(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-14
(45)【発行日】2022-09-26
(54)【発明の名称】直接視覚化カテーテル及びシステム
(51)【国際特許分類】
A61B 1/00 20060101AFI20220915BHJP
A61B 1/01 20060101ALI20220915BHJP
A61B 1/05 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
A61B1/00 715
A61B1/01 513
A61B1/05
(21)【出願番号】P 2020512499
(86)(22)【出願日】2018-10-24
(86)【国際出願番号】 US2018057346
(87)【国際公開番号】W WO2019084162
(87)【国際公開日】2019-05-02
【審査請求日】2020-02-28
(32)【優先日】2017-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(73)【特許権者】
【識別番号】501083115
【氏名又は名称】メイヨ・ファウンデーション・フォー・メディカル・エデュケーション・アンド・リサーチ
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】アンダーソン、ジェームズ エム.
(72)【発明者】
【氏名】グローベンダー、アダム ディ.
(72)【発明者】
【氏名】ピーターセン、エリック エム.
(72)【発明者】
【氏名】ラーブ、デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】スミス、マーク エス.
(72)【発明者】
【氏名】ハンソン、キャス エイ.
(72)【発明者】
【氏名】オストルート、ティモシー エイ.
【審査官】安田 明央
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/087549(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/044320(WO,A1)
【文献】特表2016-522051(JP,A)
【文献】特開2006-334397(JP,A)
【文献】特開2012-200597(JP,A)
【文献】国際公開第2013/073061(WO,A1)
【文献】特表2014-530644(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00-1/32
G02B 23/24-23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直接視覚化カテーテルであって、
ハンドルと、
バルーンと、
近位端と前記近位端の反対側の遠位端とを有する細長シャフトであって、前記近位端が前記ハンドルに結合されており、前記遠位端が前記バルーンに結合されているとともに長手軸を規定して
おり、前記近位端から前記遠位端まで貫通するデリバリルーメンと、前記デリバリルーメンから径方向に偏倚して配置されるとともに前記近位端から前記遠位端まで貫通するカメラルーメンとを含む細長シャフトと、
前記細長シャフトの前記遠位端に結合されるとともに前記バルーン内に配置されたカメラアセンブリであって、
カメラと、
前記細長シャフトの前記遠位端に対する前記カメラの姿勢をデリバリ姿勢と展開姿勢との間で変化させるための調整機構であって、前記カメラが前記デリバリ姿勢では主に径方向に向いており、前記カメラが前記展開姿勢では主に軸方向に向いている調整機構と
を含むカメラアセンブリと
を備え、
前記カメラアセンブリを前記細長シャフトの遠位端に結合するために、前記カメラアセンブリは、前記細長シャフトの遠位端におけるキャップに設けられるスロット内に配置され
ており、前記デリバリルーメンは前記キャップを貫通しており、前記スロットは前記キャップの外面から径方向に延びているが前記デリバリルーメンまでは延びていない、直接視覚化カテーテル。
【請求項2】
前記デリバリ姿勢では、前記カメラは径方向に前記細長シャフトからはみ出しておらず、前記展開姿勢では、前記カメラは径方向に前記細長シャフトからはみ出している、請求項1に記載の直接視覚化カテーテル。
【請求項3】
前記細長シャフトは3.1mm~3.5mmの直径を有し、前記細長シャフトは前記近位端から前記遠位端にわたるルーメンをさらに含み、前記ルーメンは2.2mm~2.5mmのルーメン直径を有する、請求項1又は2に記載の直接視覚化カテーテル。
【請求項4】
前記調整機構は、
前記カメラを前記細長シャフトの前記遠位端に結合しているヒンジであって、前記カメラが前記細長シャフトの前記遠位端に対して相対的に動くことを可能とするように構成されたヒンジと、
前記ヒンジ周りに第1の力を付与するように構成された付勢要素と、
前記ヒンジ周りに前記第1の力と反対の第2の力を付与するように構成された制御要素と
を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の直接視覚化カテーテル。
【請求項5】
前記制御要素は、前記ハンドルに延びる操作用糸を含み、前記操作用糸は前記カメラに結合されている、請求項4に記載の直接視覚化カテーテル。
【請求項6】
前記制御要素は前記細長シャフトの前記遠位端と前記カメラとの間に配置されたインフレータブル装置を含み、前記インフレータブル装置が前記ハンドルに延びる加圧制御ルーメンと流体連通している、請求項4に記載の直接視覚化カテーテル。
【請求項7】
前記制御要素は前記細長シャフトの前記遠位端と前記カメラとの間に配置された電気活性要素を含み、前記電気活性要素が前記ハンドルに延びる複数の制御ワイヤと電気連通している、請求項4に記載の直接視覚化カテーテル。
【請求項8】
前記ヒンジは、画像の保存、画像の表示、画像の解析のうちの少なくとも1つのために、画像処理装置に電気的に接続される電線に前記カメラを電気的に接続するように構成された複数の導電体を含む、請求項4~7のいずれか一項に記載の直接視覚化カテーテル。
【請求項9】
血液プール内の直接視覚化のためのシステムであって、
画像処理装置と、
前記画像処理装置に電気的に接続された、請求項1~8のいずれか一項に記載の直接視覚化カテーテルと
を備える、システム。
【請求項10】
血液プール内の直接視覚化のためのシステムであって、
画像処理装置と、
前記画像処理装置に電気的に接続された直接視覚化カテーテルと
を備え、前記直接視覚化カテーテルが、
ハンドルと、
透明なバルーンと、
近位端及び前記近位端の反対側の遠位端を有する細長シャフトであって、前記近位端が前記ハンドルに結合されており、前記遠位端が前記バルーンに結合されているとともに長手軸を規定しており、前記近位端から前記遠位端にわたる複数のルーメンを含
み、前記複数のルーメンは、前記近位端から前記遠位端まで貫通するデリバリルーメンと、前記デリバリルーメンから径方向に偏倚して配置されるとともに前記近位端から前記遠位端まで貫通するカメラルーメンとを含む細長シャフトと、
前記細長シャフトの前記遠位端に結合されるとともに前記バルーン内に配置されたカメラアセンブリであって、
カメラと、
前記カメラを前記細長シャフトの前記遠位端で前記細長シャフトに結合しているヒンジと、
前記ヒンジ周りに第1の力を付与するように構成された付勢要素と、
前記細長シャフトの前記遠位端に対する前記カメラの姿勢をデリバリ姿勢と展開姿勢との間で変化させるために前記ヒンジ周りに前記第1の力と反対の第2の力を付与するように構成された制御要素であって、前記カメラが前記デリバリ姿勢では主に径方向に向いており、前記カメラが前記展開姿勢では主に軸方向に向いている制御要素と
を含むカメラアセンブリと
を含み、
前記カメラアセンブリを前記細長シャフトの遠位端に結合するために、前記カメラアセンブリは、前記細長シャフトの遠位端におけるキャップに設けられるスロット内に配置され
ており、
前記デリバリルーメンは前記キャップを貫通しており、前記スロットは前記キャップの外面から径方向に延びているが前記デリバリルーメンまでは延びていない、システム。
【請求項11】
前記制御要素は、前記複数のルーメンのうちの1つを通って延びる操作用糸と、前記ハンドル内に配置されたポジションスイッチとを含み、前記操作用糸が前記カメラを前記ポジションスイッチに物理的に接続している、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記制御要素は、前記細長シャフトと前記カメラとの間に配置されたインフレータブル装置と、圧力調整装置とを含み、前記複数のルーメンのうちの1つが前記インフレータブル装置と前記圧力調整装置とを流体接続している、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記制御要素は、
前記細長シャフトと前記カメラとの間に配置された電気活性要素と、
電圧調整装置と、
前記複数のルーメンのうちの少なくとも1つを通って延びる制御ワイヤであって、前記電気活性要素を前記電圧調整装置に電気的に接続している前記制御ワイヤと
を含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項14】
前記ヒンジは、画像の保存、画像の表示、画像の解析のうちの少なくとも1つのために、前記画像処理装置に電気的に接続される電線に前記カメラを電気的に接続するように構成された複数の導電体を含む、請求項10~13のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
前記細長シャフトは3.1mm~3.5mmの直径を有し、前記
デリバリルーメンは2.2mm~2.5mmのルーメン直径を有する、請求項10~14のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体内の直接視覚化のための医療装置及び方法に関する。より具体的には、本発明は、血液プール内の最小侵襲的な直接視覚化のためのカテーテル、システム、及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
患者の体内の組織の直接視覚化により、病気の診断及び治療において重要な情報及びガイダンスを得ることができる。心疾患に関しては、直接視覚化は、いくつかの疾患の中でも特に、例えば心臓弁疾患の診断及び治療において有用である可能性がある。直接視覚化により得られるインビボ画像によって、超音波のような他の技術よりも高分解能で組織の徹底的な検査が可能となり得る。経中隔的僧帽弁修復、及び弁輪の縫縮のような手技はすべて、直接視覚化によって提供される精度が有効であり得る。
【0003】
心臓内の直接視覚化は、血液が一般的に不透明であることによって組織の観察が妨げられる可能性があるので、困難である。いくつかの直接視覚化カテーテルでは、観察対象の組織に隣接した血液を追いやるために、カテーテルの端に透明なバルーンを採用している。バルーンには、生理食塩水が充填されて、カテーテルの端のバルーン内でカメラの視野をさらにクリアにする光学レンズ効果を提供することが可能である。
