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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-14
(45)【発行日】2022-09-26
(54)【発明の名称】案内システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/64 20060101AFI20220915BHJP
【FI】
A61B17/64
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020558612
(86)(22)【出願日】2019-06-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-21
(86)【国際出願番号】 US2019038686
(87)【国際公開番号】W WO2020040864
(87)【国際公開日】2020-02-27
【審査請求日】2020-12-23
(31)【優先権主張番号】16/108,311
(32)【優先日】2018-08-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504154126
【氏名又は名称】ライト メディカル テクノロジー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Wright Medical Technology, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウッダード,ジョセフ・ライアン
(72)【発明者】
【氏名】トーレン,ブライアン・ロバート
【審査官】石川 薫
(56)【参考文献】
【文献】特表2000-501633(JP,A)
【文献】特表2012-513226(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0235414(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/16-17/17、17/56-17/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨の第1部分に着脱可能に装着されるように構成された第1ガイドであって、骨の第1部分の長手方向軸と整列するための第1軸を有する第1ガイドと、
前記第1ガイドに装着可能な第2ガイドであって、前記第1軸に対して横方向に摺動自在に並進できる第2ガイドと、
前記第2ガイドに装着可能な第3ガイドであって、前記長手方向軸周りに少なくとも部分的に延びる湾曲した経路に沿って移動可能な第3ガイドと、を含む、案内システム。
【請求項2】
前記第3ガイドは、前記湾曲した経路に沿って前記第3ガイドの位置を固定するためのロック装置を有する、請求項1に記載の案内システム。
【請求項3】
前記ロック装置は、ねじポスト又はバネ装着装置を含む、請求項2に記載の案内システム。
【請求項4】
前記第2及び第3ガイドは、前記第2及び第3ガイドの各々のスロットを介して延びるねじポストを収容するように構成されたプレートを含む、請求項1に記載の案内システム。
【請求項5】
前記第2及び第3ガイドのプレートは、これを介して固定要素を収容するための少なくとも1つのアパーチャを更に規定する、請求項4に記載の案内システム。
【請求項6】
前記第3ガイドのプレートは、湾曲している、請求項4に記載の案内システム。
【請求項7】
前記第1ガイドは、前記第1軸に垂直な第1平面を有し、前記第2ガイドは、前記第1平面に対して横方向に摺動するように配列された第2平面を有する、請求項1に記載の案内システム。
【請求項8】
前記第1ガイドに取り付け可能な第4ガイドを更に含み、前記第4ガイドは、骨の第2部分と整列した固定要素を収容するためのアパーチャを規定する、請求項1に記載の案内システム。
【請求項9】
前記第4ガイドは、前記第1ガイド及び前記固定要素から前記第4ガイドを取り除くように構成され、前記第4ガイドのアパーチャと連なるスロットを有し、前記固定要素は骨の第2部分に挿入される、請求項8に記載の案内システム。
