(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-14
(45)【発行日】2022-09-26
(54)【発明の名称】適応型電圧変換システム
(51)【国際特許分類】
G05F 3/06 20060101AFI20220915BHJP
H01F 30/10 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
G05F3/06
H01F30/10 Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021053881
(22)【出願日】2021-03-26
(62)【分割の表示】P 2019557624の分割
【原出願日】2018-04-24
【審査請求日】2021-04-13
(32)【優先日】2017-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505056845
【氏名又は名称】アーベーベー・シュバイツ・アーゲー
【氏名又は名称原語表記】ABB Schweiz AG
【住所又は居所原語表記】Bruggerstrasse 66, 5400 Baden, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イオン シー. ラドゥ
(72)【発明者】
【氏名】パラグ ウパディアイ
(72)【発明者】
【氏名】サンディープ バラ
(72)【発明者】
【氏名】アルバート プリート
(72)【発明者】
【氏名】ニコラウス ザント
(72)【発明者】
【氏名】マシュー リー ヘンリクセン
【審査官】麻生 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0087548(US,A1)
【文献】特開2008-147545(JP,A)
【文献】特開平07-320957(JP,A)
【文献】特開平05-166637(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05F 3/06
H01F 30/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
100MVA超の定格電力を有しているモジュール式の電力変圧器において、
前記モジュール式の電力変圧器は、複数の変圧器ブロックを有しており、各変圧器ブロックは、
容器と、
第1のセットのブロック端子と、
第2のセットのブロック端子と、
前記容器内に設けられている複数の変圧器モジュールと、
を含んでおり、
各モジュールは、
第1のセットのモジュール端子と、
第2のセットのモジュール端子と、
前記第1のセットのモジュール端子に結合された少なくとも1つの一次巻線と、
前記第2のセットのモジュール端子に結合された少なくとも1つの二次巻線と、
変圧器コアと、
を含んでおり、
1つの変圧器ブロックにおける前記変圧器モジュールの前記一次巻線は、前記第1のセットのブロック端子間で一緒に結合されており、同一の変圧器ブロックにおける前記変圧器モジュールの前記二次巻線は、前記第2のセットのブロック端子間で一緒に結合されて
おり、
前記複数の変圧器アセンブリの入力が並列に結合されるとともに、前記複数の変圧器ブロックの出力が並列に結合され、
前記複数の変圧器ブロックのうちの1つ以上のブロックは、適応型インピーダンスまたは適応型電圧モジュールを含み、前記適応型インピーダンスまたは前記適応型電圧モジュールは、グラウンド端子に近接して配置される、
モジュール式の電力変圧器。
【請求項2】
各変圧器ブロックの重量は、40トン以下である、
請求項1記載のモジュール式の電力変圧器。
【請求項3】
1つの変圧器ブロックにおける前記変圧器モジュールの前記一次巻線は、並列に、直列に、またはそれらの組み合わせで、一緒に結合されている、
請求項1記載のモジュール式の電力変圧器。
【請求項4】
前記変圧器モジュールのうちの少なくとも1つは、第1の一次巻線、第2の一次巻線、第3の一次巻線、第4の一次巻線、第1の二次巻線、第2の二次巻線、第3の二次巻線および第4の二次巻線を含んでおり、前記第1の一次巻線対前記第2の一次巻線対前記第3の一次巻線対前記第4の一次巻線の電圧比は、5:1:1:5であり、前記第1の二次巻線対前記第2の二次巻線対前記第3の二次巻線対前記第4の二次巻線の電圧比は、5:1:1:5である、
請求項1記載のモジュール式の電力変圧器。
【請求項5】
前記変圧器モジュールのうちの少なくとも1つは、第1の一次巻線、第2の一次巻線、第3の一次巻線、第4の一次巻線、第1の二次巻線および第2の二次巻線を含んでおり、前記第1の一次巻線対前記第2の一次巻線対前記第3の一次巻線対前記第4の一次巻線の電圧比は、5:1:1:5であり、前記第1の二次巻線対前記第2の二次巻線の電圧比は、1:1である、
請求項1記載のモジュール式の電力変圧器。
【請求項6】
前記変圧器モジュールのうちの少なくとも1つは、第1の一次巻線、第2の一次巻線、第3の一次巻線、第4の一次巻線および前記二次巻線を含んでおり、前記第1の一次巻線対前記第2の一次巻線対前記第3の一次巻線対前記第4の一次巻線の電圧比は、5:1:1:5である、
請求項1記載のモジュール式の電力変圧器。
【請求項7】
前記変圧器モジュールのうちの少なくとも1つは、第1の一次巻線、第2の一次巻線、第3の一次巻線、第4の一次巻線、第5の一次巻線、第6の一次巻線、第1の二次巻線、第2の二次巻線、第3の二次巻線、第4の二次巻線、第5の二次巻線および第6の二次巻線を含んでおり、前記第1の一次巻線対前記第2の一次巻線対前記第3の一次巻線対前記第4の一次巻線対前記第5の一次巻線対前記第6の一次巻線の電圧比は、1:1:1:1:1:1であり、前記第1の二次巻線対前記第2の二次巻線対前記第3の二次巻線対前記第4の二次巻線対前記第5の二次巻線対前記第6の二次巻線の電圧比は、1:1:1:1:1:1である、
請求項1記載のモジュール式の電力変圧器。
【請求項8】
前記変圧器モジュールのうちの少なくとも1つは、第1の一次巻線、第2の一次巻線、第3の一次巻線、第4の一次巻線、第5の一次巻線、第6の一次巻線、第1の二次巻線および第2の二次巻線を含んでおり、前記第1の一次巻線対前記第2の一次巻線対前記第3の一次巻線対前記第4の一次巻線対前記第5の一次巻線対前記第6の一次巻線の電圧比は、1:1:1:1:1:1であり、前記第1の二次巻線対前記第2の二次巻線の電圧比は、1:1である、
請求項1記載のモジュール式の電力変圧器。
【請求項9】
前記変圧器モジュールのうちの少なくとも1つは、第1の一次巻線、第2の一次巻線、第3の一次巻線、第4の一次巻線、第5の一次巻線、第6の一次巻線および第1の二次巻線を含んでおり、前記第1の一次巻線対前記第2の一次巻線対前記第3の一次巻線対前記第4の一次巻線対前記第5の一次巻線対前記第6の一次巻線の電圧比は、1:1:1:1:1:1である、
請求項1記載のモジュール式の電力変圧器。
【請求項10】
前記複数のブロックのうちの1つ以上のブロックは、適応型インピーダンスまたは適応型電圧モジュールを含んでいる、
請求項1記載のモジュール式の電力変圧器。
【請求項11】
モジュール式の電力変圧器を組み立てるための方法において、
それぞれが一次巻線、二次巻線およびコアを含んでいる標準変圧器モジュールのセットから複数の変圧器モジュールを選択することと、
それぞれが40トン以下の重量を有している、選択された前記複数の変圧器モジュールのセットを結合することによって、複数の変圧器ブロックを組み立てることと、
各変圧器ブロックを遠隔地に別個に輸送することと、
前記遠隔地において前記各変圧器ブロックを、
前記複数の変圧器ブロックの入力が並列に結合されるとともに、前記複数の変圧器ブロックの出力が並列に結合されるようにAC電力源と負荷との間に結合することと、
を含
み、前記複数のブロックのうちの1つ以上のブロックは、適応型インピーダンスまたは適応型電圧モジュールを含み、
前記適応型インピーダンスまたは前記適応型電圧モジュールを、グラウンド端子に近接して配置することを含む、方法。
【請求項12】
前記標準変圧器モジュールのセットは、第1の一次巻線、第2の一次巻線、第3の一次巻線、第4の一次巻線、第1の二次巻線、第2の二次巻線、第3の二次巻線および第4の二次巻線を含む第1の標準変圧器モジュールを含んでおり、前記第1の一次巻線対前記第2の一次巻線対前記第3の一次巻線対前記第4の一次巻線の電圧比は、5:1:1:5であり、前記第1の二次巻線対前記第2の二次巻線対前記第3の二次巻線対前記第4の二次巻線の電圧比は、5:1:1:5である、
請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記標準変圧器モジュールのセットは、第1の一次巻線、第2の一次巻線、第3の一次巻線、第4の一次巻線、第1の二次巻線および第2の二次巻線を含む第2の標準変圧器モジュールを含んでおり、前記第1の一次巻線対前記第2の一次巻線対前記第3の一次巻線対前記第4の一次巻線の電圧比は、5:1:1:5であり、前記第1の二次巻線対前記第2の二次巻線の電圧比は、1:1である、