【発明の概要】
【0004】
実施態様1は、ハンドルと、バルーンと、細長シャフトと、カメラアセンブリとを含む直接視覚化カテーテルである。細長シャフトは、近位端と、近位端の反対側の遠位端とを有する。近位端は、ハンドルに結合されている。遠位端は、バルーンに結合されており、長手軸を規定している。カメラアセンブリは、細長シャフトの遠位端に結合されるとともにバルーン内に配置されている。カメラアセンブリは、カメラと、細長シャフトの遠位端に対するカメラの姿勢をデリバリ姿勢と展開姿勢との間で変化させるための調整機構とを含む。カメラは、デリバリ姿勢では主に径方向に向いており、カメラは、展開姿勢では主に軸方向に向いている。
【0005】
実施態様2は、実施態様1の直接視覚化カテーテルであって、デリバリ姿勢では、カメラは径方向に細長シャフトからはみ出しておらず、展開姿勢では、カメラは径方向に細長シャフトからはみ出している。
【0006】
実施態様3は、実施態様1又は2のいずれかの直接視覚化カテーテルであって、細長シャフトは3.1mm~3.5mmの直径を有し、細長シャフトは、近位端から遠位端にわたるルーメンをさらに含み、ルーメンは2.2mm~2.5mmのルーメン直径を有する。
【0007】
実施態様4は、実施態様1~3のいずれかの直接視覚化カテーテルであって、調整機構は、ヒンジと、付勢要素と、制御要素とを含む。ヒンジは、カメラを細長シャフトの遠位端に結合している。ヒンジは、カメラが細長シャフトの遠位端に対して相対的に動くことを可能とするように構成されている。付勢要素は、ヒンジ周りに第1の力を付与するように構成されている。制御要素は、ヒンジ周りに第1の力と反対の第2の力を付与するように構成されている。
【0008】
実施態様5は、実施態様4の直接視覚化カテーテルであって、制御要素は、ハンドルに延びる操作用糸を含み、操作用糸はカメラに結合されている。
実施態様6は、実施態様4の直接視覚化カテーテルであって、制御要素は、細長シャフトの遠位端とカメラとの間に配置されたインフレータブル装置を含み、インフレータブル装置は、ハンドルに延びる加圧制御ルーメンと流体連通している。
【0009】
実施態様7は、実施態様4の直接視覚化カテーテルであって、制御要素は、細長シャフトの遠位端とカメラとの間に配置された電気活性要素を含み、電気活性要素は、ハンドルに延びる複数の制御ワイヤと電気連通している。
【0010】
実施態様8は、実施態様4~7のいずれかの直接視覚化カテーテルであって、ヒンジは、画像の保存、画像の表示、画像の解析のうちの少なくとも1つのために、画像処理装置に電気的に接続される電線にカメラを電気的に接続するように構成された複数の導電体を含む。
【0011】
実施態様9は、血液プール内の直接視覚化のためのシステムであって、このシステムは、画像処理装置と、画像処理装置に電気的に接続された実施態様1~8のいずれかによる直接視覚化カテーテルとを含む。
【0012】
実施態様10は、血液プール内の直接視覚化のためのシステムである。このシステムは、画像処理装置と、画像処理装置に電気的に接続された直接視覚化カテーテルとを含む。直接視覚化カテーテルは、ハンドルと、透明なバルーンと、細長シャフトと、カメラアセンブリとを含む。細長シャフトは、近位端と、近位端の反対側の遠位端とを有する。近位端は、ハンドルに結合されている。遠位端は、バルーンに結合されており、長手軸を規定している。細長シャフトは、近位端から遠位端にわたる複数のルーメンを含む。カメラアセンブリは、細長シャフトの遠位端に結合されるとともにバルーン内に配置されている。カメラアセンブリは、カメラと、カメラを細長シャフトの遠位端で細長シャフトに結合しているヒンジと、ヒンジ周りに第1の力を付与するように構成された付勢要素と、細長シャフトの遠位端に対するカメラの姿勢をデリバリ姿勢と展開姿勢との間で変化させるためにヒンジ周りに第1の力と反対の第2の力を付与するように構成された制御要素とを含む。カメラは、デリバリ姿勢では主に径方向に向いており、カメラは、展開姿勢では主に軸方向に向いている。
【0013】
実施態様11は、実施態様10のシステムであって、制御要素は、操作用糸と、ポジションスイッチとを含む。操作用糸は、複数のルーメンのうちの1つを通って延びる。ポジションスイッチは、ハンドル内に配置されている。操作用糸は、カメラをポジションスイッチに物理的に接続している。
【0014】
実施態様12は、実施態様10のシステムであって、制御要素は、インフレータブル装置と、圧力調整装置とを含む。インフレータブル装置は、細長シャフトとカメラとの間に配置されている。複数のルーメンのうちの1つは、インフレータブル装置と圧力調整装置とを流体接続している。
【0015】
実施態様13は、実施態様10のシステムであって、制御要素は、細長シャフトとカメラとの間に配置された電気活性要素と、電圧調整装置と、複数のルーメンのうちの少なくとも1つを通って延びる制御ワイヤとを含む。制御ワイヤは、電気活性要素を電圧調整装置に電気的に接続している。
【0016】
実施態様14は、実施態様10~13のいずれかのシステムであって、ヒンジは、画像の保存、画像の表示、画像の解析のうちの少なくとも1つのために、画像処理装置に電気的に接続される電線にカメラを電気的に接続するように構成された複数の導電体を含む。
【0017】
実施態様15は、実施態様10~14のいずれかのシステムであって、細長シャフトは3.1mm~3.5mmの直径を有し、複数のルーメンのうちの1つは2.2mm~2.5mmのルーメン直径を有する。
【0018】
実施態様16は、ハンドルと、バルーンと、細長シャフトと、カメラアセンブリとを含む直接視覚化カテーテルである。細長シャフトは、近位端と、近位端の反対側の遠位端とを有する。近位端は、ハンドルに結合されている。遠位端は、バルーンに結合されており、長手軸を規定している。カメラアセンブリは、細長シャフトの遠位端に結合されるとともにバルーン内に配置されている。カメラアセンブリは、カメラと、細長シャフトの遠位端に対するカメラの姿勢をデリバリ姿勢と展開姿勢との間で変化させるための調整機構とを含む。カメラは、デリバリ姿勢では主に径方向に向いており、カメラは、展開姿勢では主に軸方向に向いている。
【0019】
実施態様17は、実施態様16の直接視覚化カテーテルであって、デリバリ姿勢では、カメラは径方向に細長シャフトからはみ出しておらず、展開姿勢では、カメラは径方向に細長シャフトからはみ出している。
【0020】
実施態様18は、実施態様16又は17のいずれかの直接視覚化カテーテルであって、細長シャフトは3.1mm~3.5mmの直径を有し、細長シャフトは、近位端から遠位端にわたるルーメンをさらに含み、ルーメンは2.2mm~2.5mmのルーメン直径を有する。
【0021】
実施態様19は、実施態様16~18のいずれかの直接視覚化カテーテルであって、調整機構は、ヒンジと、付勢要素と、制御要素とを含む。ヒンジは、カメラを細長シャフトの遠位端に結合している。ヒンジは、カメラが細長シャフトの遠位端に対して相対的に動くことを可能とするように構成されている。付勢要素は、ヒンジ周りに第1の力を付与するように構成されている。制御要素は、ヒンジ周りに第1の力と反対の第2の力を付与するように構成されている。
【0022】
実施態様20は、実施態様19の直接視覚化カテーテルであって、制御要素は、ハンドルに延びる操作用糸を含み、操作用糸はカメラに結合されている。
実施態様21は、実施態様19の直接視覚化カテーテルであって、制御要素は、細長シャフトの遠位端とカメラとの間に配置されたインフレータブル装置を含み、インフレータブル装置は、ハンドルに延びる加圧制御ルーメンと流体連通している。
【0023】
実施態様22は、実施態様19の直接視覚化カテーテルであって、制御要素は、細長シャフトの遠位端とカメラとの間に配置された電気活性要素を含み、電気活性要素は、ハンドルに延びる複数の制御ワイヤと電気連通している。
【0024】
実施態様23は、実施態様19~22のいずれかの直接視覚化カテーテルであって、ヒンジは、画像の保存、画像の表示、画像の解析のうちの少なくとも1つのために、画像処理装置に電気的に接続される電線にカメラを電気的に接続するように構成された複数の導電体を含む。
【0025】
実施態様24は、血液プール内の直接視覚化のためのシステムである。このシステムは、画像処理装置と、画像処理装置に電気的に接続された直接視覚化カテーテルとを含む。直接視覚化カテーテルは、ハンドルと、透明なバルーンと、細長シャフトと、カメラアセンブリとを含む。細長シャフトは、近位端と、近位端の反対側の遠位端とを有する。近位端は、ハンドルに結合されている。遠位端は、バルーンに結合されており、長手軸を規定している。細長シャフトは、近位端から遠位端にわたる複数のルーメンを含む。カメラアセンブリは、細長シャフトの遠位端に結合されるとともにバルーン内に配置されている。カメラアセンブリは、カメラと、カメラを細長シャフトの遠位端で細長シャフトに結合しているヒンジと、ヒンジ周りに第1の力を付与するように構成された付勢要素と、細長シャフトの遠位端に対するカメラの姿勢をデリバリ姿勢と展開姿勢との間で変化させるためにヒンジ周りに第1の力と反対の第2の力を付与するように構成された制御要素とを含む。カメラは、デリバリ姿勢では主に径方向に向いており、カメラは、展開姿勢では主に軸方向に向いている。
【0026】
実施態様25は、実施態様24のシステムであって、制御要素は、複数のルーメンのうちの1つを通って延びる操作用糸と、ハンドル内に配置されたポジションスイッチとを含む。操作用糸は、カメラをポジションスイッチに物理的に接続している。
【0027】
実施態様26は、実施態様24のシステムであって、制御要素は、インフレータブル装置と、圧力調整装置とを含む。インフレータブル装置は、細長シャフトとカメラとの間に配置されている。複数のルーメンのうちの1つは、インフレータブル装置と圧力調整装置とを流体接続している。
【0028】
実施態様27は、実施態様24のシステムであって、制御要素は、電気活性要素と、電圧調整装置と、制御ワイヤとを含む。電気活性要素は、細長シャフトとカメラとの間に配置されている。制御ワイヤは、複数のルーメンのうちの少なくとも1つを通って延びる。制御ワイヤは、電気活性要素を電圧調整装置に電気的に接続している。
【0029】
実施態様28は、実施態様24~27のいずれかのシステムであって、ヒンジは、画像の保存、画像の表示、画像の解析のうちの少なくとも1つのために、画像処理装置に電気的に接続される電線にカメラを電気的に接続するように構成された複数の導電体を含む。
【0030】
実施態様29は、実施態様24~28のいずれかのシステムであって、デリバリ姿勢では、カメラは径方向に細長シャフトからはみ出しておらず、展開姿勢では、カメラは径方向に細長シャフトからはみ出している。
【0031】
実施態様30は、実施態様24~29のいずれかのシステムであって、細長シャフトは3.1mm~3.5mmの直径を有し、複数のルーメンのうちの1つは2.2mm~2.5mmのルーメン直径を有する。
【0032】