【請求項10】
前記第1ガイドに取り付け可能な切断ガイドを更に含み、前記切断ガイドは、骨の第1部分から骨の第2部分を分離するための切断道具を収容するためのスロットを有する、請求項1に記載の案内システム。
【請求項11】
前記第1ガイドは、固定要素を収容するためのアパーチャ及び第2ガイドを案内するための平面、レール又はチャネルを有するT型部材であり、
前記第2ガイドは、前記平面、レール又はチャネルに沿って接線方向に移動するように構成されたプレートを含み、かつ
前記第3ガイドは、これを介してスロットを有する湾曲プレートであり、
前記案内システムは、前記第2ガイドに対して前記第3ガイドをロックするために、第3ガイドのスロットを介して延びるねじポスト又はバネ装着装置を更に含む、請求項1に記載の案内システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、医療装置に関し、より具体的には骨変形を矯正するための案内システムに関する。
【背景技術】
【0002】
腱膜瘤変形(外反母趾)は、第1中足骨の内側偏位と足の親指(母趾)の外側偏位により発生する。第1中足骨の遠位骨切り術は、通常、外反母趾を矯正するために行われる。手術中に、外科医は第1中足骨の長手方向軸を横切る平面に沿って第1中足骨を切断し、骨を近位部(内側楔状骨と隣接)と遠位部(第1近位節骨と隣接)に分ける。遠位部は、近位部に対して外側方向に並進し、並進する遠位部は(インプラント及び/又は1つ以上の固定要素(例えば、ねじ、k-ワイヤ又はロッド)を用いて)所定の位置に固定する。一部の患者において、第1中足骨の外側偏位に加えて、第1中足骨の内側(脛骨)及び側面(腓骨)の種子骨が変位する。これらの種子骨は、第1中足骨の足底面に隣接した短母趾屈筋の腱(flexor halluces brevis tendons)の内側及び外側頭内に埋め込まれている。外反母趾の場合、種子骨は第1中足骨の足底側から第1中足骨の外側に向けて変位し得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
一部の実施形態において、案内システムは、骨の第1部分に着脱可能に装着されるように構成された第1ガイドを含む。第1ガイドは、骨の第1部分の長手方向軸と整列するための第1軸を有する。第2ガイドは、第1ガイドに装着可能である。第2ガイドは、第1軸に対して横方向に摺動自在に並進できる。第3ガイドは、第2ガイドに装着可能である。第3ガイドは、長手方向軸周りに少なくとも部分的に延びる湾曲した経路に沿って選択的に位置することが可能である。
【0004】
一部の実施形態において、案内システムの使用方法は、第1ガイドを骨に固定するステップと、骨を切断して第1骨部分及び第2骨部分を提供するステップであって、第1骨部分は第1長手方向軸を有するステップと、第1長手方向軸に垂直な横方向に沿って第1ガイドに対して選択された位置に第2ガイドを配置するステップと、第3ガイドを長手方向軸周りに移動させて、骨の第2部分を骨の第1部分に対して目標角度で回転させるステップとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1A】足上の第1ガイドの等角投影図である。
図1B図1Aの拡大詳細図である。
図1C】第1ガイドを備えた足の背面図(dorsal view)である。
図2A】切断ガイドが取り付けられた第1ガイド及び足の等角投影図である。
図2B図2Aの足、第1ガイド及び切断ガイドの背面図である。
図3A】足上の第1ガイド、第2ガイド及び第3ガイドの等角投影図である。
図3B】第1ガイド、第2ガイド及び第3ガイドの背面図である。
図3C図3Aの第2ガイドの等角投影図である。
図3D図3Aの第3ガイドの等角投影図である。
図4A】第1ガイドに沿って第2ガイドを並進させた後の足及び案内システムを示す等角投影図である。
図4B】第1ガイドに沿って第2ガイドを並進させた後の足及び案内システムの背面図である。
図5A】第2ガイド及び骨の遠位部周りに第3ガイドを回転させた後の足及び案内システムを示す等角投影図である。
