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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-14
(45)【発行日】2022-09-26
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/786 20060101AFI20220915BHJP
   H01L 27/00 20060101ALI20220915BHJP
   H01L 21/822 20060101ALI20220915BHJP
   H01L 27/04 20060101ALI20220915BHJP
   H01L 21/8234 20060101ALI20220915BHJP
   H01L 27/06 20060101ALI20220915BHJP
   H01L 27/088 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
H01L29/78 613Z
H01L27/00 301A
H01L27/04 A
H01L27/04 C
H01L27/06 102A
H01L27/088 E
H01L27/088 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021145660
(22)【出願日】2021-09-07
(62)【分割の表示】P 2020127963の分割
【原出願日】2015-08-06
(65)【公開番号】P2022000908
(43)【公開日】2022-01-04
【審査請求日】2021-09-15
(31)【優先権主張番号】P 2014162455
(32)【優先日】2014-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】桃 純平
(72)【発明者】
【氏名】栗城 和貴
(72)【発明者】
【氏名】郷戸 宏充
【審査官】上田 智志
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-184555(JP,A)
【文献】特開2007-194635(JP,A)
【文献】特開2004-356262(JP,A)
【文献】特開2001-223334(JP,A)
【文献】特開2008-181634(JP,A)
【文献】特開2003-133420(JP,A)
【文献】特開2004-320011(JP,A)
【文献】特開2011-107697(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/822、21/8234、
27/00、27/04、27/06、
27/088、27/108、
29/786
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャパシタを有する半導体装置であって、
前記キャパシタは、
第1の集電体層と、
前記第1の集電体層上の第1の活物質層と、
前記第1の活物質層上の固体電解質層と、
前記固体電解質層上の第2の活物質層と、
前記第2の活物質層上の第2の集電体層と、を有し、
前記第1の集電体層の端部と前記第1の活物質層の端部とは、前記固体電解質層と接しており、
前記固体電解質層の端部と、前記第2の活物質層の端部とは、前記第2の集電体層と接している、半導体装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記第2の集電体層を配線として機能させる、半導体装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
トランジスタを有し、
前記キャパシタと前記トランジスタが積層されている、半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は半導体装置および電子機器に関する。
【0002】
又は、本発明の一態様は、物、方法、又は製造方法に関する。又は、本発明は、プロセス
、マシン、マニュファクチャ、又は組成物(コンポジション・オブ・マター)に関する。
また、本発明の一態様は、半導体装置、表示装置、発光装置、蓄電装置、記憶装置、それ
らの駆動方法又はそれらの製造方法に関する。
【0003】
なお、本明細書等において半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる装置
全般を指す。表示装置、電気光学装置、半導体回路及び電子機器は、半導体装置を有する
場合がある。
【背景技術】
【0004】
近年、使用者が携帯する電子機器や、使用者が装着する電子機器が盛んに開発されている
【0005】
使用者が携帯する電子機器や、使用者が装着する電子機器は、蓄電装置を電源として動作
するため、消費電力を極力抑えている。特に電子機器にCPU(Central Pro
cessing Unit)が含まれている場合、CPUは動作時に多くの電力を消費す
るため、CPUの処理は消費電力に大きな影響を与える。
【0006】
プラスチックもしくはプラスチックフィルム基板に高機能集積回路(CPUなど)を有し
、無線で電力または信号の送受信を行う半導体装置が、特許文献1に記載されている。
【0007】
また、CPUのレジスタを、酸化物半導体トランジスタを用いた記憶回路で作製し、消費
電力の低減を行う半導体装置が、特許文献2に記載されている。
【0008】
また、固体電解質を用いた電気二重層キャパシタ(EDLC:Electric Dou
ble-Layer Capacitor)を作製する技術が提案されている(特許文献
3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2006-32927号公報
【文献】特開2013-251884号公報
【文献】特開2013-191769号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
あるCPUを含む電子機器における消費電力の詳細を説明する。消費電力は、大きく分け
てCPUによって消費される電力と、CPU周辺のシステムによって消費される電力と、
電子機器の内外に接続された複数の入出力機器および周辺機器によって消費される電力と
、に分けることができる。CPU周辺のシステムによって消費される電力には、コンバー
タでのロス、配線パターンでのロス、及びバスやコントローラなどでの消費電力などが含
まれる。
【0011】
また、電子機器が小型化、薄型化すると、バッテリーやEDLCなどの蓄電素子もその制
限を受ける。しかし、上記蓄電素子は面積が小さくなると、容量が小さくなってしまう。
従って、より小さなスペースに回路や蓄電素子などを収納することとなる。
【0012】
また、蓄電素子は、充電または放電によって発熱し、周囲に熱的影響を及ぼす恐れがある
【0013】
電子機器が小型化して、より小さなスペースに回路や蓄電素子を収納するに従って、消費
電力と発熱をどう制御するかが、課題の一つとなっている。
【0014】
本発明の一態様は、新規な半導体装置、回路や蓄電素子が効率よく収納された半導体装置
、消費電力が小さい半導体装置、または、発熱が抑えられた半導体装置を提案する。
【0015】
また、本発明の一態様は、新規な構造の電子機器を提案する。具体的には、さまざまな外
観形状にすることができる新規な構造の電子機器を提案する。より具体的には、体に装着
して使用するウェアラブル型電子機器や、体内に埋め込んで使用する電子機器を提案する
【0016】
なお、複数の課題の記載は、互いの課題の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一
態様は、これらの課題の全て解決する必要はない。また、列記した以外の課題が、明細書
、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、これらの課題も、本発
明の一形態の課題となり得る。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の一態様は、第1のトランジスタと、第2のトランジスタと、電気二重層キャパシ
タと、を有する半導体装置である。第1のトランジスタ、第2のトランジスタ及び電気二
重層キャパシタは、1つの基板に設けられることが好ましい。第1のトランジスタは、チ
ャネル領域に第1の半導体を有する。第2のトランジスタは、チャネル領域に第2の半導
体を有する。第2の半導体は、第1の半導体よりも広い禁制帯幅を有することが好ましい
。電気二重層キャパシタは、固体電解質を有することが好ましい。
【0018】
本発明の一態様は、第1のトランジスタと、第2のトランジスタと、電気二重層キャパシ
タと、を有する半導体装置である。第1のトランジスタ、第2のトランジスタ及び電気二
重層キャパシタは、1つの基板に設けられることが好ましい。第1のトランジスタは、チ
ャネル領域に第1の半導体を有する。第2のトランジスタは、チャネル領域に第2の半導
体を有する。第2の半導体は、第1の半導体よりも広い禁制帯幅を有することが好ましい
。電気二重層キャパシタは、イオン液体を含むことが好ましい。
【0019】
上記態様において、第1の半導体はシリコンを含み、第2の半導体は酸化物半導体を含む
ことが好ましい。
【0020】
上記態様において、電気二重層キャパシタは、無線で充電される機能を有することが好ま
しい。
【0021】
上記態様において、基板に半導体基板を用いても良い。
【0022】
上記態様において、基板に可撓性基板を用いても良い。
【0023】
本発明の一態様は、上記態様に記載の半導体装置と、マイクロフォン、スピーカ、表示部
、および操作キーのうちの少なくとも1つと、を有する電子機器である。
【0024】
なお、本明細書等において、蓄電素子とは、蓄電機能を有する素子全般を指す。例えば、
リチウムイオン二次電池、リチウムイオンキャパシタ、および電気二重層キャパシタなど
を含む。
【0025】
また、本明細書等において、蓄電装置とは、上記蓄電素子を含む装置全般を指す。
【0026】
また、本明細書にて用いる「第1」、「第2」、「第3」という序数詞は、構成要素の混
同を避けるために付したものであり、数的に限定するものではないことを付記する。
【0027】
また、本明細書において、「上に」、「下に」などの配置を示す語句は、構成同士の位置
関係を、図面を参照して説明するために、便宜上用いている。また、構成同士の位置関係
は、各構成を描写する方向に応じて適宜変化するものである。従って、明細書で説明した
語句に限定されず、状況に応じて適切に言い換えることができる。
【0028】
また、本明細書等において、トランジスタとは、ゲートと、ドレインと、ソースとを含む
少なくとも三つの端子を有する素子である。そして、ドレイン(ドレイン端子、ドレイン
領域またはドレイン電極層)とソース(ソース端子、ソース領域またはソース電極層)の
間にチャネル領域を有しており、ドレインとチャネル領域とソースとを介して電流を流す
ことができるものである。なお、本明細書等において、チャネル領域とは、電流が主とし
て流れる領域をいう。
【0029】
また、ソースやドレインの機能は、異なる極性のトランジスタを採用する場合や、回路動
作において電流の方向が変化する場合などには入れ替わることがある。このため、本明細
書等においては、ソースやドレインの用語は、入れ替えて用いることができるものとする
【0030】
なお、「膜」という言葉と、「層」という言葉とは、場合によっては、または、状況に応
じて、互いに入れ替えることが可能である。例えば、「導電層」という用語を、「導電膜
」という用語に変更することが可能な場合がある。または、例えば、「絶縁膜」という用
語を、「絶縁層」という用語に変更することが可能な場合がある。
【発明の効果】
【0031】
本発明の一態様により、新規な半導体装置を提供すること、回路や蓄電素子が効率よく収
納された半導体装置を提供すること、消費電力が小さい半導体装置を提供すること、また
は、発熱が抑えられた半導体装置を提供することが可能になる。
【0032】
また、本発明の一態様により、新規な構造の電子機器を提供することが可能になる。具体
的には、さまざまな外観形状にすることができる新規な構造の電子機器を提供することが
可能になる。より具体的には、体に装着して使用するウェアラブル型電子機器や、体内に
埋め込んで使用する電子機器を提供することが可能になる。
【0033】
なお、これらの効果の記載は、他の効果の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一
態様は、これらの効果の全てを有する必要はない。なお、これら以外の効果は、明細書、
図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図面、請求項な
どの記載から、これら以外の効果を抽出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】半導体装置の構成例を示すブロック図。
図2】半導体装置の構成例を示す断面図。
図3】トランジスタの断面図。
図4】半導体装置の構成例を示す断面図。
図5】電気二重層キャパシタの構成例を示す上面図及び断面図。
図6】電気二重層キャパシタの構成例を示す上面図及び断面図。
図7】電気二重層キャパシタの構成例を示す上面図及び断面図。
図8】電気二重層キャパシタの作製方法を説明する示す断面図。
図9】電気二重層キャパシタの構成例を示す上面図及び断面図。
図10】電気二重層キャパシタの構成例を示す断面図。
図11】トランジスタの構成例を示す上面図及び断面図。
図12】トランジスタの構成例を示す断面図及びエネルギーバンド図。
図13】トランジスタの構成例を示す断面図。
図14】トランジスタの構成例を示す断面図。
図15】トランジスタの構成例を示す断面図。
図16】電子機器の一例を示す斜視図。
図17】電子機器の一例を示す図。
図18】電子機器の一例を示す図。
図19】電子機器の一例を示す図。
図20】電子機器の一例を示す斜視図および上面図。
図21】半導体装置の構成例を示す断面図。
図22】トランジスタの構成例を示す上面図及び断面図。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、実施の形態について図面を参照しながら説明する。但し、実施の形態は多くの異な
る態様で実施することが可能であり、趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及
び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は、
以下の実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。また、以下に説明する
実施の形態及び実施例において、同一部分又は同様の機能を有する部分には同一の符号を
異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。
【0036】
また、図面において、大きさ、層の厚さ、又は領域は、明瞭化のために誇張されている場
合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。なお図面は、理想的な例を模
式的に示したものであり、図面に示す形状又は値などに限定されない。
【0037】
(実施の形態1)
〈デバイスのブロック図〉
図1は、本発明の一態様であるデバイス10のブロック図を示している。
【0038】
本実施の形態にかかるデバイス10は、制御モジュール15と、表示モジュール21と、
通信モジュール26とを有する。制御モジュール15は、デバイス10全体の制御と、通
信や、表示部16への情報の表示を制御するコントローラである。
【0039】
制御モジュール15は、CPU11、蓄電素子12、レギュレータ13、および無線受信
部14を有する。
【0040】
また、表示モジュール21は、表示部16、表示駆動回路19、蓄電素子17、レギュレ
ータ18、および無線受信部20を有する。
【0041】
また、通信モジュール26は、通信回路22、蓄電素子23、レギュレータ24、および
無線受信部25を有する。
【0042】
レギュレータとは電子回路の一種であり、出力される電圧または電流を常に一定に保つよ
うに制御する回路のことである。レギュレータは、電力負荷の程度などによって、リニア
レギュレータとスイッチングレギュレータの2種類に分類される。なお、スイッチングレ
ギュレータはDCDCコンバータとも呼ばれる。
【0043】
各モジュールは、それぞれレギュレータと蓄電素子を有している。各蓄電素子は充電する
ことで連続使用時間を回復することが可能であり、無線充電ができるように回路が接続さ
れている。各蓄電素子は、それぞれのレギュレータを介してそれぞれの無線受信部と電気
的に接続される構成とする。各レギュレータは、接続されている蓄電素子から各機能回路
に必要な電力または信号を供給する。また、各レギュレータは、接続されている蓄電素子
が充電している時に、過充電などを防止する機能をもつ。
【0044】
各モジュールの蓄電素子は、同じモジュール内の各機能回路と、同じ基板に設けられるこ
とが好ましい。このようにすることで、デバイス10を小型化、または薄膜化することが
できる。
【0045】
デバイス10は、それぞれのモジュールを独立してオン状態、或いはオフ状態とすること
ができる。使用するモジュールのみを選択的に駆動させるオペレーティングシステムによ
り、デバイス10の省電力化を図ることができる。
【0046】
例えば、使用者が通信機能を用いることなく、表示部16で情報を見る場合、通信モジュ
ール26においては、通信回路22への電力を遮断し、蓄電素子23を使わないオフ状態
とし、表示モジュール21及び制御モジュール15をオン状態とする。
【0047】
さらに、静止画であれば、表示モジュール21及び制御モジュール15をオン状態として
表示部16で静止画を表示させた後、静止画を表示させたまま制御モジュール15をオフ
状態としても、表示モジュール21のみをオン状態として静止画を表示し続けることがで
きる。この場合、静止画を表示しているものの制御モジュール15は動作させておらず、
外から見て制御モジュール15の消費電力はゼロとみなすこともできる。なお、表示部1
6において、オフ電流の低い酸化物半導体(例えばIn、Ga、及びZnを含む酸化物材
料など)トランジスタを用いる、または画素ごとにメモリを有する構成とすれば、静止画
表示後に蓄電素子17からの電力供給を遮断しても一定時間の間であれば、静止画を表示
しつづけることもできる。
【0048】
このように、電子機器に使用する部品ごとに蓄電素子を設け、使用する部品のみを選択的
に駆動させることで、省電力化を図ることができる。
【0049】
各モジュールの蓄電素子には、EDLCが用いられることが好ましい。EDLCは、大容
量でありながら急速充放電が可能な特徴を有している。そのため、デバイス10の高速動
作を可能にすることができる。
【0050】
また、上記EDLCの電解質は、固体で構成されることが好ましい。固体の電解質は、液
体の電解質に比べて液漏れが無く、室温よりも高温で使用できるため、安全である。
【0051】
また、上記EDLCは、電解質として難燃性及び難揮発性であるイオン液体を含むことが
好ましい。イオン液体を用いることで、EDLCの内部短絡や、過充電等によって内部温