請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記標準変圧器モジュールのセットは、第1の一次巻線、第2の一次巻線、第3の一次巻線、第4の一次巻線および前記二次巻線を含む第2の標準変圧器モジュールを含んでおり、前記第1の一次巻線対前記第2の一次巻線対前記第3の一次巻線対前記第4の一次巻線の電圧比は、5:1:1:5である、
請求項12記載の方法。
【請求項15】
前記標準変圧器モジュールのセットは、第1の一次巻線、第2の一次巻線、第3の一次巻線、第4の一次巻線、第5の一次巻線、第6の一次巻線、第1の二次巻線、第2の二次巻線、第3の二次巻線、第4の二次巻線、第5の二次巻線および第6の二次巻線を含む第1の標準変圧器モジュールを含んでおり、前記第1の一次巻線対前記第2の一次巻線対前記第3の一次巻線対前記第4の一次巻線対前記第5の一次巻線対前記第6の一次巻線の電圧比は、1:1:1:1:1:1であり、前記第1の二次巻線対前記第2の二次巻線対前記第3の二次巻線対前記第4の二次巻線対前記第5の二次巻線対前記第6の二次巻線の電圧比は、1:1:1:1:1:1である、
請求項11記載の方法。
【請求項16】
前記標準変圧器モジュールのセットは、第1の一次巻線、第2の一次巻線、第3の一次巻線、第4の一次巻線、第5の一次巻線、第6の一次巻線、第1の二次巻線および第2の二次巻線を含む第2の標準変圧器モジュールを含んでおり、前記第1の一次巻線対前記第2の一次巻線対前記第3の一次巻線対前記第4の一次巻線対前記第5の一次巻線対前記第6の一次巻線の電圧比は、1:1:1:1:1:1であり、前記第1の二次巻線対前記第2の二次巻線の電圧比は、1:1である、
請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記標準変圧器モジュールのセットは、第1の一次巻線、第2の一次巻線、第3の一次巻線、第4の一次巻線、第5の一次巻線、第6の一次巻線および第1の二次巻線を含む第2の標準変圧器モジュールを含んでおり、前記第1の一次巻線対前記第2の一次巻線対前記第3の一次巻線対前記第4の一次巻線対前記第5の一次巻線対前記第6の一次巻線の電圧比は、1:1:1:1:1:1である、
請求項15記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許法第119条の下で、2017年4月24日に出願された、米国仮
特許出願第62/489,197号、発明の名称「Flexible Voltage
Transformation System」の優先権を主張するものであり、その開
示内容全体は、参照により本願に組み込まれる。
【0002】
技術分野
本開示は、モジュール式の電力変圧器に関し、特に、選択的に相互接続される、複数の
変圧器モジュールを含む電力変圧器に関する。
【背景技術】
【0003】
電力変圧器は、エネルギ生成点からエネルギ使用点にエネルギを伝送する際に使用され
る。生成されたエネルギは、高電圧で長距離にわたり変電所に伝送されることが多く、変
電所においては、変圧器が、伝送された電力の電圧レベルを個人消費のために低減する。
【0004】
電力変圧器は、一次巻線を含んでおり、この一次巻線は、可変の電流および電圧を受け
取り、変圧器コア(鉄心)において可変の磁束を生成する。可変の磁束は、二次巻線に電
圧を誘導し、この二次巻線は、出力電圧および出力電流を提供する。出力電圧および出力
電流の値は、一次巻線の巻数対二次巻線の巻数の比の結果として、入力電圧および入力電
流に直接的に関連している。
【0005】
電力変圧器の構造は、比較的簡単に思われる場合もあるが、中型および大型の電力変圧
器は、幾つかの欠点を有している。例えば、そのような電力変圧器に対して、費やされる
技術的労力は非継続的で大きなものである。極少数の「大量生産の」ユニット(多数のユ
ニットが同一のサイズ、形状および電気的な特性を有している)は、一般的に、特定の場
所専用の電圧、インピーダンス、およびコスト要件のもとで可能となっている。平均する
と、1.3個の変圧器ユニットしか、各特定用途に対して組み立てられていないので、結
果として、同一のタイプの複数の変圧器ユニットは必要とされていない。電力変圧器はま
た、比較的長い生産リードタイムも必要とする。典型的には、最初に顧客の要求を聞いて
から、変圧器を最終的に納入するまで5ヶ月超を要する。
【0006】
電力変圧器は、輸送も困難である。単一の変圧器でも、100トン以上になる可能性が
あるので、既存の道路を利用して輸送することは容易でないと考えられる。これらの困難
に起因して、適切な道路を選択し、また配送時間(交通流に及ぼされる悪影響を低減する
ために多くは夜間である)を選択するために、特別な輸送の手配が必要になる。変圧器に
障害が発生した場合は、その障害は、単一障害点として経験される。電力変圧器に何らか
の問題が生じた場合、変圧器ユニット全体がオフラインになり、これはエネルギが供給さ
れるシステム全体に影響を及ぼす。これらの障害は、「クリティカル」とみなされる特定
の配電所において特に問題となる。したがって、これらの欠陥を克服する電力変圧器が必
要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
例示的な実施形態は、モジュール式の電力変圧器のための固有のシステム、方法、技術
および装置を含む。本開示のさらなる実施形態、形状、目的、特徴、利点、態様および利
益は、以下の説明および図面から明らかになるであろう。
【0008】
1つの実施形態では、第1の複数の変圧器モジュールアセンブリを含む第1の変圧器ブ
ロックを含んでいるマトリクス電力変圧器システムが提供され、各第1の変圧器モジュー
ルアセンブリは、入力および出力を有している一次巻線と、入力および出力を有している
二次巻線と、を含んでいる。第2の変圧器ブロックは、第2の複数の変圧器モジュールア
センブリを含んでいる。各第2の複数の変圧器モジュールアセンブリは、入力および出力
を有している一次巻線と、入力および出力を有している二次巻線と、を含んでおり、第1
の複数の変圧器モジュールアセンブリの一次巻線は、第2の複数の変圧器モジュールアセ
ンブリの一次巻線に結合されている。各第1の変圧器モジュールアセンブリの二次巻線は
、第1の複数の変圧器モジュールアセンブリのうちの別の変圧器モジュールアセンブリの
二次巻線に結合されており、各第2の複数の変圧器モジュールアセンブリの二次巻線は、
第2の複数の変圧器モジュールアセンブリのうちの別の変圧器モジュールアセンブリの二
次巻線に結合されている。
【0009】
別の実施形態では、第1の複数の変圧器モジュールアセンブリを含む第1の変圧器ブロ
ックを含んでいるマトリクス電力変圧器システムが提供され、各第1の変圧器モジュール
アセンブリは、入力および出力を有している一次巻線と、入力および出力を有している二
次巻線と、を含んでいる。第2の変圧器ブロックは、第2の複数の変圧器モジュールアセ
ンブリを含んでおり、第2の複数のモジュールアセンブリのうちの少なくとも1つは、オ
ンライン時またはオフライン時に調整可能であるタップ切換器を備えた調整巻線を使用す
る、選択可能または調整可能なインピーダンスを含んでいる。
【0010】
さらに別の実施形態では、1つ以上の変圧器ブロックを含んでいるマトリクス電力変圧
器システムが提供され、各変圧器ブロックは、複数の変圧器モジュールアセンブリを含ん
でいる。各変圧器モジュールアセンブリは、一次巻線および二次巻線を含んでおり、各変
圧器モジュールアセンブリの一次巻線は、複数の変圧器モジュールアセンブリのうちの別
の変圧器モジュールアセンブリの一次巻線に結合されている。各変圧器モジュールアセン
ブリの二次巻線は、第1の複数の変圧器モジュールアセンブリのうちの別の変圧器モジュ
ールの二次巻線に結合されている。複数の変圧器モジュールアセンブリのうちの少なくと
も1つは、オンライン時またはオフライン時に調整可能であるタップ切換器を備えた調整
巻線を使用する、選択可能または調整可能なインピーダンスを含んでいる。
【0011】
複数の変圧器ブロックを含んでいるマトリクス電力変圧器システムは、同一のブロック
を複数の電圧、電力レベルおよびインピーダンスにおいて使用することができるので、費
やされる非継続的な技術的労力を低減する。反復可能なブロックを有することによって、
それらのブロックをベンダまたは顧客によって、要件が異なる各場所において使用するた
めのインベントリとして、例えば有用なものとして製造および保持することができるので
、生産リードタイムが短縮される。各ブロックを、特別な手配(例えば、貨車)を行うこ
となく、道路を利用して輸送することができるので、輸送コストも低減される。さらに、
並列に接続されているブロックをオフラインで取り出して交換することを一度に行えるの
で、単一障害点もなくなる。
【0012】
マトリクス電力変圧器システムによって提供される性能向上に加えて、変圧器の設計者
や製造業者が直面するシステム要件が緩和される。例えば、熱管理要件は、所望の構成に
おいて変圧器ブロックを併用できることによる、熱源の空間的な展開によって緩和される
。同様に、短絡の影響力が分散されることから、機械的な要件も緩和される。したがって