図5B】第2ガイド及び骨の遠位部周りに第3ガイドを回転させた後の足及び案内システムの背面図である。
図5C】回転前(実線)及び回転後(仮想線)の第1中足骨の遠位部の前面図である。
図6A】第1ガイドに取り付けられた第4ガイドを備えた案内システムを示す。
図6B】第1ガイドに取り付けられた第4ガイドの変形部を有する案内システムの背面図である。
図6C図6Bの断面線6C-6Cに沿って切り取った案内システムの断面図である。
図7A】固定装置が第1中足骨の第4ガイド、近位部及び遠位部を貫通する案内システムの等角投影図である。
図7B】固定装置が第1中足骨の第4ガイド、近位部及び遠位部を貫通する案内システムの背面図である。
図7C】固定装置が第1中足骨の第4ガイド、近位部及び遠位部を貫通する案内システムの内側図である。
図8】案内システムを使用する方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0006】
例示的な実施形態に関する本説明は、添付の図面と関連して理解することを意図しており、記載された明細書全体の一部とみなされるべきである。明細書において、「下部」、「上部」、「水平」、「垂直」、「上」、「下」、「上方」、「下方」、「上端」及び「下端」だけでなく、それらの派生語(例えば、「水平に」、「下向きに」、「上向きに」等)のような相対的な用語は、明細書中の以下の図面に記載又は図示された方向を指すものと理解されるべきである。これらの相対的な用語は、説明の便宜のためであり、装置が特定の方向に構成されたり動作することを求めていない。「接続された」及び「相互接続された」ような結合、取り付け等に関する用語は、特に明示されていない限り、構造物が互いに媒介構造物を介して直接的又は間接的に固定される、又は取り付けられる関係だけではなく、移動可能な若しくは強固な取り付け又は関係すべてを指す。
【0007】
本発明で説明される例において、案内システムは外反母趾の矯正手術に用いられる。ここで、前記例は、第1中足骨の矯正を意味する。他の実施形態において、簡潔性のために詳細な説明を省略するが、案内システムは、他の骨の変形を矯正するのに用いられ、ここで矯正は、骨の第1部分に対する骨の第2部分の並進及び/又は回転を含むことができる。
【0008】
本発明は、外反母趾の矯正手術時に使用するための案内システムを提供する。案内システムは、外科医が第1中足骨の遠位部を外側方向に並進させ、遠位部の長手方向軸に対して遠位部を回転させて種子骨を適切な位置(足底)に配置することができるようにする。
【0009】
図6Aを参照すると、一部の実施形態において、案内システムは、骨60の第1(近位)部分60pに着脱可能に装着されるように構成された第1ガイド100(図1A)を含む。第1ガイド100は、骨60の第1部分60pの長手方向軸Bと整列するための第1軸Aを有する。第1ガイド100は、第2ガイド300の基準面を提供するために、1つ以上の固定要素(例えば、k-ワイヤ、ねじ、ロッド、ストラップ、クランプ等)を用いて第1中足骨60に固定することができる。
【0010】
第2ガイド300は、第1ガイド100に装着可能である。第2ガイド300は、近位部60pに対して骨60の遠位部60dを並進させるために、第1軸Aに対して横方向に摺動自在に並進できる。
【0011】
第3ガイド400は、第2ガイド300に装着可能である。第3ガイド400は、骨60の遠位部60dの長手方向軸B周りに少なくとも部分的に延びる湾曲した経路に沿って選択的に位置することが可能である。一部の実施形態において、第3ガイド400は、第2ガイド300に摺動自在に装着され、第3ガイド400は骨60の遠位部60dに固定される。湾曲した経路に沿って第3ガイド400を摺動させることは、遠位部60dの長手方向軸Bを中心に骨60の遠位部60dの回転をもたらす。
【0012】
一部の実施形態は、第1ガイド100に取り付け可能な第4ガイド500を更に含む。第4ガイド500は、骨60の第2部分60dと整列した固定要素550を収容するためのアパーチャ522(図6A)又はスロット524(図6C)を規定する。例えば、k-ワイヤ、オリーブワイヤ又は釘550は、アパーチャ522を介して通過し、骨60の近位部60p及び遠位部60dに入ることができる。
