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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-14
(45)【発行日】2022-09-26
(54)【発明の名称】プラグコネクタ部品
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/42 20060101AFI20220915BHJP
【FI】
H01R13/42 E
H01R13/42 G
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020518765
(86)(22)【出願日】2018-10-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-12-17
(86)【国際出願番号】 EP2018077853
(87)【国際公開番号】W WO2019076745
(87)【国際公開日】2019-04-25
【審査請求日】2021-06-02
(31)【優先権主張番号】102017009623.6
(32)【優先日】2017-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】507400756
【氏名又は名称】コスタール・コンタクト・ジステーメ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(72)【発明者】
【氏名】シュレーダー・ゲオルク
【審査官】山下 寿信
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102015009039(DE,A1)
【文献】特開2017-142901(JP,A)
【文献】特開2001-160448(JP,A)
【文献】特開2005-005109(JP,A)
【文献】特開2005-085496(JP,A)
【文献】特開平11-135184(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気プラグコネクタ部品の差込み方向に対して垂直に組立てもしくは結合をされかつ共に1つのハウジング(10)を構成するハウジング本体(1)及びハウジング部分(2)と、
電気接続導線(4)に接続されており、成形された係止バネ(13)を備える少なくとも1つの電気プラグ接点要素(3)を有し、
ハウジング(10)が、少なくとも1つの収容チャンバ(6)を形成し、この収容チャンバに、少なくとも1つの電気プラグ接点要素(3)が挿入され、係止バネ(13)が、収容チャンバ(6)への電気プラグ接点要素(3)の挿入後に係止突起(14)に係合させられ、
ハウジング部分(2)が、電気プラグコネクタ部品の差込み方向に対して垂直な組立てもしくは結合方向の、収容チャンバ(6)に電気プラグ接点要素(3)を挿入する予備係止位置と、電気プラグコネクタ部品の組立てを終了する最終係止位置で、ハウジング本体(1)に係止可能であり、
ハウジング部分(2)が少なくとも1つのロックアーム(7)を備え、このロックアームが、ハウジング部分(2)の最終係止位置で、少なくとも1つの電気プラグ接点要素(3)を収容チャンバ(6)内に噛合い係合式に固定する、
電気プラグコネクタ部品において、
少なくとも1つのロックアーム(7)の自由な終端部分(17)が、収容チャンバ(6)の方向のハウジング本体(1)の壁部分に、少なくとも1つの電気プラグ接点要素(3)の係止バネ(13)用の少なくとも1つの係止突起(14)を形成すること、及び、ロックアーム(7)が、ハウジング部分(2)の最終係止位置で、係止バネ(13)と電気プラグ接点要素(3)の接点ボックス(11)の両方を固定すること、を特徴とする電気プラグコネクタ部品。
【請求項2】
少なくとも1つの電気プラグ接点要素(3)が、一体的に形成されていること、を特徴とする請求項1に記載の電気プラグコネクタ部品。
【請求項3】
係止バネ(13)が、電気プラグ接点要素(3)の面部分によって構成され、この面部分の縦方向に延在する境界線が、互いにねじれの位置に位置するように整向されていること、を特徴とする請求項1に記載の電気プラグコネクタ部品。
【請求項4】