実施態様31は、体内の組織を視覚化する方法である。この方法は、体内にカテーテルを挿入することと、カテーテルの遠位端で透明バルーンを膨張させることと、カメラの姿勢をデリバリ姿勢と展開姿勢との間で調整することと、膨張したバルーンの一部に視覚化対象の組織を接触させることとを含む。カテーテルは、遠位端の反対側に近位端を有する。遠位端は、長手軸を規定している。カメラは、デリバリ姿勢では主に径方向に向いており、カメラは、展開姿勢では主に軸方向に向いている。カメラは、カテーテルの遠位端に結合されるとともに透明バルーン内に配置されている。
【0033】
実施態様32は、実施態様31の方法であって、カメラの姿勢をデリバリ姿勢と展開姿勢との間で調整することは、カメラをカテーテルに結合しているヒンジ周りにカメラを動かすために、カメラに結合された操作用糸を引くことを含む。
【0034】
実施態様33は、実施態様31の方法であって、カメラの姿勢をデリバリ姿勢と展開姿勢との間で調整することは、カメラとカテーテルとの間に配置されたインフレータブル装置を膨張させることを含む。
【0035】
実施態様34は、実施態様31の方法であって、カメラの姿勢をデリバリ姿勢と展開姿勢との間で調整することは、カメラをカテーテルに結合しているヒンジ周りにカメラを動かすために、カメラとカテーテルとの間に配置された電気活性材料に印加される電圧を変化させることを含む。
【0036】
実施態様35は、実施態様31~34のいずれかの方法であって、デリバリ姿勢では、カメラは径方向にカテーテルからはみ出しておらず、展開姿勢では、カメラは径方向にカテーテルからはみ出している。
【0037】
実施態様36は、バルーンと、細長シャフトと、細長シャフトの遠位端に結合されるとともにバルーン内に配置されたカメラアセンブリとを含む直接視覚化カテーテルである。細長シャフトは、近位端と、近位端の反対側の遠位端とを有する。遠位端は、バルーンに結合されている。カメラアセンブリは、カメラと、カメラによる観察の視野方向を細長シャフトの遠位端に対して相対的に変化させるように構成された調整機構とを含む。
【0038】
実施態様37は、実施態様36の直接視覚化カテーテルであって、調整機構は、カメラを細長シャフトの遠位端に結合するヒンジと、ヒンジ周りに第1の力を付与するように構成された付勢要素と、ヒンジ周りに第1の力と反対の第2の力を選択的に付与するように構成された制御要素とを含む。ヒンジは、カメラが細長シャフトの遠位端に対して相対的に動くことを可能とするように構成されている。
【0039】
実施態様38は、実施態様37の直接視覚化カテーテルであって、制御要素は、近位端に延びる操作用糸を含み、操作用糸はカメラに結合されている。
実施態様39は、実施態様37の直接視覚化カテーテルであって、制御要素は、細長シャフトの遠位端とカメラとの間に配置されたインフレータブル装置を含み、インフレータブル装置は、近位端に延びる加圧制御ルーメンと流体連通している。
【0040】
実施態様40は、実施態様37の直接視覚化カテーテルであって、制御要素は、細長シャフトの遠位端とカメラとの間に配置された電気活性要素を含み、電気活性要素は、近位端に延びる複数の制御ワイヤと電気連通している。
【0041】
実施態様41は、実施態様36の直接視覚化カテーテルであって、調整機構は、カメラに結合されたヒンジと、付勢要素と、操作ロッドとを含む。操作ロッドは、近位端に延びるとともにヒンジに結合されている。ヒンジは、カメラが細長シャフトの遠位端に対して相対的に動くことを可能とするように構成されている。付勢要素は、カメラを細長シャフトに対して付勢するように、ヒンジ周りに力を付与するように構成されている。操作ロッドは、カメラが第1の方向に動くように操作ロッドを細長シャフトの遠位端の方に押し込むとカメラの遠位部を細長シャフトの遠位端を越えて延出させ、カメラが第2の方向に動くように操作ロッドを細長シャフトの近位端の方に引き寄せると細長シャフトの近位端のほうにカメラを退避させるように構成されている。
【0042】
実施態様42は、実施態様37~41のいずれかの直接視覚化カテーテルであって、ヒンジは、画像の保存、画像の表示、画像の解析のうちの少なくとも1つのために、画像処理装置に電気的に接続される電線にカメラを電気的に接続するように構成された複数の導電体を含む。
【0043】
実施態様43は、実施態様36の直接視覚化カテーテルであって、調整機構は、カメラによる観察の視野方向を細長シャフトの遠位端に対して相対的に変化させるために、カメラを細長シャフトの遠位端に連結するボールソケットジョイントと、ボールソケットジョイントに結合されたコイルバネと、コイルバネに結合されるとともに近位端に延びるトルクシャフトとを含む。
【0044】
実施態様44は、血液プール内の直接視覚化のためのシステムである。このシステムは、画像処理装置と、実施態様36~43のいずれかによる直接視覚化カテーテルとを含む。直接視覚化装置は、画像処理装置に電気的に接続されている。
【0045】
実施態様45は、ハンドルと、透明なバルーンと、近位端及び近位端の反対側の遠位端を有する細長シャフトと、細長シャフトの遠位端に結合されるとともにバルーン内に配置されたカメラアセンブリとを含む直接視覚化カテーテルである。細長シャフトの近位端は、ハンドルに結合されている。細長シャフトの遠位端は、バルーンに結合されている。細長シャフトは、近位端から遠位端にわたる複数のルーメンを含む。カメラアセンブリは、カメラと、ヒンジと、付勢要素と、制御要素とを含む。ヒンジは、カメラを細長シャフトの遠位端で細長シャフトに結合している。付勢要素は、ヒンジ周りに第1の力を付与するように構成されている。制御要素は、カメラによる観察の視野方向を細長シャフトの遠位端に対して相対的に変化させるために、ヒンジ周りに第1の力と反対の第2の力を付与するように構成されている。
【0046】
実施態様46は、実施態様45の直接視覚化カテーテルであって、制御要素は、複数のルーメンのうちの1つを通って延びる操作用糸と、ハンドル内に配置されたポジションスイッチとを含む。操作用糸は、カメラをポジションスイッチに物理的に接続している。
【0047】
実施態様47は、実施態様45の直接視覚化カテーテルであって、制御要素は、細長シャフトとカメラとの間に配置されたインフレータブル装置と、圧力調整装置とを含む。複数のルーメンのうちの1つは、インフレータブル装置を圧力調整装置に流体接続している。
【0048】
実施態様48は、実施態様45の直接視覚化カテーテルであって、制御要素は、細長シャフトとカメラとの間に配置された電気活性要素と、電圧調整装置と、複数のルーメンのうちの少なくとも1つを通って延びる制御ワイヤとを含む。制御ワイヤは、電気活性要素を電圧調整装置に電気的に接続している。
【0049】
実施態様49は、実施態様45の直接視覚化カテーテルであって、制御要素は、ハンドルに延びる操作ロッドを含む。操作ロッドは、ヒンジに結合されている。操作ロッドは、第1の力でカメラを第1の方向に動かすように操作ロッドを細長シャフトの遠位端の方に押し込むとカメラの遠位部を細長シャフトの遠位端を越えて延出させ、操作ロッドを細長シャフトの近位端の方に引き寄せてカメラを第2の方向に動かすと細長シャフトの近位端のほうにカメラを退避させるように構成されている。
【0050】
実施態様50は、実施態様45~49のいずれかの直接視覚化カテーテルであって、ヒンジは、画像の保存、画像の表示、画像の解析のうちの少なくとも1つのために、画像処理装置に電気的に接続される電線にカメラを電気的に接続するように構成された複数の導電体を含む。
【0051】
実施態様51は、ハンドルと、バルーンと、近位端及び近位端の反対側の遠位端を有する細長シャフトと、カメラアセンブリとを含む直接視覚化カテーテルである。細長シャフトの近位端は、ハンドルに結合されている。細長シャフトの遠位端は、バルーンに結合されている。カメラアセンブリは、細長シャフトの遠位端に結合されるとともにバルーン内に配置されている。カメラアセンブリは、カメラと、カメラによる観察の視野方向を細長シャフトの遠位端に対して相対的に変化させるように構成された調整機構とを含む。
【0052】
実施態様52は、実施態様51の直接視覚化カテーテルであって、調整機構は、カメラを細長シャフトの遠位端に結合するヒンジと、ヒンジ周りに第1の力を付与するように構成された付勢要素と、ヒンジ周りに第1の力と反対の第2の力を付与するように構成された制御要素とを含む。ヒンジは、カメラが細長シャフトの遠位端に対して相対的に動くことを可能とするように構成されている。
【0053】
実施態様53は、実施態様52の直接視覚化カテーテルであって、制御要素は、ハンドルに延びる操作用糸を含み、操作用糸はカメラに結合されている。
実施態様54は、実施態様52の直接視覚化カテーテルであって、制御要素は、細長シャフトの遠位端とカメラとの間に配置されたインフレータブル装置を含み、インフレータブル装置は、ハンドルに延びる加圧制御ルーメンと流体連通している。
【0054】
実施態様55は、実施態様52の直接視覚化カテーテルであって、制御要素は、細長シャフトの遠位端とカメラとの間に配置された電気活性要素を含み、電気活性要素は、ハンドルに延びる複数の制御ワイヤと電気連通している。
【0055】
実施態様56は、実施態様52~55のいずれかの直接視覚化カテーテルであって、ヒンジは、画像の保存、画像の表示、画像の解析のうちの少なくとも1つのために、画像処理装置に電気的に接続される電線にカメラを電気的に接続するように構成された複数の導電体を含む。
【0056】
実施態様57は、実施態様51の直接視覚化カテーテルであって、調整機構は、カメラに結合されたヒンジと、付勢要素と、操作ロッドとを含む。操作ロッドは、ヒンジに結合されている。操作ロッドは、細長シャフトの近位端まで及んでいる。ヒンジは、カメラが細長シャフトの遠位端に対して相対的に動くことを可能とするように構成されている。付勢要素は、カメラを細長シャフトに対して付勢するように、ヒンジ周りに力を付与するように構成されている。操作ロッドは、カメラが第1の方向に動くように操作ロッドを細長シャフトの遠位端の方に押し込むとカメラの遠位部を細長シャフトの遠位端を越えて延出させ、カメラが第2の方向に動くように操作ロッドを細長シャフトの近位端の方に引き寄せると、細長シャフトの近位端のほうにカメラを退避させるように構成されている。
【0057】
実施態様58は、実施態様51の直接視覚化カテーテルであって、調整機構は、カメラによる観察の視野方向を細長シャフトの遠位端に対して相対的に変化させるために、カメラを細長シャフトの遠位端に連結するボールソケットジョイントと、ボールソケットジョイントに結合されたコイルバネと、コイルバネに結合されたトルクシャフトとを含む。
【0058】
