装置が閉鎖位置にある間は試料又は試薬の添加又は除去のために潜在的に使用されるポートを、必要としない。
【0015】
増幅表面
また、本装置及び方法のいくつかの実施形態において、装置は、「増幅表面」を含むことができ、例えば、検出試薬により生成された蛍光又は発光などのシグナルを増強する表面を参照する。場合によっては、ナノプラズモン効果(例えば、表面増強ラマン散乱)により信号を増強することができる。LiらのOptics Express 2011 19:3925-3936及びWO2012 / 024006は、増幅表面によるシグナル増強の例を記載しており、参照により本明細書に組み込まれる。場合によっては、増幅表面は、ディスク・カップルド・ドット・オン・ピラー・アンテナアレイ(D2PA)であってもよく、これは米国特許第9,013,690号に記載されている。使用中、シグナルを増強可能に構成されていない検出器と比較して、増幅表面を含む装置はシグナルを103倍以上増幅することができ、したがって、非常に高い感度での分析物検出を可能にする。いくつかの実施形態において、例えばWO2014144133に記載の方法を用いて、関連のある体積の試料中の分析物、特にサンドイッチアッセイを用いて検出された非細胞分析物の量をデジタル的にカウントすることができる。増幅表面の使用は、場合によっては、アッセイをスマートフォンなどを用いて読み取ることを可能にする。
【0016】
その他の特徴
本装置の実施形態において、プレートが水性環境に浸漬されている場合、1つ以上のプレートに固定されたスペーサの位置が変更されるか、又はスペーサが押し流されることはない。スペーサは、球形ではなく、静電力、重力などのような弱い力によりプレートの表面に固定されていない。いくつかの実施形態において、スペーサを有するプレートは一体型であってもよい。多くの実施形態において、スペーサは、予め製造して次にプレートに固定される(例えば、貼り付けられるなど)ものではない。むしろ、スペーサを、エンボス及び/又は微細加工(例えば、フォトリソグラフィ)プロセスを用いて、プレート上に成長及び/又はエッチングしてもよい。
【0017】
閉鎖位置において、上部プレート(可撓性であってもよい)が分析されている試料の一部(試料の「関連のある体積」)の上で大きく変形しないように、スペーサのパラメータ(例えば、それらの断面、間隔、及び密度など)を最適化することができる。場合によっては、スペーサのパラメータは、上部プレートの可撓性により調節することができる。例えば、上部プレートがより可撓性であれば、スペーサは互いにより近くなる可能性がある。同様に、上部プレートの可撓性が低ければ、スペーサがより遠くなる可能性がある。
【0018】
さらに、本装置の多くの実施形態の使用において、装置を閉じた後、分析物は装置を通って指向的に移動することがない。このように、Austin(米国特許第6,632,652号)に記載されているように、閉鎖構成では、分析物が選別又は分画されず、分析物が(例えば、重力又は電気泳動により)装置を通って強制的かつ指向的に流れない可能性がある。多くの場合、装置を電源に結合して起電力を発生させる必要はない。多くの実施形態において、試料が広げられている間に、分析物(細胞)の通過を妨害する「障害物」がないので、分析物は、別の領域に比べてある領域に集中しておらず、関連のある体積全体にわたって(ポアソン統計に許容される程度まで)均一に分布する。さらに、他の装置において、カバープレートの機能は、液体の漏出を防止するために装置を密閉することであり、そのため、いずれのプレートにも試料がない場合、カバープレートは基板の上部に配置することができる。このような装置は、液体を開放したプレート表面に押して、分析できる試料の薄層を生成することをしない。また、その他の装置において、柱の重要な機能は、ナノ粒子(例えば、細胞など)を「フィルタリング」又は選別することである。したがって、柱の間の距離は、カバープレートと基板との間の間隔を均一にするという目的のためではなく、選別されたナノ粒子によって決定される。最後に、Austinの装置のような多くの装置において、選別の精度は、主にプレートの間の間隔ではなく、柱の間の距離により制御され、プレートの間の間隔の制御は、重要ではないと思われる。したがって、このような開示では、柱のサイズ、形状、柱の間の間隔などを変化させることにより、プレート間隔の均一性を変更することはない。
【0019】
上記を考慮して、本装置及び方法は、使用しやすく、安価で、製造しやすく、非常に迅速な、液体試料中の分析物(又は装置及び方法が多重方式で実装されている場合は複数の分析物)の絶対濃度を決定する方法を提供する。
【0020】
本発明の1つの態様は、より簡単な、迅速なかつ/又はより優れたアッセイのために、一対の互いに移動可能な特殊プレートを使用して小体積の試料又は1つ又は複数の試薬又はその両方を操作する手段である。該操作は、試料の再形成、試料流動の強制、試料と試薬の接触、試料量の計測、拡散距離の短縮、衝突頻度の増加などを含むが、これらに限定されず、それらのすべてはある特定のアッセイに対する有益な効果を有する。本発明において、プレート上の特別な特徴及び特性、プレートを取り扱う特別な方法、並びに試薬及び試料を取り扱う特別な方法は、アッセイにおける優位性を提供する。
【0021】
本発明の1つの態様は、プレートに付着した液体試料の小さな液滴の少なくとも一部を、制御された、所定の、そして広い領域にわたって均一な厚さを有する薄膜にする手段である。該均一な厚さは、1μm未満ほど薄くてもよい。さらに、本発明は、環境への蒸発がなく、同じ均一な厚さを長期間維持することを可能にする。
【0022】
本発明の別の態様は、ピペットなどを使用せずに、本発明によって形成された所定の均一に薄い試料厚さを利用して試料の一部又は全体の体積を決定する手段である。
【0023】
本発明の別の態様は、平坦な頂部及びほぼ均一な横断面を有する柱形状を有する(2つのプレートの間の間隔を制御するための)スペーサの1つの実施形態である。このようなスペーサは、ボール(ビーズ)状のスペーサに対して、試料の厚さの制御における多くの優位性を提供する。
【0024】
本発明の別の態様は、平坦な頂部及びほぼ均一な横断面を有する柱形状を有する(2つのプレートの間の間隔を制御するための)スペーサの複数の実施形態である。このようなスペーサは、ボール(ビーズ)状のスペーサに対して、試料の厚さの制御における多くの優位性を提供する。
【0025】
本発明の別の態様は、試料の2つの部分の間で流体的な分離を使用せずに、試料の他の部分ではなく、主に試料のほんの一部でのみ特定の化学反応(又は混合)を発生させる手段である。
【0026】
本発明の別の態様は、試料の異なる部分の間で流体的な分離を使用せずに、試料の他の部分ではなく、主に試料のほんの一部でのみ複数の化学反応(又は混合)を発生させる手段である。このように、本発明は、異なる反応部位の間で流体的に分離することなく、小さい一滴の試料を用いて多重アッセイを並行して行うことを可能にする。
【0027】
本発明の別の態様は、アッセイ(例えば、免疫学的アッセイ、核酸アッセイなど)をより迅速にする手段である。例えば、飽和インキュベーション時間(分子間の結合が平衡に達するための時間)を数時間から60秒未満に短縮する。
【0028】
本発明の別の態様は、増幅表面、大きな又は明るい標識などを含む、1つの方法又は複数の方法の組み合わせにより検出感度を有意に向上させる手段である。
【0029】
本発明の別の態様は、例えば0.5μL(マイクロリットル)以下のような、非常に少量の試料を用いてアッセイを行う手段である。
【0030】
本発明の別の態様は、微小な体液を被験者から直接的に検査領域又は試料領域に付着させることを可能にすることにより、アッセイを簡略化する手段である。
【0031】
本発明の別の態様は、プレートに試薬を予め塗布することによりアッセイを簡略化しかつスピードアップする手段である。例えば、プレートに捕捉剤及び検出剤を予め塗布し、乾燥する。別の例は、全ての必要な検出試薬をプレートに予め塗布し、他の試薬を付着させる必要なく、予め塗布されたプレートに試料を付着させることにより検知を行う。
【0032】
本発明の別の態様は、携帯電話によりアッセイの読み取りを実行する手段である。
【0033】
本発明の別の態様は、1対のプラスチックの間に自分の体液(例えば唾液)を直接滴下して、60秒未満で自身のバイオマーカーを自分で検査することを可能にする手段である。
[本発明1001]
(a)分析物を含有する試料を取得するステップ、
(b)異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレートと第2のプレートを取得するステップであって、それぞれのプレートが、実質的に平坦な試料接触面を有し、1つ又は2つのプレートが可撓性であり、前記プレートの1つ又は2つはそれぞれの試料接触面に固定されたスペーサを含み、前記スペーサは所定の実質的に均一な高さ、及び、前記分析物の大きさより少なくとも約2倍大きく最大200μm(マイクロメータ)である所定の一定のスペーサ間距離を有する、ステップ、
(c)前記プレートが開放構成で構成されている時に、前記試料を前記プレートの1つ又は2つに付着させるステップであって、前記開放構成は、前記2つのプレートが部分的又は完全に離れておりかつ前記プレート間の間隔が前記スペーサにより調節されない、構成である、ステップ、
(d)(c)の後、前記2つのプレートを用いて前記試料の少なくとも一部を圧縮して実質的に均一な厚さの層にするステップであって、前記均一な厚さが前記プレートの前記試料接触面によって制限され、前記層の前記均一な厚さが前記スペーサと前記プレートによって調節され、前記圧縮は、
前記2つのプレートを一体にすること、及び
前記プレートを一緒に閉鎖構成までプレスするために、並行して又は順次に前記プレートのうちの少なくとも1つのプレートのある領域を適当にプレスし、適当な前記プレスにより前記試料の前記少なくとも一部に対する前記プレート上の実質的に均一な圧力が生成され、前記プレスにより前記試料の前記少なくとも一部が前記プレートの前記試料接触面間に横方向に広がり、前記閉鎖構成が、均一な厚さ領域の前記層における前記プレート間の前記間隔が前記スペーサにより調節される構成であること
を含む、ステップ、並びに
(e)前記プレートが前記閉鎖構成である間に、前記均一な厚さの層内の前記分析物を分析するステップ
を含む、液体試料を分析するための方法であって、
前記適当なプレスは、前記プレートの外面の形状変化に関わらず、ある領域に加えた圧力を実質的に一定にする方法であり、
前記並行プレスは、所期の領域に圧力を同時に加え、前記順次プレスは、所期の領域の一部に圧力を加え、かつ徐々に他の領域に移行する、方法。
[本発明1002]
ステップ(d)の後かつステップ(e)の前に、前記方法は、前記プレートが前記閉鎖構成になった後に適当なプレス力を除去するステップをさらに含み、前記適当なプレス力を除去した後、前記均一な厚さの層の厚さは、(i)前記適当なプレス力を除去する前の前記均一な厚さの層の厚さと実質的に同じであり、かつ(ii)前記スペーサの高さから10%未満逸脱している、本発明1001の方法。
[本発明1003]
ステップ(c)の試料付着は、いかなる移送装置も使用しない、被験者から前記プレートへの直接的な付着である、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1004]
ステップ(c)の付着の間、前記プレートに付着する前記試料の量は不明である、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1005]
前記分析するステップ(e)は、関連のある試料体積の側面積を測定することによって前記関連のある試料体積の体積を計算するステップ、及び前記側面積及び所定のスペーサ高さから前記体積を計算するステップを含む、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1006]
前記分析するステップ(e)は、
i.フォトルミネセンス、エレクトロルミネッセンス、及び電気化学発光から選択される発光、
ii.表面ラマン散乱、
iii.抵抗、静電容量、及びインダクタンスから選択される電気的インピーダンス、又は
iv.i.~iii.の任意の組み合わせ
を計測するステップを含む、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1007]
前記分析するステップ(e)は、前記分析物の読み取り、画像分析、もしくは計数、又はそれらの組み合わせを含む、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1008]
前記試料は1つ以上の分析物を含み、1つ又は2つのプレート試料接触表面は1つ以上の結合部位を含み、前記結合部位はそれぞれ、それぞれの分析物に結合してそれを固定化する、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1009]
1つ又は2つのプレート試料接触表面は、それぞれ1つ以上の試薬を貯蔵する1つ以上の貯蔵部位を含み、前記試薬は、ステップ(c)の間に又は後に前記試料中に溶解及び拡散する、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1010]
1つ又は2つのプレート試料接触表面は1つ以上の増幅部位を含み、前記1つ以上の増幅部位はそれぞれ、前記分析物又は前記分析物の標識が1つの増幅部位から500nm以内にある場合に前記分析物又は前記標識からの信号を増幅できる、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1011]
i.1つ又は2つのプレート試料接触表面は1つ以上の結合部位を含み、前記結合部位はそれぞれ、それぞれの分析物に結合してそれを固定化する、或いは
ii.1つ又は2つのプレート試料接触表面は、それぞれ1つ以上の試薬を貯蔵する1つ以上の貯蔵部位を含み、前記試薬は、ステップ(c)の間に又は後に前記試料中に溶解及び拡散し、前記試料は、1つ以上の分析物を含む、或いは、
iii.前記分析物又は前記分析物の標識が増幅部位から500nmである場合に1つ以上の増幅部位はそれぞれ、前記分析物又は前記標識からの信号を増幅できる、或いは、
iv.i.~iii.を任意に組み合わせる、
前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1012]
前記液体試料は、羊水、房水、硝子体液、血液(例えば全血、分画血液、血漿、又は血清等)、母乳、脳脊髄液(CSF)、耳垢(耳あか)、乳糜、糜汁、内リンパ液、外リンパ液、糞便、呼吸、胃酸、胃液、リンパ液、粘液(鼻汁及び粘液質を含む)、心膜液、腹膜液、胸膜液、膿液、粘膜分泌物、唾液、呼気凝縮液、皮脂、精液、喀痰、汗、滑液、涙液、嘔吐物、及び尿液から選択される生体試料である、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1013]
前記閉鎖構成における前記均一な厚さの層は150μmより小さい、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1014]
ステップ(d)の間の前記適当なプレスは人の手による、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1015]
ステップ(d)の前記適当なプレスは、加圧液体、加圧気体、又はコンフォーマル材料によって提供される、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1016]
前記分析するステップは、前記均一な厚さの層内の細胞を計数するステップを含む、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1017]
前記分析するステップは、前記均一な厚さの層においてアッセイを行うステップを含む、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1018]
前記アッセイは結合アッセイ又は生化学アッセイである、本発明1017の方法。
[本発明1019]
前記付着した試料の総体積は0.5μLより小さい、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1020]
前記プレートの1つ又は2つに複数滴の試料を付着させる、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1021]
第1のプレート及び第2のプレート
を含み、
i.前記プレートが、異なる構成になるように互いに対して移動可能であり、
ii.1つ又は2つのプレートが可撓性であり、
iii.各前記プレートが、そのそれぞれの表面上に、分析物を含む試料と接触するための試料接触領域を有し、
iv.前記プレートの1つ又は2つが、それぞれの試料接触領域に固定されたスペーサを含み、前記スペーサは、所定の実質的に均一な高さ、及び、前記分析物の大きさより少なくとも約2倍大きく最大200μmである所定の一定のスペーサ間距離を有し、かつ少なくとも1つの前記スペーサは、前記試料接触領域内にあり、
1つの構成は、前記2つのプレートが離れており前記プレート間の間隔が前記スペーサにより調節されずかつ前記試料が前記プレートの1つ又は2つに付着する、開放構成であり、かつ
別の構成は、前記試料が前記開放構成で付着した後に構成された閉鎖構成であり、前記閉鎖構成では、前記試料の少なくとも一部は、前記2つのプレートにより圧縮されて非常に均一な厚さの層になり、前記層の均一な厚さは、前記プレートの前記試料接触表面により制限され、前記スペーサ及び前記プレートにより調節される、液体試料を分析するための装置。
[本発明1022]
前記スペーサ間の距離は、1μm~120μmの範囲内にある、本発明1021の装置。
[本発明1023]
可撓性プレートは、20μm~250μmの範囲内の厚さ、0.1GPa~5GPaの範囲内のヤング率を有する、前記本発明のいずれかの装置。
[本発明1024]
可撓性プレートについて、前記可撓性プレートの厚さと前記可撓性プレートのヤング率との乗算値は、60GPa-μm~750GPa-μmの範囲内にある、前記本発明のいずれかの装置。
[本発明1025]
前記均一な厚さの試料の層は、少なくとも1mm2である側面積にわたって均一である、前記本発明のいずれかの装置。
[本発明1026]
前記均一な厚さの試料の層は、±5%までの厚さ均一性を有する、前記本発明のいずれかの装置。
[本発明1027]
前記スペーサは、円形、多角形、環形、正方形、長方形、長円形、楕円形、又はそれらの任意の組み合わせから選択される断面形状を有する柱状のものである、前記本発明のいずれかの装置。
[本発明1028]
前記スペーサは、柱形状を有し、実質的に平坦な上面を有し、かつ実質的に均一な断面を有し、各スペーサについて、前記スペーサの高さに対するその横方向寸法の比は少なくとも1である、前記本発明のいずれかの装置。
[本発明1029]
前記スペーサ間の距離は周期的である、前記本発明のいずれかの装置。
[本発明1030]
前記スペーサは、1%以上の充填率を有し、前記充填率は、全プレート面積に対するスペーサ接触面積の比である、前記本発明のいずれかの装置。
[本発明1031]
前記スペーサのヤング率と前記スペーサの充填率との乗算値は、20MPa以上であり、前記充填率は、全プレート面積に対するスペーサ接触面積の比である、前記本発明のいずれかの装置。
[本発明1032]
閉鎖構成における前記2つのプレートの間の間隔は、200μmより小さい、前記本発明のいずれかの装置。
[本発明1033]
閉鎖構成における前記2つのプレートの間の間隔は、1.8μm~3.5μmから選択される値である、前記本発明のいずれかの装置。
[本発明1034]
前記スペーサは、プレートを直接的にエンボス加工することにより又は前記プレートへの射出成形により、前記プレート上で固定される、前記本発明のいずれかの装置。
[本発明1035]
前記プレート及び前記スペーサの材料は、ポリスチレン、PMMA、PC、COC、COP、又は他種のプラスチックから選択される、前記本発明のいずれかの装置。
[本発明1036]
前記スペーサは柱形状を有し、前記スペーサの側壁角は、少なくとも1μmの曲率半径を有する円形状を有する、前記本発明のいずれかの装置。
[本発明1037]
前記スペーサの密度は少なくとも1000/mm2である、前記本発明のいずれかの装置。
[本発明1038]
前記プレートの少なくとも1つは透明である、前記本発明のいずれかの装置。
[本発明1039]
前記スペーサを製造するために使用される金型は、複数のフィーチャを含む金型によって製造され、前記フィーチャは、(a)直接、反応性イオンエッチングもしくはイオンビームエッチングによって、又は(b)反応性イオンエッチングもしくはイオンビームエッチングでエッチングされたフィーチャを複製もしくは複数回複製することによって製造される、前記本発明のいずれかの装置。
[本発明1040]
(a)血液試料を取得するステップ、
(b)異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを取得するステップであって、各プレートは、実質的に平坦な試料接触表面を有し、1つ又は2つのプレートは可撓性であり、前記プレートの1つ又は2つは、それぞれの試料接触表面に固定されたスペーサを含み、前記スペーサは、
i.所定の実質的に均一な高さと、
ii.実質的に均一な断面及び平坦な上面を有する、柱形状と、
iii.1以上の、高さに対する幅の比と、
iv.10μm~200μmの範囲内の所定の一定のスペーサ間の距離と、
v.1%以上の充填率と、
vi.2MPa以上である、前記スペーサの充填率とヤング率の積と
を有する、ステップ、並びに
(c)前記プレートが開放構成で構成されている時に、前記プレートの1つ又は2つに前記血液試料を付着させるステップであって、前記開放構成は、前記2つのプレートが部分的又は完全に離れておりかつ前記プレート間の間隔が前記スペーサにより調節されない、構成である、ステップ、
(d)(c)の後、前記2つのプレートを用いて、前記血液試料の少なくとも一部を圧縮して実質的に均一な厚さの層にするステップであって、前記均一な厚さの層は、前記プレートの前記試料接触表面により制限され、前記層の均一な厚さは、前記スペーサ及び前記プレートにより調節され、かつ10%より小さな変動を伴う1.8μm~3μmの範囲内の平均値を有し、前記圧縮は、
前記2つのプレートを一体にすること、及び
前記プレートを一緒に閉鎖構成までプレスするために、並行して又は順次に前記プレートのうちの少なくとも1つのプレートのある領域を適当にプレスし、適当な前記プレスにより前記試料の前記少なくとも一部に対する前記プレート上の実質的に均一な圧力が生成され、前記プレスにより前記試料の前記少なくとも一部が前記プレートの前記試料接触面間に横方向に広がり、前記閉鎖構成が、均一な厚さ領域の前記層における前記プレート間の前記間隔が前記スペーサにより調節される構成である、ステップ、並びに
(e)前記プレートが閉鎖構成である間に、均一な厚さの前記層内の血液を分析するステップ
を含む、血液試料を分析するための方法であって、
前記充填率は、総プレート面積に対するスペーサ接触面積の比であり、
適当なプレスは、前記プレートの外面の形状変化に関わらず、ある領域に加えた圧力を実質的に一定にする方法であり、
前記並行プレスは、所期の領域に圧力を同時に加え、順次プレスは、所期の領域の一部に圧力を加え、かつ徐々に他の領域に移行する、方法。
[本発明1041]
前記プレートが前記閉鎖構成になった後、外力を除去するステップ、
前記プレートが前記閉鎖構成である間に、前記均一な厚さの層内の血液細胞を画像化するステップ、及び
画像中のある領域内の前記血液細胞の数を計数するステップ
を含む、本発明1040の方法。
[本発明1042]
前記スペーサ間の距離は、20μm~200μmの範囲内にある、本発明1040又は1041の方法。
[本発明1043]
前記スペーサ間の距離は、5μm~20μmの範囲内にある、本発明1040~1042のいずれかの方法。
[本発明1044]
表面変動は30nmより小さい、本発明1040~1043のいずれかの方法。
[本発明1045]
(b)の前記血液試料は、抗凝固剤が添加されていない未希釈の全血である、本発明1040~1044のいずれかの方法。
[本発明1046]
前記付着させるステップ(b)は、
i.ヒトの皮膚を穿刺して皮膚上に小滴の血液を放出し、ii.血液移送器具を使用せずに前記小滴の血液を1つ又は2つの前記プレートと接触させることにより行われる、本発明1040~1045のいずれかの方法。
[本発明1047]
前記計数するステップ(f)は、赤血球の数を計数するステップを含む、本発明1040~1046のいずれかの方法。
[本発明1048]
前記計数するステップ(f)は、白血球の数を計数するステップを含む、本発明1040~1047のいずれかの方法。
[本発明1049]
前記計数するステップ(f)は、前記試料中の細胞を染色するステップ、並びに好中球、リンパ球、単球、好酸球、及び好塩基球の数を計数するステップを含む、本発明1040~1048のいずれかの方法。
[本発明1050]
前記画像化するステップと計数するステップは、
i.前記均一な厚さの層内の前記血液細胞を照射すること、
ii.CCD又はCMOSセンサを用いて前記血液細胞の1つ又は複数の画像を撮影すること、
iii.コンピュータを用いて前記画像内において細胞を識別すること、及び
iv.前記画像の領域内の血液細胞の数を計数すること
により行われる、本発明1040~1049のいずれかの方法。
[本発明1051]
ステップ(c)の外力は、人の手によって提供される、本発明1040~1050のいずれかの方法。
[本発明1052]
前記均一な厚さの層中のナトリウム、カリウム、塩化物、重炭酸塩、血液尿素、窒素、マグネシウム、クレアチニン、グルコース、カルシウム、HDLコレステロールLDLコレステロールレベル、及び/又はトリグリセリドレベルを測定するステップをさらに含む、本発明1040~1051のいずれかの方法。
[本発明1053]
1つ又は2つのプレート上に塗布された乾燥試薬をさらに含む、本発明1040~1052のいずれかの方法。
[本発明1054]
前記均一な厚さの試料の層は、±5%までの厚さ均一性を有する、本発明1040~1053のいずれかの方法。
[本発明1055]
前記スペーサは、円形、多角形、環形、正方形、長方形、長円形、楕円形、又はそれらの任意の組み合わせから選択される断面形状を有する柱状のものである、本発明1040~1054のいずれかの方法。
[本発明1056]
前記スペーサ間の間隔は、RBCのほぼ平均厚さである、本発明1040~1055のいずれかの方法。
[本発明1057]
前記分析するステップは、前記血液中の細胞を画像化するステップを含む、本発明1040~1056のいずれかの方法。
[本発明1058]
前記細胞は、赤血球、白血球、又は血小板を含む、本発明1040~1057のいずれかの方法。
[本発明1059]
前記血液を分析するステップは、前記血液中の癌細胞、ウイルス、又は細菌を画像化するステップを含む、本発明1040~1058のいずれかの方法。
[本発明1060]
前記血液を分析するステップは、タンパク質又は核酸を検出するステップを含む、本発明1040~1059のいずれかの方法。
[本発明1061]
前記血液を分析するステップは血球の測定を含み、前記測定は、前記スペーサを用いて前記試料の厚さを決定すること、画像化によって側面積を決定すること、及び2D画像を用いて赤血球の面積を計算することを含む、本発明1040~1060のいずれかの方法。
[本発明1062]
前記血液を分析するステップは、前記血液中の赤血球濃度を測定するステップを含む、本発明1040~1061のいずれかの方法。
[本発明1063]
前記血液を分析するステップは、前記血液中の白血球濃度を測定するステップを含む、本発明1040~1062のいずれかの方法。
[本発明1064]
前記血液を分析するステップは、前記血液中の血小板濃度を測定するステップを含む、本発明1040~1063のいずれかの方法。
[本発明1065]
第1のプレート及び第2のプレート
を含み、
v.前記プレートが、異なる構成になるように互いに対して移動可能であり、
vi.プレートの1つ又は2つは可撓性であり、
vii.各前記プレートは、そのそれぞれの表面上に、血液試料と接触するための試料接触領域を有し、
viii.前記プレートの1つ又は2つは、それぞれのプレートに固定されたスペーサを含み、前記スペーサは、所定の実質的に均一な高さ、及び7μm~200μmの範囲内の所定の一定のスペーサ間距離を有し、前記スペーサのうちの少なくとも1つのスペーサは、前記試料接触領域内にあり、
1つの構成は、2つの前記プレートが離れており前記プレート間の間隔が前記スペーサにより調節されずかつ前記試料が1つ又は2つの前記プレートに付着する、開放構成であり、かつ
別の構成は、前記試料が前記開放構成で付着した後に構成された閉鎖構成であり、前記閉鎖構成では、前記試料の少なくとも一部は、前記2つのプレートにより圧縮されて非常に均一な厚さの層になり、前記層の均一な厚さは、前記2つのプレートの内表面により制限され、かつ前記スペーサ及び前記プレートにより調節され、かつ小さな変動を伴う1.8μm~3μmの範囲内の平均値を有する、液体試料を分析するための装置。
[本発明1066]
前記スペーサ間の距離は、14μm~200μmの範囲内にある、本発明1065の装置。
[本発明1067]
前記スペーサ間の距離は、7μm~20μmの範囲内にある、本発明1065又は1066の装置。
[本発明1068]
前記スペーサは、円形、多角形、環形、正方形、長方形、長円形、楕円形、又はそれらの任意の組み合わせから選択される断面形状を有する柱状のものである、本発明1065~1067のいずれかの装置。
[本発明1069]
前記スペーサは、柱形状を有し、かつ実質的に平坦な上面を有し、各スペーサについて、前記スペーサの高さに対するその横方向寸法の比は少なくとも1である、本発明1065~1068のいずれかの装置。
[本発明1070]
前記スペーサは柱形状を有し、前記スペーサの側壁角は、少なくとも1μmの曲率半径を有する円形状を有する、本発明1065~1069のいずれかの装置。
[本発明1071]
前記スペーサの密度は少なくとも1000/mm2である、本発明1065~1070のいずれかの装置。
[本発明1072]
前記プレートの少なくとも1つは透明である、本発明1065~1071のいずれかの装置。
[本発明1073]
前記プレートの少なくとも1つは可撓性ポリマーで製造される、本発明1065~1072のいずれかの装置。
[本発明1074]
前記スペーサが圧縮性ではなく、かつ/又は、独立して前記プレートのうちの1つのみが可撓性である、本発明1065~1073のいずれかの装置。
[本発明1075]
前記可撓性プレートの厚さは、50μm~200μmの範囲内にある、本発明1065~1074のいずれかの装置。
[本発明1076]
1つ又は2つのプレート上に塗布された乾燥試薬をさらに含む、本発明1065~1075のいずれかの装置。
[本発明1077]
前記変動は10%より小さい、本発明1065~1076のいずれかの装置。
[本発明1078]
液体試料の一部において標的実体を局所的に結合するための方法であって、
(a)試料中に拡散できる標的実体を含有する前記試料を取得するステップ、
(b)異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを取得するステップであって、1つ又は2つの前記プレートはそれぞれのプレート上に固定化されたスペーサを含み、前記スペーサは所定の実質的に均一な高さを有し、第1のプレートはその表面に結合部位を含み、前記結合部位は所定の領域を有し、かつ前記標的実体に結合してそれを固定化する、ステップ、
(c)前記プレートが開放構成で構成されている時に、前記試料を前記プレートの1つ又は2つに付着させるステップであって、前記開放構成は、前記2つのプレートが部分的又は完全に離れておりかつ前記プレート間の間隔が前記スペーサにより調節されない、構成である、ステップ、
(d)(c)の後、前記2つのプレートを閉鎖構成にすることにより前記試料を圧縮するステップであって、前記閉鎖構成は、前記試料の少なくとも一部が圧縮されて均一な厚さの層になり、前記層が前記2つのプレートの内表面に接触し内表面によって制限されかつ前記結合部位に接触する、構成であり、前記層の均一な厚さが、前記スペーサ及び前記プレートにより調節され、250μmより小さく、かつ前記結合部位の所定の領域の直線寸法より実質的に小さい、ステップ、
(e)(d)の後かつ前記プレートが閉鎖構成にある間に、
(1)関連のある時間長さで前記試料をインキュベートし、次にインキュベーションを停止するステップ、あるいは、
(2)関連のある時間長さの最小値以上の時間で前記試料をインキュベートし、次に、前記関連のある時間長さの最大値以下の時間内に前記結合部位への標的実体の結合を評価するステップ
であって、
前記関連のある時間長さは、
i.前記閉鎖構成において前記標的実体が前記均一な厚さの層の厚さにわたって拡散するのに必要な時間以上であり、かつ
ii.前記標的実体が横方向に前記結合部位の最小横方向寸法にわたって拡散するのに必要な時間より顕著に短く、
(1)におけるインキュベーションの終了時又は(2)における評価の間、前記結合部位に結合される大部分の前記標的実体は関連のある体積の前記試料に由来し、
前記インキュベーションにより、前記標的実体が前記結合部位に結合することが可能となり、前記関連のある体積は、前記閉鎖構成で前記結合部位の上部にある前記試料の一部である、ステップ
を含む、方法。
[本発明1079]
前記結合部位に結合した前記標的実体を評価するステップをさらに含み、前記評価するステップは、(i)ステップ(e)の後又は(ii)ステップ(e)の間のいずれかで実施されるが、分析物が前記均一な厚さの層の厚さにわたって拡散するのに必要な時間とほぼ等しいか又はそれより長い時間で試料がインキュベートされた後に開始される、本発明1078の方法。
[本発明1080]
前記関連のある体積の試料中の分析物の濃度を計算するステップをさらに含み、前記計算は、前記結合部位の所定の領域により画定された関連のある試料体積、前記閉鎖構成での前記均一な試料の厚さ、及び前記結合部位に結合した評価された前記標的実体に基づく、本発明1078又は1079の方法。
[本発明1081]
前記標的実体は、捕捉剤、分析物、又は検出剤である、本発明1078~1080のいずれかの方法。
[本発明1082]
分析物アッセイ領域における試料の体積は、前記結合部位の所定の面積と所定のスペーサの高さとの乗算値にほぼ等しい、本発明1078~1080のいずれかの方法。
[本発明1083]
前記第1のプレートは、その表面に第1の所定のアッセイ部位及び第2の所定のアッセイ部位を含み、前記アッセイ部位の縁部間の距離は、前記プレートが閉鎖位置にある時の前記均一な厚さの層の厚さよりも実質的に大きく、前記均一な厚さの層の少なくとも一部は、前記所定のアッセイ部位の上にあり、前記試料は、前記試料中に拡散できる1つ以上の分析物を有する、本発明1078~1082のいずれかの方法。
[本発明1084]
前記第1のアッセイ部位における第1の分析物を評価するステップ、及び前記第2の所定のアッセイ部位における第2の分析物をアッセイするステップを含む、本発明1083の方法。
[本発明1085]
前記第1の所定のアッセイ部位及び前記第2の所定のアッセイ部位における同じ分析物をアッセイするステップを含む、本発明1038の方法。
[本発明1086]
前記第1のプレートは、その表面に少なくとも3つの分析物アッセイ部位をさらに有し、任意の2つの隣接したアッセイ部位の縁部間の距離は、前記プレートが閉鎖位置にある時の前記均一な厚さの層の厚さよりも実質的に大きく、前記均一な厚さの層の少なくとも一部は、前記アッセイ部位の上にあり、前記試料は、前記試料中に拡散できる1つ以上の分析物を有する、本発明1078~1085のいずれかの方法。
[本発明1087]
各前記アッセイ部位内の異なる分析物をアッセイするステップを含む、本発明1078~1086のいずれかの方法。
[本発明1088]
各前記アッセイ部位は、サブ分析物アッセイ部位をさらに含み、少なくとも2つの隣接したサブ分析物アッセイ部位は、前記プレートが閉鎖位置にある時の前記均一な厚さの層の厚さ未満で離れており、前記均一な厚さの層の少なくとも一部は、前記アッセイ部位の上にあり、前記試料は、前記試料中に拡散できる1つ以上の分析物を有する、本発明1078~1087のいずれかの方法。
[本発明1089]
前記分析物アッセイ領域は、1対の電極の間にある、本発明1078~1088のいずれかの方法。
[本発明1090]
前記アッセイ領域は、乾燥試薬の1つのパッチにより画定される、本発明1078~1089のいずれかの方法。
[本発明1091]
前記アッセイ領域は、前記分析物に結合してそれを固定化する、本発明1078~1090のいずれかの方法。
[本発明1092]
前記アッセイ領域は、前記分析物からの信号を増幅する、本発明1078~1091のいずれかの方法。
[本発明1093]
前記アッセイ領域は結合試薬の1つのパッチにより画定され、前記結合試薬は、前記試料と接触すると、前記試料中に溶解して前記試料中に拡散しかつ前記分析物と結合する、本発明1078~1092のいずれかの方法。
[本発明1094]
前記試料の厚さは200μmよりも小さい、本発明1078~1093のいずれかの方法。
[本発明1095]
前記プレートが前記閉鎖構成にある時に、前記第1のプレートと前記第2のプレートは、互いに対向する位置に複数の貯蔵部位を含む、本発明1078~1094のいずれかの方法。
[本発明1096]
前記均一な厚さに対する前記結合部位の直線寸法の比は5よりも大きい、本発明1078~1095のいずれかの方法。
[本発明1097]
前記反応は60秒未満で飽和する、本発明1078~1096のいずれかの方法。
[本発明1098]
前記関連のある時間は、60秒~30分間の範囲内にある、本発明1078~1097のいずれかの方法。
[本発明1099]
ステップe(i)において、インキュベーションを停止した後、前記結合部位に結合した前記標的実体を評価することを含む、本発明1078~1098のいずれかの方法。
[本発明1100]
1回以上の洗浄を含む、本発明1078~1099のいずれかの方法。
[本発明1101]
液体試料の一部において標的実体を局所的に結合するための装置であって、
第1のプレート及び第2のプレート
を含み、
i.前記プレートは、異なる構成になるように互いに対して移動可能であり、前記プレートの1つ又は2つは可撓性であり、
iii.各前記プレートは、そのそれぞれの表面に試料と接触するための試料接触領域を有し、前記試料は、前記試料中に拡散できる実体を含み、
iv.前記プレートの1つは、その試料接触領域上に結合部位を有し、前記結合部位は所定の領域を有し、かつ前記標的実体に結合してそれを固定化し、
v.1つ又は2つの前記プレートは、それぞれのプレートに固定されたスペーサを含み、前記スペーサは、所定の実質的に均一な高さ、及び所定の一定のスペーサ間の距離を有し、かつ前記スペーサの少なくとも1つは、前記試料接触領域内にあり、
1つの構成は、前記2つのプレートが部分的又は完全に離れており前記プレート間の間隔が前記スペーサにより調節されずかつ前記試料が1つ又は2つの前記プレートに付着する、開放構成であり、かつ
別の構成は、前記試料が前記開放構成で付着した後に構成された閉鎖構成であり、前記閉鎖構成では、前記試料の少なくとも一部は、前記2つのプレートにより圧縮されて均一な厚さの層になり、前記均一な厚さの層の少なくとも一部は、前記結合部位の上にあり、かつ前記層の均一な厚さは、前記2つのプレートの内表面により制限され、前記プレート及び前記スペーサにより調節され、250μmより小さく、かつ前記結合部位の所定の領域の平均直線寸法より実質的に小さい、装置。
[本発明1102]
前記第1のプレートは、その表面に第1の所定のアッセイ部位及び第2の所定のアッセイ部位をさらに含み、前記アッセイ部位の縁部間の距離は、前記プレートが閉鎖位置にある時の前記均一な厚さの層の厚さよりも実質的に大きく、前記均一な厚さの層の少なくとも一部は、前記所定のアッセイ部位の上にあり、前記試料は、前記試料中に拡散できる1つ以上の分析物を有する、本発明1101の装置。
[本発明1103]
前記第1のプレートは、その表面に少なくとも3つの分析物アッセイ部位を有し、任意の2つの隣接したアッセイ部位の縁部間の距離は、前記プレートが閉鎖位置にある時の前記均一な厚さの層の厚さよりも実質的に大きく、前記均一な厚さの層の少なくとも一部は、前記アッセイ部位の上にあり、前記試料は、前記試料中に拡散できる1つ以上の分析物を有する、本発明1101又は1102の装置。
[本発明1104]
前記第1のプレートは、その表面に少なくとも2つの隣接した分析物アッセイ部位を有し、前記分析物アッセイ部位は、前記プレートが閉鎖位置にある時の前記均一な厚さの層の厚さよりも実質的に大きい距離で離れておらず、前記均一な厚さの層の少なくとも一部は前記アッセイ部位の上にあり、かつ前記試料は、前記試料中に拡散できる1つ以上の分析物を有する、本発明1101~1103のいずれかの装置。
[本発明1105]
分析物アッセイ領域は、1対の電極の間にある、本発明1101~1104のいずれかの装置。
[本発明1106]
前記アッセイ領域は、乾燥試薬の1つのパッチにより画定される、本発明1101~1105のいずれかの装置。
[本発明1107]
前記アッセイ領域は、前記分析物に結合してそれを固定化する、本発明1101~1106のいずれかの装置。
[本発明1108]
前記アッセイ領域は結合試薬の1つのパッチにより画定され、前記結合試薬は、前記試料と接触すると、前記試料中に溶解して前記試料中に拡散しかつ前記分析物と結合する、本発明1101~1107のいずれかの装置。
[本発明1109]
前記スペーサ間の距離は、14μm~200μmの範囲内にある、本発明1101~1108のいずれかの装置。
[本発明1110]
前記スペーサ間の距離は、7μm~20μmの範囲内にある、本発明1101~1109のいずれかの装置。
[本発明1111]
前記スペーサは、円形、多角形、環形、正方形、長方形、長円形、楕円形、又はそれらの任意の組み合わせから選択される断面形状を有する柱状のものである、本発明1101~1110のいずれかの装置。
[本発明1112]
前記スペーサは、柱形状を有し、かつ実質的に平坦な上面を有し、各スペーサについて、前記スペーサの高さに対するその横方向寸法の比は少なくとも1である、本発明1101~1111のいずれかの装置。
[本発明1113]
前記スペーサは柱形状を有し、前記スペーサの側壁角は、少なくとも1μmの曲率半径を有する円形状を有する、本発明1101~1112のいずれかの装置。
[本発明1114]
前記スペーサの密度は少なくとも1000/mm2である、本発明1101~1113のいずれかの装置。
[本発明1115]
前記プレートの少なくとも1つは透明である、本発明1101~1114のいずれかの装置。
[本発明1116]
前記プレートの少なくとも1つは可撓性ポリマーで製造される、本発明1101~1115のいずれかの装置。
[本発明1117]
前記プレートのうちの1つのみが可撓性である、本発明1101~1116のいずれかの装置。
[本発明1118]
液体試料の一部に試薬を局所的に放出するための方法であって、
(a)試料を取得するステップ、
(b)異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを取得するステップであって、
(i)1つ又は2つの前記プレートは、それぞれのプレートに固定されたスペーサを含み、
(ii)前記スペーサは所定の均一な高さを有し、かつ
(iii)第1のプレートはその表面上に貯蔵部位を含み、前記貯蔵部位は、所定の領域を有しかつ試薬を含み、前記試薬は、前記試料に接触すると前記試料中に溶解して前記試料中に拡散する、ステップ、
(c)前記プレートが開放構成で構成されている時に、前記試料を前記プレートの1つ又は2つに付着させるステップであって、前記開放構成は、前記2つのプレートが部分的又は完全に離れておりかつ前記プレート間の間隔が前記スペーサにより調節されない、構成である、ステップ、
(d)(c)の後、前記2つのプレートを閉鎖構成にすることにより前記試料を圧縮するステップであって、前記閉鎖構成は、前記試料の少なくとも一部が圧縮されて均一な厚さの層になり、前記層が前記2つのプレートの内表面によって制限されかつ前記貯蔵部位を被覆する、構成であり、前記層の均一な厚さが、前記スペーサ及び前記プレートにより調節され、250μmより小さく、かつ前記貯蔵部位の所定の領域の直線寸法より実質的に小さい、ステップ、
(e)(d)の後かつ前記プレートが前記閉鎖構成にある間に、関連のある時間長さで前記試料をインキュベーションし、次にインキュベーションを停止するステップであって、
前記関連のある時間長さは、
i.前記閉鎖構成において標的実体が前記均一な厚さの層の厚さにわたって拡散するのに必要な時間とほぼ等しいかそれより長い時間であり、かつ
ii.前記標的実体が結合部位の所定の領域の直線寸法にわたって横方向に拡散するのに必要な時間より短く、
それによって、インキュベーションの後、当初は貯蔵部位上にある前記試薬の大部分は、関連のある体積の前記試料中にあり、
前記インキュベーションは、前記試薬が前記試料と結合又は混合することを可能にする過程であり、前記関連のある体積は、前記閉鎖構成において前記結合部位の上部にある前記試料の一部分である、ステップ
を含む、方法。
[本発明1119]
前記試薬は、捕捉剤、分析物、又は検出剤である、本発明1118の方法。
[本発明1120]
ステップ(b)における第2のプレートの表面は結合部位をさらに含み、前記結合部位は、対応する所定の領域及び対応する位置を有し、かつ前記試薬に結合してそれを固定化し、
ステップ(d)において、前記結合部位及び前記試薬部位は、前記閉鎖構成において位置合わせされ、かつ
ステップ(e)のインキュベーションの終了時、当初は前記貯蔵部位上にある前記試薬の大部分が前記結合部位に結合され、前記結合部位と前記関連のある体積中の前記試薬との結合が実質的に平衡に達する、本発明1118又は1119の方法。
[本発明1121]
前記関連のある体積の試料中の分析物の濃度を計算するステップをさらに含み、前記計算が、前記貯蔵部位の所定の領域により画定された関連のある試料体積、前記閉鎖構成での前記均一な試料の厚さ、及び検出された標的実体の量に基づく、本発明1118~1120のいずれかの方法。
[本発明1122]
前記標的実体は、捕捉剤、分析物、又は検出剤である、本発明1118~1121のいずれかの方法。
[本発明1123]
前記所定の領域における試料の体積は、所定の面積と所定のスペーサの高さとの乗算値にほぼ等しい、本発明1118~1122のいずれかの方法。
[本発明1124]
前記第1のプレートは、その表面に第1の貯蔵部位及び第2の貯蔵部位を含み、前記貯蔵部位の縁部間の距離は、前記プレートが閉鎖位置にある時の前記均一な厚さの層の厚さよりも実質的に大きく、前記均一な厚さの層の少なくとも一部は、前記貯蔵部位の上にあり、前記試料は、前記試料中に拡散できる1つ以上の分析物を有する、本発明1118~1123のいずれかの方法。
[本発明1125]
前記第1の貯蔵部位上の第1の分析物を評価するステップ、及び前記第2の貯蔵部位上の第2の分析物をアッセイするステップを含む、本発明1124の方法。
[本発明1126]
前記第1の貯蔵部位上及び前記第2の貯蔵部位上の同じ分析物をアッセイするステップを含む、本発明1124の方法。
[本発明1127]
前記第1のプレートは、その表面に少なくとも3つの貯蔵部位をさらに含み、任意の2つの隣接した貯蔵部位の縁部間の距離は、前記プレートが閉鎖位置にある時の前記均一な厚さの層の厚さよりも実質的に大きく、前記均一な厚さの層の少なくとも一部は、前記所定の領域の上にあり、前記試料は、前記試料中に拡散できる1つ以上の分析物を有する、本発明1118~1126のいずれかの方法。
[本発明1128]
各前記貯蔵部位内における異なる分析物をアッセイするステップを含む、本発明1127の方法。
[本発明1129]
前記貯蔵部位は、乾燥試薬の1つのパッチにより画定される、本発明1118~1128のいずれかの方法。
[本発明1130]
前記貯蔵部位は結合試薬の1つのパッチにより画定され、前記結合試薬は、前記試料と接触すると、前記試料中に溶解して前記試料中に拡散しかつ前記分析物と結合する、本発明1118~1129のいずれかの方法。
[本発明1131]
前記試料の厚さは200μmよりも小さい、本発明1118~1130のいずれかの方法。
[本発明1132]
前記プレートが前記閉鎖構成にある時に、前記第1のプレートと前記第2のプレートは、互いに対向する位置に貯蔵部位を含む、本発明1118~1131のいずれかの方法。
[本発明1133]
前記均一な厚さに対する前記結合部位の直線寸法の比は5よりも大きい、本発明1118~1132のいずれかの方法。
[本発明1134]
前記反応は60秒未満で飽和する、本発明1118~1133のいずれかの方法。
[本発明1135]
前記関連のある時間は、60秒~30分間の範囲内にある、本発明1118~1134のいずれかの方法。
[本発明1136]
1回以上の洗浄を含む、本発明1118~1135のいずれかの方法。
[本発明1137]
第1のプレート及び第2のプレート
を含み、
i.前記プレートは、異なる構成になるように互いに対して移動可能であり、
ii.前記プレートの1つ又は2つは可撓性であり、
vi.各前記プレートは、そのそれぞれの表面上に、試料と接触するための試料接触領域を有し、
vii.前記プレートの1つは、その試料接触領域上に貯蔵部位を含み、前記貯蔵部位は所定の領域を有し、かつ試薬を含み、前記試薬は、前記試料に接触すると、前記試料中に溶解して前記試料中に拡散しかつ標的実体に結合し、
viii.前記プレートの1つ又は2つは、それぞれのプレートに固定されたスペーサを含み、前記スペーサは、(a)250μm以下でありかつ試薬部位の所定の領域の平均直線寸法より実質的に小さい、所定の実質的に均一な高さ、及び、(b)200μm以下である所定の一定のスペーサ間の距離を有し、少なくとも1つのスペーサは前記試料接触領域内にあり、
1つの構成は、前記2つのプレートが部分的又は完全に離れており前記プレート間の間隔が前記スペーサにより調節されずかつ前記試料が1つ又は2つの前記プレートに付着する、開放構成であり、かつ
別の構成は、前記試料が開放構成で付着した後に構成された閉鎖構成であり、前記閉鎖構成では、前記試料の少なくとも一部は、前記2つのプレートにより圧縮されて均一な厚さの層になり、前記均一な厚さの層の少なくとも一部は、結合部位の上にあり、かつ前記層の均一な厚さは、前記2つのプレートの内表面により制限され、かつ前記スペーサ及び前記プレートにより調節される、液体試料の一部に試薬を局所的に放出するための装置。
[本発明1138]
前記第1のプレートは、その表面に、所定領域を有する第2の貯蔵部位をさらに含み、前記第1の貯蔵部位と前記第2の貯蔵部位の縁部間の距離は、前記プレートが閉鎖位置にある時の前記均一な厚さの層の厚さよりも実質的に大きく、前記均一な厚さの層の少なくとも一部は、前記貯蔵部位の上にあり、前記試料は、前記試料中に拡散できる1つ以上の分析物を有する、本発明1137の装置。
[本発明1139]
前記第1のプレートは、その表面に少なくとも3つの貯蔵部位を有し、任意の2つの隣接した貯蔵部位の縁部間の距離は、前記プレートが閉鎖位置にある時の前記均一な厚さの層の厚さよりも実質的に大きく、前記均一な厚さの層の少なくとも一部は、前記貯蔵部位の上にあり、前記試料は、前記試料中に拡散できる1つ以上の分析物を有する、本発明1137又は1138の装置。
[本発明1140]
前記第1のプレートは、その表面に少なくとも2つの隣接した貯蔵部位を有し、前記貯蔵部位は、前記プレートが閉鎖位置にある時の均一な厚さの層の厚さよりも実質的に大きい距離で離れておらず、前記均一な厚さの層の少なくとも一部は、アッセイ部位の上にあり、かつ前記試料は、前記試料中に拡散できる1つ以上の分析物を有する、本発明1137~1139のいずれかの装置。
[本発明1141]
前記貯蔵部位は、乾燥試薬の1つのパッチにより画定される、本発明1137~1140のいずれかの装置。
[本発明1142]
前記貯蔵部位は結合試薬の1つのパッチにより画定され、前記結合試薬は、前記試料と接触すると、前記試料中に溶解して前記試料中に拡散しかつ前記分析物と結合する、本発明1137~1141のいずれかの装置。
[本発明1143]
前記スペーサ間の距離は、14μm~200μmの範囲内にある、本発明1137~1142のいずれかの装置。
[本発明1144]
前記スペーサ間の距離は、7μm~20μmの範囲内にある、本発明1137~1143のいずれかの装置。
[本発明1145]
前記スペーサは、円形、多角形、環形、正方形、長方形、長円形、楕円形、又はそれらの任意の組み合わせから選択される断面形状を有する柱状のものである、本発明1137~1144のいずれかの装置。
[本発明1146]
前記スペーサは、柱形状を有し、かつ実質的に平坦な上面を有し、各スペーサについて、前記スペーサの高さに対するその横方向寸法の比は少なくとも1である、本発明1137~1145のいずれかの装置。
[本発明1147]
前記スペーサは柱形状を有し、前記スペーサの側壁角は、少なくとも1μmの曲率半径を有する円形状を有する、本発明1137~1146のいずれかの装置。
[本発明1148]
前記スペーサの密度は少なくとも1000/mm2である、本発明1137~1147のいずれかの装置。
[本発明1149]
前記プレートの少なくとも1つは透明である、本発明1137~1148のいずれかの装置。
[本発明1150]
前記プレートの少なくとも1つは可撓性ポリマーで製造される、本発明1137~1149のいずれかの装置。
[本発明1151]
前記プレートのうちの1つのみが可撓性である、本発明1137~1150のいずれかの装置。
[本発明1152]
関連のある体積の試料中の標的実体をプレート表面上の結合部位上に結合するための時間を短縮するための方法であって、
(a)試料中に拡散できる標的実体を含有する試料を取得するステップ、
(b)異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを取得するステップであって、1つ又は2つの前記プレートは、それぞれのプレート上に固定されたスペーサを含み、1つ又は2つのプレートは可撓性であり、前記スペーサは、所定の実質的に均一な高さ、及び所定の一定のスペーサ間の距離を有し、第1のプレートはその表面に結合部位を含み、前記結合部位は所定の領域を有し、かつ前記標的実体に結合してそれを固定化する、ステップ、
(c)前記プレートが開放構成で構成されている時に、前記試料を前記プレートの1つ又は2つに付着させるステップであって、前記開放構成は、前記2つのプレートが部分的又は完全に離れておりかつ前記プレート間の間隔が前記スペーサにより調節されない、構成である、ステップ、
(d)(c)の後、前記2つのプレートを閉鎖構成にすることにより前記試料を圧縮するステップであって、前記閉鎖構成は、関連のある体積の前記試料の厚さが前記プレートの開放構成での厚さと比較して減少し実質的に均一な厚さの層となる、構成であり、前記実質的に均一な厚さの層が、少なくとも1mm2の側面積を有し、前記実質的に均一な厚さの層が、前記2つのプレートの内表面により制限され、かつ前記結合部位を被覆し、前記層の均一な厚さが、前記スペーサ及び前記プレートにより調節され、250μmより小さく、かつ前記結合部位の前記所定の領域の直線寸法より実質的に小さく、前記関連のある体積は、前記試料の体積の一部又は全部である、ステップ
を含み、
前記関連のある体積の前記試料の厚さを減少させることによって、前記結合部位と前記関連のある体積中の前記標的実体との間の結合が平衡に達するための時間が短縮される、方法。
[本発明1153]
前記試料の厚さの少なくとも一部を減少させるステップを含む、本発明1152の方法。
[本発明1154]
前記所定の領域は少なくとも1mm2である、本発明1152又は1153の方法。
[本発明1155]
前記所定の領域は1mm2未満である、本発明1152~1154のいずれかの方法。
[本発明1156]
前記結合部位に結合した前記標的実体を評価するステップをさらに含み、前記評価するステップは、分析物が前記均一な厚さの層の厚さにわたって拡散するのに必要な時間とほぼ等しいか又はそれより長い時間で前記試料がインキュベートされた後に開始される、本発明1152~1155のいずれかの方法。
[本発明1157]
前記時間が60秒未満に短縮される、本発明1152~1156のいずれかの方法。
[本発明1158]
前記関連のある体積の試料中の分析物の濃度を計算するステップをさらに含み、前記計算は、前記結合部位の所定の領域により画定された関連のある試料体積、前記閉鎖構成での前記均一な試料の厚さ、及び前記結合部位に結合した評価された前記標的実体に基づく、本発明1118~1157のいずれかの方法。
[本発明1159]
前記標的実体は、捕捉剤、分析物、又は検出剤である、本発明1152~1158のいずれかの方法。
[本発明1160]
分析物結合部位における試料の体積は、前記結合部位の所定の面積と所定のスペーサの高さとの乗算値にほぼ等しい、本発明1152~1159のいずれかの方法。
[本発明1161]
前記第1のプレートは、その表面に第1の結合部位及び第2の結合部位を含み、前記結合部位の縁部間の距離は、前記プレートが閉鎖位置にある時の前記均一な厚さの層の厚さよりも実質的に大きく、前記均一な厚さの層の少なくとも一部は、前記結合部位の上にあり、前記試料は、前記試料中に拡散できる1つ以上の分析物を有する、本発明1152~1160のいずれかの方法。
[本発明1162]
前記第1の結合部位における第1の分析物を評価するステップ、及び前記第2の結合部位における第2の分析物をアッセイするステップを含む、本発明1152~1161のいずれかの方法。
[本発明1163]
前記第1の結合部位及び前記第2の結合部位における同じ分析物をアッセイするステップを含む、本発明1152~1162のいずれかの方法。
[本発明1164]
前記第1のプレートは、その表面に少なくとも3つの分析物結合部位をさらに有し、任意の2つの隣接した結合部位の縁部間の距離は、前記プレートが閉鎖位置にある時の前記均一な厚さの層の厚さよりも実質的に大きく、前記均一な厚さの層の少なくとも一部は、前記結合部位の上にあり、前記試料は、前記試料中に拡散できる1つ以上の分析物を有する、本発明1152~1163のいずれかの方法。
[本発明1165]
各前記結合部位内における異なる分析物をアッセイするステップを含む、本発明1164の方法。
[本発明1166]
各前記結合部位は、サブ分析物結合部位をさらに含み、少なくとも2つの隣接したサブ分析物結合部位は、前記プレートが閉鎖位置にある時の前記均一な厚さの層の厚さ未満で離れており、前記均一な厚さの層の少なくとも一部は、前記結合部位の上にあり、かつ前記試料は、前記試料中に拡散できる1つ以上の分析物を有する、本発明1164の方法。
[本発明1167]
前記結合部位は、1対の電極の間にある、本発明1152~1166のいずれかの方法。
[本発明1168]
前記結合部位は、乾燥試薬の1つのパッチにより画定される、本発明1152~1167のいずれかの方法。
[本発明1169]
前記結合部位は、前記分析物に結合してそれを固定化する、本発明1152~1168のいずれかの方法。
[本発明1170]
前記結合部位は、前記分析物からの信号を増幅する、本発明1152~1169のいずれかの方法。
[本発明1171]
前記結合部位は、結合試薬の1つのパッチにより画定され、前記結合試薬は、前記試料と接触すると、前記試料中に溶解して前記試料中に拡散しかつ前記分析物と結合する、本発明1152~1170のいずれかの方法。
[本発明1172]
前記試料の厚さは、200μmよりも小さい、本発明1152~1171のいずれかの方法。
[本発明1173]
前記プレートが前記閉鎖構成にある時に、前記第1のプレートと前記第2のプレートは、互いに対向する位置に複数の貯蔵部位を含む、本発明1152~1172のいずれかの方法。
[本発明1174]
前記均一な厚さに対する前記結合部位の直線寸法の比は5よりも大きい、本発明1152~1173のいずれかの方法。
[本発明1175]
前記反応は60秒未満で飽和する、本発明1152~1174のいずれかの方法。
[本発明1176]
前記関連のある時間は、60秒~30分間の範囲内にある、本発明1152~1175のいずれかの方法。
[本発明1177]
ステップe(i)において、インキュベーションを停止した後、前記結合部位に結合した前記標的実体を評価することを含む、本発明1152~1176のいずれかの方法。
[本発明1178]
1回以上の洗浄を含む、本発明1152~1177のいずれかの方法。
[本発明1179]
第1のプレート及び第2のプレート
を含み、
i.前記プレートは、異なる構成になるように互いに対して移動可能であり、1つ又は2つのプレートは可撓性であり、
iii.各前記プレートは、そのそれぞれの表面に試料と接触するための試料接触領域を有し、前記試料は、前記試料中に拡散できる実体を含み、
iv.前記プレートの1つは、その試料接触領域上に結合部位を有し、前記結合部位は所定の領域を有し、かつ標的実体に結合してそれを固定化し、
v.1つ又は2つの前記プレートは、それぞれのプレートに固定されたスペーサを含み、前記スペーサは、所定の実質的に均一な高さ、及び所定の一定のスペーサ間の距離を有し、かつ前記スペーサの少なくとも1つは、前記試料接触領域内にあり、
1つの構成は、前記2つのプレートが部分的又は完全に離れており前記プレート間の間隔が前記スペーサにより調節されずかつ前記試料が前記1つ又は2つのプレートに付着する、開放構成であり、かつ
別の構成は、前記試料が前記開放構成で付着した後に構成された閉鎖構成であり、前記閉鎖構成では、前記試料の少なくとも一部は、前記2つのプレートにより圧縮されて均一な厚さの層になり、前記均一な厚さの層の少なくとも一部は、前記結合部位の上にあり、かつ前記層の均一な厚さは、前記2つのプレートの内表面により制限され、前記プレート及び前記スペーサにより調節され、250μmより小さく、かつ前記結合部位の所定の領域の平均直線寸法より実質的に小さく、かつ
関連のある体積の前記試料の厚さを減少させることによって、前記結合部位と前記関連のある体積中の前記標的実体との間の結合が平衡に達するための時間が短縮される、液体試料の一部において前記標的実体を局所的に結合するための装置。
[本発明1180]
前記第1のプレートは、その表面に第1の結合部位及び第2の結合部位を含み、前記結合部位の縁部間の距離は、前記プレートが閉鎖位置にある時の前記均一な厚さの層の厚さよりも実質的に大きく、前記均一な厚さの層の少なくとも一部は、前記結合部位の上にあり、前記試料は、前記試料中に拡散できる1つ以上の分析物を有する、本発明1179の装置。
[本発明1181]
前記第1のプレートは、その表面に少なくとも3つの分析物結合部位を有し、任意の2つの隣接した結合部位の縁部間の距離は、前記プレートが閉鎖位置にある時の前記均一な厚さの層の厚さよりも実質的に大きく、前記均一な厚さの層の少なくとも一部は、前記結合部位の上にあり、前記試料は、前記試料中に拡散できる1つ以上の分析物を有する、本発明1179の装置。
[本発明1182]
前記第1のプレートは、その表面に少なくとも2つの隣接した分析物結合部位を有し、前記分析物結合部位は、前記プレートが閉鎖位置にある時の均一な厚さの層の厚さよりも実質的に大きな距離で離れておらず、前記均一な厚さの層の少なくとも一部は、前記結合部位の上にあり、かつ前記試料は、前記試料中に拡散できる1つ以上の分析物を有する、本発明1179の装置。
[本発明1183]
前記結合部位は、乾燥試薬の1つのパッチにより画定される、本発明1179~1182のいずれかの装置。
[本発明1184]
前記結合部位は、前記分析物に結合してそれを固定化する、本発明1179~1183のいずれかの装置。
[本発明1185]
前記結合部位は、結合試薬の1つのパッチにより画定され、前記結合試薬は、前記試料と接触すると、前記試料中に溶解して前記試料中に拡散しかつ分析物と結合する、本発明1179~1184のいずれかの装置。
[本発明1186]
前記スペーサ間の距離は、14μm~200μmの範囲内にある、本発明1179~1185のいずれかの装置。
[本発明1187]
前記スペーサ間の距離は、7μm~20μmの範囲内にある、本発明1179~1186のいずれかの装置。
[本発明1188]
前記スペーサは、円形、多角形、環形、正方形、長方形、長円形、楕円形、又はそれらの任意の組み合わせから選択される断面形状を有する柱状のものである、本発明1179~1187のいずれかの装置。
[本発明1189]
前記スペーサは、柱形状を有し、かつ実質的に平坦な上面を有し、各スペーサについて、前記スペーサの高さに対するその横方向寸法の比は少なくとも1である、本発明1179~1188のいずれかの装置。
[本発明1190]
前記スペーサは柱形状を有し、前記スペーサの側壁角は、少なくとも1μmの曲率半径を有する円形状を有する、本発明1179~1189のいずれかの装置。
[本発明1191]
前記スペーサの密度は少なくとも1000/mm2である、本発明1179~1190のいずれかの装置。
[本発明1192]
前記プレートの少なくとも1つは透明である、本発明1179~1191のいずれかの装置。
[本発明1193]
前記プレートの少なくとも1つは可撓性ポリマーで製造される、本発明1179~1192のいずれかの装置。
[本発明1194]
前記プレートのうちの1つのみが可撓性である、本発明1179~1193のいずれかの装置。
[本発明1195]
流体的隔離無しでの液体試料の並行多重化アッセイのための方法であって、
(a)試料中に拡散できる1つ以上の標的分析物を含有する前記試料を取得するステップ、
(b)異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを取得するステップであって、
i.1つ又は2つの前記プレートは、それぞれのプレートに固定されたスペーサを含み、1つ又は2つのプレートは可撓性であり、
ii.前記スペーサは、所定の実質的に均一な高さ、及び所定の一定のスペーサ間の距離を有し、
iii.第1のプレートは、その表面に1つ以上の結合部位を有し、前記結合部位はそれぞれ、(a)の対応する標的分析物に結合してそれを固定化する捕捉剤を含む所定の領域を有し、かつ
iv.第2のプレートは、その表面に1つ以上の対応する貯蔵部位を有し、前記貯蔵部位はそれぞれ、所定の領域を有しかつある濃度の検出剤を含み、前記検出剤は、前記試料に接触すると前記試料中に溶解して前記試料中に拡散し、
各捕捉剤、標的分析物、及び対応する検出剤は、第1のプレートの結合部位に捕捉剤-標的分析物-検出剤サンドイッチを形成できる、ステップ、
(c)前記プレートが開放構成で構成されている時に、前記試料を前記プレートの1つ又は2つに付着させるステップであって、前記開放構成は、前記2つのプレートが部分的又は完全に離れておりかつ前記プレート間の間隔が前記スペーサにより調節されない、構成である、ステップ、
(d)(c)の後、前記2つのプレートを閉鎖構成にすることにより前記試料を圧縮するステップであって、前記閉鎖構成は、
i.前記試料の少なくとも一部が、圧縮されて均一な厚さの層になり、前記均一な厚さの層が、前記2つのプレートの内表面に接触し前記内表面によって制限され、かつ1つ以上の前記結合部位及び1つ以上の前記貯蔵部位に接触し、
ii.1つ以上の対応する前記貯蔵部位が、1つ以上の前記結合部位の上にあり、かつ
iii.前記層の均一な厚さが、前記スペーサ及び前記プレートにより調節され、250μmより小さく、かつ各貯蔵部位の所定の領域の直線寸法より実質的に小さい
構成である、ステップ、
(e)(d)の後かつ前記プレートが前記閉鎖構成にある間に、
(1)関連のある時間長さで前記試料をインキュベートし、次にインキュベーションを停止するステップ、あるいは、
(2)関連のある時間長さの最小値以上の時間で前記試料をインキュベートし、次に、前記関連のある時間長さの最大値以下の時間内に結合部位への各標的分析物の結合を評価するステップ
であって、
前記関連のある時間長さは、
i.前記閉鎖構成において(a)の標的分析物が均一な厚さの層の厚さにわたって拡散するのに必要な時間以上であり、かつ、
ii.(a)の標的分析物が貯蔵部位又は結合部位の所定の領域の最小直線寸法にわたって横方向に拡散するのに必要な時間より顕著に短く、
それにより、反応が生じ、前記反応において、(1)におけるインキュベーションの終了時又は(2)における評価の間、各結合部位に結合した捕捉剤-標的分析物-検出剤サンドイッチの大部分が、対応する関連のある体積の前記試料に由来し、
前記インキュベーションにより、各標的分析物が結合部位及び検出剤に結合することが可能となり、前記対応する関連のある体積は、前記閉鎖構成での対応する前記貯蔵部位の上部にある前記試料の一部分であり、隣接した前記貯蔵部位の縁部間の分離間隔及び隣接した前記結合部位の縁部間の分離間隔が、前記関連のある時間内で標的分析物又は検出剤が拡散できる距離より大きく、前記結合部位及び/又は前記貯蔵部位の間に流体的隔離が存在しない、ステップ
を含む、方法。
[本発明1196]
前記第1のプレートは、その表面に複数の前記結合部位を有する、本発明1195の方法。
[本発明1197]
前記複数の結合部位のそれぞれは、異なる標的分析物に結合する、本発明1196の方法。
[本発明1198]
前記第2のプレートは、その表面に複数の前記対応する貯蔵部位を有する、本発明1195~1197のいずれかの方法。
[本発明1199]
前記複数の対応する貯蔵部位のそれぞれは、異なる標的分析物に結合する、本発明1195~1198のいずれかの方法。
[本発明1200]
前記第1のプレートは、その表面に複数の前記結合部位を有し、前記第2のプレートは、その表面に複数の前記対応する貯蔵部位を有し、前記プレートが前記閉鎖構成にある時に各結合部位は対応する貯蔵部位に対向する、本発明1195~1199のいずれかの方法。
[本発明1201]
前記第1のプレートは、その表面に複数の前記結合部位を有し、前記第2のプレートは、その表面に1つの貯蔵部位を有し、前記プレートが前記閉鎖構成にある時に前記結合部位のうちの少なくともいくつかの結合部位は、前記貯蔵部位内の1つの領域に対向する、本発明1195~1200のいずれかの方法。
[本発明1202]
前記第1のプレートは、その表面に1つの結合部位を有し、前記第2のプレートは、その表面に複数の貯蔵部位を有し、前記プレートが前記閉鎖構成にある時に少なくともいくつかの前記貯蔵部位は、前記結合部位内の1つの領域に対向する、本発明1195~1201のいずれかの方法。
[本発明1203]
前記第1のプレートは、その表面に複数の結合部位を有し、前記結合部位は、同じ標的分析物に結合してそれを固定化する異なる捕捉剤を含む、本発明1195~1202のいずれかの方法。
[本発明1204]
前記第1のプレートは、その表面に複数の結合部位を有し、前記結合部位は、同じ捕捉剤を含む、本発明1195~1203のいずれかの方法。
[本発明1205]
前記捕捉剤は、前記異なる結合部位において異なる密度で存在する、本発明1204の方法。
[本発明1206]
2つの隣接した結合部位又は2つの隣接した貯蔵部位の間に分離間隔が存在し、前記閉鎖構成での前記試料の厚さに対する分離間隔の比は少なくとも3である、本発明1195~1205のいずれかの方法。
[本発明1207]
前記関連のある体積の試料中の1つ以上の分析物の濃度を計算するステップをさらに含み、前記計算は、所定の領域により画定された関連のある試料体積、前記閉鎖構成での前記均一な試料の厚さ、及び検出された標的実体の量に基づく、本発明1195~1206のいずれかの方法。
[本発明1208]
前記標的実体は、捕捉剤、分析物、又は検出剤である、本発明1195~1207のいずれかの方法。
[本発明1209]
所定の領域における試料の体積は、所定の面積と所定のスペーサの高さとの乗算値にほぼ等しい、本発明1195~1208のいずれかの方法。
[本発明1210]
前記結合部位のうちの少なくとも2つの結合部位上の、前記関連のある体積中の同じ分析物をアッセイするステップを含む、本発明1195~1209のいずれかの方法。
[本発明1211]
前記結合部位のうちの少なくとも2つの結合部位上の、前記関連のある体積中の異なる分析物をアッセイするステップを含む、本発明1195~1210のいずれかの方法。
[本発明1212]
前記貯蔵部位は、乾燥試薬の複数のパッチにより画定される、本発明1195~1211のいずれかの方法。
[本発明1213]
前記貯蔵部位は結合試薬のパッチにより画定され、前記結合試薬は、前記試料と接触すると、前記試料中に溶解して前記試料中に拡散しかつ前記分析物と結合する、本発明1195~1212のいずれかの方法。
[本発明1214]
前記試料の厚さは200μmよりも小さい、本発明1195~1213のいずれかの方法。
[本発明1215]
前記均一な厚さに対する前記結合部位の直線寸法の比は5よりも大きい、本発明1195~1214のいずれかの方法。
[本発明1216]
1回以上の洗浄を含む、本発明1195~1215のいずれかの方法。
[本発明1217]
流体的隔離無しでの液体試料の並行多重化アッセイのための装置であって、
第1のプレート及び第2のプレートを含み、
i.前記プレートは、異なる構成になるように互いに対して移動可能であり、1つ又は2つのプレートは可撓性であり、
ii.1つ又は2つの前記プレートは、それぞれのプレートに固定されたスペーサを含み、前記スペーサは、所定の実質的に均一な高さ、及び所定の一定のスペーサ間の距離を有し、
iii.各前記プレートは、そのそれぞれの表面に試料と接触するための試料接触領域を有し、前記試料は、前記試料中に拡散できる1つ以上の標的分析物を含み、
iv.前記第1のプレートは、その表面に、前記試料の対応する標的分析物に結合してそれを固定化する捕捉剤を含む所定の領域をそれぞれが有する1つ以上の結合部位を有し、かつ
v.第2のプレートは、その表面上に1つ以上の対応する貯蔵部位を有し、前記貯蔵部位はそれぞれ、所定の領域を有し、かつある濃度の検出剤を含み、前記検出剤は、前記試料に接触すると前記試料中に溶解して前記試料中に拡散し、
各捕捉剤、標的分析物、及び対応する検出剤は、第1のプレートの結合部位に捕捉剤-標的分析物-検出剤サンドイッチを形成でき、
1つの構成は、前記2つのプレートが部分的又は完全に離れており前記プレート間の間隔が前記スペーサにより調節されずかつ前記試料が1つ又は2つの前記プレートに付着する、開放構成であり、かつ
別の構成は、前記試料が前記開放構成で付着した後に構成された閉鎖構成であり、前記閉鎖構成では、
i.試料の少なくとも一部が、圧縮されて均一な厚さの層になり、前記均一な厚さの層が、前記2つのプレートの内表面に接触し前記内表面によって制限され、かつ1つ以上の前記結合部位及び1つ以上の前記貯蔵部位を被覆し、
ii.1つ以上の対応する前記貯蔵部位が、1つ以上の前記結合部位の上にあり、かつ
iii.前記層の均一な厚さが、前記スペーサ及び前記プレートにより調節され、250μmより小さく、かつ各貯蔵部位の所定の領域の直線寸法より実質的に小さく、かつ
iv.前記結合部位及び/又は前記貯蔵部位の間に流体的隔離が存在せず、
隣接した前記貯蔵部位の縁部間の分離間隔及び隣接した前記結合部位の縁部間の分離間隔が、関連のある時間内で標的分析物又は検出剤が拡散できる距離より大きく、前記結合部位及び/又は前記貯蔵部位の間に流体的隔離が存在しない、装置。
[本発明1218]
前記第1のプレートは、その表面に複数の前記結合部位を有する、本発明1217の装置。
[本発明1219]
前記複数の結合部位のそれぞれは、異なる標的分析物に結合する、本発明1217又は1218の装置。
[本発明1220]
前記第2のプレートは、その表面に複数の前記対応する貯蔵部位を有する、本発明1217~1219のいずれかの装置。
[本発明1221]
前記複数の対応する貯蔵部位のそれぞれは、異なる標的分析物に結合する、本発明1217~1220のいずれかの装置。
[本発明1222]
前記第1のプレートは、その表面に複数の前記結合部位を有し、前記第2のプレートは、その表面に複数の前記対応する貯蔵部位を有し、前記プレートが前記閉鎖構成にある時に各結合部位は対応する貯蔵部位に対向する、本発明1217~1221のいずれかの装置。
[本発明1223]
前記第1のプレートは、その表面に複数の前記結合部位を有し、前記第2のプレートは、その表面に1つの貯蔵部位を有し、前記プレートが前記閉鎖構成にある時に前記結合部位のうちの少なくともいくつかの結合部位は、前記貯蔵部位内の1つの領域に対向する、本発明1217~1222のいずれかの装置。
[本発明1224]
前記第1のプレートは、その表面に1つの結合部位を有し、前記第2のプレートは、その表面に複数の貯蔵部位を有し、前記プレートが前記閉鎖構成にある時に前記貯蔵部位のうちの少なくともいくつかの貯蔵部位は、前記結合部位内の1つの領域に対向する、本発明1217~1223のいずれかの装置。
[本発明1225]
前記第1のプレートは、その表面に複数の結合部位を有し、前記結合部位は、同じ標的分析物に結合してそれを固定化する異なる捕捉剤を含む、本発明1217~1224のいずれかの装置。
[本発明1226]
前記第1のプレートは、その表面に複数の結合部位を有し、前記結合部位は、同じ捕捉剤を含む、本発明1217~1225のいずれかの装置。
[本発明1227]
異なる前記結合部位において前記捕捉剤が異なる密度で存在する、本発明1226の装置。
[本発明1228]
2つの隣接した結合部位又は2つの隣接した貯蔵部位の間に分離間隔が存在し、前記閉鎖構成での前記試料の厚さに対する分離間隔の比は少なくとも3である、本発明1217~1227のいずれかの装置。
[本発明1229]
前記スペーサ間の距離は、1μm~120μmの範囲内にある、本発明1217~1228のいずれかの装置。
[本発明1230]
前記可撓性プレートは、20μm~250μmの範囲内の厚さ、0.1GPa~5GPaの範囲内のヤング率を有する、本発明1217~1229のいずれかの装置。
[本発明1231]
前記可撓性プレートについて、前記可撓性プレートの厚さと前記可撓性プレートのヤング率との乗算値は、60~750GPa-μmの範囲内にある、本発明1217~1230のいずれかの装置。
[本発明1232]
前記均一な厚さの試料の層は、少なくとも1mm2の側面積にわたって均一である、本発明1217~1231のいずれかの装置。
[本発明1233]
前記均一な厚さの試料の層は、±5%までの厚さ均一性を有する、本発明1217~1232のいずれかの装置。
[本発明1234]
前記スペーサは、円形、多角形、環形、正方形、長方形、長円形、楕円形、又はそれらの任意の組み合わせから選択される断面形状を有する柱状のものである、本発明1217~1233のいずれかの装置。
[本発明1235]
前記スペーサは、柱形状を有し、実質的に平坦な上面を有し、かつ実質的に均一な断面を有し、各スペーサについて、前記スペーサの高さに対するその横方向寸法の比は少なくとも1である、本発明1217~1234のいずれかの装置。
[本発明1236]
前記スペーサ間の距離は周期的である、本発明1217~1235のいずれかの装置。
[本発明1237]
前記スペーサは1%以上の充填率を有し、前記充填率は、全プレート面積に対するスペーサ接触面積の比である、本発明1217~1236のいずれかの装置。
[本発明1238]
前記スペーサのヤング率と前記スペーサの充填率との乗算値は、20MPa以上であり、前記充填率は、全プレート面積に対するスペーサ接触面積の比である、本発明1217~1237のいずれかの装置。
[本発明1239]
前記閉鎖構成での前記2つのプレートの間の間隔は200μmよりも小さい、本発明1217~1238のいずれかの装置。
[本発明1240]
前記閉鎖構成での前記2つのプレートの間の間隔は、1.8μm~3.5μmから選択される値である、本発明1217~1239のいずれかの装置。
[本発明1241]
前記スペーサは、プレートを直接的にエンボス加工することにより又は前記プレートへの射出成形により、前記プレート上で固定される、本発明1217~1240のいずれかの装置。
[本発明1242]
前記プレート及び前記スペーサの材料は、ポリスチレン、PMMA、PC、COC、COP、又は他種のプラスチックから選択される、本発明1217~1241のいずれかの装置。
[本発明1243]
前記スペーサは柱形状を有し、前記スペーサの側壁角は、少なくとも1μmの曲率半径を有する円形状を有する、本発明1217~1242のいずれかの装置。
[本発明1244]
前記スペーサの密度は少なくとも1000/mm2である、本発明1217~1243のいずれかの装置。
[本発明1245]
前記プレートの少なくとも1つは透明である、本発明1217~1244のいずれかの装置。
[本発明1246]
携帯電話を用いて試料を迅速に分析するためのシステムであって、
(a)CROF装置の1つ又は2つのプレートが、異なる構成になるように互いに対して移動可能であり、
i.1つの構成は、前記2つのプレートが部分的又は完全に離れており前記プレート間の間隔がスペーサにより調節されずかつ前記試料が1つ又は2つの前記プレートに付着する、開放構成であり、かつ
ii.別の構成は、前記試料が前記開放構成で付着した後に構成された閉鎖構成であり、前記閉鎖構成では、前記試料の少なくとも一部は、前記2つのプレートにより圧縮されて均一な厚さの層になり、前記均一な厚さの層は、前記2つのプレートの内表面に接触しかつ前記内表面により制限され、前記プレート及び前記スペーサにより調節される、CROF装置と、
(b)i.前記試料を検出及び/又は画像化するための1つ以上のカメラ、
ii.検出された信号及び/又は前記試料の画像を受信及び/又は処理するため、並びに遠隔通信するための電子部品、信号プロセッサ、ハードウェア、及びソフトウェア
を含むモバイル通信装置と、
(c)前記モバイル通信装置又は外部源のいずれか一方からの光源と
を含む、システム。
[本発明1247]
1つの前記プレートは、分析物に結合する結合部位を有し、前記均一な試料厚さの層の少なくとも一部は、前記結合部位の上にあり、かつ前記結合部位の平均横方向直線寸法よりも実質的に小さい、本発明1246のシステム。
[本発明1248]
(d)前記試料を保持するようかつ前記モバイル通信装置に取り付けられるように構成されたハウジング
をさらに含む、本発明1246又は1247のシステム。
[本発明1249]
前記ハウジングは、前記モバイル通信装置により前記試料の画像化及び/又は信号処理を容易にするための光学部品類と、前記光学部品類を前記モバイル通信装置に保持するように構成された取り付け具とを含む、本発明1248のシステム。
[本発明1250]
前記モバイル通信装置は、医療専門家、医療機関、又は保険会社に検査結果を伝達するように構成される、本発明1246~1249のいずれかのシステム。
[本発明1251]
前記モバイル通信装置は、医療専門家、医療機関、又は保険会社に被験者に関する情報を伝達するようにさらに構成される、本発明1250のシステム。
[本発明1252]
前記モバイル通信装置は、医療専門家から処方せん、診断、又は助言を受信するように構成される、本発明1246~1251のいずれかのシステム。
[本発明1253]
前記モバイル通信装置は、
(a)前記試料の画像をキャプチャするための、
(b)画像内において検査位置及び対照位置を分析するための、及び
(c)前記検査位置の分析から取得された値と、迅速診断検査を特徴付ける閾値とを比較するための
ハードウェア及びソフトウェアで構成される、本発明1246~1252のいずれかのシステム。
[本発明1254]
前記プレートの少なくとも1つは、アッセイ試薬が貯蔵された貯蔵部位を含む、本発明1246~1253のいずれかのシステム。
[本発明1255]
前記カメラの少なくとも1つは、前記CROF装置からの信号を読み取る、本発明1246~1254のいずれかのシステム。
[本発明1256]
前記モバイル通信装置は、WiFi又はセルラネットワークを介して遠隔地と通信する、本発明1246~1255のいずれかのシステム。
[本発明1257]
前記モバイル通信装置は携帯電話である、本発明1246~1255のいずれかのシステム。
[本発明1258]
携帯電話を用いて試料を迅速に分析するための方法であって、
(a)本発明1246~1257のいずれかのシステムのCROF装置上に、試料を付着させるステップ、
(b)結果を生成するために、前記CROF装置上に付着した前記試料をアッセイするステップ、及び
(c)モバイル通信装置からの前記結果を前記モバイル通信装置から遠く離れた位置に伝達するステップ
を含む、方法。
[本発明1259]
遠隔地で前記結果を分析して、分析結果を提供するステップ、及び
前記分析結果を前記遠隔地から前記モバイル通信装置に伝達するステップ
を含む、本発明1258の方法。
[本発明1260]
前記分析は、遠隔地の医療専門家により行われる、本発明1258又は1259の方法。
[本発明1261]
前記モバイル通信装置は、遠隔地の医療専門家から処方せん、診断、又は助言を受信する、本発明1258~1260のいずれかの方法。
[本発明1262]
前記試料は体液である、本発明1259~1261のいずれかの方法。
[本発明1263]
前記試料は、血液、唾液、又は尿液である、本発明1259~1262のいずれかの方法。
[本発明1264]
前記アッセイするステップは、前記試料中の分析物を検出するステップを含む、本発明1259~1263のいずれかの方法。
[本発明1265]
前記分析物はバイオマーカーである、本発明1264の方法。
[本発明1266]
前記分析物は、タンパク質、核酸、細胞、又は代謝産物である、本発明1264の方法。
[本発明1267]
赤血球の数を計数するステップを含む、本発明1259~1266のいずれかの方法。
[本発明1268]
白血球の数を計数するステップを含む、本発明1259~1267のいずれかの方法。
[本発明1269]
前記試料中の細胞を染色するステップ、並びに好中球、リンパ球、単球、好酸球、及び好塩基球の数を計数するステップを含む、本発明1259~1268のいずれかの方法。
[本発明1270]
ステップ(b)において行われるアッセイは、結合アッセイ又は生化学的アッセイである、本発明1259~1269のいずれかの方法。
[本発明1271]
(a)試料中に拡散できる分析物を含有する前記試料を取得するステップ、
(b)異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを取得するステップであって、1つ又は2つの前記プレートは、それぞれのプレートに固定されたスペーサを含み、前記スペーサは所定の均一な高さを有し、前記第1のプレートは、その表面に、所定の領域を有する分析物アッセイ領域を含む、ステップ、
(c)前記プレートが開放構成で構成されている時に、前記試料を前記プレートの1つ又は2つに付着させるステップであって、前記開放構成は、前記2つのプレートが部分的又は完全に離れておりかつ前記プレート間の間隔が前記スペーサにより調節されない、構成である、ステップ、
(d)(c)の後、前記2つのプレートを用いて、前記試料の少なくとも一部を圧縮して均一な厚さの層にするステップであって、前記均一な厚さの層は、前記2つのプレートの内表面により制限され、前記層の少なくとも一部は、前記分析物アッセイ領域の上にあり、かつ前記層の均一な厚さは、前記スペーサ及び前記プレートにより調節され、かつ分析物アッセイ領域の所定の横方向領域の直線寸法より実質的に小さく、前記圧縮は、
前記2つのプレートを一体にすること、及び
前記プレートを一緒に閉鎖構成までプレスするために、前記プレートの外表面に外力を加えること
を含み、前記力は、前記試料の少なくとも一部の上の前記プレート上に圧力を生成し、前記圧力は、前記試料の少なくとも一部を前記プレートの内表面の間に横方向に広げ、前記閉鎖構成は、均一な厚さ領域の前記層内の前記プレート間の間隔が前記スペーサにより調節される構成である、ステップ、