【0013】
一部の実施形態は、第1ガイド100に取り付け可能な切断ガイド200(図2A)を更に含む。切断ガイド200は、骨60の第2(遠位)部分60dを骨60の第1(近位)部分60pから分離するためのバー又はブレードのような切断道具(図示せず)を収容するためのスロット210を有する。
【0014】
案内システムの構成要素及びその使用についての詳細は、以下に説明されている。
【0015】
図1A図1Cは、患者の足50上への第1ガイド100の整列及び固定を示す。第1ガイド100は、第1中足骨又は他の長骨のような骨60の第1部分60pに着脱可能に装着されるように構成される。第1ガイド100は、骨60の長手方向軸Bと整列するための第1軸Aを備えた第1部材110を有する。第1部材110は、第1部材110を介して近位面から(近位面が足の背面に隣接している)遠位面まで延びる複数の整列アパーチャ140を有する。整列アパーチャ140は、固定要素130(例えば、k-ワイヤ、オリーブワイヤ、ねじ等)を収容するように構成される。例示的な第1部材110は、5つのアパーチャ140を有するが、他の実施形態は、任意の所望の数のアパーチャを含むことができる。
【0016】
第1ガイド100は、第1部材110に垂直であり得る第2部材120を有する。第2部材120は、第1部材110の第1軸Aに垂直な第1平面150を有する。例えば、第1ガイド100は、固定要素130を収容するためのアパーチャ140を含む垂直な(第1)部材110と、平面、レール又はチャネル170を有する水平な(第2)部材120とを有するT型構造であり得る。図1Bに詳細に示すように、平面、レール又はチャネル170は、足50の背面に背を向ける垂直壁(直角)チャネル又はダブテールチャネル170であり得る。第1ガイド100の水平部材120は、骨60の近位部60pに背を向けるように構成された横方向エッジ150を有する。
【0017】
横方向エッジ150は、骨60の第1部分(近位)60pの垂直部分110の長手方向軸Aに直交する平面に沿って置かれる。一部の実施形態において、横方向エッジ150は、切断ガイド200(図2A及び図2B)の対応する整列ピン(図1Aに図示せず)を収容するための2つの取付孔160(図1A)を有する。
【0018】
外科医は、2つの整列アパーチャ140にある2つの固定要素130を用いて第1ガイド100を第1中足骨60に固定することができる。外科医は、確実な位置を保障するために局所的な骨質に基づいて、整列アパーチャ140のうちの2つを選択することができる。第1ガイド100は、骨60の長さに沿って位置し、横方向エッジ150と骨60の遠位端部との間の距離が第2ガイド300及び第3ガイド400を収容できるほど大きい。更に、第1ガイド100は、骨60の長さに沿って位置し、横方向エッジ150と骨60の遠位端部との間の距離が少なくとも切断ガイド200を収容できるほど大きい。一部の実施形態(図示せず)において、第2部材120は、外科医が(蛍光透視下で)第1足根中足骨(TMT)関節と整列可能な位置決め溝又は突出部(図示せず)を有する。2つの固定要素130が、整列アパーチャ140を通って挿入される。
【0019】
図2A及び図2Bは、第1ガイド100に結合された切断ガイド200を示す。一部の実施形態において、切断ガイド200は、2つの取付孔160にぴったり合うように構成された2つの整列ピン(図示せず)を有する。他の実施形態において、第1ガイド100は、横方向エッジ150から突出したピン(図示せず)を有し、切断ガイド200はピンを収容するように位置した対応する孔(図示せず)を有する。他の実施形態において、横方向エッジ150又は切断ガイド200の一方は、チャネル又はレールを有し、横方向エッジ150又は切断ガイド200の他方は、整合レール又はチャネルを有する。切断ガイド200は、切断道具(例えば、バー又はブレード。図示せず)を収容するのに十分な幅212を備えたスロット210を有する。スロット210は、切断される骨60の直径よりも長くすることができる。一部の実施形態において、切断ガイド200は、弧角θに対応する湾曲した形状を有する。一部の実施形態において、外科医は、異なる切断角を有する複数の切断ガイドから切断ガイドを選択し、シェブロン型骨切り術又は横断骨切り術を選択することができる。