実施態様59は、血液プール内の直接視覚化のためのシステムである。このシステムは、画像処理装置と、画像処理装置に電気的に接続された直接視覚化カテーテルとを含む。直接視覚化カテーテルは、ハンドルと、透明なバルーンと、細長シャフトと、カメラアセンブリとを含む。細長シャフトは、近位端と、近位端の反対側の遠位端とを有する。細長シャフトの近位端は、ハンドルに結合されている。細長シャフトの遠位端は、バルーンに結合されている。細長シャフトは、近位端から遠位端にわたる複数のルーメンを含む。カメラアセンブリは、細長シャフトの遠位端に結合されるとともにバルーン内に配置されている。カメラアセンブリは、カメラと、カメラを細長シャフトの遠位端で細長シャフトに結合しているヒンジと、ヒンジ周りに第1の力を付与するように構成された付勢要素と、カメラによる観察の視野方向を細長シャフトの遠位端に対して相対的に変化させるためにヒンジ周りに第1の力と反対の第2の力を付与するように構成された制御要素とを含む。
【0059】
実施態様60は、実施態様59のシステムであって、制御要素は、複数のルーメンのうちの1つを通って延びる操作用糸と、ハンドル内に配置されたポジションスイッチとを含む。操作用糸は、カメラをポジションスイッチに物理的に接続している。
【0060】
実施態様61は、実施態様59のシステムであって、制御要素は、細長シャフトとカメラとの間に配置されたインフレータブル装置と、圧力調整装置とを含む。複数のルーメンのうちの1つは、インフレータブル装置を圧力調整装置に流体接続している。
【0061】
実施態様62は、実施態様59のシステムであって、制御要素は、細長シャフトとカメラとの間に配置された電気活性要素と、電圧調整装置と、複数のルーメンのうちの少なくとも1つを通って延びる制御ワイヤとを含む。制御ワイヤは、電気活性要素を電圧調整装置に電気的に接続している。
【0062】
実施態様63は、実施態様59のシステムであって、制御要素は、ハンドルに延びる操作ロッドを含む。操作ロッドは、ヒンジに結合されている。操作ロッドは、第1の力でカメラを第1の方向に動かすように操作ロッドを細長シャフトの遠位端の方に押し込むとカメラの遠位部を細長シャフトの遠位端を越えて延出させ、操作ロッドを細長シャフトの近位端の方に引き寄せてカメラを第2の方向に動かすと細長シャフトの近位端のほうにカメラを退避させるように構成されている。
【0063】
実施態様64は、実施態様59~63のいずれかのシステムであって、ヒンジは、画像の保存、画像の表示、画像の解析のうちの少なくとも1つのために、画像処理装置に電気的に接続される電線にカメラを電気的に接続するように構成された複数の導電体を含む。
【0064】
実施態様65は、体内の組織を視覚化する方法である。この方法は、遠位端及び遠位端の反対側の近位端を有するカテーテルを体内に挿入することと、カテーテルの遠位端で透明バルーンを膨張させることと、膨張したバルーンの一部に視覚化対象の組織を接触させることと、カテーテルの遠位端に結合されるとともに透明バルーン内に配置されたカメラの視野方向であって、カテーテルの遠位端に対して可変である視野方向を調整することとを含む。
【0065】
実施態様66は、実施態様65の方法であって、カメラの視野方向を調整することは、カメラをカテーテルに結合しているヒンジ周りにカメラを回転させるために、カメラに結合された操作用糸を引くことを含む。
【0066】
実施態様67は、実施態様65の方法であって、カメラの視野方向を調整することは、カメラとカテーテルとの間に配置されたインフレータブル装置を膨張させることを含む。
実施態様68は、実施態様65の方法であって、カメラの視野方向を調整することは、カメラをカテーテルに結合しているヒンジ周りにカメラを回転させるために、カメラとカテーテルとの間に配置された電気活性要素に印加される電圧を変化させることを含む。
【0067】
実施態様69は、実施態様65の方法であって、カメラの視野方向を調整することは、カメラをカテーテルに結合しているヒンジ周りにカメラが回転することを可能とするように、カメラの一部をカテーテルの遠位端を越えて延出させるために、カメラに結合された操作ロッドを押すことを含む。
【0068】
実施態様70は、実施態様65の方法であって、カメラの視野方向を調整することは、カメラに連結されたボールソケットジョイントに結合されたトルクシャフトを回転させることを含む。
【0069】
様々な実施態様について開示しているが、本発明によるさらなる他の実施態様は、例示的な実施形態について図示及び説明している以下の詳細な説明から、当業者には明らかになるであろう。よって、図面及び詳細な説明は、本質的に例示的なものとみなされるべきであり、限定的なものとみなされるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【
図1】本発明の実施形態による、患者の心臓内の直接視覚化のためのシステムの使用を示す概略図。
【
図2】本発明の実施形態による、直接視覚化カテーテルの遠位端の概略斜視図。
【
図3A】本発明のいくつかの実施形態による、
図2の直接視覚化カテーテルの遠位端の側断面図。
【
図3B】本発明のいくつかの実施形態による、
図2の直接視覚化カテーテルの遠位端の側断面図。
【
図4A】本発明のいくつかの実施形態による、
図2の直接視覚化カテーテルの他の実施形態の遠位端の側断面図。
【
図4B】本発明のいくつかの実施形態による、
図2の直接視覚化カテーテルの他の実施形態の遠位端の側断面図。
【
図5A】本発明のいくつかの実施形態による、
図2の直接視覚化カテーテルの他の実施形態の遠位端の側断面図。
【
図5B】本発明のいくつかの実施形態による、
図2の直接視覚化カテーテルの他の実施形態の遠位端の側断面図。
【
図6A】本発明のいくつかの実施形態による、
図2の直接視覚化カテーテルの他の実施形態の遠位端の側断面図。
【
図6B】本発明のいくつかの実施形態による、
図2の直接視覚化カテーテルの他の実施形態の遠位端の側断面図。
【
図7A】本発明のいくつかの実施形態による、
図2の直接視覚化カテーテルの他の実施形態の遠位端の側断面図。
【
図7B】本発明のいくつかの実施形態による、
図2の直接視覚化カテーテルの他の実施形態の遠位端の側断面図。
【
図8A】本発明のいくつかの実施形態による、
図2の直接視覚化カテーテルの他の実施形態の遠位端の側断面図。
【
図8B】本発明のいくつかの実施形態による、
図2の直接視覚化カテーテルの他の実施形態の遠位端の側断面図。
【
図9A】本発明のいくつかの実施形態による、
図2の直接視覚化カテーテルの他の実施形態の遠位端の側断面図。
【
図9B】本発明のいくつかの実施形態による、
図2の直接視覚化カテーテルの他の実施形態の遠位端の側断面図。
【
図10】本発明のいくつかの実施形態による、他の直接視覚化カテーテルの遠位端部の概略斜視図。
【
図11A】本発明のいくつかの実施形態による、
図10の直接視覚化カテーテルの他の実施形態の遠位端の側断面図。
【
図11B】本発明のいくつかの実施形態による、
図10の直接視覚化カテーテルの他の実施形態の遠位端の側断面図。
【発明を実施するための形態】
【0071】
本発明は、種々の変更及び代替形態が可能であるが、具体的な実施形態について、図面に例として示しているとともに以下で詳細に説明する。ただし、本発明を記載の特定の実施形態に限定するものではない。むしろ、本発明は、添付の請求項で規定される開示の範囲内に含まれるあらゆる変更、均等物、及び代替案を包括するものである。
【0072】
本発明の実施形態によるバルーンカテーテル並びにシステム及び方法によって、血液プール内の最小侵襲的な直接視覚化を提供することが可能である。本発明のいくつかの実施形態では、カテーテルの遠位端のバルーン内に配置された関節カメラを、患者の体内の直接視覚化部位への低プロファイル・デリバリ用に構成することができ、その後、そのカメラをカテーテルから離間させる方向にヒンジ動作させて展開姿勢にすることが可能である。デリバリ姿勢では、カメラは主に径方向に向いていることが可能である。展開されると、カメラは、効果的な観察のために主に軸方向に向くことが可能である。
【0073】
このような直接視覚化カテーテルは、デリバリの際は、より小さい直径を有することが可能である。より小さい直径のカテーテルは、例えばカテーテルを心臓の右側から心臓の左側へと中隔を通過させるときに、患者に与える苦痛がより少なくなり得る。カテーテルが中隔を通過することによる苦痛がより少ないと、その結果、患者の転帰が改善され得ると考えられる。
【0074】
本発明の他のいくつかの実施形態では、カテーテルの遠位端のバルーン内に配置された関節カメラは、カメラによる観察の視野方向をカテーテルに対して相対的に変化させるために、本明細書に記載の調整機構を有することを目的としたものであり得る。視野方向を調整することによって、カテーテルのナビゲーションを改善することができ、組織のより大きい領域の直接観察が、カテーテルを動かすことなく可能である。カテーテルの動きが制限されると、カテーテルによる刺激が軽減し得ることで、患者の転帰が改善されると考えられる。
【0075】
図1は、本発明の実施形態による、患者の心臓内の直接視覚化のためのシステムの使用を示す概略図である。
図1は、心臓12を含む患者10と、三尖弁18の直接視覚化のために心臓12の右心房16に挿入された直接視覚化システム14とを示している。
図1に示すように、システム14は、画像処理装置20と、直接視覚化カテーテル22とを含むことができる。画像処理装置20は、画像の表示、画像の保存、及び/又は画像の解析のための機能を有し得る。カテーテル22は、ハンドル24と、バルーン26と、細長シャフト28とを含むことができる。ハンドル24は、アクチュエータ30と、複数のルーメン(図示せず)とを含むことができる。バルーン26は、透明な材料で形成して、透明なバルーンとすることが可能である。いくつかの実施形態では、バルーン26は、
図1に示すように、バルーンルーメン32を含むことができる。細長シャフト28は、例えば、シリコーン、ポリイソブチレンポリウレタン、ナイロン、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトンのような、可撓性の生体適合性ポリマで形成することができ、又はPebax(登録商標)若しくはVestamid(登録商標)のような、ポリエーテルブロックアミドで形成することが可能である。細長シャフト28は、近位端34と、近位端34の反対側の遠位端36とを有することが可能である。細長シャフト28は、近位端34から遠位端36にわたる複数のルーメン(図示せず)を含むことができる。アクチュエータ30は、限定するものではないが、例えば、ポジションスイッチ、圧力調整装置、電圧調整装置、又はレバー若しくはジョイスティックとすることが可能である。
【0076】
カテーテル22は、電線38で画像処理装置20に電気的に接続することが可能である。細長シャフト28の複数のルーメンのうちの少なくとも1つを、ハンドル24の複数のルーメンのうちの少なくとも1つに接続して、連続したルーメンを形成するように、細長シャフト28の近位端34をハンドル24に結合することが可能である。バルーンルーメン32を細長シャフト28の複数のルーメンのうちの少なくとも1つに接続して、細長シャフト28の遠位端36をバルーン26に結合することが可能である。このように構成したら、例えばマサチューセッツ州NatickのBoston Scientific CorporationからのSpyBite(登録商標)生検鉗子である装置を、ハンドル24から細長シャフト28に通してバルーン26を通って出るように通過させることが可能である。