(e)前記プレートが閉鎖構成にある間に、(i)前記分析物が前記均一な厚さの層の厚さにわたって拡散するのに必要な時間とほぼ等しいか又はそれより長い時間で、かつ(i)前記分析物が前記分析物アッセイ領域にわたって拡散するのに必要な時間より顕著に短い時間で、前記試料をインキュベートするステップ、
(f)ステップ(e)の直後に、インキュベーションを停止して前記アッセイ領域内の分析物を計測するステップ、あるいは、前記プレートが閉鎖構成にある間にインキュベーションを続けて、前記分析物が前記分析物アッセイ領域にわたって拡散するのに必要な時間より顕著に短い時間で前記アッセイ領域内の前記分析物を計測するステップ
を含む、液体試料を分析するための方法。
[本発明1272]
(g)前記アッセイ領域における試料層内の試料の体積における分析物濃度を計算するステップをさらに含む、本発明1271の方法。
[本発明1273]
前記アッセイ領域における試料層内の試料の体積は、所定のアッセイ領域と所定のスペーサの高さとの乗算値にほぼ等しい、本発明1271又は1272の方法。
[本発明1274]
前記第1のプレートは、第1のアッセイ領域及び第2のアッセイ領域を含み、前記方法は、前記第1のアッセイ領域及び第2のアッセイ領域における同じ分析物をアッセイするステップを含む、本発明1271~1273のいずれかの方法。
[本発明1275]
前記分析物アッセイ領域は、1対の電極の間にある、本発明1271~1274のいずれかの方法。
[本発明1276]
前記アッセイ領域は、乾燥試薬の1つのパッチにより画定される、本発明1271~1275のいずれかの方法。
[本発明1277]
前記アッセイ領域は、前記分析物に結合してそれを固定化する、本発明1271~1276のいずれかの方法。
[本発明1278]
前記アッセイ領域は結合試薬の1つのパッチにより画定され、前記結合試薬は、前記試料と接触すると、前記試料中に溶解して前記試料中に拡散しかつ前記分析物と結合する、本発明1271~1277のいずれかの方法。
[本発明1279]
前記第1のプレートは、その表面に複数の分析物アッセイ部位をさらに有し、2つの隣接したアッセイ部位の縁部間の距離は、前記プレートが閉鎖位置にある時の前記均一な厚さの層の厚さよりも実質的に大きく、前記均一な厚さの層の少なくとも一部は、前記アッセイ部位の上にあり、前記試料は、前記試料中に拡散できる1つ以上の分析物を有する、本発明1271~1278のいずれかの方法。
[本発明1280]
前記隣接した部位のうちの少なくとも2つの部位は、互いに離されておらず、前記部位の間の分析物の拡散を防止する、本発明1279の方法。
[本発明1281]
前記試料の厚さは200μmよりも小さい、本発明1271~1280のいずれかの方法。
[本発明1282]
前記プレートが前記閉鎖構成にある時に、前記第1のプレートと前記第2のプレートは、互いに対向する位置に複数の貯蔵部位を含む、本発明1271~1281のいずれかの方法。
[本発明1283]
前記均一な厚さに対する前記結合部位の直線寸法の比は5よりも大きい、本発明1271~1282のいずれかの方法。
[本発明1284]
前記反応は60秒未満で飽和する、本発明1271~1283のいずれかの方法。
[本発明1285]
前記関連のある時間は、60秒~30分間の範囲内にある、本発明1271~1284のいずれかの方法。
[本発明1286]
ステップe(i)において、前記インキュベーションを停止した後、前記結合部位に結合した前記標的実体を評価することを含む、本発明1271~1285のいずれかの方法。
[本発明1287]
1回以上の洗浄を含む、本発明1271~1286のいずれかの方法。
[本発明1288]
前記スペーサ間の距離は、14μm~200μmの範囲内にある、本発明1271~1287のいずれかの方法。
[本発明1289]
前記スペーサ間の距離は、7μm~20μmの範囲内にある、本発明1271~1288のいずれかの方法。
[本発明1290]
前記スペーサは、円形、多角形、環形、正方形、長方形、長円形、楕円形、又はそれらの任意の組み合わせから選択される断面形状を有する柱状のものである、本発明1271~1289のいずれかの方法。
[本発明1291]
前記スペーサは、柱形状を有し、かつ実質的に平坦な上面を有し、各スペーサについて、前記スペーサの高さに対するその横方向寸法の比は少なくとも1である、本発明1271~1290のいずれかの方法。
[本発明1292]
前記スペーサは柱形状を有し、前記スペーサの側壁角は、少なくとも1μmの曲率半径を有する円形状を有する、本発明1271~1291のいずれかの方法。
[本発明1293]
前記スペーサの密度は少なくとも1000/mm2である、本発明1271~1292のいずれかの方法。
[本発明1294]
前記プレートの少なくとも1つは透明である、本発明1271~1293のいずれかの方法。
[本発明1295]
前記プレートの少なくとも1つは可撓性ポリマーで製造される、本発明1271~1294のいずれかの方法。
[本発明1296]
前記プレートのうちの1つのみが可撓性である、本発明1271~1295のいずれかの方法。
【図面の簡単な説明】
【0034】
当業者であれば、以下に説明する図面は説明のためのものに過ぎないことを理解するであろう。図面は、決して本教示の範囲を限定することを意図しない。図面は一定の比率によるものでない可能性がある。現在の実験データポイントを示す図面において、データポイントを結ぶ線はデータの閲覧を指導するためのもののみであり、他の手段ではない。
(
図1)
図1は、CROF(圧縮調節開放流)の実施形態の図である。図(a)は、スペーサを有する第1のプレートと、第2のプレートとを示す。図(b)は、開放構成において、第1のプレート(図示)又は第2のプレート(図示せず)又はその両方(図示せず)に試料を付着させることを示す。図(c)は、(i)2つのプレートを用いて試料を広げて(試料がプレートの間で流れる)、試料の厚さを減少させることと、(ii)スペーサ及びプレートを用いて閉鎖構成における試料の厚さを調節することとを示す。各プレートの内面は、1つ以上の結合部位及び/又は貯蔵部位(図示せず)を有してもよい。
(
図2)
図2は、結合部位又は貯蔵部位を有するプレートを示す。図(a)は、結合部位を有するプレートを示す。図(b)は、試薬貯蔵部位を有するプレートを示す。図(c)は、結合部位を有する第1のプレートと、試薬貯蔵部位を有する第2のプレートとを示す。図(d)は、複数の部位(結合部位及び/又は貯蔵部位)を有するプレートを示す。
(
図3)
図3は、試料の厚さを減少させることによりアッセイインキュベーション時間を短縮する方法のフローチャート及び概略図である。図(a)は、基板表面に少なくとも1つの結合部位を有する第1のプレートを示す。図(b)は、第2のプレート(第1のプレートと異なる寸法を有してもよい)を示す。図(c)は、基板表面(図示)又はカバープレート(図示せず)又はその両方(図示せず)上に試料(標的結合実体を含む)を付着させることを示す。図(d)は、第1の及び第2のプレートを互いに向かい合うように移動させ、かつプレート間の間隔を減少させることによって試料の厚さを減少させることを示す。厚さが減少した試料をインキュベートする。試料の厚さが減少すると、インキュベーション時間が短縮される。前記方法のいくつかの実施形態は、スペーサを使用して間隔を調整し、(スペーサを)図示していない。
(
図4)
図4は、2つのプレート、スペーサ及び圧縮(断面で示されている)を使用して試料の厚さを減少させることによって結合時間又は混合時間を短縮することを示す。図(a)は、試料中の実体を固体表面上の結合部位に(X-(体積から表面))結合するための時間を短縮することを示す。図(b)は、プレートの表面に貯蔵された実体(例えば、試薬)を他の表面上の結合部位に(X-(表面から別の表面))結合するための時間を短縮することを示す。図(c)は、プレートの表面に貯蔵された試薬を該プレートと他のプレートとの間に挟まれた試料に(X-(表面から体積))添加するための時間を短縮することを示す。
(
図5)
図5は、可撓性プレートにおける局部湾曲を回避するか又は低減する方法を示す。図(a)は、所定の試料及び圧縮条件下で、可撓性プレート(第2のプレート、例えばプラスチックフィルム)に対して、スペーサ間の距離が大き過ぎ、かつ第1のプレートが剛性であると仮定すると、該プレートが、閉鎖構成において、2つの隣接するスペーサの間に局部的なたるみ(すなわち、内側に湾曲する)を有することを示す。プレート間の試料は描かれていない。図(b)は、適切なスペーサ間の距離及び適切な圧縮力を使用することによって、図(a)の可撓性プレートの局部湾曲(たるみ)を低減するか又は実質的に回避することを示す。プレート間の試料は描かれていない。
(
図6)
図6は、プレート間隔(試料の厚さ)の調整に対する大きな塵埃の影響を低減することを示す。図(a)は、2つの剛性プレートを使用する場合、スペーサの高さよりも大きい厚さを有する塵埃が、スペーサによる意図されたプレート間隔調整を破壊する可能性がある(したがって、意図された試料の厚さ調整を破壊する)ことを示す。プレート間の試料は描かれていない。図(b)は、適切な可撓性プレート及び適切なスペーサ間の距離を使用して、塵埃の影響を塵埃の周りの小さい領域に遮断し、他の領域における間に、プレート間隔(したがって、試料の厚さ)は、塵埃ではなく、スペーサによって調整されることを示す。この図における第1のプレートは剛性であり、第2のプレートは可撓性であり、スペーサが当初は第1のプレート上に固定される。図(c)は、適切な可撓性プレート及び適切なスペーサ間の距離を使用して、塵埃の影響を塵埃の周りの小さい領域に遮断し、他の領域における間に、プレート間隔(したがって、試料の厚さ)は、塵埃ではなく、スペーサによって調整されることを示す。この図における第1のプレートは剛性であり、第2のプレートは可撓性であり、スペーサが当初は第2のプレート上に固定される。
(
図7)
図7は、適切なスペーサ配置及び(複数の)可撓性プレートを使用することによってプレートの表面平坦度変動の影響を低減することを示す。図(a)は、所望の試料の厚さに比べて、表面平坦度変動が非常に大きく、それにより試料の厚さを決定する際に誤差を生じることを示す。この図において、1つのプレートのみが大きな平坦度変動を有する(実際に、2つのプレートはいずれも大きな平坦度変動を有する)。プレート間の試料は描かれていない。図(b)は、プレートの表面平坦度変動距離、λを示し、それは表面高さの局所最大値から隣接する局所最小値までの距離である。図(c)は、どのように2つのプレートの1つ又は両方を可撓性にし、かつ適切なスペーサ間の距離及び適切な圧力を使用して閉鎖構成でそれらが開放構成にある時の最初表面平坦度変動を修正することにより、小さな表面平坦度変動を実現するかを示す。プレート間の試料は描かれていない。図(d)は、可撓性第2のプレート及び適切なスペーサ間の距離を使用することにより、試料の厚さ変動をプレートの初期表面平坦度変動より小さくすることを示す。可撓性プレートと剛性プレートの輪郭は一致する。プレート間の試料は描かれていない。
(
図8)
図8は、試料の厚さ調整のためのプレート及び密閉スペーサ(ウェル)を示す。図(a)は、第1のプレート及び第2のプレートを示し、ここで、第1のプレートは密閉スペーサ(ウェル)を有する。図(b)は、開放構成において、第1のプレート(図示)又は第2のプレート(図示せず)又はその両方(図示せず)に試料を付着させることを示す。図(c)は、(i)2つのプレートを使用して試料を広げ(試料がプレートの間に流れる)かつ試料の厚さを減少させ、また(ii)スペーサ及びプレートを使用して閉鎖構成での試料の厚さを調整することを示す。
(
図9)
図9は、密閉スペーサ(ウェル)を使用して試料の厚さ調整を行う他の実施形態を示す。図(a)は、第1のプレート及び第2のプレートを示し、ここで、第1のプレートは密閉スペーサ(ウェル)を有し、ウェル内に少なくとも1つのスペーサを有する。図(b)は、開放構成において、第1のプレート(図示)又は第2のプレート(図示せず)又はその両方(図示せず)に試料を付着させることを示す。図(c)は、(i)2つのプレートを使用して試料を広げ(試料がプレートの間に流れる)かつ試料の厚さを減少させ、また(ii)スペーサ及びプレートを使用して閉鎖構成での試料の厚さを調整することを示す。図(d)は、第1のプレート及び第2のプレートの他の実施形態を示し、ここで、第1のプレートのウェルにスペーサがない。
(
図10)
図10は、本発明の例示的な実施形態、すなわち1つのプレートの1つの結合部位と他のプレートの複数の貯蔵部位を使用する単一のCROF装置における多重検出を概略的に示す。図(a)及び(b)は、それぞれ例示的な装置の斜視図及び断面図である。
(
図11)
図11は、本発明のさらなる例示的な実施形態、すなわち1枚のプレートの1つの貯蔵部位と他のプレートの複数の結合部位を使用する単一のCROF装置における多重検出を概略的に示す。図(a)及び(b)は、それぞれ例示的な装置の斜視図及び断面図である。
(
図12)
図12は、本発明のさらなる例示的な実施形態、すなわち1枚のプレートの複数の結合部位と他のプレートの複数の対応する貯蔵部位を使用する単一のCROF装置における多重検出を概略的に示す。図(a)及び(b)は、それぞれ例示的な装置の斜視図及び断面図である。
(
図13)
図13Aは、飽和インキュベーション時間が30秒未満であるアッセイを達成するために、30μmのスペーサ高さのスペーサアレイとともにCROFを使用するQMAXアッセイを概略的に示す。
図13Bは捕獲された標識対インキュベーション時間のシグナルの計測であり、
図13Aに記載のQMAXアッセイの飽和インキュベーション時間が30秒未満であることを示す。
(
図14)
図14は、洗浄あり(不均質アッセイ)また洗浄なし(均質アッセイ)での30μmのギャップ(CROF装置に対して)を有するQAX及びQMAXアッセイについての実験的に測定されたLoD(検出限界)を示す。
(
図15)
図15は、(i)ガラス基板上に少量の試料を滴下し、(ii)試料領域がCROFの閉鎖構成で拡張した場合の、上面図及び断面図を示す。
(
図16)
図16は、本明細書で使用されるいくつかの用語の意味を示す。
(
図17)
図17は、プレートにおけるスペーサ。(a)柱状スペーサのサイズが46μm×46μmでありかつ柱間の距離が54μmであり、また(b)柱状スペーサのサイズが10μm×70μmでありかつ柱間の距離が10μmの画像の上面図であり、また(c)柱状スペーサのサイズが30μm×40μmでありかつスペーサの高さが2μmであり、また(d)柱状スペーサのサイズが30μm×40μmでありかつスペーサの高さが30μmの眺望
図SEMである。
(
図18)
図18は、IDS、プレートの厚さ及び材料の、試料の厚さへの影響を示す。異なるプレート及びスペーサ材料、異なるプレートの厚さ及び異なる試料でのスペーサ間の距離(IDS)に対する、試料の厚さの偏差及び均一性の測定値を示す。CROF装置の基板は、250μm厚の未処理平面PMMA(サイズが25.4mm×25.4mmである)である。X‐プレートは、周期的な柱状スペーサアレイを含み、スペーサの高さが5μmであり、形状が長方形であり(柱の横方向のサイズが10×10μmであり、断面がほとんど均一であり、角が丸められる)、スペーサ間の距離が20μm、50μm、100μm、200μm、500μmであり、サイズが25.4mm×25.4mmのPMMA又はPSで製造される。試料は、2μLの血液(指で直接触れて滴下する)、唾液又はPBS(ピペットで滴下する)であり、CROF装置を手でハンドプレスしかつ1インチ×1インチの領域で擦り、かつプレス後に自己保持される。図において、標識
は血液試料を使用する175μm厚のPMMA用の標識であり、標識
は唾液試料を使用する175μm厚のPMMA用の標識であり、標識
はPBS試料を使用する125μm厚のPS用の標識であり、標識
は血液試料を使用する50μm厚のPMMA用の標識であり、標識
は血液試料を使用する25μm厚のPS用の標識である。
(
図19)
図19は、X‐プレートのISD
4/(h
xE)(概略図中、x=1)値に対する、試料の厚さの偏差及び均一性の測定値を示す。ISDはスペーサ間の距離であり、hは材料の高さ(厚さ)であり、Eは材料のヤング率であり、xは典型的な範囲が1~3のフィッティングパラメータである。該テストでは、CROF装置の基板は、250μm厚の未処理PMMA(サイズは25.4mm×25.4mmである)であり、X‐プレートは175μm厚の未処理PMMA、125μm厚の未処理PS、50μm厚の未処理PMMA、及び25μm厚の未処理PS(サイズは25.4mm×25.4mmである)であり、それは、周期的な柱状スペーサアレイを含み、スペーサの高さが5μmであり、形状が長方形であり(柱の横方向のサイズが10×10μmであり、断面がほとんど均一であり、角が丸められる)、スペーサ間の距離が20μm、50μm、100μm、200μm、500μmであり、試料は、2μLの血液(指で直接触れて滴下する)、唾液又はPBS(ピペットで滴下する)であり、CROF装置を手でハンドプレスしかつ1インチ×1インチの領域で擦り、かつプレス後に自己保持される。ISD
4/h
x=1/Eの計算において、PMMAのヤング率は2.5GPa、PSのヤング率は3.3GPaである。ISD
4/(hE)の値が10
6μm
3/GPaより大きい場合、CROF装置の性能は悪化する。図面において、標識
は血液試料を使用する175μm厚のPMMA用の標識であり、標識
は唾液試料を使用する175μm厚のPMMA用の標識であり、標識
はPBS試料を使用する125μm厚のPS用の標識であり、標識
は血液試料を使用する50μm厚のPMMA用の標識であり、標識
は血液試料を使用する25μm厚のPS用の標識である。
(
図20)
図20は、X-プレート上の異なる柱状スペーサのサイズ及び高さでのスペーサ間の距離に対する、試料の厚さの偏差及び均一性の測定値を示す。CROF装置の基板は、1mm厚の未処理ガラス(サイズは25.4mm×25.4mmである)であり、X‐プレートは125μm厚の未処理PS(サイズは25.4mm×25.4mmである)であり、それは、スペーサの高さが5μmであり、形状が長方形であり(柱の横方向のサイズが10×10μmであり、断面がほとんど均一であり、角が丸められる)、スペーサ間の距離が20μm、50μm、100μm、200μm、500μmである周期的な柱状スペーサアレイ
と、柱の横方向のサイズが40×40μmであり、スペーサ間の距離が60μm、150μm、及び200μmである周期的な柱状スペーサアレイ
と、スペーサの高さが12μmであり、形状が長方形であり、柱の横方向のサイズが40×40μmであり、スペーサ間の距離が150μm、200μmである周期的な柱状スペーサアレイ
と、スペーサの高さが22μmであり、形状が長方形であり、柱の横方向のサイズが40×40μmであり、スペーサ間の距離が150μm、200μmである周期的な柱状スペーサアレイ
とを含み、試料は、PBS(ピペットで滴下する)であり、5μm厚のCROFの場合は2μLの試料を使用し、12μm厚のCROFの場合は5μLの試料を使用し、22μm厚のCROFの場合は9μLの試料を使用し、CROF装置を手でハンドプレスしかつ1インチ×1インチの領域で擦り、かつプレス後に自己保持される。(図中の線は視線誘導のためのものである。)
(
図21)
図21は、全ての150μm未満の全試料についてISDを保持する間の、柱の高さに対する柱の幅の異なる比に対する、試料の厚さの偏差及び均一性の測定値を示す。CROF装置の基板は、1mm厚の未処理ガラス(サイズが25.4mm×25.4mmである)である。CROF装置を手でハンドプレスしかつ1インチ×1インチの領域で擦り、かつプレス後に自己保持される。上図における標識付きの試料は以下のとおりである。
A.(標識
の付いた)125μm厚のPSで製造されたX‐プレート、左から右へ:1:X‐プレート柱サイズ10×10μm、高さ22μm、ISD 100μm、9μL PBS緩衝液、比(w/h)=0.45;2:X‐プレート柱サイズ10×10μm、高さ12μm、ISD 100μm、5μL PBS緩衝液、比(w/h)=0.83;3:X‐プレート柱サイズ40×40μm、高さ22μm、ISD 150μm、9μL PBS緩衝液、比(w/h)=1.81;4:X‐プレート柱サイズ40×40μm、高さ5μm、ISD 100μm、2μL PBS緩衝液、比(w/h)=2;5:X‐プレート柱サイズ40×40μm、高さ12μm、ISD 150μm、5μL PBS緩衝液、比(w/h)=3.33;6:X‐プレート柱サイズ40×40μm、高さ5μm、ISD 150μm、2μL PBS緩衝液、比(w/h)=8;7:X‐プレート柱サイズ70×70μm、高さ5μm、ISD 150μm、2μL PBS緩衝液、比(w/h)=14。
B.(標識
の付いた)175μm厚のPMMAで製造されたX‐プレート、左から右へ:1:X‐プレート柱サイズ10×10μm、高さ22μm、ISD 100μm、5μL 血液、比(w/h)=0.45;2:X‐プレート柱サイズ10×10μm、高さ5μm、ISD 50μm、2μL 血液、比(w/h)=2;3:X‐プレート柱サイズ30×30μm、高さ30μm、ISD 80μm、12μL 血液、比(w/h)=1;4:X‐プレート柱サイズ30×30μm、高さ10μm、ISD 80μm、1μL 血液、比(w/h)=3;5:X‐プレート柱サイズ30×30μm、高さ2μm、ISD 80μm、1μL 血液、比(w/h)=15。
C.(標識
の付いた)50μm厚のPMMAで製造されたX‐プレート、左から右へ:1:X‐プレート柱サイズ10×10μm、高さ5μm、ISD 50μm、2μL 血液、比(w/h)=2。
D.(標識
の付いた)25μm厚のPSで製造されたX‐プレート、左から右へ:1:1:X‐プレート柱サイズ10×10μm、高さ5μm、ISD 50μm、2μL 血液、比(w/h)=2。
(
図22)
図22は、X‐プレートのスペーサ間の距離及び柱のサイズ/高さに対する、試料の厚さの偏差及び均一性の測定値を示し、CROF装置の基板は、1mm厚の未処理ガラス(サイズは25.4mm×25.4mmである)であり、X‐プレートは125μm厚の未処理PS(サイズは25.4mm×25.4mmである)であり、それは、スペーサの高さが5μmであり、形状が長方形であり、柱の横方向のサイズが10×10μmであり(断面がほとんど均一であり、角が丸められる)、スペーサ間の距離が20μm、50μm、100μm、200μm、500μmである周期的な柱状スペーサアレイ
と、柱の横方向のサイズが40×40μmであり、スペーサ間の距離が60μm、150μm、及び200μmである周期的な柱状スペーサアレイ
と、スペーサの高さが12μmであり、形状が長方形であり、柱の横方向のサイズが40×40μmであり、スペーサ間の距離が60μm、150μm、及び200μmである周期的な柱状スペーサアレイ
と、スペーサの高さが22μmであり、形状が長方形であり、柱の横方向のサイズが40×40μmであり、スペーサ間の距離が150μm及び200μmである周期的な柱状スペーサアレイ
とを含み、試料は、PBS(ピペットで滴下する)であり、5μm厚のCROFの場合は2μLの試料を使用し、12μm厚のCROFの場合は5μLの試料を使用し、22μm厚のCROFの場合は9μLの試料を使用し、CROF装置を手でハンドプレスしかつ1インチ×1インチの領域で擦り、かつプレス後に自己保持される。(図中の線は視線誘導のためのものである。)
(
図23)
図23は、一定の柱のサイズ(30×38μm)、柱の高さ(2μm)及びスペーサ間の距離(80×82μm)を有し、未処理PMMAで製造されたX-プレートの異なる厚さ(25μm~525μm)に対する、試料の厚さの偏差及び均一性の測定値を示し、ここで、基板は、1mm厚の未処理ガラス(サイズは25.4mm×25.4mmである)であり、試料は、指で直接触れて滴下した1μLの血液であり、CROF装置を手でハンドプレスしかつ1インチ×1インチの領域で擦り、かつプレス後に自己保持される。
(
図24)
図24は、測定されたCROF装置の間隔サイズの偏差/均一性(標識
の付いた親水性‐親水性及び標識
の付いた親水性‐疎水性の異なる対)を示し、血液量が0.1μL~0.5μLであり、X-プレート柱サイズ(30×38μm)、柱の高さ(2μm)及びスペーサ間の距離(80×82μm)が同じであり、ここで、基板は1mm厚のガラス(サイズが25.4mm×25.4mmである)であり、X-プレートは175μm厚のPMMAで製造され、サイズが25.4mm×25.4mmである。血液は、指で直接触れて滴下し、CROF装置を手でハンドプレスしかつ1インチ×1インチの領域で擦り、かつプレス後に自己保持される。
(
図25)
図25は、標識
の付いた1mm厚の未処理ガラス又は標識
の付いた250μm厚の未処理PMMAで製造された基板(サイズは25.4mm×25.4mmである)に対する、試料の厚さの偏差及び均一性の測定値を示し、ここで、X‐プレートは175μm厚の未処理PMMA(サイズは25.4mm×25.4mmである)であり、それは、周期的な柱状スペーサアレイを含み、スペーサの高さが5μmであり、形状が長方形であり(柱の横方向のサイズが10×10μmであり、断面がほとんど均一であり、角が丸められる)、スペーサ間の距離が50μm、100μm、200μm、500μmであり、試料は、指で直接触れて滴下する2μLの血液であり、CROF装置を手でハンドプレスしかつ1インチ×1インチの領域で擦り、かつプレス後に自己保持される。
(
図26)
図26は、異なる手によるプレス時間0秒~60秒でのテストに対する、試料の厚さの偏差及び均一性の測定値を示し、ここで、CROF装置は250μm厚の未処理PMMA(サイズは25.4mm×25.4mmである)であり、X‐プレートは175μm厚の未処理PMMA(サイズは25.4mm×25.4mmである)であり、それは、周期的な柱状スペーサアレイを含み、スペーサの高さが2μmであり、形状が長方形であり(柱の横方向のサイズが30×38μmであり、断面がほとんど均一であり、角が丸められる)、スペーサ間の距離が80μmであり、試料は、指で直接触れて滴下した1μLの血液であり、CROF装置を手でハンドプレスしかつ1インチ×1インチの領域で擦り、かつプレス後に自己保持される。
(
図27)
図27は、ランダムボールスペーサ又は規則的な柱状スペーサ(X‐プレート)を使用するための平均IDSに対する、試料の厚さの偏差及び均一性の測定値を示し、ここで、CROF装置は1mm厚の未処理ガラス(サイズは25.4mm×25.4mmである)であり、X‐プレートは175μm厚の未処理PMMA(サイズは25.4mm×25.4mmである)であり、それは、周期的な柱状スペーサアレイを含み、スペーサの高さが5μmであり、形状が長方形であり(柱の横方向のサイズが10×10μmであり、断面がほとんど均一であり、角が丸められる)、スペーサ間の距離が20μm、50μm、及び100μmであり、試料は、2μLのPBSであり、CROF装置を手でハンドプレスしかつ1インチ×1インチの領域で擦り、かつプレス後に自己保持される。前記ボールは、PBS中の平均直径が4μm(サイズ変動5%)のソーダ石灰ミクロスフェアである。マイクロスフェアは、4×10
5/μL、0.9×10
5/μL及び0.2×10
5/μLの濃度でPBS中に分布し、それぞれ20μm、50μm及び100μmのプレス後の平均スペーサ間の距離に対応する。220μm厚の未処理ガラス(サイズは25.4mm×25.4mmである)及び175μm厚の未処理PMMA(サイズは25.4mm×25.4mmである)の二種類のカバープレートを使用する。全ての装置を手でプレスしかつ1インチ×1インチの領域で擦り、かつプレス後に自己保持される。標識
はX‐プレート用の標識であり、標識
はスペーサとしてのビーズ、カバープレートとしての220μm厚のガラスプレート用の標識であり、標識
はスペーサとしてのビーズ、カバープレートとしての175μm厚のPMMAフィルム用の標識である。
(
図28)
図28は、異なるX-プレートの厚さ(25μm~350μm)と基板の厚さ(25μm~750μm)に対する、試料の厚さの偏差及び均一性の測定値を示す。X‐プレートは、一定の柱のサイズ(30×38μm)、柱の高さ(10μm)及びスペーサ間の距離(80×82μm)を有し、25μm、175μm、及び350μm厚の未処理PMMAで製造され、ここで、基板は、25μm、50μm、175μm、250μm、及び750μm厚の未処理PMMA(サイズは25.4mm×25.4mmである)で製造される。試料は、指で直接触れて滴下した4μLの血液であり、CROF装置を手でハンドプレスしかつ1インチ×1インチの領域で擦り、かつプレス後に自己保持される。図において、標識
は25μm厚のX‐プレート用の標識であり、標識
は175μm厚のX‐プレート用の標識であり、標識
は350μm厚のX‐プレート用の標識である。
(
図29)
図29は、(a)X‐装置における血球の顕微鏡写真(40×)を示し、ここで、プレート間隔(したがって、試料の厚さ)は1μm、2μm、3μm、及び5μmである。間隔が1μmであるX‐装置は、RBCの大部分(99%)を溶解し、血小板は溶解しない。間隔が2μmであるX‐装置は、各RBCを上手く分離し、かつRBCを単一層にする。間隔が3μmであるX‐装置において、いくつかの積み重ねられたRBCが観察され、間隔が5μmであるX‐装置において、より多くの積み重ねられたRBCが観察される。計数時に、単層細胞(2μmのX‐装置)が好ましい。
図29(b)は、さらに(b)CROFプレートの総側面積に対する赤血球面積(2D上面図から測定)の比を示す。プレート間隔(すなわち、サンプルの厚さ)が2μmである場合に、それは最も大きく、その原因は、2μm未満の場合にいくつかのRBCが溶解し、2μmより大きい場合にRBCが重なりかつ回転することにより、2D画像でのRBC面積が小さくなることである。
(
図30)
図30は、スマートフォンによるBCI(CROFと撮像による血球計数)の概略図(a)及び装置の写真(b)を示す。スマートフォン‐BCIを使用した血液検査では、まず1人がカードを持っていて(1)、指を刺した後(2)、カードに触れて少量の血液を指からCROFカードに直接滴下し(2)、カードを閉じ(3)、指でプレスし(4)、それを解放して、カードを光学アダプタに挿入し(5)、最後にスマートフォンを使用して該カードを撮影して、撮影された写真から、ソフトウェアは血液量、血球数及び他のパラメータを測定する(6)。(b)はリアルなスマートフォンの写真とp-BCIアダプタである。
(
図31)
図31は、異なる最終ギャップを有するCROFカード中の新鮮な未希釈全血(a)と貯蔵された未希釈全血(b)の明視野光学顕微鏡画像、及び異なる閉じ込めギャップに対応するRBC挙動の図である。刺された指から取り出された新鮮な血液は、抗凝血剤を有し、商業的供給者から貯蔵された血液は、抗凝血剤を有する。(a-1~a-6)と(b-1~b-6)において、それぞれg=2、2.2、2.6、3、5及び10μmである。(c)は、横断面と平面図の概略図を示し、(1)RBCが相互に分離し、2μmのギャップのCROFにおいて観察可能な重なりを有しないことと、(2)ギャップが2μmよりも大きいCROFにおいてRBCが互いに重なることとを示す。
(
図32)
図32は、光学アダプタを備えたスマートフォン(a)とデジタル一眼(DSLR)カメラを備えた高解像度顕微鏡(b)によって撮影された同じ試料(CROFカード中の撮影した新鮮な血液)の明視野(1)と蛍光(2)画像である。画像から分かるように、光学アダプタを備えたスマートフォンは、高解像度顕微鏡及びカメラに類似する血球写真の品質を有する。
(
図33)
図33は、典型的なWBC及びPLTの計測された光強度とそれらの分離細胞の位置との比較を示す。WBCの直径(FWHM)は約12μmであり、PLTの直径(FWHM)は約2μmである。WBCの最大強度は、PLTより約3倍大きい。強度及び面積の両方により、WBCの全体の強度はPLTより約108倍大きい。したがって、低い拡大倍率(例えば4×)を用いると、WBCの面積が小さくなり、全体の強度も低下する。このような場合には、PLTの信号は無視することができる。
(
図34)
図34は、(a)緑色チャネル光の強度と赤色チャネル強度の点分布図と、(b)画像内の594個のWBCの赤色/緑色チャネルの強度比のヒストグラムとを示す。この画像から明らかなように、細胞は3つの異なる区域(指向として陰影区域に示される)に集合し、3つの主な白血球サブセットに対応する。
【発明を実施するための形態】
【0035】
例示的な実施形態の詳細な説明
以下の詳細な説明は、本発明のいくつかの実施形態を示すが、限定するものではない。本明細書で使用されるセクション見出し及び任意のサブタイトルは構成目的に過ぎず、いかなる方式で記載された対象物を限定するものと理解されるべきではない。セクション見出し及び/又はサブタイトルの内容はセクション見出し及び/又はサブタイトルに限定されず、本発明の全体の説明に適用される。
【0036】
任意の出版物の引用は、本出願日の前に開示されるためであり、本発明が先の発明によりその出版物よりも先行する権利がないことを認めるものと理解されるべきではない。また、提供される公開日は、独立して確認する必要のある、実際の公開日と異なる可能性がある。
【0037】
本発明は、特に試料中の分析物及び/又は実体の定量化、結合、及び/又は検知を改善及び/又はスピードアップすることができる方法、装置、及びシステムに関する。
【0038】
定義
別に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術及び科学用語は、本開示の属する分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。以下にいくつかの例示的な方法及び材料を説明するが、本教示の実践又は検査において、本明細書に記載の類似又は同一の任意の方法及び材料を用いてもよい。
【0039】
用語「ポリペプチド」、「ペプチド」、及び「タンパク質」は、任意の長さのアミノ酸のポリマーを指し、本明細書で交換可能に使用されてもよい。ポリマーは直鎖又は分枝鎖であってよく、修飾アミノ酸を含んでもよく、かつ非アミノ酸によって遮断されてもよい。前記用語は、例えばジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化又は標識成分との結合等のような他の操作により修飾されたアミノ酸ポリマーをさらに含む。本明細書で使用される用語「アミノ酸」とは、天然及び/又は非天然又は合成のアミノ酸を指し、グリシン及びD又はL光学異性体の両方、アミノ酸類似体及びペプチド模倣体を含む。
【0040】
用語「ポリヌクレオチド」、「ヌクレオチド」、「ヌクレオチド配列」、「核酸」、「核酸分子」、「核酸配列」、及び「オリゴヌクレオチド」は、変換可能に使用され、かつそれぞれ用語を用いた文脈に応じて各用語の複数を含んでもよい。それらは、任意の長さのヌクレオチドの重合形式を指し、デオキシリボヌクレオチド(DNA)もしくはリボヌクレオチド(RNA)、又はその類似体のうちのいずれかであってもよい。ポリヌクレオチドは、任意の3次元構造を有するものであってもよく、かつ既知又は未知の任意の機能を果たすものであってもよい。以下はポリヌクレオチドの非限定的な例である。遺伝子又は遺伝子断片のコード又は非コード領域、連鎖解析により定義された遺伝子座、エキソン、イントロン、伝令RNA(mRNA)、転移RNA(tRNA)、リボソームRNA、リボザイム、小干渉RNA(siRNA)、微小RNA(miRNA)、小核RNA(snRNA)、cDNA、組換えポリヌクレオチド、分枝鎖ポリヌクレオチド、プラスミド、担体、任意の配列を有する分離DNA(A、B及びZ構造)、PNA、ロックド核酸(LNA)、TNA(トレオース核酸)、任意の配列を有する分離RNA、核酸プローブ及びプライマー。LNAは、一般的にアクセスできないRNAと呼ばられ、修飾されたRNAヌクレオチドである。LNAヌクレオチドのリボース部分は、2’と4’炭素を接続する余分な架橋によって修飾される。該架橋は、リボースを3’-末端構造に「ロック」して、それは一般的にDNA又はRNAのA型において発現され、熱安定性を顕著に向上させることができる。
【0041】
本明細書で使用される用語「捕捉剤」とは、例えば、核酸分子、ポリペプチド分子又はその結合相手に特異的に結合できる任意の他の分子又は化合物のような結合メンバーを指し、例えば第1の核酸分子に相補的なヌクレオチド配列を有する第2の核酸分子、抗原を特異的に認識する抗体、抗体によって特異的に認識された抗原、標的分子に特異的に結合できる核酸アプタマー等である。捕捉剤は、標的分子に特異的に結合することにより、異なる分子の不均質混合物から標的分子を濃縮することができる。結合は、非共有結合又は共有結合であってもよい。結合複合体において相互に特異的に結合する場合、結合メンバーとその特異的に結合する結合相手との間の親和性は、そのKD(解離定数)が10-5M以下、10-6M以下であり、例えば10-7M以下であり、10-8M以下を含み、例えば10-9M以下、10-10M以下、10-11M以下、10-12M以下、10-13M以下、10-14M以下、10-15M以下であり、10-16M以下を含むことを特徴とする。「親和性」とは、結合の強度を指し、結合親和性の向上はKDの低下に関連する。
【0042】
用語「二次捕捉剤」は、「検出剤」とも呼ばれ、抗原に非常に特異的な親和性を有する一群の生体分子又は化学化合物を指す。二次捕捉剤は、光学的に検出可能な標識(例えば酵素、蛍光標識)に密着結合することができ、或いはその自体は生体結合により光学的に検出可能な標識に結合されて他の検出剤によって検出することができる(Hermanson、「Bioconjugate Techniques」 Academic Press、第2版、2008)。
【0043】
用語「捕捉剤-反応性基」は、捕捉剤と反応できる分子の中の化学的機能の部分を指し、つまり捕捉剤の中の一部(例えばヒドロキシル、スルフヒドリル、カルボキシル又はアミン)と反応して、安定かつ強力な共有結合を生成するものである。
【0044】
用語「特異的結合」と「選択的結合」とは、異なる標的分析物を有する不均質混合物内に存在する特定の標的分析物に優先的に結合する捕捉剤の能力を指す。特異的又は選択的結合は、相互作用して試料中の所望(例えば、活性化)と望ましくない(例えば、不活性化)標的分析物を区別し、一般的に約10~100倍(例えば、約1000又は10,000倍を超える)以上を超える。
【0045】
本明細書で使用される用語「抗体」とは、認識された免疫グロブリン遺伝子の全部又は一部によって実質的にコードされた1つ以上のポリペプチドからなるタンパク質を指す。例えばヒトにおいて認識された免疫グロブリン遺伝子は、無数の可変領域遺伝子を構成するカッパ(κ)、ラムダ(λ)及び重鎖遺伝子座を含み、そして定常領域遺伝子であるミュー(μ)、デルタ(δ)、ガンマ(γ)、シグマ(σ)を含み、さらにそれぞれIgM、IgD、IgG、IgE及びIgA抗体「アイソタイプ」又は「クラス」をコードするアルファ(α)を含む。本明細書中の抗体は、全長抗体及び抗体断片を含むことを意味し、かつ任意の生物体からの天然抗体、操作された抗体又は実験、治療又は他の目的のために組み換えて生成される抗体を指す。用語「抗体」は、本分野の既知の全長抗体及び抗体断片を含み、例えばFab、Fab’、F(ab’)2、Fv、scFv、又は抗体の他の抗原結合サブ配列であり、それらは完全抗体を修飾して生成されるか又は組換DNA技術を用いて新規に合成されるものである。
【0046】
用語「抗体エピトープ」、「エピトープ」、「抗原」は、本明細書で変換可能に使用され、抗体によって結合された生体分子を指す。抗体エピトープは、タンパク質、炭水化物、核酸、ホルモン、受容体、腫瘍マーカー等及びそれらの混合物を含んでもよい。抗体エピトープは、さらに一群の抗体エピトープを指し、例えばサイズ排除クロマトグラフィーカラムから溶出されたタンパク質の特定の部分である。また、抗体エピトープは、発現ライブラリー又はランダムエピトープライブラリーからの指定クローンとして認識することができる。
【0047】
本明細書で使用される用語「アレルゲン」は、個体が例えば皮膚接触、摂取、吸入、眼接触等により、ある物質に暴露された時に、アレルギー性炎症反応を引き起こす個体内の物質である。アレルゲンは、アレルギー反応を共に引き起こす一群の物質を含む。アレルゲンは、天然及び人工繊維(綿、リネン、ウール、絹、チーク等、木材、わら及び他の粉塵)と、樹木花粉(ハンの木、樺の木、ハシバミの木、オークの木、ポプラの木、パームの木等)と、雑草や花(アンブロシア、アルテミシア等)と、イネ科植物及び穀物植物(ウシノケグサ、オオアワガエリ、ライムギ、小麦、トウモロコシ、ナガハグサ等)と、薬物(抗生物質、抗菌薬、鎮痛薬及び非ステロイド性抗炎症薬、麻酔薬及び筋弛緩剤、ホルモン等)と、表皮及び動物のアレルゲン(動物の上皮組織、鳥の羽、血清等)と、カビ及び酵母(アオカビ(Penicillium notation)、クラドスポリウム属(Cladosporium spp.)、アスペルギルス・フミガーツス(Aspergillus fumigatus)、ムコールラセモサス(Mucor racemosus)等)と、昆虫毒と、防腐剤(ブチルパラベン、ソルビン酸、安息香酸等)と、精液(射精)と、寄生虫及びダニアレルゲン(回虫、ヤケヒョウヒダニ(Dermatophagoides pteronyssinus)、コナヒョウヒダニ(Dermatophagoides farinae)、シワダニ(Euroglyphus maynei)等)と、職業及び嗜好アレルゲン(コーヒー豆、ホルムアルデヒド、ラテックス、クロラミン、色素等)と、食物アレルゲン(卵製品、乳製品及びチーズ、肉製品、魚及び海産食品、大豆製品、きのこ、小麦粉及び穀物、野菜、メロン及びユウガオ、豆、ハーブ類及び香辛料、種実類、柑橘又は他の果物、ベリー、茶及び薬草、栄養補助食品等の製品)との群に分類される供給源に見ることができる。
【0048】
用語「ハイブリダイゼーション」は、1つ以上のポリヌクレオチドが反応して、ヌクレオチド残基の塩基間の水素結合により安定された複合体を形成する反応を指す。水素結合は、Watson-Crick塩基対合、Hoogstein結合又は任意の他の配列特異的方式によって生成することができる。該複合体は、二本鎖構造を形成する2本の鎖、多鎖複合体を形成する3本以上の鎖、単一の自己ハイブリダイズ鎖又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0049】
当業者に知られているように、ハイブリダイゼーションは様々な厳格な条件の下で行うことができる。適切なハイブリダイゼーション条件により、捕捉配列と標的核酸の間の認識相互作用は十分に特異的であるだけでなく十分に安定である。ハイブリダイゼーション反応の厳格性を向上させる条件は、本分野に広く知られかつ公開されるものである。例えば、Greenら、(2012)、以下を参照する。
【0050】
用語「タンパク質」とは、任意の長さのアミノ酸の重合形式を指し、すなわち、2個のアミノ酸より大きく、約5個のアミノ酸より大きく、約10個のアミノ酸より大きく、約20個のアミノ酸より大きく、約50個のアミノ酸より大きく、約100個のアミノ酸より大きく、約200個のアミノ酸より大きく、約500個のアミノ酸より大きく、約1000個のアミノ酸より大きく、約2000個のアミノ酸より大きく、一般的に約10000個のアミノ酸より大きくなく、それはコード及び非コードアミノ酸、化学的又は生化学的に修飾又は誘導体化されたアミノ酸、及び修飾されたペプチド骨格を有するポリペプチドを含んでもよい。該用語は、異種アミノ酸配列を有する融合タンパク質と、N末端メチオニン残基を有するか又は有さない、異種及び同種リーダー配列を有する融合タンパク質と、免疫学的に標識されたタンパク質と、検出可能な融合パートナーを有する融合タンパク質、例えば、蛍光タンパク質、βガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ等を融合パートナーとして含む融合タンパク質とを含むが、これらに限定されない、融合タンパク質を含んでもよい。これらの用語は、細胞内で翻訳後修飾された、例えば、グリコシル化、切断、分泌、プレニル化、カルボキシル化、リン酸化等を受けたポリペプチドと、2次又は3次構造を有するポリペプチドと、他の部分、例えば、他のポリペプチド、原子、補因子等に強力に、例えば、共有結合的又は非共有結合的に結合したポリペプチドとを含む。
【0051】
本明細書で使用される「相補」という用語とは、水素結合により対象となる標的核酸と塩基対合するヌクレオチド配列を指す。標準的Watson-Crick塩基対合において、DNAにおいて、アデニン(A)はチミン(T)と塩基対を形成し、グアニン(G)はシトシン(C)も塩基対を形成する。RNAにおいて、チミンはウラシル(U)によって置換される。したがって、AはTに相補的であり、GはCに相補的である。一般的に、「相補」とは、対象となる標的に完全に相補的なヌクレオチド配列を指し、その結果、配列中の各ヌクレオチドが標的核中の各ヌクレオチドに対応する位置で相補的である。ヌクレオチド配列が非標的配列と完全に相補的(100%相補的)ではないが、該ヌクレオチド配列の特定の配列と非標的配列の相補性により、依然として非標的配列と塩基対合することができる場合、相補性パーセントを計算して非特異的(標的外)結合の可能性を評価することができる。一般的に、50%以下の相補性により非特異的結合をもたらさない。また、厳格なハイブリダイゼーション条件の下で、70%以下の相補性により非特異的結合をもたらさない。
【0052】
本明細書で使用される用語「リボ核酸」と「RNA」とは、リボヌクレオチドからなるポリマーを指す。
【0053】
本明細書で使用される用語「デオキシリボ核酸」と「DNA」とは、デオキシリボヌクレオチドからなるポリマーを指す。
【0054】
本明細書で使用される用語「オリゴヌクレオチド」とは、約10~200ヌクレオチド長、最長300又はそれ以上のヌクレオチド長、例えば、最長500又はそれ以上のヌクレオチド長の一本鎖ヌクレオチドポリマーを指す。オリゴヌクレオチドは合成されてもよく、ある実施形態において、300ヌクレオチド長より短い。
【0055】
本明細書で使用される用語「接着」とは、ある分子と他の分子の、強力な、例えば共有結合又は非共有結合的な接続を指す。
【0056】
本明細書で使用される用語「表面接着」とは、分子がある表面に強力に接着することを指す。
【0057】
本明細書で使用される用語「試料」は、一種又は複数種の対象となる分析物又は実体含有の材料又は材料の混合物に関する。特定の実施形態において、試料は、生体試料、例えば細胞、組織、体液及び糞便から得ることができる。対象となる体液は、羊水、房水、硝子体液、血液(例えば全血、分画血液、血漿、血清等)、母乳、脳脊髄液(CSF)、耳垢(耳あか)、乳糜、糜汁、内リンパ液、外リンパ液、糞便、胃酸、胃液、リンパ液、粘液(鼻汁及び粘液質を含む)、心膜液、腹膜液、胸膜液、膿液、粘膜分泌物、唾液、皮脂(皮膚の油)、精液、喀痰、汗、滑液、涙液、嘔吐物、尿及び呼気凝縮液を含むが、これらに限定されない。特定の実施形態において、試料は、被験者、例えば人から得ることができ、かつ被験者アッセイに用いられる前に処理することができる。例えば、分析の前に、使用前に組織試料からタンパク質/核酸を抽出することができ、その方法は公知である。特定の実施形態において、試料は臨床試料、例えば患者から採取した試料であってもよい。
【0058】
用語「分析物」とは、異なる形状を有する分子(例えばタンパク質、ペプチド、DNA、RNA、核酸又は他の分子)、細胞、組織、ウイルス及びナノ粒子を指す。
【0059】
用語「アッセイ」とは、分析物の存在及び/又は存在量を検出するために試料を検査することを指す。
【0060】
本明細書で使用されるように、用語「決定」、「計測」及び「評価」は「アッセイ」と変換可能に使用され、かつ定量的及び定性的決定を含む。
【0061】
本明細書で使用されるように、用語「発光標識(light-emitting label)」とは、外部励起下で発光できる標識を指す。それは発光することができる。蛍光標識(色素分子又は量子ドットを含む)と発光標識(例えば電気又は化学発光標識)は、蛍光標識のタイプである。外部励起は、蛍光用の光(光子)、電界発光用の電流及び化学発光用の化学反応を指す。外部励起は、上記の組み合わせであってもよい。
【0062】
語句「標識された分析物」とは、発光標識で検出可能に標識された分析物を指し、その結果、標識の存在を評価することにより前記分析物を検出することができる。標識された分析物は、直接標識されてもよく(すなわち、分析物自体は、強力な結合、例えば共有結合又は非共有結合を介して標識に直接結合されてもよい)、標識された分析物は、間接的に標識されてもよい(すなわち、分析物は直接標識された二次捕捉剤に結合される)。
【0063】
核酸についての用語「ハイブリダイゼーション」と「結語」は変換可能に使用される。
【0064】
用語「捕捉剤/分析物複合体」とは、捕捉剤と分析物の特異的結合から生じる複合体を指す。一般的に、捕捉剤と捕捉剤用の分析物は「特異的結合条件」又は「特異的結合に適する条件」の下で互いに特異的に結合し、それらの条件(塩濃度、pH、洗剤、タンパク質濃度、温度等)は、溶液中で捕捉剤と分析物との間に結合が生じることを可能にする条件である。それらの条件、特に抗体及びその抗原及び核酸ハイブリダイゼーションについての条件は、当該分野で周知である(例えばHarlow及びLane(Antibodies:A Laboratory Manual Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor、N.Y.(1989)、Ausubelら、Short Protocols in Molecular Biology、第5版、Wiley&Sons、2002参照)。
【0065】
本明細書の捕捉剤と、分析物、例えば、バイオマーカー、生体分子、合成有機化合物、無機化合物等との結合について使用される用語「特異的結合条件」と「特異的結合に適する条件」とは、互いに特異的に結合する分子対を含む核酸二本鎖又はタンパク質/タンパク質(例えば、抗体/抗原)複合体、タンパク質/化合物複合体、アプタマー/標的複合体を生成するとともに、互いに特異的に結合しない分子の間の複合体の形成に不利である条件を指す。特異的結合条件は、ハイブリダイゼーションと洗浄条件の両方の合計又は組み合わせ(全体)であり、必要があれば、選択及びブロッキングステップを含んでもよい。核酸ハイブリダイゼーションのために、50%ホルムアミド、5×SSC(150mM NaCl、15mMクエン酸ナトリウム)、50mMリン酸ナトリウム(pH7.6)、5×デンハルト液、10%デキストラン硫酸及び20μg/ml変性され剪断されたサケ精子DNAを含有する溶液中で、42℃でインキュベーションし、その後に約65℃の0.1×SSCでフィルタを洗浄することにより特異的結合条件を達成することができる。
【0066】
抗体と抗原を結合するために、抗体含有の第1のプレートをブロッキング溶液(例えば、3%のBSA又は脱脂乳を含むPBS)でブロッキングし、その後に希釈したブロッキング緩衝液中で分析物含有の試料とともにインキュベートすることにより、特異的結合条件を達成する。インキュベーション後に、第1のプレートを洗浄溶液(例えばPBS+TWEEN 20)中で洗浄し、かつ二次捕捉抗体(抗原中の第2の部位を認識する検出抗体)とともにインキュベートする。二次捕捉抗体は、光学的に検出可能な標識、例えば、IRDye800CW、Alexa 790、Dylight 800のような蛍光団に結合されてもよい。さらに洗浄した後に、結合した二次捕捉抗体の存在を検出することができる。当業者であれば、検出した信号を増加させかつバックグラウンドノイズを減少させるために、パラメータを変更することができることを知っている。
【0067】
被験者は、あらゆる人又は非ヒトの動物とすることができる。被験者は、本方法を実施する人、患者、検査センターの顧客等であってもよい。
【0068】
本明細書で使用されるように、「分析物」は、本方法の検査に適する任意の物質である。
【0069】
本明細書で使用されるように、「診断試料」とは、被験者から得られた、身体副産物、例えば体液である、任意の生体試料を指す。診断試料は、液体の形態で被験者から直接得ることができ、または、身体副産物を溶液に、例えば緩衝液に置くことにより被験者から得ることができる。例示的な診断試料は、唾液、血清、血液、喀痰、尿、汗、涙液、精液、糞便、呼気、生体組織、粘液等を含むが、これらに限定されない。
【0070】
本明細書で使用されるように、「環境試料」とは、環境から得られた任意の試料を指す。環境試料は、河川、湖、池、海洋、氷河、氷山、雨、雪、下水、貯水池、水道水、飲料水等からの液体試料と、土壌、堆肥、砂、岩石、コンクリート、木材、煉瓦、汚泥等からの固体試料と、空気、水中熱通気口、工業排気ガス、車両排気ガス等からの気体試料とを含んでもよい。一般的に、本発明の方法を用いて試料を分析する前に、非液体形態の試料を液体形態に変換する。
【0071】
本明細書で使用されるように、「食品試料」は、動物の消費、例えば、ヒトの消費に適する任意の試料を指す。食品試料は、原材料、調理済み食品、動植物由来の食品、前処理済み食品及び部分的に又は完全に処理された食品等を含んでもよい。一般的に、本発明の方法を用いて試料を分析する前に、非液体形態の試料を液体形態に変換する。
【0072】
本明細書で使用される用語「診断」とは、ある方法又は分析物を用いて、対象となる病気又は病状の結果を鑑定し、予測し、及び/又はその治療反応を予測することを指す。診断は、病気又は病状に罹患する可能性又は体質を予測することと、病気又は病状の重篤度を推定することと、病気又は病状の進行のリスクを決定することと、治療に対する臨床的応答を評価するとと、及び/又は治療に対する応答を予測することとを含んでもよい。
【0073】
本明細書で使用されるように、「バイオマーカー」とは、対象となる試料から発見された任意の分子又は化合物であり、被験者における対象となる病気又は病状の存在又はその体質を診断するか、又はそれに関連付けることが知られており、前記試料が被験者から取られる。バイオマーカーは、ポリペプチド又はその複合体(例えば抗原、抗体)、核酸(例えばDNA、miRNA、mRNA)、薬物代謝物、脂質、炭水化物、ホルモン、ビタミン等を含むが、これらに限定されず、対象となる病気又は病状に関連することが知られている。
【0074】
本明細書で使用され、健康状態の診断に関連付けられる「状態」とは、その他の生理学的状態と区別することができる心身の生理学的状態を指す。場合によっては、健康状態は、病気と診断されない可能性がある。例示的な対象となる健康状態は、栄養上の健康、老化、環境有害物質、農薬、除草剤、合成ホルモン類似体への暴露、妊娠、閉経、男性休止、睡眠、ストレス、糖尿病前症、運動、疲労、化学的バランス等を含むが、これらに限定されない。用語「ビオチン部分」とは、ビオチン又はビオチン類似体、例えばデスチオビオチン、オキシビオチン、2’-イミノビオチン、ジアミノビオチン、ビオチンスルホキシド、ビオシチン等を含む親和性試薬を指す。ビオチン部分は、少なくとも10-8Mの親和力でストレプトアビジンに結合される。ビオチン親和性試薬は、リンカー、例えば─LC-ビオチン、─LC-LC-ビオチン、─SLC-ビオチン、又はnが3~12である─PEGn-ビオチンを含んでもよい。
【0075】
用語「ストレプトアビジン」とは、ストレプトアビジン、アビジン、及び高親和性でビオチンに結合するそれらの任意の変異体を指す。
【0076】
生体試料の説明に使用される用語「マーカー」とは、分析物を指し、その生体試料における存在又は存在量は、病気又は病状に関連している。
【0077】
用語「結合」は、水素結合、イオン結合及びファンデルワールス力による(van der Waal force)を含む共有及び非共有結合を含む。
【0078】
用語「増幅」とは、信号の大きさの増幅を指し、例えば、信号における少なくとも10倍の増幅、少なくとも100倍の増幅、少なくとも1,000倍の増幅、少なくとも10,000倍の増幅又は少なくとも100,000倍の増幅である。
【0079】
用語「実体」とは、「結合部位」に結合するタンパク質、ペプチド、DNA、RNA、核酸、分子(小分子又は大分子)、細胞、組織、ウイルス、異なる形状のナノ粒子を指すが、これらに限定されない。実体は、捕捉剤、検出剤及び遮断剤を含む。「実体」は「分析物」を含み、これらの2つの用語は、交換可能に使用される。
【0080】
用語「結合部位」とは、試料中の「実体」を固定化することができる固体表面上の位置を指す。
【0081】
用語「実体パートナー」とは、「結合部位」に位置し、かつ実体に結合するタンパク質、ペプチド、DNA、RNA、核酸、分子(小分子又は大分子)、細胞、組織、ウイルス、異なる形状のナノ粒子を指すが、これらに限定されない。実体は、捕捉剤、検出剤、二次検出剤又は「捕捉剤/分析物複合体」を含むが、これらに限定されない。
【0082】
用語「標的分析物」又は「標的実体」とは、特に分析(すなわち、検出)される特定の分析物、又は結合部位に特異的に結合する特定の実体を指す。
【0083】
交換可能に使用される用語「スマートフォン」又は「携帯電話」とは、カメラ及び通信ハードウェアとソフトウェアを有し、カメラを使用して画像を撮影し、カメラによって撮影された画像を処理し、遠隔地にデータを通信することができる携帯電話のタイプを指す。いくつかの実施形態において、スマートフォンはフラッシュライトを有する。
【0084】
特別に説明しない限り、用語「光」とは、様々な波長を有する電磁放射を指す。
【0085】
ある領域の「平均直線寸法」という用語とは、該領域の面積に4を乗算し該領域の周長で割って得るものに等しい長さと定義される。例えば、該領域は矩形であり、幅がWで、長さがLであれば、該矩形の直線寸法の平均値は、4*W*L/(2*(L+W))である(「*」が乗算を示し、「/」が割り算を示す)。この定義により、平均直線寸法はそれぞれ、幅がWの正方形についてはWであり、直径がdの円形についてはdである。領域は結合部位又は貯蔵部位の領域を含むが、これらに限定されない。
【0086】
周期構造配列の「周期」という用語とは、ある構造の中心から最も近い隣接した同じ構造の中心までの距離を指す。
【0087】
用語「貯蔵部位」とは、試料に添加される試薬を含み、プレート上のある領域の部位を指し、かつ前記試薬は、試薬と接触する試料中に溶解して試料中に拡散することができる。
【0088】
用語「関連のある」とは、分析物の検出に、試料中もしくはプレート上の分析物又は実体の定量化及び/もしくは制御に、又は試料もしくはプレートに添加される試薬の定量化もしくは制御に関連することを指す。
【0089】
表面の「親水性」、「湿潤性」、又は「濡れ性」という用語とは、表面上の試料の接触角が90度より小さいことを指す。
【0090】
表面の「疎水性」、「非湿潤性」、又は「非濡れ性」という用語とは、表面上の試料の接触角が90度以上であることを指す。
【0091】
量についての「変動」という用語とは、実際の値と目標値又は量の平均値との差を指す。量の「相対的変動」という用語とは、変動値と目標値又は量の平均値との比を指す。例えば、ある量の目標値がQで、実際の値が(Q+Δ)である場合、Δは変動値であり、かつΔ/(Q+Δ)は、相対的変動値である。用語「相対的な試料の厚さ変動」とは、試料の厚さ変動値と平均試料の厚さとの比を指す。
【0092】
用語「光透過性」とは、光信号の伝送を可能にする材料の特性を指し、特に断らない限り、用語「光信号」とは、試料、プレート、スペーサ、スケールマーク、使用される任意の構造、又はそれらの任意の組み合わせの特性を検出するために使用される光信号を指す。
【0093】
用語「非試料体積」とは、CROFプロセスにおける閉鎖構成では、プレートの間の体積が試料ではなく、試料以外の他の物体によって占有されることを指す。これらの物体はスペーサ、気泡、粉塵又はそれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限定されない。一般的に、非試料体積は試料内部に混入している。
【0094】
用語「飽和インキュベーション時間」とは、2つのタイプの分子(例えば、捕捉剤及び分析物)の間の結合が平衡に達するのに必要な時間を指す。表面固定化アッセイについて、「飽和インキュベーション時間」とは、試料中の標的分析物(実体)とプレート表面上の結合部位との間の結合が平衡に達するのに必要な時間、すなわち、結合部位によって捕捉され、固定化された標的分子(実体)の平均数が統計的にほぼ一定になった後の時間を指す。
【0095】
場合によっては、「分析物」と「結合実体」と「実体」は、交換可能に使用される。
【0096】
「プロセッサ」、「通信装置」、「モバイル装置」は、計算タスクを実行するための基本的な電子部品(メモリ、入出力インタフェース、中央処理ユニット、命令、ネットワークインタフェース、電源などのうちの1つ以上を含む)を含むコンピュータシステムを指す。コンピュータシステムは、特定のタスクを実行するための命令を含む汎用コンピュータであってもよく、専用コンピュータであってもよい。
【0097】
信号又はデータ通信の説明に使用される「サイト」又は「位置」とは、装置又は被験者が存在するローカル領域を指す。サイトは、建築構造内、例えば病院内の部屋、又は広い地理的に定義された領域内の小さい地理的に定義された領域を指す。第2のサイトから遠く離れた第1のサイトに対して、リモートサイト又はリモート位置は、距離及び/物理的障害によって第2のサイトから物理的に分離された第1のサイトである。リモートサイトは、建築構造中の第2のサイトから離れた第1のサイト、第2のサイトと異なる建築構造にある第1のサイト、第2のサイトと異なる都市にある第1のサイトであってもよい。
【0098】
本明細書で使用されるように、用語「試料採取サイト」とは、被験者から試料を得る位置を指す。試料採取位置は、例えば小売店の位置(例えば、チェーンストア、薬局、スーパーマーケット又はデパート)、プロバイダーのオフィス、医師のオフィス、病院、被験者の家、軍関係の敷地、雇用主サイト又は他のサイト又はサイトの組み合わせであってもよい。本明細書で使用されるように、用語「試料採取サイト」とは、さらに、該サイトに位置するか、或いは該サイトに所属するビジネス、サービス又は施設の所有者又は代表者を指す。
【0099】
本明細書で使用されるように、「生データ」は、試料の特性又は特徴を検出するか又は測定するセンサ、カメラ、他のコンポーネント及び機器からの信号及び直接読み取りデータを含む。例えば、生データは、センサ、検出器、カウンタ、カメラ、又は他のコンポーネント若しくはデバイスからの電圧又は電流出力を含み、生データは、センサ、検出器、カウンタ、カメラ、又は他のコンポーネント若しくはデバイスからのデジタル又はアナログ数値出力を含み、生データはさらに、センサ、検出器、カウンタ、カメラ又は他のコンポーネント若しくはデバイスからのデジタル又はフィルタ出力を含む。例えば、生データは、光度計の出力を含み、それは該光度計によって検出された光子数に関連する「相対光単位」内の出力を含む。生データは、カメラによって生成されたJPEG、ビットマップ又は他の画像ファイルを含んでもよい。生データは、細胞数と、光強度(特定の波長にあるか、又は波長範囲にあるか又は波長範囲内にある)と、検出器の出力の変化率と、2回の同様の計測の間の差と、検出された複数のイベントと、予め設定された範囲内で検出されるか又は予め設定された基準を満たすイベントの数量と、ある期間内又は視野内で計測された最小値と、ある期間内又は視野内で計測された最大値と、他のデータとを含んでもよい。生データが十分である場合、更なる処理又は分析を行わずに使用することができる。他の場合には、生データは、さらに処理されるか、又は試料、被験者に関連する分析又は他の目的に使用されてもよい。
【0100】
試料を表す出力信号又は生データに関して使用される「試料を表す」とは、試料又はその一部の計測された特性、例えば試料中に存在する分析物の量を反映する出力信号又は生データを指す。例えば、蛍光シグナルを表す強度は、より多くの対象となる分析物含有の蛍光標識試料において、より少ない分析物含有の蛍光標識試料の蛍光シグナルを表す強度よりも高い。
【0101】
本明細書で使用されるように、「臨床検査改善修正法案」と「CLIA」とは、42 U.S.C.パートF条項、例えばサブパート2、第263a~263a7項、連邦規則42 CFR第W章(第493.1~493.2001項)、及び関連法律、法規、修正法案を指す。CLIAによる法規は、アメリカ合衆国保健福祉省のメディケアメディケイドサービスセンター(CMS)によって管理されている。
【0102】
本明細書で使用されるように、「プロセス管理」とは、試料分析プロセスなどのプロセスの実行を計画及び/又は監視するための任意の数の方法及びシステムを指す。
【0103】
本開示を読むことで当業者にとって明らかとなるように、本明細書に記載及び例示される個々の実施形態の各々は、本発明の範囲または精神から逸脱することなく、他のいくつかの実施形態のいずれの特徴から容易に分離又はそれらと併用される個別の構成要素及び特徴を有する。任意の前記方法は、前記イベントの順序又は論理的に可能な任意の他の順序で実行することができる。
【0104】
当業者であば、本発明は、本明細書の記述又は図面に記載された構造の詳細、コンポーネントの配置、カテゴリ選択、重み付け、所定の信号制限又はステップへの適用に限定されないことを理解すべきである。本発明は、他の実施形態も可能であり、また様々な方法で実施又は実行することができる。
【0105】
特に断らない限り、本開示の様々な実施形態の実施は、当業者の範囲内にある、免疫学、生化学、化学、分子生物学、微生物学、細胞生物学、ゲノミクス及び組換えDNAの慣用技術を使用する。GreenとSambrook、MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL、第4版(2012)、CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY(F.M.Ausubelら編(1987))、METHODS IN ENZYMOLOGYシリーズ(Academic Press、Inc.):PCR 2: A PRACTICAL APPROACH(M.J.MacPherson、B.D.HamesとG.R.Taylor編(1995))、HarlowとLane編(1988)ANTIBODIES、A LABORATORY MANUAL、及びANIMAL CELL CULTURE(R.I.Freshney編(1987))を参照する。
【0106】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用されるように、「単一の」を使用する場合などの文脈上明確に指示されない限り、単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」は、複数の意味も含むことを注意しなければならない。例えば、「分析物」を言及すると、単一の分析物及び複数の分析物を含み、「捕捉剤」を言及すると、単一の捕捉剤及び複数の捕捉剤を含み、「検出剤」を言及すると、単一の検出剤及び複数の検出剤を含み、「試薬」を言及すると、単一の試薬及び複数の試薬を含む。
【0107】
圧縮調節開放流(CROF)
アッセイ中に、試料又は試薬の操作はアッセイを改善することができる。該操作は、試料及び/又は試薬の幾何学的形状及び位置の操作と、試料と試薬の混合又は結合の操作と、及び試料又は試薬とプレートとの接触面積の操作とを含むが、これらに限定されない。
【0108】
本発明の多くの実施形態は、「圧縮調節開放流(CROF)」という方法とCROFを実行するデバイスを用いて、試料及び/又は試薬の幾何学的サイズ、位置、接触面積及び混合を操作する。
【0109】
用語「圧縮開放流(COF)」とは、(i)他のプレートを少なくとも一部の試料の頂部に配置し、(ii)その後に、2つのプレートを互いに対して押し付けて2つのプレートの間の試料を圧縮することにより、プレートに付着した流動可能試料の形状を変化させる方法を指し、該圧縮は、少なくとも一部の試料の厚さを減少させることにより、前記試料がプレートの間の開放空間に流入する。
【0110】
用語「圧縮調節開放流」又は「CROF」(又は「自己較正圧縮開放流」又は「SCOF」又は「SCCOF」)とは、特定のタイプのCOFを指し、圧縮後に試料の一部又は全体の最終厚さは、スペーサによって「調節」され、スペーサが2つのプレートの間に配置される。
【0111】
CROFにおいて、「試料の一部又は全体の最終厚さはスペーサにより調節される」という用語とは、CROF期間において、特定の試料の厚さに達すると、2つのプレートの相対移動を停止させ、これにより試料の厚さの変化も停止し、特定の厚さがスペーサによって決定されることを指す。
【0112】
図1に示すように、CROF方法の1つの実施形態は、
(a)流動可能な試料を取得するステップ、
(b)異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを取得するステップであって、それぞれのプレートはほぼ平坦な試料接触表面を有し、前記プレートの1つ又は2つは、所定の高さを有して対応する試料接触表面に位置するスペーサを含む、ステップ、
(c)プレートが開放構成で構成されている時に、プレートの1つ又は2つに試料を付着させるステップであって、開放構成は、2つのプレートが部分的又は完全に離れておりかつプレート間の間隔がスペーサにより調節されない、構成である、ステップ、並びに
(d)(c)の後、プレートを閉鎖構成にして前記試料を広げるステップであって、閉鎖構成において、プレートが互いに対向し、スペーサ及び関連のある体積の試料がプレートの間に位置し、関連のある体積の試料の厚さはプレート及びスペーサにより調節され、関連のある体積が前記試料の全体積の少なくとも一部であり、かつ試料の広げた期間に、試料が2つのプレートの間に横方向に流動する、ステップ
を含む。
【0113】
特に断らない限り、用語「プレート(plate)」とは、CROFプロセスにおいて使用されるプレートを指し、それは使用可能な表面を有する固体であり、2つのプレートの間に配置された試料を他のプレートとともに圧縮して試料の厚さを減少させる。
【0114】
用語「プレート(the plate)」又は「一対のプレート(the pair of the plate)」とは、CROFプロセスにおける2つのプレートを指す。
【0115】
用語「第1のプレート」又は「第2のプレート」とは、CROFプロセスにおいて使用されるプレートを指す。
【0116】
用語「プレートが互いに対向する」とは、一対のプレートが少なくとも部分的に、互いに対向する場合を指す。
【0117】
特に断らない限り、用語「スペーサ」又は「ストッパ」とは、2つのプレートの間に配置される場合、2つのプレートが共に圧縮する時に到達可能な2つのプレートの間の最小間隔の制限を設定する機械的な物体を指す。すなわち、圧縮において、スペーサは、プレートの間の間隔がプリセット値(すなわち、所定値)よりも小さくならないように2つのプレートの相対移動を停止させる。スペーサは、「開放スペーサ」と「密閉スペーサ」という二種類のタイプを有する。
【0118】
用語「開放スペーサ」とは、液体が該スペーサの全周囲に流動しかつスペーサを流れることを可能にする形状を有するスペーサを指す。例えば、柱は開放スペーサである。
【0119】
用語「密閉スペーサ」とは、液体が該スペーサの全周囲に流動しかつスペーサを流れることができない形状を有するスペーサを指す。例えば、リング状スペーサはリング内の液体用の密閉スペーサであり、リング状スペーサ内の液体はリング内に留まり、外部(外周囲)に出ることができない。
【0120】
用語「スペーサが所定の高さを有する」と「スペーサが所定のスペーサ間の距離を有する」とは、それぞれCROFプロセスの前にスペーサの高さとスペーサ間の距離の値が既知であることを指す。CROFプロセスの前に、スペーサの高さとスペーサ間の距離の値が既知ではないと、それらは予め設定されない。例えば、プレートにスペーサとしてビーズを散布し、ビーズがプレートのランダムな位置に止まる場合、スペーサ間の距離は予め設定されない。スペーサ間の距離が予め設定されない別の例は、スペーサがCROFプロセスにおいて移動することである。
【0121】
CROFプロセスにおける用語「スペーサがそのそれぞれのプレート上に固定される」とは、スペーサがプレートのある位置に接続され、かつCROF中に該位置との接続を維持する(すなわち、各プレート上のスペーサの位置が変化しない)ことを指す。「スペーサがその対応するプレートに固定される」の一例は、スペーサがプレート材料で一体的に作られ、かつCROF中にスペーサがプレート表面に対する位置が変化しないことである。「スペーサがその対応するプレートに固定されない」の一例は、スペーサが接着剤によりプレートに貼り付けられるが、プレートを使用する時に、CROF中に接着剤がスペーサをそのプレート表面上の元の位置に維持せず、スペーサがそのプレート表面上の元の位置から離れることである。
【0122】
用語「スペーサがプレートに一体的に固定される」とは、スペーサとプレートの挙動が一体式物体のように、使用中に、スペーサがそのプレート上の元の位置から移動したり離れたりしないことを指す。
【0123】
CROFプロセスにおける2つのプレートの「開放構成」という用語とは、2つのプレートが部分的又は完全に離れており、プレート間の間隔がスペーサにより調節されない構成を指す。
【0124】
CROFプロセスにおける2つのプレートの「閉鎖構成」という用語とは、プレートが互いに対向し、スペーサ及び関連のある体積の試料がプレートの間に位置し、関連のある体積の試料の厚さをプレート及びスペーサにより調節する構成を指し、関連のある体積が前記試料の全体積の少なくとも一部である。
【0125】
CROFプロセスにおける用語「試料の厚さがプレート及びスペーサにより調節される」とは、プレート、試料、スペーサ及びプレート圧縮方法の所与の条件に対して、プレートの閉鎖構成における少なくとも一部の試料の厚さをスペーサ及びプレートの特性に基づいて予め設定することができることを指す。
【0126】
CROF装置中のプレートについての用語「内表面」又は「試料表面」とは、試料と接触するプレートの表面を指し、プレートの他の表面(試料と接触しない)は「外表面」と呼ばれる。
【0127】
CROF装置の「X‐プレート」という用語とは、プレートの試料表面上のスペーサを含むプレートを指し、前記スペーサは、所定のスペーサ間距離とスペーサの高さを有し、かつ少なくとも1つスペーサは試料接触領域内にある。
【0128】
用語「CROF装置」とは、CROFプロセスを実行する装置を指す。用語「CROFを行う」とは、CROFプロセスを使用することを指す。例えば、用語「試料にCROFを行う」とは、試料をCROF装置内に入れて、CROFプロセスを実行することを指し、特に明記しない限り、該試料をCROFの最終構成に保持する。
【0129】
用語「CROFプレート」とは、CROFプロセスの実行に使用される2つのプレートを指す。
【0130】
平坦な表面についての用語「表面平滑度」又は「表面平滑度変動」とは、数マイクロメートル又はそれ以下の短距離の、平坦な表面と完全に平坦な表面との平均偏差を指す。表面平滑度は、表面平坦度変動とは異なる。平坦な表面は、良好な表面平坦度を有するが、その表面平滑度が低い。
【0131】
平坦な表面についての用語「表面平坦度」又は「表面平坦度変動」とは、約10μm又はそれ以上の長距離の、平坦な表面と完全に平坦な表面との平均偏差を指す。表面平坦度変動は、表面平滑度とは異なる。平坦な表面は、良好な表面平滑度を有するが、その表面平坦度が低い(すなわち、その表面平坦度変動が大きい)。
【0132】
プレート又は試料についての用語「相対的な表面平坦度」とは、プレートの表面平坦度変動と最終的な試料厚さとの比を指す。
【0133】
特に断らない限り、CROFプロセスにおける用語「最終的な試料厚さ」とは、CROFプロセス中のプレートの閉鎖構成における試料の厚さを指す。
【0134】
CROF中の用語「圧縮方法」とは、2つのプレートを開放構成から閉鎖構成にする方法を指す。
【0135】
プレートについての用語「関心領域」又は「関心のある領域」とは、プレートが実行する機能に関連するプレートの領域を指す。
【0136】
用語「最大」とは、「それ以下」を指す。例えば、スペーサの高さが最大1μmであり、これはスペーサの高さが1μm以下であることを指す。
【0137】
用語「試料面積」とは、試料がプレート間の空間とほぼ平行かつ試料の厚さに垂直な方向における面積を指す。
【0138】
用語「試料厚さ」とは、互いに対向するプレートの表面に垂直な方向(例えば、プレートの間の距離の方向)における試料寸法を指す。
【0139】
用語「プレートの間の距離」とは、2つのプレートの内表面間の距離を指す。
【0140】
CROFにおける用語「最終的な試料の厚さの偏差」とは、所定のスペーサの高さ(スペーサの製造により決定される)と最終的な試料厚さの平均値との間の差を指し、その平均の最終的な試料の厚さは、所定の領域の平均値(例えば、1.6cm×1.6cmの領域における25個の異なる点(距離が4mmである)の平均値)である。
【0141】
CROFプロセスにおける用語「計測された最終的な試料厚さの均一性」とは、所定の試料領域において計測された最終的な試料厚さの標準偏差(例えば、平均値に対する標準偏差)を指す。
【0142】
CROFプロセスにおける用語「試料の関連のある体積」及び「試料の関連のある面積」はそれぞれ、CROFプロセスの間にプレートに付着した試料の一部又は全体の体積及び面積を指し、それぞれの方法又は装置によって実行される機能に関連し、この機能は、分析物又は実体の結合時間の減少、分析物の検出、体積の定量化、濃度の定量化、試薬の混合、又は濃度(分析物、実体、もしくは試薬)制御を含むが、これらに限定されない。
【0143】
別途指摘されない限り、用語「いくつかの実施形態」、「いくつかの実施形態において」、「本発明のいくつかの実施形態において」、「実施形態」、「1つの実施形態」、「他の実施形態」、「特定の実施形態」、「多くの実施形態」などは、全ての開示内容(すなわち全発明)に適用された実施形態である。
【0144】
別途指摘されない限り、CROFプロセスにおける対象の用語「高さ」又は「厚さ」とは、プレートの表面と垂直な方向における対象の寸法を指す。例えば、スペーサの高さとは、プレートの表面と垂直である方向におけるスペーサの寸法であり、スペーサの高さ及びスペーサの厚さとは、同じものを指す。
【0145】
別途指摘されない限り、CROFプロセスにおける対象の用語「面積」とは、プレートの表面と平行な対象の面積を指す。例えば、スペーサの面積とは、プレートの表面に平行なスペーサの面積を指す。
【0146】
別途指摘されない限り、CROFプロセスにおける用語「横方向」又は「横方向に」とは、プレートの表面と平行な方向を指す。
【0147】
別途指摘されない限り、CROFプロセスにおける用語「幅」とは、スペーサの横方向の寸法を指す。
【0148】
用語「試料内のスペーサ」は、スペーサが試料により取り囲まれる(例えば、試料内の柱状スペーサである)を指す。
【0149】
CROFプロセスにおけるプレートの用語「臨界湾曲スパン」とは、2つの支持具間のプレートのスパン(すなわち、距離)を指し、所定の可撓性プレート、試料、及び圧力について、プレートの湾曲は許容可能な湾曲と等しい。例えば、所定の可撓性プレート、試料及び圧力について、許容可能な湾曲が50nmであり、臨界湾曲スパンが40μmである場合、40μm離れた2つの隣接するスペーサの間のプレートの湾曲が50nmであり、かつ2つの隣接するスペーサが40μmより小さい場合、湾曲が50nmより小さい。
【0150】
試料に関する用語「流動可能」とは、試料の厚さが減少する場合、その横方向寸法が増加することを指す。例えば、糞便試料が流動可能であると考えられる。
【0151】
本発明のいくつかの実施形態において、試料の厚さがCROFプロセスにおいて減少できる限り、CROFプロセスにおける試料が流動可能である必要がなく、したがってプロセスから利益を受ける。例えば、CROFプレートの表面に色素を載置することにより組織を染色させ、CROFプロセスにおいて組織の厚さを減少させることで、色素による染色の飽和インキュベーション時間をスピードアップさせることができる。
【0152】
1. 結合又は混合時間(X)の減少(短縮)
アッセイ又はその他の化学反応を行うインキュベーション/反応時間の減少は望ましい。例えば、プレート表面に固定化された捕捉剤(すなわち固相)により試料中の標的分析物を捕捉する表面固定化アッセイにおいて、一般的に試料中の標的分析物を捕捉するための飽和インキュベーション時間が短い、又は溶液における捕捉剤及び検出剤をプレート表面に固定化する時間が短い、又は両方がいずれも短いことが望ましい。別の例は、捕捉剤をプレート表面に塗布する時間を短縮する必要性である。別の例は、試薬と試料との混合時間を短縮する必要性である。
【0153】
本発明は、試料中の実体を固体表面上の結合部位に結合するために要する飽和インキュベーション時間(すなわち体積から表面への実体の時間)を減少(すなわち短縮)させる方法及び装置を提供する。本発明の別の態様は、プレートの表面に貯蔵された実体を他のプレート表面上の結合部位に結合するために要する時間(すなわち1つの表面から別の表面への実体の時間)を短縮することである。本発明の別の様態は、表面に貯蔵された試薬を一定の体積の試料に添加/混合するために要する時間(すなわち表面から一定の体積の試料に添加/混合する試薬の時間)を短縮することである。
【0154】
本発明は試料(又は液体)を薄い厚さに広げる装置及び方法を用いることによりアッセイにおける結合及び/又は混合の飽和インキュベーション時間を減少させ、これにより実体の試料厚さ上の拡散時間を減少させる。材料(例えば、液体又は固体又は半固体)における実体の拡散時間は、拡散距離の平方に正比例し、したがって試料厚さの減少により拡散距離を減少させることができ、拡散時間及び飽和インキュベーション時間の急激減少を引き起こすことができる。薄い厚さ(例えば、狭い密閉空間)も実体と材料における他の実体との衝突頻度を上げ、それにより結合及び混合をさらに強化させる。本発明における方法は、さらに試料厚さの減少を正確、均一、迅速、簡単(操作ステップがより少ない)にさせ、かつ試料厚さをマイクロメートル又はナノメートルの厚さに減少させることに適用される。これらの発明は迅速で、低コストで、PoC、診断及び化学/生物分析の面に高い実用性を有する。
図1~4は本発明のいくつかの実施形態を示す。
【0155】
1.1 試料厚さを減少させることによる、固体表面上の結合部位への試料中の実体の結合に関する飽和インキュベーション時間の減少
X1.
図1~2、3a及び4aに示すような、試料中の標的実体をプレート表面にある結合部位に結合するために必要な飽和インキュベーション時間を減少させるための方法であって、
(a)流動可能なかつ試料中に拡散できる標的実体を含有する試料を取得するステップ、
(b)異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを取得するステップであって、前記第1のプレートは、その表面に標的実体に結合するように構成された結合部位を有し、前記プレートの1つ又は2つは、その対応するプレートに固定され、かつ所定の高さを有するスペーサを含む、ステップ、
(c)プレートが開放構成で構成されている時に、1つ又は2つのプレートに試料を付着させるステップであって、開放構成は、2つのプレートが部分的又は完全に離れておりかつプレート間の間隔がスペーサにより調節されない、構成である、ステップ、
(d)(c)の後、プレートを閉鎖構成にして試料を広げるステップであって、閉鎖構成において、プレートが互いに対向し、スペーサ及び関連のある体積の試料がプレートの間に位置し、結合部位が関連のある体積と接触し、関連のある体積の試料の厚さが、プレート及びスペーサにより調節され、該厚さが、プレートが開放構成にある時の試料の最大の厚さより薄く、
その関連のある体積は、試料の一部又は全体積であり、かつ
減少した試料厚さにより、関連のある体積中の標的実体を結合部位に結合するための飽和インキュベーション時間が減少する、ステップ
を含む、方法。
【0156】
所定の試料体積に対して、CROFは試料厚さを減少させるが、試料の横方向寸法を増加させる。本発明は、以上の事実を用いて、(a)試料の一部における局所的な結合又は混合を行い、かつ(b)流体バリアがない場合では複数の結合又は混合部位の多重化を行って、試料流体を異なる隔離液嚢に分離させる。
【0157】
X2.
図1~2、3a及び4aに示すような、関連のある体積の試料中の標的実体を表面に結合するために必要な飽和インキュベーション時間を減少させるための装置であって、
(a)異なる構成になるように互いに対して移動可能であり、(b)各プレートが試料と接触するための試料接触領域を有し、該試料が、関連のある体積の試料中に標的実体を有し、(c)プレートの1つが標的実体を結合する結合部位を有し、かつ(d)プレートの少なくとも1つがスペーサを含み、スペーサが、所定のスペーサ間の距離及び高さを有し、かつそのそれぞれの表面に固定され、スペーサの少なくとも1つが試料接触領域内に位置する、第1のプレート及び第2のプレート
を含み、
1つの構成は、2つのプレートが部分的又は完全に離れておりかつプレート間の間隔がスペーサにより調節されない、開放構成であり、
別の構成は、開放構成において試料を付着させた後に構成された閉鎖構成であり、閉鎖構成では、プレートが互いに対向し、スペーサ及び関連のある体積の試料がプレートの間に位置し、結合部位が関連のある体積と接触し、かつ関連のある体積の試料の厚さがプレート及びスペーサにより調節され、該厚さは、プレートが開放構成にある時の試料の最大の厚さより小さく、前記関連のある体積は、試料の部分又は全体の体積であり、かつ前記減少した試料厚さにより関連のある体積における標的実体を結合部位に結合するために必要な飽和インキュベーション時間が減少する、装置。
【0158】
1.2 あるプレートの表面に貯蔵された実体を他のプレート表面にある結合部位に結合するために必要な飽和インキュベーション時間の減少
X3.
図1、3c及び4bに示すように、あるプレートの貯蔵部位に貯蔵された実体を別のプレート上にある関連のある結合部位に結合するための飽和インキュベーション時間を減少させるための方法であって、
(a)異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを取得するステップであって、前記第1のプレートの表面は結合部位を有し、前記第2のプレートは、結合部位に結合する実体を含む貯蔵部位を有し、前記結合部位の面積及び貯蔵部位の面積がその対応するプレートの面積より小さく、かつ前記プレートの1つ又は2つはスペーサを含み、スペーサの各々が、その対応するプレートに固定され、かつ所定の高さを有する、ステップ、
(b)貯蔵部位にある実体が移送媒体に溶解かつ拡散できる、前記移送媒体を取得するステップ、
(c)プレートが開放構成で構成されている時に、前記プレートの1つ又は2つに移送媒体を付着させるステップであって、開放構成は、2つのプレートが部分的又は完全に離れておりかつプレート間の間隔がスペーサにより調節されない、構成である、ステップ、
(d)(c)の後、プレートを閉鎖構成にして試料を広げるステップであって、閉鎖構成において、プレートが互いに対向し、スペーサ、結合部位、貯蔵部位及び少なくとも一部の移送媒体がプレートの間に位置し、結合部位が貯蔵部位と少なくとも部分的に重なり、移送媒体が結合部位と貯蔵部位の少なくとも一部と接触し、移送媒体の厚さがプレート及びスペーサにより調節され、該厚さが、プレートが開放構成にある時の移送媒体の最大の厚さより薄い、ステップ
を含み、
移送媒体の減少した厚さにより、第2のプレートに貯蔵された実体を第1のプレートにある結合部位に結合するために必要な時間が減少する、方法。
【0159】
理由を説明する。組織染色を含む。試料厚さにわたって垂直に拡散する標的実体を説明する。
【0160】
X4.