最終係止位置で、ハウジング部分(2)とハウジング本体(1)が、協働して、電気接続導線(4)の絶縁材で被覆された部分(5)をクランプするように固定すること、を特徴とする請求項1に記載の電気プラグコネクタ部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、共に1つのハウジングを構成するハウジング本体及びハウジング部分と、電気接続導線に接続されており、成形された係止バネを備える少なくとも1つの電気プラグ接点要素を有し、ハウジングが、少なくとも1つの収容チャンバを形成し、この収容チャンバに、少なくとも1つの電気プラグ接点要素が挿入され、係止バネが、収容チャンバへのプラグ接点要素の挿入後に係止突起に係合させられ、ハウジング部分が、ハウジング本体に係止可能で、少なくとも1つのロックアームを備え、このロックアームが、ハウジング部分の最終係止位置で、少なくとも1つのプラグ接点要素を収容チャンバ内に噛合い係合式に固定する、電気プラグコネクタ部品に関する。
【背景技術】
【0002】
このようなプラグコネクタ部品は、独国特許出願公開第10 2008 055 841号明細書から公知である。このプラグコネクタ部品は、ハウジング本体とハウジング部分から成るハウジングを備える。電気接続導線に接続されたプラグ接点要素を固定するために、ハウジング本体は、収容チャンバと、成形された突起を備え、これら突起によって、プラグ接点要素からランス状に突出する係止バネが係止可能である。ハウジング部分は、例えばフィルムヒンジを介してハウジング本体に可動に成形されているか、個々の部品としてハウジング本体の取付け箇所に取付け可能であるかのいずれかである。いずれにしても、ハウジング部分は、ハウジング本体への組立てのために旋回可能である。これは、ハウジング本体とハウジング部分が、相互に係止するまで相対的に容易に移動可能な配置を形成し、これが、組立て時の取扱いを比較的複雑にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】独国特許出願公開第10 2008 055 841号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、その構造と組立てが特に簡単な汎用の電気プラグコネクタ部品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、本発明によれば、ハウジング本体とハウジング部分が、プラグコネクタ部品の差込み方向に対して垂直に相対的に移動可能に配置され、予備係止位置及び最終係止位置で相並んで安定的に固定可能であること、及び、少なくとも1つのロックアームが、ハウジング本体と共に、少なくとも1つのプラグ接点要素の係止バネ用の少なくとも1つの係止突起を形成すること、によって解決される。
【0006】
独国特許出願公開第10 2008 055 841号明細書から公知のプラグコネクタ部品とは異なり、本発明によるプラグコネクタ部品の場合、プラグ接点要素の組立てのために、取付け箇所へのハウジング部分の取付けと、ハウジング本体に対するハウジング部分の折重ねが必要ない。ハウジング本体とハウジング部分は、プラグ接点要素の組立ての時点で、安定的な予備係止位置で互いに予組立てされている。この予備係止位置で、ハウジング部分によって形成された少なくとも1つのロックアームが、ハウジング本体と共に、プラグ接点要素を係合させることができる1つ又は複数の突起を形成する。
【0007】
僅かな外力の作用により、ハウジング本体とハウジング部分は、互いに相対的に安定的な最終係止位置へ移行させることができ、この最終係止位置で、少なくとも1つのロックアームが、プラグ接点要素をハウジング本体の収容チャンバ内に噛合い係合式に固定する。
【0008】
プラグ接点要素の固定は、少なくとも1つのロックアームがその最終係止位置への移行時にそれぞれプラグ接点要素に成形された接点ボックスの後へ移動し、これにより接点ボックスを噛合い係合式にハウジング本体の収容チャンバ内に収容する。
【0009】
この場合、本発明によるプラグコネクタ部品内でのプラグ接点要素の最終的な組立てが、特に迅速かつ簡単に行なわれることが有利である。両ハウジング要素、即ちハウジング本体とハウジング部分が、予備係止位置でのプラグ接点要素の挿入時に既に互いに結合されているので、最終的な組立てステップは、ハウジングの外周面への圧力による短い力の作用から成る。これにより、両ハウジング要素は、その予備係止位置から解離され、互いにその最終係止位置に移行させられ;この場合、同時にプラグ接点要素がハウジング内に噛合い係合式に固定される。