度が上昇しても、蓄電素子の破裂や発火などを防ぐことができる。
【0052】
なお、CPU11のレジスタに、酸化物半導体トランジスタを含むメモリセルを用いるこ
とが好ましい。CPU11に酸化物半導体トランジスタを用いることで、一時的にCPU
11の動作を停止し、電源電圧の供給を停止した場合においてもデータを保持することが
可能であり、消費電力の低減を行うことができる。具体的には、例えば、パーソナルコン
ピュータのユーザーが、キーボードなどの入力装置への情報の入力を停止している間でも
、CPU11の動作を停止することができ、それにより消費電力を低減することができる
【0053】
また、レギュレータ13、18及び24に用いるトランジスタとして酸化物半導体トラン
ジスタを用いると、オフ電流が小さいため、省電力化を図ることができる。特に、酸化物
半導体トランジスタで制御回路が構成されたレギュレータ(DC-DCコンバータ)は、
150℃以上の高温下でも動作可能である。よって、このような実施形態に係るDC-D
Cコンバータは、動作時に温度が上昇する可能性が高い電子機器に好適である。
【0054】
本実施の形態では、表示モジュール21、制御モジュール15、及び通信モジュール26
がそれぞれ蓄電素子を有する例を示したが、特にこれら3つの蓄電素子に限定されず、さ
らに機能モジュール及びその蓄電素子を加えて4つ以上の蓄電素子を有する電子機器とし
てもよい。
【0055】
例えば、デバイス10の外装体をフレキシブルな材料とすれば、体に装着して使用するウ
ェアラブル型デバイスを実現できる。その場合、小型の蓄電素子をデバイス10内部に分
散させて配置することにより、一つの大きな蓄電素子を有するデバイスよりも重量感を軽
減することができる。また、個々の小型の蓄電素子が発熱しても使用者の装着感を阻害し
ない。
【0056】
次に、デバイス10に用いることが可能な半導体装置について、図2乃至図4を用いて説
明を行う。
【0057】
〈半導体装置の構成例1〉
図2は、同一基板に作製された、第1のトランジスタ720と、第2のトランジスタ73
0と、蓄電素子740と、を含む半導体装置1000の断面図を示している。第1のトラ
ンジスタ720は基板700に設けられ、第2のトランジスタ730は第1のトランジス
タ720の上に設けられ、蓄電素子740は第2のトランジスタ730の上に設けられて
いる。
【0058】
第2のトランジスタ730のチャネル領域は、第1のトランジスタ720のチャネル領域
と異なる半導体で構成されることが好ましい。特に、第2のトランジスタ730は、第1
のトランジスタ720よりも、禁制帯幅が広い半導体(ワイドバンドギャップ半導体)で
構成されることが好ましい。例えば、第1のトランジスタ720の半導体材料をシリコン
、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウム、炭化シリコン、またはガリウムヒ素などとし、
第2のトランジスタ730の半導体材料を酸化物半導体とすることが好ましい。半導体材
料として、単結晶シリコンなどを用いたトランジスタは、高速動作が容易である。一方で
、酸化物半導体を用いたトランジスタは、オフ電流が低い。
【0059】
蓄電素子740は、デバイス10の各モジュールに含まれる蓄電素子を表している。蓄電
素子740には、充電することで連続使用時間を回復することが可能な蓄電素子が好まし
い。特に、EDLCが好ましい。EDLCは、大容量でありながら急速充放電が可能な特
徴を有している。そのため、半導体装置1000の高速動作を可能にする。
【0060】
また、上記EDLCの電解質は、固体で構成されることが好ましい。固体の電解質は、液
体の電解質に比べて液漏れが無く、室温よりも高温で使用できるため、安全である。
【0061】
また、上記EDLCは、電解質として難燃性及び難揮発性であるイオン液体を含むことが
好ましい。イオン液体を用いることで、EDLCの内部短絡や、過充電等によって内部温
度が上昇しても、蓄電素子の破裂や発火などを防ぐことができる。
【0062】
半導体装置1000は、基板700と、第1のトランジスタ720と、素子分離層727
と、絶縁膜731と、第2のトランジスタ730と、絶縁膜732と、絶縁膜741と、
蓄電素子740と、絶縁膜742と、プラグ701と、プラグ702と、プラグ703と
、プラグ704と、配線705と、配線706と、配線707と、配線708とを有し、
第1のトランジスタ720は、ゲート電極726と、ゲート絶縁膜724と、側壁絶縁層
725と、ソース領域又はドレイン領域として機能する不純物領域721と、LDD(L
ightly Doped Drain)領域やエクステンション領域として機能する不
純物領域722と、チャネル領域723と、を有する。
【0063】
不純物領域721の不純物濃度は、不純物領域722よりも高い。ゲート電極726およ
び側壁絶縁層725をマスクとして用いて、不純物領域721及び不純物領域722を自
己整合的に形成することができる。
【0064】
基板700としては、シリコンや炭化シリコンからなる単結晶半導体基板、多結晶半導体
基板、シリコンゲルマニウムからなる化合物半導体基板や、SOI(Silicon o
n Insulator)基板などを用いることができる。半導体基板を用いて形成され
たトランジスタは、高速動作が容易である。なお、基板700としてp型の単結晶シリコ
ン基板を用いた場合、基板700の一部にn型を付与する不純物元素を添加してn型のウ
ェルを形成し、n型のウェルが形成された領域にp型のトランジスタを形成することも可
能である。n型を付与する不純物元素としては、リン(P)、砒素(As)等を用いるこ
とができる。p型を付与する不純物元素としては、ボロン(B)等を用いることができる
【0065】
また、基板700は金属基板または絶縁基板上に半導体膜を設けたものでもよい。該金属
基板として、例えば、ステンレス・スチル基板、ステンレス・スチル・ホイルを有する基
板、タングステン基板、タングステン・ホイルを有する基板などが挙げられる。該絶縁基
板として、例えば、ガラス基板、石英基板、プラスチック基板、可撓性基板、貼り合わせ
フィルム、繊維状の材料を含む紙、又は基材フィルムなどが挙げられる。ガラス基板の一
例としては、バリウムホウケイ酸ガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、又はソーダライム
ガラスなどがある。可撓性基板の一例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)
、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフォン(PES)に代表され
るプラスチック、又はアクリル等の可撓性を有する合成樹脂などがある。貼り合わせフィ
ルムの一例としては、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリフッ化ビニル、又はポリ塩化
ビニルなどがある。基材フィルムの一例としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミ
ド、アラミド、エポキシ、無機蒸着フィルム、又は紙類などがある。
【0066】
なお、ある基板を用いて半導体素子を形成し、その後、別の基板に半導体素子を転置して
もよい。半導体素子が転置される基板の一例としては、上述した基板に加え、紙基板、セ
ロファン基板、アラミドフィルム基板、ポリイミドフィルム基板、石材基板、木材基板、
布基板(天然繊維(絹、綿、麻)、合成繊維(ナイロン、ポリウレタン、ポリエステル)
若しくは再生繊維(アセテート、キュプラ、レーヨン、再生ポリエステル)などを含む)
、皮革基板、又はゴム基板などがある。これらの基板を用いることにより、特性のよいト
ランジスタの形成、消費電力の小さいトランジスタの形成、壊れにくい装置の製造、耐熱
性の付与、軽量化、又は薄型化を図ることができる。
【0067】
第1のトランジスタ720は素子分離層727により、基板700に形成される他のトラ
ンジスタと分離されている。
【0068】
第1のトランジスタ720としてシリサイド(サリサイド)を有するトランジスタや、側
壁絶縁層を有さないトランジスタを用いてもよい。シリサイド(サリサイド)を有する構
造であると、ソース領域およびドレイン領域がより低抵抗化でき、半導体装置の高速化が
可能である。また、低電圧で動作できるため、半導体装置の消費電力を低減することが可
能である。
【0069】
第2のトランジスタ730は、酸化物半導体トランジスタである。第2のトランジスタ7
30の詳細については、後述する実施の形態3で説明を行う。
【0070】
ここで、下層に設けられる第1のトランジスタ720にシリコン系半導体材料を用いた場
合、第1のトランジスタ720の半導体膜の近傍に設けられる絶縁膜中の水素はシリコン
のダングリングボンドを終端し、第1のトランジスタ720の信頼性を向上させる効果が
ある。一方、上層に設けられる第2のトランジスタ730に酸化物半導体を用いた場合、
第2のトランジスタ730の半導体膜の近傍に設けられる絶縁膜中の水素は、酸化物半導
体中にキャリアを生成する要因の一つとなるため、第2のトランジスタ730の信頼性を
低下させる要因となる場合がある。したがって、シリコン系半導体材料を用いた第1のト
ランジスタ720の上層に酸化物半導体を用いた第2のトランジスタ730を積層して設
ける場合、これらの間に水素の拡散を防止する機能を有する絶縁膜731を設けることは
特に効果的である。絶縁膜731により、下層に水素を閉じ込めることで第1のトランジ
スタ720の信頼性が向上することに加え、下層から上層に水素が拡散することが抑制さ
れることで第2のトランジスタ730の信頼性も同時に向上させることができる。
【0071】
絶縁膜731としては、例えば酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化ガリウム
、酸化窒化ガリウム、酸化イットリウム、酸化窒化イットリウム、酸化ハフニウム、酸化
窒化ハフニウム、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)等を用いることができる。
【0072】
また、酸化物半導体膜を含んで構成される第2のトランジスタ730を覆うように、第2
のトランジスタ730上に水素の拡散を防止する機能を有する絶縁膜732を形成するこ
とが好ましい。絶縁膜732としては、絶縁膜731と同様の材料を用いることができ、
特に酸化アルミニウムを適用することが好ましい。酸化アルミニウム膜は、水素、水分な
どの不純物および酸素の双方に対して膜を透過させない遮断(ブロッキング)効果が高い
。したがって、第2のトランジスタ730を覆う絶縁膜732として酸化アルミニウム膜
を用いることで、第2のトランジスタ730に含まれる酸化物半導体膜からの酸素の脱離
を防止するとともに、酸化物半導体膜への水および水素の混入を防止することができる。
【0073】
プラグ701乃至プラグ704、及び配線705乃至配線707は、銅(Cu)、タング
ステン(W)、モリブデン(Mo)、金(Au)、アルミニウム(Al)、マンガン(M
n)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、鉛(P
b)、錫(Sn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)の低抵抗材料からなる単体、もしくは
合金、またはこれらを主成分とする化合物を含む導電膜の単層または積層とすることが好
ましい。特に、耐熱性と導電性を両立するタングステンやモリブデンなどの高融点材料を
用いることが好ましい。また、アルミニウムや銅などの低抵抗導電性材料で形成すること
が好ましい。さらに、Cu-Mn合金を用いると、酸素を含む絶縁体との界面に酸化マン
ガンを形成し、酸化マンガンがCuの拡散を抑制する機能を持つので好ましい。
【0074】
蓄電素子740は、充電することで連続使用時間を回復することが可能な電気二重層キャ
パシタであり、且つ、固体電解質を含む全固体電池である。また、蓄電素子740は無線
充電が可能となるように、レギュレータを介して無線受信部と電気的に接続されている。
【0075】
また、蓄電素子740は、半導体製造プロセスを用いて作製してもよい。なお、半導体製
造プロセスとは、成膜工程、結晶化工程、メッキ工程、洗浄工程、リソグラフィ工程、エ
ッチング工程、研磨工程、不純物注入工程、熱処理工程など、半導体デバイスを製造する
ときに用いられる手法全般を表す。
【0076】
なお、蓄電素子740の詳細については、後述する実施の形態2で説明を行う。
【0077】
絶縁膜741は、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、
酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化ジ
ルコニウム、酸化イットリウム、酸化ガリウム、酸化ランタン、酸化セシウム、酸化タン
タルまたは酸化マグネシウムの一種以上を選択して、単層または積層で用いればよい。
【0078】
蓄電素子740がリチウムを含む場合、絶縁膜741はリチウムの拡散を防ぐ(ブロック
する)機能を有することが好ましい。蓄電素子740に含まれるリチウムが、可動イオン
として半導体素子(第1のトランジスタ720または第2のトランジスタ730)へ侵入
すると、半導体素子の劣化を引き起こす。絶縁膜741がリチウムイオンをブロックする
ことで、信頼性の高い半導体装置を提供することができる。
【0079】
蓄電素子740がリチウムを含む場合、絶縁膜741は、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素な
どのハロゲンを含むことが好ましい。絶縁膜741がハロゲンを含むことで、アルカリ金
属であるリチウムと容易に結合し、リチウムが絶縁膜741の中で固定化され、リチウム
が絶縁膜741の外へ拡散することを防ぐことができる。
【0080】
例えば、絶縁膜741として、窒化シリコンをCVD(Chemical Vapor
Deposition)法で成膜した場合、原料ガス中に体積比で3%から6%、例えば
5%ほどのハロゲンを含むガスを混入させておくと、得られる窒化シリコン膜中にハロゲ
ンが取り込まれる。絶縁膜741に含まれるハロゲン元素は、二次イオン質量分析法(S
IMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)により得
られる濃度を、1×1017atoms/cm以上、好ましくは1×1018atom
s/cm以上、より好ましくは1×1019atoms/cm以上とする。
【0081】
絶縁膜742は、蓄電素子740を保護する機能を有する。絶縁膜742としては、例え
ば樹脂(ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、シロキサン樹脂、エポキシ樹
脂、フェノール樹脂など)、ガラス、アモルファス化合物、セラミックス等の絶縁性材料
を用いることができる。また、樹脂の層間に、吸水層としてフッ化カルシウムなどを有す
る層を設けてもよい。絶縁膜742は、スピンコート法、インクジェット法などによって
形成する事ができる。また、絶縁膜742は、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸
化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化窒化アルミニウ
ム、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、酸化イットリウム、酸化ガリウム、酸化ランタ
ン、酸化セシウム、酸化タンタルまたは酸化マグネシウムの一種以上を選択して、単層ま
たは積層で作製してもよい。
【0082】
半導体装置1000は、蓄電素子740の上に、さらに半導体素子を作製してもよい、こ
の場合、絶縁膜741と同様に、絶縁膜742にリチウムの拡散を防ぐ(ブロックする)
機能を有することが好ましい。絶縁膜742がリチウムをブロックすることで、信頼性の
高い半導体装置を提供することができる。
【0083】
蓄電素子740の上に半導体素子を作製する場合、絶縁膜742は、絶縁膜741と同様
に、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲンを含むことが好ましい。絶縁膜742が
ハロゲンを含むことで、アルカリ金属であるリチウムと容易に結合し、リチウムが絶縁膜
742の外へ拡散することを防ぐことができる。
【0084】
なお、図2乃至図4において、符号及びハッチングパターンが与えられていない領域は絶
縁体で構成された領域を表している。該領域には、酸化アルミニウム、窒化酸化アルミニ
ウム、酸化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シ
リコン、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化
ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウム、酸化タンタルなどから選ばれた一種以上含む
絶縁体を用いることができる。また、該領域には、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ア
クリル樹脂、シロキサン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等の有機樹脂を用いること
もできる。
【0085】
図2の半導体装置1000は、蓄電素子740の上部に、ヒートシンク、水冷クーラー、
冷却ファンなどの冷却装置を設けることが好ましい。冷却装置を設けることで、蓄電素子
740の発熱による、半導体装置1000の誤動作を防ぐことができる。
【0086】
図2の半導体装置1000は、蓄電素子740と第1のトランジスタ720及び第2のト
ランジスタ730との間に、エアギャップ(真空層の隙間)を設けてもよい。エアギャッ
プを設けることで、蓄電素子740から発熱した熱が、第1のトランジスタ720及び第
2のトランジスタ730まで伝わるのを防ぐことができ、熱による第1のトランジスタ7
20及び第2のトランジスタ730の誤動作を防ぐことができる。
【0087】
図2は、蓄電素子740を、第1のトランジスタ720及び第2のトランジスタ730の
上に設けているが、蓄電素子740を、第1のトランジスタ720と第2のトランジスタ
730の間に設けてもよい。その場合、第1のトランジスタ720、蓄電素子740、第
2のトランジスタ730の順に素子が形成されることになる。特に、蓄電素子740を作
製する際に、第2のトランジスタ730を破壊するほどの高温な熱処理が必要な場合、蓄
電素子740を形成してから第2のトランジスタ730を形成することが好ましい。
【0088】
例えば、第1のトランジスタ720及び第2のトランジスタ730を用いて、図1のデバ
イス10に含まれるCPU11またはレギュレータ13などの回路を作製し、蓄電素子7
40をこれら回路と同一基板に作製することで、デバイス10を小型化又は薄膜化するこ
とが可能になる。
【0089】
〈半導体装置の構成例2〉
図2では、第1のトランジスタ720がプレーナ型のトランジスタの場合を示したが、第