、標準コンポーネントおよびサブコンポーネントの大量生産によって、コスト削減が達成
される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】マトリクス電力変圧器を含んでいる、例示的な電圧変換システムの概略図である。
【
図2A】マトリクス電力変圧器のための例示的な電力変圧器モジュールの概略図である。
【
図2B】マトリクス電力変圧器のための例示的な電力変圧器モジュールの概略図である。
【
図2C】マトリクス電力変圧器のための例示的な電力変圧器モジュールの概略図である。
【
図2D】マトリクス電力変圧器のための例示的な電力変圧器モジュールの概略図である。
【
図3A】複数の変圧器モジュールを有している例示的な電力変圧器ブロックの概略図である。
【
図3B】
図3Aの実施形態における変圧器電圧のグラフである。
【
図4】複数の変圧器モジュールを含んでいる例示的な電力変圧器ブロックの概略図である。
【
図5】別個の調整巻線ならびに低電圧巻線の上部の入口および下部の出口を備えた、選択可能な電圧またはインピーダンスを有している、例示的な変圧器モジュールの概略図である。
【
図6】別個の調整巻線ならびに低電圧巻線の上部の入口および出口を備えた、選択可能な電圧またはインピーダンスを有している、例示的な変圧器モジュールの概略図である。
【
図7】同一の巻線において選択可能な電圧またはインピーダンスを有している、変圧器モジュールの概略図である。
【
図8A】例示的な変圧器モジュールに含まれる例示的なコアの概略図である。
【
図8B】例示的な変圧器モジュールに含まれる例示的なコアの概略図である。
【
図8C】例示的な変圧器モジュールに含まれる例示的なコアの概略図である。
【
図8D】例示的な変圧器モジュールに含まれる例示的なコアの概略図である。
【
図8E】例示的な変圧器モジュールに含まれる例示的なコアの概略図である。
【
図9A】例示的な6つの巻線変圧器モジュールの概略図である。
【
図9B】例示的な6つの巻線変圧器モジュールの概略図である。
【
図9C】例示的な6つの巻線変圧器モジュールの概略図である。
【
図10A】例示的な1/4変圧器モジュールの概略図である。
【
図11A】例示的な2/4変圧器モジュールの概略図である。
【
図12A】例示的な4/4変圧器モジュールの概略図である。
【
図13】高電圧巻線間の種々の接続および低電圧巻線間の種々の接続を有している、例示的な変圧器モジュールの複数の等価回路である。
【
図14A】例示的な4/4変圧器モジュールから成る例示的なブロックの等価回路である。
【
図14B】例示的な1/4変圧器モジュールから成る例示的なブロックの等価回路である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示の非限定的な例示的な各実施形態、それら各実施形態の形成および使用の方式お
よびプロセス、ならびにそれら各実施形態の実践、形成および使用を可能にするための方
式およびプロセスを、明瞭、簡潔かつ正確に説明することを目的として、以下では、図面
に図示した各実施形態を含めて、特定の例示的な各実施形態を参照し、専用の語句を使用
して、それらの各実施形態を説明する。さらに、産業システムは、多数の異なるタイプお
よび種類の機器、デバイス、コンポーネント、および設備を含むが、特に明記しない限り
、それらの用語は、本明細書において同義で用いられている。それにもかかわらず、それ
によって本開示の範囲が限定されるものではなく、本開示は、本開示の利益を当業者にも
たらすような、例示的な各実施形態の変更、修正、およびさらなる用途も含み、またそれ
を保護するものであると理解されたい。
【0015】
図1は、複数の電力変圧器ブロックアセンブリ12、またはブロック12を含んでいる
、電力マトリクス変圧器システムまたはアセンブリ10の概略図を示す。各ブロックアセ
ンブリ12は、電力入力線16を介して、エネルギ源14に動作可能に接続されるように
構成されている。各ブロック12は、さらに、電力出力線20を介して、負荷18に動作
可能に接続されるように構成されている。各変圧器ブロック12は、1つ以上の変圧器モ
ジュールアセンブリ23、またはモジュール23を含んでいる。各モジュール23の他に
、関連するブロック12のインピーダンスを調整し、別のブロック12のインピーダンス
整合が行われるように構成された、適応型インピーダンスモジュール25が含まれている
。図示された実施形態は、各ブロック12が同数のモジュール23を含んでいるものとし
て示されているが、別の実施形態では、各ブロック12が異なる数のモジュール23を含
んでいる。さらに、各ブロック12は、単一の適応型インピーダンスモジュール25を含
むものとして示されているが、別の実施形態では、各ブロック12が、単一の適応型イン
ピーダンスモジュールを含んでいてもいなくてもよい。さらに別の実施形態では、複数あ
るブロック12のうちの1つだけが、適応型インピーダンスモジュールを含んでいる。
【0016】
少なくとも1つの実施形態では、各ブロック12は、選択可能な電圧レベル、巻数比、
およびインピーダンスを有する電力変圧器としての機能に選択的に相互接続される、複数
の標準変圧器モジュールを含んでいる、輸送可能なブロックとなるように構成されている
。各ブロックは、製造施設において組み立てることができ、また変電所などの遠隔地に別
個に輸送でき、またAC電源と負荷との間において、1つのモジュール式の電力変圧器を
形成するように一緒に結合される。それらの特徴は、特に100メガボルトアンペア(M
VA)超の総定格電力および100キロボルト(kV)を上回るハイサイド電圧を有して
いる、中型および大型の電力変圧器を実現するように構成されている。中型または大型の
電力変圧器を考察するが、他のサイズの変圧器も考えられる。
【0017】
複数の個別の変圧器ブロック12を提供することによって、所望であれば、各ブロック
12を別個に輸送することができるので、完全な変圧器は、より容易に配送され、また最
終目的地において組み立てられる。種々の実施形態において、電力変圧器システムは、1
つ以上の電力輸送可能ブロックを有しており、この場合、各ブロックは、標準的な輸送コ
ンテナの寸法に近いサイズで、約40トン未満の重量を有している。輸送コンテナは、種
々のサイズのものであるが、しかしながら、容易に利用可能な輸送コンテナは、20フィ
ートまたは40フィートの長さ、8フィートの幅、および8フィート6インチの高さであ
ると考えられる。他の寸法も考えられる。
【0018】
個々のブロック12それぞれは、電力変圧器の機能を実施し、また容器(外箱)、高電
圧(HV)端子、低電圧(LV)端子、ブシュ、熱を放散させるための機構、および電力
変圧器において使用される他のデバイスおよび機器を含んでいる。
【0019】
1つの例示的な実施形態では、各ブロック12が、より高い定格電力を達成するために
、並列に動作可能に接続されている。特に、各ブロックのHV端子が並列に接続されてお
り、各ブロックのLV端子が並列に接続されている。
【0020】
各ブロックは同一のコンポーネントを含むように構成可能であるので、第1のタイプの
設計は、所定数のブロックでもって達成され、他方、第2のタイプの設計は、同一のタイ
プのブロックであるが、異なる数のブロックまたは異なる構成で達成される。したがって
、費やされる非継続的で大きな技術的な労力ならびに長い生産および組み立てリードタイ
ムに関連する問題は低減される。
【0021】
図1に示されるように、各ブロック12は、2つ以上の標準変圧器モジュール23を含
んでいる。各モジュール23は、マトリクス変圧器システム10が最終目的地において構
築される前にオフラインで相互接続される、同一のコア、同一の一次巻線、および同一の
二次巻線を含んでいる。最終的な設置の前に、個々のモジュール23それぞれの構成を決
定することによって、各変圧器ブロック12は、最終的な変圧器システムが適用される用
途により適したものとなる。
【0022】
図2Aから
図2Dは、種々の実施形態において、同一のセットの変圧器モジュールを異
なる電圧レベルおよび巻数比で動作するように構成し、構成に依存する最終的な電力変圧
器システムを達成することができることを示すために、種々の構成を有している変圧器モ
ジュール23の概略的なブロック図を示す。
【0023】
図2Aの実施形態では、一次巻線30は、直列な3つの巻線W1の第1の一次巻線32
と、直列な3つの巻線W1の第2の一次巻線34と、を含んでいる。第1の巻線および第
2の巻線は、並列に接続されている。この一次巻線の構成は、3つの巻線が直列であり、
2つの巻線が並列である3S-2Pモジュールと呼ばれる。二次巻線36は、並列な3つ
の巻線W2の第1の二次巻線38と、並列な3つの巻線W2の第2の二次巻線40と、を
含んでいる。第1の二次巻線38および第2の二次巻線40は、直列に結合されている。
この二次巻線は、3つの巻線が並列であり、2つの巻線が直列である3P-2Sと呼ばれ
る。実効巻数比は、3N
1/2N
2に等しい。N
1は、一次巻線W1の巻数であり、N
2
は、二次巻線W2の巻数である。
【0024】
図2Bの実施形態では、一次巻線42は、3S-2Pとして構成されている。二次巻線