【0010】
特に有利には、ハウジング要素は、この最終的な組立てステップ時に同時にプラグ接点要素に結合された接続導線がハウジング要素の間にクランプするように収容されるように、形成することができる。
【0011】
同様に、ハウジング部分の少なくとも1つのロックアームが、ここで複数の機能を満足することが有利である。予備係止位置で、ロックアームは、ハウジング本体の、プラグ接点要素の係止バネを固定するために使用される係止突起を形成する。これにより、相応の突起が、ハウジング本体の成形部によって設けられる必要はなく、これが、ハウジング本体の製造を簡素化し、より安価にする。最終係止位置で、少なくとも1つのロックアームは、係止バネとプラグ接点要素の接点ボックスの両方を固定する。
【0012】
従って、本発明によるプラグコネクタ部品は、その構成要素の同時に特に簡単な構造で簡単な組立てを可能にする。本発明の有利な形態及び発展形は、従属請求項と、図面による本発明の実施例の以下の説明からわかる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】プラグコネクタ部品の断面図
図2】接続導線を有するプラグ接点要素
図3】5つの部分図3a~3eに複数の組み立て段階を図示するためのプラグコネクタ部品のそれぞれ1つの断面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、完全に組み立てられた本発明による電気プラグコネクタ部品を示す。プラグコネクタ部品は、組み立てられかつ互いに係止された2つのハウジング要素1,2、即ちハウジング本体1及びハウジング部分2から成るハウジング10を備える。このように構成されたハウジング10内で、少なくとも1つの収容チャンバ6内に、それぞれ電気接続導線4に接続されたプラグ接点要素3が配置されている。各接続導線4の、絶縁被覆を備えるそれぞれ1つの部分5は、ハウジング要素2の間でプラグコネクタ部品のハウジング10外に案内されている。
【0015】
接続導線4を結合したプラグ接点要素3は、図2の個別の図に図示されている。プラグ接点要素3の前方の部分に、内側に向かって曲げられたストリップ状の接点スタッド18を有する接点ボックス11が存在する。プラグ接点要素3のコンタクトボックス11とは反対側に位置する終端部分は、圧着部分15として形成されている。この圧着部分には、ワイヤもしくはストランドクリンプによって電気接続導線4が機械的に固定され、電気的に結合されている。
【0016】
プラグ接点要素3は、好ましくは一体的に成形されたプレス曲げ部品として形成されている。接点ボックス11の上面は、成形されたメタルストリップ13によって構成され、このメタルストリップの縦エッジと横エッジは、それぞれ互いにねじれの位置に位置するように整向されている。これにより、メタルストリップ13の異なった点が、プラグ接点要素3の底面の上の異なる高さにある。これにより、メタルストリップ13の更に突出する部分は、力の作用時に、残りの部分に対して移動すること、及び、プラグ接点要素3のメタルストリップ13の弾性的な結合に基づいて撓むことができる。従って、プラグ接点要素3の上面のメタルストリップ13は、プラグコネクタ部品のハウジング10内でのプラグ接点要素3の1次係止のために設けられた係止バネ13を形成する。
【0017】
図3は、5つの部分図3a~3eに、ハウジング本体1、ハウジング部分2及び少なくとも1つのプラグ接点要素3を組み立てることによるプラグコネクタ部品の組立ての経過を示す。
【0018】
既に述べたように、ハウジング本体1とハウジング部分2は、プラグコネクタ部品の企図した差込み方向に対して垂直に2つの係止位置に互いに位置決めすることができ、これら係止位置は、ここでは予備係止位置と最終係止位置と呼ばれ、このため、ハウジング本体1とハウジング部分2には、協働する機械的な係止要素が配置され、但し、これら係止要素は、図の断面図では識別不能である。その具体的な形態が本発明の理解のために重要でないので、詳細な説明をここでは省略する。
【0019】
プラグ接点要素3の組立て時、ハウジング本体1とハウジング部分2は、予備係止位置で既に互いに結合されている。図3a~3dに図示された予備係止位置は、ハウジング本体1とハウジング部分2の互いに相対的な第1の安定的な配置であり、この配置は、ハウジング要素1,2がプラグコネクタ部品の企図した差込み方向に対して垂直な結合方向に、互いに可能な最も緊密な間隔で存在するのではないことを特徴とする。