1のトランジスタ720の形状はこれに限定されない。例えば、図3に示すように、FI
N(フィン)型、またはTRI-GATE(トライゲート)型のトランジスタ750を、
第1のトランジスタ720として用いてもよい。
【0090】
図3は、トランジスタ750の断面図を示している。左側に示した断面図は、トランジス
タ750のチャネル長方向の断面図を示し、右型に示した断面図は、トランジスタ750
のチャネル幅方向の断面図を示している。
【0091】
図3では、基板700の上に、絶縁膜757が設けられている。基板700は、先端の細
い凸部(フィンともいう)を有する。なお、凸部の上には、絶縁膜が設けられていてもよ
い。その絶縁膜は、凸部を形成するときに、基板700がエッチングされないようにする
ためのマスクとして機能するものである。なお、凸部は、先端が細くなくてもよく、例え
ば、略直方体の凸部であってもよいし、先端が太い凸部であってもよい。基板700の凸
部の上には、ゲート絶縁膜754が設けられ、その上には、ゲート電極756及び側壁絶
縁層755が設けられている。基板700には、ソース領域又はドレイン領域として機能
する不純物領域751と、LDD領域やエクステンション領域として機能する不純物領域
752と、チャネル領域753が形成されている。なお、ここでは、基板700が、凸部
を有する例を示したが、本発明の一態様に係る半導体装置は、これに限定されない。例え
ば、SOI基板を加工して、凸部を有する半導体領域を形成しても構わない。
【0092】
〈半導体装置の構成例3〉
図4に示した半導体装置1200は、第1のトランジスタ720及び蓄電素子740が第
2のトランジスタ730の下層に設けられ、且つ第1のトランジスタ720と蓄電素子7
40が重ならないという点で、図2の半導体装置1000と相違する。
【0093】
半導体装置1200は、図4に示した構成にすることで、第1のトランジスタ720と、
蓄電素子740に接続されるプラグ及び配線を同時に作製することができ、工程を簡略化
することができる。また、蓄電素子740を作製する際に、プラグ701または配線70
5が破壊される程の高温処理が必要な場合、図4の構成にすることで、プラグ701また
は配線705よりも蓄電素子740を先に形成することが可能になり好ましい。
【0094】
なお、図4では、第1のトランジスタ720を形成した後に、蓄電素子740を形成して
いるが、蓄電素子740を先に形成してから、第1のトランジスタ720を形成してもよ
い。特に、蓄電素子740を形成する際に、第1のトランジスタ720が破壊される程の
高温処理が必要な場合は、先に蓄電素子740を形成してから、第1のトランジスタ72
0を形成した方が好ましい。
【0095】
半導体装置1200のその他の構成要素に関しては、半導体装置1000の記載を参照す
ればよい。
【0096】
以上、本実施の形態で示す構成、方法は、他の実施の形態で示す構成、方法と適宜組み合
わせて用いることができる。
【0097】
(実施の形態2)
本実施の形態では、実施の形態1で示した蓄電素子に用いることが可能な電気二重層キャ
パシタ(EDLC)の詳細及び構成例について、図を用いて詳述する。
【0098】
〈蓄電素子の構成例1〉
図5(A)は、EDLC200の上面図であり、図5(A)における一点鎖線X-Yにお
ける断面図を図5(B)に示す。なお、図5(A)では、図の明瞭化のために一部の要素
を拡大、縮小、または省略して図示している。
【0099】
図5(A)及び(B)に示すEDLC200は、絶縁膜201と、絶縁膜201上に形成
された集電体層202と、集電体層202上に形成された活物質層203と、活物質層2
03上に形成された電解質層204と、電解質層204上に形成された活物質層205と
、活物質層205上に形成された集電体層206と、を有する。集電体層202及び活物
質層203は、正極及び負極の一方としての機能を有し、活物質層205及び集電体層2
06は、正極及び負極の他方としての機能を有する。さらに、少なくとも集電体層206
上に、絶縁膜207が成膜され、絶縁膜207の開口部には、配線208が形成され、配
線208は、集電体層206と電気的に接続されている。
【0100】
絶縁膜201は、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、
酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化ジ
ルコニウム、酸化イットリウム、酸化ガリウム、酸化ランタン、酸化セシウム、酸化タン
タルまたは酸化マグネシウムの一種以上を選択して、単層または積層で用いればよい。
【0101】
集電体層202及び集電体層206は、スパッタリング法、CVD法、ナノインプリント
法、蒸着法、塗布法などにより形成することができる。スパッタリング法を用いた場合、
RFではなくDC電源を用いて成膜することが好ましい。DC電源を用いたスパッタリン
グ法は、成膜レートが大きく、そのためタクトが短くなり、好ましい。集電体層202及
び集電体層206の膜厚は、例えば100nm以上100μm以下とすればよい。
【0102】
集電体層202及び集電体層206は、例えば、導電材料などを用いることができる。導
電材料として、例えば、金、白金、亜鉛、鉄、ニッケル、銅、アルミニウム、チタン、タ
ンタル、マンガンの一種以上を選択して、単層または積層で用いればよい。また、上記金
属の合金またはこれらを主成分とする化合物を含む導電膜を、単層または積層で用いても
よい。また、シリコン、ネオジム、スカンジウム、モリブデンなどの耐熱性を向上させる
元素が添加されたアルミニウム合金を用いることができる。また、シリコンと反応してシ
リサイドを形成する金属元素で形成してもよい。シリコンと反応してシリサイドを形成す
る金属元素としては、ジルコニウム、チタン、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタ
ル、クロム、モリブデン、タングステン、コバルト、ニッケル等がある。
【0103】
活物質層203及び活物質層205は、イオンを吸着・脱離させることが可能な高比表面
積の材料を用いればよい。例えば炭素系材料を用いることができる。炭素系材料としては
、活性炭、黒鉛、易黒鉛化性炭素(ソフトカーボン)、難黒鉛化性炭素(ハードカーボン
)、カーボンナノチューブ、グラフェン、カーボンブラック等がある。黒鉛としては、メ
ソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、コークス系人造黒鉛、ピッチ系人造黒鉛等の人
造黒鉛や、球状化天然黒鉛等の天然黒鉛がある。
【0104】
また、活物質層203及び活物質層205の一方にイオンの吸着・脱離が可能な上記材料
を用いて、活物質層203及び活物質層205の他方に、イオンを挿入・脱離させること
が可能な材料を用いてもよい。イオンを挿入・脱離させることが可能な材料として、例え
ば、上述した炭素系材料が挙げられる。
【0105】
また、活物質層203及び活物質層205の一方にイオンの吸着・脱離が可能な上記材料
を用いて、活物質層203及び活物質層205の他方に、リチウムイオンと合金化・脱合
金化反応が可能な材料を用いてもよい。リチウムイオンと合金化・脱合金化反応が可能な
金属として、例えば、Ga、Si、Al、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、Ag、Zn、
Cd、In等のうち少なくとも一つを含む材料を用いることができる。このような元素を
用いた合金系材料としては、例えば、MgSi、MgGe、MgSn、SnS
Sn、FeSn、CoSn、NiSn、CuSn、AgSn、Ag
Sb、NiMnSb、CeSb、LaSn、LaCoSn、CoSb
InSb、SbSn等がある。また、活物質層203及び活物質層205の他方には、S
iO、SnO,SnO2などの酸化物を用いてもよい。
【0106】
また、活物質層203及び、活物質層205は、活物質の密着性を高めるための結着剤(
バインダ)、を有してもよい。
【0107】
バインダとしては、例えば水溶性の高分子を含むことが好ましい。水溶性の高分子として
は、例えば多糖類などを用いることができる。多糖類としては、カルボキシメチルセルロ
ース(CMC)、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース
およびジアセチルセルロース、再生セルロースなどのセルロース誘導体や、澱粉、などを
用いることができる。
【0108】
また、バインダとしては、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、スチレン・イソプレン
・スチレンゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、エチレン・プロ
ピレン・ジエン共重合体などのゴム材料を用いることが好ましい。これらのゴム材料は、
前述の水溶性高分子と併用して用いると、さらに好ましい。
【0109】
または、バインダとしては、ポリスチレン、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メ
チル(PMMA)、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ
エチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド、ポリイミド、ポリ塩化ビニル、
ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、イソブチレン、ポリエチ
レンテレフタレート、ナイロン、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリアクリロニト
リル(PAN)、等の材料を用いることが好ましい。
【0110】
バインダは上記のうち二種類以上を組み合わせて使用してもよい。
【0111】
また、活物質層203及び、活物質層205は、活物質層の導電性を高めるための導電助
剤等を有してもよい。
【0112】
導電助剤としては、例えば天然黒鉛、メソカーボンマイクロビーズ等の人造黒鉛、炭素繊
維などを用いることができる。炭素繊維としては、例えばメソフェーズピッチ系炭素繊維
、等方性ピッチ系炭素繊維等の炭素繊維を用いることができる。また炭素繊維として、カ
ーボンナノファイバーやカーボンナノチューブなどを用いることができる。カーボンナノ
チューブは、例えば気相成長法などで作製することができる。また、導電助剤として、例
えばカーボンブラック(アセチレンブラック(AB)など)又はグラフェンなどの炭素材
料を用いることができる。また、例えば、銅、ニッケル、アルミニウム、銀、金などの金
属粉末や金属繊維、導電性セラミックス材料等を用いることができる。
【0113】
薄片状のグラフェンは、高い導電性を有するという優れた電気特性、及び柔軟性並びに機
械的強度という優れた物理特性を有する。そのため、グラフェンを、導電助剤として用い
ることにより、活物質同士の接触点や、接触面積を増大させることができる。
【0114】
なお、本明細書において、グラフェンは、単層のグラフェン、又は2層以上100層以下
の多層グラフェンを含む。単層グラフェンとは、π結合を有する1原子層の炭素分子のシ
ートのことをいう。また、酸化グラフェンとは、上記グラフェンが酸化された化合物のこ
とをいう。なお、酸化グラフェンを還元してグラフェンを形成する場合、酸化グラフェン
に含まれる酸素は全て脱離されずに、一部の酸素はグラフェンに残存する。グラフェンに
酸素が含まれる場合、酸素の割合は、XPS(X線光電子分光法)で測定した場合にグラ
フェン全体の2%以上20%以下、好ましくは3%以上15%以下である。
【0115】
活物質層203及び活物質層205の膜厚は、例えば100nm以上100μm以下とす
ればよい。
【0116】
電解質層204は、スパッタ法、蒸着法、CVD法、レーザーアブレーション法、ガスデ
ポジション法、塗布法、ゾル-ゲル法で形成することのできる固体電解質を用いることが
好ましい。
【0117】
電解質層204には、硫化物系固体電解質を用いることができる。例えば、Li
11、Li3.250.95、Li10GeP12、Li3.25Ge0.2
0.75、LiS-P、LiS-GeS、LiS-SiS-L
PO、LiS-SiS-Ga、LiS-SiS-LiSiO
LiI-LiS-P、LiI-LiS-B、LiI-LiS-SiS
、等のリチウム複合硫化物材料が挙げられる。
【0118】
また、電解質層204には、酸化物系固体電解質を用いることができる。例えば、Li
.3Al0.3Ti1.7(PO、Li1.07Al0.69Ti1.46(PO
、LiSiO-LiBO、Li2.9PO3.30.46、Li3.6
Si0.60.4、Li1.5Al0.5Ge1.6(PO、LiO、L
CO、LiMoO、LiPO、LiVO、LiSiO、LLT(
La2/3-xLi3xTiO)、LLZ(LiLaZr12)等が挙げられ
る。
【0119】
また、電解質層204には、LiとBH を含む固体電解質を用いてもよい。例えば
、LiBH、Li(BH0.750.25、Li(BH0.75Br0.2
などの固体電解質が挙げられる。
【0120】
また、電解質層204には、塗布法等により形成するPEO(ポリエチレンオキシド)等
の高分子系固体電解質を用いてもよい。さらに、上述した無機系固体電解質と高分子系固
体電解質を含む複合的な固体電解質を用いてもよい。
【0121】
電解質層204の膜厚は、例えば100nm以上100μm以下とすればよい。
【0122】
絶縁膜207は、EDLC200を保護する機能を有する。絶縁膜207としては、例え
ば樹脂(ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、シロキサン樹脂、エポキシ樹
脂、フェノール樹脂など)、ガラス、アモルファス化合物、セラミックス等の絶縁性材料
を用いることができる。また、樹脂の層間に、吸水層としてフッ化カルシウムなどを有す
る層を設けてもよい。絶縁膜207は、スピンコート法、インクジェット法などによって
形成する事ができる。また、絶縁膜207は、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸
化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化窒化アルミニウ
ム、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、酸化イットリウム、酸化ガリウム、酸化ランタ
ン、酸化セシウム、酸化タンタルまたは酸化マグネシウムの一種以上を選択して、単層ま
たは積層で作製してもよい。
【0123】
配線208は、銅(Cu)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、金(Au)、ア
ルミニウム(Al)、マンガン(Mn)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ニッケル
(Ni)、クロム(Cr)、鉛(Pb)、錫(Sn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)の
低抵抗材料からなる単体、もしくは合金、またはこれらを主成分とする化合物を含む導電
膜の単層または積層とすることが好ましい。
【0124】
また、図5(C)に示すように、電解質層204の中に、正極と負極が短絡しないように
、セパレータ209を設けてもよい。セパレータ209は、空孔が設けられた絶縁体を用
いることが好ましい。例えば、セルロース、ポリプロピレン、ポリエチレン等が挙げられ
る。
【0125】
また、接続される半導体装置または電子機器に必要な電力量に応じて、複数のEDLC2
00を、直列および/または並列に接続してもよい。特に、積層された複数のEDLC2
00を直列および/または並列に接続することで、EDLCのエネルギー密度を大きくし
、且つ占有面積を小さくできるので好ましい。
【0126】
EDLC200を上記構成で作製することで、より安全で、信頼性が高い蓄電素子を提供
できる。また、半導体素子との親和性が高く、微細な蓄電素子を提供することができる。
【0127】
〈蓄電素子の構成例2〉
図6(A)は、EDLC210の上面図であり、図6(A)における一点鎖線X-Yにお
ける断面図を図6(B)に示す。なお、図6(A)では、図の明瞭化のために一部の要素
を拡大、縮小、または省略して図示している。
【0128】
図6(A)及び(B)に示すEDLC210は、集電体層202及び活物質層203を島
状に加工した後に、電解質層204、活物質層205及び集電体層206を形成している
点で、図5のEDLC200と異なる。このようにすることで、正極と負極が短絡するこ
とを防ぐことができる。また、EDLC210は、集電体層206を配線として引き回し
ている点で、EDLC200と異なる。
【0129】
また、図6(C)に示すように、電解質層204の中に、正極と負極が短絡しないように
、セパレータ209を設けてもよい。セパレータ209は、空孔が設けられた絶縁体を用
いることが好ましい。例えば、セルロース、ポリプロピレン、ポリエチレン等が挙げられ
る。
【0130】
その他の構成要素に関する詳細は、図5のEDLC200に関する記載を参照すればよい
【0131】
EDLC210を上記構成で作製することで、より安全で、信頼性が高い蓄電素子を提供
できる。また、半導体素子との親和性が高く、微細な蓄電素子を提供することができる。
【0132】
〈蓄電素子の構成例3〉
図7(A)は、EDLC220の上面図であり、図7(A)における一点鎖線X-Yにお
ける断面図を図7(B)に示す。なお、図7(A)では、図の明瞭化のために一部の要素
を拡大、縮小、または省略して図示している。
【0133】
図7(A)及び(B)に示すEDLC220は、絶縁膜201と、絶縁膜201上に形成
された集電体層202と、集電体層202上に形成された活物質層213と、活物質層2
13上に形成されたセパレータ214と、セパレータ214上に形成された活物質層21
5と、活物質層215上に形成された集電体層206と、を有する。集電体層202及び
活物質層213は、正極及び負極の一方としての機能を有し、活物質層215及び集電体
層206は、正極及び負極の他方としての機能を有する。さらに、少なくとも集電体層2
06上に、絶縁膜217が成膜され、絶縁膜217の開口部には、配線208が形成され
、配線208は、集電体層206と電気的に接続されている。
【0134】
活物質層213、セパレータ214及び活物質層215は、粒子状の物質で構成され、且
つ、イオン液体を含むことが好ましい。
【0135】
なお、図7(B)では、活物質層213、セパレータ214及び活物質層215が、丸の
集合体で図示されているが、これは、各層が粒子状の物質で構成されていることを模式的
に示すためである。図中の丸の数、大きさ又は形状は、実際の粒子の数、大きさ又は形状
が反映されたものではない。
【0136】
次に、EDLC220の作製方法について、図8を用いて説明を行う。
【0137】
まず、絶縁膜201上に、集電体層202、活物質層213、セパレータ214、活物質
層215、集電体層206を、成膜又は堆積する(図8(A))。