は、2S-3Pとして構成されている。この実施形態では、電圧および巻数比は、
図2A
と同一である。しかしながら、実現形態は僅かに異なる。二次巻線は、並列に接続された
3つのグループの巻線を含んでいる。各グループは、直列に接続された2つの巻線を含ん
でいる。
【0025】
図2Cでは、一次巻線46は、6Sとして構成されている。二次巻線48は、3S-2
Pとして構成されている。この実施形態では、実効巻数比は、6N
1/3N
2に等しい。
【0026】
図2Dは、2S-3Pとして構成されている一次巻線50を有しているモジュール23
の付加的な実施形態を示す。二次巻線52は、6Pとして構成されている。この実施形態
では、実効巻数比は、
図2Cと同一の2N
1/N
2である。総電力および実効巻数比は、
図2Cと同一であるが、しかしながら、一次電圧および二次電圧は、半減されている。
【0027】
図2Aから
図2Dは、いくつかの構成を有している変圧器モジュール23の概略図の例
を示している。一次巻線の一般的な形態は、並列に接続されたn個のグループを含むmS
-nPモジュールとすることができる。各グループは、直列に接続されたm個の巻線W1
を含んでいる。二次巻線の一般的な形態は、並列に接続されたk個のグループを含むjS
-kPモジュールとすることができる。各グループは、直列に接続されたj個の巻線W2
を含んでいる。この一般的な構成に関して、m+n=k+jであり、巻数比はmN
1/j
N
2である。N
1は、一次巻線W1の巻数であり、N
2は、二次巻線W2の巻数である。
【0028】
図3Aは、複数の変圧器モジュールを有している変圧器ブロックを示す
図2Bの一実施
形態の概略図である。
図3Aに示されているように、一次巻線42は、交流電流を供給す
る電力源54に動作可能に接続されるように構成されている。二次巻線44は、負荷56
に動作可能に接続されるように構成されている。
図2Bのモジュール23の実効巻数比は
、直列の二次巻線の総数で除算された、直列の一次巻線の総巻数として決定される。
【0029】
図3Bは、
図3Aの実施形態における変圧器の電圧の電圧プロットである。
図3Bの下
のグラフ57から見て取れるように、各変圧器X11、X12、X21、X22、X31
およびX32に関する個々の変圧器電圧は、入力および出力の両方において実質的に同一
であり、この場合、入力電圧58は出力電圧60と実質的に同一である。
【0030】
図3Bの上のグラフ61において、入力電圧62は、+3および-3の正規化された最
大値を有するものとして識別される。しかしながら、正規化された出力電圧64は、+2
および-2の正規化された最大値を有するものとして識別される。実効巻数比は、入力電
圧62および出力電圧64それぞれの最大値によって確認される、3/2の電圧比を提供
する。
【0031】
図4は、複数のモジュール67を含んでいる完全な電力変圧器ブロック66の一実施形
態を示す。各モジュール67は、
図2に示したように、入力巻線に結合された入力線と、
出力巻線に結合された出力線と、を含んでいる。個々のモジュール67についての各入力
線は、単相電圧および電流信号を搬送する入力68に動作可能に接続されている。入力6
8は、変圧器ブロック66についての入力線である。モジュール67の各入力巻線に対し
て、グラウンド線70が設けられている。各モジュール67の各出力線は、電力変圧器6
6の出力72に動作可能に接続されている。個々のモジュール67それぞれの各出力線は
、グラウンド線74に動作可能に接続されている。別の実施形態では、図示された各線は
、並列な3つの巻線を含んでおり、1つの巻線が3つの位相のうちの1つに対して使用さ
れる。他の実施形態では、他のタイプの位相変圧器が使用される。
【0032】
電力変圧器ブロック66は、それぞれが一相モジュールである単相モジュール67を6
0個含んでいる単相変圧器として示されている。他の実施形態では、変圧器ブロックは、
三相モジュールを60個含んでいる三相変圧器である。他の位相変圧器を含んでいる他の
マトリクス変圧器も考えられる。図示の実施形態では、各単相モジュール67は、入力線
68およびグラウンド70に動作可能に接続されている2つの端子を有している単一の一
次巻線を含んでいる。各単相モジュール67は、出力線72およびグラウンド線74に動
作可能に接続されている2つの端子を有している二次巻線を含んでいる。
【0033】
各モジュール67の各一次巻線について、入力線68は、モジュールの第1の列76内
の6つのモジュール67それぞれの一次巻線の第1の端子に接続されている。列76の6
つのモジュール67それぞれの一次巻線の他の端子は、第2の列78の6つのモジュール
67のうちの対応する1つの一次巻線の第1の端子に結合されている。接続のこのパター
ンは、それ自体、モジュールの1つの列から、モジュールのそれに隣接する列まで繰り返
される。モジュールの最後から2番目の列80がモジュールの最後の列82に結合される
と、列82におけるモジュール67の各一次巻線の第2の端子が、一緒にグラウンド70
に接続される。
【0034】
二次巻線については、二次巻線が水平方向ではなく、図示されているように垂直方向に
結合されている点を除いて、同一の概念が適用される。例えば、各モジュール67の各二
次入力巻線は、第1の端子および第2の端子を含んでいる。モジュールの第1の行84に
おける各モジュールの各第1の端子は、モジュールの第2の行86における、隣接して設
けられているモジュールの第2の端子に結合されている。モジュールの第1の行84のす
べての第2の端子は、グラウンド74に接続されている。モジュールの最後の行88にお
いては、各第1の端子は、出力72に接続されている。
【0035】
1つの構成では、
図4の実施形態は、13.2kV-13.2kV(ph)モジュール
を使用して、wye-wye230kV-138kV(LL)変圧器マトリクスブロック
を実現するために使用される。入力線68は、230kVのライン電圧、132kVの相
電圧を受け取る。出力線では、138kVのライン電圧、80kVの相電圧が提供される
。
【0036】
図4の実施形態は、所定の入力電圧を受け取り、所定の出力電圧を提供するものとして
示された、6行×10列の電力マトリクス変圧器ブロックに関するが、本開示は、6×1
0のマトリクス変圧器ブロックに限定されるものではなく、行および列の異なる組み合わ
せを有している他のマトリクス変圧器ブロックも考えられる。種々の実施形態において、
モジュール間の相互接続は、直列かつ/または並列に巻線を接続することによって達成さ
れる。
【0037】
図5は、複数の変圧器モジュールを有している電力マトリクス変圧器の種々の実施形態
において使用するための、調整可能な電圧またはインピーダンス変圧器モジュール90の
一実施形態を示す。変圧器モジュール90は、オンライン時またはオフライン時に調整可
能であるタップ切換器を備えた調整巻線を使用する、選択可能または調整可能なインピー
ダンスを含むように構成されている。電力マトリクス変圧器の一実施形態では、例えば、
すべてのモジュールは、モジュールのうちの1つを除いて、
図2Aから
図2Dに示されて
いるような標準変圧器モジュールである。標準モジュールは、製造後は変更不可能または
調整不可能である固定のパターンで電気的に結合された所定数の一次巻線および二次巻線
を含んでいる。標準モジュールを含んでいる、電力マトリクス変圧器の実施形態における
モジュールのうちの少なくとも1つは、
図5、
図6および
図7に示されているような調整
可能な変圧器モジュールである。他のタイプおよび構成の調整可能な電圧または調整可能
なインピーダンス変圧器モジュールも考えられる。
【0038】
図5の単一の変圧器モジュール90は、コア92、調整巻線A、低電圧巻線Bおよび高
電圧巻線C 98を含んでいる。調整巻線Aは、顧客のステップ要求に応じて、複数の層
100を有しており、この図では8つの層を有している。参照番号1から9が付されてい
るタップに接続されている層の入口および出口は、電圧ステップを与える。さらに、調整
巻線Aは、タップ1に接続された第1の層104およびタップ21に接続された最後の層
102を有している。低電圧巻線Bは、単層ヘリカル巻線であるが、しかしながら二重層
のヘリカル巻線、層巻線またはディスク巻線であってもよい。高電圧巻線Cは、中心入口
99と、タップ10および20に接続された出口と、を備えたディスク巻線である。負荷
時タップ切換器(OLTC:On-Load Tap Changer)を使用して、ま
たタップ20~21または22を接続することで、変圧器モジュール90は、最大電圧位
置、中間電圧位置、および最小電圧位置を得る。
【0039】
図5において、Pは巻線の正極性であり、Nは巻線の負極性である。この単一の変圧器
モジュールは、低電圧側96および高電圧側94の2つの側を有している。グラウンド1
08および低電圧の出力110は、低電圧側96にある。グラウンド106および高電圧
の出力99は、高電圧側94にある。
【0040】
図6は、別個の調整巻線Aを備えた、オフライン調整可能な電圧またはオフライン調整
可能なインピーダンスの単一の変圧器モジュール111の別の実施形態を示す。