【0020】
切断ガイド200が、第1ガイドに取り付けられると、外科医は切断ガイド200のスロット210に切断道具(例えば、バー又はブレード。図示せず)を挿入し、切断道具を、骨を通って動かして、切断62を形成する。従って、切断62は、図2Bに示すように、骨60を近位部60pと遠位部60dとに分離する。切断62が完了すると、切断ガイド200は第1ガイド100から取り除かれる。この時、外科医は、手で骨60の遠位部60dを所定の位置に保持することができる。
【0021】
図3A及び図3Bは、第1ガイド100に取り付けられた第2ガイド300及び第3ガイド400を示す。図3Cは、第2ガイド300を示す。第2ガイド300は、ねじ受け孔340を含むことができるマウント335を有する。止めねじ又はボールプランジャ330(図3A)は、第1ガイド100に対して所望の内側-外側位置で第2ガイド300をロックする。第2ガイド300のマウント335は、第1ガイドのレール又はチャネル170と相補的な足底側のチャネル又はレール(図3Cに図示せず)で構成される。第2ガイド300のチャネル又はレールが、第1ガイドのレール又はチャネル170と係合する際に、第2ガイド300の第2平面(近位エッジ)310が第1ガイド100の第1平面(遠位面)150と接する。第2ガイド300の第2平面(近位エッジ)310は、第1ガイド100の第1平面150に対して横方向に摺動するように配列される。第2ガイド300は、第3ガイド400上の隣接エッジ425(図3D)と係合して案内できる表面325を更に有する。
【0022】
第2ガイド300は、第2ガイド300に対する第3ガイド400の位置をロックするためのロック部材420(図3A)を収容するための少なくとも1つのスロット又は孔320を更に有する。ロック部材420は、止めねじ、ねじ、ボルト、ボールプランジャ等であり得る。一部の実施形態において、前記ロック部材420は、骨60と接触することなく第3ガイド400を第2ガイド300の所定の位置にロックする。
【0023】
例示的な第2ガイド300は、スロット320を規定する湾曲した表面を有する湾曲プレート315を有する。第2ガイド300のマウント335が第1ガイド100のレール又はチャネル170と係合する際に、湾曲プレート315は骨60の周囲を部分的に囲む。
【0024】
図3Dは、第3ガイド400を示す。第3ガイド400は、第2ガイド300に摺動自在に装着され、第3ガイド400が第2ガイド300をたどる経路に沿って移動することができる。従って、第3ガイド400が、第2ガイド300に対して摺動(又は旋回)する際に、第3ガイドは骨60周りの湾曲した(例えば、円形、楕円形又は放物線状)経路を進む。一部の実施形態において、第2ガイド300及び第3ガイド400は、いずれも円形であり、第3ガイド400は、円筒極座票系内で接線方向に移動するために、第2ガイド300よりも曲率半径が更に大きい。
【0025】
第3ガイド400は、第2ガイド300に対する第3ガイド400の位置をロックするためのロック部材420(図3A)を収容するための少なくとも1つのスロット又は孔410を有する。一部の実施形態において、第2ガイド300は、ロック部材420を固定的に位置決めするための少なくとも1つの丸い孔を有し、第3ガイド400は、ロック部材420に対して移動する。他の実施形態において、第2ガイド300は、ロック部材420を調整可能に位置決めするための複数の丸い孔又はスロットを有し、第3ガイド400は、ロック部材420の調整された位置に対して移動する。
【0026】
第3ガイド400は、第2ガイド300と係合し、第3ガイド400を第2ガイド300と整列させるための更なる表面及び/又はエッジを有することができる。例えば、第3ガイド400の隣接エッジ425は、第2ガイド300の表面325に摺動自在に接する。また、第3ガイド400は、第2ガイドのエッジ345と係合する表面(図示せず)を備えたリッジ445を有する。