【0138】
絶縁膜201、集電体層202及び集電体層206は、スパッタリング法、CVD法、ナ
ノインプリント法、蒸着法、塗布法などにより形成することができる。
【0139】
絶縁膜201、集電体層202及び集電体層206に用いることができる材料は、図5
EDLC200に関する記載を参照すればよい。
【0140】
活物質層213及び活物質層215には、多孔質材料が用いられることが好ましい。上記
材料として、例えば、活性炭、グラファイト等、炭素系の材料が挙げられる。
【0141】
また、活物質層213及び活物質層215は、先述のバインダ及び導電助剤を有しても良
い。
【0142】
セパレータ214には、絶縁体の材料が用いられることが好ましい。上記材料として、例
えば、酸化シリコンなどが挙げられる。
【0143】
活物質層213、活物質層215及びセパレータ214を構成する粒子は、ガスデポジシ
ョン法、又はエアロゾル化ガスデポジション法を用いて、堆積させることが好ましい。
【0144】
次に、フォトリソグラフィを用いて、集電体層202、活物質層213、セパレータ21
4、活物質層215、集電体層206を、島状に加工する(図8(B))。なお、フォト
リソグラフィの代わりに、シャドウマスク、電子ビーム露光等を用いて、図8(B)の形
状を形成しても良い。
【0145】
次に、電解液216を滴下し、活物質層213、セパレータ214及び活物質層215に
、電解液216を含浸させる(図8(C))。
【0146】
電解液216はEDLC220の電解質としての機能を有する。電解液216は、難燃性
及び難揮発性であるイオン液体(常温溶融塩)を含むことが好ましい。イオン液体は一つ
又は複数の種類を組み合わせて用いればよい。イオン液体を含む電解液216を用いるこ
とで、蓄電素子の内部短絡や、過充電等によって内部温度が上昇しても、蓄電素子の破裂
や発火などを防ぐことができる。イオン液体は、カチオンとアニオンからなり、有機カチ
オンとアニオンとを含む。該有機カチオンとして、イミダゾリウムカチオン及びピリジニ
ウムカチオン等の芳香族カチオンや、四級アンモニウムカチオン、三級スルホニウムカチ
オン、及び四級ホスホニウムカチオン等の脂肪族オニウムカチオンが挙げられる。また、
該アニオンとして、1価のアミド系アニオン、1価のメチド系アニオン、フルオロスルホ
ン酸アニオン、パーフルオロアルキルスルホン酸アニオン、テトラフルオロボレート、パ
ーフルオロアルキルボレート、ヘキサフルオロホスフェート、またはパーフルオロアルキ
ルホスフェート等が挙げられる。
【0147】
例えば、イミダゾリウムカチオンの一例として、エチルメチルイミダゾリウム(EMI)
カチオンが挙げられる。
【0148】
例えば、四級アンモニウムカチオンの一例として、N-メチル-N-プロピルピロリジニ
ウム(P13)カチオン、又は、N-メチル-N-プロピルピペリジニウム(PP13)
カチオンが挙げられる。
【0149】
また、上述のイオン液体に非プロトン性有機溶媒を混合して用いてもよい。非プロトン性
有機溶媒としては例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(P
C)、ブチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、γ
-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカ
ーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ギ酸メチル、酢酸メチル
、酪酸メチル、1,3-ジオキサン、1,4-ジオキサン、ジメトキシエタン(DME)
、ジメチルスルホキシド、ジエチルエーテル、メチルジグライム、アセトニトリル、ベン
ゾニトリル、テトラヒドロフラン、スルホラン、スルトン等の1種、又はこれらのうちの
2種以上を任意の組み合わせ及び比率で用いることができる。
【0150】
また、電解液216にビニレンカーボネート、プロパンスルトン(PS)、tert-ブ
チルベンゼン(TBB)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、LiBOBなどの
添加剤を添加してもよい。添加剤の濃度は、例えば溶媒全体に対して0.1weight
%以上5weight%以下とすればよい。
【0151】
また、電解液216に、リチウムイオンを含む溶質を加えても良い。例えばLiPF
LiClO、LiAsF、LiBF、LiAlCl、LiSCN、LiBr、L
iI、LiSO、Li10Cl10、Li12Cl12、LiCFSO
、LiCSO、LiC(CFSO、LiC(CSO、Li
N(CFSO、LiN(CSO)(CFSO)、LiN(C
SO等のリチウム塩を一種、又はこれらのうちの二種以上を任意の組み合わせ及び
比率で用いることができる。
【0152】
また、電解液216は、粒状のごみや電解液の構成元素以外の元素(以下、単に「不純物
」ともいう。)の含有量が少ない高純度化された電解液を用いることが好ましい。具体的
には、電解液に対する不純物の重量比を1%以下、好ましくは0.1%以下、より好まし
くは0.01%以下とすることが好ましい。
【0153】
図8(C)の工程は、減圧雰囲気で行うことが好ましい。減圧雰囲気で行うことで、活物
質層213、セパレータ214及び活物質層215の内部に含まれる気体が素子の外へ放
出され、代わりに電解液216が毛細管現象によって、素子の内部に浸透する。
【0154】
電解液216はイオン液体を含むため、粘性が高く、減圧環境下でも、素子の内部に留ま
り、液漏れすることがない。
【0155】
最後に、絶縁膜217及び配線208を形成する(図8(D))。
【0156】
配線208は、図5のEDLC200の記載を参照すればよい。
【0157】
絶縁膜217はEDLC220の保護層として機能する。絶縁膜217としては、酸化ア
ルミニウム、窒化酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコ
ン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリ
ウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウム、酸化タンタル
などから選ばれた一種以上を含む無機絶縁膜を用いることができる。また、ポリイミド樹
脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、シロキサン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等
の有機樹脂も用いることもできる。
【0158】
特に、絶縁膜217は、電解液216と反応しないことが好ましい。そのため、絶縁膜2
17としては、上述した絶縁体のうち無機絶縁膜を用いることが好ましい。
【0159】
また、イオン液体を含む電解液216は、揮発性が低く、水と反応して劣化することもな
い。そのため、EDLC220が、水と反応して劣化する材料を他に含んでいなければ、
EDLC220は大気に曝露された状態でもよい。この場合、絶縁膜217を設けなくて
も良い。
【0160】
また、EDLC220が、水と反応して劣化する材料を含んでいる場合は、EDLC22
0を、減圧状態が保持された環境に置くことで、絶縁膜217を設けなくてもEDLC2
20の長期信頼性を確保することができる。
【0161】
EDLC220を上記構成で作製することで、より安全で、信頼性が高い蓄電素子を提供
できる。また、半導体素子との親和性が高く、微細な蓄電素子を提供することができる。
【0162】
〈蓄電素子の構成例4〉
図9(A)は、EDLC230の上面図であり、図9(A)における一点鎖線X-Yにお
ける断面図を図9(B)に示す。なお、図9(A)では、図の明瞭化のために一部の要素
を拡大、縮小、または省略して図示している。
【0163】
図9(A)及び(B)に示すEDLC230は、集電体層202及び活物質層213を島
状に加工した後に、セパレータ214、活物質層215及び集電体層206を形成してい
る点で、図7のEDLC220と異なる。このようにすることで、正極と負極が短絡する
ことを防ぐことができる。また、EDLC230は、集電体層206を配線として引き回
している点で、EDLC220と異なる。このようにすることで、製造工程を簡略化する
ことができる。
【0164】
その他の構成要素に関しては、図7のEDLC220に関する記載を参照すればよい。
【0165】
EDLC230を上記構成で作製することで、より安全で、信頼性が高い蓄電素子を提供
できる。また、半導体素子との親和性が高く、微細な蓄電素子を提供することができる。
【0166】
〈蓄電素子の構成例5〉
図10(A)に示すEDLC240は、絶縁膜201と、絶縁膜201上に形成された集
電体層202と、集電体層202上に形成された活物質層203と、活物質層203上に
形成された電解質層204と、電解質層204上に形成された絶縁膜251と、電解質層
204および絶縁膜251上に形成された活物質層205と、活物質層205上に形成さ
れた集電体層206と、を有し、集電体層202及び活物質層203は、正極及び負極の
一方として機能し、集電体層206及び活物質層205は正極及び負極の他方として機能
する。さらに、少なくとも集電体層206の上に、絶縁膜207が形成されている。
【0167】
図10(A)に示すEDLC240において、絶縁膜251が電解質層204と活物質層
205の間に存在することで、正極と負極の短絡を防ぐことができる。
【0168】
絶縁膜251は、例えば、有機樹脂又は無機絶縁材料を用いることができる。有機樹脂と
しては、例えば、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、シロキサン樹脂、エ
ポキシ樹脂、又はフェノール樹脂等を用いることができる。無機絶縁材料としては、酸化
シリコン、酸化窒化シリコン等を用いることができる。絶縁膜251の作製が容易となる
ため、特に感光性の樹脂を用いることが好ましい。絶縁膜251の形成方法は、特に限定
されず、例えば、フォトリソグラフィ法、スパッタ法、蒸着法、液滴吐出法(インクジェ
ット法等)、印刷法(スクリーン印刷、オフセット印刷等)等を用いればよい。
【0169】
EDLC240のその他の構成要素に関する詳細は、図5のEDLC200の記載を参照
すればよい。
【0170】
なお、EDLC240は図10(B)に示すように、活物質層203の上に、絶縁膜25
1を形成してもよい。
【0171】
EDLC240を上記構成で作製することで、より安全で、信頼性が高い蓄電素子を提供
できる。また、半導体素子との親和性が高く、微細な蓄電素子を提供することができる。
【0172】
以上、本実施の形態で示す構成、方法は、他の実施の形態で示す構成、方法と適宜組み合
わせて用いることができる。
【0173】
(実施の形態3)
本実施の形態では、実施の形態1で示したトランジスタ730に適用可能なトランジスタ
の一例について説明する。
【0174】
〈トランジスタの構成例1〉
図11(A)乃至図11(D)は、トランジスタ730の上面図および断面図である。図
11(A)は上面図であり、図11(A)に示す一点鎖線Y1-Y2方向の断面が図11
(B)に相当し、図11(A)に示す一点鎖線X1-X2方向の断面が図11(C)に相
当し、図11(A)に示す一点鎖線X3-X4方向の断面が図11(D)に相当する。な
お、図11(A)乃至図11(D)では、図の明瞭化のために一部の要素を拡大、縮小、
または省略して図示している。また、一点鎖線Y1-Y2方向をチャネル長方向、一点鎖
線X1-X2方向をチャネル幅方向と呼称する場合がある。
【0175】
なお、チャネル長とは、例えば、トランジスタの上面図において、半導体(またはトラン
ジスタがオン状態のときに半導体の中で電流の流れる部分)とゲート電極とが重なる領域
、またはチャネルが形成される領域における、ソース(ソース領域またはソース電極)と
ドレイン(ドレイン領域またはドレイン電極)との間の距離をいう。なお、一つのトラン
ジスタにおいて、チャネル長が全ての領域で同じ値をとるとは限らない。即ち、一つのト
ランジスタのチャネル長は、一つの値に定まらない場合がある。そのため、本明細書では
、チャネル長は、チャネルの形成される領域における、いずれか一の値、最大値、最小値
または平均値とする。
【0176】
チャネル幅とは、例えば、半導体(またはトランジスタがオン状態のときに半導体の中で
電流の流れる部分)とゲート電極とが重なる領域、またはチャネルが形成される領域にお
ける、ソースとドレインとが向かい合っている部分の長さをいう。なお、一つのトランジ
スタにおいて、チャネル幅がすべての領域で同じ値をとるとは限らない。即ち、一つのト
ランジスタのチャネル幅は、一つの値に定まらない場合がある。そのため、本明細書では
、チャネル幅は、チャネルの形成される領域における、いずれか一の値、最大値、最小値
または平均値とする。
【0177】
なお、トランジスタの構造によっては、実際にチャネルの形成される領域におけるチャネ
ル幅(以下、実効的なチャネル幅と呼ぶ。)と、トランジスタの上面図において示される
チャネル幅(以下、見かけ上のチャネル幅と呼ぶ。)と、が異なる場合がある。例えば、
立体的な構造を有するトランジスタでは、実効的なチャネル幅が、トランジスタの上面図
において示される見かけ上のチャネル幅よりも大きくなり、その影響が無視できなくなる
場合がある。例えば、微細かつ立体的な構造を有するトランジスタでは、半導体の上面に
形成されるチャネル領域の割合に対して、半導体の側面に形成されるチャネル領域の割合
が大きくなる場合がある。その場合は、上面図において示される見かけ上のチャネル幅よ
りも、実際にチャネルの形成される実効的なチャネル幅の方が大きくなる。
【0178】
ところで、立体的な構造を有するトランジスタにおいては、実効的なチャネル幅の、実測
による見積もりが困難となる場合がある。例えば、設計値から実効的なチャネル幅を見積
もるためには、半導体の形状が既知という仮定が必要である。したがって、半導体の形状
が正確にわからない場合には、実効的なチャネル幅を正確に測定することは困難である。
【0179】
そこで、本明細書では、トランジスタの上面図において、半導体とゲート電極とが重なる
領域における、ソースとドレインとが向かい合っている部分の長さである見かけ上のチャ
ネル幅を、「囲い込みチャネル幅(SCW:Surrounded Channel W
idth)」と呼ぶ場合がある。また、本明細書では、単にチャネル幅と記載した場合に
は、囲い込みチャネル幅または見かけ上のチャネル幅を指す場合がある。または、本明細
書では、単にチャネル幅と記載した場合には、実効的なチャネル幅を指す場合がある。な
お、チャネル長、チャネル幅、実効的なチャネル幅、見かけ上のチャネル幅、囲い込みチ
ャネル幅などは、断面TEM像などを取得して、その画像を解析することなどによって、
値を決定することができる。
【0180】
なお、トランジスタの電界効果移動度や、チャネル幅当たりの電流値などを計算して求め
る場合、囲い込みチャネル幅を用いて計算する場合がある。その場合には、実効的なチャ
ネル幅を用いて計算する場合とは異なる値をとる場合がある。
【0181】
トランジスタ730は、基板640と、基板640上の絶縁膜651と、絶縁膜651上
に形成された導電膜674と、絶縁膜651及び導電膜674上に形成された絶縁膜65
6と、絶縁膜656上に形成された絶縁膜652と、絶縁膜652上に、半導体661、
半導体662の順で形成された積層と、半導体662の上面と接する導電膜671および
導電膜672と、半導体661、半導体662、導電膜671および導電膜672と接す
る半導体663と、半導体663上の絶縁膜653および導電膜673と、導電膜673
および絶縁膜653上の絶縁膜654と、絶縁膜654上の絶縁膜655を有する。なお
、半導体661、半導体662および半導体663をまとめて、半導体660と呼称する
【0182】
導電膜671は、トランジスタ730のソース電極としての機能を有する。導電膜672
は、トランジスタ730のドレイン電極としての機能を有する。
【0183】
導電膜673は、トランジスタ730の第1のゲート電極としての機能を有する。
【0184】
絶縁膜653は、トランジスタ730の第1のゲート絶縁膜としての機能を有する。
【0185】
導電膜674は、トランジスタ730の第2のゲート電極としての機能を有する。
【0186】
絶縁膜656及び絶縁膜652は、トランジスタ730の第2のゲート絶縁膜としての機
能を有する。
【0187】
導電膜674は、導電膜673と異なる電位を与えても良いし、同時に同じ電位を与えて
もよい。また、場合によっては、導電膜674を省略してもよい。
【0188】
図11(C)に示すように、半導体662の側面は、導電膜673に囲まれている。上記
構成をとることで、導電膜673の電界によって、半導体662を電気的に取り囲むこと
ができる(導電膜(ゲート電極)の電界によって、半導体を電気的に取り囲むトランジス
タの構造を、surrounded channel(s-channel)構造とよぶ
。)。そのため、半導体662の全体(バルク)にチャネルが形成される場合がある。s
-channel構造は、トランジスタのソース-ドレイン間に大電流を流すことができ
、導通時の電流(オン電流)を高くすることができる。また、s-channel構造は
、高周波でも動作可能なトランジスタを提供することができる。
【0189】
s-channel構造は、高いオン電流が得られるため、LSI(Large Sca
le Integration)など微細化されたトランジスタが要求される半導体装置
に適した構造といえる。トランジスタを微細化できるため、該トランジスタを有する半導
体装置は、集積度の高い、高密度化された半導体装置とすることが可能となる。例えば、
トランジスタは、チャネル長が好ましくは10nm以上、1μm未満、さらに好ましくは
10nm以上、100nm未満、さらに好ましくは10nm以上、60nm未満、さらに
好ましくは10nm以上、30nm未満の領域を有する。
【0190】
s-channel構造は、高いオン電流が得られるため、高周波での動作が要求される
トランジスタに適した構造といえる。該トランジスタを有する半導体装置は、高周波で動
作可能な半導体装置とすることが可能となる。
【0191】
また、s-channel構造は、高いオン電流が得られるため、電力制御用のトランジ
スタに適した構造といえる。s-channel構造を電力制御用のトランジスタに用い
る場合は、高耐圧が要求されるため、チャネル長が長い方が好ましい。例えば、トランジ
スタは、チャネル長が好ましくは1μm以上、さらに好ましくは10μm以上、さらに好
ましくは100μm以上の領域を有することが好ましい。
【0192】
〈〈基板〉〉
基板640としては、例えば、絶縁体基板、半導体基板または導電体基板を用いればよい
。絶縁体基板としては、例えば、ガラス基板、石英基板、サファイア基板、安定化ジルコ
ニア基板(イットリア安定化ジルコニア基板など)、樹脂基板などがある。また、半導体
基板としては、例えば、シリコン、ゲルマニウムなどの単体半導体基板、または炭化シリ
コン、シリコンゲルマニウム、ヒ化ガリウム、リン化インジウム、酸化亜鉛、酸化ガリウ
