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  • 特許-楔の構造と楔 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-15
(45)【発行日】2022-09-27
(54)【発明の名称】楔の構造と楔
(51)【国際特許分類】
   A47B 96/06 20060101AFI20220916BHJP
   F16B 12/20 20060101ALI20220916BHJP
【FI】
A47B96/06 E
F16B12/20 J
A47B96/06 B
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018032609
(22)【出願日】2018-02-26
(65)【公開番号】P2019146714
(43)【公開日】2019-09-05
【審査請求日】2021-02-25
(73)【特許権者】
【識別番号】591078022
【氏名又は名称】森▲崎▼ 隆光
(72)【発明者】
【氏名】森▲崎▼ 隆光
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05239796(US,A)
【文献】実開平01-171243(JP,U)
【文献】独国特許出願公開第03918180(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 96/06
F16B 12/20
E04F 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
テーパー面の反対側の押し付ける力を発揮する作用面は、棚板などの平面板の平面と平行で、かつ楔を押し進める方向と平行な平面で、
テーパー面と作用面を結ぶ2側面は互いに平行である楔であって、
楔を押し込む方向と直角な方向の断面形状の、テーパー面の形状が、作用面の形状に対して凹凸になっており、その凹凸がテーパーの断面の位置にかかわらず、同一形状である楔と、
ベース凸面とベース凹面が平行であり、
かつベース板受け面が、嵌め入れる楔の作用面と平行であり、
楔の片方の側面がベース凹面と接するように楔を嵌め入れることができるスペースと棚板を入れるスペースがあるベース凹部であって、ベース凸面とベース凹面とを結ぶ壁面に、該楔のテーパー面に合う形に形成されたテーパー面を持つ楔ベースと、
平面板である棚板が、
組み合わさり、楔で棚板が固定される、楔構造。
【請求項2】
テーパー面の反対側の押し付ける力を発揮する作用面は、棚板などの平面板の平面と平行で、かつ楔を押し進める方向と平行な平面で、
テーパー面と作用面を結ぶ2側面は互いに平行である楔であって、
楔を押し込む方向と直角な方向の断面形状の、テーパー面の形状が、作用面の形状に対して凹凸になっており、その凹凸がテーパーの断面の位置にかかわらず、同一形状である楔。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、棚板を楔で固定する楔の構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
脚部や棚板を楔で固定している家具は多くあるが、脚部や棚板に楔を入れる孔があり、その孔に楔を嵌め入れる構造のものが多い。
楔の力を受ける楔のベースに溝が掘られ、楔を押し込む方向(以下「M方向」と言う)に直角な方向で、楔が力を発揮する作用方向(以下「P方向」と言う)とも直角な方向の1面が開かれている楔の構造は、階段の踏み板の固定に使われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-143866号公報
【文献】特許第3320952号公報
【文献】特許第3762956号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、ネジや釘などを用いず、また棚板などに孔を開けたり傷つけたりすることなく、棚板を簡単に取付け固定し、取外しできる、楔を用いた棚構造とそのための楔を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、課題を解決するため、楔と楔の力を受け止める楔ベースと棚板からなる、楔構造を用いている。
楔は、斜めになったテーパー面の反対側のP方向の平面(以下「作用面」と言う)は、M方向と平行で、テーパー面と作用面を結ぶ互いに平行な2側面(以下「2側面」と言う)と直角の平面である。M方向と直角な面である断面(以下単に「断面」と言う)の形状の内、テーパー面の形状は、作用面の直線形状に対して凹凸になっている。その凹凸の形状は、テーパー面のどの位置の断面であっても同一形状である。
【0006】
楔のテーパー面の凹凸は、作用面の断面の直線形状に対して凹凸であればよく、楔の2側面のL方向の長さが異なり、M方向に直角な面で、作用面の断面の直線に対して傾いた直線、すなわち斜線となっていてもよい。
テーパー面の断面の形は、直線であっても、曲線であっても、段差のある形でもよい。
【0007】
楔を作用させる楔ベースは、凹部が形成されている面(以下「ベース凸面」と言う)と、凹部の底面(以下「ベース凹面」と言う)が平行であり、楔の1側面がベース凹面と接するように楔を嵌め入れることができるスペースと、楔で固定する棚板を入れるスペースがあるベース凹部であって、ベース凸面とベース凹面とを結ぶ壁面に、該楔のテーパー面に合う形に形成されたテーパー面を持つ。
ベースの楔の作用方向の力を、棚板などの平面板を介して受けるベース板受け面は、棚板などの平面板の平面と平行で、かつ楔を押し進める方向と平行な平面である。
【0008】
棚板は平らな板であればよく、楔を入れる孔などを設ける必要はない。
棚板を固定する場合、棚板と楔は、どちらが上に位置していても構わない。