図6の変
圧器モジュール111は、コア124、調整巻線A 115、二層の低電圧巻線(層B
120および層C 122)、および高電圧巻線D 126を含んでいる。調整巻線Aは
、顧客のステップ要求に応じて、複数の層を有しており、この図では4つの層を有してい
る。参照番号2から6が付されているタップに接続されている層の入口および出口は、最
小電圧位置、中間電圧位置、および最大電圧位置を与える。低電圧巻線は、二重層のヘリ
カル巻線である。高電圧巻線Dは、中心入口128と、調整巻線Aの第1の層の始端およ
びタップ2に接続された出口と、を備えたディスク巻線である。非通電時タップ切換器(
DETC:De-Energized Tap Changer)を使用して、またタッ
プ1からタップ2~6を接続することで、変圧器モジュール111は、最小電圧位置、中
間電圧位置、および最大電圧位置を得る。
【0041】
図6において、POSは巻線の正極性であり、NEGは巻線の負極性である。単一の変
圧器モジュール111は、低電圧側114および高電圧側112の2つの側を有している
。グラウンド130および低電圧の出力132は、低電圧側114にある。タップ1に接
続されたグラウンドおよび高電圧の出力128は、高電圧側112にある。
【0042】
図6は、上部におけるグラウンド130および上部における出力132を有している二
重層の低電圧巻線114を示す。低電圧巻線は、上部にグラウンドおよび出力を備えた、
軸方向に分割されたヘリカル巻線であってもよい。
【0043】
図7は、同一の巻線における調整巻線および高電圧巻線を備えた、オフライン調整可能
な電圧またはオフライン調整可能なインピーダンスの単一の変圧器モジュール140のさ
らに別の実施形態を示す。
図7に示されているように、モジュール140は、コア143
、二層の低電圧巻線(層A 144および層B 146)、および高電圧巻線C 148
を含んでいる。高電圧巻線は、高電圧電流に依存する、1つまたは2つのDETCに接続
されているタップ150を含む調整領域を有している。低電圧巻線は、二重層のヘリカル
巻線である。高電圧巻線C 148は、中心入口154および巻線出口152を備えたデ
ィスク巻線である。1つまたは2つのDETCを使用して、変圧器モジュール140は、
最大電圧位置、中間電圧位置、および最小電圧位置を得る。
図7において、POSは巻線
の正極性であり、NEGは巻線の負極性である。この単一の変圧器モジュールは、低電圧
側142および高電圧側141の2つの側を有している。グラウンド156および低電圧
の出力158は、低電圧側142にある。グラウンド152および高電圧の出力154は
、高電圧側141にある。
【0044】
この実施形態では、低電圧巻線は、上部におけるグラウンド156および上部における
出力158を有している二重層の巻線である。低電圧巻線は、上部にグラウンドおよび出
力を備えた、軸方向に分割されたヘリカル巻線であってもよい。高電圧を調整するために
、また高電圧電流に依存して、この実施形態は、1つまたは2つのDETCを使用する。
【0045】
図5、
図6および
図7は、モジュール67の幾つかの例を示す。調整巻線、低電圧巻線
および高電圧巻線は、上部および/または中心に入口を備えた、単一または複数の巻線の
、層巻線、ヘリカル巻線またはディスク巻線であってよい。
【0046】
マトリクス電力変圧器の種々の実施形態では、各モジュール(すなわち、各モジュール
67)は、
図5、
図6および
図7の調整可能な電圧またはインピーダンスモジュールのう
ちの1つと交換可能である。標準変圧器モジュールのうちの少なくとも1つは、(オフラ
インまたはオンライン時の)タップ切換器を備えた調整巻線を使用する、選択可能または
調整可能なインピーダンスのための機能を有しているモジュールに交換されている。
【0047】
調整可能な電圧またはインピーダンスモジュールが「開かれた巻線」を有している限り
、すなわち各位相がモジュール内で交差接続されていない限り、調整可能な電圧またはイ
ンピーダンスモジュールの選択された位置は、マトリクス変圧器の列または行のうちの一
方における任意の位置にある。しかしながら、種々の実施形態では、調整可能な電圧また
はインピーダンスモジュールの位置は、完全な物理的なマトリクス変圧器におけるモジュ
ールのタップまたは他のコネクタへの物理的なアクセスに応じて決定される。多くの実施
形態では、位置は、グラウンド端子の物理的近くになるように決定される。
図5、
図6お
よび
図7に示されているように高電圧巻線が調整された巻線である、これらの実施形態で
は、列82に位置しているモジュールのうちの任意の1つが、調整可能な電圧またはイン
ピーダンスモジュールのうちの1つに交換可能である。種々の実施形態では、列82のモ
ジュール67のうちの1つ以上が、調整可能な電圧またはインピーダンスモジュールのう
ちの1つと交換可能である。
【0048】
さらに別の実施形態では、低電圧巻線は、調整可能な電圧またはインピーダンスモジュ
ールの調整された巻線である。これらの実施形態では、行84のモジュール67のうちの
1つ以上が、調整可能な電圧またはインピーダンスモジュールのうちの1つと交換可能で
ある。これらの各実施形態では、第1の行84および最後の列82における各モジュール
が、調整可能なモジュールに交換されている。
【0049】
図8Aから
図8Cを参照すると、例示的な単相変圧器モジュールに含まれる、複数の考
えられる変圧器コアが示されている。各コアは、積層型のコアとして、または巻きコアと
して構成することができる。示されているように、変圧器コアは、コア型またはシェル型
の構成であってよい。
図8Aは、上部ヨーク811、下部ヨーク813、および2つのリ
ム815を含んでいるD型コア810を示す。
図8Bは、上部ヨーク821、下部ヨーク
823、および3つのリム825を含んでいるEY型コア820を示す。
図8Cは、上部
ヨーク831、下部ヨーク833、および4つのリム835を含んでいるDY型コア83
0を示す。
【0050】
図8Dから
図8Eを参照すると、例示的な三相変圧器モジュールに組み込まれる、複数
のコアが示されている。
図8Dは、上部ヨーク841、下部ヨーク843、および3つの
リム845を含んでいるT型コア840を示す。
図8Eは、上部ヨーク851、下部ヨー
ク853、および5つのリム855を含んでいるTY型コア850を示す。
【0051】
図9Aから
図14Bを参照すると、変圧器モジュールが、X/Y変圧器モジュールとし
て表されており、ここで、Xは変圧器モジュールの一次巻線の数であり、Yは変圧器モジ
ュールの二次巻線の数である。示されているように、高電圧(HV)巻線は一次巻線であ
り、低電圧(LV)巻線は二次巻線である。他の実施形態では、HV巻線は二次巻線であ
ってよく、LV巻線は一次巻線であってよい。各変圧器モジュールの一次巻線は、並列に
、直列に、または並列接続および直列接続の組み合わせで、一緒に結合されるように構成
されている。各変圧器モジュールの二次巻線も、並列に、直列に、または並列接続および
直列接続の組み合わせで、一緒に結合されるように構成されている。
【0052】
図9Aを参照すると、共通のコア901、6つのHV巻線HV1~HV6、および6つ
のLV巻線LV1~LV6を含んでいる、例示的な6/6変圧器モジュール900が示さ
れている。各巻線は、2つの巻線出力端子を含んでおり、HV巻線HV1は、出力端子H
1aおよびH1bを含んでおり、HV巻線HV2は、出力端子H2aおよびH2bを含ん
でおり、HV巻線HV3は、出力端子H3aおよびH3bを含んでおり、HV巻線HV4
は、出力端子H4aおよびH4bを含んでおり、HV巻線HV5は、出力端子H5aおよ
びH5bを含んでおり、HV巻線HV6は、出力端子H6aおよびH6bを含んでおり、
LV巻線LV1は、出力端子L1aおよびL1bを含んでおり、LV巻線LV2は、出力
端子L2aおよびL2bを含んでおり、LV巻線LV3は、出力端子L3aおよびL3b
を含んでおり、LV巻線LV4は、出力端子L4aおよびL4bを含んでおり、LV巻線
LV5は、出力端子L5aおよびL5bを含んでおり、またLV巻線LV6は、出力端子
L6aおよびL6bを含んでいる。
【0053】
特定の実施形態では、巻線の第1の端子は、巻線の第1の端部に結合されており、巻線
の第2の端子は、巻線の第2の端部に結合されている。特定の実施形態では、巻線の第1
の端子は、巻線の中心に結合されており、第2の端子は、巻線の両端部に結合されている
。
【0054】
特定の実施形態では、HV巻線HV1~HV6は、HV巻線HV1~HV6の電圧比が
1:1:1:1:1:1であるように構成されている。電圧比は、LV巻線のセットまた
はHV巻線のセットに関する各巻線の両端間の電圧の比である。電圧比は、LV巻線また
はHV巻線のセットに関する巻数比に比例する。例えば、変圧器モジュール900が、H
V巻線において138kVの電圧を含むAC電力を受け取り、かつHV巻線が直列に結合
されている場合、HV巻線に関する巻数比および電圧比は1:1:1:1:1:1である
ので、各HV巻線の両端間の電圧は23kVである。同様に、LV巻線LV1~LV6は