図1、3c及び4bに示すように、あるプレートの貯蔵部位に貯蔵された実体を別のプレート上の結合部位に結合するための飽和インキュベーション時間を減少させるための装置であって、
異なる構成になるように互いに対して移動可能であり、前記第1のプレートはその表面に結合部位を有し、前記第2のプレートは、その表面に結合部位に結合する実体を含む貯蔵部位を有し、前記結合部位の面積及び貯蔵部位の面積が、そのそれぞれのプレートの面積より小さく、かつ前記プレートの1つ又は2つはスペーサを含み、スペーサの各々が、そのそれぞれプレートで固定されかつかつ所定の高さを有する、第1のプレート及び第2のプレートを含み、
1つの構成は、2つのプレートが部分的又は完全に離れておりプレート間の間隔がスペーサにより調節されずかつ移送媒体が前記プレートの1つ又は2つに付着する、開放構成であり、貯蔵部位上の実体が移送媒体中に溶解してかつ移送媒体中に拡散でき、
別の構成は、移送媒体が開放構成で付着した後に構成された閉鎖構成であり、閉鎖構成において、プレートが互いに対向し、スペーサ、結合部位、貯蔵部位、及び少なくとも一部の移送媒体がプレートの間に位置し、結合部位が貯蔵部位と少なくとも部分的に重なり、移送媒体が結合部位と貯蔵部位の少なくとも一部と接触し、移送媒体の厚さがプレート及びスペーサにより調節され、該厚さが、プレートが開放構成にある時の移送媒体の最大の厚さより薄く、
移送媒体の減少した厚さにより、第2のプレートの貯蔵部位上の実体を第1のプレート上の結合部位に結合するために必要な飽和インキュベーション時間を減少させる、装置。
【0161】
いくつかの実施形態において、段落X3の方法及び段落X4の装置において、移送媒体は実体又は試薬又は両者が拡散する液体を含む。
【0162】
いくつかの実施形態において、段落X3の方法及び段落X4の装置において、移送媒体は、結合部位に結合する分析物(標的分析物とも呼ばれる)を含む試料である。
【0163】
いくつかの実施形態において、段落X3の方法及び段落X4の装置において、移送媒体は、結合部位に結合する分析物(標的分析物とも呼ばれる)を含む試料であり、試料は、分析物に結合する検出剤である。
【0164】
1.3 表面に貯蔵された試薬を液体試料に添加(混合)するための時間の減少
多くのアッセイは、試料(液体を含む)に試薬を添加する必要がある。一般的に試料又は液体に添加された試薬の濃度を制御する必要がある。簡単及び/又は低コストである、このような試薬の添加及び濃度制御を実行するための新たな方法を必要とする。所望の試薬添加の2つの例は、(a)抗凝固剤及び/又は染色試薬を血液試料に添加する血球計数、及び(b)検出剤を添加して溶液における標的分析物を結合する免疫学的アッセイである。
【0165】
本発明の一態様は、このような試薬の添加及び濃度制御を簡単及び/又は低コストにする方法、装置、及びシステムである。本発明の1つの実施形態において、まず試薬層(例えば乾燥された試薬層)をCROF装置のプレート表面に載置し、次に試料をCROF装置に付着させて、CROFプロセスで試料を試薬と接触させ、かつ試料の厚さを、CROFプレートが開放構成にある時の試料の厚さよりも薄くさせる。試料厚さを減少させることにより、試薬の表面から全試料への拡散時間を減少させ、これにより試薬と試料混合の時間を減少させる。
【0166】
X5.
図1、3b及び4cに示すような、プレート表面に貯蔵された試薬を試料と混合するための時間を減少させるための方法であって、
(a)異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを取得するステップであって、前記第1のプレートは、その表面に試料に添加される試薬を含む貯蔵部位を有し、該試薬が試料中に溶解できかつ試料中に拡散でき、前記プレートの1つ又は2つがスペーサを含み、かつ各スペーサが、そのそれぞれのプレートで固定され、かつ所定の高さを有する、ステップ、
(b)試料を取得するステップ、
(c)プレートが開放構成で構成されている時に、前記プレートの1つ又は2つに試料を付着させるステップであって、開放構成は、2つのプレートが部分的又は完全に離れておりかつプレート間の間隔がスペーサにより調節されない、構成である、ステップ、
(d)(c)の後、プレートを閉鎖構成にして前記試料を広げ、閉鎖構成において、プレートが互いに対向し、スペーサ、貯蔵部位及び試料の少なくとも一部がプレートの間に位置し、試料が貯蔵部位の少なくとも一部と接触し、貯蔵部位上の試料厚さがプレート及びスペーサにより調節され、該厚さが、プレートが開放構成にある時の試料の最大の厚さより薄い、ステップ
を含み、
試料の減少した厚さにより、貯蔵部位上の試薬と試料を混合するための時間が減少する、方法。
【0167】
段落X5の方法において、それは、プレートが閉鎖構成にある間にインキュベートするステップをさらに含み、選択されるインキュベーション時間において、試料中に溶解された大量の試薬を関連のある体積の試料中に含ませて、関連のある体積とは、貯蔵部位に位置する試料の体積を指し、インキュベーションとは、試薬が試料中に溶解及び拡散することを可能にする過程を指す。
【0168】
段落X5の方法は、ステップ(d)の後、プレートが閉鎖構成にある間に、因子を試薬が閉鎖構成にある間のプレートにより調節される試料の厚さにわたって試料において拡散した時間にかける時間以下の時間でインキュベートし、次にインキュベーションを停止させるステップをさらに含み、前記インキュベーションにより試薬を試料中に拡散することが可能となり、前記因子が0.0001、0.001、0.01、0.1、1、1.1、1.2、1.3、1.5、2、3、4、5、10、100、1000、10,000又はこれらの値の間の任意の範囲である。例えば、因子は1.1で、拡散時間は20秒であれば、インキュベーション時間は22秒以下である。好ましい実施形態において、因子は0.1、1、1.5又はこれらの値の間の任意の範囲である。
【0169】
X6.
図1、3b及び4cに示すように、プレート表面に貯蔵された試薬を試料中に添加するための時間を減少させるための装置であって、
異なる構成になるように互いに対して移動可能であり、前記第1のプレートは、その表面に試料に添加される試薬を含む貯蔵部位を有し、該試薬が試料中に溶解できかつ試料中に拡散でき、前期プレートの1つ又は2つがスペーサを含み、かつ各スペーサが、そのそれぞれのプレートで固定され、かつ所定の高さを有する、第1のプレート及び第2のプレート
を含み、
1つの構成は、2つのプレートが部分的又は完全に離れておりプレート間の間隔がスペーサにより調節されずかつ試料が前記プレートの1つ又は2つに付着する、開放構成であり、
別の構成は、移送媒体が開放構成で付着した後に構成された閉鎖構成であり、閉鎖構成において、プレートが互いに対向し、スペーサ、貯蔵部位及び試料の少なくとも一部がプレートの間に位置し、試料が貯蔵部位の少なくとも一部と接触し、貯蔵部位上の試料の厚さがプレート及びスペーサにより調節され、該厚さが、プレートが開放構成にある時の試料の最大の厚さよりも薄く、
試料の減少した厚さにより、貯蔵部位上の試薬と試料を混合するための時間が減少する、装置。
【0170】
段落X1~6のいずれかの段落に記載の方法又は装置において、いくつかの実施形態において、試料の関連のある体積は、結合部位又は貯蔵部位に位置する(すなわち、その頂部に位置する)試料の体積である。
【0171】
段落X1~6のいずれかの段落に記載の方法又は装置において、いくつかの実施形態において、試料の関連のある体積は、結合部位又は貯蔵部位の全領域又は一部の領域に位置する(すなわち、その頂部に位置する)試料の体積である。
【0172】
段落X1~6のいずれかの段落に記載の方法又は装置において、いくつかの実施形態において、閉鎖構成における試料厚さに対する結合部位又は貯蔵部位の横方向寸法の比は、1.5 3以上、3以上、5以上、10以上、20以上、30以上、50以上、100以上、200以上、1000以上、10,000以上、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である。
【0173】
段落X1~6のいずれかの段落に記載の方法又は装置において、閉鎖構成における試料厚さに対する結合部位又は貯蔵部位の横方向寸法の比は、好ましい実施形態において3~20の間であり、別の好ましい実施形態において20~100の間であり、別の好ましい実施形態において100~1000の間であり、また、別の好ましい実施形態において1000~10000の間である。
【0174】
段落X1及びX3のいずれかの段落に記載の方法において、いくつかの実施形態において、最終的に減少した試料厚さは、結合部位の面積上の試料厚さより顕著に小さいことにより、結合部位の外に位置する試料領域における実体を結合部位に結合するためのより長い時間を必要とする。適切なインキュベーション時間の選択ではの、結合部位に結合された実体は、主に結合部位に位置する(すなわち、ちょうど結合領域上にある試料体積)試料体積中の実体である。次に、試料中の実体濃度の計算は、試料厚さ及び結合部面積に基づく。
【0175】
段落X5の方法において、いくつかの実施形態において、最終的に減少した試料厚さは、貯蔵部位の面積上の試料厚さより顕著に小さいことにより、結合部位の外に位置する試料領域における実体を結合部位に結合するためのより長い時間を必要とする。
【0176】
適切なインキュベーション時間の選択では、結合部位に結合された実体は、主に結合部位に位置する(すなわち、ちょうど結合領域上にある試料体積)試料体積中の実体である。次に、試料中の実体濃度の計算は、試料厚さ及び結合部面積に基づく。
【0177】
段落X2、X4、X6のいずれかの段落に記載の方法において、プレートを開放構成から閉鎖構成にする圧縮装置をさらに含む。いくつかの実施形態において、圧縮装置は、本開示に記載の実施形態の1つ又は任意の組み合わせである。
【0178】
段落X2、X4、X6のいずれかの段落に記載の方法において、プレートを開放構成から閉鎖構成にする圧縮装置と、プレートを閉鎖構成に保持するように構成された保持装置とを含む。いくつかの実施形態において、保持装置は、本開示に記載の実施形態の1つ又は任意の組み合わせである。
【0179】
段落X2、X4、X6のいずれかの段落に記載の方法において、プレートを開放構成から閉鎖構成にする圧縮装置と、0.001秒以下、0.01秒以下、0.1秒以下、1秒以下、5秒以下、10秒以下、20秒以下、30秒以下、40秒以下、1分間以下、2分間以下、3分間以下、5分間以下、10分間以下、20分間以下、30分間以下、60分間以下、90分間以下、120分間以下、180分間以下、250分間以下、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲内の時間でプレートを閉鎖構成に保持するように構成された保持装置とを含む。
【0180】
段落X2、X4、X6のいずれかの段落に記載の方法において、プレートを開放構成から閉鎖構成にする圧縮装置と、好ましい実施形態において、0.001秒以下、0.01秒以下、0.1秒以下、1秒以下、5秒以下、10秒以下、20秒以下、30秒以下、40秒以下、1分間以下、2分間以下、3分間以下、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲内の時間でプレートを閉鎖構成に保持するように構成された保持装置とを含む。
【0181】
最終的な試料厚さ プレートの閉鎖構成における最終的な試料厚さは、飽和インキュベーション時間を減少させる重要な要素である可能性がある。プレートの調節された間隔に関して論じられるように、試料厚さの減少/変形後の最終的な試料厚さは、実体及び試料の性質と用途に依存する。
【0182】
いくつかの実施形態において、最終的な試料厚さは、約0.5μm(マイクロメートル)より小さい、約1μmより小さい、約1.5μmより小さい、約2μmより小さい、約4μmより小さい、約6μmより小さい、約8μmより小さい、約10μmより小さい、約12μmより小さい、約14μmより小さい、約16μmより小さい、約18μmより小さい、約20μmより小さい、約25μmより小さい、約30μmより小さい、約35μmより小さい、約40μmより小さい、約45μmより小さい、約50μmより小さい、約55μmより小さい、約60μmより小さい、約70μmより小さい、約80μmより小さい、約90μmより小さい、約100μmより小さい、約110μmより小さい、約120μmより小さい、約140μmより小さい、約160μmより小さい、約180μmより小さい、約200μmより小さい、約250μmより小さい、約300μmより小さい、約350μmより小さい、約400μmより小さい、約450μmより小さい、約500μmより小さい、約550μmより小さい、約600μmより小さい、約650μmより小さい、約700μmより小さい、約800μmより小さい、約900μmより小さい、約1000μm(1mm)より小さい、約1.5mmより小さい、約2mmより小さい、約2.5mmより小さい、約3mmより小さい、約3.5mmより小さい、約4mmより小さい、約5mmより小さい、約6mmより小さい、約7mmより小さい、約8mmより小さい、約9mmより小さい、約10mmより小さい、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である。
【0183】
特定の実施形態において、閉鎖構成における最終的な試料厚さは、0.5μm(マイクロメートル)より小さい、1μmより小さい、5μmより小さい、10μmより小さい、20μmより小さい、30μmより小さい、50μmより小さい、100μmより小さい、200μmより小さい、300μmより小さい、500μmより小さい、800μmより小さい、200μmより小さい、1mm(ミリメートル)より小さい、2mm(ミリメートル)より小さい、4mm(ミリメートル)より小さい、8mm(ミリメートル)より小さい、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である。
【0184】
特定の実施形態において、Q方法は、最終的な試料厚さを均一にさせ、かつ第1のプレート及び第2のプレートの平坦な表面を用いる。
【0185】
本発明において、試料インキュベーションは、振盪の有無にかかわらず、様々な温度、湿度、気体環境及び様々な持続時間で行われる。
【0186】
インキュベーション時間 段落X1及びX3のいずれかの段落に記載の方法は、ステップ(d)の後、プレートが閉鎖構成にある間に、閉鎖構成でのプレートにより調節される試料の厚さにわたって試料において実体が拡散した時間にある因子をかける時間以下の時間でインキュベートし、次にインキュベーションを停止させるステップをさらに含み、前記インキュベーションにより実体を結合部位に結合することが可能となり、前記因子が0.0001、0.001、0.01、0.1、1、1.1、1.2、1.3、1.5、2、3、4、5、10、100、1000、10,000又はこれらの値の間の任意の範囲である。例えば、因子は1.1で、拡散時間は20秒であれば、インキュベーション時間は22秒以下である。好ましい1つの実施形態において、因子は0.1、1、1.5又はこれらの値の間の任意の範囲である。
【0187】
段落X5のいずれかの段落に記載の方法は、ステップ(d)の後、プレートが閉鎖構成にある間に、実体が閉鎖構成にある間のプレートにより調節される試料の厚さにわたって試料全体に拡散した時間にある因子をかける時間以下の時間でインキュベーションし、次にインキュベーションを停止させるステップをさらに含み、前記インキュベーションにより実体を結合部位に結合することが可能となり、前記因子が0.0001、0.001、0.01、0.1、1、1.1、1.2、1.3、1.5、2、3、4、5、10、100、1000、10,000又はこれらの値の間の任意の範囲である。例えば、因子は1.1で、拡散時間は20秒であれば、インキュベーション時間は22秒以下である。好ましい1つの実施形態において、因子は0.1、1、1.5又はこれらの値の間の任意の範囲である。
【0188】
段落X1、X3、及びX5のいずれかの段落に記載の方法又は段落X2、X4及びX6のいずれかの段落に記載の装置において、少なくとも1つのスペーサは試料接触領域内に位置する。
【0189】
段落X1、X3、及びX5のいずれかの段落に記載の方法又は段落X2、X4及びX6のいずれかの段落に記載の装置において、スペーサは所定のスペーサ間の距離を有する。
【0190】
段落X1、X3、X5のいずれかの段落に記載の方法において、プレートが開放構成にある間のインキュベーションステップをさらに含み、飽和インキュベーション時間は、0.001秒以下、0.01秒以下、0.1秒以下、1秒以下、5秒以下、10秒以下、20秒以下、30秒以下、40秒以下、1分間以下、2分間以下、3分間以下、5分間以下、10分間以下、20分間以下、30分間以下、60分間以下、90分間以下、120分間以下、180分間以下、250分間以下、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である。
【0191】
段落X1、X3、X5のいずれかの段落に記載の方法において、閉鎖構成で減少した試料厚さでの飽和インキュベーション時間は、0.001秒以下、0.01秒以下、0.1秒以下、1秒以下、5秒以下、10秒以下、20秒以下、30秒以下、40秒以下、1分間以下、2分間以下、3分間以下、5分間以下、10分間以下、20分間以下、30分間以下、60分間以下、90分間以下、120分間以下、180分間以下、250分間以下、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である。
【0192】
いくつかの実施形態において、まず捕捉剤を結合部位に固定し、次に試料を結合部位と接触させ、試料中の実体を捕捉剤により捕捉し、最後に検出剤を添加して捕捉された実体と結合し、(例えば、光学方法又は電学方法又は組み合わせにより)検出剤からのシグナルを読み取る。いくつかの実施形態において、捕捉剤及び検出剤外の他の試薬(例えば遮断剤)を添加する。
【0193】
例えばPoCの多くの適用において、追加の試薬を試料に添加するための簡単なかつ/又は低コストの装置及び方法を有することが望ましい。本発明の一態様は、追加の試薬を試料に添加するための簡単なかつ/又は低コストの装置及び方法に関する。添加された追加の試薬は、検出剤、遮断剤、光信号増強剤、光信号消光剤又は他の試薬を含む。本発明のいくつかの実施形態において、同じ位置に貯蔵された試薬の異なる放出時間によりアッセイ過程を制御する。異なる溶解速度を有する他の材料を添加することにより、異なる放出時間を取り付けることができる。
【0194】
特定の実施形態において、試料厚さを制御する(例えば、試料厚さと貯蔵部位面積との比及び/又は混合時間を制御する)ことにより試料に混合された試薬の濃度を制御する。
【0195】
2. プレート、スペーサ、スケールマーカー、試料厚さの調節
2.1 プレート構成及び試料厚さの調節
開放構成 いくつかの実施形態において、開放構成では、2つのプレート(すなわち、第1のプレート及び第2のプレート)は互いに離れている。特定の実施形態において、2つのプレートは、プレートのすべての操作期間(開放構成及び閉鎖構成を含む)において、一体に接続された1つの側面を有し、2つのプレートの開放及び閉鎖は、本と類似する。いくつかの実施形態において、2つのプレートは、長方形(又は正方形)の形状を有し、プレートのすべての操作期間において接続された2つの長方形の辺を有する。
【0196】
いくつかの実施形態において、開放構成は、試料が1対の他のプレートの妨害なしで該1対のプレートの1つに付着するようにプレートが互いに遠く離れている、形態を含む。
【0197】
いくつかの実施形態において、開放構成は、プレートが互いに遠く離れる形態を含み、その結果として試料が別のプレートが存在しないように1つのプレートに直接付着する。
【0198】
いくつかの実施形態において、開放構成は、1対のプレートの間の距離が少なくとも10nm、少なくとも100nm、少なくとも1000nm、少なくとも0.01cm、少なくとも0.1cm、少なくとも0.5cm、少なくとも1cm、少なくとも2cm、又は少なくとも5cm、又は任意の2つの値の範囲である構成を含む。
【0199】
いくつかの実施形態において、開放構成は、1対のプレートが異なる向きに配向された形態を含む。いくつかの実施形態において、開放構成は、試料添加を可能にするように構成された1対のプレート間のアクセスギャップを画定する構成を含む。
【0200】
いくつかの実施形態において、開放構成は、各プレートが試料接触表面を有し、かつプレートが1つの開放構成にある時にプレートの少なくとも1つの接触表面が露出される構成を含む。
【0201】
閉鎖構成及び試料厚さの調節 本発明において、2つのプレートの閉鎖構成は、2つのプレートの内面間の間隔(すなわち、距離)が2つのプレート間のスペーサにより調節される構成である。プレートの内面(「試料表面」とも呼ばれる)は、CROFプロセスの圧縮ステップの間において、試料と接触し、したがって、閉鎖構成では、試料厚さがスペーサにより調節される。
【0202】
プレートを開放構成から閉鎖構成にするプロセスの間において、プレートは互いに対向し(プレートの少なくとも一部が互いに対向し)、かつ力で2つのプレートを一体にする。2つのプレートを開放構成から閉鎖構成にする時に、2つのプレートの内面は、プレートに付着した試料を圧縮して、試料厚さを減少させ(同時に試料は、プレート間に横方向に開放して流れる)、関連のある体積の試料の厚さは、スペーサ、プレート、及び使用される方法、及び試料の機械的/流体的特性によって決定される。所定の試料及び所定のスペーサ、プレート及びプレートプレス法について、閉鎖構成での厚さを予め決定することができる。
【0203】
用語「スペーサによるプレートの内面間の間隔の調節」又は「プレート及びスペーサによる試料厚さの調節」又は「試料厚さはスペーサ及びプレートにより調節される」とは、CROFプロセスにおける試料厚さが所定のプレート、スペーサ、試料及びプレス方法によって決定されることを指す。
【0204】
いくつかの実施形態において、閉鎖構成で調節された試料厚さはスペーサの高さと同じであり、この場合では、閉鎖構成において、スペーサは、2つのプレートに直接接触する(一方のプレートが、その上にスペーサが固定されたプレートであり、他方のプレートがスペーサと接触するプレートである)。
【0205】
特定の実施形態において、閉鎖構成で調節された試料厚さはスペーサの高さより大きく、この場合では、閉鎖構成において、スペーサは、その表面に固定又は取り付けられたスペーサを有するプレートのみに直接接触し、別のプレートと間接的に接触する(すなわち、間接的接触である)。用語のプレート「と間接的に接触する」とは、スペーサとプレートとが「残留試料層」と呼ばれる薄い試料層によって離されていることを指し、その厚さは「残留物の厚さ」と呼ばれる。所定のスペーサ及びプレート、所定のプレートプレス方法及び所定の試料について、残留物の厚さを予め設定して(予め設定とは、閉鎖構成になる前を指す)、閉鎖構成で試料厚さを予め設定する。これは、所定の条件(試料、スペーサ、プレート及び圧力)について、残留層の厚さが同じであり、かつ予め較正及び/又は計算が可能であるためである。調節された試料の厚さは、スペーサの高さに試料の残留物の厚さを加えたものにほぼ等しい。
【0206】
多くの実施形態において、柱のサイズ及び形状は、使用前に予め特徴付けられる(すなわち、予め設定される)。予め設定された情報は、試料体積(又は関連のある体積)及び他のものの決定のような後続きのアッセイに使用される。
【0207】
いくつかの実施形態において、試料厚さの調節は、プレートの間の距離を維持するようにプレートに閉鎖(圧縮)力を加えることを含む。
【0208】
いくつかの実施形態において、試料厚さの調節は、スペーサによってプレートの間の距離を確立すること、プレートに加えられた閉鎖力、試料の物理的特性を含み、試料の物理的特性は、好ましくは粘度及び圧縮性を含む。
【0209】
2.2 プレート
本発明において、一般的に、CROFのプレートは、(i)スペーサとともに試料の一部又は全部の体積の厚さを調節するために用いることができ、(ii)試料に、アッセイに、又はプレートが達成しようとする目標に顕著な悪影響を及ぼさないという材料で製造される。しかし、特定の実施形態において、特定の材料(したがってその特性)は特定の目的を達成するようにプレートに用いられる。
【0210】
いくつかの実施形態において、2つのプレートは、プレート材料、プレートの厚さ、プレートの形状、プレートの面積、プレートの可撓性、プレートの表面特性及びプレートの光透過性の各パラメータに対して同じ又は異なるパラメータを有する。
【0211】
プレートの材料 プレートは、単一材料、複合材料、多種の材料、多層の材料、合金又はその組み合わせで製造される。プレートに用いられる各材料は、無機材料、有機材料又は混合物であり、材料の例は、Mat-1及びMat-2の段落で説明される。
【0212】
Mat-1.プレートに用いられる無機材料は、ガラス、石英、酸化物、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化ハフニウム(HfO)、酸化アルミニウム(AIO)、半導体(シリコン、GaAs、GaNなど)、金属(例えば、金、銀、銅、アルミニウム、チタン、ニッケルなど)、セラミック又はそれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限られない。
【0213】
Mat-2スペーサに用いられる有機材料は、ポリマー(例えば、プラスチック)又はアモルファス有機材料を含むが、これらに限られない。スペーサに用いられるポリマー材料は、アクリレートポリマー、ビニルポリマー、オレフィンポリマー、セルロースポリマー、非セルロースポリマー、ポリエステルポリマー、ナイロン、環状オレフィンコポリマー(COC)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、環状オレフィンポリマー(COP)、液晶ポリマー(LCP)、ポリアミド(PA)、ポリエチレン(PE)、ポリイミド(PI)、ポリプロピレン(PP)、ポリ(フェニレンエーテル)(PPE)、ポリスチレン(PS)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリ(エチレンフタレート)(PET)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ゴム、又はそれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限られない。
【0214】
いくつかの実施態様において、プレートは、それぞれ、ガラス、プラスチック、セラミック及び金属のうちの少なくとも1つで製造される。いくつかの実施態様において、プレートは、それぞれ、ガラス、プラスチック、セラミック及び金属のうちの少なくとも1つを含む。
【0215】
いくつかの実施形態において、1つのプレートは、側面積、厚さ、形状、材料、又は表面処理について、他のプレートと異なる。いくつかの実施形態において、1つのプレートは、側面積、厚さ、形状、材料、又は表面処理について、他のプレートと同じである。
【0216】
スペーサに用いられる材料は、剛性、可撓性、又は両者の中間の任意の可撓性である。剛度(すなわち、硬度)又は可撓性は、プレートを閉鎖構成にする際に使用される圧力に関連している。
【0217】
いくつかの実施形態において、剛性又は可撓性プレートの選択は、閉鎖構成での試料厚さの均一性を制御する要件から決定される。
【0218】
いくつかの実施態様において、2つのプレートのうちの少なくとも1つ(光に対して)は透明である。いくつかの実施態様において、1つのプレート又は2つのプレートの少なくとも一部又は複数の部分は透明である。いくつかの実施形態において、プレートは非透明である。
【0219】
プレートの厚さ いくつかの実施形態において、少なくとも1つのプレートの平均厚さは、2nm以下、10nm以下、100nm以下、500nm以下、1000nm以下、2μm(マイクロメートル)以下、5μm以下、10μm以下、20μm以下、50μm以下、100μm以下、150μm以下、200μm以下、300μm以下、500μm以下、800μm以下、1mm(ミリメートル)以下、2mm以下、3mm以下、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である。
【0220】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つのプレートの平均厚さは、最大3mm(ミリメートル)、最大5mm、最大10mm、最大20mm、最大50mm、最大100mm、最大500mm、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である。
【0221】
いくつかの実施形態において、プレートの厚さは、プレート全体にわたって均一ではない。異なる位置で異なるプレートの厚さを用いて、プレート湾曲、折り畳み、試料厚さの調節などを制御するために用いることができる。
【0222】
プレートの形状及び面積 一般的に、プレートは、形状が試料の圧縮開放流れ及び試料厚さの調節を可能にする限り、任意の形状を有することができる。しかしながら、特定の実施形態において、特定の形状が有利であってもよい。プレートの形状は、円形、楕円形、長方形、三角形、多角形、環状又はこれらの形状の任意の重なりであってもよい。
【0223】
いくつかの実施形態において、2つのプレートは、同じ又は異なるサイズ又は形状を有してもよい。プレートの面積は、その適用によって異なる。プレートの面積は、最大1mm2(平方ミリメートル)、最大10mm2、最大100mm2、最大1cm2(平方センチメートル)、最大5cm2、最大10cm2、最大100cm2、最大500cm2、最大1000cm2、最大5000cm2、最大10,000cm2、又は10,000cm2以上、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である。プレートの形状は、長方形、正方形、円形、又は他の形状であってもよい。
【0224】
特定の実施形態において、プレートのうちの少なくとも1つは、幅、厚さ、及び長さを有するベルト(又はストリップ)の形式である。幅は、最大0.1cm(センチメートル)、最大0.5cm、最大1cm、最大5cm、最大10cm、最大50cm、最大100cm、最大500cm、最大1000cm、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である。長さは、必要な長さにすることができる。ベルトはロール状に巻くことができる。
【0225】
プレート表面の平坦度 多くの実施形態において、プレートの内面は、平坦又は非常に平坦な平面である。特定の実施形態においては、2つの内面は、閉鎖構成において、互いに平行である。平坦な内面は、閉鎖構成で所定のスペーサの高さのみを用いることによって、試料厚さの定量化及び/又は制御を容易にする。プレートの非平坦な内面については、閉鎖構成での試料厚さを定量化及び/又は制御するように、スペーサの高さだけでなく、内面のトポロジーを正確に知る必要がある。表面トポロジーを知るためには、追加の測定及び/又は補正が必要であり、これは複雑で時間がかかり、コストが高い。
【0226】
プレート表面の平坦度は、最終的な試料厚さ(最終的な厚さは、閉鎖構成での厚さである)について、一般的に、最終的な試料厚さに対するプレート表面の平坦度変動値の比である「相対的な表面の平坦度」という用語によって特徴付けられる。
【0227】
いくつかの実施形態において、相対表面は、0.01%、0.1%より小さい、0.5%より小さい、1%より小さい、2%より小さい、5%より小さい、10%より小さい、20%より小さい、30%より小さい、50%より小さい、70%より小さい、80%より小さい、100%より小さい、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である。
【0228】
プレート表面の平行度 いくつかの実施形態において、プレートの2つの表面は、顕著に互いに平行である。特定の実施形態において、プレートの2つの表面は、互いに平行ではない。
【0229】
プレートの可撓性 いくつかの実施形態において、CROFプロセスの圧縮下で、プレートは可撓性である。いくつかの実施形態において、CROFプロセスの圧縮下で、2つのプレートはいずれも可撓性である。いくつかの実施形態において、CROFプロセスの圧縮下で、1つのプレートは剛性であり、別のプレートは、可撓性である。いくつかの実施形態において、2つのプレートはいずれも剛性である。いくつかの実施形態において、2つのプレートはいずれも可撓性であるが、可撓性が異なる。
【0230】
プレートの光学的透明度 いくつかの実施形態において、プレートは光学的透明である。いくつかの実施形態において、2つのプレートはいずれも光学的透明である。いくつかの実施形態において、1つのプレートは光学的透明であり、別のプレートは非透明である。いくつかの実施形態において、2つのプレートはいずれも非透明である。いくつかの実施形態において、2つのプレートはいずれも光学的透明であるが、光学的透明度が異なる。プレートの光学的透明度とは、プレートの一部の又は全体領域を指す。
【0231】
表面の濡れ性 いくつかの実施形態において、プレートは、試料、移送液体、又は両者を湿潤させる(すなわち、接触角が90度未満である)内面を有する。いくつかの実施形態において、2つのプレートは、いずれも、試料、移送液体、又は両者を湿潤させ、同じ又は異なる濡れ性を備える内面を有する。いくつかの実施形態において、1つのプレートは、試料、移送液体、又は両者を湿潤させる内面を有し、別のプレートは、湿潤しない内面を有する(すなわち、接触角が90度以上である)。プレートの内面の湿潤とは、プレートの一部の又は全体領域を指す。
【0232】
いくつかの実施形態において、プレートの内面は、CROF期間において試料の横方向流動を制御するための他のナノ又はマイクロ構造を有する。ナノ又はマイクロ構造は、チャネル、ポンプなどを含むが、これらに限られない。ナノ及びマイクロ構造も、内面の湿潤特性を制御するために用いられる。
【0233】
2.3 スペーサ
スペーサの機能 本発明において、スペーサは、以下の機能及び特性のうちの一種又は任意の組み合わせを有するように構成され、スペーサは、(1)プレートとともに、試料の厚さ又は試料の関連のある体積を制御する(好ましくは、関連のある領域にわたる厚さ制御は正確もしくは均一的であるか、又は両方である)ように、(2)試料がプレート表面に圧縮調節開放流れ(CROF)を有することを可能にするように、(3)所定の試料領域(体積)において大きな表面積(体積)を占用しないように、(4)試料中の粒子又は分析物の沈降効果を減少させるか又は向上させるように、(5)プレートの内表面の湿潤特性を変更及び/又は制御するように、(6)プレートの位置、サイズのスケール、及び/又はプレートの関連情報を識別すること、或いは(7)上記任意の組み合わせを行うように、構成される。
【0234】
スペーサアーキテクチャ及び形状 所望の試料厚さの減少と制御を実現するために、特定の実施形態において、スペーサが、その対応するプレート上に固定される。一般的には、スペーサは、任意の形状を有してもよく、スペーサは、CROFプロセスにおいて試料厚さを調節することができる限り、一定の形状が、一定の機能、例えば、より優れた均一性、プレス時のより少ないのオーバーシュート等の実現に対して好ましい。
【0235】
スペーサは、1つのスペーサ又は複数のスペーサである。(例えば、アレイ)。複数のスペーサに係るいくつかの実施形態は、スペーサ(例えば、柱体)のアレイであり、そのうちスペーサ間の距離は、周期的であるもしくは非周期的であるか、又はプレートの一定の領域において周期的であるもしくは非周期的であるか、又はプレートの異なる領域において異なる距離を有する。
【0236】
スペーサは、開放スペーサと密閉スペーサという二種類のタイプを有する。開放スペーサは、試料がスペーサを通って流れることを可能にするスペーサ(すなわち、試料がスペーサの周囲を流れて通過する。例えば、スペーサとしてのポスト)であり、密閉スペーサは、試料の流れを止めるスペーサ(すなわち、試料がスペーサから流れ出すことができない。例えば、環状スペーサであり、試料が環内にある)である。両方のタイプのスペーサは、その高さを用いて閉鎖構成における最終的な試料厚さを調節する。
【0237】
いくつかの実施形態において、スペーサは、開放スペーサのみがある。いくつかの実施形態において、スペーサは、密閉スペーサのみがある。いくつかの実施形態において、スペーサは、開放スペーサと密閉スペーサの組み合わせである。
【0238】
用語「柱状スペーサ」は、スペーサが柱形状を呈することを意味し、柱形状とは、高さ及び横方向形状を有する物体を指し、この高さ及び横方向形状によって圧縮開放流れ中にその周囲を試料が流れることが可能になる。
【0239】
いくつかの実施形態において、柱状スペーサの横方向形状は、(i)円形、楕円形、矩形、三角形、多角形、環形、星形、英文字形(例えば、L形、C形、英文字A~Z)、数字形(例えば、0、1、2、3、4、…9等の形状)、(ii)少なくとも1つの丸い角を有するグループ(i)における形状、(iii)ジグザグ形又はすき放し縁を有するグループ(i)における形状、及び(iv)(i)と(ii)と(iii)との任意の重ね合わせ、というグループにおける形状から選択される。複数のスペーサについて、異なるスペーサは、異なる横方向形状とサイズ及び隣接するスペーサの異なる距離を有してもよい。
【0240】
いくつかの実施形態において、スペーサは、ポスト状、円柱状、ビーズ状、ボール状、及び/又は他の適切な幾何学形状であってもよくかつ/又はこれらを含んでもよい。スペーサの横方向形状及び寸法(すなわち、それぞれのプレート表面を横断する)は、いくつかの実施形態において、(i)スペーサの幾何学形状が試料厚さ及び体積を測定する時に明らかな誤差を引き起こさず、かつ(ii)スペーサの幾何学形状がプレート間の試料の流れ出しを止めない(すなわち、密閉した形態ではない)、という制限を有する以外、任意であってもよい。しかしながら、いくつかの実施形態において、試料フローを制限するための、密閉スペーサであるいくつかのスペーサが必要とされる。
【0241】
いくつかの実施形態において、スペーサの形状は、丸い角を有する。例えば、1つの矩形のスペーサは、1つ、いくつか、もしくはすべてが丸い角を有するか、又は全ての角が丸い角(円形に似ているが90度角ではない)である。一般的には、丸い角により、スペーサの製造が容易になり、生物学的材料への損害を小さくする場合もある。
【0242】
柱の側壁は、直線状、湾曲状、傾斜状であるか、あるいは側壁の部分によって異なる形状を有してもよい。いくつかの実施形態において、スペーサは、様々な横方向形状、側壁及び柱の高さと柱の側面積との比を有する柱状のものである。
【0243】
1つの好ましい実施形態において、スペーサは、開放流れを可能にする柱状を有する。
【0244】
スペーサの材料 本発明において、スペーサは、通常、2つのプレートとともに関連のある体積の試料の厚さを調節するために使用できる任意材料で製造される。いくつかの実施形態において、スペーサの材料とプレートの材料とは異なる。いくつかの実施形態において、スペーサに使用される材料は、少なくとも1つのプレートに使用される材料の一部と少なくとも同じである。
【0245】
スペーサは、単一材料、複合材料、多種の材料、多層の材料、合金、又はそれら組み合わせで製造される。プレートに使用される材料は、無機材料、有機材料、又はその組み合わせであり、その材料の例については段落Mat-1及びMat-2で説明する。1つの好ましい実施形態において、スペーサは、CROFに使用されるプレートの材料と同じ材料で製造される。
【0246】
スペーサの機械的強度及び可撓性 いくつかの実施形態において、スペーサは、機械的強度が十分に高いので、プレートの圧縮及び閉鎖構成過程では、スペーサの高さが開放構成にある時のプレートの高さと同じであるか、又は実質的に同じである。いくつかの実施形態において、開放構成と閉鎖構成にある、スペーサの間の差異は、特徴付けられるか、又は予め決定されてもよい。
【0247】
スペーサに使用される材料は、剛性、可撓性、又は両者の中間の任意の可撓性であってもよい。剛性は、プレートを閉鎖構成にするプレス力に関連し、該プレス力で、空間高さが1%未満変形すると、スペーサが剛性であると考えられ、そうでなければ、可撓性であると考えられる。スペーサが可撓性材料で製造される場合に、プレス力及びスペーサの機械的強度に基づいて、閉鎖構成にある最終的な試料の厚さを依然として予め決定することができる。
【0248】
試料内のスペーサ 試料厚さに対する所望の低減と制御を達成するために、特に、優れた試料厚さ均一性を達成するために、特定の実施形態において、スペーサは試料内又は関連のある体積の試料内に載置される。いくつかの実施形態において、試料又は関連のある体積の試料内に、適切なスペーサ間の距離で、1つ以上のスペーサが存在する。特定の実施形態において、スペーサのうちの少なくとも1つは試料内に位置し、スペーサのうちの少なくとも2つは試料内又は関連のある体積の試料内に位置するか、又は少なくとも「n」個のスペーサは試料内又は関連のある体積の試料内に位置し、ここで、「n」が、CROF間の試料厚さ均一性又は必要とされる試料流れ特性によって決定される。
【0249】
スペーサ高さ いくつかの実施形態において、全てのスペーサは、同じ所定の高さを有する。いくつかの実施形態において、スペーサは、異なる所定の高さを有する。いくつかの実施形態において、スペーサは、グループ又は領域に分けられ、そのうち、各グループ又は領域がそれぞれのスペーサ高さを有する。また、特定の実施形態において、スペーサは、所定の高さが、スペーサの平均高さである。いくつかの実施形態において、スペーサは、実質的に同じ高さを有する。いくつかの実施形態において、一定の百分率の数のスペーサは、同じ高さを有する。
【0250】
スペーサの高さは、所望の調節された最終的な試料厚さ及び残留試料厚さによって選択される。スペーサの高さ(所定のスペーサの高さ)及び/又は試料の厚さは、3nm以下、10nm以下、50nm以下、100nm以下、200nm以下、500nm以下、800nm以下、1000nm以下、1μm以下、2μm以下、3μm以下、5μm以下、10μm以下、20μm以下、30μm以下、50μm以下、100μm以下、150μm以下、200μm以下、300μm以下、500μm以下、800μm以下、1mm以下、2mm以下、4mm以下、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である。
【0251】
スペーサの高さ及び/又は試料の厚さは、1つの好ましい実施形態において、1nm~100nmの間にあり、別の好ましい実施形態において、100nm~500nmの間にあり、1つの単独な好ましい実施形態において、500nm~1000nmの間にあり、別の好ましい実施形態において、1μm(すなわち、1000nm)~2μmの間にあり、別の好ましい実施形態において、2μm~3μmの間にあり、別の好ましい実施形態において、3μm~5μmの間にあり、別の好ましい実施形態において、5μm~10μmの間にあり、別の好ましい実施形態において、10μm~50μmの間にあり、1つの単独な好ましい実施形態において、50μm~100μmの間にある。
【0252】
いくつかの実施形態において、スペーサ高さ及び/又は試料厚さは、(i)分析物の最小寸法に等しいかもしくはそれよりわずかに大きいか、又は(ii)分析物の最大寸法に等しいかもしくはそれよりわずかに大きい。「わずかに大きい」は、約1%~5%大きく、2つの値の間の任意の数であることを意味する。
【0253】
いくつかの実施形態において、スペーサ高さ及び/又は試料厚さは、分析物(例えば、異向性形状を有する分析物)の最小寸法よりも大きいが、分析物の最大寸法よりも小さい。
【0254】
例えば、赤血球は、最小寸法が2μm(ディスク厚さ)で、最大寸法が11μm(ディスク直径)であるディスク形状を有する。本発明の1つの実施形態において、スペーサは、関連のある領域内にあるプレートの内表面間隔を、1つの実施形態において2μm(最小寸法に等しい)にして、別の実施形態において2.2μmにするか、又は別の実施形態において3μm(最小寸法よりも50%大きい)にするが、赤血球の最大寸法よりも小さくするように選択される。このような実施形態は、赤血球の計数において、一定の利点を有する。1つの実施形態において、赤血球の計数のために、内表面間隔を、2μm又は3μmにして、2つの値の間の任意の数値にすることにより、未希釈の全血試料を間隔内に平均に限定し、各赤血球(RBC)を他の赤血球と重複せず、それにより視覚的に赤血球を正確に計数することができる。(RBC間に多く重複すると、深刻な計数誤差をもたらす可能性がある)。
【0255】
いくつかの実施形態において、本発明は、プレート及びスペーサを用いて、試料厚さだけでなく、プレートが閉鎖構成にある時の試料中の分析物/実体の配向及び/又は表面密度も調節する。プレートが閉鎖構成にある時に、試料の薄い厚さにより、表面積当たりの分析物/実体が少なくなる(すなわち、小さい表面濃度)。
【0256】
スペーサ横方向寸法 開放スペーサの場合、横方向寸法は、それがxとyという2つの直交方向における横方向寸法(幅と呼ばれる場合もある)によって特徴付けることができる。スペーサの各方向における横方向寸法は、同じであるか、又は異なる。いくつかの実施形態において、各方向(x又はy)における横方向寸法は…。
【0257】
いくつかの実施形態において、xとy方向の横方向寸法の比は1、1.5、2、5、10、100、500、1000、10,000であるか、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である。いくつかの実施形態において、試料の流れ方向を調節するために、異なる比が使用され、比が大きいほど、流れが1つの方向(より大きなサイズ方向)に沿う。
【0258】
いくつかの実施形態において、x方向とy方向におけるスペーサの異なる横方向寸法は、(a)スペーサをプレートの方向を示すためのスケールマーカーとして使用し、(b)スペーサを使用して、好ましい流れ方向におけるより多くの試料を作るか、又は両方とも達成するように使用される。
【0259】
1つの好ましい実施形態において、周期、幅、及び高さ。
【0260】
いくつかの実施形態において、全てのスペーサは、同じ形状及び寸法を有する。いくつかの実施形態において、各スペーサは、異なる横方向寸法を有する。
【0261】
密閉スペーサの場合、いくつかの実施形態において、内部の横方向形状及びサイズは、密閉スペーサによって密閉される試料の総体積に応じて選択され、そのうち、体積とサイズは、本開示において既に説明され、特定の実施形態において、外部の横方向形状及びサイズは、スペーサに対する液体の圧力とプレートをプレスする圧縮圧力とをサポートするために必要な強度に応じて選択される。
【0262】
柱状スペーサの平均横方向寸法に対する高さのアスペクト比
特定の実施形態において、柱状スペーサの平均横方向寸法に対する高さのアスペクト比は、100,000、10,000、1,000、100、10、1、0.1、0.01、0.001、0.0001、0.00001であるか、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である。
【0263】
スペーサ高さの精度 スペーサ高さの精度を、正確に制御すべきである。スペーサの相対的な精度(すなわち、所望のスペーサ高さに対する偏差の比)は、0.001%以下、0.01%以下、0.1%以下、0.5%以下、1%以下、2%以下、5%以下、8%以下、10%以下、15%以下、20%以下、30%以下、40%以下、50%以下、60%以下、70%以下、80%以下、90%以下、99.9%以下であるか、又はこれらの任意の数値の間に範囲である。
【0264】
スペーサ間の距離 スペーサは、プレート上の又は関連のある領域の試料における、1つのスペーサであるか又は複数のスペーサであってもよい。いくつかの実施形態において、プレート上のスペーサは、アレイ形態で配置及び/又は配列され、該アレイは周期的、非周期的アレイであるか、又はプレートのいくつかの位置で周期的であるが、他の位置で非周期的である。
【0265】
いくつかの実施形態において、スペーサの周期的アレイは、正方形、矩形、三角形、六角形、多角形、又はその任意の組み合わせの格子を有し、そのうち該組み合わせは、プレートの異なる位置に異なるスペーサ格子を有することを意味する。
【0266】
いくつかの実施形態において、スペーサアレイのスペーサ間の距離は、アレイの少なくとも1つの方向において周期的である(すなわち、スペーサ間の距離が均一的である)。いくつかの実施形態において、スペーサ間の距離は、閉鎖構成でのプレート間隔の間の均一性を改善するように構成される。
【0267】
隣接するスペーサ間の距離(すなわち、スペーサ間の距離)は1μm以下、5μm以下、10μm以下、20μm以下、30μm以下、40μm以下、50μm以下、60μm以下、70μm以下、80μm以下、90μm以下、100μm以下、200μm以下、300μm以下、400μm以下、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である。
【0268】
特定の実施形態において、スペーサ間の距離は400以下、500以下、1mm以下、2mm以下、3mm以下、5mm以下、7mm以下、10mm以下であるか、又はこれらの値の間の任意の範囲である。特定の実施形態において、スペーサ間の距離は10mm以下、20mm以下、30mm以下、50mm以下、70mm以下、100mm以下であるか、又はこれらの値の間の任意の範囲である。
【0269】
隣接するスペーサ間の距離(すなわち、スペーサ間の距離)は、プレートの閉鎖構成における、プレート及び試料の所定の特性に関して、隣接する2つのスペーサの間の試料厚さの変動が、いくつかの実施形態において、最大0.5%、1%、5%、10%、20%、30%、50%、80%、又はこれらの値の間の任意の範囲であり、あるいは特定の実施形態において、最大80%、100%、200%、400%、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲であるように、選択される。
【0270】
明らかに、隣接する2つのスペーサの間の所定の試料厚さの変動を維持するために、より近いスペーサ間の距離は、可撓性のより高いプレートが使用される時に、必要とされる。
【0271】
スペーサ間の距離の精度を特定する。
【0272】
1つの好ましい実施形態において、スペーサは周期的な正方形アレイであり、そのうちスペーサは、高さが2μm~4μmで、平均横方向寸法が5μm~20μmで、スペーサの間の間隔が1μm~100μmである柱状のものである。
【0273】
1つの好ましい実施形態において、スペーサは周期的な正方形アレイであり、スペーサは、高さが2μm~4μmで、平均横方向寸法が5μm~20μmで、スペーサの間の間隔が100μm~250μmである柱状のものである。
【0274】
1つの好ましい実施形態において、スペーサは周期的な正方形アレイであり、スペーサは、高さが4μm~50μmで、平均横方向寸法が5μm~20μmで、スペーサの間の間隔が1μm~100μmである柱状のものである。
【0275】
1つの好ましい実施形態において、スペーサは周期的な正方形アレイであり、そのうちスペーサは、高さが4μm~50μmで、平均横方向寸法が5μm~20μmで、スペーサ間の間隔が100μm~250μmである柱状のものである。
【0276】
スペーサアレイの周期は、1つの好ましい実施形態において、1nm~100nmの間にあり、別の好ましい実施形態において、100nm~500nmの間にあり、1つの単独な好ましい実施形態において、500nm~1000nmの間にあり、別の好ましい実施形態において、1μm(すなわち、1000nm)~2μmの間にあり、別の好ましい実施形態において、2μm~3μmの間にあり、別の好ましい実施形態において、3μm~5μmの間にあり、別の好ましい実施形態において、5μm~10μmの間にあり、別の好ましい実施形態において、10μm~50μmの間にあり、1つの単独な好ましい実施形態において、50μm~100μmの間にあり、1つの単独な好ましい実施形態において、100μm~175μmの間にあり、1つの単独な好ましい実施形態において、175μm~300μmの間にある。
【0277】
スペーサ密度 スペーサは、1個/μm2よりも大きい、1個/10μm2よりも大きい、1個/100μm2よりも大きい、1個/500μm2よりも大きい、1個/1000μm2よりも大きい、1個/5000μm2よりも大きい、1個/0.01mm2よりも大きい、1個/0.1mm2よりも大きい、1個/1mm2よりも大きい、1個/5mm2よりも大きい、1個/10mm2よりも大きい、1個/100mm2よりも大きく、1個/1000mm2よりも大きい、1個/10000mm2よりも大きいか、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である表面密度で、それぞれのプレート上に配列される。
【0278】
(3)スペーサは、所定の試料面積(体積)内に明らかな表面積(体積)を占用しないように構成される。
【0279】
試料体積に対するスペーサ体積の比 いくつかの実施形態において、特定の利点を達成するために、試料体積(すなわち、試料の体積)に対するスペーサ体積(すなわち、スペーサの体積)の比及び/又は試料の関連のある体積に対する関連のある体積の試料内にあるスペーサの体積の比が制御される。該利点は、試料厚さ制御の均一性、分析物の均一性、試料流れ特性(すなわち、流速、流れ方向等)を含むが、それらに限定されない。
【0280】
特定の実施形態において、試料体積に対するスペーサ体積の比、及び/又は試料の関連のある体積に対する関連のある体積の試料の内部にあるスペーサの体積の比は、100%未満、多くても99%、多くても70%、多くても50%、多くても30%、多くても10%、多くても5%、多くても3%、多くても1%、多くても0.1%、多くても0.01%、多くても0.001%であるか、又は任意のこれらの値の間の範囲である。
【0281】
プレートに固定されたスペーサ 本発明において、重要な役割を果たすスペーサのスペーサ間の距離及び配向は、好ましくは、スペーサを開放構成から閉鎖構成にするプロセスにおいて維持され、かつ/又は好ましくは、開放構成から閉鎖構成へのプロセスの前に予め決定される。
【0282】
本発明のいくつかの実施形態において、プレートを閉鎖構成にする前に、スペーサが1つのプレート上に固定されることである。用語「スペーサがその対応するプレートに固定される」ということは、スペーサがプレート上に接着され、かつプレートの使用中に接着が維持されることを意味する。「スペーサがそのそれぞれのプレートに固定される」の一例は、スペーサが1枚のプレート材料でモノリシックに作られ、かつプレート表面に対するスペーサの位置が変化しないことである。「スペーサがそのそれぞれのプレートに固定されない」の一例は、スペーサが接着剤によりプレートに接着されるが、プレートの使用中に、接着剤がスペーサをプレート表面上の元の位置に維持しない(すなわち、スペーサがプレート表面上の元の位置から離れる)ことである。
【0283】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つのスペーサは、その対応するプレートに固定される。特定の実施形態において、少なくとも2つのスペーサは、その対応するプレートに固定される。特定の実施形態において、大部分のスペーサは、その対応するプレートに固定される。特定の実施形態において、全てのスペーサは、その対応するプレートに固定される。
【0284】
いくつかの実施形態において、スペーサは、プレートに一体的に固定される。
【0285】
いくつかの実施形態において、スペーサは、接着、貼り合わせ、融合、インプリント、エッチングという方法及び/又は形態のうちの1種又はそれらの任意の組み合わせにより、その対応するプレートに固定される。
【0286】
用語「インプリント」とは、プレート表面にスペーサを形成するために、1つの材料をインプリント(すなわち、エンボス加工)することにより、スペーサとプレートとを一体的に固定することを意味する。材料は、単層材料であるか、又は多層材料であってもよい。
【0287】
用語「エッチング」とは、プレート表面にスペーサを形成するために、1つの材料をエッチングすることにより、スペーサとプレートとを一体的に固定することを意味する。材料は、単層材料であるか、又は多層材料であってもよい。
【0288】
用語「融合」とは、スペーサとプレートとを一体的に接着させることにより、スペーサとプレートとを一体的に固定し、スペーサとプレートとの原材料が互いに融合し、かつ融合した後の2つの材料の間に明らかな材料境界が存在することを意味する。
【0289】
用語「貼り合わせ」とは、接着剤でスペーサとプレートとを一体的に結合することにより、スペーサとプレートとを一体的に固定することを意味する。
【0290】
用語「接着」とは、スペーサとプレートとを一緒にして接続することを意味する。
【0291】
いくつかの実施形態において、スペーサとプレートは、同じ材料で製造される。別の実施形態において、スペーサとプレートは、異なる材料で製造される。別の実施形態において、スペーサとプレートとは、一体的に形成される。別の実施形態において、スペーサの一端は、2つのプレートの異なる形態を収容するために端部が開放されている間に、その対応するプレート上に固定される。
【0292】
別の実施形態において、各スペーサは、接着、接合、融合、インプリント、エッチングのうちの少なくとも1種の方法で対応するプレートに独立して接続される。用語「独立する」ということは、1つのスペーサを、対応するプレートに接着させ、接合し、融合し、インプリントし、エッチングする方法から選択された同じであるか、又は異なる方法で、その対応するプレートに固定することを意味する。
【0293】
いくつかの実施形態において、2つのスペーサの間の少なくとも1つの距離は予め決定される(「所定のスペーサ間の距離」とは、ユーザがプレートを使用する時に、該距離が既知であることを意味する)。
【0294】
本明細書に記載の全ての方法及び装置に係るいくつかの実施形態において、固定されたスペーサの他、追加的なスペーサもある。
【0295】
特定の試料厚さ 本発明において、小さなプレート間隔(所定の試料領域に対する)又は大きな試料領域(所定のプレート間隔に対する)、又は両者ともにより、大きなプレート保持力(すなわち、2つのプレートを一緒にして保持する力)を得ることができることは観察された。
【0296】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つのプレートは、関連のある領域を包囲する領域において透明であり、各プレートは、閉鎖構成において試料に接触するか;閉鎖構成において、プレートの内表面は、スペーサを有する位置の他は実質的に互いに平行であるか;プレートの内表面が実質的に平面であるように構成されるか;又はそれの任意に組み合わせである。
【0297】
2.4 最終的な試料厚さ及び均一性
いくつか実施形態において、著しく平坦であることは、最終的な試料厚さに関して決定され、実施形態及び適用に応じて、試料厚さに対する比は、0.1%より小さい、0.5%より小さい、1%より小さい、2%より小さい、5%より小さい、もしくは10%より小さいか、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である。
【0298】
いくつかの実施形態において、試料厚さに対する平坦度は、0.1%より小さい、0.5%より小さい、1%より小さい、2%より小さく、5%より小さい、10%より小さい、20%より小さい、50%より小さい、もしくは100%より小さいか、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲であってもよい。
【0299】
いくつかの実施形態において、著しく平坦であることは、表面平坦度の変動自体(平均厚さから測定される)が0.1%より小さい、0.5%より小さい、1%より小さい、2%より小さい、5%より小さい、もしくは10%より小さいか、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲であることを指す。一般的には、試料厚さに対する平坦度は、0.1%より小さい、0.5%より小さい、1%より小さい、2%より小さい、5%より小さい、10%より小さい、20%より小さい、50%より小さい、もしくは100%より小さいか、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲であってもよい。
【0300】
2.5 スペーサの製造方法
スペーサは、石版刷り、エッチング、エンボス加工(ナノインプリント)、堆積、リフトオフ、融合、又はそれらの組み合わせを使用して、プレートに様々の方法で製造することができる。いくつかの実施形態において、スペーサは、プレートに直接的にエンボス加工されるか又はインプリントされる。いくつかの実施形態において、スペーサは、プレートに堆積された材料(例えば、プラスチック)内にインプリントされる。特定の実施形態において、スペーサは、CROFプレートの表面を直接的にインプリントすることにより、製造される。ナノインプリントは、ローラインプリンタを使用するロール・ツー・ロール技術、又は平面ナノインプリントに巻き取ることによって行うことができる。このようなプロセスは、優れた経済上の利点を有するため、コストが低下する。
【0301】
いくつかの実施形態において、スペーサは、プレートに堆積される。該堆積は、蒸発、貼り付け、又はリフトオフであってもよい。貼り付ける時に、まず、スペーサをキャリアに製造し、次にスペーサをキャリアからプレートに移す。リフトオフする時に、まずプレートに除去可能な材料を堆積し、かつ該材料内に孔を形成させ、孔底部がプレート表面を露出させ、次にスペーサ材料を孔内に堆積し、その後に除去可能な材料を除去し、スペーサのみをプレート表面に残す。いくつかの実施形態において、プレートに堆積されたスペーサはプレートと融合される。いくつかの実施形態において、スペーサとプレートは、単一のプロセスにおいて製造される。該単一のプロセスは、インプリント(すなわち、エンボス加工、鋳型成形)又は合成を含む。
【0302】
いくつかの実施形態において、少なくとも2つのスペーサは、異なる方法でその対応するプレートに固定され、任意に、該異なる方法は、堆積、貼り合わせ、融合、インプリント、及びエッチングの少なくとも1種を含む。
【0303】
いくつかの実施形態において、1つ以上のスペーサは、貼り合わせ、融合、インプリント、もしくはエッチング又はそれらの任意の組み合わせの製造方法によって、対応するプレートに固定される。
【0304】
いくつかの実施形態において、プレートにこのような一体的なスペーサを形成するための製造方法は、貼り合わせ、融合、インプリント、エッチング、又はそれらの任意の組み合わせの方法を含む。
【0305】
2.6 スケールマーカー
用語「スケールマーカー」は、関連のある領域及び/又は試料の相対体積の定量化(すなわち、寸法測定)又は制御を補助することができるスケールマーカーを指す。いくつかの実施形態において、スケールマーカーは、第1のプレートもしくは第2のプレート、2つのプレート、プレートの1つの表面、プレートの2つの表面、プレートの間、プレートの付近に位置するか、又はそれらの任意の組み合わせである。いくつかの実施形態において、スケールマーカーは、第1のプレート又は第2のプレート上に、両方のプレート上に、プレートの1つの表面に、プレートの両方の表面に、プレートの間に、プレートの付近に固定されるか、又はそれらの任意の組み合わせである。いくつかの実施形態において、スケールマーカーは、第1のプレート又は第2のプレート、2つのプレート、プレートの1つの表面、プレートの2つの表面、プレートの間、プレートの付近に堆積されるか、又はそれらの任意の組み合わせである。いくつかの実施形態において、いくつかのスペーサは固定され、いくつかのスペーサは堆積される。
【0306】
いくつかの実施形態において、スケールマーカーは、エッチングされたスケールマーカー、堆積された材料、又は印刷された材料である。特定の実施形態において、該材料は、光吸収、光反射、光放出、又はそれらの任意の組み合わせを有する材料である。
【0307】
いくつかの実施形態において、スケールマーカーは、既知の寸法及び/又は既知の分離距離を有する1つ以上の対象である。対象の例は、矩形、円柱形、又は円形を含むが、これに限定されない。
【0308】
いくつかの実施形態において、スケールマーカーは、ナノメートル(nm)、マイクロメートル(μm)又はミリメートル(mm)、又は他のサイズ範囲内の寸法を有する。
【0309】
いくつかの実施形態において、スケールマーカーは定規であり、それが対象の寸法を測定するように構成されたスケールマーカーを有する。いくつかの実施形態において、スケールマーカーは、ナノメートル(nm)、マイクロメートル(μm)又はミリメートル(mm)、又は他のサイズ範囲内にある。いくつかの実施形態において、スケールマーカーは、エッチングされたスケールマーカー、堆積された材料又は印刷された材料である。いくつかの実施形態において、スケールマーカーの材料は、光吸収、光反射、光散乱、光干渉、光回折、光放出、又はそれらの任意の組み合わせの材料である。
【0310】
いくつかの実施形態において、前記マーカーは、スペーサであり、それは「試料厚さを調節する」及び「スケールマーキング及び/又は寸法スケーリングを提供する」という二重機能を有する。例えば、既知の寸法を有する矩形スペーサ又は既知の間隔を有する2つのスペーサを使用して、スペーサの周囲の試料に関する寸法を測定することができる。計測された試料寸法によって、関連のある体積の試料の体積を算出することができる。
【0311】
いくつかの実施形態において、スケールマーカーは、関連のある体積の試料の境界を部分的に定義するように構成される。
【0312】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つのスケールマーカーは、関連のある体積の試料の横方向領域の平面と平行である既知の寸法を有するように構成される。
【0313】
いくつかの実施形態において、少なくとも1対のスケールマーカーは横方向領域の平面と平行である既知の距離で離れている。
【0314】
いくつかの実施形態において、スケールマーカーは、光学的検出に用いられるように構成される。
【0315】
いくつかの実施形態において、各スケールマーカーは、光吸収、光反射、光散乱、光回折及び光放出のうちの少なくとも1つの機能を独立して有する。
【0316】
いくつかの実施形態において、スケールマーカーは、既知の横方向間隔を有する規則的なアレイに配列される。
【0317】
いくつかの実施形態において、各スケールマーカーは、正方形、矩形、多角形、及び円形のうちの少なくとも1つの横方向輪郭を独立して有する。
【0318】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つのスケールマーカーは、1つのプレートに接着され、貼り合わせされ、融合され、インプリントされ、エッチングされる。
【0319】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つのスケールマーカーは、1つのスペーサである。
【0320】
いくつかの実施形態において、いくつかのスペーサは、試料の関連のある体積を定量化するために、さらにスケールマーカーの役割を果たす。
【0321】
特定の実施形態において、(分析物を固定化するための)結合部位、貯蔵部位等は、スケールマーカーとして使用される。1つの実施形態において、既知の横方向寸法を有する部位は、既知の横方向寸法を再現する検出可能な信号を生成する光と相互作用し、それによりスケールマーカーを提供する。
【0322】
他の実施形態において、部位の寸法はCROFプロセスの前に予め決定され、プレートが閉鎖構成にある時に、該部位に位置した試料部分の厚さは、該部位の横方向の平均寸法よりも顕著に小さく、その後、インキュベーション時間を制御することにより、インキュベーション後に(1)、結合部位に結合された大部分の分析物/実体は結合部位の頂部の試料体積に由来にするか、又は(2)大部分の結合部位の頂部の試料体積に混合(拡散)された試薬は貯蔵部位に由来する。これらの場合、試薬の結合又は混合のための試料の関連のある体積は、所定の部位面積と該部位の試料厚みとの乗算値にほぼ等しい。それについて主な理由は、所定のインキュベーション時間に対して、関連のある体積外の試料体積中の分析物/実体が結合部位に拡散する十分な時間がないか、又は貯蔵部位上の試薬が関連のある体積外の試料体積に拡散する十分な時間がないことである。
【0323】
既知の寸法を有する部位を使用すること及びインキュベーション時間を制限することにより、関連のある面積及び体積を計測及び/又は制御する方法の一例において、アッセイは、CROFプロセスでの第1のプレート(その表面が結合部位よりも大きい)に、1000μm×1000μmの結合部位(すなわち捕捉剤を含有する領域)を有し、プレートの閉鎖構成において、分析物を含有する試料は結合部位の上方に位置し、該試料は、約20μmの厚さ(結合部位の領域内)及び結合部位よりも大きな面積を有し、かつ、標的分析物/実体の試料厚さ全体の拡散時間に等しい時間インキュベートされる。この場合、結合部位に結合された大部分の分析物/実体は、結合部位の頂部の試料体積に由来し、1000μm×1000μm×20μm=0.02pであり、その理由として結合部位から20μm離れた試料部分で結合部位に拡散する時間がない(統計的に)。この場合、信号は、結合部位により捕捉された分析物/実体のためインキュベーション後に計測されると、関連のある領域及び関連のある体積の情報(結合部位により提供される)に基づいて、関連のある領域及び関連のある体積の試料中の分析物/実体の濃度を決定することができる。分析物の濃度は、結合部位が捕捉した分析物の量を関連のある体積で割ることにより、定量化される。
【0324】
いくつかの実施形態において、関連のある体積は、結合部位面積と試料厚さとの乗算値にほぼ等しく、試料中の標的分析物の濃度は、結合部位が捕捉した分析物の量を関連のある試料体積で割る結果にほぼ等しい。試料厚さに対する結合部位寸法の比が大きければ大きいほど、標的分析物体積の定量化方法の精度は高い(インキュベーション時間は、試料中の標的分析物が約試料厚さの距離まで拡散するのに必要な時間であると仮定する)。
【0325】
CROFにおける広がり時間 本発明では、2つのプレートにより試料を広げる、すべての段落の方法及び装置において、閉鎖構成で試料を最終厚さまで広げるのに必要な時間は、0.001秒以下、0.01秒、0.1秒、1秒、5秒、10秒、20秒、30秒、60秒、90秒、100秒、150秒、200秒、300秒、500秒、1000秒、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である。
【0326】
2つのプレートにより試料を広げる、すべての段落の方法及び装置では、1つの好ましい実施形態において、閉鎖構成で試料を最終厚さまで広げるのに必要な時間は、0.001秒以下、0.01秒、0.1秒、1秒、3秒、5秒、10秒、20秒、30秒、60秒、90秒、100秒、150秒、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である。
【0327】
2つのプレートにより試料を広げる、すべての段落の方法及び装置では、1つの好ましい実施形態において、閉鎖構成で試料を最終厚さまで広げるのに必要な時間は、0.001秒以下、0.01秒、0.1秒、1秒、3秒、5秒、10秒、20秒、30秒、60秒、90秒、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である。
【0328】
2つのプレートにより試料を広げる、すべての段落の方法及び装置では、1つの好ましい実施形態において、閉鎖構成で試料を最終厚さまで広げるのに必要な時間は、0.001秒以下、0.01秒、0.1秒、1秒、3秒、5秒、10秒、20秒、30秒、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である。
【0329】
2つのプレートにより試料を広げる、すべての段落の方法及び装置では、1つの好ましい実施形態において、閉鎖構成で試料を最終厚さまで広げるのに必要な時間は、0.001秒以下、0.01秒、0.1秒、1秒、3秒、5秒、10秒、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である。
【0330】
2つのプレートにより試料を広げる、すべての段落の方法及び装置では、1つの好ましい実施形態において、閉鎖構成で試料を最終厚さまで広げるのに必要な時間は、0.001秒以下、0.01秒、0.1秒、1秒、3秒、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である。
【0331】
セクション3に記載された実施形態及びそれらの任意の組み合わせは、本発明の説明全体において他の実施形態に適用される(すなわちそれらと組み合わせられる)。
【0332】
好ましい1つの実施形態において、スペーサは、金型を用いて薄いプラスチックフィルムを圧印する(例えば、ナノインプリント)ことにより、X-プレートに一体的に製造され、かつ同じ材料で製造される。
【0333】
好ましい1つの実施形態において、スペーサは、金型を用いて薄いプラスチックフィルムを圧印する(例えば、ナノインプリント)ことにより、X-プレートに一体的に製造され、かつ同じ材料で製造され、X-プレートの厚さは、50μm~500μmである。
【0334】
好ましい1つの実施形態において、スペーサは、金型を用いて薄いプラスチックフィルムを圧印する(例えば、ナノインプリント)ことにより、X-プレートに一体的に製造され、かつ同じ材料で製造され、X-プレートの厚さは、50μm~250μmである。
【0335】
好ましい1つの実施形態において、スペーサは、X-プレートに一体的に製造され、かつ同じ材料で製造され、X-プレートの厚さは、50μm~500μmである。
【0336】
好ましい1つの実施形態において、スペーサは、金型及び薄いプラスチックフィルムを用いることにより、X-プレートに一体的に製造され、かつ同じ材料で製造され、X-プレートの厚さは、50μm~250μmである。
【0337】
好ましい1つの実施形態において、スペーサは、金型を用いて薄いプラスチックフィルムを圧印する(例えば、ナノインプリント)ことにより、X-プレートに一体的に製造され、かつ同じ材料で製造され、該プラスチックフィルムは、PMMA(ポリメチルメタクリレート)又はPS(ポリスチレン)である。
【0338】
好ましい1つの実施形態において、スペーサは、金型を用いて薄いプラスチックフィルムを圧印する(例えば、ナノインプリント)ことにより、X-プレートに一体的に製造され、かつ同じ材料で製造され、該プラスチックフィルムは、PMMA(ポリメチルメタクリレート)又はPS(ポリスチレン)であり、X-プレートの厚さは、50μm~500μmである。
【0339】
好ましい1つの実施形態において、スペーサは、金型を用いて薄いプラスチックフィルムを圧印する(例えば、ナノインプリント)ことにより、X-プレートに一体的に製造され、かつ同じ材料で製造され、該プラスチックフィルムは、PMMA(ポリメチルメタクリレート)又はPS(ポリスチレン)であり、X-プレートの厚さは、50μm~250μmである。
【0340】
好ましい1つの実施形態において、スペーサは、金型を用いて薄いプラスチックフィルムを圧印する(例えば、ナノインプリント)ことにより、X-プレートに一体的に製造され、かつ同じ材料で製造され、該プラスチックフィルムは、PMMA(ポリメチルメタクリレート)又はPS(ポリスチレン)であり、スペーサは、正方形又は長方形の形状を有し、同じスペーサ高さを有する。
【0341】
好ましい1つの実施形態において、スペーサは、正方形又は長方形の形状を有する(円角を有するか又はない)。
【0342】
好ましい1つの実施形態において、スペーサは、正方形又は長方形の柱を有し、柱の幅(各横方向でのスペーサの幅)は1μm~200μmにあり、柱の周期(すなわち、スペーサ周期)は2μm~2000μmにあり、柱の高さ(すなわち、スペーサの高さ)は1μm~100μmにある。
【0343】
好ましい1つの実施形態において、PMMA又はPSで製造されたスペーサは、正方形又は長方形の柱を有し、柱の幅(各横方向でのスペーサの幅)は1μm~200μmにあり、柱の周期(すなわち、スペーサ周期)は2μm~2000μmにあり、柱の高さ(すなわち、スペーサの高さ)は1μm~100μmにある。
【0344】
好ましい1つの実施形態において、スペーサは、Xプレートに一体的に製造され、かつプラスチック材料で製造され、前記スペーサは正方形又は長方形の柱を有し、柱の幅(各横方向でのスペーサの幅)は1μm~200μmにあり、柱の周期(すなわち、スペーサ周期)は2μm~2000μmにあり、柱の高さ(すなわち、スペーサの高さ)は1μm~100μmにある。
【0345】
好ましい1つの実施形態において、スペーサは、Xプレートに一体的に製造され、かつ同じ材料で製造され、前記スペーサに正方形又は長方形の柱を有し、柱の幅(各横方向でのスペーサの幅)は1μm~200μmにあり、柱の周期(すなわち、スペーサ周期)は2μm~2000μmにあり、柱の高さ(すなわち、スペーサの高さ)は1μm~10μmにある。
【0346】
好ましい1つの実施形態において、スペーサは、Xプレートに一体的に製造され、かつPS又はPMMA又は他のプラスチックから選択される同じ材料で製造され、前記スペーサは正方形又は長方形の柱を有し、柱の幅(各横方向でのスペーサの幅)は1μm~200μmにあり、柱の周期(すなわち、スペーサ周期)は2μm~2000μmにあり、柱の高さ(すなわち、スペーサの高さ)は10μm~50μmにある。
【0347】
CROF装置の1つの好ましい実施形態において、1つのプレートは、Xプレートであり、他のプレートは、平面薄膜であり、少なくとも1つのプレートの厚さは10μm~250μmにあり、スペーサはXプレート上に固定され、プレートとスペーサの材料は同じであってもよく異なってもよく、かつPMMA(ポリメチルメタクリレート)、PS(ポリスチレン)又はPMMA又はPSと類似した機械的特性を有する類似材料で製造される。
【0348】
CROF装置の1つの好ましい実施形態において、1つのプレートは、Xプレートであり、他のプレートは、平面薄膜であり、少なくとも1つのプレートの厚さは250μm~500μmにあり、スペーサはXプレート上に固定され、プレートとスペーサの材料は同じであってもよく異なってもよく、かつPMMA(ポリメチルメタクリレート)、PS(ポリスチレン)又はPMMA又はPSと類似した機械的特性を有する類似材料で製造される。
【0349】
CROF装置の1つの好ましい実施形態において、1つのプレートは、Xプレートであり、他のプレートは、平面薄膜であり、少なくとも1つのプレートの厚さは10μm~250μmにあり、スペーサはXプレート上に固定され、スペーサは正方形又は長方形柱のアレイであり、柱の幅(各横方向でのスペーサの幅)は1μm~200μmにあり、柱の周期(すなわち、スペーサ周期)は2μm~2000μmにあり、柱の高さ(すなわち、スペーサの高さ)は1μm~100μmにあり、プレートとスペーサの材料は同じであってもよく異なってもよく、かつPMMA(ポリメチルメタクリレート)、PS(ポリスチレン)又はPMMA又はPSと類似した機械的特性を有する類似材料で製造される。
【0350】
以上の段落における「類似」は、機械的特性差異が60%以内にあることを指す。
【0351】
保護リング いくつかの実施形態において、試料がプレート表面から流出することを防止する保護リングを有する。保護リングのいくつかの実施形態において、それが試料領域を中心として封止された壁である。壁の高さは、スペーサの高さと等しいか又はそれと等しくない。壁は、試料計測領域から離れてもよい。
【0352】
CROFプロセスにおける可動プレートは、ヒンジ、ステージ、又はいくつかの他の位置決めシステムを含むこと及び/又はそれらに結合することができ、該システムはプレートを開放構成と閉鎖構成との間に変換するように構成される。少なくとも1つの継手及び/又は少なくとも1つのプレートは、前記開放と閉鎖構成を実現するのに十分可撓性であるという条件で、可動プレートは、プレート間の空間に入るための開口部を残す(例えば、試料を挿入及び/又は除去する)方法で、1つ以上の継手と結合することができる。膜ポンプは、可動プレートと考えられない。
【0353】
3.均一なプレート間隔及び試料の厚さ(U)
CROFプロセスの多くの適用において、特に間隔がマイクロメートル及び/又はナノメートルスケールである場合、プレート間隔の均一性を改善することにより、閉鎖構成での試料の厚さを改善することが望ましい。良好な均一性は、アッセイの均一性を改善することができる。本発明は、均一性を改善する方法を提供する。
【0354】
CROFにおけるプレート間隔の均一性を低下させる要因は、(a)プレートの局部湾曲、(b)プレートの内表面の凹凸、及び(c)塵埃を含む。最終プレートの間隔が小さければ小さいほど、これらの要因の影響がより深刻になる。
【0355】
ピッチの均一性(そのため試料の厚さ)を改善するために、本発明は、プレートにおいて特定の設計(機械的強度、厚さ等)、例えばスペーサのサイズ、スペーサの数、スペーサのレイアウト、スペーサ間の距離、スペーサの高さ等の精度を使用して、不均一をもたらす要因を解消する。
【0356】
内表面の円滑度
3.1 可撓性プレートの均一な試料厚さを実現するためのスペーサ間の距離の使用
いくつかの適用において、CROFプレートの1つ又は2つを可撓性にすることが望ましい。しかしながら、
図5aに示すように、可撓性プレート(例えば、プラスチック薄膜)について、スペーサ間の距離が大きすぎると、CROFプロセスでのプレートの可撓性は、隣接した2つのスペーサ間の位置での局部湾曲(例えば、くぼみ、すなわち内向きの湾曲)を起こし、試料厚さ均一性が低いことを起こす。試料厚さの低均一性は、多くの欠点、例えば、試料体積及び/又は分析物濃度決定時の大きい誤差、インキュベーション時間の変動等を有する。
【0357】
本発明の1つの実施形態は、適切なスペーサ間の距離を使用することにより局部湾曲を低減し、したがって、最終試料厚さの変動を低減する解決手段を提供する。
図5に示すように、スペーサ間の距離が大きすぎると、CROF装置に、平坦な試料表面を有する1つの剛性プレート、及び2つの隣接したスペーサの間に局部湾曲を有する1つの可撓性プレートを有する(
図5a)。局部湾曲を低減するために、スペーサ間の距離は、可撓性プレートの臨界湾曲スパン以下に設定される(
図5b)。2つのプレートはいずれも可撓性であると、スペーサ間の距離は、2つのプレートの臨界湾曲スパンの最小値よりも小さいべきである。
【0358】
U1. 2つのプレートを用いて関連のある体積の試料の厚さを均一に調節するための方法であって
(a)試料を取得するステップであって、関連のある体積の試料の厚さが調節される、ステップ、
(b)異なる構成になるように互いに対して移動可能な2つのプレートを取得するステップであって、1つ又は2つのプレートが可撓性であり、前期プレートの1つ又は2つ方がスペーサを含み、前記スペーサは、所定のスペーサ間の距離及び高さを有し、各スペーサはその対応するプレートに固定される、ステップ、
(c)プレートが開放構成で構成されている時に、前期プレートの1つ又は2つに試料を付着させるステップであって、開放構成は、2つのプレートが部分的又は完全に離れておりかつプレート間の間隔がスペーサにより調節されない、形態をである、ステップ、
(d)(c)の後、プレートを閉鎖構成にすることにより、試料を広げるステップであって、閉鎖構成において、プレートは互いに対向し、スペーサ及び関連のある体積の試料はプレートの間に位置し、関連のある体積の試料の厚さがプレート及びスペーサにより調節される、ステップ
を含み、
所定のプレートについて、スペーサは、関連のある体積の試料の厚さの所定の領域についての変動を所定値よりも小さいように構成され、関連のある体積は、試料の体積の一部又は体積全体である、方法。
【0359】
段落U1の方法において、スペーサ及びプレートの構成は、適切なスペーサ間の距離を選択することを含む。いくつかの実施形態において、スペーサ間の距離を選択することにより、許容される試料厚さの変動、所定の2つのプレート、及び圧縮方法について、圧縮方法に係る2つのプレートの湾曲は、許容される試料厚さの変動以下である。閉鎖構成にある時に、調節された試料厚さは、プレートが開放構成にある時の試料の最大厚さよりも薄くなることができる。
【0360】
U2. 関連のある体積の試料の厚さを調節するための装置であって、
異なる構成になるように互いに対して移動可能である第1のプレート及び第2のプレート
を含み、
1つ又は2つのプレートが可撓性であり、前記プレートの1つ又は2つがスペーサを含み、前記スペーサは、所定のスペーサ間の距離及び高さを有し、各スペーサはその対応するプレートに固定され、
1つの構成は、2つのプレートが部分的又は完全に離れておりプレート間の間隔がスペーサにより調節されずかつ試料が前記プレートの1つ又は2つに付着する、開放構成であり、
他の構成は、試料が開放構成で付着した後に構成される閉鎖構成であり、閉鎖構成において、プレートは互いに対向し、スペーサ及び関連のある体積の試料はプレートの間に位置し、関連のある体積の試料の厚さは、プレート及びスペーサにより調節され、
所定のプレートについて、スペーサは、関連のある体積の試料の厚さの1つの領域についての厚さの変動を所定値よりも小さいように構成され、関連のある体積は、試料の体積の一部又は体積全体である、装置。
【0361】
段落U2の装置において、スペーサ及びプレートの構成は、適切なスペーサ間の距離を選択することを含む。いくつかの実施形態において、スペーサ間の距離を選択することにより、許容される試料厚さの変動、所定の2つのプレート、及び圧縮方法について、圧縮方法に係る2つのプレートの湾曲は、許容される試料厚さの変動以下である。閉鎖構成にある時に、調節された試料厚さは、プレートが開放構成にある時の試料の最大厚さよりも薄くなることができる。
【0362】
いくつかの実施形態において、スペーサ間の距離を2つのスペーサの間のプレートの湾曲よりも小さくすることにより、小さなスペーサ間の距離は、さらに可撓性薄膜(例えば、厚さが100μmのプラスチックシート)の使用を可能にする。
【0363】
いくつかの実施形態において、閉鎖構成での広い領域に均一な試料厚さを備えさせるために、所定の可撓性プレートに許容される最大湾曲に対して、プレートの臨界湾曲スパンに対するスペーサ間の距離の比は、最大0.001%、最大0.001%、最大0.001%、最大0.01%、最大0.1%、最大1%、最大10%、最大20%、最大50%、最大70%、最大100%、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である。
【0364】
3.2 CROFにおける塵埃の影響を克服するための可撓性プレート及びスペーサの使用
CROFプロセスで克服する必要がある課題は、厚さがスペーサの高さよりも大きな塵埃が、スペーサの所望の最終プレート間隔(そのため試料の最終厚さ)を達成するための調節作用を破壊することができる(
図6aに示す)ことである。2つの剛性プレートを使用すると、この塵埃は、プレート領域全体のスペーサ調節を破壊することができる。
【0365】
本発明の特定の実施形態は、可撓性プレートとスペーサとの間の適切な距離を使用して塵埃の周りの小さな領域における塵埃の影響を制限し、同時に小さな領域外の領域が、スペーサで設定(調節)された最終プレート間隔及び試料厚さを備えることを可能にすることにより、該問題を解決する。
【0366】
例えば
図6bに示すように、塵埃の影響を克服するために、適切な可撓性を備えた1つの可撓性プレートを使用して塵埃の面積を制限し、かつそれをスペーサが固定された剛性プレートとともに使用する。
図6cは、塵埃の影響を低減する他の実施形態を示し、スペーサが可撓性プレート上に固定される。明らかに、他の実施形態において、2つのプレートはいずれも可撓性である。
【0367】
プレートの厚さ及び機械的特性から、CROFプロセスにおける塵埃の影響を最小化する適切なプレートの可撓性を選択することができる。例に示した検査に基づいて、好ましい実施形態は以下のとおりである。
【0368】
U3. 関連のある体積の試料の厚さの調節への塵埃の影響を最小化するための方法であって、
(a)試料を取得するステップであって、関連のある体積の試料の厚さが調節される、ステップ、
(b)異なる構成になるように互いに対して移動可能な2つのプレートを取得するステップであって、1つ又は2つのプレートが可撓性であり、前記プレートの1つ又は2つがスペーサを含み、前記スペーサは、所定のスペーサ間の距離及び高さを有し、各スペーサは、その対応するプレートに固定される、ステップ、
(c)プレートが開放構成で構成されている時に、前記プレートの1つ又は2つに試料を付着させるステップであって、開放構成は、2つのプレートが部分的又は完全に離れておりかつプレート間の間隔がスペーサにより調節されない、構成である、ステップ、