上記楔と、楔ベースと、棚板が組み合わさる楔構造で、楔ベースに棚板が固定される。
なお、棚板、ガラス板、金属板など、木口面と比べ広い平行な2平面と、木口面から形成され、該2平面に孔、溝、凹凸などが無い板状のものを平面板と言う。また2平面を結ぶ厚み方向の面を木口面と言う。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、ネジや釘などを用いず、孔を開けたり傷つけたりすることなく、簡単に棚板を強く取付け固定し、取外しすることができ、簡単に組み立てられる棚を作ることができる。棚板は加工の必要がないので、棚板をガラスや金属などに変更する場合も、問題ない。
また楔で固定するため、棚板の厚みが多少変わっても、楔の押し込み量が変わるだけで、元と同じ強度を確保することができる。
【0010】
楔および楔ベースのテーパー面の凹凸形状により、M方向に沿って、楔ベースに楔がしっかり納まり、確実な固定ができる。また、棚の裏面などで楔を目視できない場合も、手探りで楔を正しく嵌め入れることができる。
特に、2側面の内、楔ベース凸面に位置する側の楔の長さLを短くした楔と、それと対応する楔ベースの場合は、楔が自然と楔ベース側に寄るので、より安定した固定ができる。
【0011】
本発明は、釘など金物を使わず、鳥居や日本に古くからある家屋にもよく使われる楔を使い、組立、分解、棚の取り付け方などが自在であるため、日本文化を取り入れた棚としての趣あるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】請求項1に示す楔の構造の斜視図
図2】請求項1に示す楔の構造の側面図
図3】請求項2に示す楔の斜視図
図4】請求項2に示す楔の6面図
図5】請求項2に示す楔のテーパー面の形状のバリエーションを示す断面図
図6】請求項1に示す楔構造を複数持つ楔ベースの実施の形態3の正面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本発明の実施の形態1である棚の一部の斜視図で、楔スペース2-KSが3つある3段棚用の脚を兼ねる楔ベース2である。楔ベース2の、下の楔スペース2-KSには楔1が、上の楔スペース2-KSには棚板3がベース板受け面2-2にくっつく形で描かれている。
ベース板受け面2-2と平面板である棚板3の上下平面と楔の作用面1-2は互いに平行である。
図2は、図1の右側面図で、下の楔スペース2-KSには、楔1の楔後面1-6が見えている。
図2の楔ベース2には、楔スペース2-KSが3つあるが、楔ベース2の楔スペース2-KSの数は、1つでも2つでも、さらに多くあってもよい。
【0014】
図3図4は、実施の形態2で、請求項2に示す楔を示す。
楔1の楔テーパー面1-1の反対側の作用面1-2は、M方向と平行で、平面板である棚板3の下面と平行な平面である。
また、テーパー面1-1と作用面1-2を結ぶ楔正面1-3と楔背面1-4の2側面は互いに平行となっている。
断面の、テーパー面1-1の形状は、楔前面1-5と楔後面1-6にも表れており、作用面1-2の形状に対して、楔正面1-3の長さXが楔背面1-4の長さYより短い斜面になっており、その傾斜はテーパー面1-1全体で同一傾斜同一形状となっている。
楔正面1-3の長さXと楔背面1-4の長さYさの差は、楔の2側面の距離の2/10~7/10程度が好ましい。
【0015】
楔1の楔テーパー面1-1の断面形状は、楔テーパー面1-1のどの位置の断面でも同一形状で、作用面1-2の形状に対して凹凸になっていれば、平面でも、曲面でも、階段状でもよい。
楔テーパー面1-1とベーステーパー面2-1の凹凸が、噛み合うことで、楔スペース2-KSに楔1がしっかり納まり、確実な固定ができる。
特に、楔テーパー面1-1の断面形状において、楔正面1-3の長さXが楔背面1-4の長さYより短い場合は、楔1が、楔ベース2の楔スペース2-KSの開放側(ベース凸面2-3側/Dの方向の逆側)に倒れ難くなり好ましい。
【0016】
図5は、楔のテーパー部分の断面形状で、イは直線山形に、ロは曲線山形に、ハは階段状に中央が膨らんでいる。
ニホヘは、楔正面1-3の長さXが楔背面1-4の長さYより短い。ニは楔テーパー面1-1の断面形状の逆D方向の角度がTになっている斜面、ホは傾いた曲線状で膨らみ、ヘは階段状になっている。
【0017】
図6は、実施の形態3で、壁面から飛び出させる片側支持の棚である。楔スペース2-KSが横に長い棚板スペース2-TSの下に、横に3つ並んだもので、横長の平面板である棚板3を1枚固定することができる。この図では、棚板3は説明しやすくするため、左端の楔スペース2-KSの上の部分だけの長さにした。
左の楔スペース2-KSには、楔1が嵌め込まれ、スペース狭部2-8の方にあり、棚板3を固定している。中央の楔スペース2-KSには、楔1がスペース広部2-7に置かれている。
楔1で、棚板3を固定するため、棚板3が乾燥などで厚みが減っても、楔1を押し込むことで再び棚板3をしっかりと固定することができる。
【符号の説明】
【0018】
1 楔
1-1 楔テーパー面
1-2 作用面
1-3 楔正面
1-4 楔背面
1-5 楔前面
1-6 楔後面
1-7 楔太部
1-8 楔細部
2 楔ベース
2-1 ベーステーパー面
2-2 ベース板受け面
2-3 ベース凸面
2-4 ベース凹面
2-7 スペース広部
2-8 スペース狭部
2-KS 楔スペース
2-TS 棚板スペース
3 棚板
【0019】
P 楔の作用方向
M 楔を押し込む方向
L 楔の断面の長さ方向
S テーパー角
T テーパー面の楔の正面から楔の背面に至る傾斜角
X 断面における楔正面1-3の長さ
Y 断面における楔背面1-4の長さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6