【0027】
第3ガイド400は、k-ワイヤ、オリーブワイヤ、ロッド又はねじなどの固定部材440を収容するための少なくとも1つのアパーチャ430を有する。固定部材440は、第3ガイド400のアパーチャ430を通過して骨60に入る。一部の実施形態において、アパーチャ430は、プレート415の湾曲の中心に向かって配向し得る。
【0028】
例えば、図3Dに示すように、第3ガイド400は、一定の曲率半径を有する断面を有し、アパーチャ430は、アパーチャ430を通過する固定要素440が、骨60の長手方向軸Bに沿って一点で収束する半径線a、a及びaに沿って置かれるように配向している。この構成において、第3ガイド400が、第2ガイド300に対して摺動(又は旋回)する際に、第3ガイド400は接線方向に移動し、骨60の中心で中心点を有する円弧をなぞる。一部の実施形態において、第3ガイド400のスロット410は、45度の円弧をなぞるのに十分な角度に対応する。他の実施形態において、第3ガイド400のスロット410は、60度の円弧をなぞるのに十分な角度に対応する。他の実施形態において、第3ガイド400及びそのスロット410は、他の円弧(例えば、90度)に対応するように構成できる。ロック装置420に対して、第3ガイド400は0からプレート415によって対応する円弧の角度まで任意の角度で調整することができる。
【0029】
手術の準備において、第3ガイド400が第2ガイド300に予め組み立てられ、ロック部材420が締められる。第3ガイド400は、第3ガイド400が第2ガイド300上に摺動(又は旋回)し、種子骨を足底位置に回転させるのに十分な回転角度に対応するように、ロック部材420に対して位置する。例えば、種子骨が足底位置から(外側に向かって)45度に変位した場合、第3ガイド400は、骨60の遠位部60dの少なくとも45度の回転を可能にして、足底位置に種子骨を再配置するようにロック部材420から十分に離れてスロット410の端部に位置する。ロック装置420は、第2ガイド300に対して第3ガイド400をロックするのに使用される。例えば、ロック装置420がねじの場合、ねじ420が締められる。
【0030】
第2ガイド300のマウント335上のレール(図示せず)は、第1ガイド100のチャネル170に挿入される。サブアセンブリ(第2及び第3ガイド)300、400は、チャネル170に沿って外側に並進し、第3ガイド400のプレート415が骨60と略同心となるようにする。即ち、サブアセンブリ(第2ガイド300及び第3ガイド400)は、第3ガイド400の湾曲の中心が骨60の遠位部60dの中心の長手方向軸Bと一致するように位置する。外科医は、適切な場合、第3ガイド400の所望の調整範囲を可能にするために、第2ガイド300に対する第3ガイド400の位置を調整することができる。サブアセンブリ300、400がこのような同心位置にある際、外科医は、止めねじ又はボールプランジャ330(図3A)を使用して、第2ガイド300を第1ガイド100に対して所望の内側-外側位置でロックする。
【0031】
固定要素(例えば、k-ワイヤ)440は、第3ガイド400のアパーチャ430の少なくとも1つを通って骨60の遠位部60dに挿入される。図3Aにおいて、2つの固定要素(例えば、k-ワイヤ)440が挿入される。第3ガイド400が、第3ガイド400の湾曲の中心が骨60の中心長手方向軸Bと一致するように位置すると、アパーチャ430が固定要素440と骨60の中心長手方向軸Bから発する放射状線とを整列させる。
【0032】
図4A及び図4Bは、近位部60pに対して骨60の遠位部60dが外側方向に並進することを示す。固定要素440が、骨60の遠位部60dに挿入されると、止めねじ又はボールプランジャ330は、マウント335が第1ガイド100のレール又はチャネル170に沿って摺動するように十分に後進する。外科医は、骨60の内側偏位を矯正するのに十分なオフセットにより骨60の遠位部60dを外側に並進させる。所望の外側オフセットが達成されると、外科医は止めねじ又はボールプランジャ330を締めて外側オフセットをロックする。