ムからなる化合物半導体基板などがある。さらには、前述の半導体基板内部に絶縁体領域
を有する半導体基板、例えばSOI(Silicon On Insulator)基板
などがある。導電体基板としては、黒鉛基板、金属基板、合金基板、導電性樹脂基板など
がある。または、金属の窒化物を有する基板、金属の酸化物を有する基板などがある。さ
らには、絶縁体基板に導電体または半導体が設けられた基板、半導体基板に導電体または
絶縁体が設けられた基板、導電体基板に半導体または絶縁体が設けられた基板などがある
。または、これらの基板に素子が設けられたものを用いてもよい。基板に設けられる素子
としては、容量素子、抵抗素子、スイッチ素子、発光素子、記憶素子などがある。
【0193】
また、基板640として、可とう性基板を用いてもよい。なお、可とう性基板上にトラン
ジスタを設ける方法としては、非可とう性の基板上にトランジスタを作製した後、トラン
ジスタを剥離し、可とう性基板である基板640に転置する方法もある。その場合には、
非可とう性基板とトランジスタとの間に剥離層を設けるとよい。なお、基板640として
、繊維を編みこんだシート、フィルムまたは箔などを用いてもよい。また、基板640が
伸縮性を有してもよい。また、基板640は、折り曲げや引っ張りをやめた際に、元の形
状に戻る性質を有してもよい。または、元の形状に戻らない性質を有してもよい。基板6
40の厚さは、例えば、5μm以上700μm以下、好ましくは10μm以上500μm
以下、さらに好ましくは15μm以上300μm以下とする。基板640を薄くすると、
半導体装置を軽量化することができる。また、基板640を薄くすることで、ガラスなど
を用いた場合にも伸縮性を有する場合や、折り曲げや引っ張りをやめた際に、元の形状に
戻る性質を有する場合がある。そのため、落下などによって基板640上の半導体装置に
加わる衝撃などを緩和することができる。即ち、丈夫な半導体装置を提供することができ
る。
【0194】
可とう性基板である基板640としては、例えば、金属、合金、樹脂もしくはガラス、ま
たはそれらの繊維などを用いることができる。可とう性基板である基板640は、線膨張
率が低いほど環境による変形が抑制されて好ましい。可とう性基板である基板640とし
ては、例えば、線膨張率が1×10-3/K以下、5×10-5/K以下、または1×1
-5/K以下である材質を用いればよい。樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリ
オレフィン、ポリアミド(ナイロン、アラミドなど)、ポリイミド、ポリカーボネート、
アクリル、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などがある。特に、アラミドは、線
膨張率が低いため、可とう性基板である基板640として好適である。
【0195】
〈〈下地絶縁膜〉〉
絶縁膜651は、基板640と導電膜674を電気的に分離させる機能を有する。
【0196】
絶縁膜651に用いる材料として、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコンまた
は窒化酸化シリコンを含む材料を用いることが好ましい。または、酸化アルミニウム、酸
化窒化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化窒化ガリウム、酸化イットリウム、酸化窒化イ
ットリウム、酸化ハフニウム、酸化窒化ハフニウム等の金属酸化物を用いる事ができる。
なお、本明細書中において、酸化窒化物とは、その組成として窒素よりも酸素の含有量が
多い材料を指し、窒化酸化物とは、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多い材料
を示す。
【0197】
また、絶縁膜651として、TEOS若しくはシラン等と、酸素若しくは亜酸化窒素等と
を反応させて形成した段差被覆性の良い酸化シリコンを用いてもよい。
【0198】
絶縁膜651は、スパッタリング法、CVD(Chemical Vapor Depo
sition)法(熱CVD法、MOCVD(Metal Organic CVD)法
、PECVD(Plasma Enhanced CVD)法等を含む)、MBE(Mo
lecular Beam Epitaxy)法、ALD(Atomic Layer
Deposition)法、またはPLD(Pulsed Laser Deposit
ion)法等で成膜してもよい。特に、当該絶縁膜をCVD法、好ましくはプラズマCV
D法によって成膜すると、被覆性を向上させることができるため好ましい。またプラズマ
によるダメージを減らすには、熱CVD法、MOCVD法あるいはALD法が好ましい。
【0199】
また、基板640に半導体基板を用いた場合、熱酸化膜で絶縁膜651を形成してもよい
【0200】
導電膜674は、銅(Cu)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、金(Au)、
アルミニウム(Al)、マンガン(Mn)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ニッケ
ル(Ni)、クロム(Cr)、鉛(Pb)、錫(Sn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)
、ルテニウム(Ru)、白金(Pt)、イリジウム(Ir)、ストロンチウム(Sr)の
低抵抗材料からなる単体、もしくは合金、またはこれらを主成分とする化合物を含む導電
膜の単層または積層とすることが好ましい。特に、耐熱性と導電性を両立するタングステ
ンやモリブデンなどの高融点材料を用いることが好ましい。また、アルミニウムや銅など
の低抵抗導電性材料で形成することが好ましい。さらに、Cu-Mn合金を用いると、酸
素を含む絶縁体との界面に酸化マンガンを形成し、酸化マンガンがCuの拡散を抑制する
機能を持つので好ましい。
【0201】
導電膜674の形成は、例えばスパッタリング法、CVD法(熱CVD法、MOCVD法
、PECVD法等を含む)、MBE法、ALD法またはPLD法などを用いて形成するこ
とができる。
【0202】
絶縁膜652は、酸化物を含むことが好ましい。特に加熱により一部の酸素が脱離する酸
化物材料を含むことが好ましい。好適には、化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸
素を含む酸化物を用いることが好ましい。化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素
を含む酸化物膜は、加熱により一部の酸素が脱離する。絶縁膜652から脱離した酸素は
酸化物半導体である半導体660に供給され、酸化物半導体中の酸素欠損を低減すること
が可能となる。その結果、トランジスタの電気特性の変動を抑制し、信頼性を高めること
ができる。
【0203】
化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化物膜は、例えば、TDS(Th
ermal Desorption Spectroscopy)分析にて、酸素原子に
換算しての酸素の脱離量が1.0×1018atoms/cm以上、好ましくは3.0
×1020atoms/cm以上である酸化物膜である。なお、上記TDS分析時にお
ける膜の表面温度としては100℃以上700℃以下、または100℃以上500℃以下
の範囲が好ましい。
【0204】
例えば、絶縁膜652として、酸化シリコンまたは酸化窒化シリコンを含む材料を用いる
ことが好ましい。または、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化ガリウム、酸
化窒化ガリウム、酸化イットリウム、酸化窒化イットリウム、酸化ハフニウム、酸化窒化
ハフニウム等の金属酸化物を用いることもできる。
【0205】
絶縁膜652に酸素を過剰に含有させるためには、例えば酸素雰囲気下にて絶縁膜652
の成膜を行えばよい。または、成膜後の絶縁膜652に酸素を導入して酸素を過剰に含有
する領域を形成してもよく、双方の手段を組み合わせてもよい。
【0206】
例えば、成膜後の絶縁膜652に酸素(少なくとも酸素ラジカル、酸素原子、酸素イオン
のいずれかを含む)を導入して酸素を過剰に含有する領域を形成する。酸素の導入方法と
しては、イオン注入法、イオンドーピング法、プラズマイマージョンイオン注入法、プラ
ズマ処理などを用いることができる。
【0207】
酸素導入処理には、酸素を含むガスを用いることができる。酸素を含むガスとしては、例
えば酸素、亜酸化窒素、二酸化窒素、二酸化炭素、一酸化炭素などを用いることができる
。また、酸素導入処理において、酸素を含むガスに希ガスを含ませてもよい。または、水
素等を含ませてもよい。例えば、二酸化炭素、水素及びアルゴンの混合ガスを用いるとよ
い。
【0208】
また、絶縁膜652を成膜した後、その上面の平坦性を高めるためにCMP法等を用いた
平坦化処理を行ってもよい。
【0209】
導電膜674と絶縁膜652との間に、絶縁膜656を設けてもよい。絶縁膜656は、
絶縁膜652に含まれる酸素が、導電膜674に含まれる金属と結びつき、絶縁膜652
に含まれる酸素が減少することを防ぐ機能を有する。
【0210】
絶縁膜656は、酸素、水素、水、アルカリ金属、アルカリ土類金属等のブロッキング効
果を有することが好ましい。絶縁膜656としては、例えば、窒化物絶縁膜を用いること
ができる。該窒化物絶縁膜としては、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化アルミニウ
ム、窒化酸化アルミニウム等がある。なお、窒化物絶縁膜の代わりに、酸化物絶縁膜を設
けてもよい。酸素、水素、水等のブロッキング効果を有する酸化物絶縁膜としては、酸化
アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化窒化ガリウム、酸化イットリ
ウム、酸化窒化イットリウム、酸化ハフニウム、酸化窒化ハフニウム等がある。
【0211】
〈〈半導体〉〉
次に、半導体661、半導体662、半導体663などに適用可能な半導体について説明
する。
【0212】
トランジスタ730は、非導通状態においてソースとドレインとの間を流れる電流(オフ
電流)が低いことが好適である。ここでは、オフ電流が低いとは、室温において、ソース
とドレインとの間の電圧を10Vとし、チャネル幅1μmあたりの規格化されたオフ電流
が10×10-21A以下であることをいう。このようにオフ電流が低いトランジスタと
しては、半導体に酸化物半導体を有するトランジスタが挙げられる。
【0213】
半導体662は、例えば、インジウム(In)を含む酸化物半導体である。半導体662
は、例えば、インジウムを含むと、キャリア移動度(電子移動度)が高くなる。また、半
導体662は、元素Mを含むと好ましい。元素Mは、好ましくは、アルミニウム(Al)
、ガリウム(Ga)、イットリウム(Y)またはスズ(Sn)などとする。そのほかの元
素Mに適用可能な元素としては、ホウ素(B)、シリコン(Si)、チタン(Ti)、鉄
(Fe)、ニッケル(Ni)、ゲルマニウム(Ge)、ジルコニウム(Zr)、モリブデ
ン(Mo)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、ネオジム(Nd)、ハフニウム(H
f)、タンタル(Ta)、タングステン(W)などがある。ただし、元素Mとして、前述
の元素を複数組み合わせても構わない場合がある。元素Mは、例えば、酸素との結合エネ
ルギーが高い元素である。例えば、酸素との結合エネルギーがインジウムよりも高い元素
である。または、元素Mは、例えば、酸化物半導体のエネルギーギャップを大きくする機
能を有する元素である。また、半導体662は、亜鉛(Zn)を含むと好ましい。酸化物
半導体は、亜鉛を含むと結晶化しやすくなる場合がある。
【0214】
ただし、半導体662は、インジウムを含む酸化物半導体に限定されない。半導体662
は、例えば、亜鉛スズ酸化物、ガリウムスズ酸化物などの、インジウムを含まず、亜鉛を
含む酸化物半導体、ガリウムを含む酸化物半導体、スズを含む酸化物半導体などであって
も構わない。
【0215】
半導体662は、例えば、エネルギーギャップが大きい酸化物を用いる。半導体662の
エネルギーギャップは、例えば、2.5eV以上4.2eV以下、好ましくは2.8eV
以上3.8eV以下、さらに好ましくは3eV以上3.5eV以下とする。
【0216】
半導体662は、後述するCAAC-OS膜であることが好ましい。
【0217】
例えば、半導体661および半導体663は、半導体662を構成する酸素以外の元素一
種以上、または二種以上から構成される酸化物半導体である。半導体662を構成する酸
素以外の元素一種以上、または二種以上から半導体661および半導体663が構成され
るため、半導体661と半導体662との界面、および半導体662と半導体663との
界面において、界面準位が形成されにくい。
【0218】
なお、半導体661がIn-M-Zn酸化物のとき、InおよびMの和を100atom
ic%としたとき、好ましくはInが50atomic%未満、Mが50atomic%
より高く、さらに好ましくはInが25atomic%未満、Mが75atomic%よ
り高いとする。半導体661をスパッタリング法で成膜する場合、上記の組成を満たすス
パッタリングターゲットを用いることが好ましい。例えば、スパッタリングターゲットの
原子数比はIn:M:Zn=1:3:2が好ましい。
【0219】
また、半導体662がIn-M-Zn酸化物のとき、InおよびMの和を100atom
ic%としたとき、好ましくはInが25atomic%より高く、Mが75atomi
c%未満、さらに好ましくはInが34atomic%より高く、Mが66atomic
%未満とする。半導体662をスパッタリング法で成膜する場合、上記の組成を満たすス
パッタリングターゲットを用いることが好ましい。例えば、スパッタリングターゲットの
原子数比はIn:M:Zn=1:1:1、In:M:Zn=1:1:1.2、In:M:
Zn=2:1:3、In:M:Zn=3:1:2、In:M:Zn=4:2:4.1が好
ましい。特に、スパッタリングターゲットとして、原子数比がIn:Ga:Zn=4:2
:4.1を用いる場合、成膜される半導体662の原子数比は、In:Ga:Zn=4:
2:3近傍となる場合がある。
【0220】
また、半導体663がIn-M-Zn酸化物のとき、InおよびMの和を100atom
ic%としたとき、好ましくはInが50atomic%未満、Mが50atomic%
より高く、さらに好ましくはInが25atomic%未満、Mが75atomic%よ
り高くする。なお、半導体663は、半導体661と同種の酸化物を用いても構わない。
ただし、半導体661または/および半導体663がインジウムを含まなくても構わない
場合がある。例えば、半導体661または/および半導体663が酸化ガリウムであって
も構わない。
【0221】
次に、半導体661、半導体662、および半導体663の積層により構成される半導体
660の機能およびその効果について、図12(B)に示すエネルギーバンド構造図を用
いて説明する。図12(A)は、図11(B)に示すトランジスタ730のチャネル部分
を拡大した図で、図12(B)は、図12(A)にA1-A2の鎖線で示した部位のエネ
ルギーバンド構造を示している。また、図12(B)は、トランジスタ730のチャネル
領域のエネルギーバンド構造を示している。
【0222】
図12(B)中、Ec652、Ec661、Ec662、Ec663、Ec653は、そ
れぞれ、絶縁膜652、半導体661、半導体662、半導体663、絶縁膜653の伝
導帯下端のエネルギーを示している。
【0223】
ここで、真空準位と伝導帯下端のエネルギーとの差(「電子親和力」ともいう。)は、真
空準位と価電子帯上端のエネルギーとの差(イオン化ポテンシャルともいう。)からエネ
ルギーギャップを引いた値となる。なお、エネルギーギャップは、分光エリプソメータを
用いて測定できる。また、真空準位と価電子帯上端のエネルギー差は、紫外線光電子分光
分析(UPS:Ultraviolet Photoelectron Spectro
scopy)装置を用いて測定できる。
【0224】
絶縁膜652と絶縁膜653は絶縁体であるため、Ec653とEc652は、Ec66
1、Ec662、およびEc663よりも真空準位に近い(電子親和力が小さい)。
【0225】
半導体662は、半導体661および半導体663よりも電子親和力の大きい酸化物を用
いる。例えば、半導体662として、半導体661および半導体663よりも電子親和力
の0.07eV以上1.3eV以下、好ましくは0.1eV以上0.7eV以下、さらに
好ましくは0.15eV以上0.4eV以下大きい酸化物を用いる。なお、電子親和力は
、真空準位と伝導帯下端のエネルギーとの差である。
【0226】
なお、インジウムガリウム酸化物は、小さい電子親和力と、高い酸素ブロック性を有する
。そのため、半導体663がインジウムガリウム酸化物を含むと好ましい。ガリウム原子
割合[Ga/(In+Ga)]は、例えば、70%以上、好ましくは80%以上、さらに
好ましくは90%以上とする。
【0227】
このとき、ゲート電圧を印加すると、半導体661、半導体662、半導体663のうち
、電子親和力の大きい半導体662にチャネルが形成される。
【0228】
ここで、半導体661と半導体662との間には、半導体661と半導体662との混合
領域を有する場合がある。また、半導体662と半導体663との間には、半導体662
と半導体663との混合領域を有する場合がある。混合領域は、界面準位密度が低くなる
。そのため、半導体661、半導体662および半導体663の積層体は、それぞれの界
面近傍において、エネルギーが連続的に変化する(連続接合ともいう。)バンド構造とな
る。
【0229】
このとき、電子は、半導体661中および半導体663中ではなく、半導体662中を主
として移動する。上述したように、半導体661および半導体662の界面における界面
準位密度、半導体662と半導体663との界面における界面準位密度を低くすることに
よって、半導体662中で電子の移動が阻害されることが少なく、トランジスタのオン電
流を高くすることができる。
【0230】
トランジスタのオン電流は、電子の移動を阻害する要因を低減するほど、高くすることが
できる。例えば、電子の移動を阻害する要因のない場合、効率よく電子が移動すると推定
される。電子の移動は、例えば、チャネル領域の物理的な凹凸が大きい場合にも阻害され
る。
【0231】
トランジスタのオン電流を高くするためには、例えば、半導体662の上面または下面(
被形成面、ここでは半導体661)の、1μm×1μmの範囲における二乗平均平方根(
RMS:Root Mean Square)粗さが1nm未満、好ましくは0.6nm
未満、さらに好ましくは0.5nm未満、より好ましくは0.4nm未満とすればよい。
また、1μm×1μmの範囲における平均面粗さ(Raともいう。)が1nm未満、好ま
しくは0.6nm未満、さらに好ましくは0.5nm未満、より好ましくは0.4nm未
満とすればよい。また、1μm×1μmの範囲における最大高低差(P-Vともいう。)