【0077】
使用時には、ハンドル24上のアクチュエータ30によって、
図1には示していないが以下の実施形態で説明される関節カメラアセンブリ40の視野方向を、調整することが可能である。関節カメラアセンブリ40は、細長シャフト28の遠位端36に結合することが可能である。関節カメラアセンブリ40は、バルーン26内に配置することが可能である。バルーン26には、観察対象の組織に隣接した血液を追いやるために、生理食塩水のような生体適合性の透明流体を充填することが可能である。透明流体によって、関節カメラアセンブリ40の視野をさらにクリアにする光学レンズ効果を提供することが可能である。関節カメラアセンブリ40からの画像出力信号は、電線38を介して画像処理装置20に送ることができる。いくつかの実施形態では、電線38は、さらに、画像処理装置20からの電力を関節カメラアセンブリ40に供給することもできる。他の実施形態では、電線38を、関節カメラアセンブリ40に電力を供給するための別個の電源に接続することもできる。
【0078】
図2は、本発明のいくつかの実施形態による、直接視覚化カテーテル22の遠位端36の概略斜視図である。遠位端36は、長手軸Aを規定することが可能である。いくつかの実施形態では、細長シャフト28は、
図2に示すように、遠位端36にキャップ42をさらに含むことができる。キャップ42は、典型的には細長シャフト28の残り部分の可撓性ポリマよりも硬質の、様々な生体適合性材料で形成することが可能である。キャップ42に適した材料として、例えば、ステンレス鋼、ニッケル-チタン合金、MP35N(登録商標)、Elgiloy(登録商標)、並びに、ポリエーテルエーテルケトン、ポリ塩化ビニル、パーフルオロアルコキシ、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルイミドのようなポリマ、を含むことができる。キャップ42は、スロット44と、デリバリルーメン46及び少なくとも1つの照明ルーメン48(2つを図示している)のような複数のルーメンとを含むことができ、それらのルーメンは、細長シャフト28の残り部分における対応するルーメンと整合されている。デリバリルーメン46は、複数のルーメンのうちの1つであって、遠位端36から細長シャフト28を通ってハンドル24内に延びている。デリバリルーメン46は、装置をハンドル24から細長シャフト28に通してバルーンルーメン32を通って出るように通過させるために用いることができる。バルーンルーメン32を有していない実施形態では、カテーテル22を通過した装置は、バルーン26を貫通することが可能である。図示を明確にするために、
図3A、
図3B、
図4A、
図4B、
図5A、
図5B、
図6A、
図6B、
図7A、
図7B、
図8A、
図8B、
図9A、
図9B、
図11A、
図11Bでは、バルーンルーメン32を省略している。しかしながら、すべての実施形態は、バルーンルーメン32を含み得るものと理解される。
【0079】
照明ルーメン48は、照明装置50(2つを図示している)を含むことができる。照明装置50は、限定するものではないが、例えば、光ファイバケーブル又は発光ダイオードを含むことができる。照明装置50は、関節カメラアセンブリ40のための照明を提供する。バルーン26は、例えば接着剤によって、細長シャフト28の周囲に沿って装着することが可能である。バルーン26は、キャップ42又はキャップ42に隣接した細長シャフト28の部分のどちらか一方若しくは両方に装着することが可能である。いくつかの実施形態では、関節カメラアセンブリ40を、遠位端36に結合するために、スロット44内に配置することが可能である。
【0080】
図3A及び
図3Bは、本発明の実施形態による、
図2の直接視覚化カテーテル22の遠位端36の側断面図である。
図3Aは、関節カメラアセンブリ40がデリバリ姿勢であるカテーテル22を示している。
図3Bは、関節カメラアセンブリ40が展開姿勢であるカテーテル22を示している。
図3Aに示すように、関節カメラアセンブリ40は、カメラ52と、調整機構54とを含むことができる。調整機構54は、カメラ52が向いている方向を長手軸Aに対して相対的に変化させることができる。
図3Aに示す実施形態では、調整機構54は、ヒンジ56と、付勢要素58と、制御要素60とを含むことができる。細長シャフト28の複数のルーメンは、膨張ルーメン62及びカメラルーメン64をさらに含むことができる。膨張ルーメン62は、ハンドル24に延び得るとともにカテーテル22が患者10(
図1)の心臓12を観察するために位置決めされたらバルーン26を膨張させるための生理食塩水の加圧源に延び得る。
【0081】
カメラ52は、限定するものではないが、例えば、相補型金属酸化膜半導体(CMOS:Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)撮像センサ又は電荷結合素子(CCD:Charge-Coupled Device)撮像センサなど、当該技術分野で周知の任意のタイプの固体撮像センサを含むことができる。いくつかの実施形態では、撮像センサは、保護フレーム(図示せず)内に収容することが可能である。カメラ52は、比較的薄型でありながら、比較的大きい撮像領域を有することが可能である。すなわち、カメラ52は、プレート状の形状として、そのプレートの大きい側面に撮像領域を有することが可能である。比較的大きい撮像領域によって、良好な撮像品質を提供することが可能である。
【0082】
ヒンジ56は、カメラ52が細長シャフト28の遠位端36に対して相対的に動くことを可能とするように構成されている。いくつかの実施形態では、ヒンジ56は、当該技術分野で周知のようにヒンジピンを含む多部品ヒンジであり得る。ヒンジは、ステンレス鋼のような生体適合性金属、又はPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)のような生体適合性ポリマで形成することが可能である。
図3Aに示すように、カメラ52を細長シャフト28に結合するために、ヒンジ56の一部品をカメラ52のフレームに結合することができる一方、他の部品をスロット44の径方向外向きの面に結合する。ヒンジ56によって、カメラ52は、ヒンジピンで規定される軸周りに、細長シャフト28の遠位端36に対して相対的に動くことが可能となる。
【0083】
他のいくつかの実施形態では、ヒンジ56は、カメラ52のフレームの孔を通って延びるヒンジピンを含むことができ、それらの孔は、フレームがピンに対して自由に回転できるようにサイズ設定される。ピンは、ステンレス鋼のような生体適合性金属、又はPEEKのような生体適合性ポリマで形成することが可能である。カメラ52がヒンジ56周りに細長シャフト28の遠位端36に対して相対的に動くことを可能とするように、カメラ52を細長シャフト28に結合するために、ピンを各端で、スロット44の両側の側壁に結合することが可能である。
【0084】
付勢要素58は、限定するものではないが、例えば、ニチノール、合金ばね鋼(医療グレード)、及び、ポリエチレンテレフタレート(例えば、Mylar(登録商標))、ポリ(p-キシリレン)、Kevlar(登録商標)、超高分子量ポリエチレン、又はナイロンのような、ポリマなど、任意のタイプの生体適合性弾性材料で形成することが可能である。付勢要素58は、例えば、コイルバネ、板バネ、又は弾性バンドとして構成することが可能である。付勢要素58は、ヒンジ56に対して、他の力が存在しないときにヒンジ56を固定位置に維持するための第1の力を付与するように構成されている。
【0085】
他のいくつかの実施形態では、ヒンジ56と付勢要素58を一体化することが可能である。例えば、いくつかの実施形態では、ヒンジ56を、上述のような生体適合性弾性材料の、L字型の単一部品の形態とすることができ、これにより、ヒンジ56と付勢要素58を一体化する。弾性材料の第1の力によって、他の力が存在しないときにヒンジ56/付勢要素58をL字型に維持することが可能である。
【0086】
制御要素60は、付勢要素58の第1の力に抗して、カメラ52を細長シャフト28の遠位端36に対して相対的に動かすために、ヒンジ56又はカメラ52に対して、第1の力と反対の第2の力を選択的に付与するように構成することが可能である。いくつかの実施形態では、制御要素60は、
図3Aに示すように、カメラ52に結合された操作用糸を含む。操作用糸は、可撓性であり、例えば、金属ワイヤ、又は、例えば、Kevlar(登録商標)、グラフェン、若しくはナイロンで構成されたポリマ糸で形成することが可能である。制御要素60は、カメラ52からカメラルーメン64を通って、少なくとも細長シャフト28の近位端34に延び得る。
図3Aの実施形態では、制御要素60は、ハンドル24(
図1)上のアクチュエータ30に延びている。アクチュエータ30は、ポジションスイッチとすることができ、これは、ポジションスイッチの位置に応じた様々な程度まで制御要素60(操作用糸)を引っ張る。従って、
図3Aの実施形態では、制御要素60(操作用糸)は、アクチュエータ30(ポジションスイッチ)をカメラ52に物理的に接続している。
【0087】
いくつかの実施形態では、電線38は、カメラ52を画像処理装置20に電気的に接続するために、カメラ52からカメラルーメン64を通って、上述のように、画像処理装置20に延び得る。いくつかの実施形態では、ヒンジ56は、電線38をカメラ52に電気的に接続するように構成された複数の導電体を含む導電性ヒンジとすることが可能である。
【0088】
図3Aは、付勢要素58からの第1の力がヒンジ56に付与されており、制御要素60からの第2の力はカメラ52に付与されていない状態、従ってカメラ52が主に径方向に向いている状態におけるカテーテル22を示している。本発明の目的で、カメラ52は、長手軸Aに対して軸方向よりも、長手軸に対して径方向に向いているときに、主に径方向に向いている。
図3Aに示す実施形態では、カメラ52は視野方向V1を向いている。視野方向V1は、長手軸Aに向かって完全に径方向内向きの方向であって、軸方向には全く向いていない。このように構成されると、カメラ52は、低プロファイルであって、細長シャフト28の直径D1からはみ出していない。
【0089】
図3Aに示すように、デリバリ姿勢では、カメラ52は、軸方向で低プロファイルを呈する。これにより、デリバリルーメン46の直径D2を比較的大きくすることができる一方で、デリバリを容易とするために細長シャフト28の直径D1を比較的小さくしつつ、それでもカメラ52を収容することが可能となる。例えば、いくつかの先行技術による直接視覚化カテーテルでは、デリバリの際にカメラは主に軸方向に向いており、軸方向に向いたカメラ及び直径2.2mm~2.5mm(7Fr)のデリバリルーメンを収容するのに十分な軸方向に向いたスペースを提供するためには、直径4mm(12Fr)のカテーテルが必要となる。これに対し、本発明のいくつかの実施形態では、デリバリルーメン46のルーメン直径D2を2.2mm~2.5mmに維持しつつ、細長シャフト28の直径D1を、3.1mm~3.5mm(10Fr)とすることが可能である。