【0033】
図5A図5Cは、骨60の遠位部60dの軸回転矯正を示す。止めねじ又はプランジャ330が第2ガイド300を所定の位置にロックすると、ロック装置(例えば、ねじポスト又はバネ装着装置)420が緩まり、第3ガイド400が第2ガイド300上の湾曲した経路で摺動(又は旋回)できるようになる。従って、第3ガイド400は、骨60の遠位部60dの長手方向中心周りの円弧に対応して遠位部60dを軸B周りに回転させる。図5Cでよく示しているように、遠位部60dは並進せずにその軸に対して回転する。図5Cに実線で示しているように、骨60の偏位は種子骨61、62が外側に偏向するようにする。第3ガイド400を第2ガイド300上の湾曲した経路を介して移動させることで、仮想線で示すように、種子骨61、62が足底方向に向くまで遠位部60dが回転する。所望の回転が達成されると(また、種子骨61、62が足底方向に向くと)、ロック装置420を再度締めて、第2ガイド300に対して第3ガイド400をロックし、骨部分60p、60dの相対回転を固定する。
【0034】
図6A及び図6Bは、第4ガイド500が第1ガイド100に取り付けられたことを示す。図6Cは、図6Bの断面線6C-6Cに沿って切り取った第4ガイド500の断面図である。図6Aは、密閉した円筒形のアパーチャ522を有する第4ガイド500を示し、図6B及び図6Cは、スロット524を有する第4ガイド500’を示す。
【0035】
第4ガイド500/500’は、第1ガイド100に取り付けられる。ファスナー512は、第4ガイド500/500’を介して第1ガイド100のアパーチャ140のうちの1つに挿入される。第4ガイド500は、内側延在部520を有する。
【0036】
第4ガイド500(図6A)の内側延在部520は、遠位部60dに矯正移動及び回転を加えた後、骨60の第1部分60p及び第2部分60dと整列した固定要素550を収容するためのアパーチャ522を規定する。例えば、k-ワイヤ又は釘550は、アパーチャ522を通過して骨60の近位部60p及び遠位部60dに入ることができる。一部の実施形態において、図6Aに示すように、アパーチャ522は、前方及び後方入口を有する円筒形孔であり、固定要素(例えば、k-ワイヤ、オリーブワイヤ等)550は、アパーチャ522を介して骨60の第1部分60pを通って骨の第2部分60dに供給される。
【0037】
他の実施形態において(図6Cに示すように)、第4ガイド500’の内側延在部520は、固定要素550を収容するためのスロット524を有する。スロット524は、内側延在部520の外側表面から内側延在部520の内部(例えば、中心)まで延びる。スロット524は、固定要素550が骨60の第1部分60pを通って骨の第2部分60dに挿入された後、第1ガイド100及び固定要素550から第4ガイド500’を迅速に取り除けるように構成される。
【0038】
図7A図7Cは、固定要素550が第4ガイド500のアパーチャ522(又は第4ガイド500’のスロット524)を介して、骨60の第1部分60pを通って骨の第2部分60dに挿入された後の案内システムの構成を示す。手術から回復する間、固定要素550が近位部60pと隣接している関係で遠位部60dを固定する。
【0039】
次いで、第4ガイド500を取り除くためにファスナー512が取り除かれる。 密閉した円筒形のアパーチャ522を有する内側延在部520の場合、第4ガイド500(図6Aの)は、固定要素550上で後方に摺動する。
【0040】
内側延在部520の外側表面に延びるスロット524を有する第4ガイド500’(図6C)の場合、ファスナー512が取り除かれると、第4ガイド500’は固定要素550の軸に垂直な横方向(例えば、内側)に固定要素550から摺動することができる。スロット524は、外科医が第4ガイド500’をより迅速に取り除けるようにし得る。
【0041】
第4ガイド500/500’が取り除かれると、外科医は、固定要素550上にカニューレ状ドリルを置き、骨の近位部60p及び遠位部60dにねじ又は釘を挿入することができる。
【0042】