が10nm未満、好ましくは9nm未満、さらに好ましくは8nm未満、より好ましくは
7nm未満とすればよい。RMS粗さ、RaおよびP-Vは、エスアイアイ・ナノテクノ
ロジー株式会社製走査型プローブ顕微鏡システムSPA-500などを用いて測定するこ
とができる。
【0232】
または、例えば、チャネルの形成される領域中の欠陥準位密度が高い場合にも、電子の移
動は阻害される。
【0233】
例えば、半導体662が酸素欠損(Vとも表記。)を有する場合、酸素欠損のサイトに
水素が入り込むことでドナー準位を形成することがある。以下では酸素欠損のサイトに水
素が入り込んだ状態をVHと表記する場合がある。VHは電子を散乱するため、トラ
ンジスタのオン電流を低下させる要因となる。なお、酸素欠損のサイトは、水素が入るよ
りも酸素が入る方が安定する。したがって、半導体662中の酸素欠損を低減することで
、トランジスタのオン電流を高くすることができる場合がある。
【0234】
例えば、半導体662のある深さにおいて、または、半導体662のある領域において、
二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spect
rometry)で測定される水素濃度は、1×1016atoms/cm以上、2×
1020atoms/cm以下、好ましくは1×1016atoms/cm以上、5
×1019atoms/cm以下、より好ましくは1×1016atoms/cm
上、1×1019atoms/cm以下、さらに好ましくは1×1016atoms/
cm以上、5×1018atoms/cm以下とする。
【0235】
半導体662の酸素欠損を低減するために、例えば、絶縁膜652に含まれる過剰酸素を
、半導体661を介して半導体662まで移動させる方法などがある。この場合、半導体
661は、酸素透過性を有する層(酸素を透過させる層)であることが好ましい。
【0236】
なお、トランジスタがs-channel構造を有する場合、半導体662の全体にチャ
ネルが形成される。したがって、半導体662が厚いほどチャネル領域は大きくなる。即
ち、半導体662が厚いほど、トランジスタのオン電流を高くすることができる。
【0237】
また、トランジスタのオン電流を高くするためには、半導体663の厚さは小さいほど好
ましい。半導体663は、例えば、10nm未満、好ましくは5nm以下、さらに好まし
くは3nm以下の領域を有していればよい。一方、半導体663は、チャネルの形成され
る半導体662へ、隣接する絶縁体を構成する酸素以外の元素(水素、シリコンなど)が
入り込まないようブロックする機能を有する。そのため、半導体663は、ある程度の厚
さを有することが好ましい。半導体663は、例えば、0.3nm以上、好ましくは1n
m以上、さらに好ましくは2nm以上の厚さの領域を有していればよい。また、半導体6
63は、絶縁膜652などから放出される酸素の外方拡散を抑制するために、酸素をブロ
ックする性質を有すると好ましい。
【0238】
また、信頼性を高くするためには、半導体661は厚く、半導体663は薄いことが好ま
しい。半導体661は、例えば、10nm以上、好ましくは20nm以上、さらに好まし
くは40nm以上、より好ましくは60nm以上の厚さの領域を有していればよい。半導
体661の厚さを、厚くすることで、隣接する絶縁体と半導体661との界面からチャネ
ルの形成される半導体662までの距離を離すことができる。ただし、半導体装置の生産
性が低下する場合があるため、半導体661は、例えば、200nm以下、好ましくは1
20nm以下、さらに好ましくは80nm以下の厚さの領域を有していればよい。
【0239】
例えば、半導体662と半導体661との間に、例えば、SIMS分析において、1×1
16atoms/cm以上、1×1019atoms/cm未満、好ましくは1×
1016atoms/cm以上、5×1018atoms/cm未満、さらに好まし
くは1×1016atoms/cm以上、2×1018atoms/cm未満のシリ
コン濃度となる領域を有する。また、半導体662と半導体663との間に、SIMSに
おいて、1×1016atoms/cm以上、1×1019atoms/cm未満、
好ましくは1×1016atoms/cm以上、5×1018atoms/cm未満
、さらに好ましくは1×1016atoms/cm以上、2×1018atoms/c
未満のシリコン濃度となる領域を有する。
【0240】
また、半導体662の水素濃度を低減するために、半導体661および半導体663の水
素濃度を低減すると好ましい。半導体661および半導体663は、SIMSにおいて、
1×1016atoms/cm以上、2×1020atoms/cm以下、好ましく
は1×1016atoms/cm以上、5×1019atoms/cm以下、より好
ましくは1×1016atoms/cm以上、1×1019atoms/cm以下、
さらに好ましくは1×1016atoms/cm以上、5×1018atoms/cm
以下の水素濃度となる領域を有する。また、半導体662の窒素濃度を低減するために
、半導体661および半導体663の窒素濃度を低減すると好ましい。半導体661およ
び半導体663は、SIMSにおいて、1×1016atoms/cm以上、5×10
19atoms/cm未満、好ましくは1×1016atoms/cm以上、5×1
18atoms/cm以下、より好ましくは1×1016atoms/cm以上、
1×1018atoms/cm以下、さらに好ましくは1×1016atoms/cm
以上、5×1017atoms/cm以下の窒素濃度となる領域を有する。
【0241】
上述の3層構造は一例である。例えば、半導体661または半導体663のない2層構造
としても構わない。または、半導体661の上もしくは下、または半導体663上もしく
は下に、半導体661、半導体662および半導体663として例示した半導体のいずれ
か一を有する4層構造としても構わない。または、半導体661の上、半導体661の下
、半導体663の上、半導体663の下のいずれか二箇所以上に、半導体661、半導体
662および半導体663として例示した半導体のいずれか一を有するn層構造(nは5
以上の整数)としても構わない。
【0242】
〈〈導電膜〉〉
導電膜671、導電膜672及び導電膜673は、銅(Cu)、タングステン(W)、モ
リブデン(Mo)、金(Au)、アルミニウム(Al)、マンガン(Mn)、チタン(T
i)、タンタル(Ta)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、鉛(Pb)、錫(Sn)
、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ルテニウム(Ru)、白金(Pt)、イリジウム(I
r)、ストロンチウム(Sr)の低抵抗材料からなる単体、もしくは合金、またはこれら
を主成分とする化合物を含む導電膜の単層または積層とすることが好ましい。特に、耐熱
性と導電性を両立するタングステンやモリブデンなどの高融点材料を用いることが好まし
い。また、アルミニウムや銅などの低抵抗導電性材料で形成することが好ましい。さらに
、Cu-Mn合金を用いると、酸素を含む絶縁体との界面に酸化マンガンを形成し、酸化
マンガンがCuの拡散を抑制する機能を持つので好ましい。
【0243】
また、導電膜671及び導電膜672は、酸化イリジウム、酸化ルテニウム、ストロンチ
ウムルテナイトなど、貴金属を含む導電性酸化物を用いることが好ましい。これらの導電
性酸化物は、酸化物半導体と接しても酸化物半導体から酸素を奪うことが少なく、酸化物
半導体の酸素欠損を作りにくい。
【0244】
導電膜671、導電膜672及び導電膜673の形成は、例えばスパッタリング法、CV
D法(熱CVD法、MOCVD法、PECVD法等を含む)、MBE法、ALD法または
PLD法などを用いて形成することができる。
【0245】
〈〈ゲート絶縁膜〉〉
絶縁膜653には、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリ
コン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イット
リウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウムおよび酸化タ
ンタルを一種以上含む絶縁膜を用いることができる。また、絶縁膜653は上記材料の積
層であってもよい。なお、絶縁膜653に、ランタン(La)、窒素、ジルコニウム(Z
r)などを、不純物として含んでいてもよい。
【0246】
また、絶縁膜653の積層構造の一例について説明する。絶縁膜653は、例えば、酸素
、窒素、シリコン、ハフニウムなどを有する。具体的には、酸化ハフニウム、および酸化
シリコンまたは酸化窒化シリコンを含むと好ましい。
【0247】
酸化ハフニウムは、酸化シリコンや酸化窒化シリコンと比べて比誘電率が高い。したがっ
て、酸化シリコンを用いた場合と比べて、絶縁膜653の膜厚を大きくできるため、トン
ネル電流によるリーク電流を小さくすることができる。即ち、オフ電流の小さいトランジ
スタを実現することができる。
【0248】
〈〈保護絶縁膜〉〉
絶縁膜654は、酸素、水素、水、アルカリ金属、アルカリ土類金属等のブロッキングで
きる機能を有する。絶縁膜654を設けることで、半導体660からの酸素の外部への拡
散と、外部から半導体660への水素、水等の入り込みを防ぐことができる。
【0249】
絶縁膜654は、例えばスパッタリング法、CVD法(熱CVD法、MOCVD法、PE
CVD法等を含む)、MBE法、ALD法またはPLD法などを用いて形成することがで
きる。特に、当該絶縁膜をCVD法、好ましくはプラズマCVD法によって成膜すると、
被覆性を向上させることができるため好ましい。またプラズマによるダメージを減らすに
は、熱CVD法、MOCVD法あるいはALD法が好ましい。
【0250】
絶縁膜654としては、例えば、窒化物絶縁膜を用いることができる。該窒化物絶縁膜と
しては、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム等
がある。なお、窒化物絶縁膜の代わりに、酸素、水素、水等のブロッキング効果を有する
酸化物絶縁膜を設けてもよい。酸化物絶縁膜としては、酸化アルミニウム、酸化窒化アル
ミニウム、酸化ガリウム、酸化窒化ガリウム、酸化イットリウム、酸化窒化イットリウム
、酸化ハフニウム、酸化窒化ハフニウム等がある。
【0251】
酸化アルミニウム膜は、水素、水分などの不純物、および酸素の両方に対して膜を透過さ
せない遮断効果が高いので絶縁膜654に適用するのに好ましい。また、酸化アルミニウ
ム膜に含まれる酸素を半導体660に拡散させることもできる。
【0252】
絶縁膜654の成膜後、加熱処理を行うことが好ましい。この加熱処理により、絶縁膜6
52等から半導体660に対して酸素を供給し、半導体660中の酸素欠損を低減するこ
とができる。またこのとき、絶縁膜652から脱離した酸素は、絶縁膜656及び絶縁膜
654によってブロックされるため、当該酸素を効果的に閉じ込めることができる。その
ため半導体660に供給しうる酸素の量を増大させることができ、半導体660中の酸素
欠損を効果的に低減することができる。
【0253】
続いて、絶縁膜655を形成する。絶縁膜655は、例えばスパッタリング法、CVD法
(熱CVD法、MOCVD法、PECVD法等を含む)、MBE法、ALD法またはPL
D法などを用いて形成することができる。特に、CVD法、好ましくはプラズマCVD法
によって成膜すると、被覆性を良好なものとすることができるため好ましい。またプラズ
マによるダメージを減らすには、熱CVD法、MOCVD法あるいはALD法が好ましい
。また絶縁膜655として有機樹脂などの有機絶縁材料を用いる場合には、スピンコート
法などの塗布法を用いて形成してもよい。また、絶縁膜655を形成した後にその上面に
対して平坦化処理を行うことが好ましい。
【0254】
絶縁膜655には、酸化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化
シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ゲ
ルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化
ハフニウム、酸化タンタルなどから選ばれた一種以上含む絶縁体を用いることができる。
また、絶縁膜655には、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、シロキサン
樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等の有機樹脂を用いることもできる。また、絶縁膜
655は上記材料の積層であってもよい。
【0255】
〈トランジスタの構成例2〉
図11で示したトランジスタ730は、導電膜673をエッチングで形成する際に、半導
体663及び絶縁膜653を、同時にエッチングしてもよい。一例を図13に示す。
【0256】
図13は、図11(B)において、導電膜673の下のみに、半導体663及び絶縁膜6
53が存在する場合である。
【0257】
〈トランジスタの構成例3〉
図11で示したトランジスタ730は、導電膜671及び導電膜672が、半導体661
の側面及び半導体662の側面と接していてもよい。一例を図14に示す。
【0258】
図14は、図11(B)において、導電膜671及び導電膜672が、半導体661の側
面及び半導体662の側面と接している場合である。
【0259】
〈トランジスタの構成例4〉
図11で示したトランジスタ730は、導電膜671が、導電膜671a及び導電膜67
1bの積層構造としてもよい。また、導電膜672が、導電膜672a及び導電膜672
bの積層構造としてもよい。一例として、図15に示す。
【0260】
図15は、図11(B)において、導電膜671が、導電膜671a及び導電膜671b
の積層構造とし、導電膜672が、導電膜672a及び導電膜672bの積層構造とした
場合である。
【0261】
導電膜671bおよび導電膜672bとしては、例えば、透明導電体、酸化物半導体、窒
化物半導体または酸化窒化物半導体を用いればよい。導電膜671bおよび導電膜672
bとしては、例えば、インジウム、スズおよび酸素を含む膜、インジウムおよび亜鉛を含
む膜、インジウム、タングステンおよび亜鉛を含む膜、スズおよび亜鉛を含む膜、亜鉛お
よびガリウムを含む膜、亜鉛およびアルミニウムを含む膜、亜鉛およびフッ素を含む膜、
亜鉛およびホウ素を含む膜、スズおよびアンチモンを含む膜、スズおよびフッ素を含む膜
またはチタンおよびニオブを含む膜などを用いればよい。または、これらの膜が水素、炭
素、窒素、シリコン、ゲルマニウムまたはアルゴンを含んでも構わない。
【0262】
導電膜671bおよび導電膜672bは、可視光線を透過する性質を有しても構わない。
または、導電膜671bおよび導電膜672bは、可視光線、紫外線、赤外線もしくはX
線を、反射もしくは吸収することで透過させない性質を有しても構わない。このような性
質を有することで、迷光によるトランジスタの電気特性の変動を抑制できる場合がある。
【0263】
また、導電膜671bおよび導電膜672bは、半導体662などとの間にショットキー
障壁を形成しない層を用いると好ましい場合がある。こうすることで、トランジスタのオ
ン特性を向上させることができる。
【0264】
導電膜671aおよび導電膜672aとしては、例えば、ホウ素、窒素、酸素、フッ素、
シリコン、リン、アルミニウム、チタン、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、
亜鉛、ガリウム、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、ルテニウム、銀、インジウ
ム、スズ、タンタルおよびタングステンを一種以上含む導電体を、単層で、または積層で
用いればよい。例えば、合金膜や化合物膜であってもよく、アルミニウムを含む導電体、
銅およびチタンを含む導電体、銅およびマンガンを含む導電体、インジウム、スズおよび
酸素を含む導電体、チタンおよび窒素を含む導電体などを用いてもよい。
【0265】
なお、導電膜671bおよび導電膜672bは、導電膜671aおよび導電膜672aよ
りも高抵抗の膜を用いると好ましい場合がある。また、導電膜671bおよび導電膜67
2bは、トランジスタのチャネルよりも低抵抗の膜を用いると好ましい場合がある。例え
ば、導電膜671bおよび導電膜672bの抵抗率を、0.1Ωcm以上100Ωcm以
下、0.5Ωcm以上50Ωcm以下、または1Ωcm以上10Ωcm以下とすればよい
。導電膜671bおよび導電膜672bの抵抗率を上述の範囲とすることにより、チャネ
ルとドレインとの境界部における電界集中を緩和することができる。そのため、トランジ
スタの電気特性の変動を低減することができる。また、ドレインから生じる電界に起因し
たパンチスルー電流を低減することができる。そのため、チャネル長の短いトランジスタ
においても、飽和特性を良好にすることができる。なお、ソースとドレインとが入れ替わ
らない回路構成であれば、導電膜671bおよび導電膜672bのいずれか一方のみ(例
えば、ドレイン側)を配置するほうが好ましい場合がある。
【0266】
〈酸化物半導体の結晶構造〉
次に、半導体662に適用可能な、酸化物半導体の結晶構造について説明を行う。
【0267】
なお、本明細書において、「平行」とは、二つの直線が-10°以上10°以下の角度で
配置されている状態をいう。したがって、-5°以上5°以下の場合も含まれる。また、
「略平行」とは、二つの直線が-30°以上30°以下の角度で配置されている状態をい
う。また、「垂直」とは、二つの直線が80°以上100°以下の角度で配置されている
状態をいう。したがって、85°以上95°以下の場合も含まれる。また、「略垂直」と
は、二つの直線が60°以上120°以下の角度で配置されている状態をいう。
【0268】
また、本明細書において、結晶が三方晶または菱面体晶である場合、六方晶系として表す
【0269】
酸化物半導体膜は、非単結晶酸化物半導体膜と単結晶酸化物半導体膜とに分けられる。ま
たは、酸化物半導体は、例えば、結晶性酸化物半導体と非晶質酸化物半導体とに分けられ
る。
【0270】
なお、非単結晶酸化物半導体としては、CAAC-OS(C Axis Aligned
Crystalline Oxide Semiconductor)、多結晶酸化物
半導体、微結晶酸化物半導体、非晶質酸化物半導体などがある。また、結晶性酸化物半導
体としては、単結晶酸化物半導体、CAAC-OS、多結晶酸化物半導体、微結晶酸化物
半導体などがある。
【0271】
まずは、CAAC-OS膜について説明する。
【0272】
CAAC-OS膜は、c軸配向した複数の結晶部を有する酸化物半導体膜の一つである。
【0273】
透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Micro
scope)によって、CAAC-OS膜の明視野像および回折パターンの複合解析像(
高分解能TEM像ともいう。)を観察することで複数の結晶部を確認することができる。
一方、高分解能TEM像によっても明確な結晶部同士の境界、即ち結晶粒界(グレインバ