【0090】
遠位端36が患者10(
図1)の心臓12内の観察部位までデリバリされたら、
図3Bに示すように、関節カメラアセンブリ40を展開することが可能である。
図3Bでは、制御要素60(操作用糸)を引くようにアクチュエータ30(
図1)を動かすことにより、カメラ52に第2の力が付与される。制御要素60を引くと、カメラ52はヒンジ56周りに付勢要素58に抗して動き、これによりカメラ52は主に軸方向に向く。本発明の目的で、カメラ52は、長手軸Aに対して径方向よりも、長手軸に対して軸方向に向いているときに、主に軸方向に向いている。
図3Bに示す実施形態では、カメラ52は視野方向V2を向いている。視野方向V2は、完全に軸方向に向いていて、径方向には全く向いていない。展開姿勢では、カメラ52の比較的大きい撮像領域が軸方向に向いていることにより、組織の高品質の直接視覚化を提供する。
【0091】
図3Bに示すように、展開姿勢では、カメラ52は、径方向に細長シャフト28からはみ出している。組織の直接視覚化が完了したら、制御要素60を解除するようにアクチュエータ30(
図1)を動かすことができ、これにより、付勢要素58がカメラ52をヒンジ56周りに動かすことが可能となることで、カメラ52は、再び主に径方向に向いて、径方向に細長シャフト28からはみ出さなくなる。このようにして、カテーテル22は、患者10から抜去されるときに患者10に与える苦痛がより少なくなり得る低プロファイルに戻る。
【0092】
図4A及び
図4Bは、本発明による、
図2の直接視覚化カテーテル22の他の実施形態の遠位端36の側断面図である。
図4Aは、関節カメラアセンブリ40がデリバリ姿勢であるカテーテル22を示している。
図4Bは、関節カメラアセンブリ40が展開姿勢であるカテーテル22を示している。
図4A及び
図4Bに示す実施形態は、調整機構54が、制御要素60の代わりに制御要素160を含むことを除いて、
図3A及び
図3Bを参照して上述したものと略同じである。
【0093】
制御要素160は、インフレータブル装置162と、加圧制御ルーメン164とを含むことができる。インフレータブル装置162は、インフレータブル装置162の膨張によって、付勢要素58の第1の力に抗して、カメラ52を細長シャフト28の遠位端36に対して相対的に動かすために、カメラ52に対して、第1の力と反対の第2の力を付与するように、遠位端36のキャップ42とカメラ52との間に配置されたバルーン状構造である。いくつかの実施形態では、加圧制御ルーメン164は、インフレータブル装置162と流体連通したチューブとすることができ、これは、インフレータブル装置162からカメラルーメン64を通って、少なくとも細長シャフト28の近位端34に延びる。
図4Aの実施形態では、加圧制御ルーメン164は、ハンドル24(
図1)上のアクチュエータ30に延びている。アクチュエータ30は、インフレータブル装置162の膨張を増加又は減少させるために、加圧制御ルーメン164及びインフレータブル装置162内の流体の圧力を様々なレベルに制御する圧力調整装置とすることが可能である。いくつかの実施形態では、インフレータブル装置162及び加圧制御ルーメン164内の流体は、生理食塩水又はヘリウムである。
【0094】
図4Aは、付勢要素58からの第1の力がヒンジ56に付与されており、制御要素160からの第2の力はカメラ52に付与されていない状態、従ってカメラ52が主に径方向に向いている状態におけるカテーテル22を示している。
図4Aに示す実施形態では、カメラ52は視野方向V3を向いている。視野方向V3は、長手軸Aから離間する概ね径方向外向きの方向であって、径方向よりも少ない程度で軸方向に向いている。このように構成されると、カメラ52は、低プロファイルであって、細長シャフト28の直径D1からはみ出していない。
【0095】
図4Aに示すように、デリバリ姿勢では、カメラ52は、軸方向で低プロファイルを呈する。これにより、
図3Aに示す実施形態を参照して上述したように、デリバリルーメン46の直径D2を比較的大きくすることができる一方で、デリバリを容易とするために細長シャフト28の直径D1を比較的小さくしつつ、それでもカメラ52を収容することが可能となる。
【0096】
遠位端36が患者10(
図1)の心臓12内の観察部位までデリバリされたら、
図4Bに示すように、関節カメラアセンブリ40を展開することが可能である。
図4Bでは、加圧制御ルーメン164内の圧力を増加させて、インフレータブル装置162を膨張させるようにアクチュエータ30(
図1)を調整することにより、カメラ52に第2の力が付与される。インフレータブル装置162を膨張させると、カメラ52はヒンジ56周りに付勢要素58に抗して動き、これによりカメラ52は視野方向V4に向く。視野方向V4は、主に軸方向である。展開姿勢では、カメラ52の比較的大きい撮像領域が軸方向に向いていることにより、組織の高品質の直接視覚化を提供する。
【0097】
図4Bに示すように、展開姿勢では、カメラ52は、径方向に細長シャフト28からはみ出している。組織の直接視覚化が完了したら、加圧制御ルーメン164内の圧力を減少させて、インフレータブル装置162を収縮させるように、アクチュエータ30(
図1)を調整することが可能である。インフレータブル装置162が収縮すると、付勢要素58がカメラ52をヒンジ56周りに動かすことで、カメラ52は、再び主に径方向に向いて、径方向に細長シャフト28からはみ出さなくなる。このようにして、カテーテル22は、患者10(
図1)から抜去されるときに患者10に与える苦痛がより少なくなり得る低プロファイルに戻る。
【0098】
図5A及び
図5Bは、本発明による、
図2の直接視覚化カテーテル22の他の実施形態の遠位端36の側断面図である。
図5Aは、関節カメラアセンブリ40がデリバリ姿勢であるカテーテル22を示している。
図5Bは、関節カメラアセンブリ40が展開姿勢であるカテーテル22を示している。
図5A及び
図5Bに示す実施形態は、調整機構54が、制御要素60の代わりに制御要素260を含むことを除いて、
図3A及び
図3Bを参照して上述したものと略同じである。
【0099】
制御要素260は、電気活性要素262と、制御ワイヤ264とを含むことができる。電気活性要素262は、例えば、ポリフッ化ビニリデン、セラミック圧電複合材、イオン性電気活性ポリマ、誘電性電気活性ポリマ、液晶ポリマ、又は強誘電性ポリマで形成され得る。電気活性要素262は、電気活性要素262に電圧が印加されると、電気活性要素262の形状が変化するように、遠位端36のキャップ42とカメラ52との間に配置される。形状が変化すると、付勢要素58の第1の力に抗して、カメラ52を細長シャフト28の遠位端36に対して相対的に動かすように、カメラ52に対して、第1の力と反対の第2の力が付与される。制御ワイヤ264は、電気活性要素262からカメラルーメン64を通って、少なくとも細長シャフト28の近位端34に延び得る。
図5Aの実施形態では、制御ワイヤ264は、電気活性要素262と電気連通するとともにハンドル24(
図1)上のアクチュエータ30に延びている。アクチュエータ30は、電気活性要素262の形状を変化させるために、制御ワイヤ264ひいては電気活性要素262に印加される電界を制御する電圧調整装置とすることが可能である。
【0100】
図5Aは、付勢要素58からの第1の力がヒンジ56に付与されており、制御要素260からの第2の力はカメラ52に付与されていない状態、従ってカメラ52が主に径方向に向いている状態におけるカテーテル22を示している。
図5Aに示す実施形態では、カメラ52は視野方向V5を向いている。視野方向V5は、長手軸Aから離間する概ね径方向外向きの方向であって、径方向よりも少ない程度で軸方向に向いている。このように構成されると、カメラ52は、低プロファイルであって、細長シャフト28の直径D1からはみ出していない。
【0101】
図5Aに示すように、デリバリ姿勢では、カメラ52は、軸方向で低プロファイルを呈する。これにより、
図3Aに示す実施形態を参照して上述したように、デリバリルーメン46の直径D2を比較的大きくすることができる一方で、デリバリを容易とするために細長シャフト28の直径D1を比較的小さくしつつ、それでもカメラ52を収容することが可能となる。
【0102】
遠位端36が患者10(
図1)の心臓12内の観察部位までデリバリされたら、
図5Bに示すように、関節カメラアセンブリ40を展開することが可能である。
図5Bでは、電気活性要素262に印加される電界を増加させるようにアクチュエータ30(
図1)を調整することにより、カメラ52に第2の力が付与される。電界を増加させることで、電気活性要素262の形状を変化させ、これによりカメラ52がヒンジ56周りに付勢要素58に抗して動き、カメラ52は視野方向V6に向く。視野方向V6は、主に軸方向である。展開姿勢では、カメラ52の比較的大きい撮像領域が軸方向に向いていることにより、組織の高品質の直接視覚化を提供する。
【0103】
図5Bに示すように、展開姿勢では、カメラ52は、径方向に細長シャフト28からはみ出している。組織の直接視覚化が完了したら、電気活性要素262に印加される電界を減少させるように、アクチュエータ30(
図1)を調整することが可能である。電界を減少させることで、電気活性要素262の形状を変化させ、これにより付勢要素58がカメラ52をヒンジ56周りに動かすことが可能となり、カメラ52は、再び主に径方向に向いて、径方向に細長シャフト28からはみ出さなくなる。このようにして、カテーテル22は、患者10から抜去されるときに患者10に与える苦痛がより少なくなり得る低プロファイルに戻る。
【0104】
図6A及び
図6Bは、本発明のいくつかの実施形態による、
図2の直接視覚化カテーテル22の遠位端36の側断面図である。
図6Aは、関節カメラアセンブリ40が視野方向V1を向いている状態におけるカテーテル22を示している。
図6Bは、関節カメラアセンブリ40が視野方向V1とは異なる視野方向V2を向いている状態におけるカテーテル22を示している。
図6Aに示すように、関節カメラアセンブリ40は、カメラ352と、調整機構354とを含むことができる。調整機構354は、カメラ352による観察の視野方向を遠位端36に対して相対的に変化させることができる。
図6Aに示す実施形態では、調整機構354は、ヒンジ356と、付勢要素358と、制御要素360とを含むことができる。細長シャフト28の複数のルーメンは、膨張ルーメン362及びカメラルーメン364をさらに含むことができる。膨張ルーメン362は、ハンドル24に延び得るとともにカテーテル22が患者10(
図1)の心臓12内の観察のために位置決めされたらバルーン26を膨張させるための生理食塩水の加圧源に延び得る。
【0105】
カメラ352は、限定するものではないが、例えば、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)撮像センサ又は電荷結合素子(CCD)撮像センサなど、当該技術分野で周知の任意のタイプの固体撮像センサを含むことができる。いくつかの実施形態では、撮像センサは、保護ボックス又は保護フレーム内に収容することが可能である。