、LV巻線LV1~LV6の電圧比が1:1:1:1:1:1であるように構成されてい
る。特定の実施形態では、直列に結合されたHV巻線対直列に結合されたLV巻線の実効
電圧比は、1:1でなくてもよい。変圧器モジュール900の前述の特徴のうちのいずれ
かまたはすべてが、本明細書に開示された他の変圧器モジュールに設けられていてもよい
ことは明らかである。
【0055】
図9Bを参照すると、共通のコア911、2つのHV巻線HV1~HV2、および6つ
のLV巻線LV1~LV6を含んでいる、例示的な2/6変圧器モジュール910が示さ
れている。各巻線は、2つの巻線出力端子を含んでおり、HV巻線HV1は、出力端子H
1aおよびH1bを含んでおり、HV巻線HV2は、出力端子H2aおよびH2bを含ん
でおり、LV巻線LV1は、出力端子L1aおよびL1bを含んでおり、LV巻線LV2
は、出力端子L2aおよびL2bを含んでおり、LV巻線LV3は、出力端子L3aおよ
びL3bを含んでおり、LV巻線LV4は、出力端子L4aおよびL4bを含んでおり、
LV巻線LV5は、出力端子L5aおよびL5bを含んでおり、またLV巻線LV6は、
出力端子L6aおよびL6bを含んでいる。
【0056】
特定の実施形態では、HV巻線HV1~HV2は、HV巻線HV1~HV2の電圧比が
1:1であるように構成されており、LV巻線LV1~LV6は、LV巻線LV1~LV
6の電圧比が1:1:1:1:1:1であるように構成されている。さらに、直列に結合
されたHV巻線対直列に結合されたLV巻線の電圧比は1:1である。例えば、直列に結
合されたHV巻線HV1およびHV2が138kVの電圧を含むAC電力を受け取る場合
、各HV巻線の両端間の電圧は69kVであり、直列に結合された各LV巻線の両端間の
電圧は23kVである。
【0057】
図9Cを参照すると、共通のコア921、1つのHV巻線HV1、および6つのLV巻
線LV1~LV6を含んでいる、例示的な1/6変圧器モジュール920が示されている
。各巻線は、2つの巻線出力端子を含んでおり、HV巻線HV1は、出力端子H1aおよ
びH1bを含んでおり、LV巻線LV1は、出力端子L1aおよびL1bを含んでおり、
LV巻線LV2は、出力端子L2aおよびL2bを含んでおり、LV巻線LV3は、出力
端子L3aおよびL3bを含んでおり、LV巻線LV4は、出力端子L4aおよびL4b
を含んでおり、LV巻線LV5は、出力端子L5aおよびL5bを含んでおり、またLV
巻線LV6は、出力端子L6aおよびL6bを含んでいる。
【0058】
特定の実施形態では、LV巻線LV1~LV6は、LV巻線LV1~LV6の電圧比が
1:1:1:1:1:1であるように構成されており、HV巻線HV1対直列に結合され
たLV巻線の電圧比が1:1である。例えば、HV巻線HV1が138kVの電圧を有す
るAC電力を受け取る場合、各LV巻線の両端間の電圧は23kVである。
【0059】
図10Aを参照すると、共通のコア1001、1つのHV巻線HV1、および4つのL
V巻線LV1~LV4を含んでいる、例示的な1/4変圧器モジュール1000が示され
ている。各巻線は、2つの巻線出力端子を含んでおり、HV巻線HV1は、出力端子H1
aおよびH1bを含んでおり、LV巻線LV1は、出力端子L1aおよびL1bを含んで
おり、LV巻線LV2は、出力端子L2aおよびL2bを含んでおり、LV巻線LV3は
、出力端子L3aおよびL3bを含んでおり、またLV巻線LV4は、出力端子L4aお
よびL4bを含んでいる。
【0060】
LV巻線LV1~LV4は、LV巻線LV1~LV4の電圧比が5:1:1:5である
ように構成されており、HV巻線HV1は、HV1対直列に結合されたLV巻線の電圧比
が5:3であるように構成されている。例えば、HV巻線HV1が138kVの電圧を有
するAC電力を受け取る場合、LV巻線LV1の両端間の電圧は57.5kVであり、L
V巻線LV2の両端間の電圧は11.5kVであり、LV巻線LV3の両端間の電圧は1
1.5kVであり、LV巻線LV4の両端間の電圧は57.5kVである。
【0061】
図10Bを参照すると、
図10Aにおける変圧器モジュール1000のような1/4変
圧器モジュールを表す等価回路1010が示されている。回路1010は、LV巻線出力
端子L1a~b、L2a~b、L3a~b、L4a~b、およびHV巻線出力端子H1a
~bおよびH2a~bを含んでいる。
【0062】
図11Aを参照すると、共通のコア1101、2つのHV巻線HV1~HV2、および
4つのLV巻線LV1~LV4を含んでいる、例示的な2/4変圧器モジュール1100
が示されている。各巻線は、2つの巻線出力端子を含んでおり、HV巻線HV1は、出力
端子H1aおよびH1bを含んでおり、HV巻線HV2は、出力端子H2aおよびH2b
を含んでおり、LV巻線LV1は、出力端子L1aおよびL1bを含んでおり、LV巻線
LV2は、出力端子L2aおよびL2bを含んでおり、LV巻線LV3は、出力端子L3
aおよびL3bを含んでおり、またLV巻線LV4は、出力端子L4aおよびL4bを含
んでいる。
【0063】
LV巻線LV1~LV4は、LV巻線LV1~LV4の電圧比が5:1:1:5である
ように構成されており、HV巻線HV1~HV2は、HV1対HV2の電圧比が1:1で
あるように構成されている。直列に結合されたHV巻線対直列に結合されたLV巻線の電
圧比は1:1である。例えば、HV巻線が138kVの電圧を有するAC電力を受け取る
場合、HV1の両端間の電圧は69kVであり、HV2の両端間の電圧は69kVであり
、LV巻線LV1の両端間の電圧は57.5kVであり、LV巻線LV2の両端間の電圧
は11.5kVであり、LV巻線LV3の両端間の電圧は11.5kVであり、LV巻線
LV4の両端間の電圧は57.5kVである。
【0064】
図11Bを参照すると、
図11Aにおける変圧器モジュール1100のような2/4変
圧器モジュールを表す等価回路1110が示されている。回路1110は、LV巻線出力
端子L1a~b、L2a~b、L3a~b、L4a~b、およびHV巻線出力端子H1a
~bおよびH2a~bを含んでいる。
【0065】
図12Aを参照すると、共通のコア1201、4つのHV巻線HV1~HV4、および
4つのLV巻線LV1~LV4を含んでいる、例示的な4/4変圧器モジュール1200
が示されている。各巻線は、2つの巻線出力端子を含んでおり、HV巻線HV1は、出力
端子H1aおよびH1bを含んでおり、HV巻線HV2は、出力端子H2aおよびH2b
を含んでおり、HV巻線HV3は、出力端子H3aおよびH3bを含んでおり、HV巻線
HV4は、出力端子H4aおよびH4bを含んでおり、LV巻線LV1は、出力端子L1
aおよびL1bを含んでおり、LV巻線LV2は、出力端子L2aおよびL2bを含んで
おり、LV巻線LV3は、出力端子L3aおよびL3bを含んでおり、またLV巻線LV
4は、出力端子L4aおよびL4bを含んでいる。
【0066】
LV巻線LV1~LV4は、LV巻線LV1~LV4の電圧比が5:1:1:5である
ように構成されており、HV巻線HV1~HV4は、HV1~HV4の電圧比が5:1:
1:5であるように構成されている。直列に結合されたHV対直列に結合されたLV巻線
の電圧比は1:1である。例えば、HV巻線が138kVの電圧を有するAC電力を受け
取る場合、HV巻線HV1の両端間の電圧は57.5kVであり、HV2の両端間の電圧
は11.5kVであり、HV3の両端間の電圧は11.5kVであり、HV4の両端間の
電圧は57.5kVであり、LV巻線LV1の両端間の電圧は57.5kVであり、LV
巻線LV2の両端間の電圧は11.5kVであり、LV巻線LV3の両端間の電圧は11
.5kVであり、LV巻線LV4の両端間の電圧は57.5kVである。
【0067】
図12Bを参照すると、
図12Aにおける変圧器モジュール1200のような4/4変
圧器モジュールを表す等価回路1210が示されている。回路1210は、LV巻線出力
端子L1a~b、L2a~b、L3a~b、L4a~b、およびHV巻線出力端子H1a
~b、H2a~b、H3a~bおよびH4a~bを含んでいる。
【0068】
図13を参照すると、変圧器モジュールの等価回路1310、1320、1330、1
340、1350、1360および1370が示されている。回路1310、1320、
1330および1340は、
図12Aにおける変圧器モジュール1200のHV巻線とL
V巻線との間の種々の接続を示す。回路1350、1360および1370は、
図10A
における1/4変圧器モジュール1000のHV巻線とLV巻線との間の種々の接続を示
す。
【0069】
回路1310は、4つすべてのHV巻線が、入力端子1311間で直列に結合されてお
り、かつすべてのLV巻線が、出力端子1313間で直列に結合されている、4/4変圧
器モジュール1200を示す。HV巻線対LV巻線の実効電圧比は1:1であるので、入
力端子1311において変圧器モジュールによって受け取られるAC電力の電圧は、出力
端子1313におけるAC電力出力の電圧と同一である。
【0070】
回路1320は、4つすべてのHV巻線が、入力端子1321間で直列に結合されてお