【0020】
図3aの断面図が示すように、両ハウジング要素1,2は、通路状の自由空間16を形成し、この自由空間内へ、プラグ接点要素3は、その接点スタッド18及びその接点ボックス11を先にして挿入することができる。通路状の自由空間16は、内部にプラグ接点要素3の接点ボックス11を固定すべき収容チャンバ6を構成する。
【0021】
自由空間16内へのプラグ接点要素3の挿入時、接点ボックス11は、図3bで、ロックアーム7に到達し、このロックアームの自由な終端部分17は、若干自由空間16内に突出する。
【0022】
終端部分17は、フック状のエッジを形成し、このエッジは、ハウジング本体1の相応に成形されたエッジと共にバーブ状の結合部19を構成する。バーブ状の結合部19は、噛合い係合によってハウジング部分2からのハウジング本体1の偶然の分離を防止する。
【0023】
更に、ロックアーム7の自由な終端部分17は、収容チャンバ6の方向のハウジング本体1の壁部分に係止突起14を形成する。その上の収容チャンバ6とは反対の側に、ロックアーム7の自由な終端部分17は、ガイドスロープ8を備える。このガイドスロープ8は、接点ボックス11に成形された係止バネ13が、ロックアーム7の通過時に接点ボックス11に密接し、これにより、ロックアーム7の終端部分17の横に沿って滑動し(図3c)、この終端部分に引っかかったままにはならないことを可能にする。
【0024】
プラグ接点要素3を更に挿入すると、係止バネ13は、最後に、ロックアーム7によって構成される係止突起14の後に係合し、これは、図3dに図示されている。これにより、プラグ接点要素3は、ハウジング10内で既に抜けないように確保されている。
【0025】
多極のプラグコネクタ部品の場合は、企図した極数に応じて別のプラグ接点要素3が同様にハウジング10の別の収容チャンバ6に挿入され、各プラグ接点要素3は、まずその係止バネ13によって行なわれる1次係止によってその収容チャンバ6内に保持される。
【0026】
加えて、多極のプラグコネクタ部品の場合は、ハウジング部分2が、全ての収容チャンバ6の係止突起14に対して平行に形成された唯一の広幅のロックアーム7を備えることできるか、収容チャンバ6のそれぞれ1つと協働する複数の狭幅のロック要素7を設けることができるかのいずれかである。
【0027】
組立ての最後に、ハウジング本体1とハウジング部分2は、外力の作用によって互いに押し付けられ、これにより、その最終係止位置に移行させられる(図3e)。これにより、少なくとも1つのロックアーク7は、接点ボックス11の終端部分によって構成されかつプラグ接点要素3を収容チャンバ6内に噛合い係合式に固定する接点ショルダ12を超えて移動する。従って、少なくとも1つのロックアーム7は、係止バネ13の固定と、接点ショルダ12での接点ボックス11の固定によって、プラグ接点要素3の1次ロックと2次ロックの両方を生じさせる。この場合、両ロックは、ハウジング10内で唯一のロック平面内で行われ、これは、プラグコネクタ部品の特にコンパクトな形成の実現に寄与する。
【0028】
図1及び3eに図示された最終係止位置では、更にまたハウジング要素1,2の互いに安定的な位置決めが達成されており、ハウジング要素1,2は、いまや互いにコンパクトな配置を構成する。
【0029】
加えて、最終係止位置の達成時、ハウジング部分2の上の部分9は、接続導線4の被覆された部分5に密接するように取り付き、この被覆された部分をハウジング本体1に押し付ける。これにより、接続導線4は、ハウジング要素1,2の間に摩擦係合式に固定される。最終係止位置の達成により、プラグコネクタ部品の組立てが終了されている。
【符号の説明】
【0030】
1 ハウジング本体
2 ハウジング部分
1,2 ハウジング要素
3 プラグ接点要素
4 接続導線
5 部分(接続導線の)
6 収容チャンバ
7 ロックアーム(ラッチ)
8 ガイドスロープ
9 上の部分(ハウジング部分2の)
10 ハウジング
11 接点ボックス
12 接点ショルダ
13 係止バネ(メタルストリップ)
14 係止突起
15 圧着部分
16 通路状の自由空間
17 終端部分(ロックアームの)
18 接点スタッド
19 バーブ状の結合部
図1
図2
図3a)】
図3b)】
図3c)】
図3d)】
図3e)】