(d)(c)の後、プレートを閉鎖構成にすることにより、試料を広げるステップであって、閉鎖構成において、プレートは互いに対向し、スペーサ、関連のある体積の試料、及びスペーサの高さよりも大きい厚さの1つ以上の塵埃は、前記プレートの間に位置し、関連のある体積の試料の厚さは、プレート及びスペーサにより調節される、ステップ
を含み、
前記スペーサ及び前記プレートは、2つのプレートの間の塵埃により影響された面積を最小化するように構成され、塵埃により影響された領域において、塵埃阻止スペーサは、塵埃なしの場合と同じようにプレートの閉鎖構成において領域内のプレート間の最終間隔を調節し、関連のある体積は、試料の体積の一部又は体積全体である、方法。
【0369】
段落U3の方法において、塵埃の影響領域を最小化するためのスペーサとプレートの構成は、可撓性プレートの適切な厚さ及び機械的特性を選択することを含む。
【0370】
いくつかの実施形態において、スペーサ間の距離を選択することにより、許容される試料厚さの変動、所定の2つのプレート、及び圧縮方法について、圧縮方法に係る2つのプレートの湾曲は、許容される試料厚さの変動以下である。閉鎖構成にある時に、調節された試料厚さは、プレートが開放構成にある時の試料の最大厚さよりも薄くなることができる。
【0371】
前記プレートの可撓性を記載する。
【0372】
U4. 関連のある体積の試料の厚さ調節への塵埃の影響を最小化するための装置であって、
異なる構造になるように互いに対して移動可能であり、各プレートが、試料と接触する試料接触表面を有し、プレートの1つ又は2つのプレートが可撓性である、第1のプレート及び第2のプレート、
所定のスペーサ間の距離及び高さを有し、各スペーサが、それぞれ対応するプレートに固定される、プレートの1つ又は2つの試料接触表面上のスペーサ
を含み、
1つの構成は、2つのプレートが部分的又は完全に離れておりプレート間の間隔がスペーサにより調節されずかつ試料が前記プレートの1つ又は2つに付着する、開放構成であり、
他の構成は、開放構成で試料が付着した後に構成される閉鎖構成であり、閉鎖構成において、プレートは互いに対向し、スペーサ、関連のある体積の試料、及びスペーサの高さよりも大きい厚さの1つ以上の塵埃は、プレートの間に位置し、関連のある体積の試料の厚さは、プレート及びスペーサにより調節され、かつ
スペーサ及びプレートは、2つのプレートの間の塵埃により影響された面積を最小化するように構成され、塵埃により影響された領域は、プレート及びスペーサが塵埃なしの領域のように試料厚さを調節することがもはやできないプレートの内表面の領域であり、関連のある体積は、試料の体積の一部又は体積全体である、装置。
【0373】
3.3 表面平坦度の変動による影響を低減するためのスペーサの使用
実際に、表面が完全に平坦なプレートはない。
図7aに示すように、CROFにおいて、所望の試料厚さに比べて、表面の平坦度の変動は非常に大きくなることができ、これにより試料厚さを決定した時に大きな誤差を起こす可能性がある。CROFにおける最終試料の厚さが薄ければ薄いほど(例えば、マイクロメートル又はナノメートルで配列される)、表面平坦度の変動はますます顕著な誤差を起こすことができる。
【0374】
表面平坦度変動は、プレートの表面平坦度変動距離により特徴付けられ、λは、表面高さの局部最大値から隣接する局部最小値までの距離(
図7bに示す)である。
【0375】
本発明は、CROFプロセスにおいて閉鎖構成での最終試料厚さ変動を、プレートが開放構成にある時に存在するプレート試料表面上の表面平坦度変動よりも小さくする方法を提供する。本発明において、最終試料厚さ均一性を実現するための重要な方法は、可撓性プレート、適切なスペーサ間の距離及び適切な圧力(
図7c及び
図7dに示す)を使用することである。
【0376】
CROFプロセスにおける1つの剛性プレート及び可撓性プレートの使用を考慮すると、プレートの開放構成において、剛性プレートの試料表面に良好な平坦度を有するが、可撓性プレートの試料表面に顕著な表面平坦度変動を有し(すなわち、予想された最終試料厚さに比べてより顕著である)、
図7a及び7bに示される。本発明は、(i)初期表面平坦度変動距離よりも小さなスペーサ間の距離、(ii)閉鎖構成での試料とプレートとの間の可撓性プレートを変形させる適切な圧縮力及び/又は適切な毛管力、(iii)可撓性プレートの適切な可撓性により、開放構成での試料表面の初期平坦度変動を校正することにより(例えば平坦度変動を小さくする)、プレートの最終形態において、可撓性プレートの試料表面が変形し、剛性プレートの平坦な表面の輪郭と一致する(
図7c)。また、最終試料厚さの変動を低減するために、スペーサ間の距離も可撓性プレートの臨界湾曲スパンよりも小さいべきである。
【0377】
上記表面平坦度の変動を校正する方法は、(a)可撓性プレートに円滑な試料表面を有する間の剛性プレートに顕著な初期試料表面の平坦度変動を有する場合、(b)可撓性プレートと剛性プレートのその予想される試料表面にいずれも顕著な平坦度変動を有する場合、及び(c)2つのプレートはいずれも可撓性であり、1つ又は2つのプレートの試料表面に顕著な表面平坦度変動を有する(
図7d)場合にも適用される。
【0378】
U5. CROFプロセスにおける関連のある体積の試料の最終厚さの均一性へのプレートの表面平坦度変動の影響を低減するための方法であって、
(a)試料を取得するステップであって、関連のある体積の試料の厚さが調節される、ステップ、
(b)異なる構成になるように互いに対して移動可能な2つのプレートを取得するステップであって、プレートの1つ又は2つが可撓性であり、前記プレートの1つ又は2つが表面平坦度変動を有し、かつ前記プレートの1つ又は2つがスペーサを含み、前記スペーサは、所定の高さを有し、各スペーサはその対応するプレートに固定される、ステップ、
(c)プレートが開放構成で構成されている時に、前記プレートの1つ又は2つに試料を付着させるステップであって、開放構成は、2つのプレートが部分的又は完全に離れておりかつプレート間の間隔がスペーサにより調節されない、構成である、ステップ、
(d)(c)の後、プレートを閉鎖構成にすることにより、試料を広げるステップであって、閉鎖構成において、プレートは互いに対向し、スペーサ及び関連のある体積の試料はプレートの間に位置し、関連のある体積の試料の厚さが、プレート及びスペーサにより調節される、ステップ
を含み、
スペーサ及びプレートは、閉鎖構成での関連のある体積の試料の厚さ変動がプレートの開放構成での表面平坦度変動よりも小さいように構成され、関連のある体積は、試料の体積の一部又は体積全体である、方法。
【0379】
U6. 関連のある体積の試料の厚さ均一性調節へのプレートの表面平坦度変動の影響を低減するための装置であって
異なる構成になるように互いに対して移動可能であり、プレートの1つ又は2つが可撓性であり、かつ前記プレートの1つ又は2つが表面平坦度変動を有する、第1のプレート及び第2のプレート、
前記プレートの1つ又は2つの上に固定され、所定の高さを有する、スペーサ
を含み、
1つの構成は、2つのプレートが部分的又は完全に離れておりプレート間の間隔がスペーサにより調節されずかつ試料が前記プレートの1つ又は2つに付着する、開放構成であり、
他の構成は、試料が開放構成で付着した後に構成される閉鎖構成であり、閉鎖構成において、プレートは互いに対向し、スペーサ及び関連のある体積の試料はプレートの間に位置し、関連のある体積の試料の厚さは、プレート及びスペーサにより調節され、
スペーサ及びプレートは、閉鎖構成での関連のある体積の試料の厚さ変動がプレートの開放構成での表面平坦度変動よりも小さいように構成され、関連のある体積は、試料の体積の一部又は体積全体であり、関連のある体積の平均寸法は、開放構成でのプレートの表面平坦度変動よりも大きい、装置。
【0380】
段落U5の方法及び段落U6の装置において、プレート表面の平坦度変動の関連のある体積の試料の最終厚さの均一性への影響を低減するスペーサ及びプレートの構成は、適切なスペーサ間の距離(IDS)を使用することを含む。1つの好ましい実施形態において、IDSは、開放構成でのプレートの初期表面平坦度変動距離以下である。
【0381】
段落U5と段落U6の方法及び装置において、いくつかの実施形態において、(1)閉鎖構成でスペーサが試料内部にあることと、(2)スペーサは対応するプレートに固定されることと、(3)スペーサ間の距離が短いことと、又は(4)それらの任意の組み合わせを有する。
【0382】
段落U1~U8の方法及び装置において、関連のある体積の試料の厚さを均一化するスペーサ及びプレートの構成に、上記実施形態を有する。いくつかの実施形態において、所定のスペーサ間の距離は、2つのスペーサ間のプレートの局部湾曲を制限するように構成され、関連のある体積は、試料の体積の一部又は体積全体である。
【0383】
これは、プレートの1つ又は2つが、可撓性であり、様々な異なる可撓性である場合を含む。(例えば、厚さが100μmのPMMA又はPS)。
【0384】
1つの好ましい実施形態において、1つのプレートはPMMAである。1つの好ましい実施形態において、1つのプレート(第1のプレート)は、厚さが0.5~1.5mmのガラスであり、かつスペーサを備えず、他のプレート(第2のプレート)は、厚さが175μmのPMMAフィルムであり、かつスペーサのアレイを備え、スペーサは、円角を有する矩形柱(x方向での寸法が40μmで、y方向での寸法が30μmである)であり、x方向での周期が120μmで、y方向での寸法が110μmである(それにより、スペーサ間の距離はx方向とy方向でいずれも80μmである)。
【0385】
セクション3の方法及び装置において、閉鎖構成での試料内のスペーサのいくつかの実施形態において、スペーサの材料及びプレートは、セクション2の実施形態である。
【0386】
段落U1~6の方法及び装置において、いくつかの実施形態において、柱の高さに対する柱の幅(又は横方向平均寸法)の比は、0.01以上、0.1以上、1以上、1.5以上、2以上、3以上、5以上、10以上、50以上、100以上、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である。
【0387】
段落U1~6の方法及び装置において、好ましい実施形態において、柱の高さに対する柱の幅(又は横方向平均寸法)の比は、1、1.5、2、10、20、30、50、100、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である。
【0388】
段落U1~6の方法及び装置において、いくつかの実施形態において、柱の幅(又は横方向平均寸法)に対する柱の周期の比は、1.01、1.1、1.2、1.5、1.7、2、3、5、7、10、20、50、100、500、1000、10,000、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である。
【0389】
段落U1~6の方法及び装置において、好ましい実施形態において、柱の幅(又は横方向平均寸法)に対する柱の周期の比は、1.2、1.5、1.7、2、3、5、7、10、20、30、又はいずれかの2つのこれらの値の間の範囲である。
【0390】
段落U1~6の方法及び装置において、好ましい実施形態において、柱の幅(又は横方向平均寸法)に対する柱の周期の比は、1.2、1.5、1.7、2、3、5、7、10、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である。
【0391】
c)例えば、血球計算適用では、好ましいX-プレートの柱の高さは1μm~5μmにあり、柱の幅は2μm~30μmにあり、柱の周期は、4μm~300μmにある。
【0392】
d)例えば、免疫学的アッセイ適用では、好ましいX-プレートの柱の高さは5μm~50μmであり、柱の幅は10μm~250μmであり、柱の周期は20μm~2500μmである。
【0393】
セクション3に記載された実施形態及びそれらの任意の組み合わせは、本発明の説明全体において他の実施形態に適用される(すなわちそれらと組み合わせられる)。
【0394】
いくつかの実施形態において、他の要素も試料厚さ均一性の制御に使用され、これらの要素は試料面積、プレート機械的性質、閉鎖構成下の最終的な試料厚さ及びプレート表面湿潤特性を含むがそれらに限定されることはない。
【0395】
以下ではセクション1及びほかの開示内容における方法及び装置のいくつかの好ましい実施形態である。
【0396】
1つの好ましい実施形態において、スペーサは周期的な正方形アレイであり、そのうちスペーサは、高さが2μm~4μmで、平均横方向寸法が5μm~20μmで、スペーサの間の間隔が1μm~100μmである柱状のものである。
【0397】
1つの好ましい実施形態において、スペーサは周期的な正方形アレイであり、スペーサは、高さが2μm~4μmで、平均横方向寸法が5μm~20μmで、スペーサの間の間隔が100μm~250μmである柱状のものである。
【0398】
1つの好ましい実施形態において、スペーサは周期的な正方形アレイであり、スペーサは、高さが4μm~50μmで、平均横方向寸法が5μm~20μmで、スペーサの間の間隔が1μm~100μmである柱状のものである。
【0399】
1つの好ましい実施形態において、スペーサは周期的な正方形アレイであり、そのうちスペーサは、高さが4μm~50μmで、平均横方向寸法が5μm~20μmで、スペーサ間の間隔が100μm~250μmである柱状のものである。
【0400】
スペーサアレイの周期は、1つの好ましい実施形態において、1nm~100nmの間にあり、別の好ましい実施形態において、100nm~500nmの間にあり、1つの単独な好ましい実施形態において、500nm~1000nmの間にあり、別の好ましい実施形態において、1μm(すなわち、1000nm)~2μmの間にあり、別の好ましい実施形態において、2μm~3μmの間にあり、別の好ましい実施形態において、3μm~5μmの間にあり、別の好ましい実施形態において、5μm~10μmの間にあり、別の好ましい実施形態において、10μm~50μmの間にあり、1つの単独な好ましい実施形態において、50μm~100μmの間にあり、1つの単独な好ましい実施形態において、100μm~175μmの間にあり、1つの単独な好ましい実施形態において、175μm~300μmの間にある。
【0401】
4. 試料及び付着
CROF過程を使用する本発明の方法及び装置において、いくつかの方法又はこれらの方法の組み合わせにより試料を付着させる。付着の1つの特定の実施形態において、試料は1つのプレートのみに付着する。特定の実施形態において、試料は2つのプレート(すなわち第1のプレート及び第2のプレート)に付着する。
【0402】
試料はプレートが開放構成にある時に付着する。いくつかの実施形態において、第1のプレートと第2のプレートとは、試料付着の間互いに離れており、これにより試料は1つのプレートに付着しやすく、別のプレートを妨害することはない。例えば、第1のプレートと第2のプレートとを遠く離してもよく、これにより試料は直接的に第1のプレート又は第2のプレートに落ち、別のプレートが存在しないようにすることができる。試料付着の特定の実施形態において、第1のプレートと第2のプレートとはプレートの開放構成下に互いに一定の距離で隔て、次に試料はプレートに付着する(例えば水平流動又は他の滴落方法により)。特定の実施形態において、2つのプレートは、プレートのすべての操作過程において、接続された1つの側面(例えば縁部)(
図30)を有し、2つのプレートの開閉は本の開閉に類似する。
【0403】
試料の付着は単一の滴又は複数の滴であってもよい。複数の滴は1つのプレート又は2つのプレートの1つの位置又は複数の位置に落ちることができる。液滴は互いに十分に分離し、接続し、又は組み合わせることができる。
【0404】
いくつかの実施形態において、試料は一種以上の材料を含み、前記材料は共に又は別々に付着する。前記材料はそれぞれ平行又は順次付着する。
【0405】
試料のプレート(すなわち第1のプレート及び第2のプレート)への付着は装置を用いて、又は被験者からプレートまで直接的に行ってもよい。いくつかの実施形態において、装置を用いて試料を付着させる。装置はピペット、針、スティック、綿棒、管、噴射器、液体ディスペンサー、チップ、スティック、インクジェット、プリンター、噴射装置等を含むがそれらに限定されることはない。特定の実施形態において、試料は試料源の試料とCROFプレートとの間の直接接触により付着し、任意の装置を使用することはない(すなわち、試料とプレートとを一緒にして両者を接触させる)。これは「直接試料付着」という用語で呼ばれる。
【0406】
試料が直接的にプレートに付着する例は、以下である:(a)穿刺された指(又は他の身体部位)とプレートとの間の直接的な接触、(b)唾液をプレートに吐き出すこと、(c)涙液とプレートとの間の直接接触により人目から涙液を取り出すこと、(d)汗液とプレートとの間の直接接触、及び(e)直接的に息をプレートに吐き出して呼気を凝結させる等。このような直接付着方法は人間及び動物に用いることができること。
【0407】
いくつかの実施形態において、直接及び間接(装置により)試料付着はいずれも使用される。
【0408】
本発明において、1つのプレート又は複数のプレートに付着した試料の体積(「試料体積」)は、最大0.001 pL(ピコリットル)、最大0.01 pL、最大0.1 pL、最大1 pL、最大10 pL、最大100 pL、最大1 nL(ナノリットル)、最大10 nL、最大100 nL、最大1μL(マイクロリットル)、最大10μL、最大100μL、最大1 mL(ミリリットル)、最大10 mL又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である。
【0409】
いくつかの実施形態において、試料の付着は、(a)試料を1つの又は2つのプレートに配置するステップ、及び(b)CROF過程における第2のプレートを圧縮する以外の方式を用いて試料を広げるステップを含む。試料を広げる方法は別の装置(例えばスティック、カッタ)を使用すること、ブローイング又は他を含む。
【0410】
試料変形
CROF過程において、いくつかの実施形態において、試料はほぼ非圧縮性液体(形状変形下に一定の体積を保持する液体を指す)のように振る舞うため、試料厚さの変化は試料面積の変化を引き起こす。いくつかの実施形態において、試料は圧縮液体のように振る舞うが、CROF過程期間にその厚さが減少する時に、側面積はなお拡大する。特定の実施形態において、試料は液体、ゲル又はソフト固体であり、CROF過程においてその厚さが減少する時に側面積が拡大すればよい。
【0411】
本発明の開示において、「第1のプレート及び第2のプレートに対向する」は第1のプレート又は第2のプレート又は両者の位置及び方向を操作することにより試料を第1のプレートと第2のプレートの内表面の間にあるようにする過程である。いくつかの実施形態において、「第1のプレート及び第2のプレートに対向する」という動作は、人の手、特定の装置を有する人の手又は人の手のない自動装置により実行する。
【0412】
いくつかの実施形態において、厚さは最大1 mm、最大100μm、最大20μm、最大10μm又は最大2μmである。いくつかの実施形態において、厚さは少なくとも0.1μmである。いくつかの実施形態において、さらに厚さの計測を含む。
【0413】
いくつかの実施形態において、関連のある体積の試料の厚さの変動は、関連のある領域の有効直径の多くても300%、多くても100%、多くても30%、多くても10%、多くても3%、多くても1%、多くても0.3%、又は多くても0.1%である。
【0414】
いくつかの実施形態において、厚さは少なくとも部分的にプリセット高さにより決定される。
【0415】
5. 分析物、実体、結合部位、貯蔵部位、及び移送媒体
本発明において、実体はタンパク質、アミノ酸、核酸、脂質、炭水化物、代謝産物、細胞又はナノ粒子のうちの一種を含むがそれらに限定されることはない。
【0416】
いくつかの実施形態において、結合部位は実体に結合するように構成された結合パートナーを含む。
【0417】
いくつかの実施形態において、結合部位は該結合部位に結合された実体を含む。
【0418】
いくつかの実施形態において、試料の配置は試料を結合部位内に配置することを含む。
【0419】
いくつかの実施形態において、試薬はタンパク質、アミノ酸、核酸、脂質、炭水化物及び代謝産物のうちの少なくとも一種を含む。
【0420】
特定の実施形態において、貯蔵部位は乾燥試薬を含む。
【0421】
いくつかの実施形態において、貯蔵部位は試料と接触すると貯蔵部位から放出されるように構成された試薬を含む。
【0422】
いくつかの実施形態において、第1の貯蔵部位及び第2の貯蔵部位は1つの共同の貯蔵部位中に位置する。
【0423】
いくつかの実施形態において、移送媒体は試料である。いくつかの実施形態において、移送媒体は液体であり、ここで試薬又は実体は該液体に溶解して拡散できる。
【0424】
いくつかの実施形態において、プレートは複数の貯蔵部位を有する。別の実施形態において、1つの貯蔵部位は様々な試薬を有する。
【0425】
異なる放出時間 いくつかの実施形態において、プレートはプレートの異なる位置に複数の貯蔵部位を有するか又は1つの貯蔵部位に複数の試薬を保存し、試薬は貯蔵部位に試料と接触すると放出され、しかし同じ貯蔵部位の異なる試薬又は異なる貯蔵部位の試薬は異なる時間に放出される。
【0426】
いくつかの実施形態において、第1の試薬は試料と接触すると第1の平均放出時間内に第1の貯蔵部位から放出されるように配置され、第2の試薬は試料と接触すると第2の平均放出時間内に第2の貯蔵部位から放出されるように配置され、ここで第1の平均放出時間は第2の平均放出時間より小さい。
【0427】
いくつかの実施形態において、第1の試薬は試料と接触すると第1の貯蔵部位から放出されるように配置され、ここで第2の試薬は結合試薬である。
【0428】
いくつかの実施形態において、付着は少なくとも一種の試薬を対応するプレートに結合することを含む。
【0429】
いくつかの実施形態において、接触は少なくとも一種の試薬を対応するプレートから放出することを含む。
【0430】
いくつかの実施形態において、付着は第1の試薬及び第2の試薬を付着することを含み、ここで接触は第2の試薬の前に第1の試薬を放出することを含む。
【0431】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つのプレートは貯蔵部位を含み、該貯蔵部位は関連のある体積の試料に添加される試薬を含む。
【0432】
いくつかの実施形態において、試薬はタンパク質、アミノ酸、核酸、脂質、炭水化物及び代謝産物のうちの少なくとも1種を含む。
【0433】
いくつかの実施形態において、貯蔵部位は乾燥試薬を含む。
【0434】
いくつかの実施形態において、貯蔵部位は試料と接触すると貯蔵部位から放出されるように構成された試薬を含む。
【0435】
いくつかの実施形態において、貯蔵部位は第1の貯蔵部位であり、かつ試薬は第1の試薬であり、ここで装置は第2の貯蔵部位を含み、それは関連のある体積の試料に添加される第2の試薬を含み、ここで第2の貯蔵部位はプレートの1つに位置する。
【0436】
いくつかの実施形態において、第1の貯蔵部位及び第2の貯蔵部位は1つの共同の貯蔵部位中に位置する。
【0437】
いくつかの実施形態において、第1の試薬は試料と接触すると第1の平均放出時間内に第1の貯蔵部位から放出されるように配置され、第2の試薬は試料と接触すると第2の平均放出時間内に第2の貯蔵部位から放出されるように配置され、第1の平均放出時間は第2の平均放出時間より小さい。
【0438】
いくつかの実施形態において、少なくとも一種の試薬は対応するプレートに乾燥される。
【0439】
キットのいくつかの実施形態において、少なくとも一種の試薬は対応するプレートに結合される。
【0440】
キットのいくつかの実施形態において、少なくとも一種の試薬は、試料と接触すると対応するプレートから放出されるように配置される。
【0441】
キットのいくつかの実施形態において、第1の試薬はプレートの1つ又は2つに位置し、第2の試薬はプレートの1つ又は2つに位置し、ここで第1の試薬は試料と接触すると第1の平均放出時間内に対応するプレートから放出されるように配置され、第2の試薬は試料と接触すると第2の平均放出時間内に対応するプレートから放出されるように配置され、ここで第1の平均放出時間は第2の平均放出時間より小さい。
【0442】
装置のいくつかの実施形態において、貯蔵部位は第1の貯蔵部位であり、かつ試薬は第1の試薬であり、装置は第2の貯蔵部位を含み、それは関連のある体積の試料に添加される第2の試薬を含み、第2の貯蔵部位はプレートの1つに位置する。
【0443】
6.一部の試料における局所的結合又は混合(P)
いくつかの適用において、試料全体中の分析物ではなく、一部の試料中の分析物を捕捉(すなわち結合)する結合部位を有することが望ましい。場合によって試薬を試料全体ではなく、試料の一部に添加(すなわち混合)することが望ましい。一般的には試料の一部と試料のほかの部分との間に流体的分離がないことが望ましい。多重化検出において、このような要求は好ましいか又は必要である。
【0444】
本発明はCROF方法及び装置を使用することにより試料を厚さが試料の一部の横方向寸法より小さい超薄膜に再形成し、それにより上記要件に解決手段を提供し、ここで試料の一部の内部の分析物のみが捕捉され、又は該一部の試料のみが試薬と混合する。このようなアプローチの作業原理は以下のとおりである:試料厚さが一部の試料の横方向寸法より小さい時に、表面による分析物の捕捉又は表面上に配置された試薬の混合は主に分析物及び試薬の厚さ方向における拡散により制限され、ここで水平拡散の拡散は比較的顕著ではない。例えば、試料を厚さ5μmの薄膜に再形成すれば、試料中の捕捉する必要がある分析物の一部又は混合する必要がある試薬が5 mm×5 mmの横方向寸法を有すれば、かつ分析物又は試薬の5μmにわたる拡散時間が10秒であれば、分析物又は試薬の5 mm距離にわたる水平拡散は1,000,000秒(拡散時間は拡散距離の平方と正比例を成すため)である。これは、一定の時間間隔で、試料の関心のある部分の横方向寸法と試料厚さとの適切な比率を選択することにより、捕捉される分析物は主に関心のある試料部分に由来するか、あるいは、試薬は主に興味のある試料部分に混合される。
【0445】
6.1 試料の一部中の実体と表面との局所的結合(P:体積から表面)
P1. 関連のある体積の試料中の標的実体を表面上の結合部位に局所的に結合させるための方法であって、
(i)段落X1の方法におけるステップ(a)~(d)を実行するステップであって、閉鎖構成における試料厚さは結合部位の平均直線寸法より顕著に小さく、関連のある体積はプレートが閉鎖構成にある時に結合部位に位置する試料体積である、ステップ、
(ii)(i)の後、プレートが閉鎖構成にある間に、
(1)関連のある時間長さで試料をインキュベートし、次にインキュベーションを停止するステップ、あるいは、
(2)関連のある時間長さの最小値以上の時間で試料をインキュベートし、次に、関連のある時間長さの最大値以下の時間内に標的実体の結合部位への結合を評価するステップ
であって、
関連のある時間長さは、
i.標的実体が閉鎖構成で均一な厚さの層の厚さにわたって拡散するのに必要な時間以上であり、かつ
ii.標的実体が横方向に結合部位の最小水平寸法にわたって拡散するのに必要な時間より顕著に短く、
(1)におけるインキュベーションの終了時又は(2)における評価の間、結合部位に結合される大部分の標的実体は関連のある体積の試料に由来し、
インキュベーションにより、標的実体が結合部位に結合することが可能となり、関連のある体積は、閉鎖構成で結合部位にある試料の一部である、ステップ
を含む、方法。
【0446】
段落P2の方法において、用語「関連のある体積の試料の厚さは結合部位の最小平均サイズより顕著に小さい」は、試料厚さに対する結合部位の最小平均サイズの比(「厚さに対する長さ比」と呼ばれる)が少なくとも3、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも50、少なくとも100、少なくとも500、少なくとも1,000、少なくとも10,000、少なくとも100,000、又はこれらの値の間の任意の範囲にあるということを指す。好ましい実施形態において、厚さに対する長さ比は少なくとも3、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも50、少なくとも100、少なくとも500、又はこれらの値の間の任意の範囲である。
【0447】
段落P2の方法では、用語「標的実体が結合部位の最小横方向寸法にわたって拡散するのに必要な時間より顕著に短い」は、試料厚さにわたって拡散するのに必要な時間に対する結合部位の最小横方向寸法にわたって拡散するのに必要な時間の比(「厚さ拡散時間に対する長さ比」と呼ばれる)は最小3、最小10、最小50、最小10、最小100、最小1,000、最小10,000、最小100,000、最小1,00,000、又はこれらの値の間の任意の範囲であるということを指す。好ましい実施形態において、厚さ拡散時間に対する長さの比は少なくとも3、少なくとも10、少なくとも50、少なくとも10、少なくとも100、少なくとも1,000、少なくとも10,000、又はこれらの値の任意の間の範囲である。
【0448】
P2. 関連のある体積の試料中の実体を表面にある結合部位に局所的に結合させるための装置であって、
異なる構成になるように互いに対して移動可能である、第1のプレート及び第2のプレート
を含み、
第1のプレートは、その表面にプレートの面積より小さい面積を有する結合部位を有し、試料中の標的実体に結合するように構成され、該標的実体は試料中に拡散でき、前記プレートの1つ又は2つがいずれもスペーサを含み、各スペーサは、その対応するプレートに固定され、かつ所定の高さを有し、
1つの構成は、2つのプレートが部分的又は完全に離れておりプレート間の間隔がスペーサにより調節されずかつ試料が前記プレートの1つ又は2つに付着する、開放構成であり、
別の構成は、開放構成の試料付着の後に構成された閉鎖構成であり、かつ閉鎖構成において、プレートは互いに対向し、スペーサ、結合部位、及び少なくとも一部の試料はプレートの間に位置し、試料は結合部位の少なくとも一部と接触し、かつ関連のある体積の試料の厚さはプレート及びスペーサにより調節され、該厚さは、プレートが開放構成にある時の試料の最大厚さより小さく、関連のある体積は試料の結合部位に位置する体積であり、
スペーサの高さは、閉鎖構成下で関連のある体積の厚さを結合部位の平均直線寸法の少なくとも3分の1よりも小さいように調節するように選択される、装置。
【0449】
関連のある体積の厚さを結合部位の平均直線寸法の3分の1に調節することにより、実体の試料厚さにわたる拡散時間は結合部位の平均直線寸法と等しい距離にわたる拡散時間の9分の1である。このような厚さ調節はインキュベーション時間の選択を可能にし、それにより、(i)関連のある体積中の顕著な数量の標的実体は結合部位に結合され、かつ(ii)結合部位に結合される顕著な数量の標的実体は関連のある体積の試料に由来するというインキュベーション結果を達成し、インキュベーションは標的実体を結合部位に結合することを可能にするプロセスである。
【0450】
例えば、インキュベーション時間は実体が関連のある体積の試料の厚さにわたる拡散時間と等しいように設定される場合に、インキュベーション後に、関連のある体積内の大部分の実体はすでに結合部位に達し、かつレート方程式にしたがって結合され、当初(すなわちインキュベーション前)関連のある体積外に位置する実体は関連のある体積の周辺にのみ(比較的小さい体積)拡散でき、かつ結合部位の平均直線寸法と関連のある体積厚さとの比が大きくなるため、この体積の重要性が低減する。
【0451】
6.2 他のプレート表面上の結合部位へのプレート表面上に貯蔵された実体の局所的結合(表面から別の表面)
P3. 1つのプレートの貯蔵部位上に貯蔵された実体を別のプレート上の結合部位に局所的に結合するための方法であって、
(a)異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを取得するステップであって、前記第1のプレートはその表面に結合部位を有し、第2のプレートは、その表面に結合部位に結合する実体を含む貯蔵部位を有し、前記結合部位の面積及び試薬部位の面積はその対応するプレートの面積より小さく、かつ前記プレートの1つ又は2つはスペーサを含み、各スペーサは、その対応するプレートに固定され、かつ所定の高さを有する、ステップ、
(b)前記実体が移送媒体に溶解できかつ拡散できる、移送媒体を取得するステップ、
(c)前記プレートが開放構成で構成されている時に、前記プレートの1つ又は2つに移送媒体を付着させるステップであって、開放構成は、2つのプレートが部分的又は完全に離れておりかつプレート間の間隔がスペーサにより調節されない、構成である、ステップ、
(d)(c)の後、プレートを閉鎖構成にして前記移送媒体を広げるステップであって、閉鎖構成において、プレートが互いに対向し、スペーサ、結合部位、貯蔵部位、及び少なくとも一部の移送媒体がプレートの間に位置し、少なくとも一部の貯蔵部位が、結合部位と直面し、その間に一部の移送媒体を有し、関連のある体積の移送媒体の厚さが、プレート及びスペーサにより調節され、該厚さが、プレートが開放構成にある時の試料の最大の厚さより薄く、かつ該厚さが、プレートの表面方向上の関連のある体積の平均直線寸法より顕著に小さい、ステップ、並びに
(e)(d)の後、プレートが閉鎖構成にある間に、試料を一定の時間インキュベートしかつインキュベーションを停止させるステップであって、結合部位に結合したかなりの数の実体が、貯蔵部位からのものであるようにインキュベーション時間が選択され、関連のある体積は、結合部位にある移送媒体の体積であり、インキュベーションは結合部位への実体の結合を可能にするプロセスである、ステップ
を含む、方法。
【0452】
用語「少なくとも一部の貯蔵部位が結合部位と直面する」とは、該部位のある点から結合部位までの最短距離がプレートの閉鎖構成での関連のある体積の厚さと同じであることを指す。
【0453】
P4. 1つのプレートの貯蔵部位上に貯蔵された実体を別のプレート上の関連のある結合部位に結合するための装置であって、
異なる構成になるように互いに対して移動可能であり、前記第1のプレートはその表面に結合部位を有し、前記第2のプレートはその表面に結合部位に結合する実体を含む貯蔵部位を有し、前記結合部位の面積及び貯蔵部位の面積がそのそれぞれのプレートの面積より小さく、かつ前記プレートの1つ又は2つはスペーサを含み、各スペーサが、そのそれぞれプレートで固定され、かつ所定の高さを有する、第1のプレート及び第2のプレート
を含み、
1つの構成は、2つのプレートが部分的又は完全に離れておりプレート間の間隔がスペーサにより調節されずかつ移送媒体が前記プレートの1つ又は2つに付着する、開放構成であり、貯蔵部位上の実体が、移送媒体内に溶解でき、かつ移送媒体内に拡散でき、
別の構成は、移送媒体が開放構成で付着した後に構成された閉鎖構成であり、閉鎖構成において、前記プレートが互いに対向し、スペーサ、結合部位、貯蔵部位、及び少なくとも一部の移送媒体が前記プレートの間に位置し、少なくとも一部の貯蔵部位が、結合部位と直面し、その間に一部の移送媒体を有し、関連のある体積の移送媒体の厚さがプレート及びスペーサにより調節され、かつ前記厚さが、プレートが開放構成にある時の試料の最大の厚さより薄く、
関連のある体積は、プレートが閉鎖構成にある時に貯蔵部位上にある移送媒体の体積であり、かつ
スペーサの高さは、閉鎖構成で関連のある体積の厚さを結合部位の平均直線寸法の少なくとも3分の1よりも小さいように調節するように選択され、
少なくとも1つのスペーサは試料接触領域内に位置し、
かつ、スペーサは、所定のスペーサ間距離及び高さを有する、装置。
【0454】
6.3 1つのプレートの複数の貯蔵部位上の実体を別のプレート上の複数の対応する結合部位に局所的に結合するための方法
P5. 1つのプレートの複数の貯蔵部位上に貯蔵された実体を別のプレート上の複数の対応する結合部位に局所的に結合するための方法であって、
(a)異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを取得するステップであって、前記第1のプレートの表面は、複数の結合部位を有し、第2のプレートの表面は、複数の対応する貯蔵部位を有し、2つのプレートが対向して配置されている時に各結合部位が1つのみの貯蔵部位に重なるように各対応する貯蔵部位が結合部位の位置に対応する第2のプレートの位置に位置され、プレートの1つ又は2つはスペーサを含み、各スペーサが、その対応するプレートに固定され、かつ所定の高さを有する、ステップ、
(b)移送媒体を取得するステップであって、貯蔵部位にある実体が移送媒体に溶解かつ拡散できる、ステップ、
(c)前記プレートが開放構成で構成されている時に、前記プレートの1つ又は2つに移送媒体を付着させるステップであって、開放構成は、2つのプレートが部分的又は完全に離れておりかつプレート間の間隔がスペーサにより調節されない、構成である、ステップ、
(d)(c)の後、プレートを閉鎖構成にして移送媒体を広げるステップであって、閉鎖構成において、2つのプレートが互いに対向し、スペーサ、結合部位、貯蔵部位、及び少なくとも一部の移送媒体が前記プレートの間に位置し、各結合部位は、1つのみの対応する貯蔵部位と直面し、移送媒体は、各結合部位の少なくとも一部及び各貯蔵部位の一部と接触し、関連のある体積の移送媒体の厚さがプレート及びスペーサにより調節され、該厚さが、プレートが開放構成にある時の移送媒体の最大の厚さより薄く、結合部位の平均直線寸法より顕著に小さい、ステップ、並びに
(e)(d)の後、プレートが閉鎖構成にある間に、試料を一定の時間インキュベートしかつインキュベーションを停止させるステップであって、各結合部位に結合したかなりの数の実体が、対応する貯蔵部位からのものであるようにインキュベーション時間が選択され、関連のある体積は結合部位にある移送媒体の体積であり、インキュベーションは、結合部位への実体の結合を可能にするプロセスである、ステップ
を含む、方法。
【0455】
いくつかの実施形態において、前記間隔は試料結合領域に限定される。
【0456】
方法P5のいくつかの実施形態において、移送媒体は、標的分析物を有する試料であり、結合部位は捕捉剤を含み、貯蔵部位における実体は検出剤であり、標的分析物は、捕捉剤-分析物-検出剤サンドイッチを形成するように捕捉剤及び検出剤に結合する。方法P5は、アッセイステップを簡略化し、かつ、より小さいスペーサの高さを使用することでアッセイ時間を短縮してより短い飽和アッセイ時間のための分析物及び検出剤の両方ともに関するより薄い試料厚さ及びより短い垂直拡散時間を有することができる。
【0457】
P6. 1つのプレートの複数の貯蔵部位上に貯蔵された実体を別のプレート上の複数の対応する結合部位に局所的に結合するための装置であって、
異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレート
を含み、
前記第1のプレートの表面は、複数の結合部位を有し、第2のプレートの表面は、複数の対応する貯蔵部位を有し、2つのプレートが対向して配置されている時に各結合部位が1つのみの貯蔵部位に重なるように各対応する貯蔵部位が、結合部位の位置に対応する第2のプレートの位置に位置し、前記プレートの1つ又は2つはスペーサを含み、各スペーサが、その対応するプレートに固定され、かつ所定の高さを有し、
1つの構成は、2つのプレートが部分的又は完全に離れておりプレート間の間隔がスペーサにより調節されずかつ移送媒体が前記プレートの1つ又は2つに付着する、開放構成であり、貯蔵部位上の実体が移送媒体内に溶解できかつ移送媒体内に拡散でき、
別の構成は、移送媒体が開放構成で付着した後に構成された閉鎖構成であり、閉鎖構成において、2つのプレートが互いに対向し、スペーサ、結合部位、貯蔵部位、及び少なくとも一部の移送媒体が前記プレートの間に位置し、各結合部位は、1つのみの対応する貯蔵部位と直面し、移送媒体は、各結合部位の少なくとも一部及び各貯蔵部位の一部と接触し、関連のある体積の移送媒体の厚さがプレート及びスペーサにより調節され、該厚さが、前記プレートが開放構成にある時の移送媒体の最大の厚さより薄く、
関連のある体積は、プレートが閉鎖構成にある時に貯蔵部位にある移送媒体の体積であり、かつ
所定のスペーサ高さが、開放構成で関連のある体積の厚さを調節するように選択されて、結合部位の平均直線寸法より顕著に小さい、装置。
【0458】
6.4 試料の一部への表面に貯蔵された試薬の局所的添加(表面から体積)
P7. 関連のある体積の試料中に局所的に試薬を添加するための方法であって、
(a)異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを取得するステップであって、前記第1のプレート、その表面に関連のある体積の試料に添加される試薬の貯蔵部位を有し、該試薬が試料中に溶解できかつ試料中に拡散でき、かつ貯蔵部位の面積がプレートの面積より小さく、前記プレートの1つ又は2つがスペーサを含み、かつ各スペーサが、その対応するプレートに固定され、かつ所定の高さを有する、ステップ、
(b)試料を取得するステップ、
(c)前記プレートが開放構成で構成されている時に、前記プレートの1つ又は2つに試料を付着させるステップであって、開放構成は、2つのプレートが部分的又は完全に離れておりかつプレート間の間隔がスペーサにより調節されない、構成である、ステップ、
(d)(c)の後、前記プレートを閉鎖構成にして前記試料を広げるステップであって、閉鎖構成において、前記プレートが互いに対向し、スペーサ、貯蔵部位、及び試料の少なくとも一部が前記プレートの間に位置し、試料が貯蔵部位の少なくとも一部と接触し、かつ前記プレートと接触するその面積は、貯蔵部位と接触するその面積より大きく、関連のある体積の試料の厚さがプレート及びスペーサにより調節され、該厚さが、プレートが開放構成にある時の試料の最大の厚さより薄く、かつプレートの表面方向上の関連のある体積の平均直線寸法より顕著に小さい、ステップ、並びに
(e)(d)の後、プレートが閉鎖構成にある間に、試料を一定の時間インキュベートしかつインキュベーションを停止させるステップであって、(i)試料中に溶解した大量の試薬が関連のある体積の試料に含まれるように、かつ(ii)試薬が該関連のある体積の顕著な部位にあるように、インキュベーション時間が選択され、関連のある体積は、プレートが閉鎖構成にある時に結合部位にある試料の体積であり、インキュベーションは、結合部位への実体の結合を可能にするプロセスである、ステップ
を含む、方法。
【0459】
P8. プレートの表面に貯蔵された試薬を関連のある体積の試料に局所的に添加するための装置であって
異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレート
を含み、
前記第1のプレートは、その表面に関連のある体積の試料に添加される試薬の貯蔵部位を有し、該試薬が試料中に溶解できかつ試料中に拡散でき、前記プレートの1つ又は2つがスペーサを含み、かつ各スペーサが、その対応するプレートに固定され、かつ所定の高さを有し、
1つの構成は、2つのプレートが部分的又は完全に離れておりプレート間の間隔がスペーサにより調節されずかつ試料が前記プレートの1つ又は2つに付着する、開放構成であり、
別の構成は、試料が開放構成で付着した後に構成された閉鎖構成であり、閉鎖構成において、プレートが互いに対向し、スペーサ、貯蔵部位、及び試料の少なくとも一部がプレートの間に位置し、試料が、貯蔵部位の少なくとも一部と貯蔵部位以外のプレート表面の少なくとも一部と接触し、関連のある体積の試料の厚さがプレート及びスペーサにより調節され、該厚さは、前記プレートが開放構成にある時の試料の最大の厚さより薄く、関連のある体積は、前記プレートが閉鎖構成にある時に貯蔵部位にある試料の体積であり、
所定のスペーサ高さは、プレートの開放構成で関連のある体積の厚さを調節するように選択されて、プレートの表面方向上の関連のある体積の平均直線寸法より3倍小さい、装置。
【0460】
7.結合部位上の捕捉剤-分析物-検出剤サンドイッチの形成(W)
本発明の一態様は、CROFプロセスで、結合部位を1つのプレートに配置し、かつ検出剤を貯蔵するための貯蔵部位を別のプレートの対応位置に配置することにより、固体表面上の結合部位に捕捉剤-分析物-検出剤サンドイッチを一段階で形成することである。
【0461】
7.1 インキュベーション(一般)の一段階における結合部位上の捕捉剤-分析物-検出剤サンドイッチの形成(W)
W1. プレートの結合部位上で捕捉剤-分析物-検出剤サンドイッチを形成するための方法であって、
(a)試料中に拡散できる標的分析物を含有する試料を取得するステップ、
(b)捕捉剤及び検出剤を取得するステップであって、捕捉剤及び検出剤が、捕捉剤-標的分析物-検出剤サンドイッチを形成するように標的分析物に結合する(結合可能である)、ステップ、
(c)異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを取得するステップであって、前記第1のプレートは、捕捉剤が固定化された結合部位を有し、第2のプレートは、検出剤を貯蔵するための貯蔵部位を有し、貯蔵部位が試料と接触すると検出剤は試料中に溶解できかつ試料中に拡散でき、前記プレートの1つ又は2つがスペーサを含み、かつ各スペーサが、その対応するプレートに固定され、かつ所定の高さを有する、ステップ、
(d)プレートが開放構成で構成されている時に、前記プレートの1つ又は2つに試料を付着させるステップであって、開放構成は、2つのプレートが部分的又は完全に離れておりかつプレート間の間隔がスペーサにより調節されない、構成である、ステップ、並びに
(e)(d)の後、前記プレートを閉鎖構成にして前記試料を広げるステップであって、閉鎖構成において、前記プレートが互いに対向し、スペーサ及び関連のある体積の試料が前記プレートの間に位置し、関連のある体積の試料の厚さが前記プレート及びスペーサにより調節され、該厚さが、前記プレートが開放構成にある時の試料の厚さより薄く、試料が結合部位及び貯蔵部位と接触する、ステップ、
(f)(e)の後、プレートが閉鎖構成にある間に、試料を、捕捉剤-標的分析物-検出剤サンドイッチの形成を可能にする時間でインキュベートするステップ
を含み、
前記関連のある体積は、試料の少なくとも一部又は全体積である、方法。
【0462】
W2. プレートの結合部位上で捕捉剤-分析物-検出剤サンドイッチを形成するための装置であって、
異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレート
を含み、
第1のプレートは、捕捉剤が固定化された結合部位を有し、第2のプレートは、検出剤を貯蔵するための貯蔵部位を有し、捕捉剤及び検出剤が、捕捉剤-標的分析物-検出剤サンドイッチを形成するように試料中の標的分析物に結合し(結合可能であり)、貯蔵部位が試料と接触すると検出剤は試料中に溶解できかつ試料中に拡散でき、前記プレートの1つ又は2つがスペーサを含み、かつ各スペーサが、その対応するプレートに固定され、かつ所定の高さを有し、
1つの構成は、2つのプレートが部分的又は完全に離れておりプレート間の間隔がスペーサにより調節されずかつ試料が前記プレートの1つ又は2つに付着する、開放構成であり、
別の構成は、試料が開放構成で付着した後に構成された閉鎖構成であり、閉鎖構成において、前記プレートが互いに対向し、前記スペーサと関連のある体積の試料が前記プレートの間に位置し、関連のある体積の試料の厚さが前記プレート及び前記スペーサにより調節され、前記厚さが、前記プレートが開放構成にある時の試料の厚さより薄く、試料が結合部位及び貯蔵部位と接触し、
前記関連のある体積は、試料の少なくとも一部又は全体積である、装置。
【0463】
7.2 試料の一部(すなわち、局所的)からの分析物を用いた、単一ステップインキュベーションにおける結合部位上での捕捉剤-分析物-検出剤サンドイッチの形成
W3. 試料の一部からの分析物を用いてプレートの結合部位上に捕捉剤-分析物-検出剤サンドイッチを形成するための方法であって、
(a)試料中に拡散できる標的分析物を含有する試料を取得するステップ、
(b)捕捉剤及び検出剤を取得するステップであって、捕捉剤及び検出剤が、捕捉剤-標的分析物-検出剤サンドイッチを形成するように標的分析物に結合する、ステップ、
(c)異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを取得するステップであって、前記第1のプレートは、捕捉剤が固定化された結合部位を有し、第2のプレートは、検出剤を貯蔵するための貯蔵部位を有し、試薬貯蔵部位が試料と接触すると検出剤は試料中に溶解できかつ試料中に拡散でき、前記プレートの1つ又は2つがスペーサを含み、かつ各スペーサがその対応するプレートに固定され、かつ所定の高さを有する、ステップ、
(d)プレートが開放構成で構成されている時に、前記プレートの1つ又は2つに試料を付着させるステップであって、開放構成は、2つのプレートが部分的又は完全に離れておりかつプレート間の間隔がスペーサにより調節されない、構成である、ステップ、
(e)(d)の後、プレートを閉鎖構成にして前記試料を広げるステップであって、閉鎖構成において、前記プレートが互いに対向し、スペーサ、結合部位、及び貯蔵部位が前記プレートの間に位置し、結合部位及び貯蔵部位は関連のある体積の試料と接触し、関連体の積の試料の厚さがプレート及びスペーサにより調節され、前記厚さが、前記プレートが開放構成にある時の試料の厚さより薄く、結合部位の平均直線寸法より顕著に小さい、ステップ、並びに
(f)(e)の後、プレートが閉鎖構成にある間に、試料を一定の時間インキュベートしかつインキュベーションを停止させるステップであって、結合部位に形成したかなりの数の捕捉剤-分析物-検出剤サンドイッチが関連のある体積の試料からの分析物を含むようにインキュベーション時間が選択され、関連のある体積は結合部位にある試料の体積であり、インキュベーションは捕捉剤-分析物-検出剤サンドイッチの形成を可能にするプロセスである、ステップ
を含む、方法。
【0464】
いくつかの実施形態において、部位寸法に対する間隔の比は1/5未満であってもよい。
【0465】
W4. 試料の一部からの分析物を用いてプレートの結合部位上に捕捉剤-分析物-検出剤サンドイッチを形成するための装置であって、
異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレート
を含み、
前記第1のプレートは、捕捉剤が固定化された結合部位を有し、前記第2のプレートは、検出剤を貯蔵するための貯蔵部位を有し、捕捉剤及び検出剤が、捕捉剤-標的分析物-検出剤サンドイッチを形成するように試料中の標的分析物に結合し(結合可能であり)、前記貯蔵部位が試料と接触すると検出剤は試料中に溶解できかつ試料中に拡散でき、前記プレートの1つ又は2つがスペーサを含み、各スペーサがその対応するプレートに固定され、かつ所定の高さを有し、
1つの構成は、2つのプレートが部分的又は完全に離れておりプレート間の間隔がスペーサにより調節されずかつ試料が前記プレートの1つ又は2つに付着する、開放構成であり、
別の構成は、試料が開放構成で付着した後に構成された閉鎖構成であり、閉鎖構成において、前記プレートが互いに対向し、スペーサ、結合部位、及び貯蔵部位が前記プレートの間に位置し、結合部位及び貯蔵部位が関連のある体積の試料と接触し、関連のある体積の試料の厚さが前記プレート及び前記スペーサにより調節され、前記厚さが、前記プレートが開放構成にある時の試料の厚さより薄く、関連のある体積は、結合部位にある試料の体積であり、かつ
スペーサの高さが、閉鎖構成で関連のある体積の厚さを調節するように選択されて、結合部位の平均直線寸法より顕著に小さい、装置。
【0466】
7.3 拡散距離を減少させることにより結合部位上に捕捉剤-分析物-検出剤サンドイッチを形成する時間を短縮するための方法(W、X)
W5. プレートの結合部位上に捕捉剤-分析物-検出剤サンドイッチを形成する時間を短縮するための方法であって、
(a)試料中に拡散できる標的分析物を含有する試料を取得するステップ、
(b)捕捉剤及び検出剤を取得するステップであって、捕捉剤及び検出剤が、捕捉剤-標的分析物-検出剤サンドイッチを形成するように標的分析物に結合する、ステップ、
(c)異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを取得するステップであって、前記第1のプレートは、捕捉剤が固定化された結合部位を有し、第2のプレートは、検出剤を貯蔵するための貯蔵部位を有し、試薬貯蔵部位が試料と接触すると検出剤は試料中に溶解できかつ試料中に拡散でき、2前記プレートの1つ又は2つがスペーサを含み、かつ各スペーサが、その対応するプレートに固定され、かつ所定の高さを有する、ステップ、
(d)プレートが開放構成で構成されている時に、前記プレートの1つ又は2つに試料を付着させるステップであって、開放構成は、2つのプレートが部分的又は完全に離れておりかつプレート間の間隔がスペーサにより調節されない、形態をである、ステップ、
(e)(d)の後、前記プレートを閉鎖構成にして前記試料を広げるステップであって、閉鎖構成において、前記プレートが互いに対向し、スペーサ、結合部位、及び貯蔵部位がするステップであってプレートの間に位置し、結合部位が貯蔵部位と重なり、結合部位及び貯蔵部位は関連のある体積の試料と接触し、関連のある体積の試料の厚さがプレート及びスペーサにより調節され、前記厚さが、前記プレートが開放構成にある時の試料の厚さより薄く、それによって、試料厚さを減少させることにより、試料の厚さ方向に分析物及び検出剤が拡散するための時間が減少し、関連のある体積は試料の全体積の少なくとも一部である、ステップ
を含み、
関連のある体積中の標的実体が結合部位に結合することを可能にする時間は、閉鎖構成がない時間より短い、方法。
【0467】
前記方法は、プレート間の試料を除去し、プレートが閉鎖構成又は開放構成にある時に実行される洗浄ステップをさらに含む。
【0468】
前記方法は、結合部位に固定化された捕捉剤-分析物-検出剤サンドイッチからシグナルを読み取るステップをさらに含む。洗浄後に又はいかなる洗浄もなく読み取る。
【0469】
上記又は下記のように、前記方法は、さらに多重化されてもよい。
【0470】
W6. プレートの結合部位上に捕捉剤-分析物-検出剤サンドイッチを形成する時間を短縮するための装置であって
異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレート
を含み、
前記第1のプレートは、捕捉剤が固定化された結合部位を有し、前記第2のプレートは、検出剤を貯蔵するための貯蔵部位を有し、捕捉剤及び検出剤が捕捉剤-標的分析物-検出剤サンドイッチを形成するように試料中の標的分析物に結合し(結合可能であり)、前記貯蔵部位が試料と接触すると検出剤は試料中に溶解できかつ試料中に拡散でき、前記プレートの1つ又は2つがスペーサを含み、各スペーサが、その対応するプレートに固定され、かつ所定の高さを有し、
1つの構成は、2つのプレートが部分的又は完全に離れておりプレート間の間隔がスペーサにより調節されずかつ試料が前記プレートの1つ又は2つに付着する、開放構成であり、
別の構成は、試料が開放構成で付着した後に構成された閉鎖構成であり、閉鎖構成において、前記プレートが互いに対向し、スペーサ、結合部位、及び貯蔵部位が前記プレートの間に位置し、結合部位が貯蔵部位と重なり、結合部位及び貯蔵部位が関連のある体積の試料と接触し、関連のある体積の試料の厚さは前記プレート及び前記スペーサにより調節され、前記厚さは、前記プレートが開放構成にある時の試料の厚さより薄く、それによって、試料の厚さ方向に分析物及び検出剤が垂直に拡散するための時間は、試料厚さを減少させることによって短縮され、関連のある体積は試料の全体積の少なくとも一部である、装置。
【0471】
これらの実施形態において、前記方法は、捕捉剤とプレート上の反応基との化学反応により捕捉剤をプレートに接着させるステップを含んでもよい。別のプレートは、プレートが閉鎖した後、付着した捕捉剤と検出試薬が互いに対向するように、ある位置に乾燥した1つの検出試薬を含んでもよい。次に、上記のように、前記方法は、標的分析物含有の試料を装置と接触させ、かつプレートを閉鎖するステップを含んでもよい。検出剤は、試料中に溶解して拡散する。標的分析物が溶液にあるため、標的分析物は捕捉剤によって結合され、かつプレートの1つの表面に固定化される。検出試薬は、捕捉剤に結合する前又はその後に標的分析物に結合することができる。場合によっては、前記方法は、捕捉剤に結合していない全ての標的分析物、又は結合していない全ての検出試薬を除去する(例えば、結合緩衝液中でプレートの表面を洗浄することによる)ステップを含んでもよく、検出剤は、光学的に検出可能な標識と結合して、それにより標的分析物を検出する方法を提供することができる。標的分析物に結合していない検出剤を任意に除去した後、プレートに結合した検出剤から光信号(例えば、波長範囲が300nm~1200nmの光)を読み取るために、例えば、読み取りシステムを用いて、該システムを読み取ることができる。さらに、上述したように、検出剤は、直接標識されてもよく(この場合、検出剤は、1つのプレートに付着する前に、発光標識と緊密に接続されてもよい)、或いは間接的に標識されてもよい(すなわち、結合検出剤及び二次捕捉剤、例えば標識された二次抗体又は標識された核酸により、二次捕捉剤が検出剤に特異的に結合されかつ発光標識に接続される)。いくつかの実施態様において、前記方法は、遮断剤を含んでもよく、それにより捕捉剤と非標的分析物との非特異的結合を防止する。標的分析物と他の試薬との特異的結合の適切な条件は、適切な温度、時間、溶液pH値、周囲光強度、湿度、化学試薬濃度、抗原-抗体比等を含み、これらはいずれも周知であるか、又は現在の開示から容易に得るものである。捕捉剤とその結合パートナー(分析物を含む)との間の分子相互作用の一般的な方法は、当該技術分野において周知である(例えば、Harlowら、抗体:A Laboratory Manual、第1版(1988)Cold spring Harbor、N.Y.、Ausubelら、Short Protocols in Molecular Biology、第3版、Wiley&Sons、1995参照)。上記及び下記の方法は例示的なものであり、本明細書の方法は、アッセイを行う唯一の方法ではない。
【0472】
特定の実施形態において、タンパク質分析物(例えば、DNA又はRNA結合タンパク質)を捕捉するために、核酸捕捉剤を使用することができる。代替実施形態において、核酸分析物を捕捉するために、タンパク質捕捉剤(例えば、DNA又はRNA結合タンパク質)を使用することができる。
【0473】
試料は、細胞、組織又は体液からの臨床試料であってもよい。対象となる体液は、羊水、房水、硝子体液、血液(例えば全血、分画血液、血漿、血清等)、母乳、脳脊髄液(CSF)、耳垢(耳あか)、乳糜、糜汁、内リンパ液、外リンパ液、糞便、胃酸、胃液、リンパ液、粘液(鼻汁及び粘液質を含む)、心膜液、腹膜液、胸膜液、膿液、粘膜分泌物、唾液、皮脂(皮膚の油)、精液、喀痰、汗、滑液、涙液、嘔吐物、尿及び呼気凝縮液を含むが、これらに限定されない。
【0474】
本アッセイの1つの実施形態において、プレートを標的分析物(例えば標的タンパク質)含有の試料と接触させ、その後にプレートを閉鎖する。試料は、特異的結合に適した全ての必要な試薬(例えば、塩等)条件を含むか、又は含有するように修正される。捕捉剤(例えば抗体)及び検出剤は、試料中の標的分析物に特異的に結合し、それにより標識された1つの分析物を検出することができる。
【0475】
任意の実施形態のように、試料中の標的分析物の量を計測して、試料中の標的分析物の量の定性的又は定量的計測を提供することができる。いくつかの実施形態において、シグナルの大きさは、試料中の標的分析物の量の定量的計測を提供する。場合によっては、特定の場合に既知の濃度であってもよい標準曲線(例えば、第2の分析物又はスパイクイン分析物の標準曲線)と評価を比較することができる。異なる密度(例えば、異なる濃度)で捕捉剤を付着し、かつ各捕捉剤からシグナルを読み取ることにより、該比較を促進することができる。
【0476】
8. 小体積の試料及び試薬の結合及び添加(V)
多くの適用において、可能な限り少量の体積の試料又は試薬を使用することは非常に望ましい。しかしながら、マイクロ流体チャネルデバイス(現在に、小さい試料を使用する最も普及している装置)において、デバイスの入口から検査(検出)領域に流れる期間に、大量の試料を浪費するため、検査位置の体積より大きい試料体積を必要とする。本発明の一態様は、小体積の試料又は試薬をプレートに付着させ、その後に該体積を小さい厚さを有するが以前より大きい面積を有する薄膜に再成形することにより、検査中に使用される試料又は試薬の体積を顕著に減少させることである。このような再形成により、反応をより迅速にする。
【0477】
8-1 試料を広げることによる、表面結合部位上での小体積の試料中の標的実体の結合
V1. 試料中の標的実体を結合部位に結合するための方法であって、
(a)異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを取得するステップであって、前記第1のプレートはその表面に結合部位を有し、前記プレートの1つ又は2つは、各々がその対応するプレートに固定され、かつ所定の高さを有するスペーサを含む、ステップ、
(b)結合部位に結合される標的実体含有の試料を取得するステップ、
(c)プレートが開放構成で構成されている時に、前記プレートの1つ又は2つに試料を付着させるステップであって、開放構成では、2つのプレートが部分的又は完全に離れており、プレート間の間隔がスペーサにより調節されず、かつ付着した試料は結合部位の領域も一部の領域も被覆しない、ステップ、
(d)(c)の後、プレートを閉鎖構成にして前記試料を広げるステップであって、閉鎖構成において、プレートが互いに対向し、スペーサ及び関連のある体積の試料がプレートの間に位置し、プレートが開放構成にある時に比べて結合部位と接触する試料の領域がより大きく、かつ結合部位にある関連のある体積の試料の厚さがプレート及びスペーサにより調節され、関連のある体積は試料の一部又は全体積である、ステップ
を含む、方法。
【0478】
V2.試料中の標的実体を表面結合部位に結合するための装置であって、
異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを含み、
前記第1のプレートは、その表面に試料中の標的実体と結合する結合部位を有し、試料が1つのみのプレートに付着する時のかつ別のプレートとの接触なしの、結合部位は、試料接触領域より大きい領域を有し、
プレートの1つ又は2つは、各々がその対応するプレートに固定され、かつ所定の高さを有するスペーサを含み、
1つの構成は、2つのプレートが部分的又は完全に離れておりプレート間の間隔がスペーサにより調節されずかつ試料が前記プレートの1つ又は2つに付着しかつ付着時に結合部位の領域も一部の領域も被覆しない、開放構成であり、
別の構成は、試料が開放構成で付着した後に構成された閉鎖構成であり、閉鎖構成において、プレートが互いに対向し、スペーサ及び試料がプレートの間に位置し、プレートが開放構成にある時に比べ、試料が結合部位のより多くの領域と接触し、結合部位上の試料の厚さがプレート及びスペーサにより調節される、装置。
【0479】
8-2 試料を広げることによる小体積の試料への試薬の添加
V3.試料中の標的実体を結合部位に結合するための方法であって、
(a)異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを取得するステップであって、前記第1のプレートは、その表面に試料に添加される試薬を含む貯蔵部位を有し、前記プレートの1つ又は2つがスペーサを含み、かつ各スペーサがそのそれぞれのプレートに固定され、かつ所定の高さを有する、ステップ、
(b)プレートが開放構成で構成されている時に、前記プレートの1つ又は2つに試料を付着させるステップであって、開放構成において、2つのプレートが部分的又は完全に離れており、プレート間の間隔がスペーサにより調節されず、かつ付着時に試料が貯蔵部位の領域と接触しないか又は一部の領域と接触する、ステップ、
(c)(b)の後、プレートを閉鎖構成にして、前記試料を広げるステップであって、閉鎖構成において、プレートが互いに対向し、スペーサ及び関連のある体積の試料がプレートの間に位置し、プレートが開放構成にある時に比べ、試料が貯蔵部位のより多くの領域と接触し、結合部位上の関連のある体積の試料の厚さをスペーサにより調節し、関連のある体積が貯蔵部位に位置する試料の一部である、ステップ
を含む、方法。
【0480】
V4. 試料中の標的実体を結合部位に結合するための装置であって、
異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを含み、
前記第1のプレートは、その表面に試料に添加される試薬を含む貯蔵部位を有し、前記プレートの1つ又は2つがスペーサを含み、かつ各スペーサがそのそれぞれのプレートで固定され、かつ所定の高さを有し、
プレートの1つ又は2つは、各々がその対応するプレートに固定され、かつ所定の高さを有するスペーサを含み、
1つの構成は、2つのプレートが部分的又は完全に離れておりプレート間の間隔がスペーサにより調節されずかつ試料が前記プレートの1つ又は2つに付着する、開放構成であり、
別の構成は、試料が開放構成で付着した後に構成された閉鎖構成であり、閉鎖構成において、プレートが互いに対向し、スペーサ及び関連のある体積の試料がプレートの間に位置し、プレートが開放構成にある時に比べ、試料が貯蔵部位のより多くの領域と接触し、結合部位上の関連のある体積の試料の厚さをスペーサにより調節し、関連のある体積が貯蔵部位に位置する試料の一部である、装置。
【0481】
段落V1及びV2に記載の方法とV3及びV4に記載の装置において、場合によっては、試料が少量で表面に湿潤性があるため、試料が結合部位領域又は貯蔵領域に付着しても、付着した試料とプレートとの接触面積が結合部位又は貯蔵部位の面積より小さい。したがって、広げ、特に正確に広げることが必要とされる。
【0482】
試料の滴は複数の滴であってもよく、閉鎖構成では、滴が、最大の厚さより小さい厚さを有するフィルムに融合する。
【0483】
本発明において、段落V1~V7に記載の方法及び段落V2~V8に記載の装置において、1つのプレート又は複数のプレートに付着した試料の体積(「試料体積」)は、最大0.001pL(ピコリットル)、最大0.01pL、最大0.1pL、最大1pL、最大10pL、最大100pL、最大1nL(ナノリットル)、最大10nL、最大100nL、最大1μL(マイクロリットル)、最大10μL、最大100μL、最大1mL(ミリリットル)、最大10mL、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である。
【0484】
9. 均一な試料厚さを用いた領域における試薬の均一な結合又は均一な添加(UAB)
アッセイ及び化学反応の場合、非常に大きい領域で薄い試料厚さを均一にすることが有利である。これらの実施例は、試料の実体を表面結合部位に結合すること、試薬を試料中に添加すること、関連のある体積の試料を定量化すること、分析物を定量化すること等を含む。
【0485】
2つのプレートを用いて関連のある体積(一部又は全体積)の試料の厚さを低減して調整する方法について、正確さ、均一性及び使いやすさは不可欠である。
【0486】
本発明の1つの態様は、2つのプレートを用いて試料を圧縮することにより、関連のある体積の試料の厚さを調節する方法及び/又は装置の精度、均一性又は使用しやすさを改善することである。
【0487】
9.1 試料中の標的実体をプレートの結合部位中に均一に結合するための方法
UAB1. プレートの結合部位中に均一に結合するための方法であって、
(a)試料中に拡散できる標的実体を含有する試料を取得するステップ、
(b)異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを取得するステップであって、前記第1のプレートは、その表面に標的実体に結合するように構成された結合部位を有し、前記プレートの1つ又は2つは、その対応するプレートに固定化され、かつ所定の高さを有するスペーサを含む、ステップ、
(c)プレートが開放構成で構成されている時に、前記プレートの1つ又は2つに試料を付着させるステップであって、開放構成は、2つのプレートが部分的又は完全に離れておりかつプレート間の間隔がスペーサにより調節されない、構成である、ステップ、
(d)(c)の後、プレートを閉鎖構成にして前記試料を広げるステップであって、閉鎖構成において、プレートが互いに対向し、スペーサ及び関連のある体積の試料がプレートの間に位置し、結合部位が関連のある体積と接触し、関連のある体積の試料の厚さがプレート及びスペーサにより調節され、該厚さがプレートが開放構成にある時の試料の最大の厚さより薄く、結合部位でより均一である、ステップ
を含み、
スペーサ及びプレートは、閉鎖構成での関連のある体積の試料の調節された厚さが開放構成での調節された厚さより均一であるように構成され、該関連のある体積は、試料の体積の一部又は体積全体である、方法。
【0488】
それはさらに、結合部位の対応するプレートに、均一なサンドイッチを形成するための貯蔵部位を有する。
【0489】
UAB2. 試料中の標的実体をプレートの結合部位中に均一に結合するための装置であって、
異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを含み、
前記第1のプレートは、その表面に標的実体に結合するように構成された結合部位を有し、前記プレートの1つ又は2つは、各々がその対応するプレートに固定され、かつ所定の高さを有するスペーサを含み、
1つの構成は、2つのプレートが部分的又は完全に離れておりプレート間の間隔がスペーサにより調節されずかつ試料が前記プレートの1つ又は2つに付着する、開放構成であり、
別の構成は、試料が開放構成で付着した後に構成された閉鎖構成であり、閉鎖構成において、プレートが互いに対向し、スペーサと関連のある体積の試料がプレートの間に位置し、結合部位が関連のある体積と接触し、関連のある体積の試料の厚さをプレート及びスペーサにより調節し、プレートが開放構成にある時、該厚さが試料の最大の厚さより薄くかつ結合部位でより均一であり、
スペーサ及びプレートは、閉鎖構成での関連のある体積の試料の調節された厚さが開放構成での調節された厚さより均一であるように構成され、該関連のある体積は、試料の体積の一部又は体積全体である、装置。
【0490】
9.2 プレート上の試薬を試料中に均一に添加するための方法
UAB3. 試薬を関連のある体積の試料中に均一に添加するための方法であって、
(a)異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを取得するステップであって、前記第1のプレートは、その表面に試料に添加される試薬を含む貯蔵部位を有し、該試薬が試料中に溶解できかつ試料中に拡散でき、前記プレートの1つ又は2つがスペーサを含み、かつ各スペーサがそのそれぞれのプレートで固定され、かつ所定の高さを有る、ステップ、
(b)試料を取得するステップ、
(c)プレートが開放構成で構成されている時に、前記プレートの1つ又は2つに試料を付着させるステップ、開放構成は、2つのプレートが部分的又は完全に離れておりかつプレート間の間隔がスペーサにより調節されない、構成である、ステップ、
(d)(c)の後、プレートを閉鎖構成にして前記試料を広げるステップであって、閉鎖構成において、プレートが互いに対向し、スペーサ及び関連のある体積の試料がプレートの間に位置し、貯蔵部位が関連のある体積と接触し、関連のある体積の試料の厚さをプレート及びスペーサにより調節し、該厚さが、プレートが開放構成にある時の試料の最大の厚さより薄い、ステップ、
スペーサ及びプレートは、プレート開放構成の時に比べ、プレート閉鎖構成にある関連のある体積の領域にわたってより均一である関連のある体積の試料の厚さより均一であるように構成され、該関連のある体積は、試料の体積の一部又は体積全体である、ステップ
を含む、方法。
【0491】
UAB4. 試薬を関連のある体積の試料中に均一に添加するための装置であって、
異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを含み、
前記第1のプレートは、その表面に関連のある体積の試料に添加される試薬の貯蔵部位を有し、該試薬が試料中に溶解できかつ試料中に拡散でき、前記プレートの1つ又は2つがスペーサを含み、かつ各スペーサがその対応するプレートに固定され、かつ所定の高さを有し、
1つの構成は、2つのプレートが部分的又は完全に離れておりプレート間の間隔がスペーサにより調節されずかつ試料が前記プレートの1つ又は2つに付着する、開放構成であり、
別の構成は、試料が開放構成で付着した後に構成された閉鎖構成であり、閉鎖構成において、プレートが互いに対向し、スペーサと関連のある体積の試料がプレートの間に位置し、貯蔵部位が関連のある体積と接触し、関連のある体積の試料の厚さをプレート及びスペーサにより調節し、該厚さが、プレートが開放構成にある時の試料の最大の厚さより薄く、
スペーサ及びプレートは、プレート開放構成の時に比べ、プレート閉鎖構成にある関連のある体積の領域にわたってより均一である関連のある体積の試料の厚さより均一であるように構成され、該関連のある体積は、試料の体積の一部又は体積全体である、装置。
【0492】
9.3 結合部位上で捕捉-分析物-検出サンドイッチを均一に形成するための方法
UAB5. プレートの接合部位上で捕捉-分析物-検出サンドイッチを均一に形成するための方法であって
(a)標的分析物を含有する試料を取得するステップ、
(b)標的分析物に結合(可能)して捕捉剤-標的分析物-検出剤サンドイッチを形成する捕捉剤及び検出剤を取得するステップ、
(c)異なる構成にするように互いに相対的に移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを取得するステップであって、前記第1のプレートは、捕捉剤が固定された結合部位を有し、第2のプレートは、検出剤を貯蔵するための貯蔵部位を有し、貯蔵部位が試料と接触すると試薬は試料中に溶解できかつ試料中に拡散でき、前記プレートの1つ又は2つがスペーサを含み、かつ各スペーサがその対応するプレートに固定され、かつ所定の高さを有する、ステップ、
(d)プレートが開放構成で構成されている時に、前記プレートの1つ又は2つに試料を付着させるステップであって、開放構成は、2つのプレートが部分的又は完全に離れておりかつプレート間の間隔がスペーサにより調節されない、構成である、ステップ、
(e)(d)の後、プレートを閉鎖構成にして前記試料を広げるステップであって、閉鎖構成において、プレートが互いに対向し、スペーサ及び関連のある体積の試料がプレートの間に位置し、関連のある体積の試料の厚さがプレート及びスペーサにより調節され、該厚さがプレートが開放構成にある時の試料の厚さより薄く、試料が結合部位及び貯蔵部位と接触し、
スペーサ及びプレートは、プレート開放構成の時に比べ、プレート閉鎖構成にある関連のある体積の領域にわたってより均一である関連のある体積の試料の厚さより均一であるように構成され、該関連のある体積は、試料の体積の一部又は体積全体である、ステップ
を含む、方法。
【0493】
UAB6. プレートの接合部位上で捕捉-分析物-検出サンドイッチを均一に形成するための装置であって、
異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを含み、
第1のプレートは、捕捉剤が固定化された結合部位を有し、該捕捉剤が試料内の標的分析物と結合することができ、
第2のプレートは、(a)貯蔵部位が試料と接触すると試料中に溶解して試料中に拡散すること、(b)標的分析物と結合し、かつ捕捉剤-標的分析物-検出剤サンドイッチを形成することを可能にする検出剤を貯蔵する貯蔵部位を有し、
プレートの1つ又は2つは、各々がその対応するプレートに固定され、かつ所定の高さを有するスペーサを含み、
1つの構成は、2つのプレートが部分的又は完全に離れておりプレート間の間隔がスペーサにより調節されずかつ試料が前記プレートの1つ又は2つに付着する、開放構成であり、
別の構成は、試料が開放構成で付着した後に構成された閉鎖構成であり、閉鎖構成において、プレートが互いに対向し、スペーサと関連のある試料の体積がプレートの間に位置し、関連のある体積の試料の厚さをプレート及びスペーサにより調節し、該厚さが、プレートが開放構成にある時の試料の厚さより薄く、試料が結合部位及び貯蔵部位と接触し、
スペーサ及びプレートは、プレート開放構成の時に比べ、プレート閉鎖構成にある関連のある体積の領域にわたってより均一である関連のある体積の試料の厚さより均一であるように構成され、該関連のある体積は、試料の体積の一部又は体積全体である、装置。
【0494】
9.4 2つのプレートの間の関連のある体積の試料の厚さを均一に調節すること
UAB7. 関連のある体積の試料の厚さを調節するための方法であって、
(a)試料を取得するステップであって、関連のある体積の試料の厚さが調節されるステップ、
(b)異なる構成になるように互いに対して移動可能な2つのプレートを取得するステップ、前記プレートの1つ又は2つは、所定のスペーサ間の距離及び高さを有し、それぞれのプレートに固定されたスペーサを含む、ステップ、
(c)プレートが開放構成で構成されている時に、前記プレートの1つ又は2つに試料を付着させるステップであって、開放構成は、2つのプレートが部分的又は完全に離れておりかつプレート間の間隔がスペーサにより調節されない、構成である、ステップ、
(d)(c)の後、プレートを閉鎖構成にして前記試料を広げるステップであって、閉鎖構成において、プレートが互いに対向し、スペーサ及び関連のある体積の試料がプレートの間に位置し、関連のある体積の試料の厚さがプレート及びスペーサにより調節され、該厚さが、プレートが開放構成にある時の試料の最大の厚さより薄い、ステップ、
スペーサ及びプレートは、プレート開放構成の時に比べ、プレート閉鎖構成にある関連のある体積の領域にわたってより均一である関連のある体積の試料の厚さより均一であるように構成され、該関連のある体積は、試料の体積の一部又は体積全体である、ステップ
を含む、方法。
【0495】
UAB8. 関連のある体積の試料の厚さを調節するための装置であって、
異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを含み、
前記1つ又は2つのプレートは、所定のスペーサ間の距離及び高さを有し、それぞれのプレートに固定されるスペーサを含み、
1つの構成は、2つのプレートが部分的又は完全に離れておりプレート間の間隔がスペーサにより調節されずかつ試料が前記プレートの1つ又は2つに付着する、開放構成であり、
別の構成は、試料が開放構成で付着した後に構成された閉鎖構成であり、閉鎖構成において、プレートが互いに対向し、スペーサと関連のある体積の試料がプレートの間に位置し、関連のある体積の試料の厚さをプレート及びスペーサにより調節し、該厚さが、プレートが開放構成にある時の試料の最大の厚さより薄く、
スペーサ及びプレートは、プレート開放構成の時に比べ、プレート閉鎖構成にある関連のある体積の領域にわたってより均一である関連のある体積の試料の厚さより均一であるように構成され、該関連のある体積は、試料の体積の一部又は体積全体である、装置。
【0496】
段落U1~U8に記載の方法及び装置において、関連のある体積の試料の厚さを均一化するスペーサ及びプレートの構成に、本開示に記載の実施形態を有する。
【0497】
試料厚さ均一性 U1~U8の段落の方法及び装置において、関連のある体積の試料の厚さの均一性とは、閉鎖構成における試料の厚さが、最大0.001%、最大0.01%、最大0.05%、最大0.1%、最大0.5%、最大1%、最大2%、最大5%、最大10%、最大20%、最大30%、最大50%、最大75%、最大90%、100%未満、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲の相対的な変動を有することである。
【0498】
段落U1~U8の方法及び装置の好ましい実施形態において、関連のある体積の試料の厚さの均一性とは、閉鎖構成における試料の厚さが、最大0.1%、最大0.5%、最大1%、最大2%、最大5%、最大10%、最大20%、最大30%、最大50%、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲の相対的な変動を有することである。
【0499】
飽和インキュベーション時間の短縮に対して非常に重要な別のバラメータは、試料厚さの均一性である。結合部位にわたって厚さが大きい変動を有すると、飽和インキュベーション時間は結合部位の位置によって異なり、より長い飽和インキュベーション時間を促成し、結合部位における全ての位置が飽和に達成することを確保する。
【0500】
10. 増幅表面
PoC診断及び小さい試料体積を使用するいずれかのアッセイに対して、従来の主要障害の1つは、低い感度である。アッセイの信号を増強することが望ましい。本発明の1つの態様は、結合部位をシグナル増幅表面(SAS)に載置して、信号を増幅することにより、高い感度を達成する装置及び方法に関する。信号増幅表面は、シグナル増幅層(SAL)とも呼ばれる。
【0501】
SALの一般構造は、局所表面電界及び勾配及び光信号を増幅するナノスケール金属-誘電体/半導体-金属構造を含む。増幅は、金属構造の鋭い(すなわち曲率が大きい)エッジを有する位置及び2つの金属構造の小さな隙間の間で高い。最も高い増幅領域は、鋭いエッジと小さな隙間を有する領域である。さらに、全ての金属及び非金属マイクロ/ナノ構造の寸法は、一般的にはSALが増幅する光の波長(すなわち、サブ波長)より小さい。
【0502】
いくつかの実施形態において、SAL層は、できるだけ多くの金属の鋭いエッジ及び小さな隙間を有する。これは、ナノ構造の間の隙間が小さい金属ナノ構造の密集したグループを有することが必要である。SAL構造は、いくつかの異なる層を含んでもよい。さらに、SAL層自体は、様々な目的のために参照文献として本明細書に組み込まれる2013年3月15日に出願された米国特許仮出願第61/801424号、2014年3月15日に出願されたPCT出願WO2014197096、並びに様々な目的のために本明細書に参照文献として組み込まれるPCT/US2014/028417(Chouら、「Analyte Detection Enhancement By Targeted Immobilization,Surface Amplification, and Pixelated Reading And Analysis」)に記載されているように、鋭いエッジ及び小さな隙間のない金属材料の部分をさらに覆うことができるプロセスにより、さらに改善することができる。
【0503】
信号増幅表面の1つの特定の実施形態は、前記金属ドット構造、前記金属ディスク及び/又は前記金属バックプレーンの少なくとも一部少なくとも一部と、任意に分析物に特異的に結合する捕捉剤とを覆う分子接着層を含むD2PAアレイ(ディスク・カップルド・ドット・オン・ピラー・アンテナアレイ)であり、該捕捉剤がD2PAアレイに結合する。前記分析物が捕捉剤に結合する時、ナノセンサは、分析物からの光信号を増幅することができる。いくつかの実施形態において、SALの1つ、いくつか又は全ての臨界金属及び誘電体成分の寸法は、検知中の光の波長より小さい。ディスク・カップルド・ドット・オン・ピラー・アンテナアレイの物理的構造の詳細、それらの製造方法、捕捉剤をディスク・カップルド・ドット・オン・ピラー・アンテナアレイに結合する方法、及びディスク・カップルド・ドット・オン・ピラー・アンテナアレイを用いて分析物を検出する方法は、様々な目的のために参照文献として本明細書に組み込まれるWO2012024006、WO2013154770、Liら(Optics Express 2011 19、3925-3936),Zhangら(Nanotechnology 2012 23:225-301),Zhouら(Anal.Chen.2014 84:4489)を含む様々出版物に記載されている。
【0504】
10.1 関連のある体積の試料中の標的実体をアッセイする信号の増幅
M1. 関連のある体積の試料中の標的実体をアッセイする信号を増幅するための方法であって、
(a)標的実体を含有する試料を取得するステップ、
(b)異なる構成になるように互いに対して移動可能な2つのプレートを取得するステップであって、1つのプレートは、その表面に、標的実体に結合するようにかつ信号増幅表面上又は付近にある光信号を増幅するように構成された信号増幅表面を含む1つの結合部位を含み、前記プレートの1つ又は2つはスペーサを含み、各スペーサが、その対応するプレート上にあり、かつ所定の高さを有する、ステップ、
(c)プレートが開放構成で構成されている時に、前記プレートの1つ又は2つに試料を付着させるステップであって、開放構成は、2つのプレートが離れておりかつプレート間の間隔がスペーサにより調節されない、構成である、ステップ、
(d)(c)の後、プレートを閉鎖構成にして前記試料を広げるステップであって、閉鎖構成において、プレートが互いに対向し、スペーサ及び関連のある体積の試料がプレートの間に位置し、関連のある体積の試料の厚さをプレート及びスペーサにより調節し、スペーサは、プレートが開放構成にある時のスペーサより薄く、関連のある体積の試料が結合部位と接触する、ステップ、並びに
(e)(e)の後、プレートが閉鎖構成にある間に、一定の時間培養して、関連のある体積の試料中の標的実体が結合部位に結合することを可能にする一定の時間でインキュベートするステップであって、
関連のある体積は、プレートが閉鎖構成にある時に試料が結合部位と接触する部分である、ステップ
を含む、方法。
【0505】
M2. 関連のある体積の試料中の標的実体をアッセイする信号を増幅するための装置であって、
異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを含み、
第1のプレートは、その表面に、(i)試料内の標的実体に結合するように、及び(ii)信号増幅表面上又は付近にある光信号を増幅するように構成された信号増幅表面を含む、1つの結合部位を含み、
プレートの1つ又は2つは、各々がその対応するプレートに位置し、かつ所定の高さを有するスペーサを含み、
1つの構成は、2つのプレートが部分的又は完全に離れておりプレート間の間隔がスペーサにより調節されずかつ試料が前記プレートの1つ又は2つに付着する、開放構成であり、
別の構成は、試料が開放構成で付着した後に構成された閉鎖構成であり、閉鎖構成において、プレートが互いに対向し、スペーサと関連のある体積の試料がプレートの間に位置し、関連のある体積の試料の厚さがプレート及びスペーサにより調節され、該厚さはプレートが開放構成にある時の厚さより薄く、
関連のある体積は、プレートが閉鎖構成にある時に試料が結合部位と接触する部分である、装置。
【0506】
いくつかの実施形態において、信号増幅表面は、金属-誘電体ナノ構造、金属-半導体ナノ構造及びディスク・カップルド・ドット・オン・ピラー・アンテナアレイのうちの少なくとも1つを含む。
【0507】
いくつかの実施形態において、信号増幅表面は、金属層を含む。
【0508】
11 アッセイ中の迅速な結合における試薬体積の節約(S)
試薬中の実体を表面上の結合部位に結合する(例えば、捕捉剤でプレートをコーティングするか又は生体試料表面を染色する)場合には、短いインキュベーション時間を有することが望ましい。短いインキュベーション時間を取得する1つの方法は、試薬中の実体濃度を大幅に増加させることである。しかしながら、このような方法は、短いインキュベーション時間に、結合部位に近い試薬中の実体のほんの一部のみが結合部位に達して結合でき、残りが実体から遠すぎて結合部位に拡散して結合できず、無用で無駄になるので、実体を無駄にして、したがってコストがかかる。一般的な溶液中の一般的な試薬の典型的な拡散定数について、典型的な拡散長さは、1s(秒)、10s、及び100sのインキュベーション時間では、それぞれ約10μm、33μm、及び100μmである。典型的な表面上の液滴の典型的な厚さは、2.5mmであり、上記拡散長さより少なくても25倍厚く、インキュベーション時間が100s以下であれば、顕著な無駄(コストがかかる)をもたらす。本発明の1つの態様は、試薬の液滴を広い領域に非常に薄く(自然な滴下よりも薄い)広げ、試薬を節約してコストを低減することである。
【0509】
11-1 試薬を広げることにより表面結合部位に結合する標的実体を試薬中に含む試薬を節約するための方法(体積が自然接触領域より小さい結合部位を有する)
S1. 表面結合部位に結合する標的実体を含む試薬を節約するための方法であって、
(a)異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを取得するステップであって、前記第1のプレートはその表面に結合部位を有し、前記プレートの1つ又は2つは、各々がその対応するプレートに固定され、かつ所定の高さを有するスペーサを含む、ステップ、
(b)試薬を取得するステップであって、前記試薬は、(i)結合部位に結合可能な標的実体を含み、(ii)他のプレートと接触なしの、結合部位に付着した試薬の接触領域が、結合部位の領域よりも小さいような、体積及び湿潤特性を有する、ステップ、
(c)プレートが開放構成で構成されている時に、前記プレートの1つ又は2つに試料を付着させるステップであって、開放構成は、2つのプレートが部分的又は完全に離れておりかつプレート間の間隔がスペーサにより調節されない、構成である、ステップ、