り、かつLV巻線LV1およびLV4が、出力端子1323間で直列に結合されている、
4/4変圧器モジュール1200を示す。HV巻線対LV巻線の実効電圧比は6:5であ
るので、138kVの入力電圧は、115kVに降圧されることになる。
【0071】
回路1330は、HV巻線HV1およびHV4が、入力端子1331間で直列に結合さ
れており、かつ4つすべてのLV巻線が、出力端子1333間で直列に結合されている、
4/4変圧器モジュール1200を示す。HV巻線対LV巻線の実効電圧比は5:6であ
るので、115kVの入力電圧は、138kVに昇圧されることになる。
【0072】
回路1340は、HV巻線HV1およびHV4が、入力端子1341間で直列に結合さ
れており、LV巻線LV1およびLV4が、出力端子1343間で直列に結合されている
、4/4変圧器モジュール1200を示す。HV巻線対LV巻線の実効電圧比は1:1で
あるので、出力端子1343の両端間の出力電圧は、入力端子1341の両端間の入力電
圧に等しい。
【0073】
回路1350は、HV巻線HV1が、入力端子1351に結合されており、かつ4つす
べてのLV巻線が、直列に結合されている、1/4変圧器モジュール1000を示す。H
V巻線対LV巻線の実効電圧比は5:3であるので、230kVの入力電圧は、138k
Vに降圧されることになる。
【0074】
回路1360は、HV巻線HV1が、入力端子1361に結合されており、かつLV巻
線LV1およびLV4が、直列に結合されている、1/4変圧器モジュール1000を示
す。HV巻線対LV巻線の実効電圧比は2:1であるので、230kVの入力電圧は、1
15kVに降圧されることになる。
【0075】
回路1370は、HV巻線HV1が、入力端子1371に結合されており、LV巻線L
V1およびLV2が、直列に結合されており、かつ直列に結合されたLV3およびLV4
に並列に結合されている、1/4変圧器モジュール1000を示す。HV巻線対LV巻線
の実効電圧比は10:3であるので、230kVの入力電圧は、69kVに降圧されるこ
とになる。
【0076】
図14Aおよび
図14Bを参照すると、
図10Aの1/4変圧器モジュール1000と
、
図12Aの4/4変圧器モジュール1200との組み合わせを有している、変圧器ブロ
ック1410、1420、1430、1440および1450の例示的な部分が示されて
いる。標準変圧器ブロックの各ブロック構成において、各変圧器モジュールにおける83
.3%もの巻線が使用されないように変圧器モジュールを構成することができ、これによ
って不必要なコストおよび構成材料が低減されていることに留意することは重要である。
【0077】
変圧器ブロック1410は、1つの1/4変圧器モジュール1415および2つの4/
4変圧器モジュール1417を含んでいる。各モジュールからのすべてのHV巻線は、入
力端子1411aと1411bとの間で直列に結合されている。各モジュールのLV巻線
LV1およびLV4は、直列に結合されており、モジュール1415のLV巻線は、出力
端子1413aと1413bとの間で、モジュール1417および1419の並列に結合
されたLV巻線に直列に結合されている。HV巻線対LV巻線の実効電圧比は11:5で
あるので、500kVの入力電圧は、約230kVに降圧されることになる。
【0078】
変圧器ブロック1420は、3つの4/4変圧器モジュール1425、1427および
1429を含んでいる。各モジュールのLV巻線LV1およびLV4は、直列に結合され
ており、また各モジュールのLV巻線は、1421aと1421bとの間で一緒に直列に
結合されている。各モジュールのすべてのHV巻線は、直列に結合されており、また各モ
ジュールからのHVモジュールは、出力端子1423aと1423bとの間で並列に結合
されている。LV巻線対HV巻線の実効電圧比は5:2であるので、345kVの入力電
圧は、138kVに降圧されることになる。
【0079】
変圧器ブロック1430は、3つの4/4変圧器モジュール1435、1437および
1439を含んでいる。各モジュールのHV巻線HV1およびHV4は、直列に結合され
ており、また各モジュールのHV巻線は、1431aと1431bとの間で一緒に直列に
結合されている。各モジュールのLV巻線LV1およびLV4は、直列に結合されており
、各モジュールからのLV巻線は、出力端子1433aと1433bとの間で並列に結合
されている。HV巻線対LV巻線の実効電圧比は3:1であるので、345kVの入力電
圧は、115kVに降圧されることになる。
【0080】
変圧器ブロック1440は、3つの1/4変圧器モジュール1445、1447および
1449を含んでいる。モジュール1445、1447および1449のHV巻線は、入
力巻線1441aと1441bとの間で並列に結合されている。各モジュールのLV巻線
LV1およびLV4は、一緒に直列に結合されており、また各モジュールのLV巻線は、
出力端子1443aと1443bとの間で並列に結合されている。HV巻線対LV巻線の
実効電圧比は2:1であるので、230kVの入力電圧は、115kVに降圧されること
になる。
【0081】
変圧器ブロック1450は、3つの1/4変圧器モジュール1455、1457および
1459を含んでいる。モジュール1455、1457および1459のHV巻線は、入
力巻線1451aと1451bとの間で並列に結合されている。各モジュールのLV巻線
LV1およびLV2は、一緒に直列に結合されており、また各モジュールのLV巻線LV
3およびLV4は、一緒に直列に結合されており、かつLV巻線LV1およびLV2に並
列に結合されており、また各モジュールのLV巻線は、出力端子1453aと1453b
との間で他のモジュールのLV巻線に並列に結合されている。HV巻線対LV巻線の実効
電圧比は10:3であるので、230kVの入力電圧は、69kVに降圧されることにな
る。
【0082】
下記では、多数の例示的な実施形態についてさらに説明する。1つの実施形態は、マト
リクス電力変圧器システムであって、このマトリクス電力変圧器システムは、1つ以上の
変圧器ブロックを含んでおり、各変圧器ブロックは、複数の変圧器モジュールアセンブリ
を含んでおり、各変圧器モジュールアセンブリは、一次巻線および二次巻線を含んでおり
、各変圧器モジュールアセンブリの一次巻線は、複数の変圧器モジュールアセンブリのう
ちの別の変圧器モジュールアセンブリの一次巻線に結合されており、各変圧器モジュール
アセンブリの二次巻線は、第1の複数の変圧器モジュールアセンブリのうちの別の変圧器
モジュールアセンブリの二次巻線に結合されており、複数の変圧器モジュールアセンブリ
のうちの少なくとも1つは、オンラインまたはオフライン時に調整可能であるタップ切換
器を備えた調整巻線を使用する、選択可能または調整可能なインピーダンスを含んでいる
。
【0083】
別の例示的な実施形態は、マトリクス電力変圧器システムであって、このマトリクス電
力変圧器システムは、入力および出力を備えた一次巻線ならびに入力および出力を備えた
二次巻線をそれぞれが有している、第1の複数の変圧器モジュールアセンブリを含んでい
る第1の変圧器ブロックと、第2の複数の変圧器モジュールアセンブリを含んでおり、か
つその第2の複数の変圧器モジュールアセンブリのうちの少なくとも1つが、オンライン
またはオフライン時に調整可能であるタップ切換器を備えた調整巻線を使用する、選択可
能または調整可能なインピーダンスを含んでいる、第2の変圧器ブロックと、を有してい
る。
【0084】
さらに別の例示的な実施形態は、マトリクス電力変圧器システムであって、このマトリ
クス電力変圧器システムは、それぞれが複数の変圧器モジュールを含んでいる複数のブロ
ックアセンブリを有しており、各変圧器モジュールは、入力に結合された一次巻線および
出力に結合された二次巻線を含んでおり、1つのブロックアセンブリにおける各変圧器モ
ジュールの入力は一緒に結合されており、各変圧器ブロックの出力は一緒に結合されてお
り、二次巻線のうちの1つは、関連する変圧器モジュールアセンブリの出力または関連す
るモジュールアセンブリの別の二次巻線に選択的に結合されるように構成された複数のタ
ップを含んでいる。
【0085】
前述のマトリクス電力変圧器システムの特定の形態では、各ブロックアセンブリは、4
0トン未満の重量を有するように構成されており、マトリクス電力変圧器システムは、1
00メガボルトアンペア(MVA)超の定格電力を有している。特定の形態では、各変圧
器モジュールは、直列または並列に結合された複数の一次巻線を含んでおり、また各変圧
器モジュールは、直列または並列に結合された複数の第2の巻線を含んでいる。特定の形
態では、各入力は、2つの入力端子を含んでおり、各入力端子は、別の変圧器モジュール
アセンブリの少なくとも1つの端子に結合されており、各出力は、2つの出力端子を含ん
でおり、各出力端子は、別の変圧器モジュールアセンブリの少なくとも1つの端子に結合
されている。特定の形態では、複数の変圧器モジュールアセンブリは、直列に結合された
複数の入力を備えた、第1のセットの変圧器モジュールアセンブリと、直列に結合された
複数の入力を備えた、第2のセットの変圧器モジュールアセンブリと、を含んでおり、第