ウンダリーともいう。)を確認することができない。そのため、CAAC-OS膜は、結
晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。
【0274】
試料面と略平行な方向から、CAAC-OS膜の断面の高分解能TEM像を観察すると、
結晶部において、金属原子が層状に配列していることを確認できる。金属原子の各層は、
CAAC-OS膜の膜を形成する面(被形成面ともいう。)または上面の凹凸を反映した
形状であり、CAAC-OS膜の被形成面または上面と平行に配列する。
【0275】
一方、試料面と略垂直な方向から、CAAC-OS膜の平面の高分解能TEM像を観察す
ると、結晶部において、金属原子が三角形状または六角形状に配列していることを確認で
きる。しかしながら、異なる結晶部間で、金属原子の配列に規則性は見られない。
【0276】
CAAC-OS膜に対し、X線回折(XRD:X-Ray Diffraction)装
置を用いて構造解析を行うと、例えばInGaZnOの結晶を有するCAAC-OS膜
のout-of-plane法による解析では、回折角(2θ)が31°近傍にピークが
現れる場合がある。このピークは、InGaZnOの結晶の(009)面に帰属される
ことから、CAAC-OS膜の結晶がc軸配向性を有し、c軸が被形成面または上面に略
垂直な方向を向いていることが確認できる。
【0277】
なお、InGaZnOの結晶を有するCAAC-OS膜のout-of-plane法
による解析では、2θが31°近傍のピークの他に、2θが36°近傍にもピークが現れ
る場合がある。2θが36°近傍のピークは、CAAC-OS膜中の一部に、c軸配向性
を有さない結晶が含まれることを示している。CAAC-OS膜は、2θが31°近傍に
ピークを示し、2θが36°近傍にピークを示さないことが好ましい。
【0278】
CAAC-OS膜は、不純物濃度の低い酸化物半導体膜である。不純物は、水素、炭素、
シリコン、遷移金属元素などの酸化物半導体膜の主成分以外の元素である。特に、シリコ
ンなどの、酸化物半導体膜を構成する金属元素よりも酸素との結合力の強い元素は、酸化
物半導体膜から酸素を奪うことで酸化物半導体膜の原子配列を乱し、結晶性を低下させる
要因となる。また、鉄やニッケルなどの重金属、アルゴン、二酸化炭素などは、原子半径
(または分子半径)が大きいため、酸化物半導体膜内部に含まれると、酸化物半導体膜の
原子配列を乱し、結晶性を低下させる要因となる。なお、酸化物半導体膜に含まれる不純
物は、キャリアトラップやキャリア発生源となる場合がある。
【0279】
また、CAAC-OS膜は、欠陥準位密度の低い酸化物半導体膜である。例えば、酸化物
半導体膜中の酸素欠損は、キャリアトラップとなることや、水素を捕獲することによって
キャリア発生源となることがある。
【0280】
不純物濃度が低く、欠陥準位密度が低い(酸素欠損の少ない)ことを、高純度真性または
実質的に高純度真性と呼ぶ。高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体膜
は、キャリア発生源が少ないため、キャリア密度を低くすることができる。したがって、
当該酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、しきい値電圧がマイナスとなる電気特性(
ノーマリーオンともいう。)になることが少ない。また、高純度真性または実質的に高純
度真性である酸化物半導体膜は、キャリアトラップが少ない。そのため、当該酸化物半導
体膜を用いたトランジスタは、電気特性の変動が小さく、信頼性の高いトランジスタとな
る。なお、酸化物半導体膜のキャリアトラップに捕獲された電荷は、放出するまでに要す
る時間が長く、あたかも固定電荷のように振る舞うことがある。そのため、不純物濃度が
高く、欠陥準位密度が高い酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、電気特性が不安定と
なる場合がある。
【0281】
また、CAAC-OS膜を用いたトランジスタは、可視光や紫外光の照射による電気特性
の変動が小さい。
【0282】
次に、微結晶酸化物半導体膜について説明する。
【0283】
微結晶酸化物半導体膜は、高分解能TEM像において、結晶部を確認することのできる領
域と、明確な結晶部を確認することのできない領域と、を有する。微結晶酸化物半導体膜
に含まれる結晶部は、1nm以上100nm以下、または1nm以上10nm以下の大き
さであることが多い。特に、1nm以上10nm以下、または1nm以上3nm以下の微
結晶であるナノ結晶(nc:nanocrystal)を有する酸化物半導体膜を、nc
-OS(nanocrystalline Oxide Semiconductor)
膜と呼ぶ。また、nc-OS膜は、例えば、高分解能TEM像では、結晶粒界を明確に確
認できない場合がある。
【0284】
nc-OS膜は、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に1nm以上
3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。また、nc-OS膜は、異なる
結晶部間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全体で配向性が見られない。し
たがって、nc-OS膜は、分析方法によっては、非晶質酸化物半導体膜と区別が付かな
い場合がある。例えば、nc-OS膜に対し、結晶部よりも大きい径のX線を用いるXR
D装置を用いて構造解析を行うと、out-of-plane法による解析では、結晶面
を示すピークが検出されない。また、nc-OS膜に対し、結晶部よりも大きいプローブ
径(例えば50nm以上)の電子線を用いる電子回折(制限視野電子回折ともいう。)を
行うと、ハローパターンのような回折パターンが観測される。一方、nc-OS膜に対し
、結晶部の大きさと近いか結晶部より小さいプローブ径の電子線を用いるナノビーム電子
回折を行うと、スポットが観測される。また、nc-OS膜に対しナノビーム電子回折を
行うと、円を描くように(リング状に)輝度の高い領域が観測される場合がある。また、
nc-OS膜に対しナノビーム電子回折を行うと、リング状の領域内に複数のスポットが
観測される場合がある。
【0285】
nc-OS膜は、非晶質酸化物半導体膜よりも規則性の高い酸化物半導体膜である。その
ため、nc-OS膜は、非晶質酸化物半導体膜よりも欠陥準位密度が低くなる。ただし、
nc-OS膜は、異なる結晶部間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、nc-O
S膜は、CAAC-OS膜と比べて欠陥準位密度が高くなる。
【0286】
次に、非晶質酸化物半導体膜について説明する。
【0287】
非晶質酸化物半導体膜は、膜中における原子配列が不規則であり、結晶部を有さない酸化
物半導体膜である。石英のような無定形状態を有する酸化物半導体膜が一例である。
【0288】
非晶質酸化物半導体膜は、高分解能TEM像において結晶部を確認することができない。
【0289】
非晶質酸化物半導体膜に対し、XRD装置を用いた構造解析を行うと、out-of-p
lane法による解析では、結晶面を示すピークが検出されない。また、非晶質酸化物半
導体膜に対し、電子回折を行うと、ハローパターンが観測される。また、非晶質酸化物半
導体膜に対し、ナノビーム電子回折を行うと、スポットが観測されず、ハローパターンが
観測される。
【0290】
なお、酸化物半導体膜は、nc-OS膜と非晶質酸化物半導体膜との間の物性を示す構造
を有する場合がある。そのような構造を有する酸化物半導体膜を、特に非晶質ライク酸化
物半導体(a-like OS:amorphous-like Oxide Semi
conductor)膜と呼ぶ。
【0291】
a-like OS膜は、高分解能TEM像において鬆(ボイドともいう。)が観察され
る場合がある。また、高分解能TEM像において、明確に結晶部を確認することのできる
領域と、結晶部を確認することのできない領域と、を有する。a-like OS膜は、
TEMによる観察程度の微量な電子照射によって、結晶化が起こり、結晶部の成長が見ら
れる場合がある。一方、良質なnc-OS膜であれば、TEMによる観察程度の微量な電
子照射による結晶化はほとんど見られない。
【0292】
なお、a-like OS膜およびnc-OS膜の結晶部の大きさの計測は、高分解能T
EM像を用いて行うことができる。例えば、InGaZnOの結晶は層状構造を有し、
In-O層の間に、Ga-Zn-O層を2層有する。InGaZnOの結晶の単位格子
は、In-O層を3層有し、またGa-Zn-O層を6層有する、計9層がc軸方向に層
状に重なった構造を有する。よって、これらの近接する層同士の間隔は、(009)面の
格子面間隔(d値ともいう。)と同程度であり、結晶構造解析からその値は0.29nm
と求められている。そのため、高分解能TEM像における格子縞に着目し、格子縞の間隔
が0.28nm以上0.30nm以下である箇所においては、それぞれの格子縞がInG
aZnOの結晶のa-b面に対応する。
【0293】
また、酸化物半導体膜は、構造ごとに密度が異なる場合がある。例えば、ある酸化物半導
体膜の組成がわかれば、該組成と同じ組成における単結晶の密度と比較することにより、
その酸化物半導体膜の構造を推定することができる。例えば、単結晶の密度に対し、a-
like OS膜の密度は78.6%以上92.3%未満となる。また、例えば、単結晶
の密度に対し、nc-OS膜の密度およびCAAC-OS膜の密度は92.3%以上10
0%未満となる。なお、単結晶の密度に対し密度が78%未満となる酸化物半導体膜は、
成膜すること自体が困難である。
【0294】
上記について、具体例を用いて説明する。例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子
数比]を満たす酸化物半導体膜において、菱面体晶構造を有する単結晶InGaZnO
の密度は6.357g/cmとなる。よって、例えば、In:Ga:Zn=1:1:1
[原子数比]を満たす酸化物半導体膜において、a-like OS膜の密度は5.0g
/cm以上5.9g/cm未満となる。また、例えば、In:Ga:Zn=1:1:
1[原子数比]を満たす酸化物半導体膜において、nc-OS膜の密度およびCAAC-
OS膜の密度は5.9g/cm以上6.3g/cm未満となる。
【0295】
なお、同じ組成の単結晶が存在しない場合がある。その場合、任意の割合で組成の異なる
単結晶を組み合わせることにより、所望の組成の単結晶に相当する密度を算出することが
できる。所望の組成の単結晶の密度は、組成の異なる単結晶を組み合わせる割合に対して
、加重平均を用いて算出すればよい。ただし、密度は、可能な限り少ない種類の単結晶を
組み合わせて算出することが好ましい。
【0296】
なお、酸化物半導体膜は、例えば、非晶質酸化物半導体膜、a-like OS膜、微結
晶酸化物半導体膜、CAAC-OS膜のうち、二種以上を有する積層膜であってもよい。
【0297】
以上、本実施の形態で示す構成、方法は、他の実施の形態で示す構成、方法と適宜組み合
わせて用いることができる。
【0298】
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の一態様の電子機器について、図16を用いて説明を行う。
【0299】
図16(A)乃至図16(F)は、電子機器を示す図である。これらの電子機器は、筐体
5000、表示部5001、スピーカ5003、LEDランプ5004、操作キー500
5(電源スイッチ、又は操作スイッチを含む)、接続端子5006、センサ5007(力
、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、
音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、におい
又は赤外線を測定する機能を含むもの)、マイクロフォン5008、等を有することがで
きる。
【0300】
図16(A)はモバイルコンピュータであり、上述したものの他に、スイッチ5009、
赤外線ポート5010、等を有することができる。図16(B)は記録媒体を備えた携帯
型の画像再生装置(たとえば、DVD再生装置)であり、上述したものの他に、第2表示
部5002、記録媒体読込部5011、等を有することができる。図16(C)はゴーグ
ル型ディスプレイであり、上述したものの他に、第2表示部5002、支持部5012、
イヤホン5013、等を有することができる。図16(D)は携帯型遊技機であり、上述
したものの他に、記録媒体読込部5011、等を有することができる。図16(E)はテ
レビ受像機能付きデジタルカメラであり、上述したものの他に、アンテナ5014、シャ
ッターボタン5015、受像部5016、等を有することができる。図16(F)は携帯
型遊技機であり、上述したものの他に、第2表示部5002、記録媒体読込部5011、
等を有することができる。
【0301】
図16(A)乃至図16(F)に示す電子機器は、様々な機能を有することができる。例
えば、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示部に表示する機能、タッチ
パネル機能、カレンダー、日付又は時刻などを表示する機能、様々なソフトウェア(プロ
グラム)によって処理を制御する機能、無線通信機能、無線通信機能を用いて様々なコン
ピュータネットワークに接続する機能、無線通信機能を用いて様々なデータの送信又は受
信を行う機能、記録媒体に記録されているプログラム又はデータを読み出して表示部に表
示する機能、等を有することができる。さらに、複数の表示部を有する電子機器において
は、一つの表示部を主として画像情報を表示し、別の一つの表示部を主として文字情報を
表示する機能、または、複数の表示部に視差を考慮した画像を表示することで立体的な画
像を表示する機能、等を有することができる。さらに、受像部を有する電子機器において
は、静止画を撮影する機能、動画を撮影する機能、撮影した画像を自動または手動で補正
する機能、撮影した画像を記録媒体(外部又はカメラに内蔵)に保存する機能、撮影した
画像を表示部に表示する機能、等を有することができる。なお、図16(A)乃至図16
(F)に示す電子機器が有することのできる機能はこれらに限定されず、様々な機能を有
することができる。
【0302】
本実施の形態において述べた電子機器は、複数の蓄電素子を内蔵し、無線充電できる無線
受信部を有することを特徴とする。
【0303】
また、図17(A)及び図17(B)に電子機器の使用例について説明する。
【0304】
図17(A)は、車などの移動体の車内で情報端末を操作している例を示す。
【0305】
5103はハンドルであり、内部にアンテナを有している。ハンドル5103内部のアン
テナから電子機器5100に電力供給できるようにする。電子機器5100は複数の蓄電
素子を有しており、そのうちの少なくとも一つが無線充電によって充電される。ハンドル
5103に電子機器5100を固定できるような治具を設けてもよい。ハンドル5103
に電子機器5100を固定すれば、ハンドフリーで電話、またはテレビ電話をかけること
もできる。また、電子機器5100に設けたマイクで音声認証し、操縦者の音声によって
車を操縦することもできる。
【0306】
例えば、電子機器5100を停車中に操作して位置情報を表示部5102に表示させるこ
とができる。また、車の表示部5101に表示していない情報、例えばエンジン回転数、
ハンドル角度、温度、タイヤ空気圧などを表示部5102に表示させてもよい。表示部5
102はタッチ入力機能を有する。また、車外を撮影する1つまたは複数のカメラを用い
て車外の様子を表示部5102に表示させることもでき、例えばバックモニターとしても
用いることができる。また、居眠り運転を防止するために、車から走行速度などの情報を
無線で受信し、走行速度をモニタリングしながら走行時は、電子機器5100から運転手
を撮影し、目を閉じている状態が長いと電子機器5100を振動させる、または、警告音
や、音楽が流れるようにする設定などを運転手が適宜選択できる。また、車の停止時には
運転手の撮影を停止して省電力を図り、さらに停止中には無線で電子機器5100の蓄電
素子を充電することができるようにしてもよい。
【0307】
車などの移動体においては、上述したように様々な利用が考えられ、電子機器5100は
、そのいろいろな機能を持たせるために多くのセンサや、複数のアンテナが内蔵されるこ
とが望まれる。車などの移動体は、電源を有しているが制限があり、移動体を駆動させる
電力などを考慮すると、電子機器5100に使用する電力はなるべく少なく抑えることが
好ましく、特に電気自動車などは電子機器5100が使用する消費電力によって走行距離
が短くなる恐れがある。電子機器5100にいろいろな機能を持たせても同時に全ての機
能を使用することは少なく、必要に応じて1つの機能または2つの機能だけ使用すること
が多い。機能ごとに蓄電素子を用意し、複数の蓄電素子を有する電子機器5100にいろ
いろな機能を持たせる場合、使用したい機能だけをオン状態としてそれぞれの機能に対応
する蓄電素子から電力を供給することで省電力化が図れる。さらに、複数の蓄電素子のう
ち、停止している機能に対応する蓄電素子は、車に設けたアンテナから無線充電すること
ができる。
【0308】
また、図17(B)は、飛行機などの機内で情報端末を操作している例を示す。飛行機な
どの機内においては個人の情報端末を使用できる時間などが制限されることもあり、長時
間のフライトである場合には飛行機に備え付けの情報端末が使用できることが望まれる。
【0309】
電子機器5200は、映画やゲームや宣伝などの映像を表示する表示部5202を有して
おり、通信機能により飛行位置や、到着時間などをリアルタイムに取得できる情報端末で
ある。また、表示部5202はタッチ入力機能を有する。
【0310】
また、シート5201に設けられた凹部に電子機器5200をはめこみ、電子機器520
0と重なる位置にアンテナ設置部5203を設け、はめ込んでいる間は無線充電できるよ
うにする。また、電子機器5200は、使用者が体調不良などを乗務員に連絡したい場合
の電話や連絡ツールとしても機能させることができる。電子機器5200に翻訳機能など
を持たせておけば、乗務員とは言語の異なる乗員であっても電子機器5200の表示部5
202を用いてコミュニケーションをとることができる。また、隣り合った言語の異なる
乗員同士でも電子機器5200の表示部5202を用いてコミュニケーションをとること
ができる。また、例えば、乗員が寝ている間、表示部5202に「起こさないでください
」と英語表示させ続ける、など伝言板としても機能させることもできる。
【0311】
電子機器5200は、機能ごとに蓄電素子を複数有し、複数の蓄電素子を有する電子機器
であり、使用したい機能だけをオン状態とし、使用していない機能をオフ状態とし、省電
力化が図れる。さらに、複数の蓄電素子のうち、停止している機能に対応する蓄電素子は
、アンテナ設置部5203から無線充電することができる。
【0312】
また、機内においては、危険物は持ち込むことが困難であり、小型蓄電素子を複数有する
電子機器5200は、安全性が高く、例え一つの蓄電素子が爆発したとしてもサイズが小