(d)(c)の後、プレートを閉鎖構成にして、前記試料を広げるステップであって、閉鎖構成において、プレートが互いに対向し、スペーサ及び試料がプレートの間に位置し、プレートが開放構成にある時に比べて結合部位と接触する試料の領域がより大きく、かつ結合部位にある試料の厚さがプレート及びスペーサにより調節され、厚さはプレートが開放構成にある時の厚さより薄い、ステップ
を含む、方法。
【0510】
段落S1に記載の方法において、それは、(d)の後、プレートが閉鎖構成にある間に、試料を一定の時間インキュベートしかつインキュベーションを停止させるステップをさらに含み、インキュベーション時間はプレートが閉鎖構成にある時に標的実体が最大試料厚さ全体に拡散するための時間にほぼ等しく、かつインキュベーションは実体と結合部位との結合を可能にするプロセスである。
【0511】
S2. 表面結合部位に結合する標的実体を含む試薬を節約するための装置であって、
異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを含み、
第1のプレートはその表面に試薬中の標的実体と結合する結合部位を有し、別のプレートと接触なしの、試薬が1つのみのプレートに付着する時の結合部位は、試薬接触領域より大きい面積を有し、
プレートの1つ又は2つは、各々がその対応するプレートに固定され、かつ所定の高さを有するスペーサを含み、
1つの構成は、2つのプレートが部分的又は完全に離れておりプレート間の間隔がスペーサにより調節されずかつ試料が前記プレートの1つ又は2つに付着する、開放構成であり、
別の構成は、試薬が開放構成で付着した後に構成された閉鎖構成であり、閉鎖構成において、プレートが互いに対向し、スペーサ及び試薬がプレートの間に位置し、プレートが開放構成にある時に比べ、試料が結合部位のより多くの領域と接触し、結合部位上の試薬の厚さがプレート及びスペーサにより調節され、該厚さはプレートが開放構成にある時の厚さより薄い、装置。
【0512】
12. 体積及び/又は濃度の検出及び/又は定量化(Q)
試料の関連のある体積の定量化及び/又は制御は、試料中の化学化合物(分析物、実体、試薬等を含む)の濃度の定量化及び/又は制御に有用である。
【0513】
試料体積の定量化のための一般的な方法は、計量ピペット(例えば、エッペンドルフの「リサーチプラスピペット、調節可能、0.5-10μL」、SKU #3120000020)、又は幾何構造の使用を含む。PoC(ポイント・オブ・ケア)又は家庭用の場合、このような計量装置は、使用しにくく及び/又は高価である。試料体積及び/又は濃度の定量化及び/又は制御のためのより簡単で安価な方法及び装置が必要とされる。
【0514】
本発明の1つの態様は、計量ピペット及び/又は固定マイクロ流体流路を使用せずにプレート上に付着した試料の関連のある体積を定量化し及び/又は制御する方法、装置、及びシステムに関する。試料体積の一部又は全体であってもよい関連のある体積は、試料中の標的分析物及び/又は実体の濃度の定量化及び/又は制御に関連する。本発明の方法、装置、及びシステムは、使いやすく、コストが低い。
【0515】
12.1 試料の関連のある体積を定量化するための方法
Q1. 試料の関連のある体積を定量化する方法であって、
(a)試料の関連のある体積が定量化される試料を取得するステップ、
(b)異なる構成になるように互いに対して移動可能な2つのプレートを取得するステップであって、前記プレートの1つ又は2つは、所定のスペーサ間の距離及び高さを有し、それぞれのプレートに固定されたスペーサを含む、ステップ、
(c)プレートが開放構成で構成されている時に、2つのプレートの1つ又は2つに試料を付着させるステップであって、開放構成は、2つのプレートが部分的又は完全に離れておりかつプレート間の間隔がスペーサにより調節されない、構成である、ステップ、並びに
(d)(c)の後、プレートを閉鎖構成にして、前記試料を広げるステップであって、閉鎖構成において、プレートが互いに対向し、スペーサ及び関連のある体積の試料がプレートの間に位置し、関連のある体積の試料の厚さがプレート及びスペーサにより調節され、該厚さがプレートが開放構成にある時の試料の最大の厚さより薄く、少なくとも1つのスペーサが試料内に位置する、ステップ、
(e)プレートが閉鎖構成にある間に、試料の関連のある体積を定量化するステップであって、前記関連のある体積は、試料の全体積の少なくとも一部である、ステップ
を含む、方法。
【0516】
Q2. いくつかの実施形態において、試料の関連のある体積を定量化するための方法は、
(a)第1のプレート及び第2のプレートを取得するステップ、
(b)2つのプレートの間に定量化される試料を製造するステップ、
(c)2つのプレートを圧縮して試料の厚さを減少させることにより試料の形状を変形させるステップ、
(d)プレート間に試料を横方向に広げるステップ、
プレートが閉鎖構成にある間に、試料の関連のある体積を定量化するステップであって、前記関連のある体積は、試料の全体積の少なくとも一部である、ステップ
を含む。
【0517】
12.2 試料中の関連のある体積を定量化するためのプレート
Q3.試料中の関連のある体積を定量化するためのプレートであって、
その表面に、(i)所定のスペーサ間の距離及び高さを有し、表面に固定されたスペーサと、(ii)試料と定量化される関連のある体積を有する試料と接触させるための試料接触領域とを含み、少なくとも1つのスペーサは、試料接触領域の内部にあるプレートを含む、プレート。
【0518】
12.3 試料中の関連のある体積を定量化するための装置
Q4. 試料中の関連のある体積を定量化するための装置であって、
第1のプレート及び第2のプレートを含み、それは、(a)異なる構成になるように互いに対して移動可能であり、(b)それぞれ、定量化される関連のある体積を有する試料と接触させるための試料接触領域を有し、
1つ又は2つのプレートは、その表面にスペーサを含み、前記スペーサは、所定のスペーサ間の距離及び高さを有し、それぞれのプレートに固定され、
1つの構成は、2つのプレートが離れておりプレート間の間隔がスペーサにより調節されずかつ試料が1つ又は2つのプレートに付着する、開放構成であり、
他の構成は、試料が開放構成において付着した後に構成される、閉鎖構成であり、閉鎖構成において、プレートは互いに対向し、スペーサ及び関連のある体積の試料はプレートの間に位置し、関連のある体積の試料の厚さは、プレート及びスペーサにより調節され、かつプレートが開放構成にある時に比べて小さく、少なくとも1つのスペーサは、試料内部にあり、
試料の関連のある体積は、閉鎖構成で定量化され、関連のある体積は、試料の体積全体の少なくとも一部である、装置。
【0519】
12-5.試料の関連のある体積の計測
MS1. 本発明において、プレートが閉鎖構成にある間の試料の関連のある体積の定量化は、以下の5つの実施形態のそれぞれを含むが、それらに限定されない:
(a)機械、光学、電気、又はそれらの任意の組み合わせの方法により、試料の関連のある体積を計測すること、
(b)機械、光学、電気、又はそれらの任意の組み合わせの方法から選択される方法を使用して、試料の関連のある体積に関連した1つ以上のパラメータを独立して計測すること、
(c)試料の関連のある体積に関連した所定の1つ以上のパラメータ(すなわち、プレートが閉鎖構成にある前に決定された試料のパラメータ)を使用すること、
(d)(i)プレートが閉鎖構成にある時、関連のある体積に関連した1つ以上のパラメータを計測し、(ii)プレートが閉鎖構成にある前に、関連のある体積に関連した他のパラメータを予め決定することにより、試料の関連のある体積を決定すること、
(e)非試料体積を決定すること、
(f)以上の(すなわち、a、b及びc)の任意の組み合わせ。
【0520】
段落MS1の方法において、機械方法は、スペーサ(すなわち、基板の内面とカバープレートとの間の間隔を所定の値に調節する機械装置)、機械プローブ又は定規、音波(例えば、間隔を計測するための超音波の反射及び/又は干渉)、又はそれらの任意の組み合わせの使用を含むが、それらに限定されない。
【0521】
段落MS1の方法において、光干渉、光学撮像(例えば、試料の2D(2次元)/3D(3次元)画像を撮る)、複数回の光学撮像(異なる視野角、異なる波長、異なる位相及び/又は異なる偏光による)、画像処理、又はそれらの任意の組み合わせの使用を含むが、それらに限定されない。
【0522】
電気方法は、容量、抵抗、もしくはインピーダンスの計測、又はそれらの任意の組み合わせを含むが、それらに限定されない。
【0523】
段落MS1の方法において、いくつかの実施形態において、試料厚さの計測は、2つのプレートの内面の間の間隔を計測することである。
【0524】
段落MS1の方法において、いくつかの実施形態において、試料の関連のある体積に関連した所定の1つ以上のパラメータの試料を使用し、所定のパラメータは、プレートが閉鎖構成にある時にスペーサにより調節された所定の試料厚さである。
【0525】
段落MS1の方法において、いくつかの実施形態において、試料の関連のある体積に関連した所定の1つ以上のパラメータの試料を使用し、所定のパラメータは、所定のスペーサの高さである。
【0526】
段落MS1の方法において、いくつかの実施形態において、試料の関連のある体積に関連したパラメータは、閉鎖構成でのパラメータであり、それは、(i)(CROF内)第1のプレートの内面と第2のプレートの内面との間の間隔、(ii)試料厚さ、(iii)試料領域の全体又は関連のある部分、(iv)試料体積の全体もしくは関の連部分、又は(v)それらの任意の組み合わせを含むが、それらに限定されない。
【0527】
段落MS1の方法において、いくつかの実施形態において、試料体積又は関連のある試料体積の定量化は、(i)試料厚さと試料面積全体とを乗算し、試料体積全体を取得するステップ、(ii)試料厚さと関連のある試料面積とを乗算し、関連のある試料体積を取得するステップ、又は(iii)関連のある試料厚さと全体もしくは関連のある試料面積とを乗算し、関連のある試料体積を取得するステップを含む。
【0528】
段落MS1の方法において、いくつかの実施形態において、計測は、関連のある体積の3D(3次元)画像を撮ることである。
【0529】
段落MS1の方法において、いくつかの実施形態において、試料の関連のある体積の定量化は、関連のある体積の試料の側面積を計測し、その後にそれと関連のある体積の厚さを使用して、関連のある体積の試料の体積を決定することにより実行され、関連のある体積の厚さは、スペーサの情報から決定され、スペーサの情報は、スペーサの高さを含む。
【0530】
段落MS1の方法において、いくつかの実施形態において、試料の関連のある体積の定量化は、関連のある体積の試料及びスペーサの側面積をともに計測し、その後にそれと関連のある体積の厚さ及びスペーサの体積を使用して、関連のある体積の試料の体積を決定することにより実行され、関連のある体積の厚さは、スペーサの情報から決定される。
【0531】
段落MS1の方法において、いくつかの実施形態において、試料の関連のある体積の定量化は、関連のある体積の試料の側面積及び厚さを計測することにより実行される。
【0532】
段落MS1の方法において、いくつかの実施形態において、試料の関連のある体積の定量化は、関連のある体積の試料の体積を光学に計測することにより実行される。
【0533】
段落MS1の方法において、いくつかの実施形態において、スケールマークは、プレートが閉鎖構成にある間の関連のある試料の体積の定量化を補助するために使用され、スケールマーカーのいくつかの実施形態において、それらの使用及び計測等は、セクション2に記載される。
【0534】
段落MS1の方法において、いくつかの実施形態において、試料の関連のある体積の定量化は、非試料体積を引くステップを含み、いくつかの実施形態において、非試料体積は本発明に記載された実施形態により決定される。
【0535】
12-4. 関連のある体積の試料における分析物の濃度を定量化するための方法
Q5. 関連のある体積の試料における分析物を定量化するための方法であって、
(a)段落Q1の方法におけるステップを実行するステップ、及び
(b)ステップ(a)の後、関連のある体積からの分析物に関連した信号を計測するステップであって、前記関連のある体積は、試料の全体積の少なくとも一部である、ステップ
を含む、方法。
【0536】
Q6. 関連のある体積の試料における分析物を定量化するための方法であって、
(a)段落Q2の方法におけるステップを実行するステップ、及び
(b)ステップ(a)の後、関連のある体積からの分析物に関連した信号を計測するステップであって、前記関連のある体積は、試料の全体積の少なくとも一部である、ステップ
を含む、方法。
【0537】
段落Q5~6のいずれかの方法において、いくつかの実施形態において、さらに、関連のある体積の体積に基づいて、関連のある体積の試料からの分析物に関連した信号を分割することにより、分析物濃度を計算するステップを含む。
【0538】
段落Q5~6のいずれかの方法において、1つ又は2つのプレートは、さらに、結合部位、貯蔵部位、又は両方を含む。
【0539】
段落Q5~6のいずれかの方法において、いくつかの実施形態において、分析物に関連した信号は、直接的に分析物からの又は分析物に付けられた標識からの信号である。
【0540】
Q7. 関連のある体積の試料における分析物を定量化するための方法であて、
(a)1つ又は2つのプレートは結合部位を含むことを特徴とする段落Q1の方法におけるステップを実行するステップ、及び
(b)ステップ(a)の後、関連のある体積からの分析物に関連した信号を計測するステップであって、前記関連のある体積は、試料の全体積の少なくとも一部である、ステップ
を含む、方法。
【0541】
Q8. 関連のある体積の試料における分析物を定量化するための方法であって、
(a)1つ又は2つのプレートは結合部位を含むことを特徴とする段落Q2の方法におけるステップを実行するステップ、及び
(b)ステップ(a)の後、関連のある体積からの分析物に関連した信号を計測するステップであって、前記関連のある体積は、試料の全体積の少なくとも一部である、ステップ
を含む、方法。
【0542】
段落Q7~8のいずれかの方法において、いくつかの実施形態において、分析物に関連した信号は、直接的に結合部位に結合した分析物からの信号又は結合部位に結合した分析物に付けられた標識からの信号である。
【0543】
12.5 試料中の関連のある体積における分析物濃度を定量化するのに使用するためのプレート
Q9.試料中の関連のある体積における分析物濃度を定量化するのに使用するためのプレートであって、
その表面に、(i)所定のスペーサ間の距離及び高さを有するスペーサと、(ii)定量化される関連のある体積における分析物濃度を有する試料と接触させるための試料接触領域とを含み、少なくとも1つのスペーサは、試料接触領域の内部にあるプレートを含む、プレート。
【0544】
12.6 試料中の関連のある体積における分析物濃度を定量化するのに使用するための装置
試料中の標的分析物及び/又は実体の数が定量化され、かつ試料の関連のある体積も定量化されると、試料中の標的分析物及び/又は実体の濃度を定量化又は制御することができる。
【0545】
Q10. 試料中の関連のある体積における分析物濃度を定量化するための装置であって、
第1のプレート及び第2のプレートを含み、第1のプレート及び第2のプレートは、(a)異なる構成になるように互いに対して移動可能であり、(b)それぞれが、定量化される関連のある体積における分析物濃度を有する試料と接触させるための試料接触領域を有し、1つ又は2つのプレートは、その表面に、所定のスペーサ間の距離及び高さを有するスペーサを含み、各スペーサはそれぞれのプレートに固定され、
1つの構成は、2つのプレートが離れておりプレート間の間隔がスペーサにより調節されずかつ試料が1つ又は2つのプレートに付着する、開放構成であり、
他の構成は、試料が開放構成において付着した後に構成される、閉鎖構成であり、閉鎖構成において、プレートは互いに対向し、スペーサ及び関連のある体積の試料はプレートの間に位置し、関連のある体積の試料の厚さは、プレート及びスペーサにより調節され、かつプレートが開放構成にある時に比べて小さく、少なくとも1つのスペーサは、試料内部にあり、かつ
試料の関連のある体積における分析物濃度は、閉鎖構成で定量化され、関連のある体積は、試料の体積全体の少なくとも一部である、装置。
【0546】
段落Q9及びQ10のいずれかの装置において、プレートは、さらに、結合部位又は貯蔵部位又は両方を含む。結合部位の1つの実施形態は、試料中の分析物に結合した結合部位である。
【0547】
段落Q9及びQ10のいずれの装置において、スケールマークは、プレートは、さらに、1つ以上のスケールマーカーを含み、スケールマーカーのいくつかの実施形態は、セクション2に記載される。
【0548】
段落Q1~10のいずれかの方法又は装置において、いくつかの実施形態において、計測装置は、撮像装置及びカメラのうちの少なくとも1つを含む。
【0549】
段落Q1~10のいずれかの方法又は装置において、いくつかの実施形態において、計測装置は、関連のある体積の試料の横方向領域を撮像するように構成される。
【0550】
段落Q1~10のいずれかの方法又は装置において、いくつかの実施形態において、計測装置は、関連のある体積の試料の横方向領域を照らすための光源を含む。
【0551】
段落Q1~10のいずれかの方法又は装置において、いくつかの実施形態において、濃度を計算するステップは、関連のある試料体積で、総標的分析物又は実体を割ることである。
【0552】
段落Q1~10のいずれかの方法又は装置において、いくつかの実施形態において、計測信号は、光学撮像装置を用いて、標的分析物又は実体を計数する。例えば、計測は、光学顕微鏡を用いて、血液試料中の血液細胞(赤血球、白血球、血小板)を計測することであってもよい。
【0553】
段落Q1~10のいずれかの方法又は装置において、いくつかの実施形態において、試料中の標的分析物又は実体の数の計測は、表面の標的分析物又は実体を捕捉する表面固定化アッセイの実施形態であってもよい。
【0554】
試料の体積を定量化するか又は試料中の分析物を検出/定量化するための装置は、段落Q1~10のいずれかの装置、(1)光学撮像装置、及び/又は(2)光源及び光学撮像装置等を含む。光学撮像装置は、フォトセンサ、光学レンズ、フィルタ、偏光子、波長板、ビームスプリッタ、機械マウント、又はそれらの任意の組み合わせを含む。
【0555】
いくつかの実施形態において、関連のある試料面積又は体積の計測は、(i)第1のプレート、カバープレート、それらの間、又はそれらの任意の組み合わせにマーカーを有すること、(ii)光学撮像し(例えば、試料の2D(2次元)/3D(3次元)画像を撮像する)、該撮像を、異なる視野角、異なる波長、異なる位相、及び/又は異なる偏光で複数回行うこと、並びに(iii)メーカー及び試料画像に基づいて画像を処理することを含む。関連とは、標的分析物濃度の決定に関連することを意味する。
【0556】
走査 いくつかの実施形態において、試料からの信号の読み取りは、走査方法を使用し、ここで、リーダ(例えば、光検出器又はカメラ)は、試料(又はプレート)の一部を読み取り、その後に試料(又はプレート)の他の部分に移動し、このようなプロセスは、試料(又はプレート)の特定の予め指定された部分が読み取られたまで行われる。試料への走査と読み取りは、試料(又はプレート)のすべての部分又は試料(又はプレート)の一部をカバーする。いくつかの実施形態において、走査と読み取りは、試料(又はプレート)を指示する位置マーカーにより、補助される。位置マーカーの一例は、固定された周期及び位置を有する周期的スペーサであり、又は試料又はプレートの位置を指示する所定の位置及びサイズも有する関連のある領域用のマーカーである。
【0557】
13 分析物及びその他への検出及び定量化(D)
特定の実施形態において、分析物に関連した信号を計測することにより、分析物を検出及び/又は定量化(すなわち、アッセイ)し、該信号は、光学信号、電気信号、机械信号、化学-物理的信号、又はそれらの任意の組み合わせである。いくつかの実施形態において、CROF装置内の2つのプレートが互いに接近した場合、分析物アッセイを実行する。いくつかの実施形態において、CROF装置内の2つのプレートが互いに離れている時に、分析物アッセイを実行する。
【0558】
光学信号は、光反射、散乱、透過、吸収、スペクトル、色、発光、強度、波長、位置、偏光、冷光、蛍光、電子発光、化学発光、電気化学発光、又はそれらの任意の組み合わせを含むが、それらに限定されない。光学信号は、光学画像(すなわち、光信号と試料又は装置の位置)又は所定の面積又は体積からのすべての光子の総数の形態である。光の好ましい波長は、400nm~1100nmの範囲、50nm~400nmの範囲、1nm~50nmの範囲、又は1100nm~30000nmの範囲内にある。他の好ましい波長は、テラヘルツである。
【0559】
電気信号は、電荷、電流、インピーダンス、容量、抵抗、又はそれらの任意の組み合わせを含むが、それらに限定されない。機械信号は、機械波、音波、衝撃波、又は振動を含むが、それらに限定されない。化学-物理的信号は、反応において生成されたPH値、イオン、熱、気泡、色変化を含むが、それらに限定されない。
【0560】
例えば、標識はビーズであり、かつ標識が、分析物特異的結合プロセス(すなわち、検出剤を用いてビーズを分析物に結合すること、捕捉剤を用いて分析物及びビーズを捕捉すること、捕捉剤を用いて分析物を結合して、次に検出剤を用いてビーズを付けること、又は他の手段)により、標識に付けられる。その後に計測を用いて、分析物に付けられた各ビーズを識別し、それらを計数する。
【0561】
いくつかの実施形態において、各分析物又はビーズを、光学手段(例えば、(i)光学標識及び標識の読み取り、(ii)表面プラズモン共鳴、(iii)光学干渉、(iv)電気方法(例えば、容量、抵抗、インピーダンス等)又は他の手段により、検知し、計数する。センサは、第1のプレート及び/又は第2のプレートの表面に位置することができる。
【0562】
特定の実施形態は、(a)表面固定化アッセイ、(b)バルクアッセイ(例えば、血球計数)及び(c)他のもので分析物濃度を決定することを含む。いくつかの実施形態において、試料体積、関連のある体積の試料又は濃度についての方法は、スマートフォンを使用する。
【0563】
段落Q1~10のいずれかの方法又は装置において、いくつかの実施形態において、信号計測は、試料中の分析物の数を計測するか、又は試料中の分析物に付けられた標識の数を計測することである。段落Q5の他の実施形態において、「計測信号」は、(a)各分析物又は各分析物に付けられた各標識を識別し、(b)その数を計数する。
【0564】
いくつかの実施形態において、電極が第1の及び第2のプレートの1つ又は両方に置かれた場合(これはCROFを使用するいずれかの方法及び装置に適用される)、分析物検出は、電気方法である。電極は、試料の電荷、電流、容量、インピーダンスもしくは抵抗、又はそれらの任意の組み合わせを計測する。電極は、試料中の電解質を計測する。電極は、スペーサの厚み以下の厚みを有する。いくつかの実施形態において、電極は、スペーサの一部として機能する。電極は、様々な導電性材料により製造される。好ましい電極材料は、金、銀、アルミニウム、銅、白金、カーボンナノチューブ、又はそれらの任意の組み合わせである。
【0565】
段落Q1~10のいずれかの方法又は装置において、いくつかの実施形態において、計測は、カメラ又は光検出器である装置と、計測を行うように構成されたプロセッサとを使用する。
【0566】
段落Q1~10のいずれかの方法又は装置において、いくつかの実施形態において、濃度決定装置は、計測値(体積、面積、厚さ、分析物の数、強度)に基づいて濃度を決定するように構成されたプロセッサを含む。
【0567】
段落Q1~10のいずれかの方法又は装置において、いくつかの実施形態において、計測された側面積、厚さ、及び標的分子の数に基づいて、関連のある体積における標的分析物の濃度を決定するように構成された濃度決定装置をさらに含む。
【0568】
画素化した読み取り及び分析を用いる信号検出の詳細
本発明では、いくつかの実施形態において、試料、分析物、実体、結合部位、試薬、CROFプレート、又はそれらの任意の組み合わせからの信号を、検出し、分析する。画素化した読み取り及び分析を用いる信号検出のいくつかの実施形態は、本発明に記載され、いくつかの他の実施形態は、公報番号WO2014144133A及び出願番号PCT/US2014/028417(Chouら、「Analyte Detection Enhancement By Targeted Immobilization、Surface Amplification、And Pixelated Reading And Analysis」)に記載され、それらは、あらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0569】
いくつかの実施形態において、信号は、異なる周波数、光強度、蛍光、色度、発光(電気及び化学発光)、ラマン散乱、時間分解信号(点滅を含む)を有する電気及び光学信号を含む電磁信号である。信号は、さらに、局部電気、局部機械、局部生物学又はプレートと読み取り装置との間の局部光学相互作用による力であってもよい。信号は、さらに、信号の空間的(すなわち、位置)、時間的及びスペクトル分布を含む。検出信号も吸収することができる。
【0570】
分析物は、タンパク質、ペプチド、DNA、RNA、核酸、小分子、細胞、及び異なる形状のナノ粒子を含む。標的分析物は、溶液又は空気又は気相であってもよい。検知は、存在の検出、濃度の定量化、標的分析物の状態の決定を含む。
【0571】
いくつかの実施形態において、電界は、分子選択性、又は結合及び検出を補助するために用いられる。
【0572】
検出/読み取り方法
光学検出(すなわち、電磁放射による検出)のいくつかの実施形態において、方法は、遠視野光学方法、近接場光学方法、落射蛍光分光法、共焦点顕微鏡法、2光子顕微鏡法、及び全反射顕微鏡法を含むが、それらに限定されず、標的分析物は電磁放射エミッタにより標識され、これらの顕微鏡中の信号は、CROFプレートの増幅表面により増幅することができる。
【0573】
いくつかの実施形態において、信号は、位置、局部強度、局部スペクトル、局部偏波、局部位相、前記信号の局部ラマンシグネチャ、又はそれらの任意の組み合わせの情報を含む。
【0574】
いくつかの実施形態において、信号検出は、ある領域からの一括信号(すなわち、領域内のとの位置かに関わらず、領域からの信号)を計測することである。
【0575】
特定の実施形態において、信号検出は、ある領域の信号画像(すなわち、信号と位置)を検出することであり、すなわち、該領域を複数の画素に分割し、該領域の各画素中の信号を個別に検出することであり、「PIX」又は「画素化画像検出」とも呼ばれる。各画素の個々の計測は、並行又は順次又は混合であってもよい。
【0576】
いくつかの実施形態において、読み取りは、適切な検出システムを使用して、信号を順次にもしくは並行して又はそれらの組み合わせで検出する。順次検出において、1つ又は複数の画素を1回に検出し、かつスキャナを用いて検出をSALの他の領域に移動する。並行検出において、撮像カメラ(例えばCCDカメラ)のようなマルチ画素検出器アレイを使用して、異なる画素からの信号を同時に検出する。走査は、単一のパス又は異なる画素サイズを有するマルチパスである。PCT/US2014/028417の
図2Cは、x、y、z状態での画素化した読み取りを概略的に示す。
【0577】
読み取り/検出のための画素サイズは、光学解像度と全読み取り時間のバランスのために調節される。より小さな画素サイズは、SALの全体又は一部の読み取り/走査により長い時間がかかる。一般的な画素サイズは、サイズが1μm~10μmである。画素の形状は、円形、正方形、長方形である。画素サイズの下限は、顕微鏡システムの光学解像度により決定され、画素サイズの上限は、撮像装置(光学収差、照明均一度等)の不均一な光学応答による読み取りエラーを回避するために、決定される。
【0578】
読み取りシステム
PCT/US2014/028417の図面を参照すると、読み取りシステムの1つの実施形態は、(a)CROF用の1つ又は複数のプレートと、(b)個々の標的分析物の結合事象を表す、前記プレートの表面から発する信号の画像を生成するための読み取り装置205と、(c)プレートと撮像装置を保持する装置アセンブリ300と、(d)前記画像を記憶するための電子機器及びデータ記憶装置301と、(e)画像のある領域内の個々の結合事象を識別し計数するためのプログラミングを含むコンピュータとを含む。
【0579】
装置アセンブリ300は、信号を読み取るために、3つの(x,y,z)直交方向の少なくとも1つにおいて、プレートと読み取り装置との間の相対位置を制御し、変更する。装置アセンブリの実施形態は、走査機301を含む。いくつかの実施形態において、走査機301は、3つの(x,y,z)直交方向の少なくとも1つを走査する。
【0580】
いくつかの実施形態において、読み取り装置302は、CCDカメラである。いくつかの実施形態において、読み取り装置302は、光学フィルタ303、分光計、レンズ304、アパーチャ、ビームスプリッタ305、ミラー306、偏光子307、波長板及びシャッタから選択される1つ以上の他の光学機器を含む光検出器である。いくつかの実施形態において、読み取り装置302は、ローカル及びリモート通信機能を有するスマートフォン又は携帯電話である。読み取り装置は、前記信号の位置、局部強度、局部スペクトル、局部ラマンシグネチャ、又はそれらの任意の組み合わせを収集する。
【0581】
いくつかの実施形態において、光学フィルタ303、光ビームスプリッタ305、光ファイバ、光検出器(例えば、pn接合、ダイオード、PMT(光電子増倍管)、又はAPD(アバランシェフォトダイオード)、撮像カメラ(例えば、CCDカメラ又は携帯電話のカメラ))、及び分光計は、装置アセンブリ301により提供される走査機と共に、遠視野共焦点設定又は広視野設定を使用する顕微鏡システムに結合される。
【0582】
いくつかの実施形態において、共焦点設定では、読み取りは、輝度、1つ以上の画素の時間変化及びスペクトル変化を1回記録し、SALの関心領域全体をラスタ走査することにより、実行される。いくつかの実施形態において、広視野設定では、カメラは、SAL領域の全体又は一部の輝度及び時間変化を記録するために使用される。いくつかの実施形態において、適切な光学フィルタ及び光ビームマニピュレータ(偏光子、ビームスプリッタ、光ファイバ等)は、所望の信号のみが収集し、検出されるように確保するために、必要とされる。PCT/US2014/028417の
図9は、このシステム用の構成要素の一配置を概略的に示す。
【0583】
画素化した分析(PIX) PIXのいくつかの実施形態において、画素化した方法で検出された信号は、特定の画素又は複数の画素での特定の分子の数及び/又はタイプを決定するために分析され、次に、それは、標的分析物のタイプ及び/又は濃度を定量化するために使用される。用語「画素化方法による信号検出」とは、信号を有する領域を複数の画素に分割し、かつ該領域の各画素からの信号を個別に検出する方法を指し、「PIX」又は「画素化画像検出」とも呼ばれる。各画素の個々の計測は、並行又は順次又は混合であってもよい。
【0584】
いくつかの実施形態において、分析は、信号の空間、テンポ、スペクトル情報を分析することを含む。いくつかの実施形態では、分析は、統計分析、比較、統合等を含むが、それらに限定されない。PCT/US2014/028417の
図5は、前記方法の1つの実施形態のフローチャートを示す。
【0585】
分析-1方法 信号分析の1つの実施形態の分析-1は、(1)局部バックグラウンド信号強度を決定するステップ、(2)1つの標識、2つの標識等についての局部信号強度を決定するステップ、及び(3)撮像領域内の標識の総数を決定するステップを含む。
【0586】
バックグラウンド信号とは、試料がいずれかの標的分析物を含まない場合を除いて、他の試料と同じ条件下で生成された信号である。
【0587】
分析-1の1つの実施形態は、EM-CCDを使用して、空間分布生物アッセイ信号強度を記録する。他の実装形態において、携帯電話(スマートフォン、携帯電話)は、信号を撮像するために使用される。
【0588】
分析-1のいくつかの詳細は以下のとおりである。
【0589】
(1)局部バックグラウンド信号の強度を決定する。バックグラウンド信号を決定するために、参照試料を使用する。この参照試料は、いずれかの固定化された分析物もないプレートであり、かつプレート上の生物アッセイ用の同一の実験条件で同一の計器セットを使用して撮像される。その後、画像のすべての画素の強度を特定の信号強度での画素数を与えるヒストグラムにプロットする。その後、最も対応する画素数を有する信号強度を、バックグラウンド信号 バックグラウンドとして決定する。このバックグラウンド強度は、それらの標準偏差(s.d.)と共に、局部バックグラウンドと局部ホットスポットとを区別するために定義された閾値を決定することに使用され、閾値=バックグラウンド+n*s.dとなる。ここで、nは、閾値を調節するパラメータとして使用される整数である。一般的に、この作業で、nは、3、5又は7に設定される。
【0590】
(2)単一の明るい画素(Ix,y>閾値)について、標識の局部信号強度は、2つのステップを有する手法を使用して決定される。第一に、試料の時間発展撮像を用いて、単一の標識(分析物)を有するホットスポットを見つける。撮像の総時間は、10秒のスケールにあり、解像度は、10ミリ秒のスケールにある。単一の分析物のホットスポットについて、ホットスポット蛍光強度の明らかなON/OFFバイナリ動作は、観察される。このような動作を表示する画素は、単一の標識/分析物として最初に計数される。したがって、画像上のそれらの座標及び強度が記録される。その後、これらのホットポットの平均強度は、プレートアッセイ上の単一の標識の輝度として使用される。
【0591】
第二に、このようなバイナリ動作を示さない明るい画素は、したがって、複数の標識/分析物を示す。その後、それらの信号強度と、単一の標識の平均輝度とを比較して、局部ホットスポット内の標識の数を計数する。あるいは、ポアソン統計の原理に基づいて別の簡略化された手法が利用される。低濃度の分析物(<1pM)では、少量の分析物がプラズモンホットスポット高密度(約2.5×107mm-2)で固定化された確率によりポアソン分布を観測し、これは2つ超の分析物が同じプラズモンホットスポットに位置する確率が低いことを意味する。例えば、1fMの標的分析物では、2つ超の標識が画像化領域内に位置する確率は、0.01%未満である(推定)。したがって、単一標識挙動を示さないすべての明るいホットスポットは、2つの標識のみを含む。
【0592】
(3)(1)及び(2)を完了した後、ホットスポットピクセルの座標、強度及び対応する標識番号のリストを表にすることができる。標識の総数は、各明るいピクセルの標識番号に対してSUMによって得られる。
【0593】
分析-2方法 信号分析の1つの実施形態の分析-2は、(1)局所的なバックグラウンド信号スペクトルを決定するステップ、(2)1つの標識、2つの標識などの局所的な信号スペクトルを決定するステップ、及び(3)画像化領域内の標識の総数を決定するステップを含む。
【0594】
分析-2は、共焦点顕微鏡装置と組み合わせた高分解能分光計を使用して生物アッセイ信号スペクトルの空間分布を記録することに基づく。分析-2のいくつかの詳細は以下のとおりである。
【0595】
(1)バックグラウンド信号を決定するために、参照試料を使用する。この参照試料は、いずれの固定化された分析物もない検知プレートであり、かつ検知プレート上の生物アッセイ用の同一の実験条件で同一の計器セットを使用して画像化される。次に、共焦点顕微鏡を用いて局所的な生物アッセイ信号スペクトルを計測する。検出領域は、高分解能分光計の前のピンホールサイズと顕微鏡の対物レンズの開口数によって決定される。共焦点顕微鏡ラスタは、検知プレートの検知部位全体を走査して、バックグラウンド信号スペクトルI(x、y、λ)の空間分布を得る。次に、特定のスペクトルモーメント(∫I(λ)dλ)を有するピクセルの数量を与えるヒストグラムを作図する。分析-1のステップ(1)と同様に、最大のピクセルを有するスペクトルモーメントをバックグラウンド信号として使用し、その標準偏差を用いて閾値を決定する。I(λ)閾値=I(λ)バックグラウンド+n*s.d(λ)。ここで、nは、閾値を調節するパラメータとして使用される整数である。一般的に、この作業で、nは、3、5又は7に設定される。(2)高分解能分光計に結合された共焦点顕微鏡装置を使用して単一の明るいピクセルのスペクトルを収集する。ステップ(1)と同様に読み出しが行われる。単一分子のスペクトルは露光時間が数秒の高感度CCDのみを用いて確実に検出され得るので、ホットスポットでの単一標識のバイナリ ビヘイビアーを決定するのに十分な時間分解能を提供することができない。したがって、明るいピクセルでの標識の数量を決定するために、異なる明るいピクセルの間のスペクトルモーメントを比較する。検知プレートの大幅な拡大のため、単一又は複数の標識をバックグラウンドと区別することができる。したがって、ホットスポット内の分析物の数量を決定することができる。
【0596】
(3)(1)及び(2)を完了した後、ホットスポットピクセルの座標、スペクトルモーメント及び対応する標識番号のリストを表にすることができる。標識の総数は、各明るいピクセルの標識番号に対してSUMによって得られる。
【0597】
分析-3(ピクセル化されたSERS信号により検知される) 信号分析の1つの実施形態の分析-3は、(1)「表面増強ラマン散乱」(SERS)シグネチャの局所的なバックグラウンド信号を決定するステップ、(2)1つの標識、2つの標識などの局所的なSERSを決定するステップ、及び(3)画像化領域内の標識の総数を決定するステップを含む。
【0598】
分析-3は、共焦点顕微鏡装置と組み合わせた高分解能分光計を使用して生物アッセイ信号SERSスペクトルの空間分布を記録することに基づく。分析-3のいくつかの詳細は以下のとおりである。
【0599】
(1)バックグラウンド信号を決定するために、参照試料を使用する。この参照試料は、いずれの固定化された分析物もない検知プレートであり、かつ検知プレート上の生物アッセイ用の同一の実験条件で同一の計器セットを使用して画像化される。次に、共焦点顕微鏡を用いて局所的な生物アッセイSERSスペクトルを計測する。検出領域は、高分解能分光計の前のピンホールサイズと顕微鏡の対物レンズの開口数によって決定される。共焦点顕微鏡ラスタは、検知プレートの検知部位全体を走査して、バックグラウンド信号スペクトルI(x,y,cm-1)の空間分布を得る。特定の生体分子について、分子の固有のSERSシグネチャ強度I(cm-1)を有するピクセルの数量を与えるヒストグラムを作図する。分析1のステップ(1)と同様に、最大のピクセルを有するスペクトルモーメントをバックグラウンド信号として使用し、その標準偏差を用いて閾値を決定する。I(cm-1)閾値=I(cm-1)バックグラウンド+n*s.d(cm-1)。ここで、nは、閾値を調節するパラメータとして使用される整数である。一般的に、この作業で、nは、3、5又は7に設定される。
【0600】
(2)局所的なホットスポットを位置決めするために、(1)と同様な方式で、共焦点顕微鏡装置を用いて検知プレートの検知部位全体をラスタ走査する。分析-1又は分析-2とは異なり、SERSは、標識フリー検出方法であり、単一分子SERS信号は、バイナリ ビヘイビアーを示さない。したがって、明るい画素での標識の数量を決定するために、個別の明るい画素の間のSERSシグネチャI(cm-1)を比較する。検知プレートの大幅な拡大のため、単一又は複数の分析物をバックグラウンドと区別することができる。次に、ホットスポット内の分析物の数量を決定することができる。
【0601】
(3)(1)及び(2)を完了した後、ホットスポットピクセルの座標、SERSシグネチャ強度及び対応する標識番号のリストを表にすることができる。標識の総数は、各明るいピクセルの標識番号に対してSUMによって得られる。
【0602】
分析-4方法 信号分析の1つの実施形態の分析-4は、(1)スマートフォンによってプレートの関連のある領域の画像(すなわち、写真)を撮るステップ、(2)データをローカルで(同じスマートフォンを使用して分析する)、リモートで(分析のためにリモートサイトにデータを送信する)、又はその両方で分析するステップ、及び(3)データの意味に関する専門家のアドバイスを有するか又は有さない状況でスマートフォンにデータを表示するステップを含む。いくつかの実施形態では、分析は、Open-CV又はImage-Jにおける方法を含むが、これらに限定されない画像化処理方法を含む。
【0603】
14 標識
本開示全体に記載された光標識の実施形態の1つ又は任意の組み合わせは、本発明の説明全体に記載されたすべての方法及び装置に適用される。
【0604】
いくつかの実施形態において、標識は、検出剤、分析物又は実体(接続物)に接着する。特定の実施形態において、標識は、光標識、電気的標識、光学的又は電気的信号を生成するために用いられる酵素、又はそれらの任意の組み合わせである。特定の実施形態において、検出剤、分析物又は実体(接続物)は、その後に標識に接着する接続分子(例えば、タンパク質、核酸、又は他の化合物)に接着する。
【0605】
いくつかの実施形態において、光標識は、光信号を生成可能な物体であり、光信号の生成は、光(すなわち、光子)の反射、散乱、透過、吸収、スペクトル、色、放射、強度、波長、位置、偏光、発光、蛍光、エレクトロルミネッセンス、フォトルミネセンス(蛍光)、化学発光、電気化学発光、又はそれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、光信号は、光学画像(すなわち、光信号と試料又は装置の位置)又は所定の面積又は体積からのすべての光子の総数の形態である。光の好ましい波長は、400nm~1100nmの範囲、50nm~400nmの範囲、1nm~50nmの範囲、又は1100nm~30,000nmの範囲内にある。他の好ましい波長は、テラヘルツである。
【0606】
ビーズ、ナノ粒子、及び量子ドット いくつかの実施形態において、光標識は、ビーズ、ナノ粒子、量子ドット、又はそれらの任意の組み合わせである。
【0607】
いくつかの実施形態において、ビーズ、ナノ粒子又は量子ドットの直径は、1nm以下、2nm以下、5nm以下、10nm以下、20nm以下、30nm以下、40nm以下、50nm以下、60nm以下、70nm以下、80nm以下、100nm以下、120nm以下、200nm以下、300nm以下、500nm以下、800nm以下、1000nm以下、1500nm以下、2000nm以下、3000nm以下、5000nm以下、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である。
【0608】
いくつかの実施形態において、ビーズ又は量子ドットは標識として使用され、かつそれらはCROFのプレート上に予め塗布され、2つのプレート間の内部間隔は、1μm以下、10μm以下、50μm以下、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である。
【0609】
いくつかの実施形態において、溶液中のビーズ間の分離
-拡散時間。(関連のある体積の移送媒体の厚さは、厚さ全体にわたる光標識の拡散時間が1ms未満であることをもたらす)
-溶解時間を制御することができる。光子、熱、又は他の励起、及びそれらの組み合わせを用いて制御することができる。励起エネルギーが印加されるまで、溶解は開始しない。
【0610】
標識のいくつかの実施形態において、10nm以上の直径を有するナノ粒子である。このような大きな直径のナノ粒子は、拡散定数が小さな分子(質量<1000Da)及び大きな分子(質量=1,000~1,000,000ダルトン(da))よりも小さく、所定の溶液及び距離に対する拡散時間が長くなる。拡散時間の短縮は、拡散距離を減少させることである。
【0611】
段落Q1~Q2のいずれかの方法において、1つ以上の開放構成は、プレートが互いに遠く離れることにより、試料が別のプレートが存在しないように1つのプレートに直接的に付着する形態を含む。
【0612】
Q1. 1つ以上の開放構成は、試料が1対の他のプレートの妨害なしで該1対のプレートの1つに付着するようにプレートが互いに遠く離れている、形態を含む、段落Q1の方法。
【0613】
光標識は、数ナノメートルより大きい直径を有するビーズ又は他のナノ粒子である場合、それらは従来技術に対して特別な利点を有する。これは、液体中の物体の拡散定数が、1次近似に対して、物体の直径に反比例するからである(アインシュタイン・ストークス方程式による)。
【0614】
例えば、それぞれ直径20nm、200nm、及び2000nmを有するビーズ光標識は、拡散定数を有し、したがって、2nmのビーズより10倍、100倍、及び1000倍大きい拡散時間を有する。現行のアッセイで使用される典型的な拡散距離に対して、これはPoC(ポイントオブケア)アプリケーション用の実際の飽和インキュベーション時間が長いことをもたらす。
【0615】
しかし、本発明は、数ナノメートルより大きい直径を有する光標識用のインキュベーション時間が長いという問題を解決した。本発明は、プレート表面に貯蔵された光標識を有し、次に、サブミリメートル、マイクロメートル、又はナノメートルスケールで(2つの間の)別個の距離を有する結合部位に隣接する貯蔵表面に置き、移送媒体で分離隙間を充填する(貯蔵された光標識が移送媒体に溶解して結合部位に拡散する)。本発明は、さらに、大きな結合部位の領域にわたってこのような小さな距離を均一に制御することができ、かつスペーサ技術を使用することによって容易に制御することができる。
【0616】
分析物を標識することは、例えば、検出可能な標識を含む分析物特異的結合メンバーのような標識剤を使用することを含んでもよい。検出可能な標識には、蛍光標識、比色標識、化学発光標識、酵素結合試薬、多色試薬、アビジン-ストレプトアビジン関連検出試薬などを含むが、これらに限定されない。特定の実施形態において、検出可能な標識は蛍光標識である。蛍光標識は、蛍光検出器によって検出可能な標識部分である。例えば、対象となる分析物への蛍光標識の結合は、対象となる分析物を蛍光検出器によって検出することを可能にしてもよい。蛍光標識の例は、試薬と接触すると蛍光を発する蛍光分子、電磁放射線(例えば、UV、可視光線、X線など)で照射される場合に蛍光を発する蛍光分子などを含むが、これらに限定されない。
【0617】
特定の実施形態において、標識用の適切な蛍光分子(蛍光体)は、IRDye800CW、Alexa 790、Dylight 800、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、カルボキシフルオレセインのスクシンイミジルエステル、フルオレセインのスクシンイミジルエステル、フルオロセインジクロロトリアジンの5-異性体、ケージドカルボキシフルオレセイン-アラニン-カルボキシアミド、オレゴングリーン488、オレゴングリーン514、ルシファーイエロー、アクリジンオレンジ、ローダミン、テトラメチルローダミン、テキサスレッド、ヨウ化プロピジウム、JC-1(5,5’,6,6’-テトラクロロ-1,1’,3,3’-テトラエチルベンゾイミダゾイルカルボシアニンヨウ化物)、テトラブロモローダミン123、ローダミン6G、TMRM(テトラメチルローダミンメチルエステル)、TMRE(テトラメチルローダミンエチルエステル)、テトラメチルロサミン、ローダミンB及び4-ジメチルアミノテトラメチルロサミン、緑色蛍光タンパク質、青色偏移緑色蛍光タンパク質、シアン偏移緑色蛍光タンパク質、赤色偏移緑色蛍光タンパク質、黄色偏移緑色蛍光タンパク質、4-アセトアミド-4’-イソチオシアネートスチルベン-2,2’ジスルホン酸、アクリジン、アクリジンイソチオシアネートなどのアクリジン及び誘導体、5-(2’-アミノエチル)アミノナフタリン-1-スルホン酸(EDANS)、4-アミノ-N-[3-ビニルスルホニル)フェニル]ナフト-アリミド-3,5ジスルホン酸塩、N-(4-アニリノ-1-ナフチル)マレイミド、アントラニルアミド、4,4-ジフルオロ-5-(2-チエニル)-4-ボラ-3a,4aジアザ-5-インダセン-3-プロピオニ-c酸BODIPY、カスケードブルー、ブリリアントイエロー、クマリン、7-アミノ-4-メチルクマリン(AMC、クマリン120)、7-アミノ-4-トリフルオロメチルクマリン(クマリン151)のようなクマリン及び誘導体、シアニン色素、シアノシン、4’,6-ジアミニジノ-2-フェニルインドール(DAPI)、5’,5”-ジブロモピロガロール-スルホナフタレイン(ブロモピロガロールレッド)、7-ジエチルアミノ-3-(4’-イソチオシアナトフェニル)-4-メチルクマリン、ジエチレントリアミンペンタアセテート、4,4’-ジイソチオシアナートジヒドロ-スチルベン-2-,2’-ジスルホン酸、4,4’-ジイソチオシアナートスチルベン-2,2’-ジスルホン酸、5-(ジメチルアミノ]ナフタリン-1-スルホニルクロリド(DNS、ダンシルクロリド)、4-ジメチルアミノフェニルアゾフェニル-4’-イソチオシアネート(DABITC)、エオシン、エオシンイソチオシアネートのようなエオシン及び誘導体、エリスロシンB、エリスロシン、イソチオシアネートのようなエリスロシン及び誘導体、エチジウム、5-カルボキシフルオレセイン(FAM)、5-(4,6-ジクロロトリアジン-2-イル)アミノ--フルオレセイン(DTAF)、2’,7’ジメトキシ-4’5’-ジクロロ-6-カルボキシフルオレセイン(JOE)、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、QFITC、(XRITC)のようなフルオレセイン及び誘導体、フルオレスカミン、IR144、IR1446、マラカイトグリーンイソチオシアネート、4-メチルウンベリ-フェロネオルトクレゾールフタレイン、ニトロチロシン、パラローザニリン、フェノールレッド、B-フィコエリトリン、o-フタルジアルデヒド、ピレン、ピレン酪酸、スクシンイミジル1-ピレンのようなピレン及び誘導体、ブチラート量子ドット、6-カルボキシ-X-ローダミン(ROX)、6-カルボキシローダミン(R6G)、リサミンローダミンBスルホニルクロリドローダミン(Rhod)、ローダミンB、ローダミン123、ローダミンXイソチオシアネート、スルホローダミンB、スルホローダミン101、スルホローダミン101のスルホニルクロリド誘導体(テキサスレッド)のようなリアクティブレッド4(チバクロン(商標)ブリリアントレッド3B-A)ローダミン及び誘導体、N,N,N’,N’-テトラメチル-6-カルボキシローダミン(TAMRA)、テトラメチルローダミン、テトラメチルホダミンイソチオシアネート(TRITC)、リボフラビン、5-(2’-アミノエチル)アミノナフタリン-1-スルホン酸(EDANS)、4-(4’-ジメチルアミノフェニルアゾ)安息香酸(DABCYL)、ロゾール酸、CAL Fluor Orange 560、テルビウムキレート誘導体、Cy3、Cy5、Cy5.5、Cy7、IRD700、IRD800、ラヨラブルー、フタロシアニン、及びナフタロシアニン、クマリン及び関連色素、キサンテン色素、例えば、レソルフィン、ビマン、アクリジン、イソインドール、ダンシル色素、アミノフタルヒドラジド、例えばルミノール、及びイソルミノール誘導体、アミノフタルイミド、アミノナフタルイミド、アミノベンゾフラン、アミノキノリン、ジシアノヒドロキノン、蛍光ユーロピウム及びテルビウム錯体、これらの組み合わせなどを含むが、これらに限定されない。適切な蛍光タンパク質及び発色性タンパク質は、オワンクラゲに由来するGFP又はその誘導体、例えば増強GFPなどの「ヒト化」誘導体、ウミシイタケ、レニラムレリ、チロサルクスゲルニのような別の種からのGFP、「ヒト化」組み換えGFP(hrGFP)、花虫類種からの様々な蛍光及び着色タンパク質のいずれか、それらの組み合わせなどを含むがこれらに限定されない、緑色蛍光タンパク質(GFP)を含むが、これらに限定されない。
【0618】
特定の実施形態において、標識剤は、対象となる分析物に特異的に結合するように構成される。特定の実施形態において、試料をCROF装置に適用する前に、標識剤はCROF装置内に存在してもよい。他の実施形態において、試料をCROF装置に適用した後に、標識剤はCROF装置に適用されてもよい。特定の実施形態において、試料をCROF装置に適用した後、CROF装置を洗浄して、試料中の非結合分析物及び他の非分析物成分のようないずれかの非結合成分を除去し、かつ洗浄後に標識剤をCROF装置に適用して結合分析物を標識してもよい。いくつかの実施形態において、標識剤を分析物捕捉剤複合体に結合した後にCROF装置を洗浄して、分析物-捕捉剤複合体に結合していない任意の過剰な標識剤をCROF装置から除去する。
【0619】
特定の実施形態において、分析物をCROF装置に結合した後、例えば、分析物をCROF装置において、例えば、サンドイッチ型測定アッセイにおいて結合し、同時に捕捉剤として分析物に結合可能な標識結合剤を使用して、分析物を標識する。いくつかの実施形態において、核酸分析物をCROF装置に捕捉してもよく、かつ標識された核酸は、核酸分析物がCROF装置に結合される捕捉剤として分析物に同時にハイブリダイズすることができる。
【0620】
特定の態様では、CROF装置は、分析物に直接的又は間接的に結合され、次にCROF装置に結合される検出可能な標識によって生成される蛍光又は発光のような光信号を増強する。特定の実施形態において、信号は、信号増幅の物理的プロセスによって増強される。いくつかの実施形態において、光信号は、ナノプラズモン効果(例えば、表面増強ラマン散乱)によって増強される。例えば、LiらのOptics Express 2011 19:3925-3936及びWO2012/024006は、ナノプラズモン効果による信号増強の例を記載しており、参照文献として本明細書に組み込まれる。特定の実施形態において、信号の生物学的/化学的増幅を使用せずに信号の増強を達成する。信号の生物学的/化学的増幅は、信号の酵素的増幅(例えば、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)に使用される)及び信号のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅を含んでもよい。他の実施形態において、物理的プロセス及び生物学的/化学的増幅によって信号の増強を達成してもよい。
【0621】
特定の実施形態において、CROF装置は、CROF装置の表面に近接する検出可能な標識からの信号を103倍以上、例えば、104倍以上、105倍以上、106倍以上、107倍以上、108倍以上増強するように構成され、CROF装置の表面に近接していない検出可能な標識と比較して、すなわち、従来のELISAプレート上の分析物に結合された、従来の核酸マイクロアレイ上で、溶液中に懸濁させるような検出可能な標識と比較して、信号を、103~109倍、例えば、104~108倍、又は105~107倍の範囲で増強することができる。特定の実施形態において、CROF装置は、CROF装置の表面に近接する検出可能な標識からの信号を103倍以上、例えば、104倍以上、105倍以上、106倍以上、107倍以上、108倍以上増強するように構成され、上述したように、物理的増幅プロセスを使用して信号を増強するように構成されていない分析物検出アレイと比較して、信号を、103~109倍、例えば、104~108倍、又は105~107倍の範囲で増強することができる。
【0622】
感度 特定の実施形態において、CROF装置は、0.1nM以下、例えば、10pM以下、又は1pM以下、又は100fM以下、例えば、1fM以下、又は0.5fM以下、又は100aM以下、又は50aM以下、又は20aM以下を含む10fM以下の検出感度を有するように構成される。特定の実施形態において、CROF装置は、10aM~0.1nM、例えば、100aM~100fMを含む20aM~10pM、50aM~1pMの検出感度を有するように構成される。場合によっては、CROF装置は、1ng/mL以下、例えば、10pg/mL以下、1pg/mL以下、100fg/mL以下、10fg/mL以下、又は5fg/mL以下を含む100pg/mL以下の濃度で分析物を検出できるように構成される。場合によっては、CROF装置は、1fg/mL~1ng/mL、例えば、10fg/mL~10pg/mLを含む5fg/mL~100pg/mLの濃度で分析物を検出できるように構成される。特定の実施形態において、CROF装置は、7桁以上を含む6桁以上のような5桁以上のダイナミックレンジを有するように構成される。
【0623】
読み取り 場合によっては、試料のCROF装置への適用からCROF装置への読み取りまでの期間は、1秒~30分、例えば、1分~5分を含む10秒~20分、30秒~10分の範囲にあってもよい。場合によっては、試料の信号増強検出器への適用から装置によって受信可能な出力の生成までの期間は、1時間以下、30分以下、15分以下、10分以下、5分以下、3分以下、1分以下、50秒以下、40秒以下、30秒以下、20秒以下、10秒以下、5秒以下、2秒以下、1秒以下であってもよいか、あるいはさらに短くてもよい。場合によっては、試料の信号増強検出器への適用から装置によって受信可能な出力の生成までの期間は、200ミリ秒以上を含む100ミリ秒以上、例えば、500ミリ秒以上、1秒以上、10秒以上、30秒以上、1分以上、5分以上であってもよいか、あるいはさらに長くてもよい。
【0624】
任意の適切な方法を使用して、CROF装置を読み取って、試料中の分析物の量の計測値を取得することができる。いくつかの実施形態において、CROF装置への読み取りは、CROF装置内の分析物に結合した検出可能な標識から電磁信号を得ることを含む。特定の実施形態において、電磁信号は光信号である。得られる光信号は、光の強度、光の波長、光源の位置などを含むことができる。特定の実施形態において、標識によって生成される光信号は、300nm~900nmの範囲内の波長を有する。特定の実施形態において、光信号は、CROF装置の視像の形態で読み取られる。
【0625】
特定の実施形態において、CROF装置への読み取りは、光源のような電磁放射線源をCROF装置内のバイオマーカーに結合された検出可能な標識の励起源として提供することを含む。光源は、検出可能な標識を励起するための任意の適切な光源であってもよい。例示的な光源は、日光、外乱光、UVランプ、蛍光ランプ、発光ダイオード(LED)、フォトダイオード、白熱灯、ハロゲンランプなどを含むが、これらに限定されない。
【0626】
CROF装置への読み取りは、試料内に存在し、かつCROF装置に結合した分析物の量を測定するための任意の適切な方法によって達成され得る。特定の実施形態において、CROF装置は、CROF装置内の分析物に結合した検出可能な標識から光信号を得るように構成された装置によって読み取られる。場合によっては、装置は、携帯電話又はスマートフォンのようなハンドヘルドデバイスである。CROF装置を読み取るように構成された任意の適切なハンドヘルドデバイスは、本発明の装置、システム及び方法に使用されてもよい。CROF装置を読み取るように構成された装置は、2014年10月21日に出願された米国仮特許出願第62/066,777号に記載され、該出願は参照文献として本明細書に組み込まれる。
【0627】
いくつかの実施形態において、装置は、CROF装置からの光信号を取得し、例えば、CROF装置の画像を取得するように構成された光記録装置を含む。場合によっては、光記録装置は、デジタルカメラのようなカメラである。用語「デジタルカメラ」とは、光学画像を形成するための撮像レンズシステム、光学画像を電気信号に変換するための画像センサ及び他の部品を備えた撮像装置を主部品として含む任意のカメラであり、そのようなカメラの例は、デジタルスチルカメラ、デジタルムービーカメラ、及びウェブカメラ(すなわち、ネットワークに直接接続されたものと、情報処理能力を有するパーソナルコンピュータのような装置を介してネットワークに接続されたものとの両方を含む画像の交換を可能にするために、ネットワークに接続された装置に公的に又は私的に接続されたカメラ)を含む。一例において、CROF装置への読み取りは、経時変化を捕捉してもよいビデオ撮像を含んでもよい。例えば、ビデオを取得してCROF装置に適用された試料の動的変化に関する評価を提供してもよい。
【0628】
特定の実施形態において、光記録装置は、研究/臨床実験室装置に使用された高感度光記録装置の感度よりも低い感度を有する。場合によっては、本方法に用いられた光記録装置は、研究/臨床実験室装置に使用された高感度光記録装置の感度よりも、1/200以下、1/500以下、1/1000以下を含む1/100以下のような1/10以下の感度を有する。
【0629】
特定の実施形態において、該装置は、ビデオディスプレイを有してもよい。ビデオディスプレイは、ディスプレイページがユーザに知覚可能な方法で表示されてもよいコンポーネント、例えば、コンピュータモニタ、陰極線管、液晶ディスプレイ、発光ダイオードディスプレイ、タッチパッドもしくはタッチスクリーンディスプレイ、及び/又は視覚的に知覚可能な出力を発するための当技術分野で知られている他の手段を含んでもよい。特定の実施形態において、装置は、検出器から取得された画像及び/又は処理されたデータから生成されたレポートなどの情報を表示し、情報が被験者によって入力されることを可能にするためのタッチスクリーンを備える。
【0630】
15 多重化
本明細書に記載の任意の実施形態において、システムは、多重アッセイを実施するように設計されてもよく、かつ複数の貯蔵部位、複数の結合部位、又は複数の貯蔵部位及び複数の結合部位を含むことにより、異なるアッセイを1つのプレートの表面上の異なる領域で実施することができる。例えば、1つの実施形態において、1つのプレートは、それぞれ異なる捕捉剤を含む複数の結合部位を含んでもよく、したがって、同じアッセイにおける試料中の複数の分析物の検出を可能にする。これらの部位は、互いに近位であるが、互いに空間的に離れていてもよい。
【0631】
図10は、本発明の例示的な実施形態、すなわち1つのプレートの1つの結合部位と他のプレートの複数の貯蔵部位を使用する単一のCROF装置における多重検出を概略的に示す。図(a)及び(b)は、それぞれ例示的な装置の斜視図及び断面図である。例示的な場合では、多重化されたCROF装置は、第1のプレート及び第2のプレートを含み、前記第1のプレートの1つの表面は1つの結合部位を有し、前記第2のプレートの1つの表面は複数の貯蔵部位を有し、異なる貯蔵部位は、異なる濃度を有する同じ検出剤を有することができるか、あるいは、同じ又は異なる濃度を有する異なる検出剤を有することができる。いくつかの実施形態において、結合部位の面積は、各貯蔵部位の面積よりも大きい。いくつかの実施形態において、結合部位の面積は、すべての貯蔵部位の総面積よりも大きく、かつ/又は結合部位は貯蔵部位と位置合わせされる(すなわち、それらは相互の上部にあり、すなわち、結合部位と貯蔵部上の点との間の最短距離は同じであるか又はほぼ同じである)。
【0632】
図11は、本発明のさらなる例示的な実施形態、すなわち1枚のプレートの1つの貯蔵部位と他のプレートの複数の結合部位を使用する単一のCROF装置における多重検出を概略的に示す。図(a)及び(b)は、それぞれ例示的な装置の斜視図及び断面図である。例示的な場合では、多重化されたCROF装置は、第1のプレート及び第2のプレートを含み、前記第1のプレートの1つの表面は複数の結合部位を有し、前記第2のプレートの1つの表面は1つの貯蔵部位を有し、異なる結合部位は、異なる濃度を有する同じ捕捉剤を有することができるか、あるいは、同じ又は異なる濃度を有する異なる捕捉剤を有することができる。いくつかの実施形態において、貯蔵部位の面積は、各結合部位の面積よりも大きい。いくつかの実施形態において、貯蔵部位の面積は、すべての結合部位の総面積よりも大きく、かつ/又は貯蔵部位は結合部位と位置合わせされる(すなわち、それらは相互の上部にある)。
【0633】
図12は、本発明のさらなる例示的な実施形態、すなわち1枚のプレートの複数の結合部位と他のプレートの複数の対応する貯蔵部位を使用する単一のCROF装置における多重検出を概略的に示す。図(a)及び(b)は、それぞれ例示的な装置の斜視図及び断面図である。例示的な場合では、多重化されたCROF装置は、第1のプレート及び第2のプレートを含み、前記第1のプレートの1つの表面は複数の結合部位を有し、前記第2のプレートの1つの表面は複数の対応する貯蔵部位を有し、各対応する貯蔵部位は、第1のプレート上の結合部位の位置に対応する第2のプレート上の位置に配置されることにより、プレートが対向して配置される場合、各結合部位は1つの貯蔵部位のみと重なり、各貯蔵部位は1つの貯蔵部位のみと重なり、異なる貯蔵部位は、異なる濃度を有する同じ検出剤を有することができるか、あるいは、同じ又は異なる濃度を有する異なる検出剤を有することができ、異なる貯蔵部位は、異なる濃度を有する同じ捕捉剤を有することができるか、あるいは、同じ又は異なる濃度を有する異なる捕捉剤を有することができる。
【0634】
特定の実施形態において、
図10、11、及び12のいずれかの装置において、第1のプレートは、その表面に、第1の所定のアッセイ部位及び第2の所定のアッセイ部位をさらに含み、複数のアッセイ部位に近接した縁部間の距離は、プレートが閉鎖位置にある時の均一な厚さの層の厚さより実質的に大きく、試料の均一な厚さの層の少なくとも一部は、所定のアッセイ部位の上方に位置し、試料は、試料に拡散できる1つ以上の分析物を有する。アッセイの飽和インキュベーションが2つの隣接する部位間の顕著な相互拡散の間に完了することができるので、隣接する複数のアッセイ部位の縁部間の距離を試料の厚さよりも大きくすることにより、試料の異なる部分を流体的に隔離することなく複数の結合部位を有することが可能になる。隣接する距離と試料の厚さの比を適切に選択し、かつアッセイ飽和インキュベーション時間より長いが2つの隣接する部位の間の顕著な相互拡散の時間より短い計測時間を適切に選択することにより、試料の異なる部分を分離することなく、CROFにより多重化を行うことができる。いくつかの実施形態において、閉鎖構成における試料厚さに対する隣接する距離の比は、1.5以上、3以上、5以上、10以上、20以上、30以上、50以上、100以上、200以上、1000以上、10000以上、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である。この比は、好ましい実施形態において3以上であり、他の好ましい実施形態において5以上であり、特定の好ましい実施形態において10以上であり、別の好ましい実施形態において30以上であり、別の好ましい実施形態において100以上である。
【0635】
特定の実施形態において、
図10、11、及び12のいずれかの装置では、第1のプレートは、その表面に、少なくとも3つの分析物アッセイ部位を有し、任意の2つの隣接したアッセイ部位の縁部間の距離は、プレートが閉鎖位置にある時の均一な厚さの層の厚さより実質的に大きく、均一な厚さの層の少なくとも一部は、アッセイ部位の上方に位置し、試料は、試料に拡散できる1つ以上の分析物を有する。
【0636】
特定の実施形態において、
図10、11、及び12のいずれかの装置では、第1のプレートは、その表面に、プレートが閉鎖位置にある時の均一な厚さの層の厚さより実質的に大きい距離で離れていない少なくとも2つの隣接した分析物アッセイ部位を有し、均一な厚さの層の少なくとも一部は、アッセイ部位の上方に位置し、試料は、試料に拡散できる1つ以上の分析物を有する。
【0637】
段落U1~6、X~6、P1~8、W1~6、V1~4、UAB1~8、M1~2、S1~2、Q110、及びH1のいずれか、ならびにそれらの任意の組み合わせの方法又は装置では、第1及び第2のプレートは、多重化検出のために
図10、
図11、又は
図12に記載されるように、結合部位及び貯蔵部位をさらに含む。
【0638】
これらの実施形態において、該装置は、流体分離(すなわち、アッセイ領域間の物理的障壁がない)無しでの液体試料の並行多重化アッセイのためであることができる。該装置は、第1のプレート及び第2のプレートを含み、i.プレートは、異なる構成になるように互いに対して移動可能であり、1つ又は2つのプレートは可撓性であり、ii.1つ又は2つのプレートは、それぞれのプレートに固定されたスペーサを含み、かつスペーサは、所定の実質的に均一な高さ、及び所定の一定のスペーサ間の距離を有し、iii.各プレートは、それらのそれぞれの表面上に、試料中に拡散できる1つ以上の標的分析物を含む試料を含む試料と接触するための試料接触領域を有し、iii.第1のプレートは、その表面に、試料の対応する標的分析物に結合しかつそれを固定化する捕捉剤を含有する所定の領域を各々が有する1つ以上の結合部位を有し、かつ、iv.第2のプレートは、その表面に1つ以上の対応する貯蔵部位を有し、前記貯蔵部位は各々、所定の領域を有し、かつ試料と接触すると試料中に溶解して試料中に拡散する濃度の検出剤を含み、各捕捉剤、標的分析物、及び対応する検出剤は、第1のプレートの結合部位で捕捉剤-標的分析物-検出剤サンドイッチを形成することができ、1つの構成は、2つのプレートが部分的又は完全に離れておりプレートの間の間隔がスペーサにより調節されずかつ試料がプレートの1つ又は2つに付着する、開放構成であり、別の構成は、開放構成で試料を付着した後に構成された閉鎖構成であり、かつ閉鎖構成において、i.少なくとも一部の試料は、圧縮されて均一な厚さの層になり、前記層は、2つのプレートの内表面と接触し内表面によって限定され、かつ1つ以上の結合部位と1つ以上の貯蔵部位を被覆し、ii.1つ以上の対応する貯蔵部位は1つ以上の結合部位の上方にあり、iii.層の均一な厚さをスペーサ及びプレートにより調節し、それは250μmより小さく、各貯蔵部位の所定の領域の直線寸法より実質的に小さく、かつ、iv.結合部位及び/又は貯蔵部位の間に流体的隔離が存在せず、隣接する貯蔵部位の縁部間の分離と隣接する結合部位の縁部間の分離は、標的分析物又は検出剤の関連のある時間内での拡散可能な距離より大きく、かつ結合部位及び/又は貯蔵部位の間に流体的隔離が存在しない。
【0639】
いくつかの実施形態において、第1のプレートは、その表面に、複数(少なくとも2つ、少なくとも4つ、もしくは少なくとも16つ又はそれ以上)の結合部位を有する。
【0640】
いくつかの実施形態において、各結合部位は、異なる標的分析物に結合される。
【0641】
いくつかの実施形態において、第2のプレートは、その表面に、複数(少なくとも2つ、少なくとも4つ、もしくは少なくとも16つ又はそれ以上)の対応する貯蔵部位を有する。
【0642】
いくつかの実施形態において、各対応する貯蔵部位は、異なる標的分析物に結合される。
【0643】
いくつかの実施形態において、第1のプレートは、その表面に、複数の結合部位を有し、第2のプレートは、その表面に、複数の対応する貯蔵部位を有し、プレートが閉鎖構成にある時に各結合部位は対応する貯蔵部位に対向する。
【0644】
いくつかの実施形態において、第1のプレートは、その表面に、複数の結合部位を有し、第2のプレートは、その表面に、1つの貯蔵部位を有し、プレートが閉鎖構成にある時に結合部位のうちの少なくともいくつかの結合部位は貯蔵部位中の1つの領域に対向する。
【0645】
いくつかの実施形態において、第1のプレートは、その表面に、1つの結合部位を有し、第2のプレートは、その表面に、複数の貯蔵部位を有し、プレートが閉鎖構成にある時に貯蔵部位のうちの少なくともいくつかの貯蔵部位は結合部位中の1つの領域に対向する。
【0646】
いくつかの実施形態において、第1のプレートは、その表面に、複数の結合部位を有し、結合部位は、同じ標的分析物に結合してそれを固定化する異なる捕捉剤を含む。
【0647】
いくつかの実施形態において、第1のプレートは、その表面に、複数の結合部位を有し、結合部位は、同じ捕捉剤を含む。
【0648】
いくつかの実施形態において、捕捉剤は、異なる結合部位において密度が異なる。これらの実施形態は、試料中の分析物の量を定量化する方法を提供するために使用されてもよい。
【0649】
いくつかの実施形態において、2つの隣接する結合部位又は2つの隣接する貯蔵部位の間に分離が存在し、閉鎖構成での試料の厚さに対する分離の比は、少なくとも3であり、例えば少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20、又は少なくとも50である。
【0650】
いくつかの実施形態において、スペーサ間の距離は、1μm~120μmの範囲内にある。
【0651】
いくつかの実施形態において、可撓性プレートの厚さは、20μm~250μmの範囲内(例えば50μm~150μmの範囲内)にあり、かつヤング率は0.1GPa~5GPaの範囲内(例えば、0.5GPa~2GPaの範囲内)にあってもよい。
【0652】
いくつかの実施形態において、可撓性プレートの厚さに可撓性プレートのヤング率を乗算した値は、60GPa-μm~750GPa-μmの範囲内にある。
【0653】
いくつかの実施形態において、前記方法は、(a)試料中に拡散できる1つ以上の標的分析物を含有する試料を取得するステップ、(b)異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを取得するステップであって、i.1つ又は2つのプレートは、それぞれのプレートに固定されたスペーサを含み、1つ又は2つのプレートは可撓性であり、ii.スペーサは、所定の実質的に均一な高さ、及び所定の一定のスペーサ間の距離を有し、iii.第1のプレートは、その表面に、(a)の対応する標的分析物に結合してそれを固定化する捕捉剤を含む所定の領域をそれぞれ有する1つ以上の結合部位を有し、かつ、iv.第2のプレートは、その表面上に1つ以上の対応する貯蔵部位を含み、前記貯蔵部位はそれぞれ、所定の領域を有し、試料に接触すると試料中に溶解して試料中に拡散するある濃度の検出剤を含み、各捕捉剤、標的分析物、及び対応する検出剤は、第1のプレートの結合部位に捕捉剤-標的分析物-検出剤サンドイッチを形成できる、ステップ、(c)プレートが開放構成で構成されている時に、1つ又は2つのプレートに試料を付着させるステップであって、開放構成は、2つのプレートが部分的又は完全に離れておりかつプレート間距離がスペーサにより調節されない、構成である、ステップ、(d)(c)の後、2つのプレートを閉鎖構成にすることにより試料を圧縮するステップであって、閉鎖構成は、i.試料の少なくとも一部が、圧縮されて均一な厚さの層になり、前記層が、2つのプレートの内表面に接触し内表面によって限定され、1つ以上の結合部位及び1つ以上の貯蔵部位に接触し、ii.1つ以上の対応する貯蔵部位が1つ以上の結合部位上にあり、かつ、iii.層の均一な厚さがスペーサ及びプレートにより調節され、250μmより小さく、各貯蔵部位の所定の領域の直線寸法より実質的に小さい、構成である、ステップ、(e)(d)の後にかつプレートが閉鎖構成にある間に、(1)関連のある時間長さで試料をインキュベートし、次にインキュベーションを停止するステップ、或いは、(2)関連のある時間長さの最小値以上の時間で試料をインキュベートし、次に、関連のある時間長さの最大値以下の時間内に各標的分析物の結合部位への結合を評価するステップであって、関連のある時間長さは、i.(a)における標的分析物が閉鎖構成で均一な厚さの層の厚さにわたって拡散するのに必要な時間以上であり、かつii.(a)における標的分析物が貯蔵部位又は結合部位の所定の領域の最小直線寸法にわたって横方向に拡散するのに必要な時間より顕著に短く、それにより、反応が生じ、前記反応において、(1)におけるインキュベーションの終了時又は(2)における評価の間、各結合部位に結合した捕捉剤-標的分析物-検出剤サンドイッチの大部分が、対応する関連のある体積の試料に由来し、インキュベーションにより、各標的分析物が結合部位及び検出剤に結合することが可能となり、対応する関連のある体積は、閉鎖構成で対応する貯蔵部位にある試料の一部分であり、隣接した貯蔵部位の縁部間の分離間隔と隣接した結合部位の縁部間の分離間隔は、標的分析物又は検出剤が関連のある時間内で拡散できる距離より大きく、結合部位及び/又は貯蔵部位の間に流体的隔離が存在しない、ステップを含んでもよい。
【0654】
上記多重アッセイ装置の任意の実施形態は、この方法に使用されてもよい。
【0655】
16 幅広いウェルにおける少量の試料又は試薬のアッセイ/化学反応(E)
いくつかの適用において、プレート上のウェルは、試料がカバーしなければならないウェルの領域に対して小さい試料体積を有する試料を検査するために使用される。本発明の1つの態様は、幅広いウェル内の少量の試料又は試薬のアッセイ及び他の化学反応を可能にする方法及び装置である。用語「ウェル」は、ウェルの内部に付着した液体が、ウェルの固体底部および密閉された側壁によってウェルの外側に流れることを防止する、表面での中空の区画、くぼんだ領域、又はくぼみを指す(
図8)。ウェルの領域は、側壁によって囲まれた領域である。用語「小体積の試料」と「幅広いウェル」は、試料がウェルの底部に滴下され、試料を分散するための装置がない場合、ウェル底部との接触領域を有するウェル底部上の試料の体積は、ウェルの領域よりも小さい(すなわち、小ささと広さとは、試料の自然接触領域とウェルの底部領域との比較である)。ウェルは密閉スペーサの作用を果たす(E)。
【0656】
図8及び
図9は、試料の厚さ調整のためのプレート及び密閉スペーサ(ウェル)の特定の実施形態を示す。(a)第1のプレートは、ウェルの内側に1つの密閉スペーサ(ウェル)及び少なくとも1つのスペーサを有する(
図9)、及び(b)第1のプレートは、ウェルの内側にスペーサを備えない(
図8)、という2つの例示的な実施形態が示される。別の実施形態は、第1及び第2のプレートが閉鎖構成にある前に、密閉スペーサがその中の1つのプレートにあり、隔離されたスペーサが別のプレート上にあり、プレートの閉鎖構成では、隔離されたスペーサがウェルの内側にあることである。
【0657】
1つの実施形態において、プレートのウェルに付着した試料の体積は、ウェルの内部体積(体積を特定の体積に測定する)にほぼ等しい所定の体積(内側のウェル領域とウェルの高さとの積)を有することができ、それによりプレートが閉鎖構成にある時に、試料はほぼ完全にウェルを充填し、ウェルから流れ出る試料がないか又はほぼない。
【0658】
別の実施形態において、試料の他の部分がウェルから流出する間は、プレートのウェルに付着した試料の体積は測定されずかつプレートの閉鎖構成では試料の一部はウェルをほぼ完全に充填する。
【0659】
別の実施形態において、複数のウェルは1つのプレートである。いくつかの実施形態において、ウェルからオーバーフローする試料のためのウェル間に溝(ダンピング空間)がある。ダンピング空間は、1つのウェルからオーバーフローする試料が他のウェルに流れることを防止する。
【0660】
E1.
図8に示すような、幅広いウェルにおいて少量の試料を用いてアッセイするため及び/又は化学反応のための方法であって、
(a)異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを取得するステップ、前記第1のプレートは、その表面に、所定の寸法(ウェル底部、深さ及び縁部を含む)を有するウェルと、前記ウェルの底部に結合部位とを有する、ステップ、
(b)試料を取得するステップであって、試料は、(i)結合部位に結合しかつ試料において拡散することができる標的実体を含み、かつ(ii)第2のプレートと接触せずにウェルの底部のみに付着した試料の接触領域がウェルの底部の領域よりも小さいような体積及び湿潤特性を有する、ステップ、
(c)プレートが開放構成で構成されている時に、ウェル内にもしくは第2のプレートの対応する領域上に又はその両方に試料を付着させるステップであって、開放構成は、2つのプレートが部分的又は完全に離れておりかつ第2のプレートとウェルの底部との間の間隔がウェルの縁部(すなわち、ウェルの深さ)により調節されない、構成である、ステップ、
(d)(c)の後、プレートを閉鎖構成にして前記試料を広げるステップであって、閉鎖構成において、第2のプレートはウェルに被覆され、結合部位上の試料はスペーサ及び第2のプレートにより調節され、試料とウェルの底部との接触面積は、プレートが開放構成にある時よりも大きい、ステップ
を含み、
第2のプレートの対応する領域は、閉鎖構成でウェルの頂部及びウェルの縁部の内側にある領域である、方法。
【0661】
段落E1の方法において、プレートは、少なくともウェルの内部の隔離されたスペーサ(すなわちウェルスペーサ)をさらに含む。
【0662】
段落E1の方法において、いくつかの実施形態において、試料の体積は計測される(例えば、選択された体積を有しようとする)。計量された体積は、ウェルの体積とほぼ等しいか、小さいか、又は大きい。
【0663】
段落E1の方法において、いくつかの実施形態において、プレートの外側からの圧縮力は、プレートを閉鎖構成に保持するように構成される。
【0664】
段落E1の方法において、いくつかの実施形態において、毛細管力は、プレートを閉鎖構成に保持するように構成される。
【0665】
図8dに示すように、段落E1の方法において、いくつかの実施形態において、ウェルの底部、第2のプレートの対応する領域、又はその両方が所定の高さのスペーサで取り付けられ、閉鎖構成では、試料の厚さは、スペーサ、縁部、又はその両方によって調整される。
【0666】
いくつかの実施形態において、スペーサの高さはウェルの深さと等しいか、それよりも小さいか、又は大きい。ウェルの底部は平面状(すなわち平坦)又は湾曲している。いくつかの実施形態において、スペーサ(1)は、所定のスペーサ間の距離を有し、(2)試料の内部にあり、(3)それぞれのプレートに固定されるか、又はそれらの任意の組み合わせである。
【0667】
いくつかの実施形態において、試料の体積はウェルの体積からスペーサの体積を引いたものにほぼ等しい。いくつかの実施形態において、第2のプレートはウェルを密封するように構成される。
【0668】
いくつかの実施形態において、ウェル深さ平方に対するウェル領域の比は、3以上、5以上、10以上、20以上、30以上、50以上、100以上、200以上、1000以上、10000以上、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である。
【0669】
ウェル深さ平方に対するウェル領域の比は、好ましい実施形態において3~20であり、別の好ましい実施形態において20~100であり、別の好ましい実施形態において100~1000であり、別の好ましい実施形態において1000~10,000である。
【0670】
装置の記述と要求が必要である。体積は小さくて不明である。
【0671】
17 非試料体積によって生じた影響を補正することによる正確な定量化(C)
CROFプロセスでは、試料は常に、スペーサ、気泡、粉塵又はそれらの任意の組み合わせを含むがこれらに限定されないという試料ではない物体に起因する非試料体積と混合される。気泡又は粉塵は、CROFプロセスにおける試料付着または他のプロセスを使用して導入されてもよい。これらの試料なし物体は、試料の関連のある体積(関心のある体積)を決定する時に修正する必要がある体積を占有し、かつ試料内にある。本発明の1つの態様は、2つのプレートの間の関連のある体積の試料内の非試料体積により生成される影響を補正することであり、関連のある体積の厚さがスペーサにより調整される。
【0672】
C1. 2つのプレートの間の試料の関連のある体積を決定する時に非試料材料によって生じた影響を補正するための方法であって、
(a)試料の関連のある体積が定量化される試料を取得するステップ、
(b)異なる構成になるように互いに対して移動可能な2つのプレートを取得するステップであって、前記プレートの1つ又は2つは、所定のスペーサ間の距離及び高さを有し、それぞれのプレートに固定されたスペーサを含む、ステップ、
(c)プレートが開放構成で構成されている時に、2つのプレートの1つ又は2つに試料を付着させるステップであって、開放構成は、2つのプレートが部分的又は完全に離れておりかつプレート間の間隔がスペーサにより調節されない、構成である、ステップ、
(d)(c)の後、プレートを閉鎖構成にするステップであって、閉鎖構成では、プレートが互いに対向し、スペーサ及び関連のある体積の試料がプレートの間に位置し、関連のある体積の試料の厚さがプレート及びスペーサにより調節され、プレートの開放構成では、該厚さが試料の最も大きい厚さより薄く、関連のある体積が非試料材料の体積を含むことができる、ステップ、
(e)プレートが閉鎖構成にある間に、(i)関連のある体積の試料の側面積、及び(ii)非試料材料の体積を計測するステップ、並びに
(f)スペーサにより調節される関連のある体積の厚さを用いて関連のある体積の試料を計算して、非試料材料の影響を補正するステップ
を含み、
関連のある体積は、試料の全体積の少なくとも一部であり、非試料材料は、試料に由来しない材料であり、
非試料体積の計測は、2つのプレートの間の試料を画像化することによる、方法。
【0673】
18 間隔の二重チェックによる高精度定量化
CROFにおいて、与えられた一組の条件に対して、スペーサ及びプレートが閉鎖構成で所定の試料厚さを与えることができても、特定のCROFの間に、実際の一組の条件は、期待されるものと異なる可能性があり、所定の最終試料厚さの誤差をもたらす。このような誤差を低減するために、本発明の一態様は、閉鎖構成で最終試料厚さを二重チェックすることである。
【0674】
C2. 2つのプレートの間の関連のある体積の試料の厚さを決定しかつチェックするための方法であって、
(a)関連のある体積の試料が定量化される試料を取得するステップ、
(b)異なる構成になるように互いに対して移動可能な2つのプレートを取得するステップであって、前記プレートの1つ又は2つは、所定のスペーサ間の距離及び高さを有し、それぞれのプレートに固定されたスペーサを含む、ステップ、
(c)プレートが開放構成で構成されている時に、2つのプレートの1つ又は2つに試料を付着させるステップであって、開放構成は、2つのプレートが部分的又は完全に離れておりかつプレート間の間隔がスペーサにより調節されない、構成である、ステップ、
(d)(c)の後、プレートを閉鎖構成にするステップであって、閉鎖構成では、プレートが互いに対向し、スペーサ及び関連のある体積の試料がプレートの間に位置し、関連のある体積の試料の厚さがプレート及びスペーサにより調節され、プレートの開放構成では、該厚さが試料の最も大きい厚さより薄く、関連のある体積が非試料材料の体積を含むことができる、ステップ、
(e)プレートが閉鎖構成にある間に、(i)関連のある体積の試料の側面積、及び(ii)非試料材料の体積を計測するステップ、並びに
(f)非試料材料の影響を補正することにより、関連のある体積の試料を計算するステップ
を含み、
関連のある体積は、試料の全体積の少なくとも一部であり、非試料材料は、試料に由来しない材料である、方法。
【0675】
19 洗浄(WS)
本発明では、本明細書に記載されたプレートプレスと保持の実施形態の1つ又は任意の組み合わせが、本発明の説明全体に記載された全ての方法及び装置において使用される。
【0676】
(a)上記方法の1つ又は任意の組み合わせにおけるステップを実行するステップ、及び
(b)プレート間の試料又は移送媒体を洗い流すステップ
を含む、アッセイにおける洗浄ステップのための方法。
【0677】
CROFを使用する方法において、プレートを閉鎖構成に保持することにより洗浄する。
【0678】
CROFを使用する方法において、閉鎖構成でプレートを分離することにより洗浄する。
【0679】
スポンジ
20 多重ステップを用いるアッセイ(MA)
本発明において、本開示によって記載された実施形態(すなわち、全てのセクション)は、(a)1つの実施形態を他の実施形態と組み合わせること、(b)同じ実施形態を1回より多く使用すること、(c)(a)と(b)の任意の組み合わせにより使用することができる。
【0680】
MA1.
(a)分析物を含有する試料を取得するステップ、
(b)CROFを使用する方法を実行するステップ、及び
(c)プレートを離し、CROFを使用する方法を実行するステップ
を含む、試料中の分析物をアッセイするための方法。
【0681】
段落MA1の方法では、いくつかの実施形態において、MA1のステップ(c)の後、MA1の方法における全てのステップの同じステップを少なくとも1回繰り返すステップをさらに含む。
【0682】
MA2.、
(a)分析物を含有する試料を取得するステップ、
(b)CROFを使用する方法を実行するステップ、
(c)プレートを離し、CROFを使用する方法を実行する(洗浄)ステップ、及び
(d)CROFを使用する方法を実行するステップ
を含む、試料中の分析物をアッセイするための方法。
【0683】
いくつかの実施形態における段落MA2の方法では、それは、MA2のステップ(d)の後、MA2の方法における全てのステップの同じステップを少なくとも1回繰り返すステップをさらに含む。
【0684】
段落MA2の方法では、いくつかの実施形態において、MA2のステップ(c)の後、MA1の方法における全てのステップの同じステップを少なくとも1回繰り返すステップをさらに含む。
【0685】
MA3.
CROFを使用する第1のCROF装置と、
第1のCROF装置のプレートが離れているときに、第1のCROF装置のプレートの1つと組み合わせて第2のCROF装置を形成する第3のプレートと
を含む、試料中の分析物をアッセイするためのキット。
【0686】
MA4.