1のセットの変圧器モジュールアセンブリおよび第2のセットの変圧器モジュールアセン
ブリは並列に結合されている。特定の形態では、各ブロックアセンブリは、外箱によって
包囲されるように構成されている。特定の形態では、外箱は、40フィート×8フィート
×8フィート6インチの寸法を有する容器内に収まるように構成されている。
【0086】
さらなる例示的な実施形態は、100MVA超の定格電力を有しているモジュール式の
電力変圧器であり、このモジュール式の電力変圧器は、複数の変圧器ブロックを有してお
り、各変圧器ブロックは、容器、第1のセットのブロック端子、第2のセットのブロック
端子、および容器内に設けられている複数の変圧器モジュールを含んでおり、各モジュー
ルは、第1のセットのモジュール端子、第2のセットのモジュール端子、第1のセットの
モジュール端子に結合された少なくとも1つの一次巻線、第2のセットのモジュール端子
に結合された少なくとも1つの二次巻線、および変圧器コアを含んでおり、1つの変圧器
ブロックにおける変圧器モジュールの一次巻線は、第1のセットのブロック端子間で一緒
に結合されており、同一の変圧器ブロックにおける変圧器モジュールの二次巻線は、第2
のセットのブロック端子間で一緒に結合されている。
【0087】
前述のモジュール式の電力変圧器の特定の形態では、各変圧器ブロックの重量は、40
トン以下である。特定の形態では、1つの変圧器ブロックにおける変圧器モジュールの一
次巻線は、並列に、直列に、またはそれらの組み合わせで、一緒に結合されている。前述
したものの特定の形態では、変圧器モジュールのうちの少なくとも1つは、第1の一次巻
線、第2の一次巻線、第3の一次巻線、第4の一次巻線、第1の二次巻線、第2の二次巻
線、第3の二次巻線および第4の二次巻線を含んでおり、第1の一次巻線対第2の一次巻
線対第3の一次巻線対第4の一次巻線の電圧比は、5:1:1:5であり、第1の二次巻
線対第2の二次巻線対第3の二次巻線対第4の二次巻線の電圧比は、5:1:1:5であ
る。特定の形態では、変圧器モジュールのうちの少なくとも1つは、第1の一次巻線、第
2の一次巻線、第3の一次巻線、第4の一次巻線、第1の二次巻線および第2の二次巻線
を含んでおり、第1の一次巻線対第2の一次巻線対第3の一次巻線対第4の一次巻線の電
圧比は、5:1:1:5であり、第1の二次巻線対第2の二次巻線の電圧比は、1:1で
ある。特定の形態では、変圧器モジュールのうちの少なくとも1つは、第1の一次巻線、
第2の一次巻線、第3の一次巻線、第4の一次巻線および二次巻線を含んでおり、第1の
一次巻線対第2の一次巻線対第3の一次巻線対第4の一次巻線の電圧比は、5:1:1:
5である。特定の形態では、変圧器モジュールのうちの少なくとも1つは、第1の一次巻
線、第2の一次巻線、第3の一次巻線、第4の一次巻線、第5の一次巻線、第6の一次巻
線、第1の二次巻線、第2の二次巻線、第3の二次巻線、第4の二次巻線、第5の二次巻
線および第6の二次巻線を含んでおり、第1の一次巻線対第2の一次巻線対第3の一次巻
線対第4の一次巻線対第5の一次巻線対第6の一次巻線の電圧比は、1:1:1:1:1
:1であり、第1の二次巻線対第2の二次巻線対第3の二次巻線対第4の二次巻線対第5
の二次巻線対第6の二次巻線の電圧比は、1:1:1:1:1:1である。特定の形態で
は、変圧器モジュールのうちの少なくとも1つは、第1の一次巻線、第2の一次巻線、第
3の一次巻線、第4の一次巻線、第5の一次巻線、第6の一次巻線、第1の二次巻線およ
び第2の二次巻線を含んでおり、第1の一次巻線対第2の一次巻線対第3の一次巻線対第
4の一次巻線対第5の一次巻線対第6の一次巻線の電圧比は、1:1:1:1:1:1で
あり、第1の二次巻線対第2の二次巻線の電圧比は、1:1である。特定の形態では、変
圧器モジュールのうちの少なくとも1つは、第1の一次巻線、第2の一次巻線、第3の一
次巻線、第4の一次巻線、第5の一次巻線、第6の一次巻線および第1の二次巻線を含ん
でおり、第1の一次巻線対第2の一次巻線対第3の一次巻線対第4の一次巻線対第5の一
次巻線対第6の一次巻線の電圧比は、1:1:1:1:1:1である。特定の形態では、
複数のブロックのうちの1つ以上のブロックが適応型インピーダンスまたは適応型電圧モ
ジュールを含んでいる。
【0088】
さらなる例示的な実施形態は、モジュール式の電力変圧器を組み立てるための方法であ
り、この方法は、それぞれが一次巻線、二次巻線およびコアを含んでいる標準変圧器モジ
ュールのセットから複数の変圧器モジュールを選択することと、それぞれが40トン以下
の重量を有している、選択された複数の変圧器モジュールのセットを結合することによっ
て、複数の変圧器ブロックを組み立てることと、各変圧器ブロックを遠隔地に別個に輸送
することと、遠隔地において各変圧器ブロックをAC電力源と負荷との間に一緒に結合す
ることと、を含む。
【0089】
前述した方法の特定の形態では、標準変圧器モジュールのセットは、第1の一次巻線、
第2の一次巻線、第3の一次巻線、第4の一次巻線、第1の二次巻線、第2の二次巻線、
第3の二次巻線および第4の二次巻線を含む第1の標準変圧器モジュールを含んでおり、
第1の一次巻線対第2の一次巻線対第3の一次巻線対第4の一次巻線の電圧比は、5:1
:1:5であり、第1の二次巻線対第2の二次巻線対第3の二次巻線対第4の二次巻線の
電圧比は、5:1:1:5である。特定の形態では、標準変圧器モジュールのセットは、
第1の一次巻線、第2の一次巻線、第3の一次巻線、第4の一次巻線、第1の二次巻線お
よび第2の二次巻線を含む第2の標準変圧器モジュールを含んでおり、第1の一次巻線対
第2の一次巻線対第3の一次巻線対第4の一次巻線の電圧比は、5:1:1:5であり、
第1の二次巻線対第2の二次巻線の電圧比は、1:1である。特定の形態では、標準変圧
器モジュールのセットは、第1の一次巻線、第2の一次巻線、第3の一次巻線、第4の一
次巻線および二次巻線を含む第2の標準変圧器モジュールを含んでおり、第1の一次巻線
対第2の一次巻線対第3の一次巻線対第4の一次巻線の電圧比は、5:1:1:5である
。特定の形態では、標準変圧器モジュールのセットは、第1の一次巻線、第2の一次巻線
、第3の一次巻線、第4の一次巻線、第5の一次巻線、第6の一次巻線、第1の二次巻線
、第2の二次巻線、第3の二次巻線、第4の二次巻線、第5の二次巻線および第6の二次
巻線を含む第1の標準変圧器モジュールを含んでおり、第1の一次巻線対第2の一次巻線
対第3の一次巻線対第4の一次巻線対第5の一次巻線対第6の一次巻線の電圧比は、1:
1:1:1:1:1であり、第1の二次巻線対第2の二次巻線対第3の二次巻線対第4の
二次巻線対第5の二次巻線対第6の二次巻線の電圧比は、1:1:1:1:1:1である
。特定の形態では、標準変圧器モジュールのセットは、第1の一次巻線、第2の一次巻線
、第3の一次巻線、第4の一次巻線、第5の一次巻線、第6の一次巻線、第1の二次巻線
および第2の二次巻線を含む第2の標準変圧器モジュールを含んでおり、第1の一次巻線
対第2の一次巻線対第3の一次巻線対第4の一次巻線対第5の一次巻線対第6の一次巻線
の電圧比は、1:1:1:1:1:1であり、第1の二次巻線対第2の二次巻線の電圧比
は、1:1である。特定の形態では、標準変圧器モジュールのセットは、第1の一次巻線
、第2の一次巻線、第3の一次巻線、第4の一次巻線、第5の一次巻線、第6の一次巻線
および第1の二次巻線を含む第2の標準変圧器モジュールを含んでおり、第1の一次巻線
対第2の一次巻線対第3の一次巻線対第4の一次巻線対第5の一次巻線対第6の一次巻線
の電圧比は、1:1:1:1:1:1である。
【0090】
本開示を図面および前述の説明において詳細に図示し説明したが、これらは、説明を目
的としたものであって、その特徴を限定するものではないとみなされるべきであって、特
定の例示的な実施形態のみを図示し説明したこと、ならびに本開示の思想内で生じるあら
ゆる変更および修正の保護が所望されていることを理解されたい。上記の説明において用
いた「好ましい」、「好ましくは」、「優先される」または「より優先される」などの語
句の使用は、その特徴がより望ましいことの記載であるが、これは必須ではなく、その特
徴を有していない実施形態も、添付の特許請求の範囲によって規定されている本開示の範
囲に含まれると考えられる。特許請求の範囲を読む際に、「1つ」、「1つの」、「少な
くとも1つの」または「少なくとも一部の」などの語句は、請求項において特に反対のこ
とが記述されていない限り、その請求項を唯一の項目に限定しないことが意図されている
。「~の」なる語は、別の項目との関連または関係、さらに、使用されている文脈から明
らかになる他の項目への所属または他の項目との関係も意味していると考えられる。「~
に結合される」、「~と結合される」および類似の語句は、間接的な接続および結合を含
むが、反対のことが明示的に示されていない限り、直接的な結合または接続も含む。ただ
し、これは必須ではない。「少なくとも一部の」かつ/または「一部の」なる表現が使用
される場合、特に反対のことが記述されていない限り、項目はその一部および/または全
体を含むと考えられる。