さいため、被害を最小限に抑えることができる。また、故障、爆発、または破壊によって
、一つの蓄電素子が使えなくなっても他の蓄電素子を用いることで電子機器5200が有
する機能の一部は使用できる。
【0313】
また、飛行機の電力系統の異常があった場合、複数のシートにそれぞれある電子機器52
00の複数の蓄電素子を非常用に使用できるように設計してもよい。複数のシートにそれ
ぞれある電子機器5200は全て同じ製品であり、同じ設計であるため、非常用電源とし
て直列接続できるようにシステムを構築してもよい。
【0314】
電子機器5200が有する複数の小型蓄電素子としては、リチウムポリマー電池などのリ
チウムイオン二次電池、リチウムイオンキャパシタ、電気二重層キャパシタ、レドックス
キャパシタのいずれか一、または複数種用いることができる。
【0315】
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることが
できる。
【0316】
(実施の形態5)
本実施の形態では、本発明の一態様である人工臓器の例を示す。
【0317】
図18は、ペースメーカの一例を示す断面模式図である。
【0318】
ペースメーカ本体5300は、蓄電素子5301a、5301bと、レギュレータと、制
御回路と、アンテナ5304と、右心房へのワイヤ5302、右心室へのワイヤ5303
とを少なくとも有している。
【0319】
ペースメーカ本体5300は手術により体内に設置され、二本のワイヤは、人体の鎖骨下
静脈5305を通過させて一方のワイヤ先端が右心室、もう一方のワイヤ先端が右心房に
設置されるようにする。
【0320】
また、アンテナ5304で電力が受信でき、その電力は複数の蓄電素子5301a、53
01bに充電され、ペースメーカの交換頻度を少なくすることができる。ペースメーカ本
体5300は複数の蓄電素子を有しているため、安全性が高く、一方が故障したとしても
もう一方が機能させることができるため、補助電源としても機能する。また、ペースメー
カに設ける蓄電素子をさらに複数に分けて薄型の蓄電素子とすれば、CPUなどを含む制
御回路が設けられているプリント基板に搭載し、ペースメーカ本体5300の小型化や、
ペースメーカ本体5300の厚さを薄くすることができる。
【0321】
また、電力を受信できるアンテナ5304とは別に、生理信号を送信できるアンテナを有
していてもよく、例えば、脈拍、呼吸数、心拍数、体温などの生理信号を外部のモニタ装
置で確認できるような心臓活動を監視するシステムを構成してもよい。
【0322】
本実施の形態により、小型化や薄型化が実現できれば、ペースメーカ本体5300を埋め
込んだ場所に生じる凸部を目立たない大きさにすることができる。
【0323】
なお、このペースメーカの設置方法も一例であって、心臓疾患に合わせて様々な形態とな
る場合がある。
【0324】
また、本実施の形態は、ペースメーカに限定されない。ペースメーカよりも普及している
人工臓器として人工内耳がある。人工内耳は音を電気信号に変え、蝸牛の中に入れた刺激
装置で聴神経を直接刺激する装置である。
【0325】
人工内耳は手術で耳の奥などに埋め込む第1の装置と、音をマイクで拾って埋め込んだ第
1の装置へ送る第2の装置とで構成される。第1の装置と第2の装置は電気的には接続さ
れておらず、ワイヤレスで送受信するシステムである。第1の装置は、音を変換した電気
信号を受信するアンテナと、蝸牛に達するワイヤとを少なくとも有している。また、第2
の装置は、音を電気信号に変換するための音声処理部と、その電気信号を第1の装置に送
信する送信回路とを少なくとも有している。
【0326】
本実施の形態では、第1の装置と第2の装置の両方に小型の蓄電素子を設けることで、人
工内耳の小型化を図ることができる。
【0327】
また、人工内耳は小児の段階で手術して埋め込むことが多く、小型化が望まれている。
【0328】
本実施の形態により、人工内耳の小型化が実現できれば、人工内耳を埋め込んだ場所に生
じる凸部を目立たない大きさにすることができる。
【0329】
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることが
できる。
【0330】
(実施の形態6)
本実施の形態では、本発明の一態様であるウェアラブルな電子機器の例を示す。
【0331】
複雑な外形形状の電子機器とする場合、複数の小型の蓄電素子を適宜、所定の場所に配置
させることで、電子機器の設計の自由度を上げることができる。図19(A)に示すよう
に電子機器5400は、円筒形であり、人体に装着するためには、1つの蓄電素子よりも
複数の蓄電素子に分けて適宜配置することで重量感を緩和させることができる。また、多
くの機能を持たせると、待機時の蓄電素子の消費が多くなるため、機能ごとに蓄電素子を
用意する。複数の蓄電素子を有する電子機器5400にいろいろな機能を持たせる場合、
使用したい機能だけをオン状態としてそれぞれの機能に対応する蓄電素子から電力を供給
することで省電力化が図れる。
【0332】
図19(A)に示すように電子機器5400は、左腕の上腕部に位置する服5401の上
から装着している。服5401としては、軍服、防護服、スーツ、制服、宇宙服などの袖
のある服が挙げられる。装着する方法としては特に限定されないが、上腕部に重なる服に
縫製加工によって縫い付ける方式や、上腕部に重なる服にマジックテープ(登録商標)な
どを設けて電子機器5400を貼り付ける方式、バンドや留め金などで固定する方式、帯
状の板バネで巻きつける方式などがある。
【0333】
また、電子機器5400はアンテナを有しており、電子機器5400を肌の上から装着し
、無線充電を行っている場合の斜視図を図19(B)に示す。図19(B)では、上腕5
402に電子機器5400を装着している。皮膚に接するため、電子機器5400の肌に
触れる表面は、肌に優しいフィルムや、皮革、紙、布などの天然素材を用いることが好ま
しい。また、5412は、電力送信装置であり、電子機器5400に電波5413を用い
て無線で充電を行うことができる。また、電子機器5400は、電力だけでなく、その他
の情報も送受信できるアンテナや回路を設けることで、その他の情報も送受信できる。例
えば、電子機器5400をスマートフォンのように用いることもできる。
【0334】
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることが
できる。
【0335】
(実施の形態7)
本実施の形態では、図20を用いて、本発明の一態様が適用可能な、電子デバイスの一例
について説明する。
【0336】
図20(A)は眼鏡型デバイス5500の上面図、図20(B)はその斜視図である。
【0337】
眼鏡型デバイス5500は、装着時に使用者の側頭部に沿って配置される部分、以下テン
プル部というが、左右のテンプル部それぞれに複数の蓄電素子5501を有する。
【0338】
また眼鏡型デバイス5500は、端子部5504を有していてもよい。端子部5504か
ら蓄電素子5501に充電をすることができる。また蓄電素子5501同士は電気的に接
続されていることが好ましい。蓄電素子5501同士が電気的に接続されていることで、
一つの端子部5504から全ての蓄電素子5501に充電をすることができる。
【0339】
また眼鏡型デバイス5500は、表示部5502を有していてもよい。また制御部550
3を有していてもよい。制御部5503により、蓄電素子5501の充放電を制御し、ま
た表示部5502に表示する画像データを生成することができる。また制御部5503に
無線通信機能を有するチップを搭載することで、外部とデータの送受信が行える。
【0340】
また、図20(C)の上面図に示すように、表示部5502を有さない眼鏡型デバイス5
510としてもよい。眼鏡型デバイス5510には、外付けの表示部5512を取り付け
てもよい。眼鏡型デバイス5510に外付けの表示部5512を取り付けることで、使用
者の目と表示部5512との距離を調整することが容易となる。
【0341】
また、眼鏡型デバイス5510と、外付けの表示部5512との間で無線通信および無線
給電を行ってもよい。
【0342】
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることが
できる。
【0343】
(実施の形態8)
本実施の形態では、実施の形態1で示したデバイス10に適用可能な半導体装置の一例に
ついて、図21及び図22を用いて説明を行う。
【0344】
図21は、デバイス10に適用可能な半導体装置1300の断面図である。
【0345】
半導体装置1300は、基板700と、トランジスタ300と、蓄電素子740と、絶縁
膜741と、絶縁膜742と、配線743と、配線708と、を有している。
【0346】
半導体装置1300は、同一基板にトランジスタ300と蓄電素子740が設けられてい
る。
【0347】
基板700、蓄電素子740、絶縁膜741、絶縁膜742、配線708の詳細について
は、図2に示す半導体装置1000の記載を参照すればよい。
【0348】
配線743は、配線としての機能の他に、蓄電素子740の集電体としての機能を有して
もよい。配線743の詳細については、図5に示す集電体層202の記載を参照すればよ
い。
【0349】
なお、図21おいて、符号及びハッチングパターンが与えられていない領域は絶縁体で構
成された領域を表している。該領域には、酸化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム、酸
化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、
酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン
、酸化ネオジム、酸化ハフニウム、酸化タンタルなどから選ばれた一種以上含む絶縁体を
用いることができる。また、該領域には、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹
脂、シロキサン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等の有機樹脂を用いることもできる
【0350】
次にトランジスタ300の詳細について、図22を用いて説明を行う。
【0351】
図22(A)及び図22(B)は、トランジスタ300の上面図および断面図である。図
22(A)は上面図であり、図22(A)に示す一点鎖線A-B方向の断面が図22(B
)に相当する。なお、図22(A)及び図22(B)では、図の明瞭化のために一部の要
素を拡大、縮小、または省略して図示している。また、一点鎖線A-B方向をチャネル長
方向と呼称する場合がある。
【0352】
図22(B)に示すトランジスタ300は、第1のゲートとして機能する導電膜380と
、第2のゲートとして機能する導電膜388と、半導体382と、ソース及びドレインと
して機能する導電膜383及び導電膜384と、絶縁膜381と、絶縁膜385と、絶縁
膜386と、絶縁膜387と、を有する。
【0353】
導電膜380は、絶縁表面上に設けられる。導電膜380と、半導体382とは、絶縁膜
381を間に挟んで、互いに重なる。また、導電膜388と、半導体382とは、絶縁膜
385、絶縁膜386及び絶縁膜387を間に挟んで、互いに重なる。また、導電膜38
3及び導電膜384は、半導体382に、接続されている。
【0354】
導電膜380及び導電膜388の詳細は、図11に示す導電膜673及び導電膜674の
記載を参照すればよい。
【0355】
導電膜380と導電膜388は、異なる電位が与えられてもよいし、同時に同じ電位が与
えられてもよい。トランジスタ300は、第2のゲート電極として機能する導電膜388
を設けることで、しきい値電圧を安定化させることが可能になる。なお、導電膜388は
、場合によっては省略してもよい。
【0356】
半導体382の詳細は、図11に示す半導体662の記載を参照すればよい。また、半導
体382は、一層でも良いし、複数の半導体層の積層でも良い。
【0357】
導電膜383及び導電膜384の詳細は、図11に示す導電膜671及び導電膜672の
記載を参照すればよい。
【0358】
絶縁膜381の詳細は、図11に示す絶縁膜653の記載を参照すればよい。
【0359】
なお、図22(B)では、半導体382、導電膜383及び導電膜384上に、順に積層
された絶縁膜385乃至絶縁膜387が設けられている場合を例示しているが、半導体3
82、導電膜383及び導電膜384上に設けられる絶縁膜は、一層でも良いし、複数の
絶縁膜の積層でも良い。
【0360】
半導体382に酸化物半導体を用いた場合、絶縁膜386は、化学量論的組成以上の酸素
が含まれており、加熱により上記酸素の一部を半導体382に供給する機能を有する絶縁
膜であることが望ましい。ただし、絶縁膜386を半導体382上に直接設けると、絶縁
膜386の形成時に半導体382にダメージが与えられる場合、図22(B)に示すよう
に、絶縁膜385を半導体382と絶縁膜386の間に設けると良い。絶縁膜385は、
その形成時に半導体382に与えるダメージが絶縁膜386の場合よりも小さく、なおか
つ、酸素を透過する機能を有する絶縁膜であることが望ましい。ただし、半導体382に
与えられるダメージを小さく抑えつつ、半導体382上に絶縁膜386を直接形成するこ
とができるのであれば、絶縁膜385は必ずしも設けなくとも良い。
【0361】
例えば、絶縁膜386及び絶縁膜385として、酸化シリコンまたは酸化窒化シリコンを
含む材料を用いることが好ましい。または、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、
酸化ガリウム、酸化窒化ガリウム、酸化イットリウム、酸化窒化イットリウム、酸化ハフ
ニウム、酸化窒化ハフニウム等の金属酸化物を用いることもできる。
【0362】
絶縁膜387は、酸素、水素、水の拡散を防ぐブロッキング効果を有することが、望まし
い。或いは、絶縁膜387は、水素、水の拡散を防ぐブロッキング効果を有することが、
望ましい。
【0363】
絶縁膜は、密度が高くて緻密である程、また未結合手が少なく化学的に安定である程、よ
り高いブロッキング効果を示す。酸素、水素、水の拡散を防ぐブロッキング効果を示す絶
縁膜は、例えば、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化窒化ガ
リウム、酸化イットリウム、酸化窒化イットリウム、酸化ハフニウム、酸化窒化ハフニウ
ム等を用いて、形成することができる。水素、水の拡散を防ぐブロッキング効果を示す絶
縁膜は、例えば、窒化シリコン、窒化酸化シリコン等を用いることができる。
【0364】
絶縁膜387が水、水素などの拡散を防ぐブロッキング効果を有する場合、パネル内の樹
脂や、パネルの外部に存在する水、水素などの不純物が、半導体382に侵入するのを防
ぐことができる。半導体382に酸化物半導体を用いる場合、酸化物半導体に侵入した水
または水素の一部は電子供与体(ドナー)となるため、上記ブロッキング効果を有する絶
縁膜387を用いることで、トランジスタ300の閾値電圧がドナーの生成によりシフト
するのを防ぐことができる。
【0365】
また、半導体382に酸化物半導体を用いる場合、絶縁膜387が酸素の拡散を防ぐブロ
ッキング効果を有することで、酸化物半導体からの酸素が外部に拡散するのを防ぐことが
できる。よって、酸化物半導体中において、ドナーとなる酸素欠損が低減されるので、ト
ランジスタ300の閾値電圧がドナーの生成によりシフトするのを防ぐことができる。
【0366】
なお、トランジスタ300は、実施の形態1で示したトランジスタ730に適用してもよ
い。
【0367】
半導体装置1300はデバイス10に適用可能である。例えば、トランジスタ300を用
いて、図1のデバイス10に含まれる表示部16又は表示駆動回路19を作製し、蓄電素
子740を用いて蓄電素子17を作製することで、デバイス10を小型化又は薄膜化する
ことが可能になる。
【0368】
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることが
できる。
【符号の説明】
【0369】
10 デバイス
11 CPU
12 蓄電素子
13 レギュレータ
14 無線受信部
15 制御モジュール
16 表示部
17 蓄電素子
18 レギュレータ
19 表示駆動回路
20 無線受信部
21 表示モジュール
22 通信回路
23 蓄電素子
24 レギュレータ
25 無線受信部
26 通信モジュール
200 EDLC
201 絶縁膜
202 集電体層
203 活物質層
204 電解質層
205 活物質層
206 集電体層
207 絶縁膜
208 配線
209 セパレータ
210 EDLC
213 活物質層
214 セパレータ
215 活物質層
216 電解液
217 絶縁膜
220 EDLC
230 EDLC
240 EDLC
251 絶縁膜
300 トランジスタ
380 導電膜
381 絶縁膜
382 半導体
383 導電膜
384 導電膜
385 絶縁膜
386 絶縁膜
387 絶縁膜
388 導電膜
640 基板
651 絶縁膜
652 絶縁膜
653 絶縁膜
654 絶縁膜
655 絶縁膜
656 絶縁膜
660 半導体
661 半導体
662 半導体
663 半導体
671 導電膜
671a 導電膜
671b 導電膜
672 導電膜
672a 導電膜
672b 導電膜
673 導電膜
674 導電膜
700 基板
701 プラグ
702 プラグ
703 プラグ
704 プラグ
705 配線
706 配線
707 配線
708 配線
720 トランジスタ
721 不純物領域
722 不純物領域
723 チャネル領域
724 ゲート絶縁膜
725 側壁絶縁層
726 ゲート電極
727 素子分離層
730 トランジスタ
731 絶縁膜
732 絶縁膜
740 蓄電素子
741 絶縁膜
742 絶縁膜
743 配線
750 トランジスタ
751 不純物領域
752 不純物領域
753 チャネル領域
754 ゲート絶縁膜
755 側壁絶縁層
756 ゲート電極
757 絶縁膜
1000 半導体装置
1200 半導体装置
1300 半導体装置
5000 筐体
5001 表示部
5002 表示部
5003 スピーカ
5004 LEDランプ
5005 操作キー
5006 接続端子
5007 センサ
5008 マイクロフォン
5009 スイッチ
5010 赤外線ポート
5011 記録媒体読込部
5012 支持部
5013 イヤホン
5014 アンテナ
5015 シャッターボタン
5016 受像部
5100 電子機器
5101 表示部
5102 表示部
5103 ハンドル
5200 電子機器
5201 シート
5202 表示部
5203 アンテナ設置部
5300 ペースメーカ本体
5301a 蓄電素子
5301b 蓄電素子
5302 ワイヤ
5303 ワイヤ
5304 アンテナ
5305 鎖骨下静脈
5400 電子機器
5401 服
5402 上腕
5413 電波
5500 眼鏡型デバイス
5501 蓄電素子
5502 表示部
5503 制御部
5504 端子部
5510 眼鏡型デバイス
5512 表示部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22