CROFを使用する第1のCROF装置と、
CROF装置のプレートの試料接触領域上にある少なくとも1つの結合部位又は貯蔵部位と、
第1のCROF装置のプレートが離れているときに、第1のCROF装置のプレートの1つと組み合わせて第2のCROF装置を形成する第3のプレートと
を含み、
結合部位は、標的分析物をプレートの表面に結合し、貯蔵部位は、試料と接触すると試料中に溶解して試料中に拡散することができる試薬を有する、試料中の分析物をアッセイするためのキット。
【0687】
画像化は、スマートフォンの使用を含む。このセクションの方法は、光源による照明のステップをさらに含む。光源は、レーザ、LED、ランプ、又はカメラフラッシュライトであってもよい。
【0688】
試料中の標的実体を検出するアッセイを行うためのキット(MQXA)
a.標的実体を固定化することができ、標的実体に結合する結合パートナーを有する1つ以上の結合部位を第1のプレートの1つの表面が有する、第1のプレートと、
b.カバープレートと、
c.カバープレートと第1のプレートとの間の内部空間にある試料であって、試料が、試料中で移動可能な前記標的実体を含み、試料の形状が変形可能であり、第1のプレートと第2のプレートが互いに対して移動可能であり、試料の形状が内表面にほぼ一致し、試料の少なくとも一部が結合部位と接触し、インキュベーションの間に内側の間隔が一定の距離より小さく、試料が前記結合部位と接触する、試料と、
d.第1のプレートの表面及び/又はカバープレートの表面に画像化を行うことができる画像化装置と、
e.内部空間の間隔を計測することができる計測装置と
を含む、試料中の標的実体をアッセイするためのキット。
【0689】
このセクションの方法は、スマートフォンの使用を含む。このセクションの方法は、照明装置の使用を含む。照明装置は、レーザ、LED、ランプ、又はカメラフラッシュライトを含む。
【0690】
21 プレートプレス及び保持(H)
圧縮力 CROFプロセスにおいて、力を入れて2つのプレートを圧縮してプレートを開放構成から閉鎖構成にする。圧縮力は、プレートの内表面間の間隔を減少させ、これによりプレート間の試料の厚さを減少させる。本発明において、圧縮力は、機械的力、毛細管力(表面張力による)、静電力、電磁力(光を含む)、及びそれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0691】
プレートを開放構成から閉鎖構成にするいくつかの実施形態において、第1のプレートと第2のプレートとを互いに向かって押し付けるための外力を加える。
【0692】
プレートを開放構成から閉鎖構成にするいくつかの実施形態において、第1のプレートと第2のプレートの外側に外力を加えてプレートを互いに向かって押し付け、前記圧力がプレート内の圧力よりも高い。プレート外の圧力をプレート内の圧力よりも高くするための装置が使用される。この装置は、密封装置のみに限定されている。
【0693】
いくつかの実施形態において、圧力は、第1のプレートと第2のプレートとの間の液体及び対応する表面の張力とプレートとの相互作用に起因する毛細管力によって少なくとも部分的に提供される。いくつかの実施形態において、液体は試料自体であるか、または液体と混合された試料である。特定の実施形態において、毛細管力は、他の力とともに使用される。多くの場合、試料は液体中にあることが多く、表面張力は毛細管力を挿入するのに適する。いくつかの実施形態において、毛細管力が試料を変形させることに必要な力に等しい場合に、プレートによる試料の変形は自動的に停止することができる。
【0694】
特定の実施形態において、第1のプレートと第2のプレートとの間の圧力(内部圧力)をプレートの外側(外部圧力)から隔離し、次いで内部圧力を外部圧力よりも低くすることによって、圧縮力(これにより試料変形)が生成される。隔離は、真空密封又は他の装置を用いて行うことができる。
【0695】
いくつかの実施形態において、それは、上記方法の組み合わせである。
【0696】
段階的プレス 特定の実施形態において、プレートを閉鎖構成にする圧縮力は、「段階的プレス」という過程において加えられ、それは、まずプレートの1つの位置にプレス(すなわち、圧力を加える)を加え、その後に試料の他の位置に段階的に加えることを含む。段階的プレスのいくつかの実施形態において、ある位置で試料を所望の厚さに変形させた後に、該位置の圧縮力(試料自体の毛管力を除く)は、(i)プレス及び試料変形の全体プロセスにおいて維持され、(ii)他の位置にプレスされる間に除去されるか、或いは(iii)(i)のプレートのある部分に使用され、(ii)の試料のある部分に使用される。
【0697】
段階的プレスの1つの実施形態において、ローラを使用して、第1のプレート及び第2のプレート(試料がプレートの間に位置し、プレートがわずかに可撓性である)を別のローラ又は平坦な表面に対してプレスする。
【0698】
別の実施形態において、人の指は、プレート(したがって試料)をプレスするためのツールである。プレスは、人の手の一部が人体の他の部分(人の手の他の部分を含む)と接触するか又は人の手が物体(例えば、テーブル面)と接触することである。1つの実施形態において、プレスは、試料のある位置から開始しかつ試料の他の位置に徐々に移動する。
【0699】
段階的プレスの1つの実施形態において、プレスされた空気ジェットは、最初にプレート対の位置(例えば中心)(第1のプレートと第2のプレートの間にあり、そのうちの1つのプレートがわずかに可撓性である)に案内され、該圧縮力はプレート対の別の部分に徐々に拡張される。
【0700】
別の実施形態において、第1のプレートと第2のプレートの1つ又は2つは可撓性であり、かつ試料のある位置と接触し、その後に該位置の毛管力は、試料を変形させるようにプレート対を一緒に(互いに対して向かって)引っ張る。
【0701】
段階的プレスの利点は、小さい力で試料を変形させる(力が同じである場合、プレス面積が小さいほど圧力が大きくなるからである)ことを可能し、試料の移動(変形)、及び/又は試料中の気泡の減少に役立つことを含む。圧力が大きいほど、試料の変形は大きくなる。段階的プレスは、変形した試料の厚さ均一性を改善することができる。
【0702】
プレス装置 CROFにおける試料変形用の圧縮力を決定する装置は、様々な実装を有する。いくつかの実施形態において、人の手を用いて、例えば、人の指を用いてプレスする。特定の実施形態において、プレス装置は、人の手、機械的クリップ、機械プレス、機械的クランプ、機械的スライダ、機械的装置、電磁気装置、表面を転がるローラ、対向する2つのローラ、流体プレス、油圧装置、又はそれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限定されない。特定の実施形態において、加圧された液体(加圧空気を含む)を用いて第1のプレート及び/又は第2のプレートを直接又は間接的にプレスする。「直接」とは、加圧された液体を第1のプレート及び/又は第2のプレートに直接加えることを指し、「間接的」とは、第3の物体により加えることを指す。プレスの特定の実施形態は、プレス装置及び方法の上記実施形態の組み合わせを使用する。
【0703】
また、試料変形の特定の実施形態において、プレス及び試料変形は監視される。監視は、プレス及び試料変形を制御するために用いることができる。変形の監視は、機械的方法、電気的、光学的、化学的、磁気的、及びそれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限定されない。機械的方法は、機械的ゲージ、スペーサ(機械的ストッパ、以下に詳細に説明する)及び音波を含むが、これらに限定されない。
【0704】
CROFにおいて、間隔制御装置は、機械的プレス、機械的移動ステージ、人の指、プレートを互いに向かって引っ張る毛細管力を提供する液体、プレートに圧力を加える液体(空気を含む)、又はそれらの組み合わせを含む。
【0705】
特定の実施形態において、(並進及び/又は回転)機械的ステージは、試料変形及び試料厚さの制御に使用され、かつ監視システムとともに動作する。
【0706】
いくつかの実施形態において、圧縮力の少なくとも一部は、プレートを一緒に取り付けて閉鎖構成に形成するように構成されたプレス(プレートを閉鎖構成に変形させる装置)によって提供される。
【0707】
いくつかの実施形態において、人の手でプレートをプレスする。人は、検査される人又は検査を行う人、又は試料を採取する人であってもよい。
【0708】
いくつかの実施形態において、プレートのプレスは、毛管力を使用して2つのプレートを一緒に保持することである。毛管力は、1つ又は2つのプレートの内表面の少なくとも一部を親水性にすることにより生成される。プレートを閉鎖構成にプレスするための一部又は全部の力(毛管力を除く)を除去しても、適切な毛管力で、2つのプレートは、当初はプレートが閉鎖構成にある時と同じプレート間隔と同じ、関連のある体積の試料の厚さを保持することができる。
【0709】
いくつかの実施形態において、プレートの外表面に圧縮力を加えてプレートの内表面の間隔を減少させる装置は、プレートの外表面に適合する接触表面を含み、装置の接触表面は、プレートの外表面と接触する装置の表面であり、「プレートの外表面に適合する」とは、装置の表面が圧縮中に変形して、その形状がプレートの外表面の形状と一致することを指す。1つの例示的な実施形態において、圧縮装置は、人の指を指す。別の例示的な実施形態において、圧縮装置は、軟質プラスチック又はゴムで作られた接触面を有する。
【0710】
自己保持(圧縮力を除去した後に最終の試料厚さを維持すること) CROFをプレスするいくつかの実施形態において、閉鎖構成で試料が変形した後、一部の圧縮力は除去され、かつ試料は、圧縮力が存在する時と同じ最終の試料厚さを保持する。このような状況は、「自己保持」と呼ばれる。自己保持の1つの理由は、プレート対の外側から挿入された圧縮力を除去した後、プレートの内表面の間に依然として他の力、例えば、毛管力が存在して、プレート対を一緒に保持することである。毛管力は、プレート上の試料の湿潤特性に起因する。
【0711】
自己保持を有するために、プレートの表面の湿潤特性、試料とプレートとの全接触面積、閉鎖構成での最終の試料厚さ、又はそれらの組み合わせを制御する必要がある。
【0712】
自己保持を達成するためのいくつかの実施形態において、プレートの内表面の1つ又は2つは親水性である。すなわち、プレートの1つが親水性の内表面を有するか、又はプレートの2つが親水性の内表面を有するかのいずれかである。
【0713】
毛管力は、液体表面の曲率半径に依存し、曲率が小さいほど、毛細管力が高くなる。2つのプレート(すなわち、プレート対)の間に小さい間隔、したがって試料厚さを使用することにより、小さい曲率を達成することができる。いくつかの実施形態において、自己保持を達成するための最終試料厚さは、10nm以下、100nm以下、100nm以下、500nm以下、1μm(マイクロメートル)以下、2μm以下、3μm以下、5μm以下、10μm以下、20μm以下、50μm以下、70μm以下、100μm以下、150μm以下、300μm以下、500μm以下、700μm以下、1000μm以下、1200μm以下、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である。
【0714】
いくつかの実施形態において、自己保持用のプレートと接触する試料の面積は、最大10μm2、最大100μm2、最大200μm2、最大500μm2、最大1000μm2、最大2000μm2、最大5000μm2、最大8000μm2、最大0.01mm2、最大0.05mm2、最大0.1mm2、最大0.5mm2、最大1mm2、最大5mm2、最大10mm2、最大50mm2、最大100mm2、最大500mm2、最大1000mm2、最大2,000mm2、最大5,000mm2、最大10,000mm2、最大100,000mm2、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である。
【0715】
いくつかの実施形態において、自己保持をよりよくするために、プレートの内表面のうちの1つ又は2つの湿潤特性は変更される。
【0716】
HS.1 いくつかの実施形態において、CROFプロセスにおいて、装置を使用して圧縮力を挿入してプレートを閉鎖構成にし、閉鎖構成になると、装置による圧縮力は除去され、かつ試料厚さ及びプレートの内表面の間隔は、装置による圧縮力を除去する前にほぼ同じである。いくつかの実施形態において、前段落の方法は、プレート又はプレート間から信号を読み取るステップを含み、信号は、分析物、実体、標識、試料体積、物質(すなわち、化学物質)の濃度、又はそれらの任意の組み合わせに関連する信号を含むが、これらに限定されない。
【0717】
段落SH.1の方法では、装置は、人の手、機械的クリップ、機械プレス、機械的クランプ、機械的スライダ、機械的装置、電磁気装置、表面を転がるローラ、対向する2つのローラ、流体プレス、油圧装置又はそれらの任意の組み合わせである。
【0718】
段落SH.1の方法において、いくつかの実施形態において、「試料の厚さ及びプレートの内表面間隔は、装置による圧縮力を除去する前とほぼ同じである」は、圧縮力除去前後の試料厚さとプレート内表面間隔の相対差が0.001%以下、0.01%以下、0.1%以下、0.5%以下、1%以下、2%以下、5%以下、8%以下、10%以下、15%以下、20%以下、30%以下、40%以下、50%以下、60%以下、70%以下、80%以下、90%以下、99.9%以下であるか、又はこれらの任意の数値の間に範囲であることを指す。
【0719】
段落SH.1の方法では、いくつかの実施形態において、装置による圧縮力を除去した後の試料厚さとプレート内表面間隔が予め定められ、予め定められることは、所定の圧縮条件で圧縮力を加える前に、圧縮力を除去した後の厚さ及び間隔が既知であることを指す。
【0720】
H1. 関連のある体積の試料の厚さを減少させかつ該減少された厚さを保持するための方法であって、
(a)関連のある体積の厚さが減少される試料を取得するステップ、
(b)異なる構成になるように互いに対して移動可能な2つのプレートを取得するステップであって、前記プレートの1つ又は2つは、所定のスペーサ間の距離及び高さを有し、それぞれのプレートに固定されたスペーサを含む、ステップ、
(c)プレートが開放構成で構成されている時に、前記プレートの1つ又は2つに試料を付着させるステップであって、開放構成は、2つのプレートが部分的又は完全に離れておりかつプレート間の間隔がスペーサにより調節されない、構成である、ステップ、
(d)(c)の後、プレートを閉鎖構成にするプレス装置を使用して前記試料を広げるステップであって、閉鎖構成では、プレートが互いに対向し、スペーサ及び関連のある体積の試料がプレートの間に位置し、関連のある体積の試料の厚さがプレート及びスペーサにより調節され、プレートの開放構成では、該厚さが試料の最も大きい厚さより薄く、少なくとも1つのスペーサが試料内に位置する、ステップ、並びに
(e)(d)の後、装置を解放し、プレス装置を解放した後、プレート間の間隔は、装置を適用する時と同じか又はほぼ同じであるように保持する、ステップ
を含み、
前記関連のある体積は、試料の全体積の少なくとも一部である、方法。
【0721】
段落H1の方法において、プレート間の間隔とほぼ同じである割合は、最大1%、最大2%、最大5%、最大10%、最大20%、最大50%、最大60%、最大70%、最大80%、最大90%、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である。
【0722】
例えば、CROFにおいて、人の手で2つのプレートを閉鎖位置まで圧縮し、その後に手及び手による圧縮力を除去するが、最終の試料厚さは、依然として手による圧縮力が存在する時に同じである。
【0723】
22 他の組み合わせ
本発明において、本開示の各実施形態(すなわち、全てのセクション)は、(a)単独で使用すること、(b)他の実施形態と組み合わせること、(c)複数回使用すること、及び(d)(a)~(c)の任意の組み合わせにより使用することができる。
【0724】
本発明において開示された方法及び装置は、単独で又はそれらの任意の組み合わせで使用することができる。「QMAX」方法又は装置という用語は、本明細書に記載された実施形態の方法又は装置を指す。
【0725】
いくつかの実施形態において、具体的には、セクション1及びセクション2に開示された発明に対してQを使用し、セクション3及びセクション5に開示された発明に対してAを使用し、セクション4及びセクション5に開示された発明に対してXを使用し、セクション6に開示された発明に対してMを使用する。したがって、セクション1、2、3及び5に開示される発明の方法及び装置は、Q、X、A、M、QX、QA、QM、XA、XM、AM、QXA、QAM、XAM、及びQXAMの形態で使用することができる。
【0726】
a.第1のプレート表面は、既知の深さ及び体積の少なくとも1つのウェルを有し、該ウェルの底面は、試料中の標的実体を固定化することができる1つ以上の結合部位を有する、第1のプレートを有すること、
b.前記試料は前記標的実体を含み、標的実体は試料内で移動可能であり、試料の形状が変形可能であり、試料はウェルの一部のみを被覆する(したがって、ウェル深さよりも大きな厚さを有する)、ウェル体積とほぼ同じ試料をウェル内に付着させること、
c.カバープレートを有すること、
d.第1のプレートとカバープレートを互いに向かい合わせることにより、試料は第1のプレートと第2のプレートの内表面の間にあること、
e.第1のプレートと第2のプレートの内表面間の間隔を減少させることにより試料の厚さを減少させること、並びに
f.減少した試料厚さで試料を一定の時間でインキュベートすることを含むこと
を含む、表面固定化アッセイへのQ、X、A、及びMの適用のいくつかの実施形態。
【0727】
これらの方法の1つの変動は、1つ以上の上記ステップを96ウェルプレート又は他のプレートに適用することである。
【0728】
本発明のセクション1、2、3、5に開示された方法及び装置は、単独で又はそれらの任意の組み合わせで使用することができる。具体的には、セクション1及びセクション2に開示された発明に対してQを使用し、セクション3及びセクション5に開示された発明に対してAを使用し、セクション4及びセクション5に開示された発明に対してXを使用し、セクション6に開示された発明に対してMを使用する。したがって、セクション1、2、3及び5に開示される発明の方法及び装置は、Q、X、A、M、QX、QA、QM、XA、XM、AM、QXA、QAM、XAM、及びQXAMの形態で使用することができる。
【0729】
a.第1のプレート表面は、既知の深さ及び体積の少なくとも1つのウェルを有し、該ウェルの底面は、試料中の標的実体を固定化することができる1つ以上の結合部位を有する、第1のプレートを有すること、
b.前記試料は前記標的実体を含み、標的実体は試料内で移動可能であり、試料の形状が変形可能であり、試料はウェルの一部のみを被覆する(したがって、ウェル深さよりも大きな厚さを有する)こと、
c.カバープレートを有する、ウェル体積とほぼ同じ試料をウェル内に付着させること、
d.第1のプレートとカバープレートを互いに向かい合わせることにより、試料は第1のプレートと第2のプレートの内表面の間にあること、
e.第1のプレートと第2のプレートの内表面間の間隔を減少させることにより試料の厚さを減少させること、並びに
f.減少した試料厚さで試料を一定の時間でインキュベートすることを含むこと
を含む、表面固定化アッセイへのQ、X、A、及びMの適用のいくつかの実施形態。
【0730】
これらの方法の1つの変動は、1つ以上の上記ステップを96ウェルプレート又は他のプレートに適用することである。
【0731】
前記方法、装置、及びシステムのいくつかの実施形態は、試料体積量(Q)、試薬添加(A)及び/又はアッセイ加速(X)(対応する頭字語QA、QX、AX、及びQAXと呼ばれる)の1つ以上の特徴を組み合わせる。Q、A、X、QA、QX、AX、及びQAXの方法及び装置のいくつかの実験的実証を以下に説明する。
【0732】
23 試薬
特に断らない限り、用語「試薬」とは、生物剤、生化学剤及び/又は化学薬品のうちの一種又は複数種を指す。例えば、試薬は、捕捉剤、検出剤、化学化合物、光標識、放射性標識、酵素、抗体、タンパク質、核酸、DNA、RNA、脂質、炭水化物、塩、金属、界面活性剤、溶媒又はそれらの任意の組み合わせを含むことができる。
【0733】
いくつかの実施形態において、プレート上の試薬は、液体、固体、分子蒸気、又はそれらの組み合わせの形態で存在してもよい。試薬の付着は、堆積、配置、印刷、スタンピング、液体分配、蒸発(熱蒸発、蒸気蒸発、ヒト呼吸)、化学気相成長、及び/又はスパッタリングを含むが、これらに限定されない。異なる試薬は、異なる位置に存在してもよい。試薬は、試薬の小さいドットで印刷されても及び/又は付着してもよい。
【0734】
いくつかの実施形態において、まず試薬を液体又は蒸気の形態でプレートに付着させ、その後にCROFプロセスの前に乾燥してプレート上の乾燥試薬にする。
【0735】
試薬放出時間の制御 A方法は、試薬放出時間(すなわち、試薬が試料中でどのくらい速く溶解するかを計測する時間)を制御するステップをさらに含む。試薬の試薬放出時間を制御するいくつかの実施形態は、試薬の頂部に試薬放出に影響する試料中への一種又は複数種の「放出制御材料」を混合するか又は塗布するステップを含む。いくつかの態様においては、放出制御材料は、別の試薬であってもよい。例えば、AとBの2種類の試薬を有し、試薬Aは、試薬Bの上面に塗布され、一定の条件下で、試薬Aは、試薬Bの前に試料中に溶解する。
【0736】
また、第1のプレート及び第2のプレートの表面特性を使用して試薬放出を制御することができる。1つの例は、表面の湿潤特性を制御することである。多くの試薬において、疎水性表面が試薬に十分に結合するため、試薬は試料中に放出されるか又は放出されず(試薬層の厚さに依存する)、親水性表面が試薬に不十分に結合するため、試薬は試料中に迅速に放出される。
【0737】
本発明で使用される試薬は、アッセイに必要な任意の適切な試薬、例えば、標識又は非標識抗体、標識又は非標識核酸、親和性部分を含有してもしなくてもよい酵素等であってもよい。いくつかの実施形態において、上記のように、貯蔵された試薬は、分析物の存在について血液又は他の液体試料を検査するために設計されたアッセイ成分であってもよい。例えば、塩化物イオンは、以下の方法のいずれかによって計測することができ、かつこれらのアッセイ成分は貯蔵部位に存在することができる。比色法:塩化物イオンはチオシアン酸水銀からチオシアネートを置換する。遊離チオシアネートは、第二鉄イオンと反応して、測光法で計測された着色複合体-チオシアン酸第二鉄を形成する。電量測定法:銀電極間に一定の直流電流が流れることにより、塩化物イオンと反応して塩化銀を形成する銀イオンを生成する。全ての塩化物イオンが銀イオンと結合した後、遊離銀イオンは蓄積し、電極間の電流は増加し、反応の終点を示す。水銀法:塩化物イオンを水銀イオンの標準溶液で滴定し、HgCl2可溶性錯体を形成する。過剰の水銀イオンが指示色素のジフェニルカルバゾンに結合して青色を形成する時に、反応の終点は、比色的に検出される。同様に、マグネシウムと反応すると赤紫色に変色するカルマジトを使用して、マグネシウムを測色的に計測することができ、ホルマザン色素検査により、マグネシウムと反応するか、又はマグネシウムに結合して青色の錯体を形成するメチルチモールブルーを使用する時に、600nmで発光する。同様に、O-クレゾールフタレイン複合体とカルシウムが反応すると紫色を呈するO-クレゾールフタレインを使用して、比色法でカルシウムを検出することができる。同様に、ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ(PEPC)によって触媒される反応において炭酸水素イオン(HCO3-)及びホスホエノールピルビン酸(PEP)がオキサロ酢酸及びリン酸に変換されるため、炭酸水素イオンを二色性で検査することができる。リンゴ酸デヒドロゲナーゼ(MD)は、還元ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)の付随した酸化を伴い、オキサロ酢酸のリンゴ酸への還元を触媒する。このNADHの酸化は、試料の炭酸水素イオンに比例して、380/410nmで二色性で計測した反応混合物の吸光度の減少をもたらす。血中尿素窒素は、ジアセチル又はフェアロンが尿素を含む黄色の色原体を生成し、かつ測光法又は尿素をアンモニア及び炭酸に変換する酵素ウレアーゼの複数回使用により定量することができるという比色試験で検出することができ、それは、例えばi)アンモニアがα-ケトグルタル酸と反応する時に340nmでの吸光度を減少させ、ii)尿素が加水分解される溶液の伝導率の増加率を計測することによりアッセイすることができる。同様に、クレアチニンは、試料をアルカリ性ピクリン酸塩溶液で処理して赤色錯体を得ることによって比色分析で計測することができる。さらに、クレアチンは、クレアチニンがクレアチニンイミノヒドロラーゼによって加水分解されるときに生成されたアンモニアを計測する非Jaffe反応を用いて計測することができる。グルコースは、濃度を推定するために血液を一定量のグルコースオキシダーゼに一定の時間暴露するアッセイにおいて計測することができる。特定の時間後に、余分な血液を除去し、かつ発色することを可能して、それによりグルコース濃度を推定することができる。例えば、グルコースオキシダーゼとグルコースは反応して新生酸素を形成し、それはヨウ化カリウムを(濾紙中)ヨウ素に変換して茶色を生じる。グリコシル化ヘモグロビンの濃度は、血液中のグルコースレベルの間接的な読み値とする。赤血球の溶血にクロマトグラフ分析を行うとき、ヘモグロビンA1a、A1b、及びA1cと名付けられた3つ以上の小さなピークは、主要ヘモグロビンAピークの前に溶出される。これらの「迅速」ヘモグロビンは、二段階反応におけるグルコースとヘモグロビンとの不可逆的結合によって形成される。ヘキソキナーゼは、グルコースがヘキソキナーゼ(HK)によりアデノシン三リン酸(ATP)及びマグネシウムイオンの存在下でリン酸化されて、グルコース-6-リン酸及びアデノシン二リン酸(ADP)を生成するアッセイにおいて計測することができる。グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ(G6P-DH)は、グルコース-6-リン酸をグルコン酸-6-リン酸に特異的に酸化し、同時にNAD+をNADHに還元する。340nmでの吸光度の増加は、試料中のグルコース濃度に比例する。HDL、LDL、トリグリセリドは、加水分解及びコレステロールの抽出後に、620nmでのLiebermann-Burchard試薬(無水酢酸、氷酢酸及び濃硫酸の混合試薬)による発色を含むAbell-Kendall方法を用いて計測することができる。蛍光分析を使用してトリグリセリド基準値を決定することができる。ヘパリン-塩化マンガンにより全血漿(LDL及びVLDL)におけるアポタンパク質B含有リポタンパク質を沈殿した後、血漿総コレステロールと同じ手法で血漿高密度リポタンパク質コレステロール(HDL-C)を計測する。これらの化合物は、また、コレステロールエステル及び遊離コレステロールの両方を定量する酵素駆動反応に基づくアッセイにおいて比色検出を行うことができる。コレステロールエステルは、コレステロールエステラーゼを介してコレステロールに加水分解され、その後にコレステロールオキシダーゼによってコレスタ-4-エン-3-オンと過酸化水素に酸化される。その後に特異性の高い比色プローブで過酸化水素を検出する。西洋ワサビペルオキシダーゼは、1:1の比で結合されるプローブと過酸化水素との反応を触媒する。試料は、コレステロール標準の既知の濃度と比較することができる。
【0738】
試薬の乾燥 いくつかの実施形態において、試薬付着ステップ(c)の後、試料付着ステップ(d)の前に、A-方法は、ステップ(c)で付着した試薬の一部又は全部を乾燥するステップをさらに含む。
【0739】
試薬の位置 試薬は、1つ又は2つのプレートに適用及び/又は配置することができる。試薬は、プレート上の貯蔵部位(位置)に存在してもよく、各貯蔵部位は一種又は複数種の試薬を含む。異なる貯蔵部位は異なる試薬、同じ試薬又は一種又は複数種の一般的な試薬を含むことができる。
【0740】
添加された試薬の濃度を制御する。いくつかの実施形態において、前記方法は、貯蔵部位(すなわち、試薬を有する表面)上の試料の厚さを制御することにより、添加された試薬の濃度を制御するステップをさらに含むことができる。
【0741】
24 用途、試料、及びより多くの生化学的/化学的バイオマーカー
本発明の用途は、(a)感染症及び寄生虫疾患、傷害、心臓血管疾患、癌、精神障害、神経精神障害、及び器質性疾患、例えば肺疾患、腎疾患などの特定の疾患の段階と相関する化合物又は生体分子の検出、精製、及び定量、(b)水、土壌などの環境、又は組織、体液などの生体試料からのウイルス、真菌及び細菌などの微生物の検出、精製、及び定量化、(c)食品安全性又は国家安全保障に危険をもたらす有害廃棄物、炭疽菌などの化学物質又は生体試料の検出、定量化、(d)グルコース、血液酸素レベル、全血球数などの医学又は生理学的モニタにおける重要なパラメータの定量化、(e)細胞、ウイルス、体液などの生体試料からの特異的DNA又はRNAの検出及び定量化、(f)ゲノム解析のための染色体及びミトコンドリア中のDNA中の遺伝子配列の配列決定及び比較、あるいは(g)例えば、医薬品の合成又は精製中の反応生成物の検出を含むが、これらに限定されない。
【0742】
検出は、細胞、組織、体液、及び糞便などの様々な試料マトリックス中で実行することができる。対象となる体液は、羊水、房水、硝子体液、血液(例えば全血、分画血液、血漿、血清等)、母乳、脳脊髄液(CSF)、耳垢(耳あか)、乳糜、糜汁、内リンパ液、外リンパ液、糞便、胃酸、胃液、リンパ液、粘液(鼻汁及び粘液質を含む)、心膜液、腹膜液、胸膜液、膿液、粘膜分泌物、唾液、皮脂(皮膚の油)、精液、喀痰、汗、滑液、涙液、嘔吐物、尿及び呼気凝縮液を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、試料はヒト体液を含む。いくつかの実施形態において、試料は、細胞、組織、体液、糞便、羊水、房水、硝子体液、血液、全血、分画血液、血漿、血清、母乳、脳脊髄液、耳垢、乳糜、糜汁、内リンパ液、外リンパ液、糞便、胃酸、胃液、リンパ液、粘液、鼻汁、粘液質、心膜液、腹膜液、胸膜液、膿液、粘膜分泌物、唾液、皮脂、精液、喀痰、汗、滑液、涙液、嘔吐物、尿及び呼気凝縮液のうちの少なくとも1種を含む。
【0743】
いくつかの実施形態において、試料は、生体試料、環境試料、生化学試料のうちの少なくとも1種である。
【0744】
用途、試料、及びより多くの生化学的/化学的バイオマーカー
本発明の装置、システム及び方法は、試料中の1つ以上の分析物の有無の決定及び/又は定量化が所望される様々な領域の異なる用途に使用される。例えば、本発明の方法は、タンパク質、ペプチド、核酸、合成化合物、無機化合物等の検出に使用される。上記様々な領域は、ヒト、獣医学、農業、食品、環境、薬物検査などを含むが、これらに限定されない。
【0745】
特定の実施形態において、本発明の方法は、試料中の核酸、タンパク質、又は他の生体分子の検出に使用される。方法は、試料中の1組のバイオマーカー、例えば2つ以上の別個のタンパク質又は核酸のバイオマーカーの検出を含むことができる。例えば、方法は、生体試料中の2種類以上の疾患バイオマーカーの迅速な臨床的検出、例えば被験者の疾患状態の診断、又は被験者の疾患状態の進行中の管理又は治療等に使用されてもよい。上記のように、医師又は他のヘルスケア提供者との通信は、医師又は他のヘルスケア提供者が可能性のある懸念を知りかつ認識することをより確保し、したがって適切な処置を取る可能性がより高くなり得る。
【0746】
CROF装置を使用する本発明の装置、システム、及び方法の適用は、(a)感染症及び寄生虫疾患、傷害、心臓血管疾患、癌、精神障害、神経精神障害、及び器質性疾患、例えば肺疾患、腎疾患などの特定の疾患の段階と相関する化合物又は生体分子の検出、精製及び定量、(b)水、土壌などの環境、又は組織、体液などの生体試料からのウイルス、真菌及び細菌などの微生物の検出、精製、及び定量化、(c)食品安全性又は国家安全保障に危険をもたらす有害廃棄物、炭疽菌などの化学物質又は生体試料の検出、定量化、(d)グルコース、血液酸素レベル、全血球数などの医学又は生理学的モニタにおける重要なパラメータの定量化、(e)細胞、ウイルス、体液などの生体試料からの特異的DNA又はRNAの検出及び定量化、(f)ゲノム解析のための染色体及びミトコンドリア中のDNA中の遺伝子配列の配列決定及び比較、あるいは(g)例えば、医薬品の合成又は精製中の反応生成物の検出を含むが、これらに限定されない。本発明の装置、システム、及び方法のいくつかの具体的な適用を以下により詳細に説明する。
【0747】
本発明の適用は、(a)感染症及び寄生虫疾患、傷害、心臓血管疾患、癌、精神障害、神経精神障害、及び器質性疾患、例えば肺疾患、腎疾患などの特定の疾患の段階と相関する化合物又は生体分子の検出、精製、及び定量、(b)水、土壌などの環境、又は組織、体液などの生体試料からのウイルス、真菌及び細菌などの微生物の検出、精製、及び定量化、(c)食品安全性又は国家安全保障に危険をもたらす有害廃棄物、炭疽菌などの化学物質又は生体試料の検出、定量化、(d)グルコース、血液酸素レベル、全血球数などの医学又は生理学的モニタにおける重要なパラメータの定量化、(e)細胞、ウイルス、体液などの生体試料からの特異的DNA又はRNAの検出及び定量化、(f)ゲノム解析のための染色体及びミトコンドリア中のDNA中の遺伝子配列の配列決定及び比較、あるいはは(g)例えば、医薬品の合成又は精製中の反応生成物の検出を含むが、これらに限定されない。
【0748】
検出は、細胞、組織、体液、及び糞便などの様々な試料マトリックス中で実行することができる。対象となる体液は、羊水、房水、硝子体液、血液(例えば全血、分画血液、血漿、血清等)、母乳、脳脊髄液(CSF)、耳垢(耳あか)、乳糜、糜汁、内リンパ液、外リンパ液、糞便、胃酸、胃液、リンパ液、粘液(鼻汁及び粘液質を含む)、心膜液、腹膜液、胸膜液、膿液、炎粘膜分泌物、唾液、皮脂(皮膚の油)、精液、喀痰、汗、滑液、涙液、嘔吐物、尿及び呼気凝縮液を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、試料はヒト体液を含む。いくつかの実施形態において、試料は、細胞、組織、体液、糞便、羊水、房水、硝子体液、血液、全血、分画血液、血漿、血清、母乳、脳脊髄液、耳垢、乳糜、糜汁、内リンパ液、外リンパ液、糞便、胃酸、胃液、リンパ液、粘液、鼻汁、粘液質、心膜液、腹膜液、胸膜液、膿液、粘膜分泌物、唾液、皮脂、精液、喀痰、汗、滑液、涙液、嘔吐物、尿及び呼気凝縮液のうちの少なくとも1種を含む。
【0749】
いくつかの実施形態において、試料は、生体試料、環境試料、生化学試料のうちの少なくとも1種である。
【0750】
本発明の装置、システム、及び方法の実施は、a)試料を得ることと、b)捕捉剤への試料中の分析物の結合に適する条件下で、標的分析物に結合した捕捉剤を含むCROF装置に試料を適用することと、c)CROF装置を洗浄することと、d)CROF装置を読み取ることにより、試料中の分析物の量の計測結果を得ることとを含む。いくつかの実施形態において、分析物は、バイオマーカー、環境マーカー又は食品マーカーであってもよい。ある例において試料は液体試料であり、診断試料(例えば、唾液、血清、血液、喀痰、尿、汗、涙液、精液又は粘液)、河川、海洋、湖、雨、雪、下水、汚水処理排水、農業排水、工業排水、水道水、又は飲料水等から得られた環境試料、あるいは水道水、飲料水、加工調理済食品、調理済食品、又は未加工食品等から得られた食品試料であってもよい。
【0751】
任意の実施形態において、CROF装置は、マイクロ流体デバイスに配置されてもよく、ステップb)の適用は、CROF装置を含むマイクロ流体デバイスへの試料の適用を含むことができる。
【0752】
任意の実施形態において、読み取りステップd)は、CROF装置からの蛍光シグナル又は発光シグナルの検出を含むことができる。
【0753】
任意の実施形態において、読み取りステップd)は、CROF装置を読み取るように構成されたハンドヘルドデバイスを使用して、CROF装置を読み取ることを含むことができる。ハンドヘルドデバイスは、スマートフォンのような携帯電話であってもよい。
【0754】
任意の実施形態において、CROF装置は、CROF装置上の分析物-捕捉剤複合体に結合可能な標識剤を含むことができる。
【0755】
任意の実施形態において、本発明の装置、システム、及び方法は、ステップc)及びd)の間に、CROF装置上の分析物-捕捉剤複合体に結合した標識剤をCROF装置に適用するステップ、及びCROF装置を洗浄するステップをさらに含むことができる。
【0756】
任意の実施形態において、読み取りステップd)は、CROF装置の識別子を読み取ることを含むことができる。識別子は、光学バーコード、無線周波数IDタグ、又はそれらの組み合わせであってもよい。
【0757】
任意の実施形態において、本発明の装置、システム及び方法は、分析物に結合する捕捉剤を含む対照CROF装置に、既知の検出可能な量の分析物を含む対照試料を適用することと、対照CROF装置を読み取ることにより、試料中の既知の検出可能な量の分析物の対照計測値を得ることとをさらに含む。
【0758】
任意の実施形態において、試料は、被験者から得られた診断試料であってもよく、分析物はバイオマーカーであってもよく、試料から計測した分析物の量は、病気又は病状を診断することができる。
【0759】
任意の実施形態において、本発明の装置、システム、及び方法は、バイオマーカーの計測量と、疾患又は病態を患うリスクがないか又は低い個体におけるバイオマーカーの測定値の範囲とを示すレポートを受信するか又は被験者に提供することをさらに含んでもよく、計測値の範囲に対するバイオマーカーの計測量は、疾患又は病態の診断である。
【0760】
任意の実施形態において、本発明の装置、システム、及び方法は、試料中のバイオマーカーの計測量を含む情報に基づいて被験者を診断することをさらに含む。場合によっては、診断ステップは、バイオマーカーの計測量を含むデータを遠隔地に送信し、遠隔地から計測量を含む情報に基づいて診断を受信することを含む。
【0761】
任意の実施形態において、バイオマーカーは、表B1、B2、B3、又はB7から選択されてもよい。いくつかの例において、バイオマーカーは、表B1、B2又はB3から選択されたタンパク質である。いくつかの例において、バイオマーカーは、表B2、B3又はB7から選択された核酸である。いくつかの例において、バイオマーカーは、表B2から選択された感染性因子由来のバイオマーカーである。いくつかの例において、バイオマーカーは、表B7から選択されたマイクロRNA(miRNA)である。
【0762】
任意の実施形態において、適用ステップb)は、試料からmiRNAを単離して、単離したmiRNA試料を生成し、かつ単離したmiRNA試料をディスク・カップルド・ドット・オン・ピラー・アンテナ(CROF装置)アレイに適用することを含む。
【0763】
任意の実施形態において、CROF装置は、表1、2、3、及び/又は7から選択されたバイオマーカーに結合する複数種の捕捉剤を含み、読み取りステップd)は、疾患又は病態を診断できる試料中の複数のバイオマーカーの計測量を得ることを含む。
【0764】
任意の実施形態において、捕捉剤は抗体エピトープであってもよく、バイオマーカーは該抗体エピトープに結合する抗体であってもよい。いくつかの実施形態において、抗体エピトープは、表B4、B5、又はB6から選択された生体分子又はその断片を含む。いくつかの実施形態において、抗体エピトープは、表5から選択されたアレルゲン又はその断片を含む。いくつかの実施形態において、抗体エピトープは、表6から選択された感染性因子由来の生体分子又はその断片を含む。
【0765】
任意の実施形態において、CROF装置は、表B4、B5、及び/又はB6から選択された複数の抗体エピトープを含み、読み取りステップd)は、疾患又は病態を診断できる試料中の複数のエピトープ結合抗体の計測量を得ることを含む。
【0766】
任意の実施形態において、試料は環境試料であってもよく、分析物は環境マーカーであってもよい。いくつかの実施形態において、環境マーカーは表B8から選択される。
【0767】
任意の実施形態において、前記方法は、試料が得られた環境に曝される被験者の安全性又は有害性を示すレポートを受信するか又は提供することを含む。
【0768】
任意の実施形態において、前記方法は、環境マーカーの計測量を含むデータを遠隔地に送信することと、試料が得られた環境に曝される被験者の安全性又は有害性を示すレポートを受信することとを含む。
【0769】
任意の実施形態において、CROF装置は、表B8から選択された環境マーカーに結合する複数種の捕捉剤を含み、読み取りステップd)は、試料中の複数の環境マーカーの計測量を得ることを含む。
【0770】
任意の実施形態において、試料は食品試料であってもよく、分析物は食品マーカーであってもよく、試料中の食品マーカーの量は消費のための食品の安全性と相関する。いくつかの実施形態において、食品マーカーは表B9から選択される。
【0771】
任意の実施形態において、前記方法は、試料が得られた食品を消費する被験者の安全性又は有害性を示すレポートを受信するか又は提供することを含む。
【0772】
任意の実施形態において、前記方法は、食品マーカーの計測量を含むデータを遠隔地に送信することと、試料が得られた食品を消費する被験者の安全性又は有害性を示すレポートを受信することとを含む。
【0773】
任意の実施形態において、CROF装置アレイは、表B9から選択された食品マーカーに結合する複数種の捕捉剤を含み、取得は、試料中の複数の食品マーカーの計測量を得ることを含み、試料中の複数の食品マーカーの計測量は消費のための食品の安全性と相関する。
【0774】
本明細書は、本発明の装置、システム及び方法を実施するためのキットをさらに提供する。
【0775】
任意の体積の試料をCROF装置に適用することができる。体積の例は、約10mL以下、5mL以下、3mL以下、1マイクロリットル(μL、ここで「uL」とも呼ばれる)以下、500μL以下、300μL以下、250μL以下、200μL以下、170μL以下、150μL以下、125μL以下、100μL以下、75μL以下、50μL以下、25μL以下、20μL以下、15μL以下、10μL以下、5μL以下、3μL以下、1μL以下、0.5μL以下、0.1μL以下、0.05μL以下、0.001μL以下、0.0005μL以下、0.0001μL以下、10pL以下、1pL以下、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲を含むが、これらに限定されない。
【0776】
好ましい実施形態において、CROF装置に適用される試料の体積及びそれらの変動値は、約100μL以下、75μL以下、50μL以下、25μL以下、20μL以下、15μL以下、10μL以下、5μL以下、3μL以下、1μL以下、0.5μL以下、0.1μL以下、0.05μL以下、0.001μL以下、0.0005μL以下、0.0001μL以下、10pL以下、1pL以下、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲を含むが、これらに限定されない。
【0777】
別の好ましい実施形態において、CROF装置に適用される試料の体積及びそれらの変動値は、約10μL以下、5μL以下、3μL以下、1μL以下、0.5μL以下、0.1μL以下、0.05μL以下、0.001μL以下、0.0005μL以下、0.0001μL以下、10pL以下、1pL以下、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲を含むが、これらに限定されない。
【0778】
試料の量は約1滴の試料であってもよい。試料の量は、刺された指又は指先から採取した量であってもよい。試料の量は、マイクロニードル又は静脈ドローから採取した量であってもよい。
【0779】
試料源から得た後、試料をさらに処理せずに使用してもよいか、或いは処理して、対象となる分析物の濃縮、大きな粒子状物質の除去、固体試料の溶解又は再懸濁等を達成してもよい。
【0780】
任意の適切な方法で試料をCROF装置に適用することができる。適切な方法は、ピペット、滴下器、注射器等を使用することを含む。特定の実施形態において、CROF装置がディップスティック形式の支持具に配置される場合、以下に説明するように、ディップスティックの試料受容領域を試料に浸漬することにより、試料をCROF装置に適用することができる。
【0781】
試料は一回で採取されてもよいか、或いは複数回で採取されてもよい。経時的に採取された試料は、(本明細書に記載されるように、CROF装置に適用し、かつ試料中の分析物の計測量を得ることにより)集約及び/又は個別に処理されてもよい。いくつかの例において、経時的に得られた計測結果は集約されてもよく、またスクリーニング、診断、治療、及び/又は疾患予防を促進するために、縦断的解析に経時的に使用されてもよい。
【0782】
上記のように、任意の便利な方法でCROF装置を洗浄して、結合していない試料成分を除去することができる。特定の実施形態において、結合緩衝液を使用してCROF装置の表面を洗浄して、結合していない試料成分を除去する。
【0783】
分析物の検出可能な標識は、任意の便利な方法で完了することができる。分析物は、直接的又は間接的に標識されてもよい。直接標識において、試料をCROF装置に適用する前に試料中の分析物を標識する。間接標識において、以下に説明するように、試料をCROF装置に適用した後、標識されない試料中の分析物を標識して、標識されない分析物を得る。
【0784】
データ処理
特定の実施形態において、本発明の装置は、CROF装置を読み取って取得されたデータを処理するように構成される。該装置は、本発明の方法におけるデータを処理するために、任意の適切な方式で構成されてもよい。特定の実施形態において、該装置は、データ格納及び/又はデータ処理用の命令の格納及び/又はデータベース格納用メモリ位置を有する。データは、任意の適切なフォーマットでメモリに格納することができる。
【0785】
特定の実施形態において、該装置は、データを処理するためのプロセッサを有する。特定の実施形態において、データを処理するための命令は、プロセッサに格納されてもよいか、或いは別個のメモリ位置に格納されてもよい。いくつかの実施形態において、該装置は、処理を実装するためのソフトウェアを含むことができる。
【0786】
特定の実施形態において、CROF装置から取得されたデータを処理するように構成された装置は、処理を実行するソフトウェア実装方法を含む。ソフトウェア実装方法は、画像取得アルゴリズム、画像処理アルゴリズム、ユーザと計算装置との間の相互作用を容易にし、データ収集、送信及び分析、通信プロトコルのための手段として機能するユーザインタフェース方法、及びデータ処理アルゴリズムのうちの1つ以上を含むことができる。特定の実施形態において、画像処理アルゴリズムは、粒子数、LUT(ルックアップテーブル)フィルタ、粒子フィルタ、パターン認識、形態学的決定、ヒストグラム、ラインプロファイル、地形表現、2進数換算、又はカラーマッチングプロファイルのうちの1つ以上を含む。
【0787】
特定の実施形態において、該装置は、表示ページが装置のメモリに常駐するソフトウェアによって解釈される時に、ビデオディスプレイ又はタッチスクリーンディスプレイで情報を表示するように構成される。本明細書で説明する表示ページは、例えば、ハイパーテキストマークアップ言語(「HTML」)、ダイナミックハイパーテキストマークアップ言語(「DHTML」)、拡張可能ハイパーテキストマークアップ言語(「XHTML」)、拡張可能マークアップ言語(「XML」)、又はユーザによって知覚可能な方法でビデオ又は他のディスプレイに表示可能なコンピュータファイルを作成するように使用されてもよい別のソフトウェア言語などの任意の適切なソフトウェア言語を使用して作成することができる。論理、コード、データ、命令を有する任意のコンピュータ可読媒体を使用して、任意のソフトウェア又はステップ又は方法を実施することができる。ネットワークがインターネットを含む場合、表示ページは、適切なタイプのウェブページを含むことができる。
【0788】
本発明に係る表示ページは、例えば、VBScriptルーチン、JScriptルーチン、JavaScriptルーチン、Javaアプレット、ActiveXコンポーネント、ASP.NET、AJAX、Flashアプレット、Silverlightアプレット、又はAIRルーチンのようなメモリ装置に格納されたソフトウェアプログラムを含む組み込み機能を含むことができる。
【0789】
表示ページは、例えば、フレーム、ウィンドウ、スクロールバー、ボタン、アイコン、及びハイパーリンクなどのグラフィカルユーザインタフェース技術の周知の特徴と、「クリック」インタフェース又はタッチスクリーンインタフェースのような周知の特徴とを含む。グラフィカルユーザインタフェースボタン、アイコン、メニューオプション、又はハイパーリンクをポイントしてクリックすることは、ボタン、オプション、又はハイパーリンクを「選択」することとしても知られている。本発明に係る表示ページは、マルチメディア機能、マルチタッチ、ピクセルセンス、IR LEDベースの表面、カメラの有無にかかわらず視覚に基づく相互作用を組み込むことができる。
【0790】
ユーザインタフェースは、ビデオディスプレイ及び/又は表示ページに表示されてもよい。ユーザインタフェースは、以下にさらに説明するように、試料に関する分析データに基づいて生成されたレポートを表示することができる。
【0791】
プロセッサは、任意の適切な方式で本発明の方法に使用されるデータを処理するように構成することができる。データは、例えば、ビニングされたデータ、変換されたデータ(例えば、フーリエ変換によって周波数領域に変換された時間領域データ)に処理されるか、又は他のデータと組み合わされて処理される。該処理は、データを所望の形式にすることができ、データのフォーマットを変更することを含むことができる。処理は、試料からのシグナルの検出、試料を検査するために使用された装置又は試薬に特有の数学的操作又は補正及び/又は較正に基づく生データの補正、濃度値などの値の計算、(ベースライン、閾値、標準曲線、履歴データ又は他のセンサからのデータなどとの)比較、検査が正確であるか否かの決定、(正常範囲又は許容範囲を上回るか又は下回るか、又は異常状態を示すなどの)異常値であるか又は懸念の原因となり得る値又は結果の強調表示、あるいは異常条件の存在を共に示すことができる結果の組み合わせ、カーブフィッティング、数学的又は他の分析的推論(演繹的、誘導的、ベイジアン、又は他の推論を含む)の基礎としてのデータの使用、及び他の適切な処理形式を含むことができる。特定の実施形態において、処理は、処理されたデータを装置に格納されたデータベースと比較して、被験者によって実行される一連の動作のための命令を検索することを含むことができる。
【0792】
特定の実施形態において、装置は、入力データをメモリに格納されたデータベースと比較することにより入力データを処理して、被験者によって実行される一連の動作のための命令を検索するように構成されてもよい。いくつかの実施形態において、データベースは、対象となる分析物の閾値を含む、格納された情報を含むことができる。閾値は、1つ以上の分析物の存在又は濃度を決定するために使用されてもよい。閾値は、アラートが有用である状況を検出するために使用されてもよい。データ格納ユニットは、試料に関するレポートの生成に有用な記録又は他の情報を含むことができる。
【0793】
特定の実施形態において、装置は、CROF装置からのデータを受信するように構成されてもよい。したがって、場合によっては、装置は、被験者によって提供された試料に関連しないが診断に関連するデータを受信するように構成されてもよい。これらのデータは、年齢、性別、身長、体重、個人、及び/又は家族の病歴などを含むが、それらに限定されない。特定の実施形態において、該装置は、CROF装置に適用された試料から導出されるか、又は該試料から独立するデータを処理するように構成される。
【0794】
ネットワーク
特定の実施形態において、装置は、ローカルエリアネットワーク(LAN)などのネットワーク、インターネットなどの広域ネットワーク(WAN)、パーソナルエリアネットワーク、電話ネットワークなどの電気通信ネットワーク、携帯電話ネットワーク、移動ネットワーク、無線ネットワーク、データ提供ネットワーク、又は任意の他の種類のネットワークを介して通信するように構成されてもよい。特定の実施形態において、装置は、ブルートゥース又はRTM技術などの無線技術を利用するように構成されてもよい。いくつかの実施形態において、装置は、モデムを使用するダイヤルアップ有線接続、TI、統合サービスデジタルネットワーク(ISDN)又はケーブル回線などの直接リンクのような様々な通信方法を利用するように構成されてもよい。いくつかの実施形態において、無線接続は、セルラー、サテライト、又はページャーネットワーク、(汎用パケット無線サービス)GPRS、又はLAN上のイーサネット又はトークンリングなどのローカルデータ転送システムのような例示的な無線ネットワークを使用することができる。いくつかの実施形態において、該装置は、赤外線通信コンポーネントを使用して無線通信することができる。
【0795】
特定の実施形態において、該装置は、ネットワークを介してサーバから送信され、メモリに記憶されたコンピュータファイルを受信するように構成される。装置は、装置の永続的なメモリ又は一時的なメモリに記憶される命令、ロジック、データ、又はコードを含むことができる有形のコンピュータ可読媒体を受信してもよいか、又は装置により動作に影響を及ぼすか、又は動作を開始してもよい。1つ以上の装置は、他のコンピュータファイルへのアクセスを提供できるコンピュータファイル又はリンクと通信することができる。
【0796】
いくつかの実施形態において、装置は、パーソナルコンピュータ、サーバ、ラップトップコンピュータ、モバイル装置、タブレット、携帯電話、移動電話、衛星電話、スマートフォン(例えば、iPhone、Android、Blackberry、Palm、Symbian、Windows)、パーソナルデジタルアシスタント、ブルートゥース装置、ページャ、固定電話、又は他のネットワーク装置である。このような装置は、通信可能な装置であってもよい。本明細書で使用される「携帯電話」という用語は、セルラネットワークで動作することができる電話ハンドセット、セッション開始プロトコル(SIP)のようなボイスオーバーIP(VoIP)ネットワーク、又は802.11xプロトコルを使用する無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)、又はそれらの任意の組み合わせを指す。特定の実施形態において、該装置は、消費者の財布及び/又はポケット(例えば、ポケットサイズ)に適合することができるように、手持ち式及びコンパクトである。
【0797】
マイクロ流体チャネル
特定の実施形態において、CROF装置は、一体化されたマイクロ流体プラットフォーム又はマイクロ流体装置である。マイクロ流体装置は、試料を受け入れ、CROF装置を用いて試料中の分析物を検出し、リザーバ内の廃棄物を収集するための異なる領域を有するように構成される。したがって、特定の実施形態において、上記のように、マイクロ流体チャネルプラットフォームは、マイクロ流体装置の試料受け入れ領域に適用された試料を、分析物を検出するように構成されたCROF装置に案内する流体ハンドリング構成要素を含むことができる。流体ハンドリング構成要素は、1つ以上の流体をマイクロ流体装置に案内するように構成されてもよい。いくつかの例において、流体ハンドリング構成要素は、試料溶液、緩衝液などの流体を案内するように構成されるが、それらに限定されない。流体ハンドリング構成要素は、パッシブポンプ及びマイクロ流体チャネルを含むが、これらに限定されない。場合によっては、パッシブポンプは、本明細書で開示されるマイクロ流体装置を通じた毛管作用駆動のマイクロ流体ハンドリング及び流体ルーティングのために構成される。特定の例において、マイクロ流体流体ハンドリング構成要素は、例えば100μL以下、50μL以下、又は25μL以下、又は10μL以下、又は5μL以下、又は1μL以下を含む500μL以下、1mL以下などの少量の流体を送達するように構成される。したがって、特定の実施形態において、マイクロ流体装置を操作し、本発明の装置、システム及び方法を実行するために外部電源は必要とされない。
【0798】
特定の実施形態において、マイクロ流体装置は、50mm×50mm以下、例えば25mm×25mm以下、又は10mm×10mm以下の寸法を含む5mm×5mm~100mm×100mmの範囲内の寸法を有する。特定の実施形態において、マイクロ流体装置は、2mm~0.3mm、又は1mm~0.4mmを含む5mm~0.1mm、例えば3mm~0.2mmの範囲内の厚さを有する。
【0799】
特定の実施形態において、CROF装置は、容器、例えばマルチウェルプレートのウェル内に配置される。CROF装置は、また、マルチウェルプレートのウェルの底部又は壁に一体化されてもよい。
【0800】
いくつかの実施形態において、マイクロ流体装置又はマルチウェルプレートのようなCROF装置を含むサポートは、サポートに含まれるCROF装置の識別子を有することができる。識別子は、マイクロ流体装置のようなサポートに形成された物理的オブジェクトであってもよい。場合によっては、上述したように、識別子は、携帯電話又はスマートフォンのようなハンドヘルド装置により読み取られてもよい。いくつかの実施形態において、カメラが識別子の画像を取り込み、該画像を分析してマイクロ流体装置に含まれるCROF装置を識別することができる。1つの例において、識別子はバーコードであってもよい。バーコードは、1D又は2Dバーコードであってもよい。いくつかの実施形態ニオ、識別子は、信号増強検出器を識別できる1つ以上の信号を発することができる。例えば、識別子は、CROF装置の識別情報を示すことができる赤外線、超音波、光、音声、電気又は他の信号を提供することができる。識別子は、無線周波数識別(RFID)タグを利用することができる。
【0801】
識別子は、マイクロ流体装置又はマルチウェルプレートに存在するCROF装置の特定のタイプの決定を可能にする情報を含むことができる。特定の実施形態において、識別子は、各識別子キーをマイクロ流体装置又はマルチウェルプレートに存在するCROF装置のタイプの固有情報に関連付けるキーをデータベースに提供する。CROF装置のタイプに固有の情報は、CROF装置が検出するように構成された分析物の識別、特定の分析物がCROF装置に結合することができる位置の座標、各分析物のための検出感度などを含むが、それらに限定されない。データベースは、有効期限、ロット番号などを含む特定のCROF装置に関連する他の情報を含むことができる。データベースは、ハンドヘルド装置に存在し、コンピュータ可読媒体に提供されてもよいか、又はハンドヘルド装置によってアクセス可能な遠隔サーバにあってもよい。
【0802】
本発明の方法のさらなる態様は、分析物の計測量及び分析物が取得された供給源に関連する他の情報を示すレポートを提供又は受信することを含み、例えば、診断試料の診断又は健康状態、環境試料の曝露リスク、食品試料の健康リスクなどが挙げられる。レポートは、装置の画面に表示されたレポートを見ること、被験者に送信された電子メール又はテキストメッセージを見ること、装置により生成された音声メッセージを聞くこと、装置により生成された振動を感知することなどを含む任意の便利な形式で提供され、受信されてもよいが、それらに限定されない。
【0803】
前記レポートは、分析物が取得された供給源に関連する任意の適切な情報を含んでもよい。いくつかの例において、レポートは、光の強度、波長、偏光を含む光データ、並びに、光に関する他のデータ、例えば、吸光度データ、透過率データ、濁度データ、光度データ、波長データ(1つ、2つ、又はそれ以上の波長又はある範囲の波長における強度を含む)、反射率データ、屈折率データ、複屈折データ、偏光及び他の光データを含む光電子増倍管、フォトダイオード、電荷結合装置、光度計、分光光度計、カメラ、及び他の光検出構成要素と装置のような、光検出器からの出力;画像データ、例えば、デジタルカメラからのデータ;データを取得するために使用されるCROF装置に関連する識別子情報;上記のように処理されたデータなどを含んでもよい。該レポートは、試料の定性的又は定量的な態様を表すことができる。
【0804】
特定の態様において、レポートは被験者に、分析物の有無、分析物の濃度、分析物の存在又はレベルに関連することが知られている二次的な病状の有無、分析物の存在又はレベルに関連することが知られている二次的な病状の確率又は可能性、分析物の存在又はレベルに関連することが知られている二次的な病状を発症する可能性、分析物の存在又はレベルに関連することが知られている二次的な病状を発症する可能性の変化、分析物の存在又はレベルに関連することが知られている二次的な病状の進行などを示すことができる。分析物の存在又はレベルに関連することが知られている二次的な病状は、診断試料の疾患又は健康状態、環境試料の毒性又は他の有害な環境、食品試料の腐敗又は汚染などを含んでもよい。特定の実施形態において、レポートは、ユーザが措置を講じるように促すか又は推薦する指示を含み、措置を講じることは、例えば、医学的援助を求め、投薬し、動きを止め、動きを開始する等である。該レポートはアラートを含んでもよい。アラートの1つの例は、装置にエラーが検出されるか否か、又は分析物濃度が所定の閾値を超えるか否かである。レポートの内容は、テキスト、グラフ、グラフィックス、アニメーション、音響、音声、及び振動を含む、任意の適切な形式で表される。
【0805】
特定の実施形態において、レポートは、本発明の装置、例えば、携帯電話のユーザにアクションアドバイスを提供する。このアドバイスは、1つ以上のデータセットとともに、装置(例えば、検出器+携帯電話)による検査データにしたがって与えられ、モバイル装置に予めロードされた日付、アクセス可能な記憶装置のデータを含むが、それらに限定されず、記憶装置は、ローカルで利用可能であるか、又は遠隔アクセス可能である。
【0806】
特定の実施形態において、スキームに、上記のアドバイスの各々は、携帯電話のディスプレイに独自の色を有する。
【0807】
特定の実施形態において、本発明の装置、システム、及び方法は、分析物の計測量を含むデータを遠隔地に送信し、遠隔地から、例えば診断、安全情報などの分析を受信することを含む。上述したように、遠隔地にデータを送信することは、任意の便利な方法により達成することができる。このような送信は、電子信号、無線周波数信号、光信号、セルラー信号、或いは有線又は無線接続を介して送信された他の任意のタイプの信号を介して行われてもよい。任意のデータの送信、電子データの説明、本明細書の他の場所に記載された送信は、電子信号、無線周波数信号、光信号、セルラー信号、或いは有線又は無線接続を介して送信された他の任意のタイプの信号を介して行われてもよい。送信されたデータは、CROF装置から取得されたデータ及び/又は処理されたデータ及び/又は生成されたレポートを含むことができる。送信されたデータは、さらに、CROF装置から取得されないデータ、すなわち、被験者から取得された試料の一態様を直接的に表さないが、上述のように試料が取得された被験者の他の態様を表すデータを含むことができる。
【0808】
本開示のさらなる態様は、それぞれが試料中の複数の分析物に結合する複数の捕捉剤を含むCROF装置、すなわち多重化CROF装置を含む。そのような場合、複数の捕捉剤を含むCROF装置は、異なるタイプの分析物(タンパク質、核酸、抗体など)を検出するように構成される。異なる分析物は、アレイ内の位置、異なる分析物に結合する検出可能な標識の発光波長、又は上記の組み合わせに基づいて、アレイで互いに区別することができる。
【0809】
特定の実施形態において、本発明の装置、システム、及び方法は、分析物に結合する捕捉剤を含む対照CROF装置に、既知の検出可能な量の分析物を含む対照試料を適用することと、対照CROF装置を読み取ることにより、試料中の既知の検出可能な量の分析物の対照計測値を得ることとを含む。特定の実施形態において、CROF装置がマイクロ流体装置内に存在するとき、対照CROF装置は、検査試料が適用されたCROF装置と同じ装置内に存在してもよい。特定の実施形態において、対照試料から取得された対照計測結果を用いて、検査試料中の分析物の絶対量を取得することができる。特定の実施形態において、対照試料から取得された対照計測結果を用いて、検査試料中の分析物の標準化相対量を取得することができる。
【0810】
有用性
本発明の方法は、試料中の1つ以上の分析物の有無の決定及び/又は定量化が所望される様々な異なる用途に使用される。例えば、本発明の方法は、タンパク質、ペプチド、核酸、合成化合物、無機化合物等の検出に使用される。
【0811】
特定の実施形態において、本発明の方法は、試料中の核酸、タンパク質、又は他の生体分子の検出に使用される。方法は、試料中の1組のバイオマーカー、例えば2つ以上の別個のタンパク質又は核酸のバイオマーカーの検出を含むことができる。例えば、方法は、生体試料中の2種類以上の疾患バイオマーカーの迅速な臨床的検出に使用されてもよく、例えば被験者の疾患状態の診断に、又は被験者の疾患状態の進行中の管理もしくは治療等に使用されてもよい。上記のように、医師又は他のヘルスケア提供者との通信は、医師又は他のヘルスケア提供者が可能性のある懸念を知りかつ認識することをより確保し、したがって適切な処置を取る可能性がより高くなり得る。
【0812】
CROF装置を用いる本発明の装置、システム、及び方法の適用は、(a)感染症及び寄生虫疾患、傷害、心臓血管疾患、癌、精神障害、神経精神障害、及び器質性疾患、例えば肺疾患、腎疾患などの特定の疾患の段階と相関する化合物又は生体分子の検出、精製及び定量、(b)水、土壌などの環境、又は組織、体液などの生体試料からのウイルス、真菌及び細菌などの微生物の検出、精製及び定量化、(c)食品安全性又は国家安全保障に危険をもたらす有害廃棄物、炭疽菌などの化学物質又は生体試料の検出、定量化、(d)グルコース、血液酸素レベル、全血球数などの医学又は生理学的モニタにおける重要なパラメータの定量化、(e)細胞、ウイルス、体液などの生体試料からの特異的DNA又はRNAの検出及び定量化、(f)ゲノム解析のための染色体及びミトコンドリア中のDNA中の遺伝子配列の配列決定及び比較、又は(g)例えば、医薬品の合成又は精製中の反応生成物の検出を含むが、これらに限定されない。本発明の装置、システム及び方法のいくつかの具体的な適用を以下により詳細に説明する。
【0813】
診断方法
特定の実施形態において、本発明の方法は、バイオマーカーの検出に用いられる。いくつかの実施形態において、本発明におけるCROFを使用する装置、システム及び方法は、特定のバイオマーカーの有無、ならびに血液、血漿、血清、又は、限定されないが、尿、血液、血清、血漿、唾液、精液、前立腺液、乳頭吸引液、涙液、汗、糞便、頬のスワブ、脳脊髄液、細胞溶解物試料、羊水、胃腸液、生検組織などの他の体液又は排泄物中の特定のバイオマーカーの濃度の増加又は減少を検出することに用いられてもよい。このため、試料、例えば診断試料は、異なる種類の液状又は固体の試料を含んでもよい。
【0814】
いくつかの例において、試料は診断される被験者からの体液試料であってもよい。いくつかの例において、固体又は半固体の試料を提供してもよい。これらの試料は被験者から採取される組織及び/又は細胞を含んでもよい。試料は生物学的試料であってもよい。生物学的試料の例は、血液、血清、血漿、鼻腔スワブ、鼻咽頭洗浄液、唾液、尿、胃液、脊髄液、涙、便、粘液、汗、耳あか、油、腺分泌物、脳脊髄液、組織、精液、膣液、腫瘍組織由来の間質液、眼液、脊髄液、咽頭スワブ、呼気、髪、指の爪、皮膚、生検、胎盤液、羊水、臍帯血、リンパ液、腔液、痰、膿、微生物叢、胎便、母乳、呼気凝縮液、及び/又は他の排泄物を含むことができるが、それらに限定されない。試料は鼻咽頭洗浄液を含んでもよい。鼻スワブ、咽頭スワブ、大便試料、髪、指の爪、耳あか、呼気、及び他の固体、半固体、又は液体試料は例えば一定又は可変の時間量で分析前に抽出緩衝液中に処理してもよい。場合によっては、抽出緩衝液又はその等分試料は次に他の液体試料做と同様に処理されてもよい。被験者の組織試料の例は、結締組織、筋肉組織、神経組織、上皮組織、軟骨、癌性試料で又は骨を含むが、それらに限定されることはない。
【0815】
いくつかの例において、診断試料が取得される被験者は健康な個体であってもよいか、又は少なくとも病気又は健康状況を有すると疑われる個体であってもよい。いくつかの例において、被験者は患者であってもよい。
【0816】
特定の実施形態において、CROF装置は被験者の提供する試料内のバイオマーカーに特異的に結合するように構成される捕捉剤を含む。特定の実施形態において、バイオマーカーはタンパク質であってもよい。特定の実施形態において、バイオマーカータンパクはCROF装置内に存在する抗体捕捉剤により特異的に結合される。特定の実施形態において、バイオマーカーはCROF装置内に存在する抗原捕捉剤により特異的に結合される抗体である。特定の実施形態において、バイオマーカーは核酸捕捉剤により特異的に結合される核酸であるか、該核酸捕捉剤は二本鎖核酸バイオマーカーの一本又は両方に相補的であるか、又は一本鎖バイオマーカーに相補的である。特定の実施形態において、バイオマーカーは核酸結合タンパク質により特異的に結合される核酸である。特定の実施形態において、バイオマーカータンパク質はアプタマーにより特異的に結合される。
【0817】
バイオマーカーの有無又はバイオマーカー濃度の顕著変化は病気リスク、個体における病気の存在の診断、又は個体における病気の治療の調整に用いてもよい。例えば、特定のバイオマーカー又はバイオマーカーグループの存在は個体に与えられる薬剤治療又は投薬方式の選択に影響を及ぼす。潜在的な薬剤療法を評価する時に、バイオマーカーは例えば生存又は不可逆的な病気等の自然エンドポイントの代替物として用いることができる。治療が健康改善に直接的に関連するバイオマーカーを変更すれば、バイオマーカーは特定の治療又は投薬方式の臨床的利点を評価するための代替エンドポイントとして用いることができる。したがって、個体で検出された特定のバイオマーカー又はバイオマーカーのパネルに基づく個人化診断及び治療は、本発明の方法によって促進される。さらに、上述のように、疾患に関連するバイオマーカーの早期検出は、本発明における装置、システム、及び方法の高感度によって促進される。感度、スケーラビリティ及び使いやすさを組み合わせたスマートフォンなどの移動装置で複数のバイオマーカーを検出する機能のため、本開示の方法は、ポータブル及びポイントオブケア又はベッドサイドでの分子診断に用いられる。
【0818】
特定の実施形態において、本発明の方法は、疾患又は疾病状態についてのバイオマーカーの検出に用いられる。場合によっては、本発明の方法は、細胞信号伝達経路の特徴付け及び薬物発見とワクチン開発のための細胞内通信のためのバイオマーカーの検出に用いられる。例えば、本発明の方法は、病的な、健康な、又は良性の試料中のバイオマーカーの量を検出及び/又は定量化することに用いられてもよい。特定の実施形態において、本発明の方法は伝染病又は疾病状態のバイオマーカーの検出に用いられる。場合によっては、バイオマーカーは分子バイオマーカーであってもよく、タンパク質、核酸、炭水化物、小分子等が挙げられるが、これらに限定されることはない。
【0819】
本発明の方法は、以下に限定されないが、上記のようなバイオマーカーの検出及び/又は定量化、無症候性被験者について一定間隔で試料を試験するスクリーニングアッセイ、バイオマーカーの存在及び/又は量を用いて可能性のある疾患経過を予測する予後アッセイ、異なる薬物治療に対する被験者の応答を予測することができる層別アッセイ、薬物治療の有効性が監視される有効性アッセイなどの診断アッセイに用いられる。
【0820】
いくつかの実施形態において、被験者のバイオセンサは、試料中の病原体から標的核酸を検出することによって病原体感染を診断するために用いることができる。標的核酸は、例えば、ヒト免疫不全ウイルス1及び2(HIV-1及びHIV-2)、ヒトT細胞白血病ウイルス及び2(HTLV-1及びHTLV-2)、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、アデノウイルス、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、エプスタイン-バーウイルス(EBV)、ヒトパピローマウイルス(HPV)、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)、サイトメガロウイルス(CMV)、単純ヘルペスウイルス1及び2(HSV-1及びHSV-2)、ヒトヘルペスウイルス8(HHV-8、カポジ肉腫ヘルペスウイルスとしても知られる)、並びに黄熱病ウイルス、日本脳炎ウイルス、西ナイルウイルス、及びエボラウイルスを含むフラビウイルスから成る群から選択されるウイルス由来であってもよい。しかし、本発明は、核酸、例えば、DNAもしくはRNA、上記ウイルスの配列の検出に限定されず、かつ他の獣医学及び/又は人間医学における重要な病原体に問題なく適用することができる。
【0821】
DNA配列相同性により、ヒトパピローマウイルス(HPV)はさらに70種以上の異なる型に細分される。これらの型は様々な病気を引き起こす。1、2、3、4、7、10及び26~29型HPVは良性疣贅を引き起こす。5、8、9、12、14、15、17、19~25、及び46~50型HPVは免疫システムが低下している患者の病変を引き起こす。6、11、34、39、41~44、及び51~55型は生殖器領域粘膜及び気道粘膜の良性尖形疣贅を引き起こす。16及び18型HPVは、生殖粘膜の上皮異形成を引き起こし、かつ子宮頸部、膣、外陰部、及び肛門管の浸潤癌と高い割合で関連性を持っているため、医学的に特別な関心事である。ヒトパピローマウイルスDNAの組み込みは、子宮頸癌の発癌において決定的であると考えられている。ヒトパピローマウイルスは、例えばそのカプシドタンパク質L1及びL2のDNA配列から検出できる。したがって、本発明の方法は特に、癌の発生リスクを評価するために、組織試料中の16及び/又は18型HPVのDNA配列を検出することに適用する。
【0822】
本発明の装置、システム、及び方法を用いて診断試料から検出できる他の病原体は以下を含むが、それらに限定されない:水痘帯状疱疹、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)、大腸菌(Escherichia coli)、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(MSRA)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、スタフィロコッカス・ホミニス(Staphylococcus hominis)、糞便レンサ球菌(Enterococcus faecalis)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、スタフィロコッカス・カピティス(Staphylococcus capitis)、スタフィロコッカス・ワーネリ(Staphylococcus warneri)、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、スタフィロコッカス・シムランス(Staphylococcus simulans)、肺炎レンサ球菌(Streptococcus pneumoniae)及びカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、淋病(淋菌(Neisseria gorrhoeae))、梅毒(梅毒トレポネーマ(Treponena pallidum))、クラミジア(clamydia)(クラミジア・トラコマチス(Clamyda tracomitis))、非淋菌性尿道炎(ウレアプラズマ・ウレアリチカム(Ureaplasm urealyticum))、軟性下疳(デュクレー桿菌(Haemophilus ducrey))、トリコモナス症(膣トリコモナス(Trichomonas vaginalis))、緑膿菌、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MSRA)、クレブシエラ・ニューモニエ、インフルエンザ菌、黄色ブドウ球菌、ステノトロフォモナス・マルトフィリア(Stenotrophomonas maltophilia)、パラインフルエンザ菌(Haemophilis parainfluenzae)、大腸菌、糞便レンサ球菌、セラチア・マルセッセンス(Serratia marcescens)、ヘモフィルス‐パラヘモリチカス(Haemophilis parahaemolyticus)、エンテロコッカス・クロアカ(Enterococcus cloacae)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、モラクセラ・カタラーリス(Moraxiella catarrhalis)、肺炎レンサ球菌、シトロバクター‐フロインディ(Citrobacter freundii)、エンテロコッカス‐フェシウム(Enterococcus faecium)、クレブシエラ‐オキシトカ(Klebsella oxytoca)、シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorscens)、髄膜炎菌(Neiseria meningitidis)、化膿レンサ球菌(Streptococcus pyogenes)、ニューモシスチス・カリニ(Pneumocystis carinii)、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsella pneumoniae)、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)、肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae)、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)等、並びに表B2及びB6に列挙されているもの。
【0823】
場合によっては、CROF装置を用いて、低濃度で存在するバイオマーカーを検出することができる。例えば、CROF装置は、容易に得られる体液(例えば、血液、唾液、尿、涙など)中の癌抗原を検出し、容易に得られる体液(例えば、神経障害(例えば、アルツハイマー病の抗原)のバイオマーカー)における組織特異的疾患のバイオマーカーを検出し、感染(特に低力価の潜伏性ウイルス、例えばHIVの検出)を検出し、母体血液中の胎児抗原を検出するために、また例えば被験者の血流における外因性化合物(例えば、薬物又は汚染物質)の検出のために用いられてもよい。
【0824】
下表B1~B3は、本発明CROF装置(及び適切なモノクローナル抗体、核酸又は他の捕捉剤と組み合わせて使用される場合)を使用して検出できるバイオマーカー及びその関連病気のリストを提供する。バイオマーカーの潜在的供給源の1つ(例えば、「CSF」、脳脊髄液)も表に示されている。多くの場合に、本発明のバイオセンサは表示される異なる体液中のバイオマーカーを検出できる。例えば、脳脊髄液(CSF)中に見出されるバイオマーカーは尿中、血液中、又は唾液中において識別できる。本発明のCROF装置は病気又は健康状況診断に寄与する当該分野で公知のより多くのバイオマーカーの捕捉及び検出に用いることができるということは、当業者には明らかであろう。
【0825】
他に特定されない限り、バイオマーカーはタンパク質又は核酸(例えば、mRNA)バイオマーカーであってもよい。他に特定されない限り、診断は試料中のバイオマーカーのレベルの増加又は低減と関連してもよい。2015年9月29日に出願された米国仮特許出願第62/234,538号の表1及び表2にはバイオマーカー、前記バイオマーカーで診断できる病気、及びその中にバイオマーカーを検出できる試料のリストが説明され、該出願は参照文献として本明細書に組み込まれる。
【0826】
いくつかの例において、本発明の装置、システム、及び方法は試料供給源の被験者にその健康状況を通知することに用いられる。本発明の装置、システム、及び方法により診断又は計測される健康状況は、化学的バランス、栄養上の健康、運動、疲労、睡眠、ストレス、糖尿病前症、アレルギー、老化、環境有害物質、農薬、除草剤、合成ホルモン類似体への暴露、妊娠、閉経及び男性更年期を含むが、これらに限定されない。2015年9月29日に出願された米国仮特許出願第62/234,538号の表3は、本CROF装置(適切なモノクローン抗体、核酸、又は他の捕捉剤と組み合わせて使用される場合)を用いて検出され得るバイオマーカー及びその関連する健康状況のリストを提供し、該出願は参照文献として本明細書に組み込まれる。
【0827】
いくつかの例では、本発明の装置、システム、及び方法により検出され得るバイオマーカーは試料中の抗体であり、例えば、診断試料であり、それは試料が由来する被験者の疾患又は病態を診断することができる。抗体分析物を検出するためのCROF装置は、抗体エピトープを含んでもよく、抗体分析物は捕捉剤としてそれと特異的に結合される。場合によっては、疾患又は病態は、自己免疫疾患に関連し、その自体の抗体(自己抗体)に対して自己免疫反応を誘導する。いくつかの実施形態において、対象となる抗体分析物は、抗体IgA、IgM、IgE、IgD、又はIgG抗体である。いくつかの例では、標識剤は、抗体分析物の領域に特異的に結合された部分を含み、該抗体分析物は特定のタイプの抗体に対して特異性を有する。例えば、ペプチドM、SSL7又はジャカリン(Jacalin)を含む標識剤は、IgAに特異的に結合することができ、かつタンパク質Gを含む標識剤は、IgGに特異的に結合することができる。タンパク質Lは、すべてのタイプの抗体に結合するために用いられる。
【0828】
表B4は、自己抗体標的のリストを提供し、それは、全体的に又はエピトープ断片として本発明の装置、システム、及び方法における捕捉剤として用いられて、試料中のエピトープ結合抗体分析物の量を計測し、したがって、関連する疾患又は病態、例えば自己免疫疾患を診断することができる。場合によっては、疾患又は病態は、アレルゲンに対する免疫反応に関連する。表B5は、抗原的のリストを提供し、それは、全体的に又はエピトープ断片として本発明の装置、システム、及び方法における捕捉剤として用いられて、試料中のエピトープ結合抗体分析物の量を計測し、したがって、関連する疾患又は病態、例えばアレルギーを診断することができる。特定の例では、疾患又は病態は伝染病に関連し、病原菌は、病原菌(例えば、リポ多糖類、毒素、タンパク質等)に由来する1つ以上のエピトープに対する抗体の測定量を含む情報に基づいて診断され得る。表B6は、病原菌に由来するエピトープのリストを提供し、それは、全体的に又はエピトープ断片として本発明の装置、システム、及び方法における捕捉剤として用いられて、試料中のエピトープ結合抗体分析物の量を計測し、したがって、関連する疾患又は病態、例えば感染を診断することができる。本診断方法における使用に適している他のエピトープ又は抗原は、例えば、参照文献として本明細書に組み込まれるPCT出願WO 2013164476に記載されるとおりである。本発明のCROF装置が疾患又は病態の診断に寄与するより多くの抗体分析物を捕捉して検出するために用いられることは、当業者には明らかであろう。CROF装置を配置することにより、CROF装置に存在するエピトープは交差反応性ではなく、すなわち、CROF装置に存在する多くのエピトープと非特異的に結合した抗体により結合される。
【0829】
2015年9月29日に出願された米国仮特許出願第62/234,538号の表4-6は、本方法を用いて検出され得る典型的な自己抗体エピトープ、アレルゲンエピトープ、及び病原菌に由来するエピトープのリストを(それぞれ)説明し、該出願は参照文献として本明細書に組み込まれる。
【0830】
いくつかの例では、本発明の装置、システム及び方法により検出されるバイオマーカーはマイクロRNA(miRNA)バイオマーカーであり、それは疾患又は病態に関連する。下表B7は、本CROF装置(適切な相補的核酸又は他の捕捉剤と組み合わせて使用される場合)を用いて検出され得るmiRNAバイオマーカー及びその関連する疾患/病態のリストを提供する。2015年9月29日に出願された米国仮特許出願第62/234,538号の表7は、例示的なmiRNAバイオマーカー及び該miRNAを用いて診断可能な疾患のリストを説明し、該出願は参照文献として本明細書に組み込まれる。
【0831】
本発明の方法はさらに検証アッセイに用いられる。例えば、検証アッセイを用いて、潜在的な疾患バイオマーカーが多くの個体にわたる疾患の有無の確実な指標であることを検証すること又は確認することができる。本方法のアッセイ時間が短く、それにより最も短い時間で複数の試料をスクリーニングするためのスループットの増加を容易にすることができる。
【0832】
いくつかの例では、本方法は、実施用の実験室設定を必要とせずに使用することができる。同等の分析研究実験室装置と比較して、本方法は、ポータブルなハンドヘルドシステムにおいて比較可能な分析感度を提供する。いくつかの場合では、重量及び操作コストは、典型的な固定実験室装置りも低い。さらに、本方法は、医学的訓練を受けていない人による医師の処方が不要の家庭検査のための家庭環境で用いて試料中の1つ以上の分析物を検出することができる。本方法は、さらに、迅速な診断のために、臨床的な環境に、例えば、病人のまくら元、又はコスト等の理由により固定研究実験質装置が設置されていない環境に用いられてもよい。
【0833】
上記のように、本発明のCROF装置は、試料中の核酸を検出するために用いられる。本発明のCROF装置は、上記診断用途に加えて、様々な創薬及び研究用途に用いられてもよい。例えば、本発明のCROF装置は、多くの用途に用いられ、それは疾患又は病態(核酸の存在により、疾患又は病態用のバイオマーカーを提供する)の診断又はモニタリング、創薬標的の発見(例えば、核酸は、疾患又は病態において差次的に発現され、かつ薬物療法の標的とされ得る)、薬物スクリーニング(薬物の効果が核酸のレベルを評価することによってモニターされる)、薬物感受性(薬物感受性が核酸の特定のプロファイルに関連する)及び基礎研究(試料における核酸の存在、又は特定の実施形態での2つ以上の試料における特定の核酸の相対レベルを識別することが望ましい)の決定を含むが、それらに限定されない。
【0834】
特定の実施形態において、2つ以上の異なる核酸試料中の核酸の相対的なレベルは、上記方法を用いて、取得され、比較されてもよい。これらの実施形態において、上記方法から得られた結果は、通常、試料における核酸の総量(例えば、構成的RNA)に対して標準化され、比較される。これは、比率への比較、又は他の手段で実行されてもよい。特定の実施形態において、2つ以上の異なる試料の核酸プロファイルを比較して、特定の疾患又は病態に関連する核酸を識別することができる。
【0835】
いくつかの例では、異なる試料は、「実験的」試料、すなわち、対象となる試料と、実験試料と比較可能な「対照」試料とで構成され得る。多くの実施形態において、異なる試料は、細胞型又はその断片の対であり、1つの細胞型が対象となる細胞型であり、例えば異常細胞であり、他方の細胞型が対照細胞型であり、例えば正常細胞である。細胞の2つの断片を比較する場合、断片は、通常、2つの細胞の各々からの同じ断片である。しかし、特定の実施形態において、同じ細胞の2つの断片を比較することができる。例示的な細胞型対は、例えば、通常、同じ患者からの、組織生検(例えば結腸、乳房、前立腺、肺、皮膚癌のような疾患を患わった組織、又は病原体に感染した組織等)から単離された細胞及び同じ組織からの正常細胞と、病原体に感染されたか又は治療された(例えば、ペプチド、ホルモン、変化した温度、成長条件、物理的な ストレス、細胞形質転換等のような環境的又は化学的要因)不死の組織培養で増殖した細胞(例えば、増殖性突然変異又は不死化導入遺伝子を有する細胞)及び正常細胞(例えば、不死ではなく、感染されていないか又は治療されていないことを除いて、実験細胞と同一である細胞)と、ガン、疾患、年取った哺乳動物、又はある条件に曝露された哺乳動物、及び同じ種の哺乳動物、好ましくは健康又は若年の同じ家系の哺乳動物に由来する細胞を有する哺乳動物から単離された細胞と、分化した細胞及び同じ哺乳動物からの非分化細胞と(例えば、哺乳動物において他の細胞の前駆細胞である)を含む。1つの実施形態において、タイプの異なる細胞、例えば、ニューロン及び非ニューロン細胞、又は状態の異なる細胞(例えば、細胞上の刺激の前後)は使用されてもよい。本発明の別の実施形態において、実験材料は、例えばヒト免疫不全ウイルス(HIV)等のウイルスのような病原体による感染を受けやすい細胞であり、かつ対照物質は、病原体による感染に対して耐性を有する細胞である。本発明の別の実施形態において、試料対は、幹細胞のような未分化細胞及び分化細胞によって表される。
【0836】
上述のように、本方法の態様は、試料におけるバイオマーカーのような分析物の測定量を示すレポートを提供するか又は受信することを含む。場合によっては、試料が診断試料であり、レポートは、さらに、疾患又は病態を患うリスクがないか又は低い個体におけるバイオマーカーの測定値の範囲を含んでもよく、健康な個体から得られた測定値の範囲に対する被験者から得られた診断試料中のバイオマーカーの測定量は、疾患又は病態の診断である。このような例では、被験者によって提供される試料中のバイオマーカーの測定値が健常な個体のバイオマーカーの期待値の範囲外にある場合、被験者は、疾患又は病態にかかりやすい又は疾患又は病態を患うより高い可能性を有する。場合によっては、バイオマーカーの測定量及び健康な個体から得られた値の範囲は、所定の標準に正規化されて比較を可能にする。
【0837】
特定の態様では、レポートは、被験者にバイオマーカーの有無、バイオマーカーの濃度、疾患又は病態の有無、被験者が疾患又は病態を患う確立又は可能性、疾患又は病態を発生させる可能性、疾患又は病態を発生させる可能性の変化、疾患又は病態の進行等を示してもよい。報告される疾患又は病態は、ガンと、関節炎のような炎症性疾患と、糖尿病のような代謝疾患と、脳卒中又は心臓発作のような虚血性疾患と、アルツハイマー病又はパーキンソン病のような神経変性疾患と、腎臓又は肝不全のような臓器不全と、過量服薬と、ストレスと、疲労と、筋肉損傷と、非侵襲的な出生前検査のような妊娠関連症状とを含むが、これらに限定されない。特定の実施形態において、レポートは、患者が措置を講じるように促すか又は推薦する指示を含み、措置を講じることは、例えば、医学的援助を求め、投薬し、動きを止め、動きを開始する等である。該レポートはアラートを含んでもよい。アラートの1つの例は、装置にエラーが検出されるか否か、又は分析物濃度が所定の閾値を超えるか否かである。レポートの内容は、テキスト、グラフ、グラフィックス、アニメーション、音響、音声、及び振動を含む任意の適切な形式で表される。
【0838】
特定の実施形態において、レポートは、本発明の装置、例えば、携帯電話のユーザにアクションアドバイスを提供する。このアドバイスは、1つ以上のデータセットとともに、装置(例えば、検出器+携帯電話)による検査データにしたがって与えられ、モバイル装置に予めロードされた日付、アクセス可能な記憶装置のデータを含むが、それらに限定されず、記憶装置は、ローカルで利用可能であるか、又は遠隔アクセス可能である。
【0839】
アドバイスは、(i)正常(よい一日)であり、(ii)頻繁に監視されるべきであること、(iii)以下のパラメータを厳密にチェックされるべきであり(そしてパラメータをリストする)、(iv)被験者の特定のパラメータが境界線にあるため、毎日チェックするべきであること、(v)特定のパラメータが閾値を上回っているため、特定の日数以内に受診するべきであること、(vi)すぐに受診するべきであること、及び(vii)すぐに救急処置室に行くべきであることのいずれかを含むが、これらに限定されない。
【0840】
いくつかの実施形態において、被験者が受診するか又は救急処置室に行く必要があると装置により判断する場合、装置は、このような要求を医師及び救急処置室に自動的に送信する。
【0841】
いくつかの実施形態において、装置により自動的に送信された要求が医師又は救急処置室により応答されない場合、装置は所定の時間間隔で要求を繰り返し送信する。
【0842】
特定の実施形態において、レポートは、被験者によって提供された試料から得られた情報に基づくアドバイスと被験者の健康履歴又はプロフィールに基づくいずれかの禁忌との間に生じる可能性のある衝突についての警告を提供してもよい。
【0843】
特定の実施形態において、本方法は、被験者によって提供される試料中のバイオマーカーの測定量を含む情報に基づいて被験者を診断するステップを含む。試料中の計測されたバイオマーカーに関するデータ(例えば、バイオマーカーのタイプ、試料におけるバイオマーカーの量)に加えて、被験者の診断に使用される情報は、被験者の年齢、性別、身長、体重、又は個人及び/もしくは家族の病歴等を含むが、これらに限定されない被験者に関連する他のデータも含んでもよい。
【0844】
いくつかの実施形態において、診断するステップは、バイオマーカーの測定量を含むデータを遠隔地に送信し、遠隔地から診断を受信することを含む。CROF装置により検出されたバイオマーカーを含む情報に基づいて被験者を診断することは、いずれかの適切な手段により達成してもよい。特定の実施形態において、診断は、被験者とともに位置するか又は遠隔地に位置してもよい医療専門家により行われる。他の実施形態において、医療専門家は、遠隔地又は被験者の位置とは異なる第三位置で装置により送信されたデータにアクセスする。医療専門家は、ヘルスケアシステムに関連付けられている個人又は団体を含んでもよい。医療専門家は、医療従事者であってもよい。医療専門家は、医者であってもよい。医療専門家は、予防的、治療的、促進的、又はリハビリ的なヘルスケアサービスを、個人、家庭、及び/又は地域社会に系統的に提供する個人又は機関であってもよい。医療専門家の例は、医師(一般開業医及び専門家を含む)、歯科医、医師助手、看護師、助産師、薬理学者/薬剤師、栄養士、セラピスト、心理学者、指圧師、臨床職員、理学療法士、採血専門家、作業療法士、検眼医、救急医療技師、医療補助員、医療検査技術者、医療補綴技術者、レントゲン技師、ソーシャルワーカー、各種のヘルスケアサービスを提供するために訓練された多種多様な人材を含んでもよい。医療専門家は、処方箋を書くことが認可されてもよいか又は認可されなくてもよい。医療専門家は、病院、ヘルスケアセンター及び他のサービス提供ポイント、又は学術的訓練、研究、及び管理で働くか又はそれらに属してもよい。いくつかの医療専門家は、民家で患者にケア及び治療サービスを提供してもよい。コミュニティーの保健医療労働者は、正式なヘルスケア機関外で働いてもよい。ヘルスケアサービス、診療記録の管理者と医療情報技術者及びその他の支援労働者は、医療専門家であってもよいか又は医療提供者に属してもよい。
【0845】
いくつかの実施形態において、医療専門家は、被験者に馴染んでいるか又は被験者と連絡している可能性がある。被験者は、医療専門家の患者であってもよい。いくつかの例では、医療専門家は、被験者が臨床検査を受けるように指示してもよい。一例では、医療専門家は、被験者のプライマリケア医であってもよい。医療専門家は、被験者(一般開業医及び専門家を含む)用のいずれかのタイプの医師であってもよい。
【0846】
したがって、医療専門家は、CROF装置からの光信号を取得した装置により生成されたレポート又は装置から送信されたデータ及び/又は遠隔地で実行された分析の結果を分析するか又はレビュしてもよい。特定の実施形態において、医療専門家は、装置により送信されたデータ及び/又は遠隔地で分析されたデータに基づいた指示又は推奨を被験者に送信してもよい。
【0847】
環境検査
上に要約したように、本発明の装置、システム及び方法は、環境試料、例えば、水、土壌、産業廃棄物等の試料における環境マーカーの有無を分析するために用いられてもよい。環境マーカーは、捕捉剤で構成されたCROF装置内の環境マーカーに特異的に結合する捕捉剤により捕捉され得る以下の表B8に示されるようないずれかの適切なマーカーであってもよい。環境試料は、川、海、湖、雨、雪、汚水、汚水処理排水、農業排水、工業排水、水道水、又は飲料水等のいずれかの適切な供給源から得てもよい。いくつかの実施形態において、試料中の環境マーカーの有無又は定量レベルは、試料が得られた環境の状態を示してもよい。場合によっては、環境マーカーは、環境に暴露されるヒト、伴侶動物、植物等に有毒であるか又は有害である物質であってもよい。場合によっては、環境マーカーは、環境に曝露されるいくつかの個体においてアレルギー反応を引き起こしてもよいアレルゲンであってもよい。場合によっては、試料における環境マーカーの有無又は定量レベルは、環境の健康全般と相関する可能性がある。このような場合、環境の健康全般は、数週間、数ヶ月月、数年間、又は数十年間のような期間にわたって計測されてもよい。
【0848】
いくつかの実施形態において、本発明の装置、システム及び方法は、さらにレポートを受信するか又は提供することを含み、レポートは、試料が環境マーカーの測定量を含む情報に基づいて得られた環境に曝される被験者の安全性又は有害性を示す。環境の安全リスク又は健康を評価するために用いられる情報は、環境マーカーのタイプ及び測定量以外のデータを含んでもよい。これらの他のデータは、位置、高度、温度、日/月/年の時間、圧力、湿度、風向と速度、天気等を含んでもよい。このデータは、所定の期間(数分間、数時間、数日間、数週間、数ヶ月、数年間等)にわたる平均値もしくは傾向、又はより短い期間(数ミリ秒間、数秒間、数分間等)にわたる瞬時値を表してもよい。
【0849】
このレポートは、CROF装置を読み取るように構成された装置により生成されてもよいか、あるいは環境マーカーの測定量を含むデータを送信する際に遠隔地で生成されてもよい。場合によっては、専門家は、遠隔地にいるか又は遠隔地に送信されたデータにアクセスしてもよく、かつデータを分析するか又はレビューしてレポートを生成してもよい。専門家は、米国疾病対策センター(CDC)又は米国環境保護庁(EPA)のような政府機関、大学のような研究機関、又は私企業での科学者又は管理者であってもよい。特定の実施形態において、専門家は、装置により送信されたデータ及び/又は遠隔地で分析されたデータに基づいた指示又は推奨をユーザに送信してもよい。
【0850】
2015年9月29日に出願された米国仮特許出願第62/234,538号の表8は、例示的な環境マーカーのリストを説明し、該出願は参照文献として本明細書に組み込まれる。
【0851】
食品検査
上に要約したように、本発明の装置、システム、及び方法は、食品試料、例えば、未加工食品、加工食品、調理済食品、飲料水等の試料における食品マーカーの有無を分析するために用いられてもよい。食品マーカーは、捕捉剤で構成されたCROF装置内の食品マーカーに特異的に結合する捕捉剤により捕捉され得る以下の表B9に示されるようないずれかの適切なマーカーであってもよい。環境試料は、水道水、飲料水、加工調理済食品、調理済食品、又は未加工食品等のいずれかの適切な供給源から得られてもよい。いくつかの実施形態において、試料中の食品マーカーの有無又は定量レベルは、食品が消費された場合、被験者に対する安全性又は有害性を示してもよい。いくつかの実施形態において、食品マーカーは、試料が得られた食物における生物の存在を示す病原性生物又は微生物に由来する物質である。いくつかの実施形態において、食品マーカーは、被験者により消費されると、毒性又は有害物質である。いくつかの実施形態において、食品マーカーは、生理活性化合物であってもよく、それは被験者により消費されると、意図せずに、又は意外に生理機能を変えてもよい。いくつかの実施形態において、食品マーカーは、食品が得られた方法(栽培、獲得、捕獲、収穫、加工、調理等)を示す。いくつかの実施形態において、食品マーカーは、食品の栄養成分を示す。いくつかの実施形態において、食品マーカーはアレルゲンであり、該アレルゲンは、試料が得られた食品が被験者により消費されると、アレルギー反応を誘導する可能性がある。
【0852】
いくつかの実施形態において、本発明の装置、システム、及び方法はさらに、レポートを受信するか又は提供することを含み、レポートは、試料が食品マーカーの測定レベルを含む情報に基づいて得られた食品を消費する被験者の安全性又は有害性を示す。消費用の食品の安全性を評価するために使用される情報は、食品マーカーのタイプ及び測定量以外のデータを含んでもよい。これらの他のデータは、消費者に関連するいずれかの健康状態(アレルギー、妊娠、慢性又は急性疾患、現在の処方薬等)を含んでもよい。
【0853】
このレポートは、CROF装置を読み取るように構成された装置により生成されてもよいか、あるいは食品マーカーの測定量を含むデータを送信する際に遠隔地で生成されてもよい。場合によっては、食品安全専門家は、遠隔地にいるか又は遠隔地に送信されたデータにアクセスしてもよく、かつデータを分析するか又はレビューしてレポートを生成してもよい。食品安全専門家は、米国食品医薬品局(FDA)又は米国疾病対策センター(CDC)のような政府機関、大学のような研究機関、又は私企業での科学者又は管理者であってもよい。特定の実施形態において、食品安全専門家は、装置により送信されたデータ及び/又は遠隔地で分析されたデータに基づいた指示又は推奨をユーザに送信してもよい。
【0854】
2015年9月29日に出願された米国仮特許出願第62/234,538号の表8は、例示的な食品マーカーのリストを説明し、該出願は参照文献として本明細書に組み込まれる。
【0855】
キット
本開示の態様は、上記本発明の装置、システム、及び方法を実行するために用いられるキットを含む。特定の実施形態において、キットは、分析物に特異的に結合するように構成されたCROF装置を含み、例えば、分析物は、表B1、B2、B3、B7、B8、B9又は表B4、B5、及びB6に列挙されたエピトープに特異的に結合する抗体分析物から選択される。特定の実施形態において、キットは、携帯電話のようなハンドヘルドデバイスを用いて本方法を実施するための使用説明書を含む。これらの使用説明書は、様々な形態で本キットに存在してもよく、そのうちの1つ以上の形態がキットに存在してもよい。これらの使用説明書の1つの形態は、情報が印刷された1枚以上の紙のような適切な媒体又は基材上に印刷された情報として、キットのパッケージング、パッケージインサート等に存在してもよい。別の手段は、情報が記録又は格納されたコンピュータ可読媒体、例えば、フロッピーディスク、CD、DVD、ブルーレイ、コンピュータ可読メモリ等である。存在する可能性があるさらに他の手段は、削除されたサイトでの情報にインターネットを介してアクセスしてもよいウェブサイトのアドレスである。キットは、本明細書に記載されるように、さらにコンピュータ可読媒体に提供される装置上の分析物を計測するための方法を実施するためのソフトウェアを含んでもよい。いずれかの便利な手段はキットに存在してもよい。
【0856】
いくつかの実施形態において、キットは、対象となる分析物に特異的に結合する蛍光標識された抗体又はオリゴヌクレオチドのような検出可能な標識を含み、対象となる分析物を標識するための検出剤を含む。検出剤は、CROF装置とは別の容器に提供されてもよいか、あるいはCROF装置に提供されてもよい。
【0857】
いくつかの実施形態において、キットは、試料で検出される既知の検出可能な量の分析物を含む対照試料を含む。対照試料は、容器内に提供されてもよく、かつ既知の濃度で溶液内に存在してもよいか、あるいは凍結乾燥又は冷凍乾燥のような乾燥形態で提供されてもよい。キットは、さらにそれが乾燥形態で提供される場合、対照試料を溶解するのに使用するための緩衝液を含んでもよい。
【0858】
25 血液検査
本発明の適用のいくつかの例示的な実施形態は、スマートフォンを使用して血球を簡単かつ迅速に計数する。
【0859】
いくつかの実施形態において、第1のプレート及び第2のプレートは、相対的に平坦な表面の薄いスライドガラス(例えば0.2mmの厚さ)又は薄いプラスチックフィルム(例えば15mmの厚さ)から選択され、各々は約0.5cm~10cmの長さと幅を有する領域を有する。スペーサは、ガラス、プラスチック、又はプレス下で大きく変形しない他の材料で作られている。試料付着の前に、スペーサは、第1のプレート、第2のプレート又はその両方に配置され、第1のプレート、第2のプレート又はその両方に血液計数(染色色素及び/又は抗凝血剤)を促進する試薬は任意に被覆される。第1のプレート及び第2のプレートは、輸送を容易にしかつ保存期間を長くにするためバッグに任意に封入され得る。
【0860】
血球計数検査では、わずかな約1uL(マイクロリットル)(又は約0.1uL~3uL)の血液は、指又は他の人体位置から取られる試料に対して必要である。血液試料は、希釈せずに、人体(例えば、指)から第1のプレート及び第2のプレートに直接付着し得る。次に、第1のプレートと第2のプレートを互いに向かい合わせることにより、血液試料は第1のプレートと第2のプレートの内面の間にある。いずれかの試薬が予め付着する(染色色素又は抗凝血剤)場合、それらは試料と混合するために内面に付着する。次いで、第1のプレート及び第2のプレートは、指又は簡単な機械的装置(例えば、ばねを用いてプレスするクリップ)によりプレスされる。プレス下で、内側の間隔は減少し、減少は、最終的にスペーサの高さにより設定された値で停止し、最終的な試料の厚さに達し、該最終試料の厚さは最終的な内部間隔に等しい。最終的な内部間隔が既知であるので、最終的な試料の厚さは既知になり、すなわちこの方法で定量化(計測)される。
【0861】
血液試料が希釈されていない場合、プレス(試料変形)後に、したがって、スペーサ及び最終的な試料の厚さは薄く、例えば、1μmよりも小さい、2μmよりも小さい、3μmよりも小さい、4μmよりも小さい、5μmよりも小さい、7μmよりも小さい、10μmよりも小さい、15μmよりも小さい、20μmよりも小さい、30μmよりも小さい、40μmよりも小さい、50μmよりも小さい、60μmよりも小さい、80μmよりも小さい、100μmよりも小さい、150μmよりも小さい、又はこれらの値のいずれか2つの間のいずれかの範囲にある。最終的な試料の厚さが厚い場合、画像化中に多くの赤血球が重なり合う可能性があることで、細胞計数が不正確になる可能性があるので、薄い最終的な試料は有用である可能性がある。例えば、厚さが約4μmの希釈無しの全血は、約1層の血液赤血球を与える。
【0862】
プレス後、試料は、スマートフォンにより、直接的に、又は追加の光学素子(例えば、必要なレンズ、フィルタ、又は光源)を介して画像化されてもよい。試料の画像は、細胞のタイプ及び細胞の数量を識別するために処理される。画像処理は、画像を撮る同じスマートフォンにおいてローカルで行うことができるか、又はリモートで行うことができるが、最終的な結果はスマートフォンに送信される(画像は遠隔地に送信され、かつそこで処理される)。スマートフォンは、特定の細胞の細胞番号を示す。場合によっては、特定のアドバイスを表示する。アドバイスは、検査の前にスマートフォンに格納されるか又はリモートマシン又は専門家に由来することができる。
【0863】
特定の実施形態において、セクション5(試薬混合)に記載された方法及び装置を用いて試薬を第1のプレート及び/又は第2のプレートの内面に置く。
【0864】
血液検査用の装置又は方法は、(a)本明細書に記載された段落における装置又は方法と、(b)閉鎖構成でのプレート間隔(すなわち、2つのプレートの内面の間の距離)又はそのような間隔の使用とを含み、プレート間隔における未希釈の全血は、赤血球(RBC)の横方向の平均細胞間距離がRBCのディスク形状の平均直径よりも大きい。
【0865】
非球形細胞の配向を配列するための装置又は方法は、(a)本明細書に記載された装置又は方法と、(b)閉鎖構成でのプレート間隔(すなわち、2つのプレートの内面の間の距離)又はそのような間隔の使用とを含み、間隔は、その長さ方向(長さ方向は細胞の最大寸法方向である)に細胞の平均サイズよりも小さい。このような配列は、試料体積(例えば、赤血球体積)の測定値を改善することができる。
【0866】
本発明では、血液検査中の分析物は、タンパク質マーカーを含み、タンパク質マーカーのリストは、米国臨床化学協会のウェブサイトで見つけることができる)。
【0867】
26 パッケージ
本発明の別の態様は、使用される試薬の寿命を延ばし、かつ使用を容易にするパッケージングに関する。
【0868】
いくつかの実施形態において、試薬を有するか又は有さないCROFにおけるプレートはパッケージに置かれ、1つのパッケージに1つのプレートを置くか又は1つのパッケージに1つ以上のプレートを置く。1つの実施形態において、第1のプレート及び第2のプレートは、使用前に異なるパッケージにパッケージングされる。
【0869】
いくつかの実施形態において、異なるアッセイは、共通の第1のプレート又は共通の第2のプレートを共有する。いくつかの実施形態において、各パッケージは密閉されている。いくつかの実施形態において、密閉は、パッケージの外部の空気、化学薬品、湿気、汚染物、又はそれらのいずれかの組み合わせがパッケージの内部に入るのを防止するために用いられる。いくつかの実施形態において、パッケージは、真空密閉されているか又は窒素ガス又は内部ガスで充填されている。いくつかの実施形態において、プレート及び/又は試薬(捕捉剤、検出剤などを含む)の保存期間を延ばすことができる材料は、プレートとともにパッケージ内にパッケージングされる。
【0870】
いくつかの実施形態において、パッケージ材料が薄い層の形態であるので、パッケージは人間の手により容易に引き裂かれ得る。
【0871】
27 Poc、スマートフォン、及びネットワーク
本発明の一態様は、被験者の健康状態を監視する方法に関し、前記方法は、被験者から提供された試料を、試料を表す出力を示するように構成されたCROFベースの検出器に適用し、検出器の出力を入力データとして取得し、入力データを分析してレポートを生成するように構成された装置で検出器の出力を処理し、そしてレポートを受信することを含む。信号増強検出器は、迅速に検出し、読みやすく(例えば、スマートフォンで従来の大型の典型的なリーダを置換する)かつコストが低いという利点を提供する。
【0872】
体液
特定の実施形態において、試料は異なる液体又は固体の試料を含むことができる。いくつかの例において、試料は被験者からの体液試料であってもよい。いくつかの例において、固体又は半固体の試料を提供してもよい。これらの試料は被験者から採取される組織及び/又は細胞を含んでもよい。試料は生体試料であってもよい。生物学的試料の例は、血液、血清、血漿、鼻腔スワブ、鼻咽頭洗浄液、唾液、尿、胃液、脊髄液、涙、便、粘液、汗、耳あか、油、腺分泌物、脳脊髄液、組織、精液、膣液、腫瘍組織由来の間質液、眼液、脊髄液、咽頭スワブ、呼吸、髪、指の爪、皮膚、生検、胎盤液、羊水、臍帯血、リンパ液、腔液、痰、膿、微生物叢、胎便、母乳、及び/又は他の排泄物を含むことができるが、それらに限定されない。試料は鼻咽頭洗浄液を含んでもよい。鼻スワブ、咽頭スワブ、大便試料、髪、指の爪、耳あか、呼気、及び他の固体、半固体、又は液体試料は例えば一定又は可変の時間量で分析前に抽出緩衝液中に処理してもよい。場合によっては、抽出緩衝液又はその等分試料は次に他の液体試料做と同様に処理されてもよい。被験者の組織試料の例は、結締組織、筋肉組織、神経組織、上皮組織、軟骨、癌性試料、又は骨を含むが、それらに限定されない。
【0873】
特定の実施形態において、被験者は、ヒト又は非ヒトの動物であってもよい。被験者は、哺乳動物、脊椎動物、例えば、ネズミ、サル、ヒト、家畜、スポーツ動物、又はペットであってもよい。いくつかの実施形態において、被験者は患者であってもよい。他の実施形態において、被験者は、疾患と診断されてもよいか又は被験者は疾患と診断されなくてもよい。いくつかの実施形態において、被験者は健康な被験者であってもよい。
【0874】
装置の読み取り
以上要約したように、本方法の態様は、検出器の出力を入力データとして取得し、入力データを処理してレポートを生成するように構成された装置を用いて信号増強検出器の出力を処理することを含む。検出器の出力を入力データとして取得し、入力データを処理してレポートを生成するのに適した任意の装置を使用することができる。いくつかの実施形態において、装置は、入力データとして光検出器の出力を取得するように構成された光記録装置を含む。場合によっては、光記録装置は、デジタルカメラのようなカメラである。用語「デジタルカメラ」とは、光学画像を形成するための撮像レンズシステム、光学画像を電気信号に変換するための画像センサ及び他の部品を備えた撮像装置を主部品として含む任意のカメラであり、そのようなカメラの例は、デジタルスチルカメラ、デジタルムービーカメラ及びウェブカメラ(すなわち、ネットワークに直接接続されたものと、情報処理能力を有するパーソナルコンピュータのような装置を介してネットワークに接続されたものとの両方を含む画像の交換を可能にするために、ネットワークに接続された装置に公的に又は私的に接続されたカメラ)を含む。一例において、入力データは、経時的な変化を捕捉できるビデオ撮像を含むことができる。例えば、ビデオを取得して試料の動的変化に関する評価を提供することができる。
【0875】
特定の実施形態において、光記録装置は、研究/臨床実験室装置に使用された高感度光記録装置の感度よりも低い感度を有する。場合によっては、本方法に用いられた光記録装置は、研究/臨床実験室装置に使用された高感度光記録装置の感度よりも、200倍以上、500倍以上、1,000倍以上を含む100倍以上のような10倍以上低い感度を有する。
【0876】
特定の実施形態において、装置は、装置と検出器との間のインタフェースを形成するアダプタによって、検出器の出力を取得する。特定の実施形態において、インタフェースは、一般的なもので、本発明の方法の実行に適した任意の装置と互換性がある。関心のあるインタフェースは、USB、ファイヤワイヤ、イーサネットなどを含むが、それらに限定されない。特定の実施形態において、装置は、セルラ、ブルートゥース、WiFiなどを含む無線通信によって検出器の出力を取得する。
【0877】
特定の実施形態において、該装置は、ビデオディスプレイを有してもよい。ビデオディスプレイは、ディスプレイページがユーザに知覚可能な方法で表示されてもよいコンポーネント、例えば、コンピュータモニタ、陰極線管、液晶ディスプレイ、発光ダイオードディスプレイ、タッチパッドもしくはタッチスクリーンディスプレイ、及び/又は視覚的に知覚可能な出力を発するための当技術分野で知られている他の手段を含んでもよい。特定の実施形態において、装置は、検出器から取得された入力データ及び/又は処理されたデータから生成されたレポートなどの情報を表示し、情報が被験者によって入力されることを可能にするためのタッチスクリーンを備える。
【0878】
特定の実施形態において、装置は、例えば、検出器の出力を処理する際に又は検出器からの出力を取得するための準備において生成されたレポートの方法として、被検者に警告する振動機能を備える。
【0879】
特定の実施形態において、本発明の装置は、信号増強検出器から取得された入力データを処理するように構成される。該装置は、本発明の方法におけるデータを処理するために、任意の適切な方式で構成されてもよい。特定の実施形態において、該装置は、データ格納及び/又はデータ処理用の命令の格納及び/又はデータベース格納用メモリ位置を有する。データは、任意の適切なフォーマットでメモリに格納することができる。
【0880】
特定の実施形態において、該装置は、データを処理するためのプロセッサを有する。特定の実施形態において、データを処理するための命令は、プロセッサに格納されてもよいか、或いは別個のメモリ位置に格納されてもよい。いくつかの実施形態において、該装置は、処理を実装するためのソフトウェアを含むことができる。
【0881】
特定の実施形態において、検出器から取得された入力データを処理するように構成された装置は、処理を実行するソフトウェア実装方法を含む。ソフトウェア実装方法は、画像取得アルゴリズム、画像処理アルゴリズム、ユーザと計算装置との間の相互作用を容易にし、データ収集、送信及び分析、通信プロトコルのための手段として機能するユーザインタフェース方法、及びデータ処理アルゴリズムのうちの1つ以上を含むことができる。特定の実施形態において、画像処理アルゴリズムは、粒子数、LUT(ルックアップテーブル)フィルタ、粒子フィルタ、パターン認識、形態学的決定、ヒストグラム、ラインプロファイル、地形表現、2進数換算又はカラーマッチングプロファイルのうちの1つ以上を含む。
【0882】
特定の実施形態において、該装置は、表示ページが装置のメモリに常駐するソフトウェアによって解釈される時に、ビデオディスプレイ又はタッチスクリーンディスプレイで情報を表示するように構成される。本明細書で説明する表示ページは、例えば、ハイパーテキストマークアップ言語(「HTML」)、ダイナミックハイパーテキストマークアップ言語(「DHTML」)、拡張可能ハイパーテキストマークアップ言語(「XHTML」)、拡張可能マークアップ言語(「XML」)、又はユーザによって知覚可能な方法でビデオ又は他のディスプレイに表示可能なコンピュータファイルを作成するように使用されてもよい別のソフトウェア言語などの任意の適切なソフトウェア言語を使用して作成することができる。論理、コード、データ、命令を有する任意のコンピュータ可読媒体を使用して、任意のソフトウェア又はステップ又は方法を実施することができる。ネットワークがインターネットを含む場合、表示ページは、適切なタイプのウェブページを含むことができる。
【0883】
本発明に係る表示ページは、例えば、VBScriptルーチン、JScriptルーチン、JavaScriptルーチン、Javaアプレット、ActiveXコンポーネント、ASP.NET、AJAX、Flashアプレット、Silverlightアプレット、又はAIRルーチンのようなメモリ装置に格納されたソフトウェアプログラムを含む組み込み機能を含むことができる。
【0884】
表示ページは、例えば、フレーム、ウィンドウ、スクロールバー、ボタン、アイコン、及びハイパーリンクなどのグラフィカルユーザインタフェース技術の周知の特徴と、「クリック」インタフェース又はタッチスクリーンインタフェースのような周知の特徴とを含む。グラフィカルユーザインタフェースボタン、アイコン、メニューオプション、又はハイパーリンクをポイントしてクリックすることは、ボタン、オプション、又はハイパーリンクを「選択」することとしても知られている。本発明による表示ページはまた、マルチメディア機能、マルチタッチ、ピクセルセンス、IR LEDベースの表面、カメラの有無にかかわらず視覚ベースの相互作用を組み込むことができる。
【0885】
ユーザインタフェースは、ビデオディスプレイ及び/又は表示ページに表示されてもよい。ユーザインタフェースは、以下にさらに説明するように、試料に関する分析データに基づいて生成されたレポートを表示することができる。
【0886】
プロセッサは、任意の適切な方式で本発明の方法に使用されるデータを処理するように構成することができる。データは、例えば、ビニングされたデータ、変換されたデータ(例えば、フーリエ変換によって周波数領域に変換された時間領域データ)に処理されるか、又は他のデータと組み合わされて処理される。該処理は、データを所望の形式にすることができ、データのフォーマットを変更することを含むことができる。処理は、試料からのシグナルの検出、試料を検査するために使用された装置又は試薬に特有の数学的操作又は補正及び/又は較正に基づく生データの補正、濃度値などの値の計算、(ベースライン、閾値、標準曲線、履歴データ又は他のセンサからのデータなどとの)比較、検査が正確であるか否かの決定、(正常範囲又は許容範囲を上回るか又は下回るか、又は異常状態を示すなどの)異常値であるか又は懸念の原因となり得る値又は結果の強調表示、又は異常条件の存在を共に示すことができる結果の組み合わせ、カーブフィッティング、数学的又は他の分析的推論(演繹的、誘導的、ベイジアン、又は他の推論を含む)の基礎としてのデータの使用及び他の適切な処理形式を含むことができる。特定の実施形態において、処理は、処理されたデータを装置に格納されたデータベースと比較して、被験者によって実行される一連の動作のための命令を検索すことを含むことができる。
【0887】
特定の実施形態において、装置は、入力データをメモリに格納されたデータベースと比較することにより入力データを処理して、被験者によって実行される一連の動作のための命令を検索するように構成されてもよい。いくつかの実施形態において、データベースは、対象となる分析物の閾値を含む、格納された情報を含むことができる。閾値は、1つ以上の分析物の存在又は濃度を決定することに有用であり得る。閾値は、アラートが有用である状況を検出するために使用されてもよい。データ格納ユニットは、試料に関するレポートの生成に有用な記録又は他の情報を含むことができる。
【0888】
特定の実施形態において、装置は、信号増強検出器からの出力ではないデータを取得するように構成されてもよい。したがって、場合によっては、装置は、被験者によって提供された試料を表さないが被験者を依然として表すデータを取得するように構成されてもよい。これらのデータは、年齢、性別、身長、体重、個人及び家族の病歴などを含むが、それらに限定されない。特定の実施形態において、装置は、検出器の出力から取得された入力データを、検出器の出力と独立して取得されたデータと組み合わせて処理するように構成される。
【0889】
特定の実施形態において、装置は、ローカルエリアネットワーク(LAN)などのネットワーク、インターネットなどの広域ネットワーク(WAN)、パーソナルエリアネットワーク、電話ネットワークなどの電気通信ネットワーク、携帯電話ネットワーク、移動ネットワーク、無線ネットワーク、データ提供ネットワーク、又は任意の他の種類のネットワークを介して通信するように構成されてもよい。特定の実施形態において、装置は、ブルートゥース又はRTM技術などの無線技術を利用するように構成されてもよい。いくつかの実施形態において、装置は、モデムを使用するダイヤルアップ有線接続、TI、ISDN又はケーブル回線などの直接リンクのような様々な通信方法を利用するように構成されてもよい。いくつかの実施形態において、無線接続は、セルラー、サテライト、又はページャーネットワーク、GPRS、又はLAN上のイーサネットもしくはトークンリングなどのローカルデータ転送システムのような例示的な無線ネットワークを使用することができる。いくつかの実施形態において、該装置は、赤外線通信コンポーネントを使用して無線通信することができる。
【0890】
特定の実施形態において、該装置は、ネットワークを介してサーバから送信され、メモリに記憶されたコンピュータファイルを受信するように構成される。装置は、装置の永続的なメモリ又は一時的なメモリに格納されてもよい命令、ロジック、データ、もしくはコードを含むことができる有形のコンピュータ可読媒体を受信してもよいか、又は装置によって何らかの形で影響を及ぼすか、又は動作を開始してもよい。1つ以上の装置は、他のコンピュータファイルへのアクセスを提供できるコンピュータファイル又はリンクと通信することができる。
【0891】
いくつかの実施形態において、装置は、パーソナルコンピュータ、サーバ、ラップトップコンピュータ、モバイル装置、タブレット、携帯電話、移動電話、衛星電話、スマートフォン(例えば、iPhone、Android、Blackberry、Palm、Symbian、Windows)、パーソナルデジタルアシスタント、ブルートゥース装置、ページャ、固定電話、又は他のネットワーク装置である。このような装置は、通信可能な装置であってもよい。本明細書で使用される「携帯電話」という用語は、セルラネットワークで動作することができる電話ハンドセット、セッション開始プロトコル(SIP)のようなボイスオーバーIP(VoIP)ネットワーク、又は802.11xプロトコルを使用する無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)、又はそれらの任意の組み合わせを指す。特定の実施形態において、該装置は、消費者の財布及び/又はポケット(例えば、ポケットサイズ)に適合することができるように、手持ち式及びコンパクトである。
【0892】
特定の実施形態において、方法は、試料由来のデータを、送信されたデータが分析された遠隔地に送信することを含む。遠隔地は、装置が配置された位置と異なる位置であってもよい。遠隔地は、病院、診療所又は他の医療施設、又は研究室を含むことができるが、これらに限定されない。いくつかの例において、遠隔地は、ネットワークを介して装置と通信する(すなわち、装置から情報を受信し、また装置に情報を送信する)ように構成されたコンピュータ、例えばサーバを有してもよい。いくつかの実施形態において、装置は、データをクラウドコンピューティングインフラストラクチャに送信することができる。装置は、クラウドコンピューティングインフラストラクチャにアクセスすることができる。いくつかの実施形態において、計算リソース(データ、ソフトウェア)のオンデマンド提供は、ローカルコンピュータからではなく、コンピュータネットワークを介して行われてもよい。装置は、インターネットに接続された基本的な表示端末として機能する、ごくわずかなソフトウェア又はデータ(恐らく最小のオペレーティングシステム及びウェブブラウザのみ)を含むことができる。クラウドは基本的な配信メカニズムである可能性があるため、クラウドベースのアプリケーション及びサービスは、あらゆる種類のソフトウェアアプリケーション又はサービスをサポートすることができる。装置によって提供されかつ/又は装置によってアクセスされた情報は、様々な計算リソースに分布されてもよい。あるいは、情報は、1つ以上の固定データ格納ユニット又はデータベースに格納されてもよい。
【0893】
特定の実施形態において、遠隔地は、装置から送信されたデータを受信し分析するデータ格納ユニットに格納された中央データベースを含む。データ格納ユニットは、プロセッサが1つ以上のステップを実行するためのコード、ロジック、又は命令を含むことができるコンピュータ可読媒体を格納することができる。いくつかの実施形態において、受信されたデータは、中央データベースに含まれたデータと比較して分析され、またその結果が被験者に返送された。分析は、試料を検査するために使用された装置又は試薬に特有の数学的操作又は補正及び/又は較正に基づく生データの補正、濃度値などの値の計算、(ベースライン、閾値、標準曲線、履歴データ、又は他のセンサからのデータなどとの)比較、検査が正確であるか否かの決定、(正常範囲又は許容範囲を上回るか又は下回るか、又は異常状態を示すなどの)異常値であるか又は懸念の原因となり得る値又は結果の強調表示、又は異常条件の存在をともに示すことができる結果の組み合わせ、カーブフィッティング、数学的又は他の分析的推論(演繹的、誘導的、ベイジアン、又は他の推論を含む)の基礎としてのデータの使用及び他の適切な処理形式を含むことができる。
【0894】
特定の実施形態において、分析は、分析されたデータを遠隔地のデータ格納ユニットに格納されたデータベースと比較して、被験者によって実行される行動コースのための命令を検索することを含むことができる。いくつかの実施形態において、データベースは、対象となる分析物の閾値を含む、格納された情報を含むことができる。閾値は、1つ以上の分析物の存在又は濃度を決定することに有用であり得る。閾値は、アラートが有用である状況を検出するために使用されてもよい。データ格納ユニットは、試料上で実行されてもよい試料調製又は臨床検査に関する任意の他の情報を含むことができる。データ格納ユニットは、分析されたデータに関するレポートを生成するために有用であり得る記録又は他の情報を含むことができる。
【0895】
特定の実施形態において、医療従事者は遠隔地にいる。他の実施形態において、医療従事者は、遠隔地又は装置の位置と異なる第3の位置で、装置によって送信されたデータにアクセスする。医療専門家は、ヘルスケアシステムに関連付けられている個人又は団体を含んでもよい。医療専門家は、医療従事者であってもよい。医療専門家は、医者であってもよい。医療専門家は、予防的、治療的、促進的、又はリハビリ的なヘルスケアサービスを、個人、家庭、及び/又は地域社会に系統的に提供する個人又は機関であってもよい。医療専門家の例は、医師(一般開業医及び専門家を含む)、歯科医、医師助手、看護師、助産師、薬理学者/薬剤師、栄養士、セラピスト、心理学者、指圧師、臨床職員、理学療法士、採血専門家、作業療法士、検眼医、救急医療技師、医療補助員、医療検査技術者、医療補綴技術者、レントゲン技師、ソーシャルワーカー、各種のヘルスケアサービスを提供するために訓練された多種多様な人材を含んでもよい。医療専門家は、処方箋を書くことが認可されてもよいか又は認可されなくてもよい。医療専門家は、病院、ヘルスケアセンター及び他のサービス提供ポイント、又は学術的訓練、研究、及び管理で働くか又はそれらに属してもよい。いくつかの医療専門家は、民家で患者にケア及び治療サービスを提供してもよい。コミュニティーの保健医療労働者は、正式なヘルスケア機関外で働いてもよい。ヘルスケアサービス、診療記録の管理者と医療情報技術者及びその他の支援労働者は、医療専門家であってもよいか又は医療提供者に属してもよい。
【0896】
いくつかの実施形態において、医療専門家は、被験者に馴染んでいるか又は被験者と連絡している可能性がある。被験者は、医療専門家の患者であってもよい。いくつかの例では、医療専門家は、被験者が臨床検査を受けるように指示してもよい。一例では、医療専門家は、被験者のプライマリケア医であってもよい。医療専門家は、被験者(一般開業医及び専門家を含む)用のいずれかのタイプの医師であってもよい。
【0897】
したがって、医療従事者は、装置から送信されたデータ及び/又は遠隔地で実行された分析の結果を分析又は検討することができる。特定の実施形態において、医療専門家は、装置により送信されたデータ及び/又は遠隔地で分析されたデータに基づいた指示又は推奨を被験者に送信してもよい。
【0898】
被験者の健康状態を監視する方法
本方法を実行する時に、被験者から提供された試料は、例えば、ピペット、滴下器、シリンジなどを使用して、信号増強検出器の試料受容領域に試料を接触させることを含む任意の適切な方法によって、信号増強検出器に適用することができる。特定の実施形態において、信号増強検出器が、後述するように、ディップスティック形式の支持体上に配置される場合、試料は、ディップスティックの試料受容領域を試料に浸漬することによって、信号増強検出器に適用することができる。
【0899】
被験者は任意の容積の試料を提供することができる。容積の例は、約10mL以下、5mL以下、3mL以下、1マイクロリットル(μL、ここで「uL」とも呼ばれる)以下、500μL以下、300μL以下、250μL以下、200μL以下、170μL以下、150μL以下、125μL以下、100μL以下、75μL以下、50μL以下、25μL以下、20μL以下、15μL以下、10μL以下、5μL以下、3μL以下、1μL以下を含むことができるが、それらに限定されない。試料の量は約1滴の試料であってもよい。試料の量は、刺された指又は指先から採取した量であってもよい。試料の量は、マイクロニードル又は静脈ドローから採取した量であってもよい。本明細書で説明するものを含む任意の容積は、信号増強検出器に適用することができる。
【0900】
被験者から1個以上、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、10個以上、12個以上、15個以上、又は20個以上の異なる種類の試料を提供することができる。被験者から単一種類の試料又は複数の種類の試料を同時に又は異なる時間に提供することができる。被験者から単一種類の試料又は複数の種類の試料を同時に又は異なる時間に提供することができる。
【0901】
被験者からの試料は、一回又は複数回で採取されてもよい。データは、時間の離散的な時点で採取されてもよいか、又は経時的に連続的に採取されてもよい。経時的に採取されたデータは、集約及び/又は処理されてもよい。いくつかの例において、データは集約されてもよく、またスクリーニング、診断、治療及び/又は疾患予防を促進するための経時的な分析に用いられてもよい。
【0902】
特定の例において、試料を信号増強検出器に適用してから装置によって受信することができる出力を生成するまでの期間は、1分~5分を含む1秒~30分、例えば10秒~20分、30秒~10分の範囲にあってもよい。場合によっては、試料の信号増強検出器への適用から装置によって受信可能な出力の生成までの期間は、1時間以下、30分以下、15分以下、10分以下、5分以下、3分以下、1分以下、50秒以下、40秒以下、30秒以下、20秒以下、10秒以下、5秒以下、2秒以下、1秒以下であってもよいか、あるいはさらに短くてもよい。場合によっては、試料の信号増強検出器への適用から装置によって受信可能な出力の生成までの期間は、200ミリ秒以上を含む100ミリ秒以上、例えば、500ミリ秒以上、1秒以上、10秒以上、30秒以上、1分以上、5分以上であってもよいか、あるいはさらに長くてもよい。
【0903】
特定の実施形態において、本発明の方法は、レポートを生成するための装置で検出器の出力を処理することを含む。検出器の出力は、上述のように、任意の適切な方法によって装置によって処理されてレポートを生成することができる。
【0904】
本方法の実施形態はさらに、装置によって生成されたレポートを受信することを含むことができる。レポートは、装置の画面に表示されたレポートを見ること、被験者に送信された電子メール又はテキストメッセージを見ること、装置により生成された音声メッセージを聞くこと、装置により生成された振動を感知することなどを含む任意の便利な形式で提供され、受信されてもよいが、それらに限定されない。
【0905】
上述したように、遠隔地にデータを送信することは、任意の便利な方法により達成することができる。このような送信は、電子信号、無線周波数信号、光信号、セルラー信号、或いは有線又は無線接続を介して送信された他の任意のタイプの信号を介して行われてもよい。任意のデータの送信、電子データの説明、本明細書の他の場所に記載された送信は、電子信号、無線周波数信号、光信号、セルラー信号、或いは有線又は無線接続を介して送信された他の任意のタイプの信号を介して行われてもよい。送信されたデータは、入力データ及び/又は処理されたデータ及び/又は生成されたレポートを含むことができる。送信されたデータは、信号増強検出器から取得されなかったデータ、すなわち、被験者から得られた試料の一態様を表さないが、上述のように被験者の他の態様を表すデータを含むことができる。
【0906】
特定の実施形態において、方法は、分析されたデータを受信することを含む。分析されたデータは、被験者により、装置上の画面に表示された分析されたデータを見ること、被験者に送信された電子メール又はテキストメッセージを見ること、装置によって生成された音声メッセージを聞くこと、装置によって生成された振動を感知することなどを含む任意の便利な方法を用いて受信されてもよいが、それらに限定されない。
【0907】
システム
上に要約したように、本発明の態様は、本方法を実施することに使用されるシステムを含む。いくつかの実施形態において、システムは、信号増強検出器からの出力を入力データとして受信し、入力データを処理してレポートを生成し、そしてレポートを受信するように構成された装置を含み、ここで前記信号増強検出器は、前記被験者から提供された試料を取得し、前記試料を表す出力を生成することによって前記出力を示すように構成される。
【0908】
いくつかの実施形態において、信号増強検出器は、マイクロ流体の流体ハンドリング構成要素などのような流体ハンドリング構成要素を含む。流体取扱構成要素は、1つ以上の流体を信号増強検出器に導くように構成されてもよい。いくつかの例において、流体ハンドリング構成要素は、試料溶液、緩衝液などの流体を案内するように構成されるが、それらに限定されない。流体ハンドリング構成要素は、パッシブポンプ及びマイクロ流体チャネルを含むが、これらに限定されない。場合によっては、パッシブポンプは、本明細書で開示される信号増強検出器を通じた毛管作用駆動のマイクロ流体ハンドリング及び流体ルーティングのために構成される。特定の例において、マイクロ流体流体ハンドリング構成要素は、例えば100μL以下、50μL以下、又は25μL以下、又は10μL以下、又は5μL以下、又は1μL以下を含む500μL以下、1mL以下などの少量の流体を送達するように構成される。したがって、特定の実施形態において、システムを動作させるために外部電源が必要とされない。
【0909】
特定の実施形態において、信号増強検出器は、50mm×50mm以下、例えば25mm×25mm以下、又は10mm×10mm以下の寸法を含む5mm×5mm~100mm×100mmの範囲内の寸法を有する。特定の実施形態において、信号増強検出器は、2mm~0.3mm、又は1mm~0.4mmを含む5mm~0.1mm、例えば3mm~0.2mmの範囲内の厚さを有する。
【0910】
いくつかの実施形態において、信号増強検出器は、識別子を有することができる。識別子は、信号増強検出器上に形成された物理的オブジェクトであってもよい。例えば、識別子は、本発明のシステムの装置によって読み取られてもよい。したがって、いくつかの例において、信号強調検出器からの出力は、識別子を含むことができる。いくつかの実施形態において、カメラは、識別子の画像を取り込むことができ、また画像は分析されて信号増強検出器を識別することができる。1つの例において、識別子はバーコードであってもよい。バーコードは、1D又は2Dバーコードであってもよい。いくつかの実施形態において、識別子は、信号増強検出器を識別できる1つ以上の信号を発することができる。例えば、識別子は、信号増強検出器の識別を示すことができる赤外線、超音波、光、音声、電気、又は他の信号を提供することができる。識別子は、無線周波数識別(RFID)タグを利用することができる。識別子は、信号増強検出器のメモリに格納されてもよい。一例において、識別子はコンピュータ可読媒体であってもよい。
【0911】
識別子は、信号増強検出器からの出力を取得し、出力を処理して、試料を表す出力を生成するために使用された信号増強検出器の特定の種類を決定するように構成された装置を可能にする情報を含むことができる。特定の実施形態において、識別子は、試料を表す出力を生成するために使用された信号増強検出器の種類に特定の情報に各識別子キーを関連付けるキーをデータベースに提供する。信号増強検出器の種類に特定の情報は、信号増強検出器が結合するように構成された分析物の識別、特定の分析物が信号増強検出器上に結合することができる位置の座標、各分析物のための検出感度などを含むが、それらに限定されない。データベースは、有効期限、ロット番号などを含む特定の信号増強検出器に関連する他の情報を含むことができる。データベースは、装置上に存在し、コンピュータ可読媒体上に提供されてもよいか、又は遠隔サーバ上の装置によってアクセス可能であってもよい。
【0912】
特定の実施形態において、システムは、物理的な信号増幅プロセスがないが、100倍以上を含む10倍以上、例えば200倍以上、500倍以上、1000倍以上、又はより高い高感度実験室グレードリーダを使用するシステムよりも高い検出感度を有する。特定の実施形態において、システムは、物理的な信号増幅プロセスがないが、200~2000倍、又は500~1000倍を含む10~10,000倍、例えば100~5000倍の高感度実験室グレードリーダを使用するシステムよりも高い検出感度を有する。
【0913】
システムの実施形態は、信号増強検出器からの出力を処理する際にレポートを生成し、そのレポートを被験者に提供するように構成された装置を含む。いくつかの実施形態において、レポートは、疾患などの状態についての被験者に関する診断情報を含むことができる。特定の実施形態において、システムは、85%以上、又は90%以上を含む75%以上、例えば80%以上の診断精度を達成する。
【0914】
有用性
本発明の方法及びシステムは、試料中の1つ以上の分析物の有無及び/又は定量の決定、及び/又は個体の健康の監視が所望される様々な異なる用途に用いられる。例えば、本発明のシステム及び方法は、タンパク質、ペプチド、核酸などの検出に用いられる。場合によっては、本発明のシステム及び方法は、タンパク質の検出に用いられる。
【0915】
いくつかの実施形態において、本発明のシステム及び方法は、試料中の核酸、タンパク質、又は他の生体分子の検出に使用される。方法は、試料中の1組のバイオマーカー、例えば2つ以上の別個のタンパク質バイオマーカーの検出を含むことができる。例えば、方法は、生体試料中の2種類以上の疾患バイオマーカーの迅速な臨床的検出、例えば被験者の疾患状態の診断、又は被験者の疾患状態の進行中の管理又は治療等に使用されてもよい。上記のように、医師又は他のヘルスケア提供者との通信は、医師又は他のヘルスケア提供者が可能性のある懸念を知りかつ認識することをより確保し、したがって適切な処置を取る可能性がより高くなり得る。
【0916】
特定の実施形態において、本発明のシステム及び方法は、バイオマーカーの検出に用いられる。場合によっては、本発明のシステム及び方法は、特定のバイオマーカーの有無、ならびに血液、血漿、血清、又は、限定されないが、尿、血液、血清、血漿、唾液、精液、前立腺液、乳頭吸引液、涙液、汗、糞便、頬のスワブ、脳脊髄液、細胞溶解物試料、羊水、胃腸液、生検組織などの他の体液又は排泄物中の特定のバイオマーカーの濃度の増加又は減少を検出することに用いられてもよい。
【0917】
バイオマーカーの有無又はバイオマーカー濃度の顕著変化は病気リスク、個体における病気の存在の診断、又は個体における病気の治療の調整に用いてもよい。例えば、特定のバイオマーカー又はバイオマーカーグループの存在は個体に与えられる薬剤治療又は投薬方式の選択に影響を及ぼす。潜在的な薬剤療法を評価する時に、バイオマーカーは例えば生存又は不可逆的な病気等の自然エンドポイントの代替物として用いることができる。治療が健康改善に直接的に関連するバイオマーカーを変更すれば、バイオマーカーは特定の治療又は投薬方式の臨床的利点を評価するための代替エンドポイントとして用いることができる。したがって、個体で検出された特定のバイオマーカー又はバイオマーカーのパネルに基づく個人化診断及び治療は、本発明のシステム及び方法によって促進される。さらに、上述のように、疾患に関連するバイオマーカーの早期検出は、本発明の装置及びシステムの高感度によって促進される。感度、スケーラビリティ及び使いやすさと組み合わされたスマートフォンなどのモバイル装置で複数のバイオマーカーを検出する能力のために、本開示のシステム及び方法は、ポータブル及びポイントオブケア又はベッドサイドでの分子診断に用いられる。
【0918】
特定の実施形態において、本発明のシステム及び方法は、疾患又は疾病状態についてのバイオマーカーの検出に用いられる。場合によっては、本発明のシステム及び方法は、細胞信号伝達経路の特徴付け及び薬物発見とワクチン開発のための細胞内通信のためのバイオマーカーの検出に用いられる。例えば、本発明のシステム及び方法は、病的な、健康な、又は良性の試料中のバイオマーカーの量を検出及び/又は定量化することに用いられてもよい。特定の実施形態において、本発明のシステム及び方法は、感染性疾患又は疾患状態についてのバイオマーカーの検出に用いられる。場合によっては、バイオマーカーは分子バイオマーカーであってもよく、タンパク質、核酸、炭水化物、小分子等が挙げられるが、これらに限定されることはない。
【0919】
本発明のシステム及び方法は、上記のようなバイオマーカーの検出及び/又は定量化、無症候性被験者について一定間隔で試料を試験するスクリーニングアッセイ、バイオマーカーの存在及び/又は量を用いて可能性のある疾患経過を予測する予後アッセイ、異なる薬物治療に対する被験者の応答を予測することができる層別アッセイ、薬物治療の有効性が監視される有効性アッセイなどの診断アッセイに用いられるが、これらに限定されない。
【0920】
本発明のシステム及び方法はさらに検証アッセイに用いられる。例えば、検証アッセイを用いて、潜在的な疾患バイオマーカーが多くの個体にわたる疾患の有無の確実な指標であることを検証するか又は確認することができる。本発明のシステム及び方法のアッセイ時間が短く、それにより最も短い時間で複数の試料をスクリーニングするためのスループットの増加を容易にすることができる。
【0921】
いくつかの例において、本方法のシステム及び方法は、実施用の実験室設定を必要とせずに使用することができる。同等の分析研究実験室装置と比較して、本発明の装置及びシステムは、ポータブルなハンドヘルドシステムにおいて比較可能な分析感度を提供する。いくつかの場合では、重量及び操作コストは、典型的な固定実験室装置りも低い。さらに、本発明のシステム及び方法は、医学的訓練を受けていない人による医師の処方が不要の家庭検査のための家庭環境で用いて試料中の1つ以上の分析物を検出することができる。本発明のシステム及び装置は、さらに、迅速な診断のために、臨床的な環境、例えば、ベッドサイド、又はコスト等の理由により固定式研究実験室装置が設置されていない環境に用いられてもよい。
【0922】
キット
本発明の態様は、被験者の健康を監視するための信号増強検出器を提供するキットと、ハンドヘルドデバイス、例えば携帯電話を使用して本発明の方法を実施するための指示とを含む。これらの使用説明書は、様々な形態で本キットに存在してもよく、そのうちの1つ以上の形態がキットに存在してもよい。これらの使用説明書の1つの形態は、情報が印刷された1枚以上の紙のような適切な媒体又は基材上に印刷された情報として、キットのパッケージング、パッケージインサート等に存在してもよい。別の手段は、情報が記録又は格納されたコンピュータ可読媒体、例えば、フロッピーディスク、CD、DVD、ブルーレイ、コンピュータ可読メモリ等である。存在する可能性があるさらに他の手段は、削除されたサイトでの情報にインターネットを介してアクセスしてもよいウェブサイトのアドレスである。キットは、本明細書に記載されるように、さらに装置上の被験者の健康状態を監視するための方法を実施するためのコンピュータ可読媒体上に提供されるソフトウェアを含むことができる。いずれかの便利な手段はキットに存在してもよい。
【0923】
試料、健康状態、及び用途
被験者からの試料、被験者の健康状態、及び本発明の他の用途は、さらに以下に記載される。例示的な試料、健康状態、及び用途は、例えば、米国特許出願公開第2014/0154668号及び同第2014/0045209号にも記載され、それらは参照により本明細書に組み込まれる。
【0924】
本発明は様々な用途に用いられ、そのような用途は、一般的に、所定の試料中の特定の分析物の存在が、定量的ではないにしても、少なくとも定性的に検出される分析物検出適用である。分析物検出アッセイを実行するためのプロトコールは、当業者に周知であり、ここで詳細に説明する必要はない。一般的に、関心のある分析物を含む疑いのある試料は、分析物がセンサに繋がれたそれぞれの捕捉剤に結合するのに十分な条件下で、本発明のナノセンサの表面と接触される。捕捉剤は、目的とする関心のある標的分子に対して非常に特異的な親和性を有する。この親和性は、抗体が抗原上の特異的エピトープに結合する抗原抗体反応、又は核酸の2つ以上の相補鎖間に配列特異的であるDNA/RNAもしくはDNA/RNAハイブリダイゼーション反応であってもよい。したがって、関心のある分析物が試料中に存在する場合、それは捕捉剤の部位でセンサに結合され、複合体がセンサの表面上に形成されるようである。すなわち、捕捉された分析物は、センサの表面に固定化される。次いで、結合していない分析物を除去した後、例えば標識された二次捕捉剤を用いて、センサの表面上のこの結合複合体の存在(すなわち、関心のある固定化された分析物)が検出される。
【0925】
関心のある特定の分析物検出適用は、核酸捕捉剤が使用されるハイブリダイゼーションアッセイ、及びポリペプチド、例えば抗体が使用されるタンパク質結合アッセイを含む。これらのアッセイにおいて、試料が最初に調製され、試料調製後に試料が特異的結合条件下で本発明のナノセンサと接触され、それにより、複合体はセンサの表面に接着した捕捉剤に相補的な標的核酸又はポリペプチド(又は他の分子)の間に形成される。
【0926】
1つの実施形態において、捕獲オリゴヌクレオチドは、20~100塩基長の一端でチオール化された合成一本鎖DNAである。これらの分子は、ナノデバイスの表面に固定化され、固定化された捕捉DNAに相補的な配列を有する標的一本鎖DNA(少なくとも50bpの長さであってもよい)を捕捉する。ハイブリダイゼーション反応の後、配列が標的DNAの非占有核酸に相補的である検出一本鎖DNA(長さが20~100bpであってもよい)は追加されて標的とハイブリダイズする。検出DNAは、一端が蛍光標識に結合され、その放射波長がナノデバイスのプラズモン共鳴内にある。したがって、ナノデバイスの表面から発せられる蛍光発光を検出することによって、標的一本鎖DNAは、正確に検出し定量することができる。捕獲及び検出DNAの長さは、融解温度(ヌクレオチド鎖が融解温度より上に分離する)、誤対合の程度(鎖が長いほど、誤対合を少なくする)を決定する。相補的結合の長さを選択することの懸念の1つは、融解温度を可能な限り高く維持しながら、誤対合を最小限にする必要性に依存する。さらに、最適な信号増幅を達成するために、ハイブリダイゼーション長さの全長が決定される。
【0927】
本発明のセンサは、(a)疾患又は状態を有する疑いのある患者から液体試料を得るステップ、(b)本発明のナノセンサと試料を接触させるステップであって、ナノセンサの捕捉剤が疾患のバイオマーカーに特異的に結合し、かつバイオマーカーと捕捉剤との特異的結合に適した条件下で接触が行われる、ステップ、(c)捕捉剤に結合していない任意のバイオマーカーを除去するステップ、並びに(d)ナノセンサに結合したままのバイオマーカーからの光信号を読み取るステップを含む、疾患又は状態を診断する方法において、使用されてもよく、ここで、光信号は、患者が疾患又は状態を有することを示し、方法はさらに、捕捉剤に結合する前又は後のいずれかに、発光標識でバイオマーカーを標識するステップを含む。以下により詳細に記載されるように、患者は、癌を有する疑いがあり、また抗体は癌バイオマーカーに結合する。他の実施形態において、患者は神経学的障害を有する疑いがあり、抗体は神経学的障害のバイオマーカーに結合する。
【0928】
本発明のセンサの適用は、(a)感染症及び寄生虫疾患、傷害、心臓血管疾患、癌、精神障害、神経精神障害、及び器質性疾患、例えば肺疾患、腎疾患などの特定の疾患の段階と相関する化合物又は生体分子の検出、精製、及び定量、(b)水、土壌などの環境、又は組織、体液などの生体試料からのウイルス、真菌及び細菌などの微生物の検出、精製、及び定量化、(c)有害廃棄物、炭疽菌などの食品安全性又は国家安全保障に危険をもたらす化学物質又は生体試料の検出、定量化、(d)グルコース、血液酸素レベル、全血球数などの医学又は生理学的モニタにおける生体パラメータの定量化、(e)細胞、ウイルス、体液などの生体試料からの特異的DNA又はRNAの検出及び定量化、(f)ゲノム解析のための染色体及びミトコンドリア中のDNA中の遺伝子配列の配列決定及び比較、又は(g)医薬品の合成又は精製中などの反応生成物の検出を含むが、これらに限定されない。
【0929】
検出は、細胞、組織、体液、及び糞便などの様々な試料マトリックス中で実行することができる。対象となる体液は、羊水、房水、硝子体液、血液(例えば全血、分画血液、血漿、血清等)、母乳、脳脊髄液(CSF)、耳垢(耳あか)、乳糜、糜汁、内リンパ液、外リンパ液、糞便、胃酸、胃液、リンパ液、粘液(鼻汁及び粘液質を含む)、心膜液、腹膜液、胸膜液、膿液、粘膜分泌物、唾液、皮脂(皮膚の油)、精液、喀痰、汗、滑液、涙液、嘔吐物、尿、及び呼気凝縮液を含むが、これらに限定されない。
【0930】
いくつかの実施形態において、本発明のバイオセンサは、試料中の病原体から標的核酸を検出することによって病原体感染を診断するために用いることができる。標的核酸は、例えば、ヒト免疫不全ウイルス1及び2(HIV-1及びHIV-2)、ヒトT細胞白血病ウイルス及び2(HTLV-1及びHTLV-2)、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、アデノウイルス、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、エプスタイン-バーウイルス(EBV)、ヒトパピローマウイルス(HPV)、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)、サイトメガロウイルス(CMV)、単純ヘルペスウイルス1及び2(HSV-1及びHSV-2)、ヒトヘルペスウイルス8(HHV-8、カポジ肉腫ヘルペスウイルスとしても知られる)、並びに黄熱病ウイルス、日本脳炎ウイルス、西ナイルウイルス、及びエボラウイルスを含むフラビウイルスから成る群から選択されるウイルス由来であってもよい。しかし、本発明は核酸、例えば、DNA又はRNA、上記ウイルスの配列の検出に限定されず、かつ他の獣医学及び/又は人間医学における重要な病原体に問題なく適用することができる。
【0931】
DNA配列相同性により、ヒトパピローマウイルス(HPV)はさらに70種以上の異なる型に細分される。これらの型は様々な病気を引き起こす。1、2、3、4、7、10、及び26~29型HPVは良性疣贅を引き起こす。5、8、9、12、14、15、17、19~25、及び46~50型HPVは免疫システムが低下している患者の病変を引き起こす。6、11、34、39、41~44及び51~55型は生殖器領域粘膜及び気道粘膜の良性尖形疣贅を引き起こす。16及び18型HPVは、生殖粘膜の上皮異形成を引き起こし、かつ子宮頸部、膣、外陰部、及び肛門管の浸潤癌と高い割合で関連性を持っているため、医学的に特別な関心事である。ヒトパピローマウイルスDNAの組み込みは、子宮頸癌の発癌において決定的であると考えられている。ヒトパピローマウイルスは、例えばそのカプシドタンパク質L1及びL2のDNA配列から検出できる。したがって、本発明の方法は特に、癌の発生リスクを評価するために、組織試料中の16及び/又は18型HPVのDNA配列を検出することに適用する。
【0932】
場合によっては、ナノセンサを用いて、低濃度で存在するバイオマーカーを検出することができる。例えば、ナノセンサは、容易に得られる体液(例えば、血液、唾液、尿、涙など)中の癌抗原を検出し、容易に得られる体液(例えば、神経障害(例えば、アルツハイマー病の抗原)のバイオマーカー)における組織特異的疾患のバイオマーカーを検出し、感染(特に低力価の潜伏性ウイルス、例えばHIVの検出)を検出し、母体血液中の胎児抗原を検出するために、また例えば被験者の血流における外因性化合物(例えば、薬物又は汚染物質)の検出のために用いられてもよい。
【0933】
下表は、本発明のナノセンサ(適切なモノクローナル抗体とともに使用される場合)及びそれらの関連疾患を用いて検出されてもよいタンパク質バイオマーカーのリストを提供する。バイオマーカーの潜在的供給源の1つ(例えば、「CSF」、脳脊髄液)も表に示されている。多くの場合に、本発明のバイオセンサは表示される異なる体液中のバイオマーカーを検出できる。例えば、脳脊髄液(CSF)中に見出されるバイオマーカーは尿、血液、又は唾液中に識別できる。
【0934】
【0935】
本方法、装置、及びシステムにより診断又は計測される健康状態は、化学的バランス、栄養上の健康、運動、疲労、睡眠、ストレス、糖尿病前症、アレルギー、老化、環境有害物質、農薬、除草剤、合成ホルモン類似体への暴露、妊娠、閉経、及び男性休止を含むが、これらに限定されない。
【0936】
特定の実施形態において、2つ以上の異なる核酸試料中の核酸の相対的なレベルは、上記方法を用いて、取得され、比較されてもよい。これらの実施形態において、上記方法から得られた結果は、通常、試料における核酸の総量(例えば、構成的RNA)に対して標準化され、比較される。これは、比率への比較、又は他の手段で実行されてもよい。特定の実施形態において、2つ以上の異なる試料の核酸プロファイルを比較して、特定の疾患又は病態に関連する核酸を識別することができる。
【0937】
いくつかの例では、異なる試料は、「実験的」試料、すなわち、対象となる試料と、実験試料と比較可能な「対照」試料とで構成され得る。多くの実施形態において、異なる試料は、細胞型又はその断片の対であり、1つの細胞型が対象となる細胞型であり、例えば異常細胞であり、他方の細胞型が対照細胞型であり、例えば正常細胞である。細胞の2つの断片を比較する場合、断片は、通常、2つの細胞の各々からの同じ断片である。しかし、特定の実施形態において、同じ細胞の2つの断片を比較することができる。例示的な細胞型対は、例えば、通常、同じ患者からの、組織生検(例えば結腸、乳房、前立腺、肺、皮膚癌のような疾患を患わった組織、又は病原体に感染した組織等)から単離された細胞及び同じ組織からの正常細胞と、病原体に感染されたか又は治療された(例えば、ペプチド、ホルモン、変化した温度、成長条件、物理的な ストレス、細胞形質転換等のような環境的又は化学的要因)不死の組織培養で増殖した細胞(例えば、増殖性突然変異又は不死化導入遺伝子を有する細胞)及び正常細胞(例えば、不死ではなく、感染されていないか又は治療されていないことを除いて、実験細胞と同一である細胞)と、ガン、疾患、年取った哺乳動物、又はある条件に曝露された哺乳動物、及び同じ種の哺乳動物、好ましくは健康又は若年の同じ家系の哺乳動物に由来する細胞を有する哺乳動物から単離された細胞と、分化した細胞及び同じ哺乳動物からの非分化細胞(例えば、哺乳動物において他の細胞の前駆細胞である)とを含む。1つの実施形態において、タイプの異なる細胞、例えば、ニューロン及び非ニューロン細胞、又は状態の異なる細胞(例えば、細胞上の刺激の前後)は使用されてもよい。本発明の別の実施形態において、実験材料は、例えばヒト免疫不全ウイルス(HIV)等のウイルスのような病原体による感染を受けやすい細胞であり、かつ対照物質は、病原体による感染に対して耐性を有する細胞である。本発明の別の実施形態において、試料対は、幹細胞のような未分化細胞及び分化細胞によって表される。
【0938】
固相アッセイ
第1のプレート表面(すなわち固相)に固定化された捕捉剤により試料における標的分析物を捕捉する表面固定化アッセイにおいて、一般的に試料から標的分析物を捕捉するための飽和インキュベーション時間が短いこと、及び/又は溶液中の捕捉剤、検出剤又は他の実体パートナーを第1のプレート表面に固定化するための飽和インキュベーション時間が短いことが望ましい。
【0939】
さらに、表面固定化アッセイ及び他のアッセイにおいて、試料中の標的実体に結合するために、すなわち、良好な混合に必要な時間を短縮するために、他の試薬を試料に迅速に添加して混合する必要がある。
【0940】
本発明の1つの態様は、試料又は液体の厚さを低減及び/又は制御すること、及び/又は試料の厚さを均一にすることにより、飽和インキュベーション時間を短縮できる装置、システム、及び方法に関する。本発明の1つの重要な利点は、迅速で、簡単で、コストが低いことである。例えば、本発明は、任意の複雑なプレハブ式マイクロ流体チャネル及びポンプを使用することなく、飽和インキュベーション時間を、マイクロ流体チャネルベースアッセイの飽和インキュベーション時間以上にすることができることにより、それが簡単で、使いやすく、コストが低い。
【0941】
本発明の1つの基本原理は、表面固定化アッセイにおいて、結合部位領域の寸法(最小のもの)が試料の厚さより大きい場合に結合部位における標的分析物/実体の固定化のための飽和インキュベーション時間が、試料内の標的分析物/実体が試料の厚さの距離にわたって拡散する時間(すなわち、分析物/実体の拡散時間)によって第一に規定されるという事実に基づくものである。試料中のある距離にわたる実体の拡散時間は、距離の二乗に比例し、実体の拡散定数に反比例する。したがって、試料の厚さを減少させることにより、拡散時間が大幅に短縮される。
【0942】
28 スペーサを使用しない試料の厚さの制御及び計測
本発明のいくつかの実施形態において、試料又は関連のある体積の試料を調節するために使用されるスペーサは、(a)プレート間の間隔を計測することができる位置決めセンサ、及び(b)プレート位置を制御し、センサにより提供された情報に基づいてプレートを所望のプレート間の間隔に移動させることができる装置によって置き換えられる。いくつかの実施形態において、全てのスペーサは、移動ステージ、監視センサ及びフィードバックシステムにより置き換えられる。
【0943】
光学的方法を用いた間隔及び/又は試料の厚さの計測 いくつかの実施形態において、内表面間の間隔の計測(f)は、光学干渉の使用を含む。光学干渉は、複数の波長を使用することができる。例えば、第1のプレートと第2のプレートの内表面で反射された光の干渉による光信号は、光の波長で振動する。振動から、内表面間の間隔を決定することができる。干渉信号を補強するために、1つ又は両方の内表面を光反射材料で被覆することができる。
【0944】
いくつかの実施形態において、内表面間の間隔の計測(f)は、光学撮像(例えば、試料の2D(2次元)/3D(3次元)画像を撮像し、該撮像は、異なる視野角、異なる波長、異なる位相、及び/又は異なる偏光で行うことができる)及び画像処理を含む。
【0945】
光学的方法を用いた試料全体の面積又は体積の計測 いくつかの実施形態において、試料全体の面積又は体積の計測(f)は、光学撮像(例えば、試料の2D(2次元)/3D(3次元)画像を撮像し、該撮像は、異なる視野角、異なる波長、異なる位相、及び/又は異なる偏光で行うことができる)及び画像処理を含む。試料の面積は、第1のプレート及び第2のプレートにほぼ平行な方向の面積を指す。3D画像化は、オブジェクトの3次元(3D)画像を取得するための最も一般的な方法の1つである干渉縞投影プロフィロメトリー(FPP)の方法を使用することができる。
【0946】
いくつかの実施形態において、画像化による試料の面積又は体積の計測は、(a)面積又は体積が既知の試料を使用して画像スケールを較正すること(例えば、撮像装置はスマートフォンであり、該スマートフォンで撮像された画像の寸法は、同一のスマートフォンで撮像された寸法が既知の試料の画像と比較することにより較正できる)、(b)画像と、第1のプレート及び第2のプレートに又はその近くに配置されたスケールマーカー(定規)とを比較すること(本明細書でさらに論じる)、及び(c)それらの組み合わせを含む。
【0947】
本明細書で使用されるように、光は、可視光、紫外光、赤外光、及び/又は近赤外光を含むことができる。光は、20nm~20,000nmの範囲内の波長を含むことができる。
【0948】
29 実施形態のその他の説明
以下の方法、装置、及びシステムを提供する。これらの実施形態は、上記又は下記の構成要素、材料、パラメータ又はステップのいずれかを使用して実施することができる。次の実施形態は、CROFプレートを使用する。
実施形態1.
(a)分析物を含有する試料を取得するステップ、
(b)異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレートと第2のプレートを取得するステップであって、それぞれのプレートが、実質的に平坦な試料接触面を有し、1つ又は2つのプレートが可撓性であり、前記プレートの1つ又は2つがスペーサを含み、これらのスペーサが、それぞれの試料接触面に固定され、前記スペーサが、所定の実質的に均一な高さ、及び、前記分析物の大きさよりも少なくとも約2倍大きく最大200μm(マイクロメータ)である所定の一定のスペーサ間距離を有する、ステップ、
(c)プレートが開放構成で構成されている時に、試料をプレートの1つ又は2つに付着させるステップであって、前記開放構成は、2つのプレートが部分的又は完全に離れておりかつ前記プレート間の距離が前記スペーサにより調節されない、構成である、ステップ、
(d)(c)の後、前記2つのプレートを用いて前記試料の少なくとも一部を圧縮して実質的に均一な厚さの層にするステップであって、前記均一な厚さが前記プレートの前記試料接触面によって制限され、前記層の前記均一な厚さが前記スペーサと前記プレートによって調節され、前記圧縮は、
前記2つのプレートを一体にすること、及び
前記プレートを一緒に閉鎖構成までプレスするために、並行して又は順次に前記プレートのうち少なくとも1つのプレートの1つの領域を適当にプレスし、前記適当なプレスにより前記試料の前記少なくとも一部に対する前記プレート上の実質的に均一な圧力が生成され、前記プレスにより前記試料の前記少なくとも一部が前記プレートの前記試料接触面間に横方向に広がり、前記閉鎖構成が、均一な厚さ領域の前記層における前記プレート間の前記距離が前記スペーサにより調節される構成であること
を含む、ステップ、並びに
(e)前記プレートが前記閉鎖構成である間に、前記均一な厚さの層内の前記分析物を分析するステップ
を含む、液体試料を分析するための方法であって、
適当なプレスは、前記プレートの外面の形状変化に関わらず、ある領域に加えた圧力を実質的に一定にする方法であり、
前記並行プレスは、所期の領域に圧力を同時に加え、前記順次プレスは、所期の領域の一部に圧力を加え、かつ徐々に他の領域に移行する、方法。
実施形態2.
第1のプレート及び第2のプレート
を含み、
i.前記プレートは、異なる構成になるように互いに対して移動可能であり、
ii.前記プレートの1つ又は2つは可撓性であり、
iii.各プレートは、そのそれぞれの表面に、分析物を含む試料と接触するための試料接触領域を有し、
iv.前記プレートの1つ又は2つは、それぞれの試料接触領域に固定されたスペーサを含み、前記スペーサは、所定の実質的に均一な高さ、及び、前記分析物の大きさより少なくとも約2倍大きく最大200μmである所定の一定のスペーサ間の距離を有し、少なくとも1つのスペーサは、前記試料接触領域内にあり、
1つの構成は、2つのプレートが離れておりプレート間の間隔がスペーサにより調節されずかつ試料が1つ又は2つのプレートに付着する、開放構成であり、かつ
別の構成は、試料が開放構成で付着した後に構成された閉鎖構成であり、閉鎖構成では、試料の少なくとも一部は、2つのプレートにより圧縮されて非常に均一な厚さの層になり、前記層の均一な厚さは、プレートの試料接触表面により制限され、スペーサ及びプレートにより調節される、液体試料を分析するための装置。
実施形態3.
(a)血液試料を取得するステップ、
(b)異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを取得するステップであって、各プレートは、実質的に平坦な試料接触表面を有し、1つ又は2つのプレートは可撓性であり、1つ又は2つのプレートは、それぞれの試料接触表面に固定されたスペーサを含み、スペーサは、
i.所定の実質的に均一な高さと、
ii.実質的に均一な断面及び平坦な上面を有する柱形状と、
iii.1以上の、高さに対する幅の比と、
iv.10]m~200]mの範囲内の所定の一定のスペーサ間の距離と、
v.1%以上の充填率と、
vi.スペーサの充填率とヤング率との2MPa以上の積と
を有する、ステップ、
(c)プレートが開放構成で構成されている時に、1つ又は2つのプレートに血液試料を付着させるステップであって、開放構成は、2つのプレートが部分的又は完全に離れておりかつプレート間の間隔がスペーサにより調節されない、構成である、ステップ、
(d)(c)の後、2つのプレートを用いて、血液試料の少なくとも一部を圧縮して実質的に均一な厚さの層にするステップであって、実質的に均一な厚さは、プレートの試料接触表面により制限され、前記層の均一な厚さは、スペーサ及びプレートにより調節され、かつ10%より小さな変動を伴う1.8]m~3]mの範囲内の平均値を有し、前記圧縮は、
前記2つのプレートを一体にすること、及び
前記プレートを一緒に閉鎖構成までプレスするために、並行して又は順次に前記プレートのうち少なくとも1つの1つの領域を適当にプレスし、前記適当なプレスにより前記試料の前記少なくとも一部を介して前記プレートに実質的に均一な圧力が生成され、前記プレスにより前記試料の前記少なくとも一部が前記プレートの前記試料接触面間に横方向に広がり、前記閉鎖構成が、均一な厚さ領域の前記層における前記プレート間の前記距離が前記スペーサにより調節される構成であること
を含む、ステップ、並びに
(e)プレートが閉鎖構成にある間に、均一な厚さの層内の血液を分析するステップ
を含む、血液試料を分析するための方法であって、
充填率は、総プレート面積に対するスペーサ接触面積の比であり、
前記適当なプレスは、前記プレートの外面の形状変化に関わらず、ある領域に加えた圧力を実質的に一定にする方法であり、かつ
前記並行プレスは、所望の領域に圧力を同時に加え、前記順次プレスは、所定の領域の一部に圧力を加え、かつ徐々に他の領域に移行する、方法。
実施形態4.
第1のプレート及び第2のプレート
を含み、
v.プレートは、異なる構成になるように互いに対して移動可能であり、
vi.1つ又は2つのプレートが可撓性であり、
vii.各プレートは、そのそれぞれの表面に、血液試料と接触するための試料接触領域を有し、
viii.1つ又は2つのプレートは、それぞれのプレートに固定されたスペーサを含み、スペーサは、所定の実質的に均一な高さ、及び7]m~200]mの範囲内の所定の一定のスペーサ間の距離を有し、少なくとも1つのスペーサは、試料接触領域内にあり、
1つの構成は、2つのプレートが離れておりプレート間の間隔がスペーサにより調節されずかつ試料が1つ又は2つのプレートに付着する、開放構成であり、かつ
別の構成は、試料が開放構成で付着した後に構成された閉鎖構成であり、閉鎖構成では、試料の少なくとも一部は、2つのプレートにより圧縮されて非常に均一な厚さの層になり、前記層の均一な厚さは、2つのプレートの内表面により制限され、スペーサ及びプレートにより調節され、かつ小さな変動を伴う1.8]m~3]mの範囲内の平均値を有する、液体試料を分析するための装置。
実施形態5.液体試料の一部において標的実体を局所的に結合するための方法であって、
(a)試料中に拡散できる標的実体を含有する試料を取得するステップ、
(b)異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを取得するステップであって、1つ又は2つのプレートは、それぞれのプレート上に固定され、所定の実質的に均一な高さを有するスペーサを含み、第1のプレートはその表面に結合部位を含み、前記結合部位は所定の領域を有し、かつ標的実体に結合して標的実体を固定化する、ステップ、
(c)プレートが開放構成で構成されている時に、試料をプレートの1つ又は2つに付着させるステップであって、前記開放構成は、2つのプレートが部分的又は完全に離れておりかつ前記プレート間の距離がスペーサにより調節されない、構成である、ステップ、
(d)(c)の後、2つのプレートを閉鎖構成にすることにより試料を圧縮するステップであって、閉鎖構成は、試料の少なくとも一部が圧縮されて均一な厚さの層になり、前記層が、2つのプレートの内表面に接触し内表面によって制限されかつ結合部位に接触する、構成であり、層の均一な厚さが、スペーサ及びプレートにより調節され、250μmより小さく、かつ結合部位の所定の領域の直線寸法より実質的に小さい、ステップ、
(e)(d)の後かつプレートが閉鎖構成にある間に、
(1)関連のある時間長さで試料をインキュベートし、次にインキュベーションを停止するステップ、あるいは、
(2)関連のある時間長さの最小値以上の時間で試料をインキュベートし、次に、関連のある時間長さの最大値以下の時間内に標的実体の結合部位への結合を評価するステップ
であって、
関連のある時間長さは、
i.標的実体が閉鎖構成で均一な厚さの層の厚さにわたって拡散するのに必要な時間以上であり、かつ
ii.標的実体が横方向に結合部位の最小横方向寸法にわたって拡散するのに必要な時間より顕著に短く、
(1)におけるインキュベーションの終了時又は(2)における評価の間、結合部位に結合される大部分の標的実体は関連のある体積の試料に由来し、
インキュベーションにより、標的実体が結合部位に結合することが可能となり、関連のある体積は、閉鎖構成で結合部位にある試料の一部である、ステップ
を含む、方法。
実施形態6.標的実体を液体試料の一部に局所的に結合するための装置であって、
第1のプレート及び第2のプレート
を含み、
i.プレートは、異なる構成になるように互いに対して移動可能であり、1つ又は2つのプレートは可撓性であり、
iii.各プレートは、そのそれぞれの表面に、試料中に拡散できる実体を含む試料と接触するための試料接触領域を有し、
iv.前記プレートの1つは、その試料接触領域上に固定化した結合部位を有し、前記結合部位は、所定の領域を有し、かつ前記標的実体に結合してそれを固定化した結合部位を有し、
v.1つ又は2つのプレートは、それぞれのプレートに固定されたスペーサを含み、スペーサは、所定の実質的に均一な高さ、及び所定の一定のスペーサ間の距離を有し、少なくとも1つのスペーサは、試料接触領域内にあり、
1つの構成は、2つのプレートが部分的又は完全に離れておりプレート間の間隔がスペーサにより調節されずかつ試料が1つ又は2つのプレートに付着する、開放構成であり、かつ
別の構成は、試料が開放構成で付着した後に構成された閉鎖構成であり、閉鎖構成では、試料の少なくとも一部は、2つのプレートにより圧縮されて均一な厚さの層になり、均一な厚さの層の少なくとも一部は、結合部位の上にあり、かつ層の均一な厚さは、2つのプレートの内表面により制限され、スペーサ及びプレートにより調節され、250μmより小さく、かつ結合部位の所定の領域の平均直線寸法より実質的に小さい、装置。
実施形態7.液体試料の一部に試薬を局所的に放出する方法であって
(a)試料を取得するステップ、
(b)異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを取得するステップであって、
(i)1つ又は2つのプレートは、それぞれのプレートに固定されたスペーサを含み、
(ii)スペーサは、所定の均一な高さを有し、
(iii)第1のプレートは、その表面に貯蔵部位を含み、前記貯蔵部位は、所定の領域を有しかつ試薬を含み、前記試薬は、試料に接触すると試料中に溶解して試料中に拡散する、ステップ、
(c)プレートが開放構成で構成されている時に、試料をプレートの1つ又は2つに付着させるステップであって、前記開放構成は、2つのプレートが部分的又は完全に離れておりかつ前記プレート間の距離がスペーサにより調節されない、構成である、ステップ、
(d)(c)の後、2つのプレートを閉鎖構成にすることにより試料を圧縮するステップであって、閉鎖構成は、試料の少なくとも一部が圧縮されて均一な厚さの層になり、前記層が2つのプレートの内表面によって制限されかつ貯蔵部位を被覆する、構成であり、層の均一な厚さが、スペーサ及びプレートにより調節され、250μmより小さく、かつ貯蔵部位の所定の領域の直線寸法より実質的に小さい、ステップ、
(e)ステップ(d)の後かつプレートが閉鎖構成にある間に、関連のある時間長さで試料をインキュベートし、次にインキュベーションを停止するステップであって、
関連のある時間長さは
i.閉鎖構成において、標的実体が均一な厚さの層の厚さにわたって拡散するのに必要な時間以上であり、かつ
ii.標的実体が結合部位の所定の領域の直線寸法にわたって横方向に拡散するのに必要な時間より短く、
それにより、インキュベーションの後、当初は貯蔵部位にある試薬の大部分は、関連のある体積の試料中にあり、
インキュベーションは、試薬が試料と結合又は混合することを可能にする過程であり、関連のある体積は、閉鎖構成で結合部位にある試料の一部分である、ステップ
を含む、方法。
実施形態8.液体試料の一部に試薬を局所的に放出するための装置であって、
第1のプレート及び第2のプレート
を含み、
i.前記プレートは、異なる構成になるように互いに対して移動可能であり、
ii.前記プレートの1つ又は2つは可撓性であり、
vi.各プレートは、そのそれぞれの表面に、試料と接触するための試料接触領域を有し、
vii.プレートの1つは、その試料接触領域に貯蔵部位を含み、前記貯蔵部位は、所定の領域を有しかつ試薬を含み、前記試薬は、試料に接触すると試料中に溶解して試料中に拡散し、かつ標的実体に結合し、
viii.前記プレートの1つ又は2つは、それぞれのプレートに固定されたスペーサを含み、スペーサは、(a)250]m以下であり試薬部位の所定の領域の平均直線寸法より実質的に小さい、所定の実質的に均一な高さ、及び(b)200]m以下の範囲内の所定の一定のスペーサ間の距離を有し、少なくとも1つのスペーサは、試料接触領域内にあり、
1つの構成は、2つのプレートが部分的又は完全に離れておりプレート間の間隔がスペーサにより調節されずかつ試料が1つ又は2つのプレートに付着する、開放構成であり、
別の構成は、試料が開放構成で付着した後に構成された閉鎖構成であり、閉鎖構成では、試料の少なくとも一部は、2つのプレートにより圧縮されて均一な厚さの層になり、均一な厚さの層の少なくとも一部は、結合部位の上にあり、かつ層の均一な厚さは、2つのプレートの内表面により制限され、スペーサ及びプレートにより調節される、装置。
実施形態9.関連のある体積の試料中の標的実体をプレート表面の結合部位に結合するための時間を短縮するための方法であって、
(a)試料中に拡散できる標的実体を含有する試料を取得するステップ、
(b)異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを取得するステップであって、1つ又は2つのプレートは、それぞれのプレート上に固定されたスペーサを含み、1つ又は2つのプレートは可撓性であり、スペーサは、所定の実質的に均一な高さ、及び所定の一定のスペーサ間の距離を有し、第1のプレートはその表面に結合部位を含み、結合部位は所定の領域を有し、かつ標的実体に結合して固定化する、ステップ、
(c)プレートが開放構成で構成されている時に、試料をプレートの1つ又は2つに付着させるステップであって、前記開放構成は、2つのプレートが部分的又は完全に離れておりかつ前記プレート間の距離がスペーサにより調節されない、構成である、ステップ、
(d)(c)の後、2つのプレートを閉鎖構成にすることにより試料を圧縮するステップであって、閉鎖構成は、関連のある体積の試料の厚さが、プレートの開放構成の時と比較して減少し実質的に均一な厚さの層になり、実質的に均一な厚さは、少なくとも1mm2の側面積を有し2つのプレートの内表面によって制限されかつ結合部位を被覆する、構成であり、前記層の均一な厚さが、スペーサ及びプレートにより調節され、250μmより小さく、かつ結合部位の所定の領域の直線寸法より実質的に小さく、関連のある体積は、試料の体積の一部又は全部である、ステップ
を含み、
関連のある体積の試料の厚さを減少させることによって、関連のある体積における結合部位と標的実体との間の結合が平衡に達するための時間が短縮される、方法。
実施形態10.標的実体を液体試料の一部に局所的に結合するための装置であって、
第1のプレート及び第2のプレート
を含み、
i.プレートは、異なる構成になるように互いに対して移動可能であり、1つ又は2つのプレートは可撓性であり、
iii.各プレートは、そのそれぞれの表面に試料と接触するための試料接触領域を有し、試料接触領域は、試料中に拡散できる実体を含み、
iv.前記プレートの1つは、その試料接触領域上に結合部位を有し、前記結合部位は、所定の領域を有し、かつ前記標的実体に結合してそれを固定化し、
v.1つ又は2つのプレートは、それぞれのプレートに固定されたスペーサを含み、スペーサは、所定の実質的に均一な高さ、及び所定の一定のスペーサ間の距離を有し、少なくとも1つのスペーサは、試料接触領域内にあり、
1つの構成は、2つのプレートが部分的又は完全に離れておりプレート間の間隔がスペーサにより調節されずかつ試料が1つ又は2つのプレートに付着する、開放構成であり、かつ
別の構成は、試料が開放構成で付着した後に構成された閉鎖構成であり、閉鎖構成では、試料の少なくとも一部は、2つのプレートにより圧縮されて均一な厚さの層になり、均一な厚さの層の少なくとも一部は、結合部位の上にあり、かつ層の均一な厚さは、2つのプレートの内表面により制限され、スペーサ及びプレートにより調節され、250μmより小さく、結合部位の所定の領域の平均直線寸法より実質的に小さく、
関連のある体積の試料の厚さを減少させることは、関連のある体積における結合部位と標的実体との間の結合が平衡に達するための時間を短縮する、装置。
実施形態11.流体的隔離無しでの液体試料の並行多重化アッセイのための方法であって、
(a)試料中に拡散できる1つ以上の標的分析物を含有する試料を取得するステップ、
(b)異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを取得するステップであって、
i.1つ又は2つのプレートは、それぞれのプレートに固定されたスペーサを含み、1つ又は2つのプレートは可撓性であり、
ii.スペーサは、所定の実質的に均一な高さ、及び所定の一定のスペーサ間の距離を有し、
iii.第1のプレートは、その表面に、(a)の対応する標的分析物に結合して固定化する捕捉剤を含む所定の領域をそれぞれ有する1つ以上の結合部位を有し、かつ
iv.第2のプレートは、その表面に1つ以上の対応する貯蔵部位を含み、前記貯蔵部位はそれぞれ、所定の領域を有し、試料に接触すると試料中に溶解して試料中に拡散するある濃度の検出剤を含み、
各捕捉剤、標的分析物、及び対応する検出剤は、第1のプレートの結合部位に捕捉剤-標的分析物-検出剤サンドイッチを形成できる、ステップ、
(c)プレートが開放構成で構成されている時に、試料をプレートの1つ又は2つに付着させるステップであって、前記開放構成は、2つのプレートが部分的又は完全に離れておりかつ前記プレート間の距離がスペーサにより調節されない、構成である、ステップ、
(d)(c)の後、2つのプレートを閉鎖構成にすることにより試料を圧縮するステップであって、閉鎖構成は、
i.試料の少なくとも一部が、圧縮されて均一な厚さの層になり、前記層が、2つのプレートの内表面に接触し前記内表面によって制限され、かつ1つ以上の結合部位及び1つ以上の貯蔵部位に接触し、
ii.1つ以上の対応する貯蔵部位が1つ以上の結合部位の上にあり、かつ
iii.層の均一な厚さが、スペーサ及びプレートにより調節され、250μmより小さく、かつ各貯蔵部位の所定の領域の直線寸法より実質的に小さい、
構成である、ステップ、
(e)(d)の後かつプレートが閉鎖構成にある間に、
(1)関連のある時間長さで試料をインキュベートし、次にインキュベーションを停止するステップ、あるいは、
(2)関連のある時間長さの最小値以上の時間で試料を試料し、次に、関連のある時間長さの最大値以下の時間内に各標的分析物の結合部位への結合を評価するステップ
であって、
関連のある時間長さは、
i.閉鎖構成において、(a)の標的分析物が均一な厚さの層の厚さにわたって拡散するのに必要な時間以上であり、かつ
ii.(a)の標的分析物が結合部位の所定の領域の直線寸法にわたって横方向に拡散するのに必要な時間より顕著に短く、
それにより、反応が生じ、前記反応において、(1)におけるインキュベーションの終了時又は(2)における評価の間、各結合部位に結合した捕捉剤-標的分析物-検出剤サンドイッチの大部分が、対応する関連のある体積の試料に由来し、
インキュベーションにより、各標的分析物が結合部位及び検出剤に結合することが可能となり、対応する関連のある体積は、閉鎖構成で対応する貯蔵部位にある試料の一部分であり、隣接した貯蔵部位の縁部間の分離間隔と隣接した結合部位の縁部間の分離間隔は、標的分析物又は検出剤が関連のある時間で拡散できる距離より大きく、結合部位及び/又は貯蔵部位の間に流体的隔離がない、ステップ
を含む、方法。
実施形態12.流体的隔離無しでの液体試料の並行多重化アッセイのための装置であって、
第1のプレート及び第2のプレートを含み、
i.プレートは、異なる構成になるように互いに対して移動可能であり、1つ又は2つのプレートは可撓性であり、
ii.1つ又は2つの前記プレートは、それぞれのプレートに固定されたスペーサを含み、スペーサは、所定の実質的に均一な高さ、及び所定の一定のスペーサ間の距離を有し、
iii.各前記プレートは、そのそれぞれの表面に、試料中に拡散できる1つ以上の標的分析物を含む試料と接触するための試料接触領域を有し、
iv.前記第1のプレートは、その表面に、試料の対応する標的分析物に結合して固定化する捕捉剤を含む所定の領域をそれぞれ有する1つ以上の結合部位を有し、かつ
v.第2のプレートは、その表面上に1つ以上の対応する貯蔵部位を有し、前記貯蔵部位はそれぞれ、所定の領域を有し、試料に接触すると試料中に溶解して試料中に拡散するある濃度の検出剤を含み、
各捕捉剤、標的分析物、及び対応する検出剤は、第1のプレートの結合部位に捕捉剤-標的分析物-検出剤サンドイッチを形成でき、
1つの構成は、2つのプレートが部分的又は完全に離れておりプレート間の間隔がスペーサにより調節されずかつ試料が1つ又は2つのプレートに付着する、開放構成であり、かつ
別の構成は、試料が開放構成で付着した後に構成された閉鎖構成であり、閉鎖構成では、
i.試料の少なくとも一部が、圧縮されて均一な厚さの層になり、前記層が、2つのプレートの内表面に接触し前記内表面によって制限され、かつ1つ以上の結合部位及び1つ以上の貯蔵部位に接触し、
ii.1つ以上の対応する貯蔵部位が1つ以上の結合部位の上にあり、
iii.層の均一な厚さが、スペーサ及びプレートにより調節され、かつ250μmより小さく、貯蔵部位の所定の領域の直線寸法より実質的に小さく、かつ
iv.結合部位及び/又は貯蔵部位の間に流体的隔離が存在せず、
隣接した貯蔵部位の縁部間の分離間隔及び隣接した結合部位の縁部間の分離間隔は、関連のある時間内で標的分析物又は検出剤が拡散できる距離より大きく、かつ結合部位及び/又は貯蔵部位の間に流体的隔離が存在しない、装置。
実施形態13A.携帯電話を用いて試料を迅速に分析するシステムであって、
(a)CROF装置の1つ又は2つのプレートが、異なる構成になるように互いに対して移動可能であり、
i.1つの構成は、2つのプレートが部分的又は完全に離れておりプレート間の間隔がスペーサにより調節されずかつ試料が1つ又は2つのプレートに付着する、開放構成であり、かつ
ii.別の構成は、試料が開放構成で付着した後に構成された閉鎖構成であり、閉鎖構成では、試料の少なくとも一部は、2つのプレートにより圧縮されて均一な厚さの層になり、均一な厚さの層は、2つのプレートの内表面に接触しかつ前記内表面により制限され、スペーサ及びプレートにより調節される、CROF装置と、
(b)i.試料を検出及び/又は画像化するための1つ以上のカメラ、
ii.検出された信号及び/又は試料の画像を受信及び/又は処理するため、並びに遠隔通信するための電子部品、信号プロセッサ、ハードウェア、及びソフトウェア
を含むモバイル通信装置と、
(c)モバイル通信装置又は外部源のいずれか一方からの光源と
を含む、システム。
実施形態13B.携帯電話を用いて試料を迅速に分析するための方法であって、
(a)実施形態13AのシステムのCROF装置上に試料を付着させるステップ、
(b)結果を生成するために、CROF装置上に付着した試料をアッセイするステップ、
(c)モバイル通信装置からの結果をモバイル通信装置から遠く離れた位置に伝達するステップ
を含む、方法。
実施形態14.