【0106】
ヒンジ356は、カメラ352が細長シャフト28の遠位端36に対して相対的に動くことを可能とするように構成されている。いくつかの実施形態では、ヒンジ356は、当該技術分野で周知のようにヒンジピンを含む多部品ヒンジであり得る。ヒンジ356は、ステンレス鋼のような生体適合性金属、又はPEEKのような生体適合性ポリマで形成することが可能である。
図6Aに示すように、カメラ352を細長シャフト28に結合するために、ヒンジ356の一部品をカメラ352に結合することができる一方、他の部品をスロット44の径方向外向きの面に結合する。ヒンジ356によって、カメラ352は、ヒンジピンで規定される軸周りに、細長シャフト28の遠位端36に対して相対的に動くことが可能となる。
【0107】
他のいくつかの実施形態では、ヒンジ356は、カメラ352のフレームの孔を通って延びるヒンジピンを含むことができ、それらの孔は、フレームがピンに対して自由に回転できるようにサイズ設定される。ピンは、ステンレス鋼のような生体適合性金属、又はPEEKのような生体適合性ポリマで形成することが可能である。カメラ352がヒンジ356周りに細長シャフト28の遠位端36に対して相対的に動くことを可能とするように、カメラ352を細長シャフト28に結合するために、ピンを各端で、スロット44の両側の側壁に結合することが可能である。
【0108】
付勢要素358は、限定するものではないが、例えば、ニチノール、合金ばね鋼(医療グレード)、及び、ポリエチレンテレフタレート(例えば、Mylar(登録商標))、ポリ(p-キシリレン)、Kevlar(登録商標)、超高分子量ポリエチレン、又はナイロンのような、ポリマなど、任意のタイプの生体適合性弾性材料で形成することが可能である。付勢要素358は、例えば、コイルバネ、板バネ、又は弾性バンドとして構成することが可能である。付勢要素358は、ヒンジ356に対して、他の力が存在しないときにヒンジ356を固定位置に維持するための第1の力を付与するように構成されている。
【0109】
他のいくつかの実施形態では、ヒンジ356と付勢要素358を一体化することが可能である。例えば、いくつかの実施形態では、ヒンジ356を、上述のような生体適合性弾性材料の、L字型の単一部品の形態とすることができ、これにより、ヒンジ356と付勢要素358を一体化する。弾性材料の第1の力によって、他の力が存在しないときにヒンジ356/付勢要素358をL字型に維持することが可能である。
【0110】
制御要素360は、付勢要素358の第1の力に抗して、カメラ352を細長シャフト28の遠位端36に対して相対的に動かすために、ヒンジ356又はカメラ352に対して、第1の力と反対の第2の力を選択的に付与するように構成することが可能である。いくつかの実施形態では、制御要素360は、
図6Aに示すように、カメラ352に結合された操作用糸を含む。操作用糸は、可撓性であり、例えば、金属ワイヤ、又は、例えば、Kevlar(登録商標)、グラフェン、若しくはナイロンで構成されたポリマ糸で形成することが可能である。制御要素360は、カメラ352からカメラルーメン364を通って、少なくとも細長シャフト28の近位端34に延び得る。
図6Aの実施形態では、制御要素360は、ハンドル24(
図1)上のアクチュエータ30に延びている。アクチュエータ30は、ポジションスイッチとすることができ、これは、ポジションスイッチの位置に応じた様々な程度まで制御要素360(操作用糸)を引っ張る。従って、
図6Aの実施形態では、制御要素360(操作用糸)は、アクチュエータ30(ポジションスイッチ)をカメラ352に物理的に接続している。
【0111】
いくつかの実施形態では、電線38は、カメラ352を画像処理装置20に電気的に接続するために、カメラ352からカメラルーメン364を通って、上述のように、画像処理装置20に延び得る。いくつかの実施形態では、ヒンジ356は、電線38をカメラ352に電気的に接続するように構成された複数の導電体を含む導電性ヒンジとすることが可能である。
【0112】
図6Aは、付勢要素358からの第1の力がヒンジ356に付与されており、制御要素360からの第2の力はカメラ352に付与されていない状態、従ってカメラ352が図示のように視野方向V1を向いている状態におけるカテーテル22を示している。
図6Bでは、制御要素360(操作用糸)を引くようにアクチュエータ30(
図1)を動かすことにより、カメラ352に第2の力が付与される。制御要素360を引くと、カメラ352はヒンジ356周りに付勢要素358に抗して動き、これにより視野方向は、視野方向V1とは異なる視野方向V2に変化する。このようにして、制御要素360を様々な程度まで引っ張るようにアクチュエータ30(ポジションスイッチ)を調整することにより、カメラ352の視野角又は視野方向を変化させ得る。
【0113】
図6A及び
図6Bによる、いくつかの実施形態では、視野方向V2は、視野方向V1に対して角度Cを成すことができ、それは、1°、5°、10°、20°、30°、若しくは40°のような小さい角度、又は50°、60°、70°、80°、85°、若しくは89°のような大きい角度、又は上記の角度のいずれか2つの間の角度であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、角度Cは、1°から89°、5°から85°、10°から80°、20°から70°、30°から60°、又は40°から50°の範囲であり得る。本発明の目的で、
図6Bに示すように視野方向V2が視野方向V1に対して径方向外向きに向いているときに、角度Cは正であり、後述する
図9Bに示すように視野方向V2が視野方向V1に対して径方向内向きに向いているときに、角度Cは負である。
【0114】
図7A及び
図7Bは、本発明による、
図2の直接視覚化カテーテル22の他の実施形態の遠位端36の側断面図である。
図7Aは、関節カメラアセンブリ40が視野方向V1を向いている状態におけるカテーテル22を示している。
図7Bは、関節カメラアセンブリ40が視野方向V1とは異なる視野方向V2を向いている状態におけるカテーテル22を示している。
図7A及び
図7Bに示す実施形態は、調整機構354が、制御要素360の代わりに制御要素460を含むことを除いて、
図6A及び
図6Bを参照して上述したものと略同じである。
【0115】
制御要素460は、インフレータブル装置462と、加圧制御ルーメン464とを含むことができる。インフレータブル装置462は、インフレータブル装置462の膨張によって、付勢要素358の第1の力に抗して、カメラ352を細長シャフト28の遠位端36に対して相対的に動かすために、カメラ352に対して、第1の力と反対の第2の力を付与するように、遠位端36のキャップ42とカメラ352との間に配置されたバルーン状構造である。いくつかの実施形態では、加圧制御ルーメン464は、インフレータブル装置462と流体連通したチューブとすることができ、これは、インフレータブル装置462からカメラルーメン364を通って、少なくとも細長シャフト28の近位端34に延びる。
図7Aの実施形態では、加圧制御ルーメン464は、ハンドル24(
図1)上のアクチュエータ30に延びている。アクチュエータ30は、インフレータブル装置462の膨張を増加又は減少させるために、加圧制御ルーメン464及びインフレータブル装置462内の流体の圧力を様々なレベルに制御する圧力調整装置とすることが可能である。いくつかの実施形態では、インフレータブル装置462及び加圧制御ルーメン464内の流体は、生理食塩水又はヘリウムである。
【0116】
図7Aは、付勢要素358からの第1の力がヒンジ356に付与されており、制御要素460からの第2の力はカメラ352に付与されていない状態、従ってカメラ352が図示のように視野方向V1を向いている状態におけるカテーテル22を示している。
図7Bでは、加圧制御ルーメン464内の圧力を増加させて、インフレータブル装置462を膨張させるようにアクチュエータ30(
図1)を調整することにより、カメラ352に第2の力が付与される。インフレータブル装置462を膨張させると、カメラ352はヒンジ356周りに付勢要素358に抗して動き、これにより視野方向は、視野方向V1とは異なる視野方向V2に変化する。このようにして、インフレータブル装置462を様々な程度まで膨張させるようにアクチュエータ30(圧力調整装置)を調整することにより、カメラ352の視野角又は視野方向を変化させ得る。
【0117】
図7A及び
図7Bによる、いくつかの実施形態では、視野方向V2は、視野方向V1に対して角度Cを成すことができ、それは、1°、5°、10°、20°、30°、若しくは40°のような小さい角度、又は50°、60°、70°、80°、85°、若しくは89°のような大きい角度、又は上記の角度のいずれか2つの間の角度であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、角度Cは、1°から89°、5°から85°、10°から80°、20°から70°、30°から60°、又は40°から50°の範囲であり得る。
【0118】
図8A及び
図8Bは、本発明による、
図2の直接視覚化カテーテル22の他の実施形態の遠位端36の側断面図である。
図8Aは、関節カメラアセンブリ40が視野方向V1を向いている状態におけるカテーテル22を示している。
図8Bは、関節カメラアセンブリ40が視野方向V1とは異なる視野方向V2を向いている状態におけるカテーテル22を示している。
図8A及び
図8Bに示す実施形態は、調整機構354が、制御要素360の代わりに制御要素560を含むことを除いて、
図6A及び
図6Bを参照して上述したものと略同じである。
【0119】
制御要素560は、電気活性要素562と、制御ワイヤ564とを含むことができる。電気活性要素562は、例えば、ポリフッ化ビニリデン、セラミック圧電複合材、イオン性電気活性ポリマ、誘電性電気活性ポリマ、液晶ポリマ、又は強誘電性ポリマで形成され得る。電気活性要素562は、電気活性要素562に電圧が印加されると、電気活性要素562の形状が変化するように、遠位端36のキャップ42とカメラ352との間に配置される。形状が変化すると、付勢要素358の第1の力に抗して、カメラ352を細長シャフト28の遠位端36に対して相対的に動かすように、カメラ352に対して、第1の力と反対の第2の力が付与される。制御ワイヤ564は、電気活性要素562からカメラルーメン364を通って、少なくとも細長シャフト28の近位端34に延び得る。
図8Aの実施形態では、制御ワイヤ564は、電気活性要素562と電気連通するとともにハンドル24(
図1)上のアクチュエータ30に延びている。アクチュエータ30は、電気活性要素562の形状を変化させるために、制御ワイヤ564ひいては電気活性要素562に印加される電界を制御する電圧調整装置とすることが可能である。
【0120】