一部の実施形態において、第1ガイド100、第2ガイド300、第3ガイド400及び第4ガイド500/500’は、外科医が蛍光透視下でk-ワイヤを案内システムの背面から挿入して見ることができるように、放射線透過性物質(例えば、ポリマー又はアルミニウム)を含む。
【0043】
図8は、上述した案内システムを使用する例示的な方法のフローチャートである。
【0044】
ステップ800において、外科医は、第1ガイド100を骨60(例えば、第1中足骨)に固定し、第1ガイドの近位部110が骨の中心の長手方向軸と整列するようにする。
【0045】
ステップ802において、外科医は、切断ガイド200を第1ガイド100に取り付ける。取り付けは、ピン及び嵌合レセプタクル、ダブテール継手等を使用して行うことができる。
【0046】
ステップ804において、外科医は、骨切り術を行う。例えば、外科医は、切断ガイド200のスロット210にバーを挿入し、骨を横切ってバーを動かす。
【0047】
ステップ806において、外科医は、切断ガイド200を第1ガイド100から取り除く。
【0048】
ステップ808において、外科医は、第2ガイド300及び第3ガイド400を含むサブアセンブリを第1ガイドに取り付ける。例えば、第2ガイドがレールを有し、第1ガイドがチャネル170を有する場合、レールはチャネルに挿入され、チャネルの長さに沿って並進する。
【0049】
ステップ810において、外科医は、1つ以上の固定装置440(例えば、k-ワイヤ又はオリーブワイヤ)を第3ガイドのアパーチャ430を介して骨の遠位部60dに駆動する。アパーチャ430は、第3ガイド400の湾曲の中心から発する各々の半径に沿って固定装置440を整列することができる。
【0050】
ステップ812において、外科医は、骨の内側偏位を矯正するために、レール(図示せず)がチャネル170内で移動するように(第1ガイドに対して)第2ガイドを並進させる。
【0051】
ステップ814において、外科医は、第1ガイドに対して第2ガイドをロックする。
【0052】
ステップ816において、外科医は、第3ガイド400を第2ガイド300上で接線方向に摺動させ、第3ガイドが骨60の遠位部60dの中心軸周りを旋回して遠位部60dを回転させる。外科医は、蛍光透視鏡により骨と案内システムを見て、種子骨61、62が足底の位置にあれば、骨の回転偏位が矯正されたものと判断する。例えば、外科医が背側を見ている場合、矯正前は種子骨61、62が中足骨の外側に現れ、回転が矯正されると中足骨の背側から消える。
【0053】
ステップ818において、外科医は、第2ガイド300に対する第3ガイド400の回転をロックする。
【0054】
ステップ820において、外科医は、第4ガイド500又は500’を第1ガイド100に取り付ける。
【0055】
ステップ822において、外科医は、固定装置(例えば、k-ワイヤ550又はオリーブワイヤ)を第4ガイド500(又は第4ガイド500’のスロット524)のアパーチャ522を介して骨の近位部60pを通過して骨の遠位部60dに挿入する。
【0056】
ステップ824において、外科医は、第1ガイド100から第4ガイド500/500’を取り除く。例えば、第4ガイド500’が使用される場合、外科医は、第4ガイド500’を内側方向に摺動させることができ、ワイヤ550がスロット524を介して第4ガイドを出る。第4ガイド500’が取り除かれると、外科医は固定装置550周りにカニューレ状ドリルを挿入して近位部60p及び遠位部60dの開口を拡張し、ねじ又は釘を開口に挿入することができる。次いで、完全に治癒した後、固定装置550、第1ガイド100、第2ガイド300及び第3ガイド400を取り除くことができる。他の実施形態において、外科医は、固定装置550を取り除く前に、第1ガイド100、第2ガイド300及び第3ガイド400を取り除くことができる。
【0057】
本発明は、例示的な実施形態に関して記載されているが、これに限定されない。むしろ、添付の特許請求の範囲は、当業者によって行なわれ得る本発明の他の変形及び実施形態を含むように広く解釈されるべきである。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図8