(a)試料中に拡散できる分析物を含有する試料を取得するステップ、
(b)異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを取得するステップであって、1つ又は2つのプレートは、それぞれのプレートに固定されたスペーサを含み、スペーサは所定の均一な高さを有し、第1のプレートは、その表面に、所定の領域を有する分析物アッセイ領域を含む、ステップ、
(c)プレートが開放構成で構成されている時に、試料をプレートの1つ又は2つに付着させるステップであって、前記開放構成は、2つのプレートが部分的又は完全に離れておりかつ前記プレート間の距離がスペーサにより調節されない、構成である、ステップ、
(d)(c)の後、2つのプレートを用いて、試料の少なくとも一部を圧縮して均一な厚さの層にするステップであって、均一な厚さは2つのプレートの内表面により限定され、層の均一な厚さは、スペーサ及びプレートにより調節され、かつ分析物アッセイ領域の所定の横方向領域の直線寸法より実質的に小さく、前記圧縮は、
前記2つのプレートを一体にすること、及び
前記プレートを一緒にプレスして閉鎖構成にするように、プレートの外表面に外力を加えること
を含み、前記力は、試料の少なくとも一部の上方に位置するプレート上に圧力を生成し、圧力は、前記試料の少なくとも一部をプレートの内表面の間に横方向に広げ、前記閉鎖構成は、均一な厚さ領域の層内のプレート間の間隔がスペーサにより調節される、構成である、ステップ、
(e)プレートが閉鎖構成にある間に、(i)分析物が均一な厚さの層の厚さにわたって拡散するのに必要な時間とほぼ等しいか又はそれより長い時間で、かつ(i)分析物が分析物アッセイ領域にわたって拡散するのに必要な時間より顕著に短い時間で、試料をインキュベートするステップ、並びに
(f)ステップ(e)の直後に、インキュベーションを停止してアッセイ領域内の分析物を計測するステップ、あるいは、プレートが閉鎖構成である間にインキュベーションを続け、かつ、分析物が分析物アッセイ領域全体にわたって拡散するのに必要な時間より顕著に短い時間で、アッセイ領域内の分析物を計測するステップ
を含む、液体試料を分析する方法。
【0949】
以下の説明は、上記の実施形態1~14に適用されてもよい。
【0950】
CROFを使用する任意の実施形態において、スペーサは、試料厚さ制御の良好な均一性のために、試料領域の内にあり、試料の関連のある領域の内側にある。
【0951】
CROFを使用する任意の実施形態において、2つのプレートのうちの少なくとも1つは、厚さが1μm~50μmのプラスチックフィルムであってもよい。
【0952】
CROFを使用する任意の実施形態において、2つのプレートのうちの少なくとも1つは、厚さが50μm~100μmのプラスチックフィルムであってもよい。
【0953】
CROFを使用する任意の実施形態において、2つのプレートのうちの少なくとも1つは、厚さが100μm~150μmのプラスチックフィルムであってもよい。
【0954】
CROFを使用する任意の実施形態において、2つのプレートのうちの少なくとも1つは、厚さが150μm~250μmのプラスチックフィルムであってもよい。
【0955】
CROFを使用する任意の実施形態において、2つのプレートは、各プレートの厚さが10μm~300μmから独立して選択される薄いプラスチックフィルムであってもよい。
【0956】
CROFを使用する任意の実施形態において、2つのプレートは、各プレートの厚さが100μm~200μmから独立して選択される薄いプラスチックフィルムであってもよい。
【0957】
CROFを使用する任意の実施形態において、2つのプレートは、各プレートの厚さが10μm~100μmから独立して選択される薄いプラスチックフィルムであってもよい。
【0958】
CROFを使用する任意の実施形態において、プレート上のスペーサの高さは5nm~100nmの範囲にあってもよい。
【0959】
CROFを使用する任意の実施形態において、プレート上のスペーサの高さは100nm~500nmの範囲にあってもよい。
【0960】
CROFを使用する任意の実施形態において、プレート上のスペーサの高さは500nm~1μmの範囲にあってもよい。
【0961】
CROFを使用する任意の実施形態において、プレート上のスペーサの高さは1μm~2μmの範囲にあってもよい。
【0962】
CROFを使用する任意の実施形態において、プレート上のスペーサの高さは2μm~5μmの範囲にあってもよい。
【0963】
CROFを使用する任意の実施形態において、プレート上のスペーサの高さは5μm~10μmの範囲にあってもよい。
【0964】
CROFを使用する任意の実施形態において、プレート上のスペーサの高さは10μm~30μmの範囲にあってもよい。
【0965】
CROFを使用する任意の実施形態において、プレート上のスペーサの高さは30μm~50μmの範囲にあってもよい。
【0966】
CROFを使用する任意の実施形態において、プレート上のスペーサの高さは50μm~100μmの範囲にあってもよい。
【0967】
CROFを使用する任意の実施形態において、スペーサ間の距離(ISD)は200μm以下である。
【0968】
CROFを使用する任意の実施形態において、スペーサ間の距離(ISD)は150μm以下である。
【0969】
CROFを使用する任意の実施形態において、スペーサ間の距離(ISD)は100μm以下である。
【0970】
CROFを使用する任意の実施形態において、スペーサ間の距離(ISD)は80μm以下、例えば、60μm以下、40μm以下、又は20μm以下である。
【0971】
CROFを使用する任意の実施形態において、スペーサの高さに対する幅比は少なくとも1.5(例えば、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4又は少なくとも5)である。
【0972】
CROFを使用する任意の実施形態において、柱の高さに対する柱幅の比は少なくとも1、少なくとも2、少なくとも5、又は少なくとも10であってもよい。
【0973】
CROFを使用する任意の実施形態において、プレート間の距離は2~50μmの範囲にあり、かつ任意の測定は1分間より少ない飽和時間を有する。
【0974】
CROFを使用する任意の実施形態において、方法は洗浄を含む。
【0975】
CROFを使用する任意の実施形態において、方法は洗浄を含まない。
【0976】
CROFを使用する任意の実施形態において、1分間未満のインキュベーション後に、方法は、1nM未満の感度を有し、例えば、0.1nmol、10pmol、1pmol、0.1pmol、10fmol、1fmol又は0.1fmolである。
【0977】
CROFを使用する任意の実施形態において、特に柱の高さが約100μm未満である場合、スペーサの幅に対する周期の比は約7.0未満(例えば、約7.0~1.0)であってもよい。
【0978】
CROFを使用する任意の実施形態において、プレートは、20~200μm、例えば10~50μm又は50~200μmの厚さを有してもよい。
【0979】
CROFを使用する任意の実施形態において、試料の体積は0.5μm未満、例えば0.5μm未満、0.4μm未満、0.3μm未満、0.2μm未満、又は0.1μm未満であってもよい。
【0980】
CROFを使用する任意の実施形態において、スペーサ間の距離は200μm未満、例えば、20~200μm、20~50μm又は50~200μmであってもよい。
【0981】
CROFを使用する任意の実施形態において、装置は、1分間より少なく、例えば、10sより少なく手で圧縮することができる。
【0982】
30 シグナル増幅表面を用いた均質アッセイ
アッセイの多くの適用において、特にPoC又は他の迅速アッセイにおいて、洗浄ステップを回避することが望ましい。本発明の一態様は、アッセイ洗浄を回避できる装置、システム及び方法に関する。
【0983】
シグナル増幅表面を組み込むこと及び/又は使用することにより、開示された装置、システム及び方法は、洗浄しない状況でアッセイの実行を容易にすることができる。表面増幅表面は、表面から短距離(例えば、20nm、又は50nm、又は100nm)に放射された光のみを増幅することができる。表面増幅層の一例は、D2PAである。
【0984】
31 リング状スペーサを有するCROFを用いるアッセイ加速の例
ポリスチレン薄膜をそのうちの1つのCROFプレートとし、薄板ガラスを他のプレートとし、ワックスリングをスペーサとしかつポリスチレンプレート上に固定するアッセイ加速の実験を行った。CROFプロセスにおいて、リング状スペーサ内(かつ中心に、滴下する時に小さな液滴を形成する)に、2uL(マイクロリットル)の試料を滴下し、かつ2つのプレートによって圧縮してより薄いフィルムにし、プレートの間の距離をリング状スペーサにより調節した(すなわち、2つのCROFプレートの閉鎖構成である)。プレートを手で圧縮した。試料厚さがプレートの閉鎖構成において均一であるとわかった。均一である1つの主な原因は、試料の体積がリング状スペーサと2つのプレートとの間の体積と同じであることである。免疫学的アッセイとDNAハイブリダイゼーションアッセイをいずれも実行した。
【0985】
免疫学的アッセイ検査(高さが約40μm、直径が0.8cmのワックスリング状スペーサ)において、プロテインAを捕捉剤としてポリスチレン表面に塗布して、標識されたIgGを分析物として使用した。プロテインAと標識されたIgGとの結合のためにインキュベートした後、結合しないIgGを洗浄し、かつ捕捉されたIgG標識を計測した。異なるインキュベーション時間を検査する。本発明者らの実験によると、結合は、1minより少ないインキュベーション時間内に飽和する(すなわち、1min以下に、捕捉されたIgG標識のシグナルはインキュベーション時間とともに変化しない)ことがわかった。溶液中で40μm距離にわたるIgGの拡散時間が約数秒であるため、40μmの間隔(その故に試料厚さ)について、このような短い飽和インキュベーション時間が期待される。
【0986】
本発明者らはさらに、厚さが3mmの試料厚さを有する通常の96ウェルプレートでこのような直接アッセイのインキュベーションを検査し、かつ典型的な飽和インキュベーション時間が約120minであることを発見した。インキュベーションプロセスが標識されたIgGの拡散によって制限される場合、試料厚さを3mmから40μmに減少させることにより、インキュベーション時間を約120minから1.28secに減少させることができ、それは1min以下の飽和インキュベーション時間の観察と一致する。
【0987】
DNAハイブリダイゼーション検査(高さが約52μm、直径が0.7cmのワックスリングスペーサ)において、ストレプトアビジン-BSAはポリスチレン基材上の分子連結層であり、かつビオチン化捕捉鎖に連結され、捕捉鎖はハイブリダイゼーションにより標識された標的鎖を捕捉する。インキュベーション後に、ハイブリダイゼーションしていない標的鎖を洗浄し、標識シグナルを検査する。異なるインキュベーション時間を検査する。本発明者らの実験によると、ハイブリダイゼーションは、30secのインキュベーション時間内に飽和する(すなわち、1min以下に、捕捉されたIgG標識のシグナルはインキュベーション時間とともに変化しない)。溶液中で52μm距離にわたる標的プローブの拡散時間が約数秒であるため、52μmの間隔(その故に試料厚さ)について、このような短い飽和インキュベーション時間が期待される。(実験の詳細は、例えば米国特許仮出願番号第62/202、989号において開示される)。
【0988】
参照として、より厚い試料の厚さを有する同じアッセイを検査し、本発明者らは厚さが1mmの試料では、飽和インキュベーションに達するまでに約20minを必要とすることを発見した。
【0989】
(実験の詳細を例えば米国特許仮出願番号第62/202,989号において開示した)
【0990】
32 柱状スペーサを有するCROFを用いるアッセイ加速(QAX及びQMAX)の例
E-1.1 飽和インキュベーション時間が30秒未満である測定を達成するための30μmのスペーサ高さの柱状スペーサアレイのCROFF装置を用いるQAXアッセイ
CROFによるQAXを検査し、かつ約30secの飽和時間を達成する。
図13.a及び13.bは、この実験を示す。実験において、CROFプロセスの前に、CROFプレートのうちの1つに捕捉剤及び標識検出剤を予め付着させかつ乾燥し、その後に試料をプレートに滴下しかつCROFプロセスにより他のプレートを閉鎖する。試料の滴下には数秒かかり、CROFプロセスは、10秒未満で完了した。本発明者らの実験によると、30μmのスペーサの高さの場合、飽和インキュベーション時間は30秒未満である。
【0991】
プレート、試料、試薬 (1)自己保持CROF装置を用いたCROFは、(i)175μmのPMMAフィルムで作られ、試料接触領域にスペーサアレイを有する2.5cm×2.5cm面積のX-プレートであって、スペーサアレイは、一定周期が120μm/110μmの長方形格子(それぞれx及びyの横方向)、全てのスペーサは柱状であり、かつ同じ30μmの高さとx方向の40μmの幅及びy方向の30μmの幅を有する同じ長方形形状を有し、スペーサは、プレートと同じである試料材料(PMMA)で作製され、PMMAフィルムを金型でナノインプリントにより製造される(したがって、スペーサは、プレート上に所定のスペーサ高さ及び80μmのスペーサ間隔で固定される)、X-プレートと、(ii)表面が平坦なガラス板(厚さが1mm、3cm×5cm)とを含む。X-プレートの表面とガラス板は未処理であり、かつ試料に対して親水性である。(2)試料滴下とCROFプロセスの前に、ガラス板に乾燥した抗IgGの捕捉剤(cAb)を予め塗布し、(3)試料滴下とCROFプロセスの前に、X-プレートに乾燥した抗IgGの検出剤(dAb)を予め塗布し、かつ(4)試料は、異なる規定濃度のBSA緩衝液中のヒトIgGである。
【0992】
実験ステップ及び結果 分析物(ヒトIgG)含有の少量の試料を、E2-1に記載のCROF装置のうちの1つのプレートの表面に滴下する。最初にプレート上の試料は溜まりを形成するが、CROF装置の他のプレートをその溜まりの上に配置しかつ2つのプレートを共に圧縮することにより、元の血溜りは、スペーサアレイにより調節された大面積かつ超薄型試料フィルム(約30μm)に広がり、その中に広がった試料がある。その後、人の手でガラス板に触れてX-プレートを液滴に(中心と中心を合わせ)均一に5~10sプレスし、手を放し、30s待ち、かつプレートをその閉鎖構成に保持する。
【0993】
その後、異なる試料(異なるCROF装置とともに)を異なる時間内にインキュベートし、洗浄しかつ計測する(光信号)。結果は
図13.bに示され、
図13.aに記載のQMAアッセイの飽和インキュベーション時間が30秒未満であることを示す。
【0994】
E.1.2 QMAXアッセイと均質アッセイ
信号を増幅するために、M-プレート(例えばD2PA)を用いて、QMAXを実験的に検査する。また、QMAXアッセイを、信号を増幅するM0PateがないQAXアッセイと比較する。不均質(洗浄)と均一質(洗浄しない)を検査する。検査アッセイは、QAXとQMAXを用いるヒトIgG蛍光免疫アッセイである。
【0995】
材料及び方法:(30μmの柱の高さ、30μm×40μmの柱サイズ、80μmのISD)25mm×25mmのX-プレートと、サイズが25mm×25mmのM-プレートと、(塗布順序)で(a)DSU、プロテインA、抗ヒトIgG(基板プレートに塗布しかつ乾燥する)、(b)ヒトIgG(分析物)、及び(c)抗ヒトIgG-IR800試薬(x-プレートの貯蔵部位に塗布しかつ乾燥する)であるアッセイ試薬とを含む。
【0996】
結果(
図14においても示される):本発明者らの実験によると、閉鎖構成における30μmの間隔のCROF装置に対して、飽和インキュベーションは1min以内であり、かつQMAX洗浄を伴う場合に、総読み取り感度がLoD=2pMであり、QMAX洗浄がない(不均質)場合、総読み取り感度がLoD=10pMであり、QAX洗浄を伴う場合に総読み取り感度がLoD=200pMであり、QAX洗浄がない(不均質)場合に総読み取り感度がLoD=(読み取ることができず、異なる分析物濃度の差はない)。
【0997】
33 追加の例示的な実験検査及び好ましい実施形態
このセクションでは、以下の条件を用いて以下の共通の観察を共有する本発明の追加の例示的な実験検査及び観察、並びに追加の好ましい実施形態を提供する。
【0998】
付着した試料の体積 特に断らない限り、CROFプレートに付着した全ての試料は、未知の体積を有し、すなわち、正確な体積は付着時に未知である。
【0999】
プレート このセクションで使用されるCROF装置において、特に断らない限り、2つのプレートのうちの1つは「X-プレート」と呼ばれ、スペーサを有する唯一のプレートである。他のプレートは「基板プレート」と呼ばれ、平坦な表面を有し、かつ任意のスペーサを有しない。プレート及びスペーサのための異なる材料(ガラス、PMMA(ポリメタクリレート)、及びPS(ポリスチレン)を含む)、異なるプレートの厚さ及びスペーサの幾何学(形状及びサイズ)を検査する。各プレートの試料接触表面は、一般的に30nmより小さい表面平滑度変動を有する平坦な表面(突出スペーサを除く)であるが、多くの平坦な表面は、プレートの可撓性、固有の表面平坦度(プレートの可撓性に関係しない)、又は両者による表面平坦度変動を有する。いくつかのプレートは、30nmより大きい内表面平滑度変動を有する。特に断らない限り、例に使用されるプレートは、一般的な寸法は、幅が少なくとも25mmで、長さが少なくとも25mmである。
【1000】
スペーサ 特に断らない限り、このセクションの全てのスペーサは、(i)X-プレートの試料表面に固定され、かつ表面をエンボス加工すること(これによりスペーサの材料がX-プレートと同じである)によって製造され、(ii)丸い角、法線からの5度未満の傾斜角を有するほぼ真っ直ぐな側壁、平坦な上面、及び均一なスペーサの高さを有する長方形又は正方形のほぼ均一な断面を有する柱状アレイであり、かつ(iii)それぞれX方向及びY方向において固定された内部スペーサ間の距離(ISD)(X方向の間隔はY方向の間隔と異なる場合があることに注意する)(
図17.b参照)を有する。また、柱状スペーサの横方向の形状は正方形又は丸い角付きの長方形であり、異なるスペーサの高さ、サイズ、スペーサ間の距離、形状及び材料を検査する。
【1001】
スペーサの製造 X-プレート表面にエンボス加工されたスペーサをナノインプリントにより製造し、金型をプレートに直接プレスし、かつ元々完全に平坦な表面を表面から突出した柱状スペーサを有する平坦な表面にエンボス加工する。プラスチック材料が流動可能なエンボス加工において、プラスチック材料のガラス転移温度よりも高い温度を使用する。リトグラフ及びエッチングにより金型を製造し、場合によっては、マスターモデルに電気めっきすることにより製造する。金型はケイ素、二酸化ケイ素、又はニッケルで製造される。
【1002】
図17は、プレートに製造されたスペーサの例を示す。金型を用いてプラスチックプレート表面を直接エンボス加工してスペーサを製造する。
図17(a)と17(b)は、正方形スペーサ格子の光学顕微鏡写真の上面図である。(a)柱状スペーサのサイズが46μm×46μmでありかつ柱間の距離が54μmであり、また(b)柱状スペーサのサイズが10μm×70μmでありかつ柱間の距離が10μmの画像の上面図であり、また(c)柱状スペーサのサイズが30μm×40μmでありかつスペーサの高さが2μmであり、また(d)柱状スペーサのサイズが30μm×40μmでありかつスペーサの高さが30μmの眺望
図SEMである。顕微鏡写真は、(1)柱状スペーサの頂部が非常に平坦であることと、(2)スペーサはほぼ均一な断面を有することと、(3)柱状スペーサの角が丸く、約1μmの曲率半径を有することとを示す。円形エッジに比べて、鋭いエッジにより、細胞を溶解させるか又は流体の流動に影響するため、好ましくは大きな曲率半径(例えば、小さい鋭いエッジ)である。
【1003】
表面形状測定装置を用いて、本発明者らは、X-プレートの2cm×2cm領域の柱の高さを計測する。上記方法で製造されたX-プレートの柱状スペーサの高さの一般的な均一性は、それぞれ2μm、5μm、及び30μmのスペーサ高さに対して、4nm、10nm、100nmの平均変動値と、0.2%、0.2%、及び0.33%の相対平均変動値とを有する。
【1004】
一般的な実験手法
図15に示すように、第一に、小さい溜まりを形成する小さい体積(数μL以下)の試料を基板又はX-プレートに付着させた。第二に、プレートの試料表面が重なるように、プレートを一緒にした。第三に、手を用いて、試料が元の溜まりよりも大きい面積を有する薄膜になる閉鎖構成にプレートをプレスする。第四に、手に関連した。第五に、閉鎖構成で異なる計測を実行する。ステップの詳細を以下に示す。
【1005】
試料付着方法 2種類の試料付着方法を使用する。1つの方法において、ピペットで試料をプレートに付着させる。別の方法において、被験者の血液とプレートとを接触させることにより、血液試料を被験者の指(器具で取られる)から直接付着させる。指からプレートに直接付着した血液を希釈しない。本発明者らは、本発明者らの実験において、指定しない限り、最終の実験結果は試料付着方法とは独立していることを発見した。
【1006】
試料付着は、室内で、任意の特別な温度制御又は除塵濾過を使用せずに標準的な室内条件で行われる。本発明者らは、このような条件の下で、(1)塵埃に適合して使用された可撓性プレートは、他の領域の試料厚さがスペーサにより調節されかつ試料厚さの自己保持に影響しないことを可能にするため、及び(2)塵埃のある領域は利用可能な総領域の非常に小さい部分であり、かつ計測は塵埃による影響を受けない領域で行われるため、試料に落ちた塵埃は、最終計測結果に影響しないことを発見した。塵埃無領域の選択は、光画像により完了する。
【1007】
場合によっては、2つのプレートは、プレートに落ちる塵埃の数を減少させるための表面保護カバーを有する。場合によっては、塵埃及び他の汚染を防止するために、2つのプレートを試料の内部表面とともに配置する。
【1008】
プレートの表面濡れ性 本発明者らは、例示的な実験において使用された異なるプレートの表面湿潤特性を計測した。下記表は、5μLの試料の計測接触角を示し、それは、異なるプレート材料(ガラス、PMMA及びPS)と異なる表面形状(平坦な表面及びX-プレートの試料表面)を有する未処理又は処理後の表面に、異なる試料形式(水、PBS緩衝液(リン酸緩衝食塩水)及び血液)で位置し、X-プレートは175μmの厚さのPMMAであり、かつその試料表面は2μmの高さ、30μm×40μmの横方向サイズ、及び110μm/120μmの周期(すなわち、スペーサ間距離が80である)の柱状アレイ(すなわち、スペーサ)を有する。
【1009】
【1010】
実験により、(1)ガラス、PMMA、及びPSの未処理表面は、すべて親水性表面(すなわち、接触角が90度未満である)を有し、(2)未処理のガラス表面は、未処理のPMMA及びPSより小さい濡れ角(より大きい親水性)を有し、(3)水、PBS、及び血液の接触角は同様であり、血液は、水及びPBSよりわずかに優れた湿潤性を有し、(4)未処理のPMMAのX-プレートは、未処理のPMMAプレートとほぼ同じ試料接触角を有し、かつ(5)予想通り、表面湿潤特性は、表面処理により、より親水性又は疎水性になるように大きく変化し得ることが示された。
【1011】
プレートの表面疎水性は、表面処理により変化することができる。例えば、PMMAのX-プレートに対して、酸素プラズマ中で表面を露出させることにより親水性を向上させ、かつトリデカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロオクチルトリクロロシランで表面を処理することにより、疎水性を向上させる。水、PBS緩衝液及び血液試料に対して、接触角は、それぞれ疏水性処理後のX-プレートについては25、27、28度であり、親水性処理後のX-プレートについては105、104、及び103度である。
【1012】
以下の説明において、特別に説明しない限り、プレートの全ての試料表面(すなわち、試料と接触した内表面)はいずれも未処理である。
【1013】
付着試料の面積及び高さ ピペットで水試料を開放構成のプレートに付着させる時に、プレート上の試料の面積及び高さを計測する。
【1014】
【1015】
実験は、開放構成でプレートに付着した一般的な試料は、閉鎖構成よりもはるかに大きい厚さを有することを示す。
【1016】
本発明者らは、プレートの閉鎖構成において、(1)総試料面積は、数ミリメートルの直径から数センチメートル(スペーサの高さに応じて)に拡大することと、(2)スペーサアレイが正方形格子を有する場合、プレートの閉鎖構成における試料の領域も、試料のエッジがスペーサの正方形格子の方向に位置合わせされる、ほぼ正方形であることとを観察した。したがって、スペーサの異なる間隔配置により、閉鎖構成の下の最終試料領域を制御することができることを示した。スペーサが長方形格子を有すると、閉鎖構成の最終試料領域は長方形であるべきである。スペーサが放射状円形パターンを有すると、閉鎖構成の最終試料領域は円形であるべきである。
【1017】
ハンドプレス セクション30の全ての実験において、CROFプロセスにおけるプレートを一緒にしかつ人の手で圧縮してプレートの閉鎖構成にする。CROFプレートの広い領域で最後にプレスして均一な試料厚さを得て、一般的に親指で1つの領域をプレスしかつCROFプレートの異なる領域を摩擦する。手でCROF装置(プレート)を閉鎖構成にプレスする過程を「ハンドプレス」と呼ばれる。
【1018】
自己保持 観察によると、特に断らない限り、CROFプレートを最終状態にプレスしかつ圧縮力(例えば手をプレスし)を解放した後、2つのプレートの間の試料厚さは、依然としてスペーサの高さにより調節され、かつ長期間(試料が最終的に乾燥するまで)に一定の厚さに保持される。この観察結果は、「自己保持」と呼ばれる。自己保持は、表面張力によって引き起こされる、プレート、液体試料及び環境(例えば空気)の間の毛細管力である。E-1に示すように、CROF装置のハンドプレス及び自己保持は、良好な試料厚さを与えることを観察する。
【1019】
プレート間隔及び試料の厚さの計測 全ての実験において、閉鎖構成の2つのプレートの内表面(すなわち、試料表面)の間の距離は、プレートの内表面によって引き起こされるファブリ・ペロー空洞共振(FP共振)により計測される。試料(及び空気)と内表面の間の光学的屈折率の差により、プレートの各内表面は光反射器として作用し、かつ2つの内表面は光共振器を形成する。FP共鳴スペクトルは周期的であり、かつ光学測定点における内表面間隔h(したがって試料厚さ)は、
により計算されることができ、ここで、cは光速であり、Δvは周波数領域における期間であり、nはプレート間の試料の屈折率である。
【1020】
本発明者らのFP共鳴検査において、光源は約2μm×2μm程度の面積を有する。一般的に、本発明者らは、CROF装置の中心周囲の1.6cm×1.6cmの領域内の25個の異なる点でプレートの内表面の間隔を計測し、25個の点は、4mm周期(すなわち、2つの隣接する点の間の距離)を有する5×5の正方形の格子である。スペーサ(すなわち、柱体)によって占有された領域を計測しない。
【1021】
プレートの閉鎖構成で内表面が試料と接触するため、計測した内表面の間隔は計測点の試料厚さと同じである。
【1022】
平均試料厚さ、H 平均試料厚さHは、25個の点で計測されたプレートの間隔及び式
を用いて計算される。
【1023】
試料の厚さの偏差とは、所定のスペーサの高さH0の所定の領域上の試料平均厚さHの偏差を指す。(H-H0)。相対的な試料の厚さの偏差は、所定のスペーサの高さで割った偏差:[(H-H0)/H0]を指す。正の厚さ偏差とは、試料がスペーサの高さよりも平均的に厚いことを指し、負の厚さの偏差は、試料がスペーサの高さより平均的に薄いことを指す。
【1024】
試料厚さ均一性 所定の領域上の試料厚さの均一性は、所定の領域上の試料厚さの標準偏差として定義される。
【1025】
32.1 ハンドプレス自己保持CROFにおける試料厚さの偏差と均一性
実験的に、本発明者らは、CROF装置及びプロセスにおいて、手を放した後にプレートの閉鎖構成の試料厚さの偏差及び均一性に影響する可能性のあるパラメータを研究する。パラメータは、スペーサ間の距離(IDS)、スペーサの形状及び寸法(例えばスペーサの横方向寸法、スペーサの高さ、スペーサの高さに対する幅の比、スペーサ領域充填因子(スペーサ面積に対する総面積の比又は幅に対するスペーサ周期の比)、スペーサとプレートの材料の機械的強度(ヤング率)、プレートの厚さ、及び各プレートの表面平坦度を含むが、これらに限定されないことを発見した。以下に実験から得られたある知見と好ましい実施形態を示す。スペーサの高さ、IDS、周期及びスペーサの横方向サイズの定義は、
図16に示される。
【1026】
E-1.1 試料厚さへのIDS(スペーサ間の距離)、プレートの厚さ、及び材料の影響 実験的に、本発明者らは、周期的スペーサアレイのスペーサ間の距離(ISD)がCROFプレロスにおける閉鎖構成の試料の厚さの偏差(スペーサの高さから)及び均一性に顕著に影響する可能性のあることを観察した。
【1027】
図18は、試料厚さへのIDS、プレートの厚さ及び材料の影響を示す。異なるプレート及びスペーサ材料、異なるプレートの厚さ及び異なる試料でのスペーサ間の距離(IDS)に対する、試料の厚さの偏差及び均一性の測定値を示す。スペーサは周期的アレイであり、かつ5μmのスペーサの高さ、平坦な頂部、正方形形状(10×10μmの柱横方向サイズ、ほぼ均一な断面、及び丸い角)を有する。IDSはそれぞれ20μm、50μm、100μm、200μm及び500μmであった。基板は、未処理の250μmの厚さの平坦な表面(面積が1インチ×1インチ)のPMMAプレートであった。スペーサが直接製造されたX-プレートは、それぞれ未処理の175μm及び50μmの厚さのPMMAプレート、及び未処理の125μm及び25μmの厚さのPSであった。試料は、それぞれ2μLの血液(指と直接接触させて滴下する)、唾液又はPBS(ピペットで滴下する)であった。CROF装置を手でプレスしかつ1インチ×1インチの領域で擦り、かつプレス後に自己保持された。試料厚さは、CROF装置の閉鎖構成で計測された。
【1028】
図18は、所定の実験条件について及び正方形形状のスペーサ(10×10μmの柱横方向サイズ、ほぼ均一な断面、及び丸い角)について、以下であることを示す。
(1)ISDが20μm、50μm、100μmである場合、平均最終試料の厚さは5.1μm~5.2μmであり、所定の5μmのスペーサの高さに非常に近く、かつ4%未満の厚さの偏差及び均一性(すなわち、ISDが約120μm以下であれば、偏差及び均一性は4%未満であってもよい)を有する。
(2)しかしISDが200μm及び50μmである場合は、平均最終試料の厚さは、それぞれ4.3μm及3.5μmになり、所定のスペーサの高さ(5μm)より明らかに小さく、かつそれぞれ-13.9%及び-30.9%の厚さの偏差とそれぞれ10.9%及び27.7%の均一性を有する。これは、ISDが約200μmより大きい場合、厚さの平均値は顕著に低下するだけでなく、均一性も非常に低くなることを示す。
【1029】
40μm×40μmの横方向寸法の柱状スペーサアレイ(
図18)について、ISDが60μm、150μm、100μmである場合、平均最終試料の厚さは5.1μm~5.2μmであり、所定の5μmのスペーサの高さに非常に近く、かつ4%未満の厚さの偏差及び均一性(すなわち、ISDが約100μm以下であれば、偏差及び均一性は4%未満であってもよい)を有する。
【1030】
E-1.2 試料厚さへのIDS/(Eb^3)の影響
本発明者らの実験によると(
図19に示すように)、小さい試料厚さの偏差と良好な均一性を達成するために、X-プレートのSD
4/(h
xE)(プロット中x=1)は10^6μm^3/GPa未満であるべきであり、ISDはスペーサ間の距離であり、hは材料の高さ(厚さ)であり、Eは材料のヤング率である。
【1031】
CROFを使用する全ての方法及び装置において、ある実施形態において、SD4/(hxE)(プロット中x=1)の値は、10^6μm^3/GPa未満、5×10^5未満、1×10^6未満、5×10^6未満等である。
【1032】
任意の実施形態において、可撓性プレートは、20μm~250μm範囲内(例えば50μm~150μmの範囲内)の厚さを有し、かつヤング率は範囲0.1~5GPa(例えば、0.5~2GPaの範囲内)である。
【1033】
任意の実施形態において、可撓性プレートの厚さと可撓性プレートのヤング率との乗算結果は、60~750GPa-μmの範囲内にあってもよい。
【1034】
E-1.3 試料厚さへのスペーササイズと高さの影響
本発明者らの実験によると(例えば
図20)、小さい試料厚さの偏差を達成するために、所定のプレートの厚さ、試料及びプレスに対して、IDSは約150μm以下であるべきである。
【1035】
E-1.4 試料厚さへのスペーサの高さに対する幅の比の影響
本発明者らの実験によると(例えば
図21)、小さい試料厚さの偏差を達成するために、所定のプレートの厚さ、試料及びプレスに対して、ISDは20μm~150μmであり、柱体の高さに対する幅の比(WRH)が1よりも大きく、かつある実施形態において、好ましくは2以上である。
【1036】
これは、WHRが約1以上である場合、スペーサは、ハンドプレスの加圧と擦りを維持することに十分に強く、そうでなければ、全てのISDに対して、偏差及び均一性の両方は低くかつ大きいことを示す。
【1037】
E-1.5 試料厚さへのスペーサの充填因子の影響
本発明者らの実験によると(例えば
図22)、小さい試料厚さの偏差と良好な厚さ均一性を達成するために、所定のプレートの厚さ、試料に対して、スペーサの充填因子は約2.3以上であるべきである。
【1038】
例えば、
図22において達成した4%未満の偏差及び均一性は、所定の柱体面積及びIDS、及び所定のスペーサの領域充填率(例えば、総面積に対する柱状断面の比)に対して、PS柱体は、ハンドプレスの加圧及び擦りを支持することに十分に強い。PS柱体の変形は、親指圧力が約1~10kg/cm
2(10^5Pa)であり、PSのヤング率が約3GPaであり、かつ幅20μmの柱状スペーサ充填率及び100μmのISDが約4%であることに基づいて推定され、それにより柱体の親指のプレスでの相対的な変形(圧力)は1%~0.1%であり、これは本発明者らの実験的観察と一致する。
【1039】
E-1.6 試料厚さへのプレート厚さの影響
本発明者らの実験によると(例えば
図23)、(i)小さい試料厚さの偏差(5%以下)と良好な厚さ均一性を達成するために、所定のプレートの厚さ、試料に対して、少なくとも1つのプレートは、200μm未満のプレート厚さを有するべきであり、かつ(ii)X-プレートと基板がいずれも200μmよりも厚いと、それらは硬すぎ、塵埃を克服できず、より低いスペーサの均一性/偏差をもたらす。
【1040】
E-1.7 試料厚さへの基板プレートの影響
本発明者らの実験(例えば
図25)によると、厚い(1mm)ガラス基板プレートを使用すると、より小さい試料厚さ偏差及び良好な厚さ均一性のための最大のIDSは、PMMA基板の場合、150μmから200μmに延長することができる。
【1041】
E-1.8 自己保持へのプレート表面湿潤特性修正の影響
本発明者らの実験によると(例えば
図24)、(1)CROF装置の良好な自己保持は、CROF装置の2つの内表面の少なくとも1つが親水性であることを必要とする。(2)CROF装置の2つの内表面がいずれも親水性であると、それは最も良い自己保持と試料厚さの調節及び均一性を提供する。(3)CROF装置の1つの内表面が親水性でかつ別の内表面が疎水性であると、良好な自己保持を得るために、試料面積は0.5cm
2より大きい必要がある。(4)2つの内表面がいずれも疎水性であると、自己保持は不十分又は不合格(不安定)である。(図中の線は視線誘導のためのものである。)
【1042】
E-1.9 ハンドプレス時間による試料厚さへの影響
本発明者らの実験は、CROF装置が1s~60sのプレス時間で自己保持でき、かつ同様の良好な性能を有することを見出した。何もプレスさないと(0sプレスする)、CROF装置は、性能が低く、かつ自己保持することができない。
【1043】
E-1.10. 試料厚さへの周期的柱状スペーサ及びランダムボールスペーサの影響の比較
図27の計測結果は、所与の実験条件で、周期柱状スペーサを有するCROF装置がランダムボール(例えばビーズ)スペーサよりもはるかに小さい試料厚さ偏差とより高い均一性(両方とも5%未満)を有することを示す。具体的には、20μm、50μm及び100μmISDについて、周期的で、均一断面の柱状スペーサの平均厚さ偏差及び均一性は2.3%及び約3.4%である。しかし、平均ISDが20μm、50μm、100μmのランダムボールスペーサを用いた場合、厚さが220μmのガラスカバープレートを用いる平均厚さ偏差及び均一性は11.2%及び12.5%であり、厚さが175μmのPMMAカバープレートを用いる試料厚さ偏差及び均一性は10.8%及び20%であり、約5倍以上の試料厚さ偏差及びより低い均一性を有する。
【1044】
E1.12.他の知見
図28は、異なるX-プレート厚さ及び基板厚さの試料厚さへの影響を示す。
【1045】
本発明者らの実験は、指から直接的にピペットによって落とされた液体が最終的な試料厚さ及び均一性において同様の性能を有することを見出した。
【1046】
本発明者らの実験は、基材又はX-プレートに滴下された液体が、測定された試料厚さ及び均一性において同様の性能を有することも見出された。
【1047】
32.2 自己保持型CROFを用いた未希釈全血の完全血球数
E2.1 使用されるCROF装置
例32.2のすべての試験で用いられるCROF装置は、X-プレート及び平坦なガラスプレートを含む。X-プレートは、面積が2.5cm×2.5cmで厚さが175μmのPMMAであり、かつ試料接触区域において周期的スペーサアレイを有する。ガラスプレートは、厚さが1mmで面積が3cm×5cmの平坦な表面である。X-プレート上のスペーサは、初期平坦なPMMA膜に直接的にエンボス加工され、これによりPMMA(X-プレートと同じ材料)で製造され、かつX-プレートと接触する。
【1048】
各スペーサは、ほぼ均一な横断面、平坦な頂部、及びx及びy横方向におけるそれぞれ幅が40um及び30umの長方形を有する柱状のものである。所与のX-プレート上のすべてのスペーサは同じスペーサの高さを有する。周期的スペーサアレイは、一定周期が120um及び110um(それぞれx及びy)の長方形格子を有し、所与の一定スペーサ間隔(ISD)が80μmである。
【1049】
X-プレートとガラスプレートの表面は、未処理であり、かつ接触角が約40~50度の表面に滴下したヒトの血液に対しては親水性である。両方のプレートは、可視光透明である。
【1050】
E2.2 試料、製造、付着、CROFプロセス、自己保持
特に断らない限り、全ての血液試料は、健康な被験者に由来し、新鮮であり、かつCROFプレートに直接付着させ、希釈せず、抗凝固剤を添加しなかった。
【1051】
例3の全ての実験において、特に断らない限り、血液がヒトの指から採取され、血液とプレートとの直接接触により血液がCROFプレートに付着した。通常、直接的な接触は、プレートの表面に約0.1~1μLの血液を付着させる。血液付着から約60秒未満で、CROFプロセスを適用して血液試料を圧縮して薄膜にし、次に測定を実施した。特に断らない限り、抗凝固剤も液体希釈剤も血液試料に添加されなかった。
【1052】
WBCの染色を必要とする特定の実験において、血液検査の前に、CROF装置のプレートの1つの内面(試料接触表面)に試薬、すなわち乾燥アクリジンオレンジ色素層を予め塗布した。乾燥色素層の塗布は、順序で、(a)濃度が20μg/mLの水に30μLのアクリジンオレンジ色素をガラスプレートに滴下するステップ、(b)それを約1cm2の領域に広げるステップ、(c)約1時間乾燥させるステップを含む。
【1053】
CROFプレートの1つに約1μL以下の体積の血液を付着させる方法にかかわらず、プレートに付着した血液は、数ミリメートル以下の直径の血液体を形成した。次に、CROF装置の2枚のプレートを手で閉鎖構成状態にし、数秒間手でプレスして、元の血液体を2つのプレートによって圧縮して大面積の薄い血液膜(横方向サイズが約1~3cmである)にした。本発明者らは、例3の全てにおいて、特に断らない限り、手でプレスされたCROF装置は、スペーサにより調節された均一な試料厚さを有し、手を放した後に均一な試料厚さを自己保持することができた。試料は、通常の室内条件で付着した。本発明者らは、ダストが大きな試料面積上に所定の最終的な試料厚さを達成することに影響しないことを発見した。本発明者らはまた、最終的な血液試料が、周期的スペーサの矩形格子によって引き起こされると考え、丸い角を有する矩形形状に広がっていることも見出した。このステップを
図15に示す。
【1054】
プレートに乾燥色素を用いた試料について、任意の測定前に試料が30秒間待った。
【1055】
プレートに直接付着した血液試料は、液体で希釈されず(すなわち、液体希釈がない)、プレートに塗布された乾燥試薬のみと混合されていた。
【1056】
全てのスペーサは、同じスペーサ高さが2μmの矩形形状を有する。
【1057】
2μmのスペーサの高さは、赤血球(RBC)の厚さ(2~2.5μm)にほぼ等しいCROF装置の閉鎖構成の最終的な血液試料の間隔を約2μmにするように選択されるが、RBCの直径(6.2~8.2μm)よりはるかに小さい。このような最終的な試料厚さは、CROFの閉鎖構成において、各RBCが互いに良好に分離され、異なるRBCの間の重複又は積み重なりがなく、試料領域の画像を撮ることによってRBCを正確に計数させるようにする。
【1058】
E2.3 血細胞の画像化
特に断らない限り、閉鎖構成における2つのCROFプレートの間の試料を用い、かつそれぞれ商用のDSLRカメラ(Nikon)及びiPhoneを用いて、例3の血液試料の画像化を行った。各タイプのカメラの結果は類似する。特に断らない限り、画像は、透明であるプレートの1つ(すなわち、プレートの表面に平行な平面上の試料の2次元画像)を通る試料の上面図である。
【1059】
Nikonカメラ 試料は、2つのフィルタ(励起フィルタとしての470±20nmのバンドパスフィルタ及び放射フィルタとしての500nmのロングパスフィルタ)と、1つの光源(キセノンランプ)と、1つの倍率/焦点レンズセットとを有する通常の商用DSLRカメラ(Nikon)によって観察される。明視野モードでは、いずれのフィルタも用いない広帯域白色光源である。蛍光モードでは、470±20nmのフィルタをキセノンランプの前に置き、470nmの波長の狭い帯域の励起源を作り出し、カメラに入る500nm未満の波長の光を遮断するために、500nmのロングパスフィルタをカメラの前に置いた。
【1060】
携帯電話 本発明者らの実験にはiPhone-6を用いた。
【1061】
E2.4 血液細胞及び赤血球計数へのスペーサ高さ(試料厚さ)の影響
本発明者らの実験において、試料厚さがスペーサの高さと同じになるように制御した。本発明者らは、CROFプロセスにおいてスペーサの高さ(したがって試料厚さ)が血液細胞に及ぼす影響、ならびにそれらの画像化及び計数に及ぼす影響を実験的に調べた。用いたCROF装置及びプロセス、ならびに血液付着は、例2のこのセクションの始めに記載される。血液試料は、同じ健康な被験者由来であった。本発明者らの実験の1つにおいて、4つの異なるスペーサの高さ(1μm、2μm、3μm、及び5μm)を検査した。
【1062】
図29は、4つの異なるCROF装置内でCROFが行われた血液試料の光学顕微鏡図(明視野光学顕微鏡)の上面図を示し、各CROF装置が周期的スペーサの矩形格子と、1μm(a)、2μm(b)、3μm(c)及び5μm(d)の異なる一定のスペーサ高さを有する。血液試料は、被験者の指によってCROF装置のプレートに直接付着し、抗凝固剤も液体希釈剤も血液に添加されなかった。
【1063】
明視野光学顕微鏡において、RBC細胞はWBCよりはるかに容易に見える。赤血球とも呼ばれる赤血球(RBC)は、約6.2~8.2μmのディスク直径及び2~2.5μmの最も厚い点の(ディスクの縁の付近)、及び0.8~1μmの中心箇所の最小の厚さを有する。
【1064】
本発明者らの光学顕微鏡による観察は、1μmのスペーサの高さに対して、約99%のRBCが溶解されることを示した。例えば、
図29(a)は、RBCのみが観察領域に残ったことを示している。1μmのスペーサの高さは、平均RBC厚さよりも著しく小さい。該実験は、最終的なプレートスペーサ(スペーサの高さの制御による)を細胞の最小寸法より小さくすることによって、細胞を溶解するためにCROF装置及びプロセスを用いることができることを実証した。
【1065】
本発明者らの光学顕微鏡による観察(例えば、
図29)は、2μmのスペーサの高さ(試料厚さ)について、RBCが全て互いに離れており、それらの間に実質的に重なりがなく、かつほぼ丸く対称な形状を有することを示した。各RBC間の距離は、2D顕微鏡画像内の各RBCの完全な円形の暗い境界線(すなわち、境界線が各(かつ1つだけの)細胞を完全に循環させる)によって明確に示される。さらに、顕微鏡による観察は、RBCの中心が細胞の中心において縁部の中心よりも暗いことを示し、スペーサの2μmの高さ(試料厚さ)で、RBCの中心が依然として縁部より薄いことを示した。
【1066】
本発明者らの光学顕微鏡による観察(例えば、
図29)は、スペーサの高さ(したがって試料厚さ)が3μmである場合、血液試料の画像が2μmのスペーサの高さとはいくつかの点で大きく異なっていたが、これらに限られず、(1)RBCは顕著に重なり、大部分のRBCが2μmスペーサの高さに存在するように各細胞を隔てる完全な円形の暗い境界線を有さず、むしろいくつかのRBCは長い円形ではない単一の暗い境界線を共有し、かつ(2)いくつかのRBCは、2μmのスペーサの高さにおいてほぼ円形状で現れ、より楕円形状で現れず、2μmのスペーサ高さで透明である各RBCの中心のダークディスクは見えにくくなる。スペーサの高さが5μmになると、RBCはより多くの重なりを有し、より多くの赤血球は非円形の形状を有し、ほとんど見えない暗い中心を有した(
図29)。
【1067】
空間で限定されない血液において、RBCが互いに重なり合うことを望むことがよく知られている(例えば、積み重なりを含む)。スペーサの高さ及びプレートを用いて間隔が2μmの2つの平面プレートの間の血液試料を限定することによって、血液の厚さは、RBC(これは2~2.5μm)の最も厚い点にほぼ等しく、したがって、プレート表面上の所与の位置において、限定により、1つのRBCのみが2つのプレートの間を出て、かつプレート表面に平行なディスクを向けるようにRBCを配向させ、トップビュー光学顕微鏡法を用いて観察した場合、RBC、完全円形状の暗い境界線とほぼ丸い形状間の良好な分離をもたらす。
【1068】
スペーサ高さ及びこれによる試料厚さが3μm及び5μmのスペーサの高さのように大きくなると、試料厚さは、プレートの位置において2つのプレート間に2つ以上のRBCを許容し、RBC重複及び各RBCの明確な境界の消失をもたらし、RBCを2つのプレートの間で回転させ、プレートの表面位置に平行なディスクから回転させ、RBCの上面図の画像が非円形の形状を呈することをもたらす。
【1069】
(例えば、RBC濃度測定に用いられる)RBCの数を計数するために、試料厚さを2μm(例えば、2μmのスペーサの高さを用いる)にすることが試料厚さ3μm及び5μmの試料厚さよりも容易かつ正確であることが実験的に明確に示される。
【1070】
スペーサの高さ(したがって、2つのプレートの間の距離と血液試料厚さ)は、約2μmにすることで、赤血球(RBC)の厚さ(2~2.5μm)にほぼ等しいが、RBC(6.2~8.2μm)の直径よりも小さく、血球計数は、より大きな試料の厚さよりはるかに容易で正確である。
【1071】
最終的な試料厚さは、(2~2.5μm)、又は1.9μm~2.2μmである場合、CROFを閉鎖構成にさせ、各RBCが互いに良好に分離され、異なるRBCの間の重複又は積み重なりがなく、試料領域の画像を撮ることによってRBCを正確に計数させるようにする。
【1072】
他方では、本発明者らは、1μmのスペーサ高さのCROF装置で、RBCの大部分が溶解されたが、WBC又は血小板が溶解されなかったことを観察した。本発明者らの実験において、CROFの上部(すなわち、CROFプレートは、顕微鏡又はカメラの画像化平面にほぼ平行である)からの光学画像化は、(a)領域内の細胞の数、及び(b)その領域の横方向のサイズを決定する。CROF装置の横方向のサイズは、事前較正によって決定することができる。又は、スペーサの横方向のサイズをマーカーとして用いて、CROF装置の領域の横方向のサイズを画像化期間に決定することができる。本発明者らの実験において、両方を用いた。
【1073】
例2の実験において、所与のCROFプレートについて、2つのCROFプレートの間の間隔(したがって、血液試料厚さ)は、スペーサの高さと5%以内の範囲内で同じであった。この試料厚さ情報を、光学的画像化から決定された所与の領域の横方向サイズとともに用いると、所与の領域に関連する試料体積が決定され、これは試料の横方向の面積×試料厚さに等しい。試料体積と体積内の細胞数(画像化によって決定される)を知ることによって、本発明者らは、その試料体積内の細胞の濃度を決定することができた。
【1074】
図29bは、(b)CROFプレートの総側面積に対する赤血球面積(2D上面図から測定)の比を示す。プレート間隔(すなわち、サンプルの厚さ)が2μmである場合に、それは最も大きく、その原因は、2μm未満の場合にいくつかのRBCが溶解し、2μmより大きい場合にRBCが重なりかつ回転することにより、2D画像でのRBC面積が小さくなることである。
【1075】
以下の実験からの1つの結論は、血球計数(RBC及びWBC)のCROF装置の最適化された間隔のサイズが1.9μm~2.2μm、又は2μm~2.2μm、又は2μm~2.1μmであるということである。
【1076】
本発明者らの別の実験的知見は2つのプレートの間に1μmの間隔を有するCROF装置が大部分の赤血球を溶解するがWBCを溶解しないということである:CROF装置
本発明者らは、CROF装置のギャップ間隔がRBCの厚さ(例えば、1μmのプレート間の距離)よりはるかに小さい場合、RBCが溶解されることを見出した。WBCはより弾力性があり、それらの大部分が溶解されない可能性があることが依然として観察される。
【1077】
E3.5 RBC(赤血球)計数
1つの実施形態において、RBCは、フィルタなしで明視野モードで計数された。4倍、10倍、20倍、40倍の倍率で写真を撮影した。各倍率のX-プレートのギャップ間隔(t)と視野(A)は既知である(スペーサ及びそれらの期間はスケールマーカー(すなわち定規)として用いられた)ので、血液試料中のRBC濃度が計算される。例えば、1つの視野内のN RBCの計数について、血液においてRBC濃度(C)がC=N/t/Aである。この計算方法もWBC、PLT濃度計測に同様に適用される。
【1078】
E2.6.WBC及び血小板の計数
各白細胞(WBC)も、白血細胞又は白血球と呼ばれ、典型的な約10~15μmのディスク直径を有する。典型的な血小板(PLT)は1~2μmの典型的なサイズを有する。WBC及びPLTは、それ自体で目に見える色素を有していないので、通常の顕微鏡検査ではRBCよりも観察されにくい。1つの実施形態において、WBC及びPTLを計数する際により目立たせるために、アクリジンオレンジ(AO)色素でWBC及びPTLを染色する。
【1079】
アクリジンオレンジは、核酸に対する天然の親和性を有する安定な色素である。DNAに結合すると、AOは単量体としてDNAとインターカレートされ、青色励起で強い緑色蛍光(WBCに対する470nm励起、525nm緑色発光)を生じる。RNA及びタンパク質に結合すると、アクリジンオレンジは、青色励起で赤色蛍光(WBC、PLTに対する470nm励起、685nm赤色発光)を生じるポリマー形態の静電複合体を形成する。RBCは核酸を有さず、したがって染色することができない。WBCは、核を有し、DNA及びRNAの両方を有し、したがって強く染色される。PLTは、微量のRNAを有し、したがって弱く染色される。
図33を示す。
【1080】
WBCは、470±20nmの励起フィルタの蛍光モードで計数され、かつ発光フィルタは、500nmのロングパスフィルタで、撮影する場合に4×、10×、20×、又は40×の拡大倍率を選択した。これらの実施形態を用いて、WBC及びPLTを適切に計数した。
【1081】
E2.7 異なるWBCの計測
WBCは、好中球、好酸球、好塩基球、リンパ球、及び単球の5つの主なサブクラスに分類でき、又は時には、顆粒球、リンパ球、及び単球の3つの主なクラスに分類することができる。ウィルス、バクテリア、又は真菌、又はアレルギーによる異なる感染が、特定のWBCサブクラス濃度の濃度を変化させる可能性があるため、被験者の血液中の各クラスの濃度は、臨床的意義を有する可能性がある。
【1082】
WBCは、有核赤血球及び血小板からそれらを区別する有核である。さらに、WBCの異なるサブクラスは、DNAとRNA及びタンパク質との異なる比を有するため、適切な色素を用いてそれらを区別することによってDNA及びRNAを別々に染色することができる。
【1083】
例えば、AO色素は単量体としてDNAとインターカレートされ、青色励起で強い緑色蛍光(WBCに対する470nm励起、525nm緑色発光)を生じる。RNA及びタンパク質に結合すると、アクリジンオレンジは、青色励起で赤色蛍光(WBC、PLTに対する470nm励起、685nm赤色発光)を生じるポリマー形態の静電複合体を形成する。したがって、異なるWBCがAO色素で染色された後に、異なるR/G色彩比(緑色発光及び赤色発光)を有する。
【1084】
AO色素は、顆粒球(好中球、好酸球、好塩基球を含む)、リンパ球、単球の3つのWBCを区別することができる。さらに、本発明者らは、RGBフィルタセットに内蔵されたカメラ(又はiPphone)を直接的に用いて、1つの写真からGチャンネルとRチャンネルの緑色と赤色発光を区別することができる。したがって、本発明者らは、2つの別個のフィルタセット(525nm及び685nmバンドパスフィルタ)を用いる必要がある。
【1085】
図34に示すように、合計で594個の白血球が計数され、プロットされている。本発明者らは、3つの主な白血球亜集団に対応する3つの異なる領域(眼のためのガイドとして提供される陰影領域)に細胞がクラスター化することを明確に見ることができる。各亜集団の百分率は表に示されており、正常なヒトの血液値とよく一致している。
【1086】
E2.8.ヘマトクリット値の計測
血中血球容積(PCV)又は赤血球容積率(EVF)とも呼ばれるヘマトクリット値(Ht又はHCT)は、血液における赤細胞の体積百分率(%)である。X-CBC設定において、本発明者らは、基板とX-プレートによってすべてのRBCをしっかりと詰める2μmのギャップ間隔を用いる。したがって、この場合のHCTは、総血液量に対するRBC体積に等しい。
【1087】
E2.10.乾燥AO色素によるWBC染色速度
30s、10min、30min、90min後に、WBCを乾燥AO色素で染色した。プレート表面上の乾燥AO色素を用いたCROFプロセスにおいて、AO色素は、WBCを1min未満で完全に染色することができ、長時間経過しても他の領域には影響を及ぼさない。また、結合AOは、非結合色素よりも強い蛍光を発するので、洗浄工程が必要ではなかった。
【1088】
E2.11.WBCを染色する他の非蛍光色素
WBCを染色する非蛍光色素は、WBC計数ステップを簡略化することができる。クリスタルバイオレット又はゲンチアナバイオレット(メチルバイオレット10B又はヘキサメチルパラクロロアニリンクロライドとしても呼ばれる)は、WBCの核を染色するために用いることができるトリアリールメタン色素である。AO色素と同様に、1mg/mL、30μLのアクリジンオレンジ色素を水中でスライドガラス上の1cm2の面積で1時間乾燥させた。次に、X-CBC実験プロセスを繰り返す。WBCは紫色に染色される。このような方法の1つの欠点は、WBC亜集団を区別することが難しいことである。
【1089】
E2.12.CROPによる抗凝固剤が不要な血液検査
本発明の1つの利点は、実験的に観察されるように、計数を支援するために抗凝固剤を用いる必要がないことである。本発明者らの実験において、CROF装置において間隔が2μm、3μm、及び10μmで、血液面積が1cm×1cmのX-プレート上の血液試料を検査した。0minから80minまでの期間において、10minごとに、中心から縁部までの5つの典型的な点での試料の写真を撮影した。検査したすべての試料は、抗凝固剤を含まない。所与の実験条件で、観察期間において閉鎖構成で血液試料が凝集しなかったことが観察された。これは、(1)約2μm間隔(閉鎖構成での試料厚さ)を有するCROFが血液細胞を互いに離し、(2)CROFプレートが血液細胞の大部分を酸素から保護するためである。
【1090】
E2.13 CROF及びiPhoneを使用する血球計数における更なる実験
他の実験において、本発明者らは、個人が彼女/彼自身によりスマートフォンを用いて1滴未満の血液(<1μL)で20秒足らずで血球計数を行うことを可能にする技術及び小型使いやすい装置を検査しかつ検証する。人がする必要のあるのは、刺された指からの微量(任意の未知量)の血液をカードと接触させ、カードを閉じてスマートフォンで撮影することである。
【1091】
本発明の一態様は、厚さが1つのみの赤血球(約2um)で、かつ2つのプレートの間に閉じ込められた均一な血液層に、血液滴を正確に再形成することにより、血球計数における前例のない利点を提供する観察である。利点は、(i)抗凝固剤が添加されない新鮮な未希釈の全血であるため、血球は互いによく分離され、凝固せず、撮像により容易に認識することができることと、(ii)試料は、蒸発(検査領域において)がほぼゼロであり、長期間にわたって血球濃度を一定に保持することとを含む。本発明者らが開発した第2の重要な技術は、CROFカード(手で操作された折り畳み可能、使い捨て、切手サイズ(幅が1インチで、紙のように薄い)のプラスチックフィルム)を使用して、血液再形成を実行し、再形成された血液試料の厚さ(これにより体積)を計測し、予め塗布した乾燥試薬を血液に(必要に応じて)混合する(すべての機能を1回で5秒足らずで完了する)、「圧縮調節開放流」(CROF)と呼ばれる。ここで報告された最近の2つの技術は、スマートフォン撮像用の小型マッチボックスサイズの光学アダプタ、及びスマートフォンを制御して画像を分析するためのソフトウェアである。スマートフォンによる方法(「CROFと撮像を使用する血球計数」又はBCI)を、標準市販機械、市販の手動血球計及び顕微鏡撮像(スマートフォンの代わりに)と比較して検証する。2タイプ(被験者に貯蔵された新鮮な)の血液を使用する42種以上の検査を各方法について行い、赤血球(RBC)、白血球(WBC)、血小板、3つのWBC差分、ヘマトクリット値(HCT)及び平均赤血球体積(MCV)を計測する。検証によると、スマートフォンによるBCIは、市販の手動血球計(さらに改善することができる)と同じ精度又はそれ以上の精度を有し、かつ市販の機器と同じ日常の安定性を有する。明らかに、BCI技術は、細胞イメージング、免疫学的アッセイ、核酸アッセイ、個人健康モニタリング、及び他の生化学的検出において、広くかつ重要な用途を有する。
【1092】
BCI装置は、使い捨ての切手サイズのプラスチック製CROFカード(1インチ×1インチの面積、紙のように薄い)、スマートフォン、及びマッチボックスサイズの光学アダプタ(1.5×1.5インチ×0.7インチ(L×W×H))の3つのハードウェアコンポーネントと、スマートフォンを制御し、ユーザインタフェースを作成し、血球を分析するソフトウェアとを含む。それらのすべて(スマートフォンを除く)は、発明者によって設計されかつ開発される。レンズ、ミラー、及びフィルタを含む光学アダプタ(「アダプタ」)は、スマートフォンに取り付けられ、スマートフォンのフラッシュライト及びカメラをそれぞれ光源及び検査用イメージャとする。光学アダプタはさらに、CROFカードをカメラ正面の適切な位置にスライドさせるためのスロット(
図30)を有する。本発明者らの現在の検査において、iPhone-6を使用する。
【1093】
BCIを使用した血液検査(
図30)では、まず1人が指を刺した後、カードに触れて少量(任意の未知の体積)の血液(例えば1滴未満(<1μL))を指からCROFカードに直接付着させ、カードを閉じ、カードを光学アダプタに挿入し、最後にスマートフォンを使用して該カードを撮影する。撮影された写真から、ソフトウェアは、分析し、かつ血球数及び他のパラメータを与える。CROFカードへの血液の付着から血球数の表示までの合計時間は、スマートフォン上の結果が12~19秒であり、CROFカードに血液を付着させるために1~2秒で、カードを閉じるために3~5秒で、カードをアダプタに挿入するために2~4秒で、画像を撮像するために3~5秒で、及び分析を終了して血球数の結果を表示するために3秒である。
【1094】
BCIの1つの重要な革新は、本発明者らが開発したCROFカード技術[Ref]である。CROFカードは、2枚の薄いプラスチックを含み、それぞれ面積が約1インチ×1インチであり、1枚の紙の厚さであり、1つのエッジで別のプラスチックとヒンジ結合される(
図30)(ヒンジ結合は必要ではないが、便利であることに注意する)。CROFカードは、血液試料の処理時に、(i)CROFの2つのプレートによって閉じ込められた重要な領域(~500mm
2)で、付着した形状(例えば、直径2mm、高さ0.4mmの溜まり)から血液試料を厚さが2μm(元の厚さの約1/200)の均一なフィルムに迅速に(例えば1秒)広げる機能と、(ii)2μmの厚さに達すると、試料の厚さの更なる減少を停止する機能と、(iii)手がプレスから解放されても、均一な2umの厚さを保持する(すなわち、血液とプレートとの間の毛細管力に起因する自己保持)機能と、(iv)このような薄い厚さで、試料の蒸発を防止する(すなわち、2つのプレートによって閉じ込められることにより、蒸発は血液膜の縁部のみで発生し、かつ試料の検査領域において長時間にわたって蒸発がゼロである)機能という重要な機能を提供する。実験的に、光学干渉(すなわち、CROFカードの2つの内表面からのファブリ・ペロー効果)を使用して、本発明者らは、Essenlix会社のCROFカードが少なくとも20mm×20mmの面積内に、5%の均一性(すなわち、100nm)で2μmの均一な厚さを保持することができることを発見した。
【1095】
従来の方法に比べて、CROFカードは、血球計数に重要でかつ前例のない利点をいくつか提供する。最も顕著な利点は、本発明者らの観察した結果、血液滴が1つのみの赤血球(約2um)の厚さに再形成され、かつ2つのプレートの間の均一な血液層に閉じ込められる時に、(i)抗凝固剤が添加されない新鮮な未希釈の全血中の血球は互いによく分離され、凝固せず、血球の動きがはるかに少なく、かつ撮像により容易に認識することができることと、(ii)血液試料は、検査領域において蒸発がほぼゼロであり、これにより長期間にわたって血球濃度を一定に保持することとを含む。
【1096】
CROFカードの第2の重要な利点は、(試料厚さが決定されるので)血液試料の体積の「自動」計測である。第3の重要な利点は、血液試料の最小量を使用する(流体の入口又は出口、又は任意の試料転送チャネル及び/又は装置がないため)ことである。他の利点は、(i)数秒でCROFカードの表面上の乾燥試薬と試料を混合することができること、(ii)簡単かつ迅速であり、手で操作されること、及び(iii)便利でコストが低いことである。
【1097】
2つのプレートの間に閉じ込められた血液試料を撮像することによる血球計数の方法は、150年以上の歴史を持ち、かつ市販の手動血球計の基礎であるが、私たちの知る限りでは、誰も1つの赤血球の厚さのような均一な厚さのプレートに閉じ込められた血液層を使用して、血球計数を行ったことはなく、かつ誰も1つの赤血球の厚さ又はその付近にある均一な閉じ込められた血液試料で血球挙動を検査したことはない。従来の撮像に基づく方法において、血液試料の閉じ込め間隔は赤血球の厚さより大きいため、赤血球の重なり(これによるミスカウント)を回避するために、血液試料を希釈する(常に抗凝固剤を使用する)必要がある。本発明者らの研究において、2つのプレートの間に閉じ込められ、かつ1つの赤血球の厚さ又はそれよりわずかに大きい又は小さい厚さの均一な試料厚さを有する全血試料中の血球の興味深い挙動を観察する。CROFカードの閉じ込めギャップ(すなわち、試料厚さ)に応じて、血球の挙動は大幅に異なる。
【1098】
本発明者らはまず、刺された指からCROFカードへの、抗凝固剤が添加されない新鮮な未希釈の全血を観察する(
図31.a)。2umの閉じ込めギャップについて、光学顕微鏡画像によると、全ての血液細胞(RBC、WBC、PLT)は、試料の平面内で互いに離れており(すなわち、重なることはない)、かつ各RBCは、陰影のある中心を有する各細胞を取り囲む明確な境界を有し、かつ各境界は他のRBCの境界と交差しない。さらに、撮像期間に、細胞運動はほとんど観察しない。このような挙動の1つの説明は、2umの閉じ込めギャップが赤血球の平均厚さよりわずかに小さく、各RBCは、閉じ込めプレートによってわずかに挟まれ、他の細胞が重なる空間を残さないため、移動することができないことである。明らかに、2umのギャップにおける細胞の挙動は、撮像による細胞計数に最適な条件を与える。
【1099】
しかしながら、2.2umのギャップで、いくつかのRBCは、他のRBCと重なることを開始するが、血小板が重なることを観察しない。考えられる理由は、血小板がPLTと重なるために十分な空間がないことである。2.6um及び3umのギャップにおいて、より多くのRBCが重なり、3つのRBCの重なりは目に見えるようになり、かつ血小板はRBCと重なる。これらの重なりは、ギャップとともに増加する。これらの撮像による血球計数は、2.2um、2.6um、及び3umのギャップで可能であるが、精度がギャップの増加とともに低下する。5um及び10umのギャップで、大量の細胞は重なり(例えば、凝固)、RBC重なりが見え、かつ多くのRBCは、撮像面に対するRBCの回転(大きいギャップが回転を可能にする)による狭い楕円形を有する。明らかに、これらのギャップで血球を正確に計数することは、不可能ではないにしても、非常に困難である。
【1100】
本発明者らはここで、貯蔵された抗凝固剤含有の未希釈の全血(商業サービス(Bioreclamation会社)によって収集された被験者)を観察すると、本発明者らの研究(
図31.b)によると、抗凝固剤が添加されない新鮮な未希釈の血液に比べて、それはCROFカードの閉じ込めギャップに異なる応答を有する。2umのギャップの場合、貯蔵された血液中ので血球挙動は、抗凝固剤が添加されない新鮮な血液と同様である。しかしながら、より大きいギャップの場合、貯蔵された抗凝固剤含有の血液は、抗凝固剤が添加されない新鮮な血液と異なる2D画像挙動を有する。抗凝固剤含有の2umの閉じ込めギャップの場合、RBCは、凝固しないが、(a)互いの頂部に重なることができ、かつ(b)2D平面画像で狭い楕円形に回転し、これらはいずれも細胞計数精度を大幅に低下させることができる。
【1101】
ここで示されたスマートフォンBCIによる血球計数において、CROFカードの閉じ込めギャップ(これにより試料厚さ)を5%より高い精度で2um予め設定する。試料の体積は、CROFカードによって予め設定された試料の厚さと、スマートフォンが撮影した関連のある領域の画像とによって決定される。血球濃度(RBC、WBC、PLT)は、スマートフォンで撮影した画像から関連のある領域で細胞を計数し、かつ関連のある体積で除算することにより決定される。RBCの平均赤血球体積(MCV)は、予め設定された2μmの試料厚さを使用して、2D平面画像の各RBCの面積及び各RBCに関連する平均全体積を計測することにより決定される。ヘマトクリット値は、MCVとRBC濃度の積から決定される。
【1102】
3つのWBC差分(顆粒球、リンパ球、単球)を計数するために、本発明者らは、乾燥したアクリジンオレンジ(AO)色素層をCROFカードのうちの1つの表面に置くことにより、血液試料を染色する。AOが核酸を染色し、かつDNAとRNAを異なって染色するため、WBC及びPLTのみを染色し、かつ各細胞中のDNA及びRNAの数量及び割合に応じて異なって染色し、RBCを染色しない。染色の差異により、異なる蛍光波長(例えば、染色されたDNAに対して、525nmの緑色発光で、染色されたRNAに対して、685nmの赤色発光である)及び強度を得て、3つのWBC差分のそれぞれとPLTを認識することが可能である。本発明者らは、CROFカードを使用すると、小さい試料厚さ及びこれによる短い色素拡散時間のために、WBCは5秒未満で予め塗布したAO色素層により染色されることを発見知見。WBCの色素染色及びその蛍光提供に対して、明視野顕微鏡に加えて、WBCを計測する別の方法は、以下の検証で使用される。
【1103】
光学アダプタは、RBCの場合に0.84mm×0.63mm、WBCの場合に2.8mm×2.1mm、PLTの場合に半径0.2mmの円の有効視野を可能にする。現在、光学アダプタは、RBCとWBCを分離するためにスライダー内で移動する必要があり、約5秒の操作時間が追加される。次世代では、スライダーを必要としない複合光学アダプタは開発される。画像分析、ユーザインタフェース及びiPhoneコントロール用の全てのソフトウェアは、独自のコードを作成し、特定のオープンソースコードを使用して構築される。現在、本明細書で提示された全ての血球分析は、次の世代では5秒未満になるPLT分析を除き、画像から血球計数に2秒未満で、本発明者らのソフトウェアによって完了される。
【1104】
スマートフォンBCIを検証するために、本発明者らはそれを以下の4つの異なる参照方法(RM)と比較する。RM-1は、高解像度顕微鏡(ニコンジアフォト反転顕微鏡)と、iPhoneではないDSLRカメラと、光学アダプタとを使用して現在の光学アダプタiPhone BCIと同じ読み取り領域でCROFカードを読み取る。CROFカードの読み取り領域が8mm周期を有する3×3アレイ(合計で9個の読み取り領域)に拡張し、16mm×16mmのCROFカードの領域に均一に分布されることを除いて、RM-2はRM-1と同じである。RM-3は、市販手動血球計(Sigma-Aldrichから購入され、Z359629)と、RM1及び2同じ顕微鏡及びカメラとを使用して撮像するが、撮像領域が3mm×3mmである。手動血球計は、2つの具体的なチャンバを有し、各計測領域が3mm×3mmであり、かつギャップが100μmである。PLTを計測するためには、100倍の血液希釈とRBCの溶解が必要である。RM-4は、市販PoC血球計(最大の血液検査装置企業の1社によって製造される)を使用し、それはフローサイトメトリーを使用し、かつサイズは約1立方フィートで重量が約20ポンドで、コストは約2,0000ドルである。PoC装置は、少なくとも10μLの血液(10滴以上)、血液希釈液、3種類の液体試薬(溶解、希釈及び洗浄)、5分間の操作時間及び30分間の毎日較正を必要とする。比較により、個々の機能と、CROFカード、光学アダプタ及びスマートフォンによる撮像、及び血球計数においてそれらの性能に関連する顕微鏡による撮像の組み合わせ機能とを検査することを可能にする。
【1105】
検証には、(i)市販のベンダー(Boreclamation会社)から購入され、抗凝固剤(EDTA)と混合された貯蔵血液と、(ii)2人のボランティアの指から取られた新鮮な血液と(各検査において、指から取られた新鮮な血液を指から、(a)CROFカード検査用のCROFカードに、及び(b)市販のPoC及び手動血球計用のEDTA被覆チューブに、直ちに直接付着させる)の2種類の血液を使用する。数日間にわたって、各方法に合計42の試料を検査した。
【1106】
合計24個の試料を異なる4日(3個、3個、3個、及び15個の試料)に検査し、血液試料は、最初の3日間に同じロットのものであるが、最終日については異なるロットのものである。新鮮な血液試料において、異なる3日間に合計18個の試料(6個、6個、及び6個の試料)を検査した。
【1107】
検査結果は、多くの重要な事実を示す。(1)所定の血液試料に対して、毎日透視投影CV(変動係数、平均値に対する標準偏差の比)において、スマートフォンBCI(p-BCI)の血球数の日間平均値と4つの参照方法の全ては互いに一致する。
【1108】
(2)p-BCIとRM-1と比較によると、所定のCROFカード試料に対して、本発明者らが開発した、iPhone及び光学アダプタを使用する血球計数は、高解像度顕微鏡及びDSLRカメラを使用する場合と同じ精度(CV)有する(例えば、RBCについていずれも約12%のCVを有する)(
図32)。
【1109】
(3)RM-1とRM-2との比較によると、CROFカードのマルチフィールド撮像は、現在の単一フィールド撮像より高い精度を提供する。RBCについて、CVは約12%から約6%に改善される。マルチフィールドの表示機能は、より高い精度のために、次世代のスマートフォンBCIに実装される。
【1110】
(4)RM-2とRM-3との比較によると、(i)CROFカードは、より簡単に使えるだけでなく、血球計数において市販の手動血球計と同じか又はそれより良好な細胞計数精度を提供し、かつ(ii)(i)の事実とRM1とRM2の比較を考慮して、マルチフィールドのスマートフォンBCIは、血球計数において市販の手動血球計と同じ又はそれ以上の精度を有するべきである、という結論に至る。現在のCROFカードと手動血球計が同じであるが、変動は様々な理由から生じることをさらに指摘しようとする。血球計に対して、この変動は希釈、溶解及び手動計数から生じるが、CROFカードに対して、現在の変動(RBCに対して約7%)は主に試料厚さの変動(約5%)から生じ、それはさらに改善することができる。
【1111】
(5)スマートフォンBCIは、染色により3つのWBC差分をそれぞれ識別し、かつ緑色の蛍光強度と赤色の蛍光強度との比の関数として、各WBC細胞の強度の比を計測することができる。標準偏差は、他の血球計測の標準偏差と同様である。それは、白血球の各サブタイプが蛍光色の特殊比(それらのRNA(赤色蛍光)とDNA(緑色蛍光)の相対量に依存する)を有し、顆粒球が大量のRNA及び顆粒(したがって赤色蛍光が高く緑色蛍光が低い)を有し、リンパ球が少量のRNA量及び大量のDNA(したがって、赤色蛍光が低く緑色蛍光が高い)を有し、単球が顆粒球とリンパ球との間の赤色蛍光と緑色蛍光との比を有するためである。
【1112】
(6)統計的有意性では、検査された全ての5種類の方法の日間変動(すなわち、毎日)は本質的に同じであり、それはスマートBCIが検査を実施した複数日の期間にわたって、非常に安定していることを示す。
【1113】
最後に、(7)現在の光学撮像ハードウェア及びソフトウェアを使用して、撮像による血球計数は、市販のフローサイトメトリーPoC装置ほど正確ではない(例えば、RBCについて約7%と1%)。しかしながら、(i)現在の精度により、ここで実証されたp-BCIは、健康監視上の重要な価値と遠隔地や発展途上国の臨床的価値を持ち、かつ(ii)より良好な精度を得るために、p-BCIの精度をさらに向上させることができるという2つの重要な事実を認識する必要がある。明らかに、BCI技術は、細胞イメージング、免疫学的アッセイ、核酸アッセイ、個人健康モニタリング及び他の生化学的検出において、広くかつ重要な用途を有する。
【1114】
本発明の特定の態様は、以下の文献に記載され、かつこれらの文献はすべて様々な目的のために参照により組み込まれる:
2012年4月10日出願の米国特許仮出願第61/622,226号の利益を主張し、2011年5月20日出願のUS2011/037455の§371出願であり、かつ2010年5月21日出願の米国特許仮出願第61/347,178号の利益を主張する2013年6月13日出願の米国特許出願第13/699,270号の一部継続出願である、2013年3月15日出願の米国特許出願第13/838,600号(NSNR-003)、
2010年5月21日出願の米国特許仮出願第61/347,178号の利益を主張し、2011年5月20日出願の国際出願番号US2011/037455の§371出願である、2013年6月13日出願の米国特許出願第13/699,270号(NSNR-001)、並びに
2013年3月15日出願の米国特許仮出願第61/801,424号(NSNR-004PRV)、2013年3月15日出願の米国特許仮出願第61/801,096号(NSNR-005PRV)、2013年3月15日出願の米国特許仮出願第61/800,915号(NSNR-006PRV)、2013年3月15日出願の米国特許仮出願第61/793,092号(NSNR-008PRV)、2013年3月15日出願の米国特許仮出願第61/801,933号(NSNR-009PRV)、2013年3月15日出願の米国特許仮出願第61/794,317号(NSNR-010PRV)、2013年3月15日出願の米国特許仮出願第61/802,020号(NSNR-011PRV)及び2013年3月15日出願の米国特許仮出願第61/802,223号(NSNR-012PRV)。
【1115】
本発明の対象物のさらなる例は、以下の列挙された段落で説明される。
【1116】
本明細書で使用されるように、用語「適用される」と「構成される」とは、部品、コンポーネント、又は所定の機能を実行するために設計及び/又は意図される他の対象物を指す。したがって、用語「適用される」と「構成される」の使用は、所定の部品、コンポーネント又は所定の機能を実行「可能」な他の対象物ではなく、部品、コンポーネント、及び/又は他の対象物は、機能を実行する目的のために選択、作成、実装、利用、プログラム、及び/又は設計されることを指す。本開示の範囲内で、特定の機能の実行に適する部品、コンポーネント、及び/又は他の対象物は、その機能を実行するように構成されるものとして追加的又は代替的に説明され、逆でも同じである。同様に、特定の機能を実行するように構成されるものとして説明される対象物は、その機能を実行するように動作可能なものとして追加的又は代替的に説明することができる。
【1117】
本明細書で使用されるように、本発明に係る1つ以上の部品、特徴、詳細、構造、実施形態、及び/又は方法を参照して使用される場合、語句「例えば」、語句「例として」及び/又は単に用語「例」及び「例示的」は、説明された部品、特徴、詳細、構造、実施形態、及び/又は方法は例示的なものであり、本発明に係る部品、特徴、詳細、構造、実施形態、及び/方法の限定的な例ではないことを伝えることを意図する。したがって、記載された部品、特徴、詳細、構造、実施形態、及び/又は方法は、限定的、要求及び排他的/網羅的であることを意図するものではなく、構造的及び/又は機能的に類似及び/又は等価な部品、特徴、詳細、構造、実施形態、及び/又は方法を含む他の特徴、詳細、構造、実施形態、及び/又は方法は本開示の範囲内である。
【1118】
本明細書で使用されるように、1つ以上の実体リストを参照する時に使用される用語「少なくとも1つ」及び「1つ以上」とは、実体リストのうちの任意の1つ以上を指し、かつ実体リスト内に特に記載された各実体と各実体の少なくとも1つに限定されない。例えば、「AとBの少なくとも1つ」(又は同等に「A又はBの少なくとも1つ」又は同等に「A及び/又はBの少なくとも1つ」)は、Aのみ、Bのみ、またはAとBとの組み合わせであってもよい。
【1119】
本明細書で使用されるように、第1の実体と第2の実体の間に置かれる「及び/又は」用語とは、(1)第1の実体、(2)第2の実体、並びに(3)第1の実体及び第2の実体のうちの1つを指す。「及び/又は」で列挙された複数の実体は、同じように方式で、すなわち、そのように結合された「1つ以上」の実体fであると解釈されるべきである。「及び/又は」という句によって具体的に特定された実体以外に、他の実体は、特定された実体に関連するか否かに関われず、任意に存在してもよい。したがって、非限定的な例として、「A及び/又はB」は、「含む」等のオープンエンド言語と組み合わせて使用される場合、いくつかの実施形態において(B以外の実体を任意に含む)Aのみを指し、特定の実施形態において、(A以外の実体を任意に含む)Bのみを指し、更なる別の実施形態において(他の実体を任意に含む)A及びBの両方を指すことができる。これらの実体は部品、動作、構造、ステップ、操作、値等であってもよい。
【1120】
任意の特許、特許出願、又は他の参考文献は、参照により本明細書に組み込まれ、かつ(1)矛盾方式で用語を定義し、かつ/又は(2)他の方式で本開示の組み込まれていない部分もしくは他の組み込まれた参考文献のいずれかと矛盾し、本発明の組み込まれていない部分は制御し、かつ、その中の用語又は組み込まれた開示は、用語が定義される参照及び/又は組み込まれた開示が本来存在する参照に関してのみを制御するべきである。
【1121】
以下の特許請求の範囲は、開示された発明に向けられた新規かつ非自明な特定の組み合わせと部分的組み合わせを特に指摘すると考えられる。特徴、機能、要素、及び/又は特性の他の組み合わせ又は部分的組み合わせに具体化された発明は、本発明の請求項の補正又は本願又は関連出願における新規の請求の提示によって要求されてもよい。そのような修正又は新しい請求項は、それらが異なる発明に向けられたものであっても、同じ発明に向けられたものであっても、異なるか、より広いか、より狭いか、或いは当初の特許請求の範囲に等しいか否かに関わらず、本開示の発明の対象物内に含まれるものとも見なされる。