図8Aは、付勢要素358からの第1の力がヒンジ356に付与されており、制御要素560からの第2の力はカメラ352に付与されていない状態、従ってカメラ352が図示のように視野方向V1を向いている状態におけるカテーテル22を示している。
図8Bでは、電気活性要素562に印加される電界を増加させるようにアクチュエータ30(
図1)を調整することにより、カメラ352に第2の力が付与される。電界を増加させることで、電気活性要素562の形状を変化させ、これによりカメラ352がヒンジ356周りに付勢要素358に抗して動き、視野方向は、視野方向V1とは異なる視野方向V2に変化する。このようにして、電気活性要素562の形状を様々な程度まで変化させるようにアクチュエータ30(電圧調整装置)を調整することにより、カメラ352の視野角又は視野方向を変化させ得る。
【0121】
図8A及び
図8Bによる、いくつかの実施形態では、視野方向V2は、視野方向V1に対して角度Cを成すことができ、それは、1°、5°、10°、20°、30°、若しくは40°のような小さい角度、又は50°、60°、70°、80°、85°、若しくは89°のような大きい角度、又は上記の角度のいずれか2つの間の角度であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、角度Cは、1°から89°、5°から85°、10°から80°、20°から70°、30°から60°、又は40°から50°の範囲であり得る。
【0122】
図9A及び
図9Bは、本発明による、
図2の直接視覚化カテーテル22の他の実施形態の遠位端36の側断面図である。
図9Aは、関節カメラアセンブリ40が視野方向V1を向いている状態におけるカテーテル22を示している。
図9Bは、関節カメラアセンブリ40が視野方向V1とは異なる視野方向V2を向いている状態におけるカテーテル22を示している。
図9A及び
図9Bに示す実施形態は、制御要素360が操作ロッド660で置き換えられているとともにヒンジ356がスロット44の径方向外向きの面に沿って自由にスライドすることを除いて、
図6A及び
図6Bを参照して上述したものと略同じであり得る。いくつかの実施形態では、ヒンジ356はヒンジピンを含み、該ヒンジピンは、スロット44の対向する両側面の凹部(図示せず)内に嵌って走行し得る。
【0123】
操作用糸がカメラ352に結合されている制御要素360の場合と異なり、操作ロッド660がヒンジ356に結合される。操作ロッド660は、ヒンジ356からカメラルーメン364を通って、少なくとも細長シャフト28の近位端34に延び得る。
図9Aの実施形態では、操作ロッド660は、ハンドル24(
図1)上のアクチュエータ30に延びている。アクチュエータ30は、ポジションスイッチとすることができ、これは、ポジションスイッチの位置に応じた様々な程度まで操作ロッド660を押すか、又は引っ張る。従って、
図9Aの実施形態では、操作ロッド660は、アクチュエータ30(ポジションスイッチ)をヒンジ356に物理的に接続している。操作ロッド660は、可撓性のロッド又はチューブであり得る、いくつかの実施形態では、操作ロッド660は、スロット付きチューブ又はマルチファイラ・コイルバネとして形成することが可能である。いくつかの実施形態では、操作ロッド660は、例えば、ニッケル-チタン合金、MP35N(登録商標)、合金鋼(医療グレード)、又はコバルトとクロムの合金で構成することが可能である。操作ロッド660は、制御要素360の操作用糸よりも高剛性とすることが可能である。
【0124】
図9Aは、カメラ352が細長シャフト28のキャップ42のスロット44の径方向外向きの面に対して付勢されるように、付勢要素358がヒンジ356周りに第1の力を付与しており、従ってカメラ352が図示のように視野方向V1を向いている状態におけるカテーテル22を示している。
図9Bでは、カメラ352の少なくとも遠位部が細長シャフト28の遠位端36を越えて延出するようにアクチュエータ30(
図1)を調整することにより、操作ロッド660が押されて、これによりカメラ352は、視野方向を視野方向V2に変化させるように、第1の方向B1に動くことが可能となる。操作ロッド660を引くようにアクチュエータ30を再び調整すると、カメラ352は、細長シャフト28の近位端34(
図1)のほうに退避させられる。カメラ352をキャップ42に対して引き戻すと、第1の力に抗して、ヒンジ356周りに第2の力が付与されて、これによりカメラ352は、第2の方向B2に動いて、
図9Aに示すように視野方向V1を向いた状態に戻る。このようにして、操作ロッド660を様々な程度まで押し引きするようにアクチュエータ30(ポジションスイッチ)を調整することにより、カメラ352の視野角又は視野方向を変化させ得る。
【0125】
図9A及び
図9Bによる、いくつかの実施形態では、視野方向V2は、視野方向V1に対して角度Cを成すことができ、それは、-1°、-5°、-10°、-20°、-30°、若しくは-40°のような小さい角度、又は-50°、-60°、-70°、-80°、-85°、若しくは-89°のような大きい角度、又は上記の角度のいずれか2つの間の角度であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、角度Cは、-1°から-89°、-5°から-85°、-10°から-80°、-20°から-70°、-30°から-60°、又は-40°から-50°の範囲であり得る。
【0126】
図10は、本発明の実施形態による、直接視覚化カテーテル22の遠位端36の概略斜視図である。
図10の実施形態は、関節カメラアセンブリ40が関節カメラアセンブリ740で置き換えられているとともにスロット44及びカメラルーメン364がカメラルーメン744で置き換えられていることを除いて、
図2の実施形態と略同じである。関節カメラアセンブリ740を、遠位端36に結合するために、カメラルーメン744内に配置することが可能である。
【0127】
図11A及び
図11Bは、本発明の実施形態による、
図10の直接視覚化カテーテル22の遠位端36の側断面図である。
図11Aは、関節カメラアセンブリ740が視野方向V1を向いている状態におけるカテーテル22を示している。
図11Bは、関節カメラアセンブリ740が視野方向V1とは異なる視野方向V2を向いている状態におけるカテーテル22を示している。
図11Aに示すように、関節カメラアセンブリ740は、カメラ352と、調整機構754とを含むことができる。調整機構754は、カメラ352による観察の視野方向を遠位端36に対して相対的に変化させることができる。
図11Aに示す実施形態では、調整機構754は、ボールソケットジョイント756と、コイルバネ758と、トルクシャフト760とを含むことができる。
【0128】
ボールソケットジョイント756は、遠位端36においてボールソケットジョイント756の一部をカメラルーメン744から突出させて、主にカメラルーメン744内に配置することが可能である。カメラルーメン744から突出しているボールソケットジョイント756の部分に、カメラ352を結合することが可能である。コイルバネ758は、カメラルーメン744内でボールソケットジョイント756に結合することが可能である。トルクシャフト760は、ボールソケットジョイント756と反対のコイルバネ758の端に結合することが可能である。トルクシャフト760は、可撓性のロッド又はチューブであり得る。いくつかの実施形態では、トルクシャフト760は、スロット付きチューブ又はマルチファイラ・コイルバネとして形成することが可能である。いくつかの実施形態では、トルクシャフト760は、例えば、ニッケル-チタン合金、MP35N(登録商標)、合金鋼(医療グレード)、又はコバルトとクロムの合金で構成することが可能である。トルクシャフト760は、コイルバネ758からカメラルーメン744を通って、少なくとも細長シャフト28の近位端34(
図1)に延び得る。
図11Aの実施形態では、トルクシャフト760は、ハンドル24(
図1)上のアクチュエータ30に延びている。アクチュエータ30は、レバー又はジョイスティックとすることができ、これは、レバー又はジョイスティックの位置に応じた様々な程度までトルクシャフト760を回転させる。
【0129】
図11Aは、カメラ352が図示のように視野方向V1を向くように、アクチュエータ30によってボールソケットジョイント756が位置決めされた状態におけるカテーテル22を示している。
図11Bでは、ボールソケットジョイント756を動かして調整するようにコイルバネ758を回転させるトルクシャフト760を、アクチュエータ30によって回転させることにより、ボールソケットジョイント756が位置決めされて、これによりカメラ352は、視野方向V1とは異なる視野方向V2を向いている。このようにして、トルクシャフト760を様々な程度まで回転させるようにアクチュエータ30(レバー又はジョイスティック)を調整することにより、カメラ352の視野角又は視野方向を変化させ得る。
【0130】
図11A及び
図11Bによる、いくつかの実施形態では、視野方向V2は、視野方向V1に対して角度Cを成すことができ、それは、-1°、-5°、-10°、-20°、-30°、若しくは-40°のような小さい角度、又は-50°、-60°、-70°、-80°、-85°、若しくは-89°のような大きい角度、又は上記の角度のいずれか2つの間の角度であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、角度Cは、-1°から-89°、-5°から-85°、-10°から-80°、-20°から-70°、-30°から-60°、又は-40°から-50°の範囲であり得る。
図11A及び
図11Bによる、他の実施形態では、視野方向V2は、視野方向V1に対して角度Cを成すことができ、それは、1°、5°、10°、20°、30°、若しくは40°のような小さい角度、又は50°、60°、70°、80°、85°、若しくは89°のような大きい角度、又は上記の角度のいずれか2つの間の角度であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、角度Cは、1°から89°、5°から85°、10°から80°、20°から70°、30°から60°、又は40°から50°の範囲であり得る。
図11A及び
図11Bによる、さらなるいくつかの実施形態では、視野方向V2は、視野方向V1に対して角度Cを成すことができ、それは、-89°から89°、-85°から85°、-80°から80°、-70°から70°、-60°から60°、-50°から50°、-40°から40°、-30°から30°、-20°から20°、-10°から10°、又は-5°から5°の範囲であり得る。
【0131】
本発明の範囲から逸脱することなく、議論された実施形態に対して、種々の変更及び追加を実施することが可能である。例えば、上記の実施形態では、具体的な特徴に言及しているが、本発明の範囲には、異なる組み合わせの特徴を有する実施形態、及び記載の特徴のすべてを含むわけではない実施形態も含まれる。よって、本発明の範囲は、請求項の範囲内に含まれるすべてのかかる代替案、変更、及び変形を、それらのあらゆる均等物と共に、